説明

表示パネルの製造方法

【課題】製造コストの削減や材料の有効利用を容易に図れるPDPの製造方法を提供すること。
【解決手段】PDPの前面基板の製造時において、誘電体層形成工程と、保護層形成工程との間に、前面マザー基板を分断する分断工程と、この分断工程で分断されて得られた前面基板から良品を選別する良品選別工程とを実施する。そして、保護層形成工程において、良品選別工程で良品と選別された前面基板ごとに保護層を形成する。このため、前面マザー基板を2枚の前面基板に分断して、良品として選別された前面基板のみに対して、保護層を形成するので、前面マザー基板に不良となる前面基板が存在していたとしても、この不良の前面基板の重ね合わせ作業を実施することがない。また、不良となる前面基板に対して保護層を形成しないので、無駄な材料の消費を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示パネルの製造において、コスト削減のために、1枚のマザー基板内に複数の表示パネル形成領域を形成した後、複数に分断して、貼り合わせることで複数の表示パネルを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、多面取りの大型の前面基板(以下、前面マザー基板と称す)と、多面取りの大型の背面基板(以下、背面マザー基板と称す。)とのそれぞれの表面に、各構造体を複数のパネル領域を有するように形成して、各パネル領域の欠陥を検査する。この後、この検査結果に基づいて、両マザー基板の最適な組合せを算出する。そして、この組合せで両マザー基板を貼り合わせてから、パネル単位に分割する構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−268726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成では、1枚のマザー基板中に不良となるパネル領域が多い場合でも、そのマザー基板を貼り合わせるので、不良となるパネル領域に対する貼り合わせ作業が無駄になってしまう。このため、製造コストの削減や構造物形成用材料の有効利用を図ることができないおそれがあるという問題点が一例として挙げられる。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、製造コストの削減や材料の有効利用を容易に図れる表示パネルの製造方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数の表示パネル形成領域を有するマザー基板を用いて、複数の異なる構造物形成処理工程を順次実施する表示パネルの製造方法であって、第1の前記構造物形成処理工程と、この第1の構造物形成処理工程の後に実施される第2の前記構造物形成処理工程との間に、前記マザー基板を分断する第1の分断工程と、この第1の分断工程後で分断されて得られた基板から良品を選別する良品選別工程と、を実施し、この良品選別工程以降の前記構造物形成処理工程を前記良品と選別された基板ごとに実施することを特徴とする表示パネルの製造方法である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前面マザー基板および背面マザー基板の各々に対して、複数の異なる構造物形成処理工程を順次実施する表示パネルの製造方法であって、前面マザー基板および背面マザー基板のうち少なくとも一方のマザー基板に対する所定の前記構造物形成処理工程の間に、前記少なくとも一方のマザー基板を分断する第1の分断工程と、この第1の分断工程で分断されて得られた基板から良品を選別する良品選別工程と、を実施し、この良品選別工程以降の前記構造物形成処理工程を前記良品と選別された基板ごとに実施することを特徴とする表示パネルの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態ではプラズマディスプレイパネルを例示するが、これに限らず、本発明は液晶表示パネルや、有機ELパネル、FED、電気泳動ディスプレイパネルなどのディスプレイパネルのガラス基板などにも適用可能である。
【0010】
[プラズマディスプレイパネル]
まず、本発明の一実施形態の製造方法により製造されるPDP(プラズマディスプレイパネル)の構成について説明する。
図1は、PDPを示した分解斜視図である。
図1に示すように、表示パネルとしてのPDP100は、放電空間101を介して互いに対向配置された前面基板102と背面基板103とを備えている。
【0011】
前面基板102の内面側には、互いに平行に配設された複数の透明電極104と、この透明電極104に沿って設けられた図示しないバス電極と、吸光性材料からなる複数のブラックストライプ105と、誘電体層106と、保護層107と、などがそれぞれ設けられている。
背面基板103の内面側には、互いに平行に配設された複数のアドレス電極108と、アドレス電極保護層109と、井桁形状の隔壁110と、などがそれぞれ設けられている。
そして、隔壁110により形成された複数の表示セルとしての放電セル111の内部には、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体層112R,112G,112Bが順に形成されている。放電空間101の内部、すなわちそれぞれの放電セル111の内部は、ネオンガスなどの放電ガスが充填され、外気との間で密閉されている。
【0012】
[プラズマディスプレイの製造方法]
次に、PDP100の製造方法について、図面を参照して説明する。
図2は、PDPの製造方法を示すフローチャートである。
【0013】
まず、図2に示すように、PDP100を製造する際には、前面基板製造工程を実施する。
この前面基板製造工程では、前面基板102を2枚取ることが可能なサイズの前面マザー基板を準備して、製造装置に投入する(ステップS1:前面マザー基板投入工程)。そして、前面マザー基板を十分洗浄して、その内側面に透明電極材料層を形成して、フォトリソグラフィ法などにより透明電極104をパターン形成する(ステップS2:透明電極形成工程)。
【0014】
次に、透明電極104上にスクリーン印刷法などにより導電性ペーストのパターンを積層形成し、これを焼成してバス電極を形成する(ステップS3:バス電極形成工程)。
さらに、このバス電極形成工程の後、バス電極間に例えば黒色無機顔料のペーストパターンを塗布して、これを焼成して複数のブラックストライプ105を形成する。次に、誘電体層106を形成するための誘電体ペーストを、ダイコータやスクリーン印刷法などにより、透明電極104、バス電極、ブラックストライプ105を被覆する状態に設ける。そして、これを焼成して、構造物としての誘電体層106を形成する(ステップS4:誘電体層形成工程(本発明の構造物形成処理工程))。
これらステップS2〜ステップS4の各工程では、1枚の前面マザー基板上に、2枚の前面基板102に対応する透明電極104、バス電極、ブラックストライプ105、誘電体層106が形成される。
【0015】
そして、この前面マザー基板を2枚の前面基板102に分断する(ステップS5:分断工程(本発明の第1の分断工程))。この分断工程では、カッタやレーザを用いた切断、熱応力を応用した切断など、前面マザー基板を分断可能ないずれの方法を適用してもよい。
次に、この分断工程で分断されて得られた前面基板102のエッジを面取り加工する(ステップS6:エッジ面取り工程)。
そして、このエッジが面取りされた前面基板102から良品を選別する(ステップS7:良品選別工程)。この良品選別工程では、透明電極104、バス電極、ブラックストライプ105、誘電体層106の位置ずれや変形があるか否か、分断工程やエッジ面取り工程で前面基板102に欠けや割れが発生したか否かなどの基準により、良品を選別する。
【0016】
次に、良品選別工程で良品として選別された前面基板102に、誘電体層106を被覆する状態で構造物としての保護層107を形成する(ステップS8:保護層形成工程(本発明の構造物形成処理工程))。この保護層形成工程では、真空装置内に1枚の前面基板102を投入し、MgO(酸化マグネシウム)を真空蒸着することで、保護層107を形成する。
【0017】
ここで、前面マザー基板を分断せずに真空蒸着する場合、真空チャンバを2枚の前面基板102を投入可能なサイズにする必要がある。
真空チャンバが大きくなると、蒸着ガンの本数を増やす必要がある。そして、蒸着ガンが増えると、その性能ばらつきにより、基板面内における成膜のばらつきが大きくなるおそれがある。また、真空チャンバの大型化に伴い、建物が大型化したり、設備コストが増大したりしてしまうおそれがある。さらに、真空チャンバが大きくなると、チャンバ内の減圧に時間がかかり、タクトタイムが長期化してしまうおそれがある。
一方、本実施形態では、前面マザー基板を分断して真空蒸着するため、真空チャンバとして、1枚の前面基板102のみを投入可能なサイズにすることができる。このため、成膜のばらつき、建物の大型化、設備コストの増大を抑制できる。さらに、チャンバ内の減圧時間を短くでき、タクトタイムの短縮が可能となる。
【0018】
また、上記の前面基板製造工程と平行して、背面基板製造工程を実施する。
この背面基板製造工程では、背面基板103を2枚取ることが可能なサイズの背面マザー基板を準備する。そして、製造装置に投入し(ステップS9:背面マザー基板投入工程)、背面マザー基板を十分洗浄して、その内側面に例えばAl膜を形成して、フォトリソグラフィ法によりアドレス電極108をパターン形成する(ステップS10:アドレス電極形成工程)。
【0019】
次に、このアドレス電極108の上に、ガラスペースト等の誘電材料ペーストをスクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法、その他の手段によって塗布し、乾燥させる。これによってアドレス電極保護層109が形成され、アドレス電極108が被覆される(ステップS11:アドレス電極保護層形成工程)。
さらに、ガラスペースト等の隔壁形成材料ペーストを塗布して乾燥させ、隔壁形成材料層を形成する。そして、この隔壁形成材料層をサンドブラスト処理などによりパターニングして焼成することにより、構造物としての隔壁110を形成する(ステップS12:隔壁形成工程(本発明の構造物形成処理工程))。
これらステップS10〜ステップS12の各工程では、1枚の背面マザー基板上に、2枚の背面基板103に対応するアドレス電極108、アドレス電極保護層109、隔壁110が形成される。
【0020】
そして、背面マザー基板を2枚の背面基板103に分断し(ステップS13:分断工程(本発明の第1の分断工程))、この分断工程で分断されて得られた背面基板103のエッジを面取り加工する(ステップS14:エッジ面取り加工)。さらに、この選別された背面基板103から良品を選別する(ステップS15:良品選別工程)。なお、ステップS13〜S15では、ステップS5〜S7と同様の方法や基準を適用することができる。
次に、良品として選別された背面基板103の放電セル111内部に、スクリーン印刷法、ノズルコータなどにより赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体ペーストを塗布し、これを焼成して構造物としての蛍光体層(112R、112G、112B)を形成する(ステップS16:蛍光体層形成工程(本発明の構造物形成処理工程))。この蛍光体層形成工程では、スクリーン印刷機やノズルコータに1枚の背面基板103を投入し、蛍光体ペーストの塗布や焼成を実施する。
【0021】
ここで、背面マザー基板を分断せずに蛍光体層112R,112G,112Bを形成する場合、スクリーン印刷機やノズルコータ、あるいは焼成装置を2枚の背面基板103を投入可能なサイズにする必要があり、建物の大型化や設備コストの増大を招くおそれがある。また、蛍光体ペーストの塗布にスクリーン印刷法を適用すると、基板の台形変形によるパターン位置精度や、連続印刷に伴うスクリーン版の歪みなどによる位置精度の問題が生じるおそれがある。さらに、ノズルコータを適用すると、基板の台形変形や、ノズルの移動精度により、パターン位置精度の問題が生じるおそれがある。
一方、本実施形態では、背面マザー基板を分断して蛍光体層112R,112G,112Bを形成するため、スクリーン印刷機やノズルコータ、あるいは焼成装置として、1枚の背面基板103のみを投入可能なサイズを適用することができる。よって、建物の大型化や設備コストの増大を抑制できる。また、スクリーン印刷法を適用する場合、スクリーン版に対する位置ずれや、連続印刷によるスクリーン版の歪みによる影響を抑えることができる。さらに、ノズルコータを適用する場合、基板の台形変形やノズルの移動精度による影響を抑えることができる。
【0022】
そして、蛍光体層形成工程の後、例えば低融点ガラス粉末にアクリルなどの樹脂とターピネオールなどの溶剤で混練したペーストを用いて、図示しないシールフリットをアドレス電極保護層109の周縁に略沿う状態に設ける(ステップS17:シールフリット形成工程)。
【0023】
次に、ステップS1〜S8の前面基板製造工程にて製造した前面基板102と、ステップS9〜S17の背面基板製造工程にて製造した背面基板103とを、所定の位置関係で重ね合わせる(ステップS18:組立工程)。
そして、この組立工程で重ね合わされた前面基板102と背面基板103とを、シールフリット中の低融点ガラスが溶解する温度以上の所定の温度で加熱して、低融点ガラスを軟化溶融させる。この後、低融点ガラスが凝固する温度まで降温させて、前面基板102と背面基板103との間の内部空間を封着する(ステップS19:封着工程)。これにより、前面基板102と背面基板103との間には、放電空間101を含んだ密封空間が形成される。
【0024】
この後、前面基板102と背面基板103とをシールフリットが凝固する温度まで降温して、図示しないチップ管を介して、封着工程にて形成した密封空間内部の気体を真空ポンプなどにより排気する(ステップS20:排気工程)。これにより、各種構造物中に含まれた樹脂や溶剤などのガス成分が密封空間内部から排出されるとともに、密封空間内の圧力が密封空間外の圧力よりも低い減圧状態となる。
さらに、封着工程における最高温度よりも低い温度で、図示しないチップ管を介して、上記した空間内部に放電ガスを導入し、この空間内部が、例えば6.7×104Pa(500Torr)程度となる状態に圧力調整する。そして、チップ管の先端を加熱してチップ管を溶融させ、チップ管自体を封止する(ステップS21:ガス導入工程)。
そして、点灯検査を実施して(ステップS22:点灯検査工程)、PDP100が完成する。
【0025】
[PDPの製造方法の作用効果]
以上のPDP100の製造方法によれば、以下の作用効果が期待できる。
【0026】
(1)PDP100の前面基板102の製造時において、誘電体層106を形成する誘電体層形成工程と、保護層107を形成する保護層形成工程との間に、前面マザー基板を分断する分断工程を実施する。さらに、良品選別工程において、分断工程で分断されて得られた前面基板102から良品を選別する。そして、保護層形成工程において、良品選別工程で良品と選別された前面基板102ごとに保護層107を形成する。
このため、前面マザー基板を2枚の前面基板102に分断して、良品として選別された前面基板102のみに対して、保護層107を形成するので、前面マザー基板に不良となる前面基板102が存在していたとしても、この不良の前面基板102の重ね合わせ作業を実施することがない。また、不良となる前面基板102に対して保護層107を形成しないので、無駄な材料の消費を抑制できる。さらには、保護層形成工程における処理時間の短縮化、処理の効率化を容易に図ることができる。したがって、製造コストの削減や材料の有効利用を容易に図ることができる。
そして、保護層形成工程で処理する基板の大きさを、それ以前の工程で処理する基板よりも小さくするので、保護層形成工程で用いる設備の大型化を招くことがなくなり、設備コストの上昇や、設備を設定する建屋の大型化を抑制できる。そして、保護層形成工程において処理する基板が大型化しないので、前面基板102面内における誘電体層106の形成状態にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、分断工程以降の工程における処理基板の小型化により、処理プロセスの選択肢を増加させることができる。すなわち、基板が大型化した場合、面内分布などの不均一性が問題となり、採用できないプロセスが出てくる。これに対して、製造工程の途中に、基板を小さくする分断工程を設けることにより、面内分布などの不均一性の問題を解消でき、プロセスの選択肢を増加させることができる。
さらに、工程によっては、前面マザー基板から取れる前面基板102の枚数が少ない方(以下、面取り数が少ない前面マザー基板と称す)が処理タクトタイムが短い場合がある。また、同じ処理能力を持たせても、面取り数が少ない前面マザー基板に対応する設備を複数台設置した方が設備投資が安価な設備もある。本発明を用いることにより、これらの処理タクトタイムや設備価格などによって柔軟に生産プロセスを対応させることができる。
【0027】
(2)PDP100の背面基板103の製造時において、隔壁形成工程と、蛍光体層形成工程との間に、背面マザー基板を分断する分断工程と、この分断工程で分断されて得られた背面基板103から良品を選別する良品選別工程と、を実施する。そして、蛍光体層形成工程において、良品選別工程で良品と選別された背面基板103ごとに蛍光体層112R,112G,112Bを形成する。
このため、上述の(1)に示したような前面基板102製造時と同様の作用効果を奏することができる。
特に、本実施形態では、前面基板102および背面基板103のそれぞれの製造時に上述の分断工程、良品選別工程を設けているので、PDP100の製造コストのさらなる削減や材料のさらなる有効利用を容易に図ることができる。
【0028】
(3)真空装置を用いる保護層形成工程の前に、分断工程を実施する。
このため、上述したような作用により、成膜のばらつき、建物の大型化、設備コストの増大を抑制できる。さらに、チャンバ内の減圧時間を短くでき、タクトタイムの短縮が可能となる。
【0029】
(4)分断工程の後に、前面基板102や背面基板103のエッジを面取り加工するエッジ面取り工程を実施する。
このため、前面基板102のエッジを滑らかにした状態で分断工程以降の工程を実施できるので、エッジが鋭利な状態で各工程を実施する構成と比べて、基板の取り扱いを容易にできる。さらに、基板が接触した場合でも設備の傷付きを防止できる。
【0030】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0031】
すなわち、前面基板製造工程または背面基板製造工程のみにおいて、分断工程および良品選別工程を実施する構成としてもよい。
また、エッジ面取り工程を実施しなくてもよい。
そして、誘電体層形成工程と、保護層形成工程との間、隔壁形成工程と、蛍光体層形成工程との間以外のタイミングで、分断工程、良品選別工程を実施してもよい。
【0032】
さらに、前面基板製造工程や背面基板製造工程において、分断工程を複数回実施してもよい。
具体的には、前面基板102を4枚取ることが可能な前面マザー基板を準備して、4枚の前面基板102に対応する透明電極104、バス電極を形成する。そして、バス電極形成工程と、誘電体層形成工程との間に、前面マザー基板を2枚の前面基板102を取ることが可能なサイズに分断する第1の分断工程を実施して、良品を選別する。さらに、この良品として選別された基板に対して、2枚の前面基板102に対応する誘電体層106を形成する。そして、第2の分断工程により2枚の前面基板102を得て良品を選別し、この選別された前面基板102のそれぞれに対して保護層107を形成する構成としてもよい。
なお、良品選別工程は、複数の分断工程を実施する場合であっても、少なくとも1回実施されていればよいが、製造コストの削減や材料の有効利用という観点から、全ての分断工程の後に実施されることが好ましい。
【0033】
また、歩留まりが比較的悪い工程の後や、材料費が高い工程の前に分断工程、良品選別工程を実施してもよい。このような構成によれば、材料費の削減を容易に図ることができる。
そして、例えば1種類の構造物を形成する際にフォトリソグラフィ法を用いる工程において、露光工程、現像工程では、前面マザー基板に対する処理を実施して、この後、分断工程を実施する。そして、焼成工程では、分断工程で分断された前面基板102ごとに対する処理を実施してもよい。
さらに、複数の基板を重ね合わせる表示パネルに限らず、1枚の基板を用いる表示パネルに本発明を適用してもよい。
【0034】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0035】
[実施形態の作用効果]
上記したように、PDP100の前面基板102の製造時において、誘電体層形成工程と、保護層形成工程との間に、前面マザー基板を分断する分断工程と、この分断工程で分断されて得られた前面基板102から良品を選別する良品選別工程と、を実施する。そして、保護層形成工程において、良品選別工程で良品と選別された前面基板102ごとに保護層107を形成する。
このため、前面マザー基板を2枚の前面基板102に分断して、良品として選別された前面基板102のみに対して、保護層107を形成するので、前面マザー基板に不良となる前面基板102が存在していたとしても、この不良の前面基板102の重ね合わせ作業を実施することがない。また、不良となる前面基板102に対して保護層107を形成しないので、無駄な材料の消費を抑制できる。したがって、製造コストの削減や材料の有効利用を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るPDPを示した分解斜視図である。
【図2】前記一実施形態におけるPDPの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
100…表示パネルとしてのPDP
106…構造物としての誘電体層
107…構造物としての保護層
110…構造物としての隔壁
112R,112G,112B…構造物としての蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示パネル形成領域を有するマザー基板を用いて、複数の異なる構造物形成処理工程を順次実施する表示パネルの製造方法であって、
第1の前記構造物形成処理工程と、この第1の構造物形成処理工程の後に実施される第2の前記構造物形成処理工程との間に、前記マザー基板を分断する第1の分断工程と、この第1の分断工程後で分断されて得られた基板から良品を選別する良品選別工程と、を実施し、
この良品選別工程以降の前記構造物形成処理工程を前記良品と選別された基板ごとに実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法において、
前記第2の構造物形成処理工程の後に実施される第3の前記構造物形成処理工程と、この第3の構造物形成処理工程の後に実施される第4の前記構造物形成処理工程との間に、前記第1の分断工程で分断されて得られた基板をさらに分断する第2の分断工程を実施し、
この第2の分断工程以降の前記構造物形成処理工程を前記分断されて得られた基板ごとに実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前面マザー基板および背面マザー基板の各々に対して、複数の異なる構造物形成処理工程を順次実施する表示パネルの製造方法であって、
前面マザー基板および背面マザー基板のうち少なくとも一方のマザー基板に対する所定の前記構造物形成処理工程の間に、前記少なくとも一方のマザー基板を分断する第1の分断工程と、この第1の分断工程で分断されて得られた基板から良品を選別する良品選別工程と、を実施し、
この良品選別工程以降の前記構造物形成処理工程を前記良品と選別された基板ごとに実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の表示パネルの製造方法において、
前記前面マザー基板および前記背面マザー基板の両方のマザー基板に対する所定の前記構造物形成処理工程の間に、前記第1の分断工程を実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の表示パネルの製造方法において、
前記第1の分断工程以降の前記構造物形成処理工程終了後に、前記分断されて得られた基板をさらに分断する第2の分断工程を実施し、
この第2の分断工程以降の前記構造物形成処理工程を前記分断されて得られた基板ごとに実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の表示パネルの製造方法において、
前記分断工程の後に実施される前記構造物形成処理工程では、真空装置を用いた処理を実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示パネルの製造方法において、
前記分断工程と、この分断工程の次に実施される前記構造物形成処理工程との前に、前記分断されて得られた基板のエッジを面取りするエッジ面取り工程を実施する
ことを特徴とする表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−123388(P2009−123388A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293433(P2007−293433)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】