説明

表示装置

【課題】装置の薄型化を容易に実現できるとともに充分な明るさの表示を容易に得ることができ、しかも動的な画像表示を実現できる表示装置を提供する。
【解決手段】導光板13と、導光板13の端面23に沿って設置した複数の光源11と、パララックスバリアとなるマスクとを備えた表示装置10。導光板13には、光源11からの光を導光板13の表面側へ反射させる複数の反射散乱部14からなる表示部24、25が形成されている。表示部24、25は、複数の光源11によって互いに異なるタイミングで発光可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ等に用いられる表示装置に関し、詳しくは立体視が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を裸眼で立体視可能に表示する立体視表示方式として、パララックスバリア方式やレンズアレイ方式といった視差を利用した方式が知られている。パララックスバリア方式では、遮光部と開口部が交互かつ一定の繰り返しピッチで並んだマスクを用い(パララックスバリア)、その背後に複数の視点ごとの画像を上記繰り返しピッチで並べる。このような構成により、視差を利用して視点ごとに異なる画像が見えるようにしている。レンズアレイ方式では、マスクに代えて、微小なレンズが一定の繰り返しピッチで並んだレンズアレイ(レンティキュラレンズ)を利用するが、視差を利用して視点ごとに異なる画像が見えるようにする点では同じである。
【0003】
パララックスバリア方式にあっては、例えば、マスクの繰り返しピッチで左目画像と右目画像を交互に並べることで、左目には左目画像を右目には右目画像を見せて、画像が立体的に認識されるようにすることが可能である。このような原理の立体視表示装置はステレオグラムとも呼ばれる。
【0004】
また、視点を移すことで全く異なる画像に切り替わるものはチェンジング、ある画像から別の画像に徐々に変化していくものはモーフィング、徐々に形態が変わって動きがあるように見えるものはアニメーションと呼ばれる。
【0005】
図8および図9に示すように、パララックスバリア方式では、画像面から一定の距離をおいて、開口部(スリット19)と遮光部が交互かつ一定の繰り返しピッチで設置されているマスク17が使用される。
ここではE1、E2、E3の3つの視点が設定されており、画像面上に、視点E1から見える領域S1、視点E2から見える領域S2、視点E3から見える領域S3が、互いに重なることなくかつ隙間もないように設定される。この際、マスク17と画像面との距離に比べて視点と画像面との距離が充分大きいとすると、「各領域の幅」≒「スリット幅」となり、3視点の場合には、「遮光部幅」/「スリット幅」=(視点数−1)=2となる。
【0006】
ここで、視点毎に表示させたい画像A、B、Cは、それぞれ、領域S1、S2、S3を使用して表示される。具体的には、ある領域の画像を表示している場合、他の領域の画像は遮光部により遮られるため、その領域の画像のみが連続でない断続的画像として表示される。もっとも、開口部と遮光部の繰り返しピッチが充分小さければ連続した一体の画像として認識される。
【0007】
さらに視点E1、E2、E3と順番に視点を移動させると、画像A、B、Cと順番に画像が変化したように認識される。このため、画像の種類により、先に説明したようにチェンジング、モーフィング、アニメーションといった視覚効果を得ることができる。
【0008】
図10に示すように、適切なピッチと焦点距離のレンズアレイ71を使用しても同様の効果が得られる。
この場合も画像面上に、視点E1から見える領域S1、視点E2から見える領域S2、視点E3から見える領域S3が、互いに重なることなくかつ隙間もないように設定されるので、やはり同様にステレオグラムなどを構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−295117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
パララックスバリア方式では、視点数が多くなるとマスク開口部の面積が相対的に小さくなって外光が入りづらくなり、画像面が暗くなってしまう。このため、通常、バックライトを使用した内照方式が採用されるが、この場合でも充分な明るさを得るのは難しかった。また、バックライトを使用すると、表示装置全体の厚みが増すというデメリットもあった。
【0011】
レンズアレイ方式においては通常内部照明を必要としないが、夜間等表示が見づらい場合にはバックライトや外部照明の採用が必要となる。その場合には表示装置の前または後に、照明用スペースが必要となり、表示装置全体の厚みが増していた。
また、近年、立体視表示装置には、多様な表現が求められており、特に動的な表現を実現可能な立体視表示装置が要望されている。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、薄型化を容易に実現でき、しかも動的な画像表示を可能とする立体視表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る表示装置は、導光板と、この導光板の第1側端面に沿って設置した複数の第1光源と、前記導光板の一方の面側に設けたマスク又はレンズアレイとを備え、前記導光板の他方の面上における前記複数の第1光源のそれぞれからの光が照射される領域に、前記第1光源からの入射光を前記一方の面側へ反射散乱させる反射散乱部をそれぞれ設け、前記複数の第1光源のそれぞれを互いに独立のタイミングで発光させることで、各第1光源からの光に基づくそれぞれ所定のパターンをなす前記反射散乱部からの反射光を変化させて表示する表示装置である。
前記導光板には、前記複数の第1光源のそれぞれからの光が照射される領域どうしを区切る溝を形成することができる。
前記溝は、導光板の前記一方の面側から前記他方の面側に向かって切り込むように形成することができる。
本発明に係る表示装置は、前記導光板の第2側端面に沿って設置した複数の第2光源をさらに備え、前記導光板の他方の面上における前記複数の第2光源のそれぞれからの光が照射される領域に、光源からの入射光を前記一方の面側へ反射散乱させる反射散乱部をそれぞれ設け、前記複数の第1光源および前記複数の第2光源のそれぞれを互いに独立のタイミングで発光させることで、各光源からの光に基づくそれぞれ所定のパターンをなす前記反射散乱部からの反射光を変化させて表示する構成としてもよい。
前記導光板には、前記複数の第2光源のそれぞれからの光が照射される領域どうしを区切る溝を形成することができる。
前記導光板には、前記複数の第1光源からの光が照射される領域と、前記複数の第2光源からの光が照射される領域とを区切る溝を形成することができる。
前記溝の深さは、前記導光板の板厚の40〜60%とすることが好ましい。
前記溝はV溝であり、そのV溝の断面底部の角度は、30〜150°であることが好ましい。
本発明に係る表示装置は、前記複数の第1光源または前記複数の第2光源の発光制御を行うコントローラを具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各表示部の光源から光が順次発光されることにより、各表示部のパターンが、立体的な画像として段階的に観察されることになる。このため、動的な表現を容易に実現することができる。
また、ドット状凹部での反射光自体でパターンを形成するため、別途バックライトを設ける必要が無く、薄型化が容易である。
さらに、各表示部の光源からの光の出射効率が高いため、充分な表示の明るさを確保でき、距離をおいて観察する場合でも優れた視認性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第1実施形態の表示装置の平面図である。
【図2】図1の表示装置の斜め上方から視た一部破断外観斜視図である。
【図3】図1の表示装置における光の進行経路を説明する垂直断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の表示装置の平面図である。
【図5】(a)は図4の表示装置における溝周りの垂直断面図、(b)は図4の表示装置の第1変形例の溝周りの垂直断面図、(c)は図4の表示装置の第2変形例の溝周りの垂直断面図である。
【図6】本発明に係る第3実施形態の表示装置の平面図である。
【図7】本発明に係る第4実施形態の表示装置の要部を示す断面図である。
【図8】マスクを用いたパララックスバリア方式において1視点の場合の説明図である。
【図9】マスクを用いたパララックスバリア方式において2視点の場合の説明図である。
【図10】レンズアレイを用いたパララックスバリア方式の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3に示すように、本発明の第1実施形態である表示装置10は、複数の光源11(第1光源)と、コントローラ12と、複数のドット状凹部14(反射散乱部)からなる表示部16が複数形成された単一の導光板13と、導光板13の表面15(一方の面)側に設けたパララックスバリアとしてのマスク17と、を備える。
【0017】
まず、光源11について説明する。図1に示すように、3つの光源11、すなわち第1発光素子群(第1光源ユニット)20、第2発光素子群(第2光源ユニット)21、および第3発光素子群(第3光源ユニット)22が、導光板13の端面23(第1側端面)に沿って、位置を違えて3箇所に設けられている。
各光源11は、1または複数の発光素子11aからなり、図示例では、各発光素子群20、21、22は、それぞれが複数の発光素子11aを導光板13の端面23に沿って配列したものである。各発光素子群20、21、22を構成する複数の発光素子11aは、回路基板31上に端面23に沿って配列されている。
発光素子は、発光ダイオード(LED)が好ましいが、これに限らず、LD(レーザダイオード)等であってもよい。光源としては、蛍光灯、電球等を用いることもできる。
【0018】
各発光素子群20、21、22は、3つの表示部16の個々に対応して1つずつ設けられている。
すなわち、第1発光素子群20は、導光板13の第1表示部24(表示部16)に対応して配置されており、第2発光素子群21は、導光板13の第2表示部25(表示部16)に対応して配置されており、第3発光素子群22は、導光板13の第3表示部26(表示部16)に対応して配置されている。
そのため、発光素子群20、21、22は、各表示部24、25、26に独立して光を供給することができる。
【0019】
各発光素子群20、21、22は、配線27を通じてコントローラ12に電気的に接続されている。
コントローラ12には、商用電力を直流電力に変換するためのAC/DCコンバータ等の不図示の電力変換回路と、変換された直流電力を各発光素子群20、21、22に順次供給するための不図示の通電切換回路とが内蔵されている。
これにより、コントローラ12は、各発光素子群20、21、22により、表示部24、25、26を互いに独立のタイミングで発光および消光させることができる。例えば、表示部24、25、26を互いに異なるタイミングで発光および消光させることができる。
なお、各コントローラ12の通電切換回路は変換された直流電源を発光素子群20、21、22に同時に供給することもできる。
【0020】
コントローラ12からの給電により第1発光素子群20が発した光は導光板13の内部を通って第1表示部24に向けて進行する。コントローラ12からの給電により第2発光素子群21が発した光は導光板13の内部を通って第2表示部25に向けて進行する。コントローラ12からの給電により第3発光素子群22が発した光は導光板13の内部を通って第3表示部26に向けて進行する。
各発光素子群20、21、22の各発光素子11aからの光は各表示部24、25、26に向けた並行光である。
【0021】
次に、導光板13について説明する。導光板13は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等の合成樹脂材料を用いて透明な長方形の板形状に形成されている。
導光板13は、背景を透かして見ることができる程度の光透過性を有することが好ましい。そのため、導光板13には、光透過性や加工性等を考慮してアクリル樹脂を適用するのが好ましい。
【0022】
なお、本発明において、透明であるとは、ドット状凹部14からの反射光が視認できる程度の光透過性をもつことをいう。この定義は本発明において共通に用いられる。
【0023】
図2に示すように、導光板13は、表面15(一方の面)と、裏面28(他方の面)(図3参照)と、入光面である端面23と、端面23を除く残りの3つの側面29と、を有し、表面15が出光面とされている。
各表示部24、25、26(表示部16)は、所定のパターンをなす複数のドット状凹部14からなる。
表示部24、25、26は、前記複数のドット状凹部14からの反射光が前記所定のパターンをなすことが表面15側から視認可能とされている。
【0024】
ここでは、図1に示すように、第1表示部24に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、例えば「A」が配列描画されており、第2表示部25に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、例えば「B」が配列描画されており、第3表示部26に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、例えば「C」が配列描画されている。
表示部24、25、26は、それぞれ3つの光源11(発光素子群20、21、22)からの光が照射される領域に形成されている。図示例では、表示部24、25、26は、それぞれ発光素子群20、21、22の前方位置(図1における上方位置)に形成されている。
表示部24、25、26は、図1において左右方向に配列されている。この方向は端面23に沿う方向である。
なお、図示例では、光源11が3つ設けられているが、光源の数は2または4以上であってもよい。表示部の数も2または4以上としてもよい。
【0025】
ドット状凹部14は、マスク17の開口部19のピッチに合わせて分割された互いに異なる複数の画像として並べられており、所定のパターンをなす。なお、複数のドット状凹部14による所定のパターンとしては、文字、記号、図形、模様のうちのいずれか1つ以上の組み合わせが好ましい。
【0026】
表示部24、25、26が構成する画像はそれぞれ独立であっても良いが、連続的な動的表示を考慮したパターンとしても良い。
例えば、各表示部24、25、26が、連続的な動作の各段階を示す画像を構成する場合には、コントローラ12によって各表示部24、25、26を逐次発光させることによって、前記連続的な動作を動的に表現することができる。
【0027】
次に、ドット状凹部14の詳細構造について説明する。ドット状凹部14は、平面視形状が略矩形とされ、反射散乱面30を斜辺とする三角形となる垂直断面形状を有し、所望の画像を形成するためのパターンを有するように反射散乱面30を端面23に向けて形成されている。
【0028】
図3に示すように、ドット状凹部14は、導光板13の端面23から入射された各発光素子群20、21、22の光を反射散乱面30により全反射させて導光板13の表面15から出射させる。このとき、反射散乱面30に反射した反射光は互いに平行な光となる。図示例では、反射光は、表面15に対しほぼ垂直となっている。
ドット状凹部14は、導光板13の裏面28から表面15に向けて高さ寸法γで形成されている。ドット状凹部14は、反射散乱面30が裏面28に対して傾斜角度αを有し、高さ寸法γの位置を頂部として頂角角度βを有する。
図中Tは導光板13の板厚寸法である。
【0029】
ドット状凹部14における反射散乱面30の裏面28に対する傾斜角度αは、小さ過ぎると出射光の傾斜角度が大きくなり、表示装置10を正面から見たときのドット状凹部14の視認性が低下する。反射散乱面30の裏面28に対する傾斜角度αが大き過ぎると、光の反射効率が低下し、光の利用効率が低くなる。
このため、反射散乱面30の傾斜角度αは、40度以上60度以下が好ましい。傾斜角度αを上記範囲とすることによって、光の反射効率を高くするとともに、反射光を表面15に対し垂直に近い角度で出射させ、ドット状凹部14の視認性を高めることができる。
【0030】
ドット状凹部14の反射散乱面30は、少なくとも一部が曲面をなしていてもよいが、平坦であることが好ましい。
ドット状凹部14の反射散乱面30は、光の反射効率を高めるため、平滑な平面であることが望ましい。
【0031】
マスク17は、透光性を有さない遮光部18と開口部19とが交互かつ規則的なピッチで並べられており、導光板13の表面15から予め定められた距離だけ離れて配置されている。
【0032】
以下、表示装置10の動作の一例について説明する。
表示装置10は、例えば建築物の側壁等の見易い場所に設置され、コントローラ12により制御回路が駆動されることにより、第1発光素子群20が発光し、この光は端面23から導光板13内に入射され、第1表示部24におけるドット状凹部14の反射散乱面30により反射される。反射光は導光板13の表面15から出射される。
図8および図9で示すように、3つの視点E1、E2、E3を設定すると、画像面上に、視点E1から見える領域S1、視点E2から見える領域S2、視点E3から見える領域S3が設定される。例えば、視点E1が右目、視点E2が左目に対応するように視点を設定することにより、右目からは開口部19を通して領域S1が見え、左目からは開口部19を通して領域S2が見えるため、前記反射光を立体的な画像として認識させることができる。
【0033】
第1発光素子群20の発光から時間をおいて、第2発光素子群21が発光し、この光は、端面23から導光板13内に入射され、第2表示部25におけるドット状凹部14の反射散乱面30により反射される。反射光は導光板13の表面15から出射される。第1表示部24と同様に、第2表示部25の反射光も立体的な画像として認識される。
【0034】
続いて、第2発光素子群21の発光から時間をおいて、第3発光素子群22が発光し、この光は、端面23から導光板13内に入射さて、第3表示部26におけるドット状凹部14の反射散乱面30により反射される。反射光は導光板13の表面15から出射される。第1表示部24と同様に、第3表示部26の反射光も立体的な画像として認識される。
【0035】
このように、表示装置10は、各発光素子群20、21、22から光が順次発光されることにより、導光板13の表面15において導光板13を観察する観察者からは、マスク17の開口部19を介して、第1表示部24のパターン、第2表示部25のパターン、および第3表示部26のパターンが、立体的な画像として段階的に観察されることになる。
このため、動的な表現を容易に実現することができる。
【0036】
上述したように、パララックス表示を行うに際し、バックライトを使用する内照方式は、図8の画像A、B、Cを透光性の樹脂フィルム等に形成し、その樹脂フィルム裏面側に配置した光源で照光することを想定している。
また、明るさの均等化のために、透光性樹脂フィルムと光源との間に距離を確保したり、透光性樹脂フィルムと光源との間に光拡散シートを介在したりさせることもある。このため、この方式では装置の薄型化が難しい。
【0037】
これに対して、表示装置10では、導光板13のドット状凹部14で反射させた光自体でパララックスパターンを形成する方式となっている。したがって、別途バックライトを設ける必要が無く、薄型化が容易である。また、導光板13への光入射用の光源11が導光板13の端面23に配置されているため、より薄型化を図ることができる。
【0038】
表示装置10では、各発光素子群20、21、22からの光は、反射散乱面30において反射して並行光となるため、反射光の単位面積あたりの輝度は十分に大きくなる。このため、距離をおいて観察する場合でも優れた視認性が得られる。
また、導光板13のドット状凹部14で反射させた光自体で立体画像を形成する方式である。この方式は出射効率が非常に高く、ドット状凹部14は装置表面側から非常に明るい輝点として観察されることから、画像が非常に明るく見える。
明るい画像表示は、従来のバックライト方式の表示装置では容易には実現できない。また、光拡散シートを介在させる方式などでも実現できない。
【0039】
さらに、パララックス(視差)画像の動的表示は、例えばマスク背面側にバックライト付き液晶ディスプレイを配置すれば可能であるが、画像が非常に暗くなってしまう。
これに対して、表示装置10では、ドット状凹部14を形成した導光板13を利用して画像を明るく表示でき、しかも動的表示を実現するものである。
【0040】
本発明の表示装置は、例えばアミューズメント施設の壁、自動ドア、エレベータ室内、システムキッチン、浴室、トイレ、輸送機(自動車や航空機等)内などに設置することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の表示装置について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付するとともに説明を簡略化あるいは省略する。
【0042】
図4に示すように、本発明の第2実施形態の表示装置40は、第1表示部24と第2表示部25と第3表示部26とを区分けするために、第1表示部24と第2表示部25との境目部分と、第2表示部25と第3表示部26との境目部分と、にスリット溝42がそれぞれ形成された導光板41が適用されている。
【0043】
図5(a)に示すように、スリット溝42は、予め定められた一定の幅寸法L1を有して、導光板13の表面15側から裏面28側に向かって深さ寸法L2で切り込むように形成されている。スリット溝42の深さ寸法L2は導光板41の板厚寸法Tの40〜60%に設定することができる。
【0044】
表示装置40では、スリット溝42が形成されているため、各発光素子群20、21、22から光が順次発光されるに際し、第1発光素子群20からの出射光の進行が遮られ、隣り合う第2表示部25に殆ど入射されることがない。
同様に、第2発光素子群21からの出射光もスリット溝42に遮られ、隣り合う第1表示部20および第3表示部26に殆ど入射されることがない。また、第3発光素子群22からの出射光も隣り合う第2表示部25に殆ど入射されることがない。
【0045】
従って、表示装置40では、スリット溝42により、隣り合う各表示部24、25、26への光の進行が抑制されるため、光量の無駄をなくして各表示部24、25、26において充分な明るさの表示を確実に行うことができる。
【0046】
図5(b)に示すように、表示装置40の第1変形例では、第1表示部24と第2表示部25と第3表示部26とを区分けするために、第1表示部24と第2表示部25との境目部分と、第2表示部25と第3表示部26との境目部分と、にV溝43がそれぞれ形成されている。
V溝43は、導光板41の表面15側から裏面28側に向かって深さ寸法L2で切り込むように形成された断面V字状の溝である。V溝43の深さ寸法L2は、導光板41の板厚寸法Tの40〜60%に設定すると、高い遮光効果を得ることができるため好ましい。
V溝43の断面底部の角度A1は、30〜150°とすると、高い遮光効果を得ることができるため好ましい。
この例においても、V溝43により隣り合う表示部24、25、26への光の進行が抑制されるため、光量の無駄をなくして各表示部24、25、26において充分な明るさの表示を確実に行うことができる。
【0047】
図5(c)に示すように、表示装置40の第2変形例では、スリット溝42に光吸収性材料44が充填されている。
光吸収性材料44としては、ブラッククロム等の酸化物の物性を利用した材料が挙げられる。
この例においては、光吸収性材料44が用いられているため、隣り合う表示部24、25、26に向かう光の一部が光吸収性材料44に吸収される。隣り合う表示部24、25、26への光の進行が抑制されるために、光量の無駄をなくして各表示部24、25、26において充分な明るさの表示を確実に行うことができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の表示装置について説明する。
図6に示すように、本発明の第3実施形態の表示装置50は、一方側領域(図6における導光板54の上半分の領域)に第1表示部24、第2表示部25、第3表示部26が配列され、他方側領域(図6における導光板54の下半分の領域)に第4表示部51、第5表示部52、第6表示部53が配列された導光板54が使用されている。
表示部24、25、26は、図6において左右方向(一方の側端面55(第1側端面)に沿う方向)に配列されている。表示部51、52、53は、図6において左右方向(他方の側端面56(第2側端面)に沿う方向)に配列されている。表示部51、52、53は、それぞれ表示部24、25、26に対し側方(図6における上下方向)に隣接して形成されている。
【0049】
第1発光素子群20、第2発光素子群21、第3発光素子群22は、導光板54の一方の側端面55に、側端面55に沿って間隔をおいて設けられ、それぞれ側端面55を入光面としている。第1発光素子群20、第2発光素子群21、第3発光素子群22は、それぞれ第1表示部24、第2表示部25、第3表示部26に対応して配置されている。
第4発光素子群57、第5発光素子群58、第6発光素子群59は、導光板54の他方の側端面56に、側端面56に沿って間隔をおいて設けられ、それぞれ側端面56を入光面としている。第4発光素子群57、第5発光素子群58、第6発光素子群59は、それぞれ第4表示部51、第5表示部52、第6表示部53に対応して配置されている。
【0050】
第1発光素子群20、第2発光素子群21、第3発光素子群22は、一方の側端面55に設けられた一方側光源(第1光源)である。第4発光素子群57、第5発光素子群58、第6発光素子群59は、他方の側端面56に設けられた他方側光源(第2光源)である。
なお、図示例では、一方側光源および他方側光源がそれぞれ3つ設けられているが、一方側光源および他方側光源の数は、それぞれ1、2または4以上であってもよい。一方側光源および他方側光源に対応する一方側および他方側の表示部の数は、図示例ではそれぞれ3つであるが、1、2または4以上としてもよい。
【0051】
表示部24、25、26は、発光素子群20、21、22によって光が照射される一方側領域(図6における導光板54の上半分の領域)に形成されている。表示部51、52、53は、発光素子群57、58、59によって光が照射される他方側領域(図6における導光板54の下半分の領域)に形成されている。
【0052】
各表示部24〜26、51〜53を構成するドット状凹部14は、マスク17の開口部19のピッチに合わせて分割された互いに異なる複数の画像として並べられており、所定のパターンをなす。
図示例では、第1表示部24に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「A」が配列描画されており、第2表示部25に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「B」が配列描画されており、第3表示部26に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「C」が配列描画されている。
第4表示部51には、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「D」が配列描画されており、第5表示部52には、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「E」が配列描画されており、第6表示部53に、複数のドット状凹部14による所定のパターンとして、「F」が配列描画されている。
【0053】
表示装置50では、第1表示部24と、第2表示部25と、第3表示部26と、第4表示部51と、第5表示部52と、第6表示部53と、を区分けするために、溝60がそれぞれ形成されている。
溝60は、表示部24、25、26、51、52、53のうち隣り合うものの間に形成されている。
すなわち、溝60は、図6における左右方向に沿う第1方向溝60Aと、図6における上下方向に沿う第2方向溝60Bとを有する。
第1方向溝60Aは、発光素子群20〜22の照射領域である一方側領域(図6における導光板54の上半分の領域)と、発光素子群57〜59の照射領域である他方側領域(図6における導光板54の下半分の領域)とを区切るものである。
第2方向溝60Bは、一方側および他方側領域内においてそれぞれ照射領域どうしを区切るものである。
すなわち、第2方向溝60Bは、一方側領域内において、発光素子群20〜22の照射領域どうしを区切るとともに、他方側領域内において、発光素子群57〜59の照射領域どうしを区切るものである。具体的には、第2方向溝60Bは、表示部24と表示部25との間、表示部25と表示部26との間、表示部51と表示部52との間、表示部52と表示部53との間に形成されている。
溝60は、第2実施形態で説明したスリット溝、V溝としてよい。スリット溝には光吸収材料を充填してもよい(図5参照)。
【0054】
コントローラ12は、発光素子群20〜22および/または発光素子群57〜59の発光を制御することによって、表示部24〜26、51〜53を互いに独立のタイミングで発光および消光させることができる。例えば、表示部24〜26、51〜53を互いに異なるタイミングで発光および消光させることができる。
なお、コントローラ12は、発光素子群20〜22、57〜59に同時に給電することもできる。
【0055】
表示装置50では、各発光素子群20、21、22、57、58、59が順次発光されることにより、導光板54の表面15において導光板54を観察する観察者からは、マスク17の開口部19を介して(図3参照)、第1〜第6表示部24〜26、51〜53のパターンが立体画像として動的に観察される。
【0056】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態の表示装置について説明する。
図7に示すように、本発明の第4実施形態の表示装置70では、マスク17に代えて、導光板13の表面から出射される光に視差を形成するためのレンズアレイ71が設けられている。それ以外の構成は第1実施形態の表示装置10と同じである。
レンズアレイ71は、パララックスバリアと同様の機能を有する。例えば、図10に示すように、画像面上に、視点E1から見える領域S1、視点E2から見える領域S2、視点E3から見える領域S3を設定できる。視点E1が右目、視点E2が左目に対応するように視点を設定することにより、右目からは領域S1が見え、左目からは領域S2が見えるため、前記光を立体的な画像として認識させることができる。
【0057】
表示装置70では、各発光素子群20、21、22から光が順次発光されることにより、第1表示部24のパターン、第2表示部25のパターン、および第3表示部26のパターンが、立体的な画像として段階的に観察されることになる。
このため、動的な表現を容易に実現することができる。
また、ドット状凹部14での反射光自体でパターンを形成するため、別途バックライトを設ける必要が無く、薄型化が容易である。
さらに、各発光素子群20、21、22からの光の出射効率が高いため、充分な表示の明るさを確保でき、距離をおいて観察する場合でも優れた視認性が得られる。
【符号の説明】
【0058】
10、40、50、70・・・表示装置、11・・・光源、11a・・・発光素子、12・・・コントローラ、13、41、54・・・導光板、14・・・ドット状凹部(反射散乱部)、16・・・表示部、17・・・マスク、20・・・第1発光素子群、21・・・第2発光素子群、22・・・第3発光素子群、24・・・第1表示部(表示部)、25・・・第2表示部(表示部)、26・・・第3表示部(表示部)、30・・・反射散乱面、42・・・スリット溝(溝)、43・・・V溝、44・・・光吸収性材料、51・・・第4表示部(表示部)、52・・・第5表示部(表示部)、53・・・第6表示部(表示部)、57・・・第4発光素子群、58・・・第5発光素子群、59・・・第6発光素子群、60・・・溝、71・・・レンズアレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、この導光板の第1側端面に沿って設置した複数の第1光源と、前記導光板の一方の面側に設けたマスク又はレンズアレイとを備え、
前記導光板の他方の面上における前記複数の第1光源のそれぞれからの光が照射される領域に、前記複数の第1光源からの入射光を前記一方の面側へ反射散乱させる反射散乱部をそれぞれ設け、
前記複数の第1光源のそれぞれを互いに独立のタイミングで発光させることで、各第1光源からの光に基づくそれぞれ所定のパターンをなす前記反射散乱部からの反射光を変化させて表示することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導光板に、前記複数の第1光源のそれぞれからの光が照射される領域どうしを区切る溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記溝は、導光板の前記一方の面側から前記他方の面側に向かって切り込むように形成されていることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記導光板の第2側端面に沿って設置した複数の第2光源をさらに備え、
前記導光板の他方の面上における前記複数の第2光源のそれぞれからの光が照射される領域に、光源からの入射光を前記一方の面側へ反射散乱させる反射散乱部をそれぞれ設け、
前記複数の第1光源および前記複数の第2光源のそれぞれを互いに独立のタイミングで発光させることで、各光源からの光に基づくそれぞれ所定のパターンをなす前記反射散乱部からの反射光を変化させて表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記導光板に、前記複数の第2光源のそれぞれからの光が照射される領域どうしを区切る溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導光板に、前記複数の第1光源からの光が照射される領域と、前記複数の第2光源からの光が照射される領域とを区切る溝が形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記溝の深さが前記導光板の板厚の40〜60%であることを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記溝はV溝であり、そのV溝の断面底部の角度は、30〜150°であることを特徴とする請求項2〜7のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の第1光源または前記複数の第2光源の発光制御を行うコントローラを具備することを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−215320(P2011−215320A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82525(P2010−82525)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】