表示装置及びその表示方法
本発明は、表示装置及びその表示方法を提供する。当該表示方法において、画像情報が入力され、次に入力された画像情報によって、結像用のすべてのビームが形成され、画像表示が完成する。上記画像情報には、各画像の画素の角度情報が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及びその表示方法に関し、特に、近距離で人間の眼に対して画像が形成できる表示装置及びその表示方法に関する。
【従来技術】
【0002】
表示技術の発展に伴い、表示装置に視覚効果や携帯性について益々高く求められている。より大きい視野と三次元立体の表示効果が望まれている一方、表示装置自体がなるべくコンパクトで使用しやすいことも求められている。当該両方のニーズは通常では矛盾であり、今はそれぞれ特色ある表示技術がすでに数多く開発されている。関わる表示技術としては、主に、頭部装着式と非頭部装着式の二種類があるが、各技術の弱点は、以下の表に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上で分かるように、上記各表示装置と表示方法は、いずれも視野が狭く、臨場感がなく、携帯性が悪いといった弱点があり、そしてレーザホログラム手法以外、いずれも視覚疲労という問題がある。
【0004】
従来技術の共通点は、空間の特定の位置に実像又は虚像が形成し、そして人間の眼による自発的な焦点調整で当該特定位置にある実像又は虚像が観察されることで、人間の視覚感知が形成されることにある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の問題点を克服し、人間の眼による自発的な焦点調整を必要としない表示装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、上記表示装置の表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示パネルが備えられる表示装置を提供し、上記表示パネルは、レーザアレイからなり、上記レーザアレイにおけるレーザは、表示すべき画像の画素に基づいて、対応する角度のレーザビームが出射され、当該レーザビームは人間の眼に入射されて、網膜に結像する。
【0008】
上記表示装置において、上記レーザからのレーザビームの断面直径は、500μmより小さく、好ましくは、1−100μmである。
上記表示装置において、上記表示パネルの各画素は、複数のレーザからなる。
上記表示装置において、表示パネルが二つ備えられ、各表示パネルは、それぞれ左右両眼に対して、同一又は異なる(視差付)画像が形成する。
さらに、上記各画素は、レーザが三つ備えられ、上記レーザはそれぞれRGB三原色レーザである。
上記表示装置において、上記表示パネルの上記レーザが設けられていない箇所は、外光の通過が許可される。
好ましくは、上記表示パネルは、球面または柱面、平面形状に形成し、その他の形状例えば楕円体面や、放物面、双曲面等であってもいい。
さらに、上記球面形状の表示パネルの半径は、15−70mmであり、上記柱面形状の表示パネルの半径は15mm−70mmであり、上記平面形状の表示パネルから眼球センターまでの距離は15mm−70mmである。
さらに、上記球面形状の表示パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での開き角度は、180°より小さい。
さらに、上記柱面形状の表示パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは、200mmより小さい。
さらに、上記平面形状の表示パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は、200mmより小さい。
【0009】
本発明は、上記表示装置の表示方法をさらに提供し、まず、各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に表示パネルの各レーザにその角度に対応する画素を表示させ、当該画素の輝度情報に応じて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して画像が形成する。
【0010】
さらに、本発明は、内層パネルと外層パネルからなる表示パネルが備えられる表示装置を提供し、
上記内層パネルと外層パネルは、人間の眼の前方に位置し、上記外層パネルから人間の眼までの距離は、上記内層パネルから人間の眼までの距離より大きく、
上記内層パネルには、光通過孔アレイが設けられ、
上記外層パネルには、発光画素アレイが設けられ、
上記発光画素アレイは、表示すべき画像に基いて発光し、
上記外層パネル上の発光画素は、上記内層パネル上の光通過孔と対応し、上記発光画素からの光は、上記内層パネル上の対応する光通過孔を通って眼球に向けた光ビームとなる。
【0011】
上記内層パネル上の光通過孔は、表示すべき画像に基づいて、開放したり、閉鎖したりできる。
上記発光画素の発光は、受動式発光である。
上記外層パネル上の発光画素と上記内層パネル上の光通過孔とが一対一で対応する。
上記表示装置において、上記光通過孔の直径は、1−500μm である。
上記表示装置において、上記内層パネルと上記外層パネルとの間に光通過性媒質が設けられ、好ましく上記光通過性媒質の屈折率が1−2.5である。
さらに、上記媒質材は好ましく、空気や透明樹脂、光学ガラス等から選択される。
上記表示装置において、好ましくは、上記外層パネル上の画素の直径は、1−500μmであり、上記内層パネル上の光通過孔の直径は、1−500μmである。
上記表示装置において、上記内層パネルから人間の眼の表面までの距離は、0.1−50mmであり、上記外層パネルから上記内層パネルまでの距離は、0.1−50mmである。
【0012】
上記表示装置において、上記外層パネルの発光画素が設けられていない箇所は、外光の通過が許可される。
【0013】
さらに、上記外層パネルは好ましくは、発光ダイオード表示パネルやレーザダイオード表示パネル、液晶表示パネル、OLEDパネルであり、電子インク等の表示に適切な装置であってもいい。
【0014】
さらに、上記液晶パネルは、バックライトが付いていない液晶パネルである。
上記内層パネルは好ましくは、液晶パネルであり、電子インク等光の通過が許可又は禁止される光通過孔アレイが形成できる装置であってもいい。
上記外層パネルは、単色パネルであってもいいし、カラーパネルでもいい。
好ましくは、上記内層パネルと外層パネルは、球面又は柱面、平面形状に形成され、その他の形状例えば、楕円体面や、放物面、双曲面等に形成されてもいい。
【0015】
さらに、上記球面形状の内層パネルの半径は、15mm −40mmであり、外層パネルの半径は、18mm−70mmである。上記柱面形状の内層パネルの半径は15mm −40mmであり、外層パネルの半径は、18mm−70mmである。上記平面形状の内層パネルから眼球センターまでの距離は15mm−40mmである。
さらに、上記球面形状の内層パネルと外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での開き角度は、180°より小さい。
さらに、上記柱面形状の内層パネルと外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは、200mmより小さい。
さらに、上記平面形状の内層パネルと外層パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は、200mmより小さい。
上記表示装置において、表示パネルが二つ備えられ、左右両眼にそれぞれ結像する。
さらに、上記二つの表示パネルに形成される画像間には、視差があり、立体表示が実現される。
【0016】
また、本発明は、上記二重パネル構成を有する表示装置の表示方法を提供し、まず、各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、入力された画像情報に基づいて、結像用のビームのすべてがトラバースして形成され、画像表示が完成する。
上記表示方法において、結像用のビームが同一タイミングに一本のみ形成されてもいいし、複数本形成されてもいい。
さらに、同一タイミングに結像用のビームが複数本形成される場合、同一タイミングに一つの光通過孔のみ開放される。
さらに、光通過孔が一つのみ開放される場合、当該光通過孔を通過する当該画像表示に必要なすべてのビームが同一タイミングに形成される。
さらに、結像用のビームが同一タイミングに複数本形成される場合、複数の光通過孔が同一タイミングに開放される。
さらに、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けられ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、一つのグループの光通過孔が同一タイミングに開放され、すべてのグループがトラバースして開放され、画像表示が実現される。
上記表示方法において、上記ビームは好ましく狭い光ビームである。
上記各種の表示方法において、上記画像情報には、各画像の画素の輝度、色、グレースケールなどの画像表示用の情報が一つ又は複数さらに含まれてもいい。
【0017】
本発明は、従来技術との顕著な区別点は、以下にある。本発明において、表示装置は制御可能なビームが利用されて、人間の眼の網膜に表示すべき画像が直接に書き込まれ、当該画像は、空間のある特定の箇所に位置する画像ではなく、角度座標に基づく画像である。人間の眼の限られた屈折度調整能力は、もう重要な因子ではなくなり、人間の眼は自発的に焦点調整して画像を観察する必要がなく、受動的に表示装置から書き込まれた画像が受けられ、視覚感知が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の長所として、従来技術の視野が狭く、臨場感が低い欠点が克服され、視野が拡大されるとともに、表示装置のさらなる小型化が実現され、個人向けの近眼式表示技術であり、プライベート性がよく、表示装置の携帯化への応用、例えば携帯型個人電子製品、可視化移動通信、一人による作戦システムへの応用などにおいて、明るい未来が示された。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の基本原理を示す図である。
【図2】補助光線を利用して画像を形成する模式図である。
【図3】輻輳角を示す模式図であって、(a)は従来の両眼の視差を利用して立体像を形成する輻輳角の模式図を、(b)は本発明に係る表示装置において視差を利用して立体像を形成する輻輳角を示す模式図を、それぞれ示す。
【図4】実施例1の画像形成の模式図である。
【図5】実施例2に係る表示パネルの構成を示す模式図である。
【図6】実施例3に係る二重パネルの構成を示す模式図である。
【図7】実施例4に係る高解像度の二重パネルの構成を有する表示装置の画像形成の模式図である。
【図8】実施例4に係る表示装置のその他の二種類の画像形成方法を示す模式図である。
【図9】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【図10】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【図11】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
まず、人間の眼の光学模型について簡単に説明する。
人間の眼は、複数の屈折面による複雑な光学系であるとともに、屈折率もそれぞれ異なるので、精密に人間の眼の光学結像の計算は、難しい。実際の計算時に、簡素化及び近似処理がよく利用され、いくつかの眼の光学模型が得られる。ここで、よく利用されるのは、A.Gullstrand省略眼である。A.Gullstrand省略眼において、眼が単一球面の屈折系とされ、かつ、眼は単一の媒質からなり、その屈折率は、1.33であり、屈折面の曲率半径rは、5.7mmであり、省略眼のフロントフォーカスをf1=17.1mm、バックフォーカスをf2=1.33×f1=22.8mmとして算出でき、その屈折度Dは、58.48(m−1)である。眼の前後の焦点距離が等しくないのは、眼の物体側の屈折率と像側の屈折率とが異なることによるものであり、その結像式は、f1/u+1.33×f1/v=1となり、ここで、uは物体距離であり、vは像距離である。また、上記式が1/u+1.33/v=Dとして書かれてもいい。眼の模型は、教授活動や、医学及び光学機器の設計に広範的に応用される。本願の発明者は、眼科学に関する公知のデータに基づいて、当該省略眼の模型を少々拡充したところ、以下のものが得られた。即ち、調節能力については、正常状態である人間の眼の屈折度Dは、58−68(m−1)の範囲内に調整可能であり、そこで、結像式のf1 の範囲は、約14.71−17.24mmとなり、解像能力については、正常状態である人間の眼は、250mm離れた明視距離に最小に0.1mmの詳細が視認できるので、結像式に代入されると、u=250mmの際、v≒24mmであり、それで、網膜の最小の空間視認距離は、約0.1/250×24≒0.01(mm)=1×10−5mである。
【0021】
本発明の基本原理は、図1に示され、上記の人間の眼の光学模型が利用され、物体距離がuである箇所に、発光点があるとし、人間の眼に向けて出射されるビームの発散角度(円錐角)はθ0とし、瞳孔に形成されたライトスポットの直径はd1であり、人間の眼の屈折度はDであり、瞳孔から網膜までの距離は、L(L≒0.024m)であり、結果としては、網膜に形成されたライトスポットの直径はd0である。本発明において、θ0が非常に小さい場合に着目される。その場合、θ0≒tgθ0= d1/uという小さな角度の近似関係式が成立する。上記結像式により、d0=d1×|1−(D−1/u)×L/1.33|であり、L≒0.024mが代入されると、以下の関数式が得られる:
d0(D,u,θ0)≒θ0×|1+(1−0.018×D)×u| …(1)
式(1)におけるθ0の単位は、孤度であり、Dの単位は、m−1 であり、uの単位はmであり、ここで、0<u<1mの場合のみ検討する。Dは58−68(m−1) の範囲内で調整されるので、式(1)の絶対値の符号が省略できる。第一の場合は、以下の通りである。θ0とuは、d0≒θ0×(1−0.044×u)≦1×10−5mが満たされる場合、人間の眼は、どんなに屈折度が調整されても、図1におけるビームの網膜で形成されたライトスポットの直径d0が、網膜の最小の空間視認距離1×10−5mを超えられないので、眼は、任意のフォーカシング状態で、明確なライトスポットの視覚感知が一つしか形成できなく、またこれは網膜が感知できる最小のライトスポットである。第二の場合は、以下の通りである。θ0とuが、d0(58,u,θ0)− d0(68,u,θ0)≒0.18×θ0×u≦1×10−5mを満たす場合、人間の眼は、どんなに屈折度が調整されても、図1におけるビームの網膜で形成されたライトスポットの直径のd0の変化範囲は、網膜の最小の空間視認距離の1×10−5mを超えられないので、眼は、任意のフォーカシング状態で、明確なライトスポットの視覚感知が一つしか形成できなく、この場合のライトスポットは前者のより大きいが、人間の眼が焦点調整の範囲内でそのサイズの変化が感知できない。上記から明らかなように、網膜の空間視認率の制限と人間の眼の限られた屈折度調整能力によって、上記二つの場合において、人間の眼がどこにフォーカシングしても、図1における光ビームの網膜で形成された小さなライトスポットは、人間の視覚感知にとって、大きく変わったり(ぼやけたり)小さく変わったり(はっきりとなったり)することがない。それで、本発明において、人間の眼は、上記第一又は第二の場合が満足されるビームが網膜に書き込まれた画像を、単に受動的に受けるのみであり、従来のような自発的に焦点調整されて画像を見る必要はない。
【0022】
当業者にとって言うまでもなく、上記内容は、原理を説明するために構築された理論的な模型に過ぎなく、実際の応用において、任意の手法で形成された入射光については、網膜に形成したライトスポットの直径のサイズ又はその直径の変化範囲が網膜の最小の空間視認率と同一オーダー又はそれよりさらに小さい場合、人間の眼は、屈折度の調整で、このような小さなライトスポットをぼやけさせたりはっきりとさせたりできない。本発明において、このような、網膜に形成されたライトスポットの直径のサイズ又はその直径の変化範囲が網膜の最小の空間視認率と同一オーダー又はそれよりさらに小さい一つの光ビームを一つの狭い光ビームといい、又は一つの光と略称する。本発明に係る表示装置の結像は、人間の眼の自発的な焦点調整に頼る必要がなく、複数の狭い光ビームによって、直接に網膜へ一つ一つの小さなスポットが書き込まれることからなる。小さなスポット毎で一つの画素が表され、たくさんのこのようなスポットは、密集的に網膜に並べられ、眼が見える映像が形成される。眼の水晶体の調整能力が限られるため、これらのスポットのサイズが少ししか変えられず、また、網膜の空間視認率も限られているため、このような微小な変化が感知できなく、眼がどこにフォーカシングしても、網膜で感知された映像はほとんど変わりがない。故に、眼は、書き込まれた画像を単に受動的に受けるのみであり、自発的に画像を見るのではない、と言える。
【0023】
本発明において、結像時の役割の違いにより、眼に入射した光が、その延長線が眼球センターを通過するメイン光と、延長線が眼球センターを通過しない補助光との二種類に分けられる。周知のように、眼球が動く時、瞳孔の位置が眼球の表面に移動でき、瞳孔が某箇所に移動する場合、瞳孔に入射したメイン光は、最後に、網膜の黄斑の近くに照射して、眼の中心視覚に対応する。瞳孔に入射した補助光は、最後に網膜の黄斑から離れた箇所に照射して、眼の余光に対応する。
【0024】
人間の眼が三次元情報を獲得するルートは、遠い距離から近い距離まで、それぞれ、両眼視差(即ち、両眼で見た画像の微小区別であり、無限遠く〜10メートルほど)、両眼輻輳(即ち、両眼の視線による角度であり、10メートルほど〜明視距離)、片眼のフォーカシング(即ち、水晶体フォーカシング時に筋肉の緊張レベルであり、明視距離〜眼の近点)であり、これらのメカニズムの応用範囲は厳しいものではなく、大きい交差領域がある。一般的には、人間の三次元視覚の決定は、両眼視差と両眼輻輳であり、視対象が手前又はもっと近くに近づく場合、片眼のフォーカシングも機能する。
【0025】
人間は、両眼で外の情景を同時に観察する時、立体的な視覚が形成できるが、片眼は両眼視差と両眼輻輳が形成できないため、片眼のフォーカシングにより景色の距離の判断は難しい。片眼で見えるのは、異なる角度からの情報からなる画像しかなく、距離に対する感知がない。従って、片眼に対して結像する場合、距離と関係なく、眼により画像の角度情報のみを感知すればいい。これにより、片眼に結像する場合、距離情報が提供される代わりに、画像の各画素の眼球に対する角度や、その他、例えば輝度、色などの光学情報のみが提供されればいい。
【0026】
片眼に装着された表示装置により形成された一本のメイン光は、瞳孔に入射できれば、人間の眼の網膜にライトスポットが形成でき、一枚の画像の各画素に対応するメイン光は瞳孔に入射すれば、網膜に当該画像が結像でき、人間の眼は、当該画像も見えることになる。また、ライトスポットの直径の減少とメイン光の数の増加に伴い、人間の眼が見える画像はもっとはっきりとなる。
【0027】
図2に示されるように、人間の眼はある特定の方向を見つめる場合、眼の瞳孔の制限によって、メイン光のみにより結像する場合、見える角度範囲は、立体角Ωであり、当該立体角は、この時の瞳孔が眼球センターに対して開いた立体角と略等しい。人間の眼の視野を拡大させるために、補助光をさらに増やさなければいけない。図2に示されるように、延長線が眼球センターを通過するメイン光であるLmと延長線が眼球センターを通過しない補助光Laとは平行し、それらは、画像表示において同一画素の光学情報を表す。しかし、眼の瞳孔の制限によって、メイン光Lmは、瞳孔経由で人間の眼に入って結像ができなく、同一画素の光学情報を表す補助光Laは瞳孔経由で人間の眼に入って結像できる。従って、補助光の使用により、人間の眼がある特定の方向を見つめる時に受けた画像の視角を立体角Ωより大きくさせることができ、より大きい視野が得られる。
【0028】
本発明に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、まず、各画素の輝度とその角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に、表示装置に当該画素の輝度と角度情報と同一のメイン光と/又は補助光を形成させることにより、人間の眼に対して、一枚の画像が形成できる。
【0029】
本発明の実施例において、球座標を利用して説明する。上記球座標系は、以下の方法で構築されている。即ち、眼球センターを原点とし、頭部に対して上方をz軸、先方をy軸、右方をx軸とすることにより、直角座標系を構築し、公知の標準的な球座標―直角座標の変換規則により、当該直角座標系に対応する球座標系(θ,φ,r)を定義する。本発明の表示原理により、画像の各画素の球座標系での角度情報さえ分かれば、画像が表示でき、球座標の半径rは、本発明の関心する内容ではないので、以下の説明と検討において、普通、角度情報(θ,φ)しか提示せず、半径rに言及しないものとする。ここで構築された球座標系は、単に本発明の説明の便宜を図るためのものであり、当業者にとって、その他の座標系を利用して説明してもいいことは、言うまでもない。勿論、以下の具体的な説明において、必要に応じて変形させたりするが、本発明の実質的な内容には影響がない。
【0030】
さらに、具体的な実施例を参照しながら本発明に係る表示装置と表示方法を、以下に説明する。
【0031】
実施例1
本実施例の表示装置は図4に示されるように、レーザアレイが取り付けられたフラットレーザ表示パネルSと、上記レーザアレイが人間の眼の前方に固定されるためのパネル固定装置と、が主に備えられる。ここで、上記レーザアレイは600×400の固体レーザからなり、各レーザは表示パネルの一つの発光画素であり、かつ出射したレーザビームの断面直径は、5〜75マイクロメートルであり、本実施例においては、25マイクロメートルである。レーザビームの波長は0.77〜0.39マイクロメートルであり、本実施例においては、0.514マイクロメートルである。上記レーザ表示パネルのサイズは60mm×45mmであり、眼球センターから30mm離れている。上記レーザアレイの固体レーザは、均一に上記レーザ表示パネルに分布し、かつ各レーザからのレーザビームは、いずれも直接に眼球センターに入射する。
【0032】
本実施例に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、表示パネルの各レーザからのレーザビームの角度はすでに固定的であるので、まず、各画素の角度情報が含まれる画像情報が入力されて、次に、表示パネルの中の各レーザに、その角度と同一である画素を表示させ、当該画素の輝度情報に基づいて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して一枚の画像が形成できる。
【0033】
さらに、上記画像情報の中に、各画像の画素の輝度、色、グレースケールなどの画像表示用情報が一つ又は複数含まれてもいい。
【0034】
当業者にとって、入力される表示すべき画像が上記要求を満たさない場合、画像転換により、それが画素の角度等の情報に表される画像に転換されてから、上記レーザ表示パネルに伝送されて画像表示ができることは言うまでもない。
【0035】
上記表示パネルは、単色の表示パネルであり、カラー表示を実現するために、上記単色の表示パネルを構成する各レーザを波長が異なる複数の、例えばRGB三原色レーザのようなレーザに入れ替えればいい。
【0036】
上記表示パネルは、片眼に表示用であり、両眼の立体表示を実現するために、左右両眼に上記表示パネルを一つずつ装着し、それぞれに視差付きの画像を表示させればいい。
【0037】
普通、すべてのレーザデバイスの面積はレーザ表示パネルの総面積より小さくてもいい。従って、光透過性材料や光通過孔等により、光がレーザ表示パネル上の各レーザ間の区域を通過できる。このデザインの利点は、人間の眼はレーザ表示パネル上の光透過性区域を介して外の景色が観察でき、ひいては、表示パネルに表示された画像と外の現実景色の積み重ねが実現できることであり、それは、仮想現実技術にとって、重要なものである。
【0038】
本実施例において、フラットレーザアレイが表示パネルとされるが、実際に、必要に応じて、パネルを球面や柱面、楕円体面、放物面、双曲面などの任意の適当な形状にされてもいい。ここで、フラット表示パネルの場合、水平方向での長さが普通200mmより小さく、垂直方向での幅が普通200mmより小さく、表示パネルのサイズと解像度の違いによって、上記半導体レーザからの光ビームの断面直径は、1 −500マイクロメートルの範囲で変化していい。球面形状の表示装置の場合、眼球センターに対する開き角度は普通180度より小さい。柱面形状の表示装置の場合、眼球センターに対する水平方向での開き角度も普通180度より小さく、垂直方向での長さが普通200mmより小さい。各形状の表示パネルのセンターから眼球センターまでの距離は、15mm−70mmであってもいい。
【0039】
実施例2
本実施例は、実施例1に対して違う点は、出射ビームが眼球センターに向かう半導体レーザ以外に、出射ビームが眼球センターを通らずに眼球表面に入射する半導体レーザが含まれることである。具体的な配置は、図5に示される。図5において、実施例1元のレーザアレイの他に、各元のレーザAi,j(i=1,2,3,…,600,j=1,2,3,…,400)の周辺に、B1,0、B1,1、B0,1、B−1,1、B−1,0、B−1,−1、B0,−1、B1,−1というレーザBm,n(m=1,0,−1,n=1,0,−1)が8つ増やされ、また、当該9つのレーザは、3×3の配列に並べられる。ここで、元のレーザAi,jは、元の出射方向を維持するとともに、レーザBm,nの出射方向は、元レーザアレイのレーザA(i+9m), (j+9n)の出射方向と同一であり、当業者は、上記示唆により、その他の適当の方法でレーザを増やしてもいい。
【0040】
本実施例に係る表示装置の表示方法は、実施例1と同じである。本実施例に係る表示装置が利用されて画像が表示される場合、表示パネルのレーザそれぞれからのビームの角度は、すでに確定されたため、まず、各画素の輝度と角度情報が含まれる画像情報のみ入力され、次に、表示パネルのレーザそれぞれにその角度と同じである画素を表示させ、当該画素の輝度情報に基づいて、対応するビームが出力されることにより、人間の眼に一枚の画像が形成できる。
【0041】
人間の眼がある特定の方向を見つめる場合、眼の瞳孔の制限で、眼球センターを通る光のみにより結像する場合、見える角度は、立体角Ωのみであり、当該立体角は、この時の瞳孔の眼球センターに対して開いた立体角と略等しい。本実施例において、出射ビームが眼球センターを通らずに眼球表面に入射する半導体レーザLaが増やされた。図2に示されるように、半導体レーザLmからの眼球センターを通るビームは、第一半導体レーザLaからの眼球センターを通らないビームと平行し、これらは、画像表示において同一画素の光学情報を表す。しかし、眼の瞳孔の制限で、第二半導体レーザLmからのビームは、瞳孔を経由して眼に入れず、結像できないのに対し、同一画素の光学情報を表す第一半導体レーザLaからのビームは、瞳孔経由して眼に入って結像できる。よって、本実施例に係る表示装置により、眼がある特定の方向を見つめる場合受信した画像の視角を立体角Ωより大きくさせることができ、より広い視野が得られる。
【0042】
上記二つの実施例において、いずれもレーザアレイを本発明の表示パネルとした。その目的は、レーザが、特定の出射方向を持つとともに、出射ビームの断面直径が小さいビームを出射できる利点を利用する。実は、このようなビームを形成させるために、レーザの外、以下に紹介する二重パネルの構成が利用されてもいい。
【0043】
上記二重パネル構成とは、表示装置の構成が外層パネルと内層パネルを含む構成であり、上記外層パネルから人間の眼の表面までの距離は、内層パネルから人間の眼の表面までの距離より大きい。外層パネルは、制御可能な画素ドットを作る機能があり、内層パネルは、制御可能な光通過孔により画素ドットからの光を特定の出射方向とより小さな断面径(普通0.5mmより小さい)を持つ出射ビーム、即ち原理に記載した狭い光ビームに制限する機能がある。内層パネル上の光通過孔と外層パネル上の発光画素は、それぞれ二次元アレイを形成し、各アレイにおける光通過孔又は発光画素は、下付きの(i, j)で唯一に特定できる。外層パネルの発光ドット(i2, j2)が内層パネルの光通過孔(i1, j1)を通ることにより形成した内層パネルから眼への狭い光ビームは、下付き対(i1, j1; i2, j2)により、唯一に確定される。
【0044】
以下の実施例すべては、二重パネルに基づいた設計である。内層パネル上の光通過孔と外層パネル上の発光画素とは、数量が同じであるとともに一対一で対応する場合、内外層のパネルの対応する一対の光通過孔と発光画素は、下付きが同じである。設計の要求により、すべてのビーム(i, j;i,j)の内層パネルから眼球表面までの線分の延長線は眼球センターを通り、即ちメイン光となり、且つこれらの延長線は、上記眼球センターを原点とする球座標系における角度座標(θi, φj)は、それぞれΔθ=θi+1−θi、Δφ=φj+1−φjという等間隔で均一に分布している。メイン光の角度座標が確定された以上、当業者は、内層パネルの形状と位置に基づいて、内層パネル上の光通過孔の位置であるメイン光と内層パネルとの交差点が算出でき、さらに外層パネルの形状と位置とパネル間の媒質の屈折率nとに基づいて、外層パネル上のすべての発光画素位置が算出できる。
【0045】
実施例3
本実施例に係る表示装置は、図6に示されるように、表示パネルは、内層パネルと外層パネルからなり、上記内層パネルは、60mm×45mmのフラットパネルとし、その上に、直径20マイクロメートルの20×15個の微細光通過孔が分布し、外層パネルは、70mm×70mmのOLEDフラット表示パネルとし、その上には、直径20マイクロメートルの20×15個の発光画素が分布し、内外層パネル間の間隔は5mmである。内層パネルは、眼の正面の先方に位置し、眼球センターから27mm離れ、その四つの頂点から眼球センターまでの距離が等しい。同様に、外層パネルは、眼の正面の先方に位置し、眼球センターから32mm離れ、その四つの頂点から眼球センターまでの距離も等しい。上記光通過孔と上記発光画素とが一対一で対応する場合、対応する光通過孔と発光画素の位置は、図6に示され、眼球センターを原点とする球座標系において、半直線のグループKp,q(45°+(90°/19)p,−37°+(74°/14)q)に含まれる20×15本の半直線は、上記内層パネルと外層パネルとそれぞれ20×15個の交差点で交差し、ここで、p=0,1,…,19,q=0,1,…,14であり、上記交差点の位置は上記光通過孔又は上記発光画素の位置である。このような光通過孔と発光画素の希薄な分布形態により、外層パネル上の各発光画素からの光が対応する光通過孔を通ってから眼球センターに直接入射する狭い光ビームになり、当該発光画素からの光がその他の光通過孔を通って形成した狭い光ビームは眼球表面に入射しない。
【0046】
本実施例に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、二重表示パネルにおける延長線が眼球センターを通る狭い光ビームの角度はすでに確定されたので、まず、各画素の輝度と角度情報が含まれる画像情報のみ入力され、次に、外層パネルにおける各発光画素に、当該発光画素に形成された眼球センターへの狭い光ビームの角度と同じである画像の画素を表示させ、当該画像の画素の輝度情報に基づいて表示が行われ、人間の眼に一枚の画像が形成できる。
【0047】
本実施例に係る装置において、上記外層パネルは、好ましくは、LED表示パネル、レーザダイオード表示パネル、液晶パネルであり、電子インク(傅相▲楷▼、羅偉、「機能材料」 2005年第10期(36巻)、1477−1481ページ)等の表示に適切な装置であってもいい。これらのパネルは、単色でもいいし、カラーでもいい。ここで、外層パネルに使用される液晶表示パネルは、普通のバックライト付きの自発発光型液晶ディスプレーデバイスでもいいし、バックライトがない受動発光型液晶ディスプレーデバイスでもいい。当該受動発光型液晶ディスプレーデバイスは、日光又は環境光をバックライトとしても、同じような良好な表示効果を見せる。上記受動発光とは、発光画素それ自体が発光せずに、外の背景光によって画素を表示させることをいう。
【0048】
本実施例の内層パネルは、光の通過を許可又は阻止できる光通過孔アレイを形成できる液晶パネルや電子インク等の装置が利用されてもいいが、好ましくは、液晶パネルが利用される。
【0049】
内層パネル上の光通過孔の直径は、普通500マイクロメートルより小さく、好ましくは1−100マイクロメートルであり、外層パネル上の画素直径は、普通500マイクロメートルより小さく、好ましくは1−100マイクロメートルであり、上記内層パネルから眼球表面までの距離は、0.1mm〜50mmであり、上記外層パネルから内層パネルまでの距離は、0.1mm〜50mmである。また、外層パネルと内層パネルが球面や、柱面又は平面形状であってもいい。楕円体面、放物面、双曲面などその他の形状であってもいい。球面形状の表示パネルの場合、内層パネルの半径は15mm−40mmであり、外層パネルの半径は18−70mmであり、上記内外層パネルの眼球センターに対する開き角度は、180°より小さい。柱面形状の表示パネルの場合、内層パネルの半径は15mm−40mmであり、外層パネルの半径は18−70mmであり、上記内外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは200mmより小さい。平面形状の表示パネルの場合、内層パネルから眼球センターまでの距離は、15mm−40mmであり、内外層パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は200mm より小さい。
【0050】
本実施例において、上記内外層パネル間には、光透過性の媒質がさらに設けられてもいい。上記光透過性の媒質の屈折率は、普通好ましくは1−2.5であり、光透過性の媒質材は、好ましくは透明樹脂と光学ガラス等から選ばれる。内外層パネル間に光透過性の媒質が設けられる場合、外層パネル上の発光画素からの光が光透過性の媒質により屈折され且つ内層パネルの光通過孔を通ってから眼球センターに向けるビームになるように、外層パネル上の発光画素の位置が適当に調整される必要があることは、当業者にとって、公知である。
【0051】
上記表示装置において、上記外層パネルの発光画素が設けられない箇所は、外光の通過が許可される。例えば、光透過性材で外層パネルが製造され、又は外層パネル材が非光透過性であるが、複数の光通過孔が設けられることにより、外光の通過も許可される目的にも達成できる。
【0052】
上記二重表示パネルは、片眼に対して表示する用のワンセットの表示パネルであり、両眼に立体表示できるために、左右両眼に上記ワンセットの表示パネルを一つずつ装着し、それぞれ視差付きの画像を表示させればいい。
【0053】
実施例4
上記実施例3に係る表示装置の解像度は、20×15のみであり、結像に使われる光は、メイン光しかなく、もっとはっきりとした画像及び眼の視野の拡大ができるために、表示装置の解像度を高め、かつ補助光を十分に利用しなければならない。最も簡単な方法は、外層パネルの発光画素と内層パネルの光通過孔の数を増やすことであり、メイン光の数を増やすだけではなく、結像用に補助光も数多く形成できる。
【0054】
しかし、図7に示されるように、外層パネルの発光画素或は内層パネルの光通過孔数の増加に伴い、Y1は、画像を表示するために形成された狭い光ビームであり、光通過孔Aと光通過孔Bの距離が比較的小さいので、外層パネルの発光画素Dからの光は光通過孔Aを通って狭い光ビームY1に形成するとともに、光通過孔Bも通って、輝度、色等の光学情報がY1と同じである狭い光ビームY2に形成する。上記説明から分かるように、狭い光ビームY2が結像する時、角度(θ2,φ2)の画素を表す。画像表示において、角度(θ2,φ2)の画素とY1に表される角度(θ1,φ1)の画素とは必ずしも一致するとは限らないということは、明らかである。よって、狭い光ビームY2の発生は、避けるべきである。実施例3の構成は、すでに適当ではなくなり、内層パネルの光通過孔の開放と閉塞の制御が必要になる。図7に示される場合、狭い光ビームY1の形成が必要になる時、光通過孔Bを閉塞するだけで、Y2の発生を避けることができる。
【0055】
上記説明に基づいて、本実施例が提供した表示装置は、外層パネルであるOLEDフラット表示パネルに800×600個数の発光画素が分布し、各発光画素の直径は、20μmであり、内層パネルには、解像度800×600の液晶パネルが使用され、液晶格子ドットの直径は20μmであり、その他のパラメータと構成は、実施例3と同じである。
【0056】
本実施例の表示方法を説明する前に、まず、干渉孔と関係区域の概念について紹介する。上記一つの光通過孔の外層パネルでの関係区域とは、この区域内の発光画素からの光が光通過孔を通ってから形成した狭い光ビームしか人間の眼の表面に入射できないことである。図8に示されるように、光通過孔E1と光通過孔E2の関係区域は、それぞれK1とK2であり、K1とK2は共通画素を有する場合、E1とE2を干渉光通過孔と呼ぶ。
【0057】
本実施例に係る二重パネル表示装置において、まず画像情報が入力され、次に入力された画像情報に基づいて、結像するためのすべての狭い光ビームがトラバースして生成され、画像表示が完成する。上記画像情報には、各画像の画素の角度情報が含まれ、輝度、色、グレースケール等の画像表示用の情報が含まれてもいい。
【0058】
上記表示方法において、トラバースして形成されたすべての結像用の狭い光ビームについては、結像用の狭い光ビームが同一タイミングに一本しか形成されなくてもいいし、複数本形成されてもいい。結像用の狭い光ビームが同一タイミングに複数本形成される場合、光通過孔が同一タイミングに、一つのみ開放されてもいいし、複数開放されてもいい。
【0059】
同一タイミングに光通過孔が一つのみ開放される場合、画像表示に必要な当該光通過孔を通る狭い光ビームが同一タイミングに複数本形成されてもよく、好ましくは、画像表示に必要な当該光通過孔を通る狭い光ビームすべてが同一タイミングに形成される。
【0060】
同一タイミングに光通過孔が複数開放される場合、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けられ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、一つのグループの光通過孔が同一タイミングに開放され、トラバースしてすべてのグループが開放されて、画像表示が実現できる。
【0061】
本実施例の表示方法をさらに詳しく説明するために、三種類の具体的な表示方法を以下に挙げる。
【0062】
第一種表示方法は、入力された画像情報に基づいて、一回毎に狭い光ビームが一本のみ形成されて結像し、結像用の狭い光ビームすべてが一回ずつ形成された後、人間の眼の視覚残像現象により、一つの揃った画像が見える。当該方法の流れは、図9に示されるように、以下の通りである。
(1)まず、角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つの光通過孔Hを選定する。
(3)次に、選定された光通過孔Hを開放し、光通過孔Hの外層パネルでの関係区域K及び区域K内のすべての画素の集合Cを確定する。
(4)集合Cから一つの画素Pを選定する。
(5)選定した画素Pをライトさせ、PとHの組み合わせによるビームの角度は、(θ,φ)であり、画素Pの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θ,φ) に最も近い角度座標(θi,φj)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(6)集合Cの画素すべてが一回ずつ発光したかを判断し、否定の結論であれば、集合Cにおいて別の発光していなかった一つの画素を新しい画素Pとして選定し、上記ステップ(5)を繰り返す。肯定の結論であれば、ステップ(7)に入る。
(7)内層パネル上の光通過孔すべてが一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、別の開けられていなかった一つの光通過孔を、新しい光通過孔Hとして選定し、上記ステップ(3)−(6)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0063】
第二種の表示方法は、毎回、内層パネル上の光通過孔が一つしか開放されなく、図8に示されるように、本実施例に係る表示装置が利用されて結像する場合、一つの光通過孔E1が開放されることにより、結像に必要な複数の狭い光ビーム、例えば、LF1、LG1、LH1が同時に形成できる。ここで、狭い光ビームのLF1、LG1、LH1はそれぞれ異なる角度の画素情報を表し、これらは、外層パネル上の発光画素F1、G1、H1と光通過孔Eとにより形成され、このようなF1、G1、H1すべては、いずれも一つの関係区域K1内に位置する。このように、一つの光通過孔が開かれる度に、当該光通過孔を通る当該画像表示に必要な狭い光ビームすべてが同時に形成され、これらの狭い光ビームは、外層パネルにおける当該光通過孔の関係区域内の画素により形成されたものであり、内層パネルにおけるすべての光通過孔が逐次に一回ずつ開かれれば、一枚の画像表示が完成できる。当該表示方法の流れは、図10に示されるように、以下のステップを含む。
(1)角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つの光通過孔Hを選定する。
(3)選定された光通過孔Hを開けて、光通過孔Hの外層パネルでの関係区域K及び区域K内のすべての画素の集合Cを確定する。
(4)逐次又は同時に集合Cのすべての画素Pkをライトさせ、PkとHの組み合わせにより形成されたビームの角度は、(θk,φk)であり、各画素Pkの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θk,φk)に最も近い角度座標(θik,φjk)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(5)内層パネル上の光通過孔すべてが一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、別の開けられていなかった一つの光通過孔を、新しい光通過孔Hとして選定し、上記ステップ(3)と(4)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0064】
第三種表示方法は、図8を参照してもいい。表示効率を高めるために、できるだけ多くの光通過孔が同時に開かれるべきであるが、干渉する光通過孔が同時に開かれるならば、結果は図7に示されるように、誤った狭い光ビームが形成されるので、干渉しない光通過孔しか同時に開けられない。例えば、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けれ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、画像表示する時、同一タイミングに一つの該グループの光通過孔が開放され、外層パネルにおける関係区域の画素の発光により当該画像表示に必要な狭い光ビームが形成され、内層パネル上の光通過孔すべてがグループ毎に開放されれば、画像表示が完成する。当該表示方法の流れは、図11に示されるように、以下のステップを有する。
(1)角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つのグループとして(複数)互いに関連しない光通過孔Hqを選定する。
(3)選定された光通過孔Hqすべてを同時に開けて、各光通過孔Hqの外層パネルでの関係区域Kq及び区域Kq内のすべての画素の集合Cqを確定する。
(4) 集合Cq毎に、逐次又は同時にCqの中の画素Pqkすべてをライトし、PqkとHqの組み合わせによるビームの角度は、(θqk,φqk)であり、各画素Pqkの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θqk,φqk)に最も近い角度座標(θiqk,φjqk)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(5)内層パネル上のすべての光通過孔が一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、開けられていなかったかつ互いに関連しない一つのグループ(複数)の光通過孔を、新しい光通過孔Hqとして選定し、上記ステップ(3)と(4)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0065】
入力された球座標の角度で表された画像は、角度座標が離散し、上記実施例3、4に記載の二重パネルにおいて、その構成上の原因で、形成された狭い光ビームの角度は、離散した角度座標値とちょうど等しくなるのは難しいことは、当業者にとって言うまでもない。例えば、入力された画像情報において、隣り合う二つの画素P1とP2の座標は、それぞれ(10°,20°)と(11°,20°)であり、二重パネルにより形成できるある狭い光ビームの角度は、(10.2°,20°)であり、設計の需要に応じて、当業者は当該狭い光ビームで画素P1を表し、又は当該狭い光ビームを形成せず、又は画像転換装置を設けることにより、入力された画像を表示パネルの入力端が受け入れ可能な形式、例えば、差を採用する計算方法に転換したりできる。それは、当業者にとって、公知であり、その説明をここで省略する。
【0066】
実施例1−4は、いずれも片眼に対して結像するための表示装置であるが、本発明による表示装置を両眼の前方に一つずつ使用すれば、両眼表示が実現でき、二つの表示装置に表示された画像に視差を持たせば、立体表示が実現できることは、当業者にとって、明らかである。
【0067】
従来の三次元立体表示技術において、人工による立体視覚は、自然状態で得た真の三次元視覚と同じ感覚に達成できなくて、視覚疲労を起こす。両眼輻輳角と焦点調整との不一致は、大きな原因の一つである。図3(a)に示される例において、三次元画像における点P3Dは、左右両眼に呈する視差画像においてPLとPRと対応され、左眼ELからPLまでの線と右眼ERからPRまでの線とは、空間点P3Dに交差し、この夾角δは両眼輻輳角である。輻輳角δによって、より近いP3Dの位置にフォーカシングするように眼筋は調整されるが、画像をもっとはっきりとさせるために、左右両眼をより遠いPLとPRの位置にフォーカシングする必要があり、この矛盾で、眼の不快感や疲労が起きてしまう。
【0068】
本発明は、近眼の狭い光ビームの方法で画像点が形成され、眼は単に受動的に光を受け、そのフォーカスの可能な範囲内での任意調整が結像品質に与える影響は、無視できる。図3(b)に示される例においては、三次元画像における点P3D’は、左右二つの近眼表示パネルMLとMRからの二本の光の逆方向での延長線の交差により得られたものであり、二本光の夾角δ’は両眼輻輳角である。輻輳角δ’によって、眼筋はフォーカスをP3Dの位置に調整する。上記のように、このフォーカシングの状態で見た画像ははっきりであるので、両眼輻輳とフォーカス調整との二つの機構で得られた距離感は完全に同一であり、自然状態で真の三次元の情景を見る場合と変わりがなく、眼が疲れたりしない。これは、本発明による更なる有益な効果である。
【0069】
本発明の表示装置と表示方法は、強力な三次元立体表示技術であり、従来の三次元表示技術と比べれば、原理上、両眼輻輳角と焦点調整との矛盾による視覚疲労がなくされ、視野範囲が大きく広められ、強い臨場感がもたらされてくると同時に、多種類の仮想現実応用の基礎である仮想世界と現実世界との嵌合表示が実現できた。可視化プロジェクトの設計、科学研究、教育、娯楽、芸術創作、医学診療、ロボット作業、モニタリング、災難救助といった諸分野で強く期待されている。
【0070】
以上、表示装置における表示パネルの構成のみについて説明したが、様々な機能と設計の需要に応じて、具体的な表示装置に対して、例えば、入力された画像を本発明の表示装置に必要な画像書式に変換するための画像転換モジュールや、オーディオ信号を出力・入力するためのオーディオモジュール、表示装置における各モジュールの動作を制御と調合するための制御モジュールと、その他の機器間でビデオやオーディオなどのデータを交換するための無線通信モジュール、表示装置に電源を提供する電源モジュール、頭部と/又は四肢運動を感知するためのセンサモジュール、及び関連する入力設備などといった各機能モジュールを増やしてもいいことは、当業者にとっていうまでもない。
【0071】
本発明による表示装置は、テレビや、携帯電話、コンピュータ等のデータ端末の表示に使われてもいいし、頭部装着式表示装置として、携帯型個人電子製品、可視化移動通信、一人による作戦システム、可視化プロジェクト設計、科学研究、教育、娯楽、芸術創作、医学診療、ロボット作業、モニタリング、災難救助等の諸分野での応用は、大きく期待されている。
【0072】
以上、本発明の具体的な実施例を参照しながら、本発明の技術案を詳細に説明したが、上記実施例は、本発明の保護請求の範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲に準ずることは、いうまでもない。
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及びその表示方法に関し、特に、近距離で人間の眼に対して画像が形成できる表示装置及びその表示方法に関する。
【従来技術】
【0002】
表示技術の発展に伴い、表示装置に視覚効果や携帯性について益々高く求められている。より大きい視野と三次元立体の表示効果が望まれている一方、表示装置自体がなるべくコンパクトで使用しやすいことも求められている。当該両方のニーズは通常では矛盾であり、今はそれぞれ特色ある表示技術がすでに数多く開発されている。関わる表示技術としては、主に、頭部装着式と非頭部装着式の二種類があるが、各技術の弱点は、以下の表に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上で分かるように、上記各表示装置と表示方法は、いずれも視野が狭く、臨場感がなく、携帯性が悪いといった弱点があり、そしてレーザホログラム手法以外、いずれも視覚疲労という問題がある。
【0004】
従来技術の共通点は、空間の特定の位置に実像又は虚像が形成し、そして人間の眼による自発的な焦点調整で当該特定位置にある実像又は虚像が観察されることで、人間の視覚感知が形成されることにある。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の問題点を克服し、人間の眼による自発的な焦点調整を必要としない表示装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、上記表示装置の表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示パネルが備えられる表示装置を提供し、上記表示パネルは、レーザアレイからなり、上記レーザアレイにおけるレーザは、表示すべき画像の画素に基づいて、対応する角度のレーザビームが出射され、当該レーザビームは人間の眼に入射されて、網膜に結像する。
【0008】
上記表示装置において、上記レーザからのレーザビームの断面直径は、500μmより小さく、好ましくは、1−100μmである。
上記表示装置において、上記表示パネルの各画素は、複数のレーザからなる。
上記表示装置において、表示パネルが二つ備えられ、各表示パネルは、それぞれ左右両眼に対して、同一又は異なる(視差付)画像が形成する。
さらに、上記各画素は、レーザが三つ備えられ、上記レーザはそれぞれRGB三原色レーザである。
上記表示装置において、上記表示パネルの上記レーザが設けられていない箇所は、外光の通過が許可される。
好ましくは、上記表示パネルは、球面または柱面、平面形状に形成し、その他の形状例えば楕円体面や、放物面、双曲面等であってもいい。
さらに、上記球面形状の表示パネルの半径は、15−70mmであり、上記柱面形状の表示パネルの半径は15mm−70mmであり、上記平面形状の表示パネルから眼球センターまでの距離は15mm−70mmである。
さらに、上記球面形状の表示パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での開き角度は、180°より小さい。
さらに、上記柱面形状の表示パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは、200mmより小さい。
さらに、上記平面形状の表示パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は、200mmより小さい。
【0009】
本発明は、上記表示装置の表示方法をさらに提供し、まず、各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に表示パネルの各レーザにその角度に対応する画素を表示させ、当該画素の輝度情報に応じて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して画像が形成する。
【0010】
さらに、本発明は、内層パネルと外層パネルからなる表示パネルが備えられる表示装置を提供し、
上記内層パネルと外層パネルは、人間の眼の前方に位置し、上記外層パネルから人間の眼までの距離は、上記内層パネルから人間の眼までの距離より大きく、
上記内層パネルには、光通過孔アレイが設けられ、
上記外層パネルには、発光画素アレイが設けられ、
上記発光画素アレイは、表示すべき画像に基いて発光し、
上記外層パネル上の発光画素は、上記内層パネル上の光通過孔と対応し、上記発光画素からの光は、上記内層パネル上の対応する光通過孔を通って眼球に向けた光ビームとなる。
【0011】
上記内層パネル上の光通過孔は、表示すべき画像に基づいて、開放したり、閉鎖したりできる。
上記発光画素の発光は、受動式発光である。
上記外層パネル上の発光画素と上記内層パネル上の光通過孔とが一対一で対応する。
上記表示装置において、上記光通過孔の直径は、1−500μm である。
上記表示装置において、上記内層パネルと上記外層パネルとの間に光通過性媒質が設けられ、好ましく上記光通過性媒質の屈折率が1−2.5である。
さらに、上記媒質材は好ましく、空気や透明樹脂、光学ガラス等から選択される。
上記表示装置において、好ましくは、上記外層パネル上の画素の直径は、1−500μmであり、上記内層パネル上の光通過孔の直径は、1−500μmである。
上記表示装置において、上記内層パネルから人間の眼の表面までの距離は、0.1−50mmであり、上記外層パネルから上記内層パネルまでの距離は、0.1−50mmである。
【0012】
上記表示装置において、上記外層パネルの発光画素が設けられていない箇所は、外光の通過が許可される。
【0013】
さらに、上記外層パネルは好ましくは、発光ダイオード表示パネルやレーザダイオード表示パネル、液晶表示パネル、OLEDパネルであり、電子インク等の表示に適切な装置であってもいい。
【0014】
さらに、上記液晶パネルは、バックライトが付いていない液晶パネルである。
上記内層パネルは好ましくは、液晶パネルであり、電子インク等光の通過が許可又は禁止される光通過孔アレイが形成できる装置であってもいい。
上記外層パネルは、単色パネルであってもいいし、カラーパネルでもいい。
好ましくは、上記内層パネルと外層パネルは、球面又は柱面、平面形状に形成され、その他の形状例えば、楕円体面や、放物面、双曲面等に形成されてもいい。
【0015】
さらに、上記球面形状の内層パネルの半径は、15mm −40mmであり、外層パネルの半径は、18mm−70mmである。上記柱面形状の内層パネルの半径は15mm −40mmであり、外層パネルの半径は、18mm−70mmである。上記平面形状の内層パネルから眼球センターまでの距離は15mm−40mmである。
さらに、上記球面形状の内層パネルと外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での開き角度は、180°より小さい。
さらに、上記柱面形状の内層パネルと外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは、200mmより小さい。
さらに、上記平面形状の内層パネルと外層パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は、200mmより小さい。
上記表示装置において、表示パネルが二つ備えられ、左右両眼にそれぞれ結像する。
さらに、上記二つの表示パネルに形成される画像間には、視差があり、立体表示が実現される。
【0016】
また、本発明は、上記二重パネル構成を有する表示装置の表示方法を提供し、まず、各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、入力された画像情報に基づいて、結像用のビームのすべてがトラバースして形成され、画像表示が完成する。
上記表示方法において、結像用のビームが同一タイミングに一本のみ形成されてもいいし、複数本形成されてもいい。
さらに、同一タイミングに結像用のビームが複数本形成される場合、同一タイミングに一つの光通過孔のみ開放される。
さらに、光通過孔が一つのみ開放される場合、当該光通過孔を通過する当該画像表示に必要なすべてのビームが同一タイミングに形成される。
さらに、結像用のビームが同一タイミングに複数本形成される場合、複数の光通過孔が同一タイミングに開放される。
さらに、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けられ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、一つのグループの光通過孔が同一タイミングに開放され、すべてのグループがトラバースして開放され、画像表示が実現される。
上記表示方法において、上記ビームは好ましく狭い光ビームである。
上記各種の表示方法において、上記画像情報には、各画像の画素の輝度、色、グレースケールなどの画像表示用の情報が一つ又は複数さらに含まれてもいい。
【0017】
本発明は、従来技術との顕著な区別点は、以下にある。本発明において、表示装置は制御可能なビームが利用されて、人間の眼の網膜に表示すべき画像が直接に書き込まれ、当該画像は、空間のある特定の箇所に位置する画像ではなく、角度座標に基づく画像である。人間の眼の限られた屈折度調整能力は、もう重要な因子ではなくなり、人間の眼は自発的に焦点調整して画像を観察する必要がなく、受動的に表示装置から書き込まれた画像が受けられ、視覚感知が形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の長所として、従来技術の視野が狭く、臨場感が低い欠点が克服され、視野が拡大されるとともに、表示装置のさらなる小型化が実現され、個人向けの近眼式表示技術であり、プライベート性がよく、表示装置の携帯化への応用、例えば携帯型個人電子製品、可視化移動通信、一人による作戦システムへの応用などにおいて、明るい未来が示された。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の基本原理を示す図である。
【図2】補助光線を利用して画像を形成する模式図である。
【図3】輻輳角を示す模式図であって、(a)は従来の両眼の視差を利用して立体像を形成する輻輳角の模式図を、(b)は本発明に係る表示装置において視差を利用して立体像を形成する輻輳角を示す模式図を、それぞれ示す。
【図4】実施例1の画像形成の模式図である。
【図5】実施例2に係る表示パネルの構成を示す模式図である。
【図6】実施例3に係る二重パネルの構成を示す模式図である。
【図7】実施例4に係る高解像度の二重パネルの構成を有する表示装置の画像形成の模式図である。
【図8】実施例4に係る表示装置のその他の二種類の画像形成方法を示す模式図である。
【図9】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【図10】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【図11】実施例4に係る三種類の表示方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
まず、人間の眼の光学模型について簡単に説明する。
人間の眼は、複数の屈折面による複雑な光学系であるとともに、屈折率もそれぞれ異なるので、精密に人間の眼の光学結像の計算は、難しい。実際の計算時に、簡素化及び近似処理がよく利用され、いくつかの眼の光学模型が得られる。ここで、よく利用されるのは、A.Gullstrand省略眼である。A.Gullstrand省略眼において、眼が単一球面の屈折系とされ、かつ、眼は単一の媒質からなり、その屈折率は、1.33であり、屈折面の曲率半径rは、5.7mmであり、省略眼のフロントフォーカスをf1=17.1mm、バックフォーカスをf2=1.33×f1=22.8mmとして算出でき、その屈折度Dは、58.48(m−1)である。眼の前後の焦点距離が等しくないのは、眼の物体側の屈折率と像側の屈折率とが異なることによるものであり、その結像式は、f1/u+1.33×f1/v=1となり、ここで、uは物体距離であり、vは像距離である。また、上記式が1/u+1.33/v=Dとして書かれてもいい。眼の模型は、教授活動や、医学及び光学機器の設計に広範的に応用される。本願の発明者は、眼科学に関する公知のデータに基づいて、当該省略眼の模型を少々拡充したところ、以下のものが得られた。即ち、調節能力については、正常状態である人間の眼の屈折度Dは、58−68(m−1)の範囲内に調整可能であり、そこで、結像式のf1 の範囲は、約14.71−17.24mmとなり、解像能力については、正常状態である人間の眼は、250mm離れた明視距離に最小に0.1mmの詳細が視認できるので、結像式に代入されると、u=250mmの際、v≒24mmであり、それで、網膜の最小の空間視認距離は、約0.1/250×24≒0.01(mm)=1×10−5mである。
【0021】
本発明の基本原理は、図1に示され、上記の人間の眼の光学模型が利用され、物体距離がuである箇所に、発光点があるとし、人間の眼に向けて出射されるビームの発散角度(円錐角)はθ0とし、瞳孔に形成されたライトスポットの直径はd1であり、人間の眼の屈折度はDであり、瞳孔から網膜までの距離は、L(L≒0.024m)であり、結果としては、網膜に形成されたライトスポットの直径はd0である。本発明において、θ0が非常に小さい場合に着目される。その場合、θ0≒tgθ0= d1/uという小さな角度の近似関係式が成立する。上記結像式により、d0=d1×|1−(D−1/u)×L/1.33|であり、L≒0.024mが代入されると、以下の関数式が得られる:
d0(D,u,θ0)≒θ0×|1+(1−0.018×D)×u| …(1)
式(1)におけるθ0の単位は、孤度であり、Dの単位は、m−1 であり、uの単位はmであり、ここで、0<u<1mの場合のみ検討する。Dは58−68(m−1) の範囲内で調整されるので、式(1)の絶対値の符号が省略できる。第一の場合は、以下の通りである。θ0とuは、d0≒θ0×(1−0.044×u)≦1×10−5mが満たされる場合、人間の眼は、どんなに屈折度が調整されても、図1におけるビームの網膜で形成されたライトスポットの直径d0が、網膜の最小の空間視認距離1×10−5mを超えられないので、眼は、任意のフォーカシング状態で、明確なライトスポットの視覚感知が一つしか形成できなく、またこれは網膜が感知できる最小のライトスポットである。第二の場合は、以下の通りである。θ0とuが、d0(58,u,θ0)− d0(68,u,θ0)≒0.18×θ0×u≦1×10−5mを満たす場合、人間の眼は、どんなに屈折度が調整されても、図1におけるビームの網膜で形成されたライトスポットの直径のd0の変化範囲は、網膜の最小の空間視認距離の1×10−5mを超えられないので、眼は、任意のフォーカシング状態で、明確なライトスポットの視覚感知が一つしか形成できなく、この場合のライトスポットは前者のより大きいが、人間の眼が焦点調整の範囲内でそのサイズの変化が感知できない。上記から明らかなように、網膜の空間視認率の制限と人間の眼の限られた屈折度調整能力によって、上記二つの場合において、人間の眼がどこにフォーカシングしても、図1における光ビームの網膜で形成された小さなライトスポットは、人間の視覚感知にとって、大きく変わったり(ぼやけたり)小さく変わったり(はっきりとなったり)することがない。それで、本発明において、人間の眼は、上記第一又は第二の場合が満足されるビームが網膜に書き込まれた画像を、単に受動的に受けるのみであり、従来のような自発的に焦点調整されて画像を見る必要はない。
【0022】
当業者にとって言うまでもなく、上記内容は、原理を説明するために構築された理論的な模型に過ぎなく、実際の応用において、任意の手法で形成された入射光については、網膜に形成したライトスポットの直径のサイズ又はその直径の変化範囲が網膜の最小の空間視認率と同一オーダー又はそれよりさらに小さい場合、人間の眼は、屈折度の調整で、このような小さなライトスポットをぼやけさせたりはっきりとさせたりできない。本発明において、このような、網膜に形成されたライトスポットの直径のサイズ又はその直径の変化範囲が網膜の最小の空間視認率と同一オーダー又はそれよりさらに小さい一つの光ビームを一つの狭い光ビームといい、又は一つの光と略称する。本発明に係る表示装置の結像は、人間の眼の自発的な焦点調整に頼る必要がなく、複数の狭い光ビームによって、直接に網膜へ一つ一つの小さなスポットが書き込まれることからなる。小さなスポット毎で一つの画素が表され、たくさんのこのようなスポットは、密集的に網膜に並べられ、眼が見える映像が形成される。眼の水晶体の調整能力が限られるため、これらのスポットのサイズが少ししか変えられず、また、網膜の空間視認率も限られているため、このような微小な変化が感知できなく、眼がどこにフォーカシングしても、網膜で感知された映像はほとんど変わりがない。故に、眼は、書き込まれた画像を単に受動的に受けるのみであり、自発的に画像を見るのではない、と言える。
【0023】
本発明において、結像時の役割の違いにより、眼に入射した光が、その延長線が眼球センターを通過するメイン光と、延長線が眼球センターを通過しない補助光との二種類に分けられる。周知のように、眼球が動く時、瞳孔の位置が眼球の表面に移動でき、瞳孔が某箇所に移動する場合、瞳孔に入射したメイン光は、最後に、網膜の黄斑の近くに照射して、眼の中心視覚に対応する。瞳孔に入射した補助光は、最後に網膜の黄斑から離れた箇所に照射して、眼の余光に対応する。
【0024】
人間の眼が三次元情報を獲得するルートは、遠い距離から近い距離まで、それぞれ、両眼視差(即ち、両眼で見た画像の微小区別であり、無限遠く〜10メートルほど)、両眼輻輳(即ち、両眼の視線による角度であり、10メートルほど〜明視距離)、片眼のフォーカシング(即ち、水晶体フォーカシング時に筋肉の緊張レベルであり、明視距離〜眼の近点)であり、これらのメカニズムの応用範囲は厳しいものではなく、大きい交差領域がある。一般的には、人間の三次元視覚の決定は、両眼視差と両眼輻輳であり、視対象が手前又はもっと近くに近づく場合、片眼のフォーカシングも機能する。
【0025】
人間は、両眼で外の情景を同時に観察する時、立体的な視覚が形成できるが、片眼は両眼視差と両眼輻輳が形成できないため、片眼のフォーカシングにより景色の距離の判断は難しい。片眼で見えるのは、異なる角度からの情報からなる画像しかなく、距離に対する感知がない。従って、片眼に対して結像する場合、距離と関係なく、眼により画像の角度情報のみを感知すればいい。これにより、片眼に結像する場合、距離情報が提供される代わりに、画像の各画素の眼球に対する角度や、その他、例えば輝度、色などの光学情報のみが提供されればいい。
【0026】
片眼に装着された表示装置により形成された一本のメイン光は、瞳孔に入射できれば、人間の眼の網膜にライトスポットが形成でき、一枚の画像の各画素に対応するメイン光は瞳孔に入射すれば、網膜に当該画像が結像でき、人間の眼は、当該画像も見えることになる。また、ライトスポットの直径の減少とメイン光の数の増加に伴い、人間の眼が見える画像はもっとはっきりとなる。
【0027】
図2に示されるように、人間の眼はある特定の方向を見つめる場合、眼の瞳孔の制限によって、メイン光のみにより結像する場合、見える角度範囲は、立体角Ωであり、当該立体角は、この時の瞳孔が眼球センターに対して開いた立体角と略等しい。人間の眼の視野を拡大させるために、補助光をさらに増やさなければいけない。図2に示されるように、延長線が眼球センターを通過するメイン光であるLmと延長線が眼球センターを通過しない補助光Laとは平行し、それらは、画像表示において同一画素の光学情報を表す。しかし、眼の瞳孔の制限によって、メイン光Lmは、瞳孔経由で人間の眼に入って結像ができなく、同一画素の光学情報を表す補助光Laは瞳孔経由で人間の眼に入って結像できる。従って、補助光の使用により、人間の眼がある特定の方向を見つめる時に受けた画像の視角を立体角Ωより大きくさせることができ、より大きい視野が得られる。
【0028】
本発明に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、まず、各画素の輝度とその角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に、表示装置に当該画素の輝度と角度情報と同一のメイン光と/又は補助光を形成させることにより、人間の眼に対して、一枚の画像が形成できる。
【0029】
本発明の実施例において、球座標を利用して説明する。上記球座標系は、以下の方法で構築されている。即ち、眼球センターを原点とし、頭部に対して上方をz軸、先方をy軸、右方をx軸とすることにより、直角座標系を構築し、公知の標準的な球座標―直角座標の変換規則により、当該直角座標系に対応する球座標系(θ,φ,r)を定義する。本発明の表示原理により、画像の各画素の球座標系での角度情報さえ分かれば、画像が表示でき、球座標の半径rは、本発明の関心する内容ではないので、以下の説明と検討において、普通、角度情報(θ,φ)しか提示せず、半径rに言及しないものとする。ここで構築された球座標系は、単に本発明の説明の便宜を図るためのものであり、当業者にとって、その他の座標系を利用して説明してもいいことは、言うまでもない。勿論、以下の具体的な説明において、必要に応じて変形させたりするが、本発明の実質的な内容には影響がない。
【0030】
さらに、具体的な実施例を参照しながら本発明に係る表示装置と表示方法を、以下に説明する。
【0031】
実施例1
本実施例の表示装置は図4に示されるように、レーザアレイが取り付けられたフラットレーザ表示パネルSと、上記レーザアレイが人間の眼の前方に固定されるためのパネル固定装置と、が主に備えられる。ここで、上記レーザアレイは600×400の固体レーザからなり、各レーザは表示パネルの一つの発光画素であり、かつ出射したレーザビームの断面直径は、5〜75マイクロメートルであり、本実施例においては、25マイクロメートルである。レーザビームの波長は0.77〜0.39マイクロメートルであり、本実施例においては、0.514マイクロメートルである。上記レーザ表示パネルのサイズは60mm×45mmであり、眼球センターから30mm離れている。上記レーザアレイの固体レーザは、均一に上記レーザ表示パネルに分布し、かつ各レーザからのレーザビームは、いずれも直接に眼球センターに入射する。
【0032】
本実施例に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、表示パネルの各レーザからのレーザビームの角度はすでに固定的であるので、まず、各画素の角度情報が含まれる画像情報が入力されて、次に、表示パネルの中の各レーザに、その角度と同一である画素を表示させ、当該画素の輝度情報に基づいて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して一枚の画像が形成できる。
【0033】
さらに、上記画像情報の中に、各画像の画素の輝度、色、グレースケールなどの画像表示用情報が一つ又は複数含まれてもいい。
【0034】
当業者にとって、入力される表示すべき画像が上記要求を満たさない場合、画像転換により、それが画素の角度等の情報に表される画像に転換されてから、上記レーザ表示パネルに伝送されて画像表示ができることは言うまでもない。
【0035】
上記表示パネルは、単色の表示パネルであり、カラー表示を実現するために、上記単色の表示パネルを構成する各レーザを波長が異なる複数の、例えばRGB三原色レーザのようなレーザに入れ替えればいい。
【0036】
上記表示パネルは、片眼に表示用であり、両眼の立体表示を実現するために、左右両眼に上記表示パネルを一つずつ装着し、それぞれに視差付きの画像を表示させればいい。
【0037】
普通、すべてのレーザデバイスの面積はレーザ表示パネルの総面積より小さくてもいい。従って、光透過性材料や光通過孔等により、光がレーザ表示パネル上の各レーザ間の区域を通過できる。このデザインの利点は、人間の眼はレーザ表示パネル上の光透過性区域を介して外の景色が観察でき、ひいては、表示パネルに表示された画像と外の現実景色の積み重ねが実現できることであり、それは、仮想現実技術にとって、重要なものである。
【0038】
本実施例において、フラットレーザアレイが表示パネルとされるが、実際に、必要に応じて、パネルを球面や柱面、楕円体面、放物面、双曲面などの任意の適当な形状にされてもいい。ここで、フラット表示パネルの場合、水平方向での長さが普通200mmより小さく、垂直方向での幅が普通200mmより小さく、表示パネルのサイズと解像度の違いによって、上記半導体レーザからの光ビームの断面直径は、1 −500マイクロメートルの範囲で変化していい。球面形状の表示装置の場合、眼球センターに対する開き角度は普通180度より小さい。柱面形状の表示装置の場合、眼球センターに対する水平方向での開き角度も普通180度より小さく、垂直方向での長さが普通200mmより小さい。各形状の表示パネルのセンターから眼球センターまでの距離は、15mm−70mmであってもいい。
【0039】
実施例2
本実施例は、実施例1に対して違う点は、出射ビームが眼球センターに向かう半導体レーザ以外に、出射ビームが眼球センターを通らずに眼球表面に入射する半導体レーザが含まれることである。具体的な配置は、図5に示される。図5において、実施例1元のレーザアレイの他に、各元のレーザAi,j(i=1,2,3,…,600,j=1,2,3,…,400)の周辺に、B1,0、B1,1、B0,1、B−1,1、B−1,0、B−1,−1、B0,−1、B1,−1というレーザBm,n(m=1,0,−1,n=1,0,−1)が8つ増やされ、また、当該9つのレーザは、3×3の配列に並べられる。ここで、元のレーザAi,jは、元の出射方向を維持するとともに、レーザBm,nの出射方向は、元レーザアレイのレーザA(i+9m), (j+9n)の出射方向と同一であり、当業者は、上記示唆により、その他の適当の方法でレーザを増やしてもいい。
【0040】
本実施例に係る表示装置の表示方法は、実施例1と同じである。本実施例に係る表示装置が利用されて画像が表示される場合、表示パネルのレーザそれぞれからのビームの角度は、すでに確定されたため、まず、各画素の輝度と角度情報が含まれる画像情報のみ入力され、次に、表示パネルのレーザそれぞれにその角度と同じである画素を表示させ、当該画素の輝度情報に基づいて、対応するビームが出力されることにより、人間の眼に一枚の画像が形成できる。
【0041】
人間の眼がある特定の方向を見つめる場合、眼の瞳孔の制限で、眼球センターを通る光のみにより結像する場合、見える角度は、立体角Ωのみであり、当該立体角は、この時の瞳孔の眼球センターに対して開いた立体角と略等しい。本実施例において、出射ビームが眼球センターを通らずに眼球表面に入射する半導体レーザLaが増やされた。図2に示されるように、半導体レーザLmからの眼球センターを通るビームは、第一半導体レーザLaからの眼球センターを通らないビームと平行し、これらは、画像表示において同一画素の光学情報を表す。しかし、眼の瞳孔の制限で、第二半導体レーザLmからのビームは、瞳孔を経由して眼に入れず、結像できないのに対し、同一画素の光学情報を表す第一半導体レーザLaからのビームは、瞳孔経由して眼に入って結像できる。よって、本実施例に係る表示装置により、眼がある特定の方向を見つめる場合受信した画像の視角を立体角Ωより大きくさせることができ、より広い視野が得られる。
【0042】
上記二つの実施例において、いずれもレーザアレイを本発明の表示パネルとした。その目的は、レーザが、特定の出射方向を持つとともに、出射ビームの断面直径が小さいビームを出射できる利点を利用する。実は、このようなビームを形成させるために、レーザの外、以下に紹介する二重パネルの構成が利用されてもいい。
【0043】
上記二重パネル構成とは、表示装置の構成が外層パネルと内層パネルを含む構成であり、上記外層パネルから人間の眼の表面までの距離は、内層パネルから人間の眼の表面までの距離より大きい。外層パネルは、制御可能な画素ドットを作る機能があり、内層パネルは、制御可能な光通過孔により画素ドットからの光を特定の出射方向とより小さな断面径(普通0.5mmより小さい)を持つ出射ビーム、即ち原理に記載した狭い光ビームに制限する機能がある。内層パネル上の光通過孔と外層パネル上の発光画素は、それぞれ二次元アレイを形成し、各アレイにおける光通過孔又は発光画素は、下付きの(i, j)で唯一に特定できる。外層パネルの発光ドット(i2, j2)が内層パネルの光通過孔(i1, j1)を通ることにより形成した内層パネルから眼への狭い光ビームは、下付き対(i1, j1; i2, j2)により、唯一に確定される。
【0044】
以下の実施例すべては、二重パネルに基づいた設計である。内層パネル上の光通過孔と外層パネル上の発光画素とは、数量が同じであるとともに一対一で対応する場合、内外層のパネルの対応する一対の光通過孔と発光画素は、下付きが同じである。設計の要求により、すべてのビーム(i, j;i,j)の内層パネルから眼球表面までの線分の延長線は眼球センターを通り、即ちメイン光となり、且つこれらの延長線は、上記眼球センターを原点とする球座標系における角度座標(θi, φj)は、それぞれΔθ=θi+1−θi、Δφ=φj+1−φjという等間隔で均一に分布している。メイン光の角度座標が確定された以上、当業者は、内層パネルの形状と位置に基づいて、内層パネル上の光通過孔の位置であるメイン光と内層パネルとの交差点が算出でき、さらに外層パネルの形状と位置とパネル間の媒質の屈折率nとに基づいて、外層パネル上のすべての発光画素位置が算出できる。
【0045】
実施例3
本実施例に係る表示装置は、図6に示されるように、表示パネルは、内層パネルと外層パネルからなり、上記内層パネルは、60mm×45mmのフラットパネルとし、その上に、直径20マイクロメートルの20×15個の微細光通過孔が分布し、外層パネルは、70mm×70mmのOLEDフラット表示パネルとし、その上には、直径20マイクロメートルの20×15個の発光画素が分布し、内外層パネル間の間隔は5mmである。内層パネルは、眼の正面の先方に位置し、眼球センターから27mm離れ、その四つの頂点から眼球センターまでの距離が等しい。同様に、外層パネルは、眼の正面の先方に位置し、眼球センターから32mm離れ、その四つの頂点から眼球センターまでの距離も等しい。上記光通過孔と上記発光画素とが一対一で対応する場合、対応する光通過孔と発光画素の位置は、図6に示され、眼球センターを原点とする球座標系において、半直線のグループKp,q(45°+(90°/19)p,−37°+(74°/14)q)に含まれる20×15本の半直線は、上記内層パネルと外層パネルとそれぞれ20×15個の交差点で交差し、ここで、p=0,1,…,19,q=0,1,…,14であり、上記交差点の位置は上記光通過孔又は上記発光画素の位置である。このような光通過孔と発光画素の希薄な分布形態により、外層パネル上の各発光画素からの光が対応する光通過孔を通ってから眼球センターに直接入射する狭い光ビームになり、当該発光画素からの光がその他の光通過孔を通って形成した狭い光ビームは眼球表面に入射しない。
【0046】
本実施例に係る表示装置を利用して画像を表示する場合、二重表示パネルにおける延長線が眼球センターを通る狭い光ビームの角度はすでに確定されたので、まず、各画素の輝度と角度情報が含まれる画像情報のみ入力され、次に、外層パネルにおける各発光画素に、当該発光画素に形成された眼球センターへの狭い光ビームの角度と同じである画像の画素を表示させ、当該画像の画素の輝度情報に基づいて表示が行われ、人間の眼に一枚の画像が形成できる。
【0047】
本実施例に係る装置において、上記外層パネルは、好ましくは、LED表示パネル、レーザダイオード表示パネル、液晶パネルであり、電子インク(傅相▲楷▼、羅偉、「機能材料」 2005年第10期(36巻)、1477−1481ページ)等の表示に適切な装置であってもいい。これらのパネルは、単色でもいいし、カラーでもいい。ここで、外層パネルに使用される液晶表示パネルは、普通のバックライト付きの自発発光型液晶ディスプレーデバイスでもいいし、バックライトがない受動発光型液晶ディスプレーデバイスでもいい。当該受動発光型液晶ディスプレーデバイスは、日光又は環境光をバックライトとしても、同じような良好な表示効果を見せる。上記受動発光とは、発光画素それ自体が発光せずに、外の背景光によって画素を表示させることをいう。
【0048】
本実施例の内層パネルは、光の通過を許可又は阻止できる光通過孔アレイを形成できる液晶パネルや電子インク等の装置が利用されてもいいが、好ましくは、液晶パネルが利用される。
【0049】
内層パネル上の光通過孔の直径は、普通500マイクロメートルより小さく、好ましくは1−100マイクロメートルであり、外層パネル上の画素直径は、普通500マイクロメートルより小さく、好ましくは1−100マイクロメートルであり、上記内層パネルから眼球表面までの距離は、0.1mm〜50mmであり、上記外層パネルから内層パネルまでの距離は、0.1mm〜50mmである。また、外層パネルと内層パネルが球面や、柱面又は平面形状であってもいい。楕円体面、放物面、双曲面などその他の形状であってもいい。球面形状の表示パネルの場合、内層パネルの半径は15mm−40mmであり、外層パネルの半径は18−70mmであり、上記内外層パネルの眼球センターに対する開き角度は、180°より小さい。柱面形状の表示パネルの場合、内層パネルの半径は15mm−40mmであり、外層パネルの半径は18−70mmであり、上記内外層パネルの眼球センターに対する水平方向での開き角度は、180°より小さく、垂直方向での長さは200mmより小さい。平面形状の表示パネルの場合、内層パネルから眼球センターまでの距離は、15mm−40mmであり、内外層パネルの水平方向での長さは、200mmより小さく、垂直方向での幅は200mm より小さい。
【0050】
本実施例において、上記内外層パネル間には、光透過性の媒質がさらに設けられてもいい。上記光透過性の媒質の屈折率は、普通好ましくは1−2.5であり、光透過性の媒質材は、好ましくは透明樹脂と光学ガラス等から選ばれる。内外層パネル間に光透過性の媒質が設けられる場合、外層パネル上の発光画素からの光が光透過性の媒質により屈折され且つ内層パネルの光通過孔を通ってから眼球センターに向けるビームになるように、外層パネル上の発光画素の位置が適当に調整される必要があることは、当業者にとって、公知である。
【0051】
上記表示装置において、上記外層パネルの発光画素が設けられない箇所は、外光の通過が許可される。例えば、光透過性材で外層パネルが製造され、又は外層パネル材が非光透過性であるが、複数の光通過孔が設けられることにより、外光の通過も許可される目的にも達成できる。
【0052】
上記二重表示パネルは、片眼に対して表示する用のワンセットの表示パネルであり、両眼に立体表示できるために、左右両眼に上記ワンセットの表示パネルを一つずつ装着し、それぞれ視差付きの画像を表示させればいい。
【0053】
実施例4
上記実施例3に係る表示装置の解像度は、20×15のみであり、結像に使われる光は、メイン光しかなく、もっとはっきりとした画像及び眼の視野の拡大ができるために、表示装置の解像度を高め、かつ補助光を十分に利用しなければならない。最も簡単な方法は、外層パネルの発光画素と内層パネルの光通過孔の数を増やすことであり、メイン光の数を増やすだけではなく、結像用に補助光も数多く形成できる。
【0054】
しかし、図7に示されるように、外層パネルの発光画素或は内層パネルの光通過孔数の増加に伴い、Y1は、画像を表示するために形成された狭い光ビームであり、光通過孔Aと光通過孔Bの距離が比較的小さいので、外層パネルの発光画素Dからの光は光通過孔Aを通って狭い光ビームY1に形成するとともに、光通過孔Bも通って、輝度、色等の光学情報がY1と同じである狭い光ビームY2に形成する。上記説明から分かるように、狭い光ビームY2が結像する時、角度(θ2,φ2)の画素を表す。画像表示において、角度(θ2,φ2)の画素とY1に表される角度(θ1,φ1)の画素とは必ずしも一致するとは限らないということは、明らかである。よって、狭い光ビームY2の発生は、避けるべきである。実施例3の構成は、すでに適当ではなくなり、内層パネルの光通過孔の開放と閉塞の制御が必要になる。図7に示される場合、狭い光ビームY1の形成が必要になる時、光通過孔Bを閉塞するだけで、Y2の発生を避けることができる。
【0055】
上記説明に基づいて、本実施例が提供した表示装置は、外層パネルであるOLEDフラット表示パネルに800×600個数の発光画素が分布し、各発光画素の直径は、20μmであり、内層パネルには、解像度800×600の液晶パネルが使用され、液晶格子ドットの直径は20μmであり、その他のパラメータと構成は、実施例3と同じである。
【0056】
本実施例の表示方法を説明する前に、まず、干渉孔と関係区域の概念について紹介する。上記一つの光通過孔の外層パネルでの関係区域とは、この区域内の発光画素からの光が光通過孔を通ってから形成した狭い光ビームしか人間の眼の表面に入射できないことである。図8に示されるように、光通過孔E1と光通過孔E2の関係区域は、それぞれK1とK2であり、K1とK2は共通画素を有する場合、E1とE2を干渉光通過孔と呼ぶ。
【0057】
本実施例に係る二重パネル表示装置において、まず画像情報が入力され、次に入力された画像情報に基づいて、結像するためのすべての狭い光ビームがトラバースして生成され、画像表示が完成する。上記画像情報には、各画像の画素の角度情報が含まれ、輝度、色、グレースケール等の画像表示用の情報が含まれてもいい。
【0058】
上記表示方法において、トラバースして形成されたすべての結像用の狭い光ビームについては、結像用の狭い光ビームが同一タイミングに一本しか形成されなくてもいいし、複数本形成されてもいい。結像用の狭い光ビームが同一タイミングに複数本形成される場合、光通過孔が同一タイミングに、一つのみ開放されてもいいし、複数開放されてもいい。
【0059】
同一タイミングに光通過孔が一つのみ開放される場合、画像表示に必要な当該光通過孔を通る狭い光ビームが同一タイミングに複数本形成されてもよく、好ましくは、画像表示に必要な当該光通過孔を通る狭い光ビームすべてが同一タイミングに形成される。
【0060】
同一タイミングに光通過孔が複数開放される場合、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けられ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、一つのグループの光通過孔が同一タイミングに開放され、トラバースしてすべてのグループが開放されて、画像表示が実現できる。
【0061】
本実施例の表示方法をさらに詳しく説明するために、三種類の具体的な表示方法を以下に挙げる。
【0062】
第一種表示方法は、入力された画像情報に基づいて、一回毎に狭い光ビームが一本のみ形成されて結像し、結像用の狭い光ビームすべてが一回ずつ形成された後、人間の眼の視覚残像現象により、一つの揃った画像が見える。当該方法の流れは、図9に示されるように、以下の通りである。
(1)まず、角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つの光通過孔Hを選定する。
(3)次に、選定された光通過孔Hを開放し、光通過孔Hの外層パネルでの関係区域K及び区域K内のすべての画素の集合Cを確定する。
(4)集合Cから一つの画素Pを選定する。
(5)選定した画素Pをライトさせ、PとHの組み合わせによるビームの角度は、(θ,φ)であり、画素Pの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θ,φ) に最も近い角度座標(θi,φj)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(6)集合Cの画素すべてが一回ずつ発光したかを判断し、否定の結論であれば、集合Cにおいて別の発光していなかった一つの画素を新しい画素Pとして選定し、上記ステップ(5)を繰り返す。肯定の結論であれば、ステップ(7)に入る。
(7)内層パネル上の光通過孔すべてが一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、別の開けられていなかった一つの光通過孔を、新しい光通過孔Hとして選定し、上記ステップ(3)−(6)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0063】
第二種の表示方法は、毎回、内層パネル上の光通過孔が一つしか開放されなく、図8に示されるように、本実施例に係る表示装置が利用されて結像する場合、一つの光通過孔E1が開放されることにより、結像に必要な複数の狭い光ビーム、例えば、LF1、LG1、LH1が同時に形成できる。ここで、狭い光ビームのLF1、LG1、LH1はそれぞれ異なる角度の画素情報を表し、これらは、外層パネル上の発光画素F1、G1、H1と光通過孔Eとにより形成され、このようなF1、G1、H1すべては、いずれも一つの関係区域K1内に位置する。このように、一つの光通過孔が開かれる度に、当該光通過孔を通る当該画像表示に必要な狭い光ビームすべてが同時に形成され、これらの狭い光ビームは、外層パネルにおける当該光通過孔の関係区域内の画素により形成されたものであり、内層パネルにおけるすべての光通過孔が逐次に一回ずつ開かれれば、一枚の画像表示が完成できる。当該表示方法の流れは、図10に示されるように、以下のステップを含む。
(1)角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つの光通過孔Hを選定する。
(3)選定された光通過孔Hを開けて、光通過孔Hの外層パネルでの関係区域K及び区域K内のすべての画素の集合Cを確定する。
(4)逐次又は同時に集合Cのすべての画素Pkをライトさせ、PkとHの組み合わせにより形成されたビームの角度は、(θk,φk)であり、各画素Pkの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θk,φk)に最も近い角度座標(θik,φjk)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(5)内層パネル上の光通過孔すべてが一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、別の開けられていなかった一つの光通過孔を、新しい光通過孔Hとして選定し、上記ステップ(3)と(4)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0064】
第三種表示方法は、図8を参照してもいい。表示効率を高めるために、できるだけ多くの光通過孔が同時に開かれるべきであるが、干渉する光通過孔が同時に開かれるならば、結果は図7に示されるように、誤った狭い光ビームが形成されるので、干渉しない光通過孔しか同時に開けられない。例えば、内層パネル上のすべての光通過孔が複数のグループに分けれ、各グループ内の光通過孔同士は、互いに干渉せず、画像表示する時、同一タイミングに一つの該グループの光通過孔が開放され、外層パネルにおける関係区域の画素の発光により当該画像表示に必要な狭い光ビームが形成され、内層パネル上の光通過孔すべてがグループ毎に開放されれば、画像表示が完成する。当該表示方法の流れは、図11に示されるように、以下のステップを有する。
(1)角度(θi,φj)を座標とするデジタル化された表示すべき画像を入力する。
(2)内層パネルで、一つのグループとして(複数)互いに関連しない光通過孔Hqを選定する。
(3)選定された光通過孔Hqすべてを同時に開けて、各光通過孔Hqの外層パネルでの関係区域Kq及び区域Kq内のすべての画素の集合Cqを確定する。
(4) 集合Cq毎に、逐次又は同時にCqの中の画素Pqkすべてをライトし、PqkとHqの組み合わせによるビームの角度は、(θqk,φqk)であり、各画素Pqkの輝度、色等の光学情報は、入力された表示すべき画像の、(θqk,φqk)に最も近い角度座標(θiqk,φjqk)での画素の輝度、色等の光学情報に等しい。
(5)内層パネル上のすべての光通過孔が一回ずつ開けられたかを判断し、否定の結論であれば、内層パネルにおいて、開けられていなかったかつ互いに関連しない一つのグループ(複数)の光通過孔を、新しい光通過孔Hqとして選定し、上記ステップ(3)と(4)を繰り返す。肯定の結論であれば、表示を終了し、当該画像の表示を完成する。
【0065】
入力された球座標の角度で表された画像は、角度座標が離散し、上記実施例3、4に記載の二重パネルにおいて、その構成上の原因で、形成された狭い光ビームの角度は、離散した角度座標値とちょうど等しくなるのは難しいことは、当業者にとって言うまでもない。例えば、入力された画像情報において、隣り合う二つの画素P1とP2の座標は、それぞれ(10°,20°)と(11°,20°)であり、二重パネルにより形成できるある狭い光ビームの角度は、(10.2°,20°)であり、設計の需要に応じて、当業者は当該狭い光ビームで画素P1を表し、又は当該狭い光ビームを形成せず、又は画像転換装置を設けることにより、入力された画像を表示パネルの入力端が受け入れ可能な形式、例えば、差を採用する計算方法に転換したりできる。それは、当業者にとって、公知であり、その説明をここで省略する。
【0066】
実施例1−4は、いずれも片眼に対して結像するための表示装置であるが、本発明による表示装置を両眼の前方に一つずつ使用すれば、両眼表示が実現でき、二つの表示装置に表示された画像に視差を持たせば、立体表示が実現できることは、当業者にとって、明らかである。
【0067】
従来の三次元立体表示技術において、人工による立体視覚は、自然状態で得た真の三次元視覚と同じ感覚に達成できなくて、視覚疲労を起こす。両眼輻輳角と焦点調整との不一致は、大きな原因の一つである。図3(a)に示される例において、三次元画像における点P3Dは、左右両眼に呈する視差画像においてPLとPRと対応され、左眼ELからPLまでの線と右眼ERからPRまでの線とは、空間点P3Dに交差し、この夾角δは両眼輻輳角である。輻輳角δによって、より近いP3Dの位置にフォーカシングするように眼筋は調整されるが、画像をもっとはっきりとさせるために、左右両眼をより遠いPLとPRの位置にフォーカシングする必要があり、この矛盾で、眼の不快感や疲労が起きてしまう。
【0068】
本発明は、近眼の狭い光ビームの方法で画像点が形成され、眼は単に受動的に光を受け、そのフォーカスの可能な範囲内での任意調整が結像品質に与える影響は、無視できる。図3(b)に示される例においては、三次元画像における点P3D’は、左右二つの近眼表示パネルMLとMRからの二本の光の逆方向での延長線の交差により得られたものであり、二本光の夾角δ’は両眼輻輳角である。輻輳角δ’によって、眼筋はフォーカスをP3Dの位置に調整する。上記のように、このフォーカシングの状態で見た画像ははっきりであるので、両眼輻輳とフォーカス調整との二つの機構で得られた距離感は完全に同一であり、自然状態で真の三次元の情景を見る場合と変わりがなく、眼が疲れたりしない。これは、本発明による更なる有益な効果である。
【0069】
本発明の表示装置と表示方法は、強力な三次元立体表示技術であり、従来の三次元表示技術と比べれば、原理上、両眼輻輳角と焦点調整との矛盾による視覚疲労がなくされ、視野範囲が大きく広められ、強い臨場感がもたらされてくると同時に、多種類の仮想現実応用の基礎である仮想世界と現実世界との嵌合表示が実現できた。可視化プロジェクトの設計、科学研究、教育、娯楽、芸術創作、医学診療、ロボット作業、モニタリング、災難救助といった諸分野で強く期待されている。
【0070】
以上、表示装置における表示パネルの構成のみについて説明したが、様々な機能と設計の需要に応じて、具体的な表示装置に対して、例えば、入力された画像を本発明の表示装置に必要な画像書式に変換するための画像転換モジュールや、オーディオ信号を出力・入力するためのオーディオモジュール、表示装置における各モジュールの動作を制御と調合するための制御モジュールと、その他の機器間でビデオやオーディオなどのデータを交換するための無線通信モジュール、表示装置に電源を提供する電源モジュール、頭部と/又は四肢運動を感知するためのセンサモジュール、及び関連する入力設備などといった各機能モジュールを増やしてもいいことは、当業者にとっていうまでもない。
【0071】
本発明による表示装置は、テレビや、携帯電話、コンピュータ等のデータ端末の表示に使われてもいいし、頭部装着式表示装置として、携帯型個人電子製品、可視化移動通信、一人による作戦システム、可視化プロジェクト設計、科学研究、教育、娯楽、芸術創作、医学診療、ロボット作業、モニタリング、災難救助等の諸分野での応用は、大きく期待されている。
【0072】
以上、本発明の具体的な実施例を参照しながら、本発明の技術案を詳細に説明したが、上記実施例は、本発明の保護請求の範囲を限定するものではなく、特許請求の範囲に準ずることは、いうまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルが備えられる表示装置において、上記表示パネルは、レーザアレイからなり、上記レーザアレイにおけるレーザにより、表示すべき画像の画素に基づいて対応する角度のレーザビームを出射し、当該レーザビームは人間の眼に入射されて、網膜に結像する表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、上記レーザからのレーザビームの断面直径は、500μmより小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置の表示方法であって、まず各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に表示パネルの各レーザにその角度に対応する画素を表示させ、当該画素の輝度情報に応じて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して画像が形成される表示方法。
【請求項4】
内層パネルと外層パネルからなる表示パネルが備えられる表示装置であり、
上記内層パネルと外層パネルは、人間の眼の前方に位置し、上記外層パネルから人間の眼までの距離は、上記内層パネルから人間の眼までの距離より大きく、
上記内層パネルには、光通過孔アレイが設けられ、
上記外層パネルには、発光画素アレイが設けられ、
上記発光画素アレイは、表示すべき画像に基づいて発光し、
上記外層パネル上の発光画素は、上記内層パネル上の光通過孔と対応し、上記発光画素からの光は、上記内層パネル上の対応する光通過孔を通って眼球に向けたビームとなる表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の表示装置において、上記内層パネル上の光通過孔は、表示すべき画像に基づいて、開放したり閉鎖したりすることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項3−5のいずれか記載の二重パネル構成を有する表示装置の表示方法であり、まず各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、入力された画像情報によって、結像用のビームすべてがトラバースして形成され、画像表示が完成する表示方法。
【請求項7】
請求項6記載の表示方法において、一本又は複数本の結像用のビームが同一タイミングに形成されることを特徴とする表示方法。
【請求項8】
請求項3又は6−7のいずれか記載の二重パネル構成を有する表示装置の表示方法において、上記画像情報には、各画像の画素の輝度、色、グレースケールのうち、一つ又は複数の情報がさらに含まれることを特徴とする表示方法。
【請求項9】
頭部装着型表示装置であり、それぞれ左右両眼の先方に位置する請求項1または2、4、5のいずれか記載の表示装置が二つ備えられる表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の頭部装着型表示装置の表示方法において、上記二つの表示パネルは、それぞれ左右両眼に結像することを特徴とする表示方法。
【請求項1】
表示パネルが備えられる表示装置において、上記表示パネルは、レーザアレイからなり、上記レーザアレイにおけるレーザにより、表示すべき画像の画素に基づいて対応する角度のレーザビームを出射し、当該レーザビームは人間の眼に入射されて、網膜に結像する表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、上記レーザからのレーザビームの断面直径は、500μmより小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置の表示方法であって、まず各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、次に表示パネルの各レーザにその角度に対応する画素を表示させ、当該画素の輝度情報に応じて、対応するレーザビームが出力されることにより、人間の眼に対して画像が形成される表示方法。
【請求項4】
内層パネルと外層パネルからなる表示パネルが備えられる表示装置であり、
上記内層パネルと外層パネルは、人間の眼の前方に位置し、上記外層パネルから人間の眼までの距離は、上記内層パネルから人間の眼までの距離より大きく、
上記内層パネルには、光通過孔アレイが設けられ、
上記外層パネルには、発光画素アレイが設けられ、
上記発光画素アレイは、表示すべき画像に基づいて発光し、
上記外層パネル上の発光画素は、上記内層パネル上の光通過孔と対応し、上記発光画素からの光は、上記内層パネル上の対応する光通過孔を通って眼球に向けたビームとなる表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の表示装置において、上記内層パネル上の光通過孔は、表示すべき画像に基づいて、開放したり閉鎖したりすることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項3−5のいずれか記載の二重パネル構成を有する表示装置の表示方法であり、まず各画像の画素の角度情報が含まれる画像情報が入力され、入力された画像情報によって、結像用のビームすべてがトラバースして形成され、画像表示が完成する表示方法。
【請求項7】
請求項6記載の表示方法において、一本又は複数本の結像用のビームが同一タイミングに形成されることを特徴とする表示方法。
【請求項8】
請求項3又は6−7のいずれか記載の二重パネル構成を有する表示装置の表示方法において、上記画像情報には、各画像の画素の輝度、色、グレースケールのうち、一つ又は複数の情報がさらに含まれることを特徴とする表示方法。
【請求項9】
頭部装着型表示装置であり、それぞれ左右両眼の先方に位置する請求項1または2、4、5のいずれか記載の表示装置が二つ備えられる表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の頭部装着型表示装置の表示方法において、上記二つの表示パネルは、それぞれ左右両眼に結像することを特徴とする表示方法。
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【公表番号】特表2011−501822(P2011−501822A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529213(P2010−529213)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001733
【国際公開番号】WO2009/052698
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510108009)北京寧靜▲海▼科技有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】OCEAN OF PEACE SCIENTIFICBEIJING LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 5819, 5F, SHENCHANG BUILDING, NO.51 ZHICHUN ROAD, HAIDIAN DISTRICT, BEIJING,CHINA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001733
【国際公開番号】WO2009/052698
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510108009)北京寧靜▲海▼科技有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】OCEAN OF PEACE SCIENTIFICBEIJING LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 5819, 5F, SHENCHANG BUILDING, NO.51 ZHICHUN ROAD, HAIDIAN DISTRICT, BEIJING,CHINA
【Fターム(参考)】
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