説明

表示装置及びその製造方法

【課題】光利用効率が高く生産性の高い表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、主基板と、光制御層と、を含む表示装置が提供される。光制御層は、主基板と積層される。主基板は、主基体上に設けられた波長選択透過層と、回路層と、を有する。波長選択透過層は、下側反射層と、下側反射層の上に設けられた上側反射層と、下側反射層と上側反射層との間に設けられた第1スペーサ層及び第2スペーサ層を含む。第2スペーサ層の厚さは第1スペーサ層とは異なる。回路層は、主基体の主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに第1、第2スペーサ層と重なる部分を有する第1、第2画素電極を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2枚の基板の間に液晶層を設けた液晶表示装置などの表示装置において、複数の画素のそれぞれに青、緑及び赤のカラーフィルタを設けることでカラー表示が行われる。カラーフィルタとして、特定の波長の光を吸収するカラーフィルタを用い、高い色再現性を得ようとすると、カラーフィルタの吸収により、光の利用効率が低下し、表示が暗くなる。
このような表示装置において、光利用効率を高めることと同時に生産性を高めることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−304696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、光利用効率が高く生産性の高い表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、主基板と、光制御層と、を含む表示装置が提供される。前記光制御層は、前記主基板と積層され、光学特性が可変である。前記主基板は、主面を有する主基体と、前記主面上に設けられた波長選択透過層と、前記波長選択透過層の上に設けられた回路層と、を有する。前記波長選択透過層は、下側反射層と、前記下側反射層の上に設けられた上側反射層と、前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられた第1スペーサ層と、前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられ前記主面に対して平行な第1面内で前記第1スペーサ層と並置され前記第1スペーサ層の厚さとは異なる厚さを有する第2スペーサ層と、を含む。前記回路層は、前記主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに前記第1スペーサ層と重なる部分を有する第1画素電極と、前記第1方向に沿って見たときに前記第2スペーサ層と重なる部分を有する第2画素電極と、前記第1画素電極に接続された第1スイッチング素子と、前記第2画素電極に接続された第2スイッチング素子と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置の一部を拡大して示す模式的断面図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、第1の実施形態に係る別の表示装置を示す模式的断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、材料の光学特性を示すグラフ図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係る表示装置の特性を示すグラフ図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る表示装置の特性を示すグラフ図である。
【図8】第1の実施形態に係る表示装置の動作を示す模式図である。
【図9】第1の実施形態に係る表示装置の特性を示すグラフ図である。
【図10】図10(a)〜図10(c)は、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【図12】第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的断面図である。
【図13】第1の実施形態に係る別の表示装置を示す模式的断面図である。
【図14】第1の実施形態に係る別の表示装置を示す模式的断面図である。
【図15】第1の実施形態に係る別の表示装置を示す模式的断面図である。
【図16】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図17】図17(a)〜図17(c)は、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る表示装置の例として、液晶を用いる液晶表示装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の構成の一部を拡大して例示する模式的断面図である。
【0009】
図1及び図2に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、主基板10と、光制御層50と、を含む。
【0010】
光制御層50は、主基板10と積層される。光制御層50の光学特性は可変である。光制御層50として、例えば、液晶層が用いられる。表示装置110は、波長選択吸収層40をさらに含んでも良い。波長選択吸収層40は、主基板10と積層される。
【0011】
本願明細書において、積層されている状態は、直接重ねられる状態に加え、間に別の要素が挿入された状態で重ねられる状態を含む。
【0012】
主基板10は、主基体11と、波長選択透過層20と、回路層30と、を含む。主基体11は、主面11aを有する。主基体11には、例えば、ガラスまたは樹脂などが用いられる。主基体11は、例えば光透過性である。
【0013】
波長選択透過層20は、主面11a上に設けられる。回路層30は、波長選択透過層20の上に設けられる。すなわち、波長選択透過層20は、主基体11と回路層30との間に設けられる。
【0014】
ここで、主面11aに対して垂直な方向をZ軸方向(第1方向)とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向(第2方向)とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な軸をY軸方向とする。
【0015】
波長選択透過層20は、下側反射層21と、上側反射層22と、中間層23と、を含む。上側反射層22は、下側反射層21の上に設けられる。中間層23は、下側反射層21と上側反射層22との間に設けられる。
【0016】
本願明細書において、上に設けられている状態は、接して上に配置される状態に加え、間に別の要素が挿入されて上に配置される状態を含む。
【0017】
波長選択透過層20は、複数の領域(第1領域20a及び第2領域20bなど)を有する。この例では、波長選択透過層20は、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cを有する。第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれは、X−Y平面内において、複数の設けられる。
【0018】
中間層23は、上記の複数の領域に対応して複数の層を有する。例えば、中間層23は、第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bを含む。中間層23は、さらに第3スペーサ層23cを含むことができる。
【0019】
すなわち、波長選択透過層20は、第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bを含むことができる。第1スペーサ層23aは、下側反射層21と上側反射層22との間に設けられる。第2スペーサ層23bは、下側反射層21と上側反射層22との間に設けられる。第2スペーサ層23bは、主面11aに対して平行な第1面内(X−Y平面内)で、第1スペーサ層23aと並置される。第2スペーサ層23bは、第1スペーサ層23aの厚さとは異なる厚さを有する。
【0020】
波長選択透過層20のうちの下側反射層21と第1スペーサ層23aと上側反射層22とを含む領域が、第1領域20aとなる。波長選択透過層20のうちの下側反射層21と第2スペーサ層23bと上側反射層22とを含む領域が、第2領域20bとなる。
【0021】
本具体例では、波長選択透過層20は、第3スペーサ層23cをさらに含む。第3スペーサ層23cは、下側反射層21と上側反射層22との間に設けられ、X−Y平面内で第1スペーサ層23a(及び第2スペーサ層23b)と並置される。第3スペーサ層23cは、第1スペーサ層23aの厚さとは異なり第2スペーサ層23bの厚さとも異なる厚さを有する。
【0022】
例えば、波長選択透過層20のうちの下側反射層21と第3スペーサ層23cと上側反射層22とを含む領域が、第3領域20cとなる。
【0023】
下側反射層21及び上側反射層22は、可視光に対して反射性と透過性とを有する。後述するように、第1領域20aは、第1の色の干渉フィルタとなる。第2領域20bは、第2の色の干渉フィルタとなる。そして、第3領域20cは、第3の色の干渉フィルタとなる。すなわち、この例では、3色の領域が設けられる。
【0024】
ただし、実施形態はこれに限らない。例えば、第3領域20cが設けられず、2色の領域が設けられても良い。また、さらに第4領域を設け、4色の領域が設けられても良い。このように、実施形態において、色の種類は任意である。
【0025】
また、第3領域20cが設けられる場合において、下側反射層21及び上側反射層22の構成によっては、第3スペーサ層23cは省略されても良い。この場合、第3領域20cにおいては、下側反射層21と上側反射層22とは接する。すなわち、波長選択透過層20は、下側反射層21と上側反射層22との間に設けられX−Y平面内で第1スペーサ層が設けられる領域(第1領域20a)及び第2スペーサ層が設けられる領域(第2領域20b)と並置された領域(第3領域20c)を有することができる。
【0026】
波長選択透過層20は、層間膜29をさらに含んでも良い。層間膜29は、上側反射層22と回路層30との間に設けられる。層間膜29は、例えば、上側反射層22の上面を平坦化する。層間膜29には、例えば、下側反射層21、中間層23及び上側反射層22の少なくともいずれかに用いられる材料を用いることができる。層間膜29は、必要に応じて設けられ、省略しても良い。波長選択透過層20の構成の例については、後述する。
【0027】
回路層30は、複数の画素領域(第1画素領域30a及び第2画素領域30bなど)を有する。この例では、回路層30は、第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cを有する。第1画素領域30a、第2画素領域30b及び第3画素領域30cのそれぞれは、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれに対応する。
【0028】
図2に表したように、複数の画素領域のそれぞれには、画素電極とスイッチング素子とが設けられる。
具体的には、回路層30は、第1画素電極31a、第2画素電極31b、第1スイッチング素子32a及び第2スイッチング素子32bを含む。
第1画素電極31aは、Z軸方向に沿って見たときに第1スペーサ層23aと重なる部分を有する。第2画素電極31bは、Z軸方向に沿って見たときに第2スペーサ層23bと重なる部分を有する。第1スイッチング素子32aは、第1画素電極31aに接続される。第2スイッチング素子32bは、第2画素電極31bに接続される。
【0029】
この例では、回路層30は、第3画素電極31cと第3スイッチング素子32cとをさらに含む。第3画素電極31cは、Z軸方向に沿って見たときに第3スペーサ層23cと重なる部分を有する。すなわち、第3画素電極31cは、第1領域20a及び第2領域20bと、Z軸方向に沿って見たときに並置された領域(第3領域20c)と重なる部分を有する。第3スイッチング素子32cは、第3画素電極31cに接続される。
【0030】
第1〜第3スイッチング素子32a〜32cには、例えば、トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0031】
具体的には、第1スイッチング素子32aは、第1ゲート33aと、第1半導体層34aと、第1信号線側端部35aと、第1画素側端部36aと、を有する。第2スイッチング素子32bは、第2ゲート33bと、第2半導体層34bと、第2信号線側端部35bと、第2画素側端部36bと、を有する。第3スイッチング素子32cは、第3ゲート33cと、第3半導体層34cと、第3信号線側端部35cと、第3画素側端部36cと、を有する。
【0032】
第1〜第3ゲート33a〜33cは、例えば走査線(図示しない)に接続される。第1〜第3信号線側端部35a〜35cは、例えば複数の信号線(図示しない)のそれぞれに接続される。第1ゲート33aと第1半導体層34aとの間、第2ゲート33bと第2半導体層34bとの間、及び、第3ゲート33cと第3半導体層34cとの間に、ゲート絶縁膜37が設けられる。
【0033】
第1〜第3半導体層34a〜34cには、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンなどの半導体が用いられる。
【0034】
第1信号線側端部35aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか一方である。第1画素側端部36aは、第1スイッチング素子32aのソース及びドレインのいずれか他方である。第2信号線側端部35bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか一方である。第2画素側端部36bは、第2スイッチング素子32bのソース及びドレインのいずれか他方である。第3信号線側端部35cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか一方である。第3画素側端部36cは、第3スイッチング素子32cのソース及びドレインのいずれか他方である。
【0035】
第1〜第3画素側端部36a〜36cのそれぞれが、第1画素電極31a〜31cのそれぞれに電気的に接続される。
【0036】
なお、回路層30は、図示しない補助容量線をさらに含んでも良い。また、回路層30は、スイッチング素子の動作を制御する制御回路をさらに含んでも良い。
【0037】
後述するように、波長選択透過層20は、例えば絶縁層である。波長選択透過層20は、例えば、主基体11からの回路層30に向けての不純物の拡散を抑制する。波長選択透過層20は、例えば、主基体11の表面を平坦化する。主基体11と回路層30との間に設けられる下地層として、波長選択透過層20が用いられる。
【0038】
図1に例示したように、この例では、主基板10の主面11aに対向して対向基板12が設けられている。対向基板12の対向主面12a(主面11aに対向する面)に、波長選択吸収層40が設けられている。
【0039】
波長選択吸収層40は、第1吸収層40aと第2吸収層40bとを含む。この例では、波長選択吸収層40は、第3吸収層40cをさらに含んでいる。
【0040】
第1吸収層40aは、Z軸方向に沿って見たときに第1スペーサ層23aと重なる部分を有する。第1吸収層40aは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第1画素電極31aと重なる部分を有する。
【0041】
第2吸収層40bは、Z軸方向に沿って見たときに第2スペーサ層23bと重なる部分を有する。第2吸収層40bは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第2画素電極31bと重なる部分を有する。第2吸収層40bは、第1吸収層40aの吸収スペクトルとは異なる吸収スペクトルを有する。
【0042】
第3吸収層40cは、Z軸方向に沿って見たときに第1領域20a及び第2領域20bと並置された領域(第3領域20c)と重なる部分を有する。第3吸収層40cは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第3スペーサ層23cと重なる部分を有する。第3吸収層40cは、例えば、Z軸方向に沿って見たときに第3画素電極31cと重なる部分を有する。第3吸収層40cは、第1吸収層40aの吸収スペクトルとは異なり第2吸収層40bの吸収スペクトルとも異なる吸収スペクトルを有する。
【0043】
例えば、第1吸収層40aは、緑色の吸収フィルタであり、第2吸収層40bは、青色の吸収フィルタであり、第3吸収層40cは、赤色の吸収フィルタである。実施形態はこれに限らず、第1〜第3吸収層40a〜40cにおける色(吸収波長)の関係は任意である。
【0044】
この例では、波長選択吸収層40と主基板10との間に光制御層50が設けられている。波長選択吸収層40と光制御層50との間に、対向電極13が設けられている。対向基板12の対向主面12a上に設けられた波長選択吸収層40の上に対向電極13が設けられている。なお、波長選択吸収層40は、主基板10に設けられても良い。波長選択吸収層40は、画素電極(例えば第1画素電極31など)と波長選択透過層20との間に設けても良い。
【0045】
例えば、スイッチング素子を介して、画素電極のそれぞれに所望の電荷が供給される。画素電極のそれぞれと対向電極13との間に電圧が印加され、光制御層50に電圧(例えば電界)が印加される。印加された電圧(例えば電界)に応じて、光制御層50の光学特性が変化し、それぞれの画素の透過率が変化し表示が行われる。
【0046】
光制御層50として、液晶層が用いられる場合は、印加された電圧(例えば電界)に応じて、液晶層の液晶の配列が変化する。配列の変化に応じて液晶層の光学特性(複屈折率、旋光性、散乱性、回折性及び吸収性などの少なくともいずれかを含む)が変化する。
【0047】
図1に表したように、この例では、第1偏光層61と第2偏光層62とがさらに設けられる。第1偏光層61と第2偏光層62との間に、主基板10、波長選択吸収層40及び光制御層50が配置される。これにより、光制御層50(液晶層)における光学特性の変化が、光透過率の変化に変換され、表示が行われる。なお、偏光層の位置は任意である。なお、対向電極13は、主基板10に設けても良い。この場合には、例えば、X−Y平面に対して平行な成分を有する電界が光制御層50に印加され、光制御層50の光学特性が変化する。
【0048】
図1に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、照明ユニット70をさらに含む。照明ユニット70は、波長選択透過層20から波長選択吸収層40に向かう方向に沿って、波長選択透過層20に照明光70Lを入射させる。
【0049】
照明ユニット70は、例えば、光源73と、導光体71と、照明用反射膜72と、進行方向変化部74と、を含む。光源73は、光を生成する。光源73には、例えば半導体発光素子(例えばLED)が用いられる。光源73は、例えば導光体の側面に配置される。照明用反射膜72と主基板10との間に導光体71が配置される。光源73で生成された光が導光体71に入射する。光は、導光体71中を例えば全反射しながら伝搬する。進行方向変化部74は、導光体71を伝搬する光の進行方向を変え、光を効率良く主基板10に入射させる。進行方向変化部74には、例えば、溝などの凹凸形状を有する構造体が用いられる。例えば、進行方向変化部74によって進行方向が変化した光の一部が、主基板10に向けて進む。なお、照明ユニット70の光源73から出射した光が主基体11中を伝搬し、伝搬した光が波長選択透過層20に入射しても良い。
【0050】
波長選択透過層20は、特定の波長の光を透過し、その波長以外の波長の光を反射する。波長選択透過層20は、例えば、ファブリペロー型の干渉フィルタである。このような特殊な光学特性を有する波長選択透過層20を、回路層30の下地層として用いることで、回路層30の安定した動作と同時に、優れた光学特性(後述するように高い光利用効率)を得ることができる。波長選択透過層20は、回路層30の作製の前に実施される下地層の作製と同時に(または連続して)実施できるので、生産性も高い。これにより、光利用効率が高く生産性の高い表示装置を提供することができる。
【0051】
以下、波長選択透過層20の例について説明する。
図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
【0052】
図3(a)〜図3(c)は、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cにおける波長選択透過層20の構成をそれぞれ例示している。なお、この図では、層間膜29は省略されている。
【0053】
図3(a)〜図3(c)に表したように、下側反射層21は、第1誘電体膜25と、第2誘電体膜26と、を含むことができる。第2誘電体膜26は、第1誘電体膜25とZ軸方向に沿って積層される。第2誘電体膜26は、第1誘電体膜25の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0054】
この例では、第1誘電体膜25は複数設けられ、第2誘電体膜26は複数設けられている。複数の第1誘電体膜25と複数の第2誘電体膜26とは、Z軸方向に沿って、交互に積層されている。
【0055】
一方、上側反射層22は、第3誘電体膜27と、第4誘電体膜28と、を含むことができる。第4誘電体膜28は、第3誘電体膜27とZ軸方向に沿って積層される。第4誘電体膜28は、第3誘電体膜27の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0056】
この例では、第3誘電体膜27は複数設けられ、第4誘電体膜28は複数設けられている。複数の第3誘電体膜27と複数の第4誘電体膜28とは、Z軸方向に沿って、交互に積層されている。
【0057】
例えば、第2誘電体膜26のうちの1つである第2誘電体膜26aが、中間層23に接する。例えば、第4誘電体膜28の1つである第4誘電体膜28aが、中間層23に接する。
【0058】
例えば、下側反射層21においては、第1誘電体膜25c、第2誘電体膜26c、第1誘電体膜25b、第2誘電体膜26b、第1誘電体膜25a及び第2誘電体膜26aが、この順で積層される。
【0059】
例えば、上側反射層22においては、第4誘電体膜28a、第3誘電体膜27a、第4誘電体膜28b、第3誘電体膜27b、第4誘電体膜28c及び第3誘電体膜27cがこの順で積層される。
【0060】
図3(a)〜図3(c)に表したように、第1領域20a、第2領域20b及び第3領域20cのそれぞれにおいて、下側反射層21と上側反射層22との間に、第1スペーサ層23a、第2スペーサ層23b及び第3スペーサ層23cのそれぞれが設けられる。
【0061】
第2スペーサ層23bの厚さtsbは、第1スペーサ層23aの厚さtsaとは異なる。第3スペーサ層23cの厚さtscは、第1スペーサ層23aの厚さtsaとは異なり、第2スペーサ層23bの厚さtsbとも異なる。なお、厚さtscは、零でも良い。
【0062】
第1誘電体膜25(例えば第1誘電体膜25a〜25c)には、例えば、窒化シリコン(SiN)を用いることができる。第2誘電体膜26(例えば第2誘電体膜26a〜26c)には、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることができる。中間層23には、例えば、窒化シリコン(SiN)を用いることができる。第3誘電体膜27(例えば第3誘電体膜27a〜27c)には、例えば、窒化シリコン(SiN)を用いることができる。第4誘電体膜28(例えば第4誘電体膜28a〜28c)には、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることができる。第1誘電体膜25に含まれる窒素の含有比は、第3誘電体膜27に含まれる窒素の含有比と同じでも良く、異なっても良い。中間層23に含まれる窒素の含有比は、第1誘電体膜25に含まれる窒素の含有比と同じでも良く異なっても良い。中間層23に含まれる窒素の含有比は、第3誘電体膜27に含まれる窒素の含有比と同じでも良く異なっても良い。
【0063】
例えば、第1誘電体膜25及び第2誘電体膜26は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含む。第1誘電体膜25に含まれる酸素及び窒素の少なくともいずれかの含有率は、第2誘電体膜26に含まれる酸素及び窒素の前記少なくともいずれかの含有率とは異なる。これにより、第2誘電体膜26は、第1誘電体膜25の屈折率とは異なる屈折率を有するようになる。
【0064】
同様に、第3誘電体膜27及び第4誘電体膜28は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含む。第3誘電体膜27に含まれる酸素及び窒素の少なくともいずれかの含有率は、第4誘電体膜28に含まれる酸素及び窒素の前記少なくともいずれかの含有率とは異なる。これにより、第4誘電体膜28は、第3誘電体膜27の屈折率とは異なる屈折率を有するようになる。
【0065】
上記のように、中間層23には、下側反射層21の最上層(例えば第2誘電体膜26a)と異なる材料が用いられる。また、中間層23には、上側反射層22の最下層(例えば第4誘電体膜28a)と異なる材料が用いられる。中間層23の屈折率は、下側反射層21の最上層(例えば第2誘電体膜26a)の屈折率とは異なる。また、中間層23の屈折率は、上側反射層22の最下層(例えば第4誘電体膜28a)の屈折率とは異なる。
【0066】
すなわち、実施形態においては、第1誘電体膜25及び第2誘電体膜26のいずれか一方の膜が第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bと接する。そして、そのいずれか一方の膜の屈折率は、第1スペーサ層23aの屈折率よりも低く、第2スペーサ層23bの屈折率よりも低い。同様に、第3誘電体膜27及び第4誘電体膜28のいずれか一方の膜が第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bと接する。そして、そのいずれか一方の膜の屈折率は、第1スペーサ層23aの屈折率よりも低く、第2スペーサ層23bの屈折率よりも低い。
【0067】
これにより、第1領域20aにおいては、下側反射層21と上側反射層22との間(第1スペーサ層23a内)で光が干渉する。そして、下側反射層21と上側反射層22との間の光学的な距離(例えば第1スペーサ層23aの厚さ)に応じた波長の光が波長選択透過層20を透過し、それ以外の波長の光が反射する。
【0068】
同様に、第2領域20bにおいては、例えば第2スペーサ層23bの厚さに応じた波長の光が波長選択透過層20を透過し、それ以外の波長の光が反射する。第3領域20cにおいては、例えば第3スペーサ層23cの厚さ(下側反射層21と上側反射層22との間の光学的な距離)に応じた波長の光が波長選択透過層20を透過し、それ以外の波長の光が反射する。
【0069】
この例では、第1誘電体膜25の数、第2誘電体膜26の数、第3誘電体膜27の数、及び、第4誘電体膜28の数が3であるが、実施形態はこれに限らない。これらの膜の数は、任意である。
【0070】
図4(a)〜図4(c)は、第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図4(a)〜図4(c)に表したように、本実施形態に係る別の表示装置111においては、第1誘電体膜25の数、第2誘電体膜26の数、第3誘電体膜27の数、及び、第4誘電体膜28の数が2である。
【0071】
なお、第1誘電体膜25の数及び第2誘電体膜26の数が、第3誘電体膜27の数及び第4誘電体膜28の数と異なっていても良い。
このように、下側反射層21及び上側反射層22の構成は任意である。
【0072】
以下、波長選択透過層20の特性の例について説明する。すなわち、波長選択透過層20の特性のシミュレーション結果の例について説明する。このシミュレーションでは、表示装置111の構成(第1誘電体膜25の数、第2誘電体膜26の数、第3誘電体膜27の数、及び、第4誘電体膜28の数が2)のモデルが採用された。
【0073】
このモデルでは、第1誘電体膜25、第3誘電体膜27及び中間層23が、窒化シリコン(SiN)であり、第2誘電体膜26及び第4誘電体膜28が酸化シリコン(SiO)である。第1誘電体膜25a及び25bのそれぞれ厚さは、58ナノメートル(nm)である。第2誘電体膜26a及び26bのそれぞれ厚さは、92nmである。第3誘電体膜27a及び27bのそれぞれ厚さは、58nmである。第4誘電体膜28a及び28bのそれぞれ厚さは、92nmである。第1スペーサ層23aの厚さは、115nmである。第2スペーサ層23bの厚さは、78nmである。第3スペーサ層23cの厚さは、30nmである。
【0074】
図5(a)及び図5(b)は、材料の光学特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、このシミュレーションで用いた材料の光学特性を示している。図5(a)は、複素屈折率の実数部分nを示し、図5(b)は、複素屈折率の虚数部分kを示している。これらの図の横軸は、波長λである。
図5(a)に表したように、シリコン窒化膜(SiN)においては、例えば、波長λが550nmのときの屈折率nが2.3である。
【0075】
これらの図に示される光学特性を用いて、波長選択透過層20の特性をシミュレーションした。
【0076】
図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係る表示装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、波長選択透過層20の特性のシミュレーション結果を例示している。図6(a)は、透過スペクトルを示し、図6(b)は、反射スペクトルを示す。これらの図の横軸は、波長λである。図6(a)の縦軸は、透過率Trであり、図6(b)の縦軸は、反射率Rfである。
【0077】
図6(a)及び第6(b)に表したように、第1領域20aにおいては、緑色の波長帯(第1波長帯λa)において、透過率Trが高く、緑色以外の波長領域において、反射率Rfが高い。第2領域20bにおいては、青色の波長帯(第2波長帯λb)において、透過率Trが高く、青色以外の波長領域において、反射率Rfが高い。第3領域20cにおいては、赤色の波長帯(第3波長帯λc)において、透過率Trが高く、赤色以外の波長領域において、反射率Rfが高い。
【0078】
波長選択透過層20においても、光の一部は吸収されるので、透過率Trと反射率Rfとの合計は1にはならないが、1に近い値が得られる。
【0079】
このように、第1領域20a(波長選択透過層20のうちの下側反射層21と第1スペーサ層23aと上側反射層22とを含む領域)では、第1波長帯λaの光が透過し、可視光のうちの第1波長帯λaを除く波長帯の光が反射する。
【0080】
第2領域20b(波長選択透過層20のうちの下側反射層21と第2スペーサ層23bと上側反射層22とを含む領域)では、第1波長帯λaとは異なる第2波長帯λbの光が透過し、可視光のうちの第2波長帯λbを除く波長帯の光が反射する。
【0081】
第3領域20c(下側反射層21と上側反射層22との間に設けられX−Y面内で第1スペーサ層23aが設けられる領域及び第2スペーサ層23bが設けられる領域と並置された領域であり、例えば第3スペーサ層23cが設けられる領域)では、第1波長帯λaとは異なり第2波長帯λbとも異なる第3波長帯λcの光が透過し、可視光のうちの第3波長帯λcを除く波長帯の光が反射する。
【0082】
このように、実施形態の1つの例では、第1波長帯λaは、緑色の波長帯を含み、第2波長帯λbは、青色の波長帯を含み、第3波長帯λcは、赤色の波長帯を含む。なお、第1波長帯λa、第2波長帯λb、第3波長帯λcは、互いに入れ替えることができる。
【0083】
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係る表示装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、波長選択吸収層40の特性を例示している。図7(a)は、透過スペクトルを示し、図7(b)は、吸収スペクトルを示す。これらの図の横軸は、波長λである。図7(a)の縦軸は、透過率Trであり、図7(b)の縦軸は、吸収率Abである。
【0084】
図7(a)に表したように、第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cのそれぞれにおいて、第1波長帯λa、第2波長帯λb及び第3波長帯λcの透過率Trが高い。第1吸収層40a、第2吸収層40b及び第3吸収層40cは、それぞれ、緑、青及び赤の吸収型のカラーフィルタである。
【0085】
図7(b)に表したように、第1波長帯λaの光に対する第1吸収層40aの吸収率Abは、可視光のうちの第1波長帯λaを除く波長帯の光に対する第1吸収層40aの吸収率Abよりも低い。第2波長帯λbの光に対する第2吸収層40bの吸収率Abは、可視光のうちの第2波長帯λbを除く波長帯の光に対する第2吸収層40bの吸収率Abよりも低い。第3波長帯λcの光に対する第3吸収層40cの吸収率Abは、可視光のうちの第3波長帯λcを除く波長帯の光に対する第3吸収層40cの吸収率Abよりも低い。
【0086】
図6(a)及び図6(b)に例示した特性を有する波長選択透過層20と、図7(a)及び図7(b)に例示した特性を有する波長選択吸収層40と、を積層することで、光利用率が向上する。
【0087】
図8は、第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
図8に表したように、照明ユニット70は、波長選択透過層20から波長選択吸収層40に向かう方向に沿って、波長選択透過層20に照明光70Lを入射させる。
【0088】
照明光70Lのうちの第1波長帯λaを含む第1光Laは、波長選択透過層20のうちの第1領域20aを通過する。第1光Laは、光制御層50を通過し、さらに第1吸収層40aを通過し、外部に出射する。なお、光制御層50の状態によって、外部に出射する光の強度は変化する。
【0089】
照明光70Lのうちの第1波長帯λa以外の光(例えば第2光Lb)は、波長選択透過層20のうちの第1領域20aで反射し、照明ユニット70に戻る。第2光Lbは、照明ユニット70の中の例えば照明用反射層72で反射し、波長選択透過層20に入射する。そして、第2光Lbは、波長選択透過層20のうちの例えば第2領域20bを通過する。第2光Lbは、光制御層50を通過し、さらに第2吸収層40bを通過し、外部に出射する。なお、光制御層50の状態によって、外部に出射する光の強度は変化する。
【0090】
このように、照明ユニット70は、波長選択透過層20のうちで第1スペーサ層23aを含む部分(第1領域20a)において照明光70Lが反射した反射光(例えば第2光Lb)の少なくとも一部を、波長選択透過層20のうちで第2スペーサ層23bを含む部分(第2領域20b)に入射させる。
【0091】
このように、表示装置110(または表示装置111)においては、波長選択透過層20の特定の領域を透過しなかった光は、照明ユニット70に戻り、再利用される。このため、高い光利用効率が得られる。これにより、明るい表示が得られる。また、消費電力を低減できる。
【0092】
この構成においては、照明ユニット70に戻る光のうちの、例えば90%以上の割合の光が再利用される。条件によっては、95%の再利用率を得ることもできる。
【0093】
波長選択吸収層40に到達する光は、波長選択透過層20を通過しているので、その波長特性は、波長選択吸収層40の吸収特性に適合するように制御されている。このため、波長選択吸収層40で吸収される光の成分は、波長選択透過層20を用いない場合に比べて低減される。このため、光の損失が抑制できる。また、波長選択吸収層40の吸収率Abが低い場合でも、所望の色特性(例えば色再現性)を得ることができる。
【0094】
例えば、波長選択透過層20の色域(の面積)は、例えば、NTSCの色域(の面積)の30%である。一方、波長選択吸収層40の色域(の面積)は、NTSCの色域(の面積)の約55%である。そして、波長選択透過層20と波長選択吸収層40とを積層したときの色領域(の面積)は、波長選択透過層20を用いないで波長選択吸収層40だけを用いる構成の色域に比べて大きく向上できる。
【0095】
図9は、第1の実施形態に係る表示装置の特性を例示するグラフ図である。
図9の横軸は、波長選択吸収層40の色域のNTSCに対する比率(単体NTSC比Cr1)である。単体NTSC比Cr1は、例えば、波長選択吸収層40として用いられる、青、緑及び赤の吸収型カラーフィルタの厚さを変更することで変化する。図9の縦軸は、波長選択吸収層40と波長選択透過層20と積層したときに得られる色域のNTSCに対する比率(総合NTSC比Cr2)である。
【0096】
図9に表したように、波長選択吸収層40(NTSC比が30%)と波長選択透過層20と積層した構成により、総合NTSC比Cr2として90%以上の値が得られる。このとき、波長選択吸収層40の単体NTSC比Cr1は、約55%である。
【0097】
また、例えば、単体NTSC比Cr1を約17%にすることで、約70%の総合NTSC比Cr2を得ることができる。この値により、十分な色再現性が得られる。
【0098】
波長選択吸収層40の単体NTSC比Cr1を低く設定することで、波長選択吸収層40の厚さを薄くできる。これにより、波長選択吸収層40における光の損失を抑制できる。換言すれば、波長選択透過層20と波長選択吸収層40との積層構造を用いることで、色純度の低い波長選択吸収層40を用いた場合においても、色再現性を得ることができる。これにより、光利用効率が向上できる。
【0099】
そして、本実施形態においては、波長選択透過層20が、スイッチング素子の下地として設けられる下地層の機能を有することから、一般に用いられる下地層が省略でき、生産性が高い。
【0100】
なお、干渉型のカラーフィルタを吸収型のカラーフィルタと併用する構成がある。しかしながら、例えば、スイッチング素子が設けられる主基板10に対向する対向基板12に干渉型のカラーフィルタを設ける場合は、干渉型のカラーフィルタの作製の工程が追加され、生産性が著しく低下する。また、干渉型のカラーフィルタを主基板10に設ける場合においても、そのカラーフィルタが画素電極の部分にのみ配置される場合は、スイッチング素子と主基体11との間に、下地層が設けられるため、干渉型のカラーフィルタの作製の工程がやはり追加されることになる。例えば、干渉型のカラーフィルタの作製のための装置を新たに導入することが必要になる。
【0101】
これに対して、本実施形態に係る表示装置111(または表示装置110)においては、下地層として用いられる膜が、波長選択透過層20として機能する。このため、波長選択透過層20の形成工程は、下地層の形成に用いる製造装置を流用することができ、新たな装置を導入する必要はない。このように、本実施形態においては、高い生産性を維持しつつ、高い光取り出し効率を得ることができる。
【0102】
特に、波長選択透過層20は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含むことが好ましい。これにより、波長選択透過層20において、高い絶縁性が得られる。さらに、例えば、主基体11から回路層30へ不純物が拡散することを抑制する効果が高くなる。また、例えば、主基体11の表面の平坦性を向上し易くなる。さらに、これらの材料を用いることで、波長選択透過層20は、例えば、CVD(化学気相堆積)法により形成でき、均一な特性を安定して得ることができる。そして、CVD法による形成の際に処理室に導入するガスの条件などを変更することで、波長選択透過層20に含まれる複数の膜を制御性良く高い効率で形成することができる。
【0103】
以下、本実施形態に係る表示装置111の製造方法の例について説明する。以下の製造方法は、誘電体膜の形成の回数を変えることで、表示装置110にも適用できる。
【0104】
図10(a)〜図10(c)、図11(a)〜図11(c)、及び、図12は、第1の実施形態に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図10(a)に表したように、主基体11の主面11a上に下側反射層21となる下側反射膜21fを形成する。主基体11として、例えばガラス基板を用いる。
【0105】
具体的には、主基体11の主面11aの上に、第1誘電体膜25となるシリコン窒化膜25fと、第2誘電体膜26となるシリコン酸化膜26fと、を交互に形成する。これらの膜は、例えばCVD法により形成される。用いるガスの流量などを制御することにより、これらの膜を連続的に形成することができる。
【0106】
さらに、下側反射膜21fの上に中間層23の一部(例えば第1スペーサ層23aの一部)となる第1中間膜23fを形成する。この例では、第1中間膜23fとして、CVD法により、シリコン窒化膜を形成する。
【0107】
図10(b)に表したように、第1中間膜23fの第1領域20aを覆う第1マスク材Rs1を形成する。
【0108】
図10(c)に表したように、第1中間膜23fのうちで第1マスク材Rs1に覆われていない部分を除去する。この除去には、例えばCDE(Chemical Dry Etching)法が用いられる。このとき、必要に応じて、オーバーエッチングを実施しても良い。これにより、第1中間膜23fのうちの不要な部分が十分に除去できる。これにより、下側反射膜21fのうちで第1マスク材Rs1に覆われていない部分の厚さを減少させても良い。そして、第1マスク材Rs1を除去する。
【0109】
図11(a)に表したように、第1マスク材Rs1の除去の後に、残った第1中間膜23fと下側反射膜21fとの上に、第1スペーサ層23aの別の一部となり第2スペーサ層23bの少なくとも一部となる第2中間膜23gを形成する。この例では、第2中間膜23gとして、CVD法により、シリコン窒化膜を形成する。
【0110】
図11(b)に表したように、第2中間膜23gのうちの、第1領域20aと第1領域20aとは異なる第2領域20bとを覆う第2マスク材Rs2を形成する。
【0111】
図11(c)に表したように、第2中間膜23gのうちで第2マスク材Rs2に覆われていない部分を除去する。この除去には、例えばCDE法が用いられるこのとき、必要に応じて、オーバーエッチングを実施しても良い。これにより、第2中間膜23gのうちの不要な部分が十分に除去できる。これにより、下側反射膜21fのうちで第2マスク材Rs2に覆われていない部分の厚さを減少させても良い。そして、第2マスク材Rs2を除去する。
【0112】
図12に表したように、第2マスク材Rs2を除去した後に、残った第2中間膜23gと、下側反射膜21fと、の上に、第1スペーサ層23aの別の一部となり第2スペーサ層23bの一部となる第3中間膜23hを形成する。この例では、第3中間膜23hとして、CVD法により、シリコン窒化膜を形成する。
【0113】
さらに、第2中間膜23gの上(この例では第3中間膜23hの上)に、上側反射層22を形成する。具体的には、第4誘電体膜28となるシリコン酸化膜28fと、第3誘電体膜27となるシリコン窒化膜27fと、を交互に形成する。これらの膜は、例えばCVD法により形成される。
【0114】
さらに、必要に応じて、上側反射層22の上に層間膜29を形成し、これにより、波長選択透過層20が形成される。そして、波長選択透過層20の上(例えば上側反射層22の上)に、回路層30を形成する。そして、所定の工程を経て表示装置111が形成される。
【0115】
上記において、第1中間膜23fの厚さは、例えば37nmである。第2中間膜23gの厚さは、例えば48nmである。第3中間膜23hの厚さは、例えば30nmである。これにより、第1領域20aにおける中間層23(すなわち、第1スペーサ層23a)の厚さは、115nmとなる。そして、第2領域20bにおける中間層23(すなわち、第2スペーサ層23b)の厚さは、78nmとなる。第3領域20cにおける中間層23(すなわち、第3スペーサ層23c)の厚さは、30nmとなる。
【0116】
図13は、第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式的断面図である。 図13に表したように、本実施形態に係る別の表示装置112においては、第1スイッチング素子32aと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第2スペーサ層23bの厚さの中間層23が配置されている。そして、第1画素電極31aと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第1スペーサ層23aが配置されている。
【0117】
そして、第2スイッチング素子32bと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第2スペーサ層23bが配置されている。そして、第2画素電極31bと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第2スペーサ層23bが配置されている。
【0118】
第3スイッチング素子32cと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第2スペーサ層23bの厚さの中間層23が配置されている。そして、第3画素電極31cと主基体11との間における波長選択透過層20においては、第3スペーサ層23cが配置されている。
【0119】
このように、1つの画素領域の中で、中間層23の厚さが変化していても良い。各スイッチング素子と主基体11との間に設けられる波長選択透過層20の特性は、例えば、下地層としての機能を高めるように設計されることができる。例えば、各スイッチング素子と主基体11との間に設けられる波長選択透過層20は、不純物の拡散を抑制する程度が高くなるように設計される。また、例えば、スイッチング素子のリーク電流(例えば光リーク電流)を抑制する程度が高まるように設計される。また、表面の平坦性が均一になるように設計される。これにより、例えば、回路層30内に設けられる走査線、信号線及び補助容量線などの少なくともいずれかにおいて、段差に起因した断線が抑制できる。
【0120】
なお、表示装置において干渉型のカラーフィルタを用いると、その透過波長帯は、光の入射角に応じて変化する。例えば、斜め入射光に対する透過波長帯は、正面から入射する光に対する透過波長帯よりも短波長側(青色側)にシフトする。本実施形態においては、波長選択透過層20に積層して波長選択吸収層40を設けることで、この色のシフトを抑制できる。
【0121】
さらに、照明ユニット70から出射される光の指向性を高めることで、この色のシフトを抑制することもできる。この場合、対向基板12の上面に、例えば、光拡散層(光散乱層など)を設けることで、指向性を高めた光を用いることで狭くなった視野角を広げることができる。
【0122】
図14は、第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式的断面図である。 図14に表したように、本実施形態に係る別の表示装置113においては、層間膜29が省略されている。そして、上側反射層22が、平坦化の機能を有している。
【0123】
図15は、第1の実施形態に係る別の表示装置の構成を例示する模式的断面図である。 図15に表したように、本実施形態に係る別の表示装置114においても、層間膜29が省略されている。そして、上側反射層22の上面には、画素ごとに段差が形成されている。例えば、複数の画素電極のZ軸方向に沿った位置は、互いに異なっていても良い。
【0124】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る表示装置について、第1の実施形態とは異なる部分について説明する。
【0125】
図16は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図16に表したように、本実施形態に係る表示装置120においては、下側反射層21のうちの第2スペーサ層23bに対向する部分(第2部分21q)の厚さは、下側反射層21のうちの第1スペーサ層23aに対向する部分(第1部分21p)の厚さと異なる。具体的には、第2部分21qの厚さは、第1部分21pの厚さよりも薄い。
【0126】
また、この例では、下側反射層21のうちの第3スペーサ層23cに対向する部分(第3部分21r)の厚さは、下側反射層21のうちの第1スペーサ層23aに対向する部分(第1部分21p)の厚さと異なる。具体的には、第3部分21rの厚さは、第1部分21pの厚さよりも薄い。この例では、第3部分21rの厚さは、第2部分21qの厚さよりも薄い。
【0127】
このような厚さの差異は、例えば厚さの異なる複数の領域を有する中間層23の形成においてエッチング加工が行われ、その際にオーバーエッチングが行われることで形成される。
【0128】
図17(a)〜図17(c)、並びに、図18(a)及び図18(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
第1の実施形態に関して説明したように、主基体11の主面11a上に下側反射層21となる下側反射膜21fを形成し、下側反射膜21fの上に中間層23の一部(例えば第1スペーサ層23a)となる第1中間膜23fを形成する。
【0129】
そして、図17(a)に表したように、第1マスク材Rs1を用いて第1中間膜23fを加工する。このとき、オーバーエッチングを実施し、これにより、下側反射膜21fのうちで第1マスク材Rs1に覆われていない部分の厚さが減少する。このオーバーエッチングにより、第1中間膜23fのうちの不要な部分が十分に除去でき、面内の均一性が向上する。
【0130】
図17(b)に表したように、第2中間膜23gを形成する。そして、図17(c)に表したように、第2マスク材Rs2を形成する。さらに、図18(a)に表したように、第2マスク材Rs2を用いて、第2中間膜23gを加工する。このとき、必要に応じて、オーバーエッチングを実施し、これにより、下側反射膜21fのうちで第2マスク材Rs2に覆われていない部分の厚さが減少する。これにより、第2中間膜23gのうちの不要な部分が十分に除去でき、面内の均一性が向上する。
【0131】
図18(b)に表したように、第2マスク材Rs2を除去した後に、第3中間膜23hを形成する。さらに、第2中間膜23gの上(この例では第3中間膜23hの上)に、上側反射層22を形成する。さらに、必要に応じて、上側反射層22の上に層間膜29を形成し、これにより、波長選択透過層20が形成される。そして、所定の工程を経て表示装置120が形成される。
【0132】
発明者の検討によると、上記の工程において、例えば、第1中間膜23f及び第2中間膜23gの少なくともいずれかを除去する際に、エッチングが不均一に進み、面内で残渣が発生し易いことが分かった。この現象は、特に、波長選択透過層20として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸窒化膜などのように、下地層として要求される高い性能(例えば絶縁性、面内均一性、平坦性及び生産性など)を有する材料を用いた場合に顕著に発生する。
【0133】
換言すれば、エッチングの際に選択比が十分高い組み合わせの材料を用いる場合には、下地層としての機能を高めることが困難である。本実施形態においては、波長選択透過層20が下地層として機能することで高い生産性を得るために、波長選択透過層20には下地層として十分に機能する材料の組み合わせが用いられる。このため、エッチングの際の選択比が不十分な場合もある。
【0134】
本実施形態においては、第1中間膜23f及び第2中間膜23gの少なくともいずれかを除去する際に、均一にこれらの膜を除去できるように、オーバーエッチングを実施する。これにより、面内で残膜が形成されることが抑制され、均一な波長選択透過層20が得られる。
【0135】
本実施形態においては、例えば、下側反射層21として、誘電体多層膜が用いられる。例えば、第1誘電体膜25及び第2誘電体膜26のいずれか一方が、第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bと接する。上記の例では、第2誘電体膜26(具体的には第2誘電体膜26a)が、第1スペーサ層23a及び第2スペーサ層23bと接する。
【0136】
そして、上記のいずれか一方(すなわち、第2誘電体膜26であり、具体的には第2誘電体膜26a)のうちの、第2スペーサ層23bに接する部分(第2部分21q)の厚さが、上記のいずれか一方の第1スペーサ層23aに接する部分(第1部分21p)の厚さと異なる。具体的には、例えば、第2部分21qの厚さは、第1部分21pの厚さよりも薄い。
【0137】
さらに、発明者の検討によると、オーバーエッチングが実施される領域は、緑色に対応する領域以外の領域であることが望ましいことが分かった。例えば、第1領域20aが緑色に対応する場合、オーバーエッチングが実施される領域は、第2領域20b及び第3領域20cの少なくともいずれかである。
【0138】
オーバーエッチングを実施する際に、オーバーエッチングによって下側反射膜21fの厚さの減少する量は、必ずしも面内で均一ではない。もし、緑色に対応する領域において、厚さの面内むらが大きいと、色の変動が知覚され易い。これに対し、赤色または青色に対応する領域において厚さの面内むらが大きくても、色の変動は知覚され難い。この現象は、ヒトの視感特性に起因すると考えられる。
【0139】
このため、本実施形態においては、緑色に対応する領域においては、面内の均一性をできるだけ高くするように設計される。
【0140】
実施形態においては、例えば、第1波長帯λaは、緑の波長を含み、第2波長帯λbは、赤及び青の少なくともいずれかの波長を含む。そして、下側反射層21のうちの第2スペーサ層23bに対向する部分(第2部分21q)の厚さは、下側反射層21のうちの第1スペーサ層23aに対向する部分(第1部分21p)の厚さよりも薄く設定される。すなわち、第2部分21qにおいて、オーバーエッチングが実施される。
【0141】
これにより、加工条件のウインドウが広がり、例えば歩留まりが向上でき、生産性がさらに向上する。
【0142】
なお、下側反射層21の厚さが領域によって変化すると、波長選択透過層20における透過及び反射の光学特性が変化する。この変化を補償するように、設計値を定めることで、光学特性の変化は実用的には問題にならない。
【0143】
例えば、下側反射層21は、交互に積層された複数の第1誘電体膜25と複数の第2誘電体膜26を含むとする。そして、中間層23(例えば第2スペーサ層23b)に第2誘電体膜26a(複数の第2誘電体膜26のうちの1つ)が接するとする。複数の第1誘電体膜25の光学長と、複数の第2誘電体膜26の光学長と、は、(λ0)/4になるように、設計される。λ0は、例えば緑光に相当する535nmである。
【0144】
例えば、オーバーエッチングを実施しない場合の条件を以下とする。第2スペーサ層23bに接する第2誘電体膜26aの厚さはL0であり、第2領域20bにおいて透過する光のピーク波長はλpであり、第2スペーサ層23bの厚さはW0である。そして、第2スペーサ層23bの屈折率をnとする。
【0145】
このとき、第2誘電体膜26aの厚さが、オーバーエッチングにより、L0からL1に薄くなるとする(L1<L0)。このとき、第2スペーサ層23bの厚さを、オーバーエッチングをしない場合の設計値であるW0よりも厚くすることで、特性の変動を補償できる。このとき、第2スペーサ層23bの厚さは、以下の式で表されるW1max以下に設定される。

W1max=W0+(1−L1/L0)×λ0/(4×n

そして、波長選択透過層20における透過波長のピークは、設計値であるλpを超えない。これにより、オーバーエッチングに基づく波長特性の変動を補償し、所望の波長特性を維持することができる。
【0146】
オーバーエッチングの有無で中間層23の厚さを変える例について説明する。
例えば、図4に例示したように、下側反射層21において、第1誘電体膜25b、第2誘電体膜26b、第1誘電体膜25a及び第2誘電体膜26aが、この順で積層され、上側反射層22において、第4誘電体膜28a、第3誘電体膜27a、第4誘電体膜28b及び第3誘電体膜27bが、この順で積層される。
【0147】
例えば、第1誘電体膜25b、第1誘電体膜25a、第3誘電体膜27a及び第3誘電体膜27bにSiNが用いられ、これらの膜の厚さが58.15nmであるとする。第2誘電体膜26b、第2誘電体膜26a、第4誘電体膜28a及び第4誘電体膜28bにSiOが用いられ、これらの膜の厚さが91.6nmであるとする。そして、第1スペーサ層23a、第2スペーサ層23b及び第3スペーサ層23cに、SiNが用いられるとする。SiO及びSiNの光学特性は、図5に例示した特性であるとする。
【0148】
そして、例えば、オーバーエッチングを実施しない場合、第1スペーサ層23aの厚さは115nmに設計され、第2スペーサ層23bの厚さは78nmに設計され、第3スペーサ層23cの厚さは、30nmに設計される。これにより、第1領域20cでは緑光が透過し、第2領域20bでは青光が透過し、第3領域20cでは、赤光が透過する。
【0149】
一方、例えば、1回のエッチングにおいて10nmのオーバーエッチングを実施するとする。このとき、第2領域20bにおける第2誘電体膜26aの厚さは、91.6nmから81.6nmに減少し、第3領域20cにおける第2誘電体膜26aの厚さは、91.6nmから71.6nmに減少する。このとき、第2スペーサ層23bの厚さを78nmから82.5nmに厚くし、第3スペーサ層23cの厚さを30nmから37nmに厚くする。なお、第1スペーサ層23aの厚さは、115nmである。これにより、オーバーエッチングを実施した時においても、オーバーエッチングしない場合と実質的に同じ光学特性が得られる。
【0150】
上記では、光制御層50として液晶を用いる例について説明したが、実施形態において、光制御層50の構成は任意である。光制御層50として、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたメカニカルなシャッタなどを用いることもできる。
【0151】
実施形態によれば、光利用効率が高く生産性の高い表示装置及びその製造方法が提供される。
【0152】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置に含まれる主基板、主基体、波長選択透過層、反射層、中間層、誘電体膜、スペーサ層、回路層、画素電極、スイッチング素子、光制御層、波長選択吸収層、対向基板及び照明ユニットなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0153】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0154】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0155】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
10…主基板、 11…主基体、 11a…主面、 12…対向基板、 12a…対向主面、 13…対向電極、 20…波長選択透過層、 20a、20b、20c…第1、第2、第3領域、 21…下側反射層、 21f…下側反射膜、 21p、21q、21r…第1、第2、第3部分、 22…上側反射層、 23…中間層、 23a、23b、23c…第1、第2、第3スペーサ層、 23f、23g、23h…第1、第2、第3中間膜、 25、25a〜25c…第1誘電体膜、 25f…シリコン窒化膜、 26、26a〜26c…第2誘電体膜、 26f…シリコン酸化膜、 27、27a〜27c…第3誘電体膜、 27f…シリコン窒化膜、 28、28a〜28c…第4誘電体膜、 28f…シリコン酸化膜、 29…層間膜、 30…回路層、 30a、30b、30c…第1、第2、第3画素領域、 31a、31b、31c…第1、第2、第3画素電極、 32a、32b、32c…第1、第2、第3スイッチング素子、 33a、33b、33c…第1、第2、第3ゲート、 34a、34b、34c…第1、第2、第3半導体層、 35a、35b、35c…第1、第2、第3信号線側端部、 36a、36b、36c…第1、第2、第3画素側端部、 37…ゲート絶縁膜、 40…波長選択吸収層、 40a、40b、40c…第1、第2、第3吸収層、 50…光制御層、 61、62…第1、第2偏光層、 70…照明ユニット、 70L…照明光、 71…導光体、 72…照明用反射膜、 73…光源、 74…進行方向変化部、 λ…波長、 λa、λb、λc…第1、第2、第3波長帯、 110、111、112、113、114、120…表示装置、 Ab…吸収率、 Cr1…単体NTSC比、 Cr2…総合NTSC比、 La、Lb…第1、第2光、 Rf…反射率、 Rs1、Rs2…第1、第2マスク材、 Tr…透過率、 tsa、tsb、tsc…厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する主基体と、
前記主面上に設けられた波長選択透過層と、
前記波長選択透過層の上に設けられた回路層と、
を有する主基板と、
前記主基板と積層され光学特性が可変の光制御層と、
を備え、
前記波長選択透過層は、
下側反射層と、
前記下側反射層の上に設けられた上側反射層と、
前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられた第1スペーサ層と、
前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられ前記主面に対して平行な第1面内で前記第1スペーサ層と並置され前記第1スペーサ層の厚さとは異なる厚さを有する第2スペーサ層と、
を含み、
前記回路層は、
前記主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに前記第1スペーサ層と重なる部分を有する第1画素電極と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第2スペーサ層と重なる部分を有する第2画素電極と、
前記第1画素電極に接続された第1スイッチング素子と、
前記第2画素電極に接続された第2スイッチング素子と、
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記下側反射層のうちの前記第2スペーサ層に対向する部分の厚さは、前記下側反射層のうちの前記第1スペーサ層に対向する部分の厚さと異なることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1波長帯は、緑の波長を含み、
前記第2波長帯は、赤及び青の少なくともいずれかの波長を含み、
前記下側反射層のうちの前記第2スペーサ層に対向する部分の厚さは、前記下側反射層のうちの前記第1スペーサ層に対向する部分の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記下側反射層は、
第1誘電体膜と、
前記第1誘電体膜と前記第1方向に沿って積層され前記第1誘電体膜の屈折率とは異なる屈折率を有する第2誘電体膜と、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1誘電体膜及び前記第2誘電体膜のいずれか一方が前記第1スペーサ層及び前記第2スペーサ層と接し、
前記いずれか一方のうちの前記第2スペーサ層に接する部分の厚さは、前記いずれか一方の前記第1スペーサ層に接する部分の厚さと異なることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1誘電体膜は複数設けられ、前記第2誘電体膜は複数設けられ、前記複数の第1誘電体膜と前記複数の第2誘電体膜とは、前記第1方向に沿って交互に積層されることを特徴とする請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1誘電体膜及び前記第2誘電体膜は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含み、
前記第1誘電体膜に含まれる酸素及び窒素の少なくともいずれかの含有率は、前記第2誘電体膜に含まれる酸素及び窒素の前記少なくともいずれかの含有率とは異なることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記主基板と積層された波長選択吸収層をさらに備え、
前記波長選択吸収層は、
前記第1方向に沿って見たときに前記第1スペーサ層と重なる部分を有する第1吸収層と、
前記第1方向に沿って見たときに前記第2スペーサ層と重なる部分を有し前記第1吸収層の吸収スペクトルとは異なる吸収スペクトルを有する第2吸収層と、
を含み、
前記波長選択透過層のうちの前記下側反射層と前記第1スペーサ層と前記上側反射層とを含む第1領域では、第1波長帯の光が透過し、可視光のうちの前記第1波長帯を除く波長帯の光が反射し、
前記波長選択透過層のうちの前記下側反射層と前記第2スペーサ層と前記上側反射層とを含む第2領域では、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光が透過し、可視光のうちの前記第2波長帯を除く波長帯の光が反射し、
前記第1波長帯の光に対する前記第1吸収層の吸収率は、可視光のうちの前記第1波長帯を除く前記波長帯の光に対する前記第1吸収層の吸収率よりも低く、
前記第2波長帯の光に対する前記第2吸収層の吸収率は、可視光のうちの前記第2波長帯を除く前記波長帯の光に対する前記第2吸収層の吸収率よりも低いことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記波長選択透過層は、
前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられ前記第1面内で前記第1スペーサ層が設けられる領域及び前記第2スペーサが設けられる領域と並置された領域を有し、
前記回路層は、
前記第1方向に沿って見たときに前記並置された領域と重なる部分を有する第3画素電極と、
前記第3画素電極に接続された第3スイッチング素子と、
を含み、
前記波長選択吸収層は、前記第1方向に沿って見たときに前記並置された領域と重なる部分を有し前記第1吸収層の前記吸収スペクトルとは異なり第2吸収層の前記吸収スペクトルとも異なる吸収スペクトルを有する第3吸収層をさらに含み、
前記波長選択透過層のうちの前記並置された領域では、前記第1波長帯とは異なり前記第2波長帯とも異なる第3波長帯の光が透過し、可視光のうちの前記第3波長帯を除く波長帯の光が反射し、
前記第3波長帯の光に対する前記第3吸収層の吸収率は、可視光のうちの前記第3波長帯を除く前記波長帯の光に対する前記第3吸収層の吸収率よりも低いことを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
照明ユニットをさらに備え、
前記照明ユニットは、前記波長選択透過層から前記波長選択吸収層に向かう方向に沿って前記波長選択透過層に照明光を入射させ、
前記照明ユニットは、前記波長選択透過層のうちで前記第1スペーサ層を含む部分において前記照明光が反射した反射光の少なくとも一部を、前記波長選択透過層のうちで前記第2スペーサ層を含む部分に入射させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項11】
前記光制御層は、液晶層を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項12】
主面を有する主基体と、前記主面上に設けられた波長選択透過層と、前記波長選択透過層の上に設けられた回路層と、を有する主基板と、前記主基板と積層された波長選択吸収層と、前記波長選択吸収層と積層された光学特性が可変の光制御層と、を含み、前記波長選択透過層は、下側反射層と、前記下側反射層の上に設けられた上側反射層と、前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられた第1スペーサ層と、前記下側反射層と前記上側反射層との間に設けられ前記主面に対して平行な第1面内で前記第1スペーサ層と並置され前記第1スペーサ層の厚さとは異なる厚さを有する第2スペーサ層と、を含み、前記回路層は、前記主面に対して垂直な第1方向に沿って見たときに前記第1スペーサ層と重なる部分を有する第1画素電極と、前記第1方向に沿って見たときに前記第2スペーサ層と重なる部分を有する第2画素電極と、前記第1画素電極に接続された第1スイッチング素子と、前記第2画素電極に接続された第2スイッチング素子と、を含み、前記波長選択吸収層は、前記第1画素電極の上に設けられた第1吸収層と、前記第2画素電極の上に設けられ前記第1吸収層の吸収スペクトルとは異なる吸収スペクトルを有する第2吸収層と、を含む表示装置の製造方法であって、
前記主基体の前記主面上に前記下側反射層となる下側反射膜を形成し、
前記下側反射膜の上に前記第1スペーサ層の一部となる第1中間膜を形成し、
前記第1中間膜の第1領域を覆う第1マスク材を形成し、
前記第1中間膜のうちで前記第1マスク材に覆われていない部分を除去し、前記下側反射膜のうちで前記第1マスク材に覆われていない部分の厚さをオーバーエッチングにより減少させ、
前記第1マスク材を除去した後に、残った前記第1中間膜と前記下側反射膜との上に前記第1スペーサ層の別の一部となり前記第2スペーサ層の少なくとも一部となる第2中間膜を形成し、
前記第2中間膜の上に前記上側反射層を形成し、
前記上側反射層の上に、前記回路層を形成することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2中間層を形成した後で前記上側反射層を形成する前に、前記第2中間層のうちの、前記第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを覆う第2マスク材を形成し、
前記第2中間膜のうちで前記第2マスク材に覆われていない部分を除去し、前記下側反射膜のうちで前記第2マスク材に覆われていない部分の厚さをオーバーエッチングにより減少させ、
前記第2マスク材を除去した後に、残った前記第2中間膜と、前記下側反射膜と、の上に前記第1スペーサ層の別の一部となり前記第2スペーサ層の一部となる第3中間膜を形成し、
前記上側反射層の形成は、前記第3中間膜の上に前記上側反射層を形成することを含むことを特徴とする請求項12記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−24999(P2013−24999A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158477(P2011−158477)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】