説明

表示付きスイッチ並びにスイッチ装置

【課題】切換型の接点装置を用いる場合においても操作ハンドルの表示位置と操作方向とを一致させて操作性を向上する。
【解決手段】操作ハンドル60の後方へ移動した端部においては、操作ハンドル60の揺動支点に対して当該端部側に設けられている一方の遮光部27に遮光体84の端部がオーバラップして位置表示灯71とプリズム90の集光部92との間の光路を遮光する。また前方へ移動した端部においては、操作ハンドル60の揺動支点に対して当該端部側に設けられている他方の遮光部27に遮光体84の端部がオーバラップせず、位置表示灯71とプリズム90の集光部92との間の光路を遮光しない。故に、次に操作される側の操作ハンドル60の端部に設けられている表示部91の表示面のみから位置表示灯71の光が出射されるため、操作ハンドル60の表示位置と操作方向とを完全に一致させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部分の位置を表示する機能を有した表示付きスイッチ並びに表示付きスイッチとプレートからなるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電路の電圧で点灯することにより操作部分の位置を表示する表示部を備えたスイッチ(表示付きスイッチ)が提供されている。図22は特許文献1に開示されている表示付きスイッチ200の正面図である。この表示付きスイッチ200は、接点装置並びに発光源(例えば、ネオンランプ)が収納された器体201と、器体201に揺動自在に枢支された形で装着され接点装置を開閉する反転ハンドルと、反転ハンドルの前面を覆い反転ハンドルに結合される平面視矩形状の操作ハンドル202とを備え、操作ハンドル202を相反する2方向へ操作することにより反転ハンドルを介して接点装置を開閉するスイッチ(タンブラスイッチ)であって、操作ハンドル202を器体201前面よりも大きくすることで操作性を向上したスイッチ(この種のスイッチは、一般に「ワイドハンドル形スイッチ」と呼ばれる。)として構成されている。操作ハンドル202前面における左右両端部の一方(図示例では右側端部)には発光源の発する光を前方へ照射することで操作ハンドル202の操作部位を表示する表示部203が設けられており、電源から負荷への給電が行われていないときに器体201に収納されている発光源が発光して表示部203による表示が行われる。
【特許文献1】特開2003−151402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来例において、接点装置が単極単投若しくは2極単投型の接点構成を有する単極スイッチ又は2極スイッチとして構成されている場合、負荷の動作状態と操作ハンドル202の操作状態とが一義的に決まるから、表示部203による表示が行われている側で操作ハンドル202の端部を押操作すれば負荷の動作状態を切り換えることができ、表示部203による表示と操作ハンドル202の操作方向とを常に一致させることが可能である。しかしながら、接点装置が切換型(単極切換型若しくは2極切換型)の接点構成を有する3路スイッチ又は4路スイッチとして構成されている場合では、負荷の動作状態と操作ハンドル202の操作状態とが一義的に決まらないから、表示部203による表示と操作ハンドル202の操作方向とが一致しない状況が生じる。特に、ワイドハンドル形スイッチの場合、操作ハンドル202を大型化しているために表示部203が設けられている側の端部と表示部203が設けられていない側の端部との距離も大きくなっているから、表示部203による表示と操作ハンドル202の操作方向とが一致しないことによって操作性が損なわれやすい。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、切換型の接点装置を用いる場合においても操作ハンドルの表示位置と操作方向とを一致させて操作性を向上した表示付きスイッチ及びスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、切換型の接点装置が器体に収納されたスイッチ本体と、スイッチ本体に設けられ接点装置の切換接点間に生じる電圧で発光する発光源と、少なくとも短幅方向の寸法がスイッチ本体の前面と略同一若しくは大型であって略中央を支点としてスイッチ本体の前面側に揺動自在に配設された操作ハンドルと、操作ハンドルの揺動する両端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する2つの表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を2つの表示部の表示面へそれぞれ導光する集光部を有するプリズムとを備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、電源から負荷への給電が停止しているときに発光源が発光し、その光は集光部に導光されて2つの表示部の表示面から外部へ出射されるから、操作ハンドルの揺動する両端部に設けられた2つの表示部で同時に表示が行われることとなり、切換型の接点装置を用いる場合においても操作ハンドルの表示位置と操作方向とを一致させて操作性が向上する。
【0007】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、切換型の接点装置が器体に収納されたスイッチ本体と、スイッチ本体に設けられ接点装置の切換接点間に生じる電圧で発光する発光源と、少なくとも短幅方向の寸法がスイッチ本体の前面と略同一若しくは大型であって略中央を支点としてスイッチ本体の前面側に揺動自在に配設された操作ハンドルと、操作ハンドルの揺動する一方の端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する第1の表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を第1の表示部の表示面へ導光する第1の集光部を有する第1のプリズムと、操作ハンドルの揺動する他方の端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する第2の表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を第2の表示部の表示面へ導光する第2の集光部を有する第2のプリズムとを備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、電源から負荷への給電が停止しているときに発光源が発光し、その光は第1及び第2の集光部に導光されて第1及び第2の表示部の表示面から各々外部へ出射されるから、操作ハンドルの揺動する両端部に設けられた第1及び第2の表示部で同時に表示が行われることとなり、切換型の接点装置を用いる場合においても操作ハンドルの表示位置と操作方向とを一致させて操作性が向上する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、器体に揺動自在に枢支されるとともに操作ハンドルの操作に連動して接点装置を切り換える反転ハンドルと、発光源とプリズムの集光部若しくは第1のプリズムの第1の集光部及び第2のプリズムの第2の集光部との間の光路上において操作ハンドルの揺動支点を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられた2つの遮光部と、反転ハンドルと一体に揺動し2つの遮光部に対してスイッチ本体の前後方向に対向配置されるとともに操作ハンドルの操作位置に応じて何れか一方の遮光部と択一的に当接又はオーバラップして発光源とプリズムの集光部若しくは第1のプリズムの第1の集光部及び第2のプリズムの第2の集光部との間の光路を遮光する遮光体とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、操作ハンドルの両端部が操作に伴って前方から後方又は後方から前方へそれぞれ移動し、後方へ移動した端部においては、操作ハンドルの揺動支点に対して当該端部側に設けられている一方の遮光部に遮光体が当接又はオーバラップして発光源とプリズムの集光部(若しくは第1及び第2の集光部の一方)との間の光路を遮光し、前方へ移動した端部においては、操作ハンドルの揺動支点に対して当該端部側に設けられている他方の遮光部に遮光体が当接又はオーバラップせず、発光源とプリズムの集光部(若しくは第1及び第2の集光部の他方)との間の光路を遮光しないから、2つの表示部のうちで前方へ移動した端部、すなわち、次に操作される側の端部に設けられている表示部の表示面のみから発光源の光が出射されることとなり、操作ハンドルの表示位置と操作方向とを完全に一致させて操作性が一層向上する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、プリズム若しくは第1及び第2のプリズムは、前面側に操作ハンドルを取り付ける取付部が設けられるとともに背面側に反転ハンドルと結合する結合部が設けられることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、プリズム若しくは第1及び第2のプリズムに操作ハンドルを取り付けた後にプリズム若しくは第1及び第2のプリズムを反転ハンドルに結合することが可能であるから組立作業が容易になる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、反転ハンドルの前面側に発光源が露設され、遮光体は、発光源を前方から覆う傘状に形成されることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、発光源をプリズム若しくは第1及び第2のプリズムの近傍に配置することによって発光源の光を効率よく集光部に集めることができて表示部若しくは第1及び第2の表示部の明るさが向上する。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、遮光体は、反転ハンドルの揺動方向に沿って回動自在に設けられることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、遮光体が反転ハンドルに対して回動しない場合に比較して遮光体と遮光部とがオーバラップしない状態における両者間の隙間(光路)が大きくなるために表示部の明るさが増大でき、また、遮光体と遮光部とのオーバラップ量が大きくなるために表示部への光の漏れを抑えることができる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項3又は4の発明において、スイッチ本体は、造営面の表面側に固定されるプレート枠に着脱自在に取り付けるための取付手段を有しプレート枠に取り付けられた状態で造営面に設けられた埋込孔に後端部を埋め込む形で埋込配設され、且つプレート枠に対して短幅方向に最大3個並べて取り付けられる寸法に形成されており、操作ハンドルは、プレート枠に対するスイッチ本体の並び方向においてスイッチ本体の短幅方向の幅寸法よりも大きい寸法に形成されたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、操作ハンドルの操作性が向上する。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れかの発明において、表示部若しくは第1及び第2の表示部は、操作ハンドルの端部と略同一寸法に形成されたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、表示部が視認しやすくなる。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1〜8の何れかの発明において、表示部若しくは第1及び第2の表示部が光を拡散させることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、光の出射範囲が拡がって表示部が視認しやすくなる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1〜9の何れかの発明において、光沢を持った金属製であって遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーを備えたことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、ランプカバーが光沢を持った金属製であるため、発光源の光を遮光体や保護部の内面で反射して効率よく集光部に集めることができて表示部の明るさが向上する。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1〜9の何れかの発明において、絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーと、発光源と対向する遮光体並びに保護部の内面に貼着されて発光源の光を反射する反射シートとを備えたことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、反射シートにより発光源の光を反射して効率よく集光部に集めることができて表示部の明るさが向上する。しかも、ランプカバーを金属製とした場合には発光源との間を絶縁する必要があるが、そのような絶縁が不要である。
【0027】
請求項12の発明は、請求項1〜9の何れかの発明において、絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーと、発光源と対向する遮光体並びに保護部の内面に反射率が高いコーティング材料をコーティングして形成される反射層とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、反射層により発光源の光を反射して効率よく集光部に集めることができて表示部の明るさが向上する。しかも、ランプカバーを金属製とした場合には発光源との間を絶縁する必要があるが、そのような絶縁が不要である。
【0029】
請求項13の発明は、請求項3又は4の表示付きスイッチと、スイッチ本体を着脱自在に取り付ける取付手段を有し造営面に設けられた埋込孔にスイッチ本体の後端部を埋め込む形で造営面の表面側に固定されるプレート枠と、操作ハンドルを露出させた状態でプレート枠の前面を覆う化粧プレートとからなるスイッチ装置において、スイッチ本体は、プレート枠に対して短幅方向に最大3個並べて取り付けられる寸法に形成され、操作ハンドルは、プレート枠に対するスイッチ本体の並び方向においてスイッチ本体の短幅方向の幅寸法よりも大きい寸法に形成され、操作ハンドル又はプリズム若しくは第1及び第2のプリズムは、反転ハンドルと択一的に結合する3つの結合部がスイッチ本体の短幅方向に沿って列設され、3つの結合部のうちで反転ハンドルに結合していない結合部と対向するプレート枠表面の部位に当該結合部を逃がす逃がし手段が設けられたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、プレート枠に対するスイッチ本体の取付位置にかかわらず共通の操作ハンドルを用いることができて施工性が向上する。
【0031】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、プレート枠との間で造営材を狭持する挟み金具を備え、挟み金具を取り付けるためにプレート枠に設けられた孔を前記逃がし手段としたことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、挟み金具用の孔を逃がし手段に兼用することによってプレート枠の製造コストの上昇を抑えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、電源から負荷への給電が停止しているときに発光源が発光し、その光は集光部に導光されて2つの表示部(若しくは第1及び第2の表示部)の表示面から外部へ出射されるから、操作ハンドルの揺動する両端部に設けられた2つの表示部(若しくは第1及び第2の表示部)で同時に表示が行われることとなり、切換型の接点装置を用いる場合においても操作ハンドルの表示位置と操作方向とを一致させて操作性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の技術思想を、ワイドハンドル形スイッチであり且つ接点装置が単極切換型の接点構成を有する3路スイッチ(タンブラスイッチ)に適用した実施形態について説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1〜図8を参照して本発明の実施形態1を詳細に説明する。
【0036】
本実施形態の表示付きスイッチはスイッチ本体1とハンドルブロック2とで構成され、施工面に設けられる埋込孔(図示せず)にスイッチ本体1の後端部を埋め込む形でプレート100により埋込配設される。なお、表示付きスイッチとプレート100とで本実施形態のスイッチ装置が構成される。
【0037】
プレート100は、スイッチ本体1を保持して埋込孔の内部に配設される埋込ボックス(図示せず)に取り付けられるプレート枠101と、前方からプレート枠101を覆う化粧プレート110とで構成される。プレート枠101は合成樹脂材料により矩形枠状に形成され、中央に開口する取付窓103に前端部を挿入する形でスイッチ本体1を保持する。また化粧プレート110は合成樹脂材料により矩形枠状に形成され、中央に開口する窓孔111を通してスイッチ本体1の前面を露出している(図2参照)。化粧プレート110の背面には4つの係止片(図示せず)が後方へ突設されており、これら4つの係止片をプレート枠101の四隅に設けられた係止孔104に係止することでプレート枠101の前面に化粧プレート110が着脱自在に被着される。また、プレート枠101の取付窓103を挟んで対向する長手方向両端中央部には埋込ボックスに取り付けるためのボックスねじを挿通するねじ挿通孔105が前後方向に貫設されている。さらにねじ挿通孔105の両側に挟み金具(図示せず)が着脱自在に取り付けられる一対の孔106がそれぞれ前後方向に貫設されている。挟み金具は従来周知であって、一部が孔106に引っ掛けられた状態でねじ挿通孔105に挿通されたねじが螺合し、このねじを締め付けてプレート枠101との間で造営材を狭持することによってプレート枠101を造営材に固定するものである。
【0038】
スイッチ本体1は、前面(図1における上面)が開口した直方体状の合成樹脂成形品のボディ10と、矩形枠状に形成されボディ10の前面側に結合される合成樹脂成形品のカバー20とにより構成される器体を備える。ボディ10の長手方向に沿った両外側面にはボディ10の長手方向に離間して各一対の組立突起11が突設され、カバー20の後端縁からは組立舌片21が後方(図1における下方)に延設され、組立舌片21に設けた組立孔21aに組立突起11が係合することによってボディ10とカバー20とが結合される。
【0039】
ボディ10には、ボディ10の後壁に設けた電線挿入孔12を通して器体に挿入される電線(図示せず)を接続する3個の端子装置30A,30B,30Cと、端子装置30Aと端子装置30B,30Cとの間の電路を開閉する接点装置40とが収納される(図3参照)。一方、カバー20の中央部の開口窓22には合成樹脂成形品の反転ハンドル50がカバー20に対して揺動自在に枢支された形で装着され、この反転ハンドル50の揺動に伴って接点装置40が開閉される。反転ハンドル50の前面側にはカバー20の前面に重複する合成樹脂成形品の操作ハンドル60(ハンドルブロック2)が着脱自在に結合され、操作ハンドル60を操作部として揺動させることにより、反転ハンドル50が揺動して接点装置40が開閉されるようにしてある。
【0040】
ボディ10の内側面には、端子装置30A,30B,30Cおよび接点装置40を位置決めするための保持リブ13および保持溝14がそれぞれ複数形成されている。端子装置30Aはボディ10の長手方向の一端部内に配置され、端子装置30B,30Cはボディ10の長手方向の他端部内に配置され、接点装置40はボディ10の長手方向の中央部内に配置される。
【0041】
端子装置30Aは、導電性の金属板により形成された端子板32と、2個の鎖錠ばね33と、2個の鎖錠ばね33に当接する合成樹脂成形品の解除釦34とを備える。端子板32は、主片32aおよび主片32aに対向する当接片32bの前端縁間を連結片32cで連続一体に連結することで略コ字状に形成され、連結片32cをボディ10の開口面に沿わせるようにしてボディ10内に収納される。また鎖錠ばね33は主片32aと当接片32bとの間に収納される。端子板32には当接片32bの後端縁からボディ10の長手方向の中央部に向かってボディ10の内底面に沿う形で支持片32dが延設され、支持片32dの先端部にはへ字状に屈曲されて前方に突出する支点突部32eが形成されている(図3参照)。
【0042】
端子装置30B,30Cはそれぞれ端子板45,46を備え、各端子板45,46には、器体に設けた電線挿入孔12を通して器体に導入された電線が接触する主片45a,46aと、それぞれボディ10に設けた保持リブ13に当接する当接片45b,46bと、主片45a,46aと当接片45b,46bとの間を連結する連結片45c,46cと、連結片45c,46cから連続一体に延長され先端部にそれぞれ固定接点41a,41bを設けた接点保持片45d,46dとが設けられる。両端子装置30B,30Cの接点保持片45d,46dの先端部が器体の中央部で互いに対向するように配置され、固定接点41a,41b同士が器体の中央部で互いに対向する。
【0043】
端子装置30B,30Cはボディ10の長手方向における同じ側(図3における左側)に配置されており、各端子板45,46の主片45a,46aと当接片45b,46bとの間にはそれぞれ1個ずつの鎖錠ばね33が収納され、さらに、両端子板45,46の鎖錠ばね33の間に1つの解除釦34が配置される。
【0044】
鎖錠ばね33は、帯状の板ばねの一端部をS字状に曲成して接触片33aを形成し、他端部をJ字状に曲成して鎖錠片33bを形成し、接触片33aと鎖錠片33bとの間を接続片33cにより連続一体に連結した形状に形成される。また、接触片33aおよび鎖錠片33bは接続片33cに対して厚み方向の同じ側に突出する。鎖錠ばね33を端子板32,45,46の主片32a,45a,46aと当接片32b,45b,46bとの間に装着するに際しては、接続片33cを当接片32b,45b,46bに当接させる形で接触片33aおよび鎖錠片33bを主片32a,45a,46aに対向させる。ここに、接触片33aおよび鎖錠片33bの先端部は、先端側ほど接続片33cから離れる向きに傾斜し、且つ互いに略平行になるように延長されている。また、接触片33aおよび鎖錠片33bの先端部は、先端側ほど連結片32c,45c,46cとの距離を小さくするように配置される。
【0045】
上述した電線挿入孔12は、端子板32,45,46の主片32a,45a,46aと接触片33aおよび鎖錠片33bとの間に対応する部位に形成され、電線挿入孔12を通してスイッチ本体1の器体内に電線を挿入すると、電線の先端部が主片32a,45a,46aと接触片33aおよび鎖錠片33bとの間に挟持され、電線が主片32a,45a,46aに接触して端子装置30A,30B,30Cと電線とが電気的に接続されるとともに、鎖錠片33bの先端縁が電線に食い込むことによって電線が器体から抜けないように機械的に保持される。なお、ボディ10の後壁には解除釦34に対応する部位に操作孔15が貫設されており、上述のようにして端子装置30A,30B,30Cに電線を接続した状態で操作孔15に工具を挿入して解除釦34を押圧すれば、解除釦34に設けた押し片(図示せず)が鎖錠片33bを押圧して電線から離れる向きに撓ませることにより、電線の機械的保持が解除されて電線を器体から引き抜くことが可能になる。
【0046】
接点装置40は、前方に開放されたコ字状に形成されて支点突部32eの先端に後端部が当接するように配置された開閉素子43を備えている。開閉素子43は両脚片先端付近にそれぞれ可動接点42a,42bが外向きに設けられ、支点突部32eの先端付近を支点として回動することで各固定接点41a,41bに各可動接点42a,42bが選択的に接触するようにしてある。つまり、固定接点41aに可動接点42aが接触している間は可動接点42bは固定接点41bから離れ、固定接点41bに可動接点42bが接触している間は可動接点42aは固定接点41aから離れる。開閉素子43の両脚片間にはコイルばねからなる反転ばね44の一端部が挿入され、反転ばね44の他端部が反転ハンドル50の背面側に設けた筒部54の保持孔54aに挿入されることで開閉素子43と反転ハンドル50との間に反転ばね44が圧縮状態で保持される。
【0047】
反転ハンドル50は、全体が矩形箱形の合成樹脂成型品からなり、長手方向に沿った両側面には前端部が先細りとなる形状の支点突起51がそれぞれ側方へ突設されている。一方、カバー20の長手方向の中央部であって幅方向(短手方向)の両側部には開口窓22の周縁から前方に突出する一対の軸受突片23が突設され、両軸受突片23の対向面には反転ハンドル50の支点突起51が挿入される軸受凹所24が形成される。軸受凹所24は少なくとも前端部において支点突起51を揺動可能に枢支する。反転ハンドル50の前面には、後述する位置表示灯71を実装した回路基板70を収納するための収納凹所52が設けられ、さらに反転ハンドル50の長手方向の両端面にはハンドルブロック2を結合するための結合爪53がそれぞれ突設される。
【0048】
なお、カバー20の長手方向に対向する両側面に各一対の取付爪26が突設される。取付爪26はプレート枠101に設けた取付孔102に係合することによってスイッチ本体1をプレート枠101に保持させる機能を有している。但し、カバー20の一方の側面においては、一対の溝20aによって取付爪26が突設された部位を弾性的に撓み可能としており、この部位を撓ませることで取付爪26と取付孔102との係合を解除してスイッチ本体1をプレート枠101から取り外せるようにしてある。
【0049】
反転ハンドル50前面の収納凹所52に収納される回路基板70は、中央に円形の圧入孔70aが貫通した矩形平板状であって、長手方向の両端部に限流用の抵抗素子72がそれぞれ実装され、ネオンランプからなる位置表示灯71が前方から圧入孔70aと対向する形で実装される。回路基板70には導電パターンが印刷されており、導電パターンを介して直列接続された位置表示灯71並びに抵抗素子72が導電性の金属板からなる一対の接触子47により端子装置30B,30Cの端子板45,46間に接続される。接触子47は幅細の帯状に形成され、一端部で回路基板70の導電パターンに半田付けされるとともに回路基板70に設けた固定溝70bに圧入固定されている。収納凹所52底面の中央には前方に向かって筒部54が突出しており、この筒部54を圧入孔70aに圧入することで収納凹所52内に回路基板70が固定されるようにしてある。ここで、筒部54の先端には円筒形の位置表示灯71を支持する支持凹部54bが形成され、支持凹部54aに支持されることで反転ハンドル50に対して位置表示灯71が位置決めされる。また、収納凹所52底面には回路基板70に一端部が固定された接触子47を挿通する挿通孔55が設けられており、この挿通孔55に挿通した接触子47の先端部が端子板45,46の連結片45c,46cに前方から弾接するようになっている(図5(b)参照)。この種の3路スイッチは照明負荷を2箇所から点灯・消灯するような用途に用いられることが多く、各箇所にそれぞれ3路スイッチを配置して照明負荷の点灯・消灯をいずれの箇所においても操作可能とすることができる。したがって、両固定接点41a,41bの間に位置表示灯71と抵抗素子72との直列回路を挿入しておけば、照明負荷の消灯時にのみ位置表示灯71を点灯させることができる。この種の回路の接続関係は周知であるから説明を省略する。
【0050】
ところで、反転ハンドル50の収納凹所52は、合成樹脂成型品からなるランプカバー80によって前方から閉塞される。このランプカバー80は、図6に示すように背面が開放された矩形箱状の主部81と、主部81の両端部より前方へ突出し内部に抵抗素子72が収められる一対の突部82と、角筒状であって主部81の中央部より前方へ突出し内部に位置表示灯71が収められる保護部83と、断面形状が位置表示灯71の管壁に沿った曲面であって保護部83の前端に設けられる遮光体84とを備え、主部81の長手方向両側面より突設された係止爪85を反転ハンドル50の両側面に設けられた係止部56に係止することで反転ハンドル50に固定される(図5(b)参照)。また、両突部82と対向する保護部83の側面には矩形の透光窓86がそれぞれ開口しており、保護部83内に収められた位置表示灯71が発する光が透光窓86を通して外部に照射されるようになっている。尚、透光窓86の前端縁(遮光体84の端縁)からは外向きに突出する庇片87が設けられている。
【0051】
一方、カバー20に設けられた一対の軸受突片23には、ランプカバー80の保護部83の両側面に開口した透光窓86に対向する形で帯板状の一対の遮光部27が架設されている。そして、これら一対の遮光部27の間に保護部83の遮光体84を含む前端部が挿通された状態で反転ハンドル50がカバー20に対して揺動自在に装着される。
【0052】
ハンドルブロック2は、スイッチ本体1の前面よりも大型の矩形に形成された操作ハンドル60と、操作ハンドル60の背面側に結合されるプリズム90とで構成される。操作ハンドル60は、前面が前方に凸となる緩やかな曲面形状に形成された主部61と、主部61の長手方向に沿った両側縁より後方へ垂下された一対の側壁62と、主部61の四隅より後方へ突設された4つの結合脚63とを備える。主部61前面の長手方向に沿った両端部中央には、操作ハンドル60の操作位置を表す円筒形の突起61aが突設されている。
【0053】
プリズム90は透明合成樹脂の成型品であって、操作ハンドル60の長手方向に対向する両側面を塞ぐように配置されて位置表示灯71の光を表示面を通して外部へ出射する2つの表示部91と、一端側で表示部91と連結され他端側に位置表示灯71の光を入射する入射面92aを有した2つの集光部92と、2つの集光部92の入射面92a同士を連結する弧状の連結部93と、反転ハンドル50に設けた結合爪53に係合する係合爪94aが先端に設けられて各集光部92より後方へ突設される合計6つの係合突片94と、表示部91の内側面における長手方向両端部に設けられ操作ハンドル60の結合脚63の先端に突設された爪63aが係止する係止片95とを備える。そして、集光部92並びに連結部93を前方から覆うように2つの表示部91の間に操作ハンドル60が配置され、操作ハンドル60の4つの結合脚63の先端に突設された爪63aが各表示部91の両端の係止片95に係止することで操作ハンドル60の背面側にプリズム90が結合されてハンドルブロック2が構成される。
【0054】
上述のように構成されるハンドルブロック2は、プリズム90の2つの集光部92よりそれぞれ後方へ突設された各3つの係合突片94の何れか1つの先端に設けられた係合爪94aを反転ハンドル50の結合爪53に係合することで反転ハンドル50の前面側に結合される。つまり、プレート枠101には3組の取付孔102が設けられており、最大で3個のスイッチ本体1を短幅方向に並べて取り付けることができるから(図2参照)、中央の取付孔102に取り付けられるスイッチ本体1に対しては中央の係合突片94の係合爪94aを用い、両端の取付孔102に取り付けられるスイッチ本体1に対しては何れか一方の端の係合突片94の係合爪94aを用いることでスイッチ本体1の短幅方向でハンドルブロック2の取付位置をずらすようにしている(図1参照)。このような構成とすれば、プレート枠101に対するスイッチ本体1の取付位置に応じて3種類のハンドルブロック2を用意する必要がなく、スイッチ本体1の取付位置にかかわらず共通のハンドルブロック2を用いることができて施工性が向上するという利点がある。ここで、プレート枠101の両端に位置するスイッチ本体1に取り付けられたハンドルブロック2においては、一端側の係合爪94a(係合突片94)のみが反転ハンドル50との結合に使用され、他端側の係合爪94a(係合突片94)がプレート枠101の取付窓103の外へはみ出すことになるから、はみ出した係合爪94a(係合突片94)を逃がすための逃がし手段をプレート枠101に設ける必要がある。そのために本実施形態では、挟み金具を取り付けるためにプレート枠101に設けられた一対の孔106を逃がし手段に兼用し、プレート枠101の取付窓103からはみ出した係合爪94a(係合突片94)をそれぞれ孔106に挿入して逃がすことができ、しかも、逃がし手段を別途設ける場合に比較してプレート枠101の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0055】
而して、上述のように構成される本実施形態の動作を簡単に説明すれば、図3のように操作ハンドル60(ハンドルブロック2)の右端部が左端部よりも後方(図の下方)に位置するときには可動接点42bが固定接点41bに接触し、この状態では反転ばね44は中間部が両端部に対して左側に屈曲した状態になり、反転ばね44によって可動接点42bが固定接点41bに押圧されて接点圧が付与される。一方、この状態から操作ハンドル60の左端部を後方に押すと反転ハンドル50が図中反時計回りに揺動するから、反転ばね44は中間部が両端部に対して右側に屈曲した状態へ移行し、このとき開閉素子43を図中時計回りに回動して可動接点42bを固定接点41bから引き離すとともに可動接点42aを固定接点41aに接触させる。そして、可動接点42aが固定接点41aに接触した状態では操作ハンドル60の左端部が右端部よりも後方に位置することになる。すなわち、操作ハンドル60の両端部のうちで前方に位置する端部が後方へ押操作される毎に接点装置40では固定接点41aと可動接点42a並びに固定接点41bと可動接点42bの接触・開離が択一的に切り換えられることになる。
【0056】
ところで、スイッチ本体1とハンドルブロック2とが結合された状態では、位置表示灯71とプリズム90の集光部92との間の光路上において、カバー20の軸受突片23間に架設されている一対の遮光部27が操作ハンドル60(ハンドルブロック2)の揺動支点を挟んで対向する位置にそれぞれ配置されるとともに、ランプカバー80に設けられた遮光体84が、これら一対の遮光部27とスイッチ本体1の前後方向(図3における上下方向)において対向する位置に配置されることになる。したがって、操作ハンドル60の両端部が押操作に伴って前方から後方又は後方から前方へそれぞれ移動し、後方へ移動した端部においては、操作ハンドル60の揺動支点(反転ハンドル50の支点突起51)に対して当該端部側に設けられている一方の遮光部27に遮光体84の端部(庇片87)がオーバラップ(あるいは当接、以下同じ)して位置表示灯71とプリズム90の集光部92との間の光路を遮光し、前方へ移動した端部においては、操作ハンドル60の揺動支点に対して当該端部側に設けられている他方の遮光部27に遮光体84の端部がオーバラップせず、位置表示灯71とプリズム90の集光部92との間の光路を遮光しない。例えば、図3のように操作ハンドル60の左側の端部が前方にあり且つ右側の端部が後方にある状態では、右側の遮光部27に遮光体84の右側の端部(庇片87)がオーバラップして透光窓86がほぼ塞がれるため、右側の集光部92と位置表示灯71との間の光路が遮光部27と遮光体84で遮光されて右側の表示部91の表示面から位置表示灯71の光が外部へ出射されることはないが、左側の遮光部27には遮光体84の左側の端部がオーバラップせずに透光窓86が塞がれることがないため、左側の集光部92と位置表示灯71との間の光路は遮光部27および遮光体84で遮光されず、左側の表示部91の表示面から位置表示灯71の光が外部へ出射される。尚、詳しい説明は省略するが、図3とは逆に操作ハンドル60の右側の端部が前方にあり且つ左側の端部が後方にある状態でも前方にある右側の表示部91のみから位置表示灯71の光が出射され、後方にある左側の表示部91からは位置表示灯71の光が出射されないことは自明である。
【0057】
上述のように本実施形態においては、次に操作される側の操作ハンドル60の端部に設けられている表示部91の表示面のみから位置表示灯71の光が出射されるため、操作ハンドル60の表示位置と操作方向とを完全に一致させることができ、従来例に比較して操作性の向上が図れるものである。尚、図9に示すようにカバー20の軸受突片23間に遮光部27を架設しない構成とした場合でも、位置表示灯71の光が2つの表示部91の表示面から外部へ出射され、操作ハンドル60の両端部に設けられた2つの表示部91で同時に表示が行われることとなり、従来例に比較して操作ハンドル60の表示位置と操作方向とを一致させて操作性の向上が図れる。
【0058】
また本実施形態では、前面側に操作ハンドル60を取り付ける取付部(係止片95)が設けられるとともに背面側に反転ハンドル50と結合する結合部(係合爪94a)が設けられており、プリズム90に操作ハンドル60を取り付けた後にプリズム90を反転ハンドル50に結合することが可能であるから組立作業が容易になるという利点がある。さらに、反転ハンドル50の前面側に位置表示灯71が露設され、ランプカバー80の遮光体84が位置表示灯71を前方から覆う傘状に形成されているため、位置表示灯71をプリズム90の近傍に配置することによって位置表示灯71の光を効率よく集光部92に集めることができて表示部91の明るさが向上するという利点もある。ここで、本実施形態では2つの表示部91が操作ハンドル60の端部と略同一寸法に形成されているので表示部91が視認しやすくなっている。なお、透明合成樹脂材料に拡散材を混入して表示部91若しくは表示部91を含むプリズム90全体に拡散性を持たせれば、光の出射範囲が拡がって表示部91が視認しやすくなる。
【0059】
尚、本実施形態ではランプカバー80を合成樹脂成型品としているが、ランプカバー80全体若しくは保護部83や遮光体84を光沢を持った金属材料で形成すれば、位置表示灯71の光を遮光体84や保護部83の内面で反射して効率よく集光部92に集めることができ、表示部91の明るさを向上することができる。但し、ランプカバー80全体若しくは一部を金属製としたときには位置表示灯71や抵抗素子72等との絶縁を行う必要が生じてしまうので、絶縁性を有した合成樹脂成型品からなるランプカバー80の遮光体84や保護部83の内面に、位置表示灯71の光を反射するシート材を貼着してなる反射シートを設けるか、あるいは反射率の高いコーティング材料(淡色系のつや有り染料や金属系の材料)をコーティングしてなる反射層を設ければ、位置表示灯71等との絶縁を行うことなく表示部91の明るさを向上することができる。
【0060】
また本実施形態では、プレート枠101に3個のスイッチ本体1を取り付ける場合について例示したが、図10に示すようにプレート枠101の両端に2個のスイッチ本体1を取り付ける場合や、図11に示すようにプレート枠101の中央に1個のスイッチ本体1を取り付ける場合においては、スイッチ本体1の短幅方向に沿った幅寸法をそれぞれ1.5倍および3倍に拡大した操作ハンドル60並びにプリズム90からなるハンドルブロック2と組み合わせればよい。
【0061】
(実施形態2)
図12に示すように、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であり、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。なお、形状が多少異なっていても機能が共通であれば同一の符号を付している。
【0062】
実施形態1ではランプカバー80と遮光体84が一体に形成されていたが、本実施形態ではランプカバー80と遮光体84とが別体に形成され、遮光体84がカバー20の揺動方向に沿って回動自在に設けられている。
【0063】
ランプカバー80は、図13に示すように背面が開放された矩形箱状であって筒部54を挿通する挿通孔81aが中央に開口した主部81と、主部81の両端部より前方へ突出し内部に抵抗素子72が収められる一対の突部82とを備え、筒部54を主部81の挿通孔81aに挿通した状態で主部81の長手方向両側面より突設された係止爪85を反転ハンドル50の両側面に設けられた係止部56に係止することで反転ハンドル50に固定される(図12参照)。
【0064】
遮光体84は、図14及び図15に示すように断面形状が位置表示灯71の管壁に沿った曲面となる半円筒形の遮光部84aと、遮光部84aの軸方向両端部より軸方向に沿って外側へ突出する三角形状の支持部84bとが合成樹脂成型品として一体に形成されている。遮光部84aの軸方向に沿った両端縁には矩形の凹部84cと凹部84cの周囲から外向きに突出する庇片84dとがそれぞれ設けられている。また支持部84bには、遮光部84aの軸方向に中心軸が一致した円筒形であって軸方向に沿って一部が開口した軸受孔84eと、平面視矩形であって前後方向(図14における上下方向)に貫通した連結孔84fとがそれぞれ設けられている。
【0065】
一方、図16に示すようにカバー20の一対の軸受突片23には、互いの対向面における軸受凹所24よりも先端側の部位に円筒形の軸突起23aがそれぞれ突設されている。従って、軸受突片23の2つの軸突起23aをそれぞれ軸受孔84eに嵌めることにより、遮光体84が軸突起23aを支点としてカバー20に対して反転ハンドル50の揺動方向と同じ方向に回動自在となる。また反転ハンドル50は、図17に示すように一対の支点突起51近傍の前端縁より前方(図17における上方)へ突出する固定リブ57がそれぞれ突設されている。すなわち、遮光体84の支持部84bに設けられた連結孔84fに固定リブ57の先端部を挿通することで遮光体84が反転ハンドル50と連結されるのである。
【0066】
而して、上述のように構成される本実施形態の動作を簡単に説明する。例えば、図12のように操作ハンドル60の左側の端部が前方(図12における上方)にあり且つ右側の端部が後方(図12における下方)にある状態では、右側の遮光部27に遮光体84の右側の端部(庇片87)がオーバラップするため、右側の集光部92と位置表示灯71との間の光路が遮光部27と遮光体84で遮光されて右側の表示部91の表示面から位置表示灯71の光が外部へ出射されることはないが、左側の遮光部27には遮光体84の左側の端部がオーバラップしないため、左側の集光部92と位置表示灯71との間の光路は遮光部27および遮光体84で遮光されず、左側の表示部91の表示面から位置表示灯71の光が外部へ出射される。同様に、図12とは逆に操作ハンドル60の右側の端部が前方にあり且つ左側の端部が後方にある状態でも前方にある右側の表示部91のみから位置表示灯71の光が出射され、後方にある左側の表示部91からは位置表示灯71の光が出射されない。
【0067】
ここで、実施形態1では遮光体84がランプカバー80と一体に形成されているから、遮光体84の回動支点は操作ハンドル60の揺動支点(反転ハンドル50の支点突起51)と一致しているが、本実施形態では遮光体84の回動支点がカバー20の軸受突片23に設けられた軸突起23aとなり、しかも、反転ハンドル50の固定リブ57が連結孔84fの内径よりも若干細く形成されているため、遮光体84の回動角度が反転ハンドル50の揺動角度よりも大きくなる。その結果、実施形態1のように遮光体84が反転ハンドル50に対して回動しない場合に比較して遮光体84と遮光部27とがオーバラップしない状態における両者間の隙間(光路)が大きくなるために表示部91の明るさが増大でき、また、遮光体84と遮光部27とのオーバラップ量が大きくなるために表示部91への光の漏れを抑えることができる。
【0068】
(実施形態3)
本実施形態はハンドルブロック2に特徴があり、図18及び図19に示すようにその他の構成は実施形態2と共通である。よって、実施形態2と共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。なお、形状が多少異なっていても機能が共通であれば同一の符号を付している。
【0069】
本実施形態におけるハンドルブロック2は、平面視矩形であって後方(図18における下方)に開口した扁平な箱状に形成された操作ハンドル60と、表示部91並びに集光部92を有する2つのプリズム90,90とで構成される。2つのプリズム90は同一のものであって、図20に示すように透明合成樹脂材料によって表示部91と集光部92が一体に形成されている。集光部92は扁平な矩形状であって、一方の端部から突出する固定片92aによって操作ハンドル60の内底面に固定される。すなわち、固定片92aには一対の孔が厚み方向に貫設されており、操作ハンドル60の内底面に突設された突起64をそれぞれ孔に挿通して先端部をかしめることで固定片92aが操作ハンドル60に固定される(図21参照)。このとき、集光部92の内側の端面(入射面)が遮光体84と遮光部27の間の隙間(光路)に対向する(図19参照)。また集光部92の固定片92aが突出する側の端部においては、背面側に傾斜面92bが形成され、この傾斜面92bと対向する前面側に表示部91が設けられている。表示部91は平面視長円形の突条からなり、その先端部の断面形状が円弧状に形成されている。操作ハンドル60の両端部には長円形の長孔67が前後方向に貫設されており、固定片92aを操作ハンドル60に固定する際に表示部91が長孔67に挿通され、表示部91の先端部分が操作ハンドル60の前面よりわずかに突出することになる(図19参照)。
【0070】
図21に示すように操作ハンドル60の内底面には、反転ハンドル50の結合爪53に係合する係合爪68aが先端に設けられた4つの係合突片68が後方へ突設されており、短幅方向で隣り合う2つの係合突片68の間にそれぞれプリズム90が配置されている。
【0071】
而して、実施形態2と同様に遮光体84と遮光部27との間の隙間から出た位置表示灯71の光がプリズム90の集光部92に入射面から入射し、傾斜面92bで屈折した光が表示部91を通して操作ハンドル60の前方へのみ出射されることになるから、前方だけでなく側方へも出射される実施形態1,2に比較して前方から見た表示部91の明るさが向上するという利点がある。なお、本実施形態ではハンドルブロック2を反転ハンドル50に結合するための係合突片68を操作ハンドル60に設けているが、実施形態1や2と同様にプリズム90,90に係合突片を設ければ、操作ハンドル60に設けられた係合突片68を避けるためのスペースが不要になるため、プリズム90の形状の自由度が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態1の分解斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は下面図である。
【図3】同上の断面図である。
【図4】同上におけるスイッチ本体を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は断面図である。
【図5】(a)(b)は同上におけるスイッチ本体の断面図である。
【図6】同上におけるランプカバーを示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は背面図、(d)は右断面図、(e)は下断面図である。
【図7】同上における操作ハンドルを示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は左側面図、(d)は下断面図、(e)は右側面図、(f)は背面図である。
【図8】同上におけるプリズムを示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるX−X線断面矢視図、(c)は(a)におけるY−Y線断面矢視図、(d)は背面図、(e)は下面図、(f)は(a)におけるZ−Z線断面矢視図である。
【図9】同上における表示付きスイッチの他の構成を示す断面図である。
【図10】同上における表示付きスイッチをプレートに2個取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図11】同上における表示付きスイッチをプレートに1個取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図12】実施形態2の断面図である。
【図13】同上におけるランプカバーを示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は右側面図、(d)は背面図である。
【図14】同上における遮光体の斜視図である。
【図15】同上における遮光体を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図16】同上におけるカバーの斜視図である。
【図17】同上における反転ハンドルの斜視図である。
【図18】実施形態3の分解斜視図である。
【図19】同上の断面図である。
【図20】同上におけるハンドルブロックの分解斜視図である。
【図21】同上におけるハンドルブロックの後方からみた斜視図である。
【図22】従来例の正面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチ本体
2 ハンドルブロック
27 遮光部
30A,30B,30C 端子装置
40 接点装置
41a,41b 固定接点
42a,42b 可動接点
43 開閉素子
50 反転ハンドル
60 操作ハンドル
70 回路基板
71 位置表示灯
80 ランプカバー
84 遮光体
90 プリズム
91 表示部
92 集光部
93 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切換型の接点装置が器体に収納されたスイッチ本体と、スイッチ本体に設けられ接点装置の切換接点間に生じる電圧で発光する発光源と、少なくとも短幅方向の寸法がスイッチ本体の前面と略同一若しくは大型であって略中央を支点としてスイッチ本体の前面側に揺動自在に配設された操作ハンドルと、操作ハンドルの揺動する両端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する2つの表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を2つの表示部の表示面へそれぞれ導光する集光部を有するプリズムとを備えたことを特徴とする表示付きスイッチ。
【請求項2】
切換型の接点装置が器体に収納されたスイッチ本体と、スイッチ本体に設けられ接点装置の切換接点間に生じる電圧で発光する発光源と、少なくとも短幅方向の寸法がスイッチ本体の前面と略同一若しくは大型であって略中央を支点としてスイッチ本体の前面側に揺動自在に配設された操作ハンドルと、操作ハンドルの揺動する一方の端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する第1の表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を第1の表示部の表示面へ導光する第1の集光部を有する第1のプリズムと、操作ハンドルの揺動する他方の端部に設けられて発光源の光を表示面を通して外部へ出射する第2の表示部およびスイッチ本体と操作ハンドルとの間で発光源の光を第2の表示部の表示面へ導光する第2の集光部を有する第2のプリズムとを備えたことを特徴とする表示付きスイッチ。
【請求項3】
器体に揺動自在に枢支されるとともに操作ハンドルの操作に連動して接点装置を切り換える反転ハンドルと、発光源とプリズムの集光部若しくは第1のプリズムの第1の集光部及び第2のプリズムの第2の集光部との間の光路上において操作ハンドルの揺動支点を挟んで対向する位置にそれぞれ設けられた2つの遮光部と、反転ハンドルと一体に揺動し2つの遮光部に対してスイッチ本体の前後方向に対向配置されるとともに操作ハンドルの操作位置に応じて何れか一方の遮光部と択一的に当接又はオーバラップして発光源とプリズムの集光部若しくは第1のプリズムの第1の集光部及び第2のプリズムの第2の集光部との間の光路を遮光する遮光体とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の表示付きスイッチ。
【請求項4】
プリズム若しくは第1及び第2のプリズムは、前面側に操作ハンドルを取り付ける取付部が設けられるとともに背面側に反転ハンドルと結合する結合部が設けられることを特徴とする請求項3記載の表示付きスイッチ。
【請求項5】
反転ハンドルの前面側に発光源が露設され、遮光体は、発光源を前方から覆う傘状に形成されることを特徴とする請求項3記載の表示付きスイッチ。
【請求項6】
遮光体は、反転ハンドルの揺動方向に沿って回動自在に設けられることを特徴とする請求項5記載の表示付きスイッチ。
【請求項7】
スイッチ本体は、造営面の表面側に固定されるプレート枠に着脱自在に取り付けるための取付手段を有しプレート枠に取り付けられた状態で造営面に設けられた埋込孔に後端部を埋め込む形で埋込配設され、且つプレート枠に対して短幅方向に最大3個並べて取り付けられる寸法に形成されており、操作ハンドルは、プレート枠に対するスイッチ本体の並び方向においてスイッチ本体の短幅方向の幅寸法よりも大きい寸法に形成されたことを特徴とする請求項3又は4記載の表示付きスイッチ。
【請求項8】
表示部若しくは第1及び第2の表示部は、操作ハンドルの端部と略同一寸法に形成されたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の表示付きスイッチ。
【請求項9】
表示部若しくは第1及び第2の表示部が光を拡散させることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の表示付きスイッチ。
【請求項10】
光沢を持った金属製であって遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の表示付きスイッチ。
【請求項11】
絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーと、発光源と対向する遮光体並びに保護部の内面に貼着されて発光源の光を反射する反射シートとを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の表示付きスイッチ。
【請求項12】
絶縁性を有する合成樹脂成型品からなり遮光体および発光源の周囲を囲んで発光源を保護する保護部を有するランプカバーと、発光源と対向する遮光体並びに保護部の内面に反射率が高いコーティング材料をコーティングして形成される反射層とを備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の表示付きスイッチ。
【請求項13】
請求項3又は4の表示付きスイッチと、スイッチ本体を着脱自在に取り付ける取付手段を有し造営面に設けられた埋込孔にスイッチ本体の後端部を埋め込む形で造営面の表面側に固定されるプレート枠と、操作ハンドルを露出させた状態でプレート枠の前面を覆う化粧プレートとからなるスイッチ装置において、スイッチ本体は、プレート枠に対して短幅方向に最大3個並べて取り付けられる寸法に形成され、操作ハンドルは、プレート枠に対するスイッチ本体の並び方向においてスイッチ本体の短幅方向の幅寸法よりも大きい寸法に形成され、操作ハンドル又はプリズム若しくは第1及び第2のプリズムは、反転ハンドルと択一的に結合する3つの結合部がスイッチ本体の短幅方向に沿って列設され、3つの結合部のうちで反転ハンドルに結合していない結合部と対向するプレート枠表面の部位に当該結合部を逃がす逃がし手段が設けられたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項14】
プレート枠との間で造営材を狭持する挟み金具を備え、挟み金具を取り付けるためにプレート枠に設けられた孔を前記逃がし手段としたことを特徴とする請求項13記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−202716(P2006−202716A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117411(P2005−117411)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】