説明

蓄電システム

【課題】安全性が向上した蓄電装置を備えた蓄電システムを提供する。
【解決手段】流体を貯えるタンク3と、充放電を行う蓄電装置4と、タンク内の流体を流通させる蓄電池用流路6を有し蓄電池用流路6内の流体と蓄電装置4との間で熱交換を行うことにより蓄電装置4の温度を調節する温度調節手段14とを備えた蓄電システム100であって、蓄電装置4が異常状態であるとき、蓄電池用流路6内の水を蓄電池用流路6外へ流出させて蓄電装置4内に供給する異常時給水手段を設けたことを特徴とする。これにより、蓄電装置4が異常状態になったとき、蓄電装置4内に給水を行うことで水が蓄電装置4を直接冷却して温度を下げることができ、蓄電装置4の安全性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置を備えた蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電システムにおいて、給湯用の水を加熱するヒートポンプユニットと、加熱された水を貯えるタンクと、電力を蓄電しヒートポンプユニットや家庭内の各負荷へ電力を供給する蓄電装置とを備えたものが知られている。このような蓄電システムに使用される蓄電装置の充放電効率は、蓄電装置自体の温度に大きく依存する。特に、屋外に設置される蓄電システムにおいては、蓄電装置の温度は気温により変化する。そのため、効率的に充放電を行うことを目的として、タンク内に貯えられた水の熱量を利用して蓄電装置を加熱し、充放電効率の良い温度範囲に蓄電装置の温度を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−7953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された蓄電システムは、蓄電装置内に収容される電池が内部短絡等により発熱し、異常過熱状態になった場合の安全対策はなされておらず、安全面の問題を有していた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、安全性が向上した蓄電装置を備えた蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄電システムは、流体を貯えるタンクと、充放電を行う蓄電装置と、少なくとも一部が前記蓄電装置の内部に配置されるとともに前記タンク内の流体を流通させる流路と、前記流路を流れる流体と前記蓄電装置との間で熱交換を行うことにより前記蓄電装置の温度を調節する温度調節手段と、を備えた蓄電システムであって、前記蓄電装置が異常状態であるとき、前記流路の内部の水を前記流路の外部へ流出させて前記蓄電装置の内部に供給する異常時給水手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、蓄電装置内の電池が異常過熱状態になったとき、蓄電装置内に給水を行うことで水が電池を直接冷却して温度を下げることができ、蓄電装置の安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電システムに備えた蓄電装置の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における蓄電システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1における蓄電システムの部分構成図
【図3】本発明の実施の形態1における蓄電装置を構成する素電池の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における蓄電装置を構成する電池モジュールの構成図
【図5】本発明の実施の形態1における(a)蓄電装置の構成図、(b)流路プレートの構成図、(c)蓄電装置の部分断面図
【図6】本発明の実施の形態1における(a)流路プレートの別の例を説明する構成図、(b)(a)の部分拡大図
【図7】本発明の実施の形態1における(a)第1の蓄電池用流路の別の例を説明する構成図、(b)(a)部分拡大図
【図8】本発明の実施の形態1におけるホルダの別の例を説明する構成図
【図9】本発明の別の実施形態における蓄電システムの構成図
【図10】本発明の別の実施形態における蓄電システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における蓄電システムの構成図である。ヒートポンプユニット2は、自然冷媒であるCO2を冷媒とするヒートポンプサイクルを有しており、大気から熱を収集したCO2冷媒を高温・高圧に圧縮し、水と熱交換を行うことで水を加熱する。また、タンク3は、ヒートポンプユニット2により加熱された水を貯える容器である。蓄電装置4は、リチウムイオン二次電池などの電池(以下、素電池ともいう)の集合体が筐体内に収容されているものである。この蓄電装置4は、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーから得られる電力や各電力会社から供給される電力を蓄えるとともに、ヒートポンプユニット2等の蓄電システム100内の各負荷や家庭内のエアコン、冷蔵庫等の各負荷へ電力を供給する。上記蓄電システム100を構成する要素は、筐体1の中に収容され設置される。ここでタンク3は、主に家庭において使用され、加熱した水を貯えてその水を台所や浴室等に供給する給湯用のタンクを兼用することもできる。
【0012】
本発明の蓄電システムは、蓄電装置4の温度調節手段と、異常時給水手段を有することを特徴とする。温度調節手段としては、例えば水などの流体と蓄電装置4との間で熱交換を行って蓄電装置4の温度を調節する流路を備えている。また異常時給水手段は、蓄電装置4が異常状態にあるとき、上記流路に流れる水を蓄電装置4内に供給する。
【0013】
まず、温度調節手段である蓄電システム内に形成される流路について、図1を参照して説明する。図1における矢印は、水の流れる方向を示している。タンク3には、タンク3の下部からヒートポンプユニット2を通ってタンク3の上部へ接続される流体加熱流路5が設けられている。この流体加熱流路5によって、タンク3の下部から出た水は、ヒートポンプユニット2で加熱され、その後、タンク3の上部からタンク3内に戻る。したがって、常にタンク3の中には高温の水が蓄えられる。
【0014】
さらに、流体加熱流路5とは別に、タンク3の上部から蓄電装置4を通って流体加熱流路5と連通接続する蓄電池用流路6が設けられている。蓄電池用流路6は、その途中で、蓄電装置4内に水を流通させ、蓄電装置4を加熱する。
【0015】
切替弁7は、蓄電池用流路6にタンク3の水を流すか停止するかを切り替えるものである。切替弁7により、蓄電池用流路6に水が流れるよう切り替えられると、タンク3内の水は、ポンプ8の駆動により、蓄電池用流路6を流れた後、切替弁7で流体加熱流路5へ流入し、ポンプ8、ヒートポンプユニット2を通り、再びタンク3内に戻る。したがって、タンク3からの高温の水が蓄電装置4に流れることで蓄電装置4が加熱される。なお、タンク3の下部から流出する流体加熱流路5、およびタンク3の上部から流出する蓄電池用流路6の両方の流路に並行して水を流すことも可能である。
【0016】
温度センサ9は、蓄電装置4の温度を検知するものである。ここで、温度センサ9の取
り付け位置は限定されるものではなく、各電池モジュールに取り付けても良く、また各素電池に取り付けられていても良い。
【0017】
冷却手段10は、蓄電装置4を冷却するものであり、ファン等を用いることができる。また、蓄電池用流路6において、蓄電装置4より上流側に、水道水等から低温の水を蓄電池用流路6に流通させる弁を設け、蓄電装置4の冷却が必要であるときに弁を切り替えて、蓄電装置4を冷却してもよい。
【0018】
次に、蓄電装置4の温度調節制御について説明する。
【0019】
図2は、本実施の形態における蓄電システム100の部分構成図である。図2に示すように、制御手段11は、温度センサ9、記憶手段12に記憶された情報および蓄電装置4の充放電を制御する充放電制御部13からの信号に基づき、ポンプ8、切替弁7、冷却手段10を制御するものである。なお、制御手段11は、充放電制御部13や、その他の制御手段と兼用することも可能である。
【0020】
以下、蓄電装置4の温度調節制御方法の一例ついて説明する。蓄電装置4が充放電を行っているときは、温度センサ9により検知した蓄電装置4の温度が、電池のサイクル特性に適した温度である目標使用温度(例えば45度)よりも低い場合、まず切替弁7によりタンク3の水が蓄電池用流路6を流れるようにし、ポンプ8を駆動させてタンク3に貯えられた高温(例えば80度)の水を蓄電池用流路6に流す。これにより、蓄電池用流路6内の水が有する熱量が蓄電装置4に移動し、蓄電装置4が加熱される。温度センサ9が目標使用温度以上の温度を検知すると、ポンプ8の駆動を停止し、切替弁7を流体加熱流路5側に切り替え、蓄電装置4の加熱を終了する。一方、蓄電装置4が充放電を行っていないときは、温度センサ9が検知した蓄電装置4の温度が、電池の保存特性に適した温度である目標保存温度(例えば、10度)よりも高い場合、温度調節手段の冷却手段10を駆動し、蓄電装置4の温度を下げる。温度センサ9が目標保存温度よりも低い温度を検知すると、冷却手段10の駆動を停止し、蓄電装置4の冷却を終了する。このように制御することにより、電池の状態に基づいて、それぞれに適した温度で充放電および保存を行うことができるため、蓄電装置4の寿命劣化を低減することができる。
【0021】
次に、蓄電装置4の構成について説明する。
【0022】
図3は、本実施の形態における蓄電装置4を構成する素電池4aの断面図である。図2に示すように、素電池4aは、電池ケース15の開口部がガスケット16を介して封口板17で封止されている。電池ケース15内には、正極板19と負極板18とがセパレータ20を介して捲回されて構成された電極群21が、非水電解質と共に収容されている。正極板19は、正極リード22を介して正極端子を兼ねる封口板17に接続されている。また、負極板18は、負極リード23を介して、負極端子を兼ねる電池ケース15の底部に接続されている。封口板17には、開放部17aが形成されおり、素電池4aが異常状態となり高温のガスが発生したとき、ガスが、開放部17aから電池ケース15外へ排出される。なお、本実施の形態における素電池4aの種類はリチウムイオン電池に限定されず、例えばニッケル水素電池等の二次電池を使用することができる。また、円筒形電池に限らず、角形電池であってもよい。
【0023】
図4は、本実施の形態における蓄電装置4を構成する電池モジュール24の断面図である。図3に示すように、電池モジュール24は、複数の素電池4aが配列されてケース25に収容されている。それぞれの素電池4aは、電気的に並列接続された状態で、ホルダ26に形成された収容部27に収容されている。
【0024】
複数の素電池4aの正極端子を兼ねる封口板17側には、平板28が配設されており、これにより、ケース25と平板28との間に排気室29が区画されている。平板28には、各素電池4aの正極端子(封口板17)が挿入される貫通孔30が設けられており、素電池4aの開放部17aから排出されたガスは、排気室29を経由して、ケース25の一側面に設けられた排出口31から、ケース25の外に排出される。排出口31には、ガスの排出方向を上向きへ規制するダクト32が設けられている。
【0025】
図5は、本実施の形態における(a)蓄電装置4の構成図、(b)流路プレート6aの構成図、(c)蓄電装置4の部分断面図である。
【0026】
図5(a)に示すように、蓄電装置4は、複数の電池モジュール24と充放電制御部13が積層され筐体34の内部に収容されている。フレーム33は、中空構造の枠体が直方体状に枠組みされ、複数の電池モジュール24と流路プレート6aを交互に積層した状態で固定している。複数の電池モジュール24は、電気的に直列に接続されている。なお、電池モジュール24等の固定方法は特に制限されないが、例えば、電池モジュール24等側に固定用のタブを設け、これをフレーム33に設けた連結部とボルト等で固定してもよい。筐体34は、蓄電装置4の外枠である。
【0027】
図5(b)に示す流路プレート6aは、樹脂部材で形成されており、電池モジュール24の一側面に配置された複数の接続管路6bは、下側の流路プレート出口6dと上側の流路プレート入口6cとの間をそれぞれ連通接続している。このように蓄電装置4内に配置された流路プレート6aと接続管路6bで、蓄電池用流路6の一部を構成している。
【0028】
次に、蓄電池用流路6内の水の流れを説明する。
【0029】
タンク3から出て蓄電池用流路6を流通し蓄電装置4内に流入した水は、まず一番下に設けられた流路プレート入口6cから流路プレート6a内に入り、図5(b)の矢印に示すようにジグザグ状に流路プレート6a内を流れ、流路プレート出口6dまで流れる。次に、接続管路6bを流れて一つ上に配置された流路プレート入口6cに到達すると、その流路プレート6a内を流れる。一番上に設けられた流路プレート6aまで順に流れると、さらに蓄電池用流路6を通って蓄電装置4の外へ流れていく。このように蓄電池用流路6を構成する流路プレート6aを水が流通することにより、蓄電池用流路6内の水と蓄電装置4との間で熱量の移動が行われ、蓄電装置4の温度を調節することができる。なお、流路プレート6aの流路パターンは、図5(b)に示したものに限らず、単純に流路プレート入口6cから流路プレート出口6dまで流れるようにしたり、より複雑なパターンにしたりすることも可能である。
【0030】
次に、素電池4aが内部短絡の発生等により発熱して蓄電装置4が異常状態(例えば300度以上)になった場合の異常時給水手段について、図5(c)を用いて説明する。図5(c)中の矢印は、素電池4a内で発生した高温のガスの流れを示している。流路プレート6aは、それぞれの真下に配置された電池モジュール24に備えられたダクト32によって排出方向を上向きに規制された排出口31からの排出ガスが直接当たる位置に、他の部分よりも樹脂の肉厚を薄く形成した薄肉部35を有している。薄肉部35は、タンク3内の水が流通しても破れて開口することはないが、素電池4aが異常状態となり高温のガスが多量に発生して排出口31から排出された場合、その高温のガスにより樹脂が溶解し、開口するようになっている。これにより、流路プレート6a内を流れている水がその開口部から蓄電装置の筐体34内に供給されるため、水が素電池4aと接触し、直接冷却することができる。
【0031】
以上のような構成にすることで、本実施の形態における蓄電システム100は、電池が
異常状態になったとき、蓄電池用流路6の一部を開口させて蓄電池用流路6内の水を蓄電装置の筐体34内へ供給することで、水が素電池4aと接触して素電池4aを冷却し、素電池4aの温度を低下させることで蓄電装置4を安全な状態にすることができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0033】
図6(a)および(b)に、本発明の実施の形態に係る流路プレート6aの別の例を示す。図6の流路プレート6aは、金属パイプ等の金属部材で形成され、排出口31からの排出ガスが直接当たる部分に切り欠け部36を設けるようにしてもよい。切り欠け部36は、蓄電池用流路6内を水が流通しても開口することはないが、素電池4aが異常状態となり多量の高温ガスが発生した場合に、切り欠け部36にそのガスが当たり圧力がかかることで切り欠けが開くように構成される。これにより、蓄電装置4が異常状態となった場合、水を蓄電装置の筐体34内に供給することができ、蓄電装置4の温度を低下させることができる。また他の方法として、少なくとも排出ガスが直接当たる部分を薄肉の樹脂部材で形成し、高温のガスが当たると溶解し開口する構成としてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、流路プレート6aにおいて、素電池4aからの排出ガスが当たる箇所を開口させる構成としたが、そのような構成に限定されるものではない。例えば、流路プレート6aの少なくとも一部分を樹脂部材で形成し、その樹脂部分に温度ヒューズ等の発熱手段を設け、蓄電装置4内の一部の素電池4aが異常状態となった場合に、発熱手段を発熱させて樹脂部分を溶解して開口する構成としても、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、電池が異常状態であることを検知する手段としては、温度センサ9を用いて高温(例えば300度)を検知した場合に異常であると判定したり、電流センサや電圧センサを用いて過電流または過電圧を検知した場合に異常であると判定したりする他、様々な方法を用いることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、樹脂部材の蓄電池用流路6を別部材として設けているが、図7の(a)および(b)に示すように、フレーム33で蓄電池用流路6の一部を構成してもよい。すなわち、フレーム33の中空部内に水を流通させ、フレームの上枠部37の排出口31から排出される高温ガスが当たる部分に、切り欠け部38を設けてもよい。このような構成において、切り欠け部38は、フレームの上枠部37内を水が流通しても開口することはないが、素電池4aが異常状態となり多量の高温ガスが発生し排出された場合に、切り欠け部38にそのガスが当たり圧力がかかることで切り欠けが開くように構成する。なお、本構成において開口する構成は限定されない。すなわち、少なくとも排出ガスが直接当たる部分を薄肉の樹脂部材で形成し、高温のガスが当たると溶解し開口する構成としてもよいし、樹脂部分に温度ヒューズ等の発熱手段を設け、蓄電装置4内の一部の素電池4aが異常状態となった場合に、発熱手段を発熱させて樹脂部分を溶解して開口する構成としてもよい。これにより、水を蓄電装置の筐体34内に供給することができ、蓄電装置4の温度を低下させることができる。
【0036】
図8に、本実施の形態における電池モジュール24のホルダ26の別の例を示す。図8に示すように、ホルダ26で蓄電池用流路6の一部を構成してもよい。すなわち、ホルダ26を中空状の樹脂部材で形成し、収容部27に収容する素電池4aの回りに沿って中空内を水が通るように構成する。これにより、素電池4aが高温になった場合、ホルダ26の素電池4aの周りの樹脂部分が溶解して開口しホルダ26内の水が流出するため、素電池4aを直接冷却し、蓄電装置4の温度を下げることができる。本構成においても、ホルダ26に温度ヒューズ等の発熱手段を設け、蓄電装置4内の一部の素電池4aが異常状態となった場合に、発熱手段を発熱させて樹脂部分を溶解して開口する構成としても、本実
施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0037】
また、図9に、本発明の別の実施形態における蓄電システム101を説明する。図9に示すように、蓄電池用流路6用のポンプ39をポンプ8とは別に蓄電装置4より上流側に設け、さらに蓄電池用流路6の蓄電装置4より下流側に水の流通を停止するバルブ40を設けることで、蓄電装置4が異常状態になった場合、ポンプ39による蓄電池用流路6内の流通を行うとともに、バルブ40を閉めることで蓄電装置4からの水の流出のみを停止する構成にしてもよい。このような構成にすることで、蓄電装置4へは水が流入する一方で、蓄電装置4外へは水が流出しないため、蓄電池用流路6内の水圧が上がり、薄肉部35や切り欠け部36は内側から圧力がかかることにより開口し、蓄電池用流路6内の水を蓄電装置の筐体34に供給して、蓄電装置4を冷却することができる。この場合、薄肉部35や切り欠け部36は、排出口31からの排出ガスが直接当たる位置に限らず、他の部分に設けても同様の効果を奏することができ、設計の自由度が向上する。なお、排出口31からの排出ガスが直接当たる位置に薄肉部35や切り欠け部36を設けた場合は、内側と外側の両方から圧力がかかるため、より開口しやすい構成となる。蓄電池用流路6内の水圧を上げる方法は、他にタンク3から流出する水量を増加させて水圧を上げる等、様々な方法を用いることができる。蓄電装置4が異常状態であることを検知する方法としては、上記と同様である。
【0038】
また、本実施の形態におけるタンク内の水の加熱手段としてCO2冷媒のヒートポンプユニットを用いて説明したが、フロン等他の冷媒を用いたヒートポンプユニットや、都市ガスやLPG等を燃料として発電し発電時に発生する排熱にて水を加熱する燃料電池システム、太陽光発熱システム等の種々の加熱手段を用いることができる。
【0039】
また、上記実施の形態において蓄電システムの外枠に筐体1を設置したが、それに限定されるものではない。すなわち、筐体1内に収容されていなくてもよく、図10の本発明の別の実施形態における蓄電システム102の構成図に示すように、蓄電装置4、冷却手段10等を一つの蓄電ユニット41として筐体1と別体に構成することもできる。
【0040】
また、本実施の形態において、蓄電装置4には、充放電制御部13を含んだ構成で説明したが、蓄電装置4とは別途に充放電制御部13を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明にかかる蓄電システムは、主に屋外で使用される蓄電システムに有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 筐体
2 ヒートポンプユニット
3 タンク
4 蓄電装置
4a 素電池
5 流体加熱流路
6 蓄電池用流路
6a 流路プレート
6b 接続管路
6c 流路プレート入口
6d 流路プレート出口
7 切替弁
8、39 ポンプ
9 温度センサ
10 冷却手段
11 制御手段
12 記憶手段
13 充放電制御部
14 温度調節手段
15 電池ケース
16 ガスケット
17 封口板
17a 開放部
18 負極板
19 正極板
20 セパレータ
21 電極群
22 正極リード
23 負極リード
24 電池モジュール
25 ケース
26 ホルダ
27 収容部
28 平板
29 排気室
30 貫通孔
31 排出口
32 ダクト
33 フレーム
34 筐体
35 薄肉部
36、38 切り欠け部
37 上枠部
40 バルブ
41 蓄電ユニット
100、101、102 蓄電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯えるタンクと、充放電を行う蓄電装置と、少なくとも一部が前記蓄電装置の内部に配置されるとともに前記タンク内の流体を流通させる流路と、前記流路を流れる流体と前記蓄電装置との間で熱交換を行うことにより前記蓄電装置の温度を調節する温度調節手段と、を備えた蓄電システムであって、
前記蓄電装置が異常状態であるとき、前記流路の内部の水を前記流路の外部へ流出させて前記蓄電装置の内部に供給する異常時給水手段を設けたことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記蓄電装置は、筐体と、少なくとも一つの電池モジュールとを備え、
前記電池モジュールは、素電池と、前記素電池を収容するケースと、前記ケースの一側面に設けられ素電池から発生したガスを前記筐体の内部であって前記ケースの外部へ排出する排出口とを有し、
前記流路は、少なくとも一部が前記筐体内に設けられるとともに、前記筐体内に設けられた部分であって前記排出口から排出されるガスが直接当たる部分に、異常時給水手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記流路は樹脂部材で構成され、前記排出口から排出されるガスが直接当たる部分は、前記流路の他の部分よりも前記樹脂部材の厚みを薄く形成されたことを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記流路は金属部材で構成され、前記排出口から排出されるガスが直接当たる部分に切り欠け部を有することを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記電池モジュールは、中空構造の枠体が枠組みされたフレームに固定されており、
前記フレームは、前記フレームの中空内部に水を流通させることにより前記流路の一部を構成し、かつ前記排出口から排出されるガスが直接当たる部分に、異常時給水手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記電池モジュールは、素電池が中空構造の樹脂部材で構成されたホルダに保持されてケースに収容されており、
前記ホルダは、前記中空内部に水を流通させることにより前記流路の一部を構成し、かつ異常時給水手段を設けていることを特徴とする請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記流路は、少なくとも一部が樹脂部材で形成されるとともに前記樹脂部材に発熱手段を有し、前記蓄電装置が異常状態であるとき、前記発熱手段を発熱させて前記流路の前記樹脂部材を溶解することを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記流路は、前記蓄電装置より下流側に、前記蓄電装置を通過した流体の流通を停止する停止手段を有し、前記蓄電装置が異常状態であるとき、前記温度調節手段により流体の流通を行うとともに、前記停止手段により前記蓄電装置を通過した流体の流通を停止することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−221646(P2012−221646A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84280(P2011−84280)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】