説明

表皮付一体発泡成形品及びその製造方法

【課題】表面に立体的な凹凸形状を形成し得て意匠性を高めることができ、また触感を部分的に変化させることで人が触れたときのフィーリングを良好となし得る表皮付一体発泡成形品を提供する。
【解決手段】発泡樹脂の原液を発泡成形して成る発泡基体12に対して、表皮18と軟質のスラブフォーム層20とフィルム22とが一体に積層された表皮層16を接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品10において、表皮層16には、フィルム22を貫通してスラブフォーム層20の内部まで到る切込み又は孔加工による含浸口部24を設けて、含浸口部24を通じてスラブフォーム層20に含浸された発泡樹脂の原液により固化部26を形成する。そして固化部26に表皮18を接着固定して、スラブフォーム層20の他部を表皮18とともに表側に膨出させて発泡成形品10の表面に凹凸形状を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のドアトリムやインストルトメントパネル,アームレスト,ヘッドレスト,シートその他の内装品に好適に用いられる表皮付一体発泡成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の内装品には表皮付の樹脂の発泡成形品が、特に発泡成形品の本体としての発泡基体と表皮層とを一体成形して成る表皮付一体発泡成形品が多く用いられている。
この表皮付一体発泡成形品は、発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及びスラブフォーム層の更に裏面側であって発泡基体との間に介在し、発泡樹脂の原液のスラブフォーム層への浸透を防止するフィルムが一体に積層された表皮層を、発泡基体の発泡成形の際に接合状態に一体に成形した形態をなしている。
【0003】
ここで発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層は、その軟らかさによって発泡成形品を触ったときの触感を良くする働きをなしている。
通常このスラブフォーム層には、工場でスラブ成形した発泡材(一般にはウレタン発泡材)を所定厚みにスライスしたものが用いられる。
【0004】
このスラブ成形では、連続的に移動するコンベア上に発泡樹脂の原液を流し、これを所定の幅及び厚みを有する平坦な板状に圧力開放状態で連続発泡及び成形するもので、このスラブ成形品は主として中間製品としての意味を有し、その後に目的に応じてこのスラブ成形品から様々な形状のものが切り出される。
【0005】
従来、このスラブ成形品を上記の表皮層に用いる場合、スラブ成形品を所定厚みに切断(スライス)し、これをラミネート加工によりレザーや布その他材質の表皮を積層状態に接合し一体化したものを用いる。
【0006】
ところでスラブ成形品をスライスした形態のスラブフォーム層に表皮を積層一体化しただけのものを発泡成形型の内面に沿わせて配置し、発泡基体の成形用の空間に発泡樹脂の原液を注入してこれを発泡させると、その原液がスラブフォーム層の内部に浸透してスラブフォーム層に含浸されてしまう(スラブフォーム層はスライス加工等によって破れた気泡が多数存在していて原液が含浸され易い)。
従ってそのまま原液を発泡及び固化させるとスラブフォーム層が硬くなってしまい、スラブフォーム層の有する本来の軟らかさ,良好な触感が減殺されてしまう。このため含浸分を考慮し予めフォーム厚みを上げておくといった対処方法もあるが、意匠性には悪影響が伴う。
【0007】
そこでこうしたことを防ぐため、従来、スラブフォーム層の裏面(表皮とは反対側の面)にスラブフォーム層への発泡樹脂の原液の浸透を防止するフィルム(通常は樹脂フィルム)をラミネート加工によって貼り合せ、3層構造としたものを表皮層として用いている。
このようにすれば、発泡樹脂の原液がスラブフォーム層に含浸され、スラブフォーム層を硬くしてしまうのを防ぐことができる。
【0008】
ところで、自動車内装品を主たる用途とする表皮付一体発泡成形品にあっては、その意匠性が重要な要素となるが、従来この種の表皮付一体発泡成形品の意匠は、表皮のシボや色,ステッチ等により表現されており、表面が平坦で単調なものであった。
また表面に触れたときの触感も、表面全体に亘って一様で変化に乏しく、触感から得られるフィーリングも十分ではなかった。
【0009】
本発明に関連する先行技術として、下記特許文献1には表皮付発泡成形品(表皮付一体発泡成形品)についての発明が示され、そこにおいて表皮付発泡成形品を発泡成形するに際して、コーナ部に位置する部分でフィルムを部分的に除去し、その除去部を通じてスラブフォーム層に発泡樹脂の原液を含浸させ、スラブフォーム層を部分的に固化させる点が開示されている。
但しこの特許文献1に開示のものは、表面を凹凸形状とすることを狙いとしたものでもなく、またフィルムを面状に部分的に除去するもので、スラブフォーム層を除去したり加工したりするものではなく、本発明と異なる。
【0010】
一方、下記特許文献2には車両内装品とその製造方法についての発明が示され、そこにおいてヘッドレストの表皮層(表皮)とスラブウレタン層(スラブフォーム層)とを共縫いして刺繍を施し、発泡成形体(発泡基体)の発泡成形時に発泡圧で圧縮していたスラブウレタン層を型開きによる圧力解除にて膨張させ、刺繍部を凹状とする点が開示されている。
この特許文献2に開示のものは、刺繍部を設けることでヘッドレスト表面が凹凸形状となるものであるが、凹凸形状とする手法が本発明とは異なる。
【0011】
他方、下記特許文献3には内装材及び内装材の端末処理方法についての発明が示され、そこにおいて発泡基体を発泡成形するに際し、表皮層の端末処理の方法として、熱線を配設した切除部材にて表皮層のフィルムにスリット状の切欠きを形成し、その切欠きを通じてスラブフォーム層に発泡樹脂の原液を含浸させて、スラブフォーム層を部分的に固化する点が開示されている。
但しこの特許文献3に開示のものは、フィルムのみを切り欠くもので、スラブフォーム層に加工を施すものではなく、また意匠として外観上現れる部分を凹凸形状化できるものでもなく、本発明とは異なる。
【0012】
下記特許文献4には、溝状模様を有する表皮一体発泡品の製造方法についての発明が示され、そこにおいて表皮に予め溝を設けておくことで溝状模様を有する表皮一体発泡品を製造する点が開示されている。
但しこのものは表皮に予め溝を形成しておくもので、本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−105214号公報
【特許文献2】特許第4075419号公報
【特許文献3】特開平2−203891号公報
【特許文献4】特開2007−216529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような事情を背景とし、取付状態で外部に露出する表面に立体的な凹凸形状を形成し得て意匠性を高めることができ、また触感を部分的に変化させることで、人が触れたときのフィーリングを良好となし得る表皮付一体発泡成形品及びその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
而して請求項1は表皮付一体発泡成形品に関するもので、発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に該発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び該スラブフォーム層の更に裏面側であって該発泡基体との間に介在し、前記発泡樹脂の原液の該スラブフォーム層への浸透を防止するフィルムが一体に積層された表皮層を、前記発泡基体の発泡成形の際に接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品であって、前記表皮層には、前記フィルムを貫通して前記スラブフォーム層の内部まで到る切込み又は孔加工による含浸口部が設けてあって、該含浸口部を通じて前記スラブフォーム層に含浸された前記原液による固化部が該スラブフォーム層に部分的に形成されて、該固化部に前記表皮が接着固定されており、該固化部による該表皮の固定部を除いた部分で前記スラブフォーム層が前記表皮とともに表側に膨出し、取付状態で外部に露出する表面に凹凸形状を形成していることを特徴とする。
【0016】
請求項2のものは、発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に該発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び該スラブフォーム層の更に裏面側であって該発泡基体との間に介在し、前記発泡樹脂の原液の該スラブフォーム層への浸透を防止するフィルムが一体に積層された表皮層を、前記発泡基体の発泡成形の際に接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品であって、前記表皮層は、前記フィルム及びスラブフォーム層が部分的に除去してあり、該除去により形成された凹所に前記原液が流入して固化することにより生じた前記発泡基体の一部に前記表皮が接着固定されており、該フィルム及びスラブフォーム層の除去部以外の部分で前記スラブフォーム層が前記表皮とともに表側に膨出し、取付状態で外部に露出する表面に凹凸形状を形成していることを特徴とする。
【0017】
請求項3は、請求項1の表皮付一体発泡成形品を製造する方法に関するものであって、(a)前記表皮層に、前記フィルムを貫通して前記スラブフォーム層の内部にまで到る切込み又は孔加工による含浸口部を設ける工程と、(b)前記表皮層を型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットする工程と、(c)型閉状態又は型開状態で前記発泡基体の成形用の空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、前記含浸口部を通じて該原液を含浸した前記スラブフォーム層の該含浸口部周りを部分的に固化させて固化部に前記表皮を接着固定する一方、前記空間内で前記発泡樹脂の原液を発泡及び固化させて、発泡圧で前記スラブフォーム層を圧縮した状態で前記発泡基体を前記表皮と一体に成形する工程と、(d)その後において前記発泡成形型を型開きし、前記圧縮状態の前記スラブフォーム層を圧力解除により前記固化部を除き前記表皮とともに膨出させる工程と、を経て表皮付一体発泡成形品を得ることを特徴とする。
【0018】
請求項4は、請求項2の表皮付一体発泡成形品の製造方法に関するものであって、(e)前記表皮層の前記フィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去する工程と、(f)前記表皮層を型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットする工程と、(g)型閉状態又は型開状態で前記発泡基体の成形用の空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、該空間内の原液及び前記部分的な除去により生じた前記スラブフォーム層の凹所に流入した該原液を発泡及び固化させて、該凹所内で固まった発泡基体の一部に前記表皮を接着固定するとともに、該空間内において、発泡圧で前記スラブフォーム層の前記凹所を除いた部分を圧縮した状態で該発泡基体を前記表皮と一体に成形する工程と、(h)その後において前記発泡成形型を型開きし、前記圧縮状態の前記スラブフォーム層を圧力解除により表皮とともに膨出させる工程と、を経て表皮付一体発泡成形品を得ることを特徴とする。
【0019】
請求項5のものは、請求項4において、加熱型を前記フィルム及びスラブフォーム層に押し当てて、該フィルム及びスラブフォーム層を加熱により部分的に溶融させて除去することを特徴とする。
【0020】
請求項6のものは、請求項5において、前記加熱型は、前記表面に形成する目的とした凹凸形状を転写可能な転写型となしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0021】
以上のように請求項1のものは、発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材となる表皮とその裏側のスラブフォーム層と、更にその裏側のフィルムとが一体に積層された表皮層を接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品において、フィルムを貫通してスラブフォーム層の内部まで到る切込み又は孔加工による含浸口部を表皮層に施し、その含浸口部を通じてスラブフォーム層に発泡樹脂の原液を含浸させて、原液による固化部をスラブフォーム層に部分的に形成し、その固化部に表皮を部分的に接着固定する一方、それ以外の部分でスラブフォーム層を表皮とともに表側に膨出させて、表面に凹凸形状を形成したものである。
【0022】
この請求項1によれば、単に表皮層におけるフィルム及びスラブフォーム層に切込み又は孔加工による含浸口部を設けておくだけで、表皮付一体発泡成形品の表面に凹凸形状を形成できるとともに、表皮付一体発泡成形品に触れたときに凹形状部と凸形状部とで触感が異なることで、触感にも変化を持たせることができる。
また含浸口部の位置や形状等を変えることで、簡単に表面の凹凸形状及び触感を様々な形状,触感に変化させることができる。
【0023】
加えてスラブフォーム層の内部まで到る含浸口部の深さを種々変化させることで、凹形状部の深さや凸形状部の高さを即ちそれらの差を大きくしたり小さくしたりすることができ、凹凸形状による外観を様々に変化させることができるとともに、併せて触感も様々に変化させることができる。
【0024】
次に請求項2のものは、表皮層のフィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去し、その除去により形成された凹所に発泡樹脂の原液が流入して固化することにより生じた発泡基体の一部に表皮の一部を接着固定するとともに、その除去部分以外の部分においてスラブフォーム層を表皮とともに表側に膨出させ、表面に凹凸形状を形成したものである。
【0025】
この請求項2によっても、表皮付一体発泡成形品の表面に凹凸形状を付与することができ、表皮付一体発泡成形品の表面の意匠性を高めることができるとともに、その凹凸形状によって表面の触感に変化を持たせることができ、表皮付一体発泡成形品に触れたときのフィーリングを高めることができる。
【0026】
またフィルム及びスラブフォーム層の除去部分の位置や大きさ、形状等を変えることによって、表皮付一体発泡成形品の表面の凹凸形状を様々に変化させることができ、併せて触感も様々に変化させることができる。
この請求項2では、特に凹形状部の平面的な大きさや深さを容易に大きく、また深くすることができる。
【0027】
請求項3は、請求項1の表皮付一体発泡成形品を製造する方法に関するもので、この製造方法では、予め表皮層にフィルムを貫通してスラブフォーム層の内部にまで到る切込み又は孔加工による含浸口部を設けておく。
そして含浸口部を設けた表皮層を、型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットし、その後型閉状態又は型開状態で発泡基体の成形用の空間に発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、上記の含浸口部を通じて原液を含浸したスラブフォーム層の含浸口部周りを部分的に固化させて、固化部に表皮の一部を接着固定する一方、上記の空間内で発泡樹脂の原液を発泡及び固化させて、発泡圧でスラブフォーム層を圧縮した状態で発泡基体を表皮と一体に成形する。
その後発泡成形型を型開きし、圧縮状態にあったスラブフォーム層を型開きによる圧力解除によって固化部を除き表皮とともに膨出させ、ここにおいて表面に凹凸形状を形成して成る表皮付一体発泡成形品を得るものである。
この製造方法によれば、予め表皮層に含浸口部を設けておくだけで、従来と同様の製造方法で表面に凹凸形状を有する表皮付一体発泡成形品を簡単に製造することができる。
【0028】
請求項4は、請求項2の表皮付一体発泡成形品の製造方法に関するもので、この製造方法では、予め表皮層のフィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去しておく。
そしてその除去処理を行った表皮層を、型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットする。
その後、型閉状態又は型開状態で発泡基体の成形用の空間に発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、その空間内の原液及び上記の部分的な除去により生じたスラブフォーム層の凹所に流入した原液を発泡及び固化させて、凹所内で固まった発泡基体の一部に表皮の一部を接着固定するとともに、上記の空間内において、発泡圧でスラブフォーム層の上記の凹所を除いた部分を圧縮した状態で発泡基体を表皮と一体に成形する。
その後発泡成形型を型開きし、圧縮状態のスラブフォーム層を圧力解除により表皮とともに膨出させて、表面に凹凸形状を有する表皮付一体発泡成形品を製造する。
【0029】
この請求項4の製造方法においても、単に予め表皮層のフィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去しておくだけで、従来と同様の製造方法に従って、表面に凹凸形状を有する表皮付一体発泡成形品を得ることができる。
【0030】
この請求項4においては、加熱型をフィルム及びスラブフォーム層に押し当てて、フィルム及びスラブフォーム層を加熱により溶融させることで、フィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去するようになすことができる(請求項5)。
このようにすれば、簡単に目的とする位置に及び形状でフィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去することができる。
【0031】
更にこの場合において、加熱型は、表皮付一体発泡成形品の表面に形成する、目的とした凹凸形状を転写可能な転写型となしておくことができる(請求項6)。
このようにすれば、単に加熱型を表皮層のフィルム及びスラブフォーム層に押し当てるだけで、その後従来と同様の製造方法に従って表皮付一体発泡成形品を製造することで、表面に目的とする様々な形状の凹凸形状模様を転写形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の表皮付一体発泡成形品を示した図である。
【図2】図1の発泡成形品の製造方法の要部工程を示した説明図である。
【図3】図2に続く説明図である。
【図4】図3に続く説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態の発泡成形品の要部を示した図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態の発泡成形品を示した図である。
【図7】図6の発泡成形品の製造方法の要部工程を示した説明図である。
【図8】図7に続く説明図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の発泡成形品の製造方法の要部工程を示した説明図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の発泡成形品の製造方法の要部工程を示した説明図である。
【図11】発泡成形品の比較例の製造方法の要部工程を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は自動車内装品として用いられる表皮付一体発泡成形品(以下単に発泡成形品とする)で、この発泡成形品10は、その本体としての樹脂の発泡基体12と、その裏面側の芯材14と、発泡基体12の表面を被覆する表皮層16とを有しており、それらが積層状態に一体化されている。
【0034】
発泡基体12は、ここではウレタン樹脂の発泡体から成っており、また芯材14は、剛性を有する硬質のポリプロピレン樹脂から成っている。芯材14は全体として板状をなしている。
芯材14は硬質のものであることが必要で、ここではロックウェル硬度(Rスケール)が80〜100、或いは100〜120程度のものが用いられているが、この芯材14としてはロックウェル硬度で50以上のものを用いるのが望ましい。
芯材14は、ここではその厚みが2.5mmである。芯材14としては厚みが1.5mm以上であることが望ましい。
【0035】
表皮層16は皮革,合成皮革,織布,不織布,樹脂シートその他材質から成る表面材としての表皮18と、その裏面側のスラブフォーム層20と、更にその裏面側の樹脂のフィルム22との3層積層構造を成している。
これら表皮18,スラブフォーム層20及びフィルム22は、ラミネート加工によって互いに貼り合され一体化されている。
尚ここでは表皮18の厚みは約0.7mm,スラブフォーム層20の厚みは約3mm,フィルム22の厚みは約30μmである。
【0036】
スラブフォーム層20は、ここではポリウレタンの発泡材から成っていて弾性を有している。但しこのスラブフォーム層20は発泡基体12よりも密度が小さく、発泡基体12よりも軟質で軟らかく、また強度も低いものである。
このスラブフォーム層20は、工場でスラブ成形されたスラブ成形品をスライスして形成してあるもので、多数の気泡を有しているが、そのスライスの加工等によって破れた気泡が多く存在しており、後述する発泡樹脂の原液を含浸可能である。
尚このようなスラブフォーム層20は広く市販されている。
詳しくは、ここではスラブフォーム層20に表皮18とフィルム22とをラミネート加工により3層構造に貼り合せた表皮層16そのものを、市販品を用いて構成している。
【0037】
表皮層16には、所定個所にフィルム22を貫通してスラブフォーム層20の内部に到る切込みが加工形成されており、その切込みによって、後述の発泡樹脂の原液を含浸させる含浸口部24が設けられている。
【0038】
スラブフォーム層20は、この含浸口部24を通じて内部に含浸された、発泡基体12を形成するための発泡樹脂の原液が固化することにより生じた固化部26が含浸口部24の部分、詳しくは含浸口部24周りに形成されており、この固化部26に表皮18の一部が接着固定されている。即ち固化部26を介して表皮18が部分的に発泡基体12に固定されている。
図中18Aは、部分的に固化部26に固定された表皮18の固定部を表している。
ここで含浸口部24は表皮18までは到っておらず、スラブフォーム層20の厚みの中間部まで延びているが、固化部26は表皮18まで到達している。
【0039】
スラブフォーム層20は、固化部26以外の部分が、発泡基体12を発泡成形するための発泡成形型からの脱型により、表皮18とともに表側に膨出しており、その膨出部によって発泡成形品10の表面に凸形状部28が形成されている。
【0040】
一方固化部26の部分において、スラブフォーム層20は表皮18の一部とともに発泡基体12に対して固定、即ち拘束されて膨張抑止されており、その膨張抑止によって凹形状部30が発泡成形品10の表面に形成されている。
そしてそれら凸形状部28,凹形状部30によって発泡成形品10の表面に凹凸形状が形成されている。
ここで凹凸形状部は、取付状態で外部に露出する発泡成形品10の表面に形成されている。
ここではそれら凸形状部28,凹形状部30が図1(A)に示しているように互いに平行にストレート形状で延びる形態で形成されている。
【0041】
次にこの発泡成形品10の製造方法を図2〜図4に基づいて以下に説明する。
尚この製造方法は、発泡成形型を型閉めした状態で発泡基体12の成形用の空間に発泡樹脂の原液を注入する、所謂クローズ注入方式で発泡成形品10を製造する場合の例である。
図2(I)は、成形前の表皮層16を表しており、図に示しているように成形前において表皮層16は、全体として所定厚みの薄肉の平坦な板状(ないしシート状)をなしている。
この製造方法では、図2(II),(III)に示しているようにフィルム22を貫通してスラブフォーム層20内部まで到る切込み加工を施して、含浸口部24を表皮層16に設ける。
【0042】
ここでは、図2(II)に示しているように加工具32として刃具を用い、これをフィルム22及びスラブフォーム層20に突き刺すようにしてそれらを切断し、含浸口部24を設けることも可能であるし、或いは加工具32として加熱具を用い、フィルム22及びスラブフォーム層20を部分的に溶融させるようにしてスラブフォーム層20まで突き刺し、含浸口部24を設けることも可能である。
尚この実施形態において、含浸口部24を設けるための加工は、表皮層16を製品(発泡成形品10)の形状に合せて裁断した後において行う。
このように表皮層16を製品形状に合せて裁断した後に、後加工として含浸口部24を設けることで、含浸口部24を製品形状に合せて目的とする位置に精度高く形成することができる。
【0043】
次に、このようにして含浸口部24を設けた表皮層16を、芯材14とともに図3に示す発泡成形型34にセットする。
発泡成形型34は、第1分割型(ここでは上型)36と、第2分割型(ここでは下型)38とを有しており、型閉状態でそれらの間に発泡基体12の成形用の空間52を形成する。
この製造方法では、型開状態で芯材14をインサートとして図3(A)の第1分割型36の型面に沿わせるようにしてセットし、また上記の表皮層16を第2分割型38の型面に沿わせるようにしてセットする。
その後、図3(A)に示しているように第1分割型36と第2分割型38とを合せて発泡成形型34を型閉めする。
このとき芯材14と表皮層16との間に密閉された空間、即ち表皮層16の内側に発泡基体12の成形用の空間52が形成される。
この型閉状態で、図3(B)に示しているように注入機(図示省略)から発泡基体12を形成するための発泡樹脂の原液(ここではウレタン樹脂の原液)を、注入口40を通じて上記の空間52に注入し、そしてこれを発泡反応させる。
【0044】
このとき、空間52に注入された発泡樹脂の原液は、図4(IV)に示すように空間52内を拡がって、その一部が表皮層16の含浸口部24を通じてスラブフォーム層20内部に浸入してそこに含浸され、原液が含浸口部24周りで固化して上記の固化部26を形成する。このとき表皮18の一部(固定部18A)が固化部26に接着固定される。
併せて空間52内部では原液が発泡反応して体積膨張し、その発泡圧によって、図4(V)に示すように表皮層16におけるスラブフォーム層20を弾性圧縮し、その状態で発泡した原液が固化する。即ち空間52内で、発泡基体12が表皮層16と一体に発泡成形される。
【0045】
その後発泡成形型34を型開きすると、スラブフォーム層20が、詳しくは上記の固化部26を除いた部分が、圧力解除によって図4(VI)中下側に、つまり発泡基体12とは反対側に形状復帰して膨出し、その膨出によって図1(B)に示す凸形状部28を形成する。
【0046】
また固化部26においては、スラブフォーム層20が表皮18の固定部18Aとともに発泡基体12に固定され、拘束状態にあって膨出抑止されているため、凸形状部28と28との間の部位に凹形状部30を形成する。
そしてこのようにして発泡成形品10の表面に凹凸形状部が形成される。
【0047】
因みに図11は上記のような含浸口部24を設けていない表皮層16を用いて発泡成形品を製造した場合を示したもので、図11(III)に示しているように、このときにはスラブフォーム層20は全体が均等に形状復帰して膨張するため、発泡成形品の表面には上記のような凹凸形状は形成されず、表面は一様な平坦面となる。
尚、図11において(I),(II),(III)は、それぞれ図4における(IV),(V),(VI)に相当した図である。
【0048】
以上にような本実施形態によれば、単に表皮層16におけるフィルム22及びスラブフォーム層20に切込み加工による含浸口部24を設けておくだけで、発泡成形品10の表面に凹凸形状を形成でき、また発泡成形品10に触れたときに凹形状部30と凸形状部28とで触感が異なることで、触感にも変化を持たせることができる。
また含浸口部24の位置や形状等を変えることで、簡単に表面の凹凸形状及び触感を様々な形状,触感に変化させることができる。
【0049】
加えてスラブフォーム層20の内部まで到る含浸口部24の深さを種々変化させることで、凹形状部30の深さや凸形状部28の高さを、即ちそれらの差を大きくしたり小さくしたりすることができ、凹凸形状による外観を様々に変化させることができるとともに、併せて触感も様々に変化させることができる。
【0050】
また本実施形態の製造方法によれば、予め表皮層16に含浸口部24を設けておくだけで、従来と同様の製造方法で表面に凹凸形状を有する発泡成形品10を簡単に製造することができる。
【0051】
上記の例は、表皮層16のフィルム22及びスラブフォーム層20に切込みを入れることによって含浸口部24を形成した例であるが、図5に示しているようにフィルム22を貫通してスラブフォーム層20の厚み方向中間部まで到る孔を加工形成することで、含浸口部24を設けるといったことも可能である。
この場合において、孔の平面形状の大きさを様々に変化させることも可能である。
尚図5において、26はその含浸口部24からスラブフォーム層20に原液が含浸して固化することにより生じた固化部を表し、また18Aは、その固化部26に接着固定された表皮18の一部、即ち表皮18の固定部を表している。
【0052】
図6は本発明の発泡成形品(表皮付一体発泡成形品)の他の例を示している。
この例の発泡成形品10では、フィルム22及びスラブフォーム層20が表皮18の裏側の位置まで、具体的にはここでは表皮18に到るまで部分的に除去してあり、その除去により形成された凹所54に発泡樹脂の原液が流入して固化し、そこに発泡基体12の一部をなす段付形状の突出部12Aが形成されている。
そしてその突出部12Aに対して、表皮18の一部が接着固定されている。図中18Aは、その表皮18の突出部12Aへの固定部を表している。
【0053】
スラブフォーム層20は、上記の除去部以外の部分即ち凹所54以外の部分で、表皮18とともに表側に膨出し、凸形状部28を形成している。
そしてこの凸形状部28と28との間に、凹形状部30が形成され、それら凸形状部28と凹形状部30とによって、発泡成形品10の表面(取付状態で外部に露出する表面)に凹凸形状が形成されている。
尚、ここでは図6(A)に示しているように凹形状部30は円形状(平面形状)に形成されている。
【0054】
図6(B)において、26は凹所54周りに形成された原液の含浸による固化部を表している。
この実施形態では、スラブフォーム層20を表皮18の裏側の位置まで除去するとしているが、ここで表皮18の裏側の位置までとは実質的に表皮18の裏側の位置までの意であって、スラブフォーム層20を除去したときに、図7(III)の部分拡大図に示しているように表皮18の側にスラブフォーム層が薄肉の膜20Aとして若干残っていても良い。
但しその薄肉の膜20Aの厚みは1mm以下としておく。
この場合、その薄肉の膜20Aには発泡樹脂の原液が含浸されて、その薄肉の膜20Aが図6に示す薄肉の固化部26Aを形成する。
【0055】
図7及び図8は、図6に示す発泡成形品10の製造方法の要部工程を示している。
尚この例においても、発泡樹脂の原液の注入方式は第1の実施形態と同様のクローズ注入方式である。
この実施形態の製造方法では、用意した平坦な板状(シート状)の表皮層16(図7(I)参照)に対して、図7(II)に示すように加熱型56をフィルム22の側から押し当て、フィルム22及びスラブフォーム層20を、その加熱型56により加熱溶融させて、フィルム22及びスラブフォーム層20を表皮18の裏側の位置まで部分的に除去する。このとき図7(III)に示しているように表皮層16には、その除去によって凹所54が形成される。
尚この例においても、フィルム22及びスラブフォーム層20の部分的な除去は、表皮層16を製品形状に合せた形状に裁断した後において後加工として行う。
【0056】
以上のようにしてスラブフォーム層20及びフィルム22を部分的に除去した表皮層16を、芯材14とともに型開状態で図3に示す発泡成形型34にセットし、その後型閉めした状態で、注入機から発泡樹脂の原液を空間52に注入する。
空間52に注入された原液は、空間52内に拡がるとともに、その一部が図8(IV)に示しているように凹所54内に流入し、その後それらが空間52及び凹所54で膨張を伴って発泡反応し、固化する。
【0057】
このとき凹所54で原液が固まることによって、発泡基体12の一部をなす突出部12Aが段付形状に形成され、その突出部12Aに対して、図8(V)に示すように表皮18の一部が接着固定される。即ち図6(B)の表皮18の固定部18Aが突出部12Aに固定状態となる。
また空間52内で原液が発泡及び固化することによって、発泡基体12が表皮層16と一体に成形される。
【0058】
その後発泡成形型34を型開きすると、スラブフォーム層20が圧力解除によって図8(VI)中下側、即ち発泡基体12とは反対側に膨出し、その膨出によって凸形状部28を形成する。
またスラブフォーム層20を除いた部分、即ち凹所54及び突出部12Aの部分では、スラブフォーム層20が膨張するといったことがないため、凸形状部28と28との間に凹形状部30が形成される。
そしてそれら凸形状部28と凹形状部30とによって、発泡成形品10の表面に凹凸形状が形成される。
【0059】
この実施形態によっても、発泡成形品10の表面に凹凸形状を付与することができ、発泡成形品10の表面の意匠性を高めることができるとともに、その凹凸形状によって表面の触感に変化を持たせることができ、発泡成形品10に触れたときのフィーリングを高めることができる。
【0060】
またフィルム22及びスラブフォーム層20の除去部分の位置や大きさ、形状等を変えることによって、発泡成形品10の表面の凹凸形状を様々に変化させることができ、併せて触感も様々に変化させることができる。
この実施形態では、特に凹形状部30の平面的な大きさや深さを容易に大きく、また深くすることができる。
【0061】
また本実施形態の製造方法においても、単に予め表皮層16のフィルム22及びスラブフォーム層20を部分的に除去しておくだけで、従来と同様の製造方法に従って表面に凹凸形状を有する発泡成形品10を得ることができる。
【0062】
図9は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、上記の加熱型56を転写型58として構成した例で、ここでは転写型58に「A」の文字を構成する凸形状の型部60が設けてある。
この実施形態では、転写型58を表皮層16に対してフィルム22の側から押し当てると、「A」の文字を構成している凸形状の型部60によって、フィルム22及びスラブフォーム層20が対応するパターンで溶融されて部分的に除去され、複数の凹所54Aによって「A」の文字がパターン形成される。
【0063】
このようにしてフィルム22及びスラブフォーム層20を部分的に除去した表皮層16を用い、図7及び図8に示す工程に従って発泡成形品10を成形すると、表面に図9(ハ)に示す「A」の文字をなす凹形状部30がパターン形成される。
尚、図9に示す型部60を凹形状で構成した場合には、これとは逆に凸形状部28が「A」の文字をなすようにパターン形成される。
尚この例の「A」の文字はあくまで一例であって、同様の手法により他の様々な形状の凹凸形状を発泡成形品10の表面に形成することが可能である。
【0064】
この実施形態の製造方法によれば、簡単に目的とする位置に及び形状でフィルム22及びスラブフォーム層20を部分的に除去することができ、従って表面に様々な形状の凹凸形状模様を転写形成して成る発泡成形品10を容易に得ることができる。
【0065】
以上の例は、発泡成形型34を型閉めした状態で、発泡樹脂の原液を発泡基体12の成形用の空間52に注入するクローズ注入の場合の例であるが、本発明においては、発泡樹脂の原液を発泡成形型34に注入するに際して、発泡成形型34を型開きした状態で原液を発泡基体12の成形用の空間に注入する方式、即ちオープン注入方式を採用することも可能である。
【0066】
図10はこれを具体的に示したもので、図10(I)は型開状態で原液を空間52に注入した状態を、また(II)はその後において発泡成形型34を型閉めした状態を示している。
空間52に注入された原液は、図10(II)に示す型閉状態の下で空間52内を拡がり、その一部が図1の含浸口部24を通じてスラブフォーム層20内に含浸し、スラブフォーム層20の一部を固化せしめる。即ち図1の固化部26を形成する。
或いは図6の凹所54内に流れ込んでそこで固化し、同図の発泡基体12の一部をなす段付形状の突出部12Aを形成する。
【0067】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態,態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 表皮付一体発泡成形品
12 発泡基体
16 表皮層
18 表皮
20 スラブフォーム層
22 フィルム
24 含浸口部
26 固化部
28 凸形状部
30 凹形状部
32 加工具
52 空間
56 加熱型
58 転写型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に該発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び該スラブフォーム層の更に裏面側であって該発泡基体との間に介在し、前記発泡樹脂の原液の該スラブフォーム層への浸透を防止するフィルムが一体に積層された表皮層を、前記発泡基体の発泡成形の際に接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品であって、
前記表皮層には、前記フィルムを貫通して前記スラブフォーム層の内部まで到る切込み又は孔加工による含浸口部が設けてあって、該含浸口部を通じて前記スラブフォーム層に含浸された前記原液による固化部が該スラブフォーム層に部分的に形成されて、該固化部に前記表皮が接着固定されており、
該固化部による該表皮の固定部を除いた部分で前記スラブフォーム層が前記表皮とともに表側に膨出し、取付状態で外部に露出する表面に凹凸形状を形成していることを特徴とする表皮付一体発泡成形品。
【請求項2】
発泡樹脂の原液を発泡成形して成る、発泡成形品の本体としての発泡基体に対して、表面材としての表皮の裏側に該発泡基体よりも軟質の発泡材から成るスラブフォーム層及び該スラブフォーム層の更に裏面側であって該発泡基体との間に介在し、前記発泡樹脂の原液の該スラブフォーム層への浸透を防止するフィルムが一体に積層された表皮層を、前記発泡基体の発泡成形の際に接合状態に一体に成形して成る表皮付一体発泡成形品であって、
前記表皮層は、前記フィルム及びスラブフォーム層が部分的に除去してあり、該除去により形成された凹所に前記原液が流入して固化することにより生じた前記発泡基体の一部に前記表皮が接着固定されており、
該フィルム及びスラブフォーム層の除去部以外の部分で前記スラブフォーム層が前記表皮とともに表側に膨出し、取付状態で外部に露出する表面に凹凸形状を形成していることを特徴とする表皮付一体発泡成形品。
【請求項3】
請求項1の表皮付一体発泡成形品を製造する方法であって、
(a)前記表皮層に、前記フィルムを貫通して前記スラブフォーム層の内部にまで到る切込み又は孔加工による含浸口部を設ける工程と、
(b)前記表皮層を型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットする工程と、
(c)型閉状態又は型開状態で前記発泡基体の成形用の空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、前記含浸口部を通じて該原液を含浸した前記スラブフォーム層の該含浸口部周りを部分的に固化させて固化部に前記表皮を接着固定する一方、前記空間内で前記発泡樹脂の原液を発泡及び固化させて、発泡圧で前記スラブフォーム層を圧縮した状態で前記発泡基体を前記表皮と一体に成形する工程と、
(d)その後において前記発泡成形型を型開きし、前記圧縮状態の前記スラブフォーム層を圧力解除により前記固化部を除き前記表皮とともに膨出させる工程と、
を経て表皮付一体発泡成形品を得ることを特徴とする表皮付一体発泡成形品の製造方法。
【請求項4】
請求項2の表皮付一体発泡成形品の製造方法であって、
(e)前記表皮層の前記フィルム及びスラブフォーム層を部分的に除去する工程と、
(f)前記表皮層を型開状態で発泡成形型の型内面に沿わせてセットする工程と、
(g)型閉状態又は型開状態で前記発泡基体の成形用の空間に前記発泡樹脂の原液を注入し、型閉状態で、該空間内の原液及び前記部分的な除去により生じた前記スラブフォーム層の凹所に流入した該原液を発泡及び固化させて、該凹所内で固まった発泡基体の一部に前記表皮を接着固定するとともに、該空間内において、発泡圧で前記スラブフォーム層の前記凹所を除いた部分を圧縮した状態で該発泡基体を前記表皮と一体に成形する工程と、
(h)その後において前記発泡成形型を型開きし、前記圧縮状態の前記スラブフォーム層を圧力解除により表皮とともに膨出させる工程と、
を経て表皮付一体発泡成形品を得ることを特徴とする表皮付一体発泡成形品の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、加熱型を前記フィルム及びスラブフォーム層に押し当てて、該フィルム及びスラブフォーム層を加熱により部分的に溶融させて除去することを特徴とする表皮付一体発泡成形品の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、前記加熱型は、前記表面に形成する目的とした凹凸形状を転写可能な転写型となしてあることを特徴とする表皮付一体発泡成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−6374(P2013−6374A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141241(P2011−141241)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000219668)東海化成工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】