術後疼痛におけるオピオイドおよびオピエートの鎮痛促進効果およびその依存性の予防のためのシグマリガンド
本願発明は、外科手術の結果として生じる疼痛、特に、末梢神経痛、異痛、灼熱痛、痛覚過敏(hyperalgesia)、知覚過敏、痛覚過敏(hyperpathia)、神経痛、神経炎または神経障害の、予防および/または治療における使用のための、式(I)のσリガンドおよびオピオイドまたはオピエートに関する。本願発明はさらに、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療において前記オピオイドまたはオピエートが使用される際の、オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進するための使用、および/または、結果として誘発される依存の軽減における使用のための式(I)のσリガンドに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オピオイドおよびオピエートの鎮痛効果の促進およびその依存性の軽減のためのσ受容体リガンドの使用、ならびに疼痛治療における使用のためのσリガンドとオピオイドまたはオピエートの組み合わせに関する。特に、本願発明は、術後疼痛の治療および/または予防に関連するオピオイドおよびオピエート鎮痛の促進に関する。
【背景技術】
【0002】
医学において、疼痛状態の治療は非常に重要である。現在、さらなる疼痛治療が世界中で必要となっている。疼痛状態の具体的な治療の差し迫った必要性は、近年、応用鎮痛剤の分野で、多くの科学的研究において立証されてきている。
【0003】
PAINは、国際疼痛学会(International Association for Study of Pain;IASP)によって、「実際のまたは潜在的な組織損傷を伴う、または、そのような損傷があるように表現される不快な感覚性および情動性の体験。」(IASP, Classification of chronic pain,2nd Edition, ISAP Press(2002),210)と定義される。それは、生理学的および心理学的な因子の両方によって影響される複雑な過程であり、常に主観的であるが、その原因および徴候は分類され得る。関連のある疼痛のサブタイプのほとんどのうちのいくつかは、神経因性疼痛、異痛、痛覚過敏および末梢神経障害である。
【0004】
毎年2000万人を超える患者が外科的処置を受けている。術後疼痛(切開後疼痛と区別しない用語)、または、外科手術後もしくは外傷後に生じる疼痛は、重大でしばしば解決困難な医療上の問題である。疼痛は、通常、外科手術箇所付近の範囲内で、局所的である。術後疼痛は二つの臨床的に重要な側面、すなわち、安静時疼痛または患者が運動していない時に起こる疼痛、および、運動(咳/くしゃみ、起床、理学療法など)によって悪化する機械的疼痛を有し得る。大手術の術後疼痛管理の主要な問題は、現在使用されている薬剤が、回復の遅延、入院期間の延長、およびある種の脆弱な患者が重度の合併症の危険に晒される、といった様々な顕著な副作用を有することである。
【0005】
術後疼痛の治療に用いられる主要な三種類の医薬は、オピオイド鎮痛剤、局所麻酔および非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti- inflammatory drug;NSAID)である。これらの薬品種のうちの二つ、オピオイド鎮痛剤およびNSAIDは、通常全身に投与されるが、局所麻酔薬(例えば、チャネル阻害剤)は、手術中に局所に投与される。
【0006】
外科手術後の疼痛を緩和するために薬剤を全身投与することは、しばしば不適切である。例えば、外科手術後のオピオイドの全身投与は、吐き気、腸機能阻害、残尿、肺機能阻害、心臓血管系への影響および鎮静を引き起こし得る。
【0007】
「術後疼痛」は、「切開後疼痛」または「外傷後疼痛」と区別せず、個体の組織内に至る、切断、穿刺、切開、裂傷または創傷(侵襲性または非侵襲性の、すべての外科的処置から生じるものを含む)すなわち外科手術の結果として生じる痛み、を生じる、またはその結果として生じる疼痛に関する。本願明細書で使用する場合、「術後疼痛」は、外的な身体外傷なしで生じる痛みは含まれない。いくつかの実施態様において、術後疼痛は、内的または外的な痛みであり、創傷、切断、外傷、裂傷もしくは切開は、偶然(外傷性創傷と同様に)または故意に(外科的切開と同様に)生じ得る。本願明細書で使用される場合、「疼痛」は、痛覚および痛みの知覚を含み、疼痛は、疼痛スコアおよびその他の方法(例えば当業者によく知られたプロトコール)を用いて主観的および客観的に評価され得る。術後疼痛は、本願明細書に使用される場合、異痛(すなわち、通常痛みを引き起こさない刺激による痛み)、および、本来熱または機械的(触覚の刺激)であり得るものの後に来る痛覚過敏(すなわち、通常痛みをもたらす刺激に対する応答が増大される)を含む。従って、疼痛は、温度感受性、機械的刺激感受性、および/または、安静時疼痛(例えば外的刺激のない持続的疼痛)が特徴的である。さらには、疼痛は一次疼痛(例えば、痛みを引き起こす出来事の直接的な結果として生じる)または二次疼痛(例えば、痛みを引き起こす出来事に関連しているが直接的な結果ではなく生じるもの)であり得る。
【0008】
術後切開疼痛における異種の動物モデルおよび調査でも、同様のことが当業者間で報告されている(T.J. Brennan et al. Pain 1996, 64, 493-501 ; P.K. Zahn et al. Regional Anaesthesia and Pain Medicine 2002, Vol. 27, No 5 (September-October), 514-516)。
【0009】
オピオイドおよびオピエートは、有効な鎮痛剤であり、臨床診療で広く使用されている。オピオイドおよびオピエート薬剤は、通常、リガンドとして特定の薬剤種が結合する細胞および分化組織受容体に関する結合選択性によって分類される。これらの受容体は、ミュー(μ)、デルタ(δ)、カッパー(κ)および侵襲性受容体を含む。
【0010】
モルヒネおよびそのアナログなどのよく知られた麻酔性のオピエートは、オピオイドμ受容体について選択的である。μ受容体は、鎮痛、呼吸器障害および胃腸管通過阻害を介在する。κ受容体は鎮痛および鎮静を調節する。しかしながら、鎮痛剤としてのその良好な活性にも関わらず、オピオイドおよびオピエートは依存を引き起こすという欠点がある。
【0011】
σ受容体は、鎮痛に関連する過程におけるその役割のために、薬理学において非常に興味深い非オピエート型の受容体である。σ結合部位は、ある種のオピエートベンゾモルファンの右旋性の異性体、例えば(+)SKF 10047、(+)シクラゾシンおよび(+)ペンタゾシンなど、ならびにさらにハロペリドールなどのいくつかの睡眠薬に対して選択的親和性を有する。σ受容体は、これらの薬理学的に活性な薬剤の立体選択的異性体によって区別し得る少なくとも二つのサブタイプを有する。(+)SKF 10047はσ1(σ-1)部位に対してナノモルの親和性を有し、σ2(σ-2)部位に対してマイクロモルの親和性を有する。ハロペリドールはいずれのサプタイプにも同様の親和性を有する。
【0012】
オピオイドまたはオピエートとの組み合わせで幾つかのσリガンドはその鎮痛効果を調節する能力があることが報告されている。例えば、ハロペリドールは、モルヒネ、DADLまたはブレマゾシンなどの異なるオピオイドおよびオピエートの活性を促進することが知られている(Chichenkov, O. N. et al: Effect of haloperidol on the analgesic activity of intracisternally and intrathecally injected opiate agonists, Farmakologiya i Toksikologiya (Moscow) (1985), 48(4), 58-61)。Chienらは、ハロペリドールとモルヒネの組み合わせの相乗効果についても言及し(Selective antagonism of opioid analgesia by a sigma system, J Pharmacol Exp Ther (1994), 271 , 1583-1590 and Sigma antagonists potentiate opioid analgesia in rats, Neurosci Lett (1995), 190, 137-139)、Marazzoらは、σリガンド(+)-MR200のκ-オピオイド受容体介在鎮痛作用を調節する能力を報告した。Meiらは、オピオイド薬剤の鎮痛活性の調節システムにおけるσ-1受容体の重要性を確認した(Sigmal receptor modulation of opioid analgesia in the mouse, J Pharmacol Exp Ther (2002), 300(3), 1070-1074)。それにもかかわらず、これらのすべての場合において、オピオイドおよびオピエートによって引き起こされる依存の問題が、依然として存在する。
【0013】
オピオイドおよびオピエート依存の問題を解決する薬理学的アプローチのひとつは、オピオイドまたはオピエートとσリガンドの共投与である。例えば、σ-1受容体アゴニストSA4503はモルヒネ依存に対する調節効果を有することが示されている(Nomura, M. et al: Studies on drug dependence (Rept. 322): Attenuation of morphine- and psychostimulants-induced place preference by sigmal receptor agonist SA4503, 72nd Annual Meeting of the Japanese Pharmacological Society (Sapporo, Japan-March 1999))。さらに、σ-1アゴニストDHEAは、モルヒネ依存の進行をいくぶん減衰させる能力を示している(Noda, Y. et al: A neuroactive steroid, dehydroepiandrosterone sulfate, attenuates the development of morphine dependence: an association with sigmal receptors, 31 st Annual Meeting of the Society of Neuroscience (San Diego-Nov 2001 )。EP1 130018は、モルヒネ、コカインおよびメタフェタミンへの薬物依存の治療に対するσリガンドの使用を報告している。しかしながら、これらのアプローチはいずれもモルヒネの鎮痛効果の増進を示していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】(Chichenkov, O. N. et al: Effect of haloperidol on the analgesic activity of intracisternally and intrathecally injected opiate agonists, Farmakologiya i Toksikologiya (Moscow) (1985)
【非特許文献2】Selective antagonism of opioid analgesia by a sigma system, J Pharmacol Exp Ther (1994), 271 , 1583-1590 and Sigma antagonists potentiate opioid analgesia in rats, Neurosci Lett (1995), 190, 137-139
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、既知の薬剤で示される副作用を減らす、術後疼痛の新しい治療法を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
〈発明の簡単な説明〉
本願発明の発明者は、オピオイドまたはオピエートと併用させたいくつかの特定のσ受容体リガンドの投与は、それに伴う依存を軽減する一方で、オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を相乗的に驚くほど促進し得ることを見出だし、示した。
【0017】
従って、本願発明のある態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療における使用のための、式(I)に示すσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物の少なくとも一つ、および少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時の、個別のまたは連続的な投与のための組み合わせに関する。
【0018】
【化1】
【0019】
(R1は水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より選択される;
R2は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より選択される;
R3およびR4は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より独立して選択される、または、任意でそれらが共に縮合環系を形成する;
R5およびR6は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より独立して選択される;
または、結合している窒素と共に置換されたもしくは置換されていない芳香族もしくは非芳香族のヘテロシクリル基を形成する;
nは1、2、3、4、5、6、7または8;
tは1、2、または3から選択される;
R8およびR9は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないアルコキシ、置換されたまたは置換されていないアリールオキシまたはハロゲンより各々独立して選択される。)
【0020】
本願発明のさらなる態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果の促進用、および/または、その依存の軽減用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物に関する。
【0021】
本願発明のさらなる態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果の促進用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物に関する。
【0022】
本願発明のさらなる態様は、手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの依存の軽減用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物に関する。
【0023】
本願発明の他の態様は、前記で定義された式(I)または薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物のσリガンドの少なくとも一つ、ならびに、手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療用医薬の製造のための、少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時の、個別のまたは連続的な投与のための組み合わせの使用に関する。
【0024】
本願発明の他の態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療に関わる、オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進し、および/またはその依存を軽減させる医薬の製造のための、前記で定義された式(I)のσリガンド、または、薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくはその溶媒和物の使用に関する。
【0025】
本願発明の他の態様は、そのような治療、または、前記で定義された式(I)もしくは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたはその溶媒和物、およびオピオイドもしくはオピエートの少なくとも一つを含む、治療的に有効な量の組み合わせの予防薬の必要がある患者への投与を含む治療で、
外科手術の結果として生じる疼痛に罹患した患者、または、外科的処置の結果として起こり得る苦痛の治療方法である。
【0026】
これらの実施態様およびその好ましい実施態様は、追加的に請求項にも定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+M vs. モルヒネ;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+M vs.化合物63
【図2】ラット温熱性痛覚過敏症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+M vs. モルヒネ;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+M vs.化合物63
【図3】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+T vs. トラマドール;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+T vs.化合物63
【図4】ラット温熱性痛覚過敏症モデルにおける化合物63(5、10、20および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+T vs. トラマドール;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+T vs.化合物63
【図5】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図6】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図7】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるスフェンタニル鎮痛増進(0.003mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図8】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(2.5、5、10、20、40および80mg/kg)によるレミフェンタニル鎮痛増進(0.01mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図9】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるフェンタニル鎮痛増進(0.01mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図10】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、40および80mg/kg)によるペンタドール鎮痛増進(1.25mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図11】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(2.5、5、10、20および40mg/kg)によるオキソコドン鎮痛増進(0.039mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図12】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20および40mg/kg)によるブプレノルフィン鎮痛増進(0.0015mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の文脈において、次の用語は下記の詳しい意味を有する。
【0029】
「アルキル」は、炭素原子および水素原子から成り、不飽和を含まず、1つから8つの炭素原子を有し、それらが単結合によって残りの原子に結合している(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルなど)、直鎖または分枝した炭化水素鎖基に関する。アルキル基は、任意でアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオなどの1つまたは複数の置換基で置換され得る。アリールで置換された場合は、ベンジルやフェネチルなどの「アルキルアリール」基が得られる。ヘテロシクリルで置換された場合は、「ヘテロシクリル」基が得られる。
【0030】
「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子を有し、1つまたは複数の不飽和結合を有するアルキル基に関する。特定の実施態様において、アルケニル基は、2つから8つの炭素原子を有する。特定の実施態様において、アルケニル基はビニル、1-メチル-エチニル、1-プロペニル、2-プロペニルまたはブテニルである。
【0031】
「シクロアルキル」は、飽和または一部飽和で、シクロヘキシルまたはアダマンチルなどの炭素および水素原子のみから成る、安定な三から十員環の単環式または二環式の基に関する。本願明細書において特に示さない限り、「シクロアルキル」という用語は、任意でアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニルなどの1つまたは複数の置換基で置換されたシクロアルキル基を含むことを意味する。
【0032】
「アリール」は、分離および/または縮合しているアリール基を含んでいる多環基を含む、単環および多環基に関する。典型的なアリール基は、1つから3つの分離または縮合している環、および、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリルまたはアントラニル基などの6つから18の炭素環原子を含んでいる。アリール基は、任意で、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、アルキル、フェニル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、その他などの1つまたは複数の置換基で置換され得る。
【0033】
「ヘテロシクリル」は、炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つから5つのヘテロ原子から成る安定な三から十五員環基、好ましくは1つまたは複数のヘテロ原子を含む四から八員環、より好ましくは1つまたは複数のヘテロ原子を含む五または六員環に関する。ヘテロシクリルは芳香族または非芳香族であり得る。本願発明の目的のため、複素環は、縮合環系を含み得る単環式、二環式または三環式であり得て;ヘテロシクリル基中の窒素、炭素または硫黄原子が任意で酸化され得て;窒素原子は任意で四級化され;ヘテロシクリル基は部分的または完全に飽和または芳香族であり得る。このような複素環の例は、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、クマリン、モルフォリン、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、トリアゾール、イミダゾールなどを含むが、これらに限らない。
【0034】
「アルコキシ」は、Raが前記で定義されたアルキル基である、式-ORaの基に関する(例えばメトキシ、エトキシ、プロキシなど)。同じように、「アリールオキシ」は、Rcが前記で定義されたアリール基である、式-ORcの基に関する(例えばフェノキシ)。
【0035】
「アミノ」は、任意で四級化された式-NH2、-NHRaまたは-NRaRbの基に関する。本願発明のある実施態様において、各-Raおよび-Rbは、前記で定義されたアルキル基より独立して選択される。
【0036】
「ハロゲン」または「ハロ」は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素に関する。
【0037】
本願発明の化合物の置換基の本願明細書中の参照は、1つまたは複数の利用可能な位置で、1つまたは複数の適する基(例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アシルなどのC1〜C6アルカノイル基などのアルカノイル;カルボキシアミド;1つから約12の炭素原子または1つから約6の炭素原子および好ましくは1つから3つの炭素原子を有する基を含むアルキル基;1つまたは複数の不飽和結合および2つから約12または2つから約6つの炭素原子を有する基を含むアルケニルおよびアルキニル基;1つまたは複数の酸素結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つまたは複数のチオエーテル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルチオ基;1つまたは複数のスルフィニル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルスルフィニル基; 1つまたは複数のスルホニル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルスルホニル基;1つまたは複数の窒素原子および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する基などのアミノアルキル基;6つまたはそれより多くの炭素を有する、特にフェニルまたはナフチルおよびベンジルなどのアラルキルである、カルボサイクリックアリール)で置換され得る、特定の部分に関する。示さない限りは、任意の置換基は、基が置換可能な各位置に置換基を有し得て、各置換はその他と独立している。
【0038】
「オピオイド」および「オピエート」は、オピオイド受容体に結合する化合物に関する。本願発明の範囲内のオピオイド受容体に結合する化合物は、モルヒネ、コデインおよびテバインなどの天然オピエート;ヒドロモルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルヒネ、デソモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネおよびエチルモルヒネなどの、天然オピエート由来の半合成オピエート;スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、ペチジン、メタドン、タペンタドール、トラマドールおよびプロポキシフェンなどの全合成モルヒネ;および、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィンおよびエンドモルフィン体内で天然に産生される内在性オピオイドペプチドならびにそれらのアナログなどを含む。
【0039】
「塩」という用語は、本願発明に従って使用される活性な化合物の任意の形態として理解されるべきであり、前記化合物はイオン形態または荷電し、対イオン(カチオンまたはアニオン)と対となっているか、または溶液中にある。この定義はまた、4級アンモニウム塩、ならびに、活性分子とその他の分子およびイオンの複合体、特にイオン相互作用を介して形成される複合体を含む。前記定義は、特に生理学的に許容可能な塩を含む;この用語は「薬学的に許容可能な塩」と同等であると理解されるべきである。
【0040】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本願明細書の文脈において、適切な方法で治療に使用される、または、特にヒトおよび/または哺乳類に使用もしくは適用される場合に、生理学的に耐容性のある(通常、特に対イオンの結果として、非毒性であることを意味する)任意の塩を意味する。これら生理学的に許容可能な塩は、カチオンまたは塩基で形成され、本願発明に文脈においては、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、本願発明に従って使用される少なくとも一つの化合物−通常は(脱プロトン化された)酸−(例えば、陰イオン)と少なくとも一つの生理学的に耐容性のある陽イオン、好ましくは無機カチオンとによって形成される塩であると理解されるべきである。アルカリおよびアルカリ土類金属との塩は、アンモニウムカチオン(NH4+)で形成される塩同様に特に好ましい。好ましい塩は、(モノ)または(ジ)ナトリウム、(モノ)または(ジ)カリウム、マグネシウムまたはカルシウムで形成される。これらの生理学的に許容可能な塩はまた、アニオンおよび酸で形成され、本願発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、本願発明に従って使用される少なくとも一つの化合物―通常、例えば窒素がプロトン化された―(例えば、カチオン)と少なくとも一つの生理学的に耐容性のあるアニオンとによって形成される塩であるとして理解されるべきである。この定義は、具体的には、本願発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類において使用される際には、生理学的に耐容性のある酸によって形成される塩、すなわち、生理学的に耐容性のある有機または無機酸と特異的な活性のある化合物の塩を含む。このタイプの塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデリン酸、フマル酸、乳酸またはクエン酸と形成される塩である。
【0041】
本願発明に従い、「溶媒和物」という用語は、化合物が他の分子(通常、極性溶媒)へ非共有結合によって結合している、本願発明に従った活性な化合物の任意の形態という意味として理解されるべきであり、特に水和物、例えばメタノレートなどのアルコレートを含む。好ましい溶媒は水和物である。
【0042】
式(I)のσリガンドのプロドラッグである任意の化合物はまた、本願発明の範囲内である。「プロドラッグ」という用語は、最も広義で使用され、in vivoで本願発明の化合物へ変化するそれらの誘導体を含む。プロドラッグの例は、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カルボネート、生物加水分解性ウレイド、および生物加水分解性ホスフェートアナログを含む、式(I)の化合物の誘導体および代謝物を含むが、それらに限らない。好ましくは、カルボキシ官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボキシ酸の低級アルキルエステルである。前記カルボキシ酸エステルは、分子上に存在する任意のカルボキシ酸部分のエステル化によって、都合よく形成される。プロドラッグは、典型的には、例えばBurgerによって「Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版」(Donald J. Abraham ed. 2001, Wiley)および「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers)に記載された、よく知られた方法を用いて調製され得る。
【0043】
本願明細書に関する任意の化合物は、特定の化合物およびある変化または形態などを示すことを目的としている。特に、本願明細書で参照される化合物は、不斉中心を有し得て、従って異なるエナンチオマー体またはジアステレオマー体が存在し得る。従って、本願明細書に参照される任意の所定の化合物は、任意の一つのラセミ体、1つまたは複数のエナンチオマー体、1つまたは複数のジアステレオマー体、およびそれらの混合物を示すことを目的としている。同様に、二重結合における立体異性および幾何学異性もまた可能であり、従っていくつかの場合においては、分子は(E)-異性体または(Z)-異性体(トランスおよびシス異性体)として存在し得る。分子がいくつかの二重結合を含む場合は、各二重結合が、当該分子のその他の二重結合の立体異性と同じ、または異なり得る、自身の立体異性を有する。さらに、本願明細書に参照される化合物は、アトロプイソマーとしても存在し得る。本願明細書に参照される化合物の、エナンチオマー、ジアステレオマー、ジオメトリックイソマーおよびアトロプイソマーを含む、すべてのステレオイソマー、およびそれらの混合物は、本願発明の範囲内であると考慮される。
【0044】
さらに、本願明細書に参照される任意の化合物にはさらに、互変異性体も存在し得る。具体的には、互変異性体という用語は、平衡状態で存在し、一つの異性体から他方の異性体へ容易に変換する化合物の二つ以上の構造異性体のうちの一つに関する。一般的な互変異性体対は、アミン-イミン、アミド-イミド酸、ケト-エノール、ラクタム-ラクチムなどである。
【0045】
特に記載しない限り、本願発明の化合物はさらに、同位体標識された形態、すなわち、1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物、を含むことを意味する。例えば、少なくとも一つの水素原子の重水素もしくは三重水素による置換、または、少なくとも一つの炭素原子の13Cもしくは14C濃縮炭素による置換、もしくは少なくとも一つ窒素原子の15N濃縮窒素による置換以外の、存在する構造を有する化合物は、本願発明の範囲内である。
【0046】
式(I)のσリガンドまたはその塩もしくは溶媒和物は、好ましくは、薬学的に許容可能、または、実質的に純粋な形態である。薬学的に許容可能な形態は、とりわけ、希釈剤や担体などの通常の薬剤添加物以外は薬学的に許容可能なレベルの純度を有し、通常の用量レベルにおいて毒性だと考えられる材料を含まないことを意味する。薬品物質の純度は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは90%以上である。特に好ましい実施態様においては、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、95%以上である。
【0047】
本願明細書で使用される場合、「治療する」および「治療」という用語は、痛みの開始後、外科手術によってもたらされる疼痛の根絶、除去、逆行、緩和、修飾または制御すを含む。
【0048】
本願明細書で使用される場合、「予防」、「予防すること」、「予防的な」、「予防する」および「予防法」という用語は、病気または状態(本願出願の場合、外科手術によってもたらされる疼痛)の発症または進行を、発生する前に、回避、最小化、または発症しにくくする治療能力に関する。
【0049】
従って、抑制または改善が、少なくともパラメーター(例えば、疼痛などの治療される状態に伴う徴候)の大きさを低下に関して、広義で使用される場合に、「治療すること」または「治療」および/もしくは、「予防すること」または「予防」による、とは、全体として、対象を苦しめる状態に伴う徴候の抑制または改善を意味する。そのようなものとして、本願発明の方法はさらに状態が完全に阻害される場合(例えば、発生が抑制される、または停止される、例えば、対象がさらなる前記状態を経験しない、などの終了する場合)も含む。そのようなものとして、本願発明の方法は、外科手術によって引き起こされる疼痛、特に末梢神経痛、異痛、灼熱痛、痛覚過敏(hyperalgesia)、知覚過敏、痛覚過敏(hyperpathia)、神経痛、神経炎または神経障害を予防することおよび管理することの両方を含む。
【0050】
本願明細書で使用される場合、「オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進すること」という用語は、式(I)のσリガンドによって産生される前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果活性の増大に関する。本願発明の一つの実施態様において、前記促進効果は、オピオイドまたはオピエートあるいはσリガンドを単独で投与した場合と比較して、1.2、1.5、2、3、4倍以上の、場合によっては14または15倍以上のオピオイドの鎮痛効果の増大を引き起こす。測定は、当業者に知られる任意の方法に従って行われ得る。本願発明の一つの実施態様において、式(I)のσリガンドは、ラット機械的異痛症モデルまたはラット温熱性痛覚過敏症モデルにおいて測定される際、少なくとも1.2倍、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進する。さらなる実施態様において、前記倍数は少なくとも1.5、2、3、4、またはそれ以上で、場合によっては14または15倍でさえある。
【0051】
本願明細書で使用されるように、「オピオイドまたはオピエートによって引き起こされた依存が軽減すること」という用語は、式(I)のσリガンドによって産生される前記オピオイドまたはオピエートによる、患者の依存症の慧眼または減退に関する。本願発明の一つの実施態様において、前記軽減効果は、オピオイドまたはオピエート、あるいは、σリガンドを単独で投与した場合と比較して、1.2、1.5、2、3、4、またはそれ以上の因子によって、場合によっては1.2、1.5、2、3、4、またはそれ以上の因子によって、場合によっては14または15の因子によってさえ、引き起こされる。測定は、当業者に知られる任意の方法に従って行われ得る。本願発明の一つの実施態様において、式(I)のσリガンドは、場所条件づけパラダイムモデルにおいて測定される少なくとも1.2の因子によって、前記オピオイドまたはオピエートから、患者の依存を減退させる。さらなる実施態様において、前記因子は少なくとも1.5、2、3、4、またはそれ以上で、場合によっては14または15の因子である。
【0052】
好ましい実施態様において、式(I)のR1は、水素、-COR8、および置換されたまたは置換されていないアルキルから選択される。より好ましくは、R1は、水素、メチルおよびアセチルから選択される。より好ましい実施態様においては、R1は水素である。
【0053】
他の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物中のR2は、水素またはアルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0054】
本願発明の他のさらに好ましい実施態様においては、式(I)の化合物のR3およびR4は、フェニル基のメタ位またはパラ位に位置しており、好ましくはハロゲンおよび置換されたまたは置換されていないアルキルから独立して選択される。
【0055】
本願発明の特に好ましい実施態様において、式(I)のR3およびR4はいずれも、フェニル基と共に任意で置換された縮合環系(例えば、置換されたもしくは置換されていないアリール基、または、置換されたもしくは置換されていない芳香環もしくは非芳香ヘテロシクリル基が縮合し得る)、より好ましくは、ナフチル環系を形成する。
【0056】
さらに式(I)の化合物において、nが2、3、4から選択される実施態様は本願発明の文脈においては好ましく、より好ましいnは2である。
【0057】
最後に、他の実施態様において、式(I)の化合物においてR5およびR6は互いに独立してC1-6アルキルである、または、それらが結合している窒素原子とともに置換されたまたは置換されていないヘテロシクリル基、特に、モルホリニル、ピペリジニルおよびピロリジニル基から選択される基を形成することが好ましい。より好ましくは、R5およびR6は共にモルホリン-4-イル基を形成する。
【0058】
本願発明の好ましいバリアントにおいて、式(I)のσリガンドは:
[1] 4-{2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル}モルホリン,
[2] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[3] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[4] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[5] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[6] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[7] 3-{1-[2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン-4-イル}-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン,
[8] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-4-メチルピペラジン,
[9] エチル-4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジンカルボキシレート,
[10] 1-(4-(2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル)ピペラジン-1-イル)エタノン,
[11] 4-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[12] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[13] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[14] 1-[2-(1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン,
[15] 1-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[16] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル} モルホリン,
[17] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[18] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[19] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[20] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[21]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[22] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン,
[23] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール,
[24] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン,
[25] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-メチルピペラジン,
[26] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1H-イミダゾール,
[27] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン,
[28] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-フェニルピペリジン,
[29] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-6,7-ジヒドロ-1H-インドール-4(5H)-オン,
[30] 2-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[31] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[32] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[33] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[34] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[35] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[36] 2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[37] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[38] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]N,N-ジエチルエタンアミン,
[39] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[40] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[41] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[42] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジン,
[43] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピロリジン-3-アミン,
[44] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[46]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[47] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[48] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[49] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[50] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン,
[51](2S,6R)-4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-2,6-ジメチルモルホリン,
[52] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン,
[53] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール,
[55] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン,
[56] N-ベンジル-4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-メチルブタン-1-アミン,
[57]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルブタン-1-アミン,
[58] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}チオモルホリン,
[59] 1-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-(2-モルホリノエトキシ)-1H-ピラゾール-4-イル]エタノン,
[60] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン,
[61] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン
[62] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン,
[63] 4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[64] N,N-ジエチル-2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エタンアミン,
[65] 1-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[66] 5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾールおよび薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和物またはそれらの機能するプロドラッグから選択される。
【0059】
本願発明の好ましいバリアントは、式(I)のσリガンドが4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンまたはそれらの塩である。
【0060】
好ましくは、使用される式(I)の化合物は、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリドである。
【0061】
これら特定の化合物は、本願発明の実施例において、化合物63(またはそれらの塩)として記載されている。
【0062】
本願発明の好ましい実施態様は、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリド、ならびに、モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドン、およびブプレノルフィンから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートの組み合わせの使用を含む。本願発明の好ましい実施態様において、利用されるオピエートはモルヒネまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはトラマドールまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはスフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはレミフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはタペンタドールまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはオキシコドンまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはブプレノルフィンまたはそのアナログである。
【0063】
これらのオピオイドまたはオピエートのアナログは当業者によく知られており、一般に構造的にそれらに由来する任意の化合物であり、医薬として許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物を含む。従って、「モルヒネアナログ」は、構造的にモルヒネに由来する任意の化合物である(例えば、欧州登録特許EP0975648に公開されている)。モルヒネの特定のアナログは、ヒドロモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、デソモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネおよびエチルモルヒネを含む。
【0064】
式(I)の化合物およびその塩または溶媒和物は、国際公開番号2006/021462出願において以前に公開されたように調製し得る。
【0065】
本願発明はさらに、前記式(I)のσリガンドを含む医薬組成物、または薬剤として許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物、および、少なくとも一つの医薬として許容可能な担体、添加剤、アジュバントもしくはビヒクルと一緒にまたは個別に組み合わせたオピオイドまたはオピエートの使用に関する。
【0066】
補助材料または添加物は担体、添加剤、支持剤、潤滑剤、フィラー、溶媒、希釈剤、着色剤、砂糖などの風味調整剤、抗酸化剤、および/または接着剤から選択され得る。坐薬の場合、ワックスまたは脂肪酸エステルもしくは保存剤、乳化剤、および/または非経口使用の担体を意味し得る。これら補助材料および/または添加剤の選択、ならびに、使用される量は医薬組成物の使用形態に依存する。
【0067】
本願発明の医薬組成物は、経口または非経口(例として、経肺、経鼻、直腸および/または静脈内)である、任意の投与形態に適合し得る。従って、本願発明に従った処方は、局所または全身への使用、特に経皮、皮下、筋肉内、関節内、腹腔内、経肺、口腔、舌下、経鼻、経皮、膣内、経口または非経口使用に適合し得る。直腸使用の好ましい形態は坐薬による。
【0068】
経口使用に適する調製は、錠剤、ピル、チューインガム、カプセル、顆粒、ドロップまたはシロップである。非経口使用に適する調製は、溶液、懸濁液、再構成可能な乾燥状態での調製物またはスプレーである。
【0069】
本願発明の組み合わせは、経皮使用用に、溶解形態中またはパッチ中の沈着物として処方される。肌への使用は、軟膏、ジェル、クリーム、ローション、懸濁液または乳液を含む。
【0070】
本願発明を一般的な用語で記載したので、例示している、本願発明を限定する意図のない、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解できる。
【0071】
本願発明の組み合わせは、少なくとも一つの医薬として許容可能な担体、添加剤、アジュバントまたはビヒクルとの、同時、個別または連続的な投与のために処方され得る。これは、式(I)のσリガンドおよび前記オピオイドまたはオピエートの組み合わせが、
a) 同じ薬剤処方の一部である組み合わせであって、両方が常に同時投与される組み合わせとして
b) 2つのユニットの組み合わせとして、それらのうちの一方が、それぞれ、同時、連続または個別投与の可能性を生じさせる組み合わせとして、
投与され得ることを意味する。特定の実施態様において、式(I)のσリガンドはオピオイドまたはオピエートから独立して(すなわち2つのユニット)であるが、同時に投与される。その他の実施態様において、式(I)のσリガンドは最初に投与され、その後オピオイドまたはオピエートが個別にまたは連続的に投与される。さらなる他の実施態様においては、オピオイドまたはオピエートは最初に投与され、その後式(I)のσリガンドが個別または同時に投与される、と定義される。
【0072】
本願発明の特定の実施態様において、外科手術の結果として生じる疼痛は、末梢神経痛、異痛、灼熱痛、痛覚過敏(hyperalgesia)、知覚過敏、痛覚過敏(hyperpathia)、神経痛、神経炎または神経障害である。より好ましくは、疼痛は痛覚過敏または機械的異痛である。
【0073】
「神経障害性疼痛」は、IASPにより、「神経系の初期病巣または機能不全によって発生または生じる疼痛」として定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。本願発明の目的において、この用語を、ISAPにより、「末梢もしくは中枢神経系の初期病巣、機能不全または一時的な混乱によって発生または生じる疼痛」として定義されている「神経原生疼痛」と同義語として扱う。本願発明の神経障害性疼痛は、手術の結果として生じる神経障害性疼痛に限定される。
【0074】
IASPによれば、「末梢神経障害痛」は、「末梢神経系の初期病巣または機能不全によって発生または生じる疼痛」と定義されており、「末梢神経原生疼痛」は、「末梢神経系の初期病巣、機能不全または一時的な混乱によって発生または生じる疼痛」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 213)。
【0075】
IASPによれば、「異痛」は、「通常は痛みを誘発しない刺激による疼痛」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。
【0076】
IASPによれば、「灼熱痛」は、「外傷性神経病変後に、燃えるような痛み、異痛、および痛覚過敏(hyperpathia)が持続する徴候で、しばしば血管運動および汗腺機能不全ならびに後の栄養変化を伴う」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。
【0077】
IASPによれば、「痛覚過敏(hyperalgesia)」は、「通常痛みをもたらす刺激に対する応答が増大すること」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 211)。
【0078】
IASPによれば、「知覚過敏」は、「感覚以外の刺激に対する感度が増大すること」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 211)。
【0079】
IASPによれば、「痛覚過敏(hyperpathia)」は、「刺激、特に反復性の刺激に対する、異常な痛みの反応と閾値の増大に特徴づけられる痛みの徴候」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0080】
IASPは、「異痛」、「痛覚過敏(hyperalgesia)」および「痛覚過敏(hyperpathia)」の間の以下の違いを示した(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0081】
【表1】
【0082】
IASPによれば、「神経痛」は、「単一または複数の神経の分布の痛み」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0083】
IASPによれば、「神経炎」は、「単一および複数の神経の炎症」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0084】
IASPによれば、「神経障害/神経炎」は、「神経における(一つの神経の単神経炎における:複数の神経の多発性単神経炎における、対称性または広汎性であれば多発性神経障害における)機能の混乱または病変」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0085】
いくつかの実施態様において、術後疼痛は1つまたは複数の:熱誘発性疼痛、機械的誘発性疼痛、または安静時疼痛を含む。例えば、術後疼痛は機械的誘発性疼痛および/または安静時疼痛を含み得る。いくつかの場合において、術後疼痛は安静時疼痛を含む。
【0086】
ある実施態様において、異痛が抑制、改善および/または予防され、またいくつかの実施態様において、痛覚過敏(hyperalgesia)が抑制、改善および/または予防された。いくつかの例では、疼痛は慢性疼痛である。その他の場合では、疼痛は外傷、創傷または切断1つまたは複数の部位に存在しており、隣接しており、および/または、近くである。ある実施態様において、式(I)のσリガンドとオピオイドまたはオピエートとの組み合わせは、結果として外傷、創傷または切断となる可能性がある、外科手術などの行為に先立って投与され得る。例えば、式(I)のσリガンドとオピオイドまたはオピエートとの組み合わせは、30分、1時間、2時間、5時間、10時間、15時間、24時間またはそれ以上、例えば1日、数日またはさらには1週間、2週間、3週間またはそれ以上、外傷、創傷または切断という結果となる可能性がある、外科手術などの行為に先立って投与され得る。他の実施態様において、式(I)のσリガンドおよびオピオイドまたはオピエートの組み合わせは、外科手術または外傷、創傷もしくは切断という結果となる行為の間および/もしくは後に投与され得る。いくつかの実施態様では、式(I)のσリガンドおよびオピオイドまたはオピエートの組み合わせは、外科手術または外傷、創傷もしくは切断という結果となる活動の後1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、30時間、36時間もしくはそれ以上で投与され得る。
【0087】
本願発明のある実施態様において、式(I)のσリガンドは、治療的に有効な量使用されることが好ましい。医師は、最も適切な本願の治療剤の用量を決定する。それは、投与の形態および選択される特定の化合物とともに変化し、さらには治療を受ける患者、患者の年齢および体重、治療の受ける疼痛の型、その重篤度によって変化する。一般的に、実質的には、化合物の最適用量未満の低用量で治療を開始し、当該条件下で最適効果に到達するまで少しずつ増やしていくことが望ましい。化合物が経口投与される場合、非経口投与でより少ない量で得られるものと同じ効果を生むためには、より大量の活性剤が必要とされる。前記化合物は、比較治療薬と同様に有用であり、用量レベルは、これらの他の治療剤で一般に適用されるものと同じ桁内である。
【0088】
本願発明によると、オピオイドおよびオピエートの用量は、式(I)のσリガンドと組み合わせる場合に減退し、従って少ない用量で同じ鎮痛効果を達成し、結果として依存を軽減する。式(I)のσリガンドは、オピオイドの1.2、1.5、2、3、4倍、またはそれ以上、さらにいくつかの場合においては14または15倍の鎮痛効果の増大を誘導し得る。例えば、モルヒネでの機械的異痛試験の場合、10mgの化合物63では、2.7%から29%への増大が観察された(図1参照)。他の用量での同様の試験では、14.7%から56.3%、44.0%から83.0%、または、41.0%から93.8%の増大に到達した。
【0089】
例えば、患者に投与されるべき投与方法は、患者の体重、適用の型、疾患の状態および重篤度に依る。好ましい投与方法は、式(I)の化合物が0.5から100mg/kg、オピオイドまたはオピエートが0.15から15mg/kgの範囲内での投与を含み得る。投与は、単回または複数回で実施され得る。
【0090】
以下の実施例は、本願発明のある実施態様を例示しているにすぎず、決して本願発明を限定するものとは考慮されない。
【実施例】
【0091】
<実施例1. 4-{2-[5-メチル-1 -(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン(化合物63)及びその塩酸塩の合成>
【0092】
【化2】
【0093】
化合物63は、前の出願である国際公開第2006/021462号に記載の通りに調製され得る。その塩酸塩は以下の手順に従って得られ得る。
【0094】
化合物63(6.39g)を塩酸で飽和したエタノール中に溶解した後、混合物を数分間撹拌し、蒸発乾固させた。残渣をイソプロパノールから結晶化した。最初の結晶化由来の母液は、濃縮することにより二度目の結晶化が可能である。両結晶化を合わせて、相当する塩酸塩(融点197-199℃)が5.24g(63%)得られた。
【0095】
1H-NMR(DMSO-de) δppm:10,85(bs,1H), 7,95(m,4H), 7,7(dd,J=2,2, 8,8Hz, 1H), 7,55(m,2H),5,9(s,1H), 4,55(m,2H), 3,95(m,2H), 3,75(m,2H), 3,55-3,4(m,4H), 3,2(m,2H), 2,35(s,3H).
HPLC純度:99.8%
【0096】
<実施例2.ラットにおける術後疼痛の鎮痛活性の評価:術後疼痛の治療における化合物63、オピオイドおよびオピエートの相乗的効果の増大>
【0097】
a)術後疼痛の治療における鎮痛評価の一般的プロトコール
ラットにおける鎮痛誘導は、オメダ社製噴霧器および麻酔チャンバーを用い、家畜用の3%イソフルランで実施した。鎮痛は外科手術の間中、イソフルランガスを動物の口へ運ぶチューブを介して続けられた。ラットを麻酔した時点でうつぶせにし、右後肢をアルコールで清潔にした。
【0098】
その後、後肢のかかとから約5mmから開始し、つま先に向かって約10mmの皮膚切開を外科用メスで作った。筋膜の場所を見つけ、反りバサミで筋肉を持ち上げ、約5mmの縦の切開を作った。従って、筋肉組織および付着部は無傷のままであった。従って、表面(皮膚)および深部(筋肉組織)の両方、ならびに神経が損傷した。足の皮膚の傷は、絹製縫合糸(3.0)で縫合し、傷口はポビドンで清潔にした。
【0099】
評価は、常に外科手術(足の切開)後4時間、前記産物の投与後30分または60分で実施した。2種類の分析を行った。
【0100】
-機械的異痛は、von Freyフィラメントを用いて試験した:動物を、フィラメントを入れるための金属メッシュの床面と共に表面を上昇させたメタクリレートシリンダー中に置いた。シリンダー中で約30分間順応させたのち、両足(傷のあるおよび傷のない足で、後者は対照を提供している)を、最も力の弱いフィラメント(0.4g)から開始し1.5gのフィラメントに至るまで、刺激した。動物の応答を、フィラメントによって生じる痛みの刺激の結果足を引っ込めることにより明らかにした。圧力(重量グラム)の閾値を記録した。
【0101】
-温熱性痛覚過敏は、Ugo Basileプランターテストを用いて試験した:動物を、クリスタルの床面のある同様の装置のメタクリルレートケージに入れた。ケージへの順応時間は10分間だった。温熱刺激は、クリスタルの床面の下で動くランプから発生して両足を刺激した。学習行動を避けるため、両刺激の間の最小間隔は1分間であった。ラットはランプからの熱によって生じた痛みを感じた場合には自由に足を引っ込めることができる。その後スイッチを切り、引っ込め反応のレイテンシータイムを秒単位で記録した。動物の足を傷つけることを避けるため、ランプは、32秒後に自動的にスイッチが切れた。
【0102】
b)オピエート:モルヒネ
ラットにおけるモルヒネおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)モルヒネを一定用量0.625mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0103】
その後、モルヒネと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、モルヒネの用量は一定のままだった(0.625mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0104】
治療される対象は、前記の機械的異痛および温熱性痛覚過敏のプロトコールに従って試験した。化合物63は、両プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてモルヒネの鎮痛を増大させた。図1、2および5参照。
【0105】
c)オピオイド:トラマドール
ラットにおけるトラマドールおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)トラマドールを一定用量1.25mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0106】
その後、トラマドールと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、トラマドールの用量は一定のままだった(1.25mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0107】
治療される対象は、前記の機械的異痛および温熱性痛覚過敏のプロトコールに従って試験した。化合物63は、両プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてトラマドールの鎮痛を増大させた。図3、4および6参照。
【0108】
d)オピオイド:スフェンタニル
ラットにおけるスフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)スフェンタニルを一定用量0.003mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0109】
その後、スフェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、スフェンタニルの用量は一定のままだった(0.003mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0110】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてスフェンタニルの鎮痛を増大させた。図7参照。
【0111】
e)オピオイド:レミフェンタニル
ラットにおけるレミフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)レミフェンタニルを一定用量0.01mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0112】
その後、レミフェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(2.5、5、10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、レミフェンタニルの用量は一定のままだった(0.01mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0113】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてレミフェンタニルの鎮痛を増大させた。図8参照。
【0114】
f)オピオイド:フェンタニル
ラットにおけるフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)フェンタニルを一定用量0.01mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0115】
その後、フェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、フェンタニルの用量は一定のままだった(0.01mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0116】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてフェンタニルの鎮痛を増大させた。図9参照。
【0117】
g)オピオイド:タペンタドール
ラットにおけるタペンタドールおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)タペンタドールを一定用量1.25mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0118】
その後、タペンタドールと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、タペンタドールの用量は一定のままだった(1.25mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0119】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてタペンタドールの鎮痛を増大させた。図10参照。
【0120】
g)オピオイド:オキシコドン
ラットにおけるオキシコドンおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)タペンタドールを一定用量0.039mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0121】
その後、オキシコドンと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(2.5、5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方、オキシコドンの用量は一定のままだった(0.039mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0122】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてオキシコドンの鎮痛を増大させた。図11参照。
【0123】
i)オピオイド:ブプレノルフィン
ラットにおけるブプレノルフィンおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)ブプレノルフィンを一定用量0.0015mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0124】
その後、ブプレノルフィンと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方、オキシコドンの用量は一定のままだった(0.0015mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0125】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてブプレノルフィンの鎮痛を増大させた。図12参照。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オピオイドおよびオピエートの鎮痛効果の促進およびその依存性の軽減のためのσ受容体リガンドの使用、ならびに疼痛治療における使用のためのσリガンドとオピオイドまたはオピエートの組み合わせに関する。特に、本願発明は、術後疼痛の治療および/または予防に関連するオピオイドおよびオピエート鎮痛の促進に関する。
【背景技術】
【0002】
医学において、疼痛状態の治療は非常に重要である。現在、さらなる疼痛治療が世界中で必要となっている。疼痛状態の具体的な治療の差し迫った必要性は、近年、応用鎮痛剤の分野で、多くの科学的研究において立証されてきている。
【0003】
PAINは、国際疼痛学会(International Association for Study of Pain;IASP)によって、「実際のまたは潜在的な組織損傷を伴う、または、そのような損傷があるように表現される不快な感覚性および情動性の体験。」(IASP, Classification of chronic pain,2nd Edition, ISAP Press(2002),210)と定義される。それは、生理学的および心理学的な因子の両方によって影響される複雑な過程であり、常に主観的であるが、その原因および徴候は分類され得る。関連のある疼痛のサブタイプのほとんどのうちのいくつかは、神経因性疼痛、異痛、痛覚過敏および末梢神経障害である。
【0004】
毎年2000万人を超える患者が外科的処置を受けている。術後疼痛(切開後疼痛と区別しない用語)、または、外科手術後もしくは外傷後に生じる疼痛は、重大でしばしば解決困難な医療上の問題である。疼痛は、通常、外科手術箇所付近の範囲内で、局所的である。術後疼痛は二つの臨床的に重要な側面、すなわち、安静時疼痛または患者が運動していない時に起こる疼痛、および、運動(咳/くしゃみ、起床、理学療法など)によって悪化する機械的疼痛を有し得る。大手術の術後疼痛管理の主要な問題は、現在使用されている薬剤が、回復の遅延、入院期間の延長、およびある種の脆弱な患者が重度の合併症の危険に晒される、といった様々な顕著な副作用を有することである。
【0005】
術後疼痛の治療に用いられる主要な三種類の医薬は、オピオイド鎮痛剤、局所麻酔および非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti- inflammatory drug;NSAID)である。これらの薬品種のうちの二つ、オピオイド鎮痛剤およびNSAIDは、通常全身に投与されるが、局所麻酔薬(例えば、チャネル阻害剤)は、手術中に局所に投与される。
【0006】
外科手術後の疼痛を緩和するために薬剤を全身投与することは、しばしば不適切である。例えば、外科手術後のオピオイドの全身投与は、吐き気、腸機能阻害、残尿、肺機能阻害、心臓血管系への影響および鎮静を引き起こし得る。
【0007】
「術後疼痛」は、「切開後疼痛」または「外傷後疼痛」と区別せず、個体の組織内に至る、切断、穿刺、切開、裂傷または創傷(侵襲性または非侵襲性の、すべての外科的処置から生じるものを含む)すなわち外科手術の結果として生じる痛み、を生じる、またはその結果として生じる疼痛に関する。本願明細書で使用する場合、「術後疼痛」は、外的な身体外傷なしで生じる痛みは含まれない。いくつかの実施態様において、術後疼痛は、内的または外的な痛みであり、創傷、切断、外傷、裂傷もしくは切開は、偶然(外傷性創傷と同様に)または故意に(外科的切開と同様に)生じ得る。本願明細書で使用される場合、「疼痛」は、痛覚および痛みの知覚を含み、疼痛は、疼痛スコアおよびその他の方法(例えば当業者によく知られたプロトコール)を用いて主観的および客観的に評価され得る。術後疼痛は、本願明細書に使用される場合、異痛(すなわち、通常痛みを引き起こさない刺激による痛み)、および、本来熱または機械的(触覚の刺激)であり得るものの後に来る痛覚過敏(すなわち、通常痛みをもたらす刺激に対する応答が増大される)を含む。従って、疼痛は、温度感受性、機械的刺激感受性、および/または、安静時疼痛(例えば外的刺激のない持続的疼痛)が特徴的である。さらには、疼痛は一次疼痛(例えば、痛みを引き起こす出来事の直接的な結果として生じる)または二次疼痛(例えば、痛みを引き起こす出来事に関連しているが直接的な結果ではなく生じるもの)であり得る。
【0008】
術後切開疼痛における異種の動物モデルおよび調査でも、同様のことが当業者間で報告されている(T.J. Brennan et al. Pain 1996, 64, 493-501 ; P.K. Zahn et al. Regional Anaesthesia and Pain Medicine 2002, Vol. 27, No 5 (September-October), 514-516)。
【0009】
オピオイドおよびオピエートは、有効な鎮痛剤であり、臨床診療で広く使用されている。オピオイドおよびオピエート薬剤は、通常、リガンドとして特定の薬剤種が結合する細胞および分化組織受容体に関する結合選択性によって分類される。これらの受容体は、ミュー(μ)、デルタ(δ)、カッパー(κ)および侵襲性受容体を含む。
【0010】
モルヒネおよびそのアナログなどのよく知られた麻酔性のオピエートは、オピオイドμ受容体について選択的である。μ受容体は、鎮痛、呼吸器障害および胃腸管通過阻害を介在する。κ受容体は鎮痛および鎮静を調節する。しかしながら、鎮痛剤としてのその良好な活性にも関わらず、オピオイドおよびオピエートは依存を引き起こすという欠点がある。
【0011】
σ受容体は、鎮痛に関連する過程におけるその役割のために、薬理学において非常に興味深い非オピエート型の受容体である。σ結合部位は、ある種のオピエートベンゾモルファンの右旋性の異性体、例えば(+)SKF 10047、(+)シクラゾシンおよび(+)ペンタゾシンなど、ならびにさらにハロペリドールなどのいくつかの睡眠薬に対して選択的親和性を有する。σ受容体は、これらの薬理学的に活性な薬剤の立体選択的異性体によって区別し得る少なくとも二つのサブタイプを有する。(+)SKF 10047はσ1(σ-1)部位に対してナノモルの親和性を有し、σ2(σ-2)部位に対してマイクロモルの親和性を有する。ハロペリドールはいずれのサプタイプにも同様の親和性を有する。
【0012】
オピオイドまたはオピエートとの組み合わせで幾つかのσリガンドはその鎮痛効果を調節する能力があることが報告されている。例えば、ハロペリドールは、モルヒネ、DADLまたはブレマゾシンなどの異なるオピオイドおよびオピエートの活性を促進することが知られている(Chichenkov, O. N. et al: Effect of haloperidol on the analgesic activity of intracisternally and intrathecally injected opiate agonists, Farmakologiya i Toksikologiya (Moscow) (1985), 48(4), 58-61)。Chienらは、ハロペリドールとモルヒネの組み合わせの相乗効果についても言及し(Selective antagonism of opioid analgesia by a sigma system, J Pharmacol Exp Ther (1994), 271 , 1583-1590 and Sigma antagonists potentiate opioid analgesia in rats, Neurosci Lett (1995), 190, 137-139)、Marazzoらは、σリガンド(+)-MR200のκ-オピオイド受容体介在鎮痛作用を調節する能力を報告した。Meiらは、オピオイド薬剤の鎮痛活性の調節システムにおけるσ-1受容体の重要性を確認した(Sigmal receptor modulation of opioid analgesia in the mouse, J Pharmacol Exp Ther (2002), 300(3), 1070-1074)。それにもかかわらず、これらのすべての場合において、オピオイドおよびオピエートによって引き起こされる依存の問題が、依然として存在する。
【0013】
オピオイドおよびオピエート依存の問題を解決する薬理学的アプローチのひとつは、オピオイドまたはオピエートとσリガンドの共投与である。例えば、σ-1受容体アゴニストSA4503はモルヒネ依存に対する調節効果を有することが示されている(Nomura, M. et al: Studies on drug dependence (Rept. 322): Attenuation of morphine- and psychostimulants-induced place preference by sigmal receptor agonist SA4503, 72nd Annual Meeting of the Japanese Pharmacological Society (Sapporo, Japan-March 1999))。さらに、σ-1アゴニストDHEAは、モルヒネ依存の進行をいくぶん減衰させる能力を示している(Noda, Y. et al: A neuroactive steroid, dehydroepiandrosterone sulfate, attenuates the development of morphine dependence: an association with sigmal receptors, 31 st Annual Meeting of the Society of Neuroscience (San Diego-Nov 2001 )。EP1 130018は、モルヒネ、コカインおよびメタフェタミンへの薬物依存の治療に対するσリガンドの使用を報告している。しかしながら、これらのアプローチはいずれもモルヒネの鎮痛効果の増進を示していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】(Chichenkov, O. N. et al: Effect of haloperidol on the analgesic activity of intracisternally and intrathecally injected opiate agonists, Farmakologiya i Toksikologiya (Moscow) (1985)
【非特許文献2】Selective antagonism of opioid analgesia by a sigma system, J Pharmacol Exp Ther (1994), 271 , 1583-1590 and Sigma antagonists potentiate opioid analgesia in rats, Neurosci Lett (1995), 190, 137-139
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、既知の薬剤で示される副作用を減らす、術後疼痛の新しい治療法を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
〈発明の簡単な説明〉
本願発明の発明者は、オピオイドまたはオピエートと併用させたいくつかの特定のσ受容体リガンドの投与は、それに伴う依存を軽減する一方で、オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を相乗的に驚くほど促進し得ることを見出だし、示した。
【0017】
従って、本願発明のある態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療における使用のための、式(I)に示すσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物の少なくとも一つ、および少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時の、個別のまたは連続的な投与のための組み合わせに関する。
【0018】
【化1】
【0019】
(R1は水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より選択される;
R2は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より選択される;
R3およびR4は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より独立して選択される、または、任意でそれらが共に縮合環系を形成する;
R5およびR6は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、 -OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9またはハロゲンから形成される群より独立して選択される;
または、結合している窒素と共に置換されたもしくは置換されていない芳香族もしくは非芳香族のヘテロシクリル基を形成する;
nは1、2、3、4、5、6、7または8;
tは1、2、または3から選択される;
R8およびR9は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないアルコキシ、置換されたまたは置換されていないアリールオキシまたはハロゲンより各々独立して選択される。)
【0020】
本願発明のさらなる態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果の促進用、および/または、その依存の軽減用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物に関する。
【0021】
本願発明のさらなる態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果の促進用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物に関する。
【0022】
本願発明のさらなる態様は、手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際の、前記オピオイドまたはオピエートの依存の軽減用の、前記で定義された式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物に関する。
【0023】
本願発明の他の態様は、前記で定義された式(I)または薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物のσリガンドの少なくとも一つ、ならびに、手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療用医薬の製造のための、少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時の、個別のまたは連続的な投与のための組み合わせの使用に関する。
【0024】
本願発明の他の態様は、外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療に関わる、オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進し、および/またはその依存を軽減させる医薬の製造のための、前記で定義された式(I)のσリガンド、または、薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグもしくはその溶媒和物の使用に関する。
【0025】
本願発明の他の態様は、そのような治療、または、前記で定義された式(I)もしくは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたはその溶媒和物、およびオピオイドもしくはオピエートの少なくとも一つを含む、治療的に有効な量の組み合わせの予防薬の必要がある患者への投与を含む治療で、
外科手術の結果として生じる疼痛に罹患した患者、または、外科的処置の結果として起こり得る苦痛の治療方法である。
【0026】
これらの実施態様およびその好ましい実施態様は、追加的に請求項にも定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+M vs. モルヒネ;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+M vs.化合物63
【図2】ラット温熱性痛覚過敏症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+M vs. モルヒネ;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+M vs.化合物63
【図3】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+T vs. トラマドール;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+T vs.化合物63
【図4】ラット温熱性痛覚過敏症モデルにおける化合物63(5、10、20および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) n=10、#:p < 0.05; ns:p > 0.05Dunnett、化合物63+T vs. トラマドール;**:p <0.01;***:p>0.001 t-Student, 化合物63+T vs.化合物63
【図5】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるモルヒネ鎮痛増進(0.625 mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図6】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるトラマドール鎮痛増進(1.25 mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図7】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、および40mg/kg)によるスフェンタニル鎮痛増進(0.003mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図8】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(2.5、5、10、20、40および80mg/kg)によるレミフェンタニル鎮痛増進(0.01mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図9】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(10、20、40および80mg/kg)によるフェンタニル鎮痛増進(0.01mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図10】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20、40および80mg/kg)によるペンタドール鎮痛増進(1.25mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図11】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(2.5、5、10、20および40mg/kg)によるオキソコドン鎮痛増進(0.039mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【図12】ラット機械的異痛症モデルにおける化合物63(5、10、20および40mg/kg)によるブプレノルフィン鎮痛増進(0.0015mg/kg) *:p <0.05(Dunnett);# ns(差なし;no significant):p > 0.05(Dunnett)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の文脈において、次の用語は下記の詳しい意味を有する。
【0029】
「アルキル」は、炭素原子および水素原子から成り、不飽和を含まず、1つから8つの炭素原子を有し、それらが単結合によって残りの原子に結合している(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルなど)、直鎖または分枝した炭化水素鎖基に関する。アルキル基は、任意でアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオなどの1つまたは複数の置換基で置換され得る。アリールで置換された場合は、ベンジルやフェネチルなどの「アルキルアリール」基が得られる。ヘテロシクリルで置換された場合は、「ヘテロシクリル」基が得られる。
【0030】
「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子を有し、1つまたは複数の不飽和結合を有するアルキル基に関する。特定の実施態様において、アルケニル基は、2つから8つの炭素原子を有する。特定の実施態様において、アルケニル基はビニル、1-メチル-エチニル、1-プロペニル、2-プロペニルまたはブテニルである。
【0031】
「シクロアルキル」は、飽和または一部飽和で、シクロヘキシルまたはアダマンチルなどの炭素および水素原子のみから成る、安定な三から十員環の単環式または二環式の基に関する。本願明細書において特に示さない限り、「シクロアルキル」という用語は、任意でアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニルなどの1つまたは複数の置換基で置換されたシクロアルキル基を含むことを意味する。
【0032】
「アリール」は、分離および/または縮合しているアリール基を含んでいる多環基を含む、単環および多環基に関する。典型的なアリール基は、1つから3つの分離または縮合している環、および、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリルまたはアントラニル基などの6つから18の炭素環原子を含んでいる。アリール基は、任意で、ヒドロキシ、メルカプト、ハロゲン、アルキル、フェニル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、その他などの1つまたは複数の置換基で置換され得る。
【0033】
「ヘテロシクリル」は、炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄から成る群より選択される1つから5つのヘテロ原子から成る安定な三から十五員環基、好ましくは1つまたは複数のヘテロ原子を含む四から八員環、より好ましくは1つまたは複数のヘテロ原子を含む五または六員環に関する。ヘテロシクリルは芳香族または非芳香族であり得る。本願発明の目的のため、複素環は、縮合環系を含み得る単環式、二環式または三環式であり得て;ヘテロシクリル基中の窒素、炭素または硫黄原子が任意で酸化され得て;窒素原子は任意で四級化され;ヘテロシクリル基は部分的または完全に飽和または芳香族であり得る。このような複素環の例は、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、クマリン、モルフォリン、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、トリアゾール、イミダゾールなどを含むが、これらに限らない。
【0034】
「アルコキシ」は、Raが前記で定義されたアルキル基である、式-ORaの基に関する(例えばメトキシ、エトキシ、プロキシなど)。同じように、「アリールオキシ」は、Rcが前記で定義されたアリール基である、式-ORcの基に関する(例えばフェノキシ)。
【0035】
「アミノ」は、任意で四級化された式-NH2、-NHRaまたは-NRaRbの基に関する。本願発明のある実施態様において、各-Raおよび-Rbは、前記で定義されたアルキル基より独立して選択される。
【0036】
「ハロゲン」または「ハロ」は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素に関する。
【0037】
本願発明の化合物の置換基の本願明細書中の参照は、1つまたは複数の利用可能な位置で、1つまたは複数の適する基(例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アシルなどのC1〜C6アルカノイル基などのアルカノイル;カルボキシアミド;1つから約12の炭素原子または1つから約6の炭素原子および好ましくは1つから3つの炭素原子を有する基を含むアルキル基;1つまたは複数の不飽和結合および2つから約12または2つから約6つの炭素原子を有する基を含むアルケニルおよびアルキニル基;1つまたは複数の酸素結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つまたは複数のチオエーテル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルチオ基;1つまたは複数のスルフィニル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルスルフィニル基; 1つまたは複数のスルホニル結合および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する部分を含むアルキルスルホニル基;1つまたは複数の窒素原子および1つから約12または1つから約6つの炭素原子を有する基などのアミノアルキル基;6つまたはそれより多くの炭素を有する、特にフェニルまたはナフチルおよびベンジルなどのアラルキルである、カルボサイクリックアリール)で置換され得る、特定の部分に関する。示さない限りは、任意の置換基は、基が置換可能な各位置に置換基を有し得て、各置換はその他と独立している。
【0038】
「オピオイド」および「オピエート」は、オピオイド受容体に結合する化合物に関する。本願発明の範囲内のオピオイド受容体に結合する化合物は、モルヒネ、コデインおよびテバインなどの天然オピエート;ヒドロモルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルヒネ、デソモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネおよびエチルモルヒネなどの、天然オピエート由来の半合成オピエート;スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、ペチジン、メタドン、タペンタドール、トラマドールおよびプロポキシフェンなどの全合成モルヒネ;および、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィンおよびエンドモルフィン体内で天然に産生される内在性オピオイドペプチドならびにそれらのアナログなどを含む。
【0039】
「塩」という用語は、本願発明に従って使用される活性な化合物の任意の形態として理解されるべきであり、前記化合物はイオン形態または荷電し、対イオン(カチオンまたはアニオン)と対となっているか、または溶液中にある。この定義はまた、4級アンモニウム塩、ならびに、活性分子とその他の分子およびイオンの複合体、特にイオン相互作用を介して形成される複合体を含む。前記定義は、特に生理学的に許容可能な塩を含む;この用語は「薬学的に許容可能な塩」と同等であると理解されるべきである。
【0040】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本願明細書の文脈において、適切な方法で治療に使用される、または、特にヒトおよび/または哺乳類に使用もしくは適用される場合に、生理学的に耐容性のある(通常、特に対イオンの結果として、非毒性であることを意味する)任意の塩を意味する。これら生理学的に許容可能な塩は、カチオンまたは塩基で形成され、本願発明に文脈においては、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、本願発明に従って使用される少なくとも一つの化合物−通常は(脱プロトン化された)酸−(例えば、陰イオン)と少なくとも一つの生理学的に耐容性のある陽イオン、好ましくは無機カチオンとによって形成される塩であると理解されるべきである。アルカリおよびアルカリ土類金属との塩は、アンモニウムカチオン(NH4+)で形成される塩同様に特に好ましい。好ましい塩は、(モノ)または(ジ)ナトリウム、(モノ)または(ジ)カリウム、マグネシウムまたはカルシウムで形成される。これらの生理学的に許容可能な塩はまた、アニオンおよび酸で形成され、本願発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類に使用する場合、本願発明に従って使用される少なくとも一つの化合物―通常、例えば窒素がプロトン化された―(例えば、カチオン)と少なくとも一つの生理学的に耐容性のあるアニオンとによって形成される塩であるとして理解されるべきである。この定義は、具体的には、本願発明の文脈において、特にヒトおよび/または哺乳類において使用される際には、生理学的に耐容性のある酸によって形成される塩、すなわち、生理学的に耐容性のある有機または無機酸と特異的な活性のある化合物の塩を含む。このタイプの塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデリン酸、フマル酸、乳酸またはクエン酸と形成される塩である。
【0041】
本願発明に従い、「溶媒和物」という用語は、化合物が他の分子(通常、極性溶媒)へ非共有結合によって結合している、本願発明に従った活性な化合物の任意の形態という意味として理解されるべきであり、特に水和物、例えばメタノレートなどのアルコレートを含む。好ましい溶媒は水和物である。
【0042】
式(I)のσリガンドのプロドラッグである任意の化合物はまた、本願発明の範囲内である。「プロドラッグ」という用語は、最も広義で使用され、in vivoで本願発明の化合物へ変化するそれらの誘導体を含む。プロドラッグの例は、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カルボネート、生物加水分解性ウレイド、および生物加水分解性ホスフェートアナログを含む、式(I)の化合物の誘導体および代謝物を含むが、それらに限らない。好ましくは、カルボキシ官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボキシ酸の低級アルキルエステルである。前記カルボキシ酸エステルは、分子上に存在する任意のカルボキシ酸部分のエステル化によって、都合よく形成される。プロドラッグは、典型的には、例えばBurgerによって「Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版」(Donald J. Abraham ed. 2001, Wiley)および「Design and Applications of Prodrugs」(H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers)に記載された、よく知られた方法を用いて調製され得る。
【0043】
本願明細書に関する任意の化合物は、特定の化合物およびある変化または形態などを示すことを目的としている。特に、本願明細書で参照される化合物は、不斉中心を有し得て、従って異なるエナンチオマー体またはジアステレオマー体が存在し得る。従って、本願明細書に参照される任意の所定の化合物は、任意の一つのラセミ体、1つまたは複数のエナンチオマー体、1つまたは複数のジアステレオマー体、およびそれらの混合物を示すことを目的としている。同様に、二重結合における立体異性および幾何学異性もまた可能であり、従っていくつかの場合においては、分子は(E)-異性体または(Z)-異性体(トランスおよびシス異性体)として存在し得る。分子がいくつかの二重結合を含む場合は、各二重結合が、当該分子のその他の二重結合の立体異性と同じ、または異なり得る、自身の立体異性を有する。さらに、本願明細書に参照される化合物は、アトロプイソマーとしても存在し得る。本願明細書に参照される化合物の、エナンチオマー、ジアステレオマー、ジオメトリックイソマーおよびアトロプイソマーを含む、すべてのステレオイソマー、およびそれらの混合物は、本願発明の範囲内であると考慮される。
【0044】
さらに、本願明細書に参照される任意の化合物にはさらに、互変異性体も存在し得る。具体的には、互変異性体という用語は、平衡状態で存在し、一つの異性体から他方の異性体へ容易に変換する化合物の二つ以上の構造異性体のうちの一つに関する。一般的な互変異性体対は、アミン-イミン、アミド-イミド酸、ケト-エノール、ラクタム-ラクチムなどである。
【0045】
特に記載しない限り、本願発明の化合物はさらに、同位体標識された形態、すなわち、1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物、を含むことを意味する。例えば、少なくとも一つの水素原子の重水素もしくは三重水素による置換、または、少なくとも一つの炭素原子の13Cもしくは14C濃縮炭素による置換、もしくは少なくとも一つ窒素原子の15N濃縮窒素による置換以外の、存在する構造を有する化合物は、本願発明の範囲内である。
【0046】
式(I)のσリガンドまたはその塩もしくは溶媒和物は、好ましくは、薬学的に許容可能、または、実質的に純粋な形態である。薬学的に許容可能な形態は、とりわけ、希釈剤や担体などの通常の薬剤添加物以外は薬学的に許容可能なレベルの純度を有し、通常の用量レベルにおいて毒性だと考えられる材料を含まないことを意味する。薬品物質の純度は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは90%以上である。特に好ましい実施態様においては、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、95%以上である。
【0047】
本願明細書で使用される場合、「治療する」および「治療」という用語は、痛みの開始後、外科手術によってもたらされる疼痛の根絶、除去、逆行、緩和、修飾または制御すを含む。
【0048】
本願明細書で使用される場合、「予防」、「予防すること」、「予防的な」、「予防する」および「予防法」という用語は、病気または状態(本願出願の場合、外科手術によってもたらされる疼痛)の発症または進行を、発生する前に、回避、最小化、または発症しにくくする治療能力に関する。
【0049】
従って、抑制または改善が、少なくともパラメーター(例えば、疼痛などの治療される状態に伴う徴候)の大きさを低下に関して、広義で使用される場合に、「治療すること」または「治療」および/もしくは、「予防すること」または「予防」による、とは、全体として、対象を苦しめる状態に伴う徴候の抑制または改善を意味する。そのようなものとして、本願発明の方法はさらに状態が完全に阻害される場合(例えば、発生が抑制される、または停止される、例えば、対象がさらなる前記状態を経験しない、などの終了する場合)も含む。そのようなものとして、本願発明の方法は、外科手術によって引き起こされる疼痛、特に末梢神経痛、異痛、灼熱痛、痛覚過敏(hyperalgesia)、知覚過敏、痛覚過敏(hyperpathia)、神経痛、神経炎または神経障害を予防することおよび管理することの両方を含む。
【0050】
本願明細書で使用される場合、「オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進すること」という用語は、式(I)のσリガンドによって産生される前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果活性の増大に関する。本願発明の一つの実施態様において、前記促進効果は、オピオイドまたはオピエートあるいはσリガンドを単独で投与した場合と比較して、1.2、1.5、2、3、4倍以上の、場合によっては14または15倍以上のオピオイドの鎮痛効果の増大を引き起こす。測定は、当業者に知られる任意の方法に従って行われ得る。本願発明の一つの実施態様において、式(I)のσリガンドは、ラット機械的異痛症モデルまたはラット温熱性痛覚過敏症モデルにおいて測定される際、少なくとも1.2倍、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進する。さらなる実施態様において、前記倍数は少なくとも1.5、2、3、4、またはそれ以上で、場合によっては14または15倍でさえある。
【0051】
本願明細書で使用されるように、「オピオイドまたはオピエートによって引き起こされた依存が軽減すること」という用語は、式(I)のσリガンドによって産生される前記オピオイドまたはオピエートによる、患者の依存症の慧眼または減退に関する。本願発明の一つの実施態様において、前記軽減効果は、オピオイドまたはオピエート、あるいは、σリガンドを単独で投与した場合と比較して、1.2、1.5、2、3、4、またはそれ以上の因子によって、場合によっては1.2、1.5、2、3、4、またはそれ以上の因子によって、場合によっては14または15の因子によってさえ、引き起こされる。測定は、当業者に知られる任意の方法に従って行われ得る。本願発明の一つの実施態様において、式(I)のσリガンドは、場所条件づけパラダイムモデルにおいて測定される少なくとも1.2の因子によって、前記オピオイドまたはオピエートから、患者の依存を減退させる。さらなる実施態様において、前記因子は少なくとも1.5、2、3、4、またはそれ以上で、場合によっては14または15の因子である。
【0052】
好ましい実施態様において、式(I)のR1は、水素、-COR8、および置換されたまたは置換されていないアルキルから選択される。より好ましくは、R1は、水素、メチルおよびアセチルから選択される。より好ましい実施態様においては、R1は水素である。
【0053】
他の好ましい実施態様においては、式(I)の化合物中のR2は、水素またはアルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0054】
本願発明の他のさらに好ましい実施態様においては、式(I)の化合物のR3およびR4は、フェニル基のメタ位またはパラ位に位置しており、好ましくはハロゲンおよび置換されたまたは置換されていないアルキルから独立して選択される。
【0055】
本願発明の特に好ましい実施態様において、式(I)のR3およびR4はいずれも、フェニル基と共に任意で置換された縮合環系(例えば、置換されたもしくは置換されていないアリール基、または、置換されたもしくは置換されていない芳香環もしくは非芳香ヘテロシクリル基が縮合し得る)、より好ましくは、ナフチル環系を形成する。
【0056】
さらに式(I)の化合物において、nが2、3、4から選択される実施態様は本願発明の文脈においては好ましく、より好ましいnは2である。
【0057】
最後に、他の実施態様において、式(I)の化合物においてR5およびR6は互いに独立してC1-6アルキルである、または、それらが結合している窒素原子とともに置換されたまたは置換されていないヘテロシクリル基、特に、モルホリニル、ピペリジニルおよびピロリジニル基から選択される基を形成することが好ましい。より好ましくは、R5およびR6は共にモルホリン-4-イル基を形成する。
【0058】
本願発明の好ましいバリアントにおいて、式(I)のσリガンドは:
[1] 4-{2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル}モルホリン,
[2] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[3] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[4] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[5] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[6] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[7] 3-{1-[2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン-4-イル}-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン,
[8] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-4-メチルピペラジン,
[9] エチル-4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジンカルボキシレート,
[10] 1-(4-(2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル)ピペラジン-1-イル)エタノン,
[11] 4-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[12] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[13] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[14] 1-[2-(1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン,
[15] 1-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[16] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル} モルホリン,
[17] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[18] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[19] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[20] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール,
[21]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[22] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン,
[23] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール,
[24] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン,
[25] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-メチルピペラジン,
[26] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1H-イミダゾール,
[27] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン,
[28] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-フェニルピペリジン,
[29] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-6,7-ジヒドロ-1H-インドール-4(5H)-オン,
[30] 2-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[31] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[32] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[33] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[34] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[35] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[36] 2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン,
[37] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[38] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]N,N-ジエチルエタンアミン,
[39] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[40] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[41] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[42] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジン,
[43] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピロリジン-3-アミン,
[44] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[46]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン,
[47] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール,
[48] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール,
[49] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[50] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン,
[51](2S,6R)-4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-2,6-ジメチルモルホリン,
[52] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン,
[53] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール,
[55] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン,
[56] N-ベンジル-4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-メチルブタン-1-アミン,
[57]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルブタン-1-アミン,
[58] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}チオモルホリン,
[59] 1-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-(2-モルホリノエトキシ)-1H-ピラゾール-4-イル]エタノン,
[60] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン,
[61] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン
[62] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン,
[63] 4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン,
[64] N,N-ジエチル-2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エタンアミン,
[65] 1-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン,
[66] 5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾールおよび薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和物またはそれらの機能するプロドラッグから選択される。
【0059】
本願発明の好ましいバリアントは、式(I)のσリガンドが4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンまたはそれらの塩である。
【0060】
好ましくは、使用される式(I)の化合物は、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリドである。
【0061】
これら特定の化合物は、本願発明の実施例において、化合物63(またはそれらの塩)として記載されている。
【0062】
本願発明の好ましい実施態様は、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリド、ならびに、モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドン、およびブプレノルフィンから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートの組み合わせの使用を含む。本願発明の好ましい実施態様において、利用されるオピエートはモルヒネまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはトラマドールまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはスフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはレミフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはフェンタニルまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはタペンタドールまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはオキシコドンまたはそのアナログである。本願発明の他の好ましい実施態様において、利用されるオピオイドはブプレノルフィンまたはそのアナログである。
【0063】
これらのオピオイドまたはオピエートのアナログは当業者によく知られており、一般に構造的にそれらに由来する任意の化合物であり、医薬として許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物を含む。従って、「モルヒネアナログ」は、構造的にモルヒネに由来する任意の化合物である(例えば、欧州登録特許EP0975648に公開されている)。モルヒネの特定のアナログは、ヒドロモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、オキシモルヒネ、デソモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ニコモルヒネ、ジプロパノイルモルヒネ、ベンジルモルヒネおよびエチルモルヒネを含む。
【0064】
式(I)の化合物およびその塩または溶媒和物は、国際公開番号2006/021462出願において以前に公開されたように調製し得る。
【0065】
本願発明はさらに、前記式(I)のσリガンドを含む医薬組成物、または薬剤として許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物、および、少なくとも一つの医薬として許容可能な担体、添加剤、アジュバントもしくはビヒクルと一緒にまたは個別に組み合わせたオピオイドまたはオピエートの使用に関する。
【0066】
補助材料または添加物は担体、添加剤、支持剤、潤滑剤、フィラー、溶媒、希釈剤、着色剤、砂糖などの風味調整剤、抗酸化剤、および/または接着剤から選択され得る。坐薬の場合、ワックスまたは脂肪酸エステルもしくは保存剤、乳化剤、および/または非経口使用の担体を意味し得る。これら補助材料および/または添加剤の選択、ならびに、使用される量は医薬組成物の使用形態に依存する。
【0067】
本願発明の医薬組成物は、経口または非経口(例として、経肺、経鼻、直腸および/または静脈内)である、任意の投与形態に適合し得る。従って、本願発明に従った処方は、局所または全身への使用、特に経皮、皮下、筋肉内、関節内、腹腔内、経肺、口腔、舌下、経鼻、経皮、膣内、経口または非経口使用に適合し得る。直腸使用の好ましい形態は坐薬による。
【0068】
経口使用に適する調製は、錠剤、ピル、チューインガム、カプセル、顆粒、ドロップまたはシロップである。非経口使用に適する調製は、溶液、懸濁液、再構成可能な乾燥状態での調製物またはスプレーである。
【0069】
本願発明の組み合わせは、経皮使用用に、溶解形態中またはパッチ中の沈着物として処方される。肌への使用は、軟膏、ジェル、クリーム、ローション、懸濁液または乳液を含む。
【0070】
本願発明を一般的な用語で記載したので、例示している、本願発明を限定する意図のない、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解できる。
【0071】
本願発明の組み合わせは、少なくとも一つの医薬として許容可能な担体、添加剤、アジュバントまたはビヒクルとの、同時、個別または連続的な投与のために処方され得る。これは、式(I)のσリガンドおよび前記オピオイドまたはオピエートの組み合わせが、
a) 同じ薬剤処方の一部である組み合わせであって、両方が常に同時投与される組み合わせとして
b) 2つのユニットの組み合わせとして、それらのうちの一方が、それぞれ、同時、連続または個別投与の可能性を生じさせる組み合わせとして、
投与され得ることを意味する。特定の実施態様において、式(I)のσリガンドはオピオイドまたはオピエートから独立して(すなわち2つのユニット)であるが、同時に投与される。その他の実施態様において、式(I)のσリガンドは最初に投与され、その後オピオイドまたはオピエートが個別にまたは連続的に投与される。さらなる他の実施態様においては、オピオイドまたはオピエートは最初に投与され、その後式(I)のσリガンドが個別または同時に投与される、と定義される。
【0072】
本願発明の特定の実施態様において、外科手術の結果として生じる疼痛は、末梢神経痛、異痛、灼熱痛、痛覚過敏(hyperalgesia)、知覚過敏、痛覚過敏(hyperpathia)、神経痛、神経炎または神経障害である。より好ましくは、疼痛は痛覚過敏または機械的異痛である。
【0073】
「神経障害性疼痛」は、IASPにより、「神経系の初期病巣または機能不全によって発生または生じる疼痛」として定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。本願発明の目的において、この用語を、ISAPにより、「末梢もしくは中枢神経系の初期病巣、機能不全または一時的な混乱によって発生または生じる疼痛」として定義されている「神経原生疼痛」と同義語として扱う。本願発明の神経障害性疼痛は、手術の結果として生じる神経障害性疼痛に限定される。
【0074】
IASPによれば、「末梢神経障害痛」は、「末梢神経系の初期病巣または機能不全によって発生または生じる疼痛」と定義されており、「末梢神経原生疼痛」は、「末梢神経系の初期病巣、機能不全または一時的な混乱によって発生または生じる疼痛」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 213)。
【0075】
IASPによれば、「異痛」は、「通常は痛みを誘発しない刺激による疼痛」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。
【0076】
IASPによれば、「灼熱痛」は、「外傷性神経病変後に、燃えるような痛み、異痛、および痛覚過敏(hyperpathia)が持続する徴候で、しばしば血管運動および汗腺機能不全ならびに後の栄養変化を伴う」と定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 210)。
【0077】
IASPによれば、「痛覚過敏(hyperalgesia)」は、「通常痛みをもたらす刺激に対する応答が増大すること」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 211)。
【0078】
IASPによれば、「知覚過敏」は、「感覚以外の刺激に対する感度が増大すること」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 211)。
【0079】
IASPによれば、「痛覚過敏(hyperpathia)」は、「刺激、特に反復性の刺激に対する、異常な痛みの反応と閾値の増大に特徴づけられる痛みの徴候」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0080】
IASPは、「異痛」、「痛覚過敏(hyperalgesia)」および「痛覚過敏(hyperpathia)」の間の以下の違いを示した(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0081】
【表1】
【0082】
IASPによれば、「神経痛」は、「単一または複数の神経の分布の痛み」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0083】
IASPによれば、「神経炎」は、「単一および複数の神経の炎症」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0084】
IASPによれば、「神経障害/神経炎」は、「神経における(一つの神経の単神経炎における:複数の神経の多発性単神経炎における、対称性または広汎性であれば多発性神経障害における)機能の混乱または病変」であると定義されている(IASP, Classification of chronic pain, 2nd Edition, IASP Press (2002), 212)。
【0085】
いくつかの実施態様において、術後疼痛は1つまたは複数の:熱誘発性疼痛、機械的誘発性疼痛、または安静時疼痛を含む。例えば、術後疼痛は機械的誘発性疼痛および/または安静時疼痛を含み得る。いくつかの場合において、術後疼痛は安静時疼痛を含む。
【0086】
ある実施態様において、異痛が抑制、改善および/または予防され、またいくつかの実施態様において、痛覚過敏(hyperalgesia)が抑制、改善および/または予防された。いくつかの例では、疼痛は慢性疼痛である。その他の場合では、疼痛は外傷、創傷または切断1つまたは複数の部位に存在しており、隣接しており、および/または、近くである。ある実施態様において、式(I)のσリガンドとオピオイドまたはオピエートとの組み合わせは、結果として外傷、創傷または切断となる可能性がある、外科手術などの行為に先立って投与され得る。例えば、式(I)のσリガンドとオピオイドまたはオピエートとの組み合わせは、30分、1時間、2時間、5時間、10時間、15時間、24時間またはそれ以上、例えば1日、数日またはさらには1週間、2週間、3週間またはそれ以上、外傷、創傷または切断という結果となる可能性がある、外科手術などの行為に先立って投与され得る。他の実施態様において、式(I)のσリガンドおよびオピオイドまたはオピエートの組み合わせは、外科手術または外傷、創傷もしくは切断という結果となる行為の間および/もしくは後に投与され得る。いくつかの実施態様では、式(I)のσリガンドおよびオピオイドまたはオピエートの組み合わせは、外科手術または外傷、創傷もしくは切断という結果となる活動の後1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、30時間、36時間もしくはそれ以上で投与され得る。
【0087】
本願発明のある実施態様において、式(I)のσリガンドは、治療的に有効な量使用されることが好ましい。医師は、最も適切な本願の治療剤の用量を決定する。それは、投与の形態および選択される特定の化合物とともに変化し、さらには治療を受ける患者、患者の年齢および体重、治療の受ける疼痛の型、その重篤度によって変化する。一般的に、実質的には、化合物の最適用量未満の低用量で治療を開始し、当該条件下で最適効果に到達するまで少しずつ増やしていくことが望ましい。化合物が経口投与される場合、非経口投与でより少ない量で得られるものと同じ効果を生むためには、より大量の活性剤が必要とされる。前記化合物は、比較治療薬と同様に有用であり、用量レベルは、これらの他の治療剤で一般に適用されるものと同じ桁内である。
【0088】
本願発明によると、オピオイドおよびオピエートの用量は、式(I)のσリガンドと組み合わせる場合に減退し、従って少ない用量で同じ鎮痛効果を達成し、結果として依存を軽減する。式(I)のσリガンドは、オピオイドの1.2、1.5、2、3、4倍、またはそれ以上、さらにいくつかの場合においては14または15倍の鎮痛効果の増大を誘導し得る。例えば、モルヒネでの機械的異痛試験の場合、10mgの化合物63では、2.7%から29%への増大が観察された(図1参照)。他の用量での同様の試験では、14.7%から56.3%、44.0%から83.0%、または、41.0%から93.8%の増大に到達した。
【0089】
例えば、患者に投与されるべき投与方法は、患者の体重、適用の型、疾患の状態および重篤度に依る。好ましい投与方法は、式(I)の化合物が0.5から100mg/kg、オピオイドまたはオピエートが0.15から15mg/kgの範囲内での投与を含み得る。投与は、単回または複数回で実施され得る。
【0090】
以下の実施例は、本願発明のある実施態様を例示しているにすぎず、決して本願発明を限定するものとは考慮されない。
【実施例】
【0091】
<実施例1. 4-{2-[5-メチル-1 -(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン(化合物63)及びその塩酸塩の合成>
【0092】
【化2】
【0093】
化合物63は、前の出願である国際公開第2006/021462号に記載の通りに調製され得る。その塩酸塩は以下の手順に従って得られ得る。
【0094】
化合物63(6.39g)を塩酸で飽和したエタノール中に溶解した後、混合物を数分間撹拌し、蒸発乾固させた。残渣をイソプロパノールから結晶化した。最初の結晶化由来の母液は、濃縮することにより二度目の結晶化が可能である。両結晶化を合わせて、相当する塩酸塩(融点197-199℃)が5.24g(63%)得られた。
【0095】
1H-NMR(DMSO-de) δppm:10,85(bs,1H), 7,95(m,4H), 7,7(dd,J=2,2, 8,8Hz, 1H), 7,55(m,2H),5,9(s,1H), 4,55(m,2H), 3,95(m,2H), 3,75(m,2H), 3,55-3,4(m,4H), 3,2(m,2H), 2,35(s,3H).
HPLC純度:99.8%
【0096】
<実施例2.ラットにおける術後疼痛の鎮痛活性の評価:術後疼痛の治療における化合物63、オピオイドおよびオピエートの相乗的効果の増大>
【0097】
a)術後疼痛の治療における鎮痛評価の一般的プロトコール
ラットにおける鎮痛誘導は、オメダ社製噴霧器および麻酔チャンバーを用い、家畜用の3%イソフルランで実施した。鎮痛は外科手術の間中、イソフルランガスを動物の口へ運ぶチューブを介して続けられた。ラットを麻酔した時点でうつぶせにし、右後肢をアルコールで清潔にした。
【0098】
その後、後肢のかかとから約5mmから開始し、つま先に向かって約10mmの皮膚切開を外科用メスで作った。筋膜の場所を見つけ、反りバサミで筋肉を持ち上げ、約5mmの縦の切開を作った。従って、筋肉組織および付着部は無傷のままであった。従って、表面(皮膚)および深部(筋肉組織)の両方、ならびに神経が損傷した。足の皮膚の傷は、絹製縫合糸(3.0)で縫合し、傷口はポビドンで清潔にした。
【0099】
評価は、常に外科手術(足の切開)後4時間、前記産物の投与後30分または60分で実施した。2種類の分析を行った。
【0100】
-機械的異痛は、von Freyフィラメントを用いて試験した:動物を、フィラメントを入れるための金属メッシュの床面と共に表面を上昇させたメタクリレートシリンダー中に置いた。シリンダー中で約30分間順応させたのち、両足(傷のあるおよび傷のない足で、後者は対照を提供している)を、最も力の弱いフィラメント(0.4g)から開始し1.5gのフィラメントに至るまで、刺激した。動物の応答を、フィラメントによって生じる痛みの刺激の結果足を引っ込めることにより明らかにした。圧力(重量グラム)の閾値を記録した。
【0101】
-温熱性痛覚過敏は、Ugo Basileプランターテストを用いて試験した:動物を、クリスタルの床面のある同様の装置のメタクリルレートケージに入れた。ケージへの順応時間は10分間だった。温熱刺激は、クリスタルの床面の下で動くランプから発生して両足を刺激した。学習行動を避けるため、両刺激の間の最小間隔は1分間であった。ラットはランプからの熱によって生じた痛みを感じた場合には自由に足を引っ込めることができる。その後スイッチを切り、引っ込め反応のレイテンシータイムを秒単位で記録した。動物の足を傷つけることを避けるため、ランプは、32秒後に自動的にスイッチが切れた。
【0102】
b)オピエート:モルヒネ
ラットにおけるモルヒネおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)モルヒネを一定用量0.625mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0103】
その後、モルヒネと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、モルヒネの用量は一定のままだった(0.625mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0104】
治療される対象は、前記の機械的異痛および温熱性痛覚過敏のプロトコールに従って試験した。化合物63は、両プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてモルヒネの鎮痛を増大させた。図1、2および5参照。
【0105】
c)オピオイド:トラマドール
ラットにおけるトラマドールおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)トラマドールを一定用量1.25mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0106】
その後、トラマドールと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、トラマドールの用量は一定のままだった(1.25mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0107】
治療される対象は、前記の機械的異痛および温熱性痛覚過敏のプロトコールに従って試験した。化合物63は、両プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてトラマドールの鎮痛を増大させた。図3、4および6参照。
【0108】
d)オピオイド:スフェンタニル
ラットにおけるスフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)スフェンタニルを一定用量0.003mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0109】
その後、スフェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、スフェンタニルの用量は一定のままだった(0.003mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0110】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてスフェンタニルの鎮痛を増大させた。図7参照。
【0111】
e)オピオイド:レミフェンタニル
ラットにおけるレミフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)レミフェンタニルを一定用量0.01mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0112】
その後、レミフェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(2.5、5、10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、レミフェンタニルの用量は一定のままだった(0.01mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0113】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてレミフェンタニルの鎮痛を増大させた。図8参照。
【0114】
f)オピオイド:フェンタニル
ラットにおけるフェンタニルおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)フェンタニルを一定用量0.01mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0115】
その後、フェンタニルと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)でアッセイする一方で、フェンタニルの用量は一定のままだった(0.01mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0116】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてフェンタニルの鎮痛を増大させた。図9参照。
【0117】
g)オピオイド:タペンタドール
ラットにおけるタペンタドールおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)タペンタドールを一定用量1.25mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0118】
その後、タペンタドールと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方で、タペンタドールの用量は一定のままだった(1.25mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0119】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてタペンタドールの鎮痛を増大させた。図10参照。
【0120】
g)オピオイド:オキシコドン
ラットにおけるオキシコドンおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)タペンタドールを一定用量0.039mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0121】
その後、オキシコドンと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(2.5、5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方、オキシコドンの用量は一定のままだった(0.039mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0122】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてオキシコドンの鎮痛を増大させた。図11参照。
【0123】
i)オピオイド:ブプレノルフィン
ラットにおけるブプレノルフィンおよび化合物63の効果を、以下のように個別に評価した:1)ブプレノルフィンを一定用量0.0015mg/kgで投与した、および、2)化合物63を異なる用量(10、20、40、および、80mg/kg)で投与した。両投与は、外科手術後3.5時間で実施した。
【0124】
その後、ブプレノルフィンと化合物63を組み合わせた使用の効果を、化合物63の異なる用量(5、10、20、および、40mg/kg)でアッセイする一方、オキシコドンの用量は一定のままだった(0.0015mg/kg)。投与は、外科手術後3.5時間で同時に実施した。
【0125】
治療される対象は、前記の機械的異痛のプロトコールに従って試験した。化合物63は、前記プロトコールに基づき、術後疼痛の治療においてブプレノルフィンの鎮痛を増大させた。図12参照。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療における使用のための、少なくとも一つの式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物、および、少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時、個別または連続的な投与のための組み合わせであって、
【化1】
R1は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より選択され;
R2は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より選択され;
R3およびR4は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より独立して選択される、または、それらが共に任意で置換された縮合環系を形成し;
R5およびR6は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より独立して選択される、または、共に、結合している窒素原子と、置換または置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル基を形成し;
nが1、2、3、4、5、6、7または8から選択され;
tが1、2または3であり;
R8およびR9は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないアルコキシ、置換されたまたは置換されていないアリールオキシまたはハロゲンから成る群より互いに独立して選択される、組み合わせ。
【請求項2】
R1が、H、-COR8、または、置換されたまたは置換されていないアルキルより選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
R2が、Hまたはアルキルである、請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
R3およびR4が、フェニル基のメタ位およびパラ位に位置している、請求項1から3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項5】
R3およびR4がハロゲン、または、置換されたまたは置換されていないアルキルより独立して選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項6】
R3およびR4が共にナフチル縮合環系を形成している、請求項1から3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項7】
nが2、3、4から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項8】
R5およびR6が共にモルホリン-4-イル基を形成している、請求項1から7のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項9】
式(I)の化合物が、
[1]4-{2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル}モリホリン、
[2]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[3]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[4]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[5]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[6]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[7]3-{1-[2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン-4-イル}-3H-イミダゾ [4,5-b]ピペリジン、
[8]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-4-メチルピペラジン、
[9]エチル4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジンカルボキシレート、
[10]1-(4-(2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル)ピペラアジン-1-イル)エタノン、
[11]4-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モリホリン、
[12]1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[13]1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[14]1-[2-(1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン,
[15]1-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[16]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェ二ル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[17]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[18]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[19]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[20]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[21]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[22]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン、
[23]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール、
[24]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン、
[25]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-メチルピペラジン、
[26]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1H-イミダゾール、
[27]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン、
[28]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-フェニルピペリジン、
[29]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-6,7-ジヒドロ-1H-インドール-4(5H)-オン、
[30]2-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[31]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[32]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[33]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[34]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[35]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[36]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[37]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[38]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]N,N-ジエチルエタンアミン、
[39]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[40]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[41]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[42]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジン、
[43]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピロリジン-3-アミン、
[44]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[46]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[47]1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[48]1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[49]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[50]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン、
[51](2S,6R)-4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-2,6-ジメチルモルホリン、
[52]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン、
[53]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール、
[55]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン、
[56]N-ベンジル-4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-メチルブタン-1-アミン、
[57]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルブタン-1-アミン、
[58]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}チオモルホリン、
[59]1-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-(2-モルホリノエトキシ)-1H-ピラゾール-4-イル]エタノン、
[60]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[61]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[62]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-5-メチル-1 H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[63]4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[64]N,N-ジエチル-2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エタンアミン、
[65]1-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[66]5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
または、薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和物もしくはプロドラッグより選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項10】
モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドン、および、ブプレノルフィンまたはそれらのアナログから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項11】
組み合わせが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリドを含むものである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項12】
組み合わせが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリド、および、モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドンおよびブプレノルフィンから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートを含むものである、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項13】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進するための、および/または、結果として誘発される依存を軽減するための、請求項1から9のいずれか一項に定義の式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項14】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進するための、請求項1から9のいずれか一項に定義の式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項15】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートによって誘発される依存を軽減するための、請求項1から9のいずれか一項に定義される式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項1】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療における使用のための、少なくとも一つの式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なその塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物、および、少なくとも一つのオピオイドまたはオピエートを含む、同時、個別または連続的な投与のための組み合わせであって、
【化1】
R1は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より選択され;
R2は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より選択され;
R3およびR4は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より独立して選択される、または、それらが共に任意で置換された縮合環系を形成し;
R5およびR6は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、 置換されたまたは置換されていないアリールアルキル、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、またはハロゲンから成る群より独立して選択される、または、共に、結合している窒素原子と、置換または置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル基を形成し;
nが1、2、3、4、5、6、7または8から選択され;
tが1、2または3であり;
R8およびR9は、水素、置換されたまたは置換されていないアルキル、置換されたまたは置換されていないシクロアルキル、置換されたまたは置換されていないアルケニル、置換されたまたは置換されていないアリール、置換されたまたは置換されていない芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換されたまたは置換されていないアルコキシ、置換されたまたは置換されていないアリールオキシまたはハロゲンから成る群より互いに独立して選択される、組み合わせ。
【請求項2】
R1が、H、-COR8、または、置換されたまたは置換されていないアルキルより選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
R2が、Hまたはアルキルである、請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
R3およびR4が、フェニル基のメタ位およびパラ位に位置している、請求項1から3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項5】
R3およびR4がハロゲン、または、置換されたまたは置換されていないアルキルより独立して選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項6】
R3およびR4が共にナフチル縮合環系を形成している、請求項1から3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項7】
nが2、3、4から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項8】
R5およびR6が共にモルホリン-4-イル基を形成している、請求項1から7のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項9】
式(I)の化合物が、
[1]4-{2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル}モリホリン、
[2]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[3]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[4]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[5]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[6]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[7]3-{1-[2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン-4-イル}-3H-イミダゾ [4,5-b]ピペリジン、
[8]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-4-メチルピペラジン、
[9]エチル4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジンカルボキシレート、
[10]1-(4-(2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル)ピペラアジン-1-イル)エタノン、
[11]4-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モリホリン、
[12]1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[13]1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[14]1-[2-(1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン,
[15]1-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[16]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェ二ル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[17]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[18]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[19]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[20]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール、
[21]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[22]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン、
[23]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール、
[24]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン、
[25]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-メチルピペラジン、
[26]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1H-イミダゾール、
[27]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン、
[28]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-フェニルピペリジン、
[29]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-6,7-ジヒドロ-1H-インドール-4(5H)-オン、
[30]2-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[31]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[32]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[33]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[34]1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[35]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[36]2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
[37]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[38]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]N,N-ジエチルエタンアミン、
[39]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[40]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[41]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[42]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジン、
[43]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピロリジン-3-アミン、
[44]4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[46]2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン、
[47]1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール、
[48]1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール、
[49]1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[50]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン、
[51](2S,6R)-4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-2,6-ジメチルモルホリン、
[52]1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン、
[53]1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール、
[55]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン、
[56]N-ベンジル-4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-メチルブタン-1-アミン、
[57]4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルブタン-1-アミン、
[58]4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}チオモルホリン、
[59]1-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-(2-モルホリノエトキシ)-1H-ピラゾール-4-イル]エタノン、
[60]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[61]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[62]1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-5-メチル-1 H-ピラゾール-4-イル}エタノン、
[63]4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、
[64]N,N-ジエチル-2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エタンアミン、
[65]1-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン、
[66]5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
または、薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和物もしくはプロドラッグより選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項10】
モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドン、および、ブプレノルフィンまたはそれらのアナログから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項11】
組み合わせが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリドを含むものである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項12】
組み合わせが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンヒドロクロリド、および、モルヒネ、トラマドール、スフェンタニル、レミフェンタニル、フェンタニル、タペンタドール、オキシコドンおよびブプレノルフィンから成る群より選択されるオピオイドまたはオピエートを含むものである、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項13】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進するための、および/または、結果として誘発される依存を軽減するための、請求項1から9のいずれか一項に定義の式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項14】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートの鎮痛効果を促進するための、請求項1から9のいずれか一項に定義の式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項15】
外科手術の結果として生じる疼痛の予防および/または治療においてオピオイドまたはオピエートが使用される際に、前記オピオイドまたはオピエートによって誘発される依存を軽減するための、請求項1から9のいずれか一項に定義される式(I)のσリガンドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩、異性体、プロドラッグもしくは溶媒和物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−518859(P2013−518859A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551633(P2012−551633)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051644
【国際公開番号】WO2011/095585
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512036166)ラボラトリオス・デル・ドクター・エステベ・ソシエテ・アノニム (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051644
【国際公開番号】WO2011/095585
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512036166)ラボラトリオス・デル・ドクター・エステベ・ソシエテ・アノニム (6)
【Fターム(参考)】
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