説明

蓋部材の支持構造及び電子機器

【課題】 機構の簡素化を図る。
【解決手段】 所定の部品を収納する収納凹部22を有し所定の方向へ延びる軸支持孔43、43が形成された筐体2と、軸挿通孔48a、48aを有し筐体の収納凹部を開閉する蓋部材24と、筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され軸支持孔の長手方向へ移動自在に支持された回動支点軸53とを設け、該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材を筐体に対してスライド可能とすると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材を筐体に対して回動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋部材の支持構造及び電子機器についての技術分野に関する。詳しくは、蓋部材が筐体に対してスライド可能及び回動可能な構成において機構の簡素化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、例えば、ビデオカメラ、スチルカメラ、テレビジョン受像器、携帯電話、音響機器等の各種の装置が存在し、このような電子機器には、筐体に所定の部品、例えば、充電電池等が収納される収納凹部が形成されているものがある。
【0003】
電子機器には、収納凹部を開閉する蓋体が設けられ、該蓋体が筐体に対して所定の位置までスライドされ、続いて蓋体が筐体に対して回動されて収納凹部が開放されるように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された電子機器にあっては、蓋体が蓋本体と金属板が所定の形状に折り曲げられて成る連結金具とによって構成されており、連結金具が筐体に回動自在に支持され、連結金具に蓋本体がスライド自在に支持されている。従って、蓋体によって収納凹部が開放されるときには、先ず、連結金具に対して蓋本体がスライドされ、次いで、蓋本体と連結金具が一体となって筐体に対して回動される。
【0005】
【特許文献1】実開平2−113895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載された電子機器にあっては、蓋体が蓋本体と連結金具によって構成され、蓋本体が連結金具にスライド自在に支持され該連結金具が筐体に回動自在に支持された構造とされているため、機構が複雑であるという問題がある。
【0007】
また、金属板を所定の形状に折り曲げて連結金具を形成しなければならず、加工が面倒であるという問題もある。
【0008】
そこで、本発明蓋部材の支持構造及び電子機器は、上記した問題点を克服し、機構の簡素化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明蓋部材の支持構造は、上記した課題を解決するために、所定の部品を収納する収納凹部を有し所定の方向へ延びる軸支持孔が形成された筐体と、軸挿通孔を有し筐体の収納凹部を開閉する蓋部材と、筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され軸支持孔の長手方向へ移動自在に支持された回動支点軸とを設け、該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材を筐体に対してスライド可能とすると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材を筐体に対して回動可能としたものである。
【0010】
本発明電子機器は、上記した課題を解決するために、筐体に所定の方向へ延びる軸支持孔を形成し、蓋部材に軸挿通孔を形成し、筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され該軸支持孔の長手方向に移動自在に支持された回動支点軸を設け、該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材を筐体に対してスライド可能とすると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材を筐体に対して回動可能としたものである。
【0011】
従って、本発明蓋部材の支持構造及び電子機器にあっては、蓋部材が回動支点軸と一体となって筐体に対してスライドされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明蓋部材の支持構造は、所定の部品を収納する収納凹部を有し所定の方向へ延びる軸支持孔が形成された筐体と、軸挿通孔を有し筐体の収納凹部を開閉する蓋部材と、筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され軸支持孔の長手方向へ移動自在に支持された回動支点軸とを備え、該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材が筐体に対してスライド可能とされると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材が筐体に対して回動可能とされたものである。
【0013】
従って、蓋部材が回動支点軸を介して筐体に支持される構成により、蓋部材の筐体に対するスライド動作及び回動動作が可能とされているため、機構の簡素化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、蓋部材を筐体に対して回動不能な回動不能位置と筐体に対して回動可能な回動可能位置との間でスライド可能とし、上記回動支点軸が挿入されるコイル部と該コイル部の両端からそれぞれ突出された第1の腕部及び第2の腕部とを有するコイルバネを設け、蓋部材にコイルバネの第1の腕部が押し付けられてコイルバネを支持するバネ支持部を設け、筐体に、蓋部材が少なくとも回動可能位置にあるときにコイルバネの第2の腕部が押し付けられる第1の受け面部と、蓋部材が回動不能位置にあるときにコイルバネの第2の腕部が回動不能位置から回動可能位置へ向かう方向へ押し付けられる第2の受け面部とを形成したので、回動可能位置から回動不能位置までの蓋部材のスライド動作の全体を使用者が手動で行う必要がなく、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、筐体に回動不能位置にある蓋部材の回動を規制する規制部を設け、該規制部に上記第1の受け面部と第2の受け面部を形成したので、蓋部材の回動を規制する役割を有する部分とコイルバネの第2の腕部を受ける部分とを各別に設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、上記第1の受け面部と第2の受け面部を互いに直交するように形成し、第1の受け面部と第2の受け面部の間に両者に対して傾斜し蓋部材が筐体に対してスライドされるときにコイルバネの第2の腕部が摺動される傾斜面部を形成したので、蓋部材を回動不能位置から回動可能位置へ向けてスライドさせるときには小さな力で蓋部材をスライドさせることができ、蓋部材を回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドさせるときには蓋部材に対する移動力をスライド開始後の早い段階で付与することができる。
【0017】
本発明電子機器は、所定の部品を収納する収納凹部を有する筐体と該筐体の収納凹部を開閉する蓋部材とを備えた電子機器であって、筐体に所定の方向へ延びる軸支持孔を形成し、蓋部材に軸挿通孔を形成し、筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され該軸支持孔の長手方向に移動自在に支持された回動支点軸を設け、該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材が筐体に対してスライド可能とされると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材が筐体に対して回動可能とされたことを特徴とする。
【0018】
従って、蓋部材が回動支点軸を介して筐体に支持される構成により、蓋部材の筐体に対するスライド動作及び回動動作が可能とされているため、機構の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0020】
以下に示した最良の形態は、本発明をスチルカメラに適用したものである。
【0021】
尚、本発明の適用範囲はスチルカメラに限られることはなく、例えば、ビデオカメラや他の装置等の各種の機器に広く適用することができる。
【0022】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、例えば、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0023】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0024】
スチルカメラ1は筐体2内に所要の各部が配置されて成り、該筐体2は、例えば、横長の扁平な形状に形成されている(図1乃至図3参照)。従って、筐体2の外面は、前面2a、後面2b、上面2c、下面2d、左側面2e及び右側面2fによって構成されている。
【0025】
前面2aは、図1及び図2に示すように、右端部を除いた部分が該右端部より稍後方に位置する支持凹部3として形成され、右端部が非支持面部4として形成されている。前面2aの支持凹部3と非支持面部4の間には、例えば、前斜め左方を向き上下に延びる段差部5が形成されている。
【0026】
支持凹部3の上端部には撮影レンズ6、フラッシュ7及びセルフタイマー用レンズ8が設けられている。
【0027】
支持凹部3にはスライドカバー9が上下方向へスライド自在に支持されている。スライドカバー9は、上下方向における長さが筐体2の上下方向における長さより短くされ、左右方向における長さが支持凹部3の左右方向における長さと同じにされている。スライドカバー9の前面9aは前方に凸の緩やかな曲面状に形成され、上端面9bと下端面9cがそれぞれ平面状に形成されている。
【0028】
非支持面部4の前面4aは、スライドカバー9の前面9aと略同じ曲率を有する前方に凸の緩やかな曲面に形成されている。従って、非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとは連続した緩やかな曲面とされる(図4参照)。
【0029】
スライドカバー9は上方側の移動端において、上端面9bが筐体2の上面2cと同一平面上に位置されている(図1参照)。スライドカバー9のこの位置は、撮影レンズ6、フラッシュ7及びセルフタイマー用レンズ8を閉塞する閉塞位置とされる。
【0030】
スライドカバー9は下方側の移動端において、下端面9cが筐体2の下面2dと同一平面上に位置されている(図2参照)。スライドカバー9のこの位置は、撮影レンズ6、フラッシュ7及びセルフタイマー用レンズ8を開放する開放位置とされる。
【0031】
スチルカメラ1にあっては、スライドカバー9を閉塞位置から開放位置へスライドすることにより電源が投入され、スライドカバー9を開放位置から閉塞位置へスライドすることにより電源が切断される。
【0032】
スライドカバー9が閉塞位置から開放位置まで移動されたときには、筐体2の段差部5の上端部が露出される(図2参照)。段差部5の露出された部分は、使用者が撮影時等に指を宛う指宛部5aとされる。
【0033】
非支持面部4の下端寄りの位置には前方へ突出されたストラップ取付部10が設けられている。
【0034】
ストラップ取付部10は、図5に示すように、非支持面部4の左端部から前方へ突出された突出部10aと、非支持面部4の右端部から前方へ突出されたストラップ巻付部10bと、突出部10aの前端とストラップ巻付部10bの前端とを連結する庇部10cとが一体に形成されて成る。ストラップ巻付部10bは全体が庇部10cに前方から覆われた大きさに形成されている(図6参照)。
【0035】
ストラップ巻付部10bにはストラップ100の一端部101が巻き付けられる。ストラップ100の一端部101がストラップ巻付部10bに巻き付けられた状態においては、ストラップ巻付部10bの全体が庇部10cに前方から覆われた大きさに形成さているため、一端部101が庇部10cから外方へ突出しないようにされている(図6参照)。
【0036】
筐体2の後面2bには、その右端部を除いた位置に表示パネル部11が設けられている(図3参照)。表示パネル部11としては、例えば、液晶パネルが用いられている。
【0037】
後面2bの右端部には、上端部にズーム摘子12が配置され、下端寄りの位置に第1の押釦13及び第2の押釦14が配置され、第1の押釦13の周囲の位置に操作釦15、15、・・・が配置されている。
【0038】
ズーム摘子12はズーミングを行うための摘子であり、ズーム摘子12を左右に押圧操作することにより広角撮影又は望遠撮影を行うことができる。
【0039】
第1の押釦13は円環状に形成され、第1の押釦13を上下左右に押圧操作することにより、例えば、フラッシュ撮影、セルフタイマーでの撮影、撮影した画像の再生、被写体の近接撮影(マクロ撮影)等の各種の機能を実行することができる。
【0040】
第2の押釦14は第1の押釦13の中心部に配置され、第2の押釦14を押圧操作することにより、選択した機能の実行等を行うことができる。
【0041】
操作釦15、15、・・・を押圧操作することにより、各種のメニューの表示、画面の表示の切り替え、撮影した画像の削除、スライドショーの実行等を行うことができる。
【0042】
筐体2の上面2cには、その右端寄りの位置に、シャッター釦16が配置されている。シャッター釦16は静止画撮影又は動画撮影を行うときに押圧操作される釦である。
【0043】
上面2cには、シャッター釦16の左右の位置に、それぞれ電源釦17と手振れ防止用釦18が配置されている。電源釦17を押圧操作することにより電源の投入又は投入されていた電源の切断が行われ、手振れ防止用釦18を押圧操作することにより手振れ補正機能が実行される。
【0044】
尚、スチルカメラ1にあっては、上記したように、スライドカバー9を閉塞位置から開放位置へスライドすることによっても電源が投入され、スライドカバー9を開放位置から閉塞位置へスライドすることによっても電源が切断される。
【0045】
上面2cの後端部にはスライド摘子19が配置されている。スライド摘子19は、静止画撮影モード、動画撮影モード及び画像再生モードの切替を行うための摘子である。
【0046】
筐体2の下面2dには、三脚用穴20と接続コネクター21が設けられている(図4参照)。三脚用穴20は三脚を取り付けるための穴であり、接続コネクター21は、例えば、プリンター等の外部機器を接続するためのコネクターである。
【0047】
筐体2の右側面2fには、右方に開口された収納凹部22が形成されている(図7参照)。収納凹部22には充電電池23が収納され、収納凹部22は蓋部材24によって開閉される。
【0048】
撮影時には、使用者はスチルカメラ1を、例えば、左手200及び右手300の両手で把持して使用する(図8参照)。
【0049】
また、撮影時には、例えば、右手300のみによって把持して使用することも可能である(図9及び図10参照)。
【0050】
右手300のみの把持方法としては、例えば、図9に示すように、スライドカバー9が開放位置にある状態において、親指301を後面2b又は下面2dに宛い、人差し指302をシャッター釦16に宛い、中指303を指宛部5aとスライドカバー9の上端部9bに跨るように宛い、薬指304を上方からストラップ取付部10に宛い、小指305を前面2a又は下面2dに宛う方法がある。
【0051】
また、右手300のみの別の把持方法として、例えば、図10に示すように、スライドカバー9が開放位置にある状態において、親指301を後面2b又は下面2dに宛い、人差し指302をシャッター釦16に宛い、中指303を指宛部5aとスライドカバー9の上端部9bに跨るように宛い、薬指304を折り曲げて上方からストラップ取付部10に宛い、小指305を折り曲げて前面2a又は下面2dに宛う方法もある。
【0052】
このときストラップ100がストラップ取付部10に取り付けられている場合であっても、上記したように、ストラップ100の一端部101が庇部10cから外方へ突出されていないため、使用者がスチルカメラ1を把持している状態において、指がストラップ100の一端部101に接触し難く、使用者はスチルカメラ1を違和感なく把持することができる。
【0053】
上記のように、ストラップ取付部10は、使用者が把持したときに指が宛われる指宛て突部としても機能する。
【0054】
以上のように、スチルカメラ1にあっては、段差状又は突状の指宛部5a、スライドカバー9の上端部9b及びストラップ取付部10が設けられているため、撮影時にスチルカメラ1の各部に宛われた指が滑り難く、良好な把持状態を確保することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0055】
また、使用者がスチルカメラ1を把持した状態において、例えば、中指303が筐体2の非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとに跨った状態で宛われる場合も生じるが、上記したように、非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとは連続した緩やかな曲面とされているため、使用者は中指303を違和感なく宛うことができる。
【0056】
尚、上記には、非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとを連続した緩やかな曲面とした例を示したが、例えば、非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとを連続した平面に形成してもよい。非支持面部4の前面4aとスライドカバー9の前面9aとを連続した平面に形成した場合にも、使用者は中指303を違和感なく両者に跨った状態で宛うことができる。
【0057】
また、スチルカメラ1にあっては、筐体2の後面2bに表示パネル部11が設けられ、上面2cにシャッター釦16が配置されているため、スチルカメラ1を把持したときに表示パネル部11に表示される画像を視認し易いと共にシャッター釦16に指を宛い易く、画像の良好な視認性及び操作性を確保することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0058】
さらに、スチルカメラ1にあっては、撮影時に指が宛われる指宛て突部として機能するストラップ取付部10を非支持面部4に設けているため、スライドカバー9の移動に伴ってストラップ取付部10の位置が変化することがなく、スチルカメラ1の把持状態の安定化を図ることができる。
【0059】
加えて、ストラップ取付部10を指宛て突部として設けているため、ストラップ取付部10の他に専用の指宛て突部を設ける必要がなく、部品点数の削減及びスチルカメラ1の構成の簡素化を図ることができる。
【0060】
筐体2は、前後で結合されたフロントパネル25、リアパネル26とフロントパネル25、リアパネル26間に配置された保持フレーム27とを有している(図3参照)。
【0061】
リアパネル26の右端部は縦長の釦配置部26aとして設けられ、該釦配置部26aには複数の釦配置孔26b、26b、・・・が形成されている(図11参照)。
【0062】
釦配置部26aの前面には、釦ユニット28が、例えば、接着等によって固定されている。釦ユニット28は、縦長の形状に形成された枠部29と、該枠部29の左右に位置する部分を連結する連結部30と、該連結部30の左右方向における中央部から略上方へ突出された弾性変形部31、31と、該弾性変形部31、31の上端部に設けられたズーム摘子12と、連結部30の左右方向における中央部から下方へ突出された取付部32と、枠部29の所定の各位置から内方へ突出された撓み弾性部33、33、・・・と、該撓み弾性部33、33、・・・の各一端部に設けられた操作釦15、15、・・・と、枠部29の下端部から上方へ突出された取付部34とが樹脂材料によって一体に形成されて成る。釦ユニット28の表面にはメッキ処理が施されている。
【0063】
取付部32、34にはそれぞれ取付孔32a、34aが形成されている。
【0064】
枠部29の内側には第1の押釦13と第2の押釦14が結合された状態で配置される(図11及び図12参照)。
【0065】
第1の押釦13は、図13及び図14に示すように、円環状に形成された環状操作部35と、該環状操作部35の外周面における等間隔の位置から放射方向へ突出された四つの突出部36、36、・・・と、該突出部36、36、・・・からそれぞれ略直交する方向へ突出された撓み部37、37、・・・と、該撓み部37、37、・・・の先端部に設けられた被取付部38、38とが樹脂材料によって一体に形成されて成る。第1の押釦13の表面にはメッキ処理が施されている。
【0066】
環状操作部35の中心孔は配置孔35aとして形成されている。
【0067】
突出部36、36、・・・のうち、第1の押釦13の中心を挟んで互いに反対側に位置する2つの突出部36、36には、それぞれ後方へ突出された係合ピン36a、36aが設けられている。
【0068】
撓み部37、37、・・・はそれぞれ環状操作部35の外周面に沿って位置された円弧状部37a、37a、・・・と該円弧状部37a、37aに連続し上下に延びる直線部37b、37b、・・・とから成り、2つずつの直線部37b、37b、・・・が隣接して平行な状態とされ、これらの隣接した2つずつの直線部37b、37b、・・・の先端部に連続してそれぞれ被取付部38、38が設けられている。
【0069】
被取付部38、38にはそれぞれ前方へ突出された被取付ピン38a、38aが設けられている。
【0070】
第2の押釦14は、図13に示すように、センター操作部39と、該センター操作部39の外周面からそれぞれ外方へ突出された撓み脚部40、40と、該撓み脚部40、40の各先端部に設けられた結合部41、41とが樹脂材料によって一体に形成されて成る。第2の押釦14の表面にはメッキ処理が施されている。
【0071】
センター操作部39は外形が円柱状に形成された被押圧部39aと該被押圧部39aの前端部に設けられたフランジ部39bとから成る。
【0072】
撓み脚部40、40はセンター操作部39の中心を挟んで互いに反対側へ突出された基部40a、40aと、該基部40a、40aにそれぞれ連続しフランジ部39b、39bの外周面に沿うように略円弧状に形成された曲線部40b、40bと、該曲線部40b、40bに連続し互いに同じ方向へ延びる先端部40c、40cとから成る。
【0073】
結合部41、41にはそれぞれ係合孔41a、41aが形成されている。結合部41、41は、それぞれ撓み脚部40、40の先端部からセンター操作部39の周方向へ突出して設けられている。
【0074】
第1の押釦13と第2の押釦14は、以下のようにして結合される(図13乃至図17参照)。
【0075】
先ず、第1の押釦13の環状操作部35に形成された配置孔35aに第2の押釦14のセンター操作部39の被押圧部39aを前方から挿入する(図13参照)。
【0076】
次に、第2の押釦14をセンター操作部39を中心に結合部41、41が係合ピン36a、36aに近付く方向へ回転する(図14参照)。
【0077】
次いで、第2の押釦14を回転させながら撓み脚部40、40をセンター操作部39の配置孔35aに対する挿入方向(前方)側に撓ませて弾性変形させ、結合部41、41をそれぞれ係合ピン36a、36aに重ねるように位置させる(図15参照)。
【0078】
最後に、撓み脚部40、40に付与していた外力を解除して弾性復帰させ、結合部41、41の係合孔41a、41aにそれぞれ係合ピン36a、36aを挿入し、第1の押釦13と第2の押釦14の結合を完了する(図16及び図17参照)。従って、第1の押釦13の係合ピン36a、36aと第2の押釦14の係合孔41a、41aは、互いに係合される第1の係合部と第2の係合部として機能する。
【0079】
第1の押釦13と第2の押釦14が結合された状態においては、第2の押釦14の撓み脚部40、40の弾性によって結合部41、41がそれぞれ第1の押釦13の突出部36、36に押し付けられる(図17参照)。
【0080】
上記のように第1の押釦13と第2の押釦14が結合された状態において、図12に示すように、第1の押釦13の被取付部38、38に設けられた被取付ピン38a、38aを釦ユニット28の取付部32、34に形成された取付孔32a、34aにそれぞれ後方から挿入し、第1の押釦13及び第2の押釦14を釦ユニット28に取り付ける。
【0081】
第1の押釦13及び第2の押釦14を釦ユニット28に取り付けた状態において、上記したように、接着等によって釦配置部26aの前面に釦ユニット28を固定する。釦配置部26aの前面に釦ユニット28を固定することにより、第1の押釦13の被取付部38、38が釦ユニット28の取付部32、34と釦配置部26aの前面とによって押さえられ、第1の押釦13及び第2の押釦14が釦配置部26aに保持される。
【0082】
このように釦ユニット28、第1の押釦13及び第2の押釦14が釦配置部26aに配置されると、ズーム摘子12、第1の押釦13の環状操作部35、第2の押釦14のセンター操作部39及び操作釦15、15、・・・がそれぞれ釦配置部26aの釦配置孔26b、26b、・・・に挿入され、各一部が釦配置孔26b、26b、・・・から後方へ突出される。
【0083】
筐体2の内部には、釦ユニット28の直前の位置に図示しないスイッチ用回路基板が配置されている。スイッチ用回路基板には、ズーム摘子12、第1の押釦13、第2の押釦14及び操作釦15、15、・・・に対向する位置にそれぞれスイッチが設けられている。
【0084】
使用者がズーム摘子12を押圧操作すると釦ユニット28の弾性変形部31、31が弾性変形されてスイッチを押圧しズーム機能が実行され、第1の押釦13の環状操作部35を押圧操作すると撓み部37、37、・・・が弾性変形されてスイッチを押圧しフラッシュ撮影機能等の所定の機能が実行され、第2の押釦14のセンター操作部39を押圧操作すると撓み脚部40、40が弾性変形されてスイッチを押圧し所定の機能が実行され、操作釦15、15、・・・を操作すると撓み弾性部33、33、・・・が弾性変形されてスイッチを押圧し各種のメニューの表示等の所定の機能が実行される。
【0085】
以上に記載した通り、スチルカメラ1にあっては、第2の押釦14の撓み脚部40、40をセンター操作部39の配置孔35aに対する挿入方向側に撓ませて弾性変形させ第1の押釦13の第1の係合部と第2の押釦14の第2の係合部を係合して第1の押釦13と第2の押釦14を結合するようにしている。
【0086】
従って、第1の押釦13と第2の押釦14を溶着により結合する必要がなく、結合作業を簡単かつ短時間で行うことができ、結合作業の簡便化を図ることができる。
【0087】
また、第1の押釦13と第2の押釦14の表面にメッキ処理を施した場合には、メッキが溶融しないため溶着を行うことができないが、上記したように、第1の係合部と第2の係合部を係合して第1の押釦13と第2の押釦14を結合する方法を用いることにより、第1の押釦13及び第2の押釦14の表面にメッキ処理を施すことができる。
【0088】
さらに、メッキ処理を施した場合には、第1の押釦13の環状操作部35の後面や第2の押釦14のセンター操作部39の後面に微細な円環状の溝形状を複数形成して成る所謂スピン目加工(図16に示すs、s、・・・)等の意匠的な加工を施すことが可能となり、デザイン性の向上を図ることができる。
【0089】
さらにまた、スチルカメラ1にあっては、第1の係合部として係合ピン36a、36aを設け、第2の係合部として係合孔41a、41aを形成し、係合ピン36a、36aを係合孔41a、41aにそれぞれ挿入して第1の押釦13と第2の押釦14を結合するようにしているため、結合作業における作業性の向上を図ることができる。
【0090】
加えて、第1の押釦13と第2の押釦14が結合された状態において、第2の押釦14の撓み脚部40、40の弾性によって結合部41、41がそれぞれ第1の押釦13の突出部36、36に押し付けられるため(図17参照)、第1の押釦13と第2の押釦14の間にガタツキが発生せず、両者の結合状態の安定化を図ることができる。
【0091】
尚、上記には、第1の押釦13に係合ピン36a、36aを設け、第2の押釦14に係合孔41a、41aを形成して両者を係合する例を示したが、逆に、第1の押釦13に係合孔を形成し、第2の押釦14に係合ピンを設けて両者を係合するようにしてもよい。
【0092】
また、上記には、係合ピンと係合孔による係合を例として示したが、これに代えて、例えば、第1の押釦13と第2の押釦14の一方に突部を設け他方に凹部を形成して両者を嵌合することにより第1の押釦13と第2の押釦14を結合するようにしてもよく、また、第1の押釦13と第2の押釦14の双方に係合爪を設け両者を係合することにより第1の押釦13と第2の押釦14を結合するようにしてもよい。
【0093】
筐体2の右側面2fには、上記したように、収納凹部22が形成されている(図7及び図18参照)。筐体2の保持フレーム27には、収納凹部22の下側開口縁に電池ロック部材42が回転可能に支持されている(図7参照)。
【0094】
保持フレーム27の収納凹部22の開口縁には、その前縁部と後縁部に上下に離隔して2つずつのロック片27a、27a、・・・が後方又は前方へ突出された状態で設けられている(図7には二つのロック片27a、27aのみを示す。)。
【0095】
保持フレーム27の収納凹部22が形成された部分の上方の位置には、前後に離隔して軸支持孔43、43が形成されている(図18参照)。軸支持孔43、43は上下に長く形成され、前後方向において貫通されている。
【0096】
保持フレーム27の右端部における上端部には規制部44が設けられている(図18及び図19参照)。規制部44は縦長の形状に形成され、下面が回動規制面部44aとして形成され、左側面が第1の受け面部44bとして形成され、上面が第2の受け面部44cとして形成されている。規制部44の第1の受け面部44bと第2の受け面部44cの間には上方へ行くに従って右方へ変位する傾斜面部44dが形成されている。
【0097】
保持フレーム27には、収納凹部22の開口面と規制部44との間に上下に貫通された挿通孔45が形成されている。
【0098】
収納凹部22を開閉する蓋部材24は長手方向における一端部を支点として筐体2に回動自在に支持されている(図3、図5及び図7参照)。蓋部材24は、図18に示すように、蓋本体部46と該蓋本体部46の長手方向における一端部から突出された挿入突部47とが一体に形成されて成る。
【0099】
蓋本体部46の前後両端部にはそれぞれ前方又は後方へ突出された被ロック片46a、46a、・・・が設けられている。被ロック片46a、46a、・・・は上下に離隔して前後両端部に2つずつが設けられ、L字状に形成されている。
【0100】
蓋部材24の長手方向が上下方向とされた状態(図18参照)において、挿入突部47は蓋本体部46の上面における左半部から上方へ突出され、蓋本体部46の上面が被規制面46bとされる。挿入突部47は前後に離隔して位置する柱状部48、48を有し、該柱状部48、48にはそれぞれ前後に貫通された軸挿通孔48a、48aが形成されている。挿入突部47における筐体2の右側面2fに対向する側の面には、コイルバネ49を支持するバネ支持部47aが設けられている。
【0101】
蓋部材24の柱状部48、48間にはコイルバネ49が配置される。コイルバネ49はコイル部50と該コイル部50の両端からそれぞれ突出された第1の腕部51、第2の腕部52とから成る。第1の腕部51と第2の腕部52の先端部51a、52aは略直角に折り曲げられている。
【0102】
蓋部材24は回動支点軸53を介して筐体2に回動自在に支持されている。回動支点軸53は、図18に示すように、例えば、後方から保持フレーム27の後側に位置する軸支持孔43、蓋部材24の後側に位置する軸挿通孔48a、コイルバネ49のコイル部50、蓋部材24の前側に位置する軸挿通孔48a及び保持フレーム27の前側に位置する軸支持孔43を順に挿通される。
【0103】
回動支点軸53は軸支持孔43、43内で筐体2に対して上下方向へ移動可能とされ、蓋部材24は回動支点軸53を支点として筐体2に対して回動可能とされる。回動支点軸53が軸支持孔43、43内で筐体2に対して上下方向へ移動されるときには、蓋部材24が回動支点軸53と一体となって筐体2に対して上下方向へ移動される。
【0104】
上記のように蓋部材24が筐体2に支持された状態において、蓋部材24の上方側の移動端における位置が回動不能位置とされ、蓋部材24の下方側の移動端における位置が回動可能位置とされる。
【0105】
蓋部材24が筐体2に支持された状態においては、コイルバネ49は、第1の腕部51が弾性によって蓋部材24の挿入突部47のバネ支持部47aに左方から押し付けられ、第2の腕部52が蓋部材24の筐体2に対する位置に応じて弾性によって規制部44の第2の受け面部44c、傾斜面部44d又は第1の受け面部44bに押し付けられる。
【0106】
このように、第2の腕部52は蓋部材24の筐体2に対する位置に応じて規制部44の第2の受け面部44cと第1の受け面部44bの間で摺接されるが、第2の腕部52は先端部52aが直角に折り曲げられ先端が規制部44から前方へ突出されている(図20参照)。従って、第2の腕部52が第2の受け面部44cと第1の受け面部44bの間で摺接されたときに、第2の腕部52の先端縁と規制部44との接触が回避され、規制部44の傷付きを防止することができる。
【0107】
以下に、蓋部材24の動作について説明する(図21乃至図27参照)。
【0108】
蓋部材24が移動範囲の上端である回動不能位置にある状態においては、図21に示すように、挿入突部47が保持フレーム27の挿通孔45に下方から挿入され、コイルバネ49の第2の腕部52が規制部44の第2の受け面部44cに押し付けられている。従って、コイルバネ49の第2の腕部52の付勢力によって蓋部材24に上方への移動力(図21に示す矢印Fu)が付与されており、蓋本体部46の被規制面46bが規制部44の回動規制面部44aに接触され、蓋部材24の筐体2に対する回動が規制されている。
【0109】
このとき、収納凹部22の開口縁に設けられたロック片27a、27a、・・・とそれぞれ蓋部材24の被ロック片46a、46a、・・・とが係合され、蓋部材24が回動不能位置にロックされている。
【0110】
蓋部材24が回動不能位置から使用者の手動操作によって下方へスライドされて行くと、図22に示すように、コイルバネ49の第2の腕部52が規制部44の第2の受け面部44cから傾斜面部44dを経て第1の受け面部44bまで摺動される。このとき回動支点軸53が軸支持孔43、43内を蓋部材24と一体となって下方へ移動され、蓋部材24は下方側の移動端である回動可能位置に至る。
【0111】
蓋部材24が回動可能位置に至ったときには、ロック片27a、27a、・・・と被ロック片46a、46a、・・・との係合が解除されており、また、コイルバネ49の第1の腕部51の付勢力によって蓋部材24に右方への移動力(図22に示す矢印M)が付与される。従って、使用者が蓋部材24から指を離すと、コイルバネ49の付勢力によって蓋部材24が筐体2に対して回動支点軸53を支点として回動される(図23参照)。
【0112】
蓋部材24は挿入突部47が規制部44の回動規制面部44aに接するまで回動され(図24参照)、収納凹部22からの充電電池23の取出が可能な状態となる。
【0113】
このとき充電電池23は収納凹部22内において、収納凹部22の下側開口縁に支持された電池ロック部材42によってロックされている。電池ロック部材42を回転することにより充電電池23に対するロックが解除され、該充電電池23を収納凹部22から取り出すことができる。
【0114】
充電電池23の収納凹部22への収納は、電池ロック部材42を充電電池23を収納凹部22から取り出すときと同じ方向へ回転した状態で行うことができる。充電電池23が収納凹部22に収納されると、電池ロック部材42が充電電池23を収納凹部22から取り出すときと逆の方向へ回転され、充電電池23が電池ロック部材42によって収納凹部22内でロックされる。
【0115】
蓋部材24が収納凹部22を閉塞する方向へ回動されると、蓋部材24は回動可能位置に至る(図25参照)。
【0116】
次いで、蓋部材24を筐体2に対して押し上げてスライドさせる(図26参照)。蓋部材24を押し上げると、コイルバネ49の第2の腕部52が規制部44の第1の受け面部44bから傾斜面部44dに摺動される(図27参照)。コイルバネ49の第2の腕部52が傾斜面部44dに接することにより、第2の腕部52が傾斜面部44dに押し付けられ、規制部44に右斜め下方への力(図27に示す矢印P)が付与され、その分力としての下方への力(図27に示す矢印Pd)が第2の腕部52から規制部44に付与される。従って、蓋部材24には、下方への力Pdに対する反力として、上方への移動力(図27に示す矢印Fu)が付与される。
【0117】
従って、使用者が上方へスライドされている蓋部材24から指を離しても、蓋部材24に付与された上方への移動力Fuによって該蓋部材24が上方へ向けてスライドされていく。
【0118】
蓋部材24が移動力Fuによってさらに上方へスライドされ、コイルバネ49の第2の腕部52が規制部44の第2の受け面部44cと傾斜面部44dとが交わる部分に接触された状態とされると、第2の腕部52による分力Pdがさらに大きくなり(図28参照)、蓋部材24に付与される移動力Fuも大きくなる。
【0119】
蓋部材24は移動力Fuによって回動不能位置に至り(図21参照)、コイルバネ49の第2の腕部52が規制部44の第2の受け面部44cに押し付けられ、蓋本体部46の被規制面46bが規制部44の回動規制面部44aに接し、蓋部材24の筐体2に対する回動が規制される。
【0120】
このとき、収納凹部22の開口縁に設けられたロック片27a、27a、・・・とそれぞれ蓋部材24の被ロック片46a、46a、・・・とが係合され、蓋部材24が回動不能位置にロックされる。
【0121】
上記したように、スチルカメラ1にあっては、蓋部材24が回動支点軸53を介して筐体2に支持される構成により、蓋部材24の筐体2に対するスライド動作及び回動動作が可能とされているため、機構の簡素化を図ることができる。
【0122】
また、蓋部材24が回動可能位置から回動不能位置へスライドされるときに、蓋部材24に回動可能位置から回動不能位置へ向けての移動力Fuがコイルバネ49によって付与されるため、回動可能位置から回動不能位置までの蓋部材24のスライド動作の全体を使用者が手動で行う必要がなく、スチルカメラ1の使い勝手の向上を図ることができる。
【0123】
さらに、蓋部材24に対する回動可能位置から回動不能位置へ向けての移動力Fuの付与をコイルバネ49によって実現しているため、構成が簡単であり、スチルカメラ1の機構の簡素化及び製造コストの削減を図ることができる。
【0124】
さらにまた、スチルカメラ1にあっては、蓋部材24の回動不能位置における回動を規制する役割を有する規制部44にコイルバネ49の第2の腕部52を受ける第1の受け面部44bと第2の受け面部44cを形成しているため、蓋部材24の回動不能位置における回動を規制する役割を有する部分と第2の腕部52を受ける部分とを各別に設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【0125】
加えて、規制部44にコイルバネ49の第2の腕部52が摺動される傾斜面部44dを形成しているため、蓋部材24を回動不能位置から回動可能位置へ向けてスライドさせるときには小さな力で蓋部材24をスライドさせることができ、蓋部材24を回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドさせるときには蓋部材24に対する移動力Fuをスライド開始後の早い段階で付与することができる。
【0126】
尚、上記には、規制部44に傾斜面部44dを形成して蓋部材24に移動力Fuを付与する例を示したが、規制部44に傾斜面部44dを形成しない場合においても、蓋部材24に対して移動力Fuを付与することが可能である。例えば、図29に示すように、第1の受け面部44bと第2の受け面部44cが連続して形成されている場合に、コイルバネ49の第2の腕部52が第1の受け面部44bと第2の受け面部44cの連続部分を上方側に乗り越えると、分力Pdに対する反力として移動力Fuが蓋部材24に付与される。
【0127】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図2乃至図29と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、スチルカメラをスライドカバーが閉塞位置にある状態で示す斜視図である。
【図2】スチルカメラをスライドカバーが開放位置にある状態で示す斜視図である。
【図3】スチルカメラの背面側を示す斜視図である。
【図4】スチルカメラの拡大底面図である。
【図5】スチルカメラの一部を示す拡大斜視図である。
【図6】ストラップの一端部がストラップ巻付部に巻き付けられた状態を示す拡大断面図である。
【図7】充電電池を取り出した状態で示すスチルカメラの斜視図である。
【図8】スチルカメラを使用している状態を示す斜視図である。
【図9】スチルカメラを把持している状態を示す正面図である。
【図10】図9とは異なる方法でスチルカメラを把持している状態を示す正面図である。
【図11】釦配置部、第1の押釦、第2の押釦及び釦ユニットを示す拡大分解斜視図である。
【図12】釦配置部、第1の押釦、第2の押釦及び釦ユニットを示す拡大斜視図である。
【図13】第1の押釦と第2の押釦を分離して示す拡大斜視図である。
【図14】第1の押釦と第2の押釦を結合する途中の状態を示す拡大斜視図である。
【図15】第1の押釦の係合ピンを第2の押釦の係合孔に挿入する前の状態を示す拡大断面図である。
【図16】第1の押釦と第2の押釦を結合した状態を示す拡大斜視図である。
【図17】第1の押釦の係合ピンを第2の押釦の係合孔に挿入した状態を示す拡大断面図である。
【図18】保持フレーム、蓋部材、回動支点軸及びコイルバネを示す拡大分解斜視図である。
【図19】保持フレームの一部を示す拡大断面図である。
【図20】コイルバネの第2の腕部が規制部に接している状態を示す拡大斜視図である。
【図21】図22乃至図26と共に蓋部材の動作を示すものであり、本図は、蓋部材が回動不能位置にある状態を示す拡大断面図である。
【図22】蓋部材が回動不能位置から回動可能位置までスライドされた状態を示す拡大断面図である。
【図23】蓋部材が回動可能位置から回動されている途中の状態を示す拡大断面図である。
【図24】蓋部材が回動され収納凹部が開放された状態を示す拡大断面図である。
【図25】蓋部材が回動可能位置まで回動された状態を示す拡大断面図である。
【図26】蓋部材が回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドされている途中の状態を示す拡大断面図である。
【図27】蓋部材が回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドされているときに生じる力を示す概念図である。
【図28】図27に引き続き、蓋部材が回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドされているときに生じる力を示す概念図である。
【図29】規制部に傾斜面部が形成されていない場合において、蓋部材が回動可能位置から回動不能位置へ向けてスライドされているときに生じる力を示す概念図である。
【符号の説明】
【0129】
1…スチルカメラ(電子機器)、2…筐体、22…収納凹部、24…蓋部材、43…軸支持孔、44…規制部、44b…第1の受け面部、44c…第2の受け面部、44d…傾斜面部、47a…バネ支持部、48a…軸挿通孔、49…コイルバネ、50…コイル部、51…第1の腕部、52…第2の腕部、53…回動支点軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部品を収納する収納凹部を有し所定の方向へ延びる軸支持孔が形成された筐体と、
軸挿通孔を有し筐体の収納凹部を開閉する蓋部材と、
筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され軸支持孔の長手方向へ移動自在に支持された回動支点軸とを備え、
該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材が筐体に対してスライド可能とされると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材が筐体に対して回動可能とされた
ことを特徴とする蓋部材の支持構造。
【請求項2】
蓋部材を筐体に対して回動不能な回動不能位置と筐体に対して回動可能な回動可能位置との間でスライド可能とし、
上記回動支点軸が挿入されるコイル部と該コイル部の両端からそれぞれ突出された第1の腕部及び第2の腕部とを有するコイルバネを設け、
蓋部材にコイルバネの第1の腕部が押し付けられてコイルバネを支持するバネ支持部を設け、
筐体に、蓋部材が少なくとも回動可能位置にあるときにコイルバネの第2の腕部が押し付けられる第1の受け面部と、蓋部材が回動不能位置にあるときにコイルバネの第2の腕部が回動不能位置から回動可能位置へ向かう方向へ押し付けられる第2の受け面部とを形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材の支持構造。
【請求項3】
筐体に回動不能位置にある蓋部材の回動を規制する規制部を設け、該規制部に上記第1の受け面部と第2の受け面部を形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の蓋部材の支持構造。
【請求項4】
上記第1の受け面部と第2の受け面部を互いに直交するように形成し、
第1の受け面部と第2の受け面部の間に両者に対して傾斜し蓋部材が筐体に対してスライドされるときにコイルバネの第2の腕部が摺動される傾斜面部を形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の蓋部材の支持構造。
【請求項5】
所定の部品を収納する収納凹部を有する筐体と該筐体の収納凹部を開閉する蓋部材とを備えた電子機器であって、
筐体に所定の方向へ延びる軸支持孔を形成し、
蓋部材に軸挿通孔を形成し、
筐体の軸支持孔及び蓋部材の軸挿通孔に挿通され該軸支持孔の長手方向に移動自在に支持された回動支点軸を設け、
該回動支点軸の軸支持孔に対する移動に伴って蓋部材が筐体に対してスライド可能とされると共に蓋部材の回動支点軸を支点とした回動によって蓋部材が筐体に対して回動可能とされた
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−258198(P2007−258198A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76545(P2006−76545)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】