説明

蛍光体ペースト汚れの洗浄剤、ワイピングテープの洗浄方法およびワイピングテープのリサイクル使用方法

【課題】蛍光体ペースト汚れを効果的に洗浄をすることができる洗浄剤、ワイピングテープの洗浄方法、更にはワイピングテープのリサイクル使用方法を提供する。
【解決手段】洗浄剤は、テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有する。該洗浄剤を用いて蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを洗浄する。該洗浄方法で洗浄後、再び、該ワイピングテープをスクリーン印刷版の清拭工程に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体ペースト汚れの洗浄剤、ワイピングテープの洗浄方法およびワイピングテープのリサイクル使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PDP(プラズマディスプレーパネル)の蛍光体層を形成するに当たり、背面ガラス板に隔壁を作り、その隔壁で形成されているセル間にそれぞれ赤色、緑色、青色の蛍光体ペーストを塗布し付与している。
【0003】
塗布方法は、スクリーン印刷方式あるいはインクジェット方式(インクジェットノズルの先端から蛍光体ペーストを吐出し、蛍光体層を形成する方式)によるものが主流である。
【0004】
しかし、これらの方式のうち、スクリーン印刷方式によるものにおいては、スクリーン印刷版への蛍光体ペーストの付着による目詰まり、印刷版裏面への付着による汚れ等が発生し、これが原因で、生産効率の低下、収率低下を招いていた。
【0005】
この汚れを除去するために、ポリエステル繊維および/またはポリアミド繊維の極細フィラメント繊維等からなる編織物(以下、編物と織物を総称して「編織物」という)を用いて構成したワイピングテープを用いて清拭し、印刷版の裏面などに付着した蛍光体ペーストを除去することなどが行われている。
【0006】
特に、ポリエステル繊維の超極細繊維で構成された編織物からなるワイピングテープは拭き取り性において最も優れているものの、従来は、ワイピングテープとして使用できるのは、通常は1回だけ、あるいは該ワイピングテープの両面を使用しても2回までというのが実状であった。
【0007】
このように、比較的高価でもある超極細繊維で構成された編織物を1〜2回使用しただけで廃棄するには膨大な費用が発生するとともに、近年では、グリーン調達の気運が高まっており、産業廃棄物の削減を視野に入れたワイピングテープの実現が望まれていた。
【0008】
一方、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを、再度、同一の目的で使用することができるほどに該汚れを落とすことができる、すなわち、極めて効果的な洗濯をすることができるほどの蛍光体ペースト汚れの洗浄剤を実現することができれば、1〜2回を越える複数回の使用を実現できる可能性があり、産業上、非常に有用である。
【0009】
例えば、先行技術として、特に蛍光体ペーストを洗浄しうる顕著な洗浄性を示し、かつ、乳剤の膨潤、乳剤膜表面の白化、スクリーンメッシュと乳剤膜の密着性低下等の乳剤ダメージを抑制した上で、引火の危険性も低く、オゾン層破壊のおそれがないという蛍光体ペースト塗布用のスクリーン版用洗浄剤として、グリコールエーテル類にテルペンアルコール類を加え、さらに各種エステルや水を必要に応じて併用した洗浄剤についての提案と、その洗浄剤の製造に適した方法が提案がされている(特許文献1)。
【0010】
しかし、かかる特許文献1に記載されている提案によるものは、本発明者らの検討によれば、ポリアミド、ポリエステルなどの繊維、ステンレスの針金、あるいはそれらのモノフィラメントで織成されたスクリーン版に付着したPDP蛍光体ペーストを脱落させることはできたとしても、超極細繊維で構成された編織物からなるワイピングテープで拭き取られた蛍光体ペーストを脱落させるには不十分なものであった。
【0011】
すなわち、特に、超極細繊維で構成された編織物からなるワイピングテープは、そのワイピング性能の高さの一つの要因は、超極細繊維でそぎ取られた蛍光体ペースが、超極細繊維どおしが形成するテープ(布帛)内部にまで深く取込まれ該超極細繊維に包み込まれている状況が発生していることに依るが、このようなワイピングテープを、効果的に洗浄することは、逆に非常に難しいものなのである。
【特許文献1】特開2003−313596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを、再度、同一の目的で使用することができるほどに該汚れを落とすことができる、すなわち、極めて効果的な洗濯をすることができる蛍光体ペースト汚れの洗浄剤を提供すること、更に、ワイピングテープの洗浄方法を提供すること、更には、ワイピングテープのリサイクル使用方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成する本発明の蛍光体ペースト汚れの洗浄剤は、以下の(1) の構成からなる。
(1)テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有することを特徴とする蛍光体ペースト汚れの洗浄剤。
【0014】
また、かかる本発明の蛍光体ペースト汚れの洗浄剤において、より具体的に好ましくは、以下の(2) の構成を有するものである。
(2)蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープの洗浄に用いられることを特徴とする請求項1記載の蛍光体ペースト汚れの洗浄剤。
【0015】
また、上述した目的を達成する本発明のワイピングテープの洗浄方法は、以下の(3) の構成からなる。
(3)テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有する洗浄剤を用いて、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを洗浄することを特徴とするワイピングテープの洗浄方法。
【0016】
また、かかる本発明のワイピングテープの洗浄方法において、より具体的に好ましくは、以下の(4) の構成を有するものである。
(4)スクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷法によりガラス基盤上に蛍光体ペーストを付与する工程にて生じた該スクリーン印刷版の蛍光体ペースト汚れを極細繊維からなるワイピングテープで清拭し、該ワイピングテープを上記(3) 記載の洗浄方法で洗浄し、洗浄後の該ワイピングテープを、再び、スクリーン印刷版の蛍光体ペーストの清拭に使用することを特徴とするワイピングテープのリサイクル使用方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを、再度、同一の目的で使用することができるほどに該汚れを落とすことができる蛍光体ペースト汚れの洗浄剤が提供される。
【0018】
また、更に、該洗浄剤を利用したワイピングテープの洗浄方法、およびワイピングテープのリサイクル使用方法が提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、更に詳しく本発明について、説明する。
本発明にかかる蛍光体ペースト汚れの洗浄剤は、テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有することを特徴とするものである。
【0020】
特に、本発明にかかる蛍光体ペースト汚れの洗浄剤において、好ましくは、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープの洗浄に用いられるものである。
【0021】
一般に、蛍光体ペーストは、蛍光体、バインダーおよび溶剤で構成されており、バインダーには、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、もしくはこれらに感光性の基を導入した樹脂が使用されている。一方、溶剤としては、アルコール類、テルペン系溶剤やブチルカルビトールアセテート(BCA)等が挙げられる。
【0022】
ワイピングクロスに付着した蛍光体ペーストを除去するに当たり、その溶解性を調べたところ、100%純品の低級エステル油、ケトン類、モノテルペン類、グリコール累、低級アルコールにPO(プロピレンオキサイド)、EO(エチレンオキサイド)を付加させた溶剤に近い洗剤には溶解する。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにも溶解することがわかったが、高濃度で使用するため、回収も考えなくてはならない。
【0023】
このような状況下、本発明はリサイクル使用を実現する上で、極めて有用な洗浄剤を提供できたものである。
【0024】
かかる本発明の洗浄剤においては、約10%濃度の使用で蛍光体および樹脂を除去することができる。
【0025】
本発明において、テルペン類としては、揮発性があり樹脂溶解力の優れたモノテルペン類を用いることが好ましく、高分子テルペン類は、樹脂溶解力がモノテルペン類よりは小さいことがあるので注意して使用すべきである。モノテルペン類には、リモネン、ピネン、テレピン油などがあるが、その中でもコストや臭いの点からリモネンが最も良いと考えられる。リモネンは、天然のオレンジ、グレープフルーツに多く含まれており、家庭用台所洗剤として多量に使用され油性の洗浄性に優れており、安全性も高い。
【0026】
このテルペン類は、本発明の洗浄剤塑性の中でも最も重要なものであるが、水に不要のため、あまり多くすると布に残ってしまい、ソーピングをしてもオレンジ臭やヌメリが残るので、洗浄剤中の該テルペン類の含有量としては1〜50重量%とすることが重要であり、好ましくは、5〜20重量%である。
【0027】
本発明における非水溶性溶剤とは、水に不溶もしくは難溶なものを意味し、具体的には、酢酸エステル、酢酸ブチル等のエステル類、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ペプタノール、オクタノール等の低級アルコール類ラウリルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール類、チーグラーアルコール、セカンダリーアルコール等の合成高級アルコール類、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、ラウリン酸、バルミチン酸等の脂肪酸類、高級脂肪族アミン類、脂肪酸アミド類、ケトン類などがある。これらの中には効果が認められるものの、高価で臭気があることや危険物に該当することから使用上の制約を受けるものもあるが、ポリプロピレングリコールやブタノール等の低級アルコールにPO(プロピレンオキサイド)もしくはEO(エチレンオキサイド)を付加したものは、安価で無臭に近く安全性も高いため、特に好ましい。
【0028】
蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤の含有量としては10重量%以上であることが重要であり、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。また、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤の含有量としては、20重量%を超えることが重要であり、好ましくは10重量%を超え70重量%以下、より好ましくは40〜60重量%である。
【0029】
非水溶性溶剤と水溶性溶剤の構成比率は、重量比で、1:9〜4:6が好ましく、2:8〜3:7がより好ましい。
【0030】
リモネンの量が50重量%を越えると、布帛に残り、ソーピングしても残存する。
さらに、これらと組み合わせる水溶性の溶剤としては、樹脂の溶剤を助け、水への分散性を向上させる。その物質の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどがある。
【0031】
これらの水溶性溶剤は、リモネン、非水溶性溶剤を布帛の表層部に付着させる。また、洗浄剤を排出するとき、速やかに蛍光体及び樹脂を被洗浄物たる布帛から離脱させて洗浄水の方へ移行させる効果がある。
【0032】
本発明において、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%含有することは重要であり、曇点を利用してリモネン、非水溶性溶剤の効果をさらに高める役割を有するものである。すなわち、界面活性剤は、浸透性、乳化・分散性、洗浄性などの性能面から、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を用いる。要するに、曇点以下の場合は、水に溶解しているが曇点を超えると非水溶性になり、リモネン、非水溶性溶剤に混ざり、PDP蛍光体ペーストに含まれる樹脂を溶解する力を高める。好ましくは、含有量は10〜30重量%である。曇点の好ましい範囲は40〜60℃である。なお、非イオン系界面活性剤としては、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールなどの高級アルコールやアルキルフェノールなどの水酸基に主として酸化エチレン(エチレンオキサイド)を付加したエーテル型が挙げられるが、エーテル型がより好ましい。
【0033】
また、本発明の洗浄剤において、有機酸を1〜20重量%含有するが、かかる有機酸は、蛍光体を除去するのに効果を発揮する。有機酸としては、乳酸、プロピオン酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、あるいはシュウ酸などを好ましく用いることができる。
【0034】
本発明の洗浄剤は、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを洗浄すると、該蛍光体ペースト汚れを非常に効果的に除去することができ、好ましいものである。
【0035】
そのようなワイピングテープは、スクリーン印刷版に付着した蛍光体ペーストを該スクリーン印刷版から除去するために使用されることが多く、実際には、長尺のスクリーン印刷版に、長さ数十mで幅1〜1.5m程度のテープ状に形成されたワイピングテープの巻き体から、連続的に該ワイピングテープを引出して低速度で走行させながら、該スクリーン印刷版の被清拭面にこすり付けてワイピングが行われることが多い。
【0036】
該ワイピングテープは、特に限定されるものではないが、代表的には、近年、各工業界でワイピングクロスとして使用されてきている、ポリエステル繊維および/またはポリアミド繊維の単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexなどの極細繊維を用いて形成された織物、編物または不織布を用いて、前述の寸法で巻き体に構成されているもの等を用いるのがよいものである。
【0037】
該ワイピングテープは、単一で、または複数枚で、該ワイピングテープの前端部と後ろ端部とを結びつけて無端のループ状態を形成させ、該無端のループ状態であるワイピングテープを、上記洗浄剤が希釈された洗浄液が充填されている液流染色機内で、循環移動させ、該ワイピングテープの洗浄を行うことが好ましい。
【0038】
かかる洗浄を施されることにより、付着していた蛍光体ペーストが除去された極細繊維からなるワイピングテープは、再び、巻き体に形成されて、再びスクリーン印刷版の蛍光体ペーストの清拭工程に、リサイクル使用として使用することが可能となるものである。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により、本発明の構成をより具体的に説明する。なお、各実施例において、評価方法は、以下に説明する手法によった。
〔評価方法〕
PDP蛍光体ペーストを拭き取った超極細繊維からなるワイピングテープを、PDP用ワイピングクロス洗浄剤で洗浄した後、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル洗剤0.2重量%を含む60℃の水溶液で10分間ヒーピングした後、水洗い、乾燥した布を用いて評価する。
【0040】
樹脂の除去性は、目視により判断する。蛍光体(発光体)の除去性は、紫外線UV−254nmを用いて判断する(蛍光体が少しでも残っていると、UVにより光る(夜空の星のように)ので、除去されたか否かは明確にわかる)。
【0041】
比較例1
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王エマルゲンLS−106)100%中に、PDP蛍光体ペーストが付着した布帛(ワイピングテープ)を40℃で浸漬、攪拌した後、ソーピングするとほぼ完全に樹脂および蛍光体を除去できた。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王エマルゲンLS−106)と水を1:1に混合し、PDP蛍光体ペーストが付着した布帛(ワイピングテープ)を、温度40℃、60℃、80℃で浸漬、攪拌した後、ソーピングしたが、樹脂および蛍光体はまったく除去できなかった。
【0042】
実施例1
(1)テルペン類:リモネン(ヤスハラケミカル(株)) …10重量%
(2)非水溶性溶剤:ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(“アデカカーポールMH−4”:旭電化工業(株))…15重量%
(3)水溶性溶剤:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(“ソルフィット”:(株)クラレ)…55重量%
(4)非イオン系界面活性剤:ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(曇点:50℃)“エマルミンFL−80”:三洋化成工業)…10重量%
(5)有機酸:酢酸…10重量%
【0043】
上記(1) 〜(5) からなる洗浄剤の10重量%水溶液を作成して、DP蛍光体ペーストが付着した布帛(ワイピングテープ)を温度80℃で10分間浸漬、攪拌した後、紫外線UV−254nmを照射して、蛍光体の残存量を調べた結果、ほぼ完全に除去できていた。また、樹脂も完全に除去できていた。このワイピングテープは、再利用が可能と判断できるものであった。
【0044】
実施例2
リモネンが20重量%になるように実施例1の洗浄剤にリモネンを追加し、その洗浄剤を用いて実施例1と同条件で試験をした結果、樹脂は除去できていた。一方、若干のオレンジ臭が残っていたことから、蛍光体が若干残っていることがわかるが、再利用に支障はない程度であった。
【0045】
実施例3
リモネンが30重量%になるように実施例1の洗浄剤にリモネンを追加し、その洗浄剤を用いて実施例1と同条件で試験をした結果、樹脂は除去できていた。一方、蛍光体が若干残っていたが、再利用に支障はない程度であった。
【0046】
実施例4
非水溶性溶剤“アデカカーポールMH−4”が30重量%となるように、実施例1の洗浄剤に“アデカカーポールMH−4”を追加し、その洗浄剤を用いて実施例1と同条件で試験をした結果、蛍光体は除去できていた。一方、樹脂は若干残っていたが、再利用が可能な程度であった。
【0047】
比較例2
水溶性溶剤“ソルフィット”が20重量%になるように実施例1の洗浄剤に“ソルフィット”を追加し、その洗浄剤を用いて実施例1と同条件で試験をした結果、蛍光体が若干残っていた。樹脂はほとんど除去できており、あと少しで再利用が可能な程度であった。
【0048】
比較例3
(1)テルペン類:リモネン(ヤスハラケミカル(株)) …22重量%
(2)非水溶性溶剤:ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(“アデカカーポールMH−4”:旭電化工業(株))…34重量%
(4)非イオン系界面活性剤:ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(曇点:50℃)“エマルミンFL−80”:三洋化成工業(株))…22重量%
(5)有機酸:酢酸…22重量%
【0049】
上記(1) 、(2) 、(4) 及び(5) からなる洗浄剤の10重量%水溶液を作成して、実施例1と同条件で試験をした結果、蛍光体が残っており、また、樹脂も若干残っており、再利用は不可能であった。
【0050】
実施例5
“エマルミンFL−80”(曇点50℃)を、より融点の高い“エマルミンFL−100”(曇点58℃)に変更した以外は、実施例1と同条件で試験をした結果、除去性は実施例1には劣るものの、再利用が十分に可能な程度に蛍光体も樹脂も除去することができた。
【0051】
実施例6
ポリエステルの超極細繊維とポリエステルの高収縮糸からなる目付200g/m2 の編物でPDP蛍光体ペーストを拭き取った布帛(ワイピングテープ)6反を、液流染色機(日阪製作所MF−1L型)で洗浄して、蛍光体と樹脂の除去性を確認した。洗浄液は、実施例1に記載した洗浄剤の10重量%水溶液を80g/l添加し、90℃で30分間洗浄し、その後、湯洗浄、水洗、乾燥をした。
【0052】
蛍光体の除去性は、紫外線UV−254nmを照射して、樹脂の脱落はSEM写真を撮影して除去性を調べた結果、いずれも完全に除去できた。このワイピングテープは、再利用が可能と判断できるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有することを特徴とする蛍光体ペースト汚れの洗浄剤。
【請求項2】
蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープの洗浄に用いられることを特徴とする請求項1記載の蛍光体ペースト汚れの洗浄剤。
【請求項3】
テルペン類を1〜50重量%、蛍光体ペーストの溶解作用を有する非水溶性溶剤を10重量%以上、蛍光体ペーストの溶解作用を有する水溶性溶剤を20重量%超、30〜90℃の曇点を有する非イオン系界面活性剤を5〜30重量%、有機酸を1〜20重量%含有する洗浄剤を用いて、蛍光体ペースト汚れが付着したワイピングテープを洗浄することを特徴とするワイピングテープの洗浄方法。
【請求項4】
スクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷法によりガラス基盤上に蛍光体ペーストを付与する工程にて生じた該スクリーン印刷版の蛍光体ペースト汚れを極細繊維からなるワイピングテープで清拭し、該ワイピングテープを請求項3記載の洗浄方法で洗浄し、洗浄後の該ワイピングテープを、再び、スクリーン印刷版の蛍光体ペースト汚れの清拭に使用することを特徴とするワイピングテープのリサイクル使用方法。

【公開番号】特開2007−77239(P2007−77239A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265250(P2005−265250)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】