説明

蓄電装置の冷却構造及び車両

【課題】蓄電素子及びその端子を効果的に冷却できる冷却構造を提供する。
【解決手段】複数の蓄電素子11を積層した蓄電モジュール12と、蓄電素子11間に形成される第1の冷媒通路13dと、蓄電モジュール12の外部に設けられ、蓄電モジュール12の外面のうち蓄電素子11の端子11a、11bが位置する側の第1の外面に沿って形成される第2の冷媒通路31aとを有する。第1の冷媒通路13dと第2の冷媒通路31aとに対して冷媒を分岐供給する吸気チャンバ17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を用いて蓄電装置を冷却する蓄電装置の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車には、駆動用または補助電源として蓄電装置が搭載されている。電気自動車は、蓄電装置に蓄電された電力を用いて電動機を駆動して車両を駆動したり、電動機によりエンジンをアシストして車両を駆動したりする。燃料電池自動車は、燃料電池による電力を用いて電動機を作動して車両を走行させたり、この燃料電池による電力に加えて蓄電装置に蓄電された電力を用いて電動機を駆動して車両を走行させる。
【0003】
この種の蓄電装置は、充放電時に発熱し、この発熱状態を放置すると電池劣化が進行するため、冷媒を用いて冷却する必要がある。蓄電装置の冷却構造として、特許文献1は発電要素を隙間なく積層した発電モジュールと、これらの発電要素の端子部材を冷却するための冷却通路とを備えた冷却構造を開示する。
【0004】
端子部材は、バスバーにより接続されており、バスバーには放熱用のフィンが形成されている。発電要素で発生した熱は、熱伝導によりフィンに伝熱する。発熱したフィンは、冷媒通路に流入した冷媒により冷却される。
【0005】
また、別の冷却構造として、特許文献2は、単位電池間に冷媒通路を形成した組電池を開示する。特許文献2の図3は、組電池の斜視図であり、組電池の外面のうち冷媒通路の冷媒排出口が位置する側の面には、端子が設置されている。また、特許文献2の図5は、別の組電池の斜視図であり、冷媒通路の流入口及び流出口が形成された面に対して直交する面には端子が設置されている。
【特許文献1】特開2005−71674号公報(図5など参照)
【特許文献2】特開平10−106637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、フィンを備えたバスバー及び端子部材のみを冷却しているため、発電要素の冷却が不十分となる。
【0007】
また、特許文献2の図3に図示する構成では、矢印で示すように冷媒排出口から流出した冷媒が直進し、この冷媒の流出経路から退避した位置に端子が位置しているため、端子の冷却が不十分となる。
【0008】
さらに、特許文献2の図5に図示する構成では、冷媒通路の流入口及び流出口が形成された面に対して直交する面に端子が位置しているため、端子を直接冷媒で冷却することができない。
【0009】
そこで、本願発明は、蓄電素子及び端子の双方をより効果的に冷却できる蓄電装置の冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願発明の蓄電装置の冷却構造は、複数の蓄電素子を積層した蓄電モジュールと、前記蓄電素子間に形成される第1の冷媒通路と、前記蓄電モジュールの外部に設けられ、前記蓄電モジュールの外面のうち前記蓄電素子の端子が位置する側の第1の外面に沿って形成される第2の冷媒通路と、を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、蓄電素子及び端子の双方をより効果的に冷却できる。
【0012】
ここで、第1及び第2の冷媒通路に冷媒を供給する第1の方法として、第1及び第2の冷媒通路に冷媒を分岐流入させる冷媒供給管を用いることができる。これにより、各冷媒通路に対して独立した冷媒供給手段を設ける必要がなくなり、コストの削減及び小型化を図ることができる。
【0013】
蓄電素子間にスペーサ部材を配置し、このスペーサ部材に蓄電素子に当接して第1の冷媒通路を形成する複数のガイド部材を設けることができる。これにより、蓄電素子間に第1の冷媒通路を確実に形成することができる。また、スペーサ部材にガイド部材を設けることにより、ユニット化できるため、第1の冷媒通路を有する蓄電モジュールの組み立てが容易となる。
【0014】
ガイド部材によって蓄電素子を押圧するとよい。これにより、蓄電素子の集電体から活物質が剥がれるのを防止でき、蓄電素子の性能低下を抑制できる。
【0015】
また、第1及び第2の冷媒通路に冷媒を供給する第2の方法として、前記第1の外面に隣接する二つの異なる第2及び第3の外面を有する蓄電モジュールにおいて、前記第1の冷媒通路を、前記第2及び第3の外面にそれぞれ冷媒流入口及び冷媒排出口を有する第3の冷媒通路と、前記第2及び第1の外面にそれぞれ冷媒流入口及び冷媒排出口を有する第4の冷媒通路とから構成することができる。
【0016】
これにより、第1の冷媒通路に流入した冷媒の一部が第2の冷媒通路に流入するため、各冷媒通路に対して独立した冷媒供給手段を設ける必要がなくなり、コストの削減及び小型化を図ることができる。
【0017】
蓄電素子間にスペーサ部材を配置して、このスペーサ部材に蓄電素子に当接することにより第1の冷媒通路を形成する複数のガイド部材を設けることができる。これにより、蓄電素子間に第1の冷媒通路を確実に形成することができる。また、スペーサ部材にガイド部材を設けることにより、ユニット化できるため、第1の冷媒通路を有する蓄電モジュールの組み立てが容易となる。
【0018】
ガイド部材によって蓄電素子を押圧するとよい。これにより、蓄電素子の集電体から活物質が剥がれるのを防止でき、蓄電素子の性能低下を抑制できる。
【0019】
互いに隣接する蓄電素子の端子を接続する接続部材を有し、この接続部材に、凸形状の放熱部を設けるとよい。これにより、接続部材の放熱面積が増し、端子の放熱量を増やすことができる。
【0020】
前記蓄電素子は、角型で構成することができる。また、上記蓄電装置の冷却構造は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に適用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、蓄電素子及び端子の双方をより効果的に冷却できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】
(実施例1)
図1乃至図3を参照しながら、本発明の実施例である蓄電装置の冷却構造の概略構成について説明する。ここで、図1は蓄電装置の斜視図であり、吸気チャンバ及び排気チャンバを接続する天板(図3参照)を省略して図示している。図2は蓄電装置の分解斜視図である。図3は、蓄電装置のY―Z断面図である。
【0024】
これらの図において、蓄電装置1は、蓄電素子11とスペーサ13とを交互に積層した蓄電モジュール12を含み、この蓄電モジュール12はY軸方向に二つ並んで設けられている。蓄電素子11のZ軸方向の端面には、正極端子11a及び負極端子11bが設けられている。
【0025】
図1に図示するように、蓄電モジュール12のX軸方向の両端面には、エンドプレート14、15が固定されている。エンドプレート14、15には、蓄電素子11の積層方向に延びる拘束バンド16が取り付けられている。拘束バンド16をエンドプレート14、15に取り付けることにより、蓄電モジュール12に対して積層方向の圧縮力が付与される。
【0026】
ここで、蓄電素子11は、充放電により発熱し、この発熱状態を放置すると蓄電素子11に収容された発電要素の劣化が進行する。また、端子11a、11bは、充放電時の化学反応や電気抵抗によって蓄電素子11の発電要素よりも高い温度に昇温され、端子11a、11bの熱が発電要素に伝熱することにより、同様の問題が生じる。この温度上昇の問題は、蓄電装置の高密度化及び高出力化に伴い、より一層顕在化する。そこで、本実施例では、下記の構成により、蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bの双方を冷却している。
【0027】
本実施例では、吸気チャンバ(冷媒供給管)17に吸気された冷媒を、隣接する蓄電素子11間に形成された第1の冷媒通路13dと、蓄電モジュール12の外部に設けられ、蓄電モジュール12の外面のうち端子が位置する側の面、つまり、端子設置面(第1の外面)に沿って形成される第2の冷媒通路31aとに分岐流入させている。これにより、蓄電素子11に収容された発電要素及び端子11a、11bの双方をより効果的に冷却することができる。以下、図1乃至図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0028】
蓄電素子11は、角型であり、発電要素を有している。発電要素は、電極板(正極板及び負極板)と、セパレータと、電解質とで構成されており、公知の構成を適宜、適用することができる。
【0029】
ここで、正極板としては、アルミニウム等の金属(合金を含む)で形成された集電体の表面に正極層を形成したものを用い、負極板としては、アルミニウム等の金属(合金を含む)で形成された集電体の表面に負極層を形成したものを用いることができる。より具体的には、ニッケル−水素電池では、正極層の活物質として、ニッケル酸化物を用い、負極層の活物質として、MmNi(5−x−y−z)AlxMnyCoz(Mm:ミッシュメタル)等の水素吸蔵合金を用いることができる。また、リチウムイオン電池では、正極層の活物質として、リチウム−遷移金属複合酸化物を用い、負極層の活物質として、カーボンを用いることができる。
【0030】
蓄電素子11のZ軸方向一端面には、突状の正極端子11a及び負極端子11bがY軸方向に並んで設けられている。X軸方向に隣接する蓄電素子11は、互いに正極端子11a及び負極端子11bの向きがY軸方向において反対向きとなるように配列されている。また、Y軸方向に隣接する蓄電素子11は、互いに正極端子11a及び負極端子11bの向きがY軸方向において同じ向きとなるように配列されている。
【0031】
正極端子11a及び負極端子11bの間にはガス放出弁11cが形成されている(図2参照)。ガス放出弁11cは、過充電などの際に電解液が電気分解することにより発生したガスにより蓄電素子11の内圧が高まると破壊するように構成されている。これにより、蓄電素子11の内部のガスを蓄電素子11の外部に放出して、蓄電素子11の内圧上昇を抑制できる。
【0032】
隣接する蓄電素子11は、バスバー(接続部材)19(図3参照)により直列に接続されている。なお、図1及び図2では、バスバー19を省略して図示している。図4(A)はバスバーの斜視図である。同図に示すように、バスバー19には、二つの貫通穴19a,19bが形成されており、これらの貫通穴19a,19bには蓄電素子11の端子11a,11bが挿入される。端子11a,11bの外周面には、雌ネジが形成されており、この雌ネジに対して不図示のナットを締結することにより、端子11a,11bに対してバスバー19が固定される。
【0033】
バスバー19の上面には、貫通穴19a,19bを挟んで対向する位置(三箇所)に、放熱フィン(凸状の放熱部)21が形成されている。放熱フィン21には、熱伝導性に優れた素材を用いることができる。例えば、銅、アルミニウム、ステンレスなどである。バスバー19及び放熱フィン21は、プレス成型、押し出し成型、鋳造などにより一体的に形成することができる。また、ろう付け、溶接などの手段により、放熱フィン21をバスバー19に接続してもよい。
【0034】
上述の構成によれば、複数の放熱フィン21を設けることによりバスバー19の放熱面積が増すため、バスバー19から放熱される端子11a,11bの放熱量を増やすことができる。
【0035】
ここで、図4(B)に図示するように、放熱フィン21の代わりにルーバー形状の放熱部22をバスバー19に設けることもできる。ルーバー形状の放熱部22を用いた場合であっても、バスバー19の放熱面積が増すため、放熱量を増やすことができる。また、バスバー19に放熱グリスを塗布することにより、放熱層を設けても良い。
【0036】
次に、スペーサ13の構成について詳細に説明する。図2に図示するように、スペーサ13のX軸方向(蓄電素子11の積層方向)の両端面には、複数の突起部(ガイド部材)13cが櫛歯状に形成されている。スペーサ13には、樹脂を用いることができる。
【0037】
突起部13cは、Y軸方向に延びており、Z軸方向に一定の間隔を隔てて並設されている。突起部13cが蓄電素子11の外面に当接することにより、蓄電素子11とスペーサ13との間に第1の冷媒通路13dが形成される。吸気チャンバ17から第1の冷媒通路13dに流入した冷媒は、蓄電素子11の外面に沿ってY軸方向に移動する。これにより、蓄電素子11の発電要素をより効果的に冷却することができる。
【0038】
突起部13c及び蓄電素子11の発電要素は、Y軸方向の寸法が略同じに設定されている。蓄電モジュール12の組立状態において(図1参照)、突起部13cのX軸方向の端面は、蓄電素子11の外面に当接して、蓄電素子11の発電要素を押圧している。これにより、集電体から正極層及び負極層の活物質が剥がれるのを防止して、蓄電装置1の性能低下を抑制できる。
【0039】
次に、図1及び図3を参照しながら、吸気チャンバ17及び排気チャンバ18の構成を詳細に説明する。吸気チャンバ17及び排気チャンバ18の上端部は、天板31により接続されている。この天板31と蓄電モジュール12の端子設置面との間に第2の冷媒通路31aが形成される。
【0040】
吸気チャンバ17には、不図示の吸気ファンにより吸気された冷媒を排出するための開口部17aが形成されている。この開口部17aは、Y軸方向から、第1の冷媒通路13d及び第2の冷媒通路31aに接続されている。吸気チャンバ17の先端部(X軸方向の先端部)は塞がれているため、吸気チャンバ17に吸気された冷媒は、全て開口部17aから排出される。
【0041】
上述の構成によれば、吸気チャンバ17に吸気された冷媒を、第1の冷媒通路13dと第2の冷媒通路31aとに分岐流入させることができる。このように、発熱要素に接触する前の冷却能力の高い冷媒を用いて蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bの双方を冷却できるため、蓄電素子11に対する冷却効果を高めることができる。
【0042】
排気チャンバ18は、吸気チャンバ17と同一形状に形成されており、開口部18aを有する。この排気チャンバ18の開口部18aは、Y軸方向から、第1の冷媒通路13d及び第2の冷媒通路31aに接続されている。第1の冷媒通路13d及び第2の冷媒通路31aに流入した冷媒は、端子11a,11bなどの発熱要素を冷却した後に、開口部18aから排気チャンバ18に排気される。
【0043】
上述の構成によれば、一つの吸気チャンバ17により蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bの双方を冷却することができる。これにより、蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bをそれぞれ冷却するための独立した冷却手段を設ける必要がなくなり、コストの削減及び小型化をはかることができる。
【0044】
なお、上述の実施例では、チャンバ17、18及び天板31を別部材で構成したが、プレス成型、押し出し成型、鋳造などにより一体的に形成することもできる。
【0045】
(実施例2)
次に、図5を参照しながら、実施例2の蓄電装置を説明する。ここで、図5は蓄電装置
のY−Z断面図であり、冷媒の流れる方向を矢印で示している。なお、説明の便宜上、冷媒通路などを投影して図示しており、実施例1と同一の構成要素については同一符号を付している。
【0046】
ここで、蓄電モジュール12の外面のうち端子11a、11bの位置する側の面(端子設置面)が、特許請求の範囲に記載の「第1の外面」に相当する。蓄電モジュール12の外面のうち冷媒流入口41a、42aの形成された面が、特許請求の範囲に記載の「第2の外面」に相当する。蓄電モジュール12の外面のうち冷媒排出口41bの形成された面が、特許請求の範囲に記載の「第3の外面」に相当する。
【0047】
スペーサ13のX軸方向の両端面には、Y軸方向に延びる複数のガイド部材43がZ軸方向に並設されている。これらのガイド部材43が蓄電素子11の外面に当接することにより、第3の冷媒通路41が形成される。第3の冷媒通路41の流入口41aは吸気チャンバ51の開口部51aに接続されており、流出口41bは排気チャンバ52の開口部52aに接続されている。
【0048】
吸気チャンバ51から第3の冷媒通路41に流入した冷媒は、ガイド部材43にガイドされながら蓄電素子11の外面をY軸方向に移動する。これにより、蓄電素子11の発電要素をより効果的に冷却することができる。
【0049】
また、スペーサ13のX軸方向の両端面には、吸気チャンバ51から流入する冷媒を端子設置面に向かってガイドするガイド部材44が設けられている。これらのガイド部材が蓄電素子11の外面に当接することにより、第4の冷媒通路42が形成される。
【0050】
蓄電モジュール12の端子設置面の上部には、両端部がL字状に折れ曲がった天板61が設けられており、この天板61の曲げ部61aは、スペーサ13のY軸方向の両端面に固定されている。固定手段としては、溶接などの公知の方法を用いることができる。天板61と蓄電モジュール12の端子設置面との間に形成される、端子設置面に沿った領域が第2の冷媒通路62となる。
【0051】
天板61には、第2の冷媒通路62に流入した冷媒を排出するための排出口(不図示)が形成されている。この排出口は、天板61のY軸方向の端部(排気チャンバ52側の端部)に形成することができる。
【0052】
吸気チャンバ51から第4の冷媒通路42に流入した冷媒は、ガイド部材44にガイドされながら、流出口42bに向かい、第2の冷媒通路62に流入する。第2の冷媒通路62に流入した冷媒は、Y軸方向に移動しながら、端子設置面に沿って移動する。これにより、蓄電素子11の端子11a、11bをより効果的に冷却することができる。
【0053】
上述の構成によれば、蓄電素子11の発電素子及び端子11a、11bの双方をより効果的に冷却することができる。しかも、一つの吸気チャンバ51により蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bの双方を冷却できるため、蓄電素子11の発電要素及び端子11a、11bをそれぞれ冷却するための冷却手段を独立して設ける必要がなくなり、コストの削減及び小型化をはかることができる。
【0054】
また、ガイド部材43、44により蓄電素子11の外面は押圧されている。これにより、集電体から正極層及び負極層の活物質が剥がれるのを防止して、蓄電装置の性能低下を抑制できる。
【0055】
(他の実施例)
上述の実施例では、吸気チャンバ17、51、蓄電モジュール12及び排気チャンバ18、52内を移動する冷媒の移動軌跡を平面視U字状としたが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電素子11間に流入する前の冷媒の移動方向と、蓄電素子11間から流出した冷媒の移動方向とが同一である冷却構造にも、本願発明は適用することができる。
【0056】
また、スペーサ13を省略することもできる。この場合、蓄電素子11の外面にガイド部材13c、43、44を直接設けるとよい。また、蓄電素子11は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。キャパシタは、活性炭と電解液との界面に発生する電気2重層を動作原理とした電気2重層キャパシタのことである。固体として活性炭、液体として電解液(希硫酸水溶液)を用いて、これを接触させるとその界面にプラス、マイナスの電極が極めて短い間隔を隔てて相対的に分布する。イオン性溶液中に一対の電極を浸して電気分解が起こらない程度に電圧を負荷させると、それぞれの電極の表面にイオンが吸着され、プラスとマイナスの電気が蓄えられる(充電)。外部に電気を放出すると、正負のイオンが電極から離れて中和状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】蓄電装置の斜視図である。
【図2】蓄電装置の分解斜視図である。
【図3】蓄電装置のY―Z断面図である。
【図4】バスバーに形成された放熱部の概略図である。
【図5】実施例2の蓄電装置のY−Z断面図である。
【符号の説明】
【0058】
11 スペーサ
12 蓄電モジュール
13 スペーサ
13d 第1の冷媒通路
17 51 吸気チャンバ
18 52 排気チャンバ
31a 62 第2の冷媒通路
41 第3の冷媒通路
42 第4の冷媒通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を積層した蓄電モジュールと、
前記蓄電素子間に形成される第1の冷媒通路と、
前記蓄電モジュールの外部に設けられ、前記蓄電モジュールの外面のうち前記蓄電素子の端子が位置する側の第1の外面に沿って形成される第2の冷媒通路と、を有することを特徴とする蓄電装置の冷却構造。
【請求項2】
前記第1及び第2の冷媒通路に対して冷媒を分岐供給する冷媒供給管を有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項3】
前記第1及び第2の冷媒通路は、同一方向に設けられることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項4】
前記蓄電素子間に配置されるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材に設けられ、前記蓄電素子に当接して前記第1の冷媒通路を形成する複数のガイド部材と、
を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項5】
前記ガイド部材は前記蓄電素子を押圧する押圧部材を兼ねることを特徴とする請求項4に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項6】
前記蓄電モジュールは、前記第1の外面に隣接する二つの異なる第2及び第3の外面を有し、
前記第1の冷媒通路は、前記第2及び第3の外面にそれぞれ冷媒流入口及び冷媒排出口を有する第3の冷媒通路と、前記第2及び第1の外面にそれぞれ冷媒流入口及び冷媒排出口を有する第4の冷媒通路とからなることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項7】
前記蓄電素子間に配置されるスペーサ部材と、
前記スペーサ部材に形成され、前記蓄電素子の外面に当接することにより前記第1の冷媒通路を形成する複数のガイド部材と、を有することを特徴とする請求項6に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項8】
前記ガイド部材は前記蓄電素子を押圧する押圧部材を兼ねることを特徴とする請求項7に記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項9】
互いに隣接する前記蓄電素子の端子を接続する接続部材を有し、前記接続部材は、凸形状の放熱部を有することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一つに記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項10】
前記蓄電素子は、角型であることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一つに記載の蓄電装置の冷却構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちいずれか一つに記載の蓄電装置の冷却構造を備えた車両。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−252473(P2009−252473A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97727(P2008−97727)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】