説明

葉酸を含有する製薬学的組成物並びに関連する方法及び送達系

【課題】葉酸により処置できる疾患に悩むかまたは悩むようになる危険が高い被験体に葉酸を送達するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】葉酸は、葉酸により処置できる疾患と異なる疾患を処置するかまたは予防することを意図する長期間持続的に投与される製薬学的組成物中に含まれることを特徴とし、具体的には、ホルモン補充組成物と葉酸を有効成分として含んでなる性腺機能不全症の予防または治療用製薬学的組成物、あるいは疾患が心臓血管疾患である製薬学的組成物に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉酸により処置できる疾患に悩むかまたは悩むようになる危険が高い被験体に葉酸を送達するための組成物及び方法に関する。葉酸は、葉酸により処置できる疾患と異なる疾患を処置するかまたは予防することを意図する長期間持続的に投与される製薬学的組成物中に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的な葉酸
葉酸はビタミンである。それはDNA合成及び血液新生(この役割の詳細ははっきりしないままであるが)において重要な役割を果たす。葉酸は、例えば、(プリン及びピリミジン代謝のために必要とされるもののような)単一炭素転移及びホモシステインのメチオニンへの再メチル化に関与する。
【0003】
葉酸は、未精白穀類、キノコ、野菜、赤肉、魚及びマメのような食物源から主としてポリグルタメートとして利用できる。しかしながら、モノグルタメート(プテログルタミン酸)の形態で補充が与えられる。葉酸は主として近位小腸において吸収され、高度にタンパク質が結合し(protein−bound)、肝臓中に貯蔵される。過剰のものが与えられないかぎり、通常の状況下で尿中に変化していない葉酸はほとんど出ない。
【0004】
葉酸の最小必要量は50μg/日の範囲であり、妊娠及び/または授乳期間中3〜6倍に増える。妊娠している女性に対して米国が推奨する毎日の許容量は400μg/日であり、平均の薬理学的補充投与量は1〜5mg/日の間である。大部分の出生前ビタミンは1mgの葉酸を含有する。
【0005】
葉酸の全身貯蔵は約5mgである。葉酸欠乏患者を処置する場合、欠乏の反転は迅速に始まり(4日以内の網状赤血球増加)、2カ月以内に解消する。葉酸を50μg/日のみの割合で投与する場合、食物または他の摂取がないと仮定すれば、葉酸欠損症の徴候は約3カ月の遅滞期間後に現れる。妊娠または授乳期間のような、増加した体の葉酸要求の場合、この期間は2〜4週に短縮される。幸いにも、そのような増加した葉酸を必要とするほかの点では健康な若い女性における葉酸補充は、一般に認められている慣例である。
【0006】
葉酸は、適当な薬理学的投与量で投与した場合に不都合な作用を引き起こすこが報告されていない。葉酸に対して唯一報告された不都合な反応は、長い高用量投与の場合における減少したレベルの血漿亜鉛である。
【0007】
経口避妊薬及び葉酸
妊娠している女性において、低い葉酸レベルの修正は少なくとも2カ月かかり、貯蔵は数週ほどしかもつことができない。公衆衛生総局勧告によると、妊娠する可能性がある全ての女性は、先天性欠損症の危険を減らすために400μg/日の葉酸をとるべきである(非特許文献1参照)。経口避妊薬の使用を中断する直前または陽性の妊娠試験結果の直後の補充は、発生中の胎児を最適に保護するためには不十分である可能性がある。
【0008】
さらに、経口避妊薬を飲んでいる女性の複数の研究は、陰性コントロールに対して減少した葉酸レベルを示す。この現象に対して報告された仮定の機構は、ポリグルタメートの減少した吸収、葉酸の増加した排出、葉酸結合タンパク質の増加した生産及び葉酸依存的肝臓ミクロソーム酵素の誘導を含む。
【0009】
経口避妊薬使用者間の葉酸レベルの減少は、使用の中断後3〜6カ月以内に妊娠するような使用者にさらなる危険を有する。
【0010】
疾患及び葉酸
多数の疾患が葉酸の不十分な摂取に起因する可能性がある。子宮頸部形成異常の危険因子(例えばHPV感染)の高められた作用は、減少した葉酸レベルに関連している。赤血球葉酸濃度により測定されるような、葉酸の次善の身体貯蔵は、癌生成の危険を増大する可能性がある。例えば、子宮頸部組織において局所的に減少した葉酸貯蔵は、経口避妊薬の使用の結果である可能性があり、形成異常プロセスを招く。最後に、妊娠初期の減少した葉酸レベルは、増加した先天性欠損症、主に神経管欠損症(「NTD’s」)と関係する。実際、葉酸を含有するビタミン剤の無作為に選んだコントロール試験は、二分脊椎及び無脳症の発生の劇的な減少を示している。
【0011】
葉酸を投与することは、心臓血管疾患及び子宮頸部形成異常のような疾患の発症を減らすことができる。例えば、大部分の臨床試験は、高い葉酸投与量(10mg/日まで)が子宮頸部形成異常に対して治療的ではないが予防的効果を有することを示す(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4参照)。
【0012】
ある種の心臓血管疾患に関しては、多数の研究からの結果が、葉酸(1−5mg/日)の投与量がそのような疾患を引き起こす可能性があるホモシステインの高められたレベルを下げることを示す(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7参照)による単一の研究は、低投与量の葉酸補充(200μg/日)が中程度の高ホモシステイン血症(>40μmol/L)にかかっている患者の高められた血漿ホモシステインレベルを下げることを示した。この減少は、高ホモシステイン血症の初期原因、すなわち、遺伝子突然変異、食物欠損及び併発疾患によりある程度影響される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】MMWR Morb Mortal Wkly Rep 1992;41(RR−14):1−7
【非特許文献2】Butterworth,C.E.,et al.,JAMA(1992)267(4):528−533
【非特許文献3】Butterworth C.E.,et al.,Am J Obstet Gynecol(1992)166:803−809
【非特許文献4】Potischman,N.及びBrinton,L.A.,Cancer Causes and Control(1996)7:113−126)
【非特許文献5】Boushey,C.J.et al.,JAMA(1995)274:1049−1057)
【非特許文献6】Landgren,F.,et al.,J Intern Med(1995)237:381−388)
【非特許文献7】Guttormsen(Guttormsen,A.B.,et al.,J Clin Invest(1996)98:2174−2183)
【発明の概要】
【0014】
本発明は、(a)被験体における妊娠を防ぐための経口避妊薬及び(b)(i)経口避妊薬が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、(a)被験体における閉経期疾患を処置するかまたは予防するためのホ
ルモン補充組成物及び(b)(i)ホルモン補充組成物が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物も提供する。
【0016】
本発明はさらに、(a)被験体における性腺機能不全症(hypogonadal condition)を処置するかまたは予防するためのホルモン補充組成物及び(b)(i)ホルモン補充組成物が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0017】
本発明はさらに、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、妊娠を防ぐために経口避妊薬が指示されている被験体に葉酸を投与する方法を提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0018】
本発明はさらに、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、閉経期疾患を処置するかまたは予防するためにホルモン補充組成物が指示されている被験体に葉酸を投与する方法を提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0019】
本発明はさらに、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、性腺機能不全疾患を処置するかまたは予防するためにホルモン補充組成物が指示されている被験体に葉酸を投与する方法を提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0020】
最後に、本発明は、継続的な毎日の投与のために適合した、複数の投薬単位を含有する製薬学的包装品を含んでなる薬剤送達系を提供し、ここで、各投薬単位は少なくとも1つの本発明の製薬学的組成物を含んでなる。
【0021】
<発明の詳細な記述>
定義
本発明では、以下のように記述した意味を有するある一定の用語を使用する。
【0022】
「アンドロゲン関連化合物(「ARC」)」は、終末器アンドロゲン作用を示す化合物を意味する。ARCを以下の実施例において例示する。
【0023】
「長期間持続する投与」は、少なくとも単一の期間(例えば3週)にわたる規則的間隔(例えば毎日の経口投薬)または連続的(例えば数日間の経皮送達)のいずれかで起こる投与を意味する。長期間持続する投与は場合により複数の期間にわたって起こってもよい。
【0024】
「エストロゲン関連化合物(「ERC」)」は、終末器エストロゲン作用を示す化合物を意味する。ERCを以下の実施例において例示する。
【0025】
「葉酸」は、以下の構造:
【0026】
【化1】

【0027】
ここで、R及びR’は両方ともHである、
を有する化合物並びにそれらの製薬学的に許容しうる塩及び誘導体を意味する。製薬学的に許容しうる塩は当該技術分野において周知であり、限定せずに、Na、K、Mg++及び各種アミンを含む(Int’l.J.Pharm.(1986)33:201−217)。また、製薬学的に許容しうる誘導体も当該技術分野において周知であり、限定せずに、エステルを含む。そのような誘導体を以下に例示する。
【0028】
「閉経期疾患」は、閉経周辺期疾患または閉経後疾患のいずれかである疾患を意味する。
【0029】
「閉経期の女性」は、閉経期またはその発生が通常起こる年齢の女性を意味する。
【0030】
「閉経周辺期疾患」は、(i)閉経期の発生中または閉経期の発生が通常起こる時期でその前のいずれかに起こり、そして(ii)閉経期の発生により引き起こされるかまたはランダムより大きいそれとの同時発生がある疾患を意味する。閉経周辺期疾患は、例えば、体熱感及び骨量減少を含む。
【0031】
「閉経後疾患」は、(i)閉経期の発生後に起こり、そして(ii)閉経期により引き起こされるかまたはランダムより大きいそれとの同時発生がある疾患を意味する。閉経後疾患は、例えば、血管運動症状、骨欠乏症、骨粗鬆症、心臓血管疾患及び認識機能障害を含む。
【0032】
「プロゲスチン関連化合物(「PRC」)」は、終末器プロゲスチン作用を示す化合物を意味する。PRCを以下の実施例において例示する。
【0033】
「被験体」は、霊長類、マウス、ラット、モルモットまたはウサギのようなあらゆる動物を意味する。好ましい態様として、被験体がヒトである。
【0034】
本発明の態様
本発明は、(a)被験体における妊娠を防ぐための経口避妊薬及び(b)(i)経口避妊薬が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0035】
本発明はまた、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、妊娠を防ぐために経口避妊薬が指示されている被験体に葉酸を投与する方法も提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0036】
経口避妊薬は広く市販されており、その分類は、限定せずに、プロゲスチンのみ、固定
投与量及び段階的(phasics)を含む。経口避妊薬は慣例的に1つまたはそれ以上のエストロゲン関連化合物及びプロゲスチン関連化合物を含有する。そのような避妊薬は本発明において好ましく、IPPF Directory of Hormonal Contraceptivesにそれらのそれぞれのホルモン成分と一緒に詳細に記載されている。実例のために、選択した経口避妊薬及びそれらのそれぞれのホルモン成分を以下の実施例において挙げる。
【0037】
この態様において、疾患は、妊娠している女性が通常より高い発生率で悩むか、または悩むようになる素因がある葉酸により処置できるあらゆる疾患であってもよい。好ましい態様として、疾患が催奇形疾患、子宮頸部形成異常、子宮頸癌及び心臓血管疾患よりなる群から選択される。
【0038】
本発明はまた、(a)被験体における閉経期疾患を処置するかまたは予防するためのホルモン補充組成物及び(b)(i)ホルモン補充組成物が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物も提供する。
【0039】
本発明はさらに、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、閉経期疾患を処置するかまたは予防するためにホルモン補充組成物が指示されている被験体に葉酸を投与する方法を提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0040】
閉経期疾患は、閉経周辺期疾患あるいはまた閉経後疾患であってもよい。ホルモン補充組成物は広く市販されており、慣例的にエストロゲン関連化合物、プロゲスチン関連化合物、アンドロゲン関連化合物等を含有する。そのような組成物は本発明において好ましく、Sturdee,D.W.,et al.(Br J Obstet Gynecol(1997)104:109−115)にそれらのそれぞれのホルモン成分と一緒に詳細に記載されている。例として、選択したホルモン補充組成物及びそれらのそれぞれのホルモン成分を以下の実施例において挙げる。
【0041】
この態様において、疾患は、閉経期の女性が通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因がある葉酸により処置できるあらゆる疾患であってもよい。好ましい態様として、疾患が子宮頸部形成異常、子宮頸癌及び心臓血管疾患よりなる群から選択される。
【0042】
本発明はまた、(a)被験体における性腺機能不全疾患を処置するかまたは予防するためのホルモン補充組成物及び(b)(i)ホルモン補充組成物が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物も提供する。
【0043】
本発明はさらに、本発明の製薬学的組成物を被験体に投与することを含んでなる、性腺機能不全疾患を処置するかまたは予防するためにホルモン補充組成物が指示されている被験体に葉酸を投与する方法を提供し、ここで、該被験体は、葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患に通常より高い発生率で悩むかまたは悩むようになる素因があるメンパーの集団出身である。
【0044】
性腺機能不全疾患のためのホルモン補充組成物は慣例的に(男性被験体には)アンドロゲン関連化合物並びに(女性被験体には)エストロゲン−及びプロゲスチン−関連化合物
を含有する。性腺機能不全疾患は、例として、(減少したリビドーを伴うまたは伴わない)閉経期、クラインフェルター症候群及び睾丸切除術後の状態を含む。被験体が女性である場合、疾患を例えば催奇形疾患、子宮頸部形成異常、子宮頸癌及び心臓血管疾患よりなる群から選択することができる。被験体が男性である場合、疾患は例えば心臓血管疾患であってもよい。
【0045】
本発明では、当業者に既知の様々な方法及び送達系のいずれかを用いて本発明の製薬学的組成物の投与をもたらすかまたは行うことができる。例えば、静脈内に、経口的に、移植により、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、そして皮下に投与を行うことができる。さらに、本発明の製薬学的組成物は、理想的には、1つまたはそれ以上の慣例的に使用される製薬学的に許容しうる担体を含有する。そのような担体は当業者に周知である。多数の慣例的に使用される担体を用いる以下の送達系は、本発明の組成物を投与するために予見される多数の態様の代表にすぎない。
【0046】
経皮送達系は、パッチ、ゲル、テープ及びクリームを含み、可溶化剤、透過エンハンサー(permeation enhancers)(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール及びアミノ酸)、親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィル及びポリビニルピロリドン)並びに接着剤及び接着付与剤(例えば、ポリイソブチレン、シリコーンに基づく接着剤、アクリル酸エステル及びポリブテン)のような賦形剤を含有することができる。
【0047】
インビボで加水分解される以下のエステル形態を用いることにより、葉酸の経皮投与を容易にすることができる:
【0048】
【化2】

【0049】
このエステルは、(RまたはR’のいずれか=Hの)モノ−エステルまたは(RまたはR’のいずれもHでない)ジ−エステルであってもよい。例として、R及びR’を以下の群:1〜8個の炭素からの低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチル);1〜8個の炭素からの分枝鎖状の低級アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル及びsec−ブチル);3〜7個の炭素を有するシクロアルキル(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル);アリール(例えばフェニル並びに低級アルキル及びハロアルコキシルから選択される1〜2個の置換基を有する置換されたフェニル);並びにアルキルが1〜8個の炭素の直鎖または分枝鎖であり、そしてアリールがフェニルまたは置換されたフェニルであるアリールアルキルから独立して選択することができる。
【0050】
また、経皮葉酸投与のためにグリコールアミドエステル(モノ−及びジ−の両方)を用いることもできる。この型のエステルはプロドラッグとして有用であることが知られており、インビボで迅速に開裂される(J.Med.Chem.(1989)32(3):727−34)。グリコールアミドエステルにおいて、RまたはR’の少なくとも1つは構造:
【0051】
【化3】

【0052】
ここで、(i)各R”は独立して低級アルキル(1〜5個の炭素から)であるか、あるいはまた(ii)両方のR”基は4〜6個の炭素を有するN含有の5〜7員環を形成する、を有する。
【0053】
経皮送達系は、パッチ、錠剤、座薬、ペッサリー、ゲル及びクリームを含み、可溶化剤及びエンハンサー(例えば、プロピレングリコール、胆汁塩及びアミノ酸)並びに他のビヒクル(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル及び誘導体、並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒアルロン酸のような親水性ポリマー)のような賦形剤を含有することができる。
【0054】
注入可能な薬剤送達系は、溶液、懸濁液、ゲル、微小球及びポリマーの注入可能医薬品を含み、可溶性を改変する薬剤(例えば、エタノール、プロピレングリコール及びショ糖)及びポリマー(例えば、ポリカプリラクトン(polycaprylactone)及びPLGA)のような賦形剤を含んでなることができる。移植可能な系は杆状体及び円板を含み、PLGA及びポリカプリラクトンのような賦形剤を含有することができる。
【0055】
経口送達系は錠剤及びカプセル剤を含む。これらは結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のセルロース系材料及び澱粉)、希釈剤(例えば、ラクトース及び他の糖、澱粉、リン酸二カルシウム並びにセルロース系材料)、崩壊剤(例えば、澱粉ポリマー及びセルロース系材料)及び滑剤(例えば、ステアリン酸塩及びタルク)のような賦形剤を含有することができる。
【0056】
再構成できる送達系のための溶液、懸濁剤及び散剤は、沈殿防止剤(例えば、ガム、ザンタン(zanthans)、セルロース系材料及び糖)、保湿剤(例えば、ソルビトール)、可溶化剤(例えば、エタノール、水、PEG及びプロピレングリコール)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、スパン(Span)、ツイーン(Tween)及びセチルピリジン)、防腐剤及び酸化防止剤(例えば、パラベン、ビタミンE及びC並びにアスコルビン酸)、凝結防止剤、被覆剤並びにキレート化剤のようなビヒクルを含む。
【0057】
ヒトにおいて本発明の製薬学的組成物を投与するために治療的に有効な用量を決定する方法は当該技術分野において知られている。例えば、動物研究の結果から数学的にこれらの有効用量を容易に決定することができる。
【0058】
本発明の一つの態様として、本発明に従って被験体に投与する葉酸の日用量は、約25μg〜約1gである。適応特異的投薬量を容易に決定できる際に、毎日の葉酸用量の当該技術分野における現在の推奨基準は、例えば:50μg/日(最小有効用量、一般集団);200μg/日(推奨される毎日の許容量、一般集団);400μg/日(生殖年齢の女性);800μg/日(妊娠している女性);500μg/日(授乳中の女性);4mg/日(NTDにかかっている胎児を以前に出産した女性);1〜5mg/日(高められたホモシステインレベルの減少);及び200μg/日(中程度の高ホモシステイン血症患者における高められた血漿ホモシステインレベルの減少)を含む。
【0059】
本発明の製薬学的組成物を毎日の(または他の定期的)用量が適切な逐次投与のために配置される製薬学的キットまたは包装品の形態に包装することができる。従って、本発明はさらに、継続的な毎日の投与のために適合した、複数の投薬単位を含有する製薬学的包装品を含んでなる薬剤送達系を提供し、ここで、各投薬単位は少なくとも1つの本発明の製薬学的組成物を含んでなる。
【0060】
本発明の製薬学的組成物の様々な態様のいずれかの投与を容易にするためにこの薬剤送達系を用いることができる。一つの態様として、この系は(経口避妊薬技術において一般に実施されるような)経口投与により毎日飲まれる複数の投薬量を含有する。別の態様として、この系は、(ホルモン補充技術において一般に実施されるような)経皮投与により毎週投与される複数の投薬量を含有し、そうして継続的な葉酸送達を与える。
【0061】
さらなる便宜上、本発明の系はさらに、葉酸を含有するが他の有効成分を含有しないさらなる投薬単位を含んでなることができる。そのような送達系は、経口避妊薬の技術における通常の慣例と一致する全部で28個の経口投薬単位を提供することができる。より具体的には、経口避妊薬送達系は、各々葉酸及び経口避妊薬を含んでなる21個の毎日の投薬単位、並びに葉酸及び適当な担体のみを含んでなる7個のさらなる投薬単位を提供することができる。この型の系は、経口避妊薬で広く用いられる毎日の中断されない投与の有益な実践と一致する。
【0062】
本発明は、以下の実施例を参照することによりいっそうよく理解されるが、当業者は、詳述した情報がその後に続く請求項においてより完全に記述されるような本発明の具体例にすぎないことを容易に理解するであろう。
【0063】
実施例1
エストロゲン関連化合物
17−β−エストラジオール
(硫酸エストロン、エキリン及び17−α−ジヒドロエキリンを包含する)抱合卵胞ホルモン
エストロゲンエステル
エストラジオール
吉草酸エストラジオール
エストリオール
エストロン
硫酸エストロン
エストロピペート(Estropipate)
エチニルエストラジオ−ル
メストラノール
【0064】
実施例2
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
ドロロキシフェン
イドキシフェン
レボルメロキシフェン
ラロキシフェン
【0065】
実施例3
プロゲスチン関連化合物
世界中で利用可能
17−デアセチルノルゲスチメート
デソゲストレル
二酢酸エチノジオール
レボノルゲストレル
酢酸メドロキシプロゲステロン
ノルエチンドロン
酢酸ノルエチンドロン
ノルゲスチメート
ノルゲストレル
プロゲステロン

米国以外で利用可能
3−ケトデソゲストレル
酢酸クロルマジノン
酢酸シプロテロン
ジエノゲスト
ジドロゲステロン
ゲストデン
リネストレノール
メゲストロール
ノルエチステロン
酢酸ノルエチステロン
ノルゲストリエノン
酢酸キンゲスタノール
【0066】
実施例4
アンドロゲン関連化合物
フルオキシメステロン
メチルテストステロン
テストステロン
エナント酸テストステロン
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
【表5】

【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
【表9】

【0076】
【表10】

【0077】
実施例13
葉酸含有経口避妊薬の配合
(35μgを送達するための)エチニルエストラジオール
(1.0mgを送達するための)ノルエチンドロン
(400μgを送達するための)葉酸
ラクトース、NF
前糊化(pregelatinized)澱粉、NF
ステアリン酸マグネシウム、NF
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、葉酸を含有する製薬学的組成物を提供できるので、例えば、医薬製造業で利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被験体における性腺機能不全症を処置するかまたは予防するためのホルモン補充組成物及び(b)(i)ホルモン補充組成物が指示されている被験体を通常より高い発生率で悩まし、そして(ii)葉酸投与により処置できるかまたは予防できる疾患を処置するかまたは予防するために十分な量の葉酸を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項2】
被験体が女性であり、そして疾患が催奇形疾患、子宮頸部形成異常、子宮頸癌及び心臓血管疾患よりなる群から選択される請求項1記載の製薬学的組成物。
【請求項3】
被験体が男性であり、そして疾患が心臓血管疾患である請求項1記載の製薬学的組成物。

【公開番号】特開2009−298797(P2009−298797A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185999(P2009−185999)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【分割の表示】特願2000−544315(P2000−544315)の分割
【原出願日】平成11年4月16日(1999.4.16)
【出願人】(598093026)オーソ−マクニール・フアーマシユーチカル・インコーポレーテツド (25)
【出願人】(500477274)ザ・ガバメント・オブ・ザ・ユナイテツド・ステイツ・オブ・アメリカ,リプレゼンテツド・バイ・ザ・セクレタリー,デパートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒユーマン・サービシズ (2)
【Fターム(参考)】