説明

表示装置

【課題】非常時に面状発光素子を点灯させる非常用電源を有する表示装置において、非常用電源で点灯時に、点灯時間をより長くできるようにする。
【解決手段】表示装置は、交流電源を直流に変換する交流直流変換部2と、交流直流変換部2から給電され非常時に動作する非常用電源3と、給電された電流を所望の電流値に制御する電流制御部4と、有機ELからなる複数の面状発光素子5、6とを備える。非常時、非常用電源3はスイッチ7により電流制御部4と切断され、スイッチ8、9により面状発光素子5、6とそれぞれ接続され、電流制御部4を介さずに面状発光素子5、6に直結される。これにより、非常時に、非常用電源3から給電して点灯する際、電流制御部4による電力消費を無くすことができるので、非常用電源3の蓄積電力を効率よく利用でき、点灯時間をより長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常時に面状発光素子を点灯させる非常用電源を有する誘導灯等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災発生時等の非常時に、人を避難経路に誘導するための表示装置(誘導灯)が使用されている。このような誘導灯を図9に示す。この誘導灯は、例えば、緑と白の2色を用いて人が避難するマークを表示した透光性の表示パネル101と、バックライト用の蛍光ランプ102と、回路構成部103とを備える。蛍光ランプ102は、回路構成部103の点灯回路に接続され、点灯回路内のインバータ部で高周波駆動されて点灯される。インバータ部は交流電源より給電される交流直流変換部の直流電圧で駆動される。
【0003】
このような誘導灯は、非常時に交流電源の供給が絶たれる場合を想定して、バッテリ等の非常用電源(不図示)を備え、非常時に非常用電源から点灯回路に給電してインバータ部を駆動して蛍光ランプ102を点灯する。
【0004】
しかしながら、上記誘導灯は、蛍光ランプの寿命が短いことや、非常時に、インバータ部による電力消費のため、非常用電源の消耗が早く、長時間点灯できないという問題があった。
【0005】
また、蛍光ランプをバックライトとする表示体を、その表示内容の識別に応じて点灯制御し、停電時に商用電源を非常用電源に切換えてランプ点灯する表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この装置は、表示内容の識別により省電力化できるが、前記誘導灯と同様に、停電時に、インバータ部を非常用電源で駆動して点灯するので、長時間点灯できない。
【0006】
ところで、図10に示すように、近年、薄型で、長寿命が期待される有機EL(Electro Luminescence)等の面状発光素子104を誘導用の表示パネル101のバックライトとして用いた誘導灯が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この誘導灯は、交流電源より給電される電源回路部105と、非常用電源106とを備え、電源回路部105は交流直流変換部と、定電流源となる電流制御部とを有する。電流制御部は、通常時に交流直流変換部から、非常時に非常用電源106から給電されて面状発光素子104へ給電する。
【0007】
しかしながら、この誘導灯は、有機ELを用いて寿命は長くなるが、非常時に、非常用電源が電流制御部により電力消費されるので、前記と同様に、長時間点灯できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−69593号公報
【特許文献2】特開2008−165337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、非常時に面状発光素子を点灯させる非常用電源を有する表示装置において、非常用電源で点灯時に、点灯時間をより長くすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、商用電源から給電される電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時に、前記電流制御手段に給電する非常用電源と、電極に挟持される発光層を有する複数の面状発光素子と、を備え、商用電源が所望の機能を果たす通常時には前記電流制御手段を介して前記面状発光素子に給電する表示装置において、前記非常用電源は、非常時に、前記電流制御手段を介さずに前記面状発光素子に電気的に接続されるように構成されているものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記商用電源が交流電源であって、前記電流制御手段は能動素子のスイッチング動作を用いて入力電圧を昇圧するための昇圧コンバータを有し、前記昇圧コンバータの制御電圧は、商用電源の交流電圧を利用しているものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の表示装置において、前記非常用電源を複数備え、前記複数の非常用電源は、非常時に、複数の面状発光素子に独立に接続されるものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3に記載の表示装置において、前記非常用電源の出力電圧は、通常時の前記面状発光素子への印加電圧よりも小さいものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、非常時において電流制御手段での電力ロスが発生しなくなるので、非常用電源の蓄積電力を効率よく利用でき、表示装置の点灯時間をより長くすることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、非常時において昇圧コンバータは制御電圧がオフされて、スイッチング動作が停止されるので、非常用電源は電流制御手段に接続されていても、電流制御手段の電力ロスが抑制されることにより、実質的に電流制御手段をスルーする形で面状発光素子に給電でき、効率良く長時間、面状発光素子を点灯できる。また、非常用電源と電流制御手段間を切断するためのスイッチなどを設ける必要がなくなる。
【0016】
請求項3の発明によれば、非常時に、複数の面状発光素子のうち、電力消費の少ない面状発光素子ほど点灯時間が長くなるので、非常時の誘導に有効となる。
【0017】
請求項4の発明によれば、非常時に面状発光素子は低い印加電圧で駆動されるので、その消費電力も低減し、通常時に比べ輝度は低くなるが、非常用電源による長時間点灯が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘導灯の構成図。
【図2】(a)は同実施形態の誘導灯の回路図、(b)は同誘導灯の電流制御部の回路図。
【図3】同誘導灯の面状発光素子の電圧電流特性を示す図。
【図4】同誘導灯の誘導表示パターン例を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る誘導灯の構成図。
【図6】(a)は同実施形態の誘導灯の回路図、(b)は誘導灯の電流制御部の回路図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る誘導灯の構成図。
【図8】(a)は上記実施形態の変形例における誘導灯の回路構成図、(b)は(a)の非常時に接続される各非常用電源と面状発光素子間の動作に必要な配線の模式図。
【図9】従来の誘導灯の構成図。
【図10】他の従来の誘導灯の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の表示装置の実施形態に係る誘導灯について図1乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の誘導灯1は、交流直流変換部2と、非常用電源3と、電流制御部(電流制御手段)4と、有機ELからなる面状発光素子5、6と、回路接続を切り替えるためのスイッチ7、8、9とを備える。
【0020】
交流直流変換部2は、商用電源(例えば、100V、60Hz)からの交流電源を直流に変換し、その直流出力は蓄電池からなる非常用電源3に接続される共に、スイッチ7を介して電流制御部4に接続される。非常用電源3は、スイッチ8、9を介してそれぞれ面状発光素子5、6に接続される。電流制御部4は交流直流変換部2から給電される電流を所望の電流値に制御して面状発光素子5、6に供給し、それらを点灯する。
【0021】
面状発光素子5、6は、互いに対向して配置された素子基板(不図示)と封止基板を有し、これら基板に設けられるプラス電極とマイナス電極との間に、有機分子材料からなる発光層が挟持されている。また、面状発光素子5、6は、発光層を挟んでプラス側に正孔輸送層、マイナス側に電子輸送層が形成されている。これら面状発光素子5、6は、いわゆるバックライトとして機能させるものではなく、直接表示したい色を発するような発光材料を用いた素子で構成される。
【0022】
スイッチ7、8、9は、例えば、FETやトランジスタなどのスイッチング素子を用いた半導体リレーや、交流電流のオンオフに連動して接点を切替える電磁リレーなどの電気接続用リレーを用いることができる。半導体リレーは、交流直流変換部2のトランス22の一部に別途整流回路を設けて得られる直流電圧を用いて、各電気接続端子間に直列に挿入されたスイッチング素子を制御してオンオフしてもよい。また、電磁リレーは、交流直流変換部2の入力側から取り出した交流電流を利用できる。それらのリレーは、いずれも交流電源のオン、オフで各端子接続を切り替え、各スイッチをクローズ(短絡)またはオープン(開放)するようになっている。
【0023】
ここでは、交流電源のオン時に、スイッチ7はクローズ、スイッチ8、9はオープンとなり、交流電源のオフ時に、各スイッチは逆の動作をする。なお、スイッチ8の面状発光素子5側と面状発光素子6とを接続し、スイッチ9を省略してもよい。
【0024】
図2(a)に示すように、交流直流変換部2は、交流電源からの交流電圧を全波整流する全波整流回路21と、その出力を電圧変換するトランス22と、その電圧変換出力を整流し直流電圧Vaを出力する整流回路23と、電源スイッチ24とを有する。整流回路23は、直流電圧Vaを非常用電源3に給電して充電すると共に、スイッチ7を介して電流制御部4に通電する。
【0025】
図2(b)に示すように、電流制御部4は、交流直流変換部2からの直流電圧Vaを昇圧するための昇圧コンバータ40と、昇圧コンバータ40の出力電流を検出するための電流検出部46とを有する。昇圧コンバータ40は、スイッチング素子のFET(能動素子)41と、このスイッチング動作を制御する制御部42と、昇圧用のチョークコイル43と、FET41出力を整流するためのダイオード44と、平滑用のコンデンサ45とを備える。チョークコイル43は、チョッパ方式の昇圧用コイルとして、交流直流変換部2とFET41のドレイン間に挿入される。また、FET41のソースは接地されている。
【0026】
電流検出部46は、面状発光素子5、6と直列に接続される電流検出用の抵抗Rdを備え、昇圧コンバータ40から面状発光素子5、6に流れる出力電流Ifを抵抗Rdで電圧変換して検出し、この電流検出電圧Vf(=If・Rd)を制御部42にフィードバックする。
【0027】
制御部42は、スイッチングパルスを発生するパルス発振回路を有し、電源がオンされると、例えば、数10KHzの固定周波数のパルスを発生し、そのパルスをFET41のゲートに印加してスイッチングする。その出力パルスは、ダイオード44とコンデンサ45で平滑整流されて直流電圧Vbとなる。この昇圧コンバータ40は、FET41がオンからオフになったとき、チョークコイル43に蓄積エネルギが蓄えられることにより、入力の直流電圧Vaが昇圧される。
【0028】
電流制御部4は、電流検出部46により検出された電流検出電圧Vfを制御部42にフィードバックすることにより、制御部42に内蔵の基準電圧と比較して、PWM制御によりパルス発振回路のパルス幅を変えて出力電流Ifを安定化する。なお、直流電圧Vbは、基準電圧変更用の可変抵抗(不図示)等により調整できるようになっている。このような電流制御部4は、通常スイッチング素子や電流制限要素としての抵抗などによる電力ロスがあるため、効率が90−95%程度となっている。
【0029】
図3は、面状発光素子5、6を構成する有機ELの電圧電流特性の例を示す。有機ELは、その電極間に駆動電圧(ここでは直流電圧Vb)が印加されたとき、通常時は、入力の直流電圧Vbに対し出力電流Ifが流れて動作しており、停電時に駆動電圧が電圧Vsまで下がると、電流もIsまで下がるようになる。すなわち、面状発光素子5、6は、入力電圧が低下すると素子に流れる電流も低下するいわゆる正特性を持つ。
【0030】
図4は、面状発光素子5、6で構成される避難誘導標識の誘導表示パネル11の例を示す。ここでは、誘導表示パネル11は、面状発光素子5が動作時に緑色(網点部)に発色して誘導表示パネル11内の「避難する人を模した形」を表し、面状発光素子6はその周りを白色に発色する構成になっている。
【0031】
このような構成の誘導灯1の動作について、通常時と非常時に分けて説明する。通常時に、誘導灯1は、交流電源がオンになると、スイッチ7がクローズ(短絡)、スイッチ8、スイッチ9がオープン(開放)となり、交流直流変換部2の直流出力電圧が非常用電源3に印加されると共に、電流制御部4に印加され、非常用電源3は常時充電される。電流制御部4は、定電流源となって、面状発光素子5、6に直流電流Ifを通電する。ここでは、例えば、面状発光素子5、6のそれぞれに印加される電圧を約8Vとすると、それらに流れる電流のトータルは約0.3Aとなっている。
【0032】
非常時、誘導灯1への交流電源がオフになると、スイッチ7はオープン、スイッチ8、スイッチ9はそれぞれクローズとなる。これにより、非常用電源3は、電流制御部4と分離され、面状発光素子5、6とそれぞれ直結される。すなわち、非常用電源3の出力は電流制御部4に給電されず、電流制御部4をバイパスする形で、直接、面状発光素子5、6に印加されることになる。
【0033】
このとき、電流制御部4の通常時における電力効率が90−95%であることから、非常時に、非常用電源3は電流制御部4をバイパスすることにより、5%−10%の電力ロスを回避することができ、その分、バイパスしない場合と比較して長時間点灯することが可能になる。
【0034】
また、逆に、非常用電源3が電流制御部4に接続された場合、使用時間経過に伴い、その蓄電電力の消耗されてその出力電圧が低下していく状態にあっても、電流制御部4は非常用電源3からの入力電圧に関係なく定電流制御動作を続ける。すなわち、非常用電源3の出力電圧が低下しても、電流制御部4の出力電力は変化しないように制御されるので、非常用電源3の出力電流が増加する。その結果、加速的に非常用電源3の蓄電容量が減少し、点灯時間も加速的に短くなる。
【0035】
本実施形態によれば、非常用電源3は、非常時に、電流制御部4を介さずに面状発光素子5、6に電気的に直接接続されるので、電流制御部4による電力ロスが発生しない。したがって、電流制御部4を介して面状発光素子5、6へ供給する場合と比較して、非常用電源3の蓄積電力を効率よく利用でき、点灯時間を長くすることができる。
【0036】
また、面状発光素子5、6は、入力電圧が低下すると素子に流れる電流も低下するいわゆる正特性を持った負荷であるので、非常用電源3の出力電圧が低下するに伴い、流れる電流も低下することになり、輝度は暗くなるが、長時間点灯がなされる。
【0037】
また、本実施形態においては、非常時に、緑色の面状発光素子5と白色の面状発光素子6の両方、すなわち、面状発光素子すべてを点灯するとしたが、どちらか一方を点灯させてもよい。例えば、非常時に、スイッチ9をオープンにした状態、または、通常時から非常用電源3と面状発光素子6とを接続しない構成にしておけば、非常時に面状発光素子5のみが点灯するようにできる。そのような構成では、非常時に緑色部(図4参照)しか表示しないが、その分、点灯必要電力が大幅に削減され、さらに長時間できるようになる。
【0038】
また、本実施形態の電流制御部4は、昇圧コンバータ40を用いて面状発光素子5、6に給電したが、スイッチング素子が電流制御部4の入出力間に直列に接続される降圧コンバータを用いることもできる。ここでは、チョークコイルはスイッチング素子と直列に、ダイオードはスイッチング素子と接地間に配置される。この降圧コンバータは、交流電源を基に形成した制御電圧により、非常時に、パルス発振回路が停止されスイッチング素子のスイッチング動作が停止されるようにする。これにより、非常用電源3は、非常時に、スイッチング素子の遮断により、電流制御部4と接続された状態でも電流制御部4による電力ロスがなく、非常用電源3と電流制御部4間の切断用のスイッチ7が不要になる。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る誘導灯について、図5及び図6(a)、(b)を参照して説明する。本実施形態の誘導灯1においては、非常用電源3は電流制御部4に直結されており、電流制御部4は昇圧コンバータ40の制御電圧Vcに商用電源の交流電圧を利用している。また、面状発光素子5、6は電流制御部4に接続されている。
【0040】
図6(a)に示すように、交流直流変換部2は、トランス22の一部からトランス結合で部分的に取り出された交流電圧を整流して直流電圧を得るための整流回路25を備える。ここでは、この直流電圧を電流制御部4の制御電圧Vcとし、制御電圧Vcは電流制御部4に接続される。交流直流変換部2は、交流電源のオフ時、トランス22の出力がゼロになるので、整流回路25からの制御電圧Vcもゼロになる。
【0041】
図6(b)に示すように、昇圧コンバータ40の制御部42は、制御電圧Vcが接続される入力端子と、この入力端子からの制御電圧Vcで制御されるスイッチング用のパルス発振回路とを有する。制御部42は、制御電圧Vcがオン時(通常時)にそのパルス発振回路を発振させ、オフ時(非常時)に停止させるようになっている。また、通常時、電流制御部4は交流直流変換部2から給電されると共に、制御電圧Vcが印加され、前記実施形態と同様に、面状発光素子5、6に直流電圧Vbを印加する。
【0042】
非常時、昇圧コンバータ40は、整流回路25からの制御電圧Vcがオフとなるので、非常用電源3から給電された状態でパルス発振回路の停止により、自動的にFET41のスイッチング動作が停止され、昇圧動作が停止される。このとき、非常用電源3の蓄電電圧(このとき、電圧Vaに充電されている)は、チョークコイル43と順方向接続のダイオード44とを通って面状発光素子5、6に供給される。
【0043】
ここでは、厳密には、電流制御部4のスイッチング動作が止まっていても、その中のダイオード44やチョークコイル43等に電流が流れて電力ロスが発生するが、そのロスはFET41のスイッチングロスに比較して十分小さく殆ど無視できる。
【0044】
本実施形態によれば、非常時に、昇圧コンバータ40を停止して電流制御部4の電力消費を抑制することができるので、非常用電源3は電流制御部4に接続された状態であっても、電流制御部4の電力ロスの影響を回避できる。この電力ロスの回避により、非常用電源3は、実質的に電流制御部4をスルーして電流制御部4を介さないことと同等の形で面状発光素子に給電でき、面状発光素子5、6を長く点灯させることができる。したがって、非常時に、非常用電源3と電流制御部4とを切断して電流制御部4による非常用電源3の電力消耗を抑えるための、及び非常用電源3と面状発光素子5、6とを接続するためのスイッチ(図1に示した7、8、9)や、それらスイッチの制御回路等が必要ないので、回路構成が簡単になる。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る誘導灯について、図7を参照して説明する。本実施形態の誘導灯1は、前記第1の実施形態において、複数の非常用電源3a、3bを備え、これら複数の非常用電源3a、3bは、非常時に、複数の面状発光素子5、6に互いに独立にそれぞれ接続されるものである。
【0046】
誘導灯1は、通常時、交流直流変換部2からの直流電圧が非常用電源3a、3bにそれぞれ接続されると共に、スイッチ7を介して電流制御部4に接続され、電流制御部4を介して面状発光素子5、6が点灯される。
【0047】
非常時、非常用電源3a、3bは、スイッチ7がオープンに、スイッチ8、9がクローズになり、電流制御部4と切断されると共に、スイッチ8、9を介してそれぞれ面状発光素子5、6と接続され、互いに独立して面状発光素子5、6に給電する。
【0048】
面状発光素子5、6は、その素子部材によって流れる電流の大きさが決まり、この電流の少ないものほど消費電力が少ない。また、消費電流の少ない面状発光素子としては、例えば、面積の小さい素子や、消費電力の少ない発光材料や緑色等の発光色の面状素子などがある。したがって、面状発光素子5、6は、面積が小さいものや、消費電力の少ない発光材料によるものであれば、同じ電圧の非常用電源を接続したときに、比較的長時間点灯することが可能となる。
【0049】
例えば、誘導表示パターンにおいて、面状発光素子5が動作時に緑色に発色して「避難する人を模した形」を表示し、面状発光素子6がそれ以外の白色に発色するパターン構成としたとき(図4参照)、それらの消費電力は面状発光素子5の方が少ない。したがって、非常用電源3bが電力消耗して面状発光素子6が点灯しなくなった後も、面状発光素子5が点灯し続け、非常時の誘導の助けとなる。
【0050】
本実施形態によれば、非常時に、複数の非常用電源をそれぞれ独立に複数の面状発光素子とそれぞれ接続するので、複数の面状発光素子のうち、消費電流の少ない面状発光素子に接続された非常用電源は、消費電力の大きい面状発光素子に比較して、長時間駆動が可能となる。したがって、少なくとも一部の面状発光素子は、例え明るさが弱くても長時間点灯することができ、非常時の誘導に有効である。
【0051】
(第3の実施形態の変形例)
上記実施形態の変形例について、図8(a)、(b)を参照して説明する。図8(a)は本変形例の構成を示し、図8(b)は、非常時の構成を分かりやすくするために、図8(a)における非常時の非常用電源3a、3bと面状発光素子5、6との動作に必要な接続の配線だけを示し、スイッチなど他の回路構成要素を省いている。本変形例は、非常用電源3a、3bの各出力電圧を通常時の面状発光素子5、6への出力電圧よりも小さくしたものである。通常、誘導灯器具内や非常用電源用の設置スペースは限られており、また、非常用電源(蓄電池)はその蓄積される容量とサイズが略比例することから、ここでは、非常用電源3a、3bの各蓄電容量を通常の1つの非常用電源における蓄電容量の半分としている。
【0052】
誘導灯1は、非常用電源3aと、スイッチ10と、非常用電源3bとが順に直列配置され、通常時は、それらの両端に交流直流変換部2からの直流電圧Va(ここでは8Vとする)が印加されている。ここでは、スイッチ8、9、10は3端子からなる2端子切り替え機能を持ち、複数の電気接続リレーを組み合わせて得られる。
【0053】
通常時、スイッチ10は、その2端子間を短絡して非常用電源3a、3bを電気的に直列接続し、他の端子は開放されて接地されている。このとき、非常用電源3a、3bは、それらの仕様が互いに等しくされており、交流直流変換部2からの直流電圧8Vが2分されて印加されて、充電後の電圧はそれぞれ4Vとなる。スイッチ8、9は、それぞれの2端子間により面状発光素子5、6と電流制御部4とを接続している。それらの残りの各1端子は、非常用電源3a、3bの各プラス側に接続され、面状発光素子5、6とはそれぞれ開放されている。
【0054】
非常時、スイッチ10は、非常用電源3a、3b間をオープンとし、非常用電源3aのマイナス側の端子を接地側端子に接続する。スイッチ8、9は、非常用電源3a、3bのそれぞれのプラス側が、面状発光素子5、6に接続されるように切換えられる。この結果、非常時は、面状発光素子5、6は、4Vに充電された非常用電源3a、3bからそれぞれ給電されることになる。
【0055】
これにより、非常時に、非常用電源3a、3bは電流制御部4をバイパスすることによるロス低減効果に加え、面状発光素子5、6への印加電圧が半分になり、電流も自動的に約半分に低下するので、点灯時間がさらに延びる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態において、面状発光素子が2個の場合を示したが、3個以上であってもよい。また、第3の実施形態において、非常用電源は2個の場合を示したが、3個以上であってもよい。また、電流検出部は電流検出に抵抗を用いたが、トランスなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 誘導灯(表示装置)
3、3a、3b 非常用電源
4 電流制御部(電流制御手段)
40 昇圧コンバータ
41 FET(能動素子)
5、6 面状発光素子
Vc 制御電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から給電される電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時に、前記電流制御手段に給電する非常用電源と、電極に挟持される発光層を有する複数の面状発光素子と、を備え、商用電源が所望の機能を果たす通常時には前記電流制御手段を介して前記面状発光素子に給電する表示装置において、
前記非常用電源は、非常時に、前記電流制御手段を介さずに前記面状発光素子に電気的に接続されるように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記商用電源が交流電源であって、
前記電流制御手段は能動素子のスイッチング動作を用いて入力電圧を昇圧するための昇圧コンバータを有し、
前記昇圧コンバータの制御電圧は、商用電源の交流電圧を利用していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記非常用電源を複数備え、
前記複数の非常用電源は、非常時に、複数の面状発光素子に独立に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記非常用電源の出力電圧は、通常時の前記面状発光素子への印加電圧よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−175041(P2011−175041A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37965(P2010−37965)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】