説明

薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法

【課題】高精細のパターニングを有する大型基板の量産工程に適した薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本体601に内蔵され、本体の互いに異なる位置に備わった複数の電源ホール603a,603bを含む基板500を支持する静電チャック600で、キャリアのチャンバ731通過時に電源ホールへの着脱自在の、電極に電力を提供する移動経路の上流の第1電源フィン604aと他の電源ホールに着脱自在の下流に位置する第2電源フィン604bを含む薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法に係り、詳細には、大型基板量産工程に容易に適用できる薄膜蒸着装置、及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は、視野角が広くてコントラストにすぐれるだけではなく、応答速度が速いという長所を有し、次世代ディスプレイ装置として注目を集めている。
【0003】
有機発光表示装置は、互いに対向した第1電極及び第2電極間に、発光層及びこれを含む中間層を具備する。このとき、前記電極及び中間層は、さまざまな方法で形成されうるが、そのうちの1つの方法が独立蒸着方式である。蒸着方法を利用して有機発光表示装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを有するファインメタル・マスク(FMM:fine metal mask)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【0004】
しかし、かようなFMMを利用する方法は、5G以上のマザーガラス(mother-glass)を使用する大面積化には不適であるという限界がある。すなわち、大面積マスクを使用すれば、自重によって、マスクの反り現象が発生するが、この反り現象によるパターンの歪曲が発生しうるためである。これは、パターンに高精細を要求する現在の傾向と背馳する。
【0005】
一方、従来の蒸着方法では、別途のチャックで基板のエッジを固定した状態で、基板の一面に金属製のマスクを付け、基板の他面にマグネットを配し、このマグネットによって金属製のマスクを基板の面に密着させた。ところで、このような基板固定方法は、基板のエッジだけを支持するために、前述のように、基板が大面積になる場合、基板の中央部がたわみ込む(sagging)問題が発生する。この基板たわみ込み問題は、基板が大きくなれば大きくなるほど、さらに問題が深刻化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来のFMMを利用した蒸着方法の限界を克服するためのものであり、大型基板の量産工程によって一層適し、高精細のパターニングが可能な薄膜蒸着装置、及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するために、本発明は、被蒸着用基板と接し、前記基板を支持する支持面を有する本体と、前記本体に内蔵され、前記支持面に静電気力を生成させる電極と、前記電極が開放されるように形成され、前記本体の互いに異なる位置に備わった複数の電源ホールと、を含む静電チャック;真空に維持される複数のチャンバ;前記チャンバのうち少なくとも1つの内部に配され、前記基板と所定間隔離隔され、前記静電チャックに支持された基板に薄膜を蒸着する少なくとも1つの薄膜蒸着アセンブリ;前記静電チャックを、前記チャンバを通過するように移動させるキャリア;前記電源ホールのうち一つに着脱自在に備わり、前記電極に電力を提供するものであり、前記キャリアによる静電チャックの移動経路の上流に位置する第1電源フィン;前記電源ホールのうち他の一つに着脱自在に備わり、前記電極に電力を提供するものであり、前記キャリアによる静電チャックの移動経路のうち、前記第1電源フィンに比べて下流に位置する第2電源フィン;を含む薄膜蒸着装置を提供する。
【0008】
前記第1電源フィンと第2電源フィンは、互いに異なるチャンバに位置しうる。
前記チャンバのうち少なくとも一つには、前記基板を支持した静電チャックを裏返しにする反転ロボットが位置し、前記反転ロボットには、前記電源ホールのうち一つに着脱自在に備えられ、前記電極に電力を提供する第3電源フィンが備わりうる。
【0009】
前記キャリアは、前記チャンバを貫通するように配設される支持台と、前記支持台上に配され、前記静電チャックのエッジを支持する移動台と、前記支持台と移動台との間に介在され、前記移動台を前記支持台に沿って移動させる駆動部と、を含むことができる。
【0010】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向を沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリット・シートと、を含み、前記基板が前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、一体に形成されうる。
【0011】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、前記蒸着物質の移動経路をガイドする連結部材によって連結されて一体に形成されうる。
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シート間の空間を外部から密閉するように形成されうる。
【0012】
前記複数個の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されうる。
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルは、互いに向き合う方向にチルトされうる。
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリット・シートの第2側端部を向くように配され、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリット・シートの第1側端部を向くように配されうる。
【0013】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニングスリットが配されるパターニングスリット・シートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間に前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数個の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板は、互いに相対移動するものでありうる。
【0014】
前記複数個の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延長するように形成されたものでありうる。
前記遮断板アセンブリは、複数個の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数個の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むものでありうる。
前記複数個の第1遮断板及び前記複数個の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延長するように形成されたものでありうる。
【0015】
前記複数個の第1遮断板及び前記複数個の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されうる。
前記蒸着源と前記遮断板アセンブリは、互いに離隔されたものでありうる。
前記遮断板アセンブリと前記パターニングスリット・シートは、互いに離隔されたものでありうる。
【0016】
本発明はまた、前述の目的を達成するために、被蒸着用基板と接し、前記基板を支持する支持面を有する本体と、前記本体に内蔵され、前記支持面に静電気力を生成させる電極と、前記電極が開放されるように形成され、前記本体の互いに異なる位置に備わった複数の電源ホールと、を含む静電チャックで前記基板を固定させる段階と、前記基板が固定された静電チャックを、真空に維持される複数のチャンバを通過するように移送する段階と、前記静電チャックの移動経路の上流に位置した第1電源フィンを前記電源ホールのうち一つに挿入し、前記静電チャックに電力を提供する段階と、前記静電チャックの移動経路のうち、前記第1電源フィンに比べて下流に位置した第2電源フィンを前記電源ホールのうち他の一つに挿入し、前記静電チャックに電力を提供する段階と、前記第1電源フィンを前記電源ホールから脱着させる段階と、前記チャンバのうち少なくとも1つの内部に配された薄膜蒸着アセンブリを利用し、前記基板を固定した静電チャックと前記薄膜蒸着アセンブリとの相対移動によって、前記基板に有機膜を蒸着する段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【0017】
前記第1電源フィンと第2電源フィンは、互いに異なるチャンバに位置し、前記第2電源フィンの挿入と前記第1電源フィンの脱着とが同時になされうる。
前記チャンバのうち少なくとも一つには、前記基板を支持した静電チャックを裏返しにする反転ロボットが位置し、前記反転ロボットに備わった第3電源フィンを前記電源ホールのうち一つに挿入する段階と、前記第3電源フィンを前記電源ホールから脱着する段階と、をさらに含むことができる。
【0018】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリット・シートと、を含み、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、一体に形成され、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記基板が前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着がなされうる。
【0019】
前記薄膜蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニングスリットが配されるパターニングスリット・シートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間に前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数個の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板とが互いに相対移動することによって、基板に対する蒸着がなされるものでありうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の薄膜蒸着装置、及びこれを利用した有機発光表示装置の製造方法によれば、製造が容易であり、大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率が向上しうる。
また、大型基板を静電チャックによって基板のたわみ込みなしに安定的に支持し、チャンバ間の移動が円滑に行われうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図である。
【図2】図1の変形例を図示したシステム構成図である。
【図3】静電チャックの一例を図示した概略図である。
【図4】本発明の望ましい一実施形態による第1循環部の断面を図示した断面図である。
【図5】本発明の望ましい一実施形態による第2循環部の断面を図示した断面図である。
【図6】本発明の望ましい一実施形態による静電チャック移動システムの概略的な断面図である。
【図7】本発明の望ましい他の一実施形態による静電チャック移動システムの概略的な断面図である。
【図8】本発明の薄膜蒸着アセンブリの第1実施形態を図示した斜視図である。
【図9】図8の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側断面図である。
【図10】図8の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
【図11】本発明の薄膜蒸着アセンブリの第2実施形態を図示した斜視図である。
【図12】本発明の薄膜蒸着アセンブリの第3実施形態を図示した斜視図である。
【図13】本発明の薄膜蒸着アセンブリの第4実施形態を図示した斜視図である。
【図14】図13の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側断面図である。
【図15】図13の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
【図16】本発明による薄膜蒸着アセンブリによって製造されうる有機発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明による望ましい実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図であり、図2は、図1の変形例を図示したものである。図3は、静電チャック600の一例を図示した概略図である。
【0023】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部710、蒸着部730、アンローディング部720、第1循環部610及び第2循環部620を含む。
ローディング部710は、第1ラック712と、導入ロボット714と、導入室716と、第1反転室718とを含むことができる。
【0024】
第1ラック712には、蒸着がなされる前の基板500が多数積載されており、導入ロボット714は、前記第1ラック712から基板500を取り、第2循環部620から移送されてきた静電チャック600に基板500を載せた後、基板500が付着された静電チャック600を導入室716に移す。図面に図示していないが、前記導入ロボット714は、所定の真空度が維持されたチャンバ内に配されうる。
【0025】
導入室716に隣接して、第1反転室718が備えられ、第1反転室718に位置した第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させ、静電チャック600を蒸着部730の第1循環部610に装着する。
静電チャック600は、図3から分かるように、セラミックで形成された本体601の内部に電力が印加される電極602が埋め込まれたものであり、この電極602に高電圧が印加されることによって、本体601の表面に基板500を付着させる。この静電チャックに係わるさらに詳細な説明は、後述する。
【0026】
図1を参照するとき、導入ロボット714は、静電チャック600の上面に基板500を載せ、この状態で静電チャック600は、導入室716に移送され、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させることによって、蒸着部730では、基板500が下を向くように位置する。前記導入室716及び第1反転室718いずれも、所定の真空度が維持されるチャンバを使用することが望ましい。
【0027】
アンローディング部720の構成は、前記のローディング部710の構成と反対に構成される。すなわち、蒸着部730を経た基板500及び静電チャック600を、第2反転室728で第2反転ロボット729が反転させて搬出室726に移送し、搬出ロボット724が搬出室726から、基板500及び静電チャック600を取り出した後、基板500を静電チャック600から分離し、第2ラック722に積載する。基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620を介して、ローディング部710に回送される。前記第2反転室728及び搬出室726いずれも、所定の真空度が維持されるチャンバを使用することが望ましい。そして、搬出ロボット724も、図面に図示していないが、所定の真空度が維持されたチャンバ内に配されうる。
【0028】
しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、基板500が静電チャック600に最初固定されるときから、静電チャック600の下面に基板500を固定させ、そのまま蒸着部730に移送させることもできる。その場合、例えば、第1反転室718及び第1反転ロボット719、並びに第2反転室728及び第2反転ロボット729は、不要になる。
【0029】
蒸着部730は、少なくとも1つの蒸着用チャンバを具備する。図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部730は、第1チャンバ731を具備し、この第1チャンバ731内に、複数の薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400が配される。図1に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバ731内に、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200、第3薄膜蒸着アセンブリ300及び第4薄膜蒸着アセンブリ400の4つの薄膜蒸着アセンブリが設けられているが、その数は、蒸着物質及び蒸着条件によって、可変可能である。前記第1チャンバ731は、蒸着が進められる間は真空に維持される。
【0030】
また、図2による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部730は、互いに連繋された第1チャンバ731及び第2チャンバ732を含み、第1チャンバ731には、第1薄膜蒸着アセンブリ100及び第2薄膜蒸着アセンブリ200が、第2チャンバ732には、第3薄膜蒸着アセンブリ300及び第4薄膜蒸着アセンブリ400が配されうる。このとき、チャンバの数が追加されうることは、言うまでもない。
【0031】
一方、図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板500が固定された静電チャック600は、第1循環部610によって少なくとも蒸着部730に、望ましくは、前記ローディング部710、蒸着部730及びアンローディング部720に順次移動し、前記アンローディング部720で基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620によって、前記ローディング部710に回送される。
【0032】
前記第1循環部610は、前記蒸着部730を通過するときに、前記第1チャンバ731を貫通するように備えられ、前記第2循環部620は、静電チャックが移送されるように備えられる。
図4は、本発明の望ましい一実施形態による第1循環部610の断面を図示したものである。
【0033】
第1循環部610は、基板500を固定している静電チャック600を移動させる第1キャリア611を含む。
前記第1キャリア611は、第1支持台613と、第2支持台614と、移動台615と、第1駆動部616とを含む。
【0034】
前記第1支持台613及び第2支持台614は、前記蒸着部730のチャンバ、例えば、図1の実施形態では、第1チャンバ731、図2の実施形態では第1チャンバ731と第2チャンバ732とを貫通するように設けられる。
前記第1支持台613は、第1チャンバ731内で上部に向かって配され、第2支持台614は、第1チャンバ731で第1支持台613の下部に配される。図4に図示された実施形態によれば、前記第1支持台613と第2支持台614とが互いに直交するように折り曲げられた構造で備わっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1支持台613が上部に、第2支持台614が下部にある構造であるならば、いかなるものでもよい。
【0035】
移動台615は、第1支持台613に沿って移動するように備わったものであり、少なくとも一端が前記第1支持台613によって支持され、他端が静電チャック600のエッジを支持するように備えられる。前記静電チャック600は、前記移動台615に固定的に支持され、移動台615によって第1支持台613に沿って移動することができる。移動台の静電チャック600を支持する部分は、薄膜蒸着アセンブリ100に向かうように折り曲げられ、基板500を薄膜蒸着アセンブリ100に近く位置させることができる。
【0036】
移動台615と第1支持台613との間には、第1駆動部616が含まれる。なお、前記薄膜蒸着アセンブリ100は、第2支持台614に装着されうる。このとき、第2支持台614には、第2駆動部618が位置し、該第2駆動部618は、薄膜蒸着アセンブリ100のフレームに連結され、基板500と薄膜蒸着アセンブリ100とのアラインのために薄膜蒸着アセンブリ100の位置を微細調整する。この第1駆動部616は、第1支持台613に沿ってころがるローラ617を含むことができる。前記第1駆動部616は、移動台615を第1支持台613に沿って移動させるものであり、それ自体で駆動力を提供するものでもあり、別途の駆動源からの駆動力を移動台615に伝達するものであってもよい。前記第1駆動部616は、ローラ617以外にも、移動台615を移動させるものであるならば、いかなる駆動装置でも適用可能である。
【0037】
図5は、本発明の望ましい一実施形態による第2循環部620の断面を図示したものである。
第2循環部620は、基板500が分離された静電チャック600を移動させる第2キャリア621を含む。
前記第2キャリア621も、第3支持台623と、移動台615と、第1駆動部616とを含む。
【0038】
前記第3支持台623は、第1キャリア611の第1支持台613と同一に延長される。この第3支持台623には、第1駆動部616を備えた移動台615が支持され、この移動台615に、基板500と分離された静電チャック600が装着される。移動台615及び第1駆動部616の構造は、前述の通りである。
【0039】
一方、前記第1キャリア611及び第2キャリア621によって、前記静電チャック600を移送させるときには、移動中の静電チャック600に、持続的に電力を提供しなければならない。移動中である静電チャック600に電力を提供するシステム構造についてさらに具体的に説明すれば、次の通りである。
【0040】
図6は、移動中である静電チャック600に電力を提供するシステムの一例を図示したものである。前記静電チャック600は、基板500と接し、この基板500の扁平な広い面を支持する支持面605を有する本体601を含む。そして、前記本体601には、前記支持面605に静電気力を生成させる電極602が埋め込まれている。また、前記本体601には、前記電極602が開放されるように、複数の電源ホールが形成されているが、図6から分かるように、第1電源ホール603aと第2電源ホール603bとが互いに異なる位置に形成されている。この第1電源ホール603aと第2電源ホール603bは、互いに離隔されていることが望ましいが、図6から分かるように、第1電源ホール603aは、静電チャック600の移動方向(矢印)の後端に、第2電源ホール603bは、静電チャック600の移動方向(矢印)の前端にそれぞれ形成されることが望ましい。
前記のような静電チャック600は、静電チャック600が移動し、チャンバとチャンバとを通過するときにも、静電チャック600に電源が維持されうる。
【0041】
図6に図示された実施形態は、図2に図示された第1チャンバ731と第2チャンバ732との内にそれぞれ設けられている第1電源フィン604aと第2電源フィン604bとを利用し、静電チャック600の移動時に電源が維持される場合を示した。
【0042】
第1電源フィン604aは、静電チャック600の移動経路の上流に位置したものであり、図6の実施形態では、第1チャンバ731に備えたものである。この第1電源フィン604aは、第1電源ホール603a及び第2電源ホール603bのいずれか一つに着脱自在に備えうるが、図6による実施形態によれば、前記第1電源フィン604aは、第1電源ホール603aに挿入されるとなっているが、必ずしもこれに限定されるものではない。ただし、静電チャック600の移動経路の上流に位置した第1電源フィン604aが、静電チャック600の移動方向の後端に位置した第1電源ホール603aに挿入されるようにすることが望ましい。
【0043】
第2電源フィン604bは、静電チャック600の移動経路の下流に位置したものであり、図6の実施形態では、第2チャンバ732に備えたものである。この第2電源フィン604bは、第1電源ホール603a及び第2電源ホール603bのいずれか一つに着脱自在に備えうるが、図6による実施形態によれば、前記第2電源フィン604bは、第2電源ホール603bに挿入されるとなっているが、必ずしもこれに限定されるものではない。ただし、静電チャック600の移動経路の下流に位置した第2電源フィン604bが、静電チャック600の移動方向の前端に位置した第2電源ホール603bに挿入されるようにすることが望ましい。
【0044】
前記第1電源フィン604a及び第2電源フィン604bは、それぞれ第1チャンバ731及び第2チャンバ732内で移動することができるように設けられうる。従って、静電チャック600が第1チャンバ731内にある間には、第1電源フィン604aが第1電源ホール603aに挿入されて電極602に電力を印加し、静電チャック600が第2チャンバ732内にある間には、第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入されて電極602に電力を印加する。第1チャンバ731と第2チャンバ732との間には、チャンバドア733が備わるが、静電チャック600がこのチャンバドア733を通過するときに、図6から分かるように、第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入されると同時に、あるいは第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入された後に、第1電源フィン604aが第1電源ホール603aから脱着され、電極602に対する電力供給が切れないようにできる。
【0045】
図6に図示した実施形態では、前記第1電源フィン604a及び第2電源フィン604bがそれぞれ第1チャンバ731及び第2チャンバ732内に設けられたが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、前記第1電源フィン604a及び第2電源フィン604bが、図1の第1チャンバ731内の他の位置に設けることもできる。その場合にももちろん、静電チャック600が移動することによって、第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入されると同時に、あるいは第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入された後に、第1電源フィン604aが第1電源ホール603aから脱着され、電極602に対する電力供給が切れないようにできることは、言うまでもない。
【0046】
また、前記第1電源ホール603a及び第2電源ホール603bも、必ずしも静電チャック600の移動方向の後端及び前端に位置する必要はなく、互いに分離された位置にさえ備わっていれば十分である。この場合にも、静電チャック600が移動することによって、第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入されると同時に、あるいは第2電源フィン604bが第2電源ホール603bに挿入された後に、第1電源フィン604aが第1電源ホール603aから脱着され、電極602に対する電力供給が切れないようにしなければならないことは、言うまでもない。
【0047】
図7は、移動中である静電チャック600に電源を提供するシステムの他の一例を図示したものである。
図7に図示された実施形態では、静電チャック600が導入室716、第1反転室718及び第1チャンバ731を順に移動する状態を図示したものである。
【0048】
図7による実施形態では、静電チャック600の本体601に、第3電源ホール603c、第4電源ホール603d及び第5電源ホール603eが互いに異なる位置に形成されている。そして、導入室716、第1反転室718及び第1チャンバ731にも、それぞれ第3電源フィン604c、第4電源フィン604d及び第5電源フィン604eが設けられている。第4電源フィン604dは、第1反転ロボット719に設けられる。
【0049】
導入室716で、第3電源フィン604cが第3電源ホール603cに挿入された状態で、静電チャック600が移動する。静電チャック600が、導入室716から第1反転室718に、一部または全部移動した後にも、第3電源フィン604cが第3電源ホール603cに挿入された状態を維持し、静電チャック600の電極602に電力を印加する。この状態で、第1反転室718で、第1反転ロボット719に設けられた第4電源フィン604dが第4電源ホール603dに挿入され、これと同時にまたはこの後に、第3電源フィン604cが第3電源ホール603cから脱着される。第1反転室718で、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させ、基板500を下方向に向けるようにした後、静電チャック600を第1チャンバ731に投入すれば、第1チャンバ731で、第5電源フィン604eが第5電源ホール603eに挿入され、これと同時にまたはこの後に、第4電源フィン604dが第4電源ホール603dから脱着される。
【0050】
前記のような方法によって、本発明は、静電チャック600がキャリアによって移動する間にも、持続的に電力を供給することができる。
次に、前記第1チャンバ731内に配される薄膜蒸着アセンブリ100について説明する。
【0051】
図8は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第1実施形態を概略的に図示した斜視図であり、図9は、図8の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側面図であり、図10は、図8の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平面図である。
【0052】
図8ないし図10を参照すれば、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150を含む。
【0053】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150を通過し、基板500に所望のパターンで蒸着させようとするならば、基本的には、第1チャンバ731の内部は、FMM(fine metal mask)蒸着方法と同じ高真空状態を維持しなければならない。また、パターニングスリット・シート150の温度が蒸着源110の温度より十分に低くなければならない(約100゜以下)。なぜならば、パターニングスリット・シート150の温度が十分に低くあってこそ、温度によるパターニングスリット・シート150の熱膨張問題を最小化できるからである。
【0054】
かような第1チャンバ731内には、被蒸着体である基板500が配される。前記基板500は、平板表示装置用の基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラス(mother glass)のような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリ100に対して相対移動しつつ蒸着が進められることを1つの特徴とする。
【0055】
詳細には、既存FMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されなければならない。従って、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、これによって、FMM製作が容易ではなく、FMMを引っ張って精密なパターンにアライン(align)するのも、容易ではないという問題点が存在した。
【0056】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、薄膜蒸着アセンブリ100と基板500とが互いに相対移動しつつ蒸着がなされることを1つの特徴とする。換言すれば、薄膜蒸着アセンブリ100と対面するように配された基板500がY軸方向に沿って移動しつつ、連続的に蒸着を行わせるのである。すなわち、基板500が図8の矢印A方向に移動しつつ、スキャニング(scanning)方式で蒸着が行われるのである。
【0057】
本発明の薄膜蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリット・シート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うために、パターニングスリット・シート150のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板500の長さよりはるかに小さく形成されうるのである。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリット・シート150を設けることができるために、本発明のパターニングスリット・シート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリット・シート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り及び溶接、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリット・シート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。またこれは、ディスプレイ装置が大型化されるほど、さらに有利になる。
【0058】
一方、チャンバ内で、前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化されることによって、基板500に蒸着がなされる。
【0059】
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、ルツボ112を加熱させてルツボ112の内部に充填された蒸着物質115をルツボ112の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側に蒸発させるための冷却ブロック111とを含む。冷却ブロック111は、ルツボ112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバ内部に発散されることを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、ルツボ112を加熱させるヒータ(図示せず)が含まれている。
【0060】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110から基板500に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、Y軸方向、すなわち基板500のスキャン方向に沿って、複数個の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数個の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、かかる蒸着源ノズル部120を通過して、被蒸着体である基板500側に向かうことになるのである。このように、蒸着源ノズル部120上に、Y軸方向、すなわち基板500のスキャン方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される場合、パターニングスリット・シート150のそれぞれのパターニングスリット151を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル121の1つのサイズにのみ影響されるので(すなわち、X軸方向には、蒸着源ノズル121が一つだけ存在するので)、陰影(shadow)が発生しないのである。また、多数個の蒸着源ノズル121がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が発生しても、その差が相殺され、蒸着均一度が一定に維持されるという効果を得ることができる。
【0061】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリット・シート150及びフレーム155がさらに備わる。フレーム155は、ほぼ窓枠のような形態で形成され、その内側に、パターニングスリット・シート150が結合される。そして、パターニングスリット・シート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニングスリット151が形成される。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150を通過し、被蒸着体である基板500側に向かうのである。このとき、前記パターニングスリット・シート150は、従来のFMM、特にストライプ型(stripe type)のマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを介して製作されうる。このとき、蒸着源ノズル121の総個数よりパターニングスリット151の総個数がさらに多く形成されうる。
【0062】
一方、前述の蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリット・シート150は、互いに一定程度離隔されるように形成され、蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリット・シート150は、第1連結部材135によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150が第1連結部材135によって連結され、互いに一体に形成されうるのである。ここで、第1連結部材135は、蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、第1連結部材135が蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150の左右方向にのみ形成され、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは、図示の便宜のためのものであり、本発明の思想は、これに制限されるものではなく、第1連結部材135がボックス状の密閉型に形成され、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向の移動を同時にガイドすることもできる。
【0063】
前述のように、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、基板500に対して相対移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着アセンブリ100が基板500に対して相対移動するために、パターニングスリット・シート150は、基板500から一定程度離隔されるように形成される。
【0064】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないように、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。従って、ディスプレイ装置が大型化することによって、マスクのサイズも大きくならなければならないが、かかる大型マスクを形成することが容易ではないという問題点が存在した。
【0065】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、パターニングスリット・シート150が、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔されるように配されるようにするのである。
【0066】
かかる本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行うことにより、マスク製作が容易になるという効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止するという効果を得ることができる。また工程で、基板とマスクとを密着させる時間が不要になるために、製造速度が速くなるという効果を得ることができる。
【0067】
図11は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第2実施形態を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第2実施形態による薄膜蒸着アセンブリは、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット・シート150を含む。ここで、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、ルツボ112を加熱させてルツボ112の内部に充填された蒸着物質115を蒸着源ノズル部120側に蒸発させるための冷却ブロック111とを含む。一方、蒸着源110の一側には、蒸着源ノズル部120が配され、蒸着源ノズル部120には、Y軸方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される。一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリット・シート150及びフレーム155がさらに備わり、パターニングスリット・シート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニングスリット151が形成される。そして、蒸着源110及び蒸着源ノズル部120とパターニングスリット・シート150は、第1連結部材135によって結合される。
【0068】
本実施形態では、蒸着源ノズル部120に形成された複数個の蒸着源ノズル121が、所定角度チルト(tilt)されて配されるという点で、前述の薄膜蒸着アセンブリの第1実施形態と区別される。詳細には、蒸着源ノズル121は、2列の蒸着源ノズル121a,121bからなり、前記2列の蒸着源ノズル121a,121bは、互いに交互に配される。このとき、蒸着源ノズル121a,121bは、XZ平面上で、所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0069】
本実施形態では、蒸着源ノズル121a,121bを、所定角度チルトされように配する。ここで、第1列の蒸着源ノズル121aは、第2列の蒸着源ノズル121bを向くようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル121bは、第1列の蒸着源ノズル121aを向くようにチルトされる。換言すれば、左側列に配された蒸着源ノズル121aは、パターニングスリット・シート150の右側端部を向くように配され、右側列に配された蒸着源ノズル121bは、パターニングスリット・シート150の左側端部を向くように配されうるのである。
【0070】
かかる構成によって、基板の中央及び終端部分での成膜厚の差が小さくなり、全体的な蒸着物質の厚みが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が上昇するという効果を得ることができる。
【0071】
図12は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第3実施形態を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第3実施形態による薄膜蒸着装置は、図8ないし図10で説明した薄膜蒸着アセンブリが複数個備わることを1つの特徴とする。換言すれば、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置は、赤色発光層(R)材料、緑色発光層(G)材料、青色発光層(B)材料が一度に放射されるマルチ蒸着源(multi source)を具備できるのである。
【0072】
詳細には、本実施形態は、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300を含む。かかる第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300それぞれの構成は、図8ないし図10で説明した薄膜蒸着アセンブリと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0073】
ここで、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300の蒸着源には、互いに異なる蒸着物質が備わりうる。例えば、第1薄膜蒸着アセンブリ100には、赤色発光層(R)の材料になる蒸着物質が備わり、第2薄膜蒸着アセンブリ200には、緑色発光層(G)の材料になる蒸着物質が備わり、第3薄膜蒸着アセンブリ300には、青色発光層(B)の材料になる蒸着物質が備わりうる。
【0074】
すなわち、従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法では、各色相別に別途のチャンバとマスクとを具備することが一般的であったが、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置を利用すれば、1つのマルチソースで、赤色発光層(R)、緑色発光層(G)及び青色発光層(B)を一度に蒸着できる。従って、有機発光ディスプレイ装置の生産時間が画期的に短縮されると同時に、備えなければならないチャンバ数が減少することによって、設備コストもまた、顕著に節減されるという効果を得ることができる。
【0075】
この場合、図面には詳細に図示されていないが、第1薄膜蒸着アセンブリ100、第2薄膜蒸着アセンブリ200及び第3薄膜蒸着アセンブリ300のパターニングスリット・シートは、互いに一定程度オフセット(offset)されて配されることによって、その蒸着領域を重畳させないことが可能である。換言すれば、第1薄膜蒸着アセンブリ100が赤色発光層(R)の蒸着を担当し、第2薄膜蒸着アセンブリ200が緑色発光層(G)の蒸着を担当し、第3薄膜蒸着アセンブリ300が青色発光層(B)の蒸着を担当する場合、第1薄膜蒸着アセンブリ100のパターニングスリット151と、第2薄膜蒸着アセンブリ200のパターニングスリット251と、第3薄膜蒸着アセンブリ300のパターニングスリット351とが互いに同一線上に位置しないように配されることによって、基板上の互いに異なる領域に、それぞれ赤色発光層(R)、緑色発光層(G)、青色発光層(B)を形成させることができる。
【0076】
ここで、赤色発光層(R)の材料になる蒸着物質と、緑色発光層(G)の材料になる蒸着物質と、青色発光層(B)の材料になる蒸着物質は、互いに気化される温度が異なりうるので、前記第1薄膜蒸着アセンブリ100の蒸着源110の温度と、前記第2薄膜蒸着アセンブリ200の蒸着源の温度と、前記第3薄膜蒸着アセンブリ300の蒸着源の温度とが互いに異なるように設定されることも可能であると言える。
【0077】
一方、図面には、薄膜蒸着アセンブリが3個備わると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置は、薄膜蒸着アセンブリを多数個具備でき、前記多数個の薄膜蒸着アセンブリそれぞれに、互いに異なる物質を具備できる。例えば、薄膜蒸着アセンブリを5個具備し、それぞれの薄膜蒸着アセンブリに、赤色発光層(R)、緑色発光層(G)、青色発光層(B)、及び赤色発光層の補助層(R’)並びに緑色発光層の補助層(G’)を具備できる。
【0078】
このように、複数個の薄膜蒸着アセンブリを具備し、多数個の薄膜層を一度に形成できるようにすることによって、製造収率及び蒸着効率が向上するという効果を得ることができる。また、製造工程が簡単になり、製造コストが節減されるという効果を得ることができる。
【0079】
図13は、本発明の薄膜蒸着アセンブリの第4実施形態を概略的に図示した斜視図であり、図14は、図13の薄膜蒸着アセンブリの概略的な側断面図であり、図15は、図13の薄膜蒸着アセンブリの概略的な平断面図である。
【0080】
図13ないし図15を参照すれば、本発明の第4実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリ130及びパターニングスリット151を含む。
【0081】
ここで、図13ないし図15には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図13ないし図15のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
このようなチャンバ内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600によって移送される。前記基板500は、平板表示装置用基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0082】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリ100に対して相対移動するが、望ましくは、薄膜蒸着アセンブリ100に対して、基板500をA方向に移動させることができる。
【0083】
前述の第1実施形態のように、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリット・シート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリ100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うために、パターニングスリット・シート150のX軸方向への幅、及び基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成すれば、パターニングスリット・シート150のY軸方向の長さは、基板500の長さよりはるかに小さく形成されても差し支えないのである。もちろん、パターニングスリット・シート150のX軸方向への幅が、基板500のX軸方向への幅より小さく形成されても、基板500と薄膜蒸着アセンブリ100との相対移動によるスキャニング方式によって、十分に基板500全体に対して蒸着が可能である。
【0084】
このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリット・シート150を設けることができるために、本発明のパターニングスリット・シート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリット・シート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り及び溶接の作業、移動及び洗浄の作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリット・シート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほど、さらに有利になる。
【0085】
一方、第1チャンバ内で、前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
前記蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ112と、このルツボ112を覆い包む冷却ブロック111とが備わる。冷却ブロック111は、ルツボ112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバ内部に発散することを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、ルツボ111を加熱させるヒータ(図示せず)が含まれている。
【0086】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110から基板500に向かる側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数個の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数個の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、かかる蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過し、被蒸着体である基板500側に向かう。
【0087】
蒸着源ノズル部120の一側には、遮断板アセンブリ130が備わる。前記遮断板アセンブリ130は、複数個の遮断板131と、遮断板131の外側に備わる遮断板フレーム132とを含む。前記複数個の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配されうる。ここで、前記複数個の遮断板131は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面で見たとき、YZ平面に沿って延びており、望ましくは、直方形に備わりうる。このように配された複数個の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット150との間の空間を、複数個の蒸着空間Sに区画する。すなわち、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、前記遮断板131によって、図15から分かるように、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に、蒸着空間Sが分離される。
【0088】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121間に配されうる。これは換言すれば、互いに隣接している遮断板131間に、1つの蒸着源ノズル121が配される。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置しうる。しかし本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、互いに隣接している遮断板131間に、複数の蒸着源ノズル121が配してもよい。ただし、この場合にも、複数の蒸着源ノズル121を、互いに隣接している遮断板131間の真ん中に位置させることが望ましい。
【0089】
このように、遮断板131が、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット・シート150との間の空間を複数個の蒸着空間Sに区画することによって、1つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板500に蒸着される。すなわち、前記遮断板131は、各蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質が、分散されずに直進性を維持するように、蒸着物質のX軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0090】
このように、遮断板131を具備して蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮めることができ、従って、薄膜蒸着アセンブリ100と基板500とを一定程度離隔させることが可能になる。これについては、後ほど詳細に記述する。
【0091】
一方、前記複数個の遮断板131の外側には、遮断板フレーム132がさらに備わりうる。遮断板フレーム132は、複数個の遮断板131の側面にそれぞれ備わり、複数個の遮断板131の位置を固定すると同時に、蒸着源ノズル121を介して排出される蒸着物質を、Y軸方向に分散させないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0092】
前記蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130は、一定程度離隔されることが望ましい。これにより、蒸着源110から発散される熱が遮断板アセンブリ130に伝導されることを防止できる。しかし、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリ130とが結合されて接触することが可能である。
【0093】
一方、前記遮断板アセンブリ130は、薄膜蒸着アセンブリ100から着脱自在に形成されうる。本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、遮断板アセンブリ130を利用して蒸着空間を外部空間と分離したので、基板500に蒸着されていない蒸着物質は、ほとんど遮断板アセンブリ130内に蒸着される。従って、遮断板アセンブリ130を薄膜蒸着アセンブリ100から着脱自在に形成し、長時間の蒸着後に、遮断板アセンブリ130に蒸着物質が多く溜まるようになれば、遮断板アセンブリ130を薄膜蒸着アセンブリ100から分離し、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。かかる構成を介して、蒸着物質リサイクル率を高めることによって、蒸着効率が向上し、製造コストが節減されるという効果を得ることができる。
【0094】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリット・シート150及びフレーム155がさらに備わる。前記フレーム155は、ほぼ窓枠のような形態に形成され、その内側に、パターニングスリット・シート150が結合される。そして、パターニングスリット・シート150には、X軸方向に沿って複数個のパターニングスリット151が形成される。各パターニングスリット151は、Y軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化されて蒸着源ノズル121を通過した蒸着物質115は、パターニングスリット151を通過して、被蒸着体である基板500側に向かう。
【0095】
前記パターニングスリット・シート150は、金属薄板により形成され、引っ張られた状態でフレーム155に固定される。前記パターニングスリット151は、ストライプ型(stripe type)で、パターニングスリット・シート150にエッチングを介して形成される。
【0096】
ここで、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、蒸着源ノズル121の総個数より、パターニングスリット151の総個数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2枚の遮断板131間に配された蒸着源ノズル121の個数より、パターニングスリット151の個数がさらに多く形成される。前記パターニングスリット151の個数は、基板500に形成される蒸着パターンの個数に対応させることが望ましい。
【0097】
一方、前述の遮断板アセンブリ130とパターニングスリット・シート150は、互いに一定程度離隔されるように形成され、遮断板アセンブリ130とパターニングスリット・シート150は、別途の第2連結部材133によって互いに連結されうる。詳細には、高温状態の蒸着源110によって、遮断板アセンブリ130の温度は、最大100℃以上上昇するために、上昇した温度の遮断板アセンブリ130の熱が、パターニングスリット・シート150に伝導されないように、遮断板アセンブリ130とパターニングスリット・シート150とを一定程度離隔させる。
【0098】
前述のように、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100は、基板500に対して相対移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着アセンブリ100が基板500に対して相対移動するために、パターニングスリット・シート150は、基板500から一定程度離隔されるように形成される。そして、パターニングスリット・シート150と基板500とを離隔させる場合、発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット・シート150との間に遮断板131を具備し、蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮小させることができる。
【0099】
従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないように、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触によって、基板にすでに形成されていたパターンが引っかかれるような不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されなければならない。従って、ディスプレイ装置が大型化されることによって、マスクのサイズも大きくならなければならないが、かかる大型マスクを形成することが容易ではないという問題点が存在した。
【0100】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着アセンブリ100では、パターニングスリット・シート150を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔されるように配する。これは、遮断板131を具備し、基板500に生成される陰影を小さくすることによって実現可能になる。
【0101】
かかる本発明によって、パターニングスリット・シートを基板より小さく形成した後、このパターニングスリット・シートを基板に対して相対移動させることによって、従来のFMM方法のように、大きいマスクを製作しなければならない必要がなくなった。また、基板とパターニングスリット・シートとの間が離隔されているために、相互接触による不良を防止するという効果を得ることができる。また工程で、基板とパターニングスリット・シートとを密着させる時間が不要となるために、製造速度が速まるという効果を得ることができる。
【0102】
以上で説明したような薄膜蒸着アセンブリ100は、図1から分かるように、第1チャンバ731内に複数個が連続して配されうる。その場合、各薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400は、互いに異なる蒸着物質を蒸着することができ、このとき、各薄膜蒸着アセンブリ100,200,300,400のパターニングスリットのパターンを互いに異なるパターンにし、例えば、赤色、緑色、青色の画素を一括蒸着するような成膜工程を進められる。
【0103】
図16は、本発明の蒸着装置を利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を図示したものである。
図16を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置は、基板30上に形成される。前記基板30は、透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材から形成されうる。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0104】
前記絶縁膜31上には、図16から分かるような薄膜トランジスタ(TFT)40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。
前記絶縁膜31の上面には、所定パターンで配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め込まれている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で具現しうる。
【0105】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41と対応するところ、TFT 40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように、層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングのようなエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングし、コンタクトホールを形成させ、前記活性層41の一部を露出させる。
【0106】
その次に、前記層間絶縁膜33上に、ソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを介して露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように、保護膜34が形成され、エッチング工程を介して、前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために、別途の絶縁膜をさらに形成することもできる。
【0107】
一方、前記有機発光素子60は、電流の流れによって、赤色、緑色、青色の光を発光し、所定の画像情報を表示するためのものとして、前記保護膜34上に、第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT 40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0108】
そして、前記第1電極61を覆うように、画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に、所定の開口64を形成した後、この開口64によって限定された領域内に、有機発光膜63を形成する。有機発光膜63上には、第2電極62を形成する。
【0109】
前記画素定義膜35は、各画素を区画するものであり、有機物によって形成され、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
前記第1電極61と第2電極62は、互いに絶縁されており、有機発光膜63に互いに異なる極性の電圧を加え、発光を行わせる。
【0110】
前記有機発光膜63は、低分子または高分子の有機物が使われるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが、単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして、多様に適用可能である。それら低分子有機物は、図1ないし図15に示されているような蒸着装置を利用し、真空蒸着法で形成されうる。
【0111】
まず、画素定義膜35に開口64を形成した後、この基板30を、図1のように、第1チャンバ731内に移送する。そして、第1蒸着源と第2蒸着源とに目標有機物を収納した後、蒸着する。このとき、ホストとドーパントとを同時に蒸着させる場合には、第1蒸着源と第2蒸着源とに、それぞれホスト物質とドーパント物質とを収納して蒸着させる。
かような有機発光膜を形成した後には、第2電極62を、やはり同じ蒸着工程で形成できる。
【0112】
一方、前記第1電極61は、アノード電極の機能を行い、前記第2電極62は、カソード電極の機能を行えるが、該第1電極61と第2電極62との極性が反対になってもよいことは、言うまでもない。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、あらゆる画素を覆うように形成されうる。
【0113】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極として備えうるが、透明電極として使われるときには、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnO、またはInにおって備わり、反射型電極として使われるときには、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びそれらの化合物でもって反射層を形成した後、その上に、ITO、IZO、ZnO、またはInで透明電極層を形成できる。かような第1電極61は、スパッタリング法などによって成膜された後、フォトリソグラフィ法などによってパターニングされる
【0114】
一方、前記第2電極62も、透明電極または反射型電極として備わりうるが、透明電極として使われるときには、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数が小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びそれらの化合物が有機発光膜63の方向に向かうように蒸着された後、その上に、ITO、IZO、ZnO、またはInなどで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われるときには、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びそれらの化合物を全面蒸着して形成する。このとき、蒸着は、前述の有機発光膜63の場合と同じ方法で行うことができる。
【0115】
本発明は、これ以外にも、有機TFTの有機膜または無機膜などの蒸着にも使用でき、その他多様な素材の成膜工程に適用可能である。
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。
【符号の説明】
【0116】
100 薄膜蒸着アセンブリ(第1薄膜蒸着アセンブリ)
110 蒸着源
111 冷却ブロック
112 ルツボ
115 蒸着物質
120 蒸着源ノズル部
121 蒸着源ノズル
130 遮断板アセンブリ
131 遮断板
132 遮断板フレーム
133 第2連結部材
135 第1連結部材
150 パターニングスリット・シート
151,251,351 パターニングスリット
155 フレーム
200 第2薄膜蒸着アセンブリ
300 第3薄膜蒸着
400 第4薄膜蒸着アセンブリ
500 基板
600 静電チャック
601 本体
602 電極
603a 第1電源ホール
603b 第2電源ホール
603c 第3電源ホール
603d 第4電源ホール
603e 第5電源ホール
604a 第1電源フィン
604b 第2電源フィン
604c 第3電源フィン
604d 第4電源フィン
604e 第5電源フィン
605 支持面
610 第1循環部
611 第1キャリア
613 第1支持台
614 第2支持台
615 移動台
616 第1駆動部
617 ローラ
618 第2駆動部
620 第2循環部
621 第2キャリア
623 第3支持台
710 ローディング部
712 第1ラック
714 導入ロボット
716 導入室
718 第1反転室
719 第1反転ロボット
720 アンローディング部
722 第2ラック
724 搬出ロボット
726 搬出室
728 第2反転室
729 第2反転ロボット
730 蒸着部
731 第1チャンバ
732 第2チャンバ
733 チャンバドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被蒸着用基板と接し、前記基板を支持する支持面を有する本体と、前記本体に内蔵され、前記支持面に静電気力を生成させる電極と、前記電極が開放されるように形成され、前記本体の互いに異なる位置に備わった複数の電源ホールと、を含む静電チャックと、
真空に維持される複数のチャンバと、
前記チャンバのうち少なくとも1つの内部に配され、前記基板と所定間隔離隔され、前記静電チャックに支持された基板に薄膜を蒸着する少なくとも1つの薄膜蒸着アセンブリと、
前記静電チャックを、前記チャンバを通過するように移動させるキャリアと、
前記電源ホールのうち一つに着脱自在に備わり、前記電極に電源を提供するものであり、前記キャリアによる静電チャックの移動経路の上流に位置する第1電源フィンと、
前記電源ホールのうち他の一つに着脱自在に備わり、前記電極に電力を提供するものであり、前記キャリアによる静電チャックの移動経路のうち、前記第1電源フィンに比べて下流に位置する第2電源フィンと、を含む薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記第1電源フィンと第2電源フィンは、互いに異なるチャンバに位置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記チャンバのうち少なくとも一つには、前記基板を支持した静電チャックを裏返しにする反転ロボットが位置し、
前記反転ロボットには、前記電源ホールのうち一つに着脱自在に備わり、前記電極に電力を提供する第3電源フィンが備わったことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記キャリアは、
前記チャンバを貫通するように配設される支持台と、
前記支持台上に配され、前記静電チャックのエッジを支持する移動台と、
前記支持台と移動台との間に介在され、前記移動台を前記支持台に沿って移動させる駆動部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記薄膜蒸着アセンブリは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリット・シートと、を含み、
前記基板が前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、前記蒸着物質の移動経路をガイドする連結部材によって連結され、一体に形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シート間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記複数個の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルは、互いに対面する方向にチルトされていることを特徴とする請求項8に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、
前記2列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリット・シートの第2側端部を向くように配され、
前記2列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリット・シートの第1側端部を向くように配されることを特徴とする請求項8に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記薄膜蒸着アセンブリは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニングスリットが配されるパターニングスリット・シートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間に前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数個の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、
前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、
前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板は、互いに相対移動することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記複数個の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延長するように形成されたことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記遮断板アセンブリは、複数個の第1遮断板を具備する第1遮断板アセンブリと、複数個の第2遮断板を具備する第2遮断板アセンブリと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数個の第1遮断板及び前記複数個の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に沿って延長するように形成されたことを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記複数個の第1遮断板及び前記複数個の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項14に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記蒸着源と前記遮断板アセンブリは、互いに離隔されたことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記遮断板アセンブリと前記パターニングスリット・シートは、互いに離隔されたことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
被蒸着用基板と接し、前記基板を支持する支持面を有する本体と、前記本体に内蔵され、前記支持面に静電気力を生成させる電極と、前記電極が開放されるように形成され、前記本体の互いに異なる位置に備わった複数の電源ホールと、を含む静電チャックで前記基板を固定させる段階と、
前記基板が固定された静電チャックを、真空に維持される複数のチャンバを通過するように移送する段階と、
前記静電チャックの移動経路の上流に位置した第1電源フィンを前記電源ホールのうち一つに挿入し、前記静電チャックに電力を提供する段階と、
前記静電チャックの移動経路のうち、前記第1電源フィンに比べて下流に位置した第2電源フィンを前記電源ホールのうち他の一つに挿入し、前記静電チャックに電力を提供する段階と、
前記第1電源フィンを前記電源ホールから脱着させる段階と、
前記チャンバのうち少なくとも1つの内部に配された薄膜蒸着アセンブリを利用し、前記基板を固定した静電チャックと前記薄膜蒸着アセンブリとの相対移動によって、前記基板に有機膜を蒸着する段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1電源フィンと第2電源フィンは、互いに異なるチャンバに位置し、
前記第2電源フィンの挿入と前記第1電源フィンの脱着とが同時になされることを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記チャンバのうち少なくとも一つには、前記基板を支持した静電チャックを裏返しにする反転ロボットが位置し、
前記反転ロボットに備わった第3電源フィンを前記電源ホールのうち一つに挿入する段階と、
前記第3電源フィンを前記電源ホールから脱着する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記薄膜蒸着アセンブリは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数個のパターニングスリットが形成されるパターニングスリット・シートと、を含み、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリット・シートは、一体に形成され、
前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記基板が前記薄膜蒸着アセンブリに対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着がなされることを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項22】
前記薄膜蒸着アセンブリは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個のパターニングスリットが配されるパターニングスリット・シートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間に前記第1方向に沿って配され、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリット・シートとの間の空間を複数個の蒸着空間に区画する複数個の遮断板を具備する遮断板アセンブリと、を含み、
前記薄膜蒸着アセンブリは、前記基板と離隔されるように配され、蒸着が進められる間、前記薄膜蒸着アセンブリと前記基板とが互いに相対移動することによって、基板に対する蒸着がなされることを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−42874(P2011−42874A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181887(P2010−181887)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】