説明

蒸着装置

【課題】 本発明は、基板上に略均一な厚さとなるよう再現性良く、蒸着膜を蒸着することのできる蒸着装置を提供することを課題とする。。
【解決手段】 蒸着材料を収容する収容部101と、収容部101を加熱する加熱手段103と、収容部101にキャリアガスを導入するためのガス導入口101Aと、キャリアガスにより、気化又は昇華された蒸着材料を放出する放出口101Bと、放出口101Bに設置され、収容部101内の圧力を調整する圧力調整手段104と、収容部101を冷却する冷却部108とを備えた蒸着源を複数設け、複数の蒸着源を断熱部材110を介して供給用管路92に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置に係り、特に有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、「有機ELディスプレイ」とする)に適用される有機膜を蒸着する蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、小型化が容易であって、消費電力が小さく、面発光が可能であり、液晶ディスプレイと比較して印加電圧を大幅に低減できるため、フラットディスプレイ等の各種表示装置での利用が注目されている。このような有機ELディスプレイには、複数の有機EL素子が設けられている。
【0003】
図1は、有機EL素子の断面図である。図1に示すように、有機EL素子10は、大略するとガラス基板11上に、陽極12と、正孔輸送層13と、発光層14と、電子輸送層15と、陰極16とを順次積層させた構成とされている。陽極12は、正孔輸送層13に正孔を注入するためのものであり、正孔輸送層13の材料には、例えば、透明なITO、InZnO、酸化錫等を用いることができる。正孔輸送層13は、正孔を発光層14に輸送するためのものであり、正孔の移動度が高く、輸送電荷量の大きい層である。正孔輸送層13の材料には、例えば、TCMA、m−MTDAPB、p−DPA−TDAB等を用いることができる。発光層14は、電子と正孔との再結合により発光する層であり、発光層14の発光材料には、例えば、多環芳香族炭化水素、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体化合物等を用いることができる。電子輸送層15は、発光層14に電子を輸送するためのものであり、電子の移動度の高い層である。電子輸送層15の材料には、例えば、オキサジアゾール誘導体(PBD)、トリアゾール誘導体(TAZ)等を用いることができる。このような、有機膜である正孔輸送層13、発光層14、及び電子輸送層15は、真空蒸着装置により形成される。
【0004】
次に、図2を参照して、従来の真空蒸着装置20について説明する。図2は、従来の真空蒸着装置の概略を示した断面図である。なお、図2において、矢印Aは、蒸発した有機材料の進行方向を示している。真空蒸着装置20は、大略すると真空容器21と、シャッター駆動部22と、シャッター支持体23と、シャッター24と、蒸着源31と、排気装置35とを有した構成とされている。
【0005】
真空容器21には、真空容器21内を真空にするための排気装置35が接続されている。シャッター支持体23は、真空容器21を貫通するように配設されている。真空容器21内に位置するシャッター支持体23の端部には、シャッター24がシャッター支持体23と一体的に設けられている。シャッター駆動部22は、真空容器21上に設けられており、真空容器21を貫通するシャッター支持体23と接続されている。シャッター駆動部22は、基板27に対して有機膜を蒸着可能、或いは、基板27に有機膜が蒸着されないようにシャッター支持体23を介して、シャッター24を開閉させるためのものである。
【0006】
有機膜が蒸着される基板27は、シャッター24の上方の真空容器21内に図示していない支持機構により支持されている。また、基板27とシャッター24との間には、マスク26が設けられている。このマスクには、複数の開口部が設けられており、この開口部を介して、基板27に有機膜が蒸着される。蒸着源31は、真空容器21の底板21Aに基板27と対向するように配設されている。蒸着源31は、有機材料(蒸着材料)を収容するための蒸発皿32と、蒸発皿32を加熱するためのヒータ34とを有した構成とされている。
【0007】
このような構成とされた真空蒸着装置20では、ヒータ34により加熱された有機材料を蒸発させることで、基板27に有機膜を形成していた。また、有機膜の蒸着速度は、蒸発皿32を加熱するヒータ34の温度を調節することで行っていた(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2000−282219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、基板27が大型化された場合には、基板27の中央付近に形成された有機膜の厚さと、基板27の外周付近に形成された有機膜の厚さとが異なってしまうため、基板27上に均一な厚さとなるように有機膜(蒸着膜)を形成することが困難であるという問題があった。また、蒸着された有機膜の基板27間の再現性が悪いという問題があった。
【0009】
さらに、従来の真空蒸着装置20では、有機膜の蒸着速度の制御をヒータ34の温度調節により行っていたため、蒸発皿32内の有機材料の残量や、蒸発皿32と有機材料との間の接触面積等の影響により、有機膜の蒸着速度を精度良く制御することが困難であるという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、蒸着膜の蒸着速度を精度良く制御して、基板上に略均一な厚さとなるよう再現性良く、蒸着膜を蒸着することのできる蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載したように、
処理容器と、
該処理容器内を排気する排気手段と、
前記処理容器に収容され、蒸着膜が形成される基板を保持する基板保持部と、
蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源とを備えた蒸着装置であって、
前記蒸着源は、
前記蒸着材料を収容する収容部と、
該収容部を加熱する第1の加熱手段と、
前記収容部にキャリアガスを導入するためのガス導入口と、
前記キャリアガスにより、気化又は昇華された前記蒸着材料を放出する放出口と、
前記放出口に設置された前記収容部内の圧力を調整する圧力調整手段とを有し、
前記収容部を冷却する冷却手段とを設けたことを特徴とする蒸着装置により、また、
請求項2に記載したように、
気化又は昇華された前記蒸着材料を基板に供給する供給用管路を備え、
前記供給用管路には、該供給用管路を加熱する第2の加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置により、また、
請求項3に記載したように、
前記蒸着源は、断熱部材を介して前記供給用管路と接続されることを特徴とする請求項2記載の蒸着装置により、また、
請求項4に記載したように、
前記キャリアガスを加熱するガス加熱手段を設け、
該ガス加熱手段により加熱されたキャリアガスを前記収容部に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸着装置により、また、
請求項5に記載したように、
処理容器と、
該処理容器内を排気する排気手段と、
前記処理容器に収容され、蒸着膜が形成される基板を保持する基板保持部と、
蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源とを備えた蒸着装置であって、
前記蒸着源は、
蒸着材料を収容する収容部と、
該収容部を加熱する第1の加熱手段と、
前記収容部にキャリアガスを導入するためのガス導入口と、
前記キャリアガスにより、気化又は昇華された前記蒸着材料を放出する放出口と、
前記放出口に設けられた前記収容部内の圧力を調整する圧力調整手段とを有し、
前記蒸着源を複数設けたことを特徴とする蒸着装置により、また、
請求項6に記載したように、
前記複数の蒸着源から放出される気化又は昇華された複数の蒸着材料を前記基板に供給する供給用管路を備えたことを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置により、また、
請求項7に記載したように、
前記複数の蒸着源は、断熱部材を介して前記供給用管路と接続されることを特徴とする請求項5または6に記載の蒸着装置により、また、
請求項8に記載したように、
複数の前記蒸着源が接続された前記供給用管路を、複数有することを特徴とする請求項6または7記載の蒸着装置により、また、
請求項9に記載したように、
複数の前記供給用管路は、前記基板の面方向に沿って配列されることを特徴とする請求項8記載の蒸着装置より、また、
請求項10に記載したように、
前記複数の蒸着源は、前記蒸着膜が形成される基板の面と直交する方向に配列されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の蒸着装置により、また、
請求項11に記載したように、
前記蒸着膜が形成される基板の面と直交する方向に配列された前記複数の蒸着源を、前記基板の面方向に複数配列したことを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の蒸着装置より、また、
請求項12に記載したように、
前記供給用管路には、該供給用管路を加熱する第2の加熱手段を設けたことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の蒸着装置により、また、
請求項13に記載したように、
前記供給用管路は、気化又は昇華された前記複数の蒸着材料を前記基板に供給する供給口を有しており、
前記供給口の開閉を行うシャッター機構を設けたことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の蒸着装置により、また、
請求項14に記載したように、
前記処理容器内を、前記基板保持部が設けられた第1の側と、前記複数の蒸着源が設けられた第2の側に略分離する隔壁を設け、
前記第2の側が前記第1の側より低圧となるように前記第2の側を排気するよう構成したことを特徴とする請求項5乃至13のいずれか1項に記載の蒸着装置により、また、
請求項15に記載したように、
前記基板保持部は、前記基板の面方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項5乃至14のいずれか1項に記載の蒸着装置により、解決する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸着膜の蒸着速度を精度良く制御して、基板上に略均一な厚さとなるよう再現性良く、蒸着膜を蒸着することのできる蒸着装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施例に関して図面に基づき、説明する。
【実施例1】
【0014】
図3は、本発明の実施例1による蒸着装置を模式的に示した断面図である。
【0015】
図3を参照するに、本実施例による蒸着装置50は、処理容器58と、処理容器58に設置された、蒸着源100A〜100Cを含む、蒸着ユニット85Bを有しており、例えばガラス基板などからなる被処理基板70の成膜面70Aに、蒸着源100A〜100Cから気化または昇華された複数の蒸着材料112a〜112cを蒸着する構造を有している。
【0016】
本実施例による蒸着装置では、蒸着源100A〜100Cから気化または昇華される蒸着材料112a〜112cが、被処理基板70に安定に供給されるよう構成されていることを特徴としている。また、前記蒸着装置50は、前記蒸着ユニット85Bと同様の構造を有する蒸着ユニットをさらに複数有しているが、上記の蒸着源の構成の詳細、また複数の蒸着ユニットの配置については、図4乃至図5において後述する。なお、本図では蒸着源100A〜100Cの詳細な構成は図示を省略している。
【0017】
次に、蒸着装置50の概略について説明する。なお、以下文中、X,X方向は被処理基板70の成膜面70Aに対して平行であって、被処理基板70の搬送される方向に略平行な方向であり、Z,Z方向は、被処理基板70の成膜面70Aの法線方向と平行な方向を示している。さらに、X,X方向およびZ,Z方向と直交する方向をY,Y方向とする。また、X,X方向、Y,Y方向およびZ,Z方向は、それぞれ厳密に平行または垂直を意味するものではなく、許容範囲を含むものとする。
【0018】
蒸着装置50は、大略すると基板搬送装置51と、蒸着装置本体55とを有した構成とされている。基板搬送装置51は、蒸着装置本体55に設けられた基板受渡部57Aを介して、蒸着装置本体55内に被処理基板70をロード又はアンロード(回収)するためのものである。
【0019】
蒸着装置本体55は、大略すると処理容器58と、基板保持機構60と、リモートプラズマ発生部66と、位置センサ67と、アライメント装置73と、膜厚モニター装置75と、支持体125と、排気手段126と、蒸着源100A〜100Cを備えた蒸着源ユニット85Bとを有した構成とされている。
【0020】
処理容器58は、蓋体56と、真空容器57と、フレーム部72とを有した構成とされている。蓋体56は、真空容器57の上部を覆うように配設されている。真空容器57の底部には、蒸着源ユニット85Bの一部を真空容器57内に突出させるための開口部57Bと、ターボ分子ポンプ129を配置するための開口部57Cと、アライメント装置73の一部を貫通させるための開口部57Dとが形成されている。また、真空容器57の側面部には、真空容器57内に基板27をロード又はアンロードするための基板受渡部57Aが設けられている。
【0021】
フレーム部72は、空間Cを有しており、該空間Cは、真空容器57の下端部と隣接している。フレーム部72は、真空容器57を支持するためのものである。フレーム部72の空間Cには、アライメント装置73、膜厚モニター装置75、蒸着源ユニット85B、排気手段126等の一部が収容される。
【0022】
基板保持機構60は、真空容器57内(第1の側)に配設されており、大略するとガイド部材61と、支持体62と、被処理基板70を保持する基板保持部63と、図示していない駆動装置とを有した構成とされている。ガイド部材61は、真空容器57に設けられている。支持体62の一方の端部は、X方向に移動可能な状態でガイド部材61に支持されており、他方の端部には、基板保持部63が支持体62と一体的に配設されている。図示していない駆動装置は、支持体62と共に基板保持部63をX,X方向に移動させるためのものである。
【0023】
また、基板保持部63はESC(静電チャック)機構を有するようにしてもよく、この場合、被処理基板70の成膜面70Aに対して全面成膜(蒸着)が可能となるとともに、該被処理基板70の成膜面70A上にマスク151をさらに吸着することも可能である。この場合、マスク151と被処理基板70の隙間を小さくし、密着状態とすることが可能となるため、マスク151によるパターニングを精度良く実施することが可能となる。
【0024】
また、基板保持部63は、X,X方向に移動させながら成膜を行うために、被処理基板70の成膜面70Aに蒸着される蒸着膜の膜厚分布を良好とすることが可能であるが、さらに基板保持部63を、X,X方向に加えてY,Y方向に移動させながら蒸着を行うことも可能である。この場合、さらに蒸着される蒸着膜の膜厚分布を良好とすることが可能である。
【0025】
また、真空容器57内のクリーニングを行うためのリモートプラズマ発生部66は、図示していない管路により真空容器57と接続されており、例えば、Oラジカルを発生させ、このOラジカルを真空容器57内に導入し、真空容器57内に付着した蒸着膜と反応させることで、蒸着膜を分解除去して、真空容器57内のクリーニングを行うことができる。
【0026】
基板保持機構60に設置された位置センサ67は、被処理基板70の位置を検出する機構を有している。
【0027】
アライメント装置73は、大略するとアライメント装置本体78と、ステージ部74とを有した構成とされている。アライメント装置本体78は、フレーム部72内に配設されており、被処理基板70を直接保持するステージ部74は、真空容器57内に配設されている。アライメント装置73は、基板搬送装置51から搬送された被処理基板70の位置合わせを行うためのものである。位置合わせされた被処理基板70は、成膜面70Aが下側になるよう基板保持部63に受け渡され、基板保持部63に保持される。
【0028】
膜厚モニター装置75は、大略すると膜厚センサ76と、膜厚演算部77とを有した構成とされ、被処理基板70に蒸着された蒸着膜の厚さに関するデータを取得するためのものである。
【0029】
また、排気手段126は、真空容器57内(第1の側)を真空排気し、真空容器57内を減圧状態とするためのものである。排気手段126は、大略するとドライポンプ127と、ターボ分子ポンプ129と、真空用管路128とを有した構成とされている。ドライポンプ127は、ターボ分子ポンプ129の補助排気ポンプであり、フレーム部72の外部に設けられている。ターボ分子ポンプ129は、真空容器57の開口部57Cに挿入されると共に、真空容器57に支持されている。ターボ分子ポンプ129は、真空容器57内を高真空状態とするためのものである。また、ドライポンプ127とターボ分子ポンプ129とは、真空用管路128により接続されている。
【0030】
また、蒸着ユニット85Bは、筐体86を有し、筐体86の一部が真空容器57の開口部57Bに挿入されるようにして設置され、支持体125によってフレーム72の底部に支持されている。筐体86の内部の空間Fには、蒸着源100A〜100Cが設置され、該蒸着源100A〜100Cは、供給口93が形成された供給用管路92に接続されている。また、供給口93は、筐体86に形成された開口部86Aより露出した構造になっている。前記蒸着源100A〜100Cで気化または昇華した蒸着材料は、供給用管路92を介して、供給口93から真空容器57に供給され、被処理基板70に到達する構造になっている。
【0031】
なお、図3では、供給ユニット85Bの詳細や、供給ユニット85Bに接続される配管、また蒸着源などの詳細の図示を省略しているため、次に、蒸着源ユニット85Bの詳細について、図4に基づいて説明する。図4は、図3に示した蒸着ユニット85Bの構成の詳細を模式的に示した断面図である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、一部説明を省略する。
【0032】
図4を参照するに、蒸着ユニット85Bは、筐体86の内部に、蒸着源100A〜100Cを有し、それぞれの蒸着源100A〜100Cが、供給用管路92に接続された構成とされている。すなわち、複数の蒸着源100A〜100Cにより気化又は昇華された複数の蒸着材料112a〜112cは、供給用管路92を介して真空容器57に到達し、被処理基板70に供給される構造になっている。このため、複数の蒸着材料を用いて、複数の元素を有する蒸着膜を容易に形成することが可能な構成となっている。
【0033】
しかし、従来の蒸着装置では、蒸着源から気化または昇華する蒸着材料の量を制御することは困難であり、形成される蒸着膜の均一性などの再現性が悪く、さらに複数の元素の構成比を制御することが困難であるという問題があった。しかし、本実施例による蒸着源100A〜100Cでは、以下に示すように構成しているため、蒸着源100A〜100Cから気化または昇華する蒸着材料の量を安定させ、そのために蒸着速度を安定させて再現性の良好な成膜を実施することが可能となっている。まず、蒸着源100Aを例に挙げて説明する。
【0034】
蒸着源100Aは、内部に蒸着材料112aを保持する空間Lが画成され、空間Lから空間Lの外部と接続される、ガス導入口101A、放出口101Bが形成された収容部101を有している。放出口101Bは供給用管路の側に、ガス導入口101Aは、放出口101Bと対向する側に形成されている。ガス導入口101Aからは、ガス供給部105に設置されたガス配管107に形成されたガス孔を介して、空間Lに、例えばArやNなどの不活性ガスからなるキャリアガスが供給される。また、ガス配管107には、ガス供給装置122が接続されたガス供給配管123が接続されている。
【0035】
また、蒸着源100Aの収容部101は、放出口101Aが、供給用管路92に形成された開口部である導入部94に対応するようにして、供給用管路92に接続されている。また、前記放出口101Bには、例えばオリフィスなどからなる、圧力調整手段104が設置されている。
【0036】
また、収容部101には、例えばヒータなどからなる加熱手段103が設けられ、収容部に保持された蒸着材料112aを加熱して気化または昇華させることが可能に構成されている。例えば、加熱手段103であるヒータは、下部(被処理基板70から離間する側)と上部(被処理基板70側)に分割して構成されるが、これに限定されず、蒸着材料112aを安定に気化または昇華させる機能を有していればよい。
【0037】
例えば、蒸着源100Aからを気化または昇華させた蒸着材料112aを被処理基板70に供給する場合には、以下のようにする。まず、加熱手段103により蒸着材料112aを加熱し、蒸着材料112aを気化または昇華させ、空間Lに滞留させるようにする。ここで、ガス導入口101Aより、キャリアガスを空間Lに導入し、気化または昇華した蒸着材料112aは、該キャリアガスとともに、放出口101Bに設置された圧力調整手段104を介して供給用管路92に供給され、さらに供給用管路92に形成された供給口93から真空容器57内の被処理基板70に供給される。
【0038】
本実施例による蒸着源100Aの場合、気化または昇華した蒸着材料112aの供給にキャリアガスを用いており、さらに圧力調整手段104を用いて収容部101内の空間Lの圧力が安定し、かつ所望の圧力となるようにしている。そのため、被処理基板70に供給される気化または昇華した蒸着材料112aの量が安定する効果を奏する。
【0039】
例えば、空間Lは、蒸着材料112aの供給の安定のため、蒸着材料112aが飽和した状態である蒸着材料112aの飽和蒸気圧となることが好ましい。飽和蒸気圧とは、収容部101に収容された蒸着材料112aが気化又は昇華する量M1と、圧力調整手段104から供給用管路92に放出される気化又は昇華された有機材料112aの量M2とがM1>M2となるような関係が成り立つ場合に到達する圧力のことである。
【0040】
この場合、前記量M1は、収容部101に収容された有機材料112aが収容部101内の雰囲気(減圧)に触れている面積Sと収容部101内(空間L)の圧力Pに主に依存し、前記量M2は、収容部101内(空間L)と供給用管路92の圧力差dPと、圧力調整手段104のコンダクタンスに主に依存する。そこで、飽和蒸気圧となるように、これらを制御することが好ましく、例えば、圧力調整手段104の、例えばオリフィスなどのコンダクタンスを調整する方法がある。また、飽和蒸気圧に到達していなくても、収容部101内の気化または昇華の状態が安定な状態であれば良い。また、圧力調整手段104は、オリフィスに限定されず、例えば多孔質板、多孔質材料(ポーラス材料)などを用いることが可能であり、収容部101内の圧力を所望の値にすることが可能な機能を有していればその形状・材質は限定されるものではない。
【0041】
このように、本実施例による蒸着源100Aでは、気化又は昇華した蒸着材料112aを安定に被処理基板70に供給することが可能であり、蒸着速度を安定させることが可能である。
【0042】
また、気化または昇華された蒸着材料を供給する場合、その条件によっては凝固・凝縮が生じて安定供給の問題となる場合がある。そこで、本実施例による蒸着ユニット85Bでは、気化または昇華した蒸着材料112aが安定して供給されるように、蒸着源100Aや供給用管路92を以下のように構成している。
【0043】
まず、蒸着源100Aには、冷却用管路109を有する冷却部108が設置され、蒸着源100Aを冷却することが可能となっており、また、供給用管路92を覆うように、例えばヒータからなる加熱手段144が設置されている。この場合、冷却用管路109は、冷却水用管路141を介して、冷却水供給装置140に接続され、冷却水が冷却部108を冷却する構成となっている。
【0044】
これは、気化または昇華した蒸着材料112aが、被処理基板70に供給される供給用経路92において、例えば、蒸着源100Aから供給用管路92において凝固または凝縮が生じないように、供給用経路92の温度を制御するためのものであり、そのために上記構成としている。すなわち、蒸着源の収容部101で気化又は昇華された蒸着材料112aが被処理基板70に供給される経路の途中で温度が降下した場合には、気化又は昇華された蒸着材料112aの凝固または凝縮が生じてしまい、気化又は昇華された蒸着材料112aを安定に被処理基板70に供給できない懸念が生じてしまうため、これらの温度の降下を防止する構成としている。
【0045】
この場合、蒸着源100Aに冷却用管路109を設置して蒸着源100Aを冷却し、また供給用管路92には加熱手段144を設けて供給用管路92を加熱し、該供給用管路92の温度が蒸着源100Aの温度より高くなるように、または該供給用管路92の内部の空間Jの温度が、空間Lの温度より高くなるようにしている。すなわち、蒸着材料112aの供給経路で温度勾配を設け、供給される気化または昇華した蒸着材料112aの流れの下流側(または被処理基板70側で)温度が高くなるように構成することで、気化または昇華した蒸着材料112aの凝固または凝縮を防止し、気化または昇華した蒸着材料112aが安定に供給されるようにしている。
【0046】
この場合、冷却部108を用いずに、すなわち蒸着源100Aを冷却することなく上記の温度勾配を形成しようとした場合、温度差を形成することが困難であり、特に大きな温度勾配を形成することが難しく、また温度勾配を形成するのに時間を要する問題があった。そこで、蒸着源100Aに、加熱手段103と冷却部108(冷却手段)とを設けることで、蒸着源100Aの加熱と冷却との双方を実施可能とし、蒸着源100Aの温度制御を良好に、かつ速やかに実施することが可能となっている。また、複数の蒸着源を用いる場合に、蒸着源毎に異なる温度に制御を行うことが容易となる効果を奏する。
【0047】
また、この場合、前記蒸着源100Aが、熱伝達係数の小さい、いわゆる断熱材料110を介して供給用管路92に接続されていると、蒸着源100Aと供給用管路92との温度差を大きくすることが容易となり、上記の温度勾配を形成するために好適である。このため、本実施例による蒸着ユニットでは、蒸着源100Aは、断熱部材110を介して供給用管路92に接続されている。
【0048】
また、収容部101の温度の安定のために、収容部101に供給されるキャリアガスを予備加熱しておくことが好ましく、本実施例による蒸着ユニット85Bでは、キャリアガスを予備加熱するガス加熱手段142を、ガス供給用管路に設置し、予備加熱されたキャリアガスが収容部に供給されるようにしている。
【0049】
また、蒸着源100B、100Cについても蒸着源100Aと同様の構成を有しており、蒸着源100Aと同様の機能を有している。例えば、蒸着源100Bでは蒸着材料112bを、蒸着源100Cでは蒸着材料112cを気化または昇華させて蒸着材料112aと共に被処理基板70に供給することが可能である。このため、複数の元素を有する蒸着膜を、安定に再現性よく形成することが可能であり、さらに、形成される蒸着膜中の元素の構成比の再現性も良好とすることができる。
【0050】
また、複数の蒸着材料112a〜112cを用いる場合、蒸着源100A〜100Cにおいて、必要に応じて加熱手段103での加熱温度、また冷却部108での冷却量などを任意に変更することが可能である。
【0051】
また、筐体86は、第1の側である真空容器57内の空間Dと、第2の側である蒸着源100A〜100Cが収容された筐体86内の空間Fとを略分離させる隔壁の機能を有しており、以下に示すように、前記第2の側が、前記第1の側より低圧となるように構成されている。
【0052】
筐体86に形成された、供給用管路92の供給口93を露出させるための、開口部86Aの径は、供給口93よりも大きく形成されており、開口部86Aが形成された筐体86と供給口93との間には、隙間Gが形成されている。
【0053】
また、筐体86の底部には開口部86Bが形成され、該開口部86には排気用管路89を介して排気手段90が接続されている。ここで、空間Fを排気手段90により真空排気することで、空間Fが空間Dより低圧となるようにしている。
【0054】
このように筐体86に接続される排気手段90を設け、第1の側である真空容器57内の空間Dと、第2の側である蒸着源100A〜100Cが収容された筐体86内の空間Fとを略分離させ、排気装置90により真空容器57内の雰囲気よりも筐体86内の雰囲気Fを低圧にすることにより、隙間Gの近傍に位置する真空容器57内の雰囲気を、空間Fを介して排気することができる。
【0055】
これにより、例えば、蒸着源ユニット85Bの供給口93から気化又は昇華された蒸着材料112aが放出された際、放出された気化又は昇華された蒸着材料112aが被処理基板70の成膜面70A方向(X−Y方向)に広がることを抑制できる。また、例えば、並列する複数の蒸着源ユニット85A〜86Cを用いて順次連続して蒸着膜を形成する場合において、蒸着源ユット85A〜86Cから放出された気化又は昇華された蒸着材料112a〜112cが、隣接する蒸着源ユニット側に広がることが抑制されるので、隣接する蒸着ユニットの間で蒸着材料が混合されることが抑制され、良好な膜質の蒸着膜を被処理基板70に連続して形成することができる。
【0056】
また、本実施例による蒸着ユニット85Bは、供給用管路92の供給口93を開閉するシャッター機構96を有している。該シャッター機構96は、大略すると遮蔽板98と、支持体97と、駆動装置99とを有した構成とされている。シャッター機構96は、供給用管路92の内部から供給口93の開閉を行うためのものである。支持体97は、供給用管路92及び筐体86を貫通するように配置されている。供給用管路92内に位置する支持体97の端部には、遮蔽板98が支持体97と一体的に設けられており、他方の端部には、駆動装置99が設けられている。支持体97は、Z,Z方向に移動可能な構成とされている。遮蔽板98は、供給口93と対向するよう配置されている。駆動装置99は、支持体97と共に供給口93をZ,Z方向に移動させるためのものである。駆動装置99により、遮蔽板98が上方向に移動して、遮蔽板98が供給用管路92に当接されることで供給口93は閉じられ、遮蔽板98が供給口93から離間することで供給口93は開放される。
【0057】
このような、シャッター機構96を設けることにより、気化又は昇華された蒸着材料を放出するか否かの切り替えを行うことができると共に他の蒸着ユニットから放出された気化又は昇華された蒸着材料が、供給用管路92内に流入することを防止できる。
【0058】
また、蒸着源100A〜100Cは、被処理基板70の成膜面70Aと直交する方向(Z,Z方向)に配列され、また供給用管路92も被処理基板70の成膜面70Aと直交する方向(Z,Z方向)に延伸するように形成されており、蒸着ユニットを小型化することが可能な構成であるが、本実施例に限定されず、複数の蒸着源は様々に配置・配列することが可能である。
【0059】
また、本実施例による蒸着装置50は、上記に示した蒸着ユニット85Bと同様の構造を有する蒸着ユニットを複数有しており、複数の蒸着ユニットを用いて、多層構造を有する蒸着膜を形成することが可能である。
【0060】
図5は、複数の蒸着ユニットの配置の一例を平面視した図である。なお、図5に示すように、蒸着ユニット85A〜85Cは、X,X方向に配列されているが、先の図3及び図4では、蒸着ユニット85Bの説明がし易いように図5のB−B線方向の蒸着ユニット85Bの断面図を図示した。したがって、図3及び図4に示した蒸着ユニット85BのX,X方向は、図5のY,Y方向に相当する。また、図5において、先に説明した構成部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図5を参照するに、本実施例による蒸着装置50は、上記の蒸着ユニット85Bと同様の構造を有する蒸着ユニット85A、85Cをさらに有している。この場合、蒸着ユニット85A〜85Cは、被処理基板70の成膜面70A方向に沿って配列されている。すなわち、蒸着ユニットが有する蒸着源や、供給用管路92も被処理基板70の成膜面70A方向にそって配列されている。
【0062】
また、この場合、蒸着ユニット100A〜100Cが、被処理基板70の搬送方向(X,X方向)、すなわち、被処理基板70が基板保持機構60によって移動される方向と略平行な方向に配列されると、蒸着ユニットを複数用いて、多層構造を有する蒸着膜を容易に、また被処理基板70の面内の均一性を良好として形成することが可能となる。
【0063】
また、図6は、図4に示した蒸着源をS視した図であり、図7は、ガス配管の斜視図である。なお、図6において、冷却部108を図示することは省略する。図4に示すように、ガス供給部105は、ガス配管107を備え、放出口101Bが形成された側とは反対側の収容部101に配設されている。ガス供給部105は、ガス供給配管123を介してガス供給装置122と接続されている。図7に示すように、収容部101と対向する側のガス配管107には、キャリアガスを収納部101内に供給するための複数の供給穴107Aが形成されている。ガス配管107は、複数の供給穴107Aが収容部101のガス導入口101Aと対向するよう配置されている。このように、複数の供給穴107Aをガス配管107に設けることで、ガス供給装置122からキャリアガスが供給された際、収容部101内に略均一となるようにキャリアガスを供給することができる。
【0064】
冷却部108は、冷却用管路109を有した構成とされている。冷却部108は、ガス供給部105を介して、収容部101と熱的に接続されている。冷却部108は、収容部101内の温度を低下させるためのものである。冷却用管路109は、冷却水供給装置140から供給された冷却水により、収容部101を冷却するためのものである。
【0065】
このような冷却部108を蒸着源100A〜100B毎に設けることにより、収容部101内の温度調整を容易に行うことができる。これにより、例えば、収容部101内の温度が供給用管路92内の温度よりも高くなった際、冷却部108により収容部101を冷却して、収容部101内の温度を供給用管路92内の温度よりも低くすることができる。なお、冷却部108の配設位置は、冷却部108が収容部101を冷却することのできる位置であれば良く、本実施例の冷却部108の配設位置に限定されない。
【0066】
以上説明したような蒸着源100A〜100Bを備えた蒸着源ユニット85A〜85Cを設けることにより、被処理基板70の面積が大きい場合でも、被処理基板70上に、膜質に優れた複数(本実施例の場合は3種類)の多元系の蒸着膜を略均一の厚さとなるよう、再現性良く蒸着することができる。なお、本実施例の蒸着源ユニット85A〜85Cには、それぞれ3個の蒸着源100A〜100Cを設けた構成としたが、蒸着源の個数は蒸着する蒸着膜に応じて、適宜選択することができ、本実施例の蒸着源の個数に限定されない。さらに、本実施例の蒸着装置50では、3個の蒸着源ユニット85A〜85Cを設けたが、蒸着源ユニットの個数は蒸着する膜の種類(数)に応じて、適宜選択することができ、本実施例の蒸着源ユニットの個数に限定されない。また、断熱部材110に圧力調整機構104を一体的に設けた構成としても良い。
【実施例2】
【0067】
次に、実施例1に示した蒸着装置50を用いて有機EL素子160を以下のように作成した。図8は、有機EL素子の断面図である。図8に示すように、有機EL素子160は、ガラス基板11上に、真空蒸着法により、陽極161としてITO膜を膜厚100nmと、正孔輸送層163としてN,N’-bis(3-methoxyphenyl)-N,N’-diphenyl-[1.1’-biphenyl]-4.4’-diamine(TPD)を膜厚50nmと、発光層164としてホスト材であるアルミノキノリノール錯体(Alq3)にルブレンをドーピングした層を膜厚30nmと、電子輸送層165として2-(biphenyl-4-yl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazone(PBD)を50nmと、陰極166としてAl/LiF膜を100nmとを順次形成した。
【0068】
発光層164は、蒸着ユニット85Aの蒸着源100Aに粉末状のアルミノキノリノール錯体(Alq3)を収容し、蒸着ユニット85Aの蒸着源100Bに粉末状のルブレンを収容して、蒸着を行った。
【0069】
蒸着源100Aの条件は、ヒータ103の加熱により収容部101内の温度を270℃、キャリアガスであるNガスの流量を10sccm、Nガスの温度(ガス加熱手段142に加熱された)を280℃とした。蒸着源100Bの条件は、ヒータ103の加熱により収容部101内の温度を200℃、キャリアガスであるNガスの流量を2sccm、Nガスの温度(ガス加熱手段142に加熱された)を210℃とした。また、供給用管路92をヒータ144により300℃に加熱し、真空容器57内の圧力を1Pa、筐体86内の圧力を0.5Paとした。
【0070】
上記蒸着条件を用いて、ホスト材であるアルミノキノリノール錯体(Alq3)にルブレンをドーピングした発光層164を形成したところ、良好な膜質で、かつ均一な膜厚分布が得られた。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、蒸着膜の蒸着速度を精度良く制御して、基板上に略均一な厚さとなるよう再現性良く、蒸着膜を蒸着することのできる蒸着装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】有機EL素子の断面図である。
【図2】従来の真空蒸着装置の概略を示した断面図である。
【図3】本発明の実施例1による蒸着装置を模式的に示した断面図である。
【図4】図3に示した蒸着ユニット85Bの構成の詳細を模式的に示した断面図である。
【図5】複数の蒸着ユニットの配置の一例を平面視した図である。
【図6】図4に示した蒸着源をS視した図である。
【図7】ガス配管の斜視図である。
【図8】有機EL素子の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
10,160 有機EL素子
11,161 ガラス基板
12,162 陽極
13,163 正孔輸送層
14,164 発光層
15,165 電子輸送層
16,166 陰極
20 真空蒸着装置
21 真空容器
21A 底板部
22 シャッター駆動部
23 シャッター支持体
24 シャッター
26,151 マスク
27 基板
31 蒸着源
32 蒸発皿
34 ヒータ
35 排気装置
50 蒸着装置
51 基板搬送装置
55 蒸着装置本体
57A 基板受渡部
56 蓋体
57 真空容器
57B〜57D,86A,86B 開口部
58 処理容器
66 リモートプラズマ発生部
60 基板保持機構
61 ガイド部材
62,97,125 支持体
63 基板保持部
67 位置センサ
69 膜厚センサ
70 被処理基板
70A 成膜面
72 フレーム部
73 アライメント装置
74 ステージ部
75 膜厚モニター装置
76 膜厚センサ
77 膜厚演算部
78 アライメント装置本体
85A〜85C 蒸着源ユニット
86 筐体
89 排気用管路
90 排気手段
92 供給用管路
93 供給口
94 導入部
96 シャッター機構
98 遮蔽板
99 駆動装置
100A〜100C 蒸着源
101 収容部
101A ガス導入口
101B 放出口
103,144 加熱手段
104 圧力調整手段
105 ガス供給部
107 ガス配管
107A 供給穴
108 冷却部
109 冷却用管路
110 断熱部材
112a〜112c 蒸着材料
122 ガス供給装置
123 ガス供給配管
126 排気手段
127 ドライポンプ
128 真空用管路
129 ターボ分子ポンプ
140 冷却水供給装置
141 冷却水用管路
142 ガス加熱手段
C,D,F,L,J 空間
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以上、本発明を好ましい実 処理容器と、
該処理容器内を排気する排気手段と、
前記処理容器に収容され、蒸着膜が形成される基板を保持する基板保持部と、
蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源とを備えた蒸着装置であって、
前記蒸着源は、
前記蒸着材料を収容する収容部と、
該収容部を加熱する第1の加熱手段と、
前記収容部にキャリアガスを導入するためのガス導入口と、
前記キャリアガスにより、気化又は昇華された前記蒸着材料を放出する放出口と、
前記放出口に設置された前記収容部内の圧力を調整する圧力調整手段とを有し、
前記収容部を冷却する冷却手段とを設けたことを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
気化又は昇華された前記蒸着材料を基板に供給する供給用管路を備え、
前記供給用管路には、該供給用管路を加熱する第2の加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記蒸着源は、断熱部材を介して前記供給用管路と接続されることを特徴とする請求項2記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記キャリアガスを加熱するガス加熱手段を設け、
該ガス加熱手段により加熱されたキャリアガスを前記収容部に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項5】
処理容器と、
該処理容器内を排気する排気手段と、
前記処理容器に収容され、蒸着膜が形成される基板を保持する基板保持部と、
蒸着材料を気化又は昇華させる蒸着源とを備えた蒸着装置であって、
前記蒸着源は、
蒸着材料を収容する収容部と、
該収容部を加熱する第1の加熱手段と、
前記収容部にキャリアガスを導入するためのガス導入口と、
前記キャリアガスにより、気化又は昇華された前記蒸着材料を放出する放出口と、
前記放出口に設けられた前記収容部内の圧力を調整する圧力調整手段とを有し、
前記蒸着源を複数設けたことを特徴とする蒸着装置。
【請求項6】
前記複数の蒸着源から放出される気化又は昇華された複数の蒸着材料を前記基板に供給する供給用管路を備えたことを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記複数の蒸着源は、断熱部材を介して前記供給用管路と接続されることを特徴とする請求項5または6に記載の蒸着装置。
【請求項8】
複数の前記蒸着源が接続された前記供給用管路を、複数有することを特徴とする請求項6または7記載の蒸着装置。
【請求項9】
複数の前記供給用管路は、前記基板の面方向に沿って配列されることを特徴とする請求項8記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記複数の蒸着源は、前記蒸着膜が形成される基板の面と直交する方向に配列されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項11】
前記蒸着膜が形成される基板の面と直交する方向に配列された前記複数の蒸着源を、前記基板の面方向に複数配列したことを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項12】
前記供給用管路には、該供給用管路を加熱する第2の加熱手段を設けたことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項13】
前記供給用管路は、気化又は昇華された前記複数の蒸着材料を前記基板に供給する供給口を有しており、
前記供給口の開閉を行うシャッター機構を設けたことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項14】
前記処理容器内を、前記基板保持部が設けられた第1の側と、前記複数の蒸着源が設けられた第2の側に略分離する隔壁を設け、
前記第2の側が前記第1の側より低圧となるように前記第2の側を排気するよう構成したことを特徴とする請求項5乃至13のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項15】
前記基板保持部は、前記基板の面方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項5乃至14のいずれか1項に記載の蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−152326(P2006−152326A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340745(P2004−340745)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】