説明

蓄電装置及びその作製方法

【課題】リチウムがシリコン層中に導入された電極を有する蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】集電体上にシリコン層を形成し、シリコン層上にリチウムを含んだ溶液を塗布し、熱処理を行うことで、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることが出来る。リチウムを含んだ溶液を用いることで、複数のシリコンの微粒子で形成されたシリコン層であっても、微粒子と微粒子の隙間にリチウムを含んだ溶液が入り込み、リチウムを含んだ溶液に触れたシリコンの微粒子にリチウムを導入させることが出来る。また、シリコン層が薄膜のシリコンの場合であっても、あるいは複数のウィスカーやウィスカー群を含むシリコン層であっても、溶液を均一に塗布することが可能であり、容易にシリコンにリチウムを含有させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、及び空気電池など、蓄電装置の開発が行われている。
【0004】
蓄電装置用の電極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。活物質としては、例えば炭素やシリコンなどのキャリアとなるイオンの貯蔵及び放出が可能な材料が用いられる。特に、シリコン、またはリンがドープされたシリコンは、炭素に比べ理論容量が大きく、これらの材料を活物質として用いることは、蓄電装置の大容量化という点において好ましい(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−210315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電装置において、正極活物質としてリチウムが含まれてない材料を用いる場合には負極活物質にリチウムを含有させておく必要がある。また、正極活物質にリチウムが含まれている材料を用いる場合でも、不可逆容量を見越した蓄電装置の容量設計上の観点から蓄電装置作製前に負極にリチウムを一定量含有させておくことは有効である。また、負極に充電されたリチウムを完全に放出させないようにすることで、充放電の際に過剰な負荷がかかって電極の機能が低下する危険性が低下し、蓄電装置のサイクル特性の向上を図ることが可能である。しかし、シリコンを負極活物質に用いる場合、蓄電装置作製前にシリコンにリチウムを含有させておかなくてはならない。また、シリコンにリチウムを含有させることでシリコンの導電率が上がり、蓄電装置としての内部抵抗を下げることが出来、エネルギー効率の向上につなげることが出来る。そこで、本発明の一態様では、リチウムがシリコン層中に導入された電極を有する蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、集電体上にシリコン層を形成し、シリコン層上にリチウムを含んだ溶液を塗布し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させる蓄電装置の作製方法である。
【0008】
本発明の一形態は、集電体上にシリコン層を形成し、シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を分散させた液を塗布し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させる蓄電装置の作製方法である。
【0009】
本発明の一形態は、集電体上にシリコン層を形成し、シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を散布し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させる蓄電装置の作製方法である。
【0010】
本発明の一形態は、集電体上にシリコン層を形成し、シリコン層上にリチウムを含んだ膜を形成し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させる蓄電装置の作製方法である。
【0011】
上記において、シリコン層が複数のウィスカー状の結晶性シリコンを含んでいても良い。
【0012】
また上記おいて、リチウムを含んだ溶液はシリコンを腐食しないもしくはあまり腐食しない液を用いるほうが望ましい。溶液の軽度の腐食性はシリコンの表面を凸凹にして、表面積を増大させる効果を有するが、腐食性が高すぎると集電体上に形成されているシリコンが完全に溶けたり、剥離してしまい、活物質として機能しなくなる。腐食性の程度としては、熱処理後におけるシリコン層の最薄部の膜厚が、熱処理前の最薄部の膜厚の半分以上になるように調整した溶液を用いるほうが望ましい。
【0013】
また上記おいて、リチウムを含んだ粒子とは、リチウム金属、リチウムを含有する化合物、リチウムを含有する合金などで形成された粒子のことである。
【0014】
上記において、リチウムを含有する化合物はフッ化リチウム(LiF)以外の化合物を用いるほうが望ましい。例えば、水酸化リチウム(LiOH)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)、塩化リチウム(LiCl)、リチウムメタシリケート(LiSiO)、リチウムオルトシリケート(LiSiO)、ヨウ化リチウム(LiI)、酢酸リチウム(CHCOLi)、リン酸リチウム(LiPO)、硝酸リチウム(LiNO)などである。また、リチウムを含有する合金としては、リチウムシリコン合金(LiSi1−x(xは0より大きく1未満))やリチウムアルミ合金(LiAl1−x(xは0より大きく1未満))などである。
【0015】
本発明の一形態は、負極活物質を負極集電体上に有する負極と、負極と電解質を介して対向する正極とを有し、負極活物質は、シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、蓄電装置の作製直後の充放電を行う前において、負極活物質の第1の部分より第2の部分の方がリチウムの濃度が高く、第2の部分は第1の部分より外表面に近い蓄電装置である。
【0016】
本発明の一形態は、負極活物質を負極集電体上に有する負極と、負極と電解質を介して対向する正極とを有し、負極活物質は膜状であり、負極活物質は、シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、蓄電装置の作製直後の充放電を行う前において、負極活物質の負極集電体に近い側よりも表層部の方がリチウムの濃度が高い蓄電装置である。
【0017】
上記において、負極活物質は複数のウィスカー状の領域を含んでいても良い。
【0018】
上記において、負極活物質の表層部に導電性を有する層が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一形態により、リチウムがシリコン層中に導入された電極を有する蓄電装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図の一例である。
【図2】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図の一例である。
【図3】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図の一例である。
【図4】蓄電装置の一形態を説明するための平面図及び断面図の一例である。
【図5】蓄電装置の応用の形態の一例を説明するための図である。
【図6】蓄電装置の応用の形態の一例を説明するための斜視図である。
【図7】蓄電装置の応用の形態の一例を説明するための図である。
【図8】無線給電システムの構成の一例を示す図である。
【図9】無線給電システムの構成の一例を示す図である。
【図10】SIMS分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置の電極及びその作製方法について説明する。
【0023】
蓄電装置の電極の作製方法について、図1、図2、図3を用いて説明する。
【0024】
まず、集電体101上に、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、熱CVD法、好ましくは低圧化学蒸着(LPCVD:Low Pressure Chemical vapor deposition)法により、シリコン層を活物質層103として形成する。あるいはシリコンの微粒子を複数用いて活物質層103を形成しても良い。(図1(A)参照)。
【0025】
集電体101は、電極の集電体として機能する。このため、箔状、板状、または網状の導電性部材を用いる。例えば、白金、アルミニウム、銅、チタン等に代表される導電性の高い金属元素を用いて集電体101を形成することができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いても良い。また、集電体101を、シリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体101は、スパッタリング法またはCVD法により形成することができる。
【0026】
活物質層103はシリコン層である。当該シリコン層は、プラズマCVD法、熱CVD法、好ましくはLPCVD法により形成することができる。この場合、シリコン層の形成は、原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコン、塩化シリコンなどがあり、代表的には、SiH、Si、SiF、SiCl、SiCl等がある。なお、原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスや水素を混合させてもよい。なお、蒸着法やスパッタリング法を用いて活物質層103を形成しても良い。あるいは、複数のシリコンの微粒子とバインダなどを用いて活物質層103を形成しても良い。
【0027】
なお、活物質層103に不純物として酸素が含まれている場合がある。これは、活物質層103として、LPCVD法でシリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、シリコン層に拡散するためである。
【0028】
また、活物質層103を形成するシリコン層には、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されたシリコン層は、導電性が高くなるため、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。プラズマCVD法、熱CVD法、LPCVD法を用いて活物質層103を形成する場合、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素を含む雰囲気で成膜を行えばよい。例えば、シリコン層にリンを含ませるためには、材料ガスにホスフィンを含ませればよい。また、蒸着法やスパッタリング法を用いて活物質層103を形成する場合、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素をシリコン層にドープしても良い。
【0029】
なお、活物質層103として形成するシリコン層の結晶性は特に限定されず、シリコン層は、非晶質であってもよいし、結晶性を有していてもよい。活物質層103として形成するシリコン層として、例えば、非晶質シリコン層、微結晶シリコン層または多結晶シリコン層を用いることができる。ここで、シリコン層に対して結晶化工程を行ってもよい。シリコン層に対して結晶化工程を行う場合には、シリコン層中の水素濃度を十分に低減させた後に、該シリコン層に熱処理可能な程度の熱処理を行ってもよいし、該シリコン層にレーザ光を照射して結晶化させてもよい。
【0030】
また、活物質層103として、LPCVD法を用いてシリコン層を形成すると、集電体101及び活物質層103の間にシリコンが低密度な領域が形成されず、集電体101及び活物質層103の界面における電子の移動が容易となると共に、集電体101と活物質層103との密着性を高めることができる。これは、シリコン層の堆積工程において、常に原料ガスの活性種が堆積中のシリコン層に供給されるため、シリコン層から集電体101にシリコンが拡散し、シリコン不足領域(粗な領域)が形成されても、当該領域に原料ガスの活性種が常に供給され、シリコン層中にシリコンの低密度な領域が形成されにくくなるためである。また、気相成長により集電体101上にシリコン層を形成するため、蓄電装置の生産性が高まる。
【0031】
ここで、集電体101及び活物質層103の破線105における拡大図を図1(B)に示す。
【0032】
図1(B)に示すように、集電体101と活物質層103との間には、混合層107が形成されることがある。この場合、混合層107は、集電体101に含まれる金属元素やシリコンで形成される。なお、混合層107は、活物質層103としてシリコン層を形成する際の加熱により、シリコンが集電体101に拡散することで形成される。
【0033】
集電体101に、シリサイドを形成する金属元素を用いる場合、混合層107にはシリサイド、代表的には、ジルコニウムシリサイド、チタンシリサイド、ハフニウムシリサイド、バナジウムシリサイド、ニオブシリサイド、タンタルシリサイド、クロムシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイド、及びニッケルシリサイドの一以上が形成される。または、金属元素とシリコンの合金層が形成される。
【0034】
なお、混合層107に不純物として酸素が含まれる場合がある。これは、活物質層103として、LPCVD法でシリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、混合層107に拡散するためである。
【0035】
混合層107上には、上記金属元素の酸化物を含む金属酸化物層109が形成される場合がある。なお、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際、チャンバー内に、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを充填することで、当該金属酸化物層109の形成を抑制することもできる。
【0036】
集電体101に、シリサイドを形成する金属元素を用いる場合、形成される金属酸化物層109の代表例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、酸化ニッケル等がある。なお、集電体101を、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステンなどの金属元素を含む層とすると、金属酸化物層109は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン等の酸化物導電体を含むことになるため、集電体101及び活物質層103の間の抵抗を低減することが可能であり、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。
【0037】
集電体101と活物質層103との間に混合層107を有することで、集電体101と活物質層103との間の抵抗を低減させることができるため、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。また、集電体101と活物質層103との密着性を高めることが可能であり、蓄電装置の劣化を低減することができる。
【0038】
正極活物質としてリチウムが含まれてない材料を用いる場合には負極活物質にリチウムを含有させておく必要がある。また、正極活物質にリチウムが含まれている材料を用いる場合でも、不可逆容量を見越した蓄電装置の容量設計上の観点から負極にリチウムを一定量含有させておくことは有効である。また、負極に充電されたリチウムを完全に放出させないようにすることで、充放電の際に過剰な負荷がかかって電極の機能が低下する危険性が低下し、蓄電装置のサイクル特性の向上を図ることが可能である。
【0039】
シリコンを負極活物質に用いる場合、シリコンにリチウムを含有させる方法としては、シリコン層上にリチウムを含んだ溶液を塗布し、熱処理を行うことで、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることが出来る。リチウムを含んだ溶液を用いることで、複数のシリコンの微粒子で形成されたシリコン層であっても、微粒子と微粒子の隙間にリチウムを含んだ溶液が入り込み、リチウムを含んだ溶液に触れたシリコンの微粒子にリチウムを導入させることが出来る。また、リチウムを含んだ溶液を用いることで、シリコン層が薄膜のシリコンの場合であっても、あるいは後述するような複数のウィスカーやウィスカー群を含むシリコン層であっても、溶液を均一に塗布することが可能である。塗布の方法としては、スピンコート法、ディップ法あるいはスプレー法などを用いればよい。この方法により容易にシリコンにリチウムを含有させることが可能である。
【0040】
上記おいて、リチウムを含んだ溶液はシリコンを腐食しないもしくはあまり腐食しない液を用いるほうが望ましい。溶液の軽度の腐食性はシリコンの表面を凸凹にして、表面積を増大させる効果を有するが、腐食性が高すぎると集電体上に形成されているシリコンが完全に溶けたり、剥離してしまい、活物質として機能しなくなる。腐食性の程度としては、熱処理後におけるシリコン層の最薄部の膜厚が、熱処理前の最薄部の膜厚の半分以上になるように調整した溶液を用いるほうが望ましい。
【0041】
他の方法としては、シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を分散させた液を塗布し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることが出来る。リチウムを含んだ粒子を分散させた液を塗布することで、リチウムを含んだ粒子をシリコン層上に均一に分散付着させることが出来る。また、粒子と液の量を調整し、スラリー状にして、塗布することも出来る。粒子を分散させた液を用いることで、液が乾燥したときに、リチウムを含んだ粒子がシリコン層から剥がれにくくなり、取り扱いを容易にすることができる。
【0042】
リチウムを含んだ粒子を分散させるための液体としては、水や有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、流動パラフィンなど)を用いることが出来る。
【0043】
また、リチウムを含んだ溶液や粒子を分散させた液に有機物(例えばグルコースなど)を溶かしておいても良い。有機溶媒や有機物を溶かした液を用いることで、その後の熱処理によりシリコンの表面に炭素層を担持させることが出来る。シリコンの表面に炭素層を担持させることで、導電性が向上すると共に、担持された炭素層がシリコンを剥がれにくくするため、サイクル特性を向上させることが出来る。
【0044】
また他の方法としては、シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を散布し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることが出来る。リチウムを含んだ粒子を直接散布することで簡便に処理が可能である。
【0045】
リチウムを含んだ粒子とは、リチウム金属、リチウムを含有する化合物、リチウムを含有する合金などで形成された粒子のことである。
【0046】
上記において、リチウムを含有する化合物はフッ化リチウム(LiF)以外の化合物を用いるほうが望ましい。例えば、水酸化リチウム(LiOH)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)、塩化リチウム(LiCl)、リチウムメタシリケート(LiSiO)、リチウムオルトシリケート(LiSiO)、ヨウ化リチウム(LiI)、酢酸リチウム(CHCOLi)、リン酸リチウム(LiPO)、硝酸リチウム(LiNO)などである。また、リチウムを含有する合金としては、リチウムシリコン合金(LiSi1−x(xは0より大きく1未満))やリチウムアルミ合金(LiAl1−x(xは0より大きく1未満))などである。
【0047】
また他の方法としては、シリコン層上にリチウムを含んだ膜を形成し、熱処理を行い、シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることが出来る。シリコン層上にリチウムを含んだ膜を形成する方法としては、PVD法(例えばスパッタリング法)、真空蒸着法、又はCVD法(例えばプラズマCVD法や熱CVD法、LPCVD法、MOCVD法(有機金属化学気相成長法: Metal Organic Chemical Vapor Deposition))などの乾式法を用いることができる。乾式法を用いてリチウムを含んだ膜を形成することで、均質且つ薄膜の、リチウムを含んだ膜を形成することができる。また、膜厚のコントロールが容易であるため、シリコンに対するリチウムの量を容易に制御することができる。そのため再現性の良い条件が設定できる。
【0048】
シリコン層にリチウムを導入させる熱処理としては、複数回のステップを行っても良い。例えば液を乾燥させる第1のステップとシリコン層にリチウムを導入させる第2のステップを行っても良い。例えば第1のステップとしては、20℃以上200℃以下で行えばよい。また処理時間としては30秒以上10分以下、好ましくは1分以上3分以下で行えばよい。また、例えばシリコン層にリチウムを導入させる第2のステップの熱処理の温度としては、200℃以上800℃以下、好ましくは500℃以上700℃以下で行うことが好ましい。また、熱処理の時間としては、30分以上40時間以下、好ましくは1時間以上10時間以下で行えばよい。また、熱処理の雰囲気としては、希ガス雰囲気、窒素雰囲気等を用いることが好ましい。例えば、熱処理は、窒素雰囲気中において、600℃、4時間行うことが出来る。液の乾燥には上記の第1のステップの代わりに自然乾燥やスピン乾燥させても良い。また、第1のステップを行わずに、第2のステップを行っても良い。
【0049】
また、熱処理の条件を変えることでシリコン層中へのリチウムの導入量を調整することも可能である。
【0050】
上記熱処理によりシリコン層中へのリチウムの導入を促進させることができる。その結果、シリコンに導入されたリチウムはシリコン活物質の表面側の濃度が高くなるよう形成されている。シリコン層が薄膜で形成されている場合、集電体に近い側より表層部の方がリチウムの濃度が高い。あるいは後述するような複数のウィスカーやウィスカー群を含むシリコン層の場合、ウィスカーについてはウィスカーの表面側のリチウムの濃度が高い。あるいはシリコン層がシリコンの微粒子を複数用いて形成されている場合、シリコンの微粒子の表面側のリチウムの濃度が高く形成されている。
【0051】
シリコン層の表面にシリコン層に導入されなかったリチウムがリチウムを含む物質として析出している場合がある。負極を蓄電装置に組み込む前に水もしくは有機溶媒によって、シリコン層の表面に析出しているリチウムを含む物質を洗浄しても良い。
【0052】
また、シリコン層の表面に析出しているリチウムを含む物質の洗浄後に、再度熱処理を行っても良い。洗浄後に熱処理を行うことでシリコン中をリチウムが更に拡散するため、リチウムの濃度を均質化することも出来る。熱処理の温度としては、200℃以上800℃以下、好ましくは500℃以上700℃以下で行うことが好ましい。また、熱処理の時間としては、30分以上40時間以下、好ましくは1時間以上10時間以下で行えばよい。また、熱処理の雰囲気としては、希ガス雰囲気、窒素雰囲気等を用いることが好ましい。例えば、熱処理は、窒素雰囲気中において、600℃、4時間行うことが出来る。
【0053】
シリコンにリチウムを含有させることでシリコン層の導電率を上げることが可能で、蓄電装置としての内部抵抗を下げることが出来、エネルギー効率の向上が可能となる。
【0054】
また、活物質層103をLPCVD法で形成することにより、活物質層103に、結晶性シリコン領域103aと、当該領域上の、ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bとを有せしめることができる(図1(C)参照)。ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bは複数のウィスカーや複数のウィスカー群を有している。結晶性シリコン領域103aと、当該領域上の、ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bとを有する活物質層103の形成は、例えば、550℃より高い温度で且つLPCVD装置及び集電体101が耐えうる温度以下、好ましくは580℃以上650℃未満の加熱をしつつ、原料ガスとしてシランなどのシリコンを含むガスを用いることで実現される。
【0055】
なお、結晶性シリコン領域103a及びウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bは、その境界が明確ではない。ここでは、ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bのウィスカーとウィスカーの間に形成される谷底の一を含む面を、結晶性シリコン領域103aとウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bとの一応の境界として扱う。
【0056】
ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bを有することで、活物質層103の表面積は、表面が平坦な場合に比べて非常に大きく、充放電におけるレート特性の向上に貢献する。更に、シリコンにリチウムを含有させることで、ウィスカーの先端まで十分に抵抗が下がり、表面積の全面を有効に活用させることが可能である。
【0057】
結晶性シリコン領域103aは、集電体101を覆うように設けられている。また、結晶性シリコン領域103bにおけるウィスカーは、結晶性の突起であれば円柱状、角柱状などの柱状、円錐状、角錐状などの針状でもよい。ウィスカーは、頂部が湾曲していてもよい。ウィスカーの径は、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下である。また、ウィスカーの長さは、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは1.0μm以上100μm以下である。
【0058】
なお、ウィスカーの長さとは、ウィスカーを柱状と仮定する場合には、上面と底面との距離をいい、錐状と仮定する場合には、頭頂点と底面との距離をいうものとする。また、活物質層103の最大厚さは、結晶性シリコン領域103aの厚さと、ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bの厚さの和を言い、ウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bの厚さとは、ウィスカーにおいて高さが最大となる点から、結晶性シリコン領域103aとウィスカーを含む結晶性シリコン領域103bとの境界までの距離をいう。
【0059】
なお、以下では、ウィスカーの成長方向(結晶性シリコン領域103aから伸張する方向)を長手方向といい、長手方向に沿った断面の形状を長手断面形状という場合がある。また、長手方向が法線方向となる断面の形状を輪切り断面形状という場合がある。
【0060】
図1(C)に示すように、複数のウィスカーの長手方向は一方向、例えば、結晶性シリコン領域103aの表面に関する法線の方向に伸張していてもよい。なお、この場合、突起の長手方向は、結晶性シリコン領域103aの表面に関する法線の方向と、略一致していればよく、各々の方向の差は代表的には5度以内であることが好ましい。つまり、図1(C)においては、主にウィスカーの長手断面形状が示されていることになる。
【0061】
または、図1(D)に示すように、複数のウィスカーの長手方向は不揃いであってもよい。複数のウィスカーの長手方向が不揃いであると、ウィスカー同士が絡む場合があるため、蓄電装置の充放電においてウィスカーが脱離しにくい。代表的には、長手方向が結晶性シリコン領域103aの表面に関する法線の方向と略一致する第一のウィスカー113aと、長手方向が法線の方向とは異なる第二のウィスカー113bとを有してもよい。さらには、第一のウィスカーより第二のウィスカーが長くても良い。つまり、図1(D)においては、ウィスカーの長手断面形状と共に、領域103dで示すように、ウィスカーの輪切り断面形状が混在する。領域103dは、円柱状または円錐状のウィスカーの輪切り断面形状であるため円形であるが、ウィスカーが角柱状または角錐状であれば、領域103dの輪切り断面形状は、多角形状である。
【0062】
また、シリコン層にリチウムを導入した後に活物質表面に導電性を有する層を形成しても良い。あるいは、活物質表面に導電性を有する層を形成した後にシリコン層にリチウムを導入してもよい。
【0063】
シリコンにリチウムを導入した活物質の表面に、CVD法、スパッタ法、めっき法(電気めっき法、無電解めっき法)などを用いて導電性を有する層110を形成する(図2参照)。ここで、導電性を有する層110の膜厚は0.1nm以上10nm以下とするのが好ましい。
【0064】
活物質表面に導電性を有する層を形成する前に、活物質層の表面に形成される自然酸化膜などの酸化膜を除去しておいても良い。シリコンからなる活物質層103の表面に形成される自然酸化膜などの酸化膜は、フッ酸を含む溶液、またはフッ酸を含む水溶液をエッチャントとするウェットエッチング処理によって除去することができる。また、自然酸化膜などの酸化膜を除去するエッチング処理としては、ドライエッチング処理を用いても良い。また、ウェットエッチング処理とドライエッチング処理とを組み合わせて用いてもよい。ドライエッチング処理としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法などを用いることができる。
【0065】
ここで、導電性を有する層110は銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、アルミ、マグネシウム、鉄などに代表される、導電性の高い金属元素を用いて、CVD法、スパッタリング法、めっき法(電気めっき法、無電解めっき法)などで形成することができ、特に銅またはニッケルを用いて形成するのが好ましい。導電性を有する層110は、上記の金属元素の一以上を含めば良く、金属層(MgAl1−x(xは0より大きく1未満)やAlTi1−x(xは0より大きく1未満)などの合金を含む)としてもよいし、活物質層103のシリコンとシリサイドを形成しても良い。
【0066】
また、導電性を有する層110としてチタンなどの還元性の高い金属元素を用いた場合、活物質層103の表面に形成される自然酸化膜などの酸化膜を除去せずとも、導電性を有する層110に含まれるチタンが当該酸化膜を還元することもできる。
【0067】
なお、活物質層103として、ウィスカー状の結晶性シリコンを用いる場合、導電性を有する層110に用いる上述の金属元素の成膜は有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical vapor deposition)法を用いるのが好ましい。
【0068】
また、導電性を有する層110として、銅またはニッケルなどのリチウムとの反応性が低い元素を用いるのが好ましい。活物質層103を構成するシリコンは、リチウムイオンを吸収することにより膨張し、また、リチウムイオンを放出することにより収縮する。このため、充放電を繰り返すと活物質層103は壊れてしまうことがある。しかし、銅またはニッケルなどからなる導電性を有する層110で活物質層103を覆うことにより、リチウムイオンの吸収放出による体積変化によって剥離するシリコンを活物質層103にとどめておけるので、充放電を繰り返しても活物質層103が壊れるのを防ぐことができる。これにより、蓄電装置のサイクル特性を向上させることができる。
【0069】
シリコン層にリチウムを導入した後に活物質表面に導電性を有する層を形成することにより、リチウムが導入されて膨張した状態で活物質表面に導電性を有する層を形成できるため、リチウムイオンの吸収放出での体積変化による活物質の形の崩れを防ぐことができる。
【0070】
なお、図1においては、集電体101は、箔状、板状、または網状の導電性部材で形成される形態を示したが、図3に示すように、基板115上に、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を適宜用いて、集電体111を形成することもできる。
【0071】
以上の工程により、リチウムがシリコン層中に導入された蓄電装置の電極を作製することができる。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の構造について、図4を用いて説明する。
【0073】
はじめに、蓄電装置として、二次電池の構造について、以下に説明する。
【0074】
二次電池の中でも、LiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン電池は、放電容量が高く、安全性が高い。
【0075】
図4(A)は、蓄電装置151の平面図であり、図4(A)の一点鎖線A−Bの断面図を図4(B)に示す。
【0076】
図4(A)に示す蓄電装置151は、外装部材153の内部に蓄電セル155を有する。また、蓄電セル155に接続する端子部157、159を有する。外装部材153は、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
【0077】
図4(B)に示すように、蓄電セル155は、負極163と、正極165と、負極163及び正極165の間に設けられるセパレータ167と、外装部材153によって囲まれた領域に充填された電解質169とで構成される。
【0078】
負極163は、負極集電体171及び負極活物質層173で構成される。
【0079】
正極165は、正極集電体175及び正極活物質層177で構成される。負極活物質層173は、負極集電体171の一方または両方の面に形成される。正極活物質層177は、正極集電体175の一方または両方の面に形成される。
【0080】
また、負極集電体171は、端子部159と接続する。また、正極集電体175は、端子部157と接続する。また、端子部157、159は、それぞれ一部が外装部材153の外側に導出されている。
【0081】
なお、本実施の形態では、蓄電装置151として、封止された薄型蓄電装置を示したが、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置等様々な形状の蓄電装置を用いることができる。また、本実施の形態では、正極、負極、及びセパレータが積層された構造を示したが、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
【0082】
負極集電体171は、実施の形態1に示す集電体101、111を用いることができる。
【0083】
負極活物質層173には、実施の形態1に示すシリコン層で形成される活物質層103を用いることができる。シリコン層にはリチウムが導入されているため、正極活物質としてリチウムが含まれない物質を用いることも出来る。
【0084】
正極集電体175は、アルミニウム、ステンレス等を用いる。正極集電体175は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0085】
正極活物質層177は、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、V、Cr、MnO、その他のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンが、リチウム以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質層177として、上記リチウム化合物においてリチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、マグネシウムを用いることもできる。
【0086】
電解質169の溶質は、キャリアイオンであるリチウムイオンを移送可能で、且つリチウムイオンが安定に存在する材料を用いる。電解質の溶質の代表例としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSON等のリチウム塩がある。なお、キャリアイオンが、リチウム以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、電解質169の溶質として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、またはベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩等を適宜用いることができる。
【0087】
また、電解質169の溶媒としては、リチウムイオンの移送が可能な材料を用いる。電解質169の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解質169の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まる。また、漏液を防止する構造を簡略化することができるため、蓄電装置151の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0088】
また、電解質169として、LiPO等の固体電解質を用いることができる。
【0089】
セパレータ167は、絶縁性の多孔体を用いる。セパレータ167の代表例としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。
【0090】
リチウムイオン電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、放電容量が大きい。また、動作電圧が高い。これらのため、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
【0091】
次に、蓄電装置として、キャパシタについて説明する。キャパシタの代表例としては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等がある。
【0092】
キャパシタの場合は、図4(B)に示す二次電池の正極活物質層177の代わりに、リチウムイオン及び/またはアニオンを可逆的に吸蔵できる材料を用いればよい。正極活物質層177の代表例としては、活性炭、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)がある。
【0093】
リチウムイオンキャパシタは、充放電の効率が高く、急速充放電が可能であり、繰り返し利用による寿命も長い。
【0094】
これらのキャパシタにおいても、負極として実施の形態1に示す集電体および活物質層を含む電極を用いることで、リチウムがシリコン層中に導入された電極を有する蓄電装置を作製することができる。リチウムがシリコン層中に含有されているとシリコン層の導電率が上がり、蓄電装置にした場合の内部抵抗を下げることが可能で、エネルギー効率の向上につながる。
【0095】
なお、開示する発明の一形態である電極を用いる蓄電装置は、上述のものに限られない。例えば、蓄電装置の別の一形態である空気電池の負極として実施の形態1に示す集電体及び活物質層を含む電極を用いることも可能である。この場合にも、リチウムがシリコン層中に導入された電極を有する蓄電装置を作製することができる。
【0096】
本実施の形態は、他の実施の形態などと組み合わせて実施することが可能である。
【0097】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した蓄電装置(二次電池)の容量設計について説明する。
【0098】
実施の形態2で説明した正極活物質層177のみで出し入れできる電荷量(つまり出し入れできるリチウムの量)を正極容量と言うこととする。また、負極活物質層173のみで出し入れできる電荷量(つまり出し入れできるリチウムの量)を負極容量と言うこととする。
【0099】
蓄電装置の設計において、正極容量と負極容量を揃えることで、単位重量あたり、あるいは単位容積あたりのエネルギーを最も高めることが可能である。しかし、正極容量と負極容量のどちらか一方の容量が大きいと充放電に寄与しない活物質を蓄電装置中に含むことになるため、蓄電装置のエネルギー密度は低下してしまう。
【0100】
充電した電荷量に対し、放電時に取り出せない電荷量を不可逆容量という。不可逆容量は不導体被膜の形成に使われる電荷量成分と、正極もしくは負極に入ったリチウムのうち取り出せなくなるリチウムによる電荷量成分が考えられている。不導体被膜の形成に使われる電荷量成分は外部からの給電によりまかなわれるため、蓄電装置そのものの容量が低下するわけではない。一方、正極もしくは負極からリチウムが取り出せなくなると、蓄電装置としての容量が低下してしまう。
【0101】
正極容量と負極容量を揃えて蓄電装置を作製すると、正極もしくは負極のどちらか一方でリチウムが取り出せなくなった場合、蓄電装置の容量低下を招いてしまう可能性がある。仮に負極でリチウムが取り出せなくなる不可逆容量があることがわかっているなら、不可逆容量分のリチウムを事前に負極活物質に含有させておき、その不可逆容量分を割り増しした負極容量にしておくことが望ましい。そうすることで蓄電装置の初期のエネルギー密度は若干低下するが、サイクル動作による容量低下の無い安定した蓄電装置を作製することが可能である。
【0102】
また、負極から取り出せなくなったリチウムによる不可逆容量分も放電終止電圧を低く設定することでいくらかは取り出すことが可能である。しかし、そのようにして電荷量を取り出すことにより、過剰な負荷のため活物質の劣化を招き、電極の機能が低下する危険性がある。そこで、正極容量よりも大きい負極容量に一定量のリチウムを事前に含有させておくことで、負極に充電されたリチウムは完全には抜けきることは無くなり、電極の機能低下の危険性を低下させ、蓄電装置のサイクル特性の向上を図ることが可能である。
【0103】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について説明する。
【0104】
実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パーソナルコンピュータ等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子、自転車等の電気推進車両に用いることができる。
【0105】
図5(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機410は、筐体411に表示部412が組み込まれている。筐体411は、さらに操作ボタン413、操作ボタン417、外部接続ポート414、スピーカー415、及びマイク416等を備えている。また、蓄電装置418は筐体411内に配置されており、外部接続ポート414より充電を行える。実施の形態2で説明した蓄電装置を携帯電話410の蓄電装置418として用いることができる。
【0106】
図5(B)は、電子書籍用端末の一例を示している。電子書籍用端末430は、第1の筐体431及び第2の筐体433の2つの筐体で構成されて、2つの筐体が軸部432により一体にされている。第1の筐体431及び第2の筐体433は、軸部432を軸として開閉動作を行うことができる。第1の筐体431には第1の表示部435が組み込まれ、第2の筐体433には第2の表示部437が組み込まれている。その他、第2の筐体433に、操作ボタン439、電源443、及びスピーカー441等を備えている。また、蓄電装置444は筐体433内に内蔵されており、電源443より充電が可能である。実施の形態2で説明した蓄電装置を蓄電装置444のバッテリーに用いることができる。
【0107】
図6は電動式の車椅子501の斜視図である。電動式の車椅子501は、使用者が座る座部503、座部503の後方に設けられた背もたれ505、座部503の前下方に設けられたフットレスト507、座部503の左右に設けられたアームレスト509、背もたれ505の上部後方に設けられたハンドル511を有する。アームレスト509の一方には、車椅子の動作を制御するコントローラ513が設けられる。座部503の下方のフレーム515を介して、座部503前下方には一対の前輪517が設けられ、座部503の後下方には一対の後輪519が設けられる。後輪519は、モータ、ブレーキ、ギア等を有する駆動部521に接続される。座部503の下方には、バッテリー、電力制御部、制御手段等を有する制御部523が設けられる。制御部523は、コントローラ513及び駆動部521と接続しており、使用者によるコントローラ513の操作により、制御部523を介して駆動部521が駆動し、電動式の車椅子501の前進、後進、旋回等の動作及び速度を制御する。
【0108】
実施の形態2で説明した蓄電装置を制御部523のバッテリーに用いることができる。制御部523のバッテリーは、プラグイン技術による外部から電力供給により充電をすることができる。
【0109】
図7は、電気自動車の一例を示している。電気自動車650には、蓄電装置651が搭載されている。蓄電装置651の電力は、制御回路653により出力が調整されて、駆動装置657に供給される。制御回路653は、コンピュータ655によって制御される。
【0110】
駆動装置657は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。コンピュータ655は、電気自動車650の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(登坂や下坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路653に制御信号を出力する。制御回路653は、コンピュータ655の制御信号により、蓄電装置651から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置657の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0111】
実施の形態2で説明した蓄電装置を蓄電装置651のバッテリーに用いることができる。蓄電装置651は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。
【0112】
なお、電気推進車両が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
【0113】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0114】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図8及び図9のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0115】
はじめに、図8を用いてRF給電システムについて説明する。
【0116】
受電装置800は、給電装置900から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動するものに適宜適用することができる。電子機器の代表例としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等がある。また、給電装置900は、受電装置800に電力を供給する機能を有する。
【0117】
図8において、受電装置800は、受電装置部801と、電源負荷部810とを有する。受電装置部801は、受電装置用アンテナ回路802と、信号処理回路803と、蓄電装置804とを少なくとも有する。また、給電装置900は、給電装置用アンテナ回路901と、信号処理回路902とを有する。
【0118】
受電装置用アンテナ回路802は、給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路901に信号を発信する役割を有する。信号処理回路803は、受電装置用アンテナ回路802が受信した信号を処理し、蓄電装置804の充電、および、蓄電装置804から電源負荷部810への電力の供給を制御する。電源負荷部810は、蓄電装置804から電力を受け取り、受電装置800を駆動する駆動部である。電源負荷部810の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路901は、受電装置用アンテナ回路802に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路802からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路902は、給電装置用アンテナ回路901が受信した信号を処理する。また、信号処理回路902は、給電装置用アンテナ回路901の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路901から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0119】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、RF給電システムにおける受電装置800が有する蓄電装置804として利用される。
【0120】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる。すなわち、何度も給電する手間を省くことができる。
【0121】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部810を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置800の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0122】
次に、RF給電システムの他の例について図9を用いて説明する。
【0123】
図9において、受電装置800は、受電装置部801と、電源負荷部810とを有する。受電装置部801は、受電装置用アンテナ回路802と、信号処理回路803と、蓄電装置804と、整流回路805と、変調回路806と、電源回路807とを、少なくとも有する。また、給電装置900は、給電装置用アンテナ回路901と、信号処理回路902と、整流回路903と、変調回路904と、復調回路905と、発振回路906とを、少なくとも有する。
【0124】
受電装置用アンテナ回路802は、給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路901に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路901が発信する信号を受け取る場合、整流回路805は受電装置用アンテナ回路802が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路803は受電装置用アンテナ回路802が受信した信号を処理し、蓄電装置804の充電、蓄電装置804から電源回路807への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路807は、蓄電装置804が蓄電している電圧を電源負荷部に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路806は受電装置800から給電装置900へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0125】
電源回路807を有することで、電源負荷部810に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部810に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置800の劣化や破壊を低減することができる。
【0126】
また、変調回路806を有することで、受電装置800から給電装置900へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置800の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置800から給電装置900に信号を送信し、給電装置900から受電装置800への給電を停止させることができる。この結果、蓄電装置804を100%充電しないことで蓄電装置804の劣化が抑えられ、蓄電装置804の充電回数を増加させることが可能である。
【0127】
また、給電装置用アンテナ回路901は、受電装置用アンテナ回路802に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路802から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路802に信号を送る場合、信号処理回路902は、受電装置に送信する信号を生成する回路である。発振回路906は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路904は、信号処理回路902が生成した信号と発振回路906で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路901に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路901から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路802から信号を受け取る場合、整流回路903は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路905は、整流回路903が整流した信号から受電装置800が給電装置900に送った信号を抽出する。信号処理回路902は復調回路905によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0128】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路が有っても良い。例えば、受電装置800が電磁波を受信し整流回路805で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0129】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、RF給電システムにおける受電装置800が有する蓄電装置804として利用される。
【0130】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができるので、無線給電の間隔を延ばすことができる。すなわち、何度も給電する手間を省くことができる。
【0131】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部810を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置800の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0132】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用し、受電装置用アンテナ回路802と蓄電装置804を重ねる場合は、蓄電装置804の充放電による蓄電装置804の形状の変形と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路802のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、蓄電装置804を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路802と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0133】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0134】
また、信号の伝送方式は電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、本発明の一態様では、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0135】
本実施の形態は、他の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0136】
本実施例では、シリコンウエハーへのリチウム拡散実験について説明する。
【0137】
シリコン中へのリチウム拡散の評価をするため、活物質層103の代わりにシリコンウエハーを用いることとした。シリコンの表面処理として濃硫酸に浸漬を行い、表面の有機物などの除去を行ったのち、純水にて洗浄を行った。シリコンウエハーを一辺約20mmの矩形に切り出し、評価用基板として用いた。
【0138】
本実施例では、評価用基板が小片のため、リチウムの水溶液の塗布の代わりに、水溶液に浸漬する方法を用いた。シャーレに評価用基板を置き、塩化リチウムの飽和水溶液を評価用基板の表面が浸かる程度までシャーレに流し込んだ。この状態のまま、放置することで評価用基板の表面に塩化リチウムの結晶が析出するまで乾燥放置した。時間短縮のため真空装置に入れても良い。
【0139】
評価用基板をシャーレから取り出し、熱処理として電気炉にて窒素雰囲気で600℃5時間の処理を行った。その後、評価用基板の表面に残っていた結晶を純水にて洗浄を行い、洗い流した。
【0140】
その後、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometory)分析を行い、評価用基板の表面からどの程度の深さまでリチウムが拡散しているかの評価を行った。
【0141】
図10にSIMS分析の結果を示す。結果として、リチウムは高濃度でシリコンウエハーの表面から7μm程度まで拡散していることがわかった。
【0142】
以上の結果より、リチウムをシリコンへ拡散できることが示された。また、水溶液の濃度、塗布量、熱処理の温度や時間を調整することで、シリコンへの拡散の程度を調整することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
101 集電体
103 活物質層
103a 結晶性シリコン領域
103b 結晶性シリコン領域
103d 領域
105 領域
107 混合層
109 金属酸化物層
110 導電性を有する層
111 集電体
113a ウィスカー
113b ウィスカー
115 基板
151 蓄電装置
153 外装部材
155 蓄電セル
157 端子部
159 端子部
163 負極
165 正極
167 セパレータ
169 電解質
171 負極集電体
173 負極活物質層
175 正極集電体
177 正極活物質層
410 携帯電話機
411 筐体
412 表示部
413 操作ボタン
414 外部接続ポート
415 スピーカー
416 マイク
417 操作ボタン
418 蓄電装置
430 電子書籍用端末
431 筐体
432 軸部
433 筐体
435 表示部
437 表示部
439 操作ボタン
441 スピーカー
443 電源
444 蓄電装置
501 電動式の車椅子
503 座部
505 背もたれ
507 フットレスト
509 アームレスト
511 ハンドル
513 コントローラ
515 フレーム
517 一対の前輪
519 一対の後輪
521 駆動部
523 制御部
650 電気自動車
651 蓄電装置
653 制御回路
655 コンピュータ
657 駆動装置
800 受電装置
801 受電装置部
802 受電装置用アンテナ回路
803 信号処理回路
804 蓄電装置
805 整流回路
806 変調回路
807 電源回路
810 電源負荷部
900 給電装置
901 給電装置用アンテナ回路
902 信号処理回路
903 整流回路
904 変調回路
905 復調回路
906 発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体上にシリコン層を形成し、
前記シリコン層上にリチウムを含んだ溶液を塗布し、熱処理を行い、
前記シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項2】
集電体上にシリコン層を形成し、
前記シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を分散させた液を塗布し、熱処理を行い、
前記シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項3】
集電体上にシリコン層を形成し、
前記シリコン層上にリチウムを含んだ粒子を散布し、熱処理を行い、
前記シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項4】
集電体上にシリコン層を形成し、
前記シリコン層上にリチウムを含んだ膜を形成し、熱処理を行い、
前記シリコン層中に少なくともリチウムを導入させることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記シリコン層が複数のウィスカー状の結晶性シリコンを含むことを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項6】
負極活物質を負極集電体上に有する負極と、
前記負極と電解質を介して対向する正極とを有し、
前記負極活物質は、
シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、
前記負極活物質の第1の部分より第2の部分の方がリチウムの濃度が高く、
前記第2の部分は前記第1の部分より外表面に近いことを特徴とする蓄電装置。
【請求項7】
負極活物質を負極集電体上に有する負極と、
前記負極と電解質を介して対向する正極とを有し、
前記負極活物質は、
シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、
蓄電装置の作製直後の充放電を行う前に、
前記負極活物質の第1の部分より第2の部分の方がリチウムの濃度が高く、
前記第2の部分は前記第1の部分より外表面に近いことを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
負極活物質を負極集電体上に有する負極と、
前記負極と電解質を介して対向する正極とを有し、
前記負極活物質は膜状であり、
前記負極活物質は、
シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、
前記負極活物質の前記負極集電体に近い側より表層部の方がリチウムの濃度が高いことを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
負極活物質を負極集電体上に有する負極と、
前記負極と電解質を介して対向する正極とを有し、
前記負極活物質は膜状であり、
前記負極活物質は、
シリコンとリチウムとを含む合金で形成され、
蓄電装置の作製直後の充放電を行う前に、
前記負極活物質の前記負極集電体に近い側より表層部の方がリチウムの濃度が高いことを特徴とする蓄電装置。
【請求項10】
請求項6または7において、前記負極活物質は複数の粒子により形成されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項11】
請求項6乃至9のいずれか一項において、前記負極活物質はウィスカー状のシリコンを含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項12】
請求項6乃至11のいずれか一項において、前記負極活物質の表層部に導電性を有する層が形成されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項13】
請求項12において、前記導電性を有する層は、銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、アルミ、マグネシウム及び鉄の一以上を含むことを特徴とする蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−33474(P2012−33474A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140211(P2011−140211)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】