説明

衣類乾燥システム

【課題】乾燥室に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる衣類乾燥システムを提供する。
【解決手段】建物内の乾燥室1に、これを上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段2が設けられ、仕切手段2より上方空間が衣類乾燥室3とされ、衣類乾燥室3の天井に空調装置7用の吸気口10が設けられ、仕切手段2より下方の下方空間11を形成する壁に、建物内の空気を下方空間11に取り込む空気取込口12が設けられているので、下方空間11に入った空気は、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出され、衣類乾燥室3の衣類に下方から均一に当たったうえで吸気口10に吸入される。したがって、乾燥室1に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設ける衣類乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活スタイルの変化やプライバシーの問題等により、洗濯後の衣類を屋内干しにするニーズが高まっている。
屋内干し用の乾燥室を備えた衣類乾燥システムの一例として特許文献1に記載ものが知られている。この衣類乾燥システムでは、洗濯室に、洗濯機を設置する洗濯機室と、洗濯物を乾燥させるための乾燥室とが、前記洗濯機室から前記乾燥室に向かって洗濯物を供給するための供給口を介して連続的に設けられており、前記乾燥室に、この乾燥室から洗濯機室にわたって、洗濯物を掛ける複数のハンガーを回転循環する回転循環装置が設置されている。
この乾燥室では、洗濯物が掛けられた複数のハンガーを回転循環するようになっているので、洗濯物に風が当たり、これによって、洗濯物を乾燥させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−322225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の衣類乾燥システムでは、乾燥室において、洗濯物が掛けられた複数のハンガーを回転循環させることによって、洗濯物に風を当てるようになっているが、回転によって洗濯物に当たる風は緩やかであるので乾燥に時間がかかるとともに、横からの風なので、洗濯物に均一に風が当たり難く、乾燥に偏りが発生し易いという問題がある。
また、乾燥室に乾燥機等の機器を設置した場合、その分、エネルギーがかかってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、乾燥室に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる衣類乾燥システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、建物内に設けられた乾燥室1に、当該乾燥室1を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段2が設けられることによって、当該仕切手段2より上方空間が衣類乾燥室3とされ、
前記衣類乾燥室3を形成する壁または天井に、前記建物内に設けられた空調装置7用の吸気口10が設けられ、
前記仕切手段2より下方に位置する下方空間11を形成する壁に、前記建物内の空気を前記下方空間に取り込む空気取込口12が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、衣類乾燥室3を形成する壁または天井に、建物内に設けられた空調装置7用の吸気口10が設けられているので、衣類乾燥室3の空気は吸気口10に吸入され、これによって衣類乾燥室3が負圧となる。
一方、仕切手段2より下方に位置する下方空間11を形成する壁に空気取込口12が設けられているので、建物内の空気は空気取込口12から下方空間11に入るが、衣類乾燥室3が負圧となっているので、下方空間11に入った空気は、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出される。
この吹き出された空気が衣類乾燥室3に配置された洗濯物等の衣類に下方から均一に当たったうえで、空調装置7用の吸気口10に吸入される。
したがって、乾燥室1に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図4〜図6に示すように、請求項1に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記空調装置7,27は、当該空調装置7,27から供給される空気を前記乾燥室1,21が設けられた階にある部屋8、廊下9等を順に流通させたうえで、前記空調装置7,27に戻す循環型のものであり、
前記部屋8、廊下9等を順に流通した空気が前記空気取込口12,27から前記下方空間11,26に取り込まれることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、空調装置7,27が循環型のものであるので、乾燥室1,21が設けられた階においては、多量の乾燥空気の還気がある。この乾燥空気が空気取込口12,27から下方空間11,26に入って、仕切手段2,22によって下方から上方の衣類乾燥室に吹き出されるので、衣類乾燥室3,23に配置された洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できるとともに、多量の乾燥空気を有効利用できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1または2に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記仕切手段2に、上下に貫通する複数の貫通孔2aが設けられており、これら貫通孔2aはその直径の大きさによって複数種類あることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、仕切手段2に複数の貫通孔2aが設けられており、これら貫通孔2aはその直径の大きさによって複数種類あるので、これら貫通孔2aから衣類乾燥室3に吹き出された空気が乱流となり、衣類乾燥室3に配置された洗濯物等の衣類により均一に当たる。したがって、衣類をより均一に乾燥できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記空気取込口12と前記仕切手段2との間に、乾燥剤13が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、空気取込口12と仕切手段2との間に、乾燥剤13が設けられているので、空気取込口12から入った空気が乾燥剤13によってさらに乾燥されて、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出される。したがって、より短時間で衣類を乾燥できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記乾燥室1に隣接して脱衣室5が設けられており、この脱衣室5と前記乾燥室1とを仕切る壁に、衣類を前記衣類乾燥室3に出し入れ可能な戸15が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、脱衣室5において、戸15を開けて、衣類乾燥室3内の乾燥した衣類を取り出すことができ、また、雨天の際に濡れた衣類を、戸15を開けて衣類乾燥室3に入れることができるので、使い勝手がよくなる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記吸気口10の近傍に、湿度センサ16が設けられており、この湿度センサ16が建物の内の所定の部屋に設けられた表示器(操作モニタ17)に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、衣類乾燥室3内での衣類乾燥時は吸気口10の近傍の湿度が上昇し、乾燥終了後は吸気口10の近傍の湿度が元に戻る。したがって、これらの湿度の変化を表示器に表示させることによって、衣類の乾燥終了時を知ることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜6のいずれか一項に記載の衣類乾燥システムにおいて、前記仕切手段2には、埃除去・消臭用のフィルター4が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、仕切手段2に、埃除去・消臭用のフィルター4が設けられているので、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出される空気は、除埃、消臭済みである。したがって、衣類乾燥室3内の衣類に埃や臭いが付着するのを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、乾燥室に、当該乾燥室を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段が設けられることによって、当該仕切手段より上方空間が衣類乾燥室とされ、前記衣類乾燥室を形成する壁または天井に、前記建物内に設けられた空調装置用の吸気口が設けられ、前記仕切手段より下方に位置する下方空間を形成する壁に、前記建物内の空気を前記下方空間に取り込む空気取込口が設けられているので、仕切手段によって吹き出された空気が衣類乾燥室に配置された洗濯物等の衣類に下方から均一に当たったうえで、吸気口に吸入される。したがって、乾燥室に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る衣類乾燥システムの第1の実施の形態を示すもので、その断面図である。
【図2】同、衣類乾燥室に回転ハンガーを設けた状態を示す断面図である。
【図3】同、仕切手段に設ける貫通孔の変形例を示すもので、(a)は乾燥室の断面図、(b)は仕切手段を構成する板状部材の平面図である。
【図4】本発明に係る衣類乾燥システムの第2の実施の形態を示すもので、その断面図である。
【図5】同、2階の衣類乾燥システムを示す断面図である。
【図6】同、1階の衣類乾燥システムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る衣類乾燥システムの一例を示す断面図である。図1に示すように、建物内には乾燥室1が設けられている。この乾燥室1には、当該乾燥室1を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段2が設けられており、当該仕切手段2より上方空間が衣類乾燥室3とされている。この衣類乾燥室3の上部には、ハンガーを吊り下げるための吊下げ棒3bが設けられている。
【0023】
前記仕切手段2は水平な板状部材によって形成されており、この板状部材には上下に貫通する複数の貫通孔2aが複数形成されている。これら貫通孔2aはその直径の大きさによって複数種類ある。つまり、板状部材には直径の異なる複数の貫通孔2aが適宜の間隔をもって形成されている。また、隣り合う貫通孔2a,2aどうしの間隔も一定ではなく、適宜設定されている。これによって、仕切手段2の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて、上方つまり衣類乾燥室3に吹き出される空気は乱流Rとなる。
また、仕切手段2を構成する板状部材の下面には埃除去・消臭用のフィルター4が全ての貫通孔2aの下端開口を覆うようにして設けられている。フィルター4は、空気は通すが、埃や臭いは捕獲する機能を有するものである。
【0024】
なお、仕切手段2を、板状部材を使用することなく、フィルター4のみで構成してもよい。この場合、矩形枠にフィルター4を取り付け、このフィルター4を乾燥室1に当該乾燥室1を上下に仕切るようにして取り付ければよい。フィルター4では上記のような乱流は生じ難いが、乾燥室1を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能なものとなる。
【0025】
前記衣類乾燥室3を形成する天井3aは、乾燥室1に隣接している脱衣室5や廊下・ホール9等の天井6より低くなっており、この天井3aの裏側に空調装置7が設けられている。この空調装置7は、当該空調装置7から供給される空気をダクト7aを通して、乾燥室1が設けられた階にある部屋8、廊下9等を順に流通させたうえで、前記空調装置7に戻す循環型のものである。そして、この空調装置7用の吸気口10が衣類乾燥室3を形成する天井3aに設けられ、空調装置7の下面に設けられた空気吸入口が前記吸気口10に対向している。また、吸気口10にはガラリ10aが設けられている。
【0026】
前記仕切手段2より下方に位置する下方空間11を形成する壁には、建物内を流れてきた空気を下方空間11に取り込む空気取込口12が設けられており、この空気取込口12にはガラリ12aが設けられている。このガラリ12aの裏側には乾燥剤13が設けられている。したがって、ガラリ12aを通り抜けた空気は、乾燥剤13によって湿気の一部が吸収されて乾燥されるようになっている。
また、前記乾燥室1と脱衣室5とを仕切る壁には、衣類を衣類乾燥室3に出し入れ可能な戸15が設けられている。この戸15の開閉方式はどのようなものでもよく、例えば、引き込み戸、上げ下げ戸、開き戸等どのような戸であってもよい。また、戸15には、衣類乾燥室3を覗くことができる覗き窓を設けてもよい。
【0027】
前記衣類乾燥室3の天井3aに設けられた吸気口10の縁部には、温湿度センサ16が設けられている。
一方、空調装置7の操作モニタ(表示器)17が建物内の部屋8の壁に取り付けられており、この操作モニタ17に、温湿度センサ16が接続されている。また、操作モニタ17には部屋8の温湿度を検出可能な別の温湿度センサ17aが設けられている。
操作モニタ17の表示画面には、前記温湿度センサ16によって検出された吸気口10の近傍の温度および湿度と、前記温湿度センサ17aによって検出された部屋8の温度および湿度が表示されるようになっている。
そして、この操作モニタ17では、衣類乾燥室3での衣類乾燥時に一時的に吸気口10の近傍の湿度が高まり、乾燥終了時に部屋8の湿度とほぼ等しくなることを感知して、衣類の乾燥が終了したことをユーザに画面表示や音によって知らせるようになっている。
【0028】
上記のような衣類乾燥システムでは、洗濯機によって洗濯された洗濯物や、雨天の際に濡れた衣類を、脱衣室5から戸15を開けて、衣類乾燥室3内に挿入し、ハンガーによって吊り棒3bに吊り下げる。
建物内の乾燥室1が設けられた階では、空調装置7から供給される空気がこの階にある部屋、廊下等を順に流通したうえで、乾燥室1の空気取込口12に還流する。
一方、衣類乾燥室3を形成する天井3aに吸気口10が設けられているので、衣類乾燥室3の空気は吸気口10に吸入され、これによって衣類乾燥室3が負圧となる。
建物内を流れてきた空気は空気取込口12から乾燥室1の下方空間11に入るが、衣類乾燥室3が負圧となっているので、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出される。つまり、下方空間11に入った空気は、仕切手段2の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて衣類乾燥室3に吹き出される。このとき、板状部材に形成されている複数の貫通孔2aは直径が異なるうえ、隣り合う貫通孔2a,2aどうしの間隔も一定ではなく、適宜設定されているので、複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて、上方つまり衣類乾燥室3に吹き出される空気は乱流Rとなる。
【0029】
そして、この乱流Rとなった空気が衣類乾燥室3に吊り下げられた洗濯物等の衣類に下方から均一に当たったうえで、空調装置7用の吸気口10に吸入される。
したがって、乾燥室1に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。
【0030】
また、空調装置7が循環型のものであるので、乾燥室1が設けられた階においては、多量の乾燥空気の還気がある。この乾燥空気が空気取込口12から下方空間11に入って、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出されるので、衣類乾燥室3に配置された洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できるとともに、多量の乾燥空気を有効利用できる。
さらに、仕切手段2に複数の貫通孔2aが設けられており、これら貫通孔2aはその直径の大きさによって複数種類あるので、これら貫通孔2aから衣類乾燥室3に吹き出された空気が乱流Rとなり、衣類乾燥室3に配置された洗濯物等の衣類により均一に当たる。したがって、衣類をより均一に乾燥できる。
【0031】
また、空気取込口12と仕切手段2との間に、乾燥剤13が設けられているので、空気取込口12から入った空気が乾燥剤13によってさらに乾燥されて、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室3に吹き出される。したがって、より短時間で衣類を乾燥できる。
また、仕切手段2に、埃除去・消臭用のフィルター4が設けられているので、仕切手段2によって下方から上方の衣類乾燥室に吹き出される空気から、除埃、消臭でき、よって衣類乾燥室内の衣類に埃や臭いが付着するのを防止できる。
さらに、脱衣室5と乾燥室1とを仕切る壁に、衣類を衣類乾燥室3に出し入れ可能な戸15が設けられているので、脱衣室5において、戸15を開けて、衣類乾燥室3内の乾燥した衣類を取り出すことができ、また、雨天の際に濡れた衣類を、戸15を開けて衣類乾燥室3に入れることができるので、使い勝手がよくなる。
また、吸気口10の近傍に、温湿度センサ16が設けられており、この湿度センサ16が建物の内の部屋8に設けられた操作モニタ17に接続されており、操作モニタ17には部屋8の温湿度を検出可能な別の温湿度センサ17aが設けられているので、衣類乾燥室3での衣類乾燥時に一時的に吸気口10の近傍の湿度が高まり、乾燥終了時に部屋8の湿度とほぼ等しくなることを感知して、衣類の乾燥が終了したことをユーザに画面表示や音によって知らせることができる。
【0032】
また、図2に示すように、前記衣類乾燥室3の天井3aに、軸3c回りに回転可能な回転ハンガー3dを軸2cによって取り付けた場合、仕切手段2の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて衣類乾燥室3に吹き出された空気の乱流によって、回転ハンガー3dが回転するので、衣類をムラなく乾燥できるとともに、衣類の出し入れが容易となる。
また、図3に示すように、仕切手段2に設ける複数の貫通孔2aの大きさ、配置を以下のように変更してもよい。
すなわち、図3(b)に示すように、仕切手段2の板状部材の一辺2bに沿って等間隔で同じ直径の貫通孔2aを形成するとともに、一辺2bに直交する他辺2cに沿って、直径を次第に小さくし、かつ配置間隔を次第に狭くした貫通孔2aを形成してもよい。
このような仕切手段2は、例えば、図3(a)に示すように、空気取込口12から遠い側に、前記一辺2bを配置し、近い側に一辺2bと対向する他辺2dを配置するようにして、乾燥室1に設ける。
このようにすると、直径の大きい貫通孔2aの上方に、乾き難い衣類を吊下げ棒3bにハンガーによって吊下げ、直径の小さい貫通孔2aの上方に、乾き易い衣類を吊下げ棒3bにハンガーによって吊下げることによって、乾き難い衣類には、直径の大きい貫通孔2aから多量の空気を当てることができ、乾き易い衣類には、直径の小さい貫通孔2aから少量の空気を当てることができる。したがって、乾燥すべき衣類を区別して効率的に乾燥できる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図4は本発明に係る衣類乾燥システムの他の例を示す断面図である。
本例では、建物の1階と2階の双方に、本発明に係る衣類乾燥システムをそれぞれ備えている。
まず、2階の衣類乾燥システムについて説明する。
2階の衣類乾燥システムでは、図4および図5に示すように、空調装置7が小屋裏に設置さており、これによって、乾燥室1が、図1に示す衣類乾燥システムに比して、上方に配置されている。
乾燥室1の下方には、天井高が0.9m〜1.4m程度の収納室18が設けられており、この収納室18には、2階の居室等から出入りできるようになっている。
【0034】
前記乾燥室1の構成は、図1に示す衣類乾燥システムと同様であるので、同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
前記空調装置7には吸気用のダクト7bが接続され、このダクト7bが乾燥室1の衣類乾燥室3を形成する天井3aに設けられた吸気口10に接続されている。
【0035】
そして、本例の衣類乾燥システムでは、2階において、空調装置7から供給される空気がダクト7aを通して、2階にある部屋8、廊下9等を順に流通したうえで、乾燥室1の空気取込口12に還流する。
一方、衣類乾燥室3を形成する天井3aに吸気口10が設けられているので、衣類乾燥室3の空気は吸気口10に吸入され、これによって衣類乾燥室3が負圧となる。
建物内を流れてきた空気は空気取込口12から乾燥室1の下方空間11に入るが、衣類乾燥室3が負圧となっているので、下方空間11に入った空気は、仕切手段2の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて衣類乾燥室3に吹き出される。このとき、板状部材に形成されている複数の貫通孔2aは直径が異なるうえ、隣り合う貫通孔2a,2aどうしの間隔も一定ではなく、適宜設定されているので、複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて、上方つまり衣類乾燥室3に吹き出される空気は乱流Rとなる。
そして、この乱流Rとなった空気が衣類乾燥室3に吊り下げられて配置された洗濯物等の衣類に下方から均一に当たったうえで、空調装置7用の吸気口10に吸入される。
したがって、乾燥室1に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。
【0036】
次に、1階の衣類乾燥システムについて説明する。
1階の衣類乾燥システムでは、図4および図6に示すように、建物内の階段20の下に乾燥室21が設けられている。この乾燥室21には、当該乾燥室21を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段22が設けられており、当該仕切手段22より上方空間が衣類乾燥室23とされている。この衣類乾燥室23の上部には、ハンガーを吊り下げるための吊下げ棒23bが設けられている。
【0037】
前記仕切手段22は前記仕切手段2と同様の構成となっており、複数の貫通孔2aを備えている。水平な板状部材によって形成されており、この板状部材には上下に貫通する複数の貫通孔2aが複数形成されている。そして、仕切手段22の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて衣類乾燥室23に吹き出される空気は乱流Rとなる。
また、仕切手段22を構成する板状部材の下面には埃除去・消臭用のフィルター4が全ての貫通孔2aの下端開口を覆うようにして設けられている。
【0038】
前記衣類乾燥室23に隣接している階段下の階段室24には空調装置27が設けられている。この空調装置27は、当該空調装置27から供給される空気を床下に配置されたダクト27aを通して、1階にある部屋8、廊下・ホール9等を順に流通させたうえで、前記空調装置27に戻す循環型のものである。
そして、この空調装置27用の吸気口25が衣類乾燥室23と階段室24とを仕切る壁23aに設けられ、この吸気口25にはガラリ25aが設けられている。
【0039】
前記仕切手段22より下方に位置する下方空間26を形成する壁には、建物内を流れてきた空気を下方空間26に取り込む空気取込口28が設けられており、この空気取込口28にはガラリ28aが設けられている。このガラリ28aの裏側には乾燥剤13が設けられている。したがって、ガラリ28aを通り抜けた空気は、乾燥剤13によって湿気の一部が吸収されて乾燥されるようになっている。
また、前記乾燥室21と廊下・ホール9とを仕切る壁には、衣類を衣類乾燥室23に出し入れ可能な戸28が設けられている。
また、前記乾燥室21と脱衣室9とを仕切る壁には、衣類を衣類乾燥室23に出し入れ可能な戸29が設けられている。
【0040】
そして、本例の衣類乾燥システムでは、1階において、空調装置27から供給される空気がダクト27aを通して、1階にある部屋8、廊下9等を順に流通したうえで、乾燥室21の空気取込口28に還流する。
一方、衣類乾燥室23を形成する壁23aに吸気口25が設けられているので、衣類乾燥室23の空気は吸気口25に吸入され、これによって衣類乾燥室23が負圧となる。
建物内を流れてきた空気は空気取込口28から乾燥室21の下方空間26に入るが、衣類乾燥室23が負圧となっているので、下方空間26に入った空気は、仕切手段22の複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて衣類乾燥室23に吹き出される。このとき、板状部材に形成されている複数の貫通孔2aは直径が異なるうえ、隣り合う貫通孔2a,2aどうしの間隔も一定ではなく、適宜設定されているので、複数の貫通孔2aを下から上に吹き抜けて、衣類乾燥室23に吹き出される空気は乱流Rとなる。
そして、この乱流Rとなった空気が衣類乾燥室23に吊り下げられた洗濯物等の衣類に下方から均一に当たったうえで、空調装置27用の吸気口25に吸入される。
したがって、乾燥室1に乾燥機等の機器を設置することなく、洗濯物等の衣類を短時間でかつ均一に乾燥できる。
【0041】
なお、本例の衣類乾燥システムでは、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本例の1階および2階の衣類乾燥システムにおいて、第1の実施の形態と同様に、吸気口25の縁部に温湿度センサを設ける一方で、空調装置27の温湿度センサを有する操作モニタを建物内の部屋の壁に取り付け、この操作モニタに、前記温湿度センサを接続してもよい。これによって、衣類乾燥室23での衣類乾燥時に一時的に吸気口25の近傍の湿度が高まり、乾燥終了時に部屋の湿度とほぼ等しくなることを感知して、衣類の乾燥が終了したことをユーザに画面表示や音によって知らせることができる。
【符号の説明】
【0042】
1,21 乾燥室
2,22 仕切手段
2a 貫通孔
3,23 衣類乾燥室
4 フィルター
5 脱衣室
7,27 空調装置
8 部屋
9 廊下
10,25 吸気口
11,26 下方空間
12,27 空気取込口
13 乾燥剤
15,29 戸
16 温湿度センサ(湿度センサ)
17 操作モニタ(表示器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられた乾燥室に、当該乾燥室を上下に仕切るとともに、下方から上方に空気を吹出し可能とする仕切手段が設けられることによって、当該仕切手段より上方空間が衣類乾燥室とされ、
前記衣類乾燥室を形成する壁または天井に、前記建物内に設けられた空調装置用の吸気口が設けられ、
前記仕切手段より下方に位置する下方空間を形成する壁に、前記建物内の空気を前記下方空間に取り込む空気取込口が設けられていることを特徴とする衣類乾燥システム。
【請求項2】
前記空調装置は、当該空調装置から供給される空気を前記乾燥室が設けられた階にある部屋、廊下等を順に流通させたうえで、前記空調装置に戻す循環型のものであり、
前記部屋、廊下等を順に流通した空気が前記空気取込口から前記下方空間に取り込まれることを特徴とする請求項1に記載の衣類乾燥システム。
【請求項3】
前記仕切手段に、上下に貫通する複数の貫通孔が設けられており、これら貫通孔はその直径の大きさによって複数種類あることを特徴とする請求項1または2に記載の衣類乾燥システム。
【請求項4】
前記空気取込口と前記仕切手段との間に、乾燥剤が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の衣類乾燥システム。
【請求項5】
前記乾燥室に隣接して脱衣室が設けられており、この脱衣室と前記乾燥室とを仕切る壁に、衣類を前記衣類乾燥室に出し入れ可能な戸が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の衣類乾燥システム。
【請求項6】
前記吸気口の近傍に、湿度センサが設けられており、この湿度センサが建物の内の所定の部屋に設けられた表示器に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の衣類乾燥システム。
【請求項7】
前記仕切手段には、埃除去・消臭用のフィルターが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の衣類乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120554(P2012−120554A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271005(P2010−271005)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】