説明

衝突防止装置、及び衝突防止方法

【課題】自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供する。
【解決手段】衝突防止装置であって、自車の走行車線を認識する走行車線認識部と、走行車線認識部が認識した走行車線上に仮想逸脱ラインを設定する仮想逸脱ライン設定部と、仮想逸脱ライン設定部が設定した仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、逸脱していることを警報によりユーザに知らせる逸脱警報部と、ドライバの閉眼状態を検知する閉眼状態検知部とを備え、仮想逸脱ライン設定部は、閉眼状態検知部がドライバの閉眼状態を検知しなかったときに、走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、閉眼状態検知部が閉眼状態を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突防止装置、及び衝突防止方法に関し、より特定的には、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車が走行車線から逸脱して対象物と衝突することを防止する技術として以下のような技術が存在した。この技術は、自車が走行車線から逸脱することを早期に防止するために、仮想逸脱ラインを走行車線上に設定する。この仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、警報により走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせる。
【0003】
このように、仮想逸脱ラインから逸脱したときに、警報により走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせることで、走行車線から自車が逸脱して対象物に衝突する手前でその危険を回避できる。
【0004】
この技術では、例えば、ドライバの覚醒状態を判定して、眠っていると判定したときに、仮想逸脱ラインをデフォルトの位置よりも内側に設定し、走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをより早期にドライバに知らせることを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−71185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術は、覚醒状態の判定は、自車の変位量に基づいて行われるため、例えばドライバが眠っているために自車が右側へ変位したのか、ドライバが眠っておらず車線変更のために右側へ自車が変位したのか区別がつかないことがある。
【0006】
従って、自車の変位量に基づく覚醒状態の判定は判定精度が低いため、ドライバが眠っているのに、眠っていないと誤判定する可能性が高い。そのため、ドライバが眠っているのに、眠っていないと誤判定された場合、仮想逸脱ラインはデフォルトの位置よりも内側に設定されない。
【0007】
すなわち、上述した技術では、ドライバが眠っているのに、眠っていないと誤判定された場合には、走行車線の側方に対象物が存在する場合であっても、走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをより早期にドライバに知らせることができない。その結果、ドライバは、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突する手前でその危険を回避することができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされた。すなわち、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面は、自車が走行車線から逸脱して対象物と衝突することを防止する衝突防止装置に向けられている。本発明は、自車の走行車線を認識する走行車線認識部と、走行車線認識部が認識した走行車線上に仮想逸脱ラインを設定する仮想逸脱ライン設定部と、仮想逸脱ライン設定部が設定した仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、逸脱していることを警報によりユーザに知らせる逸脱警報部と、ドライバの閉眼状態を検知する閉眼状態検知部とを備え、仮想逸脱ライン設定部は、閉眼状態検知部がドライバの閉眼状態を検知しなかったときに、走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、閉眼状態検知部が閉眼状態を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する。これにより、ドライバが眠っている場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0010】
また、走行車線認識部が認識した走行車線の側方に対象物があることを検知する対象物検知部を更に備え、仮想逸脱ライン設定部は、対象物検知部が対象物を検知しなかった場合、前記走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、対象物検知部が対象物を検知した場合、走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定することが好ましい。これにより、走行車線の側方に対象物がある場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0011】
また、仮想逸脱ライン設定部は、自車の進行方向に対して走行車線上の右側、及び左側に仮想逸脱ラインを設定し、対象物検知部が対象物を検知した場合、自車の進行方向に対して当該対象物が検知された左右いずれか、又は双方に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線の側方に対象物がある場合は、当該対象物のある側の仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0012】
また、仮想逸脱ライン設定部は、走行車線が対向車線に近い車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線が対向車線に近い車線であるほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0013】
また、仮想逸脱ライン設定部は、走行車線が右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線がより右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0014】
また、走行車線認識部は、カメラによって取得した画像を画像認識することによって走行車線を認識することが好ましい。これにより、画像認識によって走行車線が認識され、当該走行車線上に仮想逸脱ラインが設定されるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0015】
また、逸脱警報部は、走行車線認識部がカメラによって取得した画像の走行車線上の仮想逸脱ラインの位置に基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することが好ましい。これにより、画像認識によって仮想逸脱ラインから自車が逸脱したか否かを判定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0016】
また、走行車線認識部は、ナビゲーション情報により走行車線を認識することが好ましい。これにより、ナビゲーション情報によって走行車線が認識され、当該走行車線上に仮想逸脱ラインが設定されるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0017】
また、逸脱警報部は、ナビゲーション情報により認識した走行車線上の自車の位置と仮想逸脱ラインの位置とに基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することが好ましい。これにより、ナビゲーション情報によって仮想逸脱ラインから自車が逸脱したか否かを判定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0018】
また、対象物検知部は、カメラによって取得した画像を画像認識することによって対象物を検知することが好ましい。これにより、画像認識によって対象物を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0019】
また、対象物検知部は、レーダによって対象物を検知することが好ましい。これにより、レーダによって対象物を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0020】
また、走行車線上のデフォルトの位置は、当該走行車線上の白線の位置であることが好ましい。これにより、仮想逸脱ラインを白線の位置に設定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0021】
また、対象物検知部は、他車を検知することが好ましい。これにより、他車を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して他車に衝突することを防止することができる衝突防止装置を提供することができる。
【0022】
本発明の第2の局面は、自車が走行車線から逸脱して対象物と衝突することを防止する衝突防止方法に向けられている。本発明は、自車の走行車線を認識する走行車線認識ステップと、走行車線認識ステップで認識した走行車線上に仮想逸脱ラインを設定する仮想逸脱ライン設定ステップと、仮想逸脱ライン設定ステップで設定した仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、逸脱していることを警報によりユーザに知らせる逸脱警報ステップと、ドライバの閉眼状態を検知する閉眼状態検知ステップとを備え、仮想逸脱ライン設定ステップでは、閉眼状態検知ステップでドライバの閉眼状態を検知しなかったときに、走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、閉眼状態検知ステップで閉眼状態を検知した場合、走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する。これにより、ドライバが眠っている場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0023】
また、走行車線認識ステップで認識した走行車線の側方に対象物があることを検知する対象物検知ステップを更に備え、仮想逸脱ライン設定ステップでは、対象物検知ステップで対象物を検知しなかった場合、走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、対象物検知ステップで対象物を検知した場合、走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する。これにより、走行車線の側方に対象物がある場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0024】
また、仮想逸脱ライン設定ステップでは、自車の進行方向に対して走行車線上の右側、及び左側に仮想逸脱ラインを設定し、対象物検知ステップで対象物を検知した場合、自車の進行方向に対して当該対象物が検知された左右いずれか、又は双方に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線の側方に対象物がある場合は、当該対象物のある側の仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0025】
また、仮想逸脱ライン設定ステップでは、走行車線が対向車線に近い車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線が対向車線に近い車線であるほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0026】
また、仮想逸脱ライン設定ステップでは、走行車線が右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することが好ましい。これにより、走行車線がより右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0027】
また、走行車線認識ステップでは、カメラによって取得した画像を画像認識することによって走行車線を認識することが好ましい。これにより、画像認識によって走行車線が認識され、当該走行車線上に仮想逸脱ラインが設定されるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0028】
また、逸脱警報ステップでは、走行車線認識ステップでカメラによって取得した画像の走行車線上の仮想逸脱ラインの位置に基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することが好ましい。これにより、画像認識によって仮想逸脱ラインから自車が逸脱したか否かを判定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0029】
また、走行車線認識ステップでは、ナビゲーション情報により走行車線を認識することが好ましい。これにより、ナビゲーション情報によって走行車線が認識され、当該走行車線上に仮想逸脱ラインが設定されるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0030】
また、逸脱警報ステップでは、ナビゲーション情報により認識した走行車線上の自車の位置と仮想逸脱ラインの位置とに基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することが好ましい。これにより、ナビゲーション情報によって仮想逸脱ラインから自車が逸脱したか否かを判定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0031】
また、対象物検知ステップでは、カメラによって取得した画像を画像認識することによって対象物を検知することが好ましい。これにより、画像認識によって対象物を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0032】
また、対象物検知ステップでは、レーダによって対象物を検知することが好ましい。これにより、レーダによって対象物を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0033】
また、走行車線上のデフォルトの位置は、当該走行車線上の白線の位置であることが好ましい。これにより、仮想逸脱ラインを白線の位置に設定できるため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【0034】
また、対象物検知ステップでは、他車を検知することが好ましい。これにより、他車を検知できるため、自車が走行車線から逸脱して他車に衝突することを防止することができる衝突防止方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る衝突防止装置について図面に従って詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る衝突防止装置100の全体構成を示すブロック図である。図1において、衝突防止装置100は、走行車線認識部110、仮想逸脱ライン設定部120、逸脱警報部130、対象物検知部140、及び閉眼状態検知部150を備える。
【0038】
走行車線認識部110は、自車前方を撮像するカメラを備えており、当該カメラによって撮像された実写画像から白線認識等の画像認識を行い、自車が走行している走行車線を認識する。
【0039】
仮想逸脱ライン設定部120は、自車が走行車線から逸脱することを早期に防止するために、実写画像上の走行車線の白線の位置をデフォルトの位置として仮想逸脱ラインを設定する。
【0040】
逸脱警報部130は、実写画像上の走行車線に設定された仮想逸脱ラインの位置変化に基づき、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したか否かを判定し、逸脱したと判定したときに、警報により自車が走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせる。
【0041】
対象物検知部140は、自車前方、側方、及び後方を撮像するカメラを備えており、当該カメラによって撮像された自車前方、側方、及び後方画像からパターンマッチング等の画像認識を行い、自車が走行している走行車線の側方に物体があることを検知する。なお、レーダによって対象物を検知する構成としてもよい。また、対象物検知部140は、対象物として他車、中央分離帯、及び/又は側壁等を検知する構成としてもよい。
【0042】
閉眼状態検知部150は、ドライバの顔を撮像し、撮像した上瞼画像と下瞼画像との間の最大距離が所定距離以下である場合に、ドライバが閉眼状態であることを検出する。
【0043】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る衝突防止装置100の動作について図2のフロー図に従って説明する。
【0044】
まず、走行車線認識部110は、自車前方を撮像するカメラによって撮像された撮像画像から白線認識等の画像認識を行い、自車が走行している走行車線を認識する(ステップS201)。
【0045】
次に、仮想逸脱ライン設定部120は、図3に示すように、実写画像上の走行車線の白線の位置をデフォルトの位置として仮想逸脱ラインを設定する(ステップS202)。
【0046】
次に、仮想逸脱ライン設定部120は、閉眼状態検知部150がドライバが閉眼状態であることを検知したか否かを判定する(ステップS203)。
【0047】
ステップS203において、ドライバが閉眼状態であることが検知されたと判定された場合、仮想逸脱ライン設定部120は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する(ステップS203→S205)。一方、ステップS203において、ドライバが閉眼状態であることが検知されなかった場合、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に物体があることを検知したか否かを判定する(ステップS203→S204)。
【0048】
ステップS204において、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に対象物があると検知しなかったと判定した場合、ステップS206に処理を移す。一方、ステップS204において、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に対象物があると検知したと判定した場合、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する(ステップS205)。なお、図4に示すように、自車の進行方向に対して右側の他車が検知された場合、検知された右側に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するようにしてもよい。また、走行車線が対向車線に近い車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する構成としてもよい。なお、図5に示すように、走行車線が右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する構成としてもよい。また、自車の進行方向に対して他車が左右双方に検知された場合、検知された左右双方に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する構成としてもよい。
【0049】
次に、逸脱警報部130は、実写画像上の走行車線に設定された仮想逸脱ラインの位置変化に基づき、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したか否かを判定する(ステップS206)。
【0050】
ステップS206において、逸脱警報部130は、自車が仮想逸脱ラインから逸脱していないと判定した場合、待機する。一方、ステップS206において、逸脱警報部130は、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したと判定した場合、警報により自車が走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせる(ステップS207)。
【0051】
このように、本発明によれば、ドライバが眠っている場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。また、本願では、覚醒状態の判定は、自車の変位量に基づいて行われるのではなく、閉眼状態であるか否かに基づいて行われるため、眠っているのに、眠っていないと誤って判定することがなくなる。
【0052】
また、走行車線の側方に対象物がある場合は、当該対象物のある側の仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。
【0053】
また、走行車線が対向車線に近い車線であるほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。
【0054】
また、走行車線がより右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る衝突防止装置について図面に従って詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。
【0056】
走行車線認識部110は、自車の現在位置を計測し、当該現在位置、及び地図データベース中の地図画像に基づいて最適経路を案内するナビゲーション装置を備えており、当該現在位置に基づき、地図画像上の自車が走行している走行車線を認識する。
【0057】
仮想逸脱ライン設定部120は、自車が走行車線から逸脱することを早期に防止するために、地図画像上の走行車線の端部をデフォルトの位置として仮想逸脱ラインを設定する。
【0058】
逸脱警報部130は、地図画像上の走行車線に設定された仮想逸脱ラインの位置と現在位置に基づいて、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したか否かを判定し、逸脱したと判定したときに、警報により自車が走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせる。
【0059】
以下、本発明の第2の実施の形態に係る衝突防止装置100の動作について図6のフロー図に従って説明する。
【0060】
まず、走行車線認識部110は、ナビゲーション装置が計測した現在位置に基づき、地図画像上の自車が走行している走行車線を認識する(ステップS601)。
【0061】
次に、仮想逸脱ライン設定部120は、地図画像上の走行車線の端部の位置をデフォルトの位置として仮想逸脱ラインを設定する(ステップS602)。
【0062】
次に、仮想逸脱ライン設定部120は、閉眼状態検知部150がドライバが閉眼状態であることを検知したか否かを判定する(ステップS603)。
【0063】
ステップS603において、ドライバが閉眼状態であることが検知されたと判定された場合、仮想逸脱ライン設定部120は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する(ステップS603→S605)。一方、ステップS603において、ドライバが閉眼状態であることが検知されなかった場合、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に物体があることを検知したか否かを判定する(ステップS603→S604)。
【0064】
ステップS604において、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に対象物があると検知しなかったと判定した場合、ステップS606に処理を移す。一方、ステップS604において、仮想逸脱ライン設定部120は、対象物検知部140が自車の走行している走行車線の側方に対象物があると検知したと判定した場合、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定する(ステップS605)。
【0065】
次に、逸脱警報部130は、地図画像上の走行車線に設定された仮想逸脱ラインの位置と現在位置に基づいて、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したか否かを判定する(ステップS606)。
【0066】
ステップS606において、逸脱警報部130は、自車が仮想逸脱ラインから逸脱していないと判定した場合、待機する。一方、ステップS606において、逸脱警報部130は、自車が仮想逸脱ラインから逸脱したと判定した場合、警報により自車が走行車線から逸脱する可能性が高い状態であることをドライバに知らせる(ステップS607)。
【0067】
このように、本発明によれば、ドライバが眠っている場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。また、本願では、覚醒状態の判定は、自車の変位量に基づいて行われるのではなく、閉眼状態であるか否かに基づいて行われるため、眠っているのに、眠っていないと誤って判定することがなくなる。
【0068】
また、走行車線の側方に対象物がある場合は、仮想逸脱ラインを走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定するため、自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法を提供することができる。
【0069】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
自車が走行車線から逸脱して対象物に衝突することを防止することができる衝突防止装置、及び衝突防止方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る衝突防止装置の全体構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る衝突防止装置の動作を示すフロー図
【図3】仮想逸脱ラインがデフォルトに設定された状態の一例を示す模式図
【図4】仮想逸脱ラインがデフォルトよりも内側に設定された状態の一例を示す模式図
【図5】仮想逸脱ラインがデフォルトよりも内側に設定された状態の一例を示す模式図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る衝突防止装置の動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0072】
100 衝突防止装置
110 走行車線認識部
120 仮想逸脱ライン設定部
130 逸脱警報部
140 対象物検知部
150 閉眼状態検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車が走行車線から逸脱して対象物と衝突することを防止する衝突防止装置であって、
自車の走行車線を認識する走行車線認識部と、
前記走行車線認識部が認識した走行車線上に仮想逸脱ラインを設定する仮想逸脱ライン設定部と、
前記仮想逸脱ライン設定部が設定した仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、逸脱していることを警報によりユーザに知らせる逸脱警報部と、
ドライバの閉眼状態を検知する閉眼状態検知部とを備え、
前記仮想逸脱ライン設定部は、前記閉眼状態検知部がドライバの閉眼状態を検知しなかったときに、前記走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、前記閉眼状態検知部が閉眼状態を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する、衝突防止装置。
【請求項2】
前記走行車線認識部が認識した走行車線の側方に対象物があることを検知する対象物検知部を更に備え、
前記仮想逸脱ライン設定部は、
前記対象物検知部が対象物を検知しなかった場合、前記走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、前記対象物検知部が対象物を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定することを特徴とする、請求項1に記載の衝突防止装置。
【請求項3】
前記仮想逸脱ライン設定部は、自車の進行方向に対して前記走行車線上の右側、及び左側に仮想逸脱ラインを設定し、前記対象物検知部が対象物を検知した場合、自車の進行方向に対して当該対象物が検知された左右いずれか、又は双方に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項2に記載の衝突防止装置。
【請求項4】
前記仮想逸脱ライン設定部は、前記走行車線が対向車線に近い車線であるときほど、仮想逸脱ラインを前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項2に記載の衝突防止装置。
【請求項5】
前記仮想逸脱ライン設定部は、前記走行車線が右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項2に記載の衝突防止装置。
【請求項6】
前記走行車線認識部は、カメラによって取得した画像を画像認識することによって前記走行車線を認識することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項7】
前記逸脱警報部は、前記走行車線認識部がカメラによって取得した画像の前記走行車線上の仮想逸脱ラインの位置に基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することを特徴とする、請求項6に記載の衝突防止装置。
【請求項8】
前記走行車線認識部は、ナビゲーション情報により前記走行車線を認識することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項9】
前記逸脱警報部は、ナビゲーション情報により認識した前記走行車線上の自車の位置と仮想逸脱ラインの位置とに基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することを特徴とする、請求項8に記載の衝突防止装置。
【請求項10】
前記対象物検知部は、カメラによって取得した画像を画像認識することによって対象物を検知することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項11】
前記対象物検知部は、レーダによって対象物を検知することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項12】
前記走行車線上のデフォルトの位置は、当該走行車線上の白線の位置であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項13】
前記対象物検知部は、他車を検知することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の衝突防止装置。
【請求項14】
自車が走行車線から逸脱して対象物と衝突することを防止する衝突防止方法であって、
自車の走行車線を認識する走行車線認識ステップと、
前記走行車線認識ステップで認識した走行車線上に仮想逸脱ラインを設定する仮想逸脱ライン設定ステップと、
前記仮想逸脱ライン設定ステップで設定した仮想逸脱ラインから自車が逸脱したときに、逸脱していることを警報によりユーザに知らせる逸脱警報ステップと、
ドライバの閉眼状態を検知する閉眼状態検知ステップとを備え、
前記仮想逸脱ライン設定ステップでは、前記閉眼状態検知ステップでドライバの閉眼状態を検知しなかったときに、前記走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、前記閉眼状態検知ステップで閉眼状態を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する、衝突防止方法。
【請求項15】
前記走行車線認識ステップで認識した走行車線の側方に対象物があることを検知する対象物検知ステップを更に備え、
前記仮想逸脱ライン設定ステップでは、
前記対象物検知ステップで対象物を検知しなかった場合、前記走行車線上のデフォルトの位置に仮想逸脱ラインを設定し、前記対象物検知ステップで対象物を検知した場合、前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に仮想逸脱ラインを設定する、請求項14に記載の衝突防止方法。
【請求項16】
前記仮想逸脱ライン設定ステップでは、自車の進行方向に対して前記走行車線上の右側、及び左側に仮想逸脱ラインを設定し、前記対象物検知ステップで対象物を検知した場合、自車の進行方向に対して当該対象物が検知された左右いずれか、又は双方に対応する側の仮想逸脱ラインを当該走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項15に記載の衝突防止方法。
【請求項17】
前記仮想逸脱ライン設定ステップでは、前記走行車線が対向車線に近い車線であるときほど、仮想逸脱ラインを前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項15に記載の衝突防止方法。
【請求項18】
前記仮想逸脱ライン設定ステップでは、前記走行車線が右側の車線であるときほど、仮想逸脱ラインを前記走行車線上のデフォルトの位置よりも内側に設定することを特徴とする、請求項15に記載の衝突防止方法。
【請求項19】
前記走行車線認識ステップでは、カメラによって取得した画像を画像認識することによって前記走行車線を認識することを特徴とする、請求項14〜18のいずれかに記載の衝突防止方法。
【請求項20】
前記逸脱警報ステップでは、前記走行車線認識ステップでカメラによって取得した画像の前記走行車線上の仮想逸脱ラインの位置に基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することを特徴とする、請求項19に記載の衝突防止方法。
【請求項21】
前記走行車線認識ステップでは、ナビゲーション情報により前記走行車線を認識することを特徴とする、請求項14〜18のいずれかに記載の衝突防止方法。
【請求項22】
前記逸脱警報ステップでは、ナビゲーション情報により認識した前記走行車線上の自車の位置と仮想逸脱ラインの位置とに基づき、自車が当該走行車線から逸脱したか否かを判定することを特徴とする、請求項21に記載の衝突防止方法。
【請求項23】
前記対象物検知ステップでは、カメラによって取得した画像を画像認識することによって対象物を検知することを特徴とする、請求項14〜22のいずれかに記載の衝突防止方法。
【請求項24】
前記対象物検知ステップでは、レーダによって対象物を検知することを特徴とする、請求項14〜22のいずれかに記載の衝突防止方法。
【請求項25】
前記走行車線上のデフォルトの位置は、当該走行車線上の白線の位置であることを特徴とする、請求項14〜24のいずれかに記載の衝突防止方法。
【請求項26】
前記対象物検知ステップでは、他車を検知することを特徴とする、請求項14〜25のいずれかに記載の衝突防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−265684(P2009−265684A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110533(P2008−110533)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】