説明

薄板部材洗浄装置

【課題】薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供する。
【解決手段】薄板部材洗浄装置1000は、蓋部材1101と、この蓋部材1101により一方端側に設けられた開口部が閉ざされ、内部に水道水1300が蓄えられる細長い円筒形状容器1102とを含む洗浄容器1100と、この洗浄容器1100内に収容され、洗浄容器1100内を移動することで水道水1300によりその表面が洗浄されるメッシュ部材160を保持する薄板部材固定部材1200とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄板部材を洗浄するための薄板部材洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属など薄板部材に多数の微細孔を加工したメッシュ部材を振動させて液体の微細粒を噴霧する技術がある。具体例として、喘息治療薬などを吸入する霧化装置(ネブライザや吸入器)に適用されたものが存在する。特にネブライザにおいては、薬液を吸入するという意味からメッシュ部材が清潔な状態に保たれることが望まれる。また、粘性の高い薬液を使用する場合などにおいては、その薬液がメッシュ部材に固着して微細孔を塞いでしまうことのないように使用後の洗浄が必要となる。
【0003】
このメッシュ部材の代表的な洗浄方法には、(a)ネブライザの薬液ボトルに水道水を入れて数分間噴霧させて、メッシュ部材を洗浄する方法(水噴霧洗浄方法)、(b)水道水からの流水を直接メッシュ部に当てて洗浄する方法(流水洗浄方法)、が挙げられる。
【0004】
しかし、(a)に示す水噴霧洗浄方法では、ネブライザの電池を消費するため、電池交換サイクルが短くなる。使用者等が、霧化した水を吸入すると好ましくないため、注意が必要である。また、洗浄に手間や時間がかかる。
【0005】
(b)に示す流水洗浄方法では、水道水からの流水をメッシュ部に直接当てて洗浄した場合、微細加工かつ目詰まり防止のためにメッシュ部材は薄板であることがほとんどであり、激しい流水を当てることによってメッシュ部材が破損し、変形するおそれがある。水の勢いのために誤って手からメッシュ部材が脱落し、メッシュ部材を排水口に流してしまうおそれもある。
【0006】
なお、本発明に係るメッシュ部材等の薄板部材洗浄装置についての背景技術を、出願人の知得した本技術分野における一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。なお、薄板部材洗浄装置とは技術分野が異なるが、水道水の流水の勢いで米または穀物を洗浄するという技術は、下記特許文献1(特開2001−178639号公報「水流式洗米機又は穀物洗い機」)に開示されている。また、洗浄剤の発泡による気泡を用いて入歯の表面を洗浄する技術が、下記特許文献2(登録実用新案第3007442号公報)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−178639号公報
【特許文献2】登録実用新案第3007442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、薄板部材を洗浄するための装置が存在しない点にある。したがって、本発明の目的は、薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に基づいた薄板部材洗浄装置においては、蓋部材と、上記蓋部材により一方端側に設けられた開口部が閉ざされ、内部に液体が蓄えられる円筒形状容器と、を含む洗浄容器と、上記洗浄容器内に収容され、上記洗浄容器内を移動することで上記液体によりその表面が洗浄される薄板部材を保持する薄板部材固定部材とを備え、上記薄板部材固定部材は、上記液体を通過させる複数の第1開口部を有する第1ベース部材と、上記第1ベース部材に固定され、上記薄板部材を保持する薄板部材保持部とを有する。
【0010】
上記薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記薄板部材固定部材は、上記薄板部材保持部を挟み、上記第1ベース部材と対向する位置に、上記液体を通過させる複数の第2開口部を有する第2ベース部材を有する。また、好ましくは、上記第1ベース部材に設けられる上記第1開口部の開口面積は、上記第2ベース部材に設けられる上記第2開口部の開口面積よりも大きい。
【0011】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記薄板部材固定部材は、上記円筒形状容器の内面との衝突を和らげる衝撃吸収部材を有する。
【発明の効果】
【0012】
この発明に基づいた薄板部材洗浄装置によれば、薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】メッシュ部材を備えるネブライザの全体構成を示す第1の斜視図である。
【図2】メッシュ部材を備えるネブライザの全体構成を示す第2の斜視図である。
【図3】(a)および(b)は、図2中のIII−III線矢視部分断面図である。
【図4】実施の形態1における薄板部材洗浄装置の構成を示す外観図である。
【図5】実施の形態1における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す概念図である。
【図6】実施の形態1における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の具体的構成を示す斜視図である。
【図7】実施の形態2における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す斜視図である。
【図8】実施の形態3における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す斜視図である。
【図9】実施の形態4における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す図である。
【図10】実施の形態5における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す図である。
【図11】実施の形態6における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す図である。
【図12】実施の形態7における薄板部材洗浄装置に採用される薄板部材固定部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に基づいた各実施の形態における薄板部材洗浄装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰返さない場合がある。
【0015】
また、後述する各実施の形態における薄板部材洗浄装置は、水道水を用いた場合について説明するが、専用の洗浄液を用いることも可能である。
【0016】
(メッシュ部材を備えるネブライザ)
先ず、図1から図3を参照して、洗浄対象部材の一例であるメッシュ部材を備えるネブライザについて説明する。ネブライザは、主に医療用に用いられる装置である。このネブライザは、霧化部において薬液を霧状の粒子に霧化させ、使用者がこの霧状の薬液を口または鼻から吸入することで、気管支や鼻腔、咽喉などの疾患を治療するためのものである。
【0017】
図示する、ネブライザは、超音波メッシュ式の霧化機構を備えている。ネブライザ100は、その上部に薬液を噴霧するための噴霧口110を備えている。また、ネブライザ100の上部には、薬液をネブライザ100内の薬液貯留部130(図3参照)に供給し、薬液貯留部130を洗浄し易くするための開閉操作部120が設けられている。また、薬液の供給は噴霧口110を開閉することでも可能である。
【0018】
ネブライザ100の吸入補助具であるマウスピース200は、樹脂材料により一体に形成されている。このマウスピース200は、ネブライザ100の上部に取付け可能な形状を有しており、その内部にネブライザ100の噴霧口110から噴霧される霧状の薬液が通過する筒状部240(図3参照)を備えている。
【0019】
マウスピース200の上面には、使用者が口で咥えるための第2の開口である吸入口220が設けられている。マウスピース200の筒状部240は、ネブライザ100の噴霧口110に気密に取り付けられるものではなく、所定の位置に空気を取りこむための第3の開口である空気取込口230を有している。
【0020】
このマウスピース200が、ネブライザ100の上部に取り付けられた状態で、使用者はネブライザ100を手で持って使用する。このとき、ネブライザ100を若干手前に傾斜させて、マウスピース200の吸入口220を咥えるようにして使用する。
【0021】
次に、図3を参照してネブライザ100の構造およびマウスピース200の形状について、より詳細に説明する。なお、図3(a)は、ネブライザ100を水平に保った状態を示しており、図3(b)は、ネブライザ100を使用するために使用者がネブライザ100を手前に傾斜させた状態を示している。
【0022】
ネブライザ100は、噴霧口110の直下に超音波メッシュ式の霧化機構を備えている。この超音波メッシュ式の霧化機構は、圧電素子150およびステップホーン140、メッシュ部材160とからなる。メッシュ部材160は、多数の微細孔を加工が施された金属の薄板部材と、その周囲に設けられる樹脂部材と有している。メッシュ部材160の下面はステップホーン140の一端と当接している。メッシュ部材160は、洗浄のために、仕切り板190に対して、使用者により着脱可能に設けられている。
【0023】
圧電素子150は電源により駆動されることで振動を開始し、この振動がステップホーン140に伝搬することでステップホーン140とメッシュ部材160との当接面において薬液が霧化される。霧化された薬液は、微細孔からネブライザ100の噴霧口110に向かって勢いよく噴出す。
【0024】
噴霧口110の周縁には、筒状部240に付着することで液滴化した薬液や使用者の涎を貯留するための液溜め部180が形成されている。この液溜め部180内に貯留された薬液や涎は、その内側に位置するメッシュ部材160に混入しないように仕切り板190で隔てられている。メッシュ部材160は、洗浄のために仕切り板190に対して、使用者により着脱可能に設けられている。
【0025】
ネブライザ100の内部には、霧化部に隣接して薬液貯留部130が形成されている。薬液の補給は、前述した噴霧口110を開閉することで行なわれる。薬液貯留部130内に貯留された薬液は、ネブライザ100が使用時に傾斜させられることで残らず霧化部に供給され、霧化される。このため、霧化部は、薬液が装置内部に垂れ出さないようにOリング170により水密構造が施されている。
【0026】
マウスピース200は、上述の通り、霧化された薬液が内部を通過する筒状部240を備えており、ネブライザ100に取り付けられた状態で、この筒状部240の両端に、ネブライザ100の噴霧口110に対向する第1の開口である霧化装置側開口210と、使用者が咥えるための第2の開口である吸入口220とを備えている。
【0027】
この霧化装置側開口210の周縁の一部からは、筒状部240に連続して鍔部211が設けられている。この鍔部211は、液滴化した薬液や涎が垂れ出さないように集めてネブライザ100の液溜め部180に案内する役割を担っている。
【0028】
この鍔部211は、筒状部240が気密状態とならないように開口の周縁全面には施されておらず、鍔部が形成されていない霧化装置側開口の周縁には、空気を取り込むための空気取込口230が形成されている。この空気取込口230は、霧化装置側開口を切り欠くことで形成されている。これにより、筒状部240内に空気の流れが絶えず生ずるようになっている。
【0029】
(実施の形態1)
次に、図4から図6を参照して、この発明に基づいた実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000の構造について説明する。なお、図4は、薄板部材洗浄装置1000の構成を示す外観図であり、図5は、薄板部材洗浄装置1000に採用される薄板部材固定部材1200の構成を示す概念図であり、図6は、薄板部材固定部材1200の具体的構成を示す斜視図である。
【0030】
(薄板部材洗浄装置1000)
この薄板部材洗浄装置1000は、蓋部材1101と、この蓋部材1101により一方端側に設けられた開口部が閉ざされ、内部に水道水1300が蓄えられる細長い円筒形状容器1102とを含む洗浄容器1100と、この洗浄容器1100内に収容され、洗浄容器1100内を移動することで水道水1300によりその表面が洗浄されるメッシュ部材160を保持する薄板部材固定部材1200とを備えている。
【0031】
円筒形状容器1102は、縦長の円筒形状を有しており、また、内部の視認が可能なように、透明部材から構成されている。たとえば、樹脂材料、ガラス材料が用いられる。円筒形状容器1102の上端部領域の側壁部には、円筒形状容器1102に蓄えるべき水道水を入れるための目印として、液面ライン1103が刻印または印刷により設けられている。蓋部材1101は、ゴム等の弾性変形が可能な部材が用いられ、防水性が確保されると共に、第2ベース部材1204(又は薄板部材固定部材1200)との衝突が緩和される。なお、円筒形状容器1102の上端部と蓋部材1101との間にネジを設け、相互に螺合させることにより、円筒形状容器1102に対して蓋1101を開閉可能に設けることも可能である。
【0032】
薄板部材固定部材1200は、第1ベース部材1201と、この第1ベース部材1201に固定され、メッシュ部材160を保持するメッシュ部材保持部1202と、メッシュ部材保持部1202を挟み、第1ベース部材1201と対向する位置に配置される第2ベース部材1204と、第1ベース部材1201と第2ベース部材1204とを連結する複数の支柱1203とを有している。第1ベース部材1201と第2ベース部材120と間隔は、使用者がメッシュ部材160の出し入れが可能で、洗浄中にはメッシュ部材160が揺動するものの、薄板部材固定部材1200からメッシュ部材160が飛び出さない寸法に設定されている。
【0033】
洗浄容器1100の中に水道水1300を規定量蓄えて、薄板部材固定部材1200を収容した状態で、洗浄容器1100の軸方向に洗浄容器1100を揺する(上下動させる)ことで、薄板部材固定部材1200が洗浄容器1100の中で往復運動を行なう。
【0034】
図6に詳細に示すように、第1ベース部材1201は、円筒形状容器1102の内径寸法よりも小さい板状の円形形状を有している。また、第1ベース部材1201には、水道水1300を通過させる第1開口部1201aが複数設けられている。本実施の形態においては、第1開口部1201aの開口形状として四角柱形状をしているが、この開口形状に限定されず、円柱形状、円錐形状、その他の形状を採用することが可能である。
【0035】
第2ベース部材1204も第1ベース部材1201と同様に、円筒形状容器1102の内径寸法よりも小さい板状の円形形状を有している。第2ベース部材1204にも、水道水1300を通過させる第2開口部1204aが複数設けられている。本実施の形態においては、第2開口部1204aの開口形状として円柱形状をしているが、この開口形状に限定されず、四角柱形状、円錐形状、その他の形状を採用することが可能である。
【0036】
第1ベース部材1201と第2ベース部材1204とは対向配置されるように、3本の支柱1203により相互に固定されている。支柱1203の形状本数は、本実施の形態には限定されない。また、支柱1203を第1ベース部材1201および第2ベース部材1204に対して着脱可能に設けることも可能である。
【0037】
本実施の形態においては、第1ベース部材1201に設けられる第1開口部1201aの開口面積は、第2ベース部材1204に設けられる第2開口部1204aの開口面積よりも大きくなるように設けられている。
【0038】
これにより、薄板部材固定部材1200が洗浄容器1100の中で往復運動した場合に、第1ベース部材1201を通過する水道水1300と、第2ベース部材1204を通過する水道水1300との間に流れの相違が生じ、第1ベース部材1201と第2ベース部材1204との間において乱流を発生させることができる。その結果、メッシュ部材160の清浄効率をより高めることができる。また、第1開口部1201aおよび第2開口部1204aを水道水1300が通過することで、円筒形状容器1102内の空気を取り込み気泡を含んだ泡が発生する。この泡に含まれる気泡のメッシュ部材160への衝突や破裂するパワーで、洗浄効果が高まることを期待することができる。
【0039】
なお、第1ベース部材1201に設けられる第1開口部1201aの開口面積と第2ベース部材1204に設けられる第2開口部1204aの開口面積とを同じにしても、メッシュ部材160の表面を水道水1300が流れるため、十分な洗浄効果を得ることができる。
【0040】
第1ベース部材1201の上には、メッシュ部材160を起立させた状態で保持するための保持するためのメッシュ部材保持部1202が設けられている。なお、メッシュ部材160を起立させた状態とは、メッシュ部材160を含む平面と、洗浄容器1100の長手軸方向とが並行に設けられる場合をいう。メッシュ部材160は、多数の微細孔を加工が施された金属の薄板部材161と、その周囲に設けられる環状の樹脂部材162とが一体となっている。
【0041】
メッシュ部材保持部1202は、メッシュ部材160を起立させた状態でメッシュ部材160を下方側面から保持する半円形の溝部1202aを有する。なお、溝部1202aの幅は、メッシュ部材160の幅よりも大きく形成しておくことで、メッシュ部材160がメッシュ部材保持部1202内で揺れることができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0042】
(メッシュ部材160の洗浄)
この薄板部材洗浄装置1000を用いたメッシュ部材160の洗浄においては、図4に示すように、洗浄容器1100の中に水道水1300を規定量蓄えて、薄板部材固定部材1200を収容した状態で、洗浄容器1100の軸方向に洗浄容器1100を振る(上下動させる)ことで、薄板部材固定部材1200が洗浄容器1100の中で往復運動を行なう。これにより、水道水1300がメッシュ部材160の表面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が除去される。
【0043】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置1000を用いたメッシュ部材160の洗浄よれば、薄板部材固定部材1200および水道水1300を収容した薄板部材洗浄装置1000を振ることで、容易にメッシュ部材160の洗浄を行なうことができる。また、振る回数を予め定めておくことで、定量的かつより均一な洗浄を実現することができる。
【0044】
また、洗浄容器1100は縦長に設けられているため、ユーザが直感的に振る方向を理解できることから、一定の方向で洗浄が行われ、ユーザによる洗浄のばらつきを抑制することもできる。
【0045】
また、薄板部材洗浄装置1000を振る際に、薄板部材洗浄装置1000内に存在する空気が水道水1300中に取り込まれることにより気泡を発生させることができる。これにより、気泡の衝突や破裂による微細な振動によっても、メッシュ部材160の洗浄効果を高めることができる。
【0046】
また、メッシュ部材160に勢いの強い水が当たることはないため、メッシュ部材160、特に、金属の薄板部材161を破損することはない。また、メッシュ部材160は、薄板部材洗浄装置1000の内部に収用されていることから、紛失してしまうこともない。
【0047】
また、薄板部材洗浄装置1000は常に持ち運びできる大きさであるために、上記したネブライザとともに持ち運びすることができる。
【0048】
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置1000によれば、メッシュ部材160を破損させることなく効率良くメッシュ部材160を洗浄することを可能とする。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図7を参照して、この発明に基づいた実施の形態2における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態2における薄板部材洗浄装置の基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000と同じである。相違点は、薄板部材固定部材1200Aのメッシュ部材保持部1202Aの形態のみである。
【0050】
したがって、図中において、同一の構成については、同一符号を付して重複は繰返さず、本実施の形態における薄板部材固定部材1200Aのメッシュ部材保持部1202Aについてのみ説明する。なお、図7は、薄板部材固定部材1200Aの具体的構成を示す斜視図である。
【0051】
(薄板部材固定部材1200A/メッシュ部材保持部1202A)
図7に示すように、この実施の形態における薄板部材固定部材1200Aは、第1ベース部材1201の上面側に、メッシュ部材160を傾斜させた状態で保持するためのメッシュ部材保持部1202Aが設けられている。なお、メッシュ部材160を傾斜させた状態とは、メッシュ部材160を含む平面と、洗浄容器1100の長手軸方向とが交差する場合をいう。なお、実施の形態1は、メッシュ部材160を含む平面が洗浄容器1100の長手軸方向と並行であり、後述の実施の形態3は、メッシュ部材160を含む平面が洗浄容器1100の長手軸方向と垂直に交差する状態であり、本実施の形態は、実施の形態1と3との間の状態を意味する。
【0052】
メッシュ部材保持部1202Aは、メッシュ部材160を側面側から覆い、一部が切離された略筒形状の側壁部12021と、この側壁部12021の内面に設けられメッシュ部材160を傾斜させた状態で、下方側面から保持する略半円形の傾斜支持部12022とを有する。
【0053】
(メッシュ部材160の洗浄)
この薄板部材洗浄装置を用いたメッシュ部材160の洗浄においては、実施の形態1の場合と同様に、洗浄容器1100の中に水道水1300を規定量蓄えて、薄板部材固定部材1200Aを収容した状態で、洗浄容器1100の軸方向に洗浄容器1100を振る(上下動させる)ことで、薄板部材固定部材1200Aが洗浄容器1100の中で往復運動を行なう。これにより、水道水1300がメッシュ部材160の表面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が除去される。
【0054】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置を用いたメッシュ部材160の洗浄においても、上記実施の形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
(実施の形態3)
次に、図8を参照して、この発明に基づいた実施の形態3における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態3における薄板部材洗浄装置の基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000と同じである。相違点は、薄板部材固定部材1200Bのメッシュ部材保持部1202Bの形態のみである。
【0056】
したがって、図中において、同一の構成については、同一符号を付して重複は繰返さず、本実施の形態における薄板部材固定部材1200Bのメッシュ部材保持部1202Bについてのみ説明する。なお、図8は、薄板部材固定部材1200Bの具体的構成を示す斜視図である。
【0057】
(薄板部材固定部材1200B/メッシュ部材保持部1202B)
図8に示すように、この実施の形態における薄板部材固定部材1200Bは、第1ベース部材1201の上面側に、メッシュ部材160を水平状態で保持するためのメッシュ部材保持部1202Bが設けられている。なお、メッシュ部材160を水平状態で保持するとは、メッシュ部材160を含む平面と、洗浄容器1100の長手軸方向とが垂直に交差する場合をいう。
【0058】
メッシュ部材保持部1202Bは、メッシュ部材160を側面から保持し、一部不連続なリング部12023と、メッシュ部材160を上面側から保持する押さえ部12024とを有する。
【0059】
(メッシュ部材160の洗浄)
この薄板部材洗浄装置を用いたメッシュ部材160の洗浄においては、実施の形態1の場合と同様に、洗浄容器1100の中に水道水1300を規定量蓄えて、薄板部材固定部材1200Bを収容した状態で、洗浄容器1100の軸方向に洗浄容器1100を振る(上下動させる)ことで、薄板部材固定部材1200Bが洗浄容器1100の中で往復運動を行なう。これにより、水道水1300がメッシュ部材160の表面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が除去される。
【0060】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置を用いたメッシュ部材160の洗浄においても、上記実施の形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
(実施の形態4)
次に、図9を参照して、この発明に基づいた実施の形態4における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態4における薄板部材洗浄装置の基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000と同じである。相違点は、第2ベース部材1204および支柱1203が設けられていない点にある。
【0062】
この構成においても、メッシュ部材160の洗浄においては、実施の形態1の場合と同様に、洗浄容器1100の中に水道水1300を規定量蓄えて、薄板部材固定部材1200Cを収容した状態で、洗浄容器1100の軸方向に洗浄容器1100を振る(上下動させる)ことで、薄板部材固定部材1200Bが洗浄容器1100の中で往復運動を行なう。これにより、水道水1300がメッシュ部材160の表面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が除去される。なお、本構成は、上記実施の形態2および3に示す薄板部材洗浄装置に対しても適用可能である。
【0063】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置を用いたメッシュ部材160の洗浄においても、上記実施の形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
(実施の形態5)
次に、図10を参照して、この発明に基づいた実施の形態5における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態5における薄板部材洗浄装置は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000にスタンド1400を設けるようにしたものである。
【0065】
メッシュ部材160の洗浄後に一定時間、薄板部材洗浄装置1000をスタンド1400に立てておくことで、薬液カス等が洗浄容器1100の底に沈殿し、薬液カス等のメッシュ部材160への再付着を防止することができる。また、第1ベース部材1201に設けられる第1開口部1201aの開口面積を大きく設けておくことで、薬液カス等を洗浄容器1100の底に容易に沈殿させることができる。
【0066】
なお、スタンド1400は、円筒形状容器1102とは別部品でも良いし、円筒形状容器1102と一体成型されたものでもかまわない。また、スタンド1400の形状は、図示する形状に限定されるものでなく、洗浄容器1100の起立状態を保持できる構造であれば、どのような形態の採用も可能である。後述の実施の形態6でも同様である。
【0067】
(実施の形態6)
次に、図11を参照して、この発明に基づいた実施の形態6における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態6における薄板部材洗浄装置は、上述の実施の形態5における薄板部材洗浄装置1000にスタンド1400を設ける構成に加え、薄板部材固定部材1200が、円筒形状容器1102内において、メッシュ部材160が、水道水1300の液面より上に浮上するようにしたものである。薄板部材固定部材1200を浮上させる構成としては、薄板部材固定部材1200の構成部材を水道水1300よりも比重の小さい材料を用いたり、薄板部材固定部材1200全体として水道水1300よりも比重が小さくなるように、浮力部材を別途設けたりすることが考えられる。なお、本実施の形態におけるスタンド1400は、円筒形状容器1102と一体成型されている。
【0068】
このように、メッシュ部材160が、水道水1300の液面より上に浮上する構成を採用することで、メッシュ部材160の洗浄後に一定時間、薄板部材洗浄装置1000をスタンド1400に立てておくことで、メッシュ部材160を乾燥させることができる。また、実施の形態5の場合と同様に、薬液カス等が洗浄容器1100の底に沈殿し、薬液カス等のメッシュ部材160への再付着を防止することができる。
【0069】
(実施の形態7)
次に、図12を参照して、この発明に基づいた実施の形態7における薄板部材洗浄装置の構造について説明する。実施の形態7における薄板部材洗浄装置の基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置1000と同じである。相違点は、薄板部材固定部材1200が蓋部材1101に連結されている点にある。たとえば、第2ベース部材を廃止して、支柱1203を蓋部材1101に連結する構造が挙げられる。
【0070】
この構造を採用することで、メッシュ部材160の洗浄後に蓋部材1101を円筒形状容器1102から取り外すことで、円筒形状容器1102にメッシュ部材160を衝突させることなく、容易にメッシュ部材160を取り出すことが可能となる。
【0071】
なお、上記各実施の形態においては、ネブライザに用いられるメッシュ部材160を、洗浄対象物である薄板部材の一例として説明しているが、本発明における薄板部材洗浄装置に用いられる薄板部材は、ネブライザに用いられるメッシュ部材に限定されるものではなく、コンタクトレンズ、その他の薄板部材に対しても適用することが可能である。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
100 ネブライザ、110 噴霧口、120 開閉操作部、130 薬液貯留部、140 ステップホーン、150 圧電素子、160 メッシュ部材、161 薄板部材、162 樹脂部材、180 液溜め部、190 仕切り板、200 マウスピース、210 霧化装置側開口、211 鍔部、220 吸入口、230 空気取込口、240 筒状部、1000 薄板部材洗浄装置、1100 洗浄容器、1101 蓋部材、1102 円筒形状容器、1103 液面ライン、1200,1200A,1200B,1200C 薄板部材固定部材、1201 第1ベース部材、1201a 第1開口部、1202,1202A,1202B メッシュ部材保持部、1202a 溝部、12021 側壁部、12022 傾斜支持部、12023 リング部、12024 押さえ部、1203 支柱、1204 第2ベース部材、1204a 第2開口部、1300 水道水、1400 スタンド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部材と、前記蓋部材により一方端側に設けられた開口部が閉ざされ、内部に液体が蓄えられる円筒形状容器と、を含む洗浄容器と、
前記洗浄容器内に収容され、前記洗浄容器内を移動することで前記液体によりその表面が洗浄される薄板部材を保持する薄板部材固定部材と、を備え、
前記薄板部材固定部材は、
前記液体を通過させる複数の第1開口部を有する第1ベース部材と、
前記第1ベース部材に固定され、前記薄板部材を保持する薄板部材保持部とを有する、薄板部材洗浄装置。
【請求項2】
前記薄板部材固定部材は、
前記薄板部材保持部を挟み、前記第1ベース部材と対向する位置に、前記液体を通過させる複数の第2開口部を有する第2ベース部材を有する、請求項1に記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項3】
前記第1ベース部材に設けられる前記第1開口部の開口面積は、前記第2ベース部材に設けられる前記第2開口部の開口面積よりも大きい、請求項2に記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項4】
前記薄板部材固定部材は、前記円筒形状容器の内面との衝突を和らげる衝撃吸収部材を有する、請求項1から3のいずれかに記載の薄板部材洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−140008(P2011−140008A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3038(P2010−3038)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】