説明

薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法

【課題】薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率が向上した薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法。蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過させて基板400に所望のパターンで蒸着させる。遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150との温度が十分に低ければ、所望しない方向に放射される蒸着物質115は、いずれも遮断板アセンブリ130面に吸着されて高真空を維持できるため、蒸着物質間の衝突が発生せずに、蒸着物質の直進性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法に係り、詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率を向上させ、蒸着された膜の厚さ均一度を向上させることができる薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広くてコントラストが優秀なだけではなく応答速度が速いという長所を持っていて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、アノード及びカソードから注入される正孔及び電子が発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるように、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、このような構造では高効率発光を得難いため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して使用している。
【0004】
しかし、発光層及び中間層などの有機薄膜の微細パターンを形成することが実質的に非常に難しく、前記層によって赤色、緑色及び青色の発光効率が変わるため、従来の薄膜蒸着装置では、大面積(5G以上のマザーガラスに対するパターニングが不可能であって、満足すべきレベルの駆動電圧、電流密度、輝度、色純度、発光効率及び寿命などを持つ大型有機発光ディスプレイ装置を製造できないところ、その改善が至急に求められている。
【0005】
一方、有機発光ディスプレイ装置は互いに対向した第1電極と第2電極との間に発光層及びそれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層はいろいろな方法で形成されうるが、そのうち一つの方法が蒸着である。蒸着方法を利用して有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、物質のリサイクルが容易であり、蒸着された薄膜の厚さ均一度を向上させることができる薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリと、を備え、前記各蒸着空間に対応する前記パターニングスリットの長さが異なるように形成され、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成され、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、いずれか一側が他側に対して相対的に移動自在に形成される。
【0008】
本発明において、前記パターニングスリットは、前記各蒸着空間の中心から遠ざかるほどその長さが長く形成される。
本発明において、前記各蒸着空間の中心に対応する前記パターニングスリットの長さは、前記各蒸着空間の端部に対応する前記パターニングスリットの長さより小さく形成される。
【0009】
本発明において、前記パターニングスリットシートが前記蒸着源に向かってたわみ込むことを防止するように、前記パターニングスリットシートを支持する支持部材をさらに備える。
本発明において、前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と交差して配される。
【0010】
本発明において、前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と垂直になるように配される。
本発明において、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に配されて、前記蒸着源から放射される前記蒸着物質のうち少なくとも一部を遮断する補正板をさらに備える。
本発明において、前記補正板は、薄膜の厚さが実質的に同一に形成されるように備えられる。
【0011】
本発明において、前記補正板は、前記各蒸着空間の中心から遠ざかるほどその高さが低く形成される。
本発明において、前記補正板は、円弧またはコサイン曲線の形状に形成される。
本発明において、前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での高さが、各蒸着空間の端部での高さより低く形成される。
本発明において、前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での前記蒸着物質の遮断量が、前記各蒸着空間の端部での前記蒸着物質の遮断量より多く形成される。
【0012】
本発明において、前記補正板は、前記パターニングスリットシートの一面に配される。
本発明において、前記補正板は前記各蒸着空間ごとに形成され、前記各蒸着空間に配された前記蒸着源ノズルから放射される前記蒸着物質の特性によって、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更される。
本発明において、複数の前記蒸着空間ごとに蒸着される薄膜の厚さが同一であるように、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更される。
【0013】
本発明において、前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る。
本発明において、前記複数の遮断板は、等間隔で配される。
本発明において、前記遮断板と前記パターニングスリットシートとは、所定間隔をおいて離隔するように形成される。
【0014】
本発明において、前記遮断板アセンブリは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリとを備える。
本発明において、前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る。
【0015】
本発明において、前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配される。
本発明において、前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は実質的に同じ平面上に位置するように配される。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記複数のパターニングスリットは互いに相異なる長さを持つように形成され、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成される。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に配されて、前記蒸着源から放射される前記蒸着物質のうち少なくとも一部を遮断する補正板と、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成される。
【0018】
本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法は、基板上に薄膜を形成する薄膜蒸着装置を利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法において、前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して所定程度離隔するように配される工程と、前記薄膜蒸着装置と前記基板のうちいずれか一側が他側に対して相対的に移動しつつ、前記薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質が前記基板上に蒸着される工程と、を含む。
【0019】
本発明において、前記蒸着物質が前記基板に蒸着される工程は、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質が前記基板上に連続的に蒸着される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になり、蒸着薄膜の均一度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置によって製造された有機発光ディスプレイ装置の平面図である。
【図2】図1の有機発光ディスプレイ装置のうち、一つの副画素を示した断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリを概略的に示した斜視図である。
【図4】図3の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側面図である。
【図5】図3の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平面図である。
【図6A】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリで蒸着物質が蒸着されている状態を概略的に示す図面である。
【図6B】図6Aのように遮断板により蒸着空間が分離された状態で発生する陰影を示す図面である。
【図6C】蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
【図7】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図8】本発明の一実施形態による蒸着装置の蒸着源で蒸着物質が噴射されるところを概略的に示す図面である。
【図9】パターニングスリットシートの一部分を示す図面である。
【図10】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの他の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートのさらに他の変形例を示す背面斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの一変形例を示す背面斜視図である。
【図16】図15のAを拡大して示した図面である。
【図17】本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの他の変形例を示す背面斜視図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図である。
【図19】図18の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図20】図18の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図21】図18の薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートを示す図面である。
【図22】本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートを示す図面である。
【図23】本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートを示す背面図である。
【図24】本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置を示す図面である。
【図25】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示すグラフである。
【図26】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面に示した本発明の実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。図面での要素の形状及びサイズなどは、さらに明確な説明のために誇張され、図面上の同じ符号で表示される要素は同じ要素である。
図1は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置によって製造された有機発光ディスプレイ装置の平面図である。
【0023】
図1を参照すれば、有機発光ディスプレイ装置は、画素領域30と、画素領域30のエッジにある回路領域40とで形成されうる。画素領域30は、複数の画素で備えられ、各画素は所定の画像を具現するように、発光する発光部を備えることができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、発光部は、有機電界発光素子をそれぞれ備えた複数の副画素で備えられうる。フルカラー有機発光ディスプレイ装置の場合には、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の副画素が、ライン状、モザイク状、格子状などの多様なパターンに配列されて画素を備えることができる。本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置によって製造された有機発光ディスプレイ装置は、フルカラー平板表示装置ではないモノカラー平板表示装置であってもよい。
【0025】
回路領域40は、画素領域30に入力される画像信号などを制御できる。これらの有機発光ディスプレイ装置において、画素領域30と回路領域40とには、それぞれ少なくとも一つ以上の薄膜トランジスタが設けられうる。
画素領域30に設けられる薄膜トランジスタには、ゲートラインの信号によって発光素子にデータ信号を伝達して、その動作を制御するスイッチング用薄膜トランジスタと、データ信号によって有機電界発光素子に所定の電流が流れるように駆動させる駆動用薄膜トランジスタとの画素部薄膜トランジスタがありうる。また、回路領域40に設けられる薄膜トランジスタには、所定の回路を具現するように備えられた回路部薄膜トランジスタがありうる。
【0026】
もちろん、このような薄膜トランジスタの数と配置は、ディスプレイの特性及び駆動方法などによって多様な数が存在でき、その配置方法も多様に存在できる。
図2は、図1の有機発光ディスプレイ装置のうち、一つの副画素を示した断面図である。
【0027】
図2に示したように、ガラス材またはプラスチック材の基板50上にバッファ層51が形成されており、その上に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)と、有機電界発光素子(Organic Light Emitting Diode:OLED)とが形成されうる。
【0028】
基板50のバッファ層51上には、所定パターンの活性層52が配されうる。活性層52の上部にはゲート絶縁膜53が配され、ゲート絶縁膜53の上部の所定領域には、ゲート電極54が配されうる。ゲート電極54は、薄膜トランジスタのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されうる。ゲート電極54の上部には層間絶縁膜55が形成され、コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極56、57がそれぞれ活性層52のソース/ドレイン領域52b、52cに接するように形成されうる。ソース/ドレイン電極56、57の上部には、SiO、SiNなどからなるパッシベーション膜58が形成され、パッシベーション膜58の上部には、アクリル、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)などの有機物質で平坦化膜59が形成されうる。平坦化膜59の上部には、OLEDのアノード電極になる画素電極61が形成され、これを覆うように有機物で画素定義膜(Pixel Define Layer)60が形成されうる。画素定義膜60に所定の開口を形成した後、画素定義膜60の上部及び開口が形成されて、外部に露出された画素電極61の上部に有機膜62を形成できる。有機膜62は発光層を備えることができる。本発明は必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、多様な有機発光ディスプレイ装置の構造がそのまま適用されうる。
【0029】
OLEDは、電流のフローによって赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、薄膜トランジスタのドレイン電極57に連結されてこれからプラス電源を供給される画素電極61と、全体画素を覆うように備えられてマイナス電源を供給する対向電極63、これら画素電極61と対向電極63との間に配されて発光する有機膜62とで形成されうる。
【0030】
画素電極61と対向電極63とは、その間に有機膜62を介在しており、有機膜62に相異なる極性の電圧を加えて有機膜62で発光が行われるようにする。
有機膜62は、低分子または高分子有機膜が使われうるが、低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造に積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成できる。
【0031】
高分子有機膜の場合には、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)でもって備えられた構造を持つことができ、この時、ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。
【0032】
このような有機膜は必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用されうる。
画素電極61は、アノード電極の機能を行い、対向電極63はカソード電極の機能を行うが、もちろん、これら画素電極61と対向電極63との極性は逆になってもよい。
【0033】
画素電極61は、透明電極または反射型電極として備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、またはInで備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInを形成できる。
【0034】
一方、対向電極63も透明電極または反射型電極として備えられうるが、透明電極として使われる時には、対向電極63がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機膜62の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInなどの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成できる。
【0035】
このような有機発光ディスプレイ装置で、発光層を備える有機膜62は、後述する薄膜蒸着装置100(図4)によって形成できる。
以下では、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法について詳細に説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリを概略的に示した斜視図であり、図4は、図3の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側面図であり、図5は、図3の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平面図である。
図3、図4及び図5を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリ130、パターニングスリットシート150を備えることができる。
【0037】
ここで、図3、図4及び図5には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図3ないし図5のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバー内に配されうる。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0038】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過させて基板400に所望のパターンで蒸着させるためには、基本的にチャンバー(図示せず)の内部はFMM(Fine Matel Mask)蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また遮断板131及びパターニングスリットシート150の温度は、蒸着源110の温度より十分に低くて初めて(約100℃以下)、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を高真空状態に維持できる。このように、遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150との温度が十分に低ければ、所望しない方向に放射される蒸着物質115は、いずれも遮断板アセンブリ130面に吸着されて高真空を維持できるため、蒸着物質間の衝突が発生せずに、蒸着物質の直進性を確保することができる。この時、遮断板アセンブリ130は高温の蒸着源110に向かっており、蒸着源110と近い所は最大167℃ほどに温度が上昇するため、必要な場合、部分冷却装置がさらに備えられうる。このために、遮断板アセンブリ130には冷却部材(図示せず)が形成されうる。
【0039】
これらのチャンバー(図示せず)内には被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は平板表示装置用基板になりうるが、多くの平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施形態では、基板400が薄膜蒸着アセンブリ100に対して相対的に移動しつつ蒸着が進められることを一特徴とする。
【0040】
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されねばならないので、基板サイズが増大するほどFMMも大型化せねばならない。しかし、大型化したFMMの製作が容易でなく、FMMを引っ張って精密なパターンに整列することも容易でないという問題点があった。
【0041】
これらの問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100は、薄膜蒸着アセンブリ100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリ100と対向するように配された基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行える。すなわち、スキャニング方式で蒸着が行われるのである。ここで、図面には、基板400がチャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではなく、基板400は固定されており、薄膜蒸着アセンブリ100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行える。
【0042】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅と基板400のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成されれば、パターニングスリットシート150のY軸方向の長さは基板400の長さよりはるかに小さく形成される。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート150はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、それ以後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0043】
このように、薄膜蒸着アセンブリ100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリ100と基板400とが一定程度離隔することが望ましい。これについては後で詳細に記述する。
【0044】
一方、チャンバー内で前記基板400と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配されうる。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化することによって基板400に蒸着が行われうる。
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に満たされた蒸着物質115を坩堝111の一側、詳細には蒸着源ノズル部120側に蒸発させるためのヒーター112とを備えることができる。
【0045】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110から基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配されうる。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121それぞれは同じ間隔で形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120を通過して被蒸着体である基板400側に向かう。
【0046】
蒸着源ノズル部120の一側には、遮断板アセンブリ130が配されうる。前記遮断板アセンブリ130は、複数の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを備えることができる。前記複数の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配されうる。ここで、前記複数の遮断板131それぞれは同じ間隔で配されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面から見た時、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように配されうる。このように配された複数の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切る役割を行える。すなわち、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100は、前記遮断板131によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間Sが分離されることを一特徴とする。
【0047】
ここで、それぞれの遮断板131は互いに隣接している蒸着源ノズル121の間に配されうる。これは、言い換えれば、互いに隣接している遮断板131の間に一つの蒸着源ノズル121が配されるともいえる。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131の間の真ん中に位置できる。このように、遮断板131が蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切ることによって、一つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板400に蒸着される。言い換えれば、遮断板131は、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されず、直進性を維持するように蒸着物質のX軸方向の移動経路をガイドする役割を行える。
【0048】
このように、遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮めることができ、したがって、薄膜蒸着アセンブリ100と基板400とを一定程度離隔させることが可能になる。これについては後で詳細に記述する。
【0049】
一方、前記複数の遮断板131の外側には、遮断板フレーム132がさらに備えられうる。遮断板フレーム132は、複数の遮断板131の上下面にそれぞれ備えられて、複数の遮断板131の位置を支持すると同時に、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行える。
【0050】
一方、図面には、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130とが一定程度離隔していると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、蒸着源110から発散する熱が遮断板アセンブリ130に伝導されることを防止するために、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130とを一定程度離隔させて形成してもよく、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130とが結合して接触してもよい。
【0051】
一方、遮断板アセンブリ130は、薄膜蒸着アセンブリ100から分離自在に形成されうる。詳細には、従来のFMM蒸着方法は、蒸着効率が低いという問題点が存在した。ここで蒸着効率とは、蒸着源で気化した材料のうち、実際に基板に蒸着された材料の比率を意味する。従来のFMM蒸着方法での蒸着効率は約32%ほどと低いだけではなく、従来のFMM蒸着方法では、蒸着に使われていない約68%ほどの有機物が蒸着器内部のところどころに蒸着されるため、そのリサイクルが容易でないという問題点が存在した。
【0052】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100では、遮断板アセンブリ130を利用して蒸着空間を外部空間と分離したので、基板400に蒸着されていない蒸着物質はほぼ遮断板アセンブリ130内に蒸着されうる。したがって、遮断板アセンブリ130を薄膜蒸着アセンブリ100から分離自在に形成して、長時間の蒸着後に遮断板アセンブリ130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断板アセンブリ130を分離して別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。このような構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによってコストダウンとなる効果を得ることができる。
【0053】
一方、蒸着源110と基板400との間には、パターニングスリットシート150及びパターニングスリットシートフレーム155がさらに備えられうる。パターニングスリットシートフレーム155はほぼ窓枠のような形態で形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合されうる。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成されうる。1個の蒸着空間Sに対応するパターニングスリット151の長さは、図3に示したように同一でない。これは、蒸着薄膜の厚さ均一度を向上させるためのものである。これについては後述する。
【0054】
蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して被蒸着体である基板400側に向かうことができる。この時、前記パターニングスリットシート150は、従来のFMM、特にストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。
【0055】
ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成されうる。また、互いに隣接している2つの遮断板131の間に配された蒸着源ノズル121の数より、パターニングスリット151の数がさらに多く形成されうる。
すなわち、互いに隣接している2つの遮断板131の間には一つの蒸着源ノズル121が配されうる。同時に、互いに隣接している2つの遮断板131の間には複数のパターニングスリット151が配されうる。そして、互いに隣接している2つの遮断板131によって、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間が区切られて、それぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間Sが分離される。したがって、一つの蒸着源ノズル121から放射された蒸着物質は、大体同じ蒸着空間Sにあるパターニングスリット151を通過して基板400に蒸着されうる。
【0056】
一方、前述した遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150とは、互いに一定程度離隔するように形成され、遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150とは、連結部材135によって互いに連結されうる。詳細には、高温状態の蒸着源110により、遮断板アセンブリ130の温度は約100℃以上上昇するため、上昇した遮断板アセンブリ130の温度がパターニングスリットシート150に伝導されないように、遮断板アセンブリ130とパターニングスリットシート150とを一定程度離隔させるのである。
【0057】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリ100が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は基板400から一定程度離隔するように形成されうる。そして、パターニングスリットシート150と基板400とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を備えて、蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮めることができる。
【0058】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズで形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化するにつれてマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点が存在した。
【0059】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ100では、パターニングスリットシート150を、被蒸着体である基板400と所定間隔をおいて離隔するように配する。これは、遮断板131を備えて、基板400に生成される陰影が小さくなるようになることによって実現可能になる。
このような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えることによって、マスク製作が容易になる効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
【0060】
以下では、遮断板を備えた場合とそうでない場合とに形成される陰影のサイズを詳細に比較する。
図6Aは、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリで、蒸着物質が蒸着されている状態を概略的に示す図面であり、図6Bは、図6Aのように遮断板により蒸着空間が分離された状態で発生する陰影を示す図面であり、図6Cは、蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
【0061】
図6Aを参照すれば、蒸着源110で気化した蒸着物質は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して基板400に蒸着される。この時、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間は、遮断板131によって複数の蒸着空間Sに区切られているので、遮断板131によって蒸着源ノズル部120のそれぞれの蒸着源ノズル121から出た蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から出た蒸着物質と混合されない。
【0062】
蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間が遮断板アセンブリ130によって区切られている場合、図6Bに示したように、蒸着物質は、約55°〜90°の角度でパターニングスリットシート150を通過して基板400に蒸着される。すなわち、遮断板アセンブリ130の遮断板131のすぐ横のパターニングスリット151を過ぎる蒸着物質の入射角度は約55°になり、中央部分のパターニングスリット151を過ぎる蒸着物質の入射角度は基板400にほぼ垂直になる。このとき、基板400に生成される陰影領域の幅SHは、次の数式1によって決定される。
【0063】
[数1]
SH=s*d/h
(s=パターニングスリットシートと基板との距離、d=蒸着源ノズルの幅、h=蒸着源とパターニングスリットシートとの距離)
【0064】
一方、蒸着源ノズル部とパターニングスリットシートとの間の空間が遮断板によって区切られていない場合、図6Cに示したように、蒸着物質は、図6Bより広い範囲の多様な角度でパターニングスリットシートを通過する。すなわち、この場合、パターニングスリットの直向かいにある蒸着源ノズルから放射された蒸着物質だけではなく、他の蒸着源ノズルから放射された蒸着物質までパターニングスリットを通じて基板400に蒸着されるので、基板400に形成された陰影領域SHの幅は、遮断板を備えた場合に比べて非常に大きくなる。この時、基板400に生成される陰影領域の幅SHは次の数式2によって決定される。
【0065】
[数2]
SH=s*2d/h
(s=パターニングスリットシートと基板との距離、d=隣接する蒸着源ノズル間の間隔、h=蒸着源とパターニングスリットシートとの距離)
【0066】
前記数式1と数式2とを比較してみた時、d(蒸着源ノズルの幅)よりd(蒸着源ノズル間の間隔)が数〜数十倍以上非常に大きく形成されるので、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間が遮断板131によって区切られている場合、陰影がはるかに小さく形成されることが分かる。ここで、基板400に生成される陰影領域の幅SHを狭めるためには、(1)蒸着源ノズル121が設けられる間隔を狭めるか(d減少)、(2)パターニングスリットシート150と基板400との間隔を狭めるか(s減少)、(3)蒸着源とパターニングスリットシートとの距離を大きくしなければならない(h増加)。
【0067】
これにより、遮断板131を備えることによって、基板400に生成される陰影が小さくなり、したがって、パターニングスリットシート150を基板400から離隔させてもよいことが分かる。
以下では、基板全体の膜均一度を確保するためのパターニングスリットシートについて詳細に説明する。
【0068】
図7は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。ここで、図7は、それぞれの開口部(すなわち、蒸着源ノズル121参照)から放出される有機物の放射量や放射係数がいずれも同じ場合を示す。図7で、Sは、それぞれの蒸着空間を意味し、dは、互いに隣接する遮断板間の距離を意味する。
図7には、パターニングスリットの長さがいずれも同じパターニングスリットシートを備えた薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が、線Aで図示されており、パターニングスリットの長さの異なるパターニングスリットシートを備えた薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が、線Bで図示されている。
【0069】
図7に示したように、真空での有機物放射は、コサイン法則によって蒸着源ノズル121に垂直な部分、すなわち、各蒸着空間Sの中心部分に最も多くの有機物が放射され、遮断板131側へ近接するほど放射される有機物の量が減少する。したがって、パターニングスリットの長さがいずれも同じパターニングスリットシートを備えた薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜は、図7の線Aのような形態で形成されうる。すなわち、それぞれの蒸着空間Sを分離してみれば、中央部分が凸形態を示すように蒸着膜が形成され、全体的に見た時は、凸部分と凹部分とが反復される形態で蒸着膜が形成されうる。
【0070】
この場合、各蒸着空間Sの中心部からの距離と蒸着された膜の厚さとの関係は、実験を通じて容易に導出することができ、ほとんどの場合にcos(θ)の関数で表現されうる。
前述したような各蒸着空間S内で発生する蒸着膜厚の不均一現象を除去するために、パターニングスリット151の長さを異なって形成できる。
【0071】
図8は、本発明の一実施形態による蒸着装置の蒸着源から蒸着物質が噴射されるところを概略的に示す図面である。
蒸着された膜のプロファイルは、蒸着源110と基板400との距離及び前記cos(θ)のn値により決定されうる。本発明の一実施形態による蒸着装置は、基板に対して相対的に移動しつつ蒸着を行うので、その移動方向に沿って蒸着物質が重なる。このように位置による蒸着膜の厚さは、数式3により決定される。
【0072】
【数3】

(TSは、蒸着源と基板間の距離、xは、各蒸着空間Sに対応する基板の中心位置、xは、各蒸着空間Sに対応する基板上の任意の位置、yは、パターニングスリットの長さ)
【0073】
前記数式3の左辺は、各蒸着空間Sに対応する基板上の中心位置での蒸着膜の厚さを意味し、前記数式3の右辺は、各蒸着空間Sに対応する基板上の任意の位置での蒸着膜の厚さを意味する。したがって、前記数式3の左辺と右辺とが同じ場合、蒸着膜の厚さは均一に形成されうる。蒸着膜の厚さが均一に形成されるためのパターニングスリットの長さを求めるために、前記数式3をyに対するxの多項式を求めれば、次の数式4の通りである。
【0074】
【数4】

前記数式4は、最高次項が4である4個の変数係数で表現されたが、本発明はこれに限定されず、5次以上の項でありうる。
【0075】
図9は、前記数式3及び4によるパターニングスリットシートの一部分を示す。詳細には、図9は、互いに隣接する遮断壁の間により形成される蒸着空間に対応するパターニングスリットシートの一部分を示す。図9を参照すれば、パターニングスリットシートのパターニングスリット151は互いにその長さが異なり、パターニングスリットの長さyは中心部(x=0)から外郭部へ行くほどその長さが大きくなりうる。
【0076】
図10は、図3に示した本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシート150を示す平面図である。図10を参照すれば、パターニングスリット151a、151b、151cは、蒸着空間Sが中心から遠ざかるほどその長さが長く形成されうる。すなわち、蒸着空間Sに対応するパターニングスリットのうち、蒸着空間Sの中心に対応するパターニングスリット151aの長さt2は、蒸着空間Sに対応するパターニングスリットのうちその長さが最も短く、パターニングスリット151aに隣接して遠ざかるほどパターニングスリットの長さは長くなる。したがって、蒸着空間Sの中心に対応するパターニングスリット151aの長さt2が最も小さく、蒸着空間Sの両端部に対応するパターニングスリット151b、151cの長さt1、t3は最も長い。これらのパターニングスリット151a、151b、151cの形状がパターニングスリットシート150に反復的に配されうる。
【0077】
前述したようなパターニングスリットは、蒸着源ノズル121からパターニングスリットシート150側へ移動する蒸着物質のうち一部を遮断する役割を行える。詳細には、薄膜蒸着装置によって蒸着される蒸着膜は、その中央部分が凸形態をなしているため、これを均一にさせるためには中央部分に向かう蒸着物質のうち一部を遮断せねばならない。したがって、パターニングスリット151a、151b、151cの長さを異なって形成することによって、蒸着物質のうち一部を遮断できる。この時、パターニングスリットシート150は、パターニングスリット151a、151b、151cの長さが蒸着空間Sの中心部から両端部へ行くほど長くなるように形成されているため、相対的に長さの短い中央部分に対応するパターニングスリット151aでは、蒸着物質が少なく通過し、相対的に長さの長い蒸着空間Sの端部に対応するパターニングスリット151b、151cでは、蒸着物質が多く通過する。この場合、蒸着空間S内で膜厚が最も薄い部分、一般的には蒸着空間Sの両端部分の膜厚が全体膜厚になるように、パターニングスリット151a、151b、151cの長さを異なって形成できる。
【0078】
このように、パターニングスリット151a、151b、151cの長さを異なって形成することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が図7の線Bのような形態に補正されうる。すなわち、蒸着物質が多く蒸着される部分は、パターニングスリットの長さを短くして蒸着物質を少なく貫通させ、蒸着物質が少なく蒸着される部分は、パターニングスリットの長さを大きくして、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を補正できる。
【0079】
本発明によって基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内で均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
図11は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの他の変形例を示す平面図である。図11を参照すれば、パターニングスリットシート250は、長さの異なるパターニングスリットを備える。図11のパターニングスリットシート250が長さの異なるパターニングスリットを備えるという点では、図10のパターニングスリットシート150と同一である。しかし、図10のパターニングスリットシート150では、パターニングスリット151a、151b、151cの上部は同じ位置にあり、その下部で長さの差があるが、図11のパターニングスリットシート250は、パターニングスリット251aがパターニングスリット251b、251cに比べてその長さが上下部でいずれも小さくなるという点で、図11のパターニングスリットシート250は、図10のパターニングスリットシート150と差がある。パターニングスリットの位置の差にもかかわらず、図11のパターニングスリットシート250も、パターニングスリット251a、251b、251cの長さが蒸着空間Sの中央部から両端部へ行くほど長くなるという点では、図10のパターニングスリットシート150と同一である。したがって、相対的に長さの短い中央部分に対応するパターニングスリット251aでは、蒸着物質が少なく通過し、相対的に長さの長い蒸着空間Sの端部に対応するパターニングスリット251b、251cでは、蒸着物質が多く通過するようになって、蒸着薄膜の厚さが均一に形成されうる。
【0080】
図12は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートのさらに他の変形例を示す平面図である。図12を参照すれば、パターニングスリットシート350は、補正板390をさらに備えることができる。補正板390は、図12のように、パターニングスリットシート350の上面に配されうる。また、図面には図示されていないが、補正板390は、パターニングスリットシート350の下面に配されうる。ここで、パターニングスリットシート350の上面は基板400に向かう面であり、パターニングスリットシート350の下面は蒸着源110に向かう面である。補正板390は、それぞれの蒸着空間Sに対応するように、パターニングスリットシート350の上面または下面に配されうる。補正板390は円弧またはコサイン曲線を上下に結合させた形態に形成されうる。また、補正板390は、パターニングスリットシート350の中央に配されるので、中心部スリット151dの長さよに両端部スリット151e、151fの長さがさらに長くなりうる。したがって、相対的に長さの短い中心部スリット151dでは、蒸着物質が少なく通過し、相対的に長さの長い両端部スリット151e、151fでは、蒸着物質が多く通過して、蒸着薄膜の厚さが均一に形成されうる。
【0081】
図面には図示されていないが、補正板は、互いに隣接している遮断板131の間に円弧またはコサイン曲線を上下に結合させた形態に形成されうる。これらの補正板は、蒸着源ノズル121からパターニングスリット151側へ移動する蒸着物質のうち一部を遮断する役割を行える。
【0082】
詳細には、薄膜蒸着装置によって蒸着される蒸着膜は、その中央部分が凸形態をなすため、これを均一にさせるためには、中央部分に向かう蒸着物質のうち一部を遮断せねばならない。したがって、補正板を蒸着物質の移動経路の中間に配して、蒸着物質のうち一部を遮断できる。この時、補正板は、円弧ないしコサイン曲線を上下に結合させた形状に形成されるため、相対的に突設された中央部分には蒸着物質が多く衝突して蒸着物質をさらに多く遮断し、エッジ部分には蒸着物質が少なく衝突して蒸着物質をさらに少なく遮断できる。この場合、蒸着空間S内で膜厚の最も薄い部分、一般的には、蒸着空間Sの両端部分の膜厚が全体膜厚になるように補正板を形成できる。
【0083】
このように、蒸着物質の移動経路に補正板390を配することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が、図7の線Bのような形態に補正されうる。すなわち、蒸着物質が多く蒸着される部分は、補正板の高さを高くして蒸着物質を多く遮断し、蒸着物質が少なく蒸着される部分は、補正板の高さを低くして蒸着物質を少なく遮断することによって、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を補正することである。
【0084】
本発明によって基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内で均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
【0085】
図13は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートのさらに他の変形例を示す背面斜視図である。図11を参照すれば、パターニングスリットシート150の背面には、パターニングスリットシート150を支持する支持部材160を備えることができる。支持部材160は、パターニングスリットシート150の背面に配されて、パターニングスリットシート150が蒸着源110に向かってたわみ込むことを防止できる。支持部材160は、棒状を持つことができる。支持部材160はパターニングスリット151の長手方向と交差するようにパターニングスリットシート150の背面に配されることができ、一実施形態として、支持部材160は、その長手方向がパターニングスリット151の長手方向と垂直するように配されうる。支持部材160は、その両端部がパターニングスリットシートフレーム155に固定されうる。
【0086】
図14は、本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリを概略的に示した斜視図である。
図14を参照すれば、本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ500は、蒸着源510、蒸着源ノズル部520、第1遮断板アセンブリ530、第2遮断板アセンブリ540、パターニングスリットシート550及び基板400を備えることができる。
【0087】
ここで、図14には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図14のあらゆる構成は適切な真空度が維持されるチャンバー内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
かかるチャンバー(図示せず)内には被蒸着体である基板400が配されうる。そして、チャンバー(図示せず)内で基板400と対向する側には、蒸着物質515が収納及び加熱される蒸着源510が配されうる。蒸着源510は、坩堝511と、ヒーター512とを備えることができる。
【0088】
蒸着源510の一側、詳細には、蒸着源510から基板400に向かう側には蒸着源ノズル部520が配されうる。そして、蒸着源ノズル部520には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル521が形成されうる。
蒸着源ノズル部520の一側には、第1遮断板アセンブリ530が備えられうる。前記第1遮断板アセンブリ530は、複数の第1遮断板531と、第1遮断板531の外側に備えられる第1遮断板フレーム532とを備えることができる。
【0089】
第1遮断板アセンブリ530の一側には、第2遮断板アセンブリ540が備えられうる。前記第2遮断板アセンブリ540は、複数の第2遮断板541と、第2遮断板541の外側に備えられる第2遮断板フレーム542とを備えることができる。
そして、蒸着源510と基板400との間には、パターニングスリットシート550及びパターニングスリットシートフレーム555がさらに備えられうる。パターニングスリットシートフレーム555は、ほぼ窓枠のような格子状で形成され、その内側にパターニングスリットシート550が結合されうる。そして、パターニングスリットシート550には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット551が形成されうる。
【0090】
ここで、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ500は、遮断板アセンブリが第1遮断板アセンブリ530と第2遮断板アセンブリ540とに分離されていることを一特徴とする。
詳細には、前記複数の第1遮断板531は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第1遮断板531は等間隔に形成されうる。また、それぞれの第1遮断板531は、図面から見た時、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成されうる。
【0091】
また、前記複数の第2遮断板541は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断板541は等間隔に形成されうる。また、それぞれの第2遮断板541は、図面から見た時、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成されうる。
【0092】
このように配された複数の第1遮断板531及び第2遮断板541は、蒸着源ノズル部520とパターニングスリットシート550との間の空間を区切る役割を行える。ここで、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリ500は、前記第1遮断板531及び第2遮断板541によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル521別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0093】
ここで、それぞれの第2遮断板541は、それぞれの第1遮断板531と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板541は、それぞれの第1遮断板531と整列されて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板531と第2遮断板541とは、互いに同じ平面上に配されうる。このように、互いに平行に配された第1遮断板531と第2遮断板541とによって、蒸着源ノズル部520と後述するパターニングスリットシート550との間の空間が区切られることによって、一つの蒸着源ノズル521から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル521から排出された蒸着物質と混合されずに、パターニングスリット551を通過して基板400に蒸着されうる。言い換えれば、第1遮断板531及び第2遮断板541は、蒸着源ノズル521を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質のX軸方向の移動経路をガイドする役割を行える。
【0094】
図面には、第1遮断板531のX軸方向の厚さと第2遮断板541のX軸方向の厚さとが同一であると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、パターニングスリットシート550との精密な整列が要求される第2遮断板541は相対的に薄く形成される一方、精密な整列が要求されない第1遮断板531は相対的に厚く形成されて、その製造を容易にすることもできるといえる。
【0095】
図15は、本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの一変形例を示す背面斜視図である。図15を参照すれば、支持部材560がパターニングスリットシート550の背面に配されうる。支持部材560は、パターニングスリットシート550の背面に配されて、パターニングスリットシート550が蒸着源510に向かってたわみ込むことを防止できる。支持部材560は棒状になりうる。支持部材560は、パターニングスリット551の長手方向と交差するようにパターニングスリットシート550の背面に配され、一実施形態として、支持部材560は、その長手方向がパターニングスリット551の長手方向と垂直するように配されうる。支持部材560は、その両端部がパターニングスリットシートフレーム555に固定されうる。
【0096】
また、支持部材560は第2遮断板541により支持されうる。図16は、図15のAを拡大した図面である。図16を参照すれば、第2遮断板541には貫通孔543が形成されている。支持部材560は、貫通孔543を通じてパターニングスリットシート550を支持できる。
【0097】
パターニングスリットシート550は、前述したように、蒸着薄膜の厚さ均一性のために、各蒸着空間Sに対応するパターニングスリット551a、551b、551cの長さが相異なり、中心に配されるパターニングスリット551aの長さが最も短く、パターニングスリット551aから離隔するパターニングスリットであるほどその長さが長くなり、各蒸着空間Sの両端部に対応するパターニングスリット551b、551cの長さが最も長く形成されうる。
【0098】
図17は、本発明の他の実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートの他の変形例を示す背面斜視図である。図17を参照すれば、支持部材560がパターニングスリットシート660を支持するという点で、図16に示したパターニングスリットシート560と同一であるが、支持部材560が配されるパターニングスリットシートの部分662にはスリットが形成されていない。このように、支持部材560が配されるパターニングスリットシートの部分662にはスリットが形成されていないため、支持部材560とパターニングスリットシート660との間に蒸着物質が入って成膜を形成する可能性を低下させることができる。
【0099】
図17に示したパターニングスリットシート660は、支持部材560が配されるパターニングスリットシートの部分662を中心に、一側に形成されたスリット661dは同じ長さを持つように形成され、他側に形成されたスリット661は、その長さが相異なる。すなわち、各蒸着空間Sの中央部に配されるスリット661aから各蒸着空間Sの両端部に配されるスリット661b、661cへ行くほどその長さが長くなる。このように、スリットの長さが相異なって形成されることによって、前述したように蒸着薄膜の厚さを均一に形成できる。
【0100】
図18は、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図19は、図18の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図20は、図18の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図18、図19及び図20を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置700は、蒸着源710、蒸着源ノズル部720及びパターニングスリットシート750を備える。
【0101】
ここで、図18、図19及び図20には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図18ないし図20のあらゆる構成は、適宜な真空度が維持されるチャンバー内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0102】
詳細には、蒸着源710から放出された蒸着物質715を、蒸着源ノズル部720及びパターニングスリットシート750を通過して、基板400に所望のパターンで蒸着させるためには、基本的にチャンバー(図示せず)の内部はFMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート750の温度が蒸着源710温度より十分に低く(約100℃以下)なければならない。なぜなら、パターニングスリットシート750の温度が十分に低くて、初めて温度によるパターニングスリットシート750の熱膨張問題を最小化できるためである。
【0103】
これらのチャンバー(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板になりうるが、多くの平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施形態では、基板400が薄膜蒸着装置700に対して相対的に移動しつつ蒸着が進められることを一特徴とする。
【0104】
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されねばならない。したがって、基板サイズが増大するほどFMMも大型化せねばならず、これによってFMM製作が容易でなく、FMMを引っ張って精密なパターンに整列することも容易でないという問題点があった。
【0105】
これらの問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置700は、薄膜蒸着装置700と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置700と対向するように配された基板400が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板400が図18の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われるのである。ここで、図面には基板400がチャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板400は固定されており、薄膜蒸着装置700自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0106】
したがって、本発明の薄膜蒸着装置700では、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート750を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置700の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うために、パターニングスリットシート750のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板400の長さよりはるかに小さく形成できる。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート750を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート750は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート750のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート750がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0107】
このように、薄膜蒸着装置700と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着装置700と基板400とが一定程度離隔することが望ましい。これについては、後で詳細に記述する。
一方、チャンバー内で、前記基板400と対向する側には、蒸着物質715が収納及び加熱される蒸着源710が配される。前記蒸着源710内に収納されている蒸着物質715が気化することによって、基板400に蒸着が行われる。
【0108】
詳細には、蒸着源710は、その内部に蒸着物質715が充填される坩堝711と、坩堝711を加熱させて坩堝711の内部に充填された蒸着物質715を坩堝711の一側、詳細には、蒸着源ノズル部720側に蒸発させるためのヒーター712とを備える。
【0109】
蒸着源710の一側、詳細には、蒸着源710から基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部720が配される。そして、蒸着源ノズル部720には、Y軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル721が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル721は等間隔に形成されうる。蒸着源710内で気化した蒸着物質715は、これらの蒸着源ノズル部720を通過して被蒸着体である基板400側に向かう。このように、蒸着源ノズル部720上に、Y軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル721を形成する場合、パターニングスリットシート750のそれぞれのパターニングスリット751を通過する蒸着物質により形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル721一つのサイズのみにより影響されるので(すなわち、X軸方向には蒸着源ノズル721が一つのみ存在するので)、陰影が発生しなくなる。また、多くの蒸着源ノズル721がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が発生しても、その差が相殺されて蒸着均一度が一定に維持される効果を得ることができる。
【0110】
一方、蒸着源710と基板400との間には、パターニングスリットシート750及びフレーム755がさらに備えられる。フレーム755は、ほぼ窓枠のような形態で形成され、その内側にパターニングスリットシート750が結合される。そして、パターニングスリットシート750には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット751が形成される。蒸着源710内で気化した蒸着物質715は、蒸着源ノズル部720及びパターニングスリットシート750を通過して、被蒸着体である基板400方向に向かう。この時、前記パターニングスリットシート750は、従来のFMM、特にストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル721の総数よりパターニングスリット751の総数がさらに多く形成されうる。
【0111】
一方、前述した蒸着源710(及びこれと結合された蒸着源ノズル部720)とパターニングスリットシート750とは互いに一定程度離隔するように形成され、蒸着源710(及びこれと結合された蒸着源ノズル部720)とパターニングスリットシート750とは、連結部材735によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源710、蒸着源ノズル部720及びパターニングスリットシート750が連結部材735により連結されて、互いに一体に形成されうる。ここで、連結部材735は、蒸着源ノズル721を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材735が、蒸着源710、蒸着源ノズル部720及びパターニングスリットシート750の左右方向のみに形成されて、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは図示の便宜のためのものであって、本発明の思想はこれに制限されず、連結部材735がボックス形態の密閉型に形成されて、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドすることもできる。
【0112】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置700は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着装置700が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート750は基板400から一定程度離隔するように形成される。
【0113】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化するにつれてマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点があった。
【0114】
これらの問題点を解決するために、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置700では、パターニングスリットシート750が、被蒸着体である基板400と所定間隔をおいて離隔するように配されるようにする。
このような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対し移動させつつ蒸着を行えることによって、マスク製作が容易になる効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
【0115】
図21は、図18に示した薄膜蒸着装置のパターニングスリットシート750を示す図面である。図21を参照すれば、基板全体の膜均一度を確保するために、パターニングスリットシート750の中心部分のパターニングスリット751aの長さが、パターニングスリットシート750の両端部のパターニングスリット751bの長さより短く形成される。有機物放射は、コサイン法則によって蒸着源ノズル721に垂直な部分に最も多くの有機物が放射され、パターニングスリットシート750の両端へ行くほど放射される有機物の量が減少する。したがって、パターニングスリット751の長さが同一に形成された薄膜蒸着装置の場合、中央部分が凸形態を示すように蒸着膜が形成される。
【0116】
このような蒸着膜厚の不均一現象を除去するために、図21に示したようなパターニングスリットシート750の中心部分のパターニングスリット751aの長さが、パターニングスリットシート750の両端部のパターニングスリット751bの長さより短く形成される。すなわち、パターニングスリットシート750の中心部分のパターニングスリット751aの長さが最も短く形成され、パターニングスリットシート750の両端部のパターニングスリット751bの長さが最も長く形成される。このような長さの異なるパターニングスリットシート750は、蒸着源ノズル721からパターニングスリット751側へ移動する蒸着物質のうち一部を遮断する役割を行う。
【0117】
すなわち、薄膜蒸着装置によって蒸着される蒸着膜は、中央部分が凸形態をなすため、これを均一にさせるためには、中央部分に向かう蒸着物質のうち一部を遮断せねばならない。したがって、パターニングスリットシート750の中心部は、パターニングスリットシート750の両端部よりパターニングスリット751aの長さが短く形成されるため、相対的に中央部分には蒸着物質が多く衝突して蒸着物質をさらに多く遮断し、エッジ部分には蒸着物質が少なく衝突して、蒸着物質をさらに少なく遮断するようになる。
【0118】
このように、蒸着物質の移動経路にパターニングスリット751の長さを異なって形成することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が補正されうる。すなわち、蒸着物質が多く蒸着される部分は、パターニングスリット751aの長さを短くして蒸着物質を多く遮断し、蒸着物質が少なく蒸着される部分は、パターニングスリット751bの長さを長くして蒸着物質を少なく遮断することによって、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を補正する。
【0119】
本発明によって基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内で均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
図22は、本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置のパターニングスリットシート850を示す図面である。本実施形態では、パターニングスリットシート850の一側に、補正板857がさらに備えられるという点で、前述した前記実施形態の薄膜蒸着装置700と区別される。
【0120】
詳細には、本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置は、基板全体の膜均一度を確保するために補正板857をさらに備えることができる。有機物放射は、コサイン法則によって蒸着源ノズル721に垂直な部分に最も多くの有機物が放射され、パターニングスリットシート850の両端へ行くほど放射される有機物の量が減少する。したがって、補正板を備えていない薄膜蒸着装置の場合、中央部分が凸形態を示すように蒸着膜が形成される。
【0121】
このような蒸着膜厚の不均一現象を除去するために、図22に示したような補正板857がパターニングスリットシート850の一側に備えられうる。補正板857は、パターニングスリットシート850の一面上に、ほぼ円弧またはコサイン曲線状に配される。これらの補正板857は、蒸着源ノズル721からパターニングスリット751側へ移動する蒸着物質のうち一部を遮断する役割を行う。
【0122】
すなわち、薄膜蒸着装置によって蒸着される蒸着膜は、その中央部分が凸形態をなすため、これを均一にさせるためには、中央部分に向かう蒸着物質のうち一部を遮断せねばならない。したがって、補正板857を蒸着物質の移動経路の中間に配して、蒸着物質のうち一部を遮断する。この時、補正板857は円弧ないしコサイン曲線状に形成されるために、相対的に突設された中央部分には蒸着物質が多く衝突して蒸着物質をさらに多く遮断し、エッジ部分には蒸着物質が少なく衝突して、蒸着物質をさらに少なく遮断するようになる。この場合、膜厚が最も薄い部分、一般的には、パターニングスリットシート850の両端部分の膜厚に全体膜厚になるように補正板857を形成できる。
【0123】
このように、蒸着物質の移動経路に補正板を配することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が補正されうる。すなわち、蒸着物質が多く蒸着される部分は、補正板の高さを高くして蒸着物質を多く遮断し、蒸着物質が少なく蒸着される部分は、補正板の高さを低くして蒸着物質を少なく遮断することによって、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を補正する。
【0124】
本発明によって基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内で均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
図23は、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置のパターニングスリットシート示す背面斜視図である。図23を参照すれば、パターニングスリットシート750の背面には、パターニングスリットシート750を支持する支持部材760を備えることができる。支持部材760は、パターニングスリットシート750の背面に配されて、パターニングスリットシート750が蒸着源710に向かってたわみ込むことを防止できる。支持部材760は棒状になりうる。支持部材760は、パターニングスリット751の長手方向と交差するようにパターニングスリットシート750の背面に配され、一実施形態として、支持部材760は、その長手方向がパターニングスリット751の長手方向と垂直するように配されうる。支持部材760は、その両端部がパターニングスリットシートフレーム755に固定されうる。
【0125】
図24は、本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置を示す図面である。図面を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による薄膜蒸着装置900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填される坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒーター912とを備える。一方、蒸着源910の一側には蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板400との間にはパターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910及び蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって結合される。
【0126】
本実施形態では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述の第1実施形態(図18)と区別される。詳細には、蒸着源ノズル921は2列の蒸着源ノズル921a、921bで形成され、前記2列の蒸着源ノズル921a、921bは互いに交互に配される。この時、蒸着源ノズル921a、921bは、XZ平面上で所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0127】
前述した図21に示したパターニングスリット751の長さを差別化させた場合や、図22に示した補正板857を備えた場合、蒸着材料が補正板857またはパターニングスリット751によって遮断されるため、材料の利用効率が低下しうる。したがって、本実施形態では、蒸着源ノズル921a、921bが所定角度チルトされて配されるようにする。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに向くようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは第1列の蒸着源ノズル921aに向くようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に対向するように配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bはパターニングスリットシート950の左側端部に対向するように配されうるのである。
【0128】
図25は、本発明による薄膜蒸着装置で、蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示すグラフであり、図26は、本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示すグラフである。図25と図26とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大して蒸着膜の均一度が上昇するということが分かる。
【0129】
このような構成によって、基板の中央と端部とでの成膜厚の差が低減して全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには材料利用効率が向上する効果を得ることができる。
本発明は、前述した実施形態及び添付した図面により限定されるものではなく、特許請求の範囲により限定され、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、多様な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当業者に明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、薄膜蒸着装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0131】
100 薄膜蒸着装置
110 蒸着源
111 坩堝
112 ヒーター
115 蒸着物質
120 蒸着源ノズル部
130 遮断板アセンブリ
131 遮断板
132 遮断板フレーム
135 連結部材
150 パターニングスリットシート
155 パターニングスリットシートフレーム
400 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリと、を備え、
前記各蒸着空間に対応する前記パターニングスリットの長さが異なるように形成され、
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成され、
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、いずれか一側が他側に対して相対的に移動自在に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記パターニングスリットは、前記各蒸着空間の中心から遠ざかるほどその長さが長く形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記各蒸着空間の中心に対応する前記パターニングスリットの長さは、前記各蒸着空間の端部に対応する前記パターニングスリットの長さより小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記パターニングスリットシートが前記蒸着源に向かってたわみ込むことを防止するように、前記パターニングスリットシートを支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と交差して配されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と垂直になるように配されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に配されて、前記蒸着源から放射される前記蒸着物質のうち少なくとも一部を遮断する補正板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記補正板は、薄膜の厚さが実質的に同一に形成されるように備えられることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心から遠ざかるほどその高さが低く形成されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記補正板は、円弧またはコサイン曲線の形状に形成されることを特徴とする請求項9に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での高さが、各蒸着空間の端部での高さより低く形成されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での前記蒸着物質の遮断量が、前記各蒸着空間の端部での前記蒸着物質の遮断量より多く形成されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記補正板は、前記パターニングスリットシートの一面に配されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記補正板は前記各蒸着空間ごとに形成され、
前記各蒸着空間に配された前記蒸着源ノズルから放射される前記蒸着物質の特性によって、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更可能なことを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
複数の前記蒸着空間ごとに蒸着される薄膜の厚さが同一であるように、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更可能なことを特徴とする請求項14に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切ることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記複数の遮断板は、等間隔で配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記遮断板と前記パターニングスリットシートとは、所定間隔をおいて離隔するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記遮断板アセンブリは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリとを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切ることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項21に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記複数のパターニングスリットは互いに相異なる長さを持つように形成され、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記複数のパターニングスリットは、蒸着される薄膜の厚さが実質的に同一に形成されるように備えられることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記各パターニングスリットの長さによって、前記基板上に蒸着される蒸着物質の蒸着量が制御されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記パターニングスリットシートの中心部分の前記パターニングスリットの長さが、前記パターニングスリットシートの両端部の前記パターニングスリットの長さより短く形成されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項27に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項27に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項30】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項32】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項33】
前記パターニングスリットシートが前記蒸着源に向かってたわみ込むことを防止するように、前記パターニングスリットシートを支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項34】
前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と交差して配されることを特徴とする請求項33に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項35】
前記支持部材は、前記パターニングスリットの長手方向と垂直になるように配されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項36】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に配されて、前記蒸着源から放射される前記蒸着物質のうち少なくとも一部を遮断する補正板と、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項37】
前記補正板は、蒸着される薄膜の厚さが実質的に同一に形成されるように備えられることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項38】
前記補正板は、前記パターニングスリットシートの中心から遠ざかるほどその高さが低く形成されることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項39】
前記補正板は、円弧またはコサイン曲線の形状に形成されることを特徴とする請求項38に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項40】
前記補正板は、前記パターニングスリットシートの中心での前記蒸着物質の遮断量が、前記パターニングスリットシートの端部での前記蒸着物質の遮断量より多く形成されることを特徴とする請求項37に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項41】
基板上に薄膜を形成する薄膜蒸着装置を利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法において、
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して所定程度離隔するように配される工程と、
前記薄膜蒸着装置と前記基板のうちいずれか一側が他側に対して相対的に移動しつつ、前記薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質が前記基板上に蒸着される工程と、を含む有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項42】
前記蒸着物質が前記基板に蒸着される工程は、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質が前記基板上に連続的に蒸着されることを特徴とする請求項41に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−47035(P2011−47035A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152846(P2010−152846)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】