説明

表示デバイス、表示システム、及び、表示制御方法

【課題】表示内容を簡単に入力して表示させることが可能で、取扱いが容易なシート状の表示デバイス、表示システム、及び、表示制御方法を提供する。
【解決手段】受光表示シート1は、可撓性を有するベースシート101に、外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する誘電体ミラー142と、ベースシート101に並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより誘電体ミラー142の反射率を変化させる複数の駆動用ピエゾ素子140と、駆動用ピエゾ素子140の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、受光検出部により検出した受光状態に基づいて、駆動用ピエゾ素子140に電界を印加して変形させる制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の反射状態を制御することによって表示を行う表示デバイス、この表示デバイスを備えた表示システム、及び、上記の表示デバイスにより表示を行うための表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に画像を形成する場合、プリンターによりインクを記録媒体に付着させて画像を形成することが一般的である。また、近年では、紙を代替する表示デバイスとして、いわゆる電子ペーパーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された構成は、着色された粒子に電圧を印加して電気泳動させることで、粒子の位置を変化させて、表示状態を切り替えるものである。このような表示デバイスを紙に代えて利用すれば、紙のような使い捨てをすることが少なくなり、省資源化の面で有用である。ところで、紙の代替となり得る表示デバイスとしては、予め用意された画像データを表示する用途に加え、ユーザーが描いた画像を表示する用途も考えられる。このような用途は、例えば、ペンを用いるタブレットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−502950号公報
【特許文献2】特開平5−143234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、紙の代替となり得る電子デバイスとして、表示させる内容を簡単に入力でき、この入力に応答して表示を行うデバイスが考えられる。しかしながら、紙の代替となり得るには、紙のように容易に取扱うことが可能なシート状として、複数の表示面を同時に閲覧できること、集積した枚葉形態にできること、折り曲げ可能であること等が求められる。これらの要求に対し、タブレットのように液晶表示装置と高性能のコンピューターとを使用する従来のデバイスでは対応できなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、表示内容を簡単に入力して表示させることが可能で、取扱いが容易なシート状の表示デバイス、表示システム、及び、表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、可撓性を有するシートに、外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する機能を備えた表示デバイスに所定波長の光が照射された場合に、この受光状態を圧電体の位置毎に検出して、検出した受光状態に応じて圧電体の位置毎に表示状態が変化するので、表示デバイスに所定波長の光を照射するという簡単な操作により表示内容を入力すると、この入力内容がそのまま表示される。この表示デバイスは、可撓性のシートで構成されるため折り曲げ性に富み、例えば複数枚葉形態とすることも可能であるし、紙のように容易に取り扱うことができ、圧電体に電界を印加してから変形するまでの応答時間が非常に短く、表示状態を高速で切り替えできるという利点がある。従って、本発明によれば、表示内容を簡単に入力して表示させることが可能で、取扱いが容易なシート状の表示デバイスを提供できる。
【0006】
上記構成において、各々の前記圧電体に重なるように並ぶ複数の電荷蓄積部を備え、前記制御部は、前記圧電体に電界を印加して変形させた後に、該圧電体に対応する前記電荷蓄積部に電圧を印加して電荷を蓄積させてもよい。
この場合、圧電体に電界を印加することで表示状態を変化させ、入力された内容を表示するとともに、その後は電荷蓄積部に蓄積した電荷によって表示状態を維持するので、高速に表示状態を切り替えることができ、かつ、少ない電力で長時間にわたって表示を維持できる。
【0007】
また、上記構成において、前記受光検出部は、前記圧電体の温度変化に起因する電荷の変化を検出することにより、前記圧電体の受光状態を検出してもよい。
この場合、表示状態を変化させるための圧電体を用いて所定波長の光の受光状態を検出できるので、単純な構成によって入力内容の検出と表示とを行うことができ、製造コストの低減を図ることができる。
ここで、上記圧電体として、温度変化によって分極状態が変化する焦電体を用いてもよい。
【0008】
さらに、上記構成において、前記シートの表面に、前記圧電体に対応して複数並べて配置され、所定波長の光を受光して受光状態に応じた電圧を出力する受光部を備え、前記受光検出部は、各々の前記受光部の出力電圧を検出してもよい。
この場合、圧電体への電界の印加とは独立して、受光状態を速やかに検出できる。
【0009】
また、本発明は、可撓性を有するシートに、外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させる制御部と、を備えた表示デバイスと、前記表示デバイスに対して所定波長の光を照射する操作デバイスと、を備えたことを特徴とする。
このシステムによれば、ファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する機能を備えた表示デバイスに対し、操作デバイスを用いて所定波長の光を照射するという簡単な操作により表示内容を入力すると、操作デバイスにより照射された光の受光状態を圧電体の位置毎に検出することで、入力内容が検出され、この入力内容がそのまま表示される。可撓性のシートで構成され、折り曲げ性に富み、紙のように容易に取り扱うことが可能な表示デバイスを用いて、表示内容を簡単に入力して表示させることが可能な表示システムを実現できる。
【0010】
また、本発明は、可撓性を有するシートに、外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、を設けた表示デバイスを制御し、前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させること、を特徴とする。
この方法によれば、ファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する機能を備えた表示デバイスに対し、操作デバイスを用いて所定波長の光を照射するという簡単な操作により表示内容を入力すると、操作デバイスにより照射された光の受光状態を圧電体の位置毎に検出することで、入力内容が検出され、この入力内容がそのまま表示される。可撓性のシートで構成され、折り曲げ性に富み、紙のように容易に取り扱うことが可能な表示デバイスを用いて、表示内容を簡単に入力して表示させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示内容を簡単に入力して表示させることが可能で、取扱いが容易なシート状の表示デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る表示システムの構成を示す外観斜視図である。
【図2】受光表示シートの構成を示す要部断面図である。
【図3】各部の配置状態を示す要部斜視図である。
【図4】分極用ピエゾ素子と配線の配置状態を示す要部平面図である。
【図5】駆動用ピエゾ素子の変形の様子を説明する図である。
【図6】ペン型指示器の構成を示す図である。
【図7】表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る受光表示シートの構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る表示システム100の構成を示す外観図である。
表示システム100は、表示デバイスとしての受光表示シート1と、この受光表示シート1に対して操作デバイスとして機能するペン型指示器3と、を備えて構成される。
受光表示シート1は、可撓性を有するシートとして構成され、例えば図1に示すように屈曲させることも可能であり、折り曲げることもできる。受光表示シート1の縁には選択回路11が設けられ、この選択回路11に、受光表示シート1の表示状態を制御する表示制御装置10が接続されている。表示制御装置10は表示デバイスとしての受光表示シート1の一部を構成する構成部である。
受光表示シート1と組み合わせて使用されるペン型指示器3は、ペン型に形成され、ユーザーが手に持って使用するデバイスであり、先端部31から赤外光を放射する。
受光表示シート1の表示制御装置10は、ペン型指示器3から照射された赤外線を、受光表示シート1における位置毎に検出する機能を有し、ペン型指示器3によって指し示された位置の表示状態を変化させる。
【0014】
図2は受光表示シート1の構成を示す要部断面図である。
受光表示シート1の表面は、透光性を有する表面層150により覆われ、受光表示シート1の裏面側は可撓性を有するベースシート101(シート)で構成され、これらベースシート101と表面層150との間に各部を収めた構成となっている。
表面層150は、透明または半透明の透光性を有する層であり、有色(白色を含む)または無色のいずれであってもよい。表面層150は、例えば合成樹脂により構成される。表面層150の下側、すなわちベースシート101側の面は平滑で高い反射率を有するハーフミラーとして機能し、下方から入射した光を反射する。
ベースシート101は、可撓性を有するとともに、後述する各部を支持可能な所定の引っ張り強度を有するシートである。ベースシート101の透明度は任意であるが、受光表示シート1の表面(表面層150側)の表示を妨げないように、不透明または半透明であることが好ましい。ベースシート101としては、合成樹脂製のシート或いはガラス等の無機材料からなるシートを用いることができる。
なお、以下の説明においては、便宜上、表面層150側を上、ベースシート101側を下として説明する。勿論、受光表示シート1の使用時における受光表示シート1の設置状態や設置の向きは何ら制限されない。
【0015】
ベースシート101の上側には、複数の分極用ピエゾ素子120(電荷蓄積部)が配置される。分極用ピエゾ素子120は、強誘電体(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム等)で構成される板または膜或いは層である。分極用ピエゾ素子120は、下側に配置されたX方向配線111と、上側に配置されたY方向配線112とに接続されている。
【0016】
図3は、X方向配線111、Y方向配線112、分極用ピエゾ素子120及び駆動用ピエゾ素子140の配置状態を示す要部斜視図であり、図4は、分極用ピエゾ素子120と各配線の接続状態を示す要部平面図である。
図3及び図4に示すように、第1の実施形態の分極用ピエゾ素子120は、正方形に形成され、受光表示シート1のほぼ全面に、縦方向及び横方向に所定間隔をあけてマトリクス状に並んでいる。
分極用ピエゾ素子120の下側には、受光表示シート1の幅方向に延びるX方向配線111が配置されている。X方向配線111は金属やカーボン等の導体材料からなる膜或いは層であり、分極用ピエゾ素子120に電気的に接続されている。X方向配線111は、所定間隔をあけて並ぶ分極用ピエゾ素子120に対応して、受光表示シート1の長手方向に平行に並べて複数設けられている。1本のX方向配線111には、X方向配線111に沿って一列に並ぶ複数の分極用ピエゾ素子120が接続されている。
【0017】
また、分極用ピエゾ素子120の上側には、受光表示シート1の長手方向に延びるY方向配線112が、受光表示シート1の幅方向に並べて配置されている。Y方向配線112はX方向配線111と同様、金属やカーボン等の導体材料からなる薄膜であり、分極用ピエゾ素子120に電気的に接続されている。Y方向配線112は、所定間隔をあけて並ぶ分極用ピエゾ素子120に対応して、受光表示シート1の幅方向に平行に並べて複数設けられている。1本のY方向配線112には、Y方向配線112に沿って一列に並ぶ複数の分極用ピエゾ素子120が接続されている。
Y方向配線112は、X方向配線111及び後述する透明配線113とともに、配線部110を構成する。
ここで、X方向配線111及びY方向配線112は、保持用配線部を構成し、Y方向配線112及び透明配線113は駆動用配線部を構成する。
【0018】
全てのX方向配線111及びY方向配線112は、それぞれ選択回路11(図1)に接続されている。
選択回路11は、表示制御装置10の制御に従って、複数のX方向配線111の中から1または複数のX方向配線111を選択し、選択したX方向配線111を表示制御装置10に接続する。また、選択回路11は、複数のY方向配線112の中から1または複数のY方向配線112を選択し、選択したY方向配線112を表示制御装置10に接続する。表示制御装置10は、選択回路11により選択されたX方向配線111、Y方向配線112の電位を制御し、X方向配線111とY方向配線112との間に電圧を印加する。
【0019】
図2に示すように、分極用ピエゾ素子120の下側に位置するX方向配線111と表面層150との間には、絶縁層131が配されている。絶縁層131は、絶縁性を有する合成樹脂等であり、X方向配線111とX方向配線111との間、及び、X方向配線111と表面層150との間の空間を満たしており、X方向配線111や分極用ピエゾ素子120と表面層150とを絶縁及び保護する役目がある。
絶縁層131の色について特に制限は無いが、例えば遮光性を有する材料を用いた場合には、表面層150から余分な反射光が放射されるのを防ぐことができる。すなわち、後述する駆動用ピエゾ素子140は透光性の材料であっても遮光性の材料であっても良いが、透光性の材料を用いた場合、表面層150から入射した光が駆動用ピエゾ素子140の下方に位置するX方向配線111に達し、このX方向配線111で反射する可能性がある。ここで、絶縁層131が遮光性を有する材料、或いは、透光性の低い材料で構成されている場合、X方向配線111に外光が殆ど達しない上、X方向配線111の反射光が表面層150へ放射されないので、駆動用ピエゾ素子140の動作に関係なく放射される余分な放射光を防止できるという利点がある。
【0020】
分極用ピエゾ素子120の上方には、駆動用ピエゾ素子140(圧電体)が、分極用ピエゾ素子120に対応するようにマトリクス状に並べて配置されている。
駆動用ピエゾ素子140は、焦電体で構成され、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の焦電効果を有する材料で構成される板または膜或いは層である。図3に示すように、第1の実施形態の駆動用ピエゾ素子140は、正方形に形成され、受光表示シート1の縦方向及び横方向に所定間隔をあけてマトリクス状に並んでいる。
【0021】
駆動用ピエゾ素子140の上面には、透明配線113が敷設されている。透明配線113は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide)や、酸化亜鉛系透明導電材料、水酸化マグネシウム−炭素系透明導電材料等の、透光性を有する導体の膜(層)で構成されている。透明配線113は、所定間隔を開けて並ぶ駆動用ピエゾ素子140に対応して、例えばX方向配線111と同じく受光表示シート1の幅方向に延びるように、平行に並べて複数設けられている。全ての透明配線113は選択回路11(図1)に接続され、これら複数の透明配線113の中から任意の1本を、選択回路11によって選択できる。
【0022】
透明配線113はX方向配線111と同方向に並べて配設されているので、1本の透明配線113と1本のY方向配線112とが選択されると、その交差する場所に位置する一つの駆動用ピエゾ素子140が特定される。選択回路11(図1)は、表示制御装置10の制御に従って1または複数の透明配線113を選択し、選択した透明配線113を表示制御装置10に接続する。表示制御装置10は、選択回路11により接続された透明配線113を接地させる。
【0023】
隣接する駆動用ピエゾ素子140と駆動用ピエゾ素子140との間には、スペーサー141が配設されている。スペーサー141の厚みは、合成樹脂等の絶縁材料で構成され、電界が印加されていない状態の駆動用ピエゾ素子140と透明配線113とを合わせた厚みに相当し、駆動用ピエゾ素子140、透明配線113及びスペーサー141が一つの層を形成している。この層とY方向配線112との間、及び、Y方向配線112とY方向配線112との間に形成される空間は、絶縁層132により満たされている。絶縁層132は、絶縁層131と同様に構成される絶縁体の層である。また、スペーサー141は隣り合う透明配線113の間も区分する。
【0024】
駆動用ピエゾ素子140の上方には、透明配線113の上に誘電体ミラー142が設けられている。誘電体ミラー142は、1層または多層の誘電体の膜で構成され、ハーフミラーとして機能する。すなわち、誘電体ミラー142は、表面層150を通して受光表示シート1内部に入射した外光を表面層150へ反射する。実施形態の誘電体ミラー142はアルミニウムで構成されており、酸化防止のため、誘電体ミラー142の上面(表面)は酸化膜143により覆われている。
【0025】
誘電体ミラー142と表面層150の下面は、いずれもハーフミラーであるため、これらの2つの面のファブリ・ペロー干渉の干渉効果により、外部から表面層150を透過して入射した光のうち特定の波長の光が、反射光として外部に放射される。つまり、誘電体ミラー142は表面層150と組み合わされて反射層を構成し、入射光に含まれる所定波長の光を反射する。ここで、反射される光の波長は、誘電体ミラー142と表面層150との間の空間144の厚み(ギャップ)によって決まるので、受光表示シート1により表示する色の波長に合わせて上記ギャップの大きさが予め設定されている。
【0026】
誘電体ミラー142の下面(裏面)は、透明配線113に密着しており、透明配線113は駆動用ピエゾ素子140の上面に固定されている。このため、後述するように駆動用ピエゾ素子140が変形すると、駆動用ピエゾ素子140の変形に伴って透明配線113とともに誘電体ミラー142が変位し、誘電体ミラー142と表面層150との間のギャップが拡大する。ギャップが拡大すると、誘電体ミラー142における反射率が著しく低下するので、この位置では受光表示シート1の表面への反射光がほぼ無くなる。これを受光表示シート1の表面側から見れば、外光を反射する部分と、殆ど反射しない部分とが存在するので、各部分を制御することによって所定の色で画像を表示できる。
以下、駆動用ピエゾ素子140を変形させる動作について説明する。
【0027】
図3に示すように、一つの駆動用ピエゾ素子140に対しては1本のY方向配線112と1本の透明配線113とが接続されているので、選択回路11によって1本ずつY方向配線112と透明配線113とを選択することで、この1組のY方向配線112、透明配線113に接続された唯一の駆動用ピエゾ素子140を選択できる。従って、選択回路11によって一組のY方向配線112、透明配線113を選択して表示制御装置10に接続し、表示制御装置10においてY方向配線112に正又は負の電圧を印加するとともに透明配線113を接地させると、特定の駆動用ピエゾ素子140に対して電界が印加される。この駆動用ピエゾ素子140はY方向配線112と透明配線113との間の電界を受けて変形する。
【0028】
図5は、駆動用ピエゾ素子140の変形(駆動)の様子を説明する図である。図5(A)は駆動用ピエゾ素子140の非駆動時を示す駆動用ピエゾ素子140近傍の要部断面図であり、図5(B)及び図5(C)は駆動時における要部断面図である。
Y方向配線112と透明配線113との間に電界が印加されていない状態では、図5(A)に示すように、駆動用ピエゾ素子140は透明配線113とともにスペーサー141と同じ厚みを保持している。この場合の、表面層150の下面と誘電体ミラー142とのギャップは予め設定された値d1である。
ここで、Y方向配線112と透明配線113との間に電界が印加されると、図5(B)に示すように、駆動用ピエゾ素子140が厚み方向に変形し、この変形に伴って誘電体ミラー142が下方に変位する。この状態における表面層150の下面と誘電体ミラー142とのギャップは拡大し、最も大きい場所で、図中d2で示す大きさになる。
【0029】
図5(B)に示すようにギャップが拡大した場合、誘電体ミラー142における反射率が低下し、外光が吸収されるため、表面層150から放射される反射光の光量が低減する。従って、駆動用ピエゾ素子140に電界を印加するか否かに応じて反射光の光量を大きく異ならせることができるので、受光表示シート1を表面側から見た場合に所定色の光を反射する部分と暗い部分とを混在させることができ、受光表示シート1全体として画像を表示できる。
このように、受光表示シート1は、ファブリ・ペロー干渉による光干渉効果により、入射光に含まれる所定波長の光を反射する機能を備え、一部の駆動用ピエゾ素子140に電界を印加して変形させることにより、駆動用ピエゾ素子140の位置毎に反射光を変化させて、反射光の強弱或いは有無による表示を行える。この場合、各々の駆動用ピエゾ素子140は表示単位(いわゆる画素)として機能し、外光(参照光)を利用して、受光表示シート1に文字や画像等を自在に表示できる。
【0030】
ここで、駆動用ピエゾ素子140に対して電界を印加した場合、駆動用ピエゾ素子140は透明配線113及びY方向配線112と静電結合するので、Y方向配線112及び透明配線113は駆動用ピエゾ素子140に対して電気的に直接接続されている必要はないが、後述するようにY方向配線112及び透明配線113を介して駆動用ピエゾ素子140の分極状態の変化を検出するためには、正確かつ高精度の検出を行う観点から、Y方向配線112及び透明配線113が駆動用ピエゾ素子140に接続されていることが好ましい。また、駆動用ピエゾ素子140に対して直接電圧を印加する場合には、Y方向配線112及び透明配線113を駆動用ピエゾ素子140に電気的に接続すればよい。
【0031】
また、図3に示すように、一つの分極用ピエゾ素子120に対しては1本のX方向配線111と1本のY方向配線112とが接続されているので、1本のX方向配線111と1本のY方向配線112とを選択した場合、この1組のX方向配線111、Y方向配線112に接続された唯一の分極用ピエゾ素子120に対して、X方向配線111及びY方向配線112を介して電圧を印加することができる。
分極用ピエゾ素子120は強誘電体で構成されるから、X方向配線111とY方向配線112とに電圧を印加すると、分極用ピエゾ素子120に分極が生じる。例えば、X方向配線111を低電圧側とし、Y方向配線112を高電圧側として、分極用ピエゾ素子120に電圧を印加すると、分極が生じて分極用ピエゾ素子120の上面に負電荷が局在し、分極用ピエゾ素子120の下面に正電荷が局在した状態となる。
【0032】
図3に示すように、一つの分極用ピエゾ素子120の真上には一つの駆動用ピエゾ素子140が位置しているから、分極用ピエゾ素子120に分極が生じると、その真上の駆動用ピエゾ素子140が分極用ピエゾ素子120の表面の電荷の影響を受ける。例えば、分極用ピエゾ素子120の上面に負電荷が局在する場合、駆動用ピエゾ素子140の周囲には透明配線113から分極用ピエゾ素子120に向かう電界が生じる。
このため、上述したようにY方向配線112及び透明配線113により駆動用ピエゾ素子140に電界を印加して駆動用ピエゾ素子140を変形させた状態で、分極用ピエゾ素子120に電荷を蓄積させると、この分極用ピエゾ素子120の電荷によって駆動用ピエゾ素子140が変形した状態が保持される。
上記のように駆動用ピエゾ素子140に電界を印加する動作、及び、分極用ピエゾ素子120に電圧を印加する動作において、表示制御装置10は、制御部として機能する。
【0033】
また、受光表示シート1においては、ペン型指示器3から放射される赤外光を駆動用ピエゾ素子140が受光した場合、その受光状態を表示制御装置10によって検出することが可能である。表面層150から入射した光は、図5(C)に示すように駆動用ピエゾ素子140に到達する。ペン型指示器3が発する光は赤外領域の光であるため、この光を受けた駆動用ピエゾ素子140の温度が上昇する。駆動用ピエゾ素子140は上述したように焦電体であるから、駆動用ピエゾ素子140の温度が変化した場合には駆動用ピエゾ素子140に誘電分極を生じる。各々の駆動用ピエゾ素子140は、上述したようにY方向配線112及び透明配線113により電界を印加されたことで電荷が蓄積されているので、この状態の駆動用ピエゾ素子140に赤外光が当たると、温度の変化に伴って荷電状態が変化する。この変化はY方向配線112及び透明配線113により、各々の駆動用ピエゾ素子140を選択することで、表示制御装置10が駆動用ピエゾ素子140毎に検出可能である。
駆動用ピエゾ素子140における荷電状態の変化は、駆動用ピエゾ素子140に赤外光が照射されている間だけでなく、照射が終わった後も、駆動用ピエゾ素子140が放冷により元の温度に戻るまで検出できる。
この検出を行う際、表示制御装置10は受光検出部として機能する。
【0034】
受光表示シート1に接続された表示制御装置10(図1)は、Y方向配線112及び透明配線113により一つの駆動用ピエゾ素子140を選択し、その駆動用ピエゾ素子140における荷電状態の変化を検出し、これを全ての駆動用ピエゾ素子140について行うことで、ペン型指示器3の赤外光を受けた駆動用ピエゾ素子140を特定する。
【0035】
ここで、ペン型指示器3の構成について説明する。
図6は、ペン型指示器3の構成を示す図であり、図6(A)は側面図、図6(B)は先端部31の正面図である。
図6(A)に示すように、ペン型指示器3は、ユーザーがペンと同様に手に持って使用できるよう筒型の軸部32を有した形状となっている。
先端部31には、図6(B)に示すように、赤外光を発光するLED34が配設されている。このLED34を覆うフード35は透明な合成樹脂で構成され、単にドーム形状に形成されてもよいし、LED34の光を集光して直進させるレンズ状に形成されていてもよい。軸部32の内部には、先端部31に設けられたLED34を発光させる駆動回路が実装された回路基板(図示略)、及び、電源が収容される。また、軸部32の基端部には回路基板に接続されたスイッチ33が設けられ、このスイッチ33がオンの状態で上記回路基板によりLED34に電圧が供給され、LED34が発光して、先端部31から赤外光が放射される。
【0036】
図7は、表示システム100の動作を示すフローチャートである。
この図7に示すように、表示制御装置10は、選択回路11を制御することによって1本のY方向配線112及び1本の透明配線113を選択し、選択したY方向配線112及び透明配線113の交点に位置する駆動用ピエゾ素子140の受光状態を検出する。表示制御装置10は、選択回路11により各々のY方向配線112及び透明配線113を順次選択して、全ての駆動用ピエゾ素子140の受光状態を検出する(ステップS11)。
続いて、表示制御装置10は、ペン型指示器3が発する赤外光を受光した駆動用ピエゾ素子140の位置を特定する(ステップS12)。
【0037】
表示制御装置10は、ステップS12で特定した駆動用ピエゾ素子140のうち、いずれかを選択し、選択回路11を制御して、選択した駆動用ピエゾ素子140に対応するY方向配線112と透明配線113との組み合わせを選択し(ステップS13)、電界を印加する(ステップS14)。これにより、駆動用ピエゾ素子140に電界が印加されて、駆動用ピエゾ素子140が変形する。
続いて、表示制御装置10は、ステップS13で選択した駆動用ピエゾ素子140の直下に位置する分極用ピエゾ素子120を選択し、この分極用ピエゾ素子120に繋がるX方向配線111を選択回路11によって選択させ(ステップS15)、このX方向配線111と、ステップS13で選択したY方向配線112との間に電圧を印加する(ステップS16)。これにより、変形した駆動用ピエゾ素子140の直下の分極用ピエゾ素子120が分極して、駆動用ピエゾ素子140の変形を保持できるようになる。その後、表示制御装置10は、X方向配線111及びY方向配線112による電界の印加を停止する(ステップS17)。
表示制御装置10は、ステップS12で特定した全ての駆動用ピエゾ素子140への電界の印加が済んだか否かを判別し(ステップS18)、まだ電界を印加していない駆動用ピエゾ素子140がある場合は(ステップS18;No)、ステップS13に戻り、全ての駆動用ピエゾ素子140への電界の印加が済んだ場合は、表示システム100の停止の操作がなされたか否かを判別する(ステップS19)。そして、表示システム100の停止の操作がなされていなければ(ステップS19;No)、表示制御装置10はステップS11に戻って動作を継続し、表示システム100の停止が指示された場合は本動作を終了する。
表示制御装置10は、ステップS11〜S18の動作を所定の周期(1秒未満、或いは、1秒〜数秒)で繰り返し実行することで、受光表示シート1において赤外光を受光した位置を特定する動作と、特定した位置における誘電体ミラー142の反射率を低下させる動作とを交互に行う。
【0038】
このように、表示制御装置10は、受光表示シート1において赤外光を受光した位置を特定して、特定した位置における表示状態を変更させるので、ペン型指示器3によって受光表示シート1の表面に赤外光が照射された場合、照射場所の光の反射状態が変化する。
つまり、ユーザーが、ペン型指示器3を手に持ち、スイッチ33をオンにして、ペン型指示器3を受光表示シート1に当てて文字や絵を描くように操作すると、受光表示シート1における表示状態がペン型指示器3の軌跡の通りに変化する。また、受光表示シート1は可撓性を有するベースシート101に各層を積層して構成されるため、紙のように容易に取り扱うことができる。従って、紙のように簡単な入力によって様々な画像を表示させることが可能であり、取扱いが容易なシート状の表示デバイスを提供できる。
ここで、受光表示シート1は、ファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって入射光に含まれる所定波長の光を反射する機能を備え、駆動用ピエゾ素子140の位置毎に反射率を変化させることで、並べて配置された駆動用ピエゾ素子140の位置がそのまま表示単位(いわゆる画素)となって、外光(参照光)を利用した表示を行うことができる。
【0039】
また、上記構成では、表示状態を変化させるための駆動用ピエゾ素子140を用いて赤外光の受光状態を検出できるので、単純な構成によって入力内容の検出と表示とを行うことができ、製造コストの低減を図ることができる。さらに、上記構成では、駆動用ピエゾ素子140に電界を印加することで表示状態を変化させ、入力された内容を表示するとともに、その後は分極用ピエゾ素子120に蓄積した電荷によって表示状態を維持するので、高速に表示状態を切り替えることができ、かつ、少ない電力で長時間にわたって表示を維持できる。
【0040】
また、受光表示シート1は、表示制御装置10の制御により駆動用ピエゾ素子140に電界を印加して変形させるので、表示状態を画素ごとに高速で切り替えることが可能で、さらに、保持用配線部を介して分極用ピエゾ素子120に電荷を蓄積させることによって、給電しなくても長時間にわたって表示状態を保持できる。このため、ペン型指示器3を用いた操作に対する応答性が高く、操作性に優れた表示デバイスを提供できる。
【0041】
なお、上記第1の実施形態では、誘電体ミラー142を変位させる駆動用ピエゾ素子140の荷電状態の変化に基づき、駆動用ピエゾ素子140の受光状態を検出する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動用ピエゾ素子140とは別に赤外光を受光する受光部を設けた構成としてもよい。以下、この例について第2の実施形態として説明する。
【0042】
[第2の実施形態]
図8は、本発明を適用した第2の実施形態に係る受光表示シート1aの構成を示す。
この図8に示すように、受光表示シート1aは、受光表示シート1と同様にベースシート101と表面層150との間に各部を積層した構成を有する。受光表示シート1aの表面層150の直下には、所定の空間144をあけて誘電体ミラー142が配置され、誘電体ミラー142の表面には酸化膜143が形成されている。この誘電体ミラー142に接して駆動用ピエゾ素子140が設けられ、駆動用ピエゾ素子140の下方には、電荷を蓄積するための分極用ピエゾ素子120が設けられている。これらの各層は、受光表示シート1が備える同符号の層と同様に構成される。
受光表示シート1aは、図示はしないが、受光表示シート1と同様に選択回路11を有し、選択回路11に接続される表示制御装置10を備えている。
【0043】
また、受光表示シート1aは、表面層150に受光部160が埋設されている。受光部160は、分極用ピエゾ素子120及び駆動用ピエゾ素子140と同数設けられている。受光部160は各々の駆動用ピエゾ素子140に1個ずつ対応づけられ、表面層150上に、マトリクス状に並べて配置されている。
【0044】
受光部160は、受光表示シート1の表面に露出して設けられ、赤外線を受光して熱エネルギーに変換する赤外線吸収部161と、赤外線吸収部161の裏面に張り合わされ、赤外線吸収部161が発する熱を検出して電圧値に変換する温度検出部162と、を備えている。この構成により、赤外線吸収部161が外部から照射される赤外光を受光すると、受光量に応じて赤外線吸収部161の温度が上昇し、この温度上昇を検出した温度検出部162の出力電圧が変化する。このため、温度検出部162の出力電圧値を検出することで、赤外線吸収部161の受光状態を検出できる。
各々の温度検出部162は、検出用配線165を介してそれぞれ表示制御装置10に接続されている。図7の例では、受光表示シート1の表面に設けられた受光部160から、受光表示シート1を厚み方向に貫通する検出用配線165が配置された構成を例示しているが、例えば透明導体を用いて検出用配線165を形成することにより、検出用配線165を表面層150に埋設した構成とすることもできる。
【0045】
表示制御装置10は、検出用配線165を介して個々の温度検出部162の電圧値を取得して、受光表示シート1において赤外光を受光した受光部160を特定できる。受光部160は、各駆動用ピエゾ素子140に対応づけて設けられているので、表示制御装置10の制御により、赤外光を受光した受光部160を特定し、この特定した受光部160対応する駆動用ピエゾ素子140に電界を印加して、表示状態を変化させることができる。
つまり、受光表示シート1aは、第1の実施形態で説明した受光表示シート1に代えて用いることができ、この受光表示シート1aに、例えばペン型指示器3を手に持ったユーザーが操作を行うことで、ペン型指示器3の軌跡の通りに表示状態を変化させることができる。従って、紙のように簡単な入力によって様々な画像を表示させることが可能な表示デバイスを実現できる。
そして、この構成では、駆動用ピエゾ素子140とは別体として、受光表示シート1aの表面側に設けられた受光部160における赤外光の受光状態を検出するので、駆動用ピエゾ素子140への電界の印加とは独立して、受光状態を速やかに、かつ高精度で検出できる。
【0046】
なお、上述した各実施形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、分極用ピエゾ素子120を分極させることにより電荷を蓄積する構成としたが、分極用ピエゾ素子120に代えて、圧電体以外の材料を用いた電荷蓄積素子を形成し、この電荷蓄積素子に蓄積した電荷により駆動用ピエゾ素子140の周囲に電界を生成させてもよい。また、受光表示シート1、1aは、表面層150と誘電体ミラー142との間のファブリ・ペロー干渉により特定波長の光を反射するものであればよいので、誘電体ミラー142に代えて、誘電体に該当しない材料によりハーフミラーを設けてもよい。さらに、受光表示シート1、1aにおける分極用ピエゾ素子120、駆動用ピエゾ素子140の数や配置方向は任意であり、六角形の分極用ピエゾ素子120及び駆動用ピエゾ素子140をハニカム状に配置してもよいし、円形の分極用ピエゾ素子120、駆動用ピエゾ素子140を用いてもよい。隣接する駆動用ピエゾ素子140の間にスペーサー141を設けたように、分極用ピエゾ素子120どうしの間に絶縁体のスペーサーを設けてもよい。そして、受光表示シート1、1aにおける表示色も任意であり、表示制御装置10から受光表示シート1、1aへ通電しておらず、全ての分極用ピエゾ素子120が分極していない状態における受光表示シート1、1aの色は、白色であってもよいが、他の色であってもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態では、赤外光を受光した場合の駆動用ピエゾ素子140或いは受光部160の受光状態を検出する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受光表示シート1、1aに照射される光の波長は任意であり、レーザー光等であってもよい。すなわち、照射によって駆動用ピエゾ素子140、受光部160に温度変化を生じさせる光であれば、その波長や光源は特に限定されない。また、上記実施形態ではペン型指示器3によって赤外光を照射する表示システム100の構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レーザーポインターを用いて、離れた位置から受光表示シート1、1aの表面に光を当ててもよい。この場合、受光表示シート1、1aに直接ペン型指示器3を当てるような使用方法の他に、離れた位置から受光表示シート1、1aに光を当てることで、光を当てた位置の表示状態が変化するため、従来の紙や会議用ホワイトボード等の製品を代替するだけでなく、これらの従来製品では不可能であった使用方法を実現できる。
その他、実施形態の表示システム100、受光表示シート1、1aを構成する各部の細部構成についても任意に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明によれば、書物や書籍が備える文字あるいは図匠・デザインを長期間維持表示し続ける機能性、複数の表示面を同時閲覧できるマルチ・ビューイング機能性、その集積枚葉形態がコンパクトに収納できることによる折り曲げ伸縮機能性を継承でき、簡単な操作によって表示状態を変更することで、文字や絵等を自在に描くことが可能な表示デバイスを実現できる。この表示デバイスとしての受光表示シート1には、最新の立体画像図形の鑑賞閲覧が可能となる光の反射投影干渉作用を利用できる機能をも付加できており、紙のような、新聞や広告紙あるいは雑誌、文書本のような一種の製本された積層シート形態による利用方法を考えることができ、このような形態では、見開き複数ページ同時閲覧が容易に実現できる。さらに、使用後に従来の紙のような使い捨てをしないためには表示状態を変化させることが必要になり、この表示状態の変化が高速で、かつ容易に行えることも要求される。さらには、容易に低コストで製造可能であることも勿論要求されるが、本発明ではこれらの要求に完全に応えることが可能である。そして、廃棄あるいは焼却あるいは非可逆的な再生(完全に溶かすあるいは分解し、再度元に戻す)という自然環境破壊を引き起こす作用を施すことが主流であった紙という従来の情報記録装置を代替することにより、地球支援環境を破壊汚染する程度を著しく軽減でき、かつ一層の先進的な表示方法を長期保存できうる、このような要求を満足する電子的な記録保存表示デバイスの基本的な構造と表示方法を提供できる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a…受光表示シート(表示デバイス)、3…ペン型指示器(操作デバイス)、10…表示制御装置(受光検出部、制御部)、11…選択回路、100…表示システム、101…ベースシート(シート)、120…分極用ピエゾ素子(電荷蓄積部)、140…駆動用ピエゾ素子(圧電体)、142…誘電体ミラー(反射層)、150…表面層(反射層)、160…受光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシートに、
外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、
前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、
前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、
前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させる制御部と、
を備えたことを特徴とする表示デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の表示デバイスにおいて、
各々の前記圧電体に重なるように並ぶ複数の電荷蓄積部を備え、
前記制御部は、前記圧電体に電界を印加して変形させた後に、該圧電体に対応する前記電荷蓄積部に電圧を印加して電荷を蓄積させること、
を特徴とする表示デバイス。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示デバイスにおいて、
前記受光検出部は、前記圧電体の温度変化に起因する電荷の変化を検出することにより、前記圧電体の受光状態を検出すること、
を特徴とする表示デバイス。
【請求項4】
請求項1記載の表示デバイスにおいて、
前記シートの表面に、前記圧電体に対応して複数並べて配置され、所定波長の光を受光して受光状態に応じた電圧を出力する受光部を備え、
前記受光検出部は、各々の前記受光部の出力電圧を検出すること、
を特徴とする表示デバイス。
【請求項5】
可撓性を有するシートに、
外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、
前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、
前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、
前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させる制御部と、を備えた表示デバイスと、
前記表示デバイスに対して所定波長の光を照射する操作デバイスと、
を備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項6】
可撓性を有するシートに、
外部から入射した光のファブリ・ペロー干渉による光干渉効果によって外光を反射する反射層と、
前記シートに並べて配置され、周囲の電界に応じて変形することにより前記反射層の反射率を変化させる複数の圧電体と、
前記圧電体の位置毎に所定波長の外光の受光状態を検出する受光検出部と、を設けた表示デバイスを制御し、
前記受光検出部により検出した受光状態に基づいて、前記圧電体に電界を印加して変形させること、
を特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−7838(P2011−7838A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148398(P2009−148398)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】