説明

著作権管理システム

【課題】 著作権者の予期せぬ不利益を排除しつつコンテンツの二次利用を促進することを可能とする著作権管理システムを提供する。
【解決手段】 著作権管理システム14は、鍵管理サーバ14とクライアント端末12とを備えている。鍵管理サーバ14の権利継承論理演算モジュール72は、クライアント端末12から送信された二次コンテンツの権利継承条件とライセンス情報検索モジュール52によってライセンス情報データベース54から読み出された権利継承条件とを比較し、二次コンテンツ登録要求に含まれる当該二次コンテンツの権利継承条件がライセンス情報データベース54から読み出された当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断された場合は、当該二次コンテンツのリソースIDなどがライセンス情報データベース54に登録され、第三者から当該二次コンテンツへのアクセス可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、著作権管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上で流通するコンテンツの著作権を管理するための著作権管理システムは、従来から知られている。しかしながら、従来から知られている一般的な著作権管理システムは、コンテンツの不正利用のみならず正当な二次利用をも禁止してしまう。その結果、コンテンツの再利用、再利用されたコンテンツの流通を著しく阻害してきた。
【0003】
これに対して、特許文献1には、原著作者には原著作物(素材コンテンツ)の著作権に対する対価と二次利用料が分配され、二次著作物(二次コンテンツ)の著作者には二次著作物の著作権に対する対価が分配されるように課金処理を行うコンテンツ管理システムが開示されている。このようなコンテンツ管理システムを用いれば、コンテンツの著作権を保護しつつ、コンテンツの二次利用を促進することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2003/067486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術にかかるコンテンツ管理システムには、素材コンテンツ(二次利用される二次コンテンツなども含む)の著作権者が当該コンテンツの二次利用者(二次コンテンツの二次利用者なども含む)や二次利用方法(二次コンテンツの二次利用方法なども含む)などを何らかの理由で限定したい場合であっても、限定することができず、素材コンテンツの二次利用が無制限に促進されてしまうという問題点があった。
【0006】
より具体的には、上記従来の技術にかかるコンテンツ管理システムは、(1)素材コンテンツの著作権者が素材コンテンツの改変を許諾していないにもかかわらず、二次利用者が勝手に素材コンテンツの改変を許諾する形で二次コンテンツを頒布してしまう、(2)素材コンテンツの著作権者が素材コンテンツの単価の下限を定めたにもかかわらず、二次利用者が勝手にそれを下回る単価を定めて二次コンテンツを頒布してしまう、(3)素材コンテンツの著作権者が素材コンテンツの頒布先をアマチュアに限定しているにもかかわらず、二次利用者が勝手にプロのエディタに素材コンテンツを売ってしまう、などの不都合を解消することができない。その結果、素材コンテンツ(二次利用される二次コンテンツなども含む)の著作権者に予期せぬ不利益を与えてしまうことがある。なお、このように、原著作権者が継承させたいと望んでいる権利が二次著作物に継承されない現象を、権利継承齟齬の矛盾という。
【0007】
そこで本発明は、素材コンテンツの著作権者が当該コンテンツの二次利用者や二次利用方法などを限定することを可能とし、その結果、著作権者の予期せぬ不利益を排除しつつコンテンツの二次利用を促進することを可能とする著作権管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の著作権管理システムは、クライアント端末と鍵管理サーバとを備えた著作権管理システムであって、上記クライアント端末は、コンテンツサーバから受信した、暗号化されたコンテンツを格納する格納手段と、上記格納手段に格納されている上記暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵の送信要求であって、上記コンテンツを利用するための利用許諾条件を含むものを、上記鍵管理サーバに対して送信する復号鍵要求手段と、上記格納手段から上記暗号化されたコンテンツを読み出し、読み出した上記暗号化されたコンテンツを上記鍵管理サーバから送信された上記復号鍵を用いて復号し、復号されたコンテンツを作業メモリに展開するコンテンツ復号手段と、上記コンテンツ復号手段によって上記復号されたコンテンツが作業メモリに展開されると、上記鍵管理サーバから上記復号鍵と共に送信される再暗号鍵を用いて上記コンテンツを暗号化し、暗号化されたコンテンツを上記格納手段に格納するコンテンツ暗号化手段と、上記コンテンツ復号手段によって復号されて作業メモリに展開されたコンテンツを用いて二次コンテンツを生成するコンテンツ生成手段と、上記コンテンツ生成手段によって生成された上記二次コンテンツの生成に用いられた上記コンテンツの識別情報と、ユーザによって入力された上記二次コンテンツを利用させるための権利継承条件とを含む二次コンテンツ登録要求を、上記鍵管理サーバに送信する二次コンテンツ登録要求手段とを備え、上記鍵管理サーバは、コンテンツを利用するための利用許諾条件と当該コンテンツを用いて生成された二次コンテンツを利用させるための権利継承条件とを格納するライセンス情報格納手段と、コンテンツを復号化する復号鍵とコンテンツを再暗号化する再暗号鍵とを格納する鍵格納手段と、上記クライアント端末から送信される、上記送信要求を受信した場合、当該送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件と上記ライセンス情報格納手段に格納されている上記コンテンツの利用許諾条件とを比較し、上記送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件が上記ライセンス情報格納手段に格納されている上記コンテンツの利用許諾条件を満たすか否かを判断する利用可否判断手段と、上記利用可否判断手段によって上記送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件が上記ライセンス情報格納手段に格納されている上記コンテンツの利用許諾条件を満たすと判断された場合、上記暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵と、当該復号鍵によって復号されたコンテンツを再暗号化するための再暗号鍵とを、上記鍵格納手段から読み出して上記クライアント端末に対して送信する復号鍵送信手段と、上記復号鍵送信手段によって上記復号鍵と上記再暗号鍵とが上記クライアント端末に対して送信されると、課金処理を実行する課金処理手段と、上記クライアント端末から送信される、上記二次コンテンツ登録要求を受信した場合、当該二次コンテンツ登録要求に含まれる上記コンテンツの識別情報をキーにして、当該二次コンテンツ登録要求に含まれる上記二次コンテンツの権利継承条件と上記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件とを比較し、上記二次コンテンツ登録要求に含まれる上記二次コンテンツの権利継承条件が上記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすか否かを判断する権利継承判断手段と、上記権利継承判断手段によって、上記二次コンテンツ登録要求に含まれる上記二次コンテンツの権利継承条件が上記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすと判断された場合、当該二次コンテンツを利用させるための権利継承条件を上記ライセンス情報格納手段に登録するコンテンツ登録手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
クライアント端末から送信されるコンテンツの利用許諾条件が鍵管理サーバのライセンス情報格納手段に格納されているコンテンツの利用許諾条件を満たすと判断された場合に、鍵管理サーバからクライアント端末に対して復号鍵を送信してコンテンツを利用させ、また、クライアント端末から送信される二次コンテンツの権利継承条件が鍵管理サーバのライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすと判断された場合に、当該二次コンテンツを利用させるための権利継承条件を鍵管理サーバのライセンス情報格納手段に登録して他人の利用に供することで、素材コンテンツの著作権者が当該コンテンツの二次利用者や二次利用方法などを限定しつつ他人に当該コンテンツを利用させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の著作権管理システムにおいては、上記ライセンス情報格納手段には、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かを決定するための第1の課金制御情報が含まれており、上記課金処理手段は、上記第1の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合の課金処理を実行することを特徴とすることが好適である。
【0011】
たとえば、あるクリエータが複数のコンテンツを組み合わせて二次利用しようとしたら、当該複数コンテンツの中に同一の素材が含まれているような場合がある。このような場合、そのクリエータは同一の素材に対してその著作権の対価を重複して支払わなければならない破目に陥ってしまうというような不都合がある。このような現象をコンテンツ循環の矛盾という。
【0012】
二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かを決定するための第1の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合の課金処理を実行することで、このような不都合を解消することができる。
【0013】
また、本発明の著作権管理システムにおいては、上記ライセンス情報格納手段には、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かを決定するための第2の課金制御情報が含まれており、上記課金処理手段は、上記第2の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の課金処理を実行することを特徴とすることが好適である。
【0014】
たとえば、あるクリエータがあるコンテンツを素材として二次利用しようとしたら、そこに自分が著作権を有するコンテンツ(例えば以前自分が創作したコンテンツ)が素材として含まれているような場合がある。このような場合、そのクリエータは自分で自分に著作権の対価を支払わなければならない破目に陥ってしまうという不都合がある。このような現象もコンテンツ循環の矛盾という。
【0015】
二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かを決定するための第2の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の課金処理を実行することで、このような不都合を解消することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の著作権管理システムは、素材コンテンツの著作権者が当該コンテンツの二次利用者や二次利用方法、利用の対価などを限定しつつ他人に当該コンテンツを利用させることを可能とする。その結果、著作権者の予期せぬ不利益を排除しつつコンテンツの二次利用を促進することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態にかかる著作権管理システムについて図面を参照して説明する。
【0018】
まず、本実施形態にかかる著作権管理システムの構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態にかかる著作権管理システムの構成図である。本実施形態にかかる著作権管理システム10は、図1に示すように、クライアント端末12と鍵管理サーバ14とを備えて構成される。クライアント端末12と鍵管理サーバ14とのそれぞれは、インターネット16に接続されており、インターネット16を介して互いにデータの送受信ができるようになっている。また、クライアント端末12は、インターネット16に接続されているコンテンツサーバ18から、暗号化されたコンテンツをダウンロードできるようになっている。ここでいうコンテンツには、静止画像データ、動画像データ、音楽データ、テキストデータ、及びこれらのデータを素材として制作された二次コンテンツ(ソースコード)など、あらゆる形式のデータが含まれる。
【0020】
図2は、クライアント端末12のシステム構成図である。クライアント端末12は、機能的には、図2に示すように、コンテンツ入力ポート20と、コンテンツ・ストレージ・モジュール22(格納手段)と、リソースID読取モジュール24と、暗号鍵要求モジュール26(復号鍵要求手段)と、ユーザ・インタフェース28と、ライセンス情報入出力ポート30と、暗号鍵入出力ポート32と、コンテンツ復号モジュール34(コンテンツ復号手段)と、コンテンツ制作モジュール36(コンテンツ生成手段)と、コンテンツ暗号化モジュール38(コンテンツ暗号化手段)と、コンテンツ利用監視モジュール40と、ライセンス設定モジュール42(二次コンテンツ登録要求手段)とを備えて構成される。
【0021】
なお、クライアント端末12は、物理的には、CPU、ハードディスク、メモリ、キーボードやマウスなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、モデムやネットワークカードなどのデータ送受信デバイスなどを含むコンピュータシステムとして構成されており、所定のコンピュータソフトウェアをインストールすることにより、図2に示す各機能要素の機能が実現する。
【0022】
図3は、鍵管理サーバ14のシステム構成図である。鍵管理サーバ14は、機能的には、ライセンス情報入出力ポート50と、ライセンス情報検索モジュール52と、ライセンス情報データベース54(ライセンス情報格納手段)と、利用実行可否判定モジュール56(利用可否判断手段)と、暗号鍵送出モジュール58(復号鍵送信手段)と、暗号鍵データベース60(鍵格納手段)と、利用監視プログラム送出モジュール62と、暗号鍵入出力ポート64と、課金処理モジュール66(課金処理手段)と、顧客管理データベース68と、課金情報入出力ポート70と、権利継承論理演算モジュール72(権利継承判断手段)と、コンテンツ登録モジュール74(コンテンツ登録手段)と、ライセンス管理モジュール76と、暗号鍵生成モジュール78とを備えて構成される。
【0023】
なお、鍵管理サーバ14は、物理的には、CPU、ハードディスク、メモリ、キーボードやマウスなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、モデムやネットワークカードなどのデータ送受信デバイスなどを含むコンピュータシステムとして構成されており、所定のコンピュータソフトウェアをインストールすることにより、図3に示す各機能要素の機能が実現する。
【0024】
以下、クライアント端末12および鍵管理サーバ14それぞれの構成要素について、詳細に説明する。
【0025】
図1、図2に戻って、クライアント端末12からコンテンツサーバ18に対して、コンテンツのダウンロード要求を送信すると、当該コンテンツのダウンロード要求に応じて、コンテンツサーバ18からクライアント端末12に対して暗号化されたコンテンツが送信される。当該暗号化されたコンテンツのダウンロード要求は、通常、当該暗号化されたコンテンツの二次利用者の指示によって送信される。クライアント端末12は、コンテンツサーバ18から送信される暗号化されたコンテンツを、コンテンツ入出力ポート20を介して受信する。ここで、コンテンツサーバ18から送信される暗号化されたコンテンツのヘッダには、当該コンテンツを識別するため識別情報であるリソースIDが含まれている。
【0026】
コンテンツサーバ18から受信された暗号化されたコンテンツは、コンテンツ・ストレージ・モジュールに格納される。
【0027】
暗号鍵要求モジュール26は、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納されている暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵の送信要求であって、当該コンテンツを利用するための利用許諾条件を含むものを、鍵管理サーバ14に対して送信する。より詳細には、暗号鍵要求モジュール26は、まず、ユーザ・インタフェース28を介して、コンテンツの二次利用者からコンテンツの利用実行命令の入力を受け付ける。ここで、コンテンツの利用実行命令の入力には、特定のコンテンツを二次利用する旨の指定(例えばアイコンによる指定)と当該コンテンツを利用するための利用許諾条件の入力が含まれる。ここで、コンテンツの利用許諾条件とは、当該コンテンツを利用するための条件であって、利用形態に関する条件(視聴可否、改変可否、頒布可否など)、利用者に関する条件(アマチュアのみ利用可、誰でも利用可など)、利用の対価などが含まれる。利用実行命令の入力を受け付けると、暗号鍵送信モジュール26は、リソースID読取モジュール24に、利用実行命令によって指定されたコンテンツのリソースIDの読取要求を送信する。
【0028】
リソースID読取モジュール24は、暗号鍵要求モジュール26から送信されたリソースID読取要求に基づいて、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納されている暗号化されたコンテンツを検索し、利用実行命令によって指定されたコンテンツのヘッダからリソースIDを読み出し、読み出されたリソースIDを暗号鍵要求モジュール26に送信する。
【0029】
暗号鍵要求モジュール26は、リソースID読取モジュール24から送信されたリソースIDと、ユーザ・インタフェース28を介してコンテンツの二次利用者から入力を受け付けた利用許諾条件とを含む復号鍵送信要求を、鍵管理サーバ14に対して送信する。
【0030】
図3に戻って、鍵管理サーバ14は、ライセンス情報入出力ポート50を介して、クライアント端末12から送信される復号鍵送信要求を受信する。
【0031】
鍵管理サーバ14によって復号鍵送信要求が受信されると、ライセンス情報検索モジュール52は、復号鍵送信要求に含まれるリソースIDをキーにして、ライセンス情報データベース54を検索し、当該リソースIDによって特定されるコンテンツの利用許諾条件を検索し、読み出す。
【0032】
図4は、ライセンス情報データベース54の構成図である。ライセンス情報データベース54には、図4に示すように、それぞれのコンテンツについて、リソースID、著作権者情報、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子、ライセンスID、利用許諾条件、権利継承条件が含まれている。
【0033】
ここで、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子とは、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かを決定するための識別子(第1の課金制御情報)であり、かつ、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かを決定するための識別子(第2の課金制御情報)である。なお、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子を2種類設け、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かと、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かとを、独立に制御することも可能である。
【0034】
また、ライセンスIDとは、ライセンスを付与されたコンテンツ及びその利用許諾条件と権利継承条件とを含むライセンス条件を特定するIDである。また、利用許諾条件とは、当該コンテンツを利用するための条件であって、利用形態に関する条件(視聴可否、改変可否、頒布可否など)、利用者に関する条件(流通業者のみ利用可、誰でも利用可など)、利用の対価などが含まれる。
【0035】
また、権利継承条件とは、当該コンテンツを用いて生成した二次コンテンツを第三者に利用させるための条件である。特に、必須条件とは、当該コンテンツを用いて生成した二次コンテンツを第三者に利用させる場合、当該二次コンテンツの著作権者が必ず守らなければならない条件である。また、選択条件とは、当該コンテンツを用いて生成した二次コンテンツを第三者に利用させる場合、当該二次コンテンツの著作権者が行っても良い態様である。例えば、図4を用いて具体例を示せば、リソースID「0002」のコンテンツを用いて生成した二次コンテンツを第三者に利用させる場合、当該二次コンテンツの著作権者は、必ず誰にでもその二次コンテンツを500円以上で視聴させなければならない。また、リソースID「0003」のコンテンツを用いて生成した二次コンテンツを第三者に利用させる場合、当該二次コンテンツの著作権者は、流通業者に当該二次コンテンツを頒布させ、50000円の対価を受け取ってもよい。リソースID「0004」のコンテンツの必須条件が空欄になっていることは、二次コンテンツの著作権者が守るべき義務が無いことを示し(対価の欄のみ空欄の場合は、対価の設定について守るべき義務がない、すなわち対価をいくらに設定しても良いことを意味する)、リソースID「0002」のコンテンツの選択条件が空欄になっていることは、二次コンテンツの著作権者が行っても良い態様の選択肢が無いことを意味する。
【0036】
図3に戻って、利用実行可否判定モジュール56は、クライアント端末12から送信される復号鍵送信要求を受信した場合、当該復号鍵送信要求に含まれるコンテンツの利用許諾条件とライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件(ライセンス情報検索モジュール52によって検索され、読み出されたもの)とを比較し、復号鍵送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件がライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を満たすか否かを判断する。復号鍵送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件がライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を満たさないと判断されると、利用実行可否判定モジュール56は、その判断結果及びライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を、ライセンス情報入出力ポート50を介して、クライアント端末12に対して送信する。クライアント端末12のユーザは、当該送信された判断結果及びライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を参照し、新たな利用許諾条件を入力して、再度、クライアント端末12から鍵管理サーバ14に復号鍵送信要求を送信させることができる。なお、このように反復して修正するプロセスはクライアント端末12でローカルに処理する仕組みを設計することも出来るが、その場合でも最終的な判断は鍵管理サーバ14で行うように設計しなければならない。クライアント端末12で不正な処理が行われる危険性を排除するためである。復号鍵送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件がライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を満たすと判断されると、利用実行可否判定モジュール56は、その判断結果を暗号鍵送出モジュール58に送信する。
【0037】
暗号鍵送出モジュール58は、復号鍵送信要求に含まれる上記コンテンツの利用許諾条件がライセンス情報データベース54に格納されている当該コンテンツの利用許諾条件を満たすとの判断結果を利用実行可否判定モジュール56から受信すると、当該暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵と当該復号鍵によって復号されたコンテンツを再暗号化するための再暗号鍵とを生成し暗号鍵データベース60に記録すると同時に暗号鍵入出力ポート64を介して、クライアント端末12に対して送信する。(暗号鍵はSSLなどで保護した形で送信される。)ここで、暗号鍵データベース60には、コンテンツを復号するための復号鍵と当該復号鍵によって復号されたコンテンツを再暗号化するための再暗号鍵が、コンテンツ毎かつユーザ毎に時系列に格納される。
【0038】
利用監視プログラム送出モジュール62は、暗号鍵送出モジュール58からクライアント端末12に対して上記復号鍵と再暗号鍵のセットが送信されると、当該復号鍵によって復号され再暗号鍵によって再暗号化されるコンテンツの利用状態を監視する利用監視プログラムを、暗号鍵入出力ポート64を介して、クライアント端末12に対して送信する。
【0039】
課金処理モジュール66は、暗号鍵送出モジュール58によって上記復号鍵と再暗号鍵とのセットがクライアント端末12に対して送信され、かつ、クライアント端末12から上記復号鍵と再暗号鍵とのセットの受信確認が得られると、課金処理を実行する。より詳細には、課金処理モジュール66は、上記受信確認が得られると、ライセンス情報データベース54を参照し、ライセンス情報データベース54の利用許諾情報の欄に記載されている課金額を復号鍵の受信者の課金額情報に加算し、当該課金額を著作権者情報によって特定される者の収入額情報に加算する。ここで、上記課金額、収入額などの情報は、顧客管理データベース68に格納される。また、上記課金額、収入額などの情報は、更新時逐次あるいは一定期間ごとに、課金情報入出力ポート70を介して、外部に設けられた決済サーバ(図示せず)に送信される。
【0040】
ここで、一度に複数のコンテンツの復号鍵が要求された場合、課金処理モジュール66は、ライセンス情報データベース54のコンテンツ循環消し込み処理許諾識別子を参照し、以下のような課金処理を実行する。すなわち、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子がYesであった場合、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合、及び二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の重複課金を停止する。二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられているか否か、及び二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられているか否かの判断は、ライセンス情報データベース54のライセンスIDを参照し、同一のライセンスIDを有するコンテンツの復号鍵が重複して要求されているか、及び二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するライセンスIDを有するコンテンツの復号鍵が要求されているかによって行われる。
【0041】
図2に戻って、クライアント端末12によって、暗号鍵入出力ポート32を介して、上記復号鍵と再暗号鍵とのセットが受信されると、コンテンツ復号モジュール34は、コンテンツ・ストレージ・モジュール22から暗号化されたコンテンツを読み出し、読み出した暗号化されたコンテンツを、鍵管理サーバ14から送信された復号鍵を用いて復号し、復号されたコンテンツを作業メモリに展開する。なお、コンテンツの復号後、復号に用いられた復号鍵は廃棄される。
【0042】
コンテンツ暗号化モジュール38は、コンテンツ復号モジュール34によって復号されたコンテンツが作業メモリに展開されると、鍵管理サーバ14から上記復号鍵と共に送信される再暗号鍵を用いて、当該コンテンツを再暗号化し、再暗号化されたコンテンツをコンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納する。
【0043】
コンテンツ制作モジュール36は、コンテンツ復号モジュール34によって復号されて作業メモリに展開されたコンテンツを用いて二次コンテンツを生成する。より詳細には、コンテンツ制作モジュール36は、ユーザ・インタフェース28を介してユーザから入力される指示に基づいて、コンテンツの加工処理や、複数のコンテンツの合成処理などを実行し、二次コンテンツを生成する。二次コンテンツは、二次コンテンツ制作者によって実行された素材コンテンツの加工処理や合成処理の内容が記述されたソースファイル等から構成される。
【0044】
コンテンツ利用監視モジュール40は、鍵管理サーバ14から送信される利用監視プログラムが実行されることによって構成される。コンテンツ利用監視モジュール40は、上記復号鍵によって復号され再暗号鍵によって再暗号化されるコンテンツの利用状態を監視する。すなわち、コンテンツ利用監視モジュール40は、コンテンツ制作モジュール36によって二次コンテンツが生成される際に、二次コンテンツの生成に用いられるコンテンツに関して、上記利用許諾条件に反する利用が行われていないかどうかを監視する。コンテンツ制作モジュール36によって二次コンテンツが生成される際に、二次コンテンツの生成に用いられるコンテンツに関して、上記利用許諾条件に反する利用が行われたことが発見された場合、コンテンツ利用監視モジュール40は、二次コンテンツ及び二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツとの双方を破棄する。また、コンテンツ利用監視プログラム自体に改変が発見された場合も、コンテンツ利用監視モジュール40は、二次コンテンツ及び二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツとの双方を破棄する。
【0045】
ライセンス設定モジュール42は、コンテンツ制作モジュール36によって生成された二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツ(以下、「素材コンテンツ」という)のリソースID(識別情報)と、当該二次コンテンツについて所望する利用許諾条件及び権利継承条件とを含む二次コンテンツ登録要求を、鍵管理サーバ14に送信する。上記利用許諾条件と権利継承条件とは、二次コンテンツの制作者が当該二次コンテンツを流通させたいと考える場合に、ユーザ・インタフェース28を介して入力する。
【0046】
図3に戻って、鍵管理サーバ14がライセンス情報入出力ポート50を介して、上記二次コンテンツ登録要求を受信すると、ライセンス情報検索モジュール52は、二次コンテンツ登録要求に含まれる素材コンテンツのリソースIDをキーにして、ライセンス情報データベース54を検索し、当該リソースIDによって特定されるコンテンツの権利継承条件を検索し、読み出す。
権利承継論理演算モジュール72は、クライアント端末12から送信されてきた二次コンテンツ登録要求に含まれる利用許諾条件と、上記の処理によって読み出されたすべての素材コンテンツの権利継承条件との論理積を求め、当該二次コンテンツ利用許諾条件が矛盾なく成立するか否かを判断する。
上記利用許諾条件が成立しないと判断されると、権利継承論理演算モジュール72は、その判断結果及び上記論理積(利用許諾条件が成立する範囲を示したもの)を、ラインセンス情報入力ポート50を介してクライアント端末12に送信する。
クライント端末12のユーザーは、上記判断結果及び論理積を参照して利用許諾条件を修正し、新たな二次コンテンツ登録要求を送り返すことが出来る。
なお、このように反復して修正するプロ背図はクライアント端末12でローカルに処理する仕組みに設計することも出来るが、その場合でも最終的な判断は鍵管理サーバ14で行うように設計しなければならない。クライアント端末12で不正な処理が行われる危険性を排除するためである。
【0047】
次に、権利継承論理演算モジュール72は、クライアント端末12から送信された二次コンテンツ登録要求に含まれる当該二次コンテンツの権利継承条件とライセンス情報検索モジュール52によってライセンス情報データベース54から読み出された権利継承条件とを比較し、二次コンテンツ登録要求に含まれる当該二次コンテンツの権利継承条件がライセンス情報データベース54から読み出された当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を全て満たすか否かを判断する。
【0048】
より具体的には、権利継承論理演算モジュール72は、(1)素材コンテンツの権利継承条件の必須条件に指定がある場合であって、当該必須条件が、二次コンテンツ登録要求に含まれる権利継承条件に必須条件として含まれている場合は、当該二次コンテンツの登録を許可し、(2)素材コンテンツの権利継承条件の必須条件には指定が無く、選択条件には指定が有る場合であって、二次コンテンツの登録要求に含まれる必須条件または選択条件が、上記素材コンテンツの選択条件の範囲内である場合は、当該二次コンテンツの登録を許可し、(3)上記(1)及び(2)以外の場合は、登録を拒絶する。
【0049】
例えば、図4において、リソースID「0002」のコンテンツは、権利継承条件の必須条件が「視聴[誰でも≧¥500]」となっている。この場合、二次コンテンツの制作者は必ず当該コンテンツを誰に対しても500円以上で視聴させるというライセンス設定を行なわない限り当該二次コンテンツを登録することはできない。また、例えば、図4において、リソースID「0003」とリソースID「0004」のコンテンツから二次コンテンツを制作する場合、リソースID「0005」の権利継承条件に示すようなライセンス設定であれば矛盾なく成立させることが可能である。何故ならば、ラインセンス「X0001」の利用許諾条件となっている「視聴」は、ライセンス「A0001」では必須条件として、また、ライセンス「C0001」でも選択条件として指定されており、課金についても、ライセンス「A0001」では指定がなく、ライセンス「C0001」では300円となっているので、相互に矛盾がないからである。一方、ライセンス「C0001」で選択条件として指定されている「改編」は、ラインセンス「A0001」では必須条件、選択条件のいずれにも指定されていないことから、ライセンス「X0001」には継承されていない。
「頒布」については、ライセンス「A0001」及びライセンス「C0001」ともに選択条件として指定があり、ライセンス「A0001」で頒布対象者として指定されている「流通業者」は、ライセンス「C0001」で指定されている「誰でも」の範疇に含まれ、許諾内容もともに「課金」で、ライセンス「A0001」では50000円、ライセンス「C0001」では1000円より高く売れればよいのだから、矛盾なく成立するはずである。にもかかわらず、ライセンス「X0001」の利用許諾条件に指定がないのは、Y,Aが当該権利を選択しなかったからである。
【0050】
二次コンテンツの登録が拒絶された場合、権利継承論理演算モジュール72は、判断結果及びライセンス情報データベース54に格納されている素材コンテンツの権利継承条件を、ライセンス情報入出力ポート50を介して、クライアント端末12に対して送信する。クライアント端末12のユーザは、当該送信された判断結果及びライセンス情報データベース54に格納されている素材コンテンツの権利継承条件を参照し、新たな権利継承条件を入力して、再度、クライアント端末12から鍵管理サーバ14に二次コンテンツ登録要求を送信させることができる。なお、このように反復して修正するプロセスはクライアント端末12でローカルに処理する仕組みを設計することも出来るが、その場合でも最終的な判断は鍵管理サーバ14で行うように設計しなければならない。クライアント端末12は不正な処理が行われる危険性を排除するためである。こうして二次利用者の権利継承条件が確定すると、権利継承論理演算モジュール72は、二次コンテンツの登録を許可する。二次コンテンツの登録が許可された場合、権利継承論理演算モジュール72は、その判断結果をコンテンツ登録モジュール74に送信する。
【0051】
コンテンツ登録モジュール74は、権利継承論理演算モジュール72によって、二次コンテンツ登録要求に含まれる当該二次コンテンツの権利継承条件がライセンス情報データベース54に格納されている素材コンテンツの権利継承条件を満たすと判断された場合、当該二次コンテンツのリソースIDとライセンスIDとを生成し、当該二次コンテンツのリソースID、著作権者情報、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子、ライセンスID、利用許諾条件、権利継承条件をライセンス情報データベース54に登録し、第三者からアクセス可能とする。
【0052】
暗号鍵生成モジュール78は、当該二次コンテンツのリソースID、著作権者情報、コンテンツ循環消し込み処理許諾識別子、ライセンスID、利用許諾条件、権利継承条件がライセンス情報データベース54に登録されると、当該二次コンテンツを暗号化する暗号鍵を生成し、当該生成した暗号鍵を暗号鍵データベース60に格納するとともに、当該暗号鍵と当該二次コンテンツのリソースIDとを、暗号鍵入出力ポート64を介して、クライアント端末12に送信する。
【0053】
なお、ライセンス管理モジュール76は、ライセンス情報データベース54の更新管理を行う。
【0054】
図2に戻って、鍵管理サーバ14から二次コンテンツのリソースIDと当該二次コンテンツの暗号鍵を受信すると、クライアント端末12のコンテンツ暗号化モジュール38は、当該暗号鍵を用いて二次コンテンツを暗号化し、暗号化された二次コンテンツをヘッダにリソースIDを付した状態で、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に登録する。また、暗号化された二次コンテンツは、ヘッダにリソースIDを付した状態で、クライアント端末12からコンテンツサーバ18にアップロードされ、第三者の利用に供される。
【0055】
以下、二次コンテンツの二次利用(以下、「三次利用」という)が行われる場合の処理について説明する。まず、三次利用を行う者(三次利用者)からの指示により、コンテンツサーバ18からクライアント端末12に、暗号化された二次コンテンツがダウンロードされる。ダウンロードされた二次コンテンツは、クライアント端末12のコンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納される。ここで、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納された二次コンテンツのヘッダには、リソースIDが付されている。
【0056】
続いて、二次コンテンツの三次利用者によって入力された入力された二次コンテンツの利用実行命令と二次コンテンツのリソースIDを含む復号鍵の送信要求が鍵管理サーバ14に送信される。
【0057】
鍵管理サーバ14では、上記送信要求を受信すると、ライセンス情報検索モジュール52によって、上記リソースIDに該当する二次コンテンツの利用許諾条件が検索される。
【0058】
その後、利用実行可否判別モジュール56により、検索された二次コンテンツの利用許諾条件と三次利用者による二次コンテンツの利用実行命令の内容(利用許諾条件)が比較され、実行の可否が判断される。上記判断結果が否の場合、利用実行可否判別モジュール56により、その結果がクライアント端末12に送信される。この場合、三次利用者は、満足の行く結果を得られるまで、利用実行命令を修正し、何度でも復号鍵の送信要求を送りなおすことができるようになっている。なお、このように反復して修正するプロセスはクライアント端末12でローカルに処理する仕組みを設計することも出来るが、その場合でも最終的な判断は鍵管理サーバ14で行うように設計しなければならない。クライアント端末12は不正な処理が行われる危険性を排除するためである。
【0059】
一方、上記判断結果が可の場合、暗号鍵送出モジュール58により、上記リソースIDに対応する復号鍵と再暗号鍵とのセットが、クライアント端末12に送信される。それと同時に(より正確には、クライアント端末12から、復号鍵と再暗号鍵との受信確認を得られたら)、課金処理モジュール66により、二次コンテンツに関する課金処理が実行される。
【0060】
クライアント端末12では、コンテンツ復号モジュール34により、上記受信した復号鍵が用いられ、二次コンテンツが復号される。復号された二次コンテンツは、作業メモリに展開される。
【0061】
二次コンテンツが復号されて作業メモリに展開されると、暗号鍵要求モジュール26により、二次コンテンツに記録されている素材コンテンツや二次利用者の創作コンテンツのリソースIDを含む当該コンテンツの復号鍵の送信要求が鍵管理サーバ14に送信される。
【0062】
上記復号鍵の送信要求を受信すると、鍵管理サーバ14の暗号鍵送出モジュール58は、上記リソースIDに対応する復号鍵と再暗号鍵とのセットをクライアント端末12に送信する。
【0063】
鍵管理サーバ14では、上記復号鍵の送信に基づいて、課金処理モジュール66により、上記素材コンテンツや二次利用者の創作コンテンツに関する課金処理が実行される。但し、素材コンテンツの原著作者が特に希望した場合に、以下の課金免除の処理を選択することが出来る。
【0064】
(1)素材コンテンツの中に三次利用者自身が制作したコンテンツが素材として含まれていた場合、課金が停止される。例えば、図4において、M.H.がリソースID「0005」のコンテンツを三次利用しようとしたところ、自分が創作したリソースID「0003」のコンテンツが素材コンテンツとして含まれていた場合、その分については課金を免れることができる。但し、リソースID「0006」に示すように、Y,A,がコンテンツ循環消し込み処理許諾識別子wp「No」に設定していた場合には、ライセンス「X0001」の今テンスに関する課金免除処理は実行されない。
【0065】
(2)素材コンテンツの中に同一のライセンスIDを持つ複数のコンテンツが素材として含まれていた場合、最初のリソースIDのコンテンツについてのみ課金処理を実行し、他のコンテンツに関しては課金処理を停止する。例えば、図4において、Y.F.がリソースID「0005」の二次コンテンツとリソースID「0001」のコンテンツとを合成、加工して三次コンテンツを制作しようとしたところ、リソースID「0005」の二次コンテンツには、リソースID「0003」のコンテンツが素材コンテンツとして含まれていた。ここで、リソースID「0001」のコンテンツ、リソースID「0003」のコンテンツは、ともに、ライセンスIDが「A0001」となっている。この場合、リソースID「0001」のコンテンツについてのみ課金処理を実行し、リソースID「0003」のコンテンツについては課金処理を停止する。このような処理によって、Y.F.は同一のコンテンツについての二重課金を免れることができる。但し、リソースID「0006」に示すように、Y,A,がコンテンツ循環消し込み処理許諾識別子を「No」に設定していた場合には、ライセンス「X0001」のコンテンツに関する課金免除処理は実行されない。
【0066】
クライアント端末12では、素材コンテンツ及び二次利用者の創作コンテンツの復号鍵が鍵管理サーバ14から受信されると、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に再暗号化されて格納されていた素材コンテンツや暗号化されて格納されていた二次利用者の創作コンテンツが、コンテンツ復号モジュール34によって復号され、作業メモリに展開され、当該素材コンテンツや二次利用者の創作コンテンツを用いて二次コンテンツが復元される。なお、当該素材コンテンツや二次利用者の創作コンテンツが復号されて作業メモリに展開されると、復号に用いられた暗号鍵は廃棄され、当該素材コンテンツや二次利用者の創作コンテンツは、再暗号鍵によって再暗号化され、コンテンツ・ストレージ・モジュール22に格納される。
【0067】
復元された二次コンテンツは、コンテンツ制作モジュール36によって、加工、補正されたり、三次利用者の創作コンテンツと合成されたりする。
【0068】
続いて、本実施形態にかかる著作権管理システムの作用及び効果について説明する。本実施形態にかかる著作権管理システム10は、クライアント端末12から送信されるコンテンツの利用許諾条件が鍵管理サーバ14のライセンス情報格納データベース54に格納されているコンテンツの利用許諾条件を満たすと判断された場合に、鍵管理サーバ14からクライアント端末12に対して復号鍵を送信してコンテンツを利用させる。また、クライアント端末12から送信される二次コンテンツの権利継承条件が鍵管理サーバ14のライセンス情報データベース54に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられた素材コンテンツの権利継承条件を満たすと判断された場合に、当該二次コンテンツを利用させるための権利継承条件を鍵管理サーバのライセンス情報データベース54に登録して他人の利用に供する。従って、素材コンテンツの著作権者が当該コンテンツの二次利用者や二次利用方法などを限定しつつ他人に当該コンテンツを利用させることが可能となる。その結果、著作権者の予期せぬ不利益を排除しつつ、コンテンツの二次利用を促進することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態にかかる著作権管理システム10は、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かを決定するためのコンテンツ循環消し込み処理許諾識別子に従って、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合の課金処理を実行する。従って、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金を、必要に応じて停止することができる。
【0070】
また、本実施形態にかかる著作権管理システム10は、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かを決定するためのコンテンツ循環消し込み処理識別子に従って、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の課金処理を実行する。従って、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の課金を、必要に応じて停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、著作権管理システムのシステム構成図である。
【図2】図2は、クライアント端末のシステム構成図である。
【図3】図3は、鍵管理サーバのシステム構成図である。
【図4】図4は、ライセンス情報データベースの構成図である。
【符号の説明】
【0072】
10…著作権管理システム、12…クライアント端末、14…鍵管理サーバ、20…コンテンツ入力ポート、22…コンテンツ・ストレージ・モジュール、24…リソースID読取モジュール、26…暗号鍵要求モジュール、28…ユーザ・インタフェース、30…ライセンス情報入出力ポート、32…暗号鍵入出力ポート、34…コンテンツ復号モジュール、36…コンテンツ制作モジュール、38…コンテンツ暗号化モジュール、40…コンテンツ利用監視モジュール、42…ライセンス設定モジュール、50…ライセンス情報入出力ポート、52…ライセンス情報検索モジュール、54…ライセンス情報データベース、56…利用実行可否判定モジュール、58…暗号鍵送出モジュール58、60…暗号鍵データベース、62…利用監視プログラム送出モジュール、64…暗号鍵入出力ポート、66…課金処理モジュール、68…顧客管理データベース、70…課金情報入出力ポート、72…権利継承論理演算モジュール、74…コンテンツ登録モジュール、76…ライセンス管理モジュール、78…暗号鍵生成モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と鍵管理サーバとを備えた著作権管理システムにおいて、
前記クライアント端末は、
コンテンツサーバから受信した、暗号化されたコンテンツを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納されている前記暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵の送信要求であって、前記コンテンツを利用するための利用許諾条件を含むものを、前記鍵管理サーバに対して送信する復号鍵要求手段と、
前記格納手段から前記暗号化されたコンテンツを読み出し、読み出した前記暗号化されたコンテンツを前記鍵管理サーバから送信された前記復号鍵を用いて復号し、復号されたコンテンツを作業メモリに展開するコンテンツ復号手段と、
前記コンテンツ復号手段によって前記復号されたコンテンツが作業メモリに展開されると、前記鍵管理サーバから前記復号鍵と共に送信される再暗号鍵を用いて前記コンテンツを暗号化し、暗号化されたコンテンツを前記格納手段に格納するコンテンツ暗号化手段と、
前記コンテンツ復号手段によって復号されて作業メモリに展開されたコンテンツを用いて二次コンテンツを生成するコンテンツ生成手段と、
前記コンテンツ生成手段によって生成された前記二次コンテンツの生成に用いられた前記コンテンツの識別情報と、ユーザによって入力された前記二次コンテンツを利用させるための権利継承条件とを含む二次コンテンツ登録要求を、前記鍵管理サーバに送信する二次コンテンツ登録要求手段と
を備え、
前記鍵管理サーバは、
コンテンツを利用するための利用許諾条件と当該コンテンツを用いて生成された二次コンテンツを利用させるための権利継承条件とを格納するライセンス情報格納手段と、
コンテンツを復号化する復号鍵とコンテンツを再暗号化する再暗号鍵とを格納する鍵格納手段と、
前記クライアント端末から送信される、前記送信要求を受信した場合、当該送信要求に含まれる前記コンテンツの利用許諾条件と前記ライセンス情報格納手段に格納されている前記コンテンツの利用許諾条件とを比較し、前記送信要求に含まれる前記コンテンツの利用許諾条件が前記ライセンス情報格納手段に格納されている前記コンテンツの利用許諾条件を満たすか否かを判断する利用可否判断手段と、
前記利用可否判断手段によって前記送信要求に含まれる前記コンテンツの利用許諾条件が前記ライセンス情報格納手段に格納されている前記コンテンツの利用許諾条件を満たすと判断された場合、前記暗号化されたコンテンツを復号するための復号鍵と、当該復号鍵によって復号されたコンテンツを再暗号化するための再暗号鍵とを、前記鍵格納手段から読み出して前記クライアント端末に対して送信する復号鍵送信手段と、
前記復号鍵送信手段によって前記復号鍵と前記再暗号鍵とが前記クライアント端末に対して送信されると、課金処理を実行する課金処理手段と、
前記クライアント端末から送信される、前記二次コンテンツ登録要求を受信した場合、当該二次コンテンツ登録要求に含まれる前記コンテンツの識別情報をキーにして、当該二次コンテンツ登録要求に含まれる前記二次コンテンツの権利継承条件と前記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件とを比較し、前記二次コンテンツ登録要求に含まれる前記二次コンテンツの権利継承条件が前記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすか否かを判断する権利継承判断手段と、
前記権利継承判断手段によって、前記二次コンテンツ登録要求に含まれる前記二次コンテンツの権利継承条件が前記ライセンス情報格納手段に格納されている当該二次コンテンツの生成に用いられたコンテンツの権利継承条件を満たすと判断された場合、当該二次コンテンツを利用させるための権利継承条件を前記ライセンス情報格納手段に登録するコンテンツ登録手段と
を備えたことを特徴とする著作権管理システム。
【請求項2】
前記ライセンス情報格納手段には、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合に複数回課金するか否かを決定するための第1の課金制御情報が含まれており、
前記課金処理手段は、前記第1の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に同一のコンテンツが複数回用いられていた場合の課金処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の著作権管理システム。
【請求項3】
前記ライセンス情報格納手段には、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合に課金するか否かを決定するための第2の課金制御情報が含まれており、
前記課金処理手段は、前記第2の課金制御情報に基づいて、二次コンテンツの生成に当該二次コンテンツの生成者自身が著作権を有するコンテンツが用いられていた場合の課金処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の著作権管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−58983(P2009−58983A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373009(P2005−373009)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年6月25日 社団法人情報処理学会発行の「情報処理学会研究報告 情処研報Vol.2005No.64」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年6月25日 社団法人情報処理学会主催の「第28回電子化知的財産・社会基盤研究会(2005−EIP−28)において文書をもって発表
【出願人】(390001421)学校法人早稲田大学 (14)
【Fターム(参考)】