説明

薬剤包装装置

【課題】包装シートの装填作業が容易に行えるとともに、分包速度の向上をも図ることのできる薬剤包装装置を提供する。
【解決手段】長さ方向に沿って二つ折りされた長尺の包装シートをその長さ方向に連続的に移送しながら縦シール装置によって幅方向に順次熱融着して上部が開口した区画室を形成し、この区画室の上部開口部から薬剤投入用ホッパ12の薬剤投入口12aを挿入し、この薬剤投入用ホッパ12から薬剤が投入された後に区画室の上部開口部を横シール装置にて連続的に熱融着する。ここで、薬剤の分包作業中に薬剤投入口12aが常に包装シートとオーバーラップする位置に来るように薬剤投入用ホッパ12の上昇を抑制する上昇抑制板41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散剤もしくは錠剤等の薬剤を包装袋等の薬剤収納体内に1回服用分ずつ分割包装する薬剤包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、散剤もしくは錠剤等の薬剤を所要量ずつ分割包装する薬剤包装装置として、上部に散剤供給部と錠剤供給部とが配されるとともに、下部にそれら各供給部から落下供給される薬剤を投入するホッパが配され、このホッパの下方に薬剤を包装シートにて1包ずつ分割包装する包装装置が配されてなる構造のものが知られている。
【0003】
この種従来の薬剤包装装置において、薬剤を分割包装する包装装置の一例として、図8(a)に示されている構造のものがある。この図8(a)に示される装置では、予め長さ方向に沿って二つ折りされた長尺の包装シート100をロール状に巻回してなる包装シートロールからその包装シート100を順次繰り出すようにし、この包装シート100をその長さ方向(矢印B方向)に間欠的に移送しながら、熱板よりなる縦シール部にて幅方向に熱融着して順次縦シール101を形成し、互いに隣接する縦シール101,101にて形成される上部が開口した区画室102内に上方から薬剤投入用ホッパ103の薬剤投入口103aを挿入して薬剤を投入するようにし、この薬剤の投入後に区画室102の上部開口部を横シール部によって連続的に熱融着して横シール104を形成するように構成されている。ここで、薬剤投入用ホッパ103は、矢印Cで示されているように、区画室102内に薬剤を投入する際には下方へ移動して薬剤の落下距離が短くなるようにされ、薬剤投入後には上方へ移動して包装シート100の移動時に縦シール101が薬剤投入用ホッパ103に干渉しないようにされている。
【0004】
また、包装装置の他の例として、図8(b)に示されている構造のものも知られている。この図8(b)に示される装置では、包装シートロールから繰り出される包装シート110を移送方向に沿って二つ折りする折り目形成体111が設けられ、この折り目形成体111の下流側に固定式の薬剤投入用ホッパ112が設けられ、そのさらに下流側に、包装シート110に横シール113と縦シール114とを連続的に形成する加熱ロールよりなるヒートシール装置が設けられている。こうして、ヒートシール装置により横シール113と縦シール114とで区画室115が形成される前に、薬剤投入用ホッパ112からその区画室115内に薬剤が投入されて連続的に包装体が形成されるようになっている。
【0005】
しかしながら、前記前者(図8(a))のような包装装置の構造では、薬剤投入用ホッパ103を上下動させるために、この薬剤投入用ホッパ103の下動時、言い換えれば区画室102内への薬剤の投入時に、包装シート100が静電気を帯びて密着状態になって薬剤投入用ホッパ103がスムーズに挿入できず、これが分包速度の向上を図る上でのネックになってしまうという問題点がある。
【0006】
一方、前記後者(図8(b))に記載の包装装置の構造においては、包装シートの連続送りが可能となって、分包速度についての上述の問題点を解消することができる。ところが、この構造では、薬剤投入用ホッパ112が固定式であること、ヒートシール装置が大型化すること、さらには包装シート110を移送途中で二つ折りする必要があること等によって、包装シートロールを交換した後に新たに包装シート110を包装装置に装填する際に、この包装シート110を折り目形成体111や薬剤投入用ホッパ112に沿わせるとともに、ヒートシール装置内の狭い隙間に挿入する作業が必要であって、この装填作業が極めて困難になるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これら各従来技術の有する問題点を解消するためになされたもので、包装シートの装填作業が容易に行えるとともに、分包速度の向上をも図ることのできる薬剤包装装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、第1発明による薬剤包装装置は、
連続的に移送される多数の薬剤収納体内に薬剤を1回服用分ずつ分包する薬剤包装装置において、前記薬剤収納体の上部開口部から薬剤を投入する薬剤投入用ホッパと、この薬剤投入用ホッパを所定の薬剤投入位置に移動させるホッパ駆動手段と、前記薬剤投入用ホッパから薬剤が投入された後に前記薬剤収納体の上部開口部を閉鎖する閉鎖手段と、薬剤の分包作業中に前記薬剤投入口が常に前記薬剤収納体とオーバーラップする位置に来るように前記薬剤投入用ホッパの上昇を抑制する上昇抑制手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、第2発明による薬剤包装装置は、
長さ方向に沿って二つ折りされた長尺の包装シートをその長さ方向に連続的に移送しながら幅方向に順次熱融着して上部が開口した区画室を形成する縦シール部と、前記区画室の上部開口部からその薬剤を投入する薬剤投入用ホッパと、この薬剤投入用ホッパを所定の薬剤投入位置に移動させるホッパ移動手段と、前記薬剤投入用ホッパから薬剤が投入された後に前記区画室の上部開口部を連続的に熱融着する横シール部と、薬剤の分包作業中に前記薬剤投入口が常に前記包装シートとオーバーラップする位置に来るように前記薬剤投入用ホッパの上昇を抑制する上昇抑制手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
前記第2発明において、前記上昇抑制手段は、前記包装シートを移送経路に沿わせてセットする際に、前記薬剤投入用ホッパの上昇抑制を解除する位置に退避されるのが好ましい(第3発明)。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、薬剤の分包作業中に薬剤投入用ホッパの薬剤投入口が常に薬剤収納体とオーバーラップする位置に来るようにされており、薬剤投入口が薬剤収納体の上部開口部から挿入された状態で薬剤の投入がなされるので、薬剤の落下距離を最小距離にすることができて投入時の吹き上がりを防止することができる。また、薬剤収納体が静電気を帯びて密着状態にあっても確実に開口部を形成することができ、分包速度を遅くすることなく安定した調剤を実施することができる。
【0012】
第2発明によれば、薬剤の分包作業中に薬剤投入用ホッパの薬剤投入口が常に包装シートとオーバーラップする位置に来るようにされており、薬剤投入口が区画室の上部開口部から挿入された状態で薬剤の投入がなされるので、薬剤の落下距離を最小距離にすることができて投入時の吹き上がりを防止することができる。また、包装シートが静電気を帯びて密着状態にあっても確実に区画室に開口部を形成することができ、分包速度を遅くすることなく安定した調剤を実施することができる。
【0013】
また、第3発明の構成を採用すれば、包装シートロールの交換時等に予め二つ折り状態でその包装シートロールに巻回された包装シートを包装装置に装填する際、薬剤投入用ホッパを包装シートの移送経路から上方へ退避させた状態にすることができるので、この包装シートの装填作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明による薬剤包装装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る薬剤包装装置の概略構成図、図2は同薬剤包装装置におけるホッパ部の側面図、図3は薬剤投入用ホッパ並びにヒートローラの駆動機構を示す斜視図である。
【0016】
本実施例の薬剤包装装置においては、図示省略されているが、錠剤を所定分量ずつ落下供給する錠剤供給部と、散剤を所定分量ずつ落下供給する散剤供給部とが設けられ、これら錠剤供給部および散剤供給部の下方に、供給された錠剤および/または散剤を包装シートの所定の区画室内に分割包装する包装装置1が設けられている。
【0017】
この包装装置1は、一端部に、予め長さ方向に沿って二つ折りされた長尺の包装シート2をロール状に巻回してなる包装シートロール3を備え、この包装シートロール3から包装シート2が連続的に繰り出されるように構成されている。この包装シート2の移送経路には、上流側から順に、その包装シート2の表面に所要の印字を施す印字装置4と、印字後の包装シート2を幅方向に熱融着して隣接する熱融着部間に上部が開口した区画室を形成する縦シール装置(縦シール部)5と、この区画室の上部開口部から薬剤を投入するホッパ装置6と、このホッパ装置6から薬剤が投入された後に前記区画室の上部開口部を連続的に熱融着する横シール装置(横シール部)7と、この横シール装置7にて横シールが施された包装シート2の横シールの中央部にミシン目を施すカッタ装置8と、このカッタ装置8を通過後の包装シート2を排出部に送り出す送りローラ9が配されている。
【0018】
図2に示されているように、前記ホッパ装置6は、上段ホッパ10と下段ホッパ(薬剤投入用ホッパ)12との2段構造とされ、上段ホッパ10の下部開口部にはシャッタ板13が設けられていて、このシャッタ板13が回転カム14の操作により開閉できるようにされている。また、下段ホッパ12の下部に設けられる薬剤投入口12aは、後述するように、縦シール装置5により包装シート2の前後に形成されたシール部間の区画室内に挿入可能とされ、これによって、薬剤を確実に区画室内に投入できるようにされている。こうして、上段ホッパ10のシャッタ板13の開閉操作により錠剤および/または散剤の落下タイミングを取りつつ、下段ホッパ12を介してその下段ホッパ12の薬剤投入口12aから下方を通過する包装シート2の区画室内にそれら錠剤および/または散剤が供給されるようになっている。
【0019】
前記下段ホッパ12は、包装シート2の送り動作に合わせてその包装シート2と略同一平面内で円運動を行うように構成されている。図3に示されているように、前記下段ホッパ12、縦シール装置5のヒートローラ5aと横シール装置7のヒートローラ7a、および送りローラ9は、単一のモータ15の駆動力をそれぞれ歯車伝達機構等を介して伝達されることで駆動される。
【0020】
すなわち、モータ15の出力軸には第1の平歯車機構16およびクラッチ17を介して第1の伝動軸18が連結され、この第1の伝動軸18の回転がベベルギアを介してそれに直交する第1の送りローラ駆動軸19に伝達されるとともに、この第1の送りローラ駆動軸19の回転が第2の平歯車機構20を介して第2の送りローラ駆動軸21に伝達され、これによって互いに対向配置される2対の送りローラ9,9によって包装シート2の上端縁が把持されてその包装シート2が前方へ送られるようになっている。
【0021】
また、前記クラッチ17には前記第1の伝動軸18とともに駆動される第3の平歯車機構22が連結されてその回転が第2の伝動軸23に伝達され、さらにその第2の伝動軸23の回転がそれに直交する横シール装置7の第1回転軸24に伝達されるとともに、この第1回転軸24の回転が第4の平歯車機構25を介して第2回転軸26に伝達され、これによって互いに対向配置される1対のヒートローラ7a,7aにより包装シート2の上縁部近傍が連続的に熱融着されるようになっている。
【0022】
また、前記第1回転軸24の回転はベベルギアを介してそれに直交する第3の伝動軸27に伝達され、さらにその第3の伝動軸27の回転はベベルギアを介してそれに直交する縦シール装置5の第1回転軸28に伝達されるとともに、この第1回転軸28の回転が第5の平歯車機構29を介して第2回転軸30に伝達され、これによって互いに対向配置される1対のヒートローラ5a,5aにより包装シート2が幅方向に所定間隔毎に連続的に熱融着されるようになっている。なお、第1回転軸24および第2回転軸26の下部には第4の平歯車機構25とは別個の平歯車機構25Aが設けられ、同様に第1回転軸28および第2回転軸30の下部には第5の平歯車機構29とは別個の平歯車機構29Aが設けられている。これら平歯車機構25A,29Aは、当該包装装置1による包装作業時には噛合されておらず、包装シート2の装着時に、装置の前側のヒートローラ5a,7aを前方へ倒伏させて第4の平歯車機構25および第5の平歯車機構29の噛合状態が解除されたときに噛合されるように構成されている。このようにされているので、装置の前側のヒートローラ5a,7aを前方へ倒伏させて一対のヒートローラ5a,5a;7a,7a間へ上方から包装シート2を装着する際に、これら平歯車機構25A,29Aによって各ヒートローラ5a,5a;7a,7aを駆動してその包装シート2の装着および清掃を容易に行うことが可能であり、また通常動作用とメンテナンス用とにギアを分けているため、ギアに余分な負荷がかからず、劣化を防止することができる。
【0023】
一方、前記第3の平歯車機構22には第6の平歯車機構31が連結されるとともに、この第6の平歯車機構31には互いに平行配置される第4の伝動軸32および第5の伝動軸33が連結され、各伝動軸32,33が同方向に回転されることでそれら回転がそれぞれホッパ回転用カム34,35に伝達されて下段ホッパ12が円運動を行うようになっている。
【0024】
次に、この下段ホッパ12の回転駆動機構(ホッパ駆動手段)の構造について、図4および図5を参照しつつより詳細に説明する。
【0025】
前記ホッパ回転用カム34(ホッパ回転用カム35についても同様の構造であるので、一方のみについて説明する。)は、全体として直方体形状とされ、その上半部に後方側から第4の伝動軸32が嵌合されて固定されている。このホッパ回転用カム34の下半部には前後を貫通する矩形状の長孔36が穿設され、この長孔36内にはその長孔36の内面に沿って上下に摺動可能な摺動片37が嵌め込まれている。この摺動片37は2個の圧縮コイルバネ38,38によって常時下方へ向けて付勢され、長孔36の下辺に当接した状態を保持している。この摺動片37には軸体39が一体的に固定され、この軸体39の前端部が取付けブラケット40を介して前記下段ホッパ12の背面部に固着されている。こうして、第4の伝動軸32および第5の伝動軸33が回転すると、これら各伝動軸32,33の周りにホッパ回転用カム34,35がそれぞれ回転して軸体39,39の前端部に固着される下段ホッパ12が円運動(もしくは後述する截頭円形状の運動)を行う。
【0026】
前記ホッパ回転用カム34,35の上方には、下段ホッパ12の所定高さ以上の上昇を抑える上昇抑制機構(上昇抑制手段)が設けられている。この上昇抑制機構は、ホッパ回転用カム34,35の上方に配される上昇抑制板41と、この上昇抑制板41を上下方向に移動させるためのモータ42およびそのモータ42の往復駆動により揺動される2つの揺動体43,43とにより構成されている。このような構成において、上昇抑制板41が最下位置(図5(a)の実線位置)にあるときには、軸体39が上方位置まで回動した際にその軸体39の前部に被嵌されているローラ44が上昇抑制板41の下面に当接することにより、摺動片37,37が圧縮コイルバネ38,38の付勢力に抗して下方へ押し下げられ、下段ホッパ12の所定高さ以上の上昇が抑制されることになる。したがって、このときの軸体39の中心軸軌跡は、図5(a)の符号Pで示されるように截頭円形形状となる。一方、上昇抑制板41が最上位置(図5(a)の鎖線位置)にあるときには、軸体39が上方位置まで回動してもローラ44が上昇抑制板41の下面に当接することがないので、摺動片37,37が下方へ押し下げられることはなく、軸体39の中心軸軌跡は円形形状となる。ここで、前記上昇抑制板41は、包装シート2を移送経路に沿わせてセットして薬剤の分包作業を開始する際に最上位置まで上げられ、分包作業中は最下位置まで下げられる。なお、この上昇抑制板41が最下位置にあるときには、下段ホッパ12が最上昇位置にある場合でもその薬剤投入口12aの先端部が包装シート2とオーバーラップする位置(図7(a)のホッパ位置参照)にくるように前記上昇抑制板41の揺動ストロークが設定されている。
【0027】
図6に示されているように、前記下段ホッパ12の下方には、包装シート2の吸引による開口部形成手段と、前記包装シート2の挟持によるシート押え手段とを兼ねる紙押え機構が配されている。この紙押え機構は、前記第3の伝動軸27(図3参照)からの動力により往復回動される揺動軸45を備え、この揺動軸45の揺動運動を互いに噛合する一対の扇形歯車46,47にて左右の各紙押え体48,48の揺動運動に変換することにより、これら紙押え体48,48の上端部を包装シート2に対して近接・離隔可能な構成とされている。各紙押え体48は、下段ホッパ12の薬剤投入口12aを跨ぐように配される略U字形の機体48aと、この機体48aの各上端部に内方へ向けて突設される円筒状の当接体48bとを有している。ここで、当接体48bは吸込みパイプ49に接続されており、この吸込みパイプ49を介して空気を吸引することでその当接体48bは包装シート2を吸着する役目もする。なお、この吸込みパイプ49は、図示されない散剤供給部におけるV枡もしくは分割枡の上部に配される清掃用の集塵器または手動用集塵器(標準的に装備されている)に接続され、バルブ等により切換えて使用されるのが好ましい。
【0028】
次に、前述の構成よりなる包装装置1の動作について説明する。
【0029】
まず、包装シート2を包装装置1に初期セットする際には、印字装置4における印字ローラ(図示せず)、縦シール装置5のヒートローラ5a、横シール装置7のヒートローラ7aおよび紙押え体48の当接体48b等の上部を開放した状態にして、包装シートロール3から包装シート2の先端部を引き出してその包装シート2をその移送経路の上方から装着する。このとき、上昇抑制板41は最上位置(図5(a)の鎖線位置)まで上げられた状態にあり、下段ホッパ12の薬剤投入口12aは包装シート2の上縁部と干渉しない位置にある。
【0030】
こうして包装シート2が所定位置にセットされると、印字ローラ、ヒートローラ5a,7a等を所定の動作位置に戻し、モータ15を駆動するとともに、図示されない吸引装置を作動させて吸込みパイプ49を介して当接体48bの先端より空気を吸引する。これにより各当接体48bが包装シート2の表面に近接する位置まで揺動されてそれら当接体48bによって二つ折り状態にある包装シート2の上縁部が吸着され、この吸着状態で互いに対向位置にある各当接体48bが離隔することで、包装シート2の上部が左右に剥がされて開口部が形成される。
【0031】
この動作に合わせて、下段ホッパ12が下方へ移動してその薬剤投入口12aの先端部が包装シート2の上部開口部から挿入され、この挿入動作に連動して前記吸引装置が非作動状態にされるとともに紙押え機構が包装シート2の挟持位置まで揺動される。また、上昇抑制機構におけるモータ42の作動によって上昇抑制板41が最下位置(図5(a)の実線位置)まで移動される。
【0032】
このように初期セットがなされた後は、錠剤供給部および/または散剤供給部から錠剤および/または散剤(以下、散剤が供給される場合についてのみ説明する。)が上段ホッパ10および下段ホッパ12を介して包装シート2の区画室内に供給されて分包作業が進められていく。
【0033】
この分包作業の手順が図7に示されている(なお、この図7では分包途中の段階における分包手順を示す。)。この分包に際しては、包装シート2をその長さ方向(矢印X方向)に連続的に移送しながら、縦シール装置5のヒートローラ5aによって所定間隔置きに包装シート2を幅方向に順次熱融着して縦シール部50,50を形成し、これら縦シール部50,50と包装シート2の折り曲げ部とによって上部が開口した区画室51を形成する。なお、縦シール部50は包装シート2の上縁部を若干残すようにして形成される。
【0034】
この区画室51内に下段ホッパ12が円運動を行いながら下降し、この下降動作に合わせてその区画室51内に散剤を投入する(図7(a)(b))。下段ホッパ12が最下降位置に達するときには散剤の投入作業は終了しており、以後下段ホッパ12は包装シート2の前進動作に合わせて前上方へ向かって移動する(図7(c)(d))。なお、この散剤の投入動作に連動して紙押え機構の当接体48bが包装シート2の挟持位置まで揺動し、散剤の投入動作時の吹き上がりによる飛散を抑える。
【0035】
続いて、下段ホッパ12が最上昇位置に達するのに合わせてその下段ホッパ12の上流側にある縦シール部50がその下段ホッパ12の下方を通過し、言い換えれば下段ホッパ12が隣接する区画室51上方の縦シール部50を跨ぐ位置まで移動し(図7(e)(f))、この後包装シート2の前進に伴なって下段ホッパ12が隣接区画室51の上方に移動する。次いで、この隣接区画室51への投入動作が開始される。また、既に散剤投入済みの区画室51の上縁部は横シール装置7のヒートローラ7aによって連続的に横シール部52が形成されて完全密封される。
【0036】
本実施例の包装装置1によれば、包装シート2の交換時に二つ折りされた包装シート2を包装装置1の上方から容易に装填することができ、図8(b)に示される従来装置のように、この包装シート装填に際してヒートシール装置の間や固定ホッパ装置下部の狭い隙間を通す必要がなく、装填作業を極めて簡素化することができる。また、図8(a)に示される従来装置のように、ホッパ下動の都度シート送りを停止させる必要がなく、包装シート2を連続送りすることができるので、分包速度の高速化を図ることができる。さらに、薬剤投入時にホッパからの薬剤落下距離を最小距離にすることができ、かつ紙押え機構によって包装シート2の上縁部が確実に挟持されるので、薬剤投入時の吹き上がりによる飛散を防止して安定した調剤を行うことができる。
【0037】
本実施例においては、縦シール装置5と横シール装置7とを連動して駆動するように構成したが、これら各シール装置5,7の駆動系統は分離することもできる。このように駆動系統を分離した場合には、縦シール装置5と横シール装置7の駆動タイミングを変えることでシール幅(区画室の幅)を自由に変えることができて好適である。
【0038】
本実施例において、開口部形成手段とシート押え手段とを兼ねる紙押え機構は、本実施例のようなホッパが円運動をするタイプの包装装置に装着できるのみならず、図8(a)に示されるような間欠駆動タイプの包装装置に装着しても所望の作用・効果を得ることができる。
【0039】
本実施例においては、包装シートの所要部を熱融着して薬剤収納用の区画室を形成するものについて説明したが、本発明のように薬剤投入用ホッパが円運動を行いつつ薬剤を投入する構造の薬剤包装装置は、薬剤収納体が互いに分離して連続的に供給される構造の装置に対しても適用することができる。このような装置に適用した場合にも、薬剤の落下距離を最小距離にすることができて投入時の吹き上がりを防止することができ、かつ薬剤収納体を連続送りすることができて分包速度の高速化を図ることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例に係る薬剤包装装置の概略構成図
【図2】本実施例の薬剤包装装置におけるホッパ部の側面図
【図3】薬剤投入用ホッパ並びにヒートローラの駆動機構を示す斜視図
【図4】ホッパ駆動機構の詳細構造を示す斜視図
【図5】ホッパ駆動機構の詳細構造を示す図であって、(a)は正面方向の部分断面図、(b)は(a)のA−A線断面図
【図6】紙押え機構を示す斜視図
【図7】分包手順を示す工程説明図
【図8】従来の包装装置を示す説明図
【符号の説明】
【0041】
1 包装装置
2 包装シート
3 包装シートロール
4 印字装置
5 縦シール装置(縦シール部)
5a ヒートローラ
6 ホッパ装置
7 横シール装置(横シール部)
7a ヒートローラ
12 下段ホッパ(薬剤投入用ホッパ)
12a 薬剤投入口
15 モータ
34,35 ホッパ回転用カム
36 長孔
37 摺動片
38 圧縮コイルバネ
41 上昇抑制板
48 紙押え体
49 吸込みパイプ
50 縦シール部
51 区画室
52 横シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に移送される多数の薬剤収納体内に薬剤を1回服用分ずつ分包する薬剤包装装置において、前記薬剤収納体の上部開口部から薬剤を投入する薬剤投入用ホッパと、この薬剤投入用ホッパを所定の薬剤投入位置に移動させるホッパ駆動手段と、前記薬剤投入用ホッパから薬剤が投入された後に前記薬剤収納体の上部開口部を閉鎖する閉鎖手段と、薬剤の分包作業中に前記薬剤投入口が常に前記薬剤収納体とオーバーラップする位置に来るように前記薬剤投入用ホッパの上昇を抑制する上昇抑制手段とを備えることを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
長さ方向に沿って二つ折りされた長尺の包装シートをその長さ方向に連続的に移送しながら幅方向に順次熱融着して上部が開口した区画室を形成する縦シール部と、前記区画室の上部開口部からその薬剤を投入する薬剤投入用ホッパと、この薬剤投入用ホッパを所定の薬剤投入位置に移動させるホッパ移動手段と、前記薬剤投入用ホッパから薬剤が投入された後に前記区画室の上部開口部を連続的に熱融着する横シール部と、薬剤の分包作業中に前記薬剤投入口が常に前記包装シートとオーバーラップする位置に来るように前記薬剤投入用ホッパの上昇を抑制する上昇抑制手段とを備えることを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項3】
前記上昇抑制手段は、前記包装シートを移送経路に沿わせてセットする際に、前記薬剤投入用ホッパの上昇抑制を解除する位置に退避される請求項2に記載の薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−113868(P2009−113868A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330816(P2008−330816)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願平10−266512の分割
【原出願日】平成10年9月21日(1998.9.21)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】