説明

薬液供給ユニット

【課題】浄化時間を短くして、効率よく必要な薬液を供給すること。
【解決手段】第1入力ポート28を有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁20と、第2入力ポート38を有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁30と、出力ポート15が設けられた流路ブロック11とを有する薬液供給ユニット10において、(a)第1薬液弁20と第2薬液弁30が、流路ブロック11に、対向して固設されていること、(b)流路ブロック11の、出力ポート15が設けられた面と直交して対向する二面に、第1入力ポート28と第2入力ポート38が設けられていること、(c)第1入力ポート28の中心線が、第1薬液弁20の弁体23の外周面231より外側に位置していること、(d)第2入力ポート38の中心線が、第2薬液弁30の弁体33の外周面より外側に位置している薬液供給ユニット10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1薬液用入力ポートを有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁と、第2薬液用入力ポートを有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁と、前記第1薬液弁、前記第2薬液弁、前記第1薬液用入力ポート、前記第2薬液用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有する薬液供給ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程においては、例えば、2種類のレジスト液(薬液)を切り換えて供給するために、薬液供給ユニットを使用している。薬液供給ユニットは、第1薬液用入力ポートを有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁と、第2薬液用入力ポートを有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁と、前記第1薬液弁、前記第2薬液弁、前記第1薬液用入力ポート、前記第2薬液用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有している。
第2薬液弁を閉じたまま第1薬液弁を開くことにより、第1薬液用入力ポートから、出力ポートに第1薬液が流れる。第1薬液の供給終了時には、第1薬液弁を閉じた後、シンナー等の浄化液を第1薬液用入力ポートから流し込むことにより、流路内に残存している第1薬液を浄化する。
次に、第1薬液弁を閉じたまま第2薬液弁を開くことにより、第2薬液用入力ポートから、出力ポートに第2薬液が流れる。第2薬液の供給終了時には、第2薬液弁を閉じた後、シンナー等の浄化液を第1薬液用入力ポートから流し込むことにより、流路内に残存している第1薬液を浄化する。
【0003】
上記薬液供給ユニットとして、特許文献1のガス供給ユニットがある。ガス供給ユニットは、第1ガス用入力ポートを有し第1ガスを供給する金属製の第1ガス弁と、第2ガス用入力ポートを有し第2ガスを供給する金属製の第2ガス弁と、第1ガス弁、第2ガス弁、第1ガス用入力ポート、第2ガス用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有し、さらに、第1ガス弁と第2ガス弁が、流路ブロックに、対向して固設されていること、流路ブロックの、出力ポートが設けられた面と直交して対向する二面に、第1ガス用入力ポートと第2ガス用入力ポートが設けられていること、が記載されている。
一方、特許文献2には、弁室内に滞留部を発生させないために、弁室の内壁を螺旋状に形成する弁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−095955号公報
【特許文献2】特開2002−310316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、次のような問題があった。
(1)特許文献1の技術は、ガスの供給装置であり、薬液の供給には直ぐに適用できなかった。すなわち、ガス弁等のガス供給装置は、金属製であるため、連結は、溶接やネジ締結を用いて容易である。それに対して、薬液弁は樹脂製であるため、溶接やネジ締結が困難である問題があった。
また、浄化液で流路ブロック内の流路を浄化するときに、滞留部が発生し、残存している全ての薬液を浄化、排出することに多くの時間がかかる問題があった。半導体製造プロセスでは、薬液の切換が頻繁に行われるため、一回の切り換えにかかる時間が長くなると、全体の製造時間が長くなり、コストアップする問題があったのである。
【0006】
(2)特許文献2には、流路を螺旋状に形成し、薬液の流れを弁体の外周に沿わせる技術が記載されている。
しかし、弁室の内壁を螺旋状に形成することは、加工に手間がかかり、コストアップする問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、2種類の薬液を切り換えながら供給するものであって、浄化時間を短くして、効率よく必要な薬液を供給することのできる薬液供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薬液供給ユニットは、以下の構成を有している。
(1)第1薬液用入力ポートを有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁と、第2薬液用入力ポートを有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁と、第1薬液弁、第2薬液弁、前記第1薬液用入力ポート、第2薬液用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有する薬液供給ユニットにおいて、(a)第1薬液弁と第2薬液弁が、流路ブロックに、対向して固設されていること、(b)流路ブロックの、出力ポートが設けられた面と直交して対向する二面に、第1薬液用入力ポートと第2薬液用入力ポートが設けられていること、(c)第1薬液用入力ポートの中心線が、第1薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、(d)第2薬液用入力ポートの中心線が、第2薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、を特徴とする。
【0009】
(2)(1)に記載する薬液供給ユニットにおいて、前記流路ブロック内に、2つの固定板が挿入されていること、前記固定板に、前記第1薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第1雌ネジ部と、前記第2薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第2雌ネジ部が形成されていること、を特徴とする。
【0010】
(3)(2)に記載する薬液供給ユニットにおいて、前記固定板の一方が、前記第1薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、前記固定板の他方が、前記第2薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する本発明の薬液供給ユニットは、以下のような作用、効果を奏する。
(1)第1薬液用入力ポートを有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁と、第2薬液用入力ポートを有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁と、第1薬液弁、第2薬液弁、前記第1薬液用入力ポート、第2薬液用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有する薬液供給ユニットにおいて、(a)第1薬液弁と第2薬液弁が、流路ブロックに、対向して固設されていること、(b)流路ブロックの、出力ポートが設けられた面と直交して対向する二面に、第1薬液用入力ポートと第2薬液用入力ポートが設けられていること、(c)第1薬液用入力ポートの中心線が、第1薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、(d)第2薬液用入力ポートの中心線が、第2薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、を特徴とするので、第1薬液の供給終了時に、第1薬液用入力ポートから浄化液を流したときに、第1薬液弁の弁室内壁面に沿って、浄化液が流れる。そのため、弁室内壁面に張り付いて残存している薬液を速やかに排出することができる。同様に、第2薬液の供給終了時に、第2薬液用入力ポートから浄化液を流したときに、第2薬液弁の弁室内壁面に沿って、浄化液が流れるため、弁室内壁面に張り付いて残存している薬液を速やかに排出することができる。これにより、浄化液が薬液を速やかに排出できるため、薬液の切り換え時間を短縮することができ、半導体のコストダウンを実現することができる。
【0012】
(2)(1)に記載する薬液供給ユニットにおいて、前記流路ブロック内に、2つの固定板が挿入されていること、前記固定板に、前記第1薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第1雌ネジ部と、前記第2薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第2雌ネジ部が形成されていること、を特徴とするので、第1薬液弁の弁座と、第2薬液弁の弁座とを近づけることができる。そのため、出力ポートに連通する出力流路の容積を小さくすることができ、浄化に要する時間をさらに短縮することができる。
すなわち、通常では、第1薬液弁をネジ締結するための4本のネジに対して、2個の固定板を用い、第2薬液弁をネジ締結するための4本のネジに対して、2個の固定板を用いているため、合計で4個の固定板を用いている。それに対して、本発明では、1個の固定板で、第1薬液弁締結用の2本のネジを締結すると共に、第2薬液弁締結用の2本のネジを締結しているので、合計2個の固定板により、第1薬液弁と第2薬液弁とを固定できる。4個の固定板を2個の固定板に減らすことができたことにより、2個分の固定板分のスペースを省くことができ、第1薬液弁の弁座と、第2薬液弁の弁座とを近づけることができたのである。
【0013】
(3)(2)に記載する薬液供給ユニットにおいて、前記固定板の一方が、前記第1薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、前記固定板の他方が、前記第2薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、を特徴とするので、上記(2)の効果に加えて、2個の固定板の空きスペースを有効に利用して配置できる。そのため、さらに、第1薬液弁の弁座と、第2薬液弁の弁座とを近づけることができることにより、出力ポートに連通する出力流路の容積を小さくすることができ、浄化に要する時間をさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における薬液供給ユニットの外観正面図である。
【図2】本実施形態における図1の薬液供給ユニットのAA断面図である。
【図3】本実施形態における薬液供給システムの回路図を示す。
【図4】本実施形態における図2に示す第1薬液弁のBB概念断面図である。
【図5】本実施形態における薬液供給ユニットの外観左側面図である。
【図6】本実施形態における薬液供給ユニットの外観背面図である。
【図7】本実施形態における薬液供給ユニットの外観上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の薬液供給ユニットについて説明する。
<薬液供給ユニットの全体構成>
図1に薬液供給ユニット10の外観正面図を示す。図2に図1に示す薬液供給ユニット10のAA断面図を示す。図5に薬液供給ユニット10の外観左側側面図を示す。図6に薬液供給ユニット10の外観背面図を示す。図7に薬液供給ユニット10の外観上面図を示す。
図1に示すように、薬液供給ユニット10は、出力ポート15を有する流路ブロック11、第1入力ポート27を有する第1薬液弁20、及び、第2入力ポート37を有する第2薬液弁30から構成される。第1薬液弁20は固定ネジ61及び62により流路ブロック11に一体的に組みつけられている。また、第2薬液弁30は、固定ネジ63及び64により流路ブロック11に一体的に組みつけられている。
【0016】
図2に示すように、流路ブロック11内には、出力ポート15と第1薬液弁20及び第2薬液弁30と連通する出力流路16が形成されている。出力流路16のうち第1薬液弁20と第2薬液弁30を直線で連通する流路部分を直線流路161とする。
第1薬液弁20には、第1薬液弁20に形成された弁室24と第1入力ポート27を連通する第1入力流路28が形成されている。
第2薬液弁30には、第2薬液弁30に形成された弁室34と第2入力ポート37を連通する第2入力流路38が形成されている。
【0017】
図1に示すように、流路ブロック11の正面側に出力ポート15が形成されている。流路ブロック11のうち出力ポート15が形成された正面側と直交して対向する左右方向の二面に第1入力ポート27及び第2入力ポート37が形成されている。他方、出力ポート15が形成された正面側と直交して対向する他の上下方向の二面には、第1薬液弁20及び第2薬液弁30が形成されている。
【0018】
図5及び図7に示すように、薬液供給ユニット10の背面には、薬液供給ユニット10を取り付けるための取付板80が固設されている。図6に示すように取付板80には2つのネジ穴が形成されているため、2つのネジを挿通させることにより、薬液供給ユニット10を固定することができる。
【0019】
<固定板の構成>
図1に示すように、流路ブロック11には直方体切欠き形状の第1挿入孔111が形成されており、第1挿入孔111には、金属製の直方体形状の固定板51が挿入固設されている。また、図1及び図5に示すように、流路ブロック11には直方体切欠き形状の第2挿入孔112が形成されており、第2挿入孔112には金属製の直方体形状の固定板52が挿入固設されている。図1に示すように、一対の固定板51、52は、流路ブロック11の正面側の出力ポート15を中心とした対角線上に形成されている。
本実施形態においては、固定版を金属製としたが、硬性の樹脂を用いることもできる。
【0020】
また、図5に示すように、固定板51の一端は流路ブロック11に固設されており、他端は取付板80が固設されている。
また、図1に示すように、固定板51は、流路ブロック11を挟んで第2入力ポート37に対向する裏面に固設されている。固定板52は、流路ブロック11を挟んで第1入力ポート27に対抗する裏面に固設されている。
【0021】
図5に示すように、固定板52は、流路ブロック11のうち出力ポート15が固設されている正面から取付板80が固設されている背面にかけて挿通する形の直方体形状である。図5に示すように固定板52には、雄ネジである固定ネジ62及び固定ネジ64と螺合する雌ネジ部521が形成されている。
なお、薬液供給ユニット10の右側面図は省略するが、右側面から見たとき固定板51は、固定板52と同様に流路ブロック11の正面から背面にかけて挿通する形で直方体形状である。また、図示しないが固定板51には、雄ネジである固定ネジ61及び固定ネジ63と螺合する雌ネジ部511が形成されている。
【0022】
本実施形態に示すように、固定板51に形成された一つの雌ネジ部511に対して固定ネジ61及び固定ネジ63を螺合させることができること、及び固定板52に形成された雌ネジ部521に対して固定ネジ62及び固定ネジ64を螺合させることができることにより、従来と比較して固定板の数を2つ減らすことができる。すなわち、従来では、固定ネジ61、62、63、64を固定するためそれぞれ固定板が必要とされていたため固定板を4つ必要としていた。しかし、本実施形態においては、固定板51及び固定板52に両側から螺合できる雌ネジ部511及び521を設けたため固定板を2つ減らすことができた。
【0023】
本実施形態に示すように、固定板を2つとすることにより、第1薬液弁20の弁座22と、第2薬液弁30の弁座32とを近づけることができる。すなわち、第1薬液弁20と第2薬液弁30の間に形成されていた固定板を2つ減らすことにより2つ分の固定板のスペースを省くことができ第1薬液弁20と第2薬液弁30を近づけることができるのである。その結果、図2に示すように出力ポート15に連通する出力流路16の容積を小さくすることができる(具体的には、出力流路16のうち弁座22と弁座32を結ぶ縦方向の流路部分を小さくすることができる)ため、出力流路16の浄化に要する時間をさらに短縮することができる。
【0024】
また、図1に示すように、固定板51が、流路ブロック11を挟んで第2入力ポート37に対向する裏面に形成された第1挿入孔111に挿入され、固定板52が、流路ブロック11を挟んで第1入力ポート27に対抗する裏面に形成された第2挿入孔112に挿入されていることにより、固定板51及び52を空きスペースを利用して配置できる。空きスペースを有効に利用して配置できることにより、さらに、第1薬液弁20の弁座22と、第2薬液弁30の弁座32とを近づけることができ、出力ポート15に連通する出力流路16のうち弁座22と弁座32を結ぶ直線流路161の容積を小さくすることができる。そのため、浄化に要する時間をさらに短縮することができる。
【0025】
<薬液弁の構成>
図2に示される第1薬液弁20は、第1入力ポート27から入力される流体を連通又は遮断する薬液弁である。
第1薬液弁20には、ダイアフラム弁体23が備えられ、流路ブロック11に形成される弁座22にダイアフラム弁体23が当接することで、第1入力ポート27から流入する第1薬液の流体を遮断することができる。また、弁座22とダイアフラム弁体23が離間することで、弁室24を介して出力ポート15へ第1薬液の流体を流入させることができる。
【0026】
弁室24の形状は、略円筒形状であり、その中心部分にダイアフラム弁体23が位置する。ダイアフラム弁体23の外周は外周面231とする。
図2に示すように、第1入力流路28の中心線28Tは、ダイアフラム弁体23の外周面231より外側に位置する。第1入力流路28と同軸心上にある図示しない第1入力ポート27の中心線も同様に、ダイアフラム弁体23の外周面231より外側に位置する。
【0027】
図4に、図2に示す第1薬液弁のBB概念断面図である。図4では、弁室24、出力流路16、第1入力流路28を具体的に示すため、その他の部分は割愛する。
図4に示すように、第1入力流路28の流路壁面281は、断面円形状の弁室24の内壁面241に沿う形で形成されている。第1入力流路28の流路壁面281の外周部の接線は、弁室24の円筒の内壁面241に対して接続している。
また、図4に示すように出力流路16と第1入力流路28は、上面から見たとき直角の垂直位置に形成されている。図示しないが、出力流路16と第2入力流路38も同様に直角の垂直位置に形成されている。
【0028】
第1薬液弁20は、エア駆動タイプであるので、供給用操作ポート25が備えられ、エアが供給用操作ポート25に供給されると、ダイアフラム弁体23が弁座22から離間する。
【0029】
第1薬液弁20について説明をしたが、第2薬液弁30も第1薬液弁20と同様の作用効果を有するため詳細な説明を割愛する。
【0030】
<薬液供給ユニットの作用効果>
次に薬液供給ユニット10の作用効果について説明をする。図3に薬液供給システムの回路図を示す。
【0031】
第1薬液をチャンバ内に流入させる場合について説明をする。
図3に示すように、第1薬液をチャンバ内に流入させる場合、開閉弁R1を開状態とし、開閉弁R2を閉状態とする(開閉弁R3及びR4は閉状態)。開閉弁R1を流れた第1薬液は、第1入力ポート27、第1入力流路28を介して弁室24に流れ込む。さらに、図2に示す、第1薬液弁20の供給用操作ポート25にエアを供給しダイアフラム弁体23を弁座22から離間させる(第2薬液弁30は閉状態)。それにより、第1薬液は弁室24を介し、出力流路16、出力ポート15を通り、開状態の開閉弁R5(開閉弁R6は閉状態)を通りチャンバへと流入させることができる。
【0032】
チャンバ内に流入させる薬液を第1薬液から第2薬液に切り替える場合について説明する。
第1薬液から第2薬液に切り替える場合には、始めに、第1薬液弁20の弁室24内及び出力流路16を浄化する。
図3に示す、開閉弁R1を閉状態とし、開閉弁R2を開状態とする(開閉弁R3及びR4は閉状態)。開閉弁R2を流れた浄化液は、第1入力ポート27、第1入力流路28を介して弁室24に流れ込む。さらに、図2に示す、第1薬液弁20の供給用操作ポート25にエアを供給しダイアフラム弁体23を弁座22から離間させる(第2薬液弁30は閉状態)。それにより、浄化液は弁室24を介し、出力流路16、出力ポート15を通り、開状態の開閉弁R6(開閉弁R5は閉状態)を通り排液槽へと流入される。
【0033】
本実施形態の構成は、上述したように、第1薬液弁20の弁座22と、第2薬液弁30の弁座32とが近い構成を有する。その結果、図2に示す状態において、第1入力ポート27から浄化液が流れ込んだ浄化液が出力流路16へ流れる時間を短縮することができる。すなわち、出力流路16のうち直線流路161の流路が短いことにより浄化液が浄化する流路の面積が小さくなり浄化する時間が短くなる。浄化液は、例えばシンナー等を使用するが、シンナー等の浄化液を流す時間を短縮することができることによりコストダウンを図ることができる。
【0034】
また、図4に示すように本実施形態においては、第1入力流路28の流路壁面281は、断面円形状の弁室24の内壁面241に沿う形で形成され、また、第1入力流路28の流路壁面281の外周部の接線は、弁室24の円筒の内壁面241に対して接続している。そのため、第1薬液の供給終了時に、第1入力流路28から浄化液を流したときに、第1薬液弁20の弁室24の内壁面241に沿って、浄化液が流れる。そのため、弁室24の内壁面241に張り付いて残存している第1薬液を速やかに排出することができる。
【0035】
また、図4に示すように、第1入力流路28から弁室24に流入した浄化液の流体J1は、内壁面241に沿って流れる流体J2となり、その流れの勢いがなくなり流体J3となりと中心に形成された弁孔を通り、出力流路16へと流れる。そのため、第1薬液が張り付いて残存している弁室24の内壁面241にかけて流速が速い浄化液の流体J1が当たることになる。流速が速い浄化液の流体J1が内壁面241に直接当たることにより壁面に張り付いた第1薬液を流すことができる。直接第1薬液を流路速が速い流体J1で流すことができるため薬液の切り替え時間を短縮することができ、半導体のコストダウンを実現することができる。
【0036】
第2薬液をチャンバ内に流入させる場合について説明をする。
第1薬液弁20の弁室24及び出力流路16の浄化後、図3に示すように、第2薬液をチャンバ内に流入させる場合、開閉弁R3を開状態とし、開閉弁R4を閉状態とする(開閉弁R1及びR2は閉状態)。開閉弁R3を流れた第2薬液は、第2入力ポート37、第2入力流路38を介して弁室34に流れ込む。さらに、図2に示す、第2薬液弁30の供給用操作ポート35にエアを供給しダイアフラム弁体33を弁座32から離間させる(第1薬液弁20は閉状態)。それにより、第2薬液は弁室34を介し、出力流路16、出力ポート15を通り、開状態の開閉弁R5(開閉弁R6は閉状態)を通りチャンバへと流入させることができる。
【0037】
上記に示さないが、第2薬液の供給終了時に、第2入力ポート37から浄化液を流すときは、上記と同様に、第2薬液弁30の弁室34の内壁面341に沿って、浄化液が流れるため、弁室34の内壁面341に張り付いて残存している薬液を速やかに排出することができる。
【0038】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
例えば、本実施形態において、第1薬液弁20及び第2薬液弁30をそれぞれ4本のネジで流路ブロック11に固定しているが、それぞれ1本のネジで流路ブロックに固定すること、及び複数のネジで流路ブロックに固定することも可能である。
例えば、図2に示される第1薬液弁20はノーマルクローズタイプであるが、必要に応じてノーマルオープンタイプ、複動タイプに交換可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 薬液供給ユニット
11 流路ブロック
15 出力ポート
20 第1薬液弁
23 ダイアフラム弁体
27 第1入力ポート(請求項中の「第1薬液用入力ポート」)
30 第2薬液弁
33 ダイアフラム弁体
37 第2入力ポート(請求項中の「第2薬液用入力ポート」)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薬液用入力ポートを有し第1薬液を供給する樹脂製の第1薬液弁と、第2薬液用入力ポートを有し第2薬液を供給する樹脂製の第2薬液弁と、前記第1薬液弁、前記第2薬液弁、前記第1薬液用入力ポート、前記第2薬液用入力ポート、及び出力ポートが設けられた流路ブロックとを有する薬液供給ユニットにおいて、
前記第1薬液弁と前記第2薬液弁が、前記流路ブロックに、対向して固設されていること、
前記流路ブロックの、前記出力ポートが設けられた面と直交して対向する二面に、前記第1薬液用入力ポートと前記第2薬液用入力ポートが設けられていること、
前記第1薬液用入力ポートの中心線が、前記第1薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、
前記第2薬液用入力ポートの中心線が、前記第2薬液弁の弁体の外周面より外側に位置していること、
を特徴とする薬液供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載する薬液供給ユニットにおいて、
前記流路ブロック内に、2つの固定板が挿入されていること、
前記固定板に、前記第1薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第1雌ネジ部と、前記第2薬液弁を前記流路ブロックに連結するための第2雌ネジ部が形成されていること、
を特徴とする薬液供給ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載する薬液供給ユニットにおいて、
前記固定板の一方が、前記第1薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、
前記固定板の他方が、前記第2薬液用入力ポートに対向する裏面に形成された第1挿入孔に挿入されていること、
を特徴とする薬液供給ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163190(P2012−163190A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25870(P2011−25870)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】