説明

表示装置及びその駆動方法

【課題】フレーム反転駆動における信頼性を確保するとともに、シネマ映像の画質を向上させる表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る表示装置は、倍速変換された複数のフレーム画像のうち、少なくとも1つを異なる画像に置き換えて表示する。具体的には、本表示装置は、倍速変換された複数のフレーム画像のうち、少なくとも1つずつを高周波成分強調画像又は低周波成分強調画像に置き換えて表示する。さらに、本表示装置は、シネマ画像の切り換わり部分の画像を異なる画像に置き換えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、フレーム反転(フィールド反転)駆動方式の表示装置及びその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、DC電圧がかかると焼き付きが起こるため、1フィールドごとに正負の反転した電界をかける必要がある。1フィールド毎に反転して駆動する方法としては、(1)表示画面全体を同じ極性で駆動し、1フィールド毎に反転駆動する方法、(2)1ライン毎に異なる極性で駆動し、1フィールド毎に反転駆動する方法、(3)1画素毎に異なる極性で駆動し、1フィールド毎に反転する方法、等がある。このようなフィールド反転駆動を行う液晶表示装置には、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。特許文献1では、駆動速度を速くする以外で、フリッカーのない対向電位の調整を可能とする液晶表示装置が提案されている。具体的には、当該液晶表示装置は、各々の画素電極に入力されるビデオ信号の極性を、1フィールドごとに反転する場合と、nフィールド(nは1でない正の整数)ごとに反転する場合とに切り換えている。
【特許文献1】特開平11−133376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術においては、以下に記載する問題がある。例えば、これらのフレーム(フィールド)反転駆動を行う液晶表示装置においては、シネマ映像の高画質な表示と、液晶表示装置の信頼性の対策とを両立できていない。また、24Hzのシネマ映像を、60Hzのインタレース信号又はプログレッシブ信号にテレシネ(2−3プルダウン)変換した場合、当該変換した映像には、2枚・3枚毎に同じ画像が連続し、不連続な動きになるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、フレーム反転駆動における信頼性を確保するとともに、シネマ映像の画質を向上させる表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、表示装置として実現できる。表示装置は、表示させる画像を入力する入力手段と、入力された入力画像の各フレームを複数のフレーム画像に変換するフレーム倍速手段と、前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを異なる画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、表示装置の駆動方法として実現できる。駆動方法は、表示させる画像を入力するステップと、入力された入力画像の各フレームを複数のフレーム画像に変換するステップと、前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを異なる画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、例えば、フレーム反転駆動における信頼性を確保するとともに、シネマ映像の画質を向上させる表示装置及びその駆動方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0009】
<第1の実施形態>
以下では、図1乃至図3を参照して、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。ここでは、主に本発明に関するブロックについて説明する。したがって、本発明における液晶表示装置は、他のブロックを含んで構成されてもよい。なお、以下では、表示装置の一例として、液晶表示装置を例に説明する。
【0010】
液晶表示装置100は、映像入力端子101、A/D変換器102、I/P変換部103、スケーラ104、フレーム倍速部105、メモリ106、107、反転増幅回路108、非反転増幅回路109、極性切換回路110、液晶パネル111、入力タイミング発生部112、出力タイミング発生部113、2−3プルダウン検出部114及び動き補正処理部115を備える。
【0011】
映像入力端子101では、入力手段として機能し、例えば、液晶パネル111に表示させるオリジナルのシネマ画像が入力される。映像入力端子101から入力された画像(画像信号)は、A/D変換器102に入力され、A/D変換される。A/D変換された画像信号は、I/P変換部103に入力され、インタレース信号からプログレッシブ信号に変換される。ここで、インタレースとは、液晶パネル111の走査線において、1本置きに上から下まで表示し、その後に残りの走査線を上から下まで表示する。つまり、1フレームの画面を表示するのに2回で描く表示方法を示す。また、プログレッシブとは、いわゆるノンインタレースであり、1回で1フレーム画面を表示する表示方法を示す。
【0012】
スケーラ104は、I/P変換された画像信号の解像度を液晶パネル111の解像度に合わせるために、拡大・縮小等の解像度変換処理を行う。フレーム倍速部105は、入力画像(画面)の1フレームを複数のフレームに変換する。例えば、フレーム倍速部105は、スケーラ104からの出力画像信号におけるフレームレートを2倍に変換する。変換された画像信号は、メモリ106、107に書き込まれる。
【0013】
動き補正処理部115は、複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを異なる画像に置き換える。したがって、動き補正処理部115は、表示手段の一例である。また、本実施形態によれば、動き補正処理部115は、フレーム倍速部105から出力された画像信号を、高周波成分を強調した画像信号と、低周波成分からなる画像信号とに分けて、反転増幅回路108、非反転増幅回路109に出力する。したがって、動き補正処理部115は、補正手段の一例である。反転増幅回路108及び非反転増幅回路109は、入力された画像信号を液晶パネル111の駆動に適した信号レベルに増幅する。極性切換回路110は、反転増幅回路108及び非反転増幅回路109から出力された画像信号を、正極性及び負極性の信号となるように、電気的な極性を交互に切り換えて液晶パネル111に出力する。極性反転回路110は、表示手段の一例である。
【0014】
2−3プルダウン検出部114は、画像信号における静止フィールドの周期パターンを検出し、当該画像信号がテレシネ変換画像であるか否かを識別し、検出情報を出力する。2−3プルダウン検出部114は、判定手段の一例である。入力タイミング発生部112は、図1に示すように、信号線で接続された各ブロックに画像信号を入力するための情報を出力する。当該各ブロックは、この情報に従って画像信号を入力する。一方、出力タイミング発生部113は、各ブロックから画像信号を出力するための情報を出力する。
【0015】
次に、図2を参照して、動き補正処理部115の詳細について説明する。図2は、第1の実施形態に係る動き補正処理部115の動作を説明するための回路図である。動き補正処理部115は、フレーム倍速部105から出力された画像信号を、高周波成分を強調した画像と低周波成分からなる画像とに分けて交互に出力する。
【0016】
動き補正処理部115は、入力端子221、222、ローパスフィルタ223、減算器224、乗算器225、227、228、加算器226、セレクタ229及び出力端子210を備える。入力端子221には、フレーム倍速部105から出力された画像(映像)信号が入力される。また、入力端子222には、高周波成分を強調した画像と、低周波成分からなる画像とを切り換えて出力するための選択信号が入力される。この選択信号は、例えば、出力タイミング発生部113によって出力される。
【0017】
フレーム倍速部105から出力された画像(映像)信号は、入力端子221を介して入力され、ローパスフィルタ223により高周波成分を削除した低周波成分画像が抽出される。低周波成分画像は、乗算器(第1乗算器)228によって予め定められた係数K3を乗じて、セレクタ229により切り換えて出力される。
【0018】
また、入力端子221から入力された画像信号は、減算器224に入力され、ローパスフィルタ223からの出力信号と減算される。これにより、動き補正処理部115は、高周波成分画像を抽出する。さらに、高周波成分画像は、乗算器(第2乗算器)225によって予め定められた係数K1が乗算された処理結果に、加算器226によって、入力端子221から入力された元画像が加算される。これにより、動き補正処理部115は、元画像に高周波成分画像を加えた高周波成分強調画像を得る。その後、高周波成分強調画像は、乗算器(第3乗算器)227によって予め定められた係数K2が乗算され、セレクタ229を介して出力される。
【0019】
本実施形態では、テレシネ変換(2−3プルダウン)によりNTSC信号等の60Hzのインタレース信号に変換された映像を入力した場合の処理方法について説明する。図3を参照して、テレシネ画像に対して行われる、フレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動について説明する。
【0020】
図3は、第1の実施形態に係るフレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動の処理フローを説明するための図である。ここでは、60Hzインタレースのテレシネ画像信号に対して、フレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動を行った例について説明する。
【0021】
ここで、図3(a)は、オリジナルのシネマ画像を示す。図3(b)は、画像信号入力端子101から入力されるテレシネ変換後の信号を示す。図3(c)は、I/P変換部103から出力されるIP変換後の画像信号の出力を示す。図3(d)は、フレーム倍速部105によるメモリ106への書込を示す。図3(e)は、フレーム倍速部105によるメモリ107への書込を示す。図3(f)は、フレーム倍速部105によるメモリ106からの読出を示す。図3(g)は、フレーム倍速部105によるメモリ107からの読出を示す。図3(h)は、動き補正処理部115からの出力を示す。図3(i)は、液晶パネル111の駆動信号となる極性反転回路110からの出力を示す。また、301、302は、シネマ画像を示す。303〜307は、インタレース画像を示す。308〜312は、プログレッシブ画像を示す。313〜317は、メモリ106又はメモリ107に書き込まれるプログレッシブ画像を示す。
【0022】
図3(a)に示すように、オリジナルのシネマ映像の画像信号は、1秒間に24フレームの画像で構成されており、24Hzで画像が更新される。ここで、シネマ映像をNTSC信号等の60Hzのインタレース信号にテレシネ変換を行う場合には、2−3プルダウンという方式が用いられる。2−3プルダウン方式は、図3(b)に示すように、シネマフィルムの1枚の画像を2枚繰り返す場合と3枚繰り返す場合とを交互に行うことにより、24Hzのフレームレートから60Hzのフレームレートに変換する。さらに、偶数ラインと奇数ラインとを60Hzのフレーム毎に交互に読み出すことにより、テレシネ変換後のインタレース信号を得ることができる。
【0023】
上述のテレシネ変換後のインタレース信号は、画像信号入力端子101から入力され、A/D変換器102に入力される。A/D変換器102は、入力された画像信号をA/D変換し、I/P変換部103に入力する。ここで、図1に示すように、2−3プルダウン検出部114は、2−3プルダウン後のテレシネ変換された60Hzのインタレース信号を検出する。
【0024】
2−3プルダウン方式により変換された画像(フィルム画像)の場合には、静止フィールドが5フィールド毎に発生する。2−3プルダウン検出部114は、この周期パターンを検出してフィルム画像(テレシネ変換画像)か、一般の画像かを識別して、検出情報を出力する。例えば、図3(b)では、シネマ画像302から作成された画像305、307が同じ画像となるため、静止フィールドと判断され、2−3プルダウンの位相が検出される。
【0025】
2−3プルダウン検出部114により検出された位相により、図3(c)に示すように、I/P変換部103では、画像303、304のインタレース画像からプログレッシブ画像308、309を生成する。また、画像305、306のインタレース画像からプログレッシブ画像310、312、313を生成する。
【0026】
IP変換後の画像信号は、スケーラ104に入力され、入力画像の解像度を液晶パネル111へ表示を行う解像度に合せて、拡大・縮小等の解像度変換処理が行われる。スケーラ104から出力される画像信号は、フレーム倍速部105に入力され、フレームレートが2倍に変換される。
【0027】
IP変換後のプログレッシブ画像308〜312は、スケーラ104を経て、図3(d)、図3(e)に示すように、フレーム倍速部105により、メモリ106及びメモリ107に交互に書込まれる。なお、図3(d)、図3(e)は、フレーム倍速部105によってメモリ106及びメモリ107に書き込まれる画像のタイミングを示す。1フレーム毎に、メモリ106とメモリ107に交互にデータが書き込まれる。また、図3(f)、図3(g)は、フレーム倍速部105によってメモリ106及びメモリ107からデータを読み出す際のタイミングを示す。
【0028】
図3(f)、図3(g)に示すように、フレーム倍速部105は、メモリ106に書き込まれたデータを書込みのフレームレートの2倍で、2回読み出すことにより、同じ画像を連続して2回出力する。続いて、フレーム倍速部105は、メモリ107に書き込まれたデータを連続して2回読み出す。このように、メモリからの読み出しを2倍の速度で行い、1フレームの書込の間に2フレーム分の画像を読み出すことにより、入力画像のフレームレートを2倍にすることが可能となる。
【0029】
フレーム倍速部105により、倍速変換された画像318〜327は、動き補正処理部115へ入力される。動き補正処理部115は、図3(h)に示すように、シネマ画像の切り換わりの最初のフレームの画像328、332を高周波成分を強調した画像に変換し、連続する5フレームの最後の画像331、337を低周波成分のみの画像に変換する。
【0030】
動き補正処理部115から出力された画像328〜337は、反転増幅回路108及び非反転増幅回路109に入力され、液晶パネル111の駆動に適した信号レベルに増幅した後に、極性切換回路110に入力され、図3(i)に示すように、2倍にされた画像が、各々、液晶パネルの共通電極電圧に対して、正極性及び負極性の信号となるように交互に切り換えて出力される。このように、正極性と負極性の画像を交互に出力することにより、フリッカーの無い表示を得ることができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置は、倍速変換された複数のフレーム画像のうち、少なくとも1つを異なる画像に置き換えて表示する。具体的には、本表示装置は、倍速変換された複数のフレーム画像のうち、少なくとも1つずつを高周波成分強調画像又は低周波成分強調画像に置き換えて表示する。さらに、本表示装置は、シネマ画像の切り換わり部分の画像に対して動き補正処理を行った画像を表示する。これにより、動画ぼけの改善した表示装置装置を得ることができる。また、60Hzの入力に対して、表示のリフレッシュレートを120Hzとすることにより、フレーム毎に駆動極性を反転するフレーム反転駆動においても、フリッカーを目視では検知できなくすることが可能となり、フリッカーレスの高画質表示が可能となった。このように、本実施形態によれば、フレーム反転駆動による焼き付けやフリッカー等の対策とシネマ映像の高画質表示とを両立させて実現する表示装置を提供できる。また、1フレーム毎に反転して駆動する方法としては、(1)表示画面全体を同じ極性で駆動し、1フレーム毎に反転駆動する方法、(2)1ライン毎に異なる極性で駆動し、1フレーム毎に反転駆動する方法、(3)1画素毎に異なる極性で駆動し、1フレーム毎に反転する方法、等があるが、何れの方法にも適用できる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、図4を参照して、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、フレーム倍速を行う液晶表示装置において、テレシネ画像の動きを改善し、高画質表示を実現するとともに、AC駆動におけるDC成分の偏りを改善した液晶表示装置について説明する。
【0033】
第1の実施形態では、シネマ映像のホールド特性に起因した動きぼけについて改善しているが、2−3パターンがそのままフレーム倍速処理されるため、異なるパターン数が繰り返されるために生ずる不連続な動き映像が残っている。つまり、1枚のシネマ画像から作られた2枚又は3枚と交互に続く画像がそのままフレーム倍速化処理されることとなる。したがって、フレーム倍速後は、図3(h)に示すように、4枚又は6枚と交互に画像が続くため、連続した動きが続く画像等では、動きが不自然に感じられる場合があり、画質劣化の可能性がある。本実施形態では、この不連続な動きによる画質劣化を改善する方法について説明する。
【0034】
図4は、第2の実施形態に係るフレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動の処理フローを説明するための図である。ここでは、2−3プルダウン検出部114において、テレシネ画像であることを検出し、2−3プルダウンの位相を検出した場合のテレシネ画像に対しての処理フローを説明する。なお、以下では、主に図3の説明と異なる部分について説明する。
【0035】
ここで、図4(a)は、オリジナルのシネマ画像を示す。図4(b)は、画像信号入力端子101から入力されるテレシネ変換後の信号を示す。図4(c)は、I/P変換部103から出力されるIP変換後の画像信号の出力を示す。図4(d)は、フレーム倍速部105によるメモリ106への書込を示す。図4(e)は、フレーム倍速部105によるメモリ107への書込を示す。図4(f)は、フレーム倍速部105によるメモリ106からの読出を示す。図4(g)は、フレーム倍速部105によるメモリ107からの読出を示す。図4(h)は、動き補正処理部115からの出力を示す。図4(i)は、液晶パネル111の駆動信号となる極性反転回路110からの出力を示す。また、401、402は、シネマ画像を示す。403〜407は、インタレース画像を示す。408〜412は、プログレッシブ画像を示す。413〜417は、メモリ106又はメモリ107に書き込まれるプログレッシブ画像を示す。
【0036】
本実施形態によれば、2−3プルダウン検出部114によってテレシネ画像であると判断した場合、フレーム倍速部105は、図4(f)、図4(g)に示すように、メモリ106、107からデータを読み出す。具体的には、メモリ106から画像Aを2フレーム分(418、419)読み出した後に、メモリ107から画像Aを3フレーム分(420、421、422)連続して読み出す。そして、メモリ106から読み出すタイミングを1フレーム分ずらすことにより、メモリ106より画像Bを1フレームだけ読出し(423)、メモリ107から画像Bを2フレーム分(424、425)読み出す。続いて、メモリ106から画像Bを2フレーム分(426,427)読み出す。
【0037】
上述のように読み出すことにより、画像A(418〜422)及び画像B(423〜427)が各々5フレーム連続することになり、同数のフレームが連続して繰り返されるため、動きのスムーズな高画質の映像を得ることが可能となる。フレーム倍速部105により、倍速変換された画像は、動き補正処理部115へ入力される。
【0038】
動き補正処理部115は、図4(h)に示すように、シネマ画像の切り換わりの最初のフレーム428、433を高周波成分を強調した画像に変換し、連続する5フレームの最後の画像432及び437を低周波成分のみの画像に変換する。
【0039】
図4(i)に示すように、画像438〜442の連続する5フレームでは、高周波成分を強調した画像438と低周波成分の画像442とが正極性側で駆動される。逆に、画像443〜447の連続する5フレームでは、高周波成分を強調した画像443と低周波成分の画像447とが負極性側で駆動される。したがって、連続する5フレーム毎に、動き補正処理部115にて変換した画像を駆動する極性が逆になるため、DC成分の偏りは相殺されることになり、焼き付き等の信頼性の劣化が改善される。
【0040】
本実施形態では、NTSCのインタレース信号が入力される場合について説明したが、プログレッシブ信号が入力した場合においても、IP変換処理を行わないだけであり、同様の処理が可能である。この場合は、図3及び図4等において、IP変換後の信号がプログレッシブ入力信号となる。
【0041】
また、本実施形態では、アナログ入力の場合について説明したが、DVI等のデジタル信号が入力される場合においても、本発明を適用することができる。また、本実施形態では、2つのメモリを使用した例について説明したが、これに限定されず、1つのメモリで領域を分けて使用してもよい。
【0042】
<第3の実施形態>
次に、図5及び図6を参照して、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、動き補正処理として、黒挿入処理を用いた例について説明する。黒挿入処理とは、倍速されたフレームに、均一な階調の画像(例えば、黒画像)を挿入する処理を示す。
【0043】
図5は、比較例となる黒挿入処理を説明するための図である。図5(a)は、フレーム倍速部105によってメモリ106、107から読み出された画像を示す。また、図5(b)は、極性反転回路での出力を示す。
【0044】
図5に示すように、比較例では、フレームを2倍にした後の後ろ側のフレームに黒挿入をおこなっている。この場合、黒挿入が、負極性側のみで行われるため、DC成分の偏りが生じ、焼き付き等の信頼性劣化の要因となる。
【0045】
図6は、第3の実施形態に係る黒挿入処理を説明するための図である。図6(a)は、フレーム倍速部105によってメモリ106、107から読み出された画像を示す。また、図6(b)は、極性反転回路での出力を示す。
【0046】
図6に示すように、本実施形態では、2−3パタ‐ンの入力信号を、フレーム倍速後、5−5パターンに変換し、5−5パターンの切換え部において、黒挿入処理を実行する。そのため、黒挿入を行うフレームの極性が5フレーム毎に、入れ替わるため、DC成分の偏りが改善されるとともに、連続した5フレーム毎に画像が切り換わるため、不連続な動画表示による画質劣化も生じないという効果がある。
【0047】
<第4の実施形態>
次に、図7及び図8を参照して、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、動き補正処理として、少なくとも1つのフレーム画像をオーバードライブ駆動の画像に置き換える例について説明する。
【0048】
図7は、比較例となるオーバードライブ処理を説明するための図である。図7(a)は、フレーム倍速部105によってメモリ106、107から読み出された画像を示す。また、図7(b)は、極性反転回路での出力を示す。
【0049】
比較例では、フレームを2倍にした後の4−6パターン映像において、画像が切り換わるフレームでオーバードライブ処理を実行する。この場合、オーバードライブが、正極性側のみで行われるため、DC成分の偏りが生じ、焼き付き等の信頼性劣化の要因となる。
【0050】
図8は、第4の実施形態に係るオーバードライブ処理を説明するための図である。図8(a)は、フレーム倍速部105によってメモリ106、107から読み出された画像を示す。また、図8(b)は、極性反転回路での出力を示す。
【0051】
本実施形態では、2−3パタ‐ンの入力信号を、フレーム倍速後、5−5パターンに変換し、5−5パターンの切り換え部において、オーバードライブ処理を実行する。そのため、オーバードライブ処理を実行するフレームの極性が5フレーム毎に、入れ替わるため、DC成分の偏りが改善されるとともに、連続した5フレーム毎に画像が切り換わるため、不連続な動画表示による画質劣化も生じないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る動き補正処理部115の動作を説明するための回路図である。
【図3】第1の実施形態に係るフレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動の処理フローを説明するための図である。
【図4】第2の実施形態に係るフレーム反転倍速駆動処理及び動き改善駆動の処理フローを説明するための図である。
【図5】比較例となる黒挿入処理を説明するための図である。
【図6】第3の実施形態に係る黒挿入処理を説明するための図である。
【図7】比較例となるオーバードライブ処理を説明するための図である。
【図8】第4の実施形態に係るオーバードライブ処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
101:映像信号入力端子
102:A/D変換器
103:I/P変換部
104:スケーラ
105:フレーム倍速部
106:メモリ
107:メモリ
108:反転増幅回路
109:非反転増幅回路
110:極性切換回路
111:液晶パネル
112:入力タイミング発生部
113:出力タイミング発生部
114:2−3プルダウン検出部
115:動き補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示させる画像を入力する入力手段と、
入力された入力画像の各フレームを複数のフレーム画像に変換するフレーム倍速手段と、
前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを異なる画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示する表示手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレーム倍速手段は、
前記入力画像の各フレームを同数のフレーム画像に変換することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フレーム画像を、高周波成分を強調した高周波成分強調画像と、低周波成分からなる低周波成分画像とに補正する補正手段をさらに備え、
前記表示手段は、
前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つずつを、前記高周波成分強調画像又は前記低周波成分画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記補正手段は、
前記入力画像の低周波成分を抽出するローパスフィルタと、
抽出された前記低周波成分に予め定められた係数を乗算して、前記低周波成分画像を出力する第1乗算器と、
前記入力画像から前記低周波成分を減算して、該入力画像の高周波成分を抽出する減算器と、
抽出された前記高周波成分に予め定められた係数を乗算する第2乗算器と、
前記第2乗算器の処理結果に前記入力画像を加算する加算器と、
前記加算器の処理結果に予め定められた係数を乗算して、前記高周波成分強調画像を出力する第3乗算器と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、
前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを、均一な階調の画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、
前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを、オーバードライブ駆動による画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記入力された入力画像が2−3プルダウン方式による画像であるか否かを判定する判定手段と、
前記入力画像が2−3プルダウン方式による画像である場合に、入力画像をインタレース画像からプログレッシブ画像に変換するI/P変換手段とをさらに備え、
前記フレーム倍速手段は、
前記入力画像が2−3プルダウン方式による画像である場合に、前記I/P変換手段によって変換された前記プログレッシブ画像のフレームを変換することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示手段は、
前記複数のフレーム画像のうち、前記入力画像のフレームにおいて切り換わり部分のフレーム画像を、前記異なる画像に置き換えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
表示させる画像を入力するステップと、
入力された入力画像の各フレームを複数のフレーム画像に変換するステップと、
前記複数のフレーム画像のうち少なくとも1つを異なる画像に置き換えるとともに、各フレーム画像ごとに電気的な極性を反転させて表示するステップと
を含むことを特徴とする表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300785(P2009−300785A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155883(P2008−155883)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】