説明

蒸着装置

【課題】薄膜材料を連続的に供給でき、長時間連続成膜が行える蒸着装置を提供する。
【解決手段】
ガラス基板8を設置可能な真空室2と、薄膜材料19を蒸発させる発熱部20を備えた蒸発装置3とを有し、真空室2内にガラス基板8を設置し、蒸発装置3によって蒸発された薄膜材料19を蒸散させて前記ガラス基板8に所定成分の膜を蒸着する真空蒸着装置1において、
前記発熱部20は真空室2内又は真空室2と連通する位置にあって薄膜を蒸着する際には真空雰囲気下に配されるものであり、真空室2の外部から前記発熱部20に薄膜材料19を送る薄膜材料送り装置14を有する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置に関するものである。本発明は、特に有機EL(Electro
Luminesence)装置の製造に用いる蒸着装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱灯や蛍光灯に代わる照明装置として有機EL装置が注目され、多くの研究がなされている。また、テレビに代表されるディスプレイ部材においても液晶方式やプラズマ方式に変わる方式として有機EL方式が注目されている。
【0003】
ここで、有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL素子は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機EL装置は、自発光デバイスであるため、ディスプレイ材料として使用すると高コントラストの画像を得ることができる。また、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。また、白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
【0004】
有機EL装置の代表的な層構成は、図27の通りである。図27に示される有機EL装置200は、ボトムエミッション型と称される構成であり、ガラス基板201に、透明電極層202と、機能層203と、裏面電極層205が積層され、これらが封止部206によって封止されたものである。
また、機能層203は、複数の有機化合物の薄膜が積層されたものである。代表的な機能層203の層構成は、図28の通りであり、正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213を有している。
【0005】
有機EL装置200は、ガラス基板201上に、前記した層を順次成膜することによって製造される。
ここで、上記した各層の内、透明電極層202は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜層であり、主にスパッタ法あるいはCVD法によって成膜される。
機能層203は、前記した様に複数の有機化合物の薄膜が積層されたものであり、各薄膜はいずれも真空蒸着法によって成膜される。
裏面電極層205は、アルミニウム等の金属薄膜であり、真空蒸着法によって成膜される。
【0006】
この様に、有機EL装置を製造する際には、真空蒸着法が多用される。ここで真空蒸着法は、例えば、特許文献1に開示された様な真空蒸着装置を使用して成膜する技術である。
即ち、真空蒸着装置は、真空室と、薄膜材料を蒸発させる蒸発装置によって構成されるものである。真空室は、ガラス基板を設置することができるものである。
蒸発装置は電気抵抗等を利用した加熱装置と、薄膜材料を入れる坩堝とよって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−274370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の抵抗加熱蒸着装置では、真空室内の坩堝に薄膜材料を収容し、坩堝をヒーターで直接加熱するため、坩堝全体が加熱昇温し、坩堝に収容した薄膜材料が劣化する虞があった。そのため、従来の方法では、坩堝に多量の薄膜材料を収容することができず、薄膜材料を補充するためには、真空状態を開放し、真空室内の坩堝に定期的に薄膜材料を補給するか、あるいは坩堝ごと交換する必要があった。それ故に、従来技術の真空蒸着装置は、薄膜材料の補充に手間がかかり、長時間に亘る連続生産には適さず、工業的に適用しづらいものになっていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、薄膜材料を連続的に供給でき、長時間連続で成膜が行える蒸着装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基材を設置可能な真空室と、薄膜材料を蒸発させる発熱部を備えた蒸発装置とを有し、真空室内に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の膜を蒸着する蒸着装置において、前記発熱部は真空室内又は真空室と連通する位置にあって膜を蒸着する際には真空雰囲気下に配されるものであり、真空室の外部から前記発熱部に薄膜材料を送る薄膜材料送り装置を有することを特徴とする蒸着装置である。
【0011】
かかる構成によれば、真空室の外部から前記発熱部に薄膜材料を送る薄膜材料送り装置を有するため、連続的に薄膜材料を供給できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、薄膜材料送り装置は開放部に向かって薄膜材料を送るものであり、前記発熱部は開放部の開口端にあり、薄膜材料送り装置によって開口端に送られた薄膜材料が前記開口端で加熱されて蒸発することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置である。
【0013】
かかる構成によれば、薄膜材料送り装置によって開口端に送られた薄膜材料が前記開口端で加熱されて蒸発するため、薄膜材料全体に加熱を加える必要がなく、加熱による薄膜材料の劣化を抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、蒸発装置は、開放部に向かって薄膜材料を送るものであり、前記発熱部は開放部にあり、薄膜材料送り装置によって送られた薄膜材料が前記開放部で加熱されて蒸発することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置である。
【0015】
かかる構成によれば、薄膜材料送り装置によって送られた薄膜材料が前記開放部近傍で加熱されて蒸発するため、薄膜材料全体に加熱を加える必要がなく、加熱による薄膜材料の劣化を抑制することができる。
【0016】
また、上記した薄膜材料送り装置は、管路を有し、当該管路を薄膜材料が通過することが好ましい。(請求項4)
【0017】
また、開放部の近傍には材料を受ける受け部材があり、前記受け部材に加熱手段が設けられて発熱部を構成していてもよい。(請求項5)
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記発熱部は予め加熱され、発熱部に至った薄膜材料を蒸発させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0019】
かかる構成によれば、発熱部は予め加熱されているため、薄膜材料を瞬時に加熱蒸発させることができ、加熱による薄膜材料の劣化をより抑制することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、加熱手段の上流側に薄膜材料を冷却する冷却手段を設けていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0021】
かかる構成によれば、加熱手段の上流側に薄膜材料を冷却する冷却手段を設けているため、加熱による薄膜材料の劣化をより抑制することができる。
【0022】
加熱手段は、抵抗加熱、誘導加熱、赤外線加熱のいずれかであることが好ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る構成を用いれば、真空室や真空室に連通する位置にある発熱部に真空室の外部から薄膜材料を送る薄膜材料送り装置を有するため、発熱部に対して連続的に薄膜材料を供給することができる。即ち本発明の蒸着装置は、薄膜材料を連続的に真空室側に供給でき、長時間連続成膜が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図2】図1の真空蒸着装置で採用する発熱部の斜視図である。
【図3】本発明における薄膜材料送り装置の説明図である。
【図4】図3の薄膜材料送り装置の分解斜視図である。
【図5】図1の真空蒸着装置の作動工程を示す説明図であり、(a)は初期状態、(b)は薄膜材料が薄膜材料送り装置から発熱部まで送り出された状態、(c)はシャッターを開状態に移動させた状態、(d)は基板搬送装置からガラス基板が送り出される際の状態、(e)は薄膜材料をガラス基板に蒸着する際の状態である。
【図6】本発明の第2実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図7】本発明の実施形態における薄膜材料放出部とガラス基板との斜視図である。
【図8】図5の真空蒸着装置の作動工程を示す説明図であり、(a)は初期状態、(b)は蒸発した薄膜材料が蒸発室内を充満する際の状態、(c)は流量調節弁を開状態に移動させた状態、(d)は基板搬送装置からガラス基板が送り出される際の状態、(e)は薄膜材料をガラス基板に蒸着する際の状態である。
【図9】本発明の第3実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図11】本発明の第5実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図12】本発明の第6実施形態における発熱部を表す斜視図である。
【図13】本発明の第7実施形態における発熱部を表す斜視図である。
【図14】本発明の第8実施形態における発熱部を表す斜視図である。
【図15】図14の発熱部の断面図である。
【図16】本発明の第9実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図17】本発明の第10実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図18】本発明の第11実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図19】本発明の第12実施形態における薄膜材料送り装置の構成を表す説明図である。
【図20】薄膜材料放出部の他の実施形態を表す斜視図である。
【図21】薄膜材料放出部のさらに他の実施形態を表す斜視図である。
【図22】本発明の第13実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図23】本発明の第14実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図24】本発明の第15実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図25】本発明の第16実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図26】本発明の第17実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図27】有機EL装置の代表的な層構成を示す断面図である。
【図28】有機EL素子の代表的な層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態に係る真空蒸着装置(蒸着装置)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態の真空蒸着装置1(蒸着装置)は、図1に示すように、真空室2と、蒸発装置3と、基板搬送装置5と、シャッター6とを備えている。なお、真空蒸着装置1は、当業者の間で、インライン方式と称されるガラス基板8(基材)の移送方式を採用するものであり、基板搬送装置5によってガラス基板8を真空室2外から真空室2内に搬送され、同基板搬送装置5によってガラス基板8を真空室2内から真空室2外へ搬出する真空蒸着装置である。
【0027】
真空室2は気密性を有するものであり、減圧手段7が備えられている。減圧手段7は真空室2内を真空状態に維持する部材であり、具体的には、ロータリーポンプやソープションポンプ等の粗引き用ポンプと、拡散ポンプやターボ分子ポンプやクライオポンプ等の本引き用ポンプとを組み合わせたものである。ここでいう真空状態とは、10-3Pa以下の真空度を有する状態を指す。真空度は低ければ低いほど好ましい。本実施形態の具体的な真空度は1×10-3〜1×10-9Paの範囲であり、1×10-5〜1×10-9Paの範囲が望ましい。
真空室2の一方の壁面には、基板搬入口10がある。また、基板搬入口10と対向する壁面に基板搬出口11が備えられている。
【0028】
基板搬送装置5は、真空室2に対してガラス基板8の出し入れを行い、真空室2内でガラス基板8を水平移動させる装置であり、真空室2の中にあって、前記した基板搬入口10と基板搬出口11とを結ぶライン上に設置されている。
基板搬送装置5は、図示しない基板供給源からガラス基板8を搬送することができ、公知のコンベア等が採用されている。また、基板搬送装置5は、搬送速度を所望の速度に設定することができる。
なお、前記した基板搬入口10及び基板搬出口11は、ガラス基板8の搬送に合わせて開閉される。
【0029】
本実施形態においては、蒸発装置3は、薄膜材料19を加熱する発熱部20と、薄膜材料19を供給する薄膜材料送り装置14と、発熱部20と薄膜材料送り装置14とを結ぶ管路12によって構成されている。
即ち、蒸発装置3は、材料貯留部たる材料容器17と、発熱部20とを有し、材料容器17の薄膜材料19を発熱部20に供給して蒸発させるものであり、図1のように、薄膜材料19が通過する搬送路たる管路12と、薄膜材料19を供給する薄膜材料送り装置14とを備えている。
【0030】
管路12は耐熱性に優れる配管であり、管路12の一方の端部に前記した薄膜材料送り装置14が接続されている。作図の都合上、管路12はL字形状をしているが、実際には管路12は直線状に近い。
また、管路12の一部は真空室2内に入り込んでおり、その先端は真空室2の略中心線上にあり、垂直方向上方の開放部25に向かって開口している。従って、管路12の端部は、ガラス基板8側に向かって開放されている。
【0031】
真空室2内における管路12の端部(開口端24)付近には加熱手段15が配され、発熱部20を構成している。加熱手段15は管路12の先端近傍を加熱可能な部材であり、具体的には電気ヒーターなどの抵抗加熱装置やIHヒーターなどの誘導加熱装置、ハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置などが採用される。本実施形態では、図2のように電熱線による加熱手段15が採用されている。
加熱手段15は、その発熱によって管路12の端部(開口端24)に至った薄膜材料19を溶融し、さらに気化させることができる。
【0032】
管路12の真空室2内に配された部分であって、発熱部20以外の部位には冷却手段16が配されている。即ち、本実施形態の真空蒸着装置1では、発熱部20の上流側に薄膜材料19を冷却する冷却手段16を設けており、管路12内の薄膜材料19が熱によって変質することを防いでいる。
冷却手段16は管路12を冷却する部材であり、具体的には水冷式熱交換器や空冷式熱交換器などが採用される。
【0033】
薄膜材料送り装置14は、図1、図3、図4に示すように薄膜材料19を収容する材料容器17と、薄膜材料19を押し出す押出手段23とを備えている。
【0034】
図3に示すように材料容器17は薄膜材料19を収容する容器であり、本実施形態では、漏斗形状をしたホッパーである。材料容器17は、容器減圧手段18を備えている。
容器減圧手段18は材料容器17内を真空状態にする部材であり、上記した減圧手段7と同様のポンプが採用される。
本実施形態では、材料容器17の上端部(図3の上側)に容器減圧手段18が配されている。
【0035】
押出手段23は図4のような材料容器17にあり、シリンダー部26と、スクリュー21と、スクリュー21を回転させるモーター22を備えている。シリンダー部26は、材料容器17の下部にあって、材料容器17の軸線に対して交差する方向に延びている。材料容器17の下部とシリンダー部26の内部は連通している。
【0036】
スクリュー21は螺旋状の羽根を有するスクリューであり、薄膜材料19と反応しない材質となっている。
スクリュー21は、図4のようにシリンダー部26に挿入されており、先端部分はシリンダー部26から露出している。
モーター22は公知のモーターであるが、回転速度を制御できるものが好ましい。
押出手段23は、モーター22を回転することによって、シリンダー部26内でスクリュー21が回転する。そして、スクリュー21の回転に応じて薄膜材料19が材料容器17から掻き取られ、さらに、薄膜材料19はシリンダー部26の中を進む。
【0037】
本実施形態では、シリンダー部26の開口端が、前記した管路12に接続されており、スクリュー21の先端側は、管路12の中に入り込んでいる。そのため、スクリュー21が回転すると、薄膜材料19はシリンダー部26の中を進み、さらに、管路12の中に入って、管路12中を進む。
【0038】
また、真空室2内に目を移すと、前記した管路12の真空室2側の開口端24付近にある発熱部20は、前記した様に真空室2の略中心線上にあり、ガラス基板8側(正確には基板搬送装置5)に向かって開口している。
発熱部20と基板搬送装置5との間は、薄膜材料19の噴霧方向に所定の距離だけ離れている。
【0039】
そして、本実施形態では、加熱部20と、基板搬送装置5との間にシャッター6が設けられており、当該シャッター6によって発熱部20が設けられたエリアと、ガラス基板8が設けられるエリアに分割されている。
即ち、発熱部20から薄膜材料19の噴霧方向に所定の距離だけ離れた位置に2枚のシャッター6a、6bが配されている。
【0040】
シャッター6は2枚の板状の部材によって構成されており、一方はシャッター6aであり、他方はシャッター6bである。シャッター6aとシャッター6bは耐熱性を有しており、さらに放熱性を有していることが好ましい。シャッター6bはシャッター6aに対して相対的に近接・離反方向に移動可能である。なお、シャッター6aとシャッター6bとの距離によって、薄膜材料19の噴霧幅を調整することもできる。
【0041】
次に、本実施形態の真空蒸着装置1の作用を薄膜蒸着の手順に沿って説明するが作業手順は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0042】
真空室2は、メンテナンスや故障時以外は減圧手段7を用いて、常に減圧されており、ほぼ真空状態に保っている。
薄膜蒸着の準備段階として、薄膜材料送り装置14の材料容器17に薄膜材料19を充填し、密封する。材料容器17の充填率は容器減圧手段18の大きさや吸引口の配置に左右される。本実施形態における材料容器17の充填率については、材料容器17の容量の60パーセントから90パーセントの薄膜材料19が充填されており、材料容器17の容量の70パーセントから80パーセントの薄膜材料19が充填されていることが好ましい。
【0043】
薄膜材料19は、例えば、上記した有機EL素子の所望の薄膜材料である。
薄膜材料19の性状は、粉体やペレット状の固体や、半練り状の流動体、あるいは液体が採用可能である。即ち、薄膜材料19は、液状や粉末状、粒状の物質である。以下、図5(a)〜(e)を用いて説明する。
【0044】
材料容器17に薄膜材料19を充填した後、容器減圧手段18によって材料容器17内を減圧し、真空状態にする。次に、薄膜材料送り装置14のスクリュー21を回転させ、スクリュー21により、材料容器17内の薄膜材料19を掻き出し、管路12内に押し出していく。なお、真空室2内は、図5(a)のように、真空室2内のシャッター6は閉鎖されており、基板搬送装置5内に噴霧されないようになっている。
【0045】
図5(b)に示すように、真空室2内の発熱部20まで薄膜材料19が満たされると、発熱部20まで送り出された薄膜材料19が加熱手段15によって加熱され、閉鎖されたシャッター6に向かって噴霧される。この段階では、シャッター6は閉鎖されているため、真空室2内の薄膜材料19による汚れを最小限に抑えることができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、真空室2内において、薄膜材料19の搬送路たる管路12には、発熱部20付近までの間に冷却手段16が配されている。この構成により、管路12の発熱部20までの薄膜材料19の温度の上昇を抑制し、温度による薄膜材料19の劣化を抑制することができる。
【0047】
そして、前記したように管路12の発熱部20には加熱手段15が備えられている。即ち、端部に位置する加熱手段15は端部まで注入されてきた薄膜材料19を急激に加熱し、薄膜材料19を蒸発することができる。即ち、加熱直前まで、温度による薄膜材料19の劣化が抑制され、先端部に至った薄膜材料19は加熱手段15により急速に加熱されて、蒸発する。
【0048】
次に、図5(c)に示すように、真空室2内のシャッター6bをシャッター6aに対して開方向に移動させ、噴霧幅を調節する。シャッター6bを開方向に移動させることで噴霧形状を長方形に調整でき、当業者間でリニアソース方式と称される噴霧方式と同等の効果を得られることができる。
【0049】
次に、ガラス基板8に薄膜を蒸着する蒸着過程を行う。具体的には図5(d)に示すように、搬入口10を開き、あらかじめ噴霧方向に対して適宜蒸着面を合わせて設置したガラス基板8が基板搬送装置5上に搬送される。なお目的の膜厚と噴霧量とを所定の方法にて計算し、基板搬送装置5の搬送速度を調節することが望ましい。
【0050】
そうすると、図5(e)に示すように、基板搬送装置5の搬送速度に合わせて、ガラス基板8に薄膜材料19が噴霧されていき、薄膜層が形成される。成膜後、搬出口11が開き、ガラス基板8は真空室2から外部に搬送される。
【0051】
その後、この蒸着過程(図5(d)から5(e))を繰り返し、基板搬送装置5により搬送されるガラス基板8は成膜される。
【0052】
上記した実施形態では、蒸発装置3の一部を真空室2内に配した。より詳細には、先の実施形態では、発熱部20を含む管路12の一部が真空室2内にあった。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではなく、蒸発装置3の全体を真空室2の外に設けてもよい。即ち、薄膜材料19を気化させる部屋を真空室2外に別室として設け、配管やダクト等の蒸気通過部33を介して薄膜材料19の蒸気を真空室2内に導入してもよい。
具体的には、この構成を第2実施形態として以下に詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
本発明の第2実施形態における真空蒸着装置30は、図6に示すように、インライン方式の真空蒸着装置である。真空蒸着装置30は、ガラス基板8を縦置きして成膜を行うものである。即ち、本実施形態では、基板搬送装置5は、紙面に対して垂直方向に設置されている。そしてガラス基板8は、紙面に対して垂直方向に出し入れされる。
【0054】
真空蒸着装置30は、真空室2と蒸発装置31とを備えている。蒸発装置31は、薄膜材料19を蒸発させる蒸発室32を有する。蒸発室32を含む蒸発装置31の全体は真空室2外に設けられている。
一方、真空室2内には薄膜材料放出部34が設けられている。そして、蒸発装置31の蒸発室32と真空室2は、蒸気通過部33を介して連通している。
【0055】
蒸発室32は、前記した蒸気通過部33を介して真空室2と連通されており、真空室2は別個の筐体を持つ。また、蒸発室32は、前記したように真空室2と連通しており、真空環境となる。
本実施形態では、蒸発室32内には先の実施形態の蒸発装置3の管路12の端部部分(開口端24)が配されている。
【0056】
即ち、図6に示すように、第2実施形態の真空蒸着装置30で採用する蒸発装置31は、その主要部分が先の実施形態の蒸発装置3と同一であり、薄膜材料19を加熱する発熱部20と、薄膜材料19を供給する薄膜材料送り装置14と、発熱部20と薄膜材料送り装置14を結ぶ管路12とによって構成されている。より詳細には、蒸発装置31は、材料容器17と、発熱部20を有し、材料容器17の薄膜材料19を発熱部20に供給して蒸発させるものであり、図6のように、管路12と、薄膜材料送り装置14とを備えている。
そして、第2実施形態の真空蒸着装置30では、蒸発室32に管路12の先端部分が内蔵されている。具体的には、加熱手段15が配された管路12の端部部分(発熱部20)と、発熱部20以外を冷却する冷却手段16が内蔵されている。
【0057】
一方、図7に示すように、薄膜材料放出部34の噴霧面は略長方形状をしており、長方形略状の噴霧孔37を有している。蒸発した薄膜材料19は薄膜材料放出部34の噴霧孔37から噴霧される。
【0058】
蒸気通過部33は具体的には配管35である。配管35は耐熱性に優れる配管であり、図6のように蒸発室32と薄膜材料放出部34とを接続している。配管35の周りには保温手段38が配されており、配管35は、保温手段38により、薄膜材料19の沸点以上の温度で加熱されている。
【0059】
保温手段38は配管35を加熱可能な部材である。具体的には電気ヒーターなどの抵抗加熱装置やハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置などが採用される。
【0060】
本実施形態では、蒸発室32と薄膜材料放出部34の間の配管35には、流量調節弁36が介在している。流量調節弁36は蒸発した薄膜材料19の流量を調節できる絞り装置として機能するものである。具体的には、流量調節弁36は耐熱性を有した電磁バルブや電動バルブなどが採用されており、自動で開閉ができる。
【0061】
真空室2には、図6のように、基板搬送装置5が設けられており、ガラス基板8は、図7の矢印の様に、縦姿勢を保持して進行する。
薄膜材料放出部34は、真空室2内に設置されている。真空室2内においては、薄膜材料放出部34と基板搬送装置5との間にある程度の距離がある。
薄膜材料放出部3の噴霧面は、ガラス基板8に対向している。また、薄膜材料放出部34の長方形略状の噴霧孔37は、図7のように上下方向に延びる。
【0062】
次に、第2実施形態の真空蒸着装置30の作用を薄膜蒸着の手順に沿って説明するが作業手順は、これらの実施形態に限定されるものではない。以下、図8(a)〜(e)を用いて説明する。
【0063】
最初に上記した第1実施形態と同様に、材料容器17に薄膜材料19を充填し、密封する。その後、材料容器17内を減圧し、真空状態にする。次に、材料容器17内の薄膜材料19を管路12内に押し出していく。また、図8(a)に示すように、配管35の流量調節弁36は、閉鎖されており、真空室2に蒸発した薄膜材料19が移動するのを防いでいる。
【0064】
次に、図8(b)に示すように、真空室2内の発熱部20まで薄膜材料19が満たされると、発熱部20まで送り出された薄膜材料19は加熱手段15によって加熱されて気化される。しかしながら、配管35に設けられた流量調節弁36は閉鎖が閉鎖されているため、蒸発した薄膜材料19は、真空室2内には流れず、真空室2内の薄膜材料19による汚れを抑えることができる。
【0065】
そして、所定の時間が経過し、図8(c)に示すように、蒸発室32内に蒸発した薄膜材料19が充満すると、配管35の流量調節弁36を開く。
【0066】
次に、ガラス基板8に薄膜を蒸着する蒸着過程を行う。図8(d)に示すように、搬入口10を開き、あらかじめ噴霧方向に対して適宜蒸着面を合わせて設置したガラス基板8が基板搬送装置5上に搬送される。本実施形態においても、目的の膜厚と噴霧量とを所定の方法にて計算し、基板搬送装置5の搬送速度を調節することが望ましい。
【0067】
その結果、図8(e)に示すように、基板搬送装置5の搬送速度に合わせて、ガラス基板8に蒸発した薄膜材料19が噴霧されていき、薄膜層が形成される。成膜後、ガラス基板8は真空室2から外部に搬送される。
【0068】
その後、この蒸着過程(図8(d)から図8(e))を繰り返し、基板搬送装置5により搬送されるガラス基板8に成膜していく。
【0069】
上記したそれぞれの実施形態では、薄膜材料送り装置14の押出手段23にスクリュー21を設けることによって、薄膜材料19を注入したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図9に示す発明を第3実施形態、図10に示す発明を第4実施形態の2つの実施形態として説明する。
【0070】
図9に示すように、第3実施形態の真空蒸着装置における薄膜材料送り装置51内の押出手段52は、ピストン53である。ピストン53は周知のピストンであり、薄膜材料19と反応しない材質のものを用いている。ピストン53は、材料容器17から薄膜材料19を管路12方向に押し出すことができる。
【0071】
図10に示すように、第4実施形態の真空蒸着装置における薄膜材料送り装置61は材料容器62とローラ63と流量調節弁64とを備えている。
【0072】
材料容器62は軟質性と耐摩耗性を備えた容器であり、材料容器62の薄膜材料19の充填率は、ほぼ100パーセントとなっている。
【0073】
ローラ63は2つの押出ローラ63a、63bで構成されている。押出ローラ63aと押出ローラ63bとは材料容器62を介して対向する位置に設置されている。押出ローラ63aと押出ローラ63bは反対方向に回転し、材料容器62を挟みながら管路12側に移動する。具体的には、押出ローラ63aは反時計回りに回転し、押出ローラ63bは時計回りに回転している。押出ローラ63a、63bの回転速度は調整することができる。なお、本実施形態では押出ローラ63a、63bの回転速度は等速となっている。
【0074】
押出ローラ63aと押出ローラ63bがそれぞれ回転することによって、薄膜材料19は材料容器62から管路12に押し出される。即ち、押出ローラ63a、押出ローラ63bの回転速度を調整することによって、材料容器62から管路12に所望量の薄膜材料19を絞り出し、押し出すことができる。
【0075】
流量調節弁64は薄膜材料19の流量を調節できる絞り装置として機能するものである。具体的には、流量調節弁64は上記した流量調節弁36と同様のバルブを採用している。
【0076】
第1〜3実施形態では、スクリュー、ピストン、ローラ等の機械的な手段で薄膜材料19を押し出していたが、真空室2と材料容器17の内圧力差を利用して薄膜材料19を移動させてもよい。具体的には第5実施形態として以下に詳細に説明する。
【0077】
本実施形態では、真空室2に対して図11に示される材料容器17内の所定の圧力を加える。具体的には、真空室2内の真空度に左右されるが、材料容器17を真空室2の10倍〜100倍の圧力まで加圧する。なお、本実施形態の薄膜材料送り装置67ではスクリュー等の機械的な手段を備えていない。
【0078】
上記した実施形態では、管路12の端部に加熱手段15を設けて発熱部20とし、管端に至った薄膜材料19を管路12内から直接的に蒸発させた。
上記した実施形態によると、薄膜材料19は、管路12から零れることなく蒸発させる必要がある。そのため、先の実施形態では、薄膜材料19の送り速度と、加熱手段15の発熱量を厳密に制御する必要がある。
【0079】
そこで、管路12の外に受け部を設け、零れた薄膜材料19を、受け部に溜めて加熱する方策も考えられる。
また、上記した実施形態では、管路12の端部を垂直姿勢に保持したが、本発明は、この構成に限定されるものでなく、図12に示すような水平姿勢や傾斜姿勢に保持してもよい。
即ち、上記した実施形態では、円筒状の管路12の端部付近の周囲全体を加熱手段15によって加熱したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図12のように、管路12の下方位置に略円状の受け皿部材76を配し、受け皿部材76で薄膜材料19を蒸発させても良い。具体的には第6実施形態として以下に詳細に説明する。
【0080】
図12に示すように、本実施形態の発熱部77では、管路12の端部(開口端74)が受け皿部材76の略中央に配するように受け皿部材76が設置され、受け皿部材76は下面から加熱手段78によって加熱される。
【0081】
受け皿部材76は、管路12から落下する薄膜材料19を所定時間保持できれば良く、形状や材質は限定されない。例えば、受け皿部材76の形状には、坩堝や板状体や皿状体などが採用できる。また、受け皿部材76の材質には、耐熱性を有した金属やセラミック等が採用できる。
【0082】
加熱手段78は、受け皿部材76を加熱可能な部材である。具体的には上記した加熱手段15と同様の加熱装置を採用している。加熱手段78は管路12から落下した薄膜材料19を溶融し、さらに気化させることができる。
【0083】
また、あらかじめ加熱手段78によって受け皿部材76を相当の温度に加熱しておき、管路12から落下する薄膜材料19を瞬間的に蒸発させてもよい。
【0084】
前記した第6実施形態では、管路12とは別に受け皿部材76を設けたが、管路12の端部を切り欠く等によって受け部を設けてもよい。
即ち、図1等の実施形態では、円筒状の管路12の端部付近の周囲全体を加熱手段によって加熱したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発熱部20の管路12の端部(開口端)に切り欠きがされていてもよい。具体的には第7実施形態として以下に詳細に説明する。
【0085】
図13に示すように、本実施形態の真空蒸着装置における発熱部72は、管路71の端部(開口端74)付近の上部が長手方向に切り欠かれており、切り欠き部75を有している。管路71の切り欠き部75(発熱部72)の下方位置に加熱手段73が配されている。
【0086】
加熱手段73は管路71を加熱可能な部材である。具体的には上記した加熱手段15と同様の加熱装置を採用している。加熱手段73は管路71の端部に位置する切り欠き部75を加熱し、薄膜材料19を溶融し、さらに気化させることができる。
【0087】
また、図14、図15(第8実施形態)に示す様に、管路40を垂直姿勢とし、その開口周辺に受け部材82を設けてもよい。
【0088】
上記した実施形態の薄膜材料送り装置14の構成に加えて、材料容器17の端部に真空引き可能な別室を備えても良い。具体的には第9実施形態として以下に詳細に説明する。
【0089】
図16のように、薄膜材料送り装置95は材料容器17と容器減圧手段18に加えて、供給手段90を備えている。供給手段90は供給通路91と、仕切り92と、供給室93とを備えている。
【0090】
供給通路91は薄膜材料19と反応しない物質で形成されており、材料容器17の端部から斜め上方向に配されている。
仕切り92は供給室93と材料容器17の接続部を開閉する部材である。
供給室93は供給室減圧手段94を備えており、供給する薄膜材料19に対して真空引きを行う空間である。
供給室減圧手段94は供給室93内を真空状態にする部材であり、上記した減圧手段7と同様のポンプが採用される。
【0091】
本実施形態では、供給室93に所望の薄膜材料19を入れ、供給室減圧手段94によって、供給室93内を真空状態にする。所定の時間経過後、仕切り92を開き、材料容器17に薄膜材料19を供給する。本実施形態によれば、材料容器17内の真空度を下げず、薄膜材料19を供給できるため、薄膜材料19の補充供給が可能になる。
【0092】
上記実施形態は、薄膜材料19は主に粉末状や液体状のもので特に好適に実施できるが、薄膜材料19がリボン状の線材の様な長尺状である場合、以下に示す第10実施形態が特に好適に実施できる。
【0093】
真空蒸着装置の薄膜材料送り装置101は、図17に示されるように、材料室102と材料室減圧手段103とローラ104と針金105(薄膜材料)とを備えている。
材料室102は耐圧性に優れた箱形の部材である。
材料室減圧手段103は材料室102内を真空状態にする部材であり、上記した減圧手段7と同様のポンプが採用される。
【0094】
ローラ104は押出ローラ104a、押出ローラ104bを備えており、押出ローラ104aと押出ローラ104bとは針金状の薄膜材料105を介して対向する位置に設置されている。押出ローラ104aと押出ローラ104bは反対方向に回転する。具体的には、押出ローラ104aは反時計回りに回転し、押出ローラ104bは時計回りに回転している。押出ローラ104a、押出ローラ104bの回転速度は調整することができる。
【0095】
針金状の薄膜材料105は例えばアルミニウム、銀等の金属線である。針金状である場合の直径は0.1mm〜5mmであり、1mm〜2mmであることが好ましい。
【0096】
押出ローラ104aと押出ローラ104bがそれぞれ回転することによって、材料容器106から管路12に薄膜材料105が押し出されていく。即ち、押出ローラ104a、押出ローラ104bの回転速度を調整することによって、材料室102から管路12に所望量の薄膜材料19を押し出すことができる。なお、管路12には適宜、針金(薄膜材料19)を押し出すためのローラが備えられている(図示しない)。
また、本実施形態ではリボン状の線材の様な長尺状の薄膜材料の1例として、針金105を用いているが、これに限定されるものではない。
【0097】
上記実施形態では、薄膜材料19が固体の場合、発熱部20まで固体状態で押し出すが、本発明はこれに限定されるわけではなく、管路12の途中で固体状の薄膜材料19を融解し、液状にして発熱部20まで送り出しても良い。具体的には第11実施形態として以下に詳細に説明する。
【0098】
図18のように、管路12の中間部には加熱手段108が配されている。押出手段23によって押し出された薄膜材料109は加熱手段108により加熱され液状化する。
【0099】
薄膜材料109は固体状の物体であり、融点が比較的低い物質である。なお、薄膜材料109には固体状のものであればよく、液状のものを加圧してペレット状にしたものも含まれる。
【0100】
上記した実施形態では、薄膜材料送り装置14の押出手段23のスクリュー21を管路12の一部のみ挿入したが、本発明はこれに限定されるものではなく、管路12の屈曲部分までスクリュー21を挿入していても良い。具体的には第12実施形態として以下に詳細に説明する。
【0101】
本実施形態の薄膜材料送り装置111は、図19に示されるように、管路12の屈曲部分までスクリュー112の羽が挿入されている。本実施形態によれば、薄膜材料19をより効率的に掻き出し、発熱部20まで押し出すことができる。
【0102】
上記した実施形態では、蒸気通過部33の薄膜材料放出部34に図7のような長方形略状の噴霧孔37を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図20のような複数の筒状の噴霧筒80を用いてもよいし、図21のような複数の円形の噴霧孔81を用いてもよい。
【0103】
上記した第2実施形態では、蒸発室32と配管35の一部を真空室2外に配したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ともに真空室2内に配してもよい。例えば、図22(第13実施形態)や図23(第14実施形態)などの配置レイアウトでもよい。
【0104】
上記実施形態では、管路12の形状をL字形状にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、管路12の形状は限定されない。例えば、図24に示すように、管路12の形状を直線状にしてもよいし(第15実施形態)、図25や図26に示すように、発熱部20のみを屈曲した形状でもよい(第16、17実施形態)。
【符号の説明】
【0105】
1、30 真空蒸着装置
2 真空室
3、31 蒸発装置
8 ガラス基板(基材)
12、40、71 管路
14、51、61、67、95、101、111 薄膜材料送り装置
15、73、78 加熱手段
16 冷却手段
19、105、109 薄膜材料
20、72、77 発熱部
23、52 押出手段
24、74 開口端
25 開放部
75 切り欠き部
76 受け皿部材
82 受け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を設置可能な真空室と、薄膜材料を蒸発させる発熱部を備えた蒸発装置とを有し、真空室内に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の膜を蒸着する真空蒸着装置において、前記発熱部は真空室内又は真空室と連通する位置にあって膜を蒸着する際には真空雰囲気下に配されるものであり、真空室の外部から前記発熱部に薄膜材料を送る薄膜材料送り装置を有することを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
薄膜材料送り装置は開放部に向かって薄膜材料を送るものであり、前記発熱部は開放部の開口端にあり、薄膜材料送り装置によって開口端に送られた薄膜材料が前記開口端で加熱されて蒸発することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
蒸発装置は、開放部に向かって薄膜材料を送るものであり、前記発熱部は開放部にあり、薄膜材料送り装置によって送られた薄膜材料が前記開放部で加熱されて蒸発することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記薄膜材料送り装置は、管路を有し、当該管路を薄膜材料が通過することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項5】
開放部の近傍には材料を受ける受け部材があり、前記受け部材に加熱手段が設けられて発熱部を構成することを特徴とする請求項3又は4に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記発熱部は予め加熱され、発熱部に至った薄膜材料を蒸発させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項7】
加熱手段の上流側に薄膜材料を冷却する冷却手段を設けていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項8】
加熱手段は、抵抗加熱、誘導加熱、赤外線加熱のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−46814(P2012−46814A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192886(P2010−192886)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】