説明

血圧上昇および糖尿病性腎症を処置するための、ジフェニルスルホンアミドエンドセリンおよびアンジオテンシンII受容体アゴニストの経口製剤

疾患を処置するための、二重のアンジオテンシンおよびエンドセリン受容体アンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の投与方法および医薬組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、二重のアンジオテンシンおよびエンドセリン受容体アンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物、そのような化合物を含有する医薬組成物、そのような化合物を含有する医薬製剤を製造する方法、ならびにエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害および他の疾患の処置においてそのような化合物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
アンジオテンシンII(AngII)およびエンドセリン-1(ET-1)は、現在知られている最も強力な内在性血管作動性ペプチドのうちの2つであり、血管緊張および様々な疾患(糖尿病性腎症、心不全、および慢性もしくは持続性血圧上昇を含む)に関連する病理学的組織リモデリングの両方の調節に関与すると考えられている。現在、糖尿病性腎症、心不全、慢性もしくは持続性血圧上昇の処置として、AngIIの活性を遮断するアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)が広く用いられている。また、ET-1活性の遮断におけるET受容体アンタゴニスト(ERA)の潜在的な治療的有用性を証明するデータが増えている。
【0003】
AngIIおよびET-1は血圧調節および病理学的組織リモデリングにおいて協力して作用することも知られている。例えば、ARBは、AngIIの作用をその受容体において遮断するだけでなく、ET-1の産生も制限する。同様に、ERAは、ET-1活性を遮断し、AngIIの産生を阻害する。その結果、AngIIおよびET-1活性を同時に遮断することによって、いずれかの物質単独を遮断するよりも良好な効力がもたらされうる。
【0004】
十分に検証されたヒトの慢性もしくは持続性血圧上昇のラットモデルにおいて、ARBおよびERAの組み合わせは相乗効果をもたらす。さらに、ARBは糖尿病性腎症を有する患者のための標準的な治療であるが、ERAの共投与によって効果が向上されることが、第2相臨床開発において報告されている。
【0005】
いずれかのメカニズム単独と比べて、アンジオテンシンIIおよびエンドセリン1をそれらの各々の受容体であるATIおよびETAにおいて同時に遮断することにより、いくつかの循環器疾患のための改善された処置選択肢がもたらされうることを示唆する前臨床および初期臨床データがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の概要)
以下の式Iのビフェニルスルホンアミド化合物、それらのエナンチオマー(アトロプ異性体を含む)、ジアステレオマー、塩および代謝産物の投与方法、医薬の剤形、医薬製剤、および処置計画、該医薬製剤の製造方法、ならびに該製剤の使用方法を開示する。
【化1】

【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施態様は、処置が必要な対象におけるエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置方法を提供し、それには、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を、そのために有効な量で投与することが含まれる。いくつかの他の実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は糖尿病性腎症である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は慢性血圧上昇である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は持続性血圧上昇である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は高血圧症である。
【0008】
いくつかの実施態様において、該方法は、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を、約50 mg/日〜約1000 mg/日の量で投与することを含む。いくつかの実施態様において、ヒト対象に投与される式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量は、約200 mg/日〜約800 mg/日、より好ましくは約400 mg/日、最も好ましくは約800 mg/日であり得る。いくつかの実施態様において、ヒト対象に投与される式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量は、約100 mg/日、約200 mg/日、約400 mg/日、または約800 mg/日であり得る。
【0009】
いくつかの実施態様において、ヒト対象の収縮期血圧は、少なくとも160 mmHg以下、少なくとも140 mmHg以下、少なくとも140 mmHg以下、少なくとも130 mmHg以下、または少なくとも120 mmHg以下まで低下される。いくつかの実施態様において、ヒト対象の拡張期血圧は、少なくとも120 mmHg以下、少なくとも110 mmHg以下、少なくとも100 mmHg以下、または少なくとも90 mmHg以下まで低下される。いくつかの実施態様において、ヒト対象の収縮期もしくは拡張期血圧は、処置前の収縮期もしくは拡張期血圧と比べて、少なくとも約5 mmHg、少なくとも約8 mmHg、約10 mmHg、少なくとも約12 mmHg、または約14 mmHg低下される。
【0010】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩は、1日に4回以下、2回、または1回の頻度で投与される。いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩は、1日に4回、2回、または1回投与される。
【0011】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の投与の16週以内、14週以内、12週以内、10週以内、もしくは8週以内で、140 mmHg未満の収縮期血圧または90 mmHg未満の拡張期血圧に達する。
【0012】
いくつかの実施態様は、処置が必要な対象におけるエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置での使用のための、式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量は、約50 mg〜約1000 mgである。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は慢性血圧上昇である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は持続性血圧上昇である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は糖尿病性腎症である。いくつかの実施態様において、該エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害は高血圧症である。いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量は、約200 mg〜約800 mgである。いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量は、約100 mg、約200 mg、約400 mg、または約800 mgである。
【0013】
いくつかの実施態様において、エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置における式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物の使用は、ヒト対象の収縮期血圧を、少なくとも160 mmHg以下、少なくとも150 mmHg以下、少なくとも140 mmHg以下、少なくとも130 mmHg以下、または少なくとも120 mmHg以下であるように、低下させる。いくつかの実施態様において、エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置における式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物の使用は、ヒト対象の拡張期血圧を、少なくとも120 mmHg以下、少なくとも110 mmHg以下、少なくとも100 mmHg以下、または少なくとも90 mmHg以下であるように、低下させる。いくつかの実施態様において、エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置における式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物の使用は、ヒト対象の収縮期もしくは拡張期血圧を、少なくとも約5 mmHg、少なくとも約8 mmHg、少なくとも約10 mmHg、少なくとも約12 mmHg、または少なくとも約14 mmHg低下させる。
【0014】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の医薬組成物は、1日に4回、2回、または1回以下の頻度で投与される。いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の医薬組成物は、1日に4回、2回、または1回投与される。
【0015】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の医薬組成物の投与の16週以内、14週以内、12週以内、10週以内、または8週以内に、140 mmHg未満の収縮期血圧または90 mmHg未満の拡張期血圧に達する。
【0016】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物は速溶性剤形として提供される。いくつかの実施態様において、該製剤は、改善された破砕性、圧縮、溶解、均一性、可溶性(dissolvability)、嗜好性などのうちの1つ以上を有する。また、いくつかの実施態様において該製剤は、速やかな発現、より高いおよび/またはより迅速な血漿中濃度などのうちの少なくとも1つ以上を可能にし得る。
【0017】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および少なくとも1つの賦形剤を含有する医薬組成物を提供し、ここで、該式Iの化合物は組成物の約35% w/w以上を構成し、該賦形剤は組成物の約5%〜約65% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、各賦形剤は、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー188、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスカルメロースナトリウムからなる群から、独立して選択される。いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、組成物の約40%〜約65% w/w、または組成物の約50%〜約60% w/wの量で提供される。いくつかの実施態様において、1つの賦形剤は微結晶性セルロースである。いくつかの実施態様において、該微結晶性セルロースは、組成物の約5%〜約65% w/w、約15%〜約50% w/w、約20%〜約40% w/w、約25%〜約35% w/w、または約28%〜約30% w/wを構成し得る。いくつかの実施態様において、該微結晶性セルロースはケイ化微結晶性セルロースである。いくつかの実施態様において、1つの賦形剤はポロクサマー188である。いくつかの実施態様において、ポロクサマー188は、組成物の約0.1%〜約10% w/w、または約1%〜約8% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、ポロクサマー188は、組成物の約5% w/wを構成する。
【0018】
いくつかの実施態様において、該組成物は、1つ以上の滑沢剤をさらに含有し、ここで該1つ以上の滑沢剤は組成物の最大約5% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、該1つ以上の滑沢剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、硬化植物油、ベヘン酸グリセリル、およびポリエチレングリコールからなる群から、各々、独立して選択される。いくつかの実施態様において、1つの滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。いくつかの実施態様において、ステアリン酸マグネシウムは、組成物の約0.1%〜約1.5% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、ステアリン酸マグネシウムは、組成物の約0.5% w/wまたは約1.0% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、1つの滑沢剤はラウリル硫酸ナトリウムである。いくつかの実施態様において、ラウリル硫酸ナトリウムは、組成物の約0.1%〜約5% w/wまたは約0.3%〜約2% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、ラウリル硫酸ナトリウムは組成物の約1.0% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、該組成物は流動化剤をさらに含有する。いくつかの実施態様において、該流動化剤はコロイド状二酸化ケイ素である。いくつかの実施態様において、該コロイド状二酸化ケイ素は、組成物の約0.01%〜約1.5% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、該コロイド状二酸化ケイ素は組成物の約0.1% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、約100 mgか、約200 mgか、約400 mgか、または約800 mgの量で提供される。
【0019】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および少なくとも1つの賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、該賦形剤は、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポロクサマー188からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、1つの賦形剤は微結晶性セルロースであり、それは組成物の約20%〜約50% w/wか、約20%〜約40% w/wか、または約28%〜約30% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、該組成物は流動化剤をさらに含有する。いくつかの実施態様において、該組成物は1つ以上の滑沢剤をさらに含有する。いくつかの実施態様において、該組成物は1つ以上の界面活性剤をさらに含有する、
【0020】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、約100 mgか、約200 mgか、約400 mg、または約800 mgの量で提供される。
【0021】
いくつかの実施態様において、該組成物は総重量が、約50 mg〜約1500 mgである。いくつかの実施態様において、該組成物は総重量が、約50 mg、約75 mg、約100 mg、約150 mg、約175 mg、約200 mg、約250 mg、約300 mg、約350 mg、約400 mg、約450 mg、約500 mg、約550 mg、約600 mg、約700 mg、約750 mg、約800 mg、約900 mg、約1000 mg、約1100 mg、約1200 mg、約1300 mg、約1400 mg、または約1500 mgである。
【0022】
いくつかの実施態様において、該組成物は、錠剤、フィルムコート錠、カプセル剤、ジェルカプセル剤、カプレット、ペレット、またはビーズの形態である。いくつかの実施態様において、該組成物はフィルムコート錠の形態である。
【0023】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有する錠剤を提供し、該錠剤は少なくとも約4 Kpの硬度を有する。いくつかの実施態様において、該錠剤は、少なくとも約6 Kpか、少なくとも約8 Kpか、少なくとも約10 Kpか、少なくとも約12 Kpか、または少なくとも約14 Kpの硬度を有する。いくつかの実施態様において、該錠剤は、約4 Kp、約6 Kp、約8 Kp、約10 Kp、約12 Kp、約14 Kp、または約16 Kpの硬度を有する。
【0024】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物を提供し、ここで該組成物は、米国薬局方(USP)II型溶出装置Iを用いて、0.1N HCl中において50 rpmもしくは60 rpmで、45分以内に少なくとも85%の式Iの化合物もしくは式Iの化合物の塩を放出する。いくつかの実施態様において、該組成物は、30分か、20分か、もしくは15分にて少なくとも85%の放出率を有する。いくつかの実施態様において、該組成物は、30分にて少なくとも90%の放出率を有する。いくつかの実施態様において、該組成物は、30分にて少なくとも95%の放出率を有する。
【0025】
いくつかの実施態様は、そのような処置が必要な個体を同定し、式Iの化合物の医薬組成物を投与することを含む、慢性もしくは持続性血圧上昇の処置方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物および1つ以上の賦形剤を一緒に混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供し、ここで該1つ以上の賦形剤は組成物の約5%〜約65% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、1つの賦形剤は微結晶性セルロースである。いくつかの実施態様において、該微結晶性セルロースは、組成物の約20%〜約50% w/wまたは約28%〜約30% w/wを構成する。いくつかの実施態様において、該方法は、約0.5%〜約1.0% w/wのステアリン酸マグネシウムを加えることをさらに含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約5% w/wのポロクサマー188を加えることをさらに含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約1.0% w/wのラウリル硫酸ナトリウムを加えることをさらに含む。いくつかの実施態様において、該方法は、約0.1% w/wのコロイド状二酸化ケイ素を加えることをさらに含む。いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、約100 mgか、約200 mgか、約400 mgか、または約800 mgの量で提供される。
【0027】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、組成物の約29% w/wを構成する微結晶性セルロー、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約5% w/wを構成するポロクサマー188、組成物の約0.1% w/を構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約0.5% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物を提供する。
【0028】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、組成物の約22% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約11% w/wを構成するラクトース一水和物、組成物の約1% w/wを構成するラウリル硫酸ナトリウム、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3.0% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物を提供する。
【0029】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、組成物の約29% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約5% w/wを構成するポロクサマー188、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物を提供する。
【0030】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、組成物の約33% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約1% w/wを構成するラウリル硫酸ナトリウム、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物を提供する。
【0031】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、組成物の約29% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約5% w/wを構成するポロクサマー188、組成物の約5% w/wを構成するデンプングリコール酸ナトリウム、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
以下は、本明細書において用いられる用語の定義である。本明細書の基もしくは用語について与えられる最初の定義を、他に指示されない限り、本明細書全体にわたる個別もしくは別の基の一部としての基または用語に適用する。
【0033】
式Iの化合物は塩を形成し、それもまた本発明の範囲内である。本明細書における式Iの化合物への言及は、他に指示されない限り、その塩への言及を含むと理解される。本明細書で用いる用語「塩」は、無機および/または有機の酸および塩基を用いて形成される酸性塩および/または塩基性塩を意味する。加えて、式Iの化合物が塩基性部分および酸性部分の両方を有する場合、双性イオン(「分子内塩」)が形成されてもよく、本明細書で用いる該用語「塩」に含まれる。例えば製造の過程で用いられる単離もしくは精製工程において、他の塩もまた有用であるけれども、医薬的に許容される(すなわち、無毒で、生理学的に許容される)塩が好ましい。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を、塩が析出するような媒体中かまたは水性媒体中で、例えば当量の酸もしくは塩基と反応させた後、凍結乾燥させることによって、形成されうる。
【0034】
塩基性部分を有する式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸とともに塩を形成しうる。酸付加塩の例としては、酢酸塩(例えば、酢酸もしくはトリハロ酢酸(例えばトリフルオロ酢酸)を用いて形成されるもの)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩(塩酸を用いて形成)、臭化水素酸塩(臭化水素酸を用いて形成)、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホネート、乳酸塩、マレイン酸塩(マレイン酸を用いて形成)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸を用いて形成)、2-ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(例えば、硫酸を用いて形成されるもの)、スルホン酸塩(例えば、本明細書に言及されるもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(例えばトシレート)、ウンデカン酸塩、などが挙げられる。
【0035】
酸性部分を有する式Iの化合物は、様々な有機および無機塩基とともに塩を形成しうる。塩基性塩の例としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム、リチウム、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(N,N-ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンを用いて形成)、N-メチル-D-グルカミン、N-メチル-D-グルカミド、t-ブチルアミン、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性窒素-含有基は、剤、例えば、低級アルキルハライド(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの、塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、および硫酸ジアミル)、長鎖ハライド(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの、塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)、ならびにその他を用いて四級化されうる。
【0036】
式Iの化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた意図される。該用語「プロドラッグ」は、対象へ投与されると、代謝プロセスもしくは化学プロセスによる化学的な変換を経て、式Iの化合物あるいはその塩および/または溶媒和物をもたらす化合物を意味する。式Iの化合物の溶媒和物は好ましくは水和物である。いずれの互変異性体もまた、意図される。
【0037】
式Iの化合物の全ての立体異性体、例えば、R置換基上の不斉炭素によって存在しうるもの(エナンチオマー形態(不斉炭素の非存在下においてさえも存在しうるもの、例えばアトロプ異性体)およびジアステレオマー形態を含む)が意図される。式Iの化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体が実質的に存在しなくてよいか、あるいは、例えば、ラセミ体としてか、またはその他全ての立体異性体もしくは他の選択された立体異性体として混合されていてよい。式Iの化合物のキラル中心は、SまたはR配置を有し得る。
【0038】
(製造方法)
以下のスキームIからIIに説明するような方法によって、式Iの化合物を製造してもよい。溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって選択されうる。
【0039】
スキームI
【化2】

【0040】
一実施態様において、式Iの化合物は、スキームIに開示された方法によって合成することができる。置換された4-ブロモベンゾニトリル 式I-1(Xは臭素またはメシレートである)をDMF中でナトリウムエトキシドで処理して、例えばDMF中のエチルアルコールを水素化ナトリウムで処理して、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンゾニトリルを得ることができる。4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンゾニトリルを、ニトリルをアルデヒドに還元することによって、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンズアルデヒドに変換することができる。例えば、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンゾニトリルを、DIBAL-Hで処理した後、メタノールおよび塩酸で処理して、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンズアルデヒドを得ることができる。次いで、該4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンズアルデヒドを、パラジウム触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))の存在下において、適切な条件の下で、式I-2の化合物とカップリングさせることによって、式I-3の化合物(RはSEMまたはMEMである)を得ることができる。式I-3の化合物のアルデヒドをアルコールに還元することにより、式I-4の化合物を得ることができる。例えば、式I-3の化合物を、エチルアルコールもしくはメチルアルコール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理して、式I-4の化合物(RはSEMまたはMEMである)を得ることができる。その後、式I-4のベンジルアルコールを臭化ベンジルに変換することにより、式I-5の化合物(RはSEMまたはMEMである)を得ることができる。例えば、四臭化炭素の存在下において、DMF中の式I-4のベンジルアルコールをトリフェニルホスフィンで処理して、式I-5の臭化ベンジルを得ることができる。式I-5の臭化ベンジルを2-N-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-4-オン塩酸塩を用いて処理して、式I-6の化合物(RはSEMまたはMEMである)を得ることができる。例えば、2-N-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-4-オン塩酸塩を水素化ナトリウム/DMFで処理した後、式I-5の臭化ベンジルを加えることによって、式I-6の化合物を得ることができる。式I-6の化合物を酸性条件下で脱保護して、例えば式I-6の化合物/エチルアルコールを6N 塩酸を用いて処理し、それにより、式Iの化合物、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。
【0041】
スキームII
【化3】

【0042】
別の実施態様において、式Iの化合物はスキームIIに開示された方法によって合成することができる。4-ブロモ-3-メチル安息香酸エチル(110 g, 450 mmol)を、NBSを用いて処理して、4-ブロモ-3-メチル安息香酸エチルを得ることができる。4-ブロモ-3-メチル安息香酸エチルを、ナトリウムエトキシド/エチルアルコール、例えばエタノール中の21%のナトリウムエトキシド溶液を用いて処理して、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)安息香酸エチルを得ることができる。次いで、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)安息香酸エチルを、パラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下において、適切な条件の下で、2-[[N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-N-(メトキシメチル)アミノ]スルホニル]-フェニルボロン酸とカップリングさせて、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドをアルコールに還元することにより、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。例えば、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド/THFを、DIBAL-H/トルエン溶液を用いて処理して、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。その後、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを、4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドに変換することができる。例えば、四臭化炭素の存在下において、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド/DMFを、トリフェニルホスフィンを用いて処理し、4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを、2-N-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-4-オン塩酸塩を用いて処理し、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル-N-](4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。例えば、2-N-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-4-オン塩酸塩を、水素化ナトリウム/DMFを用いて処理した後、4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを加えて、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル-N-](4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル-N-](4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを、酸性条件下において脱保護することにより、式Iの化合物、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。例えば、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル-N-](4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド/エチルアルコールを、6N 塩酸を用いて処理して、式Iの化合物、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを得ることができる。
【0043】
式Iの化合物およびその塩は、エンドセリン(とりわけ、ET-1)受容体およびアンジオテンシンII(とりわけ、サブタイプAT1)受容体の両方のアンタゴニスト(「二重アンジオテンシンエンドセリン受容体アンタゴニスト」)であり、ETレベルの増大および/またはアンジオテンシンIIレベルの増大に関連する症状の処置、ならびに全てのエンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害の処置において有用である。従って、それらは降圧薬として有用である。式Iの化合物を有する組成物を投与することによって、高血圧の哺乳動物(例えば、ヒト)宿主の血圧が低下される。それらはまた、門脈の慢性もしくは持続性血圧上昇、エリスロポエチンを用いた処置に続発する慢性もしくは持続性血圧上昇、低レニン性の慢性もしくは持続性血圧上昇、および慢性もしくは持続性血圧上昇において有用でもある。
【0044】
式Iの化合物はまた、急性腎不全(例えば、虚血性、腎毒性、もしくは糸球体腎炎)および慢性腎不全(例えば、糖尿病性、高血圧性、もしくは免疫介在性)、糖尿病性腎症、糸球体損傷、高齢に伴うかもしくは透析に関連する腎損傷、腎硬化症(とりわけ、高血圧性腎硬化症)、腎毒性(イメージング剤およびコントラスト剤ならびにシクロスポリンに関連する腎毒性を含む)、腎虚血、原発性膀胱尿管逆流、糸球体硬化症などを含む、腎臓、糸球体、およびメサンギウム細胞の機能に関連する障害の処置において有用でもある。式Iの化合物はまた、パラクリンおよび内分泌機能に関連する障害の処置において有用でもある。式Iの化合物はまた、糖尿病性腎症、IGA-誘発性腎症、および高血圧症-誘発性腎症の処置において有用でもある。本明細書で用いる用語「糖尿病性腎症」は、診断されているかいないかを問わないが、最も典型的には臨床医もしくは医師による診断としての、初期の糖尿病性腎症および顕性期糖尿病性腎症の両方を含むと理解されるであろう。
【0045】
式Iの化合物はまた、内毒血症またはエンドトキシンショックならびに出血性ショックの処置において有用でもある。式Iの化合物はまた、癌に関連した疼痛(例えば前立腺癌に関連した疼痛、および骨癌に関連した骨痛)の軽減において有用でもある。式Iの化合物は、エンドセリンの細胞増殖効果に関連した終末器官損傷(end-organ damage)の予防および/または減少において、さらに有用である。
【0046】
式Iの化合物はまた、低酸素性および虚血性疾患において、ならびに、例えば、心臓、腎臓および脳の虚血および再灌流(例えば、心肺バイパス手術後に生じるもの)、冠血管および脳血管攣縮、などの処置のための抗虚血薬として有用でもある。
【0047】
加えて、式Iの化合物はまた、抗不整脈薬;抗狭心症薬;抗細動薬(anti-fibrillatory agent);抗ぜんそく薬;抗アテローム硬化症および抗動脈硬化症薬(抗移植動脈硬化症薬(anti-transplantation arteriosclerotic agent)を含む);心肺バイパス術用の心停止液への添加剤;血栓溶解療法への補助剤;ならびに抗下痢症薬として有用でもある。式Iの化合物は、心筋梗塞の治療;末梢血管疾患(例えば、レイノー病、間欠性跛行および高安病)の治療;心肥大(例えば、肥大型心筋症)の処置;成人および新生児における原発性肺高血圧症(例えば、叢状型(plexogenic)、塞栓性)、ならびに、心不全、放射線および化学療法損傷、または他の外傷に続発する肺高血圧症の処置;中枢神経系血管障害(例えば、脳卒中、片頭痛およびくも膜下出血)の処置;中枢神経系行動障害の処置;胃腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃粘膜損傷、潰瘍、炎症性腸疾患および虚血性腸疾患)の処置;胆嚢もしくは胆管に基づく疾患(例えば胆管炎)の処置;膵炎の処置;細胞増殖の制御;前立腺肥大症の処置;移植術およびステント術を含むいずれの術式の後の再狭窄;うっ血性心不全の治療(線維症の抑止を含む);左室拡張、左室リモデリング、および左室機能不全の抑止;ならびに肝毒性および突然死の処置において有用でありうる。式Iの化合物は、鎌状赤血球症(この疾患の疼痛発作の惹起および/または発生を含む)の処置;ET-産生腫瘍の有害な影響(例えば、血管周囲細胞腫による慢性もしくは持続性血圧上昇)の処置;早期および進行した肝疾患および肝損傷(付随する合併症(例えば、肝毒性、線維症および硬変症)を含む)の処置;尿路および/または膀胱の痙性疾患の処置;肝腎症候群の処置;血管炎を伴う免疫疾患(例えば、ループス、全身性強皮症、混合型クリオグロブリン血症)の処置;ならびに、腎機能障害および肝毒性に関連する線維症の処置において有用である。式Iの化合物は、代謝障害および神経障害;癌;インスリン依存性およびインスリン非依存性糖尿病;ニューロパシー;網膜症;てんかん;出血性および虚血性脳卒中;骨リモデリング;乾癬;ならびに、慢性炎症性疾患(例えば、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、サルコイドーシスおよび湿疹性皮膚炎(全てのタイプの皮膚炎))の治療において有用である。
【0048】
式Iの化合物は、さらに、気管支収縮を伴う障害および慢性もしくは急性の肺炎症(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および成人呼吸促迫症候群(ARDS))の障害の処置において有用である。
【0049】
式Iの化合物はまた、生殖器管、とりわけ、海綿体への血流を改善することにより、男性(例えば、糖尿病、脊髄損傷、前立腺全摘除、心因性病因またはいずれの他の原因に起因する、勃起不全)および女性の両方における性機能低下の処置において有用でもある。
【0050】
式Iの化合物はまた、認知症(アルツハイマー型認知症、老年認知症および血管性認知症を含む)の処置において有用でもある。加えて、式Iの化合物は、上記の有用性の結果として、全般的な罹患率および/または死亡率の減少においてさらに有用である。従って、処置が必要な対象に式Iの化合物を有効な量で投与する工程を含む、全てのエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置のための方法を提供する。本方法において、他の治療薬(例えば以下に記載されるもの)を、式Iの化合物とともに用いてもよい。該方法において、そのような他の治療薬を、本発明の式Iの化合物の投与の前、同時、または後に投与してもよい。
【0051】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、生理学的に許容される界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、平滑剤、懸濁剤、フィルム形成剤(film forming substance)、およびコーティング補助剤、あるいはそれらの組み合わせ;ならびに本明細書に記載の化合物を含有する医薬組成物に関する。治療用途のために許容される担体もしくは希釈剤は医薬の分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)に記載されており、引用によりその全般が本明細書に援用される。保存剤、安定剤、着色剤(dye)、甘味剤、芳香剤、香味剤、などを、該医薬組成物に加えてもよい。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを、保存剤として加えてもよい。加えて、抗酸化剤および懸濁剤を用いてもよい。様々な実施態様において、アルコール、エステル、硫酸化脂肪族アルコール、などを界面活性剤として用いてもよく;スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸(light anhydrous silicate)、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、などを賦形剤として用いてもよく;ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などを平滑剤として用いてもよく;ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、大豆油(soya)を懸濁剤もしくは滑沢剤として用いてもよく;炭水化物(例えばセルロースもしくは糖)の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、またはポリビニルの誘導体としてのメチルアセテート-メタクリレート共重合体を懸濁剤として用いてもよく;さらに、可塑剤(例えばフタル酸エステル)などを懸濁剤として用いてもよい。
【0052】
用語「医薬組成物」とは、本明細書に記載の化合物と他の化学的成分(例えば希釈剤または担体)との混合物を言う。医薬組成物は、生命体への該化合物の投与を容易にする。当分野には、化合物を投与する多数の手法が存在し、限定はされないが、経口、注入、エアロゾル、非経口、および局所投与が含まれる。医薬組成物はまた、化合物を無機もしくは有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など)と反応させることによって得ることができる。
【0053】
用語「担体」とは、細胞もしくは組織への化合物の取り込みを促進する化合物と定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、多くの有機化合物の生命体の細胞もしくは組織への取り込みを促進することから、通常用いられる担体である。
【0054】
用語「希釈剤」とは、目的の化合物を溶解するとともに、該化合物の生物学的に活性な形態を安定させうる、水に希釈された化合物と定義する。当分野では、緩衝液に溶解された塩が希釈剤として用いられる。リン酸緩衝食塩水は、ヒト血液の塩条件を模倣していることから、通常用いられる緩衝液の1つである。緩衝塩は低濃度で溶液のpHを調節できるので、緩衝化された希釈剤が化合物の生物学的活性を変えることはほとんどない。
【0055】
用語「生理学的に許容される」は、担体もしくは希釈剤について、化合物の生物学的活性および特性を抑制しないと定義する。
【0056】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者に、それ自体で投与することができるか、あるいは併用療法として他の活性成分と混合されるか、または適切な担体もしくは賦形剤と混合された医薬組成物で投与することができる。式Iの化合物の製剤および投与方法は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition, 1990、に見出されうる。
【0057】
いくつかの実施態様は、錠剤、フィルムコート錠、カプセル剤、カプレット、丸薬、ジェルカプセル剤、ペレット、ビーズ、または糖衣錠の剤形中の低用量の式Iの化合物を提供する。好ましくは、本明細書に記載の製剤は、有益な薬剤加工品質(例えば、限定はされないが、速い錠剤プレス速度、圧縮力の低減、押出し力の低減、混合物均一性、内容物均一性、色の均一な分散、崩壊時間の加速化、速い溶解、低破砕性(終了段階の工程(例えば、こん包、発送、ピッキングおよびパッキング、など)において好ましい)、およびほとんど変動しない剤形の物理的特徴(例えば、重量、硬度、厚さ、破砕性)を含む)を提供することができる。
【0058】
他の実施態様において、該製剤化は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、50rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が45分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。他の実施態様において、該製剤化は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、60rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が45分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。他の実施態様において、該製剤化は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、50rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が30分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。他の実施態様において、該製剤は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、50rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が30分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。他の実施態様において、該製剤化は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、50rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が20分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。他の実施態様において、該製剤化は、米国薬局方(USP)II型溶出装置(37℃にて、50rpmのパドル速度で、0.1N HClを用いる)を用いて、原体の表示量の少なくとも85%が20分以内に溶解する、速溶性剤形をもたらす。
【0059】
いくつかの実施態様において、該製剤化は、約2 kp〜約25 kpの硬度を達成するための最小の錠剤圧縮力を必要とする。いくつかの態様において、該製剤化は、例えば、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、もしくは22 kpの硬度を達成するための圧縮力を必要とし得る。そのような最小の圧縮力は、錠剤が相対的に多孔性を維持し、圧縮工具および錠剤プレスにおいて最小の摩擦で速く崩壊するのを可能にし得る。
【0060】
他の実施態様において、該製剤化は、1%以下の値の破砕性を有する錠剤(フィルムコート錠を含む)を提供し得る。従って、いくつかの実施態様において、該破砕性値は、約0.9%、0.8%、0.75%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.25%、0.2%、0.15%、0.1%、0.08%、0.06%、0.04%、0.02%以下である。
【0061】
式Iの化合物は、例えば、原体といずれの適切な医薬的に許容される賦形剤(例えば、限定はされないが、以下に記載の、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、充填剤、担体、コーティング剤、流動促進剤、香味剤、着色剤、など)を組み合わせることによって、容易に製剤化され得る。そのような組成物は、貯蔵のため、ならびにその後の工程のために製造することができる。
【0062】
賦形剤
治療用途に許容される賦形剤は、医薬の分野において周知であり、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients, 5th edition (Raymond C Rowe, Paul J Sheskey and Sian C Owen, eds. 2005)、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)(いずれも引用によりその全般が本明細書に援用される)に記載されている。本明細書において用語「担体」物質または「賦形剤」は、担体および/または希釈剤および/またはアジュバントとしてか、または治療薬を対象に送達するためビヒクルとして用いられるか、あるいは、その取り扱いもしくは貯蔵特性を向上させるため、または用量単位の組成物を経口投与に適した別個の剤(article)(例えば、カプセル剤、錠剤、フィルムコート錠、カプレット、ジェルカプセル剤、丸薬、ペレット、ビーズ、など)へと製剤化するのを可能にするかもしくは促進するために医薬組成物に加えられる、いずれの物質(それ自体が治療薬ではない)も意味し得る。賦形剤としては、例として、限定することなく、希釈剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動促進剤、コーティング剤、甘味剤、可溶化剤、不快な味もしくは匂いをマスクするかもしくは相殺するために加えられる物質、香味剤、着色剤、芳香剤、および組成物の外見を向上させるために加えられる物質を挙げることができる。
【0063】
許容される賦形剤としては、例えば、限定はされないが、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、トウモロコシデンプン、もしくはそれらの誘導体、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、および/またはポリビニルアルコール、生理食塩水、ブドウ糖、マンニトール、ラクトース一水和物、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー(例えば、ポロクサマー101、105、108、122、123、124、181、182、183、184、185、188、212、215、217、231、234、235、237、238、282、284、288、331、333、334、335、338、401、402、403、407、およびポロクサマー105ベンゾエート、ポロクサマー182ジベンゾエート407、など)、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、などが挙げられる。錠剤およびカプセル剤のための適切な賦形剤の例としては、限定はされないが、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー188、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な賦形剤の例としては、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオールが挙げられる。液剤およびシロップ剤の製造のための適切な賦形剤としては、制限されることなく、水、ポリオール、スクロース、転化糖およびグルコースが挙げられる。化合物はまた、マイクロカプセル形態で製造することができる。必要であれば、吸収促進製剤(例えば、リポソーム)を用いることができる。
【0064】
該組成物および製剤は、伝達、送達、耐性などの向上をもたらす、いずれの他の剤も含むことができる。これらの組成物および製剤は、例えば、粉末、ペースト、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性もしくはアニオン性)含有ベシクル(例えば、リポフェクチンTM)、DNA複合体、無水の吸収ペースト(anhydrous absorption paste)、水中油および油中水エマルション、エマルションカルボワックス(carbowax)(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカルボワックスを含有する半固体混合物を含むことができる。
【0065】
前述の混合物のうちのいずれかは、本明細書の記載に従って、処置および治療において適切であり得るが、但し、製剤中の活性成分は該製剤化によって不活性化されず、該製剤は投与経路と、生理学的に適合および耐容しうる。また、薬学分野の化学者に周知の製剤、賦形剤および担体に関連するさらなる情報については、Baldrick P. “Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol. Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J. Pharm. Sci. 89(8):967-78 (2000)、およびその中の引用を参照のこと。
【0066】
いくつかの実施態様において、記載された賦形剤の、1つ以上またはいずれの組み合わせを、とりわけ本明細書に記載の製剤および/または方法に含むことも排除することもできる。
【0067】
当業者には明らかなように、賦形剤の量は、薬剤の用量および剤形の大きさによって決定されうる。本明細書に記載のいくつかの実施態様において、剤形の大きさは約175 mgである。本明細書に記載のいくつかの実施態様において、剤形の大きさは約350 mgである。本明細書に記載のいくつかの実施態様において、剤形の大きさは約700 mgである。この剤形重量は任意であり、当業者であれば、重量の範囲は本開示によって得ることができ、そして本開示に包含されることを理解するであろう。好ましい剤形範囲は、約50 mg〜約1500 mg、より典型的には約100 mg〜約1000 mg、さらに典型的には約175 mg〜約700 mgであり、好ましい典型的な形態の重量は約175 mg、約350 mg、または約700 mgである。
【0068】
滑沢剤
いくつかの実施態様において、ある特定の剤形の製造で滑沢剤が用いられる。例えば、滑沢剤は、錠剤を製造する場合にしばしば用いられうる。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、錠剤化工程の直前に加えることができ、良好な分散が得られる最小の時間、製剤と混合することができる。いくつかの実施態様において、1つ以上の滑沢剤を用いることができる。適切な滑沢剤の例としては、限定はされないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドポリマー(例えば、ポリエチレングリコールについてCarbowax(登録商標)およびポリエチレンオキシドについてPolyox(登録商標)という登録商標の下で、Dow Chemical Company, Midland, Mich.から入手可能)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、DL-ロイシン、コロイド状シリカ、当分野で公知のその他のもの、が挙げられる。典型的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物である。滑沢剤は、錠剤重量の約0.25%〜約50%、典型的には約1%〜約40%、より典型的には約5%〜約30%、最も典型的には20%〜30%を構成することができる。いくつかの実施態様において、例えば、粉末流動を改善するため、錠剤化装置および穿孔器表面への混合物の接着を防止するため、ならびに錠剤の型から錠剤をきれいに押し出せるように潤滑を与えるために、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを加えることができる。典型的には、ステアリン酸マグネシウムを、約0.1%〜約5.0% w/wか、約0.25%〜約4% w/wか、約0.5%〜約3% w/wか、約0.75%〜約2% w/wか、約0.8%〜約1.5% w/wか、約0.85%〜約1.25% w/wか、約0.9%〜約1.20% w/wか、約0.85%〜約1.15% w/wか、約0.90%〜約1.1% w/wか、約0.95%〜約1.05% w/wか、または約0.95%〜約1% w/wの範囲の濃度で、医薬製剤に加えることができる。上記の範囲は典型的な範囲の例である。当業者であれば、本明細書に記載の製剤に用いることができるさらなる滑沢剤および/または量を認識するであろう。当業者には認識されうるように、本明細書に記載の製剤中に組み込む場合、錠剤の全体の単位重量が変わらないように維持するため、加えられる滑沢剤の量を適応させるのに応じて、主要な充填剤および/または他の賦形剤の量を減少させることができる。
【0069】
着色剤
いくつかの実施態様において、着色剤もまた含むことができる。着色剤は、剤形含量を区別するのに十分な量で用いることができる。好ましくは、薬剤での使用が認められた着色剤(21 CFR 74, 引用によりその全般が本明細書に援用される)を、錠剤含量を区別するために商業用製剤に加える。他の医薬的に許容される着色剤およびそれらの組み合わせの使用が、本発明によって包含される。
【0070】
結合剤
結合剤は、例えば、製剤に凝集性の性質を与えることにより、得られる剤形が圧縮後に無傷のままであることを確実にするために用いられ得る。適切な結合剤としては、限定はされないが、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、ブドウ糖、およびマルトデキストリンを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ポビドン、セルロースのポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、などを含む)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、などが挙げられる。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載の製剤は、主要な賦形剤の圧縮率を高めるために、少なくとも1つの結合剤を含むことができる。例えば、該製剤は、以下の結合剤の少なくとも1つを、以下の好ましい範囲で含むことができる:約2%〜約6% w/w ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、約2%〜約5% w/w ポリビニルピロリドン(PVP)、約1%〜約5% w/w メチルセルロース、約2%〜約5% ヒドロキシプロピルメチルセルロース、約1%〜約5% w/w エチルセルロース、約1%〜約5% w/w カルボキシメチルセルロースナトリウム、など。上記の範囲は好ましい範囲の例である。当業者であれば、本明細書に記載の製剤で用いることができる、さらなる結合剤および/または量を認識しうるであろう。当業者により認識されうるように、本明細書に記載の製剤に組み込む場合、錠剤の全体の単位重量が変わらないように維持するため、加えられる滑沢剤の量を適応させるのに応じて、主要な充填剤および/または他の賦形剤の量を減少させることができる。一実施態様において、結合活性を高めるために、該結合剤は溶液から噴霧される(例えば、湿式顆粒化)。
【0071】
崩壊剤
いくつかの実施態様において、崩壊剤は、例えば、投与後の錠剤の崩壊を促進するために用いられ、一般的に、デンプン、粘度、セルロース、アルギン、ガム、または架橋ポリマーである。適切な崩壊剤としては、限定はされないが、架橋ポリビニルピロリドン(PVP-XL)、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、メタクリル酸 DYB、微結晶性セルロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム(polacriline potassium)、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、などが挙げられる。必要であれば、該医薬製剤はまた、少量の無毒の補助物質(例えば、湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤など)、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウラート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、その他、などを含むこともできる。
【0072】
上記の範囲は、好ましい範囲の例である。当業者であれば、本明細書に記載の製剤に用いることができるさらなる崩壊剤および/または崩壊剤の量を認識しうるであろう。当業者により認識されうるように、本明細書に記載の製剤に組み込む場合、錠剤の全体の単位重量が変わらないように維持するため、加えられる崩壊剤の量を適応させるのに応じて、主要な充填剤および/または他の賦形剤の量を減少させることができる。
【0073】
コーティング剤
いくつかの実施態様において、該製剤は、コーティング剤(例えば、フィルムコーティング剤)を含むことができる。フィルムコーティング剤を含む場合、コーティング製剤は、例えば、フィルム形成ポリマー、可塑剤、などを含むことができる。また、該コーティング剤は、色素および/または乳白剤を含むことができる。フィルム形成ポリマーの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびデンプンが挙げられる。可塑剤の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル(dibutyl sebecate)、ヒマシ油、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。さらに、色素および乳白剤の非限定的な例としては、様々な色の酸化鉄、様々な色のレーキ色素、二酸化チタン、などが挙げられる。
【0074】
希釈剤
いくつかの実施態様において、希釈剤が用いられ、それは通常、1つ以上の化合物、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖、炭酸カルシウム、ラクトース、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、医薬的に許容されるポリオール(例えばキシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルトおよびグリセロール)、ポリデキストロース、デンプンなどか、またはいずれのそれらの混合物から選択される。
【0075】
界面活性剤
いくつかの実施態様において、界面活性剤が用いられる。経口薬剤形態における湿潤剤としての界面活性剤の使用が、文献(例えば、H. Sucker, P. Fuchs, P. Speiser, Pharmazeutische Technologie, 2nd edition, Thieme 1989, page 260)に記載されている。例えばAdvanced Drug Delivery Reviews (1997), 23, pages 163-183に公開された他の文献から、とりわけ医薬的に活性な化合物の浸透および生物学的利用能を向上させるために界面活性剤を用いることも可能であることが知られている。界面活性剤の例としては、限定はされないが、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、該界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン)ステアレート、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリグリコール化(polyglycolated)グリセリド、ポリ(オキシエチレン)ヒマシ油(caster oil)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロクサマー、脂肪酸塩、胆汁酸塩、アルキル硫酸塩、レシチン、胆汁酸塩とレシチンの混合ミセル、グルコースエステル ビタミンE TPGS(D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステル)、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
流動促進剤
いくつかの実施態様において、流動促進剤が用いられる。用いてもよい流動促進剤の例としては、限定はされないが、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクおよびリン酸カルシウムなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
上記の賦形剤は、組成物の総重量の最大約95%か、組成物の総重量の最大約85%か、組成物の総重量の最大約75%か、組成物の総重量の最大約65%か、組成物の総重量の最大約55%か、組成物の総重量の最大約45%か、組成物の総重量の最大約43%か、組成物の総重量の最大約40%か、組成物の総重量の最大約35%か、組成物の総重量の最大約30%か、組成物の総重量の最大約25%か、組成物の総重量の最大約20%か、組成物の総重量の最大約15%か、組成物の総重量の最大約10%か、またはそれ以下の量で存在することができる。
【0078】
適切な投与経路として、例えば、経口、直腸、経粘膜、局所、もしくは腸管内投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびにくも膜下腔内、直接的脳室内、腹腔内、鼻腔内、もしくは眼内注射を含む、非経口投与が挙げられうる。また、式Iの化合物を、長期および/または時間設定投与、所定の頻度でのパルス投与のために、蓄積注射、浸透圧ポンプ、丸薬、経皮(エレクトロトランスポートを含む)パッチなどを含む、徐放もしくは放出制御剤形で投与することもできる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、それ自体が公知の方法で、例えば、通常の、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠-製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入または錠剤化プロセスによって、製造されうる。
【0080】
従って、本発明に基づいて用いるための医薬組成物は、医薬的に用いることができる活性化合物の製剤への加工を容易にする賦形剤および補助剤(auxiliaries)を含有し、1つ以上の生理学的に許容される担体を用いる、通常の方法で製剤化されうる。適切な製剤は選択される投与経路に依存している。周知の技法のいずれか、担体、および賦形剤を、適切なものとして、当業者に理解される(例えば、上記のRemington's Pharmaceutical Sciencesにおいて)とおりに用いてもよい。
【0081】
注射剤は、通常の形態、溶液もしくは懸濁液としてか、注射の前に液体中で溶液もしくは懸濁液にするのに適した固体形態としてか、またはエマルションとしてのいずれかで、製造することができる。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩、などである。加えて、必要であれば、該注射用医薬組成物は、少量の無毒の補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤などを含んでもよい。生理学的に適合性のバッファーとしては、限定はされないが、ハンクス液、リンガー液、または生理食塩水(physiological saline buffer)が挙げられる。必要であれば、吸収促進製剤(例えばリポソーム)を用いてもよい。
【0082】
経粘膜投与において、浸透させるバリアに適した浸透剤を製剤中に用いてもよい。
【0083】
例えばボーラス注入もしくは持続注入による非経口投与用の医薬製剤には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁液を、適切な油性の注射用懸濁液として製造してもよい。適切な親油性溶媒もしくはビヒクルとしては、脂肪油(例えばゴマ油)か、他のオーガニック油(organic oil)(例えば、大豆油、グレープフルーツ油もしくはアーモンド油)か、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)か、またはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘稠性を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含んでもよい。適宜、該懸濁液はまた、適切な安定剤または化合物の溶解性を増大して高濃度の溶液の製造を可能にする適切な剤を含んでもよい。注射用製剤は、保存剤を加えた単位剤形(例えばアンプル中もしくは複数用量容器中)であってもよい。該組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液もしくはエマルションのような形態であってもよく、製剤化剤(formulatory agent)(例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤)を含んでもよい。あるいは、該活性成分は使用前に適切なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)を用いて構成される粉末形態であってよい。
【0084】
経口投与のために、式Iの化合物を、活性化合物と当分野で周知の医薬的に許容される担体とを組み合わせることによって、容易に製剤化することができる。そのような担体は、式Iの化合物を、処置される患者による経口摂取のための、錠剤、フィルムコート錠、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、ジェルカプセル剤、ペレット、ビーズ、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化できるようにする。活性化合物と個体の賦形剤とを組み合わせ、適宜、得られた混合物を粉末化し、必要であれば適切な補助剤を加えた後、顆粒の混合物を加工して、錠剤もしくは糖衣錠のコアを得ることによって、経口用の医薬製剤を得ることができる。適切な賦形剤は、具体的には、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールを含む)のような充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース製剤(cellulose preparation)である。必要であれば、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸、またはそれらの塩(例えばアルギン酸ナトリウム)を加えてもよい。糖衣錠のコアは適切なコーティング剤を施される。この目的のために、濃縮された糖溶液を用いてもよく、それはアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合液を適宜含んでいてもよい。識別のためかまたは活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、染料または色素を、錠剤または糖衣錠コーティング剤に加えてもよい。この目的のため、濃縮された糖溶液を用いてもよく、それはアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合液を適宜含んでいてもよい。識別のためかまたは活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、染料または色素を、錠剤または糖衣錠コーティング剤に加えてもよい。さらに、安定剤を加えることができる。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。いくつかの実施態様において、許容される即時放出溶解特性を有する式Iの化合物の製剤、ならびに頑強でスケーラブルな製造方法を開示する。
【0085】
経口で用いることができる医薬製剤としては、ゼラチンでできた押し込み型(push-fit)カプセル剤、ならびにゼラチンと可塑剤(例えばグリセロールまたはソルビトール)でできた軟密閉カプセル剤が挙げられる。押し込み型カプセル剤は、該活性成分を、充填剤(例えばラクトース)、結合剤(例えばデンプン)、および/または滑沢剤(例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、ならびに適宜、安定剤との混合物として、含むことができる。軟カプセル剤中において、該活性化合物は、適切な液体(例えば脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解もしくは懸濁されていてよい。さらに、安定剤を加えてもよい。経口投与用の全ての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0086】
頬側投与において、組成物は、通常の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジ(lozenge)の形態であってもよい。
【0087】
吸入による投与において、式Iの化合物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を用いることによって、圧縮されたパックもしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で、好都合に送達される。圧縮エアロゾルの場合、用量単位は、定量(metered amount)を送達するようにバルブを調整することによって決定されうる。インヘラーもしくは吸入器で使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、該化合物と適切な粉末基剤(例えばラクトースまたはデンプン)との粉末混合物を含有して、製剤化されうる。
【0088】
本明細書において、眼内、鼻腔内、および耳介内デリバリーを含む使用のための、医薬の分野において周知である様々な医薬組成物についてさらに記載する。これらの使用のための適切な浸透剤は、通常、当分野で公知である。眼内デリバリーのための医薬組成物としては、水溶性形態(例えば点眼剤)またはジェランガム(Shedden et al., Clin. Ther., 23(3):440-50 (2001))もしくはハイドロゲル(Mayer et al., Ophthalmologica, 210(2):101-3 (1996))中の活性化合物の水性点眼液;眼軟膏剤;点眼用懸濁液、例えば微粒子、液体担体媒体中に懸濁された薬剤含有小ポリマー粒子(Joshi, A., J. Ocul. Pharmacol., 10(1):29-45 (1994))、脂溶性製剤(Alm et al., Prog. Clin. Biol. Res., 312:447-58 (1989))、およびミクロスフェア(Mordenti, Toxicol. Sci., 52(1):101-6 (1999));ならびに、眼内挿入物(ocular insert)が挙げられる。上述の参考文献の全ては、引用によりその全般が本明細書に援用される。そのような適切な医薬製剤は、ほとんどの場合、好ましくは、安定性および快適性のために、無菌であり、等張であり、そして緩衝化されているように製剤化される。鼻腔内デリバリーのための医薬組成物にはまた、液滴(drop)およびスプレー(正常な繊毛作用の維持を確実にするために多くの観点から鼻分泌物を模倣して製造される場合が多い)が含まれうる。Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)(引用によりその全般が本明細書に援用される)に記載されており、当業者には周知であるとおり、適切な製剤は、ほとんどの場合好ましくは等張でpH 5.5〜6.5を維持するように少し緩衝化されており、ほとんどの場合好ましくは抗菌性保存剤および適切な薬剤安定剤を含む。耳介内デリバリーのための医薬製剤としては、耳における局所投与用の懸濁剤および軟膏剤が挙げられる。そのような耳用製剤のための一般的な溶媒には、グリセリンおよび水が含まれる。
【0089】
式Iの化合物はまた、例えば通常の坐薬の基剤(例えばカカオバターもしくは他のグリセリド)を含有する、坐薬または停留浣腸といった直腸用組成物として製剤化されてもよい。
【0090】
前述の製剤に加えて、式Iの化合物はまた、デポー製剤として製剤化されてもよい。そのような長時間作用性製剤はまた、埋め込み(例えば、皮下もしくは筋肉内)または筋肉内注射によって投与されうる。従って、例えば、式Iの化合物は、適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて製剤化されるか、あるいは難溶性の誘導体として(例えば難溶性塩として)製剤化されうる。
【0091】
疎水性化合物について、適切な医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含有する、共溶媒系であってもよい。用いられる通常の共溶媒系は、VPD共溶媒系であり、それは、無水エタノール中において、3% w/v ベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤 Polysorbate 80(商標)、および65% w/v ポリエチレングリコール 300の量で構成される溶液である。当然ながら、共溶媒系の該比率は、その溶解性および毒性の特性を損なうことなく、大きく変化させてもよい。さらに、該共溶媒成分の固有性を変化させてもよく:例えば、POLYSORBATE 80(商標)の代わりに他の低毒性の非極性界面活性剤を用いてもよく;ポリエチレングリコールの分画サイズを変化させてもよく;ポリエチレングリコールを他の生体適合性のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)で置き換えてもよく;ならびに、ブドウ糖を他の糖もしくは多糖類で置き換えてもよい。
【0092】
別法として、疎水性の医薬化合物についての他のデリバリーシステムを用いてもよい。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬剤のためのデリバリービヒクルもしくは担体の周知の例である。通常は大きな毒性という代償を払うけれども、ある特定の有機溶媒(例えばジメチルスルホキシド)もまた用いられうる。さらに、該化合物は、徐放性システム(例えば、治療薬を含有する個体の疎水性のポリマーの半透性マトリックス)を用いてデリバリーされうる。様々な徐放性物質が確立されており、当業者には周知である。徐放性カプセル剤は、それらの化学的性質によって、数週間から最大100日以上、化合物を放出しうる。治療用薬剤(therapeutic reagent)の化学的性質および生物学的安定性によって、タンパク質安定化ためのさらなるストラテジーが用いられうる。
【0093】
細胞内に投与することを目的とした剤は、当業者に周知の技法を用いて投与されてもよい。例えば、そのような剤はリポソーム中に封入されてもよい。リポソーム形成時に水溶液中に存在する全ての分子が該内部水溶液(aqueous interior)に組み込まれる。リポソームは細胞膜と融合するため、リポソームの内容物はいずれも外部の微小環境から保護され、細胞質中に効率的にデリバリーされる。該リポソームは、組織-特異的抗体でコーティングされていてよい。該リポソームは、目的の器官を選択的に標的とし、目的の器官によって選択的に取り込まれうる。別法として、小さな疎水性の有機分子を細胞内に直接投与してもよい。
【0094】
さらなる治療もしくは診断薬が該医薬組成物に包含されうる。あるいはまたはさらに、医薬組成物を他の治療もしくは診断薬を含む他の組成物と組み合わせてもよい。
【0095】
投与方法
式Iの化合物または医薬組成物は、いずれの適切な方法で患者に投与されうる。投与方法の非限定的な例としては、当業者により式Iの化合物を生体組織と接触させるのに適切であると見なされるような、とりわけ、(a)経口経路を介した投与(カプセル剤、錠剤、顆粒剤、スプレー剤、シロップ剤、もしくは他のそのような形態での投与が含まれる);(b)非経口経路、例えば直腸、膣、尿道内、眼内、鼻腔内、もしくは耳介内を介した投与(水性懸濁液、油性製剤などとして、あるいは点滴、スプレー、坐薬、軟膏(salve)、膏薬(ointment)などとしての投与が含まれる);(c)皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、眼窩内注射、嚢内注射、脊髄内注射、胸骨内注射、などを介した投与(注入ポンプデリバリーを含む);(d)腎臓もしくは心臓領域における直接的注入によって(例えば、デポー埋め込み(depot implantation)によって)などの局部的な投与、;ならびに(e)局所投与が挙げられる。
【0096】
投与に適切な医薬組成物は、式Iの化合物がその意図される目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物を包含する。用量として必要とされる治療上有効な量の本明細書に記載の式Iの化合物は、投与経路、処置される動物の種類(ヒトを含む)、および対象とする特定の動物の身体的特徴に依存するであろう。目的の効果を達成するように該用量を調整することができるが、しかし、重量、食餌、併用薬物療法のような因子、および医学分野の当業者が認識しうる他の因子に依存するであろう。より具体的には、治療上有効な量は、疾患の症状を予防、軽減もしくは寛解するか、または処置された対象の生存を延長させるのに有効な化合物の量を意味する。治療上有効な量の決定は、とりわけ本明細書の詳細な記載を考慮すると、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0097】
当業者には容易に明らかでありうるように、投与される有用なin vivo用量および特定の投与様式は、年齢、重量および処置される哺乳動物種、ならびに式Iの化合物が用いられる特定の用途に依存して変化するであろう。目的の結果を得るために必要な用量レベルである、有効な用量レベルの決定は、通常の薬理学的方法を用いて当業者により達成され得る。通常、生成物のヒト臨床適用は、低用量で開始され、目的の効果が達成されるまで用量レベルを増大させる。別法として、実証された薬理学的方法を用いる現在の方法によって同定された組成物の有用な用量および投与経路を、許容されるin vitro研究を用いて立証することができる。
【0098】
非ヒト動物研究において、有望な生成物の適用は、より高い用量レベルで開始され、目的の効果がもはや達成されなくなるか、または有害な副作用が消失するまで、用量を減少させる。該用量は、目的の効果および治療指標に応じて、広範にわたりうる。通常、用量は約10 μg/kg〜100 mg/kg体重、好ましくは約100μg /kg〜10 mg/kg体重であってよい。別法として、当業者により理解されるように、用量は患者の表面積に基づいていてもよく、患者の表面積をもとに算出してもよい。
【0099】
処置する症状の重症度および応答性に応じて、投与はまた、徐放性組成物の単独投与(single administration)であることもでき、数日から数週間、または治癒が達成されるかもしくは病状の減退が達成されるまで、一連の処置が続けられる。投与される組成物の量は、当然、処置される対象、苦痛重症度、投与方法、処方する医師の判断を含む、多くの因子に依存するであろう。式Iの化合物は、経口もしくは注射を介して、患者の体重あたり0.001〜2500 mg/kg/1日の用量で、投与されうる。成人に対する用量範囲は通常、0.01 mg〜10 g/日である。別個の単位で提供される錠剤もしくは他の形態の製剤は、有効な量(該用量で有効であるかまたは複数の該用量として有効である)の式Iの化合物を含みうることが都合が良い(例えば、5 mg〜1000 mg、通常は約100 mg〜約800 mgを含む単位)。患者に投与される化合物の正確な量は、主治医の責任でありうる。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢および性別、処置される正確な障害、およびその重症度を含む、多くの因子に依存するであろう。また、投与経路は、症状およびその重症度に応じて変えられうる。
【0100】
式Iの化合物の医薬組成物についての的確な製剤、投与経路および用量は、患者の症状の観点から、個々の医師によって選択され得る(例えば、Fingl et al. 1975, in “The Pharmacological Basis of Therapeutics,”(特にCh. 1に関して、引用により本明細書に援用される)を参照)。通常、患者に投与される該組成物の用量範囲は、患者の体重の約0.01〜約1000 mg/kgであり得る。該用量は、患者が必要とするような、1日以上の間に与えられる、単一用量または一連の2回以上の用量であってよい。少なくともいくつかの症状について化合物のヒト用量が確立されている場合、本発明は、それらと同じ用量か、または確立されたヒト用量の約0.1%〜約500%、より好ましくは約25%〜約250%である用量を用いうる。新しく発見された医薬化合物の場合のように、ヒト用量が確立されていない場合、適切なヒト用量は、ED50もしくはID50値か、あるいは動物における毒性研究および有効性研究によって認められるような、in vitroもしくはin vivo研究から得られる他の適切な値から、推測することができる。
【0101】
主治医であれば、毒性もしくは臓器不全に起因して、投与を終了、中断、もしくは調整する方法および時期を知りうることに留意すべきである。反対に、主治医はまた、臨床反応が十分でなかった場合(毒性を除く)に、処置をより高いレベルに調整することも知りうる。目的の障害の管理における投与用量の振幅は、処置される症状の重症度および投与経路によって変えられうる。症状の重症度は、例えば、一つには、標準的な予後評価方法によって判断されうる。さらに、用量およびおそらく投与回数もまた、個々の患者の年齢、体重、および応答によって変えられうる。上記に相当するプログラムを獣医学で用いてもよい。
【0102】
的確な用量は薬剤ごとに決定されるけれども、ほとんどの場合、用量に関していくらか一般化することができる。成人患者に対する1日の用量レジメンは、例えば、各活性成分が0.1 mg〜2000 mg、好ましくは1 mg〜1500 mg(例えば5〜1000 mg)である経口用量であってよい。他の実施態様において、各活性成分が1 mg〜1000 mg、好ましくは50 mg〜900 mg(例えば、100〜800 mg)である経口用量が用いられる。医薬的に許容される塩の投与の場合、用量は遊離塩基として計算される。いくつかの実施態様において、該組成物は1日あたり1〜4回投与される。あるいは、式Iの化合物の組成物は、好ましくは各活性成分が最大1000 mg/日の用量で、持続静脈内注入によって投与されうる。当業者によって理解されるように、ある特定の状況においては、とりわけ侵襲性の疾患もしくは感染症を効率的におよび積極的に処置するように、本明細書に記載の化合物を、上記の好ましい用量範囲を超えるかはるかに超える量で投与する必要がありうる。いくつかの実施態様において、式Iの化合物は、持続的療法の間、例えば1週間以上、または何ヶ月間もしくは何年間も投与されうる。
【0103】
いくつかの実施態様において、式Iの化合物の投与レジメンは、例えば、少なくとも約4週〜少なくとも約8週、少なくとも約4週〜少なくとも約12週、少なくとも約4週〜少なくとも約16週、もしくはそれ以上であり得る期間、投与される。式Iの化合物の投与レジメンは、1日3回、1日2回、毎日、1日おき、週に3回、隔週、月に3回、月に1回、実質的に継続的もしくは継続的に、投与され得る。
【0104】
いくつかの実施態様は、約10 mg〜約1000 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0105】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約1000 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0106】
いくつかの実施態様は、約100 mg〜約900 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0107】
いくつかの実施態様は、約100 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0108】
いくつかの実施態様は、約200 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0109】
いくつかの実施態様は、約400 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0110】
いくつかの実施態様は、約800 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、式Iの化合物の用量あたりの薬剤を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0111】
いくつかの実施態様は、約0.01 mg〜約1000 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0112】
いくつかの実施態様は、約0.1 mg〜約500 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0113】
いくつかの実施態様は、約0.1 mg〜約100 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0114】
いくつかの実施態様は、約0.5 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0115】
いくつかの実施態様は、約1 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施態様は、約5 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0117】
いくつかの実施態様は、約25 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0118】
いくつかの実施態様は、約50 mgの量を含む式Iの化合物の用量の、薬剤/kg体重/式Iの化合物の用量を、経口で、月に3回、月に1回、週に1回、3日おきに1回、2日おきに1回、1日1回、1日2回、もしくは1日3回、実質的に継続的にもしくは継続的に、望ましい処置期間中、患者に投与することを含む、患者においてエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置に有効な量の式Iの化合物を用いる方法を提供する。
【0119】
投与量および投与間隔は、効果の調節または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分である活性成分の血漿中濃度をもたらすように、個々に調整されうる。該MECは各化合物について変化しうるが、in vitroデータから推定することができる。該MECを達成するために必要な用量は、個々の特徴および投与経路に依存しうる。しかしながら、HPLCアッセイもしくはバイオアッセイを用いて、血漿濃度を決定することができる。
【0120】
投与間隔はまた、MEC値を用いて決定することもできる。いくつかの実施態様において、血漿中濃度をMEC以上に、10-90%の時間、例えば、15-30%、20-45%、25-50%、30-55%、35-60%、40-65%、45-70%、50-75%、55-80%、60-90%、65-75%、70-80%、75-85%、15-90%、20-90%、25-90%、30-90%、35-90%、40-90%、45-90%、50-90%、55-90%、60-90%、65-90%、70-90%、75-90%、もしくは80-90%の時間、維持するレジメンを用いて、組成物を投与することができる。いくつかの実施態様において、血漿中濃度をMEC以上に、20-90%の時間維持するレジメンで組成物を投与することができる。いくつかの実施態様において、血漿中濃度をMEC以上に、30-90%の時間、40-90%および最も典型的には50-90%の時間維持するレジメンで組成物を投与することができる。
【0121】
局所投与もしくは選択的取り込みの場合、薬剤の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しない場合がある。
【0122】
投与される組成物の量は、処置される対象、対象の重量、苦痛の重症度、投与方法および処方する医師の判断に依存しうる。
【0123】
本明細書に記載の式Iの化合物は、公知の方法を用いて、有効性および毒性について評価することができる。例えば、式Iの化合物の毒性学は、細胞株、例えば哺乳動物(好ましくはヒト)細胞株に対するin vitro毒性を決定することによって確立されうる。そのような研究の結果は、多くの場合、動物、例えば哺乳動物(さらに具体的には、ヒト)における毒性の予測である。別法として、動物モデル(例えばマウス、ラット、ウサギもしくはサル)における式Iの化合物の毒性は、公知の方法を用いて決定されうる。式Iの化合物の有効性は、いくつかの認められた方法、例えば、in vitro方法、動物モデル、またはヒト臨床試験を用いて確立されうる。認められているin vitroモデルは、ほとんど全ての類の症状(限定はされないが、癌、循環器疾患、および様々な免疫機能障害を含む)について存在する。同様に、許容される動物モデルを用いて、そのような症状を処置する化学物質の有効性を確立してもよい。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は最先端の方法によって、適切なモデル、用量、投与経路、およびレジメンを選択することができる。当然、ヒト臨床試験もまた、ヒトにおける化合物の有効性を決定するために用いられ得る。
【0124】
必要であれば、組成物はパックもしくはディスペンサーデバイス中に提供されてもよく、それは活性成分を含む1つ以上の単位剤形を含んでいてもよい。該パックには、例えば、金属もしくはプラスチックホイル、例えばブリスター包装が包含される。該パックもしくはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付されていてよい。該パックもしくはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用、もしくは販売を規制する行政機関によって定められた形式で、該容器に付随した表示(notice)が添付されていてよく、該表示は、ヒトもしくは動物への投与のための薬剤の形態に関する機関による承認を反映するものである。そのような表示は、例えば、処方薬についての米国食品医薬品局による承認済みのラベリング、または承認済みの製品添付文書であってよい。適合性の医薬担体中に製剤化された式Iの化合物を含有する組成物はまた、製造されて適切な容器中に入れられ、そして示された症状の処置に関するラベルが付されうる。
【0125】
式Iの化合物の有効な量は当業者により決定されてもよく、ヒトに対する投与量の例としては、1日あたり約0.1〜約100 mg/kg体重、好ましくは約0.2〜約50 mg/kg体重、およびさらに好ましくは約0.5〜約25 mg/kg体重(あるいは約1〜約2500 mg、好ましくは約100〜約800 mg)の活性化合物が挙げられ、それは、単一用量かまたは個々に分割された用量(例えば1日あたり1〜4回)形態で投与されうる。いずれの特定の対象に対する投与量の具体的な用量レベルおよび頻度は変化させてもよく、様々な因子(用いられる具体的な化合物の活性、該化合物の代謝安定性および活性期間、対象の種、年齢、体重、全般的健康、性別および食餌、投与の様式および時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、ならびに特定の症状の重症度を含む)に依存しうることが理解されるであろう。処置の好ましい対象としては、エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の対象となる動物、最も好ましくは哺乳動物種、例えば、ヒト、および家畜(例えばイヌ、ネコなど)が挙げられる。
【0126】
従って、エンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害を処置することができる有効な量の式Iの化合物、および医薬的に許容されるビヒクルもしくは希釈剤を含有する医薬組成物もまた記載される。本発明の組成物は、以下に記載される他の治療薬を含んでよく、例えば、通常の個体もしくは液体ビヒクルまたは希釈剤、ならびに目的の投与様式に適したタイプの医薬品添加物(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味剤、など)を用いることにより、医薬製剤の分野で周知であるかまたは許容された医薬の実務によって必要とされるような技法に従って、製剤化されうる。
【0127】
式Iの化合物は、いずれの適切な方法、例えば、経口(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤もしくは粉末剤の形態で);舌下;頬側;非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内注射または注入技法によって(例えば、無菌の注射用の水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液として));経鼻(例えば、吸入スプレーによって);局所(例えば、クリーム剤もしくは軟膏剤の形態で);あるいは、直腸内(例えば、坐薬の形態で)によって;無毒の、医薬的に許容されるビヒクルもしくは希釈剤を含む用量単位製剤で投与されうる。いくつかの実施態様において、製剤中の、投与される式Iの化合物の量は、800 mg/単位用量であることができる。いくつかの実施態様において、1日あたりに投与される式Iの化合物の量は、約800 mgであることができる。例えば、約400 mgの化合物を製剤で1日に2回投与することができ、製剤中の約200 mgの化合物を製剤で1日に4回投与することができ、製剤中の約100 mgの化合物を製剤で1日に8回投与することができる。
【0128】
例えば、式Iの化合物は、即時放出または持続放出に適した形態で投与される。即時放出または持続放出は、式Iの化合物を含有する適切な医薬組成物の使用によるか、あるいはとりわけ持続放出の場合は、デバイス(例えば皮下埋め込みもしくは浸透圧ポンプ)の使用によって、達成されうる。いくつかの実施態様において、即時放出製剤中の式Iの化合物の量は、約800 mg/単位用量であり得る。いくつかの実施態様において、1日あたりに投与される即時放出製剤中の式Iの化合物の量は、約800 mgであることができる。例えば、約400 mgの化合物を、即時放出製剤で1日に2回、即時放出製剤中の約200 mgの化合物を1日に4回投与することができ、即時放出製剤中の約100 mgの化合物を1日に8回投与することができる。
【0129】
式Iの化合物はまた、リポソームで投与されてもよい。例えば、該活性物質は、単位用量あたり約5 mg〜約1000 mgの式Iの化合物を含む組成物(例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、または懸濁剤)か、または創傷治癒のための局所形態(0.01〜5重量%の式Iの化合物、1日あたり1〜5回処置)で用いられ得る。いくつかの実施態様において、リポソームで投与される式Iの化合物の量は、約800 mg/単位用量であることができる。いくつかの実施態様において、1日あたりに投与される式Iの化合物は、リポソーム製剤中、約800 mgであることができる。例えば、約400 mgの化合物をリポソーム製剤で、1日に2回投与することができ、リポソーム製剤中の約200 mgの化合物を1日に4回投与することができ、リポソーム製剤中の約100 mgの化合物を1日に8回投与することができる。
【0130】
式Iの化合物は、生理学的に許容されるビヒクルまたは担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、香味剤、などと、あるいは局所担体と、通常の方法で組み合わせられうる。いくつかの実施態様において、式Iの化合物の量は、約800 mg/単位用量であることができる。いくつかの実施態様において、1日あたりに投与される式Iの化合物の量は、約800 mgであることができる。例えば、約400 mgの化合物を1日に2回投与することができ、約200 mgの化合物を1日に4回投与することができ、約100 mgの化合物を1日に8回投与することができる。
【0131】
式Iの化合物はまた、非経口投与用の組成物(例えば無菌の液剤もしくは懸濁剤)に製剤化され得る。許容された医薬の実務により必要とされる単位剤形において、約0.1〜約800 mgの式Iの化合物、典型的には200 mg、より典型的には約400 mg、最も典型的には約800 mgを、生理学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、など組み合わせてもよい。これらの組成物もしくは製剤中の活性物質の量は、示される範囲で適切な用量が得られるようなものであることが好ましい。いくつかの実施態様において、非経口投与される式Iの化合物量は、約800 mg/単位用量であることができる。いくつかの実施態様において、1日あたりに投与される式Iの化合物の量は約800 mgであることができる。例えば、約400 mgの化合物を1日に2回投与することができるか、約200 mgの化合物を1日に4回投与することができるか、または約100 mgの化合物を1日に8回投与することができる。
【0132】
経口投与用の組成物の例としては、例えば、増量のための微結晶性セルロース、懸濁化剤としてアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム、粘着増強剤としてメチルセルロース、および当分野で公知であるような甘味剤もしくは香味剤を含みうる懸濁剤;ならびに、例えば、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはラクトース、および/または当分野で公知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤を含みうる即時放出性錠剤が挙げられる。成形錠剤、圧縮錠剤または凍結乾燥錠剤が、用いられうる形態の例である。組成物の例としては、速溶性の希釈剤(例えば、マンニトール、ラクトース、スクロースおよび/またはシクロデキストリン)を用いて式Iの化合物を製剤化するものが挙げられる。また、そのような製剤には、高分子量の賦形剤(例えば、セルロース(アビセル)またはポリエチレングリコール(PEG))も含まれうる。そのような製剤にはまた、粘膜の接着性を補助する賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)、ならびに放出を制御するための剤(例えばポリアクリル酸コポリマー(例えば、カーボポール934))が含まれうる。滑沢剤、流動促進剤、香味剤、着色剤および安定剤もまた、製造および使用を容易にするために加えられうる。
【0133】
経鼻エアロゾルもしくは吸入投与のための組成物の例としては、生理食塩水中の溶液が挙げられ、それは、例えば、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、および/または当分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を含んでいてよい。
【0134】
非経口投与用の組成物の例としては、注射用の液剤もしくは懸濁剤が挙げられ、それは、例えば、適切な無毒の、非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒(例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンガー液、生理食塩水)、あるいは他の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤(合成モノ-もしくはジグリセリド、および脂肪酸(オレイン酸を含む)を含む)を含んでいてよい。
【0135】
直腸投与用の組成物の例としては坐薬が挙げられ、それは、例えば、適切な非刺激性の賦形剤(例えば、カカオバター、合成グリセリドエステルもしくはポリエチレングリコール)を含んでいてよく、常温で個体であるが直腸腔において液化および/または溶解して薬剤を放出する。
【0136】
局所投与用の組成物の例としては、局所用担体、例えばプラスチベース(ポリエチレンによりゲル化された鉱物油)が挙げられる。例えば、式Iの化合物は、末梢血管疾患を処置するために局所的に投与されてもよく、従って、クリーム剤もしくは軟膏剤として製剤化されてもよい。
【0137】
式Iの化合物は、単独か、またはエンドセリン依存性もしくはアンジオテンシンII依存性障害の処置において有用な他の適切な治療薬と組み合わせて用いられうる。例えば、式Iの化合物は、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤(例えばホスホラミドン);トロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えばイフェトロバン);カリウムチャネル開口薬;トロンビン阻害剤(例えば、ヒルジンなど);増殖因子阻害剤(例えばPDGF活性のモジュレーター);血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;抗血小板薬(例えばGPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジンおよびCS-747)、およびアスピリン);抗凝固薬(例えばワルファリン、低分子量へパリン(例えばエノキサパリン)、第VIIa因子阻害剤、および第Xa因子阻害剤(例えば2001年10月2日発行された米国特許第6,297,233号に記載されているもの));レニン阻害剤;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、セラナプリル、アラセプリル、エナラプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリルおよび該化合物の塩);中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(二重NEP-ACE阻害剤)(例えばオマパトリラトおよびゲモパトリラト);HMG CoA 還元酵素阻害剤(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK-104(別称 イタバスタチンまたはニスバスタチン(nisvastatinもしくはnisbastatin))およびZD-4522(別称 ロスバスタチン、またはアトルバスタチン(atavastatin)もしくはビサスタチン(visastatin)));スクアレン合成酵素阻害剤;フィブラート系薬剤;胆汁酸捕捉剤(例えばクエストラン);ナイアシン;抗アテローム性動脈硬化薬(例えばACAT阻害剤);MTP阻害剤(例えば1998年1月16日に出願された米国特許出願第09/007,938号に記載されているもの);カルシウムチャネル遮断薬(例えばベシル酸アムロジピン);カリウムチャネル活性化薬;α-アドレナリン薬、β-アドレナリン薬(例えば、カルベジロールおよびメトプロロール);抗不整脈薬;利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、もしくはベンゾチアジド、およびエタクリン酸、チクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライドおよびスピロノラクトンならびに該化合物の塩);血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、リコンビナントtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼおよびアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼアクチベータ複合体(APSAC));抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニルウレア(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリドの組み合わせ(例えば2003年1月1日に発行された米国特許第6,586,438号および2009年10月6日に発行された米国特許第7,598,262号に記載のもの));チアゾリジンジオン(thiozolidinedione)(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、およびPPAR-γアゴニスト;ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(例えば、スピロノラクトンおよびエプレレノン);成長ホルモン分泌促進因子(例えば、2002年4月30日に発行された米国特許第6,380,184号および2003年2月11日に出願された米国特許出願第6,518,292号に記載のもの);aP2阻害剤(例えば、2008年6月24日に出願された米国特許出願第7,390,824号および1999年9月7日に出願された米国特許出願第09/390,275号に記載のもの);ジギタリス;ウアバイン(ouabian);非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例えば、アスピリンおよびイブプロフェン);ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル));タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;抗増殖剤(例えば、メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate and mofetil));化学療法薬;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞傷害性薬物(例えば、アルキル化剤)(例えば、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、エチレンイミン、およびトリアゼン);代謝拮抗薬(例えば、葉酸アンタゴニスト、プリンアナログ、およびピリミジンアナログ);抗生物質(例えば、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシン);酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤(例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、および黄体形成ホルモン-放出ホルモンアンタゴニスト、酢酸オクトレオチド);微小管破壊剤(microtubule-disruptor agent)(例えば、エクチナサイジン類またはそれらのアナログおよび誘導体);微小管安定化剤(microtubule-stabilizing agent)(例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、およびエポチロンA-Fまたはそれらのアナログもしくは誘導体);植物由来の生成物(例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサン);およびトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ならびに、種々の剤(例えば、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、白金配意錯体(例えばシスプラチンおよびカルボプラチン));シクロスポリン;ステロイド(例えばプレドニゾンまたはデキサメタゾン);金化合物;細胞傷害性薬物(例えば、アザチオプリン(azathiprine)およびシクロホスファミド);TNF-α阻害剤(例えば、テニダップ);抗-TNF抗体または可溶性TNF受容体(例えば、エタネルセプト(エンブレル)、ラパマイシン(シロリムスもしくはラパミューン)、レフルノミド(leflunimide)(アラバ));およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤(例えばセレコキシブ(セレブレックス)およびロフェコキシブ(バイオックス))と組み合わせて製剤化され得る。
【0138】
固定用量(fixed dose)として製剤化される場合、そのような組み合わせ製品は、式Iの化合物を以下に記載の用量範囲内で、および他の医薬的に活性な剤をその承認された用量範囲内で用いる。式Iの化合物はまた、該化合物に伴う糸球体収縮および腎毒性に対抗するために、抗真菌剤および免疫抑制剤、例えばアンホテリシンB、シクロスポリンなどと一緒に製剤化されるかまたは組み合わされて有用でありうる。式Iの化合物はまた、血液透析と併せて用いられうる。
【0139】
上記の他の治療薬は、式Iの化合物と組み合わせて用いられる場合、例えば、Physicians' Desk Reference (PDR)に示される量か、またはその他当業者により決定される量で用いられうる。
【0140】
エンドセリンおよびアンジオテンシンII受容体アンタゴニストとしての化合物(「薬剤」)の活性の度合いを確認するために、以下のアッセイを用いてもよい。以下の実施例に記載の式Iの化合物をこれらのアッセイにおいて試験し、活性を示した。
【0141】
ETA/B結合細胞結合アッセイ
ヒトエンドセリンAもしくはエンドセリンB受容体のいずれかを発現しているCHO-K1細胞を、300 μg/mLのジェネテシン(G-418 Gibco BRL Products, Grand Island, N.Y.)を添加したHam's F12培地(Gibco/BRL, Grand Island, N.Y.)(10%ウシ胎仔血清(Hyclone)含有)中で培養し、加湿インキュベーター中において、5%CO2で37℃にて維持した。アッセイの24時間前に、該細胞を0.25%トリプシン-EDTAを用いて処理し、Falconの96ウェル組織培養プレート中に1.8x104細胞/ウェルの密度にて播種した(アッセイの日までに該単層が80-90%の集密度に達するはずである)。
【0142】
該結合細胞アッセイにおいて、各ウェルから培地を吸引し、該単層を50 μLのPBS(Mg++、Ca++フリー)で洗浄した。結合アッセイを、アッセイバッファー(1%BSAおよび2 μMのホスホラミドンを含む、50 mM Tris, pH 7.4)、および25 μLの500 nM ET-1(非特異的結合を決定する)かもしくは競合する薬剤のいずれかから成る、総容積125 μLにおいて実施した。該反応を、25 μLの0.25 nM [125I]-ET-1(New England Nuclear)を加えることで開始した。4℃で穏やかに環状に振盪させながら培養を行い、4時間にて平衡に達した。該反応を、反応バッファーを吸引することによって終了させ、冷PBS(Mg++、Ca++フリー)で2回連続して洗浄した。該細胞を、100 μLの0.5N NaOHを加えた後、40分間インキュベートすることによって分離させた。その後、サンプルを、Cobraガンマカウンター(Packard)で計測するために、96ウェル型からチューブに移し入れた。データを、Sigma plotによるカーブフィッティングソフトウェアを用いて分析した。
【0143】
RASMC結合アッセイ
アッセイは、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、総容積250 μL中にて実施した。該培養混合液は、50 μL [125]I-Sar-Ile-アンジオテンシンII(0.2 nM)か、DMSO中に溶解された25 μLの薬剤か、または非特異的結合を決定するためのアンジオテンシンII(1 μM)を含んでいた。ラット大動脈平滑筋細胞(RASMC)への結合は、0.1%BSAを含有するRPMI培地(Gibco BRL Products, Grand Island, N.Y.)中において、室温で2時間、持続的に振盪させながら、実施した。結合していない放射性リガンドをウェルから洗浄した。放射性リガンドが結合したRASMCを、蒸留水中の1%Triton Xおよび0.1%BSAを用いて、室温で15分間、持続的に振盪させながら、溶解させた。各ウェル中の該溶液をチューブに移し、ガンマカウンターに設置した。
【0144】
本明細書に引用される全ての文書は、参照によりその全般が本明細書に援用される。
【0145】
以下の実施例は本発明の実施態様を説明するものであり、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。本明細書において用いられる略語は以下の通り定義される。
【0146】
略語
Ac = アセチル
BOC = tert-ブトキシカルボニル
n-Bu = n-ブチル
BSA = ウシ血清アルブミン
bp = 沸点
CDI = 1,1'カルボニルジイミダゾール
d = 日
DIBAL-H = 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EDTA = エチレンジアミン四酢酸
eq = 当量
Et = エチル
ET = エンドセリン
ET-1 = エンドセリン-1
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
g = グラム
h = 時間
kg = キログラム
Me = メチル
MEM = メトキシエトキシメチル
MeOH = メタノール
m2/g = 平方メートル/グラム、粒子表面積の測定値として用いられる
min = 分
mL = ミリリットル
mmol = ミリモル
mm Hg = ミリメートル水銀
RH = 相対湿度
MOM = メトキシメチル
mp = 融点
Ms = メタンスルホニル
NBS = N-ブロモスクシンイミド
℃ = 摂氏度
°F = 華氏度
PBS = リン酸緩衝食塩水
Ph = フェニル
n-Pr = n-プロピル
μL = マイクロリットル
μg = マイクログラム
SEM = 2-(トリメチルシロキシ)エトキシメチル
rt = 室温
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
【0147】
一般的方法
以下の一般的方法を、製造および実施例において用いた。
【0148】
一般的方法1:ヘテロ環または脂肪族アルコールのアルキル化
RCH2X → RCH2-OCH2CH3またはRCH2-ヘテロ環
X = BrまたはMsO
水素化ナトリウム(60%分散/鉱物油, 1.2当量)を、0℃にて、DMF中の適切なヘテロ環もしくはエチルアルコール(1.5当量)の1.0 M 溶液もしくは懸濁液に加えた。該混合液を、室温まで昇温させ、20分間撹拌した後、0℃に冷却し戻した。該ヘテロ環混合液に、最小量のDMF中の適切な臭化アルキルもしくはメタンスルホン酸アルキル(1.0当量)の溶液を加えた。得られた混合液を、室温まで昇温させ、16-24時間撹拌した。該反応混合液をEtOAcで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残渣を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーで処理して、アルキル化生成物を得た。
【0149】
一般的方法2:DIBAL-Hを用いた、芳香族ニトリルから芳香族アルデヒドへの還元
ArCN → ArCHO
DIBAL-H(トルエン中の1.5 M溶液, 1.5当量)を、0℃にて、トルエンもしくは9:1トルエン/ジクロロメタン中の芳香族ニトリル(1.0当量)の0.5 M溶液に滴下した。該溶液を0℃で1-4時間撹拌した後、過剰量のメタノールで処理した。15分後、2N 塩酸を加え、該混合液をさらに15分間、激しく撹拌した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、クルードなアルデヒドを得て、それを、クルードのままか、または溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0150】
一般的方法3:臭化アリールとアリールボロン酸とのスズキカップリング
ArBr + Ar’B(OR)2 → Ar-Ar’
R = Hまたはアルキル
2:1 トルエン:エタノール(各試薬について0.1 M濃度)中の1.0当量のアリールボロン酸(もしくはエステル)および適切な臭化アリール(1.0当量)の溶液を、窒素を用いて15分間スパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05当量)および2 M炭酸ナトリウム水溶液(3当量)を加え、該混合液を、窒素雰囲気下において85℃で3時間加熱した。該混合液を冷却し、酢酸エチルおよび水を加えた。有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲルにてクロマトグラフィー処理し、ビアリール生成物を得た。
【0151】
用いられるアリールボロン酸の非限定的な例:[2-[[(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)[(2-メトキシエトキシ)メチル]アミノ]-スルホニル]フェニル]ボロン酸(米国特許第5,612,359号および1998年1月27日に出願された米国特許出願第09/013,952号に記載のとおり製造した);2-[[N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-N-(メトキシメチル)アミノ]スルホニル]-フェニルボロン酸。
【0152】
一般的方法4:水素化ホウ素ナトリウムを用いたアリールアルデヒドからベンジルアルコールへの還元
ArCHO → ArCH2-OH
水素化ホウ素ナトリウム(0.5当量)を、0℃にて、無水エタノールもしくはメタノール中の芳香族アルデヒドの0.2 M溶液に加えた。該混合液を、室温まで昇温させ、1-2時間撹拌した。リン酸二水素カリウム水溶液(もしくは希塩酸)を加え、該混合液をさらに15分間撹拌した。該混合液をある程度濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび水間に分配した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。クルードなベンジルアルコールを、そのまま用いるか、または溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0153】
一般的方法5:ベンジルアルコールからベンジルブロミドへの変換
RCH2OH → RCH2Br
0.2 Mのベンジルアルコール/DMF溶液に、0℃にて、四臭化炭素(1.5当量)、続いてトリフェニルホスフィン(1.5当量)を加えた。該混合液を、0℃で4時間撹拌し、10部の2:1 ヘキサン/酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄した。該溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲルにてクロマトグラフィー処理し、臭化ベンジル生成物を得た。
【0154】
一般的方法6:塩酸/エタノールを用いたSEMもしくはMEMスルホンアミド保護基の加水分解
【化4】

R = MEMまたはSEM
1容積の95%EtOH中のSEM-もしくはMEM-保護 N-ヘテロアリールスルホンアミドの0.1 M溶液に、等量の6N HCl水溶液を加え、得られた溶液を、1時間、還流加熱した。該反応混合液を濃縮し、該溶液のpHを、炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてpH8に調整した。次いで、氷酢酸を用いてpH5まで再度酸性化した。該混合液を、3部の酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせて、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、逆相プレパラティブHPLCによってか、または溶出液としてクロロホルム/メタノールもしくはヘキサン/アセトンを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって、精製した。
【0155】
一般的な手順:アニオン交換クロマトグラフィーによる精製
アニオン交換クロマトグラフィーは、Varian SAXカートリッジ(アセテート型, 1.5-3 g)またはUnited Chemical Technologies CUQAX13M6-ACカートリッジ(アセテート型, 3 g)にて実施した。メタノールですすいだ後、該カートリッジを粗生成物のジクロロメタン溶液をロードした。ジクロロメタンを用いて不純物を溶出した後、ジクロロメタンもしくはジクロロメタン/メタノール中の1-3%TFAを用いて目的の生成物を溶出し、精製産物を得た。
【0156】
一般的な手順:逆相プレパラティブHPLCによる精製
YMC S5 ODSカラム(20X100, 20X250, もしくは30X250 mm)を用いた島津8A液体クロマトグラフを用いて、逆相プレパラティブHPLCを実施した。0.1%TFAの存在下においてメタノール/水混合液を用いて、グラジエント溶出を行った。場合によって、TFA塩として溶出する生成物を、続いて、炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸ナトリウム水溶液から抽出することによって、対応する遊離塩基に変換した。
【0157】
実施例のキャラクタリゼーションにおいて用いた分析HPLCメソッド
島津LC10AS液体クロマトグラフにおいて、以下のメソッドを用いて、分析HPLCを実施した: A. 4分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド; 220 nmにてUV可視化 カラム:YMC S5 ODS Ballistic 4.6x50 mm 流速:4 ml/分 溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸、90%水、10%メタノール 溶媒B:0.1%トリフルオロ酢酸、90%メタノール、10%水 B. 30分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて5分のホールド; 254 nmにてUV可視化 カラム:YMC S3 ODS 6x150 mm 流速: 1.5 ml/分 溶媒A:0.2%リン酸、90%水、10%メタノール 溶媒B:0.2%リン酸、90%メタノール、10%水 C. 4分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド 220 nmにてUV可視化 カラム:YMC S5 ODS Ballistic 4.6x50 mm 流速:4 ml/分 溶媒A:0.2%リン酸、90%水、10%メタノール 溶媒B:0.2%リン酸、90%メタノール、10%水 D. 2分にわたって45〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド; 220 nmにてUV可視化 カラム:Phenomenex Primesphere 4.6x30 mm 流速:5 ml/分 溶媒A:0.2%リン酸、90%水、10%メタノール 溶媒B:0.2%リン酸、90%メタノール、10%水 E. (B)と同じ条件だが、30分にわたって40〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて5分のホールド F. (B)と同じ条件だが、30分にわたって70〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて5分のホールド G. (D)と同じ条件だが、2分にわたって40〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド H. 2分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド; 220 nmにてUV可視化 カラム: Phenomenex Primesphere 4.6x30 mm 流速:5 ml/分 溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸、90%水、10%メタノール 溶媒B:0.1%トリフルオロ酢酸、90%メタノール、10%水 I. (B)と同じ条件だが、30分にわたって50〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて5分のホールド J. (C)と同じ条件だが、8分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド K. (D)と同じ条件だが、2分にわたって0〜100%溶媒Bの直線グラジエント、および100%Bにて1分のホールド。
【実施例】
【0158】
実施例1
【化5】

名称:4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-2'-ホルミル-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-[[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド]
A. 4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-2'-ホルミル-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-N-(2-メトキシエトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
4-ブロモ-3-(エトキシメチル)ベンズアルデヒドと[2-[[(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)[(2-メトキシエトキシ)メチル]アミノ]スルホニル]フェニル]ボロン酸のパラジウム触媒スズキカップリングを、一般的方法3に従って実施し、シリカゲルクロマトグラフィーの後、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(ホルミル)-N-((メトキシエトキシ)メチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(81%)を得た。
B. 4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-2'-ホルミル-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
一般的方法6に従って、6N塩酸水溶液を用いてN-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(ホルミル)-N-((メトキシエトキシ)メチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを処理し、MEM保護基を除去することにより、表題の化合物を得た(85%): Rf=0.38, 5%MeOH/塩化メチレン。
【0159】
実施例2
該一般的方法の組み合わせにより、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドを合成した。
【化6】

名称:4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
出発物質:
【化7】

適用された一般的方法(収率, %): 一般的方法1, EtOH(77); 一般的方法2(80); 一般的方法3(70); 一般的方法4(98); 一般的方法5(80); 一般的方法1(83); 一般的方法6(86)
M/z (MH)+: 593
HPLC % 純度: >98
HPLC 保持時間, 分(HPLCメソッド): 18.75(E)
【0160】
実施例3
4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド[結晶性]
【化8】

4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドの別の合成
工程A. 4-ブロモ-3-(ブロモメチル)安息香酸エチル
4-ブロモ-3-メチル安息香酸エチル(110 g, 450 mmol.)を、実施例5の手順に従って、NBSを用いて処理した。溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、4-ブロモ-3-(ブロモメチル)安息香酸エチル(91 g, 62%)を白色の固形物として得た。
【0161】
【化9】

工程B. 4-ブロモ-3-(エトキシメチル)安息香酸エチル
エタノール(300 mL)とDMF(50 mL)の混合液中の4-ブロモ-3-(ブロモメチル)安息香酸エチル(89 g, 280 mmol.)の溶液を、0℃にて、ナトリウムエトキシド(135 mLのエタノール中の21%溶液)を用いて処理した。該混合液を、室温まで昇温させ、16時間撹拌した。エタノールを減圧下でエバポレートした。酢酸エチルを残渣に加え、該混合液を、水および食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲルにおいて残渣をクロマトグラフィー処理し、4-ブロモ-3-(エトキシメチル)安息香酸エチル(67 g, 84%)を、わずかに黄色の油状物として得た。
【0162】
【化10】

工程C. N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
4-ブロモ-3-(エトキシメチル)安息香酸エチル(32 g, 100 mmol)を、一般的方法3に従って、2-[[N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-N-(メトキシメチル)アミノ]スルホニル]-フェニルボロン酸とスズキカップリングさせた。溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(52 g)を黄色の油状物として得た(ボロン酸由来の副生成物が混入していた)。
【0163】
【化11】

工程D. N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(全サンプル)を、以下の手順に従って、DIBAL-Hを用いて処理した。
N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-4'-(エトキシカルボニル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(0.3 mmol.)/THF(5 mL)溶液を、DIBAL-H(0.53 mLの、トルエン中の1.5 M溶液, 0.8 mmol.)を用いて、-78℃にて処理する。該温度を-25℃まで昇温させ、該混合液を2時間撹拌する。冷却した反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミドをクルードな黄色の油状物として得る。
【0164】
【化12】

工程E. 4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-4'-(ヒドロキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(全サンプル)を、一般的方法5に従って、対応するブロミドに変換した。溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより、4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド](38 g, 純度は1H NMRにより83%であると推定された)を薄黄色の油状物として得た。
【0165】
【化13】

工程F. 4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4. 4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
4'-(ブロモメチル)-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド](全サンプル)用いて、一般的方法1に従って、2-ブチル-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-4-オンをアルキル化した。粗残渣を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミンを用いて、シリカゲルにてクロマトグラフィー処理し、4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル-N-](4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(工程Bから、32 g, 53%)をわずかに黄色の油状物として得た。
【0166】
【化14】

工程G. 4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)-N-(メトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(32 g, 53 mmol.)のMOM保護基を、一般的方法6に従って除去した。該粗生成物を、溶出液としてヘキサン/酢酸エチル/酢酸を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物(26 g, 88%)を、アモルファスな泡状物質として得た: MS n/e 593 (ESI+ モード); HPLC 保持時間 18.75分 (HPLC メソッドE); HPLC 純度>96%.
【0167】
実施例4
【化15】

工程H. 4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド
結晶化
アモルファスな4'-[(2-ブチル-4-オキソ-1,3-ジアザスピロ[4.4]ノナ-1-エン-3-イル)メチル]-N-(4,5-ジメチル-3-イソオキサゾリル)-2'-(エトキシメチル)[1,1'-ビフェニル]-2-スルホンアミド(1 g)を5 mLのイソプロパノール中に溶解させた後、該混合液に5 mLの水を滴下し、該混合液を40℃まで加温し、澄明な溶液を得た。該溶液を室温で静置し、そうして得られた白色の結晶を濾過し、小量のイソプロパノール/水の2:1混合液で洗浄し、乾燥させて、0.87 gの白色の結晶性固形物を得た。mp: 148℃.
【0168】
実施例5
一般的方法1:N-ブロモスクシンイミドを用いたベンジルの臭素化
【化16】

0.4 Mのメチル-置換芳香族化合物(例えば4-ブロモ-3-メチル安息香酸エチル)/四塩化炭素溶液に、N-ブロモスクシンイミド(1.05当量)および過酸化ベンゾイル(0.03当量)を加え、該混合液を、8-16時間還流加熱した。該混合液を冷却し、濾過し、該濾液を濃縮した。残渣を、3:1 ヘキサン/酢酸エチルを用いてトリチュレートするか、または、溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、モノ臭素化生成物(例えば4-ブロモ-3-(ブロモメチル)安息香酸エチル)を得た。
【0169】
実施例6
低剪断顆粒化を用いた経口投与用の200 mgおよび400 mgの含量の錠剤
微結晶性セルロースか、微結晶性セルロースおよびラクトースの混合物を用いる2つの製剤を、低剪断顆粒化を用いて加工した。製剤Bおよび製剤Cの組成を表1および2に示す。200 mgおよび400 mgの含量の錠剤を、57%薬物投入量での低剪断湿式顆粒化製造方法を用いて製造した。
【表1】

【表2】

【0170】
該製剤は、顆粒化液としてmilli-Q水を用いるKitchen Aid プラネタリー型ミキサーを用いて、顆粒化された。製剤Cは、計84 gの水を14 g/分の添加速度にて用いて顆粒化された。製剤Bは、計94 gの水を14 g/分の添加速度にて用いて顆粒化された。両方の顆粒化は、60℃の通気式(vented)オーブン中において、約15時間、トレー乾燥させた。乾燥後の顆粒化において、050G グレータースクリーン(grater screen)、円形インペラー(round impeller)、および0.175"スペーサーを備えた197S Quadro Comilを用いて、20%Comil速度にて、粉砕した。粒外賦形剤を、パーセント収率に基づいて調整した。各製剤を袋で(bag)5分間混合した後、滑沢化を加え、その後さらに1分混合した。
【0171】
該混合物の物理的特性を決定した(容積密度およびLOD水分含量)。該混合物を、重力供給フレーム(gravity feed frame)およびホッパーを備えたPiccola BD打錠機において、36 rpmの速度で、圧縮した。予圧力、本圧力、および押出し力を、“The Director”ソフトウェア(SMI Inc製)を用いて、モニターした。各製剤から200および400 mg含量の錠剤を得るため、350 mgおよび700 mgの錠剤重量を目標とした。該350 mg錠剤(200 mg含量)は0.2500" X 0.5000"カプセル形標準的凹面工具を用いて圧縮し、700 mg錠剤(400 mg含量)は0.3300 X 0.7100卵円形標準的凹面工具を用いて圧縮した。錠剤硬度の範囲は製剤の頑強性を決定することを目的とし、錠剤の厚さを記録した。製造過程で、錠剤重量、硬度、厚さおよび破砕性をモニターした。
【0172】
製剤の適度な圧縮およびトレー乾燥に成功した低剪断顆粒化プロセスにより、表3に示すような密度およびLODの結果により示されるとおり、許容される低い水分含量まで湿式顆粒化がもたらされた。
【表3】

【0173】
製剤Cおよび製剤Bの両方の錠剤含量とも、安定な錠剤重量ならびに許容される錠剤硬度および低破砕性(表4および5)をもたらす流量および圧縮率に関して、回転式打錠機において良好に得られた。両方の錠剤製剤とも0.1 N HClにおいて急速に崩壊したが、製剤Bの方が製剤Cよりも速く崩壊した(表5)。製剤Cは圧縮試験中に錠剤接着問題を経験した。さらに、ステアリン酸マグネシウムの添加が研究された。
【表4】

【表5】

【0174】
溶解サンプルにおいてHPLC-バックエンド分析を実施した。溶解試験の結果により、製剤Cは、0.1 N HCl 溶解媒体中において、50および60 rpmパドル速度の両方で、製剤Bよりも実質的に速い溶解速度であることが示された(表6)。
【表6】

【0175】
製剤Cおよび製剤Bについてのアッセイおよび関連物質の結果を表7に示す。
【表7】

【0176】
実施例7
高剪断湿式顆粒化を用いた経口投与用の200 mgおよび400 mg含量錠剤
実施例6において、ポロクサマー188を含む微結晶性セルロースベースの組成物である製剤Cは、微結晶性セルロース/ラクトース組み合わせ製剤である製剤Bに比べて実質的に速い薬物放出特性を有することが認められた(表6)。製剤Cは、圧縮試験で見られた接着問題に起因して、滑沢剤を増量する必要があった。この実施例において、製剤Cのステアリン酸マグネシウムの量を増量して、製剤Dを得た。また、クロスカルメロースナトリウムに加えてスーパー崩壊剤デンプングリコール酸ナトリウムを評価するための新しい実験計画を作成し、それにより崩壊/溶解率がさらに高められた製剤Eを得た。低剪断顆粒化を高剪断湿式顆粒化と置き代えることにより、溶解率が向上され、より最新で将来のスケールアップ製造に適した製造方法が得られた。
【0177】
製剤Dは、潤滑の0.5%増大およびクロスカルメロースナトリウムの添加を含む、ポロクサマー188を有する微結晶性セルロースベースの製剤である。製剤Eは、クロスカルメロースナトリウム崩壊剤の代わりにデンプングリコール酸ナトリウムを用いた、同様の製剤である。製剤Aは、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ならびにポロクサマー188の代わりにラウリル硫酸ナトリウムを含む、さらなる製剤である。製剤D、E、およびAの組成を表8および9に示す。用量に比例した200 mgおよび400 mg含量錠剤を、表8および9に示す量の成分を用いて製造した。
【0178】
該製剤を、7.5リットルのインサートを備えた10リットルのNiro PP 1 高剪断造粒機において、高剪断湿式顆粒化を用いて顆粒化した。結合剤溶液としてMilli-Q水を用いた。各製剤についてのバッチサイズは750 gであった。粒内物質を、造粒機の中で3分間、300 rpmのインペラー速度にて混合した後、顆粒化した。製剤Dの顆粒化には、41.8 g/分の噴霧速度で251 gの水が必要であった。製剤Aの顆粒化には、41.8 g/分の噴霧速度で322 gの水が必要であった。製剤Eには、52 g/分の噴霧速度で311 gの水が必要であった。顆粒化の間、インペラー速度は305 rpmに設定し、チョッパーは高速に設定した。該顆粒化の終了ポイントは「スノーボール」方法(fist test)により定性的に決定され、該顆粒化は、さらに5分間、チョッパーなしで300 rpmにて混合された。各製剤を、Niro Aeromatic MP-l 流動床乾燥機を用いて、65℃の吸気温度にて、2.0%未満のLOD水分含量まで乾燥させた。乾燥後の顆粒化において、0.050" グレータースクリーン、円形インペラーおよび0.175"スペーサーを備えた197S Quadro Comilを用いて、20%Comil速度にて、粉砕した。
【表8】

【表9】

【0179】
粒外の賦形剤を、収量ごとに調整し、各実施例顆粒化に加えた。該混合物を、袋で5分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを、該混合物中に層状に重ね入れ、該混合物をさらに3分間混合した。最終混合物を、Piccola ED打錠機において、36 rpmのプレス速度にてパドルフィーダフィードフレームを用いて、圧縮した。該350 mg錠剤(200 mg含量)は0.2500" X 0.5000" カプセル形標準凹面工具を用いて圧縮し、該700 mg錠剤(400 mg含量)は0.3300 X 0.7100 卵円形標準的凹面工具を用いて圧縮した。15 KPの錠剤硬度を該製剤の目標とした。
【0180】
製剤Dおよび製剤Aについての最終混合物の物理的特性は、容積密度、タップ密度、安息角、圧縮率もしくは粒径分布に関してほとんど差は見られなかった(表10および11)。全ての実施例が、安息角、圧縮率およびFlodexの値により示されるとおり、許容される流量を示した(表10)。全ての製剤が、表11に示すとおり、低い水分量を示した。製剤Eは、表11に示すとおり、他の2つの製剤よりも実質的に密度が高く、その粒径分布が実質的に大きかった。該製剤Eの湿式顆粒化プロセスは、大きな、はっきりとした(well defined)顆粒を産生した。顆粒化の間に産生された大きく硬い顆粒は、他の実施例で見られるよりも顕著に長い粉砕時間となった。いくらかの乾燥した球、顆粒および粒子は粉砕することができず、廃棄した。
【表10】

【表11】

【0181】
製剤A、D、E、GおよびFについてのLOD結果を表12に示す。
【表12】

【0182】
全ての製剤の混合が、打錠機において良好に行われ(表13)、低破砕性である、高品質の、一貫した、硬い錠剤が得られた。製剤Dにおいて滑沢剤を増大させたことにより、以前に製剤Cにおいて見られた錠剤接着問題が解消された。製剤Eの錠剤崩壊時間(49.70分)は、他の実施例で見られた錠剤崩壊時間よりも顕著に長かった(表14)。
【表13】

【表14】

【0183】
溶解に関して、ポロクサマー188界面活性剤(製剤D)は、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤(製剤A)より優れていた。製剤Aおよび製剤Dの両方とも製剤Eより優れていた。製剤Aの400 mg含量錠剤についての溶解特性は、30分で77%の薬物放出および60分で89%の薬物放出を示し、一方、製剤Dの400 mg含量錠剤についての溶解特性は、30分で92%の薬物放出および60分で96%の薬物放出を示した(表15)。
【表15】

【0184】
200 mg含量の製剤Aの錠剤は、表16に示すとおり、400 mg含量錠剤よりも速く溶解放出した。
【表16】

【0185】
製剤Dおよび製剤Aの両方とも、高い効力ならびに低い関連物質を有することが示された。短期安定性評価を、200 mg含量の製剤Dおよび製剤Aの錠剤で、パッケージング状態および開封状態において、実施した。パッケージングされた錠剤を、HDPEボトルに入れ、密閉閉栓をし、50℃(周囲湿度)での加速安定性条件で処理した。該開封容器の錠剤を、40℃/75%RH(相対湿度)にて、開封ボトルに入れた。該錠剤を、2および4週間の期間にてアッセイした。短期安定性試験により、製剤Dおよび製剤Aの両方とも化学的に安定な製剤であることが示された。製剤Dおよび製剤Aの両方についての200 mg含量錠剤とも、開封容器中、40℃/75%RHにて、少なくとも4週間、能力を維持し、関連物質が顕著に増大することもなかった。50℃での閉栓容器の錠剤は、4週間安定で、製剤Dサンプルにおいて4週の時間ポイントにていくらかの小さな劣化が認められたのみであった。製剤Aにおいては分解の増大は見られなかった。
【表17】

【0186】
実施された実験(とりわけ溶解)から、ポロクサマー188は良好な界面活性剤であり、クロスカルメロースナトリウムは良好な崩壊剤であると認められた。高剪断湿式顆粒化は効率的な製造方法であることが分かった。低剪断湿式顆粒化を用いた製剤は、高剪断湿式顆粒化を用いて製造した製剤と比べて有利でなかった。該溶解試験によって、2つの方法の間の差違に関するそのような証拠がいくつか得られた。
【0187】
実施例8
製剤Aおよび製剤Cを評価する圧縮研究
製剤Dおよび製剤Aにおいて、錠剤圧縮研究を実施した。Piccola BD打錠機において、36 rpmの速度にて、圧縮を行った。3〜10 kNの範囲の5つの本圧力を、製剤に圧力を加える目標とした。錠剤重量(mg)、錠剤エッジの厚さ、および錠剤エッジの厚さ(in)を測定した。
【0188】
該圧縮研究により、全ての製剤は高い圧縮性であることが示された。製剤Aは10.0 kNでその最大硬度約21 kpに到達し始め、一方、製剤Dは9.9 kNでその最大硬度約16.3 kpに到達した。また、圧縮研究において、同じ錠剤厚さを達成するために、製剤Aは製剤Dよりも大きな力を必要とすることも認められた。製剤Dはわずかに低い押出し力であった。製剤Aは製剤Dに比べて、より高い硬度をもたらした。
【0189】
実施例9
高剪断顆粒化の最適化
製剤Dの最終混合物のふるい分析により、顆粒化中の高い濃度の微粒子(〜50%)が示された。製剤Dをさらに最適化するため、および顆粒化中の微粒子の濃度を減少させるために実験を試み、顆粒化液の量を25% w/w(製剤F)から30% w/w(製剤G)に増加させることにより、高剪断顆粒化プロセスがおそらくは改善された。最適化実験において用いられた製剤を表18に示す。
【表18】

【0190】
予備造粒の両方のバッチで、1クオートのV型ブレンダーを用いて、賦形剤を混合した。式Iの化合物(API)をNiro PP-1中の混合された賦形剤の間に入れ、チョッパーをオフにして5分間混合した。該製剤を、7.5リットルのインサートを備えたNiro PP1を用いて、高剪断顆粒化により顆粒化した。顆粒化溶液としてMilli-Q水を用いた。バッチサイズは、APIに制限があるため、製剤Gについて1000 g、製剤Fについて950 gであった。製剤Gは噴霧速度68.6 g/分にて413 gの水を用いて顆粒化され、製剤Fは噴霧速度50.9 g/分にて305 gの水を用いて顆粒化された。乾燥後の顆粒化において、0.050"グレータースクリーン、円形インペラーおよび0.175"スペーサーを備えた197S Quadro Comilを用いて、20%Comil速度にて、粉砕した。粒外の賦形剤を、最終粉砕顆粒化のパーセント収率に基づいて調整した。
【0191】
該顆粒化は、クロスカルメロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を加えた後、2クオートのV型ブレンダーにおいて5分間混合された。該混合物を、ステアリン酸マグネシウムを加えた後、さらに3分混合した。該混合物を、Piccola BDプレスにおいて、パドルフィードフレームおよびホッパーを用いて、36 rpmの速度で圧縮した。該350 mg錠剤は0.2500" X 0.5000" カプセル形標準的凹面工具を用いて圧縮し、該700 mg錠剤は0.3300 X 0.7100 卵円形標準的凹面工具を用いて圧縮した。
【0192】
25%顆粒化液を用いて加工された200 mg含量錠剤(製剤F)を、50cc HDPEボトル中に30錠剤/ボトルでパッケージングし、密閉閉栓をし、25℃/25%RHおよび40℃/75%RHにて、最大3か月間、安定性を試験した(200 mg含量の製剤Aの錠剤も同様にした)。
【0193】
製剤Fの製剤化は、はっきりとした顆粒を形成した製剤Gよりも、微細な、粉末状の外観を有していた。最終混合物のふるい分析において、該微粒子は、加工の過程で25%顆粒化液を用いた製剤Fに比べて、加工の過程で30%顆粒化液を用いた製剤Gにおいて大幅に減少しており、30%顆粒化(製剤G)の粒径分布は25%顆粒化(製剤F)よりも実質的に大きかった(表11)。両顆粒化からの最終混合物は、一貫した重量、硬度および厚さ、ならびに低破砕性を有する、頑強な、良質の錠剤を産生することができた(表12)。アッセイおよび関連物質は、抗力または不純度に問題がないことを示していた。該錠剤の崩壊時間はおよそ2倍になった(30%顆粒化で〜15分から〜30分へと増大)(表14)。溶解もまた、25%顆粒化錠剤に比べて30%顆粒化錠剤で顕著にゆっくりであった(表19)。
【表19】

【0194】
実施例10
製剤FおよびAの安定性試験
製剤Fおよび製剤Aの200 mg含量錠剤を、パッケージングし、安定性を試験した。錠剤を、50cc HDPEボトル中に30錠剤/ボトルでパッケージングし、密閉閉栓した。
【0195】
製剤Fおよび製剤Aの両方とも、外観、アッセイ、関連物質、溶解、および水分含量に関して、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHにて少なくとも3か月、安定であることが示された。いずれの不安定性も示されなかった(表20)。
【表20】

【表21】

【0196】
実施例11
100 mg含量の製剤Dの錠剤の開発およびAPI粒子サイズの効果の評価
高剪断顆粒化製剤Dを用いて、用量に比例した100 mg含量錠剤を調査した。25%顆粒化液を用いる該高剪断顆粒化方法を用いた。加えて、より大きな粒径のAPI(式Iの化合物)を用いる効果を、より大きな粒径のAPIを用いて共通の混合物から400 mg含量錠剤および100 mg含量錠剤を製造して、前述の、より小さな粒径のAPIを用いた400 mg含量錠剤のバッチと比較することによって評価した。
【0197】
100 mg含量錠剤を、57%薬物投入量での25%顆粒化液を用いる高剪断顆粒化方法を用いて製造した。175 mgの錠剤重量を、より大きな粒径を有するAPIを用いた製剤Dから100 mg含量錠剤を産生するための目標とした(表22)。
【表22】

【0198】
式Iの化合物(API)の補正重量を決定するために用いたアッセイ値は98.80%であった。該バッチについて算出された式Iの化合物の総量は、1 kgのバッチサイズに対して578.4 gであった。該賦形剤を、袋で混合し、次いでそれを用いて式Iの化合物をPP-1高剪断造粒機に入れた。該物質をPP-1に入れ、チョッパーは用いずに306 rpmに設定したインペラーを用いて、3分間、予め混合した。速いチョッパー速度で、306 rpmに設定したインペラー速度を用いて、顆粒化を行った。顆粒化評価の後、さらなる水が必要であると決定された。53.5g/分の速度にて合計378.8 gの水の添加または28%顆粒化液の添加となるように、合計57.8 gのさらなる水を該顆粒化に加えた。MP-1流動床において65℃の吸気温度を用いて、該顆粒化を0.7%のLODまで乾燥させた。該顆粒化を、0.050" グレータースクリーンを備えた197S Quadro Comilを用い、20%の速度にて150スペーサーを用いて、粉砕した。得られた粉砕顆粒化の収率は80.1%であった。粒外の賦形剤を、調整し、一緒に袋で混合した。得られた最終混合物を、100 mg含量錠剤については0.2000 X 0.4000 卵円形プレーン(Hob# 21971)錠剤工具を備えたKorsch PHI 03 打錠機で、そして400 mg含量錠剤については0.3360 X .6720 改変卵円形(Hob# 1907)を備えたKorsch PHI 03 打錠機で、重力供給フレームおよびホッパーを用いて、約42 rpmにて、圧縮した。製剤D(より大きなAPI粒径)を用いた100 mg含量錠剤に対しては硬度 10 kpおよび錠剤重量 175 mgを目標とし、製剤D(より大きなAPI粒径)を用いた400 mg含量錠剤に対しては硬度 15 kpおよび700 mgの重量を目標とした。
【0199】
製剤D(より大きなAPI粒径)を用いた100 mgおよび400 mg含量錠剤の評価
最終混合物の物理的特性を、製剤Dの前述のバッチと比較した(表13)。圧縮率および安息角による測定で、容積密度および流動特性は非常に類似していることが分かった。最終混合物のタップ密度は前述のバッチよりもいくらか低いことが見出され、そして、該顆粒化は28%顆粒化液を用いたにもかかわらず、ふるい分析における微粒子の量が前述の25%顆粒化液を用いた製剤顆粒化よりも実質的に高いことが見出された。より大きなサイズのAPIは顆粒化特性に影響を与えると考えられた。しかしながら、最終混合物は打錠機において良好に挙動し、100 mgおよび400 mg含量錠剤の両方における錠剤重量目標および硬度目標(低破砕性)を満たす一貫した錠剤を産生した。該錠剤特性を表13に示す。アッセイ試験を100 mg含量錠剤において実施し、全ての前述の製剤と同様に、効力は高く(97.7%)、関連物質は低かった(合計1.03%)。100 mgおよび400 mg含量錠剤の両方において、溶解試験により、即時放出錠剤の基準を容易に満たす急速な放出が示された。該溶解特性を表23に示す。
【表23】

【0200】
従って、より大きな粒径のAPIの使用は、錠剤の溶解もしくはそれらの製造に負の影響を与えなかった。より大きな粒径のAPIを用いた製剤Dの400 mg含量錠剤の溶解特性は、安定バッチである製剤Fとほぼ同じであった。しかしながら、より大きな粒径は、製造プロセスにおいてさらなる顆粒化液の使用を必要としなかった。
【0201】
実施例12
実施例6から11に記載された方法を用いることにより、該錠剤およびカプセル剤は式Iの化合物を約10 mg〜約800 mgの量で含んでもよい。式Iの化合物および不活性成分は記載の重量パーセント量で存在し、それは前述の実施例から当業者により容易に決定される。例えば、当業者は、実施例1から12の方法に従って類似の方法で、錠剤およびカプセル剤を製造することができ、既に記載されたものに加えて、ここで該式Iの化合物は約10 mg、約20 mg、約30 mg、約40 mg、約50 mg、約60 mg、約70 mg、約80 mg、約90 mg、約100 mg、約110 mg、約120 mg、約130 mg、約140 mg、約150 mg、約160 mg、約170 mg、約180 mg、約190 mg、約200 mg、約210 mg、約220 mg、約230 mg、約240 mg、約250 mg、約260 mg、約270 mg、約280 mg、約290 mg、約300 mg、約310 mg、約320 mg、約330 mg、約340 mg、約350 mg、約360 mg、約370 mg、約380 mg、約390 mg、約400 mg、約410 mg、約420 mg、約430 mg、約440 mg、約450 mg、約460 mg、約470 mg、約480 mg、約490 mg、約500 mg、約510 mg、約520 mg、約530 mg、約540 mg、約550 mg、約560 mg、約570 mg、約580 mg、約590 mg、約600 mg、約610 mg、約620 mg、約630 mg、約640 mg、約650 mg、約660 mg、約670 mg、約680 mg、約690 mg、約700 mg、約710 mg、約720 mg、約730 mg、約740 mg、約750 mg、約760 mg、約770 mg、約780 mg、約790 mg、または約800 mgの量で存在している。
【0202】
実施例13
第IIa相試験を、3-4週のプラセボ導入期間で開始した。ステージIおよびIIの高血圧症と認定された141人の患者をランダム化し、200 mgの式Iの化合物か、500 mgの式Iの化合物か、もしくはプラセボのいずれかを、4週間、毎日、与えた。平均24時間収縮期携帯型血圧モニタリング(ABPM)、平均24時間拡張期ABPM、平均職場座位(seated office)収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)、平均日中SBPおよびDBP、平均夜間SBPおよびDBP、ならびに投与の最終2時間のSBPおよびDBPの、主要な有効性エンドポイントを評価した。93人の患者(有効集団)がABPM分析に利用可能であった。
【0203】
1日1回、200 mgもしくは500 mgのいずれかでの式Iの化合物は、ステージIおよびIIの高血圧症患者における収縮期および拡張期血圧において、プラセボに比べて統計的に有意な大きな低下をもたらした(表24)。該薬剤は、安全であり、患者による良好な耐用性を示した。報告された有害事象の大部分は、重症度が軽度かもしくは中等度であり、それには、頭痛ならびに軽度の骨格筋および呼吸器の愁訴が含まれた(表25)。肝機能検査および血液学的検査において注目すべき変化は見られなかった(表26)。
【表24】

【表25】

【表26】

【0204】
実施例14
第IIb相試験を、4-週のプラセボ導入期間で開始し、140-179/90-109 mmHgの範囲内のSBP/DBPであると認定された261人の患者をランダム化し、200 mgの式Iの化合物、400 mgの式Iの化合物、800 mgの式Iの化合物、イルベサルタン 300 mg、またはプラセボのいずれかを、12週間、毎日、午前に与えた。座位SBP、DBPの主要な有効性エンドポイント、BPコントロール(<140/90 mmHg)である患者の%、ならびに全ての標準的な安全性評価基準を評価した。結果から、各用量の式Iの化合物は、SBPおよびDBPにおいて(p<0.001)、およびBPコントロールにおいて(p<0.0013)、プラセボに比べて統計的に用量依存性の大きなBP低下を示すことが分かった。表27に示すとおり、式Iの化合物の、200 mgの有効性はイルベサルタンと同様であり、400 mgはイルベサルタンよりも良好にBPコントロールを達成し(p<0.05)、800 mgは全てのエンドポイントにおいてイルベサルタンよりも統計的に優位であった。式Iの化合物の作用の発現は迅速で、4時間以内であり、該有効性は12週間以上持続した。
【表27】

【0205】
実薬治療(active treatment)の間、重大な有害事象(SAE)は報告されなかった(表28)。肝機能試験(表9)、クレアチニン、尿素窒素およびバイタルサインにおいて、注目すべき変化は認められなかった。結論として、式Iの化合物は、新規の、二重のメカニズムの作用を有する、極めて強力な薬剤であり、糖尿病性腎症、慢性もしくは持続性血圧上昇、高血圧症および他の疾患の有力な処置であることが保証される。
【表28】

【表29】

【0206】
実施例15
研究は、糖尿病性腎症であると認定された患者で開始する。スクリーニングアセスメントおよび評価は、2週間を超えない期間にわたって実施されうる。スクリーニングの後、全ての適格な患者を、4-週のプラセボ導入期間に入れ、確実に、ベースラインの血圧が安定なままで維持され、ランダム化のための適格性基準を満たすようにする。適格な患者をランダム化し、式Iの化合物:200 mg、400 mg、もしくは800 mg;イルベサルタン 300 mg;またはプラセボのいずれかを、12週間、毎日与える。座位収縮期BP、拡張期BPの主要な有効性エンドポイント、BPコントロールである患者の%(<140/90 mmHg)、ならびに全ての標準的な安全性評価基準を評価する。処置の過程におけるベースラインから最終測定までの変化を記録する。
【0207】
各用量の式Iの化合物によるヒト対象(例えば、糖尿病性腎症を有するヒト対象)の処置は、SBPおよびDBP、ならにびBPコントロールにおいて、プラセボおよびイルベサルタンよりも、統計的に用量依存的な大きなBP低下を示しうることが予期される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

の化合物または医薬的に許容されるその塩を、約50 mg/日〜約1000 mg/日の量で投与することを含む、処置が必要なヒト対象においてエンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害を処置する方法。
【請求項2】
該エンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害が、慢性血圧上昇、持続性血圧上昇、または糖尿病性腎症である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒト対象に投与される式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量が、約200 mg/日〜約800 mg/日である、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
ヒト対象に投与される式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量が、約400 mg/日である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヒト対象の収縮期血圧が少なくとも160 mmHg以下まで低下される、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
ヒト対象の拡張期血圧が少なくとも140 mmHg以下まで低下される、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
ヒト対象の収縮期もしくは拡張期血圧が処置前の収縮期もしくは拡張期血圧と比べて少なくとも5 mmHg低下される、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を投与して12週以内に、140 mmHg未満の収縮期血圧または90 mmHg未満の拡張期血圧に達する、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を1日2回以下の頻度で投与する、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を1日1回以下の頻度で投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
処置が必要な対象においてエンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害を処置することにおける使用のための、式I:
【化2】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、
および医薬的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物であって、
該式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の量が約50 mg〜約1000 mgである、医薬組成物。
【請求項12】
該エンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害が、慢性血圧上昇、持続性血圧上昇、または糖尿病性腎症である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩の量が約200 mg〜約800 mgである、請求項11または12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩の量が約400 mgである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
エンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害の処置において使用すると、少なくとも160 mmHg以下であるようにヒト対象の収縮期血圧が低下される、請求項11から14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項16】
エンドセリン依存性またはアンジオテンシンII依存性障害の処置において使用すると、ヒト対象の収縮期もしくは拡張期血圧を、処置前の収縮期もしくは拡張期血圧と比べて少なくとも5 mmHg低下させる、請求項11から15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項17】
式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を投与して16週以内に、140 mmHg未満の収縮期血圧または90 mmHg未満の拡張期血圧に達する、請求項11から16のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項18】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を1日2回以下の頻度で投与する、請求項11から17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項19】
式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を1日1回以下の頻度で投与する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
約100 mg〜約800 mgの、式I:
【化3】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および
少なくとも1つの賦形剤を含有する医薬組成物であって、
該式Iの化合物が該組成物の約35% w/w以上を構成し、そして、
該賦形剤が該組成物の約5%〜約65% w/wを構成する、医薬組成物。
【請求項21】
各賦形剤が、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー188、デンプングリコール酸ナトリウム、ラクトース一水和物、およびクロスカルメロースナトリウムからなる群から独立して選択される、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
該式Iの化合物が該組成物の約40%〜約65% w/wを構成する、請求項20または21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
1つの賦形剤が微結晶性セルロースである、請求項20から22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項24】
該微結晶性セルロースが該組成物の約5%〜約65% w/wを構成する、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
該微結晶性セルロースがケイ化微結晶性セルロースである、請求項23または24のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項26】
1つの賦形剤がポロクサマー188である、請求項20から25のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項27】
該ポロクサマー188が該組成物の約0.1%〜約10% w/wを構成する、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
該式Iの化合物が、約100 mg、約200 mg、約400 mg、および約800 mgからなる群から選択される量で提供される、請求項20から27のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項29】
約100 mg〜約800 mgの式I:
【化4】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有し、少なくとも4 Kpの硬度を有する、錠剤。
【請求項30】
約100 mg〜約800 mgの式I:
【化5】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を含有し、米国薬局方(USP)II型溶出装置Iを用いて、0.1N HCl中、50 rpmもしくは60 rpmにて、45分以内に、式Iの化合物もしくは医薬的に許容されるその塩を少なくとも85パーセント放出する、医薬組成物。
【請求項31】
慢性もしくは持続性血圧上昇を処置する方法であって、そのような処置が必要な個体を同定し、請求項20〜30のいずれかに記載の組成物を該個体に投与することを含む、方法。
【請求項32】
約100 mg〜約800 mgの式Iの化合物および1つ以上の賦形剤を一緒に混合することを含む医薬組成物の製造方法であって、該1つ以上の賦形剤が該組成物の約5%〜約65% w/wを構成する、方法。
【請求項33】
約100 mg〜約800 mgの式I:
【化6】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、
組成物の約29% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約5% w/wを構成するポロクサマー188、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約0.5% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する、医薬組成物。
【請求項34】
約100 mg〜約800 mgの式I:
【化7】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、
組成物の約22% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約11% w/wを構成するラクトース一水和物、組成物の約1% w/wを構成するラウリル硫酸ナトリウム、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3.0% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する、医薬組成物。
【請求項35】
約100 mg〜約800 mgの式I:
【化8】

の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、ならびに、
組成物の約29% w/wを構成する微結晶性セルロース、組成物の約5% w/wを構成するクロスカルメロースナトリウム、組成物の約3% w/wを構成するヒドロキシプロピルセルロース、組成物の約5% w/wを構成するポロクサマー188、組成物の約0.1% w/wを構成するコロイド状二酸化ケイ素、および組成物の約1% w/wを構成するステアリン酸マグネシウムを含有する、医薬組成物。

【公表番号】特表2012−522058(P2012−522058A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503575(P2012−503575)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/029093
【国際公開番号】WO2010/114801
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500204625)リガンド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】