説明

蒸発源アセンブリ及びそれを用いた蒸着装置

【課題】蒸発源アセンブリ及びそれを用いた蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸発源アセンブリ30を構成する外部ハウジング50はガイド80aを有していて、蒸発源アセンブリを構成する蒸発源60、70が有するノズル部の貫通ホール222、322を所定の角度で傾けさせることによって、それぞれの蒸発源から吐出される蒸着物質が被蒸着基板の同一の領域に蒸着されるように誘導し、均一な粗さと均一な厚さを有する薄膜を形成できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発源アセンブリ及び蒸着装置に関するもので、さらに詳しく説明すると、均一な薄膜が形成できる複数の蒸発源を有する蒸発源アセンブリ及び蒸着装置(evaporating source assembly and deposition apparatus having the same)に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、高度情報化時代に伴い、迅速かつ正確な情報を手に得ようとする消費者の要求はますます高まり、軽薄で携帯性が良く情報処理速度も早いディスプレー装置についての開発が急速に進められている。その中でも、有機電界発光素子は有機発光層を含む有機膜に電圧を印加することによって電子及び正孔が有機発光層内で再結合し光を発生する自己発光型である。よって、LCDのようなバックライトは必要でなく軽量薄型であると共に、工程を単純化させることもできる。応答速度はCRTと同一レベルであり、低電圧駆動、高い発光効率、及び広い視野角によって次世代ディスプレーとして脚光を浴びている。
【0003】
ここで、前記有機膜は、特に有機発光層の材料によって低分子型有機電界発光素子と高分子型有機電界発光素子とに分類される。
【0004】
前記高分子型有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に有機発光層からなった断層構造であるか、または正孔輸送層を含む二重構造からなるので、厚さが薄い層の有機電界発光素子が製造でき、また前記有機膜は湿式コーティングによって形成できるので常圧下でも製造可能であり生産工程の費用を節減できるが、有機溶媒による有機膜が損傷され素子の寿命が低下することもある。
【0005】
一方、前記低分子型有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に機能が互いに異なる多層の低分子型有機膜で形成されていて電荷の蓄積が起きないようにドーピングしたり、適切なエネルギー源を有する物質に代替させたりすることによって調節が可能であるため素子の安定性が優れる。また、前記低分子型有機膜は、主に蒸着によって形成されるので有機溶媒による有機膜が損傷されることを防止でき、素子の寿命の低下を防止することができる。
【0006】
前記蒸着は、真空で低分子有機物質を形成する薄膜を製造する場合において、形成しようとする形状の開口部を有するシャドーマスクパターン(shadow mask pattern)を基板の前に整列して、基板に有機物質を蒸着することによって前記基板上に必要とする形状の有機薄膜を形成することができる。
【0007】
ここで、前記のような真空蒸着により有機電界発光素子の有機膜層または電極層を形成する場合において、一つまたは二つ以上の物質を同時に空蒸着するために複数の蒸発源を有する蒸着装置が必要となる。
【0008】
この場合、複数の蒸発源から放出する有機物質が前記基板に均一に混合されて形成されなかったり、均一な厚さを有する薄膜が形成されなかったりして有機電界発光素子の安全性及び性能が低下することもある。ここで、前記基板が大型化されるほど、均一な薄膜を形成することが難しくなる。
【0009】
特許文献1には、複数の蒸発源1を用いた同時蒸着にあって、均一に混合された薄膜蒸着のための蒸発領域調節装置が開示されている。
【0010】
図1は、従来技術による複数の蒸発源を備えた蒸着装置をさらに詳しく説明するものである。
【0011】
図1を参照すると、前記蒸発源間に領域調節板2を備えて、前記蒸発源を収納しているハウジング3の開口部0の大きさを制御することによって、前記蒸発源から吐出される蒸着物質の吐出方向を限定して被蒸着基板(S)に均一な薄膜を形成できるものとして提案している。しかしながら、前記特許では、蒸発源から吐出される蒸着物質の方向を限定する領域調節板2及び開口部0の大きさを制御するのは容易なことではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国特許登録第071595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明は複数の蒸発源から放出される蒸着物質が被蒸着基板の同一領域に照射して均一な薄膜を形成することができる蒸発源アセンブリ及びそれを用いた蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記技術的課題を解決するために本発明の一態様は、蒸発源アセンブリを提供する。前記蒸発源アセンブリは、少なくとも一部が開口されたセルを少なくとも二つ以上備え、前記各セルの開口部の両側に位置して、被蒸着基板に向かうガイドを備えるシールドを含む外部ハウジングと、前記各セルの内部に位置するそれぞれの蒸発源と、を含め、前記それぞれの蒸発源は前記セルの開口された方向と等しい一部が開口された貯蔵部と、前記貯蔵部の開口された部分と繋がるボディーと前記ボディーを貫く貫通ホールとを備えるノズル部と、前記ノズル部と前記貯蔵部とを囲む形態のハウジングと、前記ハウジングと前記ノズル部との間に介在されている加熱部と、を備え、前記ノズル部を成す貫通ホールは前記ハウジングの水平方向に対して所定の角度で傾き、前記各セルの開口部の両側に位置する前記ガイドのうち、同じ側に位置する前記ガイドの先端と前記蒸発源とを結んだ延長線が同一地点に向かうことを特徴とする。
【0015】
前記外部ハウジングは、前記各セルの開口部の両側に位置して、被蒸着基板に向かうガイドを有するシールド(shield)を含むことができる。この場合、前記それぞれのシールドのガイドはその延長線が同一地点に向かうように、少なくとも一つのガイドは所定の角度で傾いていることが好ましい。
【0016】
さらに、前記技術的課題を解決するために本発明の他の一態様は、前記蒸発源アセンブリを含む蒸着装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、少なくとも二つの蒸発源を備えて蒸着する蒸発源アセンブリにあって、前記それぞれの蒸発源から放出する蒸着物質が被蒸着基板の同一領域に蒸着されることによって、均一な粗さを有する薄膜を形成すると共に、均一な厚さを有する薄膜を形成することができる。
【0018】
これによって、均一な特性を有することができ、さらに安定した素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術として複数の蒸発源を用いた蒸着装置を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態による蒸着装置を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態による二つの蒸発源を有する蒸発源のアセンブリの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による図3の蒸発源アセンブリをI−I′に切断した断面で、蒸着物質が被蒸着基板の同一地点に照射するように誘導する実施形態を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態による図3の蒸発源アセンブリをI−I′に切断した断面で、蒸着物質が被蒸着基板の同一地点に照射するように誘導する実施形態を説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施形態による図3の蒸発源アセンブリをI−I′に切断した断面で、蒸着物質が被蒸着基板の同一地点に照射するように誘導する実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による蒸発源アセンブリ及びこれを用いた蒸着装置の図面を参照して詳しく説明する。次に説明される実施形態は当業者に本発明の思想が充分に理解できるようにするための例として提供される。したがって、本発明は以下に説明される実施形態には限定されず、他の形態で具体化されることもある。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜のために誇張して表現されるものもある。明細書の全般にかけて同一参照番号は同一構成要素を現わす。
【0021】
図2は本発明の実施形態による蒸着装置を説明するための図である。
【0022】
図2を参照すると、本発明の実施形態による蒸着装置10は前記蒸着装置10のボディーを成すチャンバ20と、被蒸着基板(S)の一面に蒸着物質の粒子を噴射させるための少なくとも一つ以上の蒸発源を有する蒸発源アセンブリ30と、前記蒸発源アセンブリ30を地面に対して垂直方向に移動させることができる蒸発源アセンブリ移送手段40を有する構造からなる。
【0023】
前記チャンバ20は、図に示されていない真空ポンプによって内部が真空状態を維持するようになっている。そして、チャンバ20内部には蒸発源アセンブリ30を地面に対して垂直方向に移動できる蒸発源アセンブリ移送手段40が設けられて蒸発源アセンブリ30を蒸着方向に移動させるようになっている。
【0024】
前記蒸発源アセンブリの移送手段40は、真空で維持されるチャンバ20内での使用に適した垂直移送装置として、工程条件に従って蒸発源アセンブリ30の移動速度を調節することができる。
【0025】
一方、チャンバ20の内部に位置する被蒸着基板(S)は蒸着物質の蒸着のためにおおよそ垂直方向に位置する。
【0026】
そして、被蒸着基板(S)の全面、すなわち蒸発源アセンブリ30と被蒸着基板(S)との間には蒸着される蒸着物質の形状を決めるマスクパターン(M)が設けられる。したがって、蒸発源30から蒸発された蒸着物質はマスクパターン(M)を通って被蒸着基板(S)上に蒸着されて所定形状の薄膜が被蒸着基板(S)上に形成できるようにする。
【0027】
一方、蒸発源アセンブリ30は、少なくとも二つを有する蒸発源を備えて、チャンバ20内部の被蒸着基板(S)上に蒸着しようとする蒸着物質を収容し、収容された蒸着物質を加熱して蒸発させた後、これを被蒸着基板(S)上に噴射して被蒸着基板(S)上に薄膜が形成できるような機能を有する。ここで、前記蒸着物質は有機電界発光素子の有機膜形成物質または電極形成物質でもある。
【0028】
図3は本発明の実施形態による二つの蒸発源を有する蒸発源アセンブリ30の斜視図である。この実施形態では二つの蒸発源を有する蒸発源アセンブリに関して説明するが、これに限定されず、前記蒸発源アセンブリは三つ以上の複数の蒸発源を有することができる。
【0029】
図3を参照すると、本発明の実施形態による前記蒸発源アセンブリ30は外部ハウジング50の内部に第1蒸発源60と第2蒸発源70を有する。
【0030】
前記外部ハウジング50は、前記蒸発源60、70を支持する支持体として、前記蒸発源から発生する熱が外部に伝導されることを防ぐため冷却板からなっていることが好ましい。ここで、前記冷却板は冷媒を用いて前記蒸発源の内部の熱をクーリングすることができる。
【0031】
ここで、前記外部ハウジング50は、前記蒸発源から蒸着物質が噴射される入口に蒸着物質の蒸着方向を導いてくれるガイド80aを含むシールド(shield)80を備える。これによって、前記蒸発源から放出された蒸着物質が前記シールドにより反射されて前記蒸発源アセンブリを汚染するのを防ぐことができる。また、前記蒸着物質が放射される幅を制限することができ本発明のように少なくとも二つ以上の蒸発源を有する場合にあっては、前記それぞれの蒸発源から前記基板に蒸着する領域が常に重畳されるようにして、前記基板に均一な薄膜を形成するとともに、影効果(shadow effect)を減少させることができる。
【0032】
ここで、前記シールド80は、前記外部ハウジング50から独立させて分離及び交替が可能である。また、前記シールド80は蒸着物質がその表面に付いた後、再び落ちないようにサンディング(sanding)されたステンレス鋼の物質からなるのが好ましい。これによって、前記シールドに吸着された物質が蒸着工程の際に落とされて被蒸着基板に蒸着されるのを防ぐことができる。
【0033】
一方、前記第1蒸発源60と前記第2蒸発源70とは同様な蒸着物質を有することもあり、垂直に移動しながら均一な厚さを有する薄膜を被蒸着基板上に形成することができ、特に大型基板の適用に有効である。
【0034】
他方、前記第1蒸発源60と前記第2蒸発源70とは相異なる蒸着物質を有することもある。よって、蒸着工程の間に二つの蒸着物質を混合して前記被蒸着基板(S)上に蒸着するので前記被蒸着基板に形成された薄膜は均一な粗さを有することができる。すなわち、前記第1蒸発源60は被蒸着基板の一面に薄膜を形成する蒸着物質を噴射する蒸発源である。これとは異なって、第2蒸発源70は前記薄膜の特性を改善させるための添加剤を前記薄膜に含ませる蒸発源である。
【0035】
このように、複数の蒸発源を有する蒸発源アセンブリにあって、均一な薄膜を形成するためには各蒸発源から放射する蒸着物質は前記被蒸着基板の同一地点に照射するように誘導するのが好ましい。これによって、均一な厚さ及び均一な粗さを有する薄膜を形成することができる。
【0036】
図4及び図5は、本発明の実施形態による図3の蒸発源アセンブリをI−I′で切断した断面図であり、蒸着物質が被蒸着基板(S)の同一地点に照射されるように誘導する実施形態を説明するための図である。ここで、図には示されてないが、前記それぞれの蒸発源は蒸着物質を貯蔵して、一部が開口された貯蔵部と、前記貯蔵部の開口された部分と繋がって蒸着物質を噴射するノズル部と、前記ノズル部と前記貯蔵部を囲む形態のハウジングと、前記ノズル部と前記ハウジングとの間に介在されている加熱部を備えることができる。
【0037】
図4を参照すると、本発明の蒸発源アセンブリは外部ハウジング50が位置して、前記外部ハウジングは少なくとも一部が開口された開口部を備える二つのセルとして分けられて、第1セル50aには第1蒸発源60が支持台90によって固定されていて、第2セル50bには第2蒸発源70が支持台100によって固定されている。
【0038】
前記外部ハウジング50は、それぞれのセルに位置するガイド80aを有するシールド(shield)80を備える。この場合、前記それぞれのセルに位置するガイド80aを外部ハウジング50の水平方向に対して所定の角度で傾けることになるが、前記それぞれのセルに位置するガイド80aの延長線を前記被蒸着基板(S)の同一地点に合わせることが好ましい。これによって、前記ガイド80aの誘導に従って前記それぞれの蒸発源から吐出される蒸着物質が前記被蒸着基板(S)の同一領域(a)に蒸着できる。この場合、前記ガイド80aが前記外部ハウジングの水平方向に対して所定の角度で傾いてなかったり、前記ガイド80aが傾いていても、それぞれのセルに位置するガイド80aの延長線が一致していなかったりすれば被蒸着基板(S)の同一地点に蒸着物質を蒸着することができなくなり、均一な薄膜を形成することができない。
【0039】
また、前記複数のセルの内いずれか一つのセルに位置するガイド80a間の幅を調節して前記蒸発源から放出する蒸着物質の蒸着幅を制御することができる。これによって、前記それぞれの蒸発源から吐出された蒸着物質が被蒸着基板の同一領域(a)を外れる領域に蒸着するのを前記シールドで遮断することができる。よって、前記それぞれの蒸発源から吐出される蒸着物質を前記被蒸着基板の同一領域(a)にさらに精巧に蒸着させることができる。
【0040】
前記シールド80は、前記外部ハウジング50に独立して分離及び交替することができる。これによって、前記シールド80が汚染された際は交替、あるいは着脱することで、洗浄し易く再び組立てて使用することができる。また、前記シールド80は手軽に分離及び交替ができるので、前記それぞれの蒸発源から吐出される蒸着物質が前記被蒸着基板(S)の同一領域上に蒸着するようにアライメントの際に多様な形態を有するシールド80を交替しながら簡単に制御することができる。
【0041】
ここで、前記シールド80は蒸着物質がその表面に付着した後、再び落ちないようにサンディング(sanding)させたステンレス鋼の物質からなるのが好ましい。これによって、蒸着工程の際、前記シールド80から蒸着物質が落ちて前記被蒸着基板に蒸着されるのを防ぐことができて均一な薄膜を形成することができる。
【0042】
一方、前記第1蒸発源60と前記第2蒸発源70とは同様な蒸着物質を有することもあり、垂直に移動しながら均一な薄膜を基板上に蒸着することができる。
【0043】
または、前記第1蒸発源60と前記第2蒸発源70とは相異なる蒸着物質を有していて、蒸着工程間に二つの蒸着物質を混合して前記被蒸着基板(S)に蒸着することができる。すなわち、前記第1蒸発源60は被蒸着基板(S)の一面に形成される薄膜を形成する蒸着物質を有する蒸発源である。これとは異なって、第2蒸発源70は前記薄膜の特性を改善するために前記薄膜に含ませる添加物を有する蒸発源である。
【0044】
前記外部ハウジング50は冷媒を用いてその内部に位置する蒸発源から放出する熱が外部に放出するのを防ぐための冷却板からなる。
【0045】
さらに、図5のように、二つの蒸発源から放出される蒸着物質が前記被蒸着基板の同一領域上に蒸着するために前記二つの蒸発源の内少なくとも一つの蒸発源の角度を調節して、前記蒸発源は蒸着物質が吐出される開口部が前記基板の同一地点(a′)に向かうようにするのがさらに好ましい。これによって、前記蒸発源から放出する蒸着物質の方向を制御することがさらに容易になる。
【0046】
この場合、前記蒸発源の角度は、角度調節手段によって調節できる。前記角度調節手段は角度調節用支持台90、100を用いることができる。よく見ると、第1蒸発源60はその両側に高さが異なる第1支持台90aと第2支持台90bからなった角度調節用支持台90に固定することによって、前記第1蒸発源を所定の角度で調節し、前記第1蒸発源から放出する蒸着物質の蒸着方向を変えることができる。
【0047】
また、第2蒸発源70はその両側に高さが異なる第1支持台100aと第2支持台100bからなった角度調節用支持台100によって固定することによって、前記第2蒸発源を所定の角度で調節して前記第2蒸発源から放出する蒸着物質の蒸着方向を変えることができる。
【0048】
ここで、前述のように、少なくとも一つの蒸発源の角度を調節したり、二つの蒸発源の角度を調節して前記蒸発源が前記被蒸着基板(S)の同一地点(a′)に向けたりするようにできて、結局各蒸発源から放出する蒸着物質が前記被蒸着基板(S)の同一領域(a)にさらに精巧に蒸着することができる。
【0049】
図6は本発明の他の実施形態による図3の蒸発源アセンブリをI−I′で切断した断面図であり、蒸着物質が被蒸着基板(S)の同一地点に照射するように誘導する実施形態を説明するための図である。この場合、本発明では二つのセルとそれぞれのセルに二つの蒸発源を備える蒸発源アセンブリに対して限定して説明しているが、前記蒸発源アセンブリは三つ以上の複数のセルと複数の蒸発源を有することができる。
【0050】
図6を参照すると、本発明の蒸発源アセンブリは第1セル100aと第2セル100bとで分離された外部ハウジング100が位置する。前記第1セル100aには第1蒸発源200が位置して、前記第2セル100bには第2蒸発源300が位置する。
【0051】
前記蒸発源200、300は蒸着物質を貯蔵して、一部が開口された貯蔵部210、310と、前記貯蔵部210、310の開口された部分と繋がって蒸発された蒸着物質を噴射するノズル部220、320と、前記貯蔵部210、310及び前記ノズル部220、320を囲む形態のハウジング230、330と、前記貯蔵部210、310と前記ハウジング230、330との間に介在されている加熱部を有する構造からなる。
【0052】
前記ノズル部220、320は、前記貯蔵部310から蒸発される蒸着物質の粒子をおおよそ垂直で立ててある被蒸着基板(S)の一面に噴射して、前記蒸着物質の粒子が前記被蒸着基板(S)の一面に蒸着、分布される形態を決める役目をする。
【0053】
この場合、前記ノズル部220、320は前記ノズル部を成すボディー221、321と、前記ボディーを貫く貫通ホール222、322からなる。ここで、前記ノズル部を成す貫通ホール222、322を通って前記貯蔵部210、310から蒸発された蒸着物質が外部、すなわち被蒸着基板(S)に向けて放出される。ここで、前記貫通ホール222、322は前記ハウジング230、330に対して所定の角度で傾いていることもある。この場合、前記貫通ホールの傾きによって前記蒸発源から放出される蒸着物質の蒸着方向が調節できる。この場合、前記それぞれ蒸発源内に備えられた前記それぞれノズル部の貫通ホール222、322は、被蒸着基板の一地点に向いているのがさらに好ましい。これによって、前記被蒸着基板(S)に前記各蒸発源から放出した蒸着物質が同一領域(b)に蒸着できるように誘導することができ、均一な薄膜を形成することができる。
【0054】
また、前記ノズル部220、320は、熱伝導度が優れた黒鉛(graphite)、またはこの等価物からなることができるが、本発明でその材質を限定するのではない。また、前記ノズル部220、320は、開口された形態によって蒸着物質粒子の噴射される形態が調節可能なので、前記貯蔵部210、310内の有機物の均一な蒸発が可能となるように制御することができる。
【0055】
前記貯蔵部210、310は前記被蒸着基板(S)上に蒸着しようとする蒸着物質を貯蔵する部分として、一般的にるつぼからなる。また、前記貯蔵部210、310は熱伝導度が優れた黒鉛(graphite)、またはこの等価物からなることができるが、本発明ではその材質を限定するものではない。
【0056】
前記貯蔵部210、310からクラスタ(cluster)型の蒸着物質が飛ぶことを防ぐために前記貯蔵部の開口された一面の隣接した領域、または前記ノズル部のボディーに位置する飛び防止膜をさらに備えることができる。
【0057】
前記ハウジング(housing)220、330は、前記貯蔵部310を囲む形態となり、前記貯蔵部310を外部環境と隔離する役目をする。
【0058】
前記加熱部240、340は前記貯蔵部210、310と前記ハウジング230、330との間に介在されて前記貯蔵部310に貯蔵された蒸着物質の蒸発ができるように加熱する役目をする。
【0059】
また、前記蒸発源200、300は前記ハウジング230、330の内壁に付着する内部熱反射板250、350をさらに有することもできる。前記内部熱反射板250、350は前記加熱部240、340で発生される熱を反射して、前記加熱部240、340の熱効率を増加させるためのものである。
【0060】
また、前記蒸発源200、300は前記ノズル部220、320の外部面に付着する熱遮断手段260、360をさらに備えることができる。前記熱遮断手段260、360は前記ノズル部220、320を通って熱が放出されて前記被蒸着基板(S)に影響を与えるのを防ぐ。
【0061】
ここで、一方、前記第1蒸発源200と前記第2蒸発源300とは同様な蒸着物質を有することもあり、垂直に移動しながら均一な薄膜を被蒸着基板(S)上に蒸着することができる。または前記第1蒸発源200と前記第2蒸発源300とは相異なる蒸着物質を有していて、蒸着工程の間に二つの蒸着物質を混合して前記被蒸着基板に蒸着することができる。
【0062】
ここで、前記各蒸発源のセルに位置するガイドを有するシールド270をさらに備えることによって、前述したように、前記それぞれの蒸発源から放出される蒸着物質の蒸着方向及び蒸着幅を調節して、前記被蒸着基板の同一領域で蒸着物質が蒸着できるようにさらに精巧に誘導することができる。
【0063】
これによって、前記それぞれの蒸発源から放出される蒸着物質は、前記ハウジングの水平方向に対して所定の角度で傾いた貫通ホールを介して前記被蒸着基板の同一蒸着領域(b)に蒸着される。この場合、前記被蒸着基板、または前記蒸発源アセンブリを移動させることによって、均一な薄膜を形成することができる。
【0064】
上述では、本発明の好ましい実施の形態を参照しながら説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、添付の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、本発明を多様に修正及び変更させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は有機電界発光ディスプレーの製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 蒸着装置、
20 チャンバ、
30 蒸発源アセンブリ、
40 蒸発源アセンブリ移送手段、
60、200 第1蒸発源、
70、300 第2蒸発源、
80 シールド(shield)、
90、100 角度調節支持台、
220、320 ノズル部、
221、321 貫通ホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が開口されたセルを少なくとも二つ以上備え、前記各セルの開口部の両側に位置して、被蒸着基板に向かうガイドを備えるシールドを含む外部ハウジングと、前記各セルの内部に位置するそれぞれの蒸発源と、を含め、
前記それぞれの蒸発源は前記セルの開口された方向と等しい一部が開口された貯蔵部と、
前記貯蔵部の開口された部分と繋がるボディーと前記ボディーを貫く貫通ホールとを備えるノズル部と、
前記ノズル部と前記貯蔵部とを囲む形態のハウジングと、
前記ハウジングと前記ノズル部との間に介在されている加熱部と、を備え、
前記ノズル部を成す貫通ホールは前記ハウジングの水平方向に対して所定の角度で傾き、
前記各セルの開口部の両側に位置する前記ガイドのうち、同じ側に位置する前記ガイドの先端と前記蒸発源とを結んだ延長線が同一地点に向かうことを特徴とする蒸発源アセンブリ。
【請求項2】
前記それぞれのシールドのガイドはその延長線が同一地点に向かうように、少なくとも一つのガイドは所定の角度で傾いていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発源アセンブリ。
【請求項3】
前記蒸発源の内少なくとも一つの蒸発源は被蒸着基板の一面に薄膜を形成する蒸着物質を有し、他の少なくとも一つの蒸発源は前記薄膜に含ませるための前記蒸着物質とは異なる添加剤を有することを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発源アセンブリ。
【請求項4】
請求項1から3の蒸発源アセンブリを含むことを特徴とする蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−197336(P2009−197336A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137662(P2009−137662)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【分割の表示】特願2005−194444(P2005−194444)の分割
【原出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】