説明

表示システム及び画像表示装置

【課題】省電力化できる表示システム及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像出力装置2及び画像表示装置3を備える表示システム1であって、画像表示装置3は、設定された動作モードに応じて動作を制御する制御部を備え、画像出力装置2及び画像表示装置3のいずれかは、画像の変化を判定する変化判定部241と、変化領域を取得する変化領域取得部242と、変化領域のサイズを判定する領域判定部244と、小さいと判定された場合に変化回数を繰り上げる変化回数設定部246と、変化回数を判定する変化回数判定部248と、変化領域が大きい、又は、変化回数が閾値を越えていないと判定されるとカウンタを初期化し、変化がない、又は、変化回数が閾値を越えたと判定されると繰り上げるカウンタ設定部と、カウンタを判定するカウンタ判定部と、他の閾値を越えたと判定された場合に、省電力モードに設定するモード設定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置及び画像表示装置を備える表示システムと、画像表示装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(Personal Computer)等の画像出力装置に接続され、当該画像出力装置から入力される画像情報に応じた画像を表示する画像表示装置として、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の投射面上に拡大投射するプロジェクタが知られている。このようなプロジェクタは、比較的大きな画像を容易に表示することが可能であるため、企業等でのプレゼンテーションに用いられる場合が多い。
【0003】
近年、プロジェクタ等の画像表示装置においても省電力化の要望が高まっている。このため、プレゼンテーション等に利用される場合に、画像を表示し続けることをできるだけ避け、消費電力の低減を図ることのできる構成が要望されてきた。
このような要望に対し、画像情報の無入力状態が所定時間継続した場合に、光源を消灯させる等の省電力モード(スリープモード)に遷移するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、所定時間、マウス及びキーボード等の操作手段に対する操作が行われていない場合に、画像情報を出力しないPC等の画像出力装置が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−21218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の画像出力装置では、操作手段に対する操作が行われている場合には画像情報が出力され続けてしまうため、当該画像出力装置に接続された画像表示装置にて、画像が表示され続けてしまう。また、前述の特許文献1に記載のプロジェクタでは、当該画像情報がプロジェクタに入力され続ける限り、当該プロジェクタは省電力モードに遷移しない。このように、従来の画像出力装置及びプロジェクタを備える表示システムでは、適切な省電力化を図ることができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、適切に省電力化を図ることのできる表示システム及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の表示システムは、画像情報を出力する画像出力装置と、前記画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置とを備えた表示システムであって、前記画像出力装置は、前記画像情報を形成する画像形成部を備え、前記画像表示装置は、前記画像情報に基づく画像を表示する画像表示部と、設定された動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御部とを備え、前記画像出力装置及び前記画像表示装置のいずれかは、前記画像情報に基づく画像に変化があるか否かを判定する変化判定部と、前記変化判定部により、変化があったと判定された場合に、前記画像における変化領域を取得する変化領域取得部と、取得された前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、前記変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合のいずれかの場合に、カウンタを初期化し、前記変化判定部により、変化がないと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合のいずれかの場合に、前記カウンタを繰り上げるカウンタ設定部と、前記カウンタが、所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを省電力モードに設定するモード設定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、画像表示手段にて表示される画像に、所定のサイズより大きな変化が生じた場合には、省電力モードの設定に際して指標となるカウンタが初期化されるので、動作モードが省電力モードにならず、適切な画像表示が可能となる。また、当該画像に所定のサイズより小さな変化が生じた場合には、変化領域の変化回数が繰り上げられるものの、当該変化回数が所定の閾値を越えない場合には、同じくカウンタが初期化されるので、動作モードが省電力モードに設定されず、当該変化領域を含む画像を適切に表示することができる。
【0009】
一方、画像に所定のサイズより小さな変化が生じ、変化領域の変化回数が閾値を越えた場合には、カウンタが繰り上がる。また、当該カウンタは、変化判定部により、画像に変化がないと判定された場合にも繰り上がる。ここで、当該カウンタが他の閾値を越えない場合には、当該画像を表示する必要がある、或いは、省電力モードに設定される期間が経過していないと判断されて、動作モードは省電力モードに設定されないので、適切な画像の表示が可能となる。
他方、カウンタが他の閾値を越えた場合には、画像に生じた小さな変化が無視され、動作モードが省電力モードに設定される。
【0010】
これによれば、表示する画像に変化がない場合や、頻繁に変化する小さな変化領域がある場合に、所定の期間が経過すると、画像表示装置を省電力モードに設定することができる。従って、例えば、カーソルの点滅や、時計の変化など、表示する画像に大きな影響を与えない変化があった場合や、画像に変化がない場合に、画像表示装置を省電力モードに設定することができるので、当該画像表示装置の省電力化を図ることができ、ひいては、表示システム全体の省電力化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の表示システムは、画像情報を出力する画像出力装置と、当該画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置とを備えた表示システムであって、前記画像出力装置は、前記画像表示装置に表示させる画像に係る画像情報を形成する画像形成手段と、前記画像情報に基づいて、前記画像表示装置に出力する表示装置用情報を生成する生成手段と、生成された前記表示装置用情報を出力する出力手段とを備え、前記画像表示装置は、前記表示装置用情報に基づく画像を表示する画像表示手段と、前記表示装置用情報に基づいて、当該画像表示装置の動作モードを設定するモード設定手段と、前記動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記生成手段は、前記画像情報に係る画像が変化したか否かを判定する変化判定部と、当該変化判定部により、前記画像が変化したと判定された場合に、当該画像の変化領域を取得する変化領域取得部と、前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合のいずれかの場合に、カウンタを初期化するカウンタ情報を生成し、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合に、前記カウンタを初期化しないカウンタ情報を生成し、これらカウンタ情報のいずれかを含む前記表示装置用情報を生成する生成部とを備え、前記モード設定手段は、前記表示装置用情報を所定時間内に受信したか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記表示装置用情報を受信したと判定された場合に、前記カウンタ情報に基づいて、前記カウンタを初期化するか否かを判定するデータ判定部と、前記判定部により、前記表示装置用情報を受信していないと判定された場合に、前記カウンタを繰り上げ、前記データ判定部により、前記カウンタを初期化すると判定された場合に、前記カウンタを初期化するカウンタ設定部と、前記カウンタが所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを省電力モードに設定するモード設定部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前述の表示システムと同様の効果を奏することができる。
すなわち、本発明によれば、画像出力装置が、画像における変化領域のサイズ及び変化回数を判定し、変化領域のサイズが小さく、当該変化領域の変化回数が閾値を越えた場合に、初期化しないカウンタ情報を生成して、画像表示装置に出力する。一方、画像表示装置では、表示装置用情報を受信していない場合、及び、当該表示装置用情報を受信しても、初期化しないカウンタ情報を取得した場合には、カウンタを初期化せずに繰り上げる。そして、当該カウンタが他の閾値を越えた場合には、画像表示装置の動作モードが省電力モードに設定される。
これによれば、画像に変化がないと判定され、画像表示装置から画像情報が画像表示装置に出力されない場合や、無視できるほどの小さな変化領域内での変化が頻繁に生じた場合に、画像表示装置を省電力モードに設定することができる。従って、表示システム全体の省電力化を図ることができる。
【0013】
また、本発明によれば、画像出力装置が、カウンタを初期化するか否かを示すカウンタ情報を生成し、当該カウンタ情報を画像表示装置に出力する。すなわち、画像表示装置を省電力モードに設定するか否かの指標となるカウンタの値を、画像出力装置が制御する。これによれば、画像表示装置における処理の負担を軽減させることができる。
【0014】
本発明の表示システムでは、前記生成手段は、前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域の領域情報と、当該領域情報の寿命とを登録する登録部と、前記変化判定部により、登録された前記領域情報に係る前記変化領域が変化したと判定された場合に前記寿命を初期化し、変化していないと判定された場合に前記寿命を減算する寿命設定部と、前記寿命が所定の値に達したか否かを判定する寿命判定部とを備え、前記登録部は、前記寿命判定部により、前記寿命が前記所定の値に達したと判定された場合に、当該寿命に係る前記領域情報を削除することが好ましい。
【0015】
ここで、画像における変化領域が複数ある場合には、当該各変化領域の領域情報を登録しないと、各変化領域の領域情報の管理が煩雑となる。しかしながら、当該各領域情報が、登録されたままであると、変化領域における変化が生じなくなった場合でも、当該変化領域における変化回数が閾値を越えてしまっている場合には、当該変化領域の変化を無視し続けてしまうため、再度新たな変化が生じ、画像を表示させる必要が生じた場合でも、画像表示装置の省電力モードが維持されてしまう。
【0016】
これに対し、本発明では、登録部により、領域情報に関連付けて登録された寿命は、寿命設定部により、当該寿命に係る変化領域が変化した場合には初期化され、変化していない場合には減算される。これによれば、変化の発生頻度が高い変化領域の領域情報を登録しておくことができ、変化しなくなった変化領域の領域情報を削除して、新たな変化に対応することができる。従って、変化領域における変化の発生頻度に応じて、画像表示装置を省電力モードに設定することができる。
【0017】
本発明の表示システムでは、前記画像表示手段は、光源と、前記光源から射出された光束を前記画像情報に応じて変調する光変調装置とを備え、前記制御手段は、前記動作モードが前記省電力モードに設定された場合に、前記光源の定格電力よりも低減させた電力を当該光源に供給することが好ましい。
【0018】
ここで、画像表示手段が、光源及び光変調装置を備えている場合には、光源に供給する電力を低減させることにより、効果的に画像表示装置の省電力化を図ることができる。このため、本発明では、動作モードが省電力モードに設定された際に、制御手段が、光源に供給する電力を定格電力から下げることで、画像表示装置の効果的な省電力化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の画像表示装置は、入力される画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段を備えた画像表示装置であって、前記画像情報に基づいて、当該画像表示装置の動作モードを設定するモード設定手段と、前記動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記モード設定手段は、所定の周期で前記画像情報に係る画像が変化したか否かを判定する変化判定部と、前記変化判定部により、前記画像が変化したと判定された場合に、当該画像の変化領域を取得する変化領域取得部と、前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合、及び、前記変化判定部により、前記画像が変化していないと判定された場合にカウンタを繰り上げ、前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合に、前記カウンタを初期化するカウンタ設定部と、前記カウンタが所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを通常モードから省電力モードに設定するモード設定部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前述の表示システムと同様の効果を奏することができる。
すなわち、本発明によれば、入力される画像情報に係る画像の変化領域が大きい場合、及び、当該変化領域の変化回数が閾値を越えていない場合には、カウンタが初期化され、当該画像に変化がない場合、並びに、変化領域の変化回数が閾値を越えた場合には、カウンタが繰り上がる。ここで、画像情報が入力しなくなった場合でも、画像表示装置に直前に入力した画像情報に係る画像は変化していないこととなるので、カウンタは繰り上がる。そして、当該カウンタが他の閾値を越えていない場合には、画像を適切に表示する必要があると判断されて、省電力モードへの設定は行われず、また、当該カウンタが他の閾値を越えていれば、画像に変化が生じている場合でも、当該変化は無視できると判断して、省電力モードへの設定が行われる。これによれば、画像情報の入力状態、及び、当該画像情報に係る画像の変化状態に応じて、画像表示装置を省電力モードに設定することができる。従って、当該画像を表示する必要性に応じて、画像表示装置の省電力化を図ることができる。
【0021】
また、画像表示装置は、画像情報の入力状態、及び、当該画像情報に係る画像の変化に基づいて動作モードを設定するので、画像表示装置の省電力モードへの設定は、当該画像表示装置に画像情報を出力する画像出力装置の種別に依存しない。従って、どのような画像出力装置からの画像情報に基づく画像を表示する場合でも、本発明の画像表示装置は、動作モードを省電力モードに適切に設定することができ、当該画像表示装置の省電力化を確実に図ることができる。
【0022】
本発明の画像表示装置では、前記モード設定手段は、前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域の領域情報と、当該領域情報の寿命とを登録する登録部と、前記変化判定部により、登録された前記領域情報に係る前記変化領域が変化したと判定された場合に前記寿命を初期化し、変化していないと判定された場合に前記寿命を減算する寿命設定部と、前記寿命が所定の値に達したか否かを判定する寿命判定部とを備え、前記登録部は、前記寿命判定部により、前記寿命が前記所定の値に達したと判定された場合に、当該寿命に係る前記領域情報を削除することが好ましい。
【0023】
本発明によれば、前述の表示システムと同様の効果を奏することができる。
すなわち、本発明によれば、変化の発生頻度が高い変化領域の領域情報を登録しておくことができ、変化しなくなった変化領域の領域情報を削除して、新たな変化に対応することができる。従って、変化領域における変化の発生頻度に応じて、画像表示装置を省電力モードに設定することができる。
【0024】
本発明の画像表示装置では、前記画像表示手段は、光源と、前記光源から射出された光束を前記画像情報に応じて変調する光変調装置とを備え、前記制御手段は、前記動作モードが前記省電力モードに設定された場合に、前記光源の定格電力よりも低減させた電力を当該光源に供給することが好ましい。
【0025】
本発明によれば、前述の表示システムと同様の効果を奏することができる。
すなわち、本発明によれば、動作モードが省電力モードに設定された際に、制御手段が、光源に供給する電力を定格電力から下げることで、画像表示装置の効果的な省電力化を図ることができる。また、光源が放電型の光源ランプの場合には、当該光源ランプに供給する電力を、定格電力の80%程度の電力とすることにより、省電力モードが解除された場合でも、即座に画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔1.第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔表示システムの全体構成〕
図1は、本実施形態の表示システム1の構成を示すブロック図である。
本実施形態の表示システム1は、図1に示すように、画像出力装置としてのPC(Personal Computer)2と、当該PC2からの画像データ(画像情報)に応じた画像を表示する画像表示装置としてのプロジェクタ3とを備えている。そして、この表示システム1においては、PC2は、直前の画像データから変化した領域(変化領域)を取得し、当該変化領域での変化の発生頻度に応じて、プロジェクタ3に表示させる画像データを含むパケットを生成する。一方、PC2は、例えば、点滅するカーソルや時計など、特定の変化領域における変化の発生頻度が高い場合には、プロジェクタ3の動作モードを省電力モードに設定させる。
【0027】
〔PCの構成〕
PC2は、プロジェクタ3とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して接続され、当該プロジェクタ3により表示される画像に係る画像パケット及び制御パケットを含むパケットを生成及び出力する。このようなPC2は、画像形成手段21、ビデオメモリ22、キャプチャ手段23、パケット生成手段24、フレームメモリ25、領域記憶手段26及び出力手段27を備えている。
このうち、ビデオメモリ22及びフレームメモリ25は、画像データを記憶するメモリであり、領域記憶手段26は、後述する領域情報等を記憶するメモリである。
また、出力手段27は、パケット生成手段24により生成されたパケットを、接続されたプロジェクタ3に出力する。
【0028】
画像形成手段21は、本発明の画像形成部及び画像形成手段に相当し、PC2の動作に応じた画像を生成し、当該画像をビデオメモリ22に記憶させる。
キャプチャ手段23は、ビデオメモリ22に記憶された画像データを所定時間(例えば、垂直同期信号と同じタイミング)毎にキャプチャし、当該画像(キャプチャ画像)をパケット生成手段24に出力する。なお、このキャプチャ手段23のキャプチャタイミングは、適宜設定してよい。
【0029】
〔パケット生成手段の構成〕
パケット生成手段24は、キャプチャ手段23により直前に取得されたキャプチャ画像と、フレームメモリ25に記憶された画像(記憶済み画像)とを比較する。そして、当該パケット生成手段24は、記憶済み画像からキャプチャ画像が変化したと判定された領域(変化領域)の画像データを含むパケットを、当該変化領域の変化発生頻度に応じて生成する。このパケット生成手段24は、変化判定部241、変化領域取得部242、画像更新部243、領域判定部244、登録部245、変化回数設定部246、寿命設定部247、変化回数判定部248、生成部249、出力部24A及び寿命判定部24Bを備えている。
【0030】
変化判定部241は、記憶済み画像からキャプチャ画像が変化したか否かを判定する。
変化領域取得部242は、変化判定部241により変化したと判定された際に、変化領域の領域情報を取得する。この際、変化領域取得部242は、変化があったピクセルを含む最小の矩形領域(予め設定されたサイズ以上で、かつ、最小の領域)を変化領域とみなし、当該変化領域における原点から最も近い頂点の座標と、最も遠い座標とを領域情報として取得する。なお、最も遠い座標に代えて、変化領域のサイズ(縦横のピクセル値)を取得するようにしてもよい。
画像更新部243は、変化判定部241によりキャプチャ画像が変化したと判定された際に、キャプチャ画像で、記憶済み画像を更新する。
【0031】
領域判定部244は、変化領域が所定のサイズ(例えば、1000ピクセル)より大きいか否かを判定する。
登録部245は、領域判定部244により、変化領域が所定のサイズ以下であると判定された際に、当該変化領域が領域記憶手段26に登録されているか否かを判定し、登録されていない場合には、変化領域の位置を示す情報(領域情報。具体的には、座標)と、後述する変化回数及び寿命とを登録する。なお、領域情報は変化領域に応じて登録されるので、当該領域情報は、領域記憶手段26に複数登録される場合がある。
【0032】
変化回数設定部246及び寿命設定部247は、領域記憶手段26に記憶された変化領域の変化回数及び寿命を変動させる。
ここで、寿命とは、当該寿命に関連付けて登録された領域情報を領域記憶手段26に登録させておく期間を示す情報である。この寿命は、詳しくは後述するが、既に登録されている変化領域に変化があったと判定された場合に、寿命設定部247により初期化され、変化がないと判定された場合に、同じく寿命設定部247により減算される。
また、変化回数とは、領域情報が登録されている間に、当該領域情報に係る変化領域で発生した変化の回数を示すものである。この変化回数は、変化領域に変化があったと判定された場合に、変化回数設定部246によりインクリメントされる。
【0033】
変化回数判定部248は、変化回数が閾値を越えたか否かを判定する。この閾値は、適宜設定することができるが、変化領域における変化が頻繁に生じていると判断でき、かつ、当該変化を無視してプロジェクタ3を省電力モードに設定しても問題がない程度の時間に係る回数とすることができる。このため、閾値は、当該時間と、キャプチャ手段23によるキャプチャの周期とに基づいて設定される。
【0034】
生成部249は、当該PC2とプロジェクタ3との接続方式に応じたパケットを生成する。この生成部249は、変化があったと判定された変化領域に係る画像データと、当該変化領域の領域情報とを有する画像パケットと、プロジェクタ3にてカウントされる無受信カウンタをクリアするか否かを示すカウンタ情報を有する制御パケットとを生成する。そして、生成部249は、これら画像パケット及び制御パケットを1つのパケットにまとめたパケットを生成する。このパケットが、本発明の表示装置用情報に相当する。
【0035】
出力部24Aは、生成部249にて生成されたパケットを、出力手段27に出力し、当該出力手段27により、パケットをプロジェクタ3に出力させる。
寿命判定部24Bは、寿命設定部247により減算される寿命が0になったか否かを判定する。この寿命判定部24Bにより寿命が0であると判定されると、当該寿命に係る領域情報は、登録部245により削除される。
【0036】
〔プロジェクタの構成〕
図2は、プロジェクタ3の構成を示すブロック図である。
プロジェクタ3は、前述のように、PC2から入力される画像情報に応じた画像を表示する。このプロジェクタ3は、図2に示すように、受信手段31、モード設定手段32、点灯制御手段33、ビデオメモリ34、画像処理手段35及び画像表示手段36を備えている。
このうち、受信手段31は、PC2から出力されたパケットを受信する。また、ビデオメモリ34は、モード設定手段32にて処理された画像データを記憶する。
【0037】
〔画像処理手段の構成〕
画像処理手段35は、ビデオメモリ34に記憶された画像データに係る画像、又は、PC2とは異なる他の外部機器4から入力された画像信号に係る画像を、画像表示手段36により表示させる。この画像処理手段35は、DAコンバータ351、画像処理部352及びパネルドライバ353を備えている。
DAコンバータ351は、例えば、アナログ端子であるD−Sub端子を介して外部機器4から入力されるアナログ信号をデジタル変換し、変換されたデジタル信号を画像処理部352に出力する。
【0038】
画像処理部352は、ビデオメモリ34に記憶された画像データを、パネルドライバ353に出力する。また、画像処理部352は、図示しない切替部により切り替えられた場合には、DAコンバータ351から入力されるデジタル信号に基づいて画像データを生成し、当該画像データをパネルドライバ353に出力する。このようなパネルドライバ353への出力の際に、画像処理部352は、画像データのサイズ調整、色合い調整及びガンマ補正等の補正処理等を行う。
パネルドライバ353は、入力された画像データを駆動信号に変換し、当該駆動信号を液晶パネル362に出力する。
【0039】
〔画像表示手段の構成〕
画像表示手段36は、本発明の画像表示部及び画像表示手段に相当し、パネルドライバ353から入力される駆動信号に応じた画像光を形成し、当該画像光を投射することにより、投射面上にて当該画像光に係る画像を表示する。この画像表示手段36は、光源装置361、光変調装置としての液晶パネル362及び投射光学装置363を備えている。
なお、図示を省略したが、画像表示手段36は、これらの構成の他に、光源装置361から射出された光束を赤(R)、緑(G)及び青(B)の各色光に分離する色分離光学装置、及び、各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム等の色合成光学装置を備え、液晶パネル362は、各色光の光路上に配置されている。
【0040】
光源装置361は、放電型の光源ランプと、当該光源ランプから出射された放射光を反射して所定位置に収束させるリフレクタとを備えている。このうち、光源ランプに入力される電力は、後述する点灯制御手段33により制御され、当該光源ランプの発光輝度及び消費電力が調整される。なお、光源ランプは、例えば、超高圧水銀ランプとすることができる。また、光源装置361は、光源ランプに代えて、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)等の固体光源、並びに、有機EL(Electroluminescence)素子を備える構成とすることも可能である。
【0041】
投射光学装置363は、各液晶パネル362により形成され、かつ、色合成光学装置により合成された画像光を拡大投射する。この投射光学装置363は、鏡筒と、当該鏡筒内部に収納される複数のレンズとを備えた組レンズとして構成されている。
【0042】
〔モード設定手段の構成〕
モード設定手段32は、受信手段31にて受信されたパケットを解析し、当該パケットに含まれる画像パケット及び制御パケットを処理して、画像パケットから画像データを抽出してビデオメモリ34に記憶させる。また、モード設定手段32は、制御パケットに基づいて、プロジェクタ3の動作モード(通常モード及び省電力モード)を切り替える。このようなモード設定手段32は、受信判定部321、データ抽出部322、データ判定部323、タイマ324、タイマ判定部325、カウンタ設定部326、カウンタ判定部327、モード判定部328及びモード設定部329を備えている。
【0043】
受信判定部321は、受信手段31によりパケットが受信されたか否かを判定する。
データ抽出部322は、受信されたパケットから画像パケット及び制御パケットを抽出し、抽出された画像パケットに含まれる画像データをビデオメモリ34に記憶させるとともに、抽出された制御パケットをデータ判定部323に出力する。
データ判定部323は、制御パケットが後述する無受信カウンタをクリアする情報を有するか否かを判定し、有すると判定した場合には、無受信カウンタをカウンタ設定部326によりクリアさせる。
【0044】
タイマ324は、所定時間からのカウントダウンを行い、値が0になった場合、及び、受信判定部321によりパケットが受信されたと判定された場合に初期化される。このタイマ324の時間は、パケットの送信周期と同期している。
タイマ判定部325は、タイマ324が0になったか否かを判定する。このタイマ判定部325と受信判定部321が、本発明の判定部に相当する。
【0045】
カウンタ設定部326は、無受信カウンタの値を設定する。具体的に、カウンタ設定部326は、タイマ判定部325によりタイマ324が0になったと判定された場合に、無受信カウンタをインクリメントする(1繰り上げる)。また、カウンタ設定部326は、データ判定部323により、制御パケットが無受信カウンタをクリアするカウンタ情報を有していると判定された場合に、無受信カウンタを初期化(0にする)し、クリアしないカウンタ情報を有していると判定された場合に、無受信カウンタをインクリメントする。なお、無受信カウンタは、本来であれば受信される画像データを含むパケットを受信しなかった連続の回数を示すものであり、本発明のカウンタに相当する。
カウンタ判定部327は、無受信カウンタが所定の閾値を越えたか否かを判定する。
【0046】
モード判定部328は、現在のプロジェクタ3の動作モードが省電力モードか否かを判定する。
モード設定部329は、プロジェクタ3の動作モードを通常モードから省電力モードに、或いは、省電力モードから通常モードに切り替える。
【0047】
〔点灯制御手段の構成〕
点灯制御手段33は、本発明の制御手段に相当し、プロジェクタ3の動作モードに応じて、前述の光源装置361を構成する光源ランプに供給する電力を調整することで、当該光源ランプの発光輝度及び消費電力を調整する。具体的に、点灯制御手段33は、動作モードが通常モードである場合には、光源ランプに対して定格電力を供給し、動作モードが省電力モードである場合には、定格電力より低い電力を供給する。なお、本実施形態においては、点灯制御手段33は、省電力モードである場合に、定格電力の80%に相当する電力を光源ランプに供給するが、これに限らず、定格電力より低い電力であれば、適宜設定してよい。
【0048】
〔PCのデータ送信処理〕
図3は、PC2によるデータ送信処理SAを示すフローチャートである。
PC2では、前述のように、プロジェクタ3に画像パケット及び制御パケットのうち少なくともいずれかを含むパケットを送信するデータ送信処理SAを実行する。
このデータ送信処理SAでは、図3に示すように、まず、PC2のキャプチャ手段23が、画像形成手段21により形成され、かつ、ビデオメモリ22に記憶された画像データをキャプチャし、当該画像(キャプチャ画像)をパケット生成手段24に出力する(ステップSA01)。この後、変化判定部241が、キャプチャ画像と、記憶済み画像とを比較し、各画像の間に変化が生じたか否かを判定する(ステップSA02)。
【0049】
ここで、変化判定部241が、変化が生じたと判定した場合には、変化領域取得部242が、キャプチャ画像における変化領域の領域情報を取得する(ステップSA03)。そして、画像更新部243が、キャプチャ画像で記憶済み画像を更新する(ステップSA04)。
この後、パケット生成手段24は、領域情報登録処理SBを実行する。
【0050】
〔領域情報登録処理〕
図4は、領域情報登録処理SBを示すフローチャートである。
領域情報登録処理SBは、ステップSA03にて取得された領域情報のうち、所定のサイズ以下である変化領域の領域情報を、領域記憶手段26に登録する処理である。
この領域情報登録処理SBでは、図4に示すように、まず、領域判定部244が、取得された領域情報の1つに対して、当該領域情報に係る変化領域のサイズが、前述の所定のサイズより大きいか否かを判定する(ステップSB01)。ここで、領域判定部244が、当該サイズが所定のサイズより大きいと判定した場合には、PC2は、後述するステップSB06に処理を移行する。
【0051】
一方、領域判定部244が、当該サイズが所定のサイズ以下であると判定した場合には、登録部245が、ステップSB01にて判定された領域情報が、領域記憶手段26に登録(記憶)されているか否かを判定する(ステップSB02)。ここで、登録部245が、当該領域情報が既に登録されていると判定した場合には、PC2は、ステップSB04に処理を移行する。
また、ステップSB02にて、当該領域情報は未登録であると判定した場合には、登録部245は、当該領域情報を領域記憶手段26に登録する(ステップSB03)。
【0052】
この後、変化回数設定部246が、ステップSB01にて判定された領域情報に係る変化回数をインクリメントし(ステップSB04)、また、寿命設定部247が当該領域情報に係る寿命を初期化する(ステップSB05)。
そして、パケット生成手段24は、前述のステップSA03にて取得された領域情報の全てに対して、ステップSB01〜SB05が実行されたか否かを判定する(ステップSB06)。すなわち、ステップSB06では、パケット生成手段24が、取得された領域情報の全てがステップSB01での判定対象となったか否かを判定する。そして、処理されていない領域情報があると判定した場合には、パケット生成手段24は、当該領域情報のうちの1つに対して、ステップSB01を実行する。また、処理されていない領域情報がないと判定した場合には、パケット生成手段24は、領域情報登録処理SBを終了し、図3に示すように、寿命設定処理SCを実行する。
【0053】
〔寿命設定処理〕
図5は、寿命設定処理SCを示すフローチャートである。
寿命設定処理SCは、登録された領域情報に係る寿命を減算し、当該寿命が0になった場合には、当該領域情報を領域記憶手段26から削除する処理である。
この寿命設定処理SCでは、図5に示すように、まず、寿命設定部247が、領域記憶手段26に登録された領域情報のうち、1つの領域情報に係る寿命を減算する(ステップSC01)。この後、寿命判定部24Bが、ステップSC01で減算された領域情報に係る寿命が0になったか否かを判定する(ステップSC02)。ここで、寿命判定部24Bが、当該寿命が0ではないと判定した場合には、パケット生成手段24は、ステップSC04に処理を移行する。
また、寿命判定部24Bが、当該寿命が0であると判定した場合には、登録部245が、当該寿命に係る領域情報を領域記憶手段26から削除する(ステップSC03)。
【0054】
この後、パケット生成手段24は、登録されている寿命の全てに対して、ステップSC01〜SC03が実行されたか否かを判定する(ステップSC04)。すなわち、ステップSC04では、パケット生成手段24が、全ての領域情報に係る寿命が減算され、当該寿命が0であるか否かの判定が行われたか否かを判定する。そして、処理されていない寿命があると判定した場合には、パケット生成手段24は、当該寿命のうちの1つに対して、ステップSC01を実行し、処理されていない寿命がないと判定した場合には、寿命設定処理SCを終了する。そして、パケット生成手段24は、図3に示すように、ステップSA05を実行する。
【0055】
ステップSA05では、領域判定部244が、取得された全ての変化領域のうち、所定のサイズより大きな変化領域があるか否かを判定する(ステップSA05)。ここで、領域判定部244が所定のサイズより大きな変化領域があると判定した場合には、パケット生成手段24は、ステップSA08に処理を移行する。
一方、領域判定部244が所定のサイズより大きな変化領域はないと判定した場合には、変化回数判定部248が、領域記憶手段26に登録されている領域情報に係る変化回数の全てが、前述の閾値を越えたか否かを判定する(ステップSA06)。ここで、変化回数判定部248が、閾値を越えていない変化回数があると判定した場合には、パケット生成手段24は、ステップSA08に処理を移行する。
【0056】
ステップSA06での判定処理において、変化回数判定部248が、全ての変化回数が閾値を越えていると判定した場合には、生成部249が、プロジェクタ3の無受信カウンタをクリアしないカウンタ情報を有する制御パケットのみを含むパケットを生成する(ステップSA07)。
一方、ステップSA08では、生成部249が、変化領域の画像データ及び当該変化領域の領域情報(座標及びサイズ)を有する画像パケットと、プロジェクタ3の無受信カウンタをクリアするカウンタ情報を有する制御パケットとを含むパケットを生成する(ステップSA08)する。
そして、出力部24Aが、ステップSA07,08にて生成されたパケットを出力手段27に出力し、出力手段27が、当該パケットをプロジェクタ3に送信出力する(ステップSA09)。この後、PC2は、ステップSA01に戻り、キャプチャ手段23が再び、ビデオメモリ22に記憶された画像データをキャプチャする。
【0057】
一方、ステップSA02にて、変化判定部241が、キャプチャ画像と記憶済み画像との間に変化が生じていないと判定した場合には、パケット生成手段24は、前述の寿命設定処理SCを行う。そして、当該処理SCの後、PC2は、ステップSA01に戻る。
このように、PC2でのデータ送信処理SAは、繰り返し実行され、プロジェクタ3にパケットが所定周期で送信される。
【0058】
〔プロジェクタのモード設定処理〕
図6は、プロジェクタ3によるモード設定処理SDを示すフローチャートである。
プロジェクタ3では、前述のように、PC2から送信されたパケットを受信して、当該パケットに基づいて画像を表示するとともに、動作モードを設定する。また、プロジェクタ3は、当該パケットが所定時間受信されなくなると動作モードを省電力モードに変更し、また、省電力モードである間にパケットが受信されても、PC2から無受信カウンタをクリアしない制御パケットを受信した場合には、当該省電力モードを維持するモード設定処理SDを実行する。
【0059】
このようなモード設定処理SDでは、図6に示すように、まず、受信判定部321が、受信手段31によりPC2からパケットを受信したか否かを判定する(ステップSD01)。ここで、受信判定部321が、受信していないと判定した場合には、タイマ判定部325が、タイマ324の値が0になったか否かを判定する(ステップSD02)。このタイマ判定部325が、タイマ324の値が0でないと判定した場合には、モード設定手段32は、ステップSD01に処理を戻し、再度、受信判定部321が受信の有無を判定する。
【0060】
一方、タイマ判定部325により、タイマ324の値が0であると判定された場合には、カウンタ設定部326が、無受信カウンタをインクリメントし(ステップSD03)、カウンタ判定部327が、当該無受信カウンタが閾値を越えたか否かを判定する(ステップSD04)。ここで、カウンタ判定部327により、無受信カウンタが閾値を越えていないと判定された場合には、モード設定手段32は、ステップSD01に処理を戻す。
【0061】
また、ステップSD04の判定処理にて、カウンタ判定部327により、無受信カウンタが閾値を越えたと判定された場合には、モード判定部328が、プロジェクタ3の現在の動作モードが省電力モードか否かを判定する(ステップSD05)。この判定処理にて、モード判定部328により、現在の動作モードが省電力モードであると判定された場合には、モード設定手段32は、省電力モードを維持し、ステップSD01に処理を戻す。
一方、ステップSD05の判定処理にて、モード判定部328により、現在の動作モードが省電力モードでないと判定された場合には、モード設定部329が、動作モードを省電力モードに設定する(ステップSD06)。これにより、点灯制御手段33が、光源装置361に供給する電力を通常モードの場合よりも下げ、プロジェクタ3の省電力化が図られる。この後、モード設定手段32は、ステップSD01に処理を戻し、モード設定処理SDを継続する。
【0062】
一方、ステップSD01での判定処理にて、受信判定部321により、パケットを受信したと判定された場合には、データ抽出部322が受信したパケットから制御パケットを抽出し、当該制御パケットに含まれるカウンタ情報を、データ判定部323が判定する(ステップSD07)。具体的に、当該ステップSD07では、データ判定部323が、カウンタ情報が無受信カウンタをクリアする情報であるか否かを判定する。
ここで、データ判定部323により、クリアする情報でないと判定された場合には、モード設定手段32は、ステップSD03に処理を移行する。このため、PC2側にて、変化領域が小さく無変化と同等であると判断され、制御パケットのみが出力された場合には、プロジェクタ3側でパケットを受信しても、画像は無変化であると見なされ、無変化カウンタがインクリメントされる。そして、当該カウンタが閾値を越え、動作モードが通常モードである場合には、ステップSD06にて、省電力モードに設定される。
【0063】
一方、データ判定部323により、クリアする情報であると判定された場合には、カウンタ設定部326が無受信カウンタをクリアする(ステップSD08)。この後、モード判定部328が、プロジェクタ3の現在の動作モードが省電力モードか否かを判定する(ステップSD09)。この際、モード判定部328により、動作モードが省電力モードでない、すなわち、通常モードであると判定された場合には、動作モードを変更する必要が無いと見なして、モード設定手段32は、ステップSD01に処理を戻す。
【0064】
一方、モード判定部328により、動作モードが省電力モードであると判定された場合には、モード設定部329が、動作モードを通常モードに設定する(ステップSD10)。これにより、点灯制御手段33が、光源装置361に供給する電力を定格電力に戻し、投射画像の輝度が向上する。
この後、モード設定手段32は、ステップSD01に処理を戻し、プロジェクタ3でのモード設定処理SDが、繰り返し実行される。
【0065】
以上説明した本実施形態の表示システム1によれば、以下の効果がある。
(1)キャプチャ画像と記憶済み画像とが異なる場合で、所定のサイズより大きい変化領域があると判定された場合には、生成部249が、各変化領域の画像データ及び領域情報を有する画像パケットと、無受信カウンタをクリアするカウンタ情報を有する制御パケットとをまとめたパケットを生成する。このパケットは、プロジェクタ3に出力され、カウンタ情報に基づいて、カウンタ設定部326が無受信カウンタをクリアする。このため、プロジェクタ3の動作モードが省電力モードである場合には、通常モードに変更され、また、通常モードである場合には、当該モードが維持される。これによれば、画像の大きな領域で変化があった場合には、当該画像をプロジェクタ3が適切に表示することができる。
【0066】
また、キャプチャ画像と記憶済み画像とが異なる場合で、所定のサイズより大きな変化領域がない場合には、各変化領域の変化回数がインクリメントされる。ここで、全ての変化回数が閾値を越えていない場合には、キャプチャ画像に突発的な変化が生じたと判断して、所定のサイズより大きな変化が生じた場合と同様に、各変化領域の画像データ及び領域情報を有する画像パケットと、無受信カウンタをクリアするカウンタ情報を有する制御パケットとをまとめたパケットを生成する。このため、前述の場合と同様に、プロジェクタ3の動作モードが通常モードに設定されるので、変化領域の画像データを含む画像を適切に表示することができる。
【0067】
一方、それぞれの寿命が0になる前に、全ての変化領域の変化回数が閾値を越えた場合には、当該各変化領域の変化を無視する。すなわち、このような場合では、生成部が、画像パケットを生成せず、無受信カウンタをクリアしないカウンタ情報を有する制御パケットのみを含むパケットを生成する。このため、カウンタ設定部326が、当該カウンタ情報に基づいて、無受信カウンタをインクリメントし、カウンタ判定部327が、無受信カウンタが閾値を越えたか否かを判定する。そして、無受信カウンタが閾値を越えていない場合には、現在の動作モードが維持され、越えている場合には、モード設定部329により、省電力モードに設定される。これによれば、例えば、点滅するカーソルや時計等、頻繁に変化するものの全体の画像にあまり影響しない変化を無視して、省電力モードに設定することができるので、表示する必要性の低い画像の表示時の省電力化を図ることができる。
【0068】
他方、パケットがプロジェクタ3にて所定時間(タイマ324がタイムアップする時間)内に受信されない場合には、当該所定時間の経過毎に、カウンタ設定部326が、無受信カウンタをインクリメントし、カウンタ判定部327が、当該無受信カウンタが閾値を越えたか否かを判定する。このため、前述の変化回数が閾値を越えた場合と同様に、無受信カウンタが閾値を越えた場合には、モード設定部329により、プロジェクタ3の動作モードが省電力モードに設定される。従って、表示する必要性の低い画像の表示時に、プロジェクタ3の省電力化を図ることができる。
【0069】
(2)PC2が送信する制御パケットのカウンタ情報に基づいて、カウンタ設定部326が、無受信カウンタの初期化を行う。これによれば、PC2が、プロジェクタ3の動作モードを設定する際の指標となる無受信カウンタを制御するので、プロジェクタ3にて、画像パケットに係る画像の変化を判定する必要がなくなる。従って、プロジェクタ3の処理負担を軽減することができる。
【0070】
(3)登録部245が、所定のサイズより小さな変化領域の領域情報、変化回数及び寿命を領域記憶手段26に登録するので、キャプチャ画像中に、所定のサイズ以下の変化領域が複数存在する場合でも、当該各変化領域に係る領域情報、変化回数及び寿命を、適切に管理することができる。
また、このような領域情報は、当該領域情報に係る変化領域に変化がないと判定された場合に減算される寿命が0となった場合に削除される。これによれば、領域情報が登録されたままとなり、当該領域情報に係る変化領域の変化回数が閾値を越えた状態で維持されてしまうことを防ぐことができる。従って、当該変化領域が変化しなくなり、画像を表示する必要が生じているにも関らず、プロジェクタ3が省電力モードで維持されてしまうことを防ぐことができるほか、変化しなくなった領域情報を削除することで、管理対象の領域情報を削減することができる。
【0071】
(4)点灯制御手段33は、動作モードが通常モードの場合には、光源装置361の光源ランプに定格電力を供給し、省電力モードの場合には、当該光源ランプに定格電力の80%の電力を供給する。これによれば、プロジェクタ3の省電力化を確実に図ることができる。
また、省電力モード時に供給する電力を、定格電力の80%としているため、光源ランプが消灯することがないので、省電力モードから通常モードに切り替えられた場合でも、即座に対応することができる。
【0072】
〔2.第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る表示システム1Aについて説明する。
本実施形態の表示システム1Aは、前述の表示システム1と同様の構成を備えるが、当該表示システム1では、PC2が画像に変化があるか否かを判定したのに対し、表示システム1Aでは、プロジェクタが判定する点において、表示システム1Aと表示システム1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図7は、表示システム1Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態の表示システム1Aは、図7に示すように、PC5及びプロジェクタ6を備え、PC5から入力される画像信号に応じた画像をプロジェクタ6が形成表示する。
このうち、PC5は、画像形成手段21、ビデオメモリ22及び出力手段27を備え、当該画像形成手段21がビデオメモリ22にて形成した画像に係る画像信号を、出力手段27がプロジェクタ6に定期的に出力する。なお、本実施形態では、PC5とプロジェクタ6とは、互いにUSBケーブルを介して接続され、当該PC5は、USB規格に準拠した通信方式にて画像信号をプロジェクタ6に出力するように構成されているが、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の他の通信方式により、画像データをプロジェクタ6に出力するように構成してもよい。
【0074】
〔プロジェクタの構成〕
プロジェクタ6は、PC5から入力する画像信号に応じた画像を表示するほか、前述のPC2と同様に、当該画像の変化を判定して動作モードを設定する。このプロジェクタ6は、図7に示すように、画像処理手段35、ビデオメモリ34、画像表示手段36、フレームメモリ61、領域記憶手段62、モード設定手段63、点灯制御手段33を備えている。
【0075】
このうち、画像処理手段35は、前述のように、DAコンバータ351、画像処理部352及びパネルドライバ353を備えている。このうち、DAコンバータ351は、PC5から入力されるアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換し、画像処理部352は、当該デジタル信号に応じた画像をビデオメモリ34に形成する。そして、パネルドライバ353が、画像処理部352により形成された画像に応じた駆動信号を、画像表示手段36の液晶パネル362に出力する。
【0076】
フレームメモリ61は、モード設定手段63による後述するモード設定処理SEにて利用され、少なくとも1画面分の画像データを記憶する。
領域記憶手段62は、同じくモード設定処理SEにて、画像処理手段35により直前に形成された画像データの変化領域に係る領域情報と、当該領域情報に係る変化回数及び寿命とを関連付けて記憶する。また、領域記憶手段62は、当該画像データが変化していない期間を示すカウンタを記憶する。
【0077】
〔モード設定手段の構成〕
図8は、モード設定手段63の構成を示すブロック図である。
モード設定手段63は、ビデオメモリ34に記憶された画像データを監視し、当該画像データに係る画像の変化に応じて、プロジェクタ6の動作モードを設定する。このモード設定手段63は、図8に示すように、画像取得部631、変化判定部632、変化領域取得部633、画像更新部634、領域判定部635、登録部636、変化回数設定部637、寿命設定部638、カウンタ設定部639、寿命判定部640、変化回数判定部641、カウンタ判定部642、モード判定部643及びモード設定部644を備えている。
【0078】
画像取得部631は、ビデオメモリ34に記憶された1画面分の画像データを所定時間毎(例えば、垂直同期信号と同じタイミング)に取得する。
変化判定部632は、取得された画像データ(入力画像データ)と、フレームメモリ61に記憶された画像データ(記憶済み画像データ)とを比較し、画像データに変化が生じたか否かを判定する。
【0079】
変化領域取得部633は、入力画像データにおいて変化したと判定された部分を含む最小の矩形領域(予め設定されたサイズ以上で、かつ、最小の領域であり、変化領域)の座標(原点に最も近い座標及び最も遠い座標)を、領域情報として取得する。なお、変化領域取得部633は、変化領域が複数存在する場合には、それぞれの変化領域の領域情報を取得する。
画像更新部634は、変化判定部632により、画像データに変化が生じたと判定された場合に、フレームメモリ61の記憶済み画像データを入力画像データで更新する。
【0080】
領域判定部635は、取得された領域情報に基づいて、当該領域情報に係る変化領域のサイズが、所定のサイズ(例えば、1000ピクセル)より大きいか否かを判定する。
登録部636は、領域判定部635により、所定のサイズ以下と判定された変化領域が、領域記憶手段62に登録されていない場合には、当該変化領域の領域情報、変化回数及び寿命を新たに登録する。また、登録部636は、寿命判定部640により、寿命が0に達したと判定された領域情報を、領域記憶手段62から削除する。
【0081】
変化回数設定部637は、変化回数をインクリメント(1繰上げ)し、寿命設定部638は、寿命を減算又は初期化する。
カウンタ設定部639は、入力画像データが変化していないと見なした回数を示す無変化カウンタをインクリメント又は初期化する。この無変化カウンタが、本実施形態では、本発明のカウンタに相当する。
【0082】
寿命判定部640は、寿命が0に達したか否かを判定する。
変化回数判定部641は、変化回数が閾値を越えたか否かを判定する。この閾値は、前述の表示システム1と同様に設定される。
カウンタ判定部642は、無変化カウンタが閾値を越えたか否かを判定する。この閾値は、入力画像データに変化がなく、画像表示を停止しても問題がないと判断される時間と、画像取得部631により画像が取得される周期とに基づいて設定される。
モード判定部643は、プロジェクタ6の現在の動作モードが、省電力モードであるか否かを判定し、モード設定部644は、プロジェクタ6の動作モードを、通常モード又は省電力モードに設定する。
【0083】
〔モード設定処理〕
図9は、プロジェクタ6により実行されるモード設定処理SEを示すフローチャートである。
プロジェクタ6は、PC5から入力する画像信号を判定し、当該画像信号に係る画像の変化領域のサイズ及び変化回数に応じて、動作モードを設定するモード設定処理SEを実行する。
このモード設定処理SEでは、図9に示すように、まず、モード設定手段63の画像取得部631が、所定時間毎にビデオメモリ34を参照し、入力画像データを取得する(ステップSE01)。
【0084】
次に、変化判定部632が、入力画像データと記憶済み画像データとを比較し、入力画像データに変化が生じたか否かを判定する(ステップSE02)。
ここで、変化判定部632により、変化が生じたと判定された場合には、変化領域取得部633が、入力画像データにおける全ての変化領域の領域情報を取得する(ステップSE03)。また、画像更新部634が、入力画像データで、記憶済み画像データを更新する(ステップSE04)。
この後、領域判定部635、登録部636、変化回数設定部637及び寿命設定部638により、前述の領域情報登録処理SBと同様の処理を行い、また、登録部636、寿命設定部638及び寿命判定部640により、前述の寿命設定処理SCと同様の処理を行う。
【0085】
寿命設定処理SCの後、領域判定部635が、ステップSE03にて取得された領域情報に係る変化領域のうち、前述の所定のサイズより大きい変化領域があるか否かを判定する(ステップSE05)。そして、領域判定部635により、有ると判定された場合には、モード設定手段63は、ステップSE07に処理を移行する。
また、当該ステップSE05にて、領域判定部635により、無いと判定された場合には、変化回数判定部641が、登録されている領域情報に係る変化回数の全てが、前述の閾値を越えているか否かを判定する(ステップSE06)。ここで、変化回数判定部641により、全ての変化回数が閾値を越えていると判定された場合には、モード設定手段63は、後述するステップSE10に処理を移行し、超えていない変化回数があると判定された場合には、モード設定手段63は、ステップSE07に処理を移行する。
【0086】
ステップSE07では、カウンタ設定部639が、無変化カウンタを初期化する(ステップSE07)。この無変化カウンタの初期化により、画像データに変化があったと判定されたこととなる。
この後、モード判定部643が、プロジェクタ6の現在の動作モードが省電力モードか否かを判定する(ステップSE08)。ここで、モード判定部643により、省電力モードでない、すなわち、通常モードであると判定された場合には、モード設定手段63は、動作モードを変更する必要がないと判断して、処理をステップSE01に戻す。
【0087】
また、モード判定部643により、省電力モードであると判定された場合には、モード設定部644が、動作モードを通常モードに設定する(ステップSE09)。これにより、動作モードが省電力モードから通常モードに切り替わり、点灯制御手段33が、光源装置361に定格電力を供給する。この後、モード設定手段63は、処理をステップSE01に戻し、画像取得部631による画像データの取得が、再度行われることとなる。
【0088】
一方、ステップSE02での判定処理において、変化判定部632により、変化がないと判定された場合には、モード設定手段63は、前述の寿命設定処理SCを実行する。ここで、変化判定部632により、入力画像データと記憶済み画像データとの間に変化がないと判定されるケースとしては、PC5からの画像信号の入力がなく、直前に入力した画像信号から形成された画像データがビデオメモリ34に残っており、当該画像データと記憶済み画像データとの間に変化がないと判定されるケース、及び、画像信号の入力があるものの、当該画像信号に係る画像データと記憶済み画像データとの間に変化がないと判定されるケースがある。
【0089】
この寿命設定処理SCの後に実行されるステップSE10では、カウンタ設定部639が、無変化カウンタをインクリメントする(ステップSE10)。
この後、カウンタ判定部642が、無変化カウンタが閾値を越えたか否かを判定する(ステップSE11)。ここで、カウンタ判定部642により、閾値を越えていないと判定された場合には、モード設定手段63は、ステップSE01に処理を戻す。このため、所定のサイズ以下の領域で変化が生じた場合でも、無変化カウンタが閾値を越えない限りは、通常モードが維持される。
【0090】
一方、カウンタ判定部642により、閾値を越えたと判定された場合には、ステップSE08と同様に、モード判定部643が、現在の動作モードが省電力モードであるか否かを判定する(ステップSE12)。ここで、モード判定部643により、省電力モードであると判定された場合には、モード設定手段63は、ステップSE01に処理を戻す。また、モード判定部643により、省電力モードでない、すなわち、通常モードであると判定された場合には、モード設定部644が、動作モードを省電力モードに設定する(ステップSE13)。
このため、入力画像データの無変化状態が無変化カウンタに応じた期間、継続している場合には、省電力モードに設定されるので、光源装置361に供給される電力が低減され、プロジェクタ6全体の消費電力が抑えられる。
【0091】
以上説明した本実施形態の表示システム1Aによれば、前述の表示システム1が奏することのできる効果(3),(4)と同様の効果を奏することができるほか、以下の効果がある。
(5)PC5から入力する画像信号に係る画像(入力画像データ)と、フレームメモリ61に記憶された記憶済み画像データとが異なる場合で、所定のサイズより大きな変化領域があると判定された場合には、カウンタ設定部639により、無変化カウンタが初期化される。この際、モード設定部644により、動作モードが省電力モードである場合には、通常モードに設定される。これによれば、当該大きな変化領域を有する画像を適切に表示することができる。
【0092】
また、入力画像データと記憶済み画像データとが異なる場合で、所定のサイズより大きな変化領域がない場合には、変化回数設定部637により、各変化領域の変化回数がインクリメントされる。これら変化回数の全てが閾値を越えていない場合には、入力画像データに変化が生じたと判断され、カウンタ設定部639により、無変化カウンタが初期化され、モード設定部644により、動作モードが通常モードに設定される。これによれば、全ての変化回数が閾値を越えない限りは、小さな変化領域の変化を突発的な変化と判断し、各変化領域を含む画像を適切に表示することができる。
【0093】
一方、それぞれの寿命が0になる前に、各変化領域の変化回数が閾値を越えた場合には、カウンタ設定部639により、無変化カウンタがインクリメントされる。そして、カウンタ判定部642により、当該無変化カウンタが閾値を越えたと判定された場合には、モード設定部644により、動作モードが省電力モードに設定される。これによれば、表示する画像において、小さな領域における発生頻度の高い変化を無視して、プロジェクタ6を省電力モードに設定することができる。従って、表示する必要性の低い画像の表示時の省電力化を図ることができる。
【0094】
他方、入力画像データと記憶済み画像データとに変化がない場合には、変化領域が閾値を越えた場合と同様に、カウンタ設定部639により、無変化カウンタがインクリメントされ、当該無変化カウンタが閾値を越えた場合には、モード設定部644により、動作モードが省電力モードに設定される。これにより、PC5から画像データが入力している場合でも、当該画像データに変化がない場合には、所定時間経過後に、プロジェクタ6を省電力モードに設定することができる。従って、プロジェクタ6の省電力化を図ることができる。
【0095】
(6)プロジェクタ6は、PC5から入力する画像データの変化に基づいて動作モードを設定するので、動作モードの設定は、当該プロジェクタ6に対して画像データを出力する画像出力装置の種別に依存しない。従って、どのような画像出力装置から入力される画像信号に係る画像を表示する場合でも、プロジェクタ6は、動作モードを適切に設定することができるので、当該プロジェクタ6の省電力化を確実に図ることができる。
【0096】
〔3.実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、プロジェクタ3,6の動作モードが省電力モードに設定された場合には、点灯制御手段33が、光源ランプに供給する電力を、当該光源ランプの定格電力の80%の電力に設定するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、光源ランプに供給する電力を、光源ランプが消灯しない程度の電力とすることができる。更に、光源ランプを消灯するなどして、プロジェクタをスタンバイ状態とするようにしてもよい。加えて、冷却用のファン等を備えている場合には、当該ファンの回転速度を低下させるようにしてもよい。
【0097】
前記各実施形態では、画像において変化した部位を含む最小の領域を変化領域とし、当該変化領域の領域情報を変化領域取得部が取得するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、変化が予期される領域を予め設定しておき、当該領域を変化領域としてもよい。このような場合、予め設定した領域に跨る変化が生じた場合には、当該各領域を合わせたサイズが所定のサイズより大きいか否かを、領域判定部が判定すればよい。
【0098】
前記各実施形態では、プロジェクタ3,6は、光変調装置として3つの液晶パネル362を備える構成としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも、本発明を適用可能である。また、入射光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクタにも、本発明を適用することも可能である。
【0099】
前記各実施形態では、画像表示装置として、プロジェクタ3,6を挙げたが、この他に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ及びCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の各種画像表示装置にも適用できる。また、画像出力装置として、PC2,5を例示したが、本発明はこれに限らず、画像情報を出力することができるものであれば、他の機器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、表示システムに利用でき、画像情報を出力する画像出力装置、及び、画像情報に応じた画像を表示する画像表示装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の第一実施形態に係る表示システムを示すブロック図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態におけるデータ送信処理を示すフローチャート。
【図4】前記実施形態における領域情報登録処理を示すフローチャート。
【図5】前記実施形態における寿命設定処理を示すフローチャート。
【図6】前記実施形態におけるモード設定処理を示すフローチャート。
【図7】本発明の第二実施形態に係る表示システムを示すブロック図。
【図8】前記実施形態におけるモード設定手段の構成を示すブロック図。
【図9】前記実施形態におけるモード設定処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0102】
1,1A…表示システム、2,5…PC(画像出力装置)、3,6…プロジェクタ(画像表示装置)、21…画像形成手段(画像形成部)、24…パケット生成手段(生成手段)、27…出力手段、32,63…モード設定手段、33…点灯制御手段(制御部、制御手段)、36…画像表示手段(画像表示部)、241,632…変化判定部、242,633…変化領域取得部、244,635…領域判定部、245,636…登録部、246,637…変化回数設定部、247,638…寿命設定部、248,641…変化回数判定部、249…生成部、24B,640…寿命判定部、321…受信判定部(判定部)、323…データ判定部、325…タイマ判定部(判定部)、326,639…カウンタ設定部、327,642…カウンタ判定部、329,644…モード設定部、361…光源装置(光源)、362…液晶パネル(光変調装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を出力する画像出力装置と、前記画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置とを備えた表示システムであって、
前記画像出力装置は、
前記画像情報を形成する画像形成部を備え、
前記画像表示装置は、
前記画像情報に基づく画像を表示する画像表示部と、
設定された動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御部とを備え、
前記画像出力装置及び前記画像表示装置のいずれかは、
前記画像情報に基づく画像に変化があるか否かを判定する変化判定部と、
前記変化判定部により、変化があったと判定された場合に、前記画像における変化領域を取得する変化領域取得部と、
取得された前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、
前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、前記変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、
前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、
前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合のいずれかの場合に、カウンタを初期化し、前記変化判定部により、変化がないと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合のいずれかの場合に、前記カウンタを繰り上げるカウンタ設定部と、
前記カウンタが、所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、
前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを省電力モードに設定するモード設定部とを備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
画像情報を出力する画像出力装置と、当該画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置とを備えた表示システムであって、
前記画像出力装置は、
前記画像表示装置に表示させる画像に係る画像情報を形成する画像形成手段と、
前記画像情報に基づいて、前記画像表示装置に出力する表示装置用情報を生成する生成手段と、
生成された前記表示装置用情報を出力する出力手段とを備え、
前記画像表示装置は、
前記表示装置用情報に基づく画像を表示する画像表示手段と、
前記表示装置用情報に基づいて、当該画像表示装置の動作モードを設定するモード設定手段と、
前記動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記生成手段は、
前記画像情報に係る画像が変化したか否かを判定する変化判定部と、
当該変化判定部により、前記画像が変化したと判定された場合に、当該画像の変化領域を取得する変化領域取得部と、
前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、
前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、
前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、
前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合のいずれかの場合に、カウンタを初期化するカウンタ情報を生成し、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合に、前記カウンタを初期化しないカウンタ情報を生成し、これらカウンタ情報のいずれかを含む前記表示装置用情報を生成する生成部とを備え、
前記モード設定手段は、
前記表示装置用情報を所定時間内に受信したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記表示装置用情報を受信したと判定された場合に、前記カウンタ情報に基づいて、前記カウンタを初期化するか否かを判定するデータ判定部と、
前記判定部により、前記表示装置用情報を受信していないと判定された場合に、前記カウンタを繰り上げ、前記データ判定部により、前記カウンタを初期化すると判定された場合に、前記カウンタを初期化するカウンタ設定部と、
前記カウンタが所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、
前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを省電力モードに設定するモード設定部と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の表示システムにおいて、
前記生成手段は、
前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域の領域情報と、当該領域情報の寿命とを登録する登録部と、
前記変化判定部により、登録された前記領域情報に係る前記変化領域が変化したと判定された場合に前記寿命を初期化し、変化していないと判定された場合に前記寿命を減算する寿命設定部と、
前記寿命が所定の値に達したか否かを判定する寿命判定部とを備え、
前記登録部は、
前記寿命判定部により、前記寿命が前記所定の値に達したと判定された場合に、当該寿命に係る前記領域情報を削除することを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表示システムにおいて、
前記画像表示手段は、
光源と、
前記光源から射出された光束を前記画像情報に応じて変調する光変調装置とを備え、
前記制御手段は、
前記動作モードが前記省電力モードに設定された場合に、前記光源の定格電力よりも低減させた電力を当該光源に供給することを特徴とする表示システム。
【請求項5】
入力される画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段を備えた画像表示装置であって、
前記画像情報に基づいて、当該画像表示装置の動作モードを設定するモード設定手段と、
前記動作モードに応じて、当該画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備え、
前記モード設定手段は、
所定の周期で前記画像情報に係る画像が変化したか否かを判定する変化判定部と、
前記変化判定部により、前記画像が変化したと判定された場合に、当該画像の変化領域を取得する変化領域取得部と、
前記変化領域が所定のサイズより大きいか否かを判定する領域判定部と、
前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域に係る変化回数を繰り上げる変化回数設定部と、
前記変化回数が所定の閾値を越えたか否かを判定する変化回数判定部と、
前記変化回数判定部により、前記閾値を越えたと判定された場合、及び、前記変化判定部により、前記画像が変化していないと判定された場合にカウンタを繰り上げ、前記領域判定部により、前記変化領域が大きいと判定された場合、及び、前記変化回数判定部により、前記閾値を越えていないと判定された場合に、前記カウンタを初期化するカウンタ設定部と、
前記カウンタが所定の他の閾値を越えたか否かを判定するカウンタ判定部と、
前記カウンタ判定部により、前記他の閾値を越えたと判定された場合に、前記動作モードを通常モードから省電力モードに設定するモード設定部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像表示装置において、
前記モード設定手段は、
前記領域判定部により、前記変化領域が小さいと判定された場合に、当該変化領域の領域情報と、当該領域情報の寿命とを登録する登録部と、
前記変化判定部により、登録された前記領域情報に係る前記変化領域が変化したと判定された場合に前記寿命を初期化し、変化していないと判定された場合に前記寿命を減算する寿命設定部と、
前記寿命が所定の値に達したか否かを判定する寿命判定部とを備え、
前記登録部は、
前記寿命判定部により、前記寿命が前記所定の値に達したと判定された場合に、当該寿命に係る前記領域情報を削除することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の画像表示装置において、
前記画像表示手段は、
光源と、
前記光源から射出された光束を前記画像情報に応じて変調する光変調装置とを備え、
前記制御手段は、
前記動作モードが前記省電力モードに設定された場合に、前記光源の定格電力よりも低減させた電力を当該光源に供給することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−145478(P2009−145478A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320872(P2007−320872)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】