説明

衝突判定装置

【課題】物体の衝突を高精度に判定すること。
【解決手段】衝突判定装置10は、車両の外面部20に沿って配設される光ファイバ1と、光ファイバ1の透過光量を検出する透過光量検出手段と、透過光量検手段により検出された透過光量が判定閾値以下のとき、車両の外面部20に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段4aと、車両の外面部20のうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段4bと、を備えている。衝突予測手段4bにより、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定手段4aは、判定閾値を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の外面部に配設される光ファイバの透過光量に基づいて、物体が車両の外面部に衝突したか否かを判定する衝突判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体との衝突が予知されたときに、衝突保護手段による保護が実行させる際の閾値を変更する車両用衝突保護装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−17812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記車両用衝突保護装置において、物体が車両のバンパ等に衝突したときに、バンパ等に配設された光ファイバセンサ(ケーブル)の透過光量の変化を検出して、物体がバンパ等に衝突したか否かが判定されることがある。この光ファイバセンサは、物体からバンパ等に対して、同一の衝突荷重が掛かった場合でも、衝突荷重が掛かる荷重位置により、変形量が異なり、透過光量の変化量が異なる。したがって、上記物体の衝突判定に誤差が生じる虞がある。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、物体の衝突を高精度に判定することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントの屈曲部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントの屈曲部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置である。
【0006】
この一態様によれば、衝突予測手段により、バンパーリインホースメントの屈曲部近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値が設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置であってもよい。
【0008】
この一態様によれば、衝突予測手段により、バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定手段は、判定閾値を減少させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値が設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0009】
さらに、上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、ボデーピラー近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記ボデーピラー近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置であってもよい。
【0010】
この一態様によれば、衝突予測手段により、ボデーピラー近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値が設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0011】
なお、上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントの中央部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントの中央部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を増加させる、ことを特徴とする衝突判定装置であってもよい。
【0012】
この一態様によれば、衝突予測手段により、バンパーリインホースメントの中央部近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定手段は、判定閾値を増加させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値が設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部には、衝突に対する剛性の高い高剛性部と、衝突に対する剛性の低い低剛性部と、が存在すると共に、
前記物体が衝突する衝突位置を予測する衝突予測手段と、
前記衝突予測手段により予測された前記衝突位置が前記高剛性部に含まれるとき、高剛性用の前記判定閾値を設定し、前記衝突予測手段により予測された前記衝突位置が前記低剛性部に含まれるとき、低剛性用の前記判定閾値する判定閾値設定手段と、を備え、
前記判定閾値設定手段により設定された前記高剛性用の判定閾値は、前記低剛性用の判定閾値に比して小さい、ことを特徴とする衝突判定装置であってもよい。
【0014】
なお、上記一態様において、上記高剛性部とは、例えば、バンパーリインホースメントの屈曲部近傍、バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍、又は、ボデーピラー近傍である。また、上記低剛性部とは、例えば、バンパーリインホースメントの中央部近傍である。
【0015】
この一態様によれば、前記判定閾値設定手段により設定された前記高剛性用の判定閾値は、前記低剛性用の判定閾値に比して小さい。これにより、物体の衝突位置における剛性の高低に応じて、適切な判定閾値が設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0016】
これら態様において、前記透過光量検出手段は、前記光ファイバの一端側に光を入射させる投光部と、該投光部により入射され、前記光ファイバを透過する透過光を前記光ファイバの他端側で受光する受光部と、を有することとしてもよい。この態様により、光ファイバの透過光量を検出することができる。
【0017】
これら態様において、前記衝突予測手段は、前記物体を撮影するカメラ、前記物体に対して超音波を送出する超音波センサ、又は、前記物体に対して電波を送出するレーダセンサ、を有することとしてもよい。衝突予測手段は、これらセンサからの信号に基づいて、物体の衝突を予測するこができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係る衝突判定装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。本実施例に係る衝突判定装置10は、車両前部のフロントバンパ20a又は車両後部のリアバンパ20b、車両側面20c、等の車両の外面部20に沿って配設される光ファイバケーブル1を備えている(図2)。
【0021】
例えば、光ファイバケーブル1はU字状に形成され、車両前部のフロントバンパ20aを補強するバンパーリインホースメント(バンパ補強部材)21に沿って、モールドゴム等によりモールドされた状態で接着されている(図3(a))。バンパーリインホースメント21の一端において、光ファイバケーブルがU字状に折り返されている。
【0022】
また、バンパーリインホースメント21の両端部近傍は、車両内側へ屈曲する屈曲部21aが夫々形成されている(図3(b))。さらに、バンパーリインホースメント21の両端部近傍には、車両前後方向へ延在する一対のフロントサイドメンバ(車体の補強部材)22の一端が夫々、接続されている。
【0023】
光ファイバケーブル1は、例えば高屈折率シリコンゴムからなるコア部と、低屈折率シリコンゴムからなるクラッド部とからなり、外周面がフッ素系ゴムで被覆されている。光ファイバケーブル1の一端から入射した光は、コア部とクラッド部の境界面で全反射を繰り返しながら、光ファイバケーブル1の他端に伝送される。
【0024】
また、光ファイバケーブル1の一端側には、白熱灯ランプ、レーザ素子、発光ダイオード(LED)等の光源2aと、光源2aの光量を調整する光量調整回路2bと、を有する投光部2が接続されている。投光部2は、所定のトリガー信号を受信すると、光ファイバケーブル1の一端側へ一定の波長を有する光を入射する。
【0025】
例えば、投光部2は車両のIG(イグニッション)スイッチがオン状態後、オフ状態となるまで、光ファイバケーブル1の一端に対して光を継続的に入射するように構成されていてもよい。また、投光部2は車両のエンジンが駆動しているとき、車速が0以上のときに、光ファイバケーブル1の一端に対して光を継続的に入射するように構成してもよい。
【0026】
光ファイバケーブル1の他端側には、投光部2から入射され、光ファイバケーブル1内を透過する透過光を受光し、受光量(透過光量)に応じて電気信号(電圧V)を生成する受光部3が接続されている。
【0027】
例えば、車両前部のフロントバンパ20aに対して、物体が衝突した場合に、光ファイバケーブル1の断面が潰れるように変形する為、受光部3により受光される光ファイバケーブル1の透過光量が減少する。
【0028】
受光部3は透過光量に応じて電気信号を生成するフォトダイオード等の光変換素子3aと、光変換素子3aにより生成された電気信号を所定の増幅率で増幅させる増幅回路3bとを有している。
【0029】
投光部2および受光部3には、ECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)4が接続されている。
【0030】
ECU4は、光ファイバケーブル1の透過光量に基づいて、フロントバンパ20aへ物体が衝突したか否かを判定する衝突判定部4aと、車両のフロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測部4bと、を有している。
【0031】
衝突判定部4aは、例えば、光ファイバケーブル1の透過光量に応じた受光部3からの電気信号に基づいて、光ファイバケーブル1の透過光量が判定閾値N以下になったと判断すると、フロントバンパ20aに歩行者等が衝突したと判定し、衝突信号を出力する。
【0032】
衝突予測部4bには、車両前方に配設される、左右一対の超音波センサ5が接続されている。超音波センサ5は、車両周囲の物体に対して、超音波を送出し、その反射波を検出する。衝突予測部4bは、例えば、超音波センサ5により検出された反射波に基づいて、車両へ接近する物体の相対位置、相対移動速度、及び相対移動方向を検出し、この物体が、フロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍へ衝突することを予測する。
【0033】
なお、ECU4の衝突判定部4aには、エアバッグシステムが接続されていてもよい。この場合、エアバッグシステムは衝突判定部4aから出力された衝突信号を受信すると、エアバッグのインフレータを作動させ、エアバッグを展開、膨張させるように構成されている。
【0034】
また、ECU4はマイクロコンピュータから構成されており、制御、演算プログラムに従って各種処理を実行するとともに、当該装置1の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)、CPUの実行プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、演算結果等を格納する読書き可能なRAM(Random Access Memory)、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有している。上述した衝突判定部4a及び衝突予測部4bは、ROMに格納され、CPUが実行するプログラムによって実現されている。
【0035】
ところで、物体がフロントバンパ20aに対して衝突したときに、例えば、フロントバンパ20a及びバンパーリインホースメント21に沿って配設された光ファイバケーブル1は、物体とバンパーリインホースメント21との間に挟み込まれる。これにより、光ファイバケーブル1の断面が押し潰されるように変形し、光ファイバケーブル1の透過光量が減少する。なお、光ファイバケーブル1の変形量が増加するほど、光ファイバケーブル1の透過光量が減少する傾向にある。
【0036】
また、フロントバンパ20aにおいて、同一の衝突荷重が掛かった場合でも、フロントバンパ20aへの物体の荷重位置によって、光ファイバケーブル1の変形量が異なる。例えば、物体がフロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへ衝突がした場合における光ファイバケーブル1の変形量は、物体がこの屈曲部21a近傍以外の部分Qへ衝突した場合の光ファイバケーブルの変形量と比較して、相対的に大きくなる。これは、バンパーリインホースメント21の屈曲部21aは、屈曲部21a近傍以外の部分と比較して相対的に硬くなっているからである。
【0037】
よって、図4に示す如く、物体が、フロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへ衝突した場合における、光ファイバケーブル1の透過光量の減衰(2)(実線)は、物体がこの屈曲部21a近傍以外の位置Qへ衝突した場合における、光ファイバケーブル1の透過光量の減衰(1)(点線)と比較して、大きくなることがわかる。
【0038】
そこで、本実施例に係る衝突判定装置10において、衝突予測部4bにより、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへの物体の衝突が予測されたとき、衝突判定部4aは、判定閾値Nを、通常の閾値(点線)N1から補正閾値(実線)N2に変更し、減少させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値Nが設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0039】
次に、本実施例に係る衝突判定装置10の判定処理フローについて、説明する。図5は、本実施例に係る衝突判定装置10の判定処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、投光部2は、光ファイバケーブル1の一端に対して光を継続的に入射する。入射した光は、光ファイバケーブル1を透過し、光ファイバケーブル1の他端の受光部3により受光される(S100)。
【0041】
次に、ECU4の衝突予測部4bは、超音波センサ5により検出された反射波に基づいて、車両へ接近する物体の相対位置、相対移動速度、及び相対移動方向を検出し、この物体が、フロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへ衝突することを予測する(S110)。
【0042】
衝突予測部4bにより、物体がバンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへ衝突すると予測されたとき(S110のYes)、衝突判定部4aは、通常の閾値N1が所定量Δだけ減少した補正閾値N2を、判定閾値Nに設定し(S120)、下記の(S140)処理に移行する。なお、上記所定量Δは、予め実験的に求めた最適値がECU4のROMに記憶されている。また、判定閾値Nには、初期値として、通常の閾値N1が設定されている。
【0043】
一方、衝突予測部4bにより、物体がバンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへ衝突しないと予測されたとき(S110のNo)、衝突判定部4aは、通常の閾値N1を判定閾値Nに設定し(S130)、下記の(S140)処理に移行する。
【0044】
上記(S140)処理において、衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1の透過光量が、判定閾値N以下であるか否かを判定する。
【0045】
衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1の透過光量が判定閾値N以下であると判定したとき、物体がフロントバンパ20aに衝突したと判定する(S150)。一方、衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1の透過光量が判定閾値N以下でないと判定したとき、物体がフロントバンパ20aに衝突していないと判定する(S160)。
【0046】
以上、本実施例に係る衝突判定装置10において、衝突予測部4bにより、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分Pへの物体の衝突が予測されたとき、衝突判定部4aは、判定閾値Nを、通常の閾値N1から補正閾値N2に変更し、減少させる。これにより、物体が衝突する位置に応じて、適切な判定閾値Nが設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0047】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0048】
上記一実施例において、光ファイバケーブル1が、フロントバンパ20aのバンパーリインホースメント21に配設された構成が適用されているが、上述の如く、リアバンパ20bのバンパーリインホースメント31に配設された構成にも適用可能である(図6)。
【0049】
この場合、衝突予測部4bにより、リアバンパ20bのバンパーリインホースメント31の屈曲部31a近傍部分への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定部4aは、判定閾値Nを、通常の閾値N1から補正閾値N2に変更し、減少させる。これにより、物体が衝突するリアバンパ20bの位置に応じて、適切な判定閾値Nが設定される為、物体の衝突を高精度に判定することができる。
【0050】
上記一実施例において、衝突予測部4bにより、フロントバンパ20aのバンパーリインホースメント21とフロントサイドメンバ22との接続部23近傍への物体の衝突が予測されたとき(図3(b))、衝突判定部4aは、通常の閾値N1から補正閾値N2へ判定閾値Nを減少させてもよい。
【0051】
なお、物体が、フロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21とフロントサイドメンバ22との接続部23近傍部分へ衝突がした場合における光ファイバケーブル1の変形量は、物体がこの接続部23近傍以外の部分へ衝突した場合の光ファイバケーブルの変形量と比較して、相対的に大きくなる。したがって、上記判定閾値Nを減少させることで、適切な判定閾値が設定される。
【0052】
また、衝突予測部4bにより、リアバンパ20bのバンパーリインホースメント31とリアサイドメンバ32との接続部33近傍への物体の衝突が予測されたとき(図6)、衝突判定部4aは、通常の閾値N1から補正閾値N2へ判定閾値Nを減少させてもよい。
【0053】
なお、物体が、リアバンパ20bのうち、バンパーリインホースメント31とリアサイドメンバ32との接続部33近傍部分へ衝突がした場合における光ファイバケーブル1の変形量は、物体がこの接続部33近傍以外の部分へ衝突した場合の光ファイバケーブル1の変形量と比較して、相対的に大きくなる。したがって、上記判定閾値Nを減少させることで、適切な判定閾値Nが設定される。
【0054】
さらに、上記一実施例において、光ファイバケーブル1が、上述の如く、車両の側面部20cに配設された構成にも適用可能である(図2)。例えば、衝突予測部4bにより、ボデーピラー(フロントピラー、センターピラー等)への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定部4aは、判定閾値Nを、通常の閾値N1から補正閾値N2に変更し、減少させる。
【0055】
なお、物体が、車両の側面部20cのうち、ボデーピラー近傍部分へ衝突がした場合における光ファイバケーブル1の変形量は、物体がこのボデーピラー近傍以外の部分へ衝突した場合の光ファイバケーブル1の変形量と比較して、相対的に大きくなる。したがって、上記判定閾値Nを減少させることで、適切な判定閾値Nが設定される。
【0056】
上記一実施例において、衝突予測部4bにより、衝突予測部4bにより、フロントバンパ20a又はリアバンパ20bのバンパーリインホースメント21、31の中央部近傍への物体の衝突が予測されたとき、衝突判定部4aは、判定閾値Nを増加させてもよい。
【0057】
なお、物体が、各バンパ20a、20bのうち、中央部近傍へ衝突がした場合における光ファイバケーブル1の変形量は、物体がこの中央部近傍以外の部分へ衝突した場合の光ファイバケーブル1の変形量と比較して、相対的に小さくなる。したがって、上記判定閾値Nを増加させることで、適切な判定閾値Nが設定される。
【0058】
上記一実施例において、衝突予測部4bは、超音波センサ5を用いて、この物体がバンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍へ衝突することを予測しているが、物体に対して電波等を送出するレーダセンサ(レーザレーダ、ミリ波レーダ等)、物体を撮影するカメラ、等を用いてもよい。
【0059】
上記一実施例において、衝突判定装置10のダイアグ判定を行ってもよい。図7は、衝突判定装置10のダイアグ判定の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0060】
例えば、衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1が変形していない正常状態のときの、光ファイバケーブル1の透過光量を0点として、設定する(S200)。
【0061】
次に、衝突判定部4aは、設定された光ファイバケーブル1の透過光量の0点値が規定値以上であるか否かを判定する(S210)。なお、光ファイバケーブル1の透過光量の規定値は、予め実験により求められ、ECU4のROMに記憶されている。
【0062】
衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1の透過光量の0点値が規定値以上であると判定したとき(S210のYes)、0点値が規定値以上である状態が所定時間以上、継続しているか否かを判定する(S220)。一方、衝突判定部4aは、光ファイバケーブル1の透過光量の0点値が規定値以上でないと判定したとき(S210のNo)、本処理ルーチンを終了する。
【0063】
衝突判定部4aは、規定値以上である状態が所定時間(例えば、3秒)以上、継続していると判定したとき(S220のYes)、超音波センサ5により検出された反射波に基づいて、物体が、車両のフロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分に接触しているか否かを判定する(S230)。一方、衝突判定部4aは、規定値以上である状態が所定時間以上、継続していないと判定したとき(S220のNo)、本処理ルーチンを終了する。
【0064】
衝突判定部4aは、物体が車両のフロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分に接触していると判定したとき(S230のYes)、ダイアグ判定閾値を減少させ(S240)、下記(S260)処理に移行する。
【0065】
一方、衝突判定部4aは、物体が車両のフロントバンパ20aのうち、バンパーリインホースメント21の屈曲部21a近傍部分以外の部分に接触していると判定したとき(S230のNo)、通常の判定閾値をダイアグ判定閾値に設定し(S250)、下記(S260)処理に移行する。
【0066】
上記(S260)処理において、衝突判定部4aは、設定されたダイアグ判定閾値に基づいて、ダイアグ処理を行う。
【0067】
以上、フロントバンパ20aに物体が接触している状態で、ダイアグ処理が行われる場合においても、上記判定処理を行うことにより、物体が接触するフロントバンパ20aに応じて、最適なダイアグ判定閾値が設定される為、ダイアグ判定を高精度に行うことができる。
【0068】
なお、上記一実施例において、衝突判定部4aが特許請求の範囲に記載の衝突判定手段及び判定閾値設定手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば、車両の外面部に配設される光ファイバの透過光量に基づいて、物体が車両の外面部に衝突したか否かを判定する衝突判定装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例に係る衝突判定装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図2】車両の外面部に沿って配設される光ファイバケーブルを示す図であり、車両上方から見た図である。
【図3】(a)バンパーリインホースメントに配設された光ファイバケーブルを示す斜視図である。(b)バンパーリインホースメントに配設された光ファイバケーブルを示す図であり、車両上方から見た図である。
【図4】光ファイバケーブルの透過光量の変化および判定閾値の変更を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に係る衝突判定装置の判定処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】バンパーリインホースメントに配設された光ファイバケーブルを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係る衝突判定装置のダイアグ判定の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 光ファイバケーブル
2 投光部
3 受光部
4 ECU
4a 衝突判定部
4b 衝突予測部
5 超音波センサ
10 衝突判定装置
20 外面部
21 バンパーリインホースメント
21a 屈曲部
22 フロントサイドメンバ
23 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントの屈曲部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントの屈曲部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置。
【請求項2】
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントとサイドメンバとの接続部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置。
【請求項3】
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、ボデーピラー近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記ボデーピラー近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を減少させる、ことを特徴とする衝突判定装置。
【請求項4】
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部のうち、バンパーリインホースメントの中央部近傍へ物体が衝突するのを予測する衝突予測手段と、を備え、
前記衝突予測手段により、前記バンパーリインホースメントの中央部近傍への物体の衝突が予測されたとき、前記衝突判定手段は、前記判定閾値を増加させる、ことを特徴とする衝突判定装置。
【請求項5】
車両の外面部に沿って配設される光ファイバと、
前記光ファイバの透過光量を検出する透過光量検出手段と、
前記透過光量検手段により検出された前記透過光量が判定閾値以下のとき、前記車両の外面部に物体が衝突したと判定を行う衝突判定手段と、を備える衝突判定装置であって、
前記車両の外面部には、衝突に対する剛性の高い高剛性部と、衝突に対する剛性の低い低剛性部と、が存在すると共に、
前記物体が衝突する衝突位置を予測する衝突予測手段と、
前記衝突予測手段により予測された前記衝突位置が前記高剛性部に含まれるとき、高剛性用の前記判定閾値を設定し、前記衝突予測手段により予測された前記衝突位置が前記低剛性部に含まれるとき、低剛性用の前記判定閾値する判定閾値設定手段と、を備え、
前記判定閾値設定手段により設定された前記高剛性用の判定閾値は、前記低剛性用の判定閾値に比して小さい、ことを特徴とする衝突判定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の衝突判定装置であって、
前記透過光量検出手段は、前記光ファイバの一端側に光を入射させる投光部と、該投光部により入射され、前記光ファイバを透過する透過光を前記光ファイバの他端側で受光する受光部と、を有することを特徴とする衝突判定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の衝突判定装置であって、
前記衝突予測手段は、前記物体を撮影するカメラ、前記物体に対して超音波を送出する超音波センサ、又は、前記物体に対して電波を送出するレーダセンサ、を有することを特徴とする衝突判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−331475(P2007−331475A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163725(P2006−163725)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】