荷物搬送用昇降機
【課題】嵩上げ部材の上げ下ろしを小さい力でスムーズに行えるようにして使い勝手を向上させる。
【解決手段】フォーク5に、フォーク5の外周を囲むフレーム状に形成され、フォーク5との間に架設された複数のリンク11により、フォーク5より上方に位置する上昇位置と、フォーク5に外嵌する下降位置との間で昇降可能なフレーム8を設ける一方、本体2に、フレーム8の昇降と連係して回転する第1、第2回転盤14,15を設けて、第1回転盤14に、フレーム8の上昇に伴う第1回転盤14の回転を付勢する引張スプリング30を、第2回転盤15に、フレーム8の下降に伴う第2回転盤15の回転に制動を加えるロータリーダンパ24を夫々設けた。
【解決手段】フォーク5に、フォーク5の外周を囲むフレーム状に形成され、フォーク5との間に架設された複数のリンク11により、フォーク5より上方に位置する上昇位置と、フォーク5に外嵌する下降位置との間で昇降可能なフレーム8を設ける一方、本体2に、フレーム8の昇降と連係して回転する第1、第2回転盤14,15を設けて、第1回転盤14に、フレーム8の上昇に伴う第1回転盤14の回転を付勢する引張スプリング30を、第2回転盤15に、フレーム8の下降に伴う第2回転盤15の回転に制動を加えるロータリーダンパ24を夫々設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドパレットトラックやローリフトトラック等、昇降可能なフォークによって荷物を積載したパレットを運搬可能とした荷物搬送用昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハンドパレットトラックでは、昇降装置を備えた本体に、一対のフォークを突設し、本体に備えたハンドルの操作によって昇降装置を作動させてフォークを昇降させることで、荷物を積載したパレットを運搬可能となっている。
このようなハンドパレットトラックでは、フォークの上限位置は一定であるため、当該上限位置よりも高いパレットやボックス等では運搬できないという問題がある。そこで、例えば特許文献1では、フォークの側部に厚さ調整材(嵩上げ部材)を、フォーク上面と側面との間で回転可能に設けて、厚さ調整材によってフォーク上面を嵩上げすることで高いパレット等でも運搬可能とした発明を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−19615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような厚さ調整材は、人手によって回転操作する必要があるが、重量のある厚さ調整材の上げ下ろしが面倒で、使い勝手が悪い上、上げ下ろしの際のフォークとの衝突によって騒音を生じさせる。また、フォークを嵩上げしない状態ではフォークの左右に厚さ調整材が張り出す格好となるため、移動中に物にぶつかったり、パレットの差込の邪魔になったりするおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、嵩上げ部材の上げ下ろしが小さい力でスムーズに行えて騒音の発生が抑えられ、而も不使用時にはフォークから張り出す部分が極力少なくなって使い勝手に優れる荷物搬送用昇降機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フォークに、フォークの外周を囲むフレーム状に形成され、フォークとの間に架設された複数のリンクにより、フォークより上方に位置する上昇位置と、フォークに外嵌する下降位置との間で昇降可能な嵩上げフレームを設ける一方、本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して動作し、嵩上げフレームの上昇に伴う移動を付勢する付勢手段と、嵩上げフレームの下降に伴う移動に制動を加える制動手段とを夫々設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、付勢手段と制動手段とを省スペースでコンパクトに配設するために、本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して回転する回転部材を設け、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、付勢手段及び制動手段をコンパクト且つ簡単に形成するために、回転部材を、嵩上げフレームとリンクアームを介して連結して、付勢手段を、回転部材の偏心位置と本体との間に架設され、嵩上げフレームの下降位置に対応する回転部材の回転位置で最大長さとなる引張スプリングとする一方、制動手段を、回転部材に設けられ、嵩上げフレームの上昇位置に対応する回転位置から下降側への回転部材の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパとしたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、効果的な制動手段を得るために、回転部材を、リンクアームと引張スプリングとが連結される第1回転盤と、その第1回転盤と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパが設けられる第2回転盤とから形成し、第1回転盤と第2回転盤との何れか一方に、回転中心と同心の長孔を、他方に、長孔に遊挿する係合ピンを夫々設けて、第1回転盤の回転に第2回転盤が遅れて追従するようにしたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、嵩上げフレームを容易に昇降操作可能とするために、本体に、嵩上げフレームと連結されて嵩上げフレームの昇降操作を可能とするレバーを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、嵩上げフレームの上げ下ろしが小さい力でスムーズに行え、騒音の発生も抑えられる。また、嵩上げフレームの不使用時にはフォークを囲むように収まるため、フォークによる搬送作業に支障を及ぼすこともない。従って、使い勝手に優れた嵩上げフレームの使用が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、回転部材を利用したことで、付勢手段と制動手段とを省スペースでコンパクトに配設可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、引張スプリングやロータリーダンパの採用により、付勢手段及び制動手段がコンパクト且つ簡単に形成可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、回転部材を第1、第2回転盤とに分けて長孔と係合ピンとで回転を追従させるようにしたことで、ロータリーダンパの制動トルクを得るタイミングを最適に設定でき、効果的な制動手段が得られる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、レバーの採用により、本体側で嵩上げフレームの上げ下ろしが容易に行え、嵩上げフレームの昇降に係る操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、荷物搬送用昇降機の一例であるハンドパレットトラックの説明図で、上が平面、下が側面を夫々示す。また、図2はハンドパレットトラックの斜視図(昇降装置等は省略)である。ハンドパレットトラック1は、本体2の前方(図1の左側)にハンドル4や油圧機構等からなる昇降装置3を備える一方、本体2の後方に、一対のフォーク5,5を突設してなり、ハンドル4の前後への起伏操作によって昇降装置3を作動させてフォーク5,5を上昇可能としている。また、ハンドル4の下端には前輪6が、フォーク5の先端には後輪7が夫々設けられている。
【0009】
8,8は、各フォーク5に設けられた嵩上げフレーム(以下単に「フレーム」という。)で、長尺の板材によってフォーク5の左右及び先端を囲むように形成され、各フレーム8の前端には、後面に緩衝ゴム10を取り付けた四角板状のストッパ9が垂直に連結されている。このフレーム8は、左右の板材部分と、対応するフォーク5の左右の側面との間で、前後方向へ所定間隔をおいて配置された横断面コ字状の複数のリンク11,11・・によって連結されて、リンク11が後方へ倒伏してフォーク5の側面に突設したストッパピン12,12・・がフレーム8の下端に当接する下降位置と、リンク11が前方側へ起立してフォーク5の上方で支持される上昇位置との間で回転可能となっている。下降位置では、フレーム8がフォーク5に外嵌してその上面がフォーク5の上面と略面一となる。
【0010】
また、本体2の左右の側面には、図3,4にも示すように、段付軸13が外方へ向けて突設され、この段付軸13に、フレーム8の昇降動作に連係して回転する回転部材として、第1回転盤14と、第2回転盤15とが夫々回転可能に組み付けられている。左右とも同じ構造であるため、以下左側を中心に説明する。
まず、第1回転盤14は、段付軸13の一段目に、平座金16及び止め輪17によって回転可能に組み付けられ、その回転中心から放射状に突出するアーム部18の外面には、先端側から、連結ピン19、バネ掛けピン20、係合ピンとなるボルト21が夫々突設されて、連結ピン19と、ストッパ9の前面で外向きに固着された連結ピン22との間に、リンクアーム23が架設されている。すなわち、フレーム8の昇降に伴いリンクアーム23を介して第1回転盤14が連係して回転するようにしたものである。
【0011】
次に、第2回転盤15は、前面側に制動手段となるロータリーダンパ24を固着して、段付軸13の二段目に、止め輪25によって回転可能に組み付けられている。このロータリーダンパ24は、内部に封入したオイルの粘性によって入力トルクに制動を掛ける周知の構成で、図4で見て右回転方向の入力トルクに対してのみ制動作用を発揮する一方向タイプとなっている。
また、第2回転盤15の外周際には、回転中心と同心となる円弧状の長孔26が穿設され、組み付け状態ではこの長孔26に第1回転盤14のボルト21が遊挿可能となっている。また、長孔26の外側には係止突起27が突設されている。
【0012】
28は、第2回転盤15の外方から本体2の側面に固着される筒状のガイドリングで、その周面に形成されたV溝29に沿って巻回された付勢手段となる引張スプリング30の一端が、第1回転盤14のバネ掛けピン20に、他端が、第1回転盤14の下方でフォーク5の側面に突設されたバネ掛けピン31に夫々掛止されている。また、ガイドリング28の上方で本体2側の端縁には、第1回転盤14のアーム部18と第2回転盤15の係止突起27とが貫通して外方へ突出する切欠32が形成されている。よって、第1回転盤14は、アーム部18が切欠32の周方向両端に当接する範囲で回転規制されると共に、引張スプリング30によって左回転方向へ回転付勢されることになる。また、第2回転盤15は、係止突起27が切欠32の周方向両端に当接する範囲で回転が規制されることになる。
【0013】
以上の如く構成されたハンドパレットトラック1においては、フレーム8の下降位置では、図1,2のようにストッパ9が後方寄りで下方に位置するため、リンクアーム23を介して第1回転盤14を引張スプリング30の引張付勢に抗して右回転(図1の側面図で見た方向で言う。以下回転方向については同じ)させ、アーム部18をガイドリング28の切欠32の右端に位置させる。よって、引張スプリング30は最大に伸張され、第1回転盤14に加わる回転付勢力は最大となる。この状態では前述のようにフレーム8の高さはフォーク5と同じとなるので、フォーク5の上面を利用してパレット等の搬送が可能となる。
そして、フォーク5の上限位置よりも高いパレット等を搬送する場合は、フレーム8の先端を手で持ち上げるように操作する。すると、各リンク11が起立してフレーム8を前方へ回転させながらフォーク5よりも上昇させる。このとき、フレーム8のストッパ9は、引張スプリング30に回転付勢されて左回転する第1回転盤14にリンクアーム23を介して連結されているので、持ち上げる際の力が引張スプリング30の回転付勢力によって補助され、小さい力で容易に上昇させることができる。
【0014】
このフレーム8の持ち上げに伴う第1回転盤14の左回転の際、ボルト21が第2回転盤15の長孔26の左端に当接すると、そのまま第2回転盤15も追従して一体に左回転する。そして、第2回転盤15の係止突起27が切欠32の左端に当接して回転が停止すると、第1回転盤14の回転も停止して、フレーム8は図5,6のように各リンク11がやや前方へ傾いた上昇位置で保持される。よって、フォーク5の上限位置よりも高いパレット等でもフレーム8を利用して搬送可能となる。
【0015】
一方、上昇位置からフレーム8を下降位置へ戻す場合は、フレーム8の先端を持って各リンク11を後方へ倒すようにすると、そのままフレーム8を後方へ回転するように下降させることができる。このとき、リンクアーム23を介して第1回転盤14も右回転するが、図6に二点鎖線で示すように、第1回転盤14のボルト21が第2回転盤15の長孔26の右端に当接すると、第2回転盤15も追従して右回転する。この第2回転盤15の右回転により、ロータリーダンパ24が制動トルクを発揮させるため、リンク11が直立位置を越えて後方へ傾倒しても、フレーム8が重みで一気に下降することがなく、ロータリーダンパ24の作用によって下降位置までゆっくりと下降し、図1の位置へ復帰することになる。これは動作の途中で手を離しても変わらない。
【0016】
このように、上記形態のハンドパレットトラック1によれば、フォーク5に、フォーク5の外周を囲むフレーム状に形成され、フォーク5との間に架設された複数のリンク11により、フォーク5より上方に位置する上昇位置と、フォーク5に外嵌する下降位置との間で昇降可能なフレーム8を設ける一方、本体2に、フレーム8の昇降と連係して動作し、フレーム8の上昇に伴う移動を付勢する付勢手段(引張スプリング30)と、フレーム8の下降に伴う移動に制動を加える制動手段(ロータリーダンパ24)とを設けたことで、フレーム8の上げ下ろしが小さい力でスムーズに行え、騒音の発生も抑えられる。また、フレーム8の不使用時にはフォーク5を囲むように収まるため、フォーク5による搬送作業に支障を及ぼすこともない。従って、使い勝手に優れたフレーム8の使用が可能となる。
特に、本体2に、フレーム8の昇降と連係して回転する回転部材(第1、第2回転盤14,15)を設けて、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことで、回転部材を利用して付勢手段と制動手段とが省スペースでコンパクトに配設可能となる。
【0017】
また、第1回転盤14を、フレーム8とリンクアーム23を介して連結して、付勢手段を、第1回転盤14の偏心位置と本体2との間に架設され、フレーム8の下降位置に対応する第1回転盤の回転位置で最大長さとなる引張スプリング30とする一方、制動手段を、第2回転盤15に設けられ、フレーム8の上昇位置に対応する回転位置から下降側への第2回転盤15の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパ24としたことで、付勢手段及び制動手段がコンパクト且つ簡単に形成可能となる。
さらに、回転部材を、リンクアーム23と引張スプリング30とが連結される第1回転盤14と、その第1回転盤14と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパ24が設けられる第2回転盤15とから形成し、第2回転盤15に、回転中心と同心の長孔26を、第1回転盤14に、長孔26に遊挿するボルト21を夫々設けて、第1回転盤14の回転に第2回転盤15が遅れて追従するようにしたことで、ロータリーダンパ24の制動トルクを得るタイミングを最適に設定でき、効果的な制動手段が得られる。
【0018】
なお、上記形態では、第1回転盤に係合ピンを、第2回転盤に長孔を設けているが、互いに逆側に設けてもよい。また、第1回転盤と第2回転盤との段付軸に対する取付位置も軸方向の前後で逆にすることが可能である。
さらに、引張スプリングも、ガイドリングに巻回させる配置形態に限らず、本体と第1回転盤との間で略直線状に架設したり、制動手段としてショックアブソーバーや引張スプリングを使用したり等の変更も可能である。
加えて、上記形態では、回転部材を2つの第1、第2回転盤で形成しているが、単一の回転盤(回転部材)にして付勢手段と制動手段とを併設することもできる。
【0019】
一方、上記形態では、フレーム8の上げ下ろしを直接先端を持って行うようにしているが、図7に示すように、本体2の側面にレバー33を回転可能に軸着し、そのレバー33の中間位置と、リンクアーム23を連結するストッパ9の連結ピン22との間に連結リンク34を架設して、レバー33の前方への倒伏操作により、図8,9に示すようにフレーム8の上昇位置への引き上げを可能としてもよい。下降位置への移動の場合はレバー33を後方へ倒伏操作することになる。
このように、本体2に、フレーム8と連結されてフレーム8の昇降操作を可能とするレバー33を設ければ、本体2側でフレーム8の上げ下ろしが容易に行え、フレーム8の昇降に係る操作性が向上する。
【0020】
また、回転部材を利用する形態に限らず、図10,11に示すように、本体2の側面に、支点軸36を中心にして上下に揺動可能な支持板35を取り付け、その支持板35に、後端がストッパ9の連結ピン22と連結され、フレーム8の昇降に応じて軸方向へスライドするロッド37と、プランジャ39を前方側に突出させたショックアブソーバー38とを平行に設けて、ロッド37の中間に設けた大径のスリーブ40と、ロッド37を保持する前後の折曲片41,42のうちの後方側の折曲片42との間に、コイルバネ43を介在させる構成も考えられる。なお、ロッド37の前端には、フレーム8の下降の途中でショックアブソーバー38のプランジャ39に当接する当接棒44が連結されている。
【0021】
この変更例の場合、図10(A)の上昇位置からフレーム8を下降させると、同図(B)のように下降途中の中間位置でロッド37の当接棒44がショックアブソーバー38のプランジャ39に当接するため、ここから制動力が発揮され、フレーム8が重みで一気に下降することがなく、同図(C)の下降位置までゆっくりと下降する。また、ここでは中間位置からはスリーブ40がコイルバネ43に当接して圧縮するため、コイルバネ43の弾性による制動力も加わることになる。
そして、同図(C)の下降位置からフレーム8を上昇させる際には、同図(B)の中間位置までの間でコイルバネ43の付勢力が働くため、持ち上げる際の力が補助され、小さい力で容易に上昇させることができる。
なお、この変更例の場合も、スリーブの前方側に引張スプリングを設けたり、ショックアブソーバーに代えてコイルバネを用いたり等の変更は可能である。
【0022】
その他、フレームも、フォークの形態に合わせて適宜変更可能で、リンクの数や配置位置も上記形態に限定されない。例えば上記形態ではリンクが後方へ倒伏してフレームが下降位置、前方へ起立して上昇位置となるようにしているが、これと逆に、リンクが前方へ倒伏してフレームが下降位置、後方へ起立して上昇位置となるようにしてもよい。この場合は付勢手段や制動手段の作用方向は上記形態と逆になる。さらには手動による昇降に限らず、モータを利用して、押しボタンスイッチの操作によってフレームを昇降させる電動機構の採用も可能である。
また、ストッパをなくしてフレームをリンクアームで直接連結するようにしたり、引張スプリングの配置形態によってはガイドリングをなくし、回転盤の回転規制を本体の側面に突設したストッパ板で行うようにしたり等の設計変更も考えられる。さらに、一対のフォークの場合はフレーム同士を連結して同調して昇降させることもできる。この場合は左右一方側にのみ回転部材を設けても差し支えない。
そして、ハンドパレットトラックとしては、フォークが単一のタイプであってもよいし、勿論ハンドパレットトラックに限らず、ローリフトトラック等の他の荷物搬送用昇降機でも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ハンドパレットトラックの説明図で、上が平面、下が側面を夫々示す(フレームは下降位置)。
【図2】ハンドパレットトラックの前方からの斜視図(昇降装置等は省略、フレームは下降位置)である。
【図3】ハンドパレットトラックの後方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図4】A部拡大図である。
【図5】ハンドパレットトラックの前方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図6】ハンドパレットトラックの側面図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図7】変更例のハンドパレットトラックの前方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは下降位置)。
【図8】変更例のハンドパレットトラックの説明図で、上が後方からの斜視図、下が側面を夫々示す(昇降装置等は省略、フレームは上昇途中)。
【図9】変更例のハンドパレットトラックの説明図で、上が後方からの斜視図、下が側面を夫々示す(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図10】変更例のハンドパレットトラックの側面図で、(A)がフレームの上昇位置、(B)が中間位置、(C)が下降位置を夫々示す。
【図11】制動手段及び付勢手段の変更例の説明図で、上が平面、下が正面、右が側面を夫々示す。
【符号の説明】
【0024】
1・・ハンドパレットトラック、2・・本体、3・・昇降装置、4・・ハンドル、5・・フォーク、8・・嵩上げフレーム、9・・ストッパ、11・・リンク、13・・段付軸、14・・第1回転盤、15・・第2回転盤、18・・アーム部、23・・リンクアーム、24・・ロータリーダンパ、26・・長孔、27・・係止突起、28・・ガイドリング、30・・引張スプリング、35・・支持板、37・・ロッド、38・・ショックアブソーバー、43・・コイルバネ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドパレットトラックやローリフトトラック等、昇降可能なフォークによって荷物を積載したパレットを運搬可能とした荷物搬送用昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハンドパレットトラックでは、昇降装置を備えた本体に、一対のフォークを突設し、本体に備えたハンドルの操作によって昇降装置を作動させてフォークを昇降させることで、荷物を積載したパレットを運搬可能となっている。
このようなハンドパレットトラックでは、フォークの上限位置は一定であるため、当該上限位置よりも高いパレットやボックス等では運搬できないという問題がある。そこで、例えば特許文献1では、フォークの側部に厚さ調整材(嵩上げ部材)を、フォーク上面と側面との間で回転可能に設けて、厚さ調整材によってフォーク上面を嵩上げすることで高いパレット等でも運搬可能とした発明を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−19615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような厚さ調整材は、人手によって回転操作する必要があるが、重量のある厚さ調整材の上げ下ろしが面倒で、使い勝手が悪い上、上げ下ろしの際のフォークとの衝突によって騒音を生じさせる。また、フォークを嵩上げしない状態ではフォークの左右に厚さ調整材が張り出す格好となるため、移動中に物にぶつかったり、パレットの差込の邪魔になったりするおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、嵩上げ部材の上げ下ろしが小さい力でスムーズに行えて騒音の発生が抑えられ、而も不使用時にはフォークから張り出す部分が極力少なくなって使い勝手に優れる荷物搬送用昇降機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フォークに、フォークの外周を囲むフレーム状に形成され、フォークとの間に架設された複数のリンクにより、フォークより上方に位置する上昇位置と、フォークに外嵌する下降位置との間で昇降可能な嵩上げフレームを設ける一方、本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して動作し、嵩上げフレームの上昇に伴う移動を付勢する付勢手段と、嵩上げフレームの下降に伴う移動に制動を加える制動手段とを夫々設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、付勢手段と制動手段とを省スペースでコンパクトに配設するために、本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して回転する回転部材を設け、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、付勢手段及び制動手段をコンパクト且つ簡単に形成するために、回転部材を、嵩上げフレームとリンクアームを介して連結して、付勢手段を、回転部材の偏心位置と本体との間に架設され、嵩上げフレームの下降位置に対応する回転部材の回転位置で最大長さとなる引張スプリングとする一方、制動手段を、回転部材に設けられ、嵩上げフレームの上昇位置に対応する回転位置から下降側への回転部材の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパとしたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、効果的な制動手段を得るために、回転部材を、リンクアームと引張スプリングとが連結される第1回転盤と、その第1回転盤と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパが設けられる第2回転盤とから形成し、第1回転盤と第2回転盤との何れか一方に、回転中心と同心の長孔を、他方に、長孔に遊挿する係合ピンを夫々設けて、第1回転盤の回転に第2回転盤が遅れて追従するようにしたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、嵩上げフレームを容易に昇降操作可能とするために、本体に、嵩上げフレームと連結されて嵩上げフレームの昇降操作を可能とするレバーを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、嵩上げフレームの上げ下ろしが小さい力でスムーズに行え、騒音の発生も抑えられる。また、嵩上げフレームの不使用時にはフォークを囲むように収まるため、フォークによる搬送作業に支障を及ぼすこともない。従って、使い勝手に優れた嵩上げフレームの使用が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、回転部材を利用したことで、付勢手段と制動手段とを省スペースでコンパクトに配設可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、引張スプリングやロータリーダンパの採用により、付勢手段及び制動手段がコンパクト且つ簡単に形成可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、回転部材を第1、第2回転盤とに分けて長孔と係合ピンとで回転を追従させるようにしたことで、ロータリーダンパの制動トルクを得るタイミングを最適に設定でき、効果的な制動手段が得られる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、レバーの採用により、本体側で嵩上げフレームの上げ下ろしが容易に行え、嵩上げフレームの昇降に係る操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、荷物搬送用昇降機の一例であるハンドパレットトラックの説明図で、上が平面、下が側面を夫々示す。また、図2はハンドパレットトラックの斜視図(昇降装置等は省略)である。ハンドパレットトラック1は、本体2の前方(図1の左側)にハンドル4や油圧機構等からなる昇降装置3を備える一方、本体2の後方に、一対のフォーク5,5を突設してなり、ハンドル4の前後への起伏操作によって昇降装置3を作動させてフォーク5,5を上昇可能としている。また、ハンドル4の下端には前輪6が、フォーク5の先端には後輪7が夫々設けられている。
【0009】
8,8は、各フォーク5に設けられた嵩上げフレーム(以下単に「フレーム」という。)で、長尺の板材によってフォーク5の左右及び先端を囲むように形成され、各フレーム8の前端には、後面に緩衝ゴム10を取り付けた四角板状のストッパ9が垂直に連結されている。このフレーム8は、左右の板材部分と、対応するフォーク5の左右の側面との間で、前後方向へ所定間隔をおいて配置された横断面コ字状の複数のリンク11,11・・によって連結されて、リンク11が後方へ倒伏してフォーク5の側面に突設したストッパピン12,12・・がフレーム8の下端に当接する下降位置と、リンク11が前方側へ起立してフォーク5の上方で支持される上昇位置との間で回転可能となっている。下降位置では、フレーム8がフォーク5に外嵌してその上面がフォーク5の上面と略面一となる。
【0010】
また、本体2の左右の側面には、図3,4にも示すように、段付軸13が外方へ向けて突設され、この段付軸13に、フレーム8の昇降動作に連係して回転する回転部材として、第1回転盤14と、第2回転盤15とが夫々回転可能に組み付けられている。左右とも同じ構造であるため、以下左側を中心に説明する。
まず、第1回転盤14は、段付軸13の一段目に、平座金16及び止め輪17によって回転可能に組み付けられ、その回転中心から放射状に突出するアーム部18の外面には、先端側から、連結ピン19、バネ掛けピン20、係合ピンとなるボルト21が夫々突設されて、連結ピン19と、ストッパ9の前面で外向きに固着された連結ピン22との間に、リンクアーム23が架設されている。すなわち、フレーム8の昇降に伴いリンクアーム23を介して第1回転盤14が連係して回転するようにしたものである。
【0011】
次に、第2回転盤15は、前面側に制動手段となるロータリーダンパ24を固着して、段付軸13の二段目に、止め輪25によって回転可能に組み付けられている。このロータリーダンパ24は、内部に封入したオイルの粘性によって入力トルクに制動を掛ける周知の構成で、図4で見て右回転方向の入力トルクに対してのみ制動作用を発揮する一方向タイプとなっている。
また、第2回転盤15の外周際には、回転中心と同心となる円弧状の長孔26が穿設され、組み付け状態ではこの長孔26に第1回転盤14のボルト21が遊挿可能となっている。また、長孔26の外側には係止突起27が突設されている。
【0012】
28は、第2回転盤15の外方から本体2の側面に固着される筒状のガイドリングで、その周面に形成されたV溝29に沿って巻回された付勢手段となる引張スプリング30の一端が、第1回転盤14のバネ掛けピン20に、他端が、第1回転盤14の下方でフォーク5の側面に突設されたバネ掛けピン31に夫々掛止されている。また、ガイドリング28の上方で本体2側の端縁には、第1回転盤14のアーム部18と第2回転盤15の係止突起27とが貫通して外方へ突出する切欠32が形成されている。よって、第1回転盤14は、アーム部18が切欠32の周方向両端に当接する範囲で回転規制されると共に、引張スプリング30によって左回転方向へ回転付勢されることになる。また、第2回転盤15は、係止突起27が切欠32の周方向両端に当接する範囲で回転が規制されることになる。
【0013】
以上の如く構成されたハンドパレットトラック1においては、フレーム8の下降位置では、図1,2のようにストッパ9が後方寄りで下方に位置するため、リンクアーム23を介して第1回転盤14を引張スプリング30の引張付勢に抗して右回転(図1の側面図で見た方向で言う。以下回転方向については同じ)させ、アーム部18をガイドリング28の切欠32の右端に位置させる。よって、引張スプリング30は最大に伸張され、第1回転盤14に加わる回転付勢力は最大となる。この状態では前述のようにフレーム8の高さはフォーク5と同じとなるので、フォーク5の上面を利用してパレット等の搬送が可能となる。
そして、フォーク5の上限位置よりも高いパレット等を搬送する場合は、フレーム8の先端を手で持ち上げるように操作する。すると、各リンク11が起立してフレーム8を前方へ回転させながらフォーク5よりも上昇させる。このとき、フレーム8のストッパ9は、引張スプリング30に回転付勢されて左回転する第1回転盤14にリンクアーム23を介して連結されているので、持ち上げる際の力が引張スプリング30の回転付勢力によって補助され、小さい力で容易に上昇させることができる。
【0014】
このフレーム8の持ち上げに伴う第1回転盤14の左回転の際、ボルト21が第2回転盤15の長孔26の左端に当接すると、そのまま第2回転盤15も追従して一体に左回転する。そして、第2回転盤15の係止突起27が切欠32の左端に当接して回転が停止すると、第1回転盤14の回転も停止して、フレーム8は図5,6のように各リンク11がやや前方へ傾いた上昇位置で保持される。よって、フォーク5の上限位置よりも高いパレット等でもフレーム8を利用して搬送可能となる。
【0015】
一方、上昇位置からフレーム8を下降位置へ戻す場合は、フレーム8の先端を持って各リンク11を後方へ倒すようにすると、そのままフレーム8を後方へ回転するように下降させることができる。このとき、リンクアーム23を介して第1回転盤14も右回転するが、図6に二点鎖線で示すように、第1回転盤14のボルト21が第2回転盤15の長孔26の右端に当接すると、第2回転盤15も追従して右回転する。この第2回転盤15の右回転により、ロータリーダンパ24が制動トルクを発揮させるため、リンク11が直立位置を越えて後方へ傾倒しても、フレーム8が重みで一気に下降することがなく、ロータリーダンパ24の作用によって下降位置までゆっくりと下降し、図1の位置へ復帰することになる。これは動作の途中で手を離しても変わらない。
【0016】
このように、上記形態のハンドパレットトラック1によれば、フォーク5に、フォーク5の外周を囲むフレーム状に形成され、フォーク5との間に架設された複数のリンク11により、フォーク5より上方に位置する上昇位置と、フォーク5に外嵌する下降位置との間で昇降可能なフレーム8を設ける一方、本体2に、フレーム8の昇降と連係して動作し、フレーム8の上昇に伴う移動を付勢する付勢手段(引張スプリング30)と、フレーム8の下降に伴う移動に制動を加える制動手段(ロータリーダンパ24)とを設けたことで、フレーム8の上げ下ろしが小さい力でスムーズに行え、騒音の発生も抑えられる。また、フレーム8の不使用時にはフォーク5を囲むように収まるため、フォーク5による搬送作業に支障を及ぼすこともない。従って、使い勝手に優れたフレーム8の使用が可能となる。
特に、本体2に、フレーム8の昇降と連係して回転する回転部材(第1、第2回転盤14,15)を設けて、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことで、回転部材を利用して付勢手段と制動手段とが省スペースでコンパクトに配設可能となる。
【0017】
また、第1回転盤14を、フレーム8とリンクアーム23を介して連結して、付勢手段を、第1回転盤14の偏心位置と本体2との間に架設され、フレーム8の下降位置に対応する第1回転盤の回転位置で最大長さとなる引張スプリング30とする一方、制動手段を、第2回転盤15に設けられ、フレーム8の上昇位置に対応する回転位置から下降側への第2回転盤15の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパ24としたことで、付勢手段及び制動手段がコンパクト且つ簡単に形成可能となる。
さらに、回転部材を、リンクアーム23と引張スプリング30とが連結される第1回転盤14と、その第1回転盤14と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパ24が設けられる第2回転盤15とから形成し、第2回転盤15に、回転中心と同心の長孔26を、第1回転盤14に、長孔26に遊挿するボルト21を夫々設けて、第1回転盤14の回転に第2回転盤15が遅れて追従するようにしたことで、ロータリーダンパ24の制動トルクを得るタイミングを最適に設定でき、効果的な制動手段が得られる。
【0018】
なお、上記形態では、第1回転盤に係合ピンを、第2回転盤に長孔を設けているが、互いに逆側に設けてもよい。また、第1回転盤と第2回転盤との段付軸に対する取付位置も軸方向の前後で逆にすることが可能である。
さらに、引張スプリングも、ガイドリングに巻回させる配置形態に限らず、本体と第1回転盤との間で略直線状に架設したり、制動手段としてショックアブソーバーや引張スプリングを使用したり等の変更も可能である。
加えて、上記形態では、回転部材を2つの第1、第2回転盤で形成しているが、単一の回転盤(回転部材)にして付勢手段と制動手段とを併設することもできる。
【0019】
一方、上記形態では、フレーム8の上げ下ろしを直接先端を持って行うようにしているが、図7に示すように、本体2の側面にレバー33を回転可能に軸着し、そのレバー33の中間位置と、リンクアーム23を連結するストッパ9の連結ピン22との間に連結リンク34を架設して、レバー33の前方への倒伏操作により、図8,9に示すようにフレーム8の上昇位置への引き上げを可能としてもよい。下降位置への移動の場合はレバー33を後方へ倒伏操作することになる。
このように、本体2に、フレーム8と連結されてフレーム8の昇降操作を可能とするレバー33を設ければ、本体2側でフレーム8の上げ下ろしが容易に行え、フレーム8の昇降に係る操作性が向上する。
【0020】
また、回転部材を利用する形態に限らず、図10,11に示すように、本体2の側面に、支点軸36を中心にして上下に揺動可能な支持板35を取り付け、その支持板35に、後端がストッパ9の連結ピン22と連結され、フレーム8の昇降に応じて軸方向へスライドするロッド37と、プランジャ39を前方側に突出させたショックアブソーバー38とを平行に設けて、ロッド37の中間に設けた大径のスリーブ40と、ロッド37を保持する前後の折曲片41,42のうちの後方側の折曲片42との間に、コイルバネ43を介在させる構成も考えられる。なお、ロッド37の前端には、フレーム8の下降の途中でショックアブソーバー38のプランジャ39に当接する当接棒44が連結されている。
【0021】
この変更例の場合、図10(A)の上昇位置からフレーム8を下降させると、同図(B)のように下降途中の中間位置でロッド37の当接棒44がショックアブソーバー38のプランジャ39に当接するため、ここから制動力が発揮され、フレーム8が重みで一気に下降することがなく、同図(C)の下降位置までゆっくりと下降する。また、ここでは中間位置からはスリーブ40がコイルバネ43に当接して圧縮するため、コイルバネ43の弾性による制動力も加わることになる。
そして、同図(C)の下降位置からフレーム8を上昇させる際には、同図(B)の中間位置までの間でコイルバネ43の付勢力が働くため、持ち上げる際の力が補助され、小さい力で容易に上昇させることができる。
なお、この変更例の場合も、スリーブの前方側に引張スプリングを設けたり、ショックアブソーバーに代えてコイルバネを用いたり等の変更は可能である。
【0022】
その他、フレームも、フォークの形態に合わせて適宜変更可能で、リンクの数や配置位置も上記形態に限定されない。例えば上記形態ではリンクが後方へ倒伏してフレームが下降位置、前方へ起立して上昇位置となるようにしているが、これと逆に、リンクが前方へ倒伏してフレームが下降位置、後方へ起立して上昇位置となるようにしてもよい。この場合は付勢手段や制動手段の作用方向は上記形態と逆になる。さらには手動による昇降に限らず、モータを利用して、押しボタンスイッチの操作によってフレームを昇降させる電動機構の採用も可能である。
また、ストッパをなくしてフレームをリンクアームで直接連結するようにしたり、引張スプリングの配置形態によってはガイドリングをなくし、回転盤の回転規制を本体の側面に突設したストッパ板で行うようにしたり等の設計変更も考えられる。さらに、一対のフォークの場合はフレーム同士を連結して同調して昇降させることもできる。この場合は左右一方側にのみ回転部材を設けても差し支えない。
そして、ハンドパレットトラックとしては、フォークが単一のタイプであってもよいし、勿論ハンドパレットトラックに限らず、ローリフトトラック等の他の荷物搬送用昇降機でも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ハンドパレットトラックの説明図で、上が平面、下が側面を夫々示す(フレームは下降位置)。
【図2】ハンドパレットトラックの前方からの斜視図(昇降装置等は省略、フレームは下降位置)である。
【図3】ハンドパレットトラックの後方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図4】A部拡大図である。
【図5】ハンドパレットトラックの前方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図6】ハンドパレットトラックの側面図である(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図7】変更例のハンドパレットトラックの前方からの斜視図である(昇降装置等は省略、フレームは下降位置)。
【図8】変更例のハンドパレットトラックの説明図で、上が後方からの斜視図、下が側面を夫々示す(昇降装置等は省略、フレームは上昇途中)。
【図9】変更例のハンドパレットトラックの説明図で、上が後方からの斜視図、下が側面を夫々示す(昇降装置等は省略、フレームは上昇位置)。
【図10】変更例のハンドパレットトラックの側面図で、(A)がフレームの上昇位置、(B)が中間位置、(C)が下降位置を夫々示す。
【図11】制動手段及び付勢手段の変更例の説明図で、上が平面、下が正面、右が側面を夫々示す。
【符号の説明】
【0024】
1・・ハンドパレットトラック、2・・本体、3・・昇降装置、4・・ハンドル、5・・フォーク、8・・嵩上げフレーム、9・・ストッパ、11・・リンク、13・・段付軸、14・・第1回転盤、15・・第2回転盤、18・・アーム部、23・・リンクアーム、24・・ロータリーダンパ、26・・長孔、27・・係止突起、28・・ガイドリング、30・・引張スプリング、35・・支持板、37・・ロッド、38・・ショックアブソーバー、43・・コイルバネ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置を備えた本体の後方に、前記昇降装置によって昇降動作するフォークを突設した荷物搬送用昇降機であって、
前記フォークに、前記フォークの外周を囲むフレーム状に形成され、前記フォークとの間に架設された複数のリンクにより、前記フォークより上方に位置する上昇位置と、前記フォークに外嵌する下降位置との間で昇降可能な嵩上げフレームを設ける一方、
前記本体に、前記嵩上げフレームの昇降と連係して動作し、前記嵩上げフレームの上昇に伴う移動を付勢する付勢手段と、前記嵩上げフレームの下降に伴う移動に制動を加える制動手段とを夫々設けたことを特徴とする荷物搬送用昇降機。
【請求項2】
本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して回転する回転部材を設け、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項3】
回転部材を、嵩上げフレームとリンクアームを介して連結して、付勢手段を、前記回転部材の偏心位置と本体との間に架設され、前記嵩上げフレームの下降位置に対応する前記回転部材の回転位置で最大長さとなる引張スプリングとする一方、制動手段を、前記回転部材に設けられ、前記嵩上げフレームの上昇位置に対応する回転位置から下降側への前記回転部材の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパとしたことを特徴とする請求項2に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項4】
回転部材を、リンクアームと引張スプリングとが連結される第1回転盤と、その第1回転盤と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパが設けられる第2回転盤とから形成し、前記第1回転盤と第2回転盤との何れか一方に、回転中心と同心の長孔を、他方に、前記長孔に遊挿する係合ピンを夫々設けて、前記第1回転盤の回転に前記第2回転盤が遅れて追従するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項5】
本体に、嵩上げフレームと連結されて前記嵩上げフレームの昇降操作を可能とするレバーを設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項1】
昇降装置を備えた本体の後方に、前記昇降装置によって昇降動作するフォークを突設した荷物搬送用昇降機であって、
前記フォークに、前記フォークの外周を囲むフレーム状に形成され、前記フォークとの間に架設された複数のリンクにより、前記フォークより上方に位置する上昇位置と、前記フォークに外嵌する下降位置との間で昇降可能な嵩上げフレームを設ける一方、
前記本体に、前記嵩上げフレームの昇降と連係して動作し、前記嵩上げフレームの上昇に伴う移動を付勢する付勢手段と、前記嵩上げフレームの下降に伴う移動に制動を加える制動手段とを夫々設けたことを特徴とする荷物搬送用昇降機。
【請求項2】
本体に、嵩上げフレームの昇降と連係して回転する回転部材を設け、その回転部材に付勢手段と制動手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項3】
回転部材を、嵩上げフレームとリンクアームを介して連結して、付勢手段を、前記回転部材の偏心位置と本体との間に架設され、前記嵩上げフレームの下降位置に対応する前記回転部材の回転位置で最大長さとなる引張スプリングとする一方、制動手段を、前記回転部材に設けられ、前記嵩上げフレームの上昇位置に対応する回転位置から下降側への前記回転部材の回転に伴って制動トルクを発揮させるロータリーダンパとしたことを特徴とする請求項2に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項4】
回転部材を、リンクアームと引張スプリングとが連結される第1回転盤と、その第1回転盤と同軸で別体に回転可能で、ロータリーダンパが設けられる第2回転盤とから形成し、前記第1回転盤と第2回転盤との何れか一方に、回転中心と同心の長孔を、他方に、前記長孔に遊挿する係合ピンを夫々設けて、前記第1回転盤の回転に前記第2回転盤が遅れて追従するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の荷物搬送用昇降機。
【請求項5】
本体に、嵩上げフレームと連結されて前記嵩上げフレームの昇降操作を可能とするレバーを設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の荷物搬送用昇降機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−40595(P2009−40595A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209912(P2007−209912)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)
【Fターム(参考)】
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