説明

表示画像の計算方法

【課題】
走行支援システム、特に、間隔検出システム又は駐車支援機構に対して見易い表示画像(55)を提供することである。
【解決手段】
本発明による方法では、相異なる検出線(1,2,3,4,5)上の間隔検出値(8,15,23,24,25)にもとづきベジェ曲線を決定し、ベジェ曲線のモデル構成及びパラメータ設定の際に、その時々の状況を考慮して、制御点と曲線境界点の選定に関する様々な変化形態を提供している。滑らかな表示曲線を実現するために、所定の条件下に有る物体位置(15,23)を考慮に入れないことも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車技術分野、より正確には、最新の車両において、運転者が益々複雑化する交通・走行状況をより一層良好に把握することを支援する走行支援システム分野に関する。
【0002】
そのような走行支援システムとしては、例えば、速度・間隔警報・制御システム、制動・安定性支援機構、車線逸脱監視システム、間隔警報システム及び駐車支援機構が知られている。
【0003】
このような多くのシステムでは、センサーによって得られた周囲環境データを見易い形で運転者に表示しなければならないことが共通している。
【0004】
そのために、特に、間隔警報システム及び駐車支援機構の分野では、間隔を測定するための超音波変換器又はライダー/レーザー機器を備えたセンサーシステムが知られており、それを用いて、様々な方向における車両自身と障害物又はその他の道路占有物体との間隔を検出することが可能である。
【0005】
本発明は、特に、そのようなシステムのために使用される表示画像を快適な見易い形で生成することに関する。
【背景技術】
【0006】
特許文献1には、エコー伝搬時間を測定、評価する、レーダー、ライダー又は音波を用いた間隔測定方法が記載されている。エコー伝搬時間をより正確に検出するために、反射された信号と送出した信号とを比較している。
【0007】
特許文献2には、測定品質を改善するために、様々な手法で動作することが可能な複数の間隔センサーを備えた車両用間隔測定装置が記載されている。
【0008】
本発明との関連において、従来技術では、例えば、表示器に、上方からの車両を模式的に表示したり、車両の周囲に車両を中心とした半径方向に障害物との間隔を表示することが可能な様々な検出範囲バーを配置することが知られている。
【特許文献1】ドイツ特許公開第102005033403号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第19963755号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記の表示器を更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1にもとづく方法によって解決される。
【0011】
この場合、場合によっては存在する物体を相応に表示する滑らかな見易い線を生成するために、周知の手法によりベジェ曲線を使用する。基本的には、制御点を用いて、並びに所定のパラメータの適用により均整がとれた、要求に適う曲線の推移を提供するような、それ以外の曲線形式を使用することもできる。数値数学のグラフを作成する場合、従来から特殊なベジェ曲線が知られている。それらは、滑らかな曲線を描くために、所謂ベルンシュタイン多項式を用いており、僅かなパラメータによって定めることが可能であり、操作し易い。
【0012】
存在する制御点の数に応じて、様々な次数のベジェ曲線が有る。この場合、曲線の点の数、本発明の場合には、物体位置の数は、得られた曲線が通過する点、並びにそれらが終端する曲線境界点によって与えられる。
【0013】
この場合、各物体位置には、ベジェ曲線の二つの物体制御点が割り当てられており、それらの位置は、基本的に、様々な形で選定することが可能であり、それによって、曲線の形状は、与えられた曲線の点を維持したまま変化することとなる。
【0014】
本発明の技術思想は、車両上に分散した複数の間隔センサーに対して、それぞれ曲線の具体的な点を定める個々の間隔検出値が存在するとの前提条件にもとづくものである。本発明にもとづき物体制御点と曲線境界点を配置すると、検出された障害物と境界がそれぞれ見易く現実的に表示されることが分かっている。
【0015】
この場合、本発明による方法は、間隔検出用に使用することが可能なセンサーの形式及び数に依存しない。
【0016】
基本的に、超音波変換器を使用することは可能であるが、レーダー及びライダーシステムを用いることも可能であり、例えば、クロスエコーを評価する場合又はそれと同等の場合、センサーは、必ずしも本発明による検出線に個々に割り当てる必要はない。
【0017】
検出線によって与えられる所定の方向において、車両から見た物体との間隔を検出するか、或いは計算することが可能であることだけが重要である。
【0018】
これらの変量は、本発明による方法を実施する場合に与えられる、仮想的な固定されたセンサー位置から見た物体位置又は間隔検出値であると看做される。
【0019】
そのために、表示画像を計算するための装置は、間隔検出値を保存するための第一の記憶機器と、場合によっては、個々の検出線に対して、車両からの間隔が所定の限界値を下回った場合に与えられる壁面パラメータを保存するための第二の記憶機器とを備えている。
【0020】
第二の記憶機器には、当該のベジェ曲線を計算する際に限界点としての役割を果たすセンサー限界点が保存されている。更に、検出線のグループに関する個々のベジェ曲線を計算するためのベジェ曲線計算モジュールが配備されている。
【0021】
典型的には、表示画像では、先ずはそれぞれが車両の前後左右に対応して、凡そ内側と外側の検出限界線によって画定された円環領域の一部を構成し、全体として円環領域を構成するセンサーの検出範囲と共に、上方から見た車両が模式的に図示される。これらの検出限界線の内側と外側に有る障害物は、当該の変換器では検出されず、表示システムには図示されない。
【0022】
本発明による方法によって生成されるベジェ曲線は、前記の円環領域内に出現した対象物又は障害物を表す。
【0023】
本発明によって、センサー又は検出線の数のために生じる、場合によっては起こり得る段差又は不正確さが出来る限り目立たない状態に保持されて、障害物の輪郭が出来る限り滑らかで現実的に表示される。
【0024】
そのために、本発明の有利な実施形態は、隣接する検出線に対応する少なくとも三つの物体位置が、所定の最大限の偏差を考慮すると直線上に載っている場合、検出線毎に壁面パラメータ(ウォールフラグ)を割り当てることと、隣接する検出線毎に壁面パラメータが割り当てられているか否かを調べることと、割り当てられている場合には、当該の検出線に対応する二つの物体位置を直線によって互いに接続するか、或いはそれらの物体位置に対応する制御点を各検出線上に直に位置付けることとを規定している。
【0025】
前述した措置は、ウォールフラグが設定されている場合、即ち、三つの隣接する検出線上で物体位置が検出されて、それらがほぼ直線上に有る場合には、出来る限り真っ直ぐに通る線を生成すべきであるとの技術思想にもとづいている。そのような物体は、最良の場合、二つの物体位置の間毎、或いは全ての物体位置の間を直線で接続することによって表示されるか、或いは前記の領域内の物体制御点が各検出線上に直に又はその直ぐ近くに、特に、物体位置上に位置するベジェ曲線の変化形態によって表示される。ベジェ曲線の残りの部分は、通常の制御にもとづき補完される。そうすることによって、例えば、壁に近付ける運転又はガレージに入れる運転の場合に、直線的な壁の現実的な表示画像が生成される。
【0026】
更に、有利には、それに加えて、側方外側の検出線に壁面パラメータが設定されている場合には、表示画像を現実的に表示するために、側方外側の検出線の側方外側に、仮想的な物体位置及び壁面パラメータを割り当てた仮想的な側方検出線を追加して生成するものと規定する。
【0027】
側方外側の検出線とは、車両の周囲において、それぞれ前の側方領域の方向を向いた検出線であると解釈し、その領域には、車両が側を通過して行く物体も表示される。
【0028】
ここで、壁面の近くを通って運転する場合、側方外側の検出線に壁面パラメータを設定するだけでは、未だ滑らかな輪郭は描かれない。しかし、それは、当該の仮想的な物体位置と壁面パラメータを用いて、仮想的な側方検出線を追加して生成することによって実現することが可能であり、物体地点に対して当該のベジェ曲線を作り出すとともに、仮想的な側方検出線に応じて曲線境界点をも生成するものである。そのようにして、仮想的な物体位置の物体制御点を、その仮想的な物体位置に対応させることができる。
【0029】
このようにして、車両の側方近傍に延びる真っ直ぐな壁面の現実的な画像を実現することができる。
【0030】
それは、側方外側の検出線の内側に隣接する検出線に対しても、壁面パラメータを設定することによって、より一層改善することができる。
【0031】
本発明の別の有利な実施形態は、直ぐ近くに隣接する三つ以上の検出線に対して、それぞれ壁面パラメータが設定されている場合、壁面パラメータが設定された外側の二つの物体位置を表示画像の計算の際に考慮するとともに、これらの外側の二つの物体位置の間に有る、それ以外の物体位置の中の少なくとも一つを考慮しないものと規定する。
【0032】
車両の近傍に有る大きく張り出した障害物に対して、ベジェ曲線の少なくとも一部領域を直線で表示すると、全体像が改善されることが分かっている。そうすることによって、所与の状況において、全ての曲線点を用いてベジェ曲線を計算することによって得られる輪郭よりも滑らかな輪郭を実現することが可能である。
【0033】
しかし、この制御の適用は、側方外側の検出線を除く検出線に限定される。
【0034】
更に、検出線の間隔検出値がそれに隣接する検出線の間隔検出値よりも小さく、かつその差が所与の閾値を上回る場合に、その隣接する検出線の間隔検出値を除外して、当該のセンサー限界点を変更しないことによって、表示画像を改善することができる。
【0035】
物体位置が、車両の非常に近い所に有り、それと大きな間隔を開けた物体位置が、その次の検出線の直ぐ近くに有る場合、大きな段差の有る不規則な輪郭が描画され、それは、車両からの大きい間隔に対応する検出された物体位置を削除することによって防止することができる。しかし、その場合、曲線境界点は、物体位置を削除した検出線のセンサー限界点として保持されたままである。
【0036】
この制御も、有利には、外側の検出線を除く検出線にのみ限定される。
【0037】
有利には、得られた間隔検出値に応じて、検出線のセンサー検出角を決定することもできる。
【0038】
この場合、センサー検出角は、個々に決定することができるが、全ての検出線に対して共通に決定することもできる。
【0039】
センサー検出角は、得られた間隔検出値の差の絶対値、特に、隣接する二つの間隔検出値の差の絶対値に応じて選定することができる。その場合、得られた間隔検出値の差、例えば、平均した、或いは最小限の差が小さくなる程小さくなるように、センサー検出角を個々に又は纏めて選定するのが有利である。これは、基本的に、当該の数の検出線の一部グループに対しても適用することができる。
【0040】
特に、間隔検出値の差が大きい場合、前記の通りセンサー検出角を決定することによって、曲線境界点の間隔が大きくなることによって、ベジェ曲線がより平坦となり、その結果滑らかな輪郭が得られる。
【0041】
センサー検出角と間隔検出領域の外側の、即ち、自動車から最も遠く離れた検出限界線との交点によって、各センサー限界点が決定され、検出線グループの最も外側の各センサー限界点がベジェ曲線の曲線境界点を構成する限りにおいて、センサー検出角は、得られるベジェ曲線に影響を与える。
【0042】
本発明の別の有利な実施形態では、間隔検出値が得られた各検出線に対して、検出線とそれと各物体制御点の方向に隣接する検出線の間隔検出値に応じて、検出線の個々の物体制御点の間隔を決定するものと規定することもできる。
【0043】
この技術思想によって、それぞれ一つの検出線に対応する二つの物体制御点を検出線から相異なる間隔に位置付けることが可能となり、それらの間隔は、それぞれ各物体制御点に隣接する二つの検出線の間隔検出値の差の大きさに依存する。
【0044】
隣接する検出線の間隔検出値が大きく異なる場合、二つの検出線の間に有る当該の物体制御点とそれに対応する検出線との間隔は非常に大きくなる。間隔検出値の小さい差が得られた場合にのみ、当該の物体制御点は、それに対応する検出線の比較的近くに位置付けられる。
【0045】
この場合、物体制御点とそれに対応する各検出線との間隔は、全ての間隔に共通の比例係数により前記の間隔検出値の差と比例させることができ、その結果全ての検出線に対する物体制御点の計算が全体として簡単となる。
【0046】
この場合、物体制御点と各検出線との間隔を決定する際に、最小間隔と最大間隔によって制限するものと規定することができる。
【0047】
更に、有利には、物体制御点の位置は、それに対応する検出線に沿った高さに関して、それぞれ得られた物体位置と同じであると規定することができる。
【0048】
そうすることによって、物体制御点を特に簡単に計算して、特に滑らかなベジェ曲線が得られる。
【0049】
しかし、検出線のグループに対して、物体制御点の位置を、それに対応する検出線に沿った高さに関して、各間隔検出値の高さを出発点として互いに近付けるものと規定することもできる。
【0050】
そのことは、各物体位置が得られた隣接する検出線に対して、物体制御点が、その各検出線に沿った高さに関して、物体位置の高さには無く、各検出線に沿った相異なる検出線の物体制御点の高さが互いに少なくとも部分的に一致するような形でずれていることを意味する。この場合、当該の検出線が、検出線に沿った物体制御点の位置を比肩することが可能な程互いに鋭角に延びていることを前提とする。
【0051】
それぞれ物体位置を示す三つ以上の検出線のグループにおいて、各検出線に沿った物体制御点の高さを共通の平均値と一致させることができる。
【0052】
本発明は、物体の検出値が時間的に変化することに関して、表示画像を繰り返し計算することと、得られた表示画像とその次の計算で得られた表示画像の間で間隔検出値が変化している場合、得られた表示画像のデータとの差の一部だけを計算の際に考慮することとによって、有利に構成することができる。
【0053】
この場合、一方では車両の動きによって、他方では物体が車両に近付くことによって、状況が速く変化する可能性が有る。その理由から、表示画像を新たに繰り返し計算して、時間的な系列を周期的ではあるが、生じた変化に依存させることもできる。
【0054】
しかし、測定精度に関して、誤った測定と所謂虚像の物体(個々の測定が乱されたことによる障害物の幻影)の発生をも防止することができるように、測定値/間隔検出値の変化に対して、新しく計算される表示画像を、変化した測定値に対応する表示画像よりも小さく変化させるものとする。これは、例えば、所謂減衰率によって実現することができ、それによって、新しい表示画像が、最新の測定値ではなく、既に前に得られている測定値と新しい測定値の間の中間値にもとづくものとなる。更に続く新しい計算によって、新たに計算される画像が準拠する値を実際の測定値に段階的に近付けて行く。このようにして、実際の表示画像が準拠するデータが、実際の測定データに漸近的に近付いて行く。この方法によって、測定値の個々の異常値を排除することができる。
【0055】
この方法は、具体的には、前の表示画像が準拠するデータと実際の測定値との間の差をそれぞれ演算して、この差を1よりも小さい減衰率と乗算し、得られた補正値をそれまで使用していた測定データに加算することによって構成することができる。
【0056】
この措置を多段階にして適用することによって、実際に得られた測定データが漸近的に考慮されることとなる。
【0057】
本発明は、ここに記載した方法以外にも、表示画像を計算するための装置、並びに間隔検出値を検出するとともに、場合によっては、壁面パラメータを設定するセンサーシステム及び表示画像を計算するための装置を備えた走行支援システムに関する。当該のセンサーシステムは、間隔検出値の他に、個々の検出線が限界値を下回る場合には、壁面パラメータをも供給する。
【0058】
しかし、当該の壁面パラメータは、表示画像を演算するための装置において、得られた間隔検出値から計算によって取得することもできる。しかし、この機能をセンサーシステムに組み込むことは、時間を節約するとともに、物体との間隔が近くなった時に然るべき警報をより速く、より確実に供給することができることに寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下において、図面に図示した実施例にもとづき、本発明を説明する。
【0060】
図1は、車両において、例えば、検知円錐内で対象物を検出するためのセンサーが向けられている方向を示す検出線1の例を図示している。
【0061】
しかし、複雑なシステムを用いて、例えば、クロスエコーによって、検出した対象物の物体位置を検出することが可能であると規定することもできる。有利には、本発明による方法を使用するために、予め決めた検出線上で検出される物体位置を考慮するが、本発明による方法を進めて行く中で初めて物体位置から検出線を算出することもできる。
【0062】
この例では、例えば、物体位置8が得られており、その座標は、系内において既知であるか、或いは間隔検出値から計算することが可能である。
【0063】
本発明の目的は、物体位置8と曲線境界点10,11によって、符号9で表示されたベジェ曲線を求めることである。
【0064】
この場合、曲線境界点10,11は、センサー検出角12と検出限界線13との交点によって与えられる。しかし、曲線境界点を検出領域外に規定することもできる。
【0065】
センサー検出角12は、検出線1に対してほぼ対称的に有るが、角度の大きさは、検出方式に依存すること無く、ベジェ曲線を求める際のモデル演算によってのみ与えられる。センサー検出角12の自由な選定によって、得られるベジェ曲線の特性を定めることができる(センサー検出角を広くすると平坦になり、角度を狭くすると急峻となる)。センサー検出角は、例えば、センサーグループの全ての検出線に対して同じとすることができるが、個々に選定することもできる。
【0066】
検出限界線13は、基本的に、物体を依然として検出して表示すべき、車両からの間隔によって与えられる。
【0067】
更に、二つの物体制御点37,38が図示されており、これらは、ベジェ曲線の計算に用いられるとともに、その位置決めに対応して表示画像の形状が決まるものである。
【0068】
更に、図1からは、自動車からの間隔を示す物体位置に関する限界値14が見て取れ、その限界値を下回ると、壁面パラメータ(ウォールフラグ)が設定される。ウォールフラグの設定は、センサーで物体間隔を検出した時、或いは本発明による方法の範囲内で測定値を後処理する際に実行することができる。
【0069】
ウォールフラグの使用は、複数のセンサーによって、或いは互いに直ぐ近くに隣接し合う複数の検出線上において、類似の直線的な配置であると示された大きな物体の場合、例えば、車両を運転して近付けて行く壁面のように、輪郭が滑らかである確率が特に高いが、それと同時に不連続又は不規則な表示となるかもしれない測定誤りが起こる可能性も有るという技術思想にもとづくものである。その理由から、本システムは、任意選択として、互いに並んだ二つの検出線が、それらに対応する壁面パラメータを設定すべき物体位置を示す場合、それらの物体位置を、大部分が湾曲しているベジェ曲線によって互いに接続するのではなく、その部分に対して、曲線を直線として延ばすものと規定する。そうすることによって、一般的に、検出した対象物の現実的な画像が得られる。
【0070】
その状況は、車両18に関して、検出線1,2,3,4とそれに対応する物体位置8,15,16,17を示した図2において、より詳しく図示されている。物体位置8,15,16が、ほぼ直線上に有る場合、検出線1,2,4に対して、ウォールフラグを設定するとともに、これらの物体地点間に対応する線を直線19として図示するか、或いはその領域内において、物体位置上又はその近傍に物体制御点を設定し、それによって、その領域内において、ベジェ曲線の形状が大きく押し潰されてほぼ直線となる。何れにしても、画定された領域内において、ベジェ曲線は連続している。しかし、そのような措置は、有利には、それぞれ壁面パラメータが設定された、隣接する検出線上に位置する複数の、特に、少なくとも三つの物体位置が得られた場合に初めて適用される。
【0071】
図3には、車両の前の側方に有る障害物、特に、壁面に対してウォールフラグを使用することが詳しく図示されている。そこには、当該の限界値を下回り、その結果ウォールフラグが設定された物体位置20と共に、側方外側の検出線6が図示されている。
【0072】
本発明による方法を使用して直線を表示するために、そのような特殊な場合に対して、システムで物体を検出したことに該当しない仮想的な側方検出線7を追加して設ける手法が適用される。この仮想的な側方検出線7上には、物体位置21が仮定されるとともに、如何なる場合にもウォールフラグが設定され、それによって、物体位置20と21が真っ直ぐな区間によって互いに接続されることとなる。物体位置21は、接続直線22が最も望ましい、例えば、車両と平行な方向を示すように、個々に選定するか、或いは標準的な位置として仮定することもできる。
【0073】
このようにして、図の斜線で示した面を塗り潰すことができ、その結果表示画像を見た場合に、車両の左前側に壁面の表示が行われることとなる。
【0074】
更に、最も近くに隣接する検出線上でも、同様にウォールフラグを強制的に設定することができ、その場合でも対応する物体位置に対して、物体位置20との直線的な接続を実現し、それによって画像を一層改善している。図4には、それぞれウォールフラグが設定された複数の物体位置8,15,23,24,25に対して、本発明による実施形態にもとづき、全ての物体位置をそれぞれ対にして直線区間によって互いに接続するのではなく(破線で示した構成)、この場合には、ウォールフラグを設定された最も外側の物体位置、この場合符号8と25の間に有る物体位置の中の一つ以上を無視して、外側の物体位置だけを直線区間によって接続することが可能であることが図示されている。そうすることによって、検出範囲内に表示される対象物の明確な輪郭が得られる。
【0075】
図5a〜cは、複数の検出線1,2に対して、それらの各々に対応するセンサー検出角12、検出された物体位置8,27及び曲線境界点56を図示している。
【0076】
二つの変化形態が図示されており、図5bでは、全ての物体位置8,27を考慮してベジェ曲線26を計算し、図5cでは、ベジェ曲線26と同様に、即ち、当該の検出線1,2のセンサー境界点としての曲線境界点を選定しているが、物体位置8,27の間隔検出値の差が大きいために、ベジェ曲線を計算する際に周縁部に有る遠く離れた点27を考慮しない形でベジェ曲線28を計算している。得られたベジェ曲線28は、輪郭が滑らかになっているために納得がいくものとなっており、表示画像の情報内容に関して、欠点無く簡略化されている。
【0077】
このような措置は、隣接する二つの物体位置8,27の間隔検出値の差が所定の閾値を上回る場合に適用される。
【0078】
図6a,bは、二つの検出線1,2、物体位置29,30及び準拠するセンサー検出角に応じた所定のベジェ曲線の二つの変化形態31,32を図示している。ベジェ曲線31を求める場合には、(図に破線で図示され、符号33,34で表示された)別のセンサー検出角に準拠する一方、ベジェ曲線32の場合には、曲線境界点35,36に対して、それぞれより狭いセンサー検出角に準拠している。このようにして、センサー検出角の好適な選定によって、生成されるベジェ曲線の特性を決定することができる。
【0079】
図7には、検出線1と物体位置8に対して、物体制御点37,38を求めることが図示されており、検出線1からの間隔d1,d2をほぼ同じにすることができる。これらの物体制御点は、検出線1と直交する線39上に配置することができる。多くの場合、隣接する検出線2,3の物体位置40,41を考慮して、間隔d1,d2を決定し、その際d1,d2が、所与の比例係数により検出線1の各側における当該の間隔検出値の差に比例するようにするのが有利である。そうすることによっても、所定の条件下において、ベジェ曲線の形状を改善することができる。
【0080】
図8aには、検出線1,2の間隔検出値を考慮して、検出線1に沿った物体制御点37,38の高さを変更することも可能であることが図示されている。この図では、矢印42,43によって、当該の物体制御点をそれぞれ図示された点44,45の高さにずらして、それにより隣接する検出線1,2に対して互いに近付けることが可能であることを図示している。
【0081】
従って、得られるベジェ曲線が通過する物体位置は変わらず、物体制御点だけがずらされることとなる。図8aでは、当該のセンサー検出角を、それらが互いに交差するような大きさに選定することができることも図示されている(斜線の領域で図示されている)。更に、図8cには、個々の制御点も各検出線に沿って(高さを)及び/又は各検出線に対して垂直な間隔を所望の通りずらすことが可能であることが図示されている。図8bには、制御点を分散させることが可能であることが図示されている。
【0082】
図9には、例えば、本発明による方法を実施する、即ち、表示画像を生成するための装置を備えた完全な走行支援システムが図示されている。
【0083】
センサーシステム48と共に所与の検出線1,2,3,4,5,6上に有る物体位置を検出するための物理的なセンサー46,47が図示されている。更に、このシステムでは、当該の壁面パラメータを設定することもできる。検出された値は、本発明による方法を実施するための装置49に供給され、そこでは、物体位置又は間隔検出値が第一の記憶機器50に保存され、センサー限界点が第二の記憶機器51に保存される。ベジェ曲線計算モジュール52において、本発明を有利に構成することができる一つ以上の制御を考慮して、一つ以上のベジェ曲線53,54を計算し、表示画像55として組み合わせている。各ベジェ曲線53,54は、それぞれ検出限界線13によって区切られており、その結果簡単な画像プログラムによって塗り潰すことができる、図に斜線で図示された閉じた面が得られ、それらによって、運転者が、走行支援システムの検出範囲内における障害物を検知することが可能となる。
【0084】
この計算ユニットは、任意選択により様々なシステムに統合することが可能である。この計算ユニットは、センサーシステムの一部、表示システムの一部又は別個のユニットとすることができる。
【0085】
当該のシステムは、車両の前の領域と車両の後の領域のどちらにも配備することができる。図10aには、検出された二つの物体位置15,16が図示されており、これらは、図10bに図示されている通り、これらの物体位置を通る検出線2,3を動的に生成するために使用することができる。そして、そのようにして生成されたデータにもとづき、更に別の方法が、検出角、制御点及びその他のパラメータを決定して、データを構築して行くことができる。
【0086】
図11a,bは、壁面パラメータ(ウォールフラグ)を設定するための方法を図示しており、そこでは、先ず隣接する検出線の少なくとも三つの物体位置によって直線を構成することが可能であるか否かを決定している。この場合、相異なる物体位置の対を接続する際には、線形回帰法又は角度偏差比較法を考慮することができ、物体位置と比較直線との偏差dが所定の定義可能な閾値を下回る場合には、直線が得られると看做している。その場合には、当該の全ての物体位置/検出線に壁面パラメータを割り当てることができる。そして、各物体位置を区間毎に、或いは全体的に直線によって接続するか、或いは当該の物体制御点を間隔を開けること無く検出線上に、特に、物体位置自体の点上に置いて、それにもとづきベジェ曲線を計算することが可能である。前述した通りの制御点の位置決めによって、その領域において、当該のベジェ曲線は、大きく押し潰されたほぼ直線的な形状を取ることとなる。
【0087】
本発明による方法は、構成の変化、特に、検出線の数の変化に対して、手動によるパラメータ設定を行うこと無く使用することが可能な形で準備されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】検出線、センサー検出角、二つの物体制御点及びベジェ曲線を図示した図
【図2】複数の検出線、物体位置及び物体位置を通るベジェ曲線を図示した図
【図3】仮想的な側方検出線及び二つの物体位置間の直線を図示した図
【図4】ウォールフラグを設定された複数の物体位置が直線によって互いに接続された図
【図5a】複数の検出線と物体位置を図示した図
【図5b】図5aから計算されるベジェ曲線の一つの変化形態の図
【図5c】図5aから計算されるベジェ曲線の別の変化形態の図
【図6a】複数の検出線と物体位置を図示した図
【図6b】図6aから計算される、相異なるセンサー検出角に対する複数のベジェ曲線の図
【図7】検出線とその検出線から相異なる大きさの間隔を開けた物体制御点を図示した図
【図8a】複数の物体制御点を対にして検出線に沿ってずらすことを図示した図
【図8b】各検出線に対する物体制御点の間隔と高さを個々に所望の通りずらすことを図示した図
【図8c】各検出線に対する物体制御点の間隔と高さを個々に所望の通りずらすことを図示した図
【図9】本発明による表示画像を生成するための装置の図
【図10a】動的に生成した検出線に物体位置を対応付けることを図示した図
【図10b】動的に生成した検出線に物体位置を対応付けることを図示した図
【図11a】ウォールフラグを設定するためのメカニズムを図示した図
【図11b】ウォールフラグを設定するためのメカニズムを図示した図
【符号の説明】
【0089】
1〜6 検出線
7 仮想的な側方検出線
8 物体位置(間隔検出値)
9 ベジェ曲線
10,11 センサー境界点
12 センサー検出角
13 検出限界線
14 限界値
15〜17 物体位置(間隔検出値)
18 車両
19 真っ直ぐな曲線区間
20,21 物体位置(間隔検出値)
22 真っ直ぐな曲線区間
23〜25 物体位置(間隔検出値)
26 ベジェ曲線
27 物体位置(間隔検出値)
28 ベジェ曲線
29,30 物体位置(間隔検出値)
31,32 ベジェ曲線
33,34 センサー検出角
35,36 曲線境界点
37,38 物体制御点
39 直交する線
40,41 物体位置(間隔検出値)
42,43 高さの変更方向
44,45 物体制御点(ずらした後の高さ)
46,47 センサー
48 センサーシステム
49 本発明による方法を実施するための装置
50,51 記憶機器
52 ベジェ曲線計算モジュール
53,54 ベジェ曲線
55 表示画像
56 曲線境界点
d 物体位置と比較直線との偏差
d1,d2 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出した物体を表示するための少なくとも一つのベジェ曲線(9,26,28,31,32)を用いて、複数の間隔検出値から自動車の走行支援システム用表示画像(55)を計算する方法であって、
間隔検出値を個々の検出線(1,2,3,4,5,6)に対応付けて、
所与のセンサー位置、これらのセンサー位置から得られる検出線及び間隔検出値から、検出した物体の物体位置(8,15,16,17,29,30)を計算し、
物体位置を通る隣接する検出線をグループに集約して、
物体位置を通る各検出線に関して、検出線の側方毎に、検出線と直交する共通の線(39)上に有る第一と第二の物体制御点(37,38)を決定し、
各検出線に対して、センサー検出角(12,33,34)を割り当てて、その角を挟む辺が、センサー境界点(10,11)で検出限界線(13)と交差するようにし、
検出線の各グループに対して、グループの外側の二つのセンサー境界点を構成する曲線境界点で終端するとともに、物体位置を通って延びるベジェ曲線を決定し、
検出線の一つのグループのベジェ曲線の制御点をそのグループの物体制御点(37,38)によって構成する、
方法。
【請求項2】
隣接する検出線(1,2,3,4,5,6)に対応する少なくとも三つの物体位置が、所定の最大偏差(d)を許容するとして一本の直線上に有る場合、各検出線に対して、壁面パラメータ(ウォールフラグ)を割り当てることと、
隣接する各検出線に壁面パラメータが割り当てられているか否かを調べることと、
隣接する各検出線に壁面パラメータが割り当てられている場合には、当該の検出線に対応する二つの物体位置(8,15,20,21)を直線(19,22)によって互いに接続するか、或いはこれらの物体位置に対応する制御点を各検出線上に直に位置付けることと、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
側方外側の検出線(6)に対して壁面パラメータが設定されている場合、表示画像(55)を計算するために、その側方外側の検出線の側方外側に、仮想的な物体位置(21)と壁面パラメータを割り当てた仮想的な側方検出線(7)を追加して生成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
側方外側の検出線(6)の内側に隣接する検出線に対しても、壁面パラメータを設定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
直ぐ近くに隣接する三つ以上の検出線(1,2,3,4)に対して、それぞれ壁面パラメータが設定されている場合、表示画像を計算する際に、壁面パラメータを設定された外側の二つの物体位置(8,24)を考慮するとともに、これらの外側の二つの物体位置の間に有る残る物体位置(15,23)の中の少なくとも一つを考慮しないことを特徴とする請求項2から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
検出線(1)の間隔検出値(8)が、それと隣接する検出線(2)の間隔検出値(27)よりも小さく、かつそれらの差が、所定の閾値を上回る場合、この隣接する検出線の間隔検出値(27)を除外して、当該の曲線境界点(56)を変更しないことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
この方法の使用を外側の検出線を除く検出線に限定することを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
得られた間隔検出値に応じて、センサー検出角(12,33,34)を決定することを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
得られた間隔検出値の差の絶対値に応じて、得られた間隔検出値に対応する隣接する二つの検出線のセンサー検出角(12,33,34)を決定することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
得られた間隔検出値の差が小さくなる程小さくなるセンサー検出角(12,33,34)を選定することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
全てのセンサー検出角(12,33,34)を同じ大きさに決定することを特徴とする請求項8から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
間隔検出値(8,40,41)が得られている各検出線(1,2,3)に関して、個々の物体制御点(37,38)と検出線(1)との間隔(d1,d2)を、その検出線の間隔検出値と各物体制御点の方向に隣接する検出線(2,3)に応じて決定することを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
各検出線(1)と物体制御点との間隔(d1,d2)が、全ての間隔に対して共通の比例係数により、隣接する二つの検出線(2,3)との間隔値の差に比例することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
物体制御点(37,38)の位置が、それらに対応する検出線(1)に沿った高さに関して、得られた各物体位置(8)と同じであることを特徴とする請求項1から13までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
検出線(1,2,3)のグループにおける物体制御点の位置を、それらに対応する検出線に沿った高さに関して、各間隔検出値の高さを出発点として互いに近付けることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
表示画像(55)を繰り返し計算することと、
得られた表示画像とその次の計算で得られた表示画像との間で間隔検出値が変化した場合、その次の計算の際に、その前に得られた表示画像のデータとの差の一部だけを考慮することを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公開番号】特開2009−20892(P2009−20892A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181283(P2008−181283)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】