説明

蓄電モジュール及び作業機械

【課題】 複数の蓄電セルを効率的に冷却する。
【解決手段】 冷却媒体が通過する流路が形成された第1、第2の部材と、第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルとを有し、平板状の複数の蓄電セルは、第1、第2の部材と近接する蓄電セルの平板面と、第1、第2の部材とが接触するように、第1、第2の部材間に配置されている蓄電モジュールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電セルを冷却する構造を有する蓄電モジュール、及びそれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
充電可能な二次電池やキャパシタ等の蓄電セルを用いたハイブリッド型自動車やハイブリッド型作業機械の開発が進められている。所望の動作電圧を確保するために、複数の蓄電セルが直列接続されて用いられる。
【0003】
蓄電セルの充放電に伴い、セル内で熱が発生する。たとえばラミネートタイプの平板蓄電セルを複数直列接続し、モジュールとして使用する場合、セルは厚さ方向に積層され、各セル間に伝熱板が配置される。セルで発生した熱は、伝熱板を経由してコールドプレートに排出されるため、冷却効率が悪い。このような構成の蓄電モジュールにおいては、伝熱板内の熱流束が高くなる結果、蓄電セルの内部温度が上昇し、蓄電セルの劣化が促進される。
【0004】
蓄電セルに蓄積される電気エネルギ密度が高くなると、蓄電セル内で発生した熱を、より効率的に外部に伝達させる冷却機構が求められる。
【0005】
複数の蓄電セルで発生した熱を外部に放出する種々の構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1には、複数の蓄電セルの間に熱輸送装置を面接触するように配置した積層型バッテリ装置の発明が開示されている。熱輸送装置の内部には、細管ヒートパイプが形成されており、蓄電セルの熱を吸収して外部に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−111244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、たとえば作業機械に搭載される複数の蓄電セルを効率的に冷却することができる蓄電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によると、冷却媒体が通過する流路が形成された第1、第2の部材と、前記第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルとを有し、前記平板状の複数の蓄電セルは、前記第1、第2の部材と近接する蓄電セルの平板面と、前記第1、第2の部材とが接触するように、前記第1、第2の部材間に配置されている蓄電モジュールが提供される。
【0010】
また、本発明の他の観点によれば、下部走行体と、前記下部走行体の上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載された蓄電モジュールとを備え、前記蓄電モジュールは、冷却媒体が通過する流路が形成された第1、第2の部材と、前記第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルとを有し、前記平板状の複数の蓄電セルは、前記第1、第2の部材と近接する蓄電セルの平板面と、前記第1、第2の部材とが接触するように、前記第1、第2の部材間に配置されている作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、たとえば作業機械に搭載される複数の蓄電セルを効率的に冷却することの可能な蓄電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1−1】図1Aは、第1の実施例による蓄電モジュールの平断面図である。
【図1−2】図1Bは、図1Aの1B−1B線に沿う断面図である。
【図2】図2A、図2Bは、それぞれ第1の実施例による蓄電モジュールの第1の変形例、第2の変形例を示す断面図である。
【図3】図3は、第2の実施例による蓄電モジュールの平断面図である。
【図4】図4は、実施例による作業機械としてのハイブリッド型ショベルの概略平面図である。
【図5】図5は、実施例による作業機械の側面図である。
【図6】図6Aは、第3の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図であり、図6B及び図6Cは、それぞれ図6Aの一点鎖線6B−6B、6C−6Cにおける断面図である。
【図7】図7は、第3の実施例における位置関係で蓄電セル20と冷却板120とが配置された場合の、冷却板120の温度分布、及び流路121内の流速のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】図8は、比較例による位置関係で蓄電セル20と冷却板120とが配置された場合の、冷却板120の温度分布、及び流路121内の流速のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9A及び図9Bは、第4の実施例による蓄電モジュールの一部を示す断面図である。
【図10】図10Aは、第5の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図であり、図10Bは、図10Aの一点鎖線10B−10Bにおける断面図である。
【図11】図11A及び図11Bは、第6の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
【図12】図12は、第7の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
【図13】図13は、第8の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aに、第1の実施例による蓄電モジュールの平断面図を示す。第1の実施例による蓄電モジュールは、排熱容器10a、10b、天板14、及び複数の蓄電セル20を含んで構成される。
【0014】
排熱容器10a、10bは、同材料、たとえばアルミニウムで、ほぼ同形状、たとえば浴槽型に形成された、略等しい容器である。排熱容器10a、10bは、第1、第2の部材として底板11a、11b、及び底板11a、11bから、たとえば長方形の周に沿って、垂直に立ち上がった側壁12a、12bを備える。底板11a、11bの内部には、底板11a、11bの面内方向に、冷却媒体、たとえば冷却水を流通させる水冷配管である流路13a、13bが形成されている。底板11a、11bは、相互に略平行配置される。
【0015】
排熱容器10aと排熱容器10bとは、側壁12a、12bの立ち上がり方向と平行な方向(図1Aにおける上下方向)に重ねられている。両排熱容器10a、10bは、ボルト及びナットからなる締結具16で固定される。側壁12a、12bは、先端部が外側に、立ち上がり方向と直交する方向(底板11a、11bの延在方向)に屈曲している。側壁12a、12bの、底板11a、11b延在方向にのびる部分にボルト通し穴が形成されている。排熱容器10bの底板11bにも、側壁12bの外側に、ボルト通し穴が形成されている。排熱容器10aの底板11aにはボルト通し穴は形成されておらず、排熱容器10aと排熱容器10bとはこの点においてのみ相違する。締結具16のボルトは、底板11bのボルト通し穴と、側壁12aのボルト通し穴を貫いて挿入される。側壁12aのボルト通し穴の出口にナットが配置される。
【0016】
底板11aのうち、側壁12aの立ち上がり位置より内側の領域、側壁12a、及び、底板11bのうち、側壁12bの立ち上がり位置より内側の領域で囲まれる空間Sに、複数の薄型平板状の蓄電セル20が収納(配置)されている。蓄電セル20は、側壁12aの立ち上がり方向に、複数個、図1Aに示す例においては5個配置されている。5個の蓄電セル20は、最も下に位置する(底板11aに近接する)蓄電セル20の平板面と、底板11aとが接触し、熱的に結合するように、厚さ方向に積層配列される。最も上に位置する(底板11bに近接する)蓄電セル20の平板面と、底板11bとが接触し、熱的に結合する。5個の蓄電セル20からなる積層体は、底板11aの面内方向に複数、図1Aに示す例においては3列配置される。
【0017】
蓄電セル20の各々は、電気エネルギを蓄積し、蓄積された電気エネルギを放出することができる。蓄電セル20には、例えば、集電極、セパレータ、電解液等がラミネートフィルムで封止された電気二重層キャパシタが用いられる。なお、ラミネートフィルムで封止されたリチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン二次電池等を用いることも可能である。空間Sに配置される複数の蓄電セル20は、配線21により電気的に直列接続されている。
【0018】
排熱容器10b上に、たとえばアルミニウムで形成された板状部材である天板14が配置される。天板14の内部には、面内方向に、冷却媒体、たとえば冷却水を流通させる水冷配管である流路15が形成されている。排熱容器10b上に天板14を配置したとき、側壁12bの外側に位置する天板14に、ボルト通し穴が形成されている。排熱容器10bと天板14とは、ボルト及びナットからなる締結具17で固定されている。締結具17のボルトは、天板14のボルト通し穴と、側壁12bのボルト通し穴を貫いて挿入される。側壁12bのボルト通し穴の出口にナットが配置される。
【0019】
底板11bのうち、側壁12bの立ち上がり位置より内側の領域、側壁12b、及び、天板14のうち、側壁12bの立ち上がり位置より内側の領域で囲まれる空間Sに、複数の平板状の蓄電セル20が配置されている。配置態様は、空間Sにおける蓄電セル20のそれと等しい。空間Sに配置される複数の蓄電セル20も、配線により電気的に直列接続されている。すなわち空間Sと空間Sには、機械的及び電気的等価物が配置されている。なお、たとえば空間Sに配置される蓄電セル20と、空間Sに配置される蓄電セル20とは、電気的な接続がなされていない。
【0020】
排熱容器10a、10bの側壁12a、12bの高さLは、たとえば30mmである。また第1の実施例による蓄電モジュール内に配置する前の各蓄電セル20の厚さは、たとえば7mmである。空間S内に配置された蓄電セル20の積層体には、締結具16によって、底板11a、11bから積層方向の圧縮力が印加される。空間S内に配置された蓄電セル20の積層体には、締結具17によって、底板11b、天板14から積層方向の圧縮力が印加される。空間Sにおいては、排熱容器10aの底板11a、排熱容器10bの底板11b、及び締結具16が、蓄電セル20の積層体に圧縮力を印加する加圧機構の役目を果たす。また、空間Sにおいては、排熱容器10bの底板11b、天板14、及び締結具17が、蓄電セル20の積層体に圧縮力を印加する加圧機構の役目を果たす。空間S、S内に配置され、加圧されている各蓄電セル20の厚さは、たとえば6mmである。蓄電セル20は、加圧機構により厚さ方向に約14%の圧縮が行われることで、積層方向に直交する方向に関する位置を拘束され、空間S内(底板11aと底板11bの間)、空間S内(底板11bと天板14の間)に安定的に保持される。また、圧縮により、蓄電セル20積層体の積層方向への熱伝導性を高めることができる。更に、圧縮力の印加により、蓄電セル20内部で発生したガスの排除が容易に行われるため、蓄電セル20の電気的特性の低下が防止される。
【0021】
冷却媒体供給装置18から流路13a、13b、15に、冷却媒体、例えば冷却水が導入される。導入された冷却水は、流路13a、13b、15を通過した後、冷却媒体供給装置18に回収される。冷却媒体供給装置18は、たとえばポンプとラジエタを含んで構成される。
【0022】
冷却媒体供給装置18から流路13a、13b、15に供給される冷却媒体により、蓄電セル20の積層体からの排熱が行われる。
【0023】
なお、実施例においては、冷却媒体として冷却水を用いたが、油、フロン、アンモニア、炭化水素、空気等を使用することも可能である。
【0024】
図1Bは、図1Aの1B−1B線に沿う断面図である。排熱容器10bの底板11bは長方形状である。底板11bの外周部(側壁12bの立ち上がり位置12b´の外側領域)には、ボルト通し穴が形成されており、締結部16のボルトが挿入されている。側壁12bの内側領域には、2行3列に蓄電セル20の積層体が配置される。本図においては、蓄電セル20の積層体の配設位置に25の符号を付して示した。流路13bは、蓄電セル20の積層体の配設位置25の下方を通過するように蛇行している。なお、天板14の流路15の形成態様もこれと等しい。
【0025】
第1の実施例による蓄電モジュールにおいては、蓄電セル20の積層体のうち、最も上に位置する蓄電セル20の平板面と、最も下に位置する蓄電セル20の平板面とが、排熱機能を有する底板11a、11b、天板14に接している。また、底板11a、11b、天板14の各々に、複数の蓄電セル20の平板面が接触している。複数の平板状蓄電セル20の広い平板面から、底板11a、11b、天板14の各々に排熱が行われるため、熱抵抗が低減され、複数の蓄電セル20を効率的に冷却することができる。
【0026】
また、各蓄電セル間に伝熱板を配置し、セルで発生した熱を、伝熱板経由でコールドプレートに排出する蓄電モジュールと比較した場合、モジュール全体として見たときの冷却性能のばらつきが少なくなり、蓄電セルの劣化を抑制することが可能である。
【0027】
更に、第1の実施例による蓄電モジュールにおいては、複数の蓄電セル20が、伝熱板を介することなく厚さ方向に積層されている。伝熱板を用いないため、熱抵抗が低減されるとともに、構成部材を少なくすることができる。
【0028】
また、第1の実施例による蓄電モジュールにおいては、排熱容器10a、10bが加圧機構の一部を構成する。排熱容器10a、10bが、蓄電セル20に対する容器としての収納機能、加圧手段としての安定的保持機能、熱伝導性向上機能、電気的特性維持機能、及び冷却(排熱)機能を備えるため、構成部材を少なくすることができる。
【0029】
構成部材を少なくし、構造を単純化することは、コストダウンの実現にも寄与する。
【0030】
なお、蓄電セル20として、電気的特性を維持するために圧縮力を印加する必要がないもの、たとえばリチウムイオンキャパシタ等を用いる場合には、排熱容器10a、10bの側壁12a、12bを、圧縮力が印加されない状態の蓄電セル20積層体の厚さと等しい高さ、たとえば35mmに形成してもよい。この場合には、たとえば蓄電セル20の四隅に接着剤を塗布して、蓄電セル20どうしを固着するとともに、蓄電セル20の積層体を底板11a、11b、天板14に固定する。接着剤には、たとえばシリコーン系の接着剤を用いることができる。
【0031】
図2A、図2Bに、それぞれ第1の実施例による蓄電モジュールの第1の変形例、第2の変形例を示す。
【0032】
図2Aに示す第1の変形例は、補助用タイロッド26を備える点で、図1Bに示す実施例と異なっている。第1の変形例においては、底板11a、11b、及び天板14の対応する位置にタイロッド用の穴が設けられ、その穴を補助用タイロッド26が貫通している。補助用タイロッド26は、底板11aに形成されるタイロッド用の穴を貫通して外側でナットにより定着される。または、底板11aにネジ穴を形成し、そのネジ穴に係合させてもよい。補助用タイロッド26により、空間S、S内に積層配置される複数の蓄電装置20に対し、厚さ方向に一層の圧縮力を加えることができるため、蓄電装置20をより安定的に保持するとともに、蓄電セル20積層体の積層方向への熱伝導性をより高めることが可能である。
【0033】
図2Bに示す第2の変形例は、排熱容器10a、10bがともに、たとえばアルミニウムで形成される補助用壁27を備える点で、図1Bに示す実施例と異なっている。補助用壁27は、2行3列に形成される蓄電セル20の積層体の配設位置25を、1行ずつ行方向に区切る位置の底板11a、11bから垂直に立ち上がり、側壁12a、12bと同様に、先端部が立ち上がり方向と直交する方向(底板11a、11bの延在方向)に屈曲している。補助用壁27の高さと側壁12a、12bの高さとは等しい。補助用壁27の、底板11a、11b延在方向にのびる部分にはボルト通し穴が形成されている。底板11b及び天板14の対応位置にも、ボルト通し穴が形成されている。
【0034】
底板11bのボルト通し穴と、排熱容器10aの補助用壁27のボルト通し穴を貫いて締結具16のボルトが挿入され、排熱容器10aの補助用壁27のボルト通し穴の出口に配置される締結具16のナットにより定着される。また、天板14のボルト通し穴と、排熱容器10bの補助用壁27のボルト通し穴を貫いて締結具17のボルトが挿入され、排熱容器10bの補助用壁27のボルト通し穴の出口に配置される締結具17のナットにより定着される。
【0035】
なお、底板11b、天板14にネジ穴を形成し、補助用壁27のボルト通し穴に下から挿入したボルトを係合させる構成を採用してもよい。
【0036】
第2の変形例においては、排熱容器10aの補助用壁27、排熱容器10bの底板11b、及び締結具16によって、空間S内に配置された蓄電セル20の積層体に一層の圧縮力を印加することができる。また、排熱容器10bの補助用壁27、天板14、及び締結具17によって、空間S内に配置された蓄電セル20の積層体に一層の圧縮力を印加することが可能である。このため、蓄電装置20をより安定的に保持するとともに、蓄電セル20積層体の積層方向への熱伝導性をより高めることができる。
【0037】
図3に、第2の実施例による蓄電モジュールの平断面図を示す。第1の実施例による蓄電モジュールの構成部材と等しい構成部材については、同符号を付して説明を省略する。
【0038】
第2の実施例による蓄電モジュールは、たとえばアルミニウムで形成された板状部材であるコールドプレート31〜33を備える。コールドプレート31〜33は、たとえば平行配置される。
【0039】
コールドプレート31〜33の内部には、コールドプレート31〜33の面内方向に、冷却媒体、一例として冷却水を流通させる水冷配管である流路31a〜33aが設けられている。流路31a〜33aは、たとえば図1Bに示す第1の実施例と同様に、蛇行形状に形成される。
【0040】
ポンプとラジエタを含んで構成される冷却媒体供給装置18から流路31a〜33aに、冷却水が導入される。導入された冷却水は、流路31a〜33aを経由して、冷却媒体供給装置18に回収される。
【0041】
コールドプレート31とコールドプレート32の間、及び、コールドプレート32とコールドプレート33の間に、それぞれ電気的に直列接続された複数の蓄電セル20が配置されている。蓄電セル20の配置態様は、第1の実施例による蓄電モジュールの空間S、Sにおけるそれと等しい。コールドプレート31、32、33は、機能的に、それぞれ第1の実施例による蓄電モジュールの底板11a、底板11b、天板14に対応し、一例として、複数の蓄電セル20を冷却する機能を有する。
【0042】
コールドプレート31〜33にはタイロッド用の穴が設けられ、その穴をタイロッド35が貫通している。タイロッド35は、コールドプレート31の外側でナットにより定着される。コールドプレート31、32間に画定される空間S、コールドプレート32、33間に画定される空間S内に配置された蓄電セル20の積層体には、タイロッド35によって、積層方向の圧縮力が印加される。空間Sにおいては、コールドプレート31、32、及びタイロッド35が、蓄電セル20の積層体に圧縮力を印加する加圧機構の役目を果たす。また、空間Sにおいては、コールドプレート32、33、及びタイロッド35が、蓄電セル20の積層体に圧縮力を印加する加圧機構の役目を果たす。
【0043】
圧縮力によって、コールドプレート31、32間、及び、コールドプレート32、33間に、蓄電装置20を安定的に保持するとともに、蓄電セル20積層体の積層方向への熱伝導性を高めることができる。また、蓄電セル20の電気的特性の低下が防止される。
【0044】
なお、図示は省略したが、コールドプレート31〜33、タイロッド35、及びコールドプレート31〜33間に配置された複数の蓄電セル20を覆うカバーを設置してもよい。
【0045】
第2の実施例による蓄電モジュールも、第1の実施例と同様の効果を奏することができる。
【0046】
以下、流路と蓄電セルの相対的な位置関係、及び流路の形状について説明する。以下に記す実施例による蓄電モジュールの説明においては、図面の見易さの確保等の観点から、積層方向に1個の蓄電セル20と流路との相対位置関係等を示すが、たとえば平板状の蓄電セル20は、図1Aや図3に示されるように、その厚さ方向に積層配列されている。すなわち以下の蓄電モジュールの実施例は、流路と蓄電セルの相対的な位置関係等に関し、蓄電モジュールの特徴部分のみを示す。他の構成は、第1、第2の実施例と同様である。
【0047】
図6Aは、第3の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図である。冷却板120の表面上に、蓄電セル20が固定され、冷却板120に熱的に結合している。ここで冷却板120は、たとえば、底板11a、11b、天板14、コールドプレート31〜33のように、その内部に流路が形成された板状の部材である。
【0048】
なお、蓄電セル20の積層体の上にも他の冷却板120が配置される。積層体上の冷却板120の流路と蓄電セル20との相対的位置関係は、たとえば図6Aに示す、積層体下の冷却板120の流路と蓄電セル20とのそれと等しい。異ならせることも可能である。
【0049】
冷却板120の内部に、冷却用流路121が形成されている。冷却用流路121は、冷却媒体導入管123に接続され、第1の方向(図6Aにおいて右方向)に延びる第1の直線流路121Bを含む。第1の直線流路121Bの側方(図6Aにおいて上方)に、第2の直線流路121Dが形成されている。湾曲流路121Cが、第1の直線流路121Bの下流端から第2の直線流路121Dの上流端に連続する。第1の直線流路121Bを流れてきた冷却媒体が、湾曲流路121Cで進行方向を変えて、第2の直線流路121Dに流れ込む。第2の直線流路121Dの下流端121Eが、冷却媒体排出管124に接続されている。
【0050】
第1の直線流路121Bの上流端121Aの近傍は、下流に向かって幅が広くなるテーパ状とされている。テーパ状の部分以外の第1の直線流路121Bの幅Wは一定である。第2の直線流路121Dの下流端121Eの近傍は、上流に向かって幅が広くなるテーパ状とされている。テーパ状の部分以外の第2の直線流路121Dの幅は、第1の直線流路121Bの幅Wと等しい。また、湾曲流路121Cの幅も、第1の直線流路121Bの幅Wと等しい。
【0051】
テーパ状の部分は、流路断面が急激に変化したときに、乱れた流れが安定になるまでの助走路として機能する。助走路の長さは、等価管直径の10倍程度とすることが好ましい。等価管直径Deは、
De=4A/Wp
と定義される。ここで、Aは、第1の直線流路121Bの断面積、Wpは、第1の直線流路121Bの濡れ縁長さ(流路断面における壁面の長さ)である。
【0052】
第2の直線流路121Dと蓄電セル20とが重なる領域A2の面積が、第1の直線流路121Bと蓄電セル20とが重なる領域A1の面積より大きい。湾曲流路121Cの曲率中心CCを通過し、第1の方向に平行な仮想直線VLを基準として、蓄電セル20は、第2の直線流路121Dの側に偏って配置されている。すなわち、曲率中心CCを通過し、第1の方向に平行な仮想直線VLに対して、蓄電セル20の中心線20Cが、第2の直線流路121D側にずれている。第2の直線流路121Dは、その幅方向に関して全域が蓄電セル20と重なっている。これに対し、第1の直線流路121Bは、その幅方向に関して、一部分のみしか蓄電セル20と重なっていない。より具体的には、第1の直線流路121Bの外側の経路は、蓄電セル20と重なっていない。
【0053】
図6B及び図6Cに、それぞれ図6Aの一点鎖線6B−6B、6C−6Cにおける断面図を示す。冷却板120に近接する蓄電セル20は、平板面が冷却板120に対向し接触する姿勢で、冷却板120に固定されている。
【0054】
冷却板120の内部に、流路121が形成されている。図6Bに示した断面には、第1の直線流路121Bと第2の直線流路121Dとが現れており、図6Cに示した断面には、湾曲流路121Cが現れている。流路121の断面は、冷却板120の厚さ方向に関する寸法が最も小さい扁平な形状を有する。すなわち、流路121の厚さ方向の寸法Hは、幅方向の寸法Wよりも小さい。蓄電セル20の中心線20Cが、曲率中心CCに対して、第2の直線流路121D側にずれている。
【0055】
流路121の上面(蓄電セル20が固定される表面に近い方の面)に、冷却媒体の流れの方向に沿う尾根状の凸部121Fが形成されている。凸部121Fが形成されていることにより、冷却媒体と冷却板120とが接触する領域の面積が大きくなる。これにより、冷却板120から冷却媒体への熱伝達効率を高めることができる。
【0056】
流路121は、たとえばアルミニウムの鋳造により形成することができる。直線状の管路を湾曲させて流路を形成する場合には、曲率半径が管路の直径によって制限される。流路の形成に鋳造を適用することにより、湾曲流路121Cの曲率半径を自由に設定することができる。
【0057】
図7に、第3の実施例における位置関係で蓄電セル20と冷却板120とが配置された場合の、冷却板120の温度分布、及び流路121内の流速のシミュレーション結果を示す。相対的に流速の遅い領域VL、中程度の流速の領域VM、及び流速の速い領域VHを、ハッチの間隔を変えて示す。また、温度間隔2℃ごとに、等温線T1〜T10を破線で示す。等温線T1の温度が最も低く、等温線T10の温度が最も高い。
【0058】
第1の直線流路121B内の内側の経路から湾曲流路121Cに流入し、第2の直線流路121D内の外側の経路に向かう経路の流速が相対的に速いことがわかる。また、第1の直線流路121B内の外側の経路から湾曲流路121C内の外側の経路に繋がる経路の流速、及び第2の直線流路121D内の内側の経路の流速が、相対的に遅いことがわかる。流速の遅い領域で、冷却能力が相対的に低く、流速の速い領域では、冷却能力が相対的に高い。
【0059】
図8に、比較例による位置関係で蓄電セル20と冷却板120とが配置された場合の、冷却板120の温度分布、及び流路121内の流速のシミュレーション結果を示す。比較例の流路121の形状は、図6A〜図6Cに示すものと同等である。比較例では、蓄電セル20が、第1の直線流路121Bと重なる領域の面積と、第2の直線流路121Dと重なる領域の面積とが等しい。曲率中心CCが、蓄電セル20の中心線20C上に位置する。蓄電セル20は、第1の直線流路121Bの幅方向の全域において、第1の直線流路121Bと重なっている。
【0060】
流速の分布は、図7に示した実施例の場合とほぼ同様の傾向を示している。温度間隔2℃ごとに、等温線T1〜T15を破線で示す。等温線T1の温度が最も低く、等温線T15の温度が最も高い。
【0061】
図7と図8とを比較すると、比較例の等温線の密度が、実施例の等温線の密度よりも高いことがわかる。すなわち、比較例の方が、温度のばらつきが大きい。
【0062】
特に、比較例においては、第1の直線流路121B内の外側の経路に対応する領域の温度が高いことがわかる。これは、流速が遅いために、この部分の冷却能力が低いことに起因する。
【0063】
実施例では、図7に示したように、第1の直線流路121B内の外側の経路上には、蓄電セル20が配置されていない。このため、第1の直線流路121B内の外側の経路に対応する領域の温度の著しい上昇を抑制することができる。第2の直線流路121D内の内側の経路の流速も遅いが、この部分は、第1の直線流路121Bに近い。このため、第2の直線流路121D内の内側の経路を流れる冷却媒体による冷却能力の低下が、第1の直線流路121B内の内側の経路を流れる冷却媒体による冷却能力で補償される。これに対し、図8に示した比較例においては、第1の直線流路121B内の外側の経路よりもさらに外側には、流路が存在しないため、この部分の冷却能力の低下が補償されない。これにより、第1の直線流路121B内の外側の経路に対応する部分の温度が著しく上昇していると考えられる。
【0064】
上述のように、第3の実施例による蓄電モジュールにより、蓄電セル20の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0065】
蓄電セル20の、第1の直線流路121Bと重なっている縁の近傍の局所的な温度上昇を抑制するために、蓄電セル20の縁から、第1の直線流路121Bの外側の縁までの距離を、第1の直線流路121Bの幅Wの1/4以上にすることが好ましい。また、第1の直線流路121Bと蓄電セル20とが重ならないようにしてもよい。この場合には、蓄電セル20の縁が、第1の直線流路121Bと第2の直線流路121Dとの間に配置される。
【0066】
また、第3の実施例では、厚さ方向に扁平な流路121が形成されている。このため、断面がほぼ円形の冷却管路をU字状に湾曲させて形成した冷却構造に比べて、蓄電セル20と流路121とが重なる領域を広くすることができる。例えば、平面視において、蓄電セル20のうち、60%以上の領域が、流路121に重なる構成とすることができる。第3の実施例においては、両者が重なっている領域の面積が、蓄電セル20の面積の60%以上である。これに対し、冷却管路を湾曲させて流路を作製する場合には、曲率半径が管路の直径によって制限される。このため、蓄電セル20のうち冷却管路と重なる領域を、蓄電セル20全域の40%以上にすることは困難である。
【0067】
図9A及び図9Bに、第4の実施例による蓄電モジュールの一部を断面図で示す。以下、図6A〜図6Cに示した第3の実施例との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。第4の実施例の平面図は、図6Aに示した第3の実施例と同一である。
【0068】
図9A及び図9Bは、それぞれ図6Aの一点鎖線6B−6B、6C−6Cにおける断面図を示す。第4の実施例では、図6B及び図6Cに示した凸部121Fが形成されておらず、流路121の底面及び上面が、いずれも平坦である。第3の実施例と同様に、蓄電セル20の中心線20Cが、曲率中心CCに対して、第2の直線流路121D側にずれている。
【0069】
第4の実施例においても、流路121と蓄電セル20との、平面視における相対的な位置関係が、第3の実施例における関係と同一である。このため、第3の実施例と同様に、蓄電セル20の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0070】
図10Aは、第5の実施例による蓄電モジュールの一部を示す平面図である。以下、図6A〜図6Cに示した第3の実施例との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0071】
第5の実施例では、第1の直線流路121Bが、幅方向に関して内側流路121Baと、それよりも外側に配置された外側流路121Bbとに分離されている。内側流路121Baの幅W1と、外側流路121Bbの幅W2との合計は、第2の直線流路121Dの幅Wと同一である。
【0072】
内側流路121Baと外側流路121Bbとに対応して、湾曲流路121Cも、内側流路121Caと外側流路121Cbとに分離されている。内側流路121Ca、外側流路121Cbの幅は、それぞれ内側流路121Ba、外側流路121Bbの幅と同一である。内側流路121Caと外側流路121Cbとは、下流に向かって徐々に近づき、第2の直線流路121Dの上流端に至るまでに1本の流路に合流する。
【0073】
蓄電セル20は、第1の直線流路121Bのうち、内側流路121Baと重なるが、外側流路121Bbとは重ならない。なお、外側流路121Bb内の内側の経路に対応する部分が、蓄電セル20と重なるようにしてもよい。この場合にも、外側流路121Bb内の外側の経路に対応する部分は、蓄電セル20と重ならない。
【0074】
蓄電セル20は、ネジ155により、冷却板120に固定されている。一部のネジ155は、内側流路121Baと外側流路121Bbとの間に配置される。
【0075】
図10Bに、図10Aの一点鎖線10B−10Bにおける断面図を示す。冷却板120内に、第1の直線流路121B及び第2の直線流路121Dが形成されている。第1の直線流路121Bは、内側流路121Baと外側流路121Bbとに分離されている。一部のネジ155が、内側流路121Baと外側流路121Bbとの間に配置されている。ネジ155は、第1の直線流路121Bの上面よりも深い位置まで到達している。
【0076】
流路121の上面は、図6B、図6Cに示したように、凸部121Fが形成された形状としてもよいし、図9A、図9Bに示したように、平坦にしてもよい。
【0077】
第5の実施例においても、蓄電セル20が、第1の直線流路121Bの一部分にのみ重なっており、第1の直線流路121Bの外側の経路は、蓄電セル20と重なっていない。このため、第3の実施例と同様に、蓄電セル20の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0078】
蓄電セル20から、流路121を流れる冷却媒体までの熱抵抗を小さくするために、流路121と、蓄電セル20との間に介在する冷却板120を、なるべく薄くすることが好ましい。薄くされた部分には、ネジ155を取り付けることが困難である。第5の実施例では、第1の直線流路121Bを、内側流路121Baと外側流路121Bbとに分離することにより、ネジ155を挿入するための厚い部分を確保することができる。
【0079】
内側流路121Baと外側流路121Bbとの間隔は、ネジ155を挿入して固定するために十分な間隔にする必要がある。ただし、冷却媒体の流れを妨げないようにするために、両者の間隔を100mm以下にすることが好ましい。また、第3の実施例と同様に、蓄電セル20の縁から、第1の直線流路121Bの外側流路121Bbの外側の縁までの距離を、幅Wの1/4以上とすることが好ましい。
【0080】
図11Aに、第6の実施例による蓄電モジュールの一部の平面図を示す。以下、図6A〜図6Cに示した第3の実施例による蓄電モジュールとの相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0081】
第3の実施例では、湾曲流路121Cが1つのみ配置されていたが、第6の実施例では、湾曲流路が複数個配置されている。すなわち、流路121が、直線流路と湾曲流路とが交互に連続する蛇行形状を有する。この場合、最も上流側の直線流路121Bを、第3の実施例の第1の直線流路121Bに対応付けて考えればよい。蓄電セル20は、流路121の幅方向に関して、最も上流側の直線流路121Bの一部分のみと重なり、直線流路121B内の外側の経路は、蓄電セル20と重なっていない。最も上流の直線流路以外の直線流路は、その幅方向に関して全域が蓄電セル20と重なっている。
【0082】
中央の湾曲流路121Cの曲率中心CCを通過し、直線流路121Bの長手方向に平行な仮想直線VLに対して、蓄電セル20の中心線20Cが、第3の実施例の場合と同様に、下流側の直線流路の側にずれている。
【0083】
第6の実施例においても、蓄電セル20の縁よりも外側に、最も上流側の直線流路121B内の外側の経路が存在する。このため、第3の実施例と同様に、蓄電セル20の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0084】
図11Bに示すように、蓄電セル20の縁が、最も上流側の直線流路121Bと、その隣の直線流路121D(第3の実施例の第2の直線流路121Dに相当)との間に位置するように、蓄電セル20を冷却板120上に配置してもよい。この場合も、図11Aに示す場合と同様に、中央の湾曲流路121Cの曲率中心CCを通過し、直線流路121Bの長手方向に平行な仮想直線VLに対して、蓄電セル20の中心線20Cが、下流側の直線流路の側にずれている。
【0085】
図12に、第7の実施例による蓄電モジュールの一部の平面図を示す。以下、図6A〜図6Cに示した第3の実施例による蓄電モジュールとの相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0086】
第7の実施例においても、冷却媒体用の流路121は、第1の直線流路121B、湾曲流路121C、及び第2の直線流路121Dを含む。第1の直線流路121Bは、第1の向き(図12において上向き)に冷却媒体を流す。第2の直線流路121Dは、第1の直線流路121Bの側方に配置され、第1の向きとは反対向き(図12において下向き)に冷却媒体を流す。湾曲流路121Cは、第1の直線流路121Bの下流端を、第2の直線流路121Dの上流端に接続する。湾曲流路121Cは、第1の直線流路121Bの下流端から離れるに従って、一旦、第2の直線流路121Dから遠ざかる方向に湾曲し、その後、第2の直線流路121Dに繋がる。
【0087】
湾曲流路121Cの最小曲率半径を有する部分の曲率中心CCを通過し、第1の向きと平行な仮想直線VLを基準として、蓄電セル20は、第1の直線流路121Bの幅方向に関して、第2の直線流路121Dの方に偏った位置に配置されている。第7の実施例においては、第1の直線流路121B及び第2の直線流路121Dの双方が、幅方向に関して、全域において蓄電セル20と重なっている。
【0088】
湾曲流路121Cの曲率中心CCを通過し、直線流路121Bの長手方向に平行な仮想直線VLと、蓄電セル20の中心線20Cとは、第3の実施例の場合と同様に、相互にずれている。
【0089】
湾曲流路121Cが、一旦、外側に向かって湾曲しているため、第1の直線流路121B内の外側の経路の流速が、図7に示した例に比べて遅くならない。このため、蓄電セル20の温度の面内分布のばらつきを抑制することができる。
【0090】
図13に、第8の実施例による蓄電モジュールの一部の平面図を示す。図13に示す平面図は、図1Bに示す断面図に対応する。以下、図6A〜図6Cに示した第3の実施例による蓄電モジュール、及び、図1Bに示す構成との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0091】
図13に示す構成と図1Bに示す構成とは、蓄電セル20A〜20Aと流路との相対的な位置関係において相違する。
【0092】
第8の実施例においては、平面視上、矩形状の蓄電セル20Aの下辺(図13において下側の辺)が第1の直線流路130Bの下辺と重なって配置される。矩形状の蓄電セル20Aの上辺は、第2の直線流路130Dの上辺を越えている。また、第1の湾曲部130Cは、蓄電セル20Aの右辺よりも右側に配置され、第2の湾曲部130Eは、蓄電セル20Aの左辺よりも左側に配置される。蓄電セル20A、20Aは、上辺が第2の直線流路130Dの上辺を越え、下辺が第1の直線流路130Bの下辺を越えるように配置される。湾曲流路130Cの曲率中心CC1を通過し、第1、第2の直線流路130B、130Dの延在方向に平行な仮想直線VL1に対して、蓄電セル20Aの中心線20Cは、第2の直線流路130D側にずれている。蓄電セル20A、20Aの中心線20C、20Cは、仮想直線VL1と重なる。
【0093】
蓄電セル20A〜20Aと第3、第4の直線流路130F、130Hの相対的位置関係は、蓄電セル20A〜20Aと第1、第2の直線流路130B、130Dのそれと同様である。すなわち、湾曲流路130Gの曲率中心CC3を通過し、第3、第4の直線流路130F、130Hの延在方向に平行な仮想直線VL3に対して、蓄電セル20Aの中心線20Cは、第4の直線流路130H側にずれている。蓄電セル20A、20Aの中心線20C、20Cは、仮想直線VL3と重なる。
【0094】
第8の実施例においても、第3の実施例と同様に、蓄電セル20A〜20Aの局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0095】
図4は、実施例による作業機械、たとえば第1〜第8の実施例による蓄電モジュールを適用した作業機械としてのハイブリッド型ショベルの概略平面図である。
【0096】
上部旋回体70に、旋回軸受け73を介して、下部走行体(走行装置)71が取り付けられている。上部旋回体70に、エンジン74、メインポンプ75、旋回モータ76、油タンク77、冷却ファン78、座席79、蓄電モジュール80、及び電動発電機83が搭載されている。エンジン74は、燃料の燃焼により動力を発生する。エンジン74、メインポンプ75、及び電動発電機83が、トルク伝達機構81を介して相互にトルクの送受を行う。メインポンプ75は、ブーム82等の油圧シリンダに圧油を供給する。
【0097】
電動発電機83は、エンジン74の動力によって駆動され、発電を行う(発電運転)。発電された電力は、蓄電モジュール80に供給され、蓄電モジュール80が充電される。また、電動発電機83は、蓄電モジュール80からの電力によって駆動され、エンジン74をアシストするための動力を発生する(アシスト運転)。油タンク77は、油圧回路の油を貯蔵する。冷却ファン78は、油圧回路の油温の上昇を抑制する。操作者は、座席79に着座して、ハイブリッド型ショベルを操作する。
【0098】
実施例による作業機械の蓄電モジュール80には、第1〜第8の実施例による蓄電モジュール、第1の実施例による蓄電モジュールの第1の変形例、第2の変形例の少なくとも1つが用いられる。
【0099】
図5に、実施例による作業機械の側面図を示す。下部走行体71に、旋回軸受け73を介して上部旋回体70が搭載されている。上部旋回体70は、旋回モータ76(図4)からの駆動力により、下部走行体71に対して、時計回り、または反時計周りに旋回する。上部旋回体70に、ブーム82が取り付けられている。ブーム82は、油圧駆動されるブームシリンダ107により、上部旋回体70に対して上下方向に揺動する。ブーム82の先端に、アーム85が取り付けられている。アーム85は、油圧駆動されるアームシリンダ108により、ブーム82に対して前後方向に揺動する。アーム85の先端にバケット86が取り付けられている。バケット86は、油圧駆動されるバケットシリンダ109により、アーム85に対して上下方向に揺動する。
【0100】
蓄電モジュール80が、蓄電モジュール用マウント90及びダンパ(防振装置)91を介して、上部旋回体70に搭載されている。蓄電モジュール80から供給される電力によって、旋回モータ76(図4)が駆動される。また、旋回モータ76は、運動エネルギを電気エネルギに変換することによって回生電力を発生する。発生した回生電力によって、蓄電モジュール80が充電される。
【0101】
実施例による作業機械は、冷却効率に優れた第1〜第8の実施例による蓄電モジュール、第1の実施例による蓄電モジュールの第1の変形例、第2の変形例のいずれかを搭載する、高性能の作業機械である。
【0102】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0103】
たとえば、実施例による蓄電モジュールにおいては、蓄電セル20の複数の積層体からなる電気的等価物を、空間S、Sに一単位ずつ、計二単位配置したが、一単位だけとしてもよい。また三単位以上配置することもできる。電気的等価物を複数単位分準備し、必要に応じて配置することができるため、メンテナンス性を向上させることが可能である。
【0104】
また、各空間に蓄電セルの積層体を配置した例を示したが、たとえば蓄電セルを一つだけ、各空間に配置してもよい。この場合、両面から蓄電セルを冷却できるため、冷却効果を著しく向上させることができる。
【0105】
更に、実施例による蓄電モジュールにおいては、底板11a、11b、天板14、コールドプレート31〜33、冷却板120内部に、流路13a、13b、15、31a〜33a、121が形成される構成を採用したが、流路は、たとえば溶接によって、それらの外部に形成することもできる。
【0106】
また、実施例においては、第1、第2の部材としての底板11a、11bは、より大きな部材である排熱容器10a、10bの一部であった。第1、第2の部材は、より大きな部材の一部である場合に限らず、独立した部材の全部であってもよい。このように考え、たとえば天板14を、第3の部材とみることができる。
【0107】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0108】
たとえばハイブリッド型ショベル等の作業機械に、好ましく利用可能である。
【符号の説明】
【0109】
10a、10b 排熱容器
11a、11b 底板
12a、12b 側壁
12b´ 側壁12bの立ち上がり位置
13a、13b 流路
14 天板
15 流路
16、17 締結具
18 冷却媒体供給装置
20、20A〜20A 蓄電セル
20C、20C〜20C 中心線
21 配線
25 蓄電セル20の積層体の配設位置
26 補助用タイロッド
27 補助用壁
31〜33 コールドプレート
31a〜33a 流路
35 タイロッド
70 上部旋回体
71 下部走行体
73 旋回軸受け
74 エンジン
75 メインポンプ
76 旋回モータ
77 油タンク
78 冷却ファン
79 座席
80 蓄電モジュール
81 トルク伝達機構
82 ブーム
83 電動発電機
85 アーム
86 バケット
90 マウント
91 ダンパ
107 ブームシリンダ
108 アームシリンダ
109 バケットシリンダ
120 冷却板
121 流路
121A 上流端
121B 第1の直線流路
121Ba 内側流路
121Bb 外側流路
121C 湾曲流路
121Ca 内側流路
121Cb 外側流路
121D 第2の直線流路
121E 下流端
121F 凸部
123 冷却媒体導入管
124 冷却媒体排出管
130B 第1の直線流路
130C 第1の湾曲部
130D 第2の直線流路
130E 第2の湾曲部
130F 第3の直線流路
130G 第3の湾曲部
130H 第4の直線流路
155 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体が通過する流路が形成された第1、第2の部材と、
前記第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルと
を有し、
前記平板状の複数の蓄電セルは、前記第1、第2の部材と近接する蓄電セルの平板面と、前記第1、第2の部材とが接触するように、前記第1、第2の部材間に配置されている蓄電モジュール。
【請求項2】
前記平板状の複数の蓄電セルは、積層配列された積層体を、前記第1、第2の部材の延在方向に複数形成して、前記第1、第2の部材間に配置されている請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記複数の蓄電セルには、前記第1、第2の部材から、積層方向の圧縮力が印加される請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
更に、
冷却媒体が通過する流路が形成された第3の部材と、
前記第2、第3の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルと
を含み、
前記第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルと、前記第2、第3の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルとは、電気的に等価である請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記第1の部材の流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記第2の直線流路と前記蓄電セルとが重なる領域の面積が、前記第1の直線流路と前記蓄電セルとが重なる領域の面積より大きい請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記流路の、前記蓄電セルが配置された側の内面に、冷却媒体の流れの方向に沿う尾根状の凸部が形成されている請求項5に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
平面視において、前記蓄電セルのうち、前記流路と重なっている領域が、前記蓄電セルの全域の60%以上である請求項5または6に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
前記第1の部材の流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記湾曲流路の最小曲率半径を有する部分の曲率中心を通過し、前記第1の向きと平行な仮想直線を基準として、前記蓄電セルは、前記第1の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の方に偏った位置に配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項9】
下部走行体と、
前記下部走行体の上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体に搭載された蓄電モジュールと
を備え、
前記蓄電モジュールは、冷却媒体が通過する流路が形成された第1、第2の部材と、前記第1、第2の部材間に配置された、平板状の複数の蓄電セルとを有し、前記平板状の複数の蓄電セルは、前記第1、第2の部材と近接する蓄電セルの平板面と、前記第1、第2の部材とが接触するように、前記第1、第2の部材間に配置されている作業機械。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−12700(P2013−12700A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246448(P2011−246448)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】