説明

血小板活性化低減方法および血栓事象治療方法

血小板活性化または高トロンビン活性に関連する障害の治療または予防のための方法および組成物が提供され、それには適宜に選択される投与経路に適した製薬上許容される担体中での有効量の式(I)の化合物(置換基は本明細書で定義の通りである)またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを投与する段階がある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開示の化合物および組成物を用いる血小板活性化および/またはトロンビン形成に関連する状態の治療または予防方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
血小板は、血液凝固および止血に重要な、血液中に数多く認められる円板状血球である。トロンビン、トロンボキサンおよびADPなどの各種刺激によって活性化されると、血小板は糸状仮足、脱顆粒および凝集体を有する回転楕円体形状に変化する。血小板活性化は、止血において重要であり、不安定狭心症、心筋梗塞、卒中および凝固障害などの各種病的状態の根本原因となっている。血小板を活性化する生理的薬剤の一つが、セリンプロテアーゼであるトロンビンである。トロンビンは、PAR−1およびPAR−4などのプロテアーゼ活性化受容体(PAR)の活性化を通してそれの活性化に介在する。例えば米国特許第6444695号を参照する。
【0003】
血小板は正常な血液凝固に必須であるが、過活動性の血小板は病気の原因となり得る。血小板活性化は、いくつかの血管および非血管疾患の原因またはそれに大きく寄与するものである。血小板依存性動脈血栓症が、ほとんどの心臓発作および卒中を誘発することが知られている(Khan ML et al. Nature. 1998 Aug 13; 394 (6694): 690-4)。
【0004】
急性心筋梗塞の治療のための線維素溶解療法が有用であることが明らかになっている(Lancet 1(8478):397-402, (1986); Lancet 2(8607):349-360, (1988); N. Engl. J. Med. 14(23): 1465-1471, (1986); Lancet 1(8585):545-549, (1988); Wilcox, R G et al. (1988) Lancet 2(8610):525-530)。
【0005】
各種の抗凝固剤が当業界では開発されており、抗血小板薬および抗凝血薬などがある。当業界で開発された抗血小板薬には、最も一般的な抗凝固剤であるアスピリン;アブシキシマブ(レオプロ(ReoPro;登録商標)、Eli Lilly & Co.)、エプチフィバチド(インテグリリン(Integrilin;登録商標)、Schering Plough Corp.、Millenium PharmaceuticalsおよびGlaxo Smith Kline)、チロフォバン(tirofoban)(アグラスタット(Aggrastat;登録商標)、Merck & Co., Inc.)およびラミフィバンなどの糖タンパク質IIb/IIIa阻害薬;ならびにクロピドグレル(プラビクス(Plavix;登録商標)、Sanofi-Bristol Myers Squibb)およびチクロピジン(チクリド(Ticlid;登録商標)、Roche Laboratories)のようなチエノピリジン類などのADP誘発血小板活性化の阻害薬などがある。当業界で開発された抗凝血剤には、標準的な非分画ヘパリンなどのヘパリンおよびアルデパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンなどの低分子量ヘパリン類(LMWH)などがある。
【0006】
アルデパリン(ノルミフロ(Normiflo;登録商標);Wyeth-Ayerst Laboratories)は、有害な血塊が足の血管に形成される状態である深部静脈血栓症(DVT)の管理、予防および/または治療用にFDA承認されている。米国特許第4757057号(Fussi et al)を参照する。ダルテパリン(フラグミン(Fragmin;登録商標);Pharmacia & Upjohn)も、DVT治療用にFDA承認されている。特許第4303651号(Lindhal et al.)を参照する。チンザパリン(イノヘプ(Innohep;登録商標);Dupont)は、DVTの予防および/または治療にも使用されるLMWHである。フリーデルらの報告(Friedel HA et al., Drugs (1994) 48:638-60)を参照する。
【0007】
エノキサパリン(ロベノックス(Lovenox;登録商標);Aventis Pharmaceuticals)は、血栓塞栓症の治療用に米国において多くの適用症に関して承認されている。米国特許第4692435号(Lormeaurに対する特許)を参照する。米国特許第5389618号(Debrieに対する特許)には、急性血栓症発症の予防および/または治療用の硫酸化ヘパリン多糖類の不均一直接混合物が開示されている。
【0008】
当業界で知られているトロンビン阻害薬には、アルガトロバン、ダナプロイド(danaproid)およびレピルジン(lepirudin)などがある。レピルジン(レフルダン(Refludan;登録商標); Berlex Laboratories)([Leu、Thr]−63−デスルホヒルジン(desulfohirudin))は、HIT(ヘパリン誘発血小板減少症)および関連する血栓塞栓症の患者における抗凝血用にFDAによって承認された(1998)トロンビン阻害薬である。それは組換えヒルジンである(米国特許第5180668号参照)。ビバリルジン(アンギオマックス(Angiomax;登録商標);The Medicines Company)は、冠動脈血管形成術を受ける患者での使用向けに米国で抗凝血剤として承認されたトロンビン阻害薬である合成ペプチドである。米国特許第5196404号を参照する。アルガトロバン(Glaxo Smith Kline)(5−[(アミノイミノメチル)アミノ]−1−オキソ−2−[[(1,2,3,4−テトラヒドロ−3−メチル−8−キノリニル)−スルホニル]アミノ]ペンチル]−4−メチル−2−ピペリジンカルボン酸1水和物)は、経皮冠動脈インターベンションを受けるHIT患者またはそのリスクのある患者での抗凝血剤として承認されたトロンビン阻害薬である。米国特許第5214052号を参照する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在でもなお、新たな抗血小板薬およびトロンビン阻害薬が必要とされている
アセロジェニクス社(AtheroGenics, Inc.)に譲渡された米国特許第5262439号(Parthasarathyに対する特許)には、一方または両方のヒドロキシル基がエステル基に置き換わって、化合物の水溶性が高くなっている、水溶性を高めたプロブコール類縁体が開示されている。1実施形態においてその誘導体は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン(seberic)酸、セバシン酸、アゼライン酸またはマレイン酸のモノもしくはジプロブコールエステルからなる群から選択される。別の実施形態において、そのプロブコール誘導体は、エステルが、カルボン酸基、アミン基、アミン基の塩、アミド基、アミド基の塩およびアルデヒド基からなる群から選択される官能基を含むアルキルまたはアルケニル基を含むモノまたはジエステルである。
【0010】
一連のフランス特許に、ある種のプロブコール誘導体がコレステロール低下剤および脂質低下薬であること開示されており、Fr2168137(ビス4ヒドロキシフェニルチオアルカンエステル類);Fr2140771(プロブコールのテトラリニルフェノキシアルカン酸エステル類);Fr2140769(プロブコールのベンゾフリルオキシアルカン酸誘導体);Fr2134810(ビス−(3−アルキル−5−t−アルキル−4−チアゾール−5−カルボキシ)フェニルチオ)アルカン類);FR2133024(ビス−(4ニコチノイルオキシフェニルチオ)−プロパン類);およびFr2130975(ビス(4− フェノキシアルカノイルオキシ)フェニルチオ)アルカン類)がある。
【0011】
パーカー(Parker)らに対する米国特許第5155250号には、2,6−ジアルキル−4−シリルフェノール類が抗アテローム硬化剤であることが開示されている。1995年6月15日公開のPCT公開番号WO95/15760には、同じ化合物が血清コレステロール低下剤として開示されている。パーカーらに対する米国特許第5608095号には、アルキル化−4−シリル−フェノール類がLDLの過酸化を阻害し、血漿コレステロールを低下させ、VCAM−1の発現を阻害することから、アテローム性動脈硬化の治療において有用であることを開示している。
【0012】
塩野義製薬の一連の欧州特許出願には、アテローム性動脈硬化で使用するフェノールチオエーテル類が開示されている。欧州特許出願第348203号には、LDLの変性およびマクロファージによるLDLの取り込みを阻害するフェノール性チオエーテル類が開示されている。それらの化合物は、抗アテローム性動脈硬化薬として有用である。これら化合物のヒドロキサム酸誘導体が、欧州特許出願第405788号に開示されており、アテローム性動脈硬化、潰瘍、炎症およびアレルギーの治療において有用である。フェノール系チオエーテル類のカルバモイルおよびシアノ誘導体が、キタ(Kita)らに対する米国特許第4954514号に開示されている。
【0013】
2000年9月19日に発行された米国特許第6121319号およびアセロジェニクスが出願し、1998年11月18日に公開された相当するWO98/51662には、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)が介在する障害ならびに炎症障害および心血管障害の治療のためのある種のプロブコール誘導体が記載されている。アセロジェニクス社が出願し、2001年9月27日に公開されたWO01/70757には、VCAM−1の阻害のためのチオケタール類およびチオエーテル類が記載されている。1998年5月14日にアセロジェニクス社が出願した米国特許第6147250号には、VCAM−1の発現を阻害するための化合物、組成物および方法が開示されている。
【0014】
メン(Meng)らは、同時に抗酸化特性および脂質調節特性を有する一連のフェノール系のVCAM−1のTNF−α誘発性発現阻害薬を開示している。開示されている化合物は、アテローム性動脈硬化および高脂血症の動物モデルにおいて効力を示している(Novel Phenolic Antioxidants As Multifunctional Inhibitors Of Inducible VCAM-1 Expression For Use In Atherosclerosis, Bioorganic & Medl Chem Ltrs. 12(18), 2545-2548, 2002)。
【0015】
サンデル(Sundell)らは、プロブコールから誘導される代謝的に安定なフェノール系抗酸化剤化合物を開示している。([4−[[1−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]チオ]−1−メチルエチル]チオ]2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェノキシ]酢酸)は、関節リウマチ(RA)での関節への白血球の召集に必須である2つの酸化還元感受性の炎症遺伝子であるVCAM−1およびMCP−1のTNF−α刺激内皮発現を、ICAM−1より強く阻害する(AGIX-4207: A Novel Antioxidant And Anti-Inflammatory Compound Inhibits Progression Of Collagen II Arthritis In The Rat, FASEB Journal Vol. 16, Nov. 4, PP. A182, March 20, 2002. April 20-24, 2002, Annual Meeting of the Professional Research Scientists on Experimental Biology, ISSN 0892-6638)。
【0016】
急性心筋梗塞および卒中などの血管事象、血小板の活性化および/または 高トロンビンレベル関連の疾患または障害を患う患者について、現在もなお治療法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ある種のフェノール系抗酸化剤またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグが、血小板活性化または高トロンビンレベルに関連する状態の治療または予防において有用であることが発見された。本明細書に記載のフェノール系抗酸化剤は驚くべきことに、血小板活性を有することから、卒中、狭心症および肺塞栓症などの血栓事象を予防または治療するための各種治療用途で使用可能である。
【0018】
ある特定の実施形態においては、個体での血管状態の治療または予防方法が提供され、前記血管状態は血小板活性化、高トロンビンレベルまたは高トロンビン受容体活性もしくは発現に関連するものであり、前記方法は適宜に製薬上許容される担体中で、有効量の本明細書で開示のフェノール系抗酸化剤またはそれの製薬上許容される塩もしくはエステルを投与する段階を有する。
【0019】
本明細書で開示のフェノール系抗酸化剤化合物は、個体に存在するか、個体が苦しむ危険性がある血管事象、疾患または障害の治療方法で使用することができる。ある特定の実施形態において、前記血管状態は、血栓症または血栓塞栓症事象である。血栓の事象および障害には、例えば急性心筋梗塞、不安定狭心症、虚血性卒中、肺塞栓症、一過性虚血発作および深部静脈血栓症などがある。前記方法は、ヒトまたは動物の治療を含むことができる。
【0020】
本明細書で開示の方法および組成物で有用な化合物には、本明細書で「化合物」の表題を付したセクションに挙げたものなどがある。
【0021】
前記化合物は、例えば経口、静脈、筋肉、皮下、非経口、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤などのいずれか好適な方法によって投与することができる。1実施形態において前記化合物は、約0.5mg〜2500mg/日の量で経口投与される。
【0022】
適宜に前記方法はさらに、抗血小板薬または抗凝血剤などの第2の治療薬を投与する段階を含むことができる。適宜に、前記化合物は、(i)非分画ヘパリン、ヘパリンまたはヒルジンなどの抗凝血剤;(ii)ストレプトキナーゼ、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、モンテプラーゼ、ラノテプラーゼ、サルプラーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、スタフィロキナーゼ、テネクテプラーゼまたはアニソイル化(anisoylated)プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ活性化剤複合剤などの血栓溶解剤;または(iii)アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフォバン、ラミフィバン、アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、ジピリダモールまたはアグレノックス(Aggrenox;登録商標)などの抗血小板薬とともに提供するか、それらと順次併用して投与しても良い。
【0023】
1実施形態において前記化合物は、血栓溶解が起こってから約6〜24時間、約12〜24時間、約18〜24時間または約20〜24時間で投与する。1実施形態において前記化合物は複数回投与する。
【0024】
さらに別の実施形態では、処置を必要とする個体の血小板活性化状態を低減する方法が提供され、その方法は有効量のフェノール系抗酸化剤化合物を投与する段階を有する。
【0025】
前記方法は、前記化合物投与後の個体から採取したサンプルからの血小板活性化レベルを対照と比較する段階および血小板活性化の低減を検出する段階を有していても良い。ある特定の実施形態では、個体から採取したサンプルからの少なくとも1種類の血小板活性化マーカー(PAM)のレベルを対照と比較し、前記フェノール系抗酸化剤化合物投与後の低減を検出する方法が提供される。血小板活性化マーカーには、例えばCD9、GPIb、GPIIb、CDIa−IIa、P−セレクチン、PECAM−I、GPIIb/IIa、ビトロネクチン、インテグリン類および接着性分子などがある。PAMのレベルは、少なくとも約10%、15%、17%または20%以上低減されても良い。
【0026】
さらに別の実施形態では、処置を必要とする個体での血小板凝集を低減または阻害する方法であって、有効量のフェノール系抗酸化剤化合物を投与する段階を有する方法が提供される。ある特定の実施形態では、前記方法は血小板凝集を少なくとも約10%低減する段階を有する。
【0027】
前記方法は、前記化合物投与後の個体から採取したサンプルからの血小板凝集レベルを対照と比較する段階および血小板凝集における低減を検出する段階を有していても良い。
【0028】
別の実施形態において、処置を必要とする個体でのトロンビンレベルの低減またはトロンビン形成阻害の方法であって、有効量の本明細書に開示のフェノール系抗酸化剤化合物を投与する段階を有する方法が提供される。
【0029】
前記方法は、前記化合物の投与後に前記個体から採取したサンプルからのトロンビンのレベルを対照と比較する段階およびトロンビンの低減を検出する段階を有していても良い。
【0030】
さらに別の実施形態では、有効量のフェノール系抗酸化剤化合物を投与することによって、個体の血小板中でのPAR−1およびPAR−4などのプロテアーゼ活性化受容体(PAR)の活性または発現を低減する方法が提供される。
【0031】
前記方法は、前記化合物投与後に前記個体から採取したサンプルからの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現の活性または発現レベルを対照と比較する段階および活性または発現における低減を検出する段階を有していても良い。
【0032】
ある特定の実施形態において、本明細書の方法で用いられる化合物は、下記式の化合物またはそれの製薬上許容される塩である。
【0033】
【化25】

式中、
Yは結合または
【0034】
【化26】

であり;
、R、RおよびRは独立に、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリールおよびアリールC1−10アルキルからなる群から選択され、前記アルコキシ、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリールおよびアリールC1−10アルキルはC1−10アルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシから選択される1以上の部分で置換されていても良く;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、RNH、RNおよびカルボキシからなる群から選択され、それらのいずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、複素環、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0035】
ある特定の実施形態では、前記化合物は下記のものである。
【0036】
【化27】


【0037】
(発明の詳細)
ある種のフェノール系抗酸化剤化合物またはそれらの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグが、血小板の活性化もしくは凝集を低減もしくは阻害したり、あるいはトロンビンレベルを低下させたり、あるいはトロンビン受容体の活性または発現を低下させる上で有用であることが発見された。従って本発明は、血小板活性化、高トロンビンレベルまたはトロンビン受容体発現増加を伴うかそれを特徴とする血栓症障害または血栓塞栓症障害の治療および/または予防のための新たなアプローチを提供する。
【0038】
定義
本明細書で使用される場合のアルキルという用語は、別段の断りがない限り、例えばC〜C10の飽和の直鎖、分岐もしくは環状1級、2級もしくは3級炭化水素を指し、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチル、トリフルオロメチルおよびパーフルオロアルキルなどがある。そのアルキルは置換されていても良い。そのアルキル基は、活性化合物の特性に悪影響を与えない部分で置換されていても良く、例えばヒドロキシル、ハロ(独立にF、Cl、BrおよびIなど)、トリフルオロメチルなどのパーフルオロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、アシル、アミド、カルボキサミド、カルボキシレート、チオール、アルキルチオ、アジド、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートなどがあるが、それらに限定されるものではなく、それらは未保護であるか、必要に応じて例えばグリーンらの著作(Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のように、当業者には公知の方法で保護することができる。1実施形態において、前記アルキルは、例えば、CF、CHCF、CClまたはシクロプロピルであることができる。
【0039】
本文において、範囲が用いられる時はいかなる場合も、その範囲は独立におよび別個に、その範囲のあらゆる構成員を含むものである。限定するものではないが例として挙げると、C〜C10という範囲は、独立にC、C、C、C、C、C、C、C、CおよびC10を含む。
【0040】
本文において、C(アルキル範囲)という用語を用いる場合は必ず、その用語は独立に、あたかも具体的かつ別個に記載されているかのように、その分類の各構成員を含むものである。限定するものではないが例を挙げると、「C1−10」という用語は独立に、その範囲に包含される各化学種を表すものであり、それにはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、4−エチルブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、6−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、5−エチルペンチル、1−プロピルブチル、2−プロピルブチル、3−プロピルブチル、4−プロピルブチル、シクロヘプチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、7−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−エチルヘキシル、6−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、3−プロピルペンチル、4−プロピルペンチル、5−プロピルペンチル、シクロオクチル、ノニル、シクロノニル、デシルまたはシクロデシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。同様に、C2−10およびC1−6も、それぞれが独立に本明細書において列挙されているかのように、それのあらゆる構成員の基を独立に含むことができる。
【0041】
「アルキレン」基という用語は、2〜10個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有し、2個以上の共有結合用の結合点を有するものなどの直鎖もしくは分岐の基などの2価のアルカンを指す。そのような基の例には、メチレン、エチレン、メチルエチレンおよびイソプロピリデンなどがある。この用語の範囲には、1,2−エタン−ジイル、1,1−エタン−ジイル、1,3−プロパン−ジイル、1,2−プロパン−ジイル、1,3−ブタン−ジイル、1,4−ブタン−ジイルなどが含まれる。本明細書に開示のアルキレン基その他の2価の部分は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドラジン、カーバメート、ホスホン酸、ホスホネートまたはこの化合物の薬理活性を妨害しない他のいずれか存在可能な官能基からなる群から選択される1以上の部分で置換されていても良く、それらは未保護であるか、必要に応じて例えばグリーンらの著作(Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のように、当業者には公知の方法で保護されている。
【0042】
「アルケニル」という用語は、それが1以上の二重結合を有する限りにおいて直鎖または分岐の不飽和環状炭化水素基を指し、約2〜10個の炭素原子を含むか、2〜6個の炭素原子を有するような基を含むものである。アルケニル基は、アルキル基について記載のものと同様に置換されていても良い。好適なアルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ヒドロキシプロペニル、ブテン−1−イル、ブテン−2−イル、ペンテン−1−イル、ペンテン−2−イル、4−メトキシペンテン−2−イル、3−メチルブテン−1−イル、ヘキセン−1−イルヘキセン−2−イル、ヘキセン−3−イル、3,3−ジメチルブテン−1−イル基などがある。
【0043】
「アルキニル」という用語は、それが1以上の三重結合を有する限りにおいて直鎖または分岐の不飽和環状炭化水素基を指し、約2〜10個の炭素原子を含むか、2〜6個の炭素原子を有するような基を含むものである。アルキニル基は、アルキル基について記載のものと同様に置換されていても良い。好適なアルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ペンチン−1−イル、ペンチン−2−イル、4−メトキシペンチン−2−イル、3−メチルブチン−1−イル、ヘキシン−1−イル、ヘキシン−2−イル、ヘキシン−3−イル、3,3−ジメチルブチン−1−イル基などがある。
【0044】
「アシル」という用語は単独または組み合わせで、例えばヒドリド、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシ、アリール、複素環、ヘテロアリール、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルコキシ、アリールチオおよびアルキルチオアルキルから選択される基に結合したカルボニルまたはチオノカルボニル基を意味する。「アシル」の例には、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、フタロイル、マロニル、ニコチニルなどがある。
【0045】
「アルコキシ」および「アルコキシアルキル」という用語は、1〜約10個の炭素原子のアルキル部分をそれぞれ有する直鎖または分岐のオキシ含有基を包含し、メトキシ基などがある。「アルコキシアルキル」という用語も、アルキル基に結合した1以上のアルコキシ基を有することで、すなわちモノアルコキシアルキル基およびジアルコキシアルキル基を形成しているアルキル基を包含する。他のアルコキシ基には、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基がある。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシアルキルなどがある。「アルコキシ」基はさらに、フッ素、塩素または臭素などの1以上のハロ原子で置換されていることで、「ハロアルコキシ」基を与えることができる。そのような基の例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、テトラフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシおよびフルオロプロポキシなどがある。
【0046】
「アシルオキシ」という用語は、それぞれがアシル部分を有するオキシ含有基を示す。
【0047】
「アルキルアミノ」という用語は、アミノ基に結合したそれぞれ1個もしくは2個のアルキル基を有する「モノアルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」を指す。アリールアミノという用語は、アミノ基に結合したそれぞれ1個もしくは2個のアリール基を有する「モノアリールアミノ」および「ジアリールアミノ」を指す。「アラルキルアミノ」という用語は、アミノ基に結合したアラルキル基を包含する。アラルキルアミノという用語は、アミノ基に結合したそれぞれ1個もしくは2個のアラルキル基を有する「モノアラルキルアミノ」および「ジアラルキルアミノ」を指す。アラルキルアミノという用語はさらに、アミノ基に結合した1個のアラルキル基および1個のアルキル基を含む「モノアラルキルモノアルキルアミノ」を指す。
【0048】
「アリール」という用語は単独または組み合わせで、1、2または3個の環を含み、そのような環が懸垂する形で結合していても良いか、縮合していても良い炭素環状芳香族系を意味する。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。その「アリール」基は、ヘテロアリールアミノ、N−アリール−N−アルキルアミノ、N−ヘテロアリールアミノ−N−アルキルアミノ、ハロアルキルチオ、アルカノイルオキシ、アルコキシ、ヘテロアラルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、チオ、ニトロ、低級アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アリールチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アルキルアミノスルホニル、アミドスルホニル、モノアルキルアミドスルホニル、ジアルキルアミドスルホニル、モノアリールアミドスルホニル、アリールスルホンアミド、ジアリールアミドスルホニル、モノアルキルモノアリールアミドスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、ヘテロアロイル、アラルカノイル、ヘテロアラルカノイル、ハロアルカノイル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレンジオキシ、ハロアルキレンジオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、低級シクロアルキルアルキル、低級シクロアルケニルアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシハロアルキル、ヒドロキシアラルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシヘテロアラルキル、ハロアルコキシアルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールオキシアルキル、飽和複素環、部分飽和複素環、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、カルボアルコキシ、カルボアラルコキシ、シアノおよびカルボハロアルコキシなどの「ヘテロアリール」と称される1〜5個の置換基を有することができる。
【0049】
本明細書で使用される場合の「ヘテロアリールまたはヘテロ芳香族塩基」という用語は、芳香環に少なくとも1個の硫黄、酸素、窒素またはリンを含む芳香族を指す。「複素環塩基」という用語は、環中に酸素、硫黄、窒素またはリンなどの少なくとも1個のヘテロ原子がある非芳香族環状基を指す。限定するものではないが、ヘテロアリールおよび複素環基の例としては、チミン、シトシンおよびウラシルなどのピリミジン類、N5−ハロピリミジン類、N5−アルキルピリミジン類、N5−ベンジルピリミジン類、N5−ビニルピリミジン、N5−アセチレンピリミジン、N5−アシルピリミジン、6−アザピリミジン、2−メルカプトピリミジン、特には5−フルオロシチジニル、5−アザシチジニル、5−アザウラシリルなどの置換ピリミジン類、アデニン、グアニン、イノシンおよびプテリジンなどのプリン類、N6−アルキルプリン類、N6−ベンジルプリン、N6−ハロプリン、N6−ビニルプリン、N6−アセチレンプリン、N6−アシルプリン、N6−チオアルキルプリン、N6−ヒドロキシアルキルプリン、N6−チオアルキルプリンおよびN5−ヒドロキシアルキルプリン、特には6−クロロアデニンおよび6−アゾアデニンなどの置換プリン類、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、ピリジン、ピロール、インドール、イミダゾール、ピラゾール、キナゾリン、ピリダジン、ピラジン、シンノリン、フタラジン、キノキザリン、キサンチン、ヒポキサンチン、トリアゾロピリジン、イミダゾールピリジン、イミダゾロトリアジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、1−トリフェニル−メチルテトラゾリル、2−トリフェニルメチル−テトラゾリル基、フリル、フラニル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、チオフェン、フラン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリダジンおよびプテリジニル、アジリジン類、チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、チアジン、ピリジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、オキサジラン類、フェナジン、フェノチアジン、モルホリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノキザリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル、イソオキサゾリル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、キノリン−2−イル、イソキノリン−1−イル、ピリジン−2−イル、4−メチルイミダゾール−2−イル、1−メチルイミダゾール−4−イル、1−n−ヘキシルイミダゾール−4−イル、1−ベンジルイミダゾール−4−イル、1,2−ジメチルイミダゾール−4−イル、1−n−ペンチル−2−メチル−イミダゾール−4−イル、1−ベンジル−2−メチル−イミダゾール−5−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、1−メチルベンズイミダゾール−2−イル、1−メチル−5−メトキシ−ベンズイミダゾール−2−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−2−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル、2−フェニル−イミダゾ[2,1−b]−チアゾール−6−イル、プリン−8−イル、イミダゾ[4,5−b]ピラジン−2−イル、5−メチル−イミダゾリジン−2,4−ジオン−3−イル、2−n−プロピル−ピリダジン−3−オン−6−イル、オキサゾール−4−イル、2−イソプロピル−チアゾール−4−イル、1−エチル−イミダゾール−4−イル、1−(4−フルオロベンジル)−2−メチル−イミダゾール−4−イル、1−アミノカルボニルメチル−イミダゾール−4−イル、1−モルホリノ−カルボニルメチル−イミダゾール−4−イル、2−イソプロピル−ピリダジン−3−オン−6−イル、2−ベンジル−ピリダジン−3−オン−6−イル、2−(2−フェニルエチル)−ピリダジン−3−オン−6−イル、2−(3−フェニルプロピル)−ピリダジン−3−オン−6−イル、4−メチル−ピリダジン−3−オン−6−イル、5−メチル−ピリダジン−3−オン−6−イル、4,5−ジメチル−ピリダジン−3−オン−6−イル、2,4−ジメチル−ピリダジン−3−オン−6−イル、2,5−ジメチル−ピリダジン−3−オン−6−イル、2,4,5−トリメチル−ピリダジン−3−オン−6−イルなどがある。ヘテロ芳香族または複素環基は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハライド、無水物、オキシム、ヒドラジン、カーバメート、ホスホン酸、ホスホネートまたはこの化合物の薬理活性を妨害しない他の存在可能な官能基からなる群から選択される1以上の部分などのいずれかの所望の部分で置換されていても良く、その官能基は未保護であるか、、必要に応じて例えばグリーンらの著作(Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のように、当業者には公知の方法で保護されている。そのヘテロ芳香族は、所望に応じて部分的または完全に水素化されていても良い。限定するものではないが例を挙げると、ピリジンに代えてジヒドロピリジンを用いることができる。ヘテロアリール基上の官能性酸素および窒素基は、必要または所望に応じて保護することができる。好適な保護基は当業者には公知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチルまたは置換トリチル、アルキル基、アセチルおよびプロピオニルなどのアシル基、メタンスルホニルおよびp−トルエンスルホニルなどがある。
【0050】
本明細書で言及される「アルジトール」という用語は、別段の断りがない限り、アルデヒドまたはケトン基が還元されてアルコール部分となっている炭水化物を指す。アルジトールは、1以上の位置で置換または脱酸素されていても良い。置換基の例には、水素、ハロ、ハロアルキル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、チオエステル、チオエーテル、オキシム、ヒドラジン、カーバメート、ホスホン酸、ホスホネートまたはこの化合物の薬理活性を妨害しない他の存在可能な官能基などがある。置換基の特定の例には、アミンおよびハロ、特にはフッ素などがある。その置換基またはアルジトールは、未保護であるか、必要に応じて例えばグリーンらの著作(Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のように、当業者には公知の方法で保護されていることができる。アルジトールは、3、4、5、6または7個の炭素を有することができる。有用なアルジトールの例は、具体的にはピラノースおよびフラノース糖類の還元から誘導されるものなどの単糖類の還元から誘導されるものである。
【0051】
本明細書で言及される「炭水化物」という用語は、別段の断りがない限り、少なくとも2個のヒドロキシル基と組み合わせてアルデヒドまたはケトン基を含む炭素、水素および酸素の化合物を指す。「炭水化物ラクトン」という用語は、アノマーヒドロキシ基が形式的に酸化されてカルボニル基になっていることで、置換もしくは未置換の環状エステルまたはラクトンを形成している炭水化物を表す。炭水化物および炭水化物ラクトンは、1以上の位置で置換または脱酸素されていても良い。従って炭水化物および炭水化物ラクトンには、置換および未置換の単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類などがある。その糖は、アルドースまたはケトースであることができ、3、4、5、6または7個の炭素を含み得る。1実施形態において、それらは単糖類である。別の実施形態において、それらはピラノースおよびフラノース糖類であることができる。それらは、いずれか相当するC位置で脱酸素されているか、ないしは水素、ハロ、ハロアルキル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、チオール、イミン、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、チオエステル、チオエーテル、オキシム、ヒドラジン、カーバメート、ホスホン酸、ホスホネートまたはこの化合物の薬理活性を妨害しない他の存在可能な官能基などの1以上の部分で置換されていても良い。置換基の特定の例には、アミンおよびハロ、特にはフッ素などがある。その置換基、炭水化物または炭水化物ラクトンは、未保護であるか、必要に応じて例えばグリーンらの著作(Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載のように、当業者には公知の方法で保護されていることができる。
【0052】
「カルボキシアルキル」という用語は、アルキル基に結合したカルボキシ基を指す。
【0053】
「アルコキシカルボニル」という用語は、式アルキル−O−C(O)−(アルキルは本明細書で定義の通りである)を有する基を指す。
【0054】
「シアノ」基という用語は、窒素原子が共有している4つの共有結合のうちの3つを有する炭素基を指す。
【0055】
「カルボニル」または「−C(O)−」という用語は、酸素原子と共有している4つの共有結合のうちの2つを有する炭素基を指す。「カルボキシ」という用語は、カルボニル基における2個の非共有結合のうちの1個に結合したヒドロキシル基を包含する。「アルコキシカルボニル」という用語は、酸素原子と共有される4個の共有結合のうちの2個および別の酸素と共有される第3の共有結合を有する炭素基を指し、
【0056】
【化28】

によっても示される。
【0057】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子などのハロゲンを意味する。
【0058】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、いずれか1以上のアルキル炭素原子がヒドロキシルで置換されている基を包含する。具体的には、モノヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキルおよびポリヒドロキシアルキル基が包含される。
【0059】
「アミノアルキル」という用語は、アルキル基に結合したアミノ基、例えば−アルキル−NHを指す。
【0060】
「独立に」という用語は本明細書において、独立に用いられる可変要素が、各使用において独立に変わることを示すのに用いられる。従って、R″が「独立に炭素または窒素」であるR″XYR″などの化合物では、両方のR″が炭素であることができ、両方のR″が窒素であることができ、あるいは一方のR″が炭素であり、他方のR″が窒素であることができる。
【0061】
「治療上有効量」という用語は、対象となっている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬剤または医薬の量を意味するものとする。
【0062】
「製薬上許容される塩」という用語は、化合物の所望の生理活性を保持し、最小限の望ましくない毒性効果を示す塩または錯体を指す。そのような塩の例としては、(a)無機酸(例:塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で形成される酸付加塩、ならびに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸などの有機酸で形成される塩;(b)亜鉛、リチウム、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどの金属カチオン、あるいはアンモニア、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウムもしくはエチレンジアミンから形成されるカチオンで形成される塩基付加塩;あるいは(c)(a)および(b)の組み合わせ;例えばタンニン酸亜鉛塩があるが、これらに限定されるものではない。この定義にはさらに、当業者には公知の製薬上許容される4級塩もあり、具体的には式−NRの4級アンモニウム塩などがあり、その式中、Rは例えばトリアルキルであり、Aは対イオンであって、それには塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、−O−アルキルイオン、トルエンスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオンまたはカルボン酸イオン(安息香酸イオン、コハク酸イオン、酢酸イオン、グリコール酸イオン、マレイン酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、アスコルビン酸イオン、安息香酸イオン、ケイ皮酸イオン、マンデル酸イオン、ベンジル酸イオンおよびジフェニル酢酸イオンなど)などがある。
【0063】
化合物が安定な無毒性の酸もしくは塩基塩を形成する上で十分に塩基性または酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切な場合がある。製薬上許容される塩の例には、例えばトシル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、α−ケトグルタル酸イオンおよびα−グリセロリン酸イオンのような生理的に許容されるアニオンを形成する酸で形成された有機酸付加塩がある。硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩などの好適な無機塩を形成することもできる。
【0064】
製薬上許容される塩は、例えばアミンなどの十分に塩基性の化合物を好適な酸と反応させて生理的に許容されるアニオンを与えることにより、当業界で公知の標準的な手順を用いて得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩も製造することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合の「製薬上許容されるエステル」という用語は、別段の断りがない限り、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを生じることなく宿主の組織と接触して使用する上で好適であり、妥当な利益/リスク比を有しており、所期の用途において有効である1以上の化合物のエステルを含むものである。
【0066】
「製薬上許容されるプロドラッグ」という用語は、宿主において代謝、例えば加水分解または酸化されて活性化合物を形成する化合物を含む。プロドラッグの代表例には、活性化合物の官能性部分に生理的に変化を受けやすい保護基を有する化合物などがある。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱水、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化または脱リン酸化されて活性化合物を与えることができる化合物などがある。
【0067】
化合物
本明細書に記載の化合物で例示しているように、各種フェノール系抗酸化剤化合物を、本明細書の方法および組成物で用いることができる。そのような化合物は、本明細書において「プロブコールモノエステル誘導体」と称される場合もある。
【0068】
1実施形態において、フェノール系抗酸化剤化合物は下記式またはそれの製薬上許容される塩によって記載される。
【0069】
【化29】

式中、
Yは結合または
【0070】
【化30】

であり;
、R、RおよびRは独立に、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリールおよびアリールC1−10アルキルからなる群から選択され、前記アルコキシ、C1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリールおよびアリールC1−10アルキルはC1−10アルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシから選択される群からの1以上の部分で置換されていても良く;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、RNH、RN、カルボキシC1−10アルキルおよびカルボキシからなる群から選択され、それらのいずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、RNH、RN、カルボキシC1−10アルキル、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0071】
より狭い実施形態において、前記化合物は式Ib
【0072】
【化31】

またはそれの製薬上許容される塩から選択することができる。
式中、
Yは結合であり;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、RNH、カルボキシC1−10アルキルおよびRNからなる群から選択され、それらはいずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0073】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOHCOOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOPOおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0074】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
は独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0075】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
はCOOHである。
【0076】
上記式の具体的な化合物は、下記のものである。
【0077】
【化32】

【0078】
上記式Ibのさらに別の実施形態において、
Zは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノC1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノC1−6アルキルおよびアミノC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)HR、P(O)(OH)R、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0079】
具体的には、前記化合物は下記のものから選択することができる。
【0080】
【化33】

【0081】
上記式Ibの別の実施形態では、
Zは、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルキル、C1−6アルカリール、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキルおよび複素環からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOSONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)HR、P(O)(OH)R、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アリール、複素環、複素環C1−6アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0082】
別の実施形態において、前記化合物は、式Ib
【0083】
【化34】

またはそれの製薬上許容される塩から選択することができる。
式中、
Yは
【0084】
【化35】

であり;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、複素環C1−10アルキル、RNH、RN、カルボキシ、炭水化物基、炭水化物ラクトン基およびアルジトール基からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0085】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0086】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
は独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0087】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
はCOOHである。
【0088】
具体的には、前記化合物は下記のものから選択することができる。
【0089】
【化36】


【0090】
上記式Ibの別の実施形態において、
Zは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノC1−6アルキルおよびアミノC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)HR、P(O)(OH)R、P(ORT)、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される。
【0091】
上記式Ibの別の実施形態において、前記化合物は下記のものであることができる。
【0092】
【化37】

【0093】
上記式の別の実施形態において、
Zは、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−6アルカリール、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキル、複素環および複素環C1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)HR、P(O)(OH)R、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノ、ハロC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノ、ジC1−6アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボキシC1−6アリール、複素環、複素環C1−6アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択され;2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。
【0094】
本明細書に開示の方法および組成物での使用に考えられる他の化合物は下記の通りである。
【0095】
【化38】


【0096】
別の実施形態において、前記化合物は、下記式Iの化合物である。
【0097】
【化39】

式中、
は独立に、水素またはC〜Cアルキルであり;
Xは独立に、保護されていても良い1以上のヒドロキシルまたはC(O)OHによって置換されていても良いC〜Cアルキルである。
【0098】
1実施形態において、前記1以上のヒドロキシルまたはC(O)OH基は保護されている。
【0099】
Xは、2以上のヒドロキシル基によって置換されたC〜Cアルキルであっても良い。
【0100】
Xは、3個以上のヒドロキシル基によって置換されたC〜Cアルキルであっても良い。
【0101】
は、例えばフッ素などのハロゲンで置換された置換C〜Cアルキルであっても良い。
【0102】
Xは、例えばC、C、CまたはCアルキルである。
【0103】
具体的な実施形態には、
【0104】
【化40】

【0105】
(2−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]フェノキシ}アセチルアミノ)酢酸;
【0106】
【化41】

【0107】
[(2−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]フェノキシ}アセチル)メチルアミノ]酢酸;
【0108】
【化42】

【0109】
3−(2−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]フェノキシ}アセチルアミノ)プロピオン酸;および
【0110】
【化43】

【0111】
2−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチル−エチルスルファニル]フェノキシ}−N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)アセトアミド
などがある。
【0112】
1実施形態において、前記化合物は下記式IIの化合物である。
【0113】
【化44】

式中、
Yは、下記のものからなる群から選択される。
【0114】
【化45】

【0115】
前記化合物には具体的には、
【0116】
【化46】

【0117】
4−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]フェノキシ}ブタン−1,2(S),3(S)−トリオール;
【0118】
【化47】

【0119】
4−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]−フェノキシ}ブタン−1,2(S),3(S)−トリオール;
【0120】
【化48】

【0121】
4−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]−フェノキシ}ブタン−1,2(S),3(S)−トリオール;および
【0122】
【化49】

【0123】
4−{2,6−ジ−tert−ブチル−4−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルスルファニル)−1−メチルエチルスルファニル]−フェノキシ}ブタン−1,2(R),3(S)−トリオール
などがある。
【0124】
さらに別の実施形態において、前記化合物は、Yが
【0125】
【化50】

からなる群から選択される式IIの化合物である。
【0126】
立体化学
キラル中心を有する化合物は、光学活性体およびラセミ体の形で存在することができ、単離することができることは明らかである。一部の化合物は多形を示し得る。理解すべき点として、本発明は本明細書に記載の有用な特性を有する化合物のラセミ体、光学活性体、ジアステレオマー、多形体または立体異性体あるいはそれらの混合物を包含するものであり、光学活性体を製造する方法は当業界では公知である(例えば、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性原料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離による)。
【0127】
光学活性材料を得る方法の例は当業界で公知であり、少なくとも下記のものなどがある。
【0128】
i)結晶の物理的分離−個々のエナンチオマーの巨視的結晶を手作業で分離する方法。この方法は、分離したエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち材料が集塊であり、結晶が肉眼観察で区別できる場合に用いることができる。
【0129】
ii)同時結晶化−恐らくはラセミ体が固体状態の集塊である場合にのみ、個々のエナンチオマーをラセミ体の溶液から別個に結晶化させる方法。
【0130】
iii)酵素分割−酵素とのエナンチオマーの反応速度差により、ラセミ体の部分または完全分離を行う方法。
【0131】
iv)酵素不斉合成−合成の少なくとも一つの段階で酵素反応を用いて、所望のエナンチオマーのエナンチオマー的に純粋または豊富な合成前駆体を得る合成方法。
【0132】
v)化学不斉合成−生成物において不斉(すなわちキラリティー)を生じる条件下で、アキラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する合成法であって、キラル触媒またはキラル補助剤を用いて行うことができる方法。
【0133】
vi)ジアステレオマー分離−個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換するエナンチオマー的に純粋な試薬(キラル補助剤)とラセミ化合物を反応させる方法。次に、得られるジアステレオマーを、この段階で以前より明らかな構造的相違を利用したクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離し、その後キラル補助部分を除去して所望のエナンチオマーを得る。
【0134】
vii)一次および二次不斉変換−ラセミ体からのジアステレオマーを平衡状態として、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーが溶液中で優勢となる状態を形成する方法、あるいは所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先的結晶化が平衡を乱すことで、最終的にほぼ全ての物質を所望のエナンチオマーからの結晶ジアステレオマーに変換する方法。次に、そのジアステレオマーから所望のエナンチオマーを生じさせる。
【0135】
viii)速度論的分割−この方法は、速度論支配的条件下で、キラルで非ラセミ体の試薬または触媒とエナンチオマーとの異なる反応速度を利用して、ラセミ体の部分分割または完全分割(あるいは部分分割された化合物のさらなる分割)を行う方法を指す。
【0136】
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオマー特異的合成−非キラル原料から所望のエナンチオマーを得て、化学量論的保全性は合成の過程を通じて影響を受けないかごくわずかしか影響されない方法。
【0137】
x)キラル液体クロマトグラフィー−固定相との異なる相互作用を利用して、液体移動相中でラセミ体のエナンチオマーを分離する方法。固定相をキラル材料製とするか、移動相に別のキラル材料を含有させることで、異なる相互作用を生じさせることができる。
【0138】
xi)キラルガスクロマトグラフィー−ラセミ体を気化させ、気体移動相中での固定非ラセミキラル吸着剤相を含むカラムとの異なる相互作用を利用してエナンチオマーを分離する方法。
【0139】
xii)キラル溶媒による抽出−特定のキラル溶媒中での一方のエナンチオマーの優先的溶解を利用してエナンチオマーを分離する方法。
【0140】
xiii)キラル膜横断輸送−ラセミ体を薄い膜障壁と接触した状態に置く方法。その障壁は代表的には、一方がラセミ体を含む2種類の混和性流体を分離し、濃度差または圧力差などの推進力によって、膜障壁横断の優先的輸送が生じる。ラセミ体の一方のエナンチオマーのみを通過させることができる膜の非ラセミキラル性の結果として分離が生じる。
【0141】
前記化合物の中には、互変異体、幾何異性体または立体異性体の形態で存在できるものがある。本発明は、シスおよびトランス幾何異性体、EおよびZ幾何異性体、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、d−異性体、l−異性体、これらのラセミ混合物およびこれらの他の混合物などのそのような全ての化合物を本発明の範囲に入るものと考えるものである。こうした互変異体、幾何異性体または立体異性体の製薬上許容される塩も本発明に包含される。「シス」および「トランス」という用語は、二重結合により連結されている2つの炭素原子が、各々この二重結合の同じ側に2つの高級基を有する(シス)またはこの二重結合の反対側に2つの高級基を有する(トランス)、幾何異性の形態を示す。記載の化合物の中には、アルキル基を含有し、ならびにシスとトランスの両方、または「E」と「Z」の両方の幾何異性体を含むものがある。記載の化合物の中には、1以上の立体中心を有し、ならびに存在する各立体中心についてのR形、S形およびR形とS形の混合体を含むものがある。
【0142】
本明細書に記載の化合物の中には、1以上のケトン系もしくはアルデヒド系カルボニル基またはこれらの組み合わせを単独でまたは複素環構造の一部として含有するものがある。そのようなカルボニル基は、存在する各アルデヒドおよびケト基の、一部または主として「ケト」形で、および一部または主として1つ以上の「エノール」形で存在し得る。アルデヒド系またはケトン系カルボニル基を有する化合物は、「ケト」互変異性体形と「エノール」互変異性体形の両方を含むことになる。
【0143】
本明細書に記載の化合物の中には、1以上のイミンもしくはエナミン基またはこれらの組み合わせを含有するものがある。そのような基は、存在する各々の基の、一部または主として「イミン」形で、および一部または主として1以上の「エナミン」形で存在し得る。前記イミンまたはエナミン基を有する化合物は、「イミン」互変異性体の形態と「エナミン」互変異性体の形態の両方を含むことになる。
【0144】
治療法
本明細書に記載のフェノール系抗酸化剤化合物またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグは、血小板の活性化もしくは凝集を低減もしくは阻害し、あるいはトロンビンレベルを低下させ、あるいはトロンビン受容体の活性もしくは発現を低減する上で有用である。従って本発明は血小板活性化、高トロンビンレベルまたはトロンビン受容体の発現増加に関連またはそれらを特徴とする血栓症障害または血栓塞栓症障害の治療および/または予防のための新たなアプローチを提供する。
【0145】
1実施形態において、化合物またはその化合物を含む組成物を、個体における血小板活性化を低減するか、個体におけるトロンビン形成を阻害する上で有効な量で投与する。
【0146】
1実施形態において、処置を必要とする個体での血小板活性化状態を低減する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物を投与する段階を有する方法が提供される。
【0147】
別の実施形態において、処置を必要とする個体の治療方法であって、血小板凝集を阻害する上で有効量の本明細書に開示の化合物を、例えば少なくとも10%で投与する段階を有する方法が提供される。
【0148】
別の実施形態において、処置を必要とする個体の治療方法であって、血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現のレベルによって測定される血小板凝集を阻害する上で有効量の本明細書に開示の化合物を投与する段階を有する方法が提供される。
【0149】
1実施形態における化合物は、個体での血小板中のプロテアーゼ活性化受容体1または4(PAR−1またはPAR−4)の活性を低下させる。前記方法は、前記化合物の投与後における前記個体から採取したサンプルからの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現のレベルを対照と比較する段階およびその発現における低下を検出する段階を有していても良い。
【0150】
別の実施形態において前記方法は、有効量の前記フェノール系抗酸化剤化合物を投与して、個体での少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを低下させる段階を有する。その方法は、前記個体から採取したサンプルからの少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを対照と比較する段階を有することができ、そのレベルは前記化合物の投与後に、例えば少なくとも約10%、15%、17%または20%以上低下する。2種類、3種類、4種類、5種類、6種類またはそれより多くの血小板活性化マーカーのレベルを低下させることができる。
【0151】
前記化合物は例えば、適宜に製薬上許容される担体中にて、経口、静脈、筋肉、腹腔内、局所、舌下、皮下、非経口、経皮、皮内、眼球内、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤で投与される。1実施形態において前記化合物は、約0.5mg〜2500mg/日の量で経口投与される。別の実施形態において前記化合物は、約1mg〜2500mg/日、5mg〜2500mg/日、5mg〜1000mg/日、5mg〜500mg/日、10mg〜250mg/日または10mg〜200mg/日の量で経口投与される。
【0152】
ある特定の実施形態において前記化合物は、狭心症、心筋梗塞、卒中、肺塞栓症、一過性虚血発作、冠動脈虚血症候群、症候群X、心不全、糖尿病および少なくとも一つの冠動脈の狭窄が起こっている障害の治療または予防に用いることができる。前記化合物はまた、カテーテル血栓症、深部静脈血栓症、動脈血管血栓症および末梢血管血栓症などの血栓症の治療または予防に用いることもできる。前記化合物はさらに、冠動脈介入術に続発する再狭窄または心臓手術もしくは血管手術に関連する再狭窄などの血栓症性閉塞および再閉塞の治療に用いることができる。
【0153】
別の実施形態において前記化合物は、膝もしくは臀部置換術その他の手術などの選択的整形外科置換術での静脈血栓塞栓症などの血栓塞栓症の治療に用いることができる。前記化合物は、心房細動患者における卒中の低減もしくは予防に、そして心筋梗塞後の続発性血管事象の予防に用いることができる。
【0154】
前記化合物は、血栓溶解が起こった後に投与することができる。その方法には、ヒトまたは動物の治療が含まれ得る。
【0155】
「血栓症事象または血栓塞栓症事象」という用語は、血栓症または血栓塞栓症のある動脈または静脈の遮断または部分的遮断が関与するあらゆる障害を含むものであり、それはいずれも本明細書に開示の化合物によって治療することができる。「血栓症」は、循環系を通る血液の流れを妨害し得る血管内での塊(または血栓)の形成である。「血栓塞栓症」には、遊離して、血流によって運ばれて別の血管領域で止まる塊(血栓)の血管内での形成が関与する。その血塊は、肺(肺塞栓症)、脳(卒中)、消化管、腎臓または足における血管で止まる可能性がある。血栓塞栓症は、特に成人での罹患率(疾患)および死亡率(死)の重要な原因である。
【0156】
血栓症事象または血栓塞栓症事象は、血塊が形成され、血管内で止まると起こる。その血塊は、血管を完全もしくは部分低,に遮断することで、心臓発作または卒中などの血栓症障害を引き起こし得る。血栓症事象または血栓塞栓症事象の例には、急性心筋梗塞、不安定狭心症、虚血性卒中、急性冠動脈症候群、肺塞栓症、一過性虚血発作、血栓症(例:深部静脈血栓症、血栓症性の閉塞および再閉塞および末梢血管血栓症)および血栓塞栓症などの血栓症障害などがある。血栓症事象または血栓塞栓症事象には、一次または続発性の血栓症性卒中、冠動脈介入術もしくは血栓溶解療法に続発して起こる急性心筋梗塞などもある。
【0157】
前記化合物は、投与される化合物の特定の特性および特定の治療法を考慮して、例えば静脈投与、非経口投与、経口投与、皮下投与、筋肉投与、経皮投与(例えば、イオン泳動貼付剤を用いて)、眼球内投与、経鼻投与、吸入による投与、インプラントによる投与、坐剤による投与または医学業界の当業者には公知の他の経路によって投与することができる。
【0158】
1実施形態において前記化合物は、血栓溶解が起こってから約6時間〜24時間後、血栓溶解が起こってから約12時間〜24時間後、または血栓溶解が起こってから約20時間〜24時間後に投与される。別の態様において前記化合物は、複数回投与される。投与される用量数は、治療対象の血栓症状態または血栓塞栓症状態の種類および重度によって決まる。この決定は当業者によって行うことが可能であり、本発明の範囲に含まれる。
【0159】
1実施形態において前記化合物は、狭心症、心筋梗塞、卒中、肺塞栓症、一過性虚血発作、冠動脈虚血症候群、症候群X、心不全、糖尿病、少なくとも一つの冠動脈の狭窄が起こっている障害、カテーテル血栓症、深部静脈血栓症、動脈血管血栓症および末梢血管血栓症などの血栓症あるいは冠動脈介入術に続発する再狭窄または心臓手術もしくは血管手術に関連する再狭窄などの血栓症性閉塞および再閉塞の治療または予防のために継続的に投与することができる。
【0160】
治療上有効量の前記化合物は、本発明の組成物および方法での使用に好適である。投与法は、患者の種類、動物種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療対象の状態の重度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに使用される特定の化合物またはそれの塩もしくはエステルなどの各種要素に従って選択される。1実施形態において前記化合物は、約0.5〜2500mg/日の量で経口投与される。下位実施形態において、前記化合物は約1mg〜2500mg/日、5mg〜2500mg/日、5mg〜1000mg/日、5mg〜500mg/日、10mg〜250mg/日または10mg〜200mg/日の量で経口投与される。
【0161】
化合物活性のアッセイ
多くのアッセイが、血栓溶解および血栓溶解系の成分の測定に関して当業界で公知である。例えば、米国特許第5612187号には、試験液が血塊を溶解させるのに必要な時間を測定するための血液凝固時間測定装置および方法が提供されている。
【0162】
凝血アッセイ手順が、例えばスミスらの報告(Smith et al. (1988) Thrombosis Research, 50:163-174)に記載されている。米国特許第5688813号および5668289号には、動脈損傷および冠動脈血栓症のネズミおよびイヌモデルにおける凝固時間および関連測定値のアッセイについて記載されている。米国特許第4861712号;4910510号;5059525号;および5580744号には、血液凝固をモニタリングする上で好適な試験品が記載されている。米国特許第4756884号には、プロトロンビン時間などの血液特性を測定するための毛細管流動装置が記載されている。血小板凝集アッセイ、血小板−フィブリノーゲン結合アッセイおよび血栓溶解アッセイが全て、米国特許第5661159号に記載されている。試験管中での血液検体の揺動および既知または可能性のある抗凝血剤の存在下もしくは非存在下で血液が凝固するまでの期間の測定などの簡単な試験、ならびに全血凝集技術および適切な接着表面マーカーのフローサイトメトリー分析も公知である。いずれのアッセイを用いるとしても、それらのアッセイを連続的に、そしてできるだけ高頻度で行って、正確な測定を期するようにすることができる。
【0163】
血栓溶解が奏功しているか否かは、当業界で公知の多くの技術を用いることで測定することができる。例えば血栓溶解は、血管造影法、シンチグラフィー、心電図(ECG)、患者の状態(すなわち、症状緩解の評価)によって、そして間接的には心筋壊死生物マーカーの血漿レベルを測定することによって評価することができる。
【0164】
血小板凝集および血小板活性化マーカーの測定方法
以下の試験は、ヒト被験者またはマウスなどの実験動物モデルで行うことができる。ヒト被験者が関与する臨床試験の開始に先立って、本試験は適切なヒト被験者委員会が承認を行うべきであり、被験者には試験についての情報を与え、被験者から参加に先立って文書による同意を得るべきである。
【0165】
本明細書に開示の選択化合物を用いる化合物療法は、プラシーボ治療などの対照治療と比較して評価することができる。用量は、実験を実施する当業者が容易に決定することができる。試験治療の長さは、特定の試験に応じて変動し、やはり当業者が決定することができる。例を挙げると、その療法は4週間にわたって行うことができる。その化合物は、例えばヒト被験者の場合の経口投与のように、本明細書に記載の経路によって投与することができる。
【0166】
血小板活性化は、当業界で利用可能な多くの試験によって測定することができる。いくつかのそのような試験について下記に記載する。治療の有効性を確認するため、血小板活性化の状態を、例えば併用治療薬投与の前および治療中は週1回など、試験中にいくつかの時間点で評価する。採血および血小板凝集をモニタリングするのに用いることができる分析の手順の例を下記に挙げてある。
【0167】
A.血小板凝集試験
2本のプラスチック管に19ゲージ針を用いて肘正中静脈から採血を行った。針およびバキュテイナーフードを用いて、静脈カテーテルに対して遠位の新鮮な静脈穿刺部位から、7ccバキュテイナー管中に自由流動血液の各検体を採取する(1本にはCTAD(ジピリダモール)を入れ、他方には3.8%クエン酸三ナトリウムを入れる)。他のあらゆる試験についても同時に採血を行う場合、血小板検体を2番目または3番目に得て、最初に得ないことが好ましい。血小板検体のみを採取する場合、血液の最初の2〜3ccを廃棄してから、バキュテイナー管に満たす。管が15秒以内に充填される場合には、静脈穿刺は十分である。採血はいずれも熟練担当者が行う。
【0168】
各被験者について2本のバキュテイナー管に採血を行った後、それらを直ちに、ゆっくり3〜5回反転させて、抗凝血剤が完全に混合されるようにする。管の振盪は行わない。過剰の抗凝血剤によって血小板機能が変わり得ることから、バキュテイナー管は最大容量まで満たす。可能であれば必ず、乱流が最小限となるように注意を払う。バキュテイナー中で針を傾斜させることで、血液が底までずっと撃ち出されるのではなく、管の側面を流れ落ちるようにする等の小さい段階によって、大きな改善を行うことができる。これらの管は室温に維持し、検体準備の責任を持つ研究室担当者に直接渡す。バキュテイナー管はいかなる時も冷蔵しない。
【0169】
クエン酸三ナトリウム(3.8%)および全血を1:9の比で直ちに混合し、1200gで2.5 分間遠心して血小板豊富血漿(PRP)を得て、それを室温に維持して、1時間以内に血小板凝集試験に用いる。コールター・カウンターZM(Coulter Co., Hialeah, Fla.)を用いて血小板カウントを各PRPサンプルについて測定する。同種血小板欠乏血漿での凝集のために、血小板数を3.50×10/mLに調節する。PRPおよび全血凝集試験を同時に行う。全血をPBS 0.5mLで1:1希釈し、優しく旋回させて混合する。攪拌棒を入れたキュベットをインキュベーションウェルに入れ、昇温させて37℃として5分間経過させる。次に、検体をアッセイウェルに移す。検体キュベットに電極を入れる。5μM ADP、1μg/mLコラーゲンおよび0.75mMアラキドン酸で血小板凝集を刺激する。作働薬はいずれも、例えばクロノログ社(Chronolog Corporation, Hawertown, Pa.)から入手する。クロノログ全血ルミ血小板凝集計(Chronolog Whole Blood Lumi-Aggregometer、560−Ca型)を用いて血小板凝集試験を行う。血小板凝集性は、血漿検体についての時間記録後に基準として血小板欠乏血漿を用いて基底線からの光透過率変化のパーセントとして、または全血検体についての電気インピーダンスにおける変化として表す。 凝集曲線を4分間にわたって記録し、アグロリンク(Aggrolink;登録商標)ソフトウェアを用いて、国際的に確立された標準に従って解析する。
【0170】
化合物療法を受けた被験者の凝集曲線を、対照治療を受けた被験者の凝集曲線と比較して、治療法の効力を求めることができる。
【0171】
B.洗浄血小板フロー・サイトメトリー
静脈血(8mL)を、酸−クエン酸塩−デキストロース(ACD)(クエン酸7.3g、クエン酸ナトリウム・2HO 22.0gおよびグルコース24.5の蒸留水(1000mL)溶液)2mLの入ったプラスチック管に採取し、十分に混和する。得られた血液−ACD混合物を室温で1000rpmにて10分間遠心する。次に、血小板豊富血漿(PRP)の上部2/3を回収し、ACDを加えることでpH=6.5に調節する。次に、PRPを3000rpmで10分間遠心する。上清を除去し、血小板ペレットを洗浄緩衝液(10mM Tris/HCl、0.15M NaCl、20mM EDTA、pH=7.4)4cc中に優しく再懸濁させる。血小板を洗浄緩衝液およびTBS(10mM Tris、0.15M NaCl、pH=7.4)で洗浄する。次に、全ての血球を適切な数の管に分ける。例を挙げると、9種類の異なる表面マーカーを本明細書の方法で評価する場合、血球を10本の管に分けて、洗浄血小板の入った9本の管を暗所にて+4℃で30分間にわたりフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗体5μLとともにインキュベートし、1本の管を未染色のままとして陰性対照として用いるようにすべきである。細胞上での抗原の発現が血小板活性化に関連していることから、CD9(p24);CD41a(IIb/IIIa、aIIbb3);CD42b(Ib);CD61(IIIa)(DAKO Corporation, Carpinteria, Calif.);CD49b(VLA−2またはa2b1);CD62p(P−セレクチン);CD31(PECAM−1);CD41b(IIb);およびCD51/CD61(ビトロネクチン受容体、avb3)(PharMingen, San Diego Calif.)などのモノクローナルマウス抗ヒト抗体を用いて表面抗原発現を測定する。インキュベーション後、血球をTBSで洗浄し、1%パラホルムアルデヒド0.25mLに再懸濁させる。検体を+4℃の冷蔵庫に保存し、レーザー出力15mw、励起波長488nmおよび発光検出波長530±30nmとしてベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)FACスキャン(FACScan)フローサイトメーターで分析する。データを収集し、リストモードで保存し、CELLQuest(登録商標)ソフトウェアを用いて解析することができる。FACS手順については、文献に詳細に記載されている(Gurbel, P. A. et al., J Amer Coll Cardiol 31: 1466-1473 (1998);Serebruany, V. L. et al., Am Heart J 136: 398-405 (1998);Gurbel, P. A. et al., Coron Artery Dis 9: 451-456 (1998)およびSerebruany, V. L. et al., Arterioscl Thromb Vase Biol 19: 153-158 (1999))。
【0172】
次に、併用療法を受けた被験者から単離された血小板の抗体染色を、対照治療を受けた被験者から単離した血小板の染色と比較して、血小板に対する併用療法の効果を確認することができる。
【0173】
C.全血フローサイトメトリー
酸−クエン酸塩−デキストロース(ACD;クエン酸7.3g、クエン酸ナトリウム・2HO 22.0gおよびグルコース24.5の蒸留水(1000mL)溶液)2ccの入った管に血液4ccを採取し、十分に混和する。緩衝液、TBS(10mM Tris、0.15M NaCl、pH=7.4)および下記のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合モノクローナル抗体(PharMingen, San Diego Calif., USAおよびDAKO, Calif., USA)を冷蔵庫から取り出し、昇温させて室温(RT)としてから使用に供する。使用可能な抗体の例には、CD41(IIb/IIIa)、CD31(PECAM−1)、CD62p(P−セレクチン)およびCD51/61(ビトロネクチン受容体)などがあるが、これらに限定されるものではない。各被験者について、琥珀色の管(1.25mL)6本およびエッペンドルフ管(1.5mL)1本を得て、適切にマークを施し、TBS緩衝液450μLをラベルの付いたエッペンドルフ管にピペットで入れる。患者の全血管を優しく2回反転させて混和し、全血50μLを適切にラベルを施したエッペンドルフ管にピペットで入れる。エッペンドルフ管にキャップを施し、そのエッペンドルフ管を優しく2回反転させることで希釈全血を混和し、次に各琥珀管に希釈全血50μLをピペットで入れる。適切な抗体5pLを相当する琥珀管の底にピペットで入れる。管をアルミホイルで覆い、4℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、2%緩衝パラホルムアルデヒド400μLを加える。琥珀管の蓋をしっかりと閉め、フローサイトメトリー分析まで4℃の冷蔵庫で保存する。検体を、ベクトン・ディッキンソンFACスキャンフローサイトメーターで分析する。これらのデータをリストモードで収集し、解析する。次に、化合物療法を受けた被験者から単離した血小板の抗体染色を、対照治療を受けた被験者から単離した血小板の染色と比較する。
【0174】
D.ELISA
酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を、標準的な技術を用い、本明細書の方法に従って用いる。エイコサノイド代謝物を用いて、血小板凝集を測定することができる。エイコサノイド類が生理的条件下で短い半減期を有することから、その代謝物の分析を行う。トロンボキサンAの安定な分解産物であるトロンボキサンB2(TXB)およびプロスタサイクリンの安定な分解産物である6ケト−PGFαを調べることができる。トロンボキサンB2は、TXAの安定な加水分解生成物であり、トロンビンおよびコラーゲンなどの各種薬剤によって誘発される血小板凝集後に産生される。6ケト−プロスタグランジンF1αは、不安定なPGI(プロスタサイクリン)の安定な加水分解生成物である。プロスタサイクリンは血小板凝集を阻害し、血管拡張を誘発する。従って、プロスタサイクリン産生の定量は、6ケト−PGFレベルの測定によって行うことができる。それらの代謝物は、−4℃に維持した血小板欠乏血漿(PPP)中で測定することができる。さらに、血漿検体をエタノールで抽出し、−80℃で保存してから、例えば標準的な技術(PerSeptive Diagnostics, Inc., Cambridge, Mass., USA)によるタイターザイムス(TiterZymes;登録商標)酵素イムノアッセイを用いて最終的なプロスタグランジン測定を行うことができる。TXBおよび6ケト−PGFを測定するためのELISAキットも市販されている。
【0175】
化合物療法を受けた被験者および対照を受けた被験者の血漿中のTXBおよび6ケト−PGFの量を比較して、治療の効力を確認することができる。
【0176】
E.デイド・ベーリング(Dade Behring)血小板機能分析装置PFA−100(登録商標)を用いて測定される閉鎖時間
PFA−100(登録商標)を、血小板機能異常の検出のためのイン・ビトロシステムとして用いることができる。それは抗凝固処理した全血での血小板機能の量的尺度を提供するものである。そのシステムは、マイクロプロセッサ制御された装置および生理活性膜を含む使い捨て試験カートリッジを含むものである。その装置は、キャピラリーおよび膜に切り込まれた顕微鏡的な開口によって、検体貯留部から一定の減圧下に血液検体を吸引する。その膜はコラーゲンおよびエピネフリンまたはアデノシン5′−ジホスフェートでコーティングされている。これらの生化学的刺激が存在し、標準化した流動条件下で高い剪断速度が発生することで、血小板の付着、活性化および凝集が生じて、開口部で安定な血小板の栓がゆっくり形成される。開口部の完全閉塞が得られるのに要する時間を「閉鎖時間」として報告し、それは通常は1〜3分の範囲である。
【0177】
PFA−100(登録商標)試験カートリッジにおける膜は、生体成分にとっての支持基材として働き、それによって開口部の配置が可能となる。その膜は、平均孔径が0.45μmである標準的なニトロセルロース濾過膜である。膜の血液進入側は、線維状I型ウマ腱コラーゲン2μgおよび重酒石酸エピネフリン10μgまたはアデノシン5′−ジホスフェート(ADP)50μgでコーティングされている。これらの薬剤は、血液検体が開口部を通過する時に、血小板に対して制御された刺激を与えるものである。そのコラーゲン表面は、血小板の沈着および付着のための明瞭な基材としても働いた。
【0178】
PFA−100(登録商標)試験の原理は、クラッツァー(Kratzer)およびボーン(Born)の報告(Kratzer, et al., Haemostasis 15: 357-362 (1985))に記載のものと非常に似ている。この試験では、3.2% クエン酸ナトリウム抗凝血剤3.8% に採取した全血検体を用いる。その血液検体をキャピラリーで吸引してカップに入れ、そこで検体はコーティングされた膜と接触し、開口部を通過する。コーティングに存在するコラーゲンおよびエピネフリンもしくはADPによる刺激と開口部での剪断応力に応答して、開口部周囲の領域から始まって、血小板がコラーゲン表面に付着および凝集する。測定を行っている間に、安定な血小板栓が形成され、それは最終的に開口部を閉塞する。開口部の完全閉塞が得られるのに要する時間を「閉鎖時間」と定義し、それは検体における血小板機能の指標となる。従って、化合物療法を受けた被験者と対照療法を受けた被験者との間で「閉鎖時間」を比較することで、その治療の効力を評価することができる。
【0179】
留意すべき点として、上記の手順のいずれも、使用される薬剤、試験期間の長さ、選択される被験者などの要素に応じて、特定の試験用に変更され得る。そのような変更は、当業者であれば、不要な実験を行うことなく計画することが可能である。
【0180】
併用療法または代替療法
上記化合物は、単独で、あるいは抗凝血活性、抗トロンビン活性、血栓溶解活性、線維素溶解活性または抗血小板活性を有する薬剤などの1以上の治療薬と併用もしくはそれによる代替で投与することができる。
【0181】
使用可能な抗血小板化合物には、下記のものなどがある。
【0182】
−アスピリン、ジピリダモール(ペルサンチン(Persantine;登録商標)、Boehringer Ingelheim)またはアグレノックス(登録商標)(アスピリン−ジピリダモール)などの血小板粘着阻害薬;
−アブシキシマブ(レオプロ(登録商標)、Eli Lilly & Co.)、エプチフィバチド(インテグリリン(登録商標)、Cor Therapeutics)、チロフォバン(アグラスタット(登録商標)、Merck & Co., Inc.)、ロキシフィバン(roxifiban)およびラミフィバンなどの糖タンパク質IIb/IIIa阻害薬;および
−クロピドグレル(プラビクス(登録商標)、Sanofi-Bristol Myers Squibb)、チクロピジン(チクリド(登録商標)、Roche Laboratories)およびプラスグレル(prasugrel)(Eli Lilly)のようなチエノピリジン類などのADP誘発血小板活性化阻害薬。
【0183】
第2の治療薬は、抗凝血剤化合物であっても良い。抗凝血剤化合物の例としては、非分画ヘパリンなどのヘパリンまたはエノキサパリン(ロベノックス(登録商標);Sanofi-Aventis))、ダルテパリン(フラグミン(登録商標);Pharmacia & Upjohn)、チンザパリン(イノヘプ(登録商標);Dupont)およびアルデパリン(ノルミフロ(登録商標);Wyeth-Ayerst Laboratories)などの低分子量ヘパリン類などがあるが、これらに限定されるものではない。他の選択肢には、ワーファリン(クマディン)およびヒルジンなどがある。
【0184】
使用可能なトロンビン阻害薬には、ダナプロイド(オルガラン(Orgaran))、レピルジン(レフルダン(登録商標);Berlex Laboratories)、ビバリルジン(アンギオマックス(登録商標);The Medicines Company)、アルガトロバン(Glaxo Smith Kline)などがある。
【0185】
アルテプラーゼ(t−PAまたはアクチバーゼ(Activase;登録商標)とも称される、Genentech, Inc.)などの組換え組織プラスミノーゲン活性化剤、レテプラーゼ(r−PAまたはレタバーゼ(retavase;登録商標)とも称される、Centocor, Inc.)およびテネクテプラーゼ( TNK(登録商標)とも称される、Genentech, Inc.)などの他の形態の組織プラスミノーゲン活性化剤、ストレプトキナーゼ(ストレプターゼ(Streptase;登録商標)とも称される、AstraZeneca, LP)、プロウロキナーゼ(Abbott Laboratories)、ウロキナーゼ(Abbott Laboratories)、ラノテプラーゼ(Bristol-Myers Squibb Company)、モンテプラーゼ(エーザイ)、サルプラーゼ(r−scu−PAおよびレスクパーゼ(rescupase;登録商標)とも称される、Grunenthal GmbH, Corp.)、スタフィロキナーゼおよびアニソイル化プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼ活性化剤複合剤(APSAC、アニストレプラーゼ(Anistreplase)およびエミナーゼ(Eminase;登録商標)とも称される、SmithKline Beecham Corp.)などの血栓溶解剤を用いることができる。血栓溶解剤には、他の遺伝子組換えプラスミノーゲン活性化剤などもある。
【0186】
他の可能な薬剤には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、アンギオテンシン受容体遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、β−遮断薬およびスタチン類などがある。
【0187】
血圧降下薬を使用可能であり、それには表1に示したものなどがある。例えば、有用な血圧降下薬には、アドレナリン遮断薬、α/β−アドレナリン遮断薬、α−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリン遮断薬、アドレナリン刺激剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿剤または血管拡張剤などがあり得るが、これらに限定されるものではない。本発明で有用な別の血圧降下薬は、PCT特許出願WO99/11260(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0188】
【表1】


【0189】
本発明の併用で有用な別のカルシウムチャンネル遮断薬に、表2に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
【表2】

【0191】
本発明の併用で有用な別のACE阻害薬には、表3に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0192】
【表3】

【0193】
本発明の併用で有用な別のβ−アドレナリン遮断薬には、表4に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0194】
【表4】


【0195】
本発明の併用で有用な別のα−アドレナリン遮断薬には、表5に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0196】
【表5】

【0197】
本発明の併用で有用な別のアンギオテンシンII受容体拮抗薬には、表6に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0198】
【表6】

【0199】
本発明の併用で有用な別の血管拡張剤には、表7に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
【表7】



【0201】
本発明の併用で有用な別の利尿剤には、表8に示したものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0202】
【表8】


【0203】
医薬組成物
前記化合物は、製薬上許容される担体を含む医薬組成物で投与しても良い。その担体は、製剤の他の成分と適合性であって、被投与者に対して有害性がないという意味において許容できるものでなければならない。
【0204】
前記製剤には、経口、非経口(皮下、経皮、筋肉、静脈および動脈投与など)、直腸および局所(皮膚、口腔、舌下および眼球内など)投与に適したものなどがあるが、最も適した経路は、例えば被投与者の状態および障害によって決まり得るものである。製剤は簡便には、単位製剤で提供することができ、製薬業界では公知のいずれかの方法によって製造することができる。いずれの方法にも、化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物(「有効成分」)を1以上の補助成分を構成する担体と組み合わせる段階がある。その製剤は、有効成分を液体担体もしくは微粉砕固体担体またはその両方と均一かつ直接に組み合わせ、次に必要に応じて製造物を所望の製剤に成形することで製造される。
【0205】
経口投与に好適な製剤は、それぞれが所定量の有効成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤などの個別の単位として;粉剤または粒剤として;水系液体または非水系液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として提供され得る。有効成分は、ボラス、舐剤またはペーストとして提供されても良い。
【0206】
錠剤は、適宜に1以上の補助成分とともに圧縮または成形することで製造することができる。圧縮錠は、好適な機械で、粉剤もしくは粒剤などの自由流動型での有効成分を、適宜に結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、平滑剤、表面活性剤または分散剤と混合して圧縮することで製造することができる。成形錠は、好適な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作ることができる。錠剤はコーティングや彫り込みを入れても良く、中に入っている有効成分の遅延放出または徐放が行われるように製剤しても良い。
【0207】
非経口投与用の製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および所期の被投与者の血液と等張の製剤とする溶質を含むことができる水系および非水系無菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことができる水系および非水系無菌懸濁液などがある。その製剤は、単位用量容器または多用量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアルに入れて提供することができ、使用直前に例えば生理食塩水、注射用水などの無菌液体担体を加えるだけで良いフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、前記の種類の無菌の粉剤、粒剤および錠剤から製造することができる。
【0208】
直腸投与用の製剤は、カカオバターまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。
【0209】
例えば口腔投与または舌下投与などの口中での局所投与用製剤には、ショ糖およびアカシアもしくはトラガカントなどの香味を施した基剤に有効成分を含むロゼンジ剤ならびにゼラチンおよびグリセリンもしくはショ糖およびアカシアなどの基剤に有効成分を含むトローチなどがある。
【0210】
単位製剤の例としては、本明細書において下記に記載のような有効量またはそれの一部の有効成分を含むものがある。その用量は、個体の種類、生物種、年齢、体重、性別および医学的状態;状態の重度;投与経路;個体の腎機能および肝機能;および使用される特定の化合物またはそれの塩もしくはエステルなどの各種要素に応じて選択される。これらの要素についての検討は、通常の技術を有する臨床関係者の範囲に含まれるものである。
【0211】
理解すべき点として、上記で特に言及した成分に加えて、本発明の製剤は、対象の製剤の種類を考慮して、当業界で従来から用いられる他の薬剤を含むことができ、例えば経口投与に好適なものは香味剤を含むことができる。
【0212】
化合物は、例えば0.001〜2500mg/kg/日の用量で経口または注射で投与することができる。ヒトの場合の用量範囲は、通常は0.005mg〜10g/日である。個別の単位で提供される錠剤その他の提供形態は、簡便にはそのような用量で有効な量の本明細書に開示の化合物またはそれの複数倍の量、例えば5mg〜500mg、通常はほぼ10mg〜200mgを含む単位を含むことができる。
【0213】
患者に投与される化合物の正確な量は、必要に応じて調節される。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢および性別、治療対象となる正確な障害ならびにそれの重度などの多くの要素によって決まる。さらに、投与経路は状態およびそれの重度に応じて変わり得るものである。
【0214】
前記化合物は、カテーテルまたはステントを介して、例えば管腔内ステントを用いて投与することもできる。ステントは血管形成術の一部として一般的に用いられるが、管腔内ステントを用いて身体管腔の開口部を維持または制御することができる。その化合物は、単独でまたは組成物の一部として用いて、治療上活性な化合物の徐放を可能とすることができると考えられる。その化合物は、ステント上にコーティングしたり、ステントの一部とすることができると考えられる。それらは層化して、活性化合物の制限された放出を行うようにすることができるか、当業界で公知の方法で用いることができる。米国特許出願第20010029660号および20010032014号(参照によってその全体が本明細書に組み込まれるものとする)を参照する。
【実施例】
【0215】
血小板凝集および血小板活性生物マーカーについて下記のように試験を行った。
【0216】
各種用量の下記化合物Aについて試験を行った。
【0217】
【化51】

【0218】
血管疾患に関して複数の要素を有する被験者でのイン・ビトロ血小板特性に対する各種用量(15μg/mL〜90μg/mL)の化合物Aの効果を調べた。
【0219】
段階的に濃度を上げた化合物Aによる前インキュベーションがフローサイトメトリーによる主要な表面受容体の血小板凝集および発現に与えるイン・ビトロでの効果を、血管疾患に関して複数のリスク因子を有するアスピリン未投与志願者20名で評価した。
【0220】
15−30−60−90μg/mLの化合物Aによる血液検体の前処理によって、ADP誘発血小板凝集の一様で有意な阻害が生じた。PECAM−1(CD31)の表面血小板発現、GPIIb/IIIa(CD41a)抗原、およびPAC−1抗体との活性およびGPIb(CD42b)が、化合物Aで前処理した検体で低下した。血小板−単球微小粒子(CD14+CD151)の形成および正常エピトープと活性エピトープの両方のPAR−1トロンビン受容体発現も低下した。
【0221】
コラーゲン誘発凝集、トロンボスポンジン(CD36)、ビトロネクチン受容体(CD51/CD61)、P−セレクチン(CD62p)、LAMP−3(CD63)、LAMP−1(CD107a)、CD40−リガンド(CD154)、GP37(CD165)に関しては、アッセイにおいて化合物Aによる効果はほとんどなかった。
【0222】
従って、化合物Aは良好な抗血小板プロファイルを有することが認められ、血小板を阻害した。
【0223】
結果を下記の表9に示してある。患者背景データを表10に示してある。
【0224】
【表9】

【0225】
【表10】

【0226】
当業者であれば、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、通常の実験を行うだけでそれを確認できるものである。そのような均等物は、添付の特許請求に範囲に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の下記式の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、血小板活性化状態の低減を必要とする個体での血小板活性化状態の低減方法
【化1】

[式中、
Yは結合であり;
Zは、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。]。
【請求項2】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項1の方法。
【請求項3】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項2の方法。
【請求項4】
化合物が
【化2】

からなる群から選択される請求項3の方法。
【請求項5】
有効量の下記式の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、血小板活性化状態の低減を必要とする個体の血小板活性化状態の低減方法
【化3】

[式中、
Yは
【化4】

であり;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、複素環C1−10アルキル、RNH、RN、カルボキシ、炭水化物基、炭水化物ラクトン基およびアルジトール基からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。]。
【請求項6】
Zが、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
が独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
が独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項5の方法。
【請求項7】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項6の方法。
【請求項8】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項7の方法。
【請求項9】
化合物が、下記化合物のうちのいずれかまたはそれの製薬上許容される塩である
【化5】

請求項8の方法。
【請求項10】
有効量の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、血小板活性化状態の低減を必要とする個体での血小板活性化状態の低減方法であって、前記化合物が下記のもの
【化6】


からなる群から選択される方法。
【請求項11】
化合物が、個体の血小板におけるプロテアーゼ活性化受容体1または4(PAR−1またはPAR−4)の活性を低下させる請求項1の方法。
【請求項12】
化合物の投与後における個体から採取した検体からの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現の発現レベルを対照と比較する段階および前記発現における低下を検出する段階をさらに含む請求項11の方法。
【請求項13】
個体から採取した検体からの少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを対照と比較する段階を有し、前記レベルが化合物投与後に低下する請求項1の方法。
【請求項14】
血小板活性化マーカーのレベルが少なくとも約10%低下する請求項13の方法。
【請求項15】
化合物を、経口、静脈、筋肉、皮下、非経口、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤によって投与する請求項1の方法。
【請求項16】
化合物を約0.5mg−2500mg/日の量で経口投与する請求項15の方法。
【請求項17】
個体に有効量の式
【化7】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、個体に存在する血栓症事象または血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害の治療方法
[式中、
Yは結合であり;
Zは、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。]。
【請求項18】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項17の方法。
【請求項19】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項18の方法。
【請求項20】
化合物が、
【化8】

からなる群から選択される請求項19の方法。
【請求項21】
個体に有効量の式
【化9】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、個体に存在する血栓症事象または血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害の治療方法
[式中、
Yが
【化10】

であり;
Zが、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、複素環C1−10アルキル、RNH、RN、カルボキシ、炭水化物基、炭水化物ラクトン基およびアルジトール基からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。]。
【請求項22】
Zが、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
が独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(QH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
が独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項21の方法。
【請求項23】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項22の方法。
【請求項24】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項23の方法。
【請求項25】
化合物が、
【化11】

からなる群から選択される請求項24の方法。
【請求項26】
個体に有効量の
【化12】



からなる群から選択される構造を有する化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、個体に存在する血栓症事象または血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害の治療方法。
【請求項27】
血管の事象、疾患または障害が、心筋梗塞、血栓症、狭心症、卒中、肺塞栓症、一過性虚血発作、深部静脈血栓症、心房細動、整形外科術、冠動脈介入術、心臓手術もしくは血管手術に続発する血栓症性再閉塞、末梢血管血栓症、症候群X、心不全および少なくとも一つの冠動脈の狭窄が起こる障害からなる群から選択される請求項17の方法。
【請求項28】
血管事象が血栓塞栓症事象である請求項17の方法。
【請求項29】
化合物が、個体の血小板におけるプロテアーゼ活性化受容体1または4(PAR−1またはPAR−4)の活性を低下させる請求項17の方法。
【請求項30】
化合物の投与後における前記個体から採取した検体からの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現の発現レベルを対照と比較する段階および前記発現における低下を検出する段階をさらに含む請求項29の方法。
【請求項31】
個体から採取した検体からの少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを対照と比較する段階を有し、前記レベルが化合物投与後に低下する請求項17の方法。
【請求項32】
血小板活性化マーカーのレベルが少なくとも約10%低下する請求項31の方法。
【請求項33】
化合物を、経口、静脈、筋肉、皮下、非経口、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤によって投与する請求項17の方法。
【請求項34】
化合物を約0.5mgから2500mg/日の量で経口投与する請求項33の方法。
【請求項35】
抗血小板化合物、抗凝血剤または血栓溶解剤である第2の化合物を投与する段階をさらに含む請求項17の方法。
【請求項36】
個体がヒトである請求項1の方法。
【請求項37】
血小板活性化状態の低減を必要とする個体の血小板活性化状態を低減するための医薬の製造における、有効量の構造
【化13】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用
[式中、
Yは結合であり;
Zは、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。]。
【請求項38】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項37の使用。
【請求項39】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項38の使用。
【請求項40】
化合物が、
【化14】

からなる群から選択される請求項39の使用。
【請求項41】
血小板活性化状態の低減を必要とする個体の血小板活性化状態を低減するための医薬の製造における、有効量の構造
【化15】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用
[式中、
Yは
【化16】

であり;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、複素環C1−10アルキル、RNH、RN、カルボキシ、炭水化物基、炭水化物ラクトン基およびアルジトール基からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。]。
【請求項42】
Zが、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
が独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
が独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項41の使用。
【請求項43】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項42の使用。
【請求項44】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項43の使用。
【請求項45】
化合物が、下記化合物のうちのいずれかまたはそれの製薬上許容される塩である
【化17】

請求項44の使用。
【請求項46】
血小板活性化状態の低減を必要とする個体の血小板活性化状態を低減するための医薬の製造における、有効量の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用であって、前記化合物が、
【化18】


からなる群から選択される使用。
【請求項47】
化合物が、個体の血小板におけるプロテアーゼ活性化受容体1または4(PAR−1またはPAR−4)の活性を低下させる請求項37の使用。
【請求項48】
化合物の投与後における前記個体から採取した検体からの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現の発現レベルを対照と比較する段階および前記発現における低下を検出する段階をさらに含む請求項47の使用。
【請求項49】
個体から採取した検体からの少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを対照と比較する段階を有し、前記レベルが化合物投与後に低下する請求項37の使用。
【請求項50】
血小板活性化マーカーのレベルが少なくとも約10%低下する請求項50の使用。
【請求項51】
化合物を、経口、静脈、筋肉、皮下、非経口、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤によって投与する請求項37の使用。
【請求項52】
化合物を約0.5mg−2500mg/日の量で経口投与する請求項51の使用。
【請求項53】
個体に存在する血栓症事象もしくは血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害を治療するための医薬の製造における、有効量の構造
【化19】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用
[式中、
Yは結合であり;
Zは、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される。]。
【請求項54】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項53の使用。
【請求項55】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いカルボキシC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項54の使用。
【請求項56】
化合物が、
【化20】

からなる群から選択される請求項55の使用。
【請求項57】
個体に存在する血栓症事象もしくは血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害を治療するための医薬の製造における、有効量の構造
【化21】

の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用
[式中、
Yは
【化22】

であり;
Zは、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、ヒドロキシC1−10アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−10アルカリール、アリールC1−10アルキル、ヘテロアリールC1−10アルキル、C1−10アルコキシC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノC1−10アルキル、カルボキシC1−10アルキル、C1−10ジアルキルアミノC1−10アルキル、アミノC1−10アルキル、複素環、複素環C1−10アルキル、RNH、RN、カルボキシ、炭水化物基、炭水化物ラクトン基およびアルジトール基からなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシル、アシルオキシ、COOH、COOR、OC(O)R、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、NHC(O)O−R、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、POP(O)(OH)R、P(O)(OR、P(O)R(OR)、OPOH、PO、ヒドロキシメチルおよび環状ホスフェートから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロC1−10アルキル、C1−10アルキルアミノ、ジC1−10アルキルアミノ、アシルおよびアシルオキシからなる群から選択され;
は独立に、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C1−10アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニルC1−10アルキル、アリール、カルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC1−10アリール、複素環、複素環C1−10アルキルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
は独立に、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択され;
2個のR基が一体となって4から7員環を形成していても良い。]。
【請求項58】
Zが、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキルおよびカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRで置換されていても良く;
が独立に、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、COOH、COOR、CH(OH)R、NHR、NR、C(O)NH、C(O)NHR、CONR、OSOH、SOH、SONHR、SONR、P(O)(OH)OR、P(O)(OH)R、P(O)HR、P(OR、P(O)R(OR)、OPOH、POおよびヒドロキシメチルから選択される群から選択され、可能な場合、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;
が独立に、C1−6アルキル、C2−10アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アシルオキシ、ハロ、アミノ、シアノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項57の使用。
【請求項59】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;
が独立に、ハロ、COOH、COOR、CONH、CONHR、CONRおよびアミノからなる群から選択され;
が独立に、C1−6アルキル、カルボキシC1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボキシC1−6アルキルからなる群から選択され、いずれも1以上のRによって置換されていても良く;ならびに
が独立に、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびカルボキシからなる群から選択される請求項58の使用。
【請求項60】
Zが、1以上のRによって置換されていても良いC1−6アルキルであり;ならびに
がCOOHである請求項59の使用。
【請求項61】
化合物が、
【化23】

からなる群から選択される請求項60の使用。
【請求項62】
個体に存在する血栓症事象もしくは血栓塞栓症事象であるか、または前記個体が罹患するリスクを有する、血管の事象、疾患または障害を治療するための医薬の製造における、有効量の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用であって、前記化合物が、
【化24】



からなる群から選択される使用。
【請求項63】
血管の事象、疾患または障害が、心筋梗塞、血栓症、狭心症、卒中、肺塞栓症、一過性虚血発作、深部静脈血栓症、心房細動、整形外科術、冠動脈介入術、心臓手術もしくは血管手術に続発する血栓症性再閉塞、末梢血管血栓症、症候群X、心不全および少なくとも一つの冠動脈の狭窄が起こる障害からなる群から選択される請求項53の使用。
【請求項64】
血管事象が血栓塞栓症事象である請求項53の使用。
【請求項65】
化合物が、個体の血小板におけるプロテアーゼ活性化受容体1または4(PAR−1またはPAR−4)の活性を低下させる請求項53の使用。
【請求項66】
化合物の投与後における個体から採取した検体からの血小板PAR−1/PAR−4トロンビン受容体発現の発現レベルを対照と比較する段階および前記発現における低下を検出する段階をさらに含む請求項65の使用。
【請求項67】
個体から採取した検体からの少なくとも一つの血小板活性化マーカーのレベルを対照と比較する段階を有し、前記レベルが前記化合物投与後に低下する請求項53の使用。
【請求項68】
血小板活性化マーカーのレベルが少なくとも約10%低下する請求項67の使用。
【請求項69】
化合物を、経口、静脈、筋肉、皮下、非経口、経鼻、吸入、インプラントまたは坐剤によって投与する請求項53の使用。
【請求項70】
化合物を約0.5mgから2500mg/日の量で経口投与する請求項69の使用。
【請求項71】
抗血小板化合物、抗凝血剤または血栓溶解剤である第2の化合物を投与する段階をさらに有する請求項53の使用。

【公表番号】特表2009−511500(P2009−511500A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534771(P2008−534771)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039570
【国際公開番号】WO2007/044726
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(501185903)アセロジエニクス・インコーポレイテツド (8)
【Fターム(参考)】