血流測定によってガイドされるCPR
超音波センサが、血管内の血流を検出するために身体に取り付けられる。センサから信号は、CPRの実施中、例えばフロー速度及びフロー拍動性のようなフローの尺度を生成するために処理される。フロー尺度は、CPRの間、望ましいフロー特性と比較され、結果は、介護者がCPRを実施するのをガイドするための可聴の命令を生成するために使用される。フロー尺度は、CPRをガイドするために、圧迫力又は深さ、胸部インピーダンス、血圧及びECGデータのような、他の検出された生理学的パラメータと一緒に使用されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、心臓蘇生法の分野に関し、より具体的には、血管の血流を測定することによる心肺蘇生法(CPR)の実施のガイダンスに関する。
【背景技術】
【0002】
緊急時及び手術プロシージャの間、患者の血流の状態の評価は、問題の診断及びその問題に対する適当な治療の決定の両方にとってきわめて重要である。患者の心臓パルスの存在は、一般に、患者の頸部を触診し、患者の頸動脈ボリュームの変化による触知可能な圧力変化を検知することによって検出される。心臓の心室が、鼓動の間に収縮すると、圧力波が、患者の末梢循環系の全体に送り出される。頸動脈波の波形は、心収縮期に血液の心室駆出によって上昇し、心臓からの圧力波が最大に達するとピークになる。頸動脈波は、圧力が、頸動脈波の終わりに向けて落ちてくると、再び落ちる。
【0003】
患者の検出可能な心臓パルスの欠如は、心停止の強いインジケータである。心停止は、患者の心臓が生命を維持するための血流を与えることができない致命的な病状である。心停止の間、心臓の電気活動は、無秩序であり(心室細動)、あまりに速く(心室頻拍)、存在せず(心静止)、又は血流を与えることなく正常な又は遅い心拍数(無脈性電気活動)で秩序化されうる。
【0004】
検出可能なパルスのない患者に提供されるべき治療の形式は、患者の心臓条件の評価に部分的に依存する。例えば、介護者は、非同期の又は急速な電気活動を止めて、潅流リズムが戻ることを可能にするために、心室細動(VF)又は心室頻拍(VT)を経験している患者に除細動ショックを適用することができる。外部除細動は、特に、患者の胸部の表面上に配置される電極を通じて患者の心臓に強い電気ショックを適用することによって提供される。患者が、検出可能なパルスに欠如しており、心静止又は無脈性電気活動(PEA)を経験している場合、除細動が適用されることはできず、介護者が、患者に血流を生じさせる心肺蘇生法(CPR)を実施することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
患者に除細動又はCPRのような治療を施す前に、介護者は、患者が心停止にあることを最初に確認しなければならない。一般に、外部除細動は、意識がなく、無呼吸であり、脈拍がなく、心室細動(VF)又は心室頻拍(VT)にある患者にとってのみ適切である。医療ガイドラインは、患者の心臓パルスの有無が、10秒以内に決定されるべきであると示している。例えば、心肺蘇生法(CPR)について米国心臓協会プロトコルは、医療関係者が、5秒乃至10秒以内に患者のパルスを評価することを要求する。パルスの欠乏は、外部胸部圧迫の開始の目安である。パルスの評価は、意識がある人については簡単に見えるが、基本的な生命維持評価シーケンスのうちもっとも頻繁に失敗する要素であり、これは、例えば経験の不足、貧弱な目印、又はパルスを見つけ又は見つけないことのエラーのような、さまざまな理由に帰すことができる。正確にパルスの有無を検出することの失敗は、患者にCPR又は除細動治療を与えるとき又は与えないときのいずれにおいても、患者の逆の処置にいたるであろう。
【0006】
心電図(ECG)信号は、通常、除細動ショックが適用されるべきか否かを決定するために使用される。しかしながら、救助者が遭遇する見込みのある特定のリズムは、例えば無脈性電気活動のように、ECG信号だけによって決定されることができない。これらのリズムの診断は、ECG信号によって示されるような心筋の電気活動にもかかわらず、潅流の欠如の証拠をサポートすることを必要とする。
【0007】
こうして、救助者が患者に治療を提供すべきか否かを迅速に決定するために、拍動流が患者の動脈にあるかどうか正しく決定するために、患者のパルス、血流量、及び可能性としてECG信号を、迅速に且つ容易に解析することが可能である一体化されたシステムを開発する必要がある。
【0008】
この必要性は、米国特許第6,575,914号明細書(Rock他)に記述されるシステムが設計される対象である救助者の場合のように、救助者が、訓練されていない及び/又は不慣れな人間である状況又はシステムにおいては差し迫ったものがある。前記第6,575,914号明細書は、本発明と同じ譲受人に譲渡されており、その明細書の内容全体は、参照によってここに盛り込まれるものとする。前記第6,575,914号特許明細書は、除細動を意識のない患者に適用すべきか否かを決定するために、ほとんど又は全く医療訓練を受けていない最初に対応する介護者によって使用されることができる自動化された体外除細動器(AED)(以下、AED及び半自動化された体外除細動器(SAED)は、ともにAEDと呼ばれる)を開示している。
【0009】
RockによるAEDは、除細動が患者に適当であるかどうか(すなわちパルスがあるか否か)又はCPRのような治療の別の形式が適当であるかどうかを決定するために、除細動器、ドップラー超音波信号を送受信するためのセンサパッド、ECG信号を得るための2つのセンサパッド並びにドップラー及びECG信号を受け取り評価するプロセッサを有する。ドップラーパッドは、頸動脈波を検知するために頸動脈上の患者皮膚に固着される。頸動脈波は、拍動血流の十分さの重要なインジケータである。具体的には、RockのAEDのプロセッサは、検出可能なパルスがあるかどうかを決定するためにドップラー信号を解析し、「電気ショック付与可能なリズム(shockable rhythm)」があるかどうかを決定するためにECG信号を解析する。前記第6,575,914号の図7及び対応する記述である明細書コラム6、ライン60乃至コラム7、ライン52を参照されたい。RockによるAEDのプロセッサによる検出可能なパルスの決定は、受信されたドップラー信号を、受信されたドップラー信号に統計学的に適当な閾値と、比較することによって行われる。これらの2つの別の解析の結果に基づいて、プロセッサは、除細動を勧めるべきか否かを決定する。
【0010】
除細動が勧められない場合、除細動器は、CPRが患者に実施されるべきであると勧めることができる。除細動器が医療専門家によって動作させられている場合、医療専門家は、一般に、適当な態様でCPRを実施する。しかしながら、自動化された除細動器は、医療訓練されていない素人によって動作されうるので、除細動器は、CPRの適当な適用について素人の救助者を指導することができることが望ましい。CPR指導は、米国特許第6,125,299号(Groenke他)、米国特許第6,351,671号(Myklebust他)及び米国特許第6,306,107号(Myklebust他)明細書に記載されるように、除細動器に組み込まれることができる。前記第6,125,299号及び前記第6,351,671号明細書は共に、胸部圧迫が適用される患者胸部に配置される力センサを記載している。力センサは、除細動器に接続され、胸部圧迫の適用される力を検知するとともに、除細動器の可聴プロンプトを使用して、「より強く」、「より弱く」、「より速く」又は「よりゆっくり」押すように救助者に指導する。前記第6,306,107号明細書は、力センサの代わりに、胸部圧迫の力ではなく胸部圧迫の深さを検知する加速度計を有する圧迫パッドを記載している。この方法は、CPRガイドラインが、適用される力ではなくむしろ圧迫の深さに方向付けられているので、好ましい。適用される力は、CPR圧迫に対する異なる胸部抵抗により必ずしも圧迫深さと相関しない。これらの技法は、それらの定量化能力が、肺を膨らませしぼませることによって血液に少なくとも部分的に酸素を送り込む胸部の圧迫を測定することに方向付けられるので、CPR指導にとって効果的である。これらの技法は、少なくともいくらかの血液循環を引き起こしているCPRの他の意図される効果を測定しない。心筋へ血流を導くことは、心臓の電気活動を増やすことができ、それによって除細動ショックが正常な心臓リズムを回復させる可能性を高めることができる。脳に血流を導くことは、非可逆的な脳損傷が心停止によって引き起こされるまでの時間を長くすることができる。従って、CPR測定システムが、肺の膨張及び収縮に加えて脳への血流の尺度を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の原理によれば、超音波トランスデューサが、頸動脈上に取り付けられ、CPRの実施中、頸動脈中の血液運動の速度を検知するために使用される。血流の1又は複数の尺度は、CPRの実施のガイダンスにおいて使用される超音波信号のドップラー処理から形成される。いくつかの図示される例において、血流尺度は、CPRの効果的な適用を決定しガイドするために、例えば胸部圧迫の力若しくは深さ、胸部インピーダンス又はECGデータのような他の尺度と一緒に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を最初に参照して、本発明の原理により構成される超音波センサストリップ10が示されている。センサストリップ10は、トランスデューサ対1−5の行を含む。任意の数のトランスデューサが、所与のセンサストリップにおいて使用されることができ、その数は、概して4乃至6個のレンジにあるトランスデューサ数である。トランスデューサ素子の各対は、連続波(CW)超音波モードでの動作を可能にする送信素子(T1、T2等)及び受信素子(R1、R2等)を有する。送信素子が、送信波を送信している間、対応する受信素子は、送信に応じて返ってくるエコーを受信する。この例において、トランスデューサ素子は、フォーカスされておらず、1.5−2cmの深さ及び0.5−4cmのレンジでクロスオーバーを伴って個別にコリメートされる。送信及び受信ビームのアパーチャは、クロスオーバー上で重なっており、それによって、送信トランスデューサ素子によって生成されるエコーは、対応する受信トランスデューサ素子によって受信される。パルス波(PW)超音波動作の場合、逐次に送信し受信する単一の素子のみが必要とされる。トランスデューサは、ストリップが貼り付けられる皮膚表面の形状に適合するように曲がることができる可撓性マトリックス12に封入される。図示される例におけるトランスデューサは、1−2mmの距離隔てられており、それによってマトリックス内のトランスデューサの行は、曲げられることができる。マトリックス12は、トランスデューサのアライメントを保持し、身体からの電気絶縁を提供し、例えばシリコン又はRTVラバーからなりうる。トランスデューサ素子に結合される電気導体のケーブル18が、後述するようにマトリックス12から延びている。ケーブル18は、センサストリップ10が監視装置とともに動作する該監視装置に接続するコネクタにおいて終端する。トランスデューサのマトリックスは、センサストリップを身体に付着させる基板14によって覆われる。センサストリップは、輪ゴム、ネックレス又はベルクロ(登録商標)ストラップによって身体に取り付けられることができる。図示される例において、基板は、その皮膚接触表面上に接着材16を有する接着テープ、又は他の自然の若しくはポリマーの材料である。トランスデューサのマトリックスの皮膚と接触する表面は、マトリックス12と身体との間の良好な音響結合を提供する材料によって覆われる。この音響材料は、接着材16が、例えば接着性の電極ゲル材料のように所望の音響特性を有する場合、接着材16と同じ材料であってもよい。音響材料は、代替例として、ヒドロゲル材料、接着パッチ、又は他の固体材料を含むことができる。
【0013】
図2aは、トランスデューサ1−5の例の側面図である。この例において、トランスデューサ素子のトップ送信表面6が丸くされていることが分かる。この例において、トランスデューサ素子は、25mmの曲率半径でカーブされている。送信表面を丸くすることは、放出される超音波を広がらせ、それによって身体のより大きな領域に超音波を当てるようにし、対象血管に超音波が当てられる見込みを増やすともに、トランスデューサ素子間のいかなるデッドゾーンも防ぐ。トランスデューサの形状を丸くすることに代わるものとして、レンズが、放出される超音波を広がらせるために、平坦な放出表面上において使用されることができる。
【0014】
図2bは、トランスデューサ1−5になされる電気的接続を示している。皮膚に面するトランスデューサ素子の送信表面は、安全のためにグラウンド接続される電極22によって覆われる。個別の電極22が、個別の素子上に形成されることができ、個別の素子は、ケーブル18を通してコネクタ20に電気的に接続されることができる。代替として、電極22は、トランスデューサ素子のグループ又は全てをカバーする薄膜又は他の可撓性の導電材料の連続的なシートであってもよい。皮膚表面から離れた側に面する素子の側面は、それらの上に信号電極24を有する。ケーブル18の導体は、送信(駆動)信号を提供し、トランスデューサ素子から受け取られたエコー信号を返すために、これらの電極24に接続される。図2cは、信号導体の接続の一例を示すトランスデューサ素子の平面図である。この例において、送信素子T1−T5のすべては、一緒に動作させられ、ケーブルの1つの導体18aに電気的に接続される。受信素子R1−R5は、別個に動作させられ、ケーブルの個別の導体18bに接続される。この構成は、送信素子の全てが同じ送信波によって同時に駆動されることを可能にし、受信されるエコーは、受信素子R1−R5の別個の受信位置において受信される。図2dは、信号リード接続の別の例であり、この例において、送信素子T1−T5の全ては、導体18a上の送信信号によって同時に駆動され、受信素子R1−R5のすべては、一緒に電気的に結合され、並行して動作させられる。受信素子R1−R5の全てによってそれらの個々の位置において受信されたエコー信号の全ては、同じ導体18b上で合わせられ、伝えられる。図2eは、各々の送信素子及び各々の受信素子が個別に動作させられることができる構成の例である。各々の送信素子T1−T5は、それ自身の信号導体18aに結合され、各々の受信素子R1−R5は、それ自身の信号導体18bに結合される。この例は、センサストリップが電池駆動装置によって動作させられる場合、いかなるときもただ1つの送信素子が駆動され、ただ1つの受信チャネルが必要とされることにより電池パワーを節約するので、好適でありうる。
【0015】
図3aは、トランスデューサ対のトランスデューサ素子が改善された信号受信のためにマトリックス12内にどのように配置されうるかの一例を示している。ドップラー超音波信号は、角度依存である。超音波ビームの方向と血流方向との間の角度が90°であるとき、ドップラー信号は最小であり、血流の方向が直接的にトランスデューサに向かう又は離れるときに最も強くなる。身体内の7mmの平均深さにある頸動脈32のような皮膚表面30に近い血管は、皮膚表面とほぼ平行であるので、皮膚表面30に垂直に超音波を送信するトランスデューサの向きは、血流方向に対して約90°の入射角を有する。この直交する向きの可能性を低減するために、トランスデューサ素子は、図3aに示されるように浅い角度で傾けられる。送信素子Tが図示されるように傾けられる場合、図3bに示されるように、鈍角Lが、波の進行方向36と血流方向34との間に形成されることが分かる。図3bにおいて、トランスデューサ素子T及びRは、図3aに見られるより大きい厚みのマトリックスではなく、より小さい厚みThのマトリックス12によって、それらが所望の向きに維持されることを可能にするように、互いにオフセットされ、それによってセンサストリップの厚みを低減する。
【0016】
図3a及び図3bの例において、素子の傾斜は、トランスデューサの行の長さディメンションに対し横方向にビーム方向を曲げて、トランスデューサが効果的にセンサストリップの脇のほうを向くようにする。これは、センサストリップ10が、図4bに示されるように、頸動脈32のような血管をまたいで配置されるとき、良好に機能する。血管をまたいで(血管に直交して)センサストリップ10を配置することは、超音波を目に見えない血管と交差させる最大の機会を素人ユーザに提供する。こうして、送信トランスデューサ素子のアパーチャは、頸動脈32内の血流方向に向かう又は離れるほうを向く。センサストリップが、図4bに示されるように配置されるとき、最も強いドップラー信号が、頸動脈32上に配置されるトランスデューサ対T3−R3によって検出され、その一方、他のトランスデューサ対は、血管上にない。前記第6,575,914号の図4に示されるRockシステムにおいて、トランスデューサの行は、概して、血管の長さと平行に並べられる。この配置の利点は、複数のトランスデューサが血管上に配置されるので、信号が、複数のトランスデューサ素子によって受信され、信号対雑音比を高めることである。不利な点は、ユーザが血管の位置の判断を誤り、隠れた血管上ではなく隠れた血管と平行にトランスデューサを配置してしまう場合、ほとんど又は全く信号が受け取られないことである。図3a、図3b及び図4bの例は、素人ユーザの場合の成功の見込みを改善する。
【0017】
図4aは、本発明の原理により構成されるバイタルサインモニタ及び治療システムのブロック図である。中央処理及び制御ユニット160は、システムのさまざまな機能及び構成要素を制御し、バイタルサインデータを処理する。中央処理及び制御ユニット160は、監視されているバイタルサイン及びシステムによって実行される処置に適当な処理及び制御アルゴリズムを実行する。中央処理及び制御ユニットは、ワイヤード又はワイヤレスLAN接続又はブルートゥース接続によって他の装置と接続されうる。中央処理及び制御ユニット160及びシステムの他の電子構成要素は、バッテリ、ACライン、電源並びに他の電力管理及び制御機能を含みうる電源サブシステム162によって電力供給される。臨床医は、例えばディスプレイ、オーディオ入出力、キーパッド、及びプリンタのような素子を含みうるユーザインタフェース164によって、システムと対話する。患者のECGは、インピーダンス、呼吸及び不整脈解析のような機能を実施することができるECG及び処理サブシステム166によって監視され、処理される。システムは、例えばSPO2、ETCO2、IBP NIBPのような他のバイタルサイン測定及び処理のための素子168を有する。システムは、例えばペーシング及び除細動、高電圧システム及び患者絶縁のような治療機能170を有する。CPRの性能は、以下により詳しく述べるようなCPR測定サブシステム180によって測定される。
【0018】
図4bは、本発明の原理によるCPRの実施をガイドするのを支援するためにセンサストリップ10を使用するバイタルサインモニタ及び治療システムの一部をブロック図の形で示している。図4bのセンサストリップ10は、図2cに示されるように共通に接続される送信素子T1−T5及び別の出力を有する受信素子R1−R5とワイヤ接続される。センサストリップ10は、図に示される以下の素子を有する、治療機能170の1つである除細動器110に接続される。送信発生器40は、センサストリップの送信素子のための送信波形を生成する。送信波形は、3−7MHzのレンジの公称周波数を示し、この例において、血管超音波のアプリケーションの場合に一般的である5MHzの公称周波数を有する。送信波形は、増幅器42によって増幅され、送信トランスデューサ素子T1−T5に与えられる。受信トランスデューサ素子R1−R5は、受信トランスデューサ素子のうちの1つによって受信された信号をその出力に結合するマルチプレクサ44に結合される。選択された受信信号は、低雑音増幅器46によって増幅され、ラジオ周波数バンドパスフィルタ48によってフィルタリングされる。受信信号は、送信波形を基準とする基準信号によって直交駆動されるミキサ52及び54によってベースバンドにミキシングされる。復調された直交信号は、図面においてI及びQと分類され、ドップラーフローベクトルの直交検出された成分を含む。I及びQ信号は、ローパスフィルタ56及び58によってフィルタリングされ、そののち、DC(静止組織)成分及び血管壁からの成分を排除してフロー速度成分を通すサンプフィルタ又はウォールフィルタ62及び64によってフィルタリングされる。フィルタリングされた直交成分は、ドップラーフィルタ66及び68によってフィルタリングされ、ドップラー信号をデジタル化するデュアルアナログデジタル変換器70の2つの入力部に与えられる。ドップラー信号は、高速フーリエ変換(FFT)プロセッサ72によってドップラースペクトルに変換される。ドップラー信号についてのFFT処理は、例えばOppenheim及びSchaferによる「Discrete-Time Signal Processing 」(Prentice Hall,1989)に記載されるさまざまな異なる実現によって当分野において良く知られている。一般的な実現において、ドップラーサンプルの連続する重なり合うシーケンスは、ゼロで埋められるスライディングサンプルウィンドウレジスタにロードされるとともに、ゼロ(DC)に中心をおかれ、送信間隔レートによって決定されるドップラーサンプリング周波数の±1/2で境界付けられる、ドップラースペクトログラムのドップラー周波数信号fDを生成するように処理される。FFTプロセッサによって処理されない場合、ドップラー信号の振幅は、パワードップラー出力信号を生成するために検出器74によって検出される。
【0019】
パワードップラー信号は、CPR測定サブシステム180に含まれる解析モジュール100に結合され、解析モジュール100は、さまざまなやり方でドップラー信号を解析することができる。一例において、マルチプレクサ44は、2004年6月29日に出願され現在国際特許出願IB2005/052127として出願されている米国特許第60/583,966号明細書に記載されるように、10ミリ秒ごとに異なる受信トランスデューサ素子からの信号を選択する。この特許明細書の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。このポーリングシーケンスは、図6aに示されている。第1のマルチプレクサは、素子T1からの送信信号に応じる素子R1からの信号をまず選択する。この第1のサンプリング期間の後、マルチプレクサは、素子T2からの送信信号に応じる素子R2からの信号を選択する。マルチプレクサは、素子T3、T4及びT5からの信号を選択することによって続行し、図6aの時間t6に示されるようにシーケンスを繰り返す。この間に、解析モジュール100は、例えば予め決められた雑音レベルのような所与のしきい値を超える強いパワードップラー信号を探す。有効なパワードップラー信号は、所与の信号対雑音比だけ閾値を越えるものとして認識される。この例において、CPRが患者に実施される間、除細動器システムは、パワードップラー信号をサンプリングしている。救助者が、患者の胸部を圧迫すると、血液量が、心臓から強制排出され、圧力波が血管系に出て、概して頸動脈に拍動血流をもたらす。この血流の発現は、ポーリングシーケンスの間に検出され、解析モジュールによって有効なパワードップラー信号として認識されると、マルチプレクサは、ポーリングを止めて、有効なドップラー信号を連続的にシステムに結合させる。この例において、有効なドップラー信号は、頸動脈の直ぐ上にある受信トランスデューサ素子R3によって、検出される。受信素子R3からの信号は、図6bにおいて時間t12に始まるT3/R3期間によって示されるように、連続的にシステムによってサンプリングされる。有効な信号のドップラー周波数fDは、フロー速度を示し、ピーク信号は、CPRによって引き起こされる最大瞬間フローレートを示す。
【0020】
マルチプレクサ44によってもたらされるサンプリングシーケンスは、複数のバリエーションの任意のものを示すことができる。例えば、解析モジュールが、選択された受信素子からのパワードップラー信号の強度の低下を検知する場合、マルチプレクサは、隣接する受信素子におけるより強い信号を見つけようと試みるために、選択された素子の両側の受信素子から信号をサンプリングし始めるように制御されることができる。図6bが示すように、時間t15において、トランスデューサ素子R2からの信号が、サンプリング期間にサンプリングされ、そののち、次のサンプリング期間中に素子R4からの信号がサンプリングされる。より強いドップラー信号が、これらのトランスデューサ位置のどちらにも見つからない場合、マルチプレクサは、時間t17に示されるようにトランスデューサ素子R3からの信号をサンプリングすることに戻る。複数の処理チャンネルが、所与の装置において利用できる場合、複数のトランスデューサ素子が、同時に監視されることができ、最も強いドップラー信号が解析のために使用される。
【0021】
速度を検出することに加えて、ドップラー波形の期間は、何回かの心臓圧迫にわたって繰り返されるピーク速度を検出することによって検知される。繰り返しのこのレートの周期性は、CPR中の心臓圧迫のレートを示す。この解析の結果として、救助者は、適切にCPRを実施するように可聴的に及び/又は視覚的に指導される。例えば、一般のCPRプロトコルは、1分あたり100回のレートで15圧迫を実施するように救助者に求めうる。解析モジュールによって検出される繰り返しのレートが、この所望のレートより低い場合、解析モジュールは、「もっと速く押してください」という言葉による命令を発行するために、音声シンセサイザ102又はディスプレイスクリーンに信号を与える。音声シンセサイザは、音声信号を生成し、かかる音声信号は、増幅器104によって増幅され、スピーカ106に与えられ、スピーカ106は、「もっと速く押してください」と可聴的に救助者に指示する。解析モジュールは更に、各々の心臓圧迫によって達せられるべき所望の最小血流速度と、圧迫の間のピーク血流速度を比較する。例えば、一般のピーク速度値は、約1m/secである。解析モジュールによって使用される基準は、この公称レートより小さいことがある。所望の基準速度が、達せられていない場合、解析モジュールは、ユーザインターフェース164の音声シンセサイザ及びスピーカを通じて「もっと強く押してください」という命令を発行することができる。LED又はグラフィックディスプレイの行のような視覚的ディスプレイは、絶対又は相対的なフロー信号の強度及び/又は最も強いフロー信号が検出されたトランスデューサセンサの列に沿った位置を視覚的に示すことができる。
【0022】
ピーク速度及びドップラー波の期間を検出することに加えて、解析モジュールは、本出願人による米国特許出願第60/609,676号(2004年9月13日出願)及び同第60/613,996号(2004年9月28日出願)明細書に記載されるように、例えば中間速度、ボリュームフローレート、パルセーションインデックス(拍動指数)及びフローインデックスのような、CPR圧迫によって生じる血流の十分さの他の尺度を生成することができる。これらの明細書の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0023】
図4a及び図4bのシステムは、CPRの効果を判断するために、ドップラーフローセンサと組み合わせて使用されることができる他のセンサを有する。患者胸部に配置され、CPR圧迫が適用される圧迫パッド80が、図4bに示されている。圧迫パッドは、米国特許第6,351,671号明細書に記載される力センサ又は好適には米国特許第6,306,107号明細書に記載される加速度計を有する。圧迫が、パッド80に適用されるたびに、信号が生成され、その信号は、増幅器82によって増幅され、検出器84によって検出される。検出された胸部圧迫信号は、ドップラーフロー信号から得られる情報と組み合わされて使用される。例えば、圧迫信号の各々の出現は、センサストリップによる有効なドップラーフロー信号の検知と時間的に相関すべきである。このように、圧迫信号は、ドップラー信号の解析を時間的にゲート制御し、又は解析モジュールによって検知される圧迫周期のレートを相関させ確認するために使用されることができる。ECG信号は、存在する場合には、時間ゲートとして使用されることもできる。力の振幅又は2階積分された加速度信号は、適用される圧迫の圧迫力又は圧迫深さの尺度であり、「もっと強く押してください」又は「もっと弱く押してください」なるコマンドを発行すべきかどうか決める際に使用されることができる。例えば、低いフロー速度又はボリュームフローレートが、救助者がより強く押すべきことを示しうる一方で、圧迫信号は、救助者がすでに、患者に安全に行われるのと同じくらい強く又は深く押していることを示すことがある。解析モジュールは、この圧迫情報を考慮して、「もっと強く押してください」コマンドを抑えることができる。
【0024】
図4bのシステムは、更に、患者胸部に付着されるとともに、除細動ショックを供給するために患者のECG信号及び胸部のバイオインピーダンスを検知するために使用される、胸部電極92、94を有する。ECG及びインピーダンス信号は、ECGインピーダンスモジュール96によって処理され、CPR指導を支援するために使用されうる解析モジュールに結合される。例えば、前記6,351,671号明細書に記載されるように、インピーダンス信号は、胸部が圧迫されると変化を示し、圧迫力が緩められると再び変化を示す。これらのインピーダンス変化の出現の時間は、ドップラー信号解析と相関付け又はそれを時間的にゲート制御して、これらの信号の検出及びCPR指導コマンドの適切さを確認し又は改善するために使用されることができる。
【0025】
図5は、患者の輪郭を示すとともに、除細動器110、頸動脈を横切って頸部上に適切に配置されたセンサストリップ10、胸部中央の圧迫パッド80、及び除細動のために通常の位置に配置された電極92,94を示している。当業者には明らかであるように、解析モジュールは、CPR用の指導コマンドをよりよく生成するために、これらのセンサの全てからの信号を相関させ又は組み合わせることができる。米国特許出願公開第2003/0199929号明細書に記載されるように、センサストリップ10及び上側除細動電極92を組み合わせて、患者の頸部に配置される1つの電極にすることも可能である。
【0026】
図7は、ドップラーフローセンサ10及びCPR圧迫パッド80を有する図4に示されるような除細動システムを使用する方法を示している。この例において、除細動器は、ステップ120に示されるようにCPR指導モードをはじめる。除細動器は、CPR間隔によって自動的に始まるようにプレセットされることができ、又は除細動器は、ショックが勧められないとき、又はショックが実施されたあと、CPRモードに入ることもできる。更に、除細動器がECG信号を解析した後に自動的にモード変更を行うことができる解析技法が知られている。例えば、ECG信号の振幅は、成功した除細動の可能性と相関することが知られている。更に、ECGコンプレックスの高いレートは、除細動成功と関連させるために示され、ECGデータのフーリエ変換を実施し、変換されたデータの中間周波数においてこの決定を行う予定である解析が、提案される。こうして、低い振幅及び低いレートECG信号は、CPRを開始し、システムをCPR指導モードに切り替えさせるための目安とされることができる。この例において、除細動器は、例えば100Hzである所望のCPRレートで繰り返されるシンプルトーン又はビープでありうるCPRメトロノームを備える。こうして、救助者は、ステップ122において、このトーンの繰り返しと救助者の圧迫とを同期させるようにガイドされる。圧迫が適用されると、解析モジュールは、ステップ124において圧迫パッドから深さ又は力信号を受け取り、ステップ126において頸動脈を通じてセンサストリップ10から有効なドップラーフロー信号を実質的に同時に受け取る。これらの信号は、ステップ128において、血流及びその十分さを決定するために解析モジュールによって解析される。情報が、指導命令が必要であることを示す場合、可聴の及び/又は視覚的な指導命令又は他のフィードバックが、ステップ130において発行される。システムは、次の胸部圧迫時のステップ124及び126の信号を待つことに戻る。
【0027】
図8は、圧迫信号が、ステップ125においてインピーダンス変化信号によって置き換えられることを除いて、図7のものと同一のステップを有する方法を示している。この情報は、CPRをガイドするための指導命令を発行すべきかどうか決めるためにドップラーフロー信号と一緒に使用される。
【0028】
図9は、図7及び図8のセンサを組み合わせており、CPRをガイドする際の決定を行うためにすべての3つのソースからの情報を使用する。この方法は、ステップ125のインピーダンス変化信号、ステップ124の圧迫信号及びステップ126のドップラーフロー信号を使用する。図4の最初の説明に示したように、ドップラーフロー信号は、効果的なCPRをガイドするためにこれらの他の信号なしで使用されることができる。
【0029】
こうして、超音波フロー情報は、CPRをガイドするために単独で使用されることができ、又はフロー情報は、CPRのガイダンスを支援するために、例えば圧迫力又は深さ、患者インピーダンス及びECGのような、1又は複数の他の生理学的なパラメータと一緒に使用されることができることが分かる。血圧のような他の生理学的なパラメータが、更に又は代替として使用されることができる。
【0030】
前述したように、前の例のセンサストリップは、患者の頸部の頸動脈上に接着剤で又は機械的に取り付けられる。良好な音響結合が、超音波信号の信頼性のある送受信のために、トランスデューサ素子と皮膚表面との間に確立されることが重要である。これは、概して、トランスデューサ素子と向かい合わせの皮膚表面上に、親水性の接着剤、音響結合ゲル、又はそれらの2つの組み合わせを使用することによって提供される。しかしながら、センサストリップがゆるくなると、音響パスは、分離されることがあり、これは、患者の動き、接着性付着を妨げる皮膚表面上の発汗若しくはほこり、又は接着剤の乾燥によって生じうる。これが生じるとき、問題が補正されることができるように、救助者又は介護者に状況を警告することが望ましい。図10は、センサストリップの付着が力センサ150によって監視される例を示している。この例において、力センサ150は、この例では接着ストリップである基板14と、超音波トランスデューサT及びRを含むマトリックス12との間に位置する。マトリックス12は、所定の位置にしっかり保持されると、皮膚表面30に力を印加し、図面に示されるように皮膚を僅かに押し下げる。この下方への圧力は、取り付けられた接着ストリップ14の張力によって加えられる。関係する力は、図11に別個に示されている。力センサは、接着ストリップ14の張力Tによって加えられる力F1を測定する。力センサは、重さWFSを有し、超音波トランスデューサ1は、重さWUTを有する。超音波トランスデューサ1は、その上側表面上に力F1+WFSを経験する。皮膚表面30は、力F1+WFS+WUTを経験する。典型的な実現において、接着ストリップ14によって加えられる力は、力センサ150及び超音波トランスデューサ1の重さWFS及びWUTより非常に大きい。こうして、力センサ150によって生成される力測定F1は、取り付けメカニズム及び装置の重さによって皮膚に加えられる力の良好な近似である。
【0031】
力センサは、複数の知られているセンサ技術の任意のものを含むことができる。例えば、力センサは、ラバーの各々の側に埋め込まれ又は設置される電極を有する導電ラバーを含むことができる。力センサは、圧電センサであってもよく、又はひずみゲージであってもよい。ひずみゲージからの信号は、それらが除細動器に結合されるケーブル18に含まれるワイヤによって伝えられることができる。除細動器におけるプロセッサは、力信号を監視し、それが許容できるレベルを下回る場合、可聴の又は視覚的な警告が発行される。
【0032】
図12は、センサストリップ10の音響的接触を測定するための力センサの使用の別の例を示している。この例において、力センサは、図面に示されるようにトランスデューサ素子の上又はその両側にありうる接着ストリップ14上又は接着ストリップ14内のひずみゲージ152である。ひずみゲージからの信号は、センサストリップが使用中である間に所望の圧力レベルが維持されることを確実にするために、接着ストリップが患者の皮膚に取り付けられ、監視されるときの接着ストリップの張力を示す。
【0033】
図13は、力センサ150がトランスデューサ素子T及びRに隣り合ってマトリックス12内に含まれている別の例を示している。この実現の利点は、接触の力が、皮膚表面と接触するトランスデューサの箇所に直接隣接して測定されることである。
【0034】
力ではなく圧力を測定するセンサが、本発明の構成される装置において使用されることができることが分かるであろう。
【0035】
トランスデューサの音響パスを監視するための別の方法は、信号処理を通じて音響パスのエアポケットから近距離場反射を測定することである。これらのエアポケットは、強い近距離場エコーとして超音波信号に現れる。しかしながら、これは、受信トランスデューサによってのみ実施されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の原理によって構成される超音波センサストリップを示す図。
【図2a】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2b】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2c】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2d】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2e】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図3a】本発明の原理による超音波センサストリップのトランスデューサの傾斜を示す図。
【図3b】本発明の原理による超音波センサストリップのトランスデューサの傾斜を示す図。
【図4a】本発明の原理により構成されるバイタルサインモニタ及び治療システムを示すブロック図。
【図4b】本発明の原理により構成されるパルス検出及びCPRガイダンスを有するバイタルサインモニタ及び治療システムの一部を示すブロック図。
【図5】図4の除細動器システムの電極パッド及びセンサの適用を示す図。
【図6a】超音波センサストリップのトランスデューサのシーケンシャルな動作の一例を示す図。
【図6b】超音波センサストリップのトランスデューサのシーケンシャルな動作の一例を示す図。
【図7】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図8】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図9】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図10】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図11】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図12】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図13】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、心臓蘇生法の分野に関し、より具体的には、血管の血流を測定することによる心肺蘇生法(CPR)の実施のガイダンスに関する。
【背景技術】
【0002】
緊急時及び手術プロシージャの間、患者の血流の状態の評価は、問題の診断及びその問題に対する適当な治療の決定の両方にとってきわめて重要である。患者の心臓パルスの存在は、一般に、患者の頸部を触診し、患者の頸動脈ボリュームの変化による触知可能な圧力変化を検知することによって検出される。心臓の心室が、鼓動の間に収縮すると、圧力波が、患者の末梢循環系の全体に送り出される。頸動脈波の波形は、心収縮期に血液の心室駆出によって上昇し、心臓からの圧力波が最大に達するとピークになる。頸動脈波は、圧力が、頸動脈波の終わりに向けて落ちてくると、再び落ちる。
【0003】
患者の検出可能な心臓パルスの欠如は、心停止の強いインジケータである。心停止は、患者の心臓が生命を維持するための血流を与えることができない致命的な病状である。心停止の間、心臓の電気活動は、無秩序であり(心室細動)、あまりに速く(心室頻拍)、存在せず(心静止)、又は血流を与えることなく正常な又は遅い心拍数(無脈性電気活動)で秩序化されうる。
【0004】
検出可能なパルスのない患者に提供されるべき治療の形式は、患者の心臓条件の評価に部分的に依存する。例えば、介護者は、非同期の又は急速な電気活動を止めて、潅流リズムが戻ることを可能にするために、心室細動(VF)又は心室頻拍(VT)を経験している患者に除細動ショックを適用することができる。外部除細動は、特に、患者の胸部の表面上に配置される電極を通じて患者の心臓に強い電気ショックを適用することによって提供される。患者が、検出可能なパルスに欠如しており、心静止又は無脈性電気活動(PEA)を経験している場合、除細動が適用されることはできず、介護者が、患者に血流を生じさせる心肺蘇生法(CPR)を実施することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
患者に除細動又はCPRのような治療を施す前に、介護者は、患者が心停止にあることを最初に確認しなければならない。一般に、外部除細動は、意識がなく、無呼吸であり、脈拍がなく、心室細動(VF)又は心室頻拍(VT)にある患者にとってのみ適切である。医療ガイドラインは、患者の心臓パルスの有無が、10秒以内に決定されるべきであると示している。例えば、心肺蘇生法(CPR)について米国心臓協会プロトコルは、医療関係者が、5秒乃至10秒以内に患者のパルスを評価することを要求する。パルスの欠乏は、外部胸部圧迫の開始の目安である。パルスの評価は、意識がある人については簡単に見えるが、基本的な生命維持評価シーケンスのうちもっとも頻繁に失敗する要素であり、これは、例えば経験の不足、貧弱な目印、又はパルスを見つけ又は見つけないことのエラーのような、さまざまな理由に帰すことができる。正確にパルスの有無を検出することの失敗は、患者にCPR又は除細動治療を与えるとき又は与えないときのいずれにおいても、患者の逆の処置にいたるであろう。
【0006】
心電図(ECG)信号は、通常、除細動ショックが適用されるべきか否かを決定するために使用される。しかしながら、救助者が遭遇する見込みのある特定のリズムは、例えば無脈性電気活動のように、ECG信号だけによって決定されることができない。これらのリズムの診断は、ECG信号によって示されるような心筋の電気活動にもかかわらず、潅流の欠如の証拠をサポートすることを必要とする。
【0007】
こうして、救助者が患者に治療を提供すべきか否かを迅速に決定するために、拍動流が患者の動脈にあるかどうか正しく決定するために、患者のパルス、血流量、及び可能性としてECG信号を、迅速に且つ容易に解析することが可能である一体化されたシステムを開発する必要がある。
【0008】
この必要性は、米国特許第6,575,914号明細書(Rock他)に記述されるシステムが設計される対象である救助者の場合のように、救助者が、訓練されていない及び/又は不慣れな人間である状況又はシステムにおいては差し迫ったものがある。前記第6,575,914号明細書は、本発明と同じ譲受人に譲渡されており、その明細書の内容全体は、参照によってここに盛り込まれるものとする。前記第6,575,914号特許明細書は、除細動を意識のない患者に適用すべきか否かを決定するために、ほとんど又は全く医療訓練を受けていない最初に対応する介護者によって使用されることができる自動化された体外除細動器(AED)(以下、AED及び半自動化された体外除細動器(SAED)は、ともにAEDと呼ばれる)を開示している。
【0009】
RockによるAEDは、除細動が患者に適当であるかどうか(すなわちパルスがあるか否か)又はCPRのような治療の別の形式が適当であるかどうかを決定するために、除細動器、ドップラー超音波信号を送受信するためのセンサパッド、ECG信号を得るための2つのセンサパッド並びにドップラー及びECG信号を受け取り評価するプロセッサを有する。ドップラーパッドは、頸動脈波を検知するために頸動脈上の患者皮膚に固着される。頸動脈波は、拍動血流の十分さの重要なインジケータである。具体的には、RockのAEDのプロセッサは、検出可能なパルスがあるかどうかを決定するためにドップラー信号を解析し、「電気ショック付与可能なリズム(shockable rhythm)」があるかどうかを決定するためにECG信号を解析する。前記第6,575,914号の図7及び対応する記述である明細書コラム6、ライン60乃至コラム7、ライン52を参照されたい。RockによるAEDのプロセッサによる検出可能なパルスの決定は、受信されたドップラー信号を、受信されたドップラー信号に統計学的に適当な閾値と、比較することによって行われる。これらの2つの別の解析の結果に基づいて、プロセッサは、除細動を勧めるべきか否かを決定する。
【0010】
除細動が勧められない場合、除細動器は、CPRが患者に実施されるべきであると勧めることができる。除細動器が医療専門家によって動作させられている場合、医療専門家は、一般に、適当な態様でCPRを実施する。しかしながら、自動化された除細動器は、医療訓練されていない素人によって動作されうるので、除細動器は、CPRの適当な適用について素人の救助者を指導することができることが望ましい。CPR指導は、米国特許第6,125,299号(Groenke他)、米国特許第6,351,671号(Myklebust他)及び米国特許第6,306,107号(Myklebust他)明細書に記載されるように、除細動器に組み込まれることができる。前記第6,125,299号及び前記第6,351,671号明細書は共に、胸部圧迫が適用される患者胸部に配置される力センサを記載している。力センサは、除細動器に接続され、胸部圧迫の適用される力を検知するとともに、除細動器の可聴プロンプトを使用して、「より強く」、「より弱く」、「より速く」又は「よりゆっくり」押すように救助者に指導する。前記第6,306,107号明細書は、力センサの代わりに、胸部圧迫の力ではなく胸部圧迫の深さを検知する加速度計を有する圧迫パッドを記載している。この方法は、CPRガイドラインが、適用される力ではなくむしろ圧迫の深さに方向付けられているので、好ましい。適用される力は、CPR圧迫に対する異なる胸部抵抗により必ずしも圧迫深さと相関しない。これらの技法は、それらの定量化能力が、肺を膨らませしぼませることによって血液に少なくとも部分的に酸素を送り込む胸部の圧迫を測定することに方向付けられるので、CPR指導にとって効果的である。これらの技法は、少なくともいくらかの血液循環を引き起こしているCPRの他の意図される効果を測定しない。心筋へ血流を導くことは、心臓の電気活動を増やすことができ、それによって除細動ショックが正常な心臓リズムを回復させる可能性を高めることができる。脳に血流を導くことは、非可逆的な脳損傷が心停止によって引き起こされるまでの時間を長くすることができる。従って、CPR測定システムが、肺の膨張及び収縮に加えて脳への血流の尺度を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の原理によれば、超音波トランスデューサが、頸動脈上に取り付けられ、CPRの実施中、頸動脈中の血液運動の速度を検知するために使用される。血流の1又は複数の尺度は、CPRの実施のガイダンスにおいて使用される超音波信号のドップラー処理から形成される。いくつかの図示される例において、血流尺度は、CPRの効果的な適用を決定しガイドするために、例えば胸部圧迫の力若しくは深さ、胸部インピーダンス又はECGデータのような他の尺度と一緒に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を最初に参照して、本発明の原理により構成される超音波センサストリップ10が示されている。センサストリップ10は、トランスデューサ対1−5の行を含む。任意の数のトランスデューサが、所与のセンサストリップにおいて使用されることができ、その数は、概して4乃至6個のレンジにあるトランスデューサ数である。トランスデューサ素子の各対は、連続波(CW)超音波モードでの動作を可能にする送信素子(T1、T2等)及び受信素子(R1、R2等)を有する。送信素子が、送信波を送信している間、対応する受信素子は、送信に応じて返ってくるエコーを受信する。この例において、トランスデューサ素子は、フォーカスされておらず、1.5−2cmの深さ及び0.5−4cmのレンジでクロスオーバーを伴って個別にコリメートされる。送信及び受信ビームのアパーチャは、クロスオーバー上で重なっており、それによって、送信トランスデューサ素子によって生成されるエコーは、対応する受信トランスデューサ素子によって受信される。パルス波(PW)超音波動作の場合、逐次に送信し受信する単一の素子のみが必要とされる。トランスデューサは、ストリップが貼り付けられる皮膚表面の形状に適合するように曲がることができる可撓性マトリックス12に封入される。図示される例におけるトランスデューサは、1−2mmの距離隔てられており、それによってマトリックス内のトランスデューサの行は、曲げられることができる。マトリックス12は、トランスデューサのアライメントを保持し、身体からの電気絶縁を提供し、例えばシリコン又はRTVラバーからなりうる。トランスデューサ素子に結合される電気導体のケーブル18が、後述するようにマトリックス12から延びている。ケーブル18は、センサストリップ10が監視装置とともに動作する該監視装置に接続するコネクタにおいて終端する。トランスデューサのマトリックスは、センサストリップを身体に付着させる基板14によって覆われる。センサストリップは、輪ゴム、ネックレス又はベルクロ(登録商標)ストラップによって身体に取り付けられることができる。図示される例において、基板は、その皮膚接触表面上に接着材16を有する接着テープ、又は他の自然の若しくはポリマーの材料である。トランスデューサのマトリックスの皮膚と接触する表面は、マトリックス12と身体との間の良好な音響結合を提供する材料によって覆われる。この音響材料は、接着材16が、例えば接着性の電極ゲル材料のように所望の音響特性を有する場合、接着材16と同じ材料であってもよい。音響材料は、代替例として、ヒドロゲル材料、接着パッチ、又は他の固体材料を含むことができる。
【0013】
図2aは、トランスデューサ1−5の例の側面図である。この例において、トランスデューサ素子のトップ送信表面6が丸くされていることが分かる。この例において、トランスデューサ素子は、25mmの曲率半径でカーブされている。送信表面を丸くすることは、放出される超音波を広がらせ、それによって身体のより大きな領域に超音波を当てるようにし、対象血管に超音波が当てられる見込みを増やすともに、トランスデューサ素子間のいかなるデッドゾーンも防ぐ。トランスデューサの形状を丸くすることに代わるものとして、レンズが、放出される超音波を広がらせるために、平坦な放出表面上において使用されることができる。
【0014】
図2bは、トランスデューサ1−5になされる電気的接続を示している。皮膚に面するトランスデューサ素子の送信表面は、安全のためにグラウンド接続される電極22によって覆われる。個別の電極22が、個別の素子上に形成されることができ、個別の素子は、ケーブル18を通してコネクタ20に電気的に接続されることができる。代替として、電極22は、トランスデューサ素子のグループ又は全てをカバーする薄膜又は他の可撓性の導電材料の連続的なシートであってもよい。皮膚表面から離れた側に面する素子の側面は、それらの上に信号電極24を有する。ケーブル18の導体は、送信(駆動)信号を提供し、トランスデューサ素子から受け取られたエコー信号を返すために、これらの電極24に接続される。図2cは、信号導体の接続の一例を示すトランスデューサ素子の平面図である。この例において、送信素子T1−T5のすべては、一緒に動作させられ、ケーブルの1つの導体18aに電気的に接続される。受信素子R1−R5は、別個に動作させられ、ケーブルの個別の導体18bに接続される。この構成は、送信素子の全てが同じ送信波によって同時に駆動されることを可能にし、受信されるエコーは、受信素子R1−R5の別個の受信位置において受信される。図2dは、信号リード接続の別の例であり、この例において、送信素子T1−T5の全ては、導体18a上の送信信号によって同時に駆動され、受信素子R1−R5のすべては、一緒に電気的に結合され、並行して動作させられる。受信素子R1−R5の全てによってそれらの個々の位置において受信されたエコー信号の全ては、同じ導体18b上で合わせられ、伝えられる。図2eは、各々の送信素子及び各々の受信素子が個別に動作させられることができる構成の例である。各々の送信素子T1−T5は、それ自身の信号導体18aに結合され、各々の受信素子R1−R5は、それ自身の信号導体18bに結合される。この例は、センサストリップが電池駆動装置によって動作させられる場合、いかなるときもただ1つの送信素子が駆動され、ただ1つの受信チャネルが必要とされることにより電池パワーを節約するので、好適でありうる。
【0015】
図3aは、トランスデューサ対のトランスデューサ素子が改善された信号受信のためにマトリックス12内にどのように配置されうるかの一例を示している。ドップラー超音波信号は、角度依存である。超音波ビームの方向と血流方向との間の角度が90°であるとき、ドップラー信号は最小であり、血流の方向が直接的にトランスデューサに向かう又は離れるときに最も強くなる。身体内の7mmの平均深さにある頸動脈32のような皮膚表面30に近い血管は、皮膚表面とほぼ平行であるので、皮膚表面30に垂直に超音波を送信するトランスデューサの向きは、血流方向に対して約90°の入射角を有する。この直交する向きの可能性を低減するために、トランスデューサ素子は、図3aに示されるように浅い角度で傾けられる。送信素子Tが図示されるように傾けられる場合、図3bに示されるように、鈍角Lが、波の進行方向36と血流方向34との間に形成されることが分かる。図3bにおいて、トランスデューサ素子T及びRは、図3aに見られるより大きい厚みのマトリックスではなく、より小さい厚みThのマトリックス12によって、それらが所望の向きに維持されることを可能にするように、互いにオフセットされ、それによってセンサストリップの厚みを低減する。
【0016】
図3a及び図3bの例において、素子の傾斜は、トランスデューサの行の長さディメンションに対し横方向にビーム方向を曲げて、トランスデューサが効果的にセンサストリップの脇のほうを向くようにする。これは、センサストリップ10が、図4bに示されるように、頸動脈32のような血管をまたいで配置されるとき、良好に機能する。血管をまたいで(血管に直交して)センサストリップ10を配置することは、超音波を目に見えない血管と交差させる最大の機会を素人ユーザに提供する。こうして、送信トランスデューサ素子のアパーチャは、頸動脈32内の血流方向に向かう又は離れるほうを向く。センサストリップが、図4bに示されるように配置されるとき、最も強いドップラー信号が、頸動脈32上に配置されるトランスデューサ対T3−R3によって検出され、その一方、他のトランスデューサ対は、血管上にない。前記第6,575,914号の図4に示されるRockシステムにおいて、トランスデューサの行は、概して、血管の長さと平行に並べられる。この配置の利点は、複数のトランスデューサが血管上に配置されるので、信号が、複数のトランスデューサ素子によって受信され、信号対雑音比を高めることである。不利な点は、ユーザが血管の位置の判断を誤り、隠れた血管上ではなく隠れた血管と平行にトランスデューサを配置してしまう場合、ほとんど又は全く信号が受け取られないことである。図3a、図3b及び図4bの例は、素人ユーザの場合の成功の見込みを改善する。
【0017】
図4aは、本発明の原理により構成されるバイタルサインモニタ及び治療システムのブロック図である。中央処理及び制御ユニット160は、システムのさまざまな機能及び構成要素を制御し、バイタルサインデータを処理する。中央処理及び制御ユニット160は、監視されているバイタルサイン及びシステムによって実行される処置に適当な処理及び制御アルゴリズムを実行する。中央処理及び制御ユニットは、ワイヤード又はワイヤレスLAN接続又はブルートゥース接続によって他の装置と接続されうる。中央処理及び制御ユニット160及びシステムの他の電子構成要素は、バッテリ、ACライン、電源並びに他の電力管理及び制御機能を含みうる電源サブシステム162によって電力供給される。臨床医は、例えばディスプレイ、オーディオ入出力、キーパッド、及びプリンタのような素子を含みうるユーザインタフェース164によって、システムと対話する。患者のECGは、インピーダンス、呼吸及び不整脈解析のような機能を実施することができるECG及び処理サブシステム166によって監視され、処理される。システムは、例えばSPO2、ETCO2、IBP NIBPのような他のバイタルサイン測定及び処理のための素子168を有する。システムは、例えばペーシング及び除細動、高電圧システム及び患者絶縁のような治療機能170を有する。CPRの性能は、以下により詳しく述べるようなCPR測定サブシステム180によって測定される。
【0018】
図4bは、本発明の原理によるCPRの実施をガイドするのを支援するためにセンサストリップ10を使用するバイタルサインモニタ及び治療システムの一部をブロック図の形で示している。図4bのセンサストリップ10は、図2cに示されるように共通に接続される送信素子T1−T5及び別の出力を有する受信素子R1−R5とワイヤ接続される。センサストリップ10は、図に示される以下の素子を有する、治療機能170の1つである除細動器110に接続される。送信発生器40は、センサストリップの送信素子のための送信波形を生成する。送信波形は、3−7MHzのレンジの公称周波数を示し、この例において、血管超音波のアプリケーションの場合に一般的である5MHzの公称周波数を有する。送信波形は、増幅器42によって増幅され、送信トランスデューサ素子T1−T5に与えられる。受信トランスデューサ素子R1−R5は、受信トランスデューサ素子のうちの1つによって受信された信号をその出力に結合するマルチプレクサ44に結合される。選択された受信信号は、低雑音増幅器46によって増幅され、ラジオ周波数バンドパスフィルタ48によってフィルタリングされる。受信信号は、送信波形を基準とする基準信号によって直交駆動されるミキサ52及び54によってベースバンドにミキシングされる。復調された直交信号は、図面においてI及びQと分類され、ドップラーフローベクトルの直交検出された成分を含む。I及びQ信号は、ローパスフィルタ56及び58によってフィルタリングされ、そののち、DC(静止組織)成分及び血管壁からの成分を排除してフロー速度成分を通すサンプフィルタ又はウォールフィルタ62及び64によってフィルタリングされる。フィルタリングされた直交成分は、ドップラーフィルタ66及び68によってフィルタリングされ、ドップラー信号をデジタル化するデュアルアナログデジタル変換器70の2つの入力部に与えられる。ドップラー信号は、高速フーリエ変換(FFT)プロセッサ72によってドップラースペクトルに変換される。ドップラー信号についてのFFT処理は、例えばOppenheim及びSchaferによる「Discrete-Time Signal Processing 」(Prentice Hall,1989)に記載されるさまざまな異なる実現によって当分野において良く知られている。一般的な実現において、ドップラーサンプルの連続する重なり合うシーケンスは、ゼロで埋められるスライディングサンプルウィンドウレジスタにロードされるとともに、ゼロ(DC)に中心をおかれ、送信間隔レートによって決定されるドップラーサンプリング周波数の±1/2で境界付けられる、ドップラースペクトログラムのドップラー周波数信号fDを生成するように処理される。FFTプロセッサによって処理されない場合、ドップラー信号の振幅は、パワードップラー出力信号を生成するために検出器74によって検出される。
【0019】
パワードップラー信号は、CPR測定サブシステム180に含まれる解析モジュール100に結合され、解析モジュール100は、さまざまなやり方でドップラー信号を解析することができる。一例において、マルチプレクサ44は、2004年6月29日に出願され現在国際特許出願IB2005/052127として出願されている米国特許第60/583,966号明細書に記載されるように、10ミリ秒ごとに異なる受信トランスデューサ素子からの信号を選択する。この特許明細書の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。このポーリングシーケンスは、図6aに示されている。第1のマルチプレクサは、素子T1からの送信信号に応じる素子R1からの信号をまず選択する。この第1のサンプリング期間の後、マルチプレクサは、素子T2からの送信信号に応じる素子R2からの信号を選択する。マルチプレクサは、素子T3、T4及びT5からの信号を選択することによって続行し、図6aの時間t6に示されるようにシーケンスを繰り返す。この間に、解析モジュール100は、例えば予め決められた雑音レベルのような所与のしきい値を超える強いパワードップラー信号を探す。有効なパワードップラー信号は、所与の信号対雑音比だけ閾値を越えるものとして認識される。この例において、CPRが患者に実施される間、除細動器システムは、パワードップラー信号をサンプリングしている。救助者が、患者の胸部を圧迫すると、血液量が、心臓から強制排出され、圧力波が血管系に出て、概して頸動脈に拍動血流をもたらす。この血流の発現は、ポーリングシーケンスの間に検出され、解析モジュールによって有効なパワードップラー信号として認識されると、マルチプレクサは、ポーリングを止めて、有効なドップラー信号を連続的にシステムに結合させる。この例において、有効なドップラー信号は、頸動脈の直ぐ上にある受信トランスデューサ素子R3によって、検出される。受信素子R3からの信号は、図6bにおいて時間t12に始まるT3/R3期間によって示されるように、連続的にシステムによってサンプリングされる。有効な信号のドップラー周波数fDは、フロー速度を示し、ピーク信号は、CPRによって引き起こされる最大瞬間フローレートを示す。
【0020】
マルチプレクサ44によってもたらされるサンプリングシーケンスは、複数のバリエーションの任意のものを示すことができる。例えば、解析モジュールが、選択された受信素子からのパワードップラー信号の強度の低下を検知する場合、マルチプレクサは、隣接する受信素子におけるより強い信号を見つけようと試みるために、選択された素子の両側の受信素子から信号をサンプリングし始めるように制御されることができる。図6bが示すように、時間t15において、トランスデューサ素子R2からの信号が、サンプリング期間にサンプリングされ、そののち、次のサンプリング期間中に素子R4からの信号がサンプリングされる。より強いドップラー信号が、これらのトランスデューサ位置のどちらにも見つからない場合、マルチプレクサは、時間t17に示されるようにトランスデューサ素子R3からの信号をサンプリングすることに戻る。複数の処理チャンネルが、所与の装置において利用できる場合、複数のトランスデューサ素子が、同時に監視されることができ、最も強いドップラー信号が解析のために使用される。
【0021】
速度を検出することに加えて、ドップラー波形の期間は、何回かの心臓圧迫にわたって繰り返されるピーク速度を検出することによって検知される。繰り返しのこのレートの周期性は、CPR中の心臓圧迫のレートを示す。この解析の結果として、救助者は、適切にCPRを実施するように可聴的に及び/又は視覚的に指導される。例えば、一般のCPRプロトコルは、1分あたり100回のレートで15圧迫を実施するように救助者に求めうる。解析モジュールによって検出される繰り返しのレートが、この所望のレートより低い場合、解析モジュールは、「もっと速く押してください」という言葉による命令を発行するために、音声シンセサイザ102又はディスプレイスクリーンに信号を与える。音声シンセサイザは、音声信号を生成し、かかる音声信号は、増幅器104によって増幅され、スピーカ106に与えられ、スピーカ106は、「もっと速く押してください」と可聴的に救助者に指示する。解析モジュールは更に、各々の心臓圧迫によって達せられるべき所望の最小血流速度と、圧迫の間のピーク血流速度を比較する。例えば、一般のピーク速度値は、約1m/secである。解析モジュールによって使用される基準は、この公称レートより小さいことがある。所望の基準速度が、達せられていない場合、解析モジュールは、ユーザインターフェース164の音声シンセサイザ及びスピーカを通じて「もっと強く押してください」という命令を発行することができる。LED又はグラフィックディスプレイの行のような視覚的ディスプレイは、絶対又は相対的なフロー信号の強度及び/又は最も強いフロー信号が検出されたトランスデューサセンサの列に沿った位置を視覚的に示すことができる。
【0022】
ピーク速度及びドップラー波の期間を検出することに加えて、解析モジュールは、本出願人による米国特許出願第60/609,676号(2004年9月13日出願)及び同第60/613,996号(2004年9月28日出願)明細書に記載されるように、例えば中間速度、ボリュームフローレート、パルセーションインデックス(拍動指数)及びフローインデックスのような、CPR圧迫によって生じる血流の十分さの他の尺度を生成することができる。これらの明細書の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0023】
図4a及び図4bのシステムは、CPRの効果を判断するために、ドップラーフローセンサと組み合わせて使用されることができる他のセンサを有する。患者胸部に配置され、CPR圧迫が適用される圧迫パッド80が、図4bに示されている。圧迫パッドは、米国特許第6,351,671号明細書に記載される力センサ又は好適には米国特許第6,306,107号明細書に記載される加速度計を有する。圧迫が、パッド80に適用されるたびに、信号が生成され、その信号は、増幅器82によって増幅され、検出器84によって検出される。検出された胸部圧迫信号は、ドップラーフロー信号から得られる情報と組み合わされて使用される。例えば、圧迫信号の各々の出現は、センサストリップによる有効なドップラーフロー信号の検知と時間的に相関すべきである。このように、圧迫信号は、ドップラー信号の解析を時間的にゲート制御し、又は解析モジュールによって検知される圧迫周期のレートを相関させ確認するために使用されることができる。ECG信号は、存在する場合には、時間ゲートとして使用されることもできる。力の振幅又は2階積分された加速度信号は、適用される圧迫の圧迫力又は圧迫深さの尺度であり、「もっと強く押してください」又は「もっと弱く押してください」なるコマンドを発行すべきかどうか決める際に使用されることができる。例えば、低いフロー速度又はボリュームフローレートが、救助者がより強く押すべきことを示しうる一方で、圧迫信号は、救助者がすでに、患者に安全に行われるのと同じくらい強く又は深く押していることを示すことがある。解析モジュールは、この圧迫情報を考慮して、「もっと強く押してください」コマンドを抑えることができる。
【0024】
図4bのシステムは、更に、患者胸部に付着されるとともに、除細動ショックを供給するために患者のECG信号及び胸部のバイオインピーダンスを検知するために使用される、胸部電極92、94を有する。ECG及びインピーダンス信号は、ECGインピーダンスモジュール96によって処理され、CPR指導を支援するために使用されうる解析モジュールに結合される。例えば、前記6,351,671号明細書に記載されるように、インピーダンス信号は、胸部が圧迫されると変化を示し、圧迫力が緩められると再び変化を示す。これらのインピーダンス変化の出現の時間は、ドップラー信号解析と相関付け又はそれを時間的にゲート制御して、これらの信号の検出及びCPR指導コマンドの適切さを確認し又は改善するために使用されることができる。
【0025】
図5は、患者の輪郭を示すとともに、除細動器110、頸動脈を横切って頸部上に適切に配置されたセンサストリップ10、胸部中央の圧迫パッド80、及び除細動のために通常の位置に配置された電極92,94を示している。当業者には明らかであるように、解析モジュールは、CPR用の指導コマンドをよりよく生成するために、これらのセンサの全てからの信号を相関させ又は組み合わせることができる。米国特許出願公開第2003/0199929号明細書に記載されるように、センサストリップ10及び上側除細動電極92を組み合わせて、患者の頸部に配置される1つの電極にすることも可能である。
【0026】
図7は、ドップラーフローセンサ10及びCPR圧迫パッド80を有する図4に示されるような除細動システムを使用する方法を示している。この例において、除細動器は、ステップ120に示されるようにCPR指導モードをはじめる。除細動器は、CPR間隔によって自動的に始まるようにプレセットされることができ、又は除細動器は、ショックが勧められないとき、又はショックが実施されたあと、CPRモードに入ることもできる。更に、除細動器がECG信号を解析した後に自動的にモード変更を行うことができる解析技法が知られている。例えば、ECG信号の振幅は、成功した除細動の可能性と相関することが知られている。更に、ECGコンプレックスの高いレートは、除細動成功と関連させるために示され、ECGデータのフーリエ変換を実施し、変換されたデータの中間周波数においてこの決定を行う予定である解析が、提案される。こうして、低い振幅及び低いレートECG信号は、CPRを開始し、システムをCPR指導モードに切り替えさせるための目安とされることができる。この例において、除細動器は、例えば100Hzである所望のCPRレートで繰り返されるシンプルトーン又はビープでありうるCPRメトロノームを備える。こうして、救助者は、ステップ122において、このトーンの繰り返しと救助者の圧迫とを同期させるようにガイドされる。圧迫が適用されると、解析モジュールは、ステップ124において圧迫パッドから深さ又は力信号を受け取り、ステップ126において頸動脈を通じてセンサストリップ10から有効なドップラーフロー信号を実質的に同時に受け取る。これらの信号は、ステップ128において、血流及びその十分さを決定するために解析モジュールによって解析される。情報が、指導命令が必要であることを示す場合、可聴の及び/又は視覚的な指導命令又は他のフィードバックが、ステップ130において発行される。システムは、次の胸部圧迫時のステップ124及び126の信号を待つことに戻る。
【0027】
図8は、圧迫信号が、ステップ125においてインピーダンス変化信号によって置き換えられることを除いて、図7のものと同一のステップを有する方法を示している。この情報は、CPRをガイドするための指導命令を発行すべきかどうか決めるためにドップラーフロー信号と一緒に使用される。
【0028】
図9は、図7及び図8のセンサを組み合わせており、CPRをガイドする際の決定を行うためにすべての3つのソースからの情報を使用する。この方法は、ステップ125のインピーダンス変化信号、ステップ124の圧迫信号及びステップ126のドップラーフロー信号を使用する。図4の最初の説明に示したように、ドップラーフロー信号は、効果的なCPRをガイドするためにこれらの他の信号なしで使用されることができる。
【0029】
こうして、超音波フロー情報は、CPRをガイドするために単独で使用されることができ、又はフロー情報は、CPRのガイダンスを支援するために、例えば圧迫力又は深さ、患者インピーダンス及びECGのような、1又は複数の他の生理学的なパラメータと一緒に使用されることができることが分かる。血圧のような他の生理学的なパラメータが、更に又は代替として使用されることができる。
【0030】
前述したように、前の例のセンサストリップは、患者の頸部の頸動脈上に接着剤で又は機械的に取り付けられる。良好な音響結合が、超音波信号の信頼性のある送受信のために、トランスデューサ素子と皮膚表面との間に確立されることが重要である。これは、概して、トランスデューサ素子と向かい合わせの皮膚表面上に、親水性の接着剤、音響結合ゲル、又はそれらの2つの組み合わせを使用することによって提供される。しかしながら、センサストリップがゆるくなると、音響パスは、分離されることがあり、これは、患者の動き、接着性付着を妨げる皮膚表面上の発汗若しくはほこり、又は接着剤の乾燥によって生じうる。これが生じるとき、問題が補正されることができるように、救助者又は介護者に状況を警告することが望ましい。図10は、センサストリップの付着が力センサ150によって監視される例を示している。この例において、力センサ150は、この例では接着ストリップである基板14と、超音波トランスデューサT及びRを含むマトリックス12との間に位置する。マトリックス12は、所定の位置にしっかり保持されると、皮膚表面30に力を印加し、図面に示されるように皮膚を僅かに押し下げる。この下方への圧力は、取り付けられた接着ストリップ14の張力によって加えられる。関係する力は、図11に別個に示されている。力センサは、接着ストリップ14の張力Tによって加えられる力F1を測定する。力センサは、重さWFSを有し、超音波トランスデューサ1は、重さWUTを有する。超音波トランスデューサ1は、その上側表面上に力F1+WFSを経験する。皮膚表面30は、力F1+WFS+WUTを経験する。典型的な実現において、接着ストリップ14によって加えられる力は、力センサ150及び超音波トランスデューサ1の重さWFS及びWUTより非常に大きい。こうして、力センサ150によって生成される力測定F1は、取り付けメカニズム及び装置の重さによって皮膚に加えられる力の良好な近似である。
【0031】
力センサは、複数の知られているセンサ技術の任意のものを含むことができる。例えば、力センサは、ラバーの各々の側に埋め込まれ又は設置される電極を有する導電ラバーを含むことができる。力センサは、圧電センサであってもよく、又はひずみゲージであってもよい。ひずみゲージからの信号は、それらが除細動器に結合されるケーブル18に含まれるワイヤによって伝えられることができる。除細動器におけるプロセッサは、力信号を監視し、それが許容できるレベルを下回る場合、可聴の又は視覚的な警告が発行される。
【0032】
図12は、センサストリップ10の音響的接触を測定するための力センサの使用の別の例を示している。この例において、力センサは、図面に示されるようにトランスデューサ素子の上又はその両側にありうる接着ストリップ14上又は接着ストリップ14内のひずみゲージ152である。ひずみゲージからの信号は、センサストリップが使用中である間に所望の圧力レベルが維持されることを確実にするために、接着ストリップが患者の皮膚に取り付けられ、監視されるときの接着ストリップの張力を示す。
【0033】
図13は、力センサ150がトランスデューサ素子T及びRに隣り合ってマトリックス12内に含まれている別の例を示している。この実現の利点は、接触の力が、皮膚表面と接触するトランスデューサの箇所に直接隣接して測定されることである。
【0034】
力ではなく圧力を測定するセンサが、本発明の構成される装置において使用されることができることが分かるであろう。
【0035】
トランスデューサの音響パスを監視するための別の方法は、信号処理を通じて音響パスのエアポケットから近距離場反射を測定することである。これらのエアポケットは、強い近距離場エコーとして超音波信号に現れる。しかしながら、これは、受信トランスデューサによってのみ実施されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の原理によって構成される超音波センサストリップを示す図。
【図2a】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2b】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2c】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2d】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図2e】超音波センサストリップのトランスデューサのさまざまな異なる特性及び構成を示す図。
【図3a】本発明の原理による超音波センサストリップのトランスデューサの傾斜を示す図。
【図3b】本発明の原理による超音波センサストリップのトランスデューサの傾斜を示す図。
【図4a】本発明の原理により構成されるバイタルサインモニタ及び治療システムを示すブロック図。
【図4b】本発明の原理により構成されるパルス検出及びCPRガイダンスを有するバイタルサインモニタ及び治療システムの一部を示すブロック図。
【図5】図4の除細動器システムの電極パッド及びセンサの適用を示す図。
【図6a】超音波センサストリップのトランスデューサのシーケンシャルな動作の一例を示す図。
【図6b】超音波センサストリップのトランスデューサのシーケンシャルな動作の一例を示す図。
【図7】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図8】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図9】CPRガイダンスのために他の測定されたパラメータと血流検知を組み合わせるプロシージャを示す図。
【図10】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図11】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図12】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【図13】超音波トランスデューサと患者身体との間の音響結合の十分さの目安を提供するために力センサを有する超音波センサストリップの例を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPRの実施について介護者に指導するためのシステムであって、
身体に取り付け可能であって、血管内の血流を表す血流信号を生成する超音波トランスデューサアセンブリと、
CPRの実施中、前記血流信号に応じてフロー特性を決定するプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記フロー特性の決定に応じて介護者がCPRを実施するのを支援する、ユーザインタフェースと、
を有するシステム。
【請求項2】
接着手段、弾性手段、面テープ手段又は機械的手段の少なくとも1つによって前記超音波トランスデューサアセンブリを身体に取り付ける手段を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサアセンブリは、身体に超音波を送信するトランスデューサ及び前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信するトランスデューサを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信する複数の受信トランスデューサ素子を更に有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各受信トランスデューサ素子のアパーチャが、送信トランスデューサ素子のアパーチャと重なる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサアセンブリは、厚さ寸法を示し、
前記送信及び受信トランスデューサ素子は、傾けられており、小さい厚さ寸法を提供するように前記アセンブリの前記厚さ寸法において互いにオフセットされている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トランスデューサ素子の1又は複数が、前記トランスデューサ素子によって放出される超音波エネルギーを広がらせる手段を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
トランスデューサ素子の対を更に有し、各対は、送信素子及び対応する受信素子を有するとともに、少なくとも一対の前記受信素子によって行の特定の位置に対向する血管からの血流信号を受信するために該行に並べられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、流れる血液から返ってくるエコー信号から動き特性を決定するように動作するドップラープロセッサを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、ドップラーパワー信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、ドップラー速度信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、ドップラー信号の周期性を表す信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザインタフェースは、より速く、より遅く、より強く又はより弱くCPR圧迫を加えるように介護者に指導するフィードバック装置を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサに結合され、加えられるCPR圧迫に応じて圧迫信号を生成するように動作するCPRセンサを更に有し、
前記プロセッサは、CPRの効果を評価するために前記決定されたフロー特性及び前記圧迫信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサに結合され、ECG信号を生成するように動作するECG電極を更に有し、
前記プロセッサが、CPRの実施を支援するために前記決定されたフロー特性及び前記ECG信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ECG電極に結合される除細動器を更に有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記除細動器が、ショックは勧められないと決定したのち、前記ユーザインタフェースは、介護者がCPRを実施するのを支援するように動作する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサに結合され、胸部インピーダンス信号を生成するように動作する胸部電極を更に有し、
前記プロセッサが、CPRの実施を支援するために前記決定されたフロー特性及び前記胸部インピーダンス信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインタフェースが、可聴の命令を用いて、介護者がCPRを実施するのを支援するスピーカを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザインタフェースが、視覚的情報を用いて、介護者がCPRを実施するのを支援するディスプレイを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記ユーザインタフェースが、CPR圧迫のために所望のレートで周期信号を生成する手段を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記超音波トランスデューサアセンブリが、身体に超音波を送信し、前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信するPWモードで動作される少なくとも1つのトランスデューサを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項1】
CPRの実施について介護者に指導するためのシステムであって、
身体に取り付け可能であって、血管内の血流を表す血流信号を生成する超音波トランスデューサアセンブリと、
CPRの実施中、前記血流信号に応じてフロー特性を決定するプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記フロー特性の決定に応じて介護者がCPRを実施するのを支援する、ユーザインタフェースと、
を有するシステム。
【請求項2】
接着手段、弾性手段、面テープ手段又は機械的手段の少なくとも1つによって前記超音波トランスデューサアセンブリを身体に取り付ける手段を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサアセンブリは、身体に超音波を送信するトランスデューサ及び前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信するトランスデューサを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信する複数の受信トランスデューサ素子を更に有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各受信トランスデューサ素子のアパーチャが、送信トランスデューサ素子のアパーチャと重なる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサアセンブリは、厚さ寸法を示し、
前記送信及び受信トランスデューサ素子は、傾けられており、小さい厚さ寸法を提供するように前記アセンブリの前記厚さ寸法において互いにオフセットされている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トランスデューサ素子の1又は複数が、前記トランスデューサ素子によって放出される超音波エネルギーを広がらせる手段を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
トランスデューサ素子の対を更に有し、各対は、送信素子及び対応する受信素子を有するとともに、少なくとも一対の前記受信素子によって行の特定の位置に対向する血管からの血流信号を受信するために該行に並べられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、流れる血液から返ってくるエコー信号から動き特性を決定するように動作するドップラープロセッサを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、ドップラーパワー信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、ドップラー速度信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、ドップラー信号の周期性を表す信号を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザインタフェースは、より速く、より遅く、より強く又はより弱くCPR圧迫を加えるように介護者に指導するフィードバック装置を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサに結合され、加えられるCPR圧迫に応じて圧迫信号を生成するように動作するCPRセンサを更に有し、
前記プロセッサは、CPRの効果を評価するために前記決定されたフロー特性及び前記圧迫信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサに結合され、ECG信号を生成するように動作するECG電極を更に有し、
前記プロセッサが、CPRの実施を支援するために前記決定されたフロー特性及び前記ECG信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ECG電極に結合される除細動器を更に有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記除細動器が、ショックは勧められないと決定したのち、前記ユーザインタフェースは、介護者がCPRを実施するのを支援するように動作する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサに結合され、胸部インピーダンス信号を生成するように動作する胸部電極を更に有し、
前記プロセッサが、CPRの実施を支援するために前記決定されたフロー特性及び前記胸部インピーダンス信号を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインタフェースが、可聴の命令を用いて、介護者がCPRを実施するのを支援するスピーカを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザインタフェースが、視覚的情報を用いて、介護者がCPRを実施するのを支援するディスプレイを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記ユーザインタフェースが、CPR圧迫のために所望のレートで周期信号を生成する手段を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記超音波トランスデューサアセンブリが、身体に超音波を送信し、前記送信された超音波に応じて返ってくるエコーを受信するPWモードで動作される少なくとも1つのトランスデューサを有する、請求項1に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−515631(P2009−515631A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540751(P2008−540751)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054199
【国際公開番号】WO2007/057825
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054199
【国際公開番号】WO2007/057825
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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