説明

表面サイズ剤、及び当該サイズ剤を塗工した紙

【課題】 内添サイズ剤を含まない紙に対してもサイズ効果を高め、少量の有機溶剤中での溶液重合を可能にして生産性を高める。
【解決手段】 (a)3級アミノ基含有モノマーと、(b)(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、(c)スチレン類とを重合した共重合体を4級化し又は4級化しない表面サイズ剤において、成分(a)が15〜35重量%、成分(b)が5〜85重量%、成分(c)が0〜70重量%であって、成分(a)〜(c)を連鎖移動剤の存在下に有機溶剤中で溶液重合したカチオン性表面サイズ剤である。疎水性モノマーをスチレン類主体から成分(b)との併用に変え、特定種のモノマーを特定比率で溶液重合するため、共重合性が良くなって共重合成分の溶解性が促進され、サイズ剤無内添紙にも通常量の塗工で高いサイズ性を示す。少量の溶剤中でも反応性が良くなり、溶剤の留去を省略化又は簡略化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカチオン性表面サイズ剤に関して、内添サイズ剤を含まないか、ごく少量しか含まない紙に対してもサイズ効果に優れ、重合時の溶剤量を低減して溶剤の蒸留工程を不要化又は簡略化できるものを提供する。
【背景技術】
【0002】
従来のカチオン性表面サイズ剤としては、スチレン類と3級アミノ基含有モノマーを共重合して4級化したカチオン性共重合体や、このカチオン性共重合体の存在下で疎水性モノマーを乳化重合したものが知られている。その具体例は次の通りである。
【0003】
(1)特許文献1
サイズ効果を向上する目的で、(a)スチレン類90〜60モル%と、(b)3級アミノ基又は4級アミノ基含有モノマー0〜30モル%と、(c)その他のビニルモノマー((メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸など)0〜10モル%とを有機溶剤中で重合反応させたカチオン性疎水性ポリマーと、カチオン化澱粉とを混合した表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜6、段落6〜7参照)。
【0004】
(2)特許文献2
良好なサイズ性と離解性を成紙に付与することを目的として、(1)スチレン類50〜98.5モル%、(2)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸エステル又はその塩0.1〜9.9モル%、(3)上記(2)の4級化物0.1〜10モル%、(4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル0〜48.5モル%であり、且つ、(2)と(3)の合計量が1.5〜10モル%である構成モノマーからなり、溶液重合又は塊状重合により得られた共重合体を水に添加したカチオン性高分子エマルションであって、内添サイズ剤又は表面サイズ剤に使用できるものが開示されている(特許請求の範囲、第2頁〜第3頁参照)。
【0005】
(3)特許文献3
重合時に粕の発生を少なくし、サイズ性能及びインクジェット適性を向上し、発泡性を低下することなどを目的として、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーの共重合体をオキシド類で4級化したカチオン性共重合体(A)を含有するカチオン性表面サイズ剤、或は、カチオン性共重合体(A)の存在下で、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(B)を重合(特に乳化重合:段落25)して得られる共重合体を含有するカチオン性表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜6参照)。
【0006】
(4)特許文献4
重合時に粕の発生を少なくし、サイズ性能及びインクジェット適性を向上し、発泡性を低下することなどを目的として、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーとの共重合体を4級化したカチオン性共重合体(A−1)とノニオン系界面活性剤(A−2)との混合物の存在下で、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(B)を重合(特に乳化重合:段落29)して得られる共重合体を含有するカチオン性表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜3参照)。
【0007】
(5)特許文献5
サイズ効果の向上を目的として、スチレン類(a)とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(b)との共重合体(A)を4級化したカチオン性共重合体(B)を乳化分散剤として、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(C)を乳化重合して得られる表面サイズ剤が開示されている。
【0008】
(6)特許文献6
上記特許文献5において、前段のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(b)に替えて、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b)を使用し、後段の疎水性モノマー(C)としてスチレン類と(メタ)アクリル酸エステルのモノマー混合物を使用したものである。
【0009】
(7)特許文献7
炭酸カルシウムを填料とする電子写真用転写紙に、スチレン類と、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを構成モノマーとする水溶性又は水分散性共重合体からなるサイズ剤を使用することが開示されている(特許請求の範囲参照)。この場合、スチレン類の使用割合は40〜95モル%である(第3頁右上欄参照)。
【0010】
(8)特許文献8
防錆性及びサイズ性を改善する目的で、スチレン類95〜50モル%と、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド5〜50モル%とを含有する共重合体を4級化した表面サイズ剤が開示されている(特許請求の範囲参照)。
【0011】
(9)特許文献9
(a)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート8〜20重量%、(b)スチレン45〜80重量%、(c)アクリロニトリル8〜35重量%を構成成分とし(好ましくは、成分(a)8〜20重量%、成分(b)55〜75重量%、成分(c)10〜30重量%)、ジメチルアミノ基の少なくとも10%が4級化されたターポリマーを水溶液形態にしたカチオン性表面サイズ剤が開示されている(特許請求の範囲第1項〜第2項参照)。
【0012】
【特許文献1】特開平11−323774号公報
【特許文献2】特開平4−34097号公報
【特許文献3】特開2001−295197号公報
【特許文献4】特開2001−262495号公報
【特許文献5】特開平11−279983号公報
【特許文献6】特開平11−256496号公報
【特許文献7】特開平3−167397号公報
【特許文献8】特開平2−26997号公報
【特許文献9】特開昭56−118994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般に、スチレン類と3級アミノ基含有モノマー(即ち、カチオン性モノマー)を主体とする共重合体の3級アミン塩又は4級アンモニウム塩水溶液からなる表面サイズ剤は、サイズ剤無添加で抄造した紙、板紙に用いると、サイズ効果が低く、実用的なサイズ性を確保するには多量の塗工が必要になるため、コスト面でも塗工作業性の面でも問題があって、特に、中性紙ではこの弊害が大きかった。
また、従来の表面サイズ剤を構成する共重合体は、スチレン系モノマーとカチオン性モノマーを主体とした溶液重合で製造されるが、円滑な共重合性と良好なサイズ性を実現するには、多量の有機溶剤中で溶液重合する必要があるため、水溶化後に多量の有機溶剤を留去しなければならず、その手間が煩雑で、生産性が低かった。
さらには、有機溶剤を用いずにスチレン系モノマーとカチオン性モノマーを水性媒体中で乳化重合し、又は前記溶液重合のカチオン性ポリマー水溶液中で疎水性モノマーを乳化重合したカチオン性表面サイズ剤においては、サイズ剤無内添紙、新聞用紙は勿論のこと、内添サイズ剤を用いた中性紙に塗工しても、溶液重合で得た従来型のカチオン性サイズ剤に対してサイズ効果が劣るという実情があった。
【0014】
上記特許文献1〜9は総じてスチレン類を疎水性モノマーの主体とするため、共重合性が必ずしも良好でなく、得られた表面サイズ剤をサイズ剤無内添紙に塗工すると、やはり実用的なサイズ性を確保するのは困難である。
また、特許文献2はエマルション型であり、特許文献4〜6は乳化重合で製造しているため、溶液重合で得られたサイズ剤に比べて紙表面への塗工の分布量が不均一になり、この面からもサイズ効果は不足ぎみとなる。
さらに、特許文献1及び3では、共重合性を円滑に確保しようとすると多量の有機溶剤を必要とし、水溶化後に多量の有機溶剤を留去しなければならない。特許文献4〜6のようなカチオン性共重合体の存在下で疎水性モノマーを乳化重合する2段重合方式の表面サイズ剤では、製造工程が煩雑になる。特許文献7は内添サイズ剤であり(第2頁右上欄参照)、特許文献9はアクリロニトリルを必須成分とするため、充分なサイズ性、或は操作の容易性を担保できない。
【0015】
本発明は、内添サイズ剤を含まないか、ごく少量しか含まない紙に対してもサイズ効果を高め、少量の有機溶剤中での溶液重合を可能にして生産性を高めることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、カチオン性共重合体を構成する3級アミノ基含有モノマーと疎水性モノマーを溶液重合して当該共重合体を製造するに際して、疎水性モノマーの主体をスチレン類からスチレン類と(メタ)アクリル酸エステルの適正な組み合わせに変えて、スチレン類の含有比率を従来より低減することを鋭意研究した。
その結果、3級アミノ基含有モノマーとスチレン類と(メタ)アクリル酸エステルとを特定の比率で連鎖移動剤の存在下にて溶液重合するとともに、当該(メタ)アクリル酸エステルのエステル炭素数を6〜18に特定化することにより、得られる共重合体の疎水性のレベルを低下させずに共重合性を良好にできる(特に、溶剤量を低減しても反応性を良好に保持できる)こと、また、少ない溶剤量での反応が可能になることから、溶液重合後の溶剤の蒸留工程において、蒸留工程自体を省略化し、又は蒸留時間を短縮化できること、さらには、上記共重合体を4級化した方がサイズ効果の面では好ましいが、4級化処理なしでも効果に遜色がないことを見い出して、本発明を完成した。
【0017】
即ち、本発明1は、(a)3級アミノ基含有モノマーと、
(b)(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、
(c)スチレン類とを
重合して得られる共重合体を4級化し、或は、4級化しないカチオン性表面サイズ剤において、
成分(a)が15〜35重量%、成分(b)が5〜85重量%、成分(c)が0〜70重量%であって、
これらの成分(a)〜(c)を連鎖移動剤の存在下に有機溶剤中で溶液重合することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
【0018】
本発明2は、上記本発明1において、沸点150℃以上で、且つ、水への溶解度が3g/水100g(25℃)以上である有機溶剤中で溶液重合することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
【0019】
本発明3は、上記本発明2の有機溶剤が、多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、ベンジルアルコールであることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
【0020】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、3級アミノ基含有モノマー(a)が、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
【0021】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、共重合体の構成モノマーとして、さらに、(d)その他の共重合性ビニルモノマー0〜30重量%を含有することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
【0022】
本発明6は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、成分(a)に対して3〜95モル%の4級化剤で共重合体を4級アンモニウム塩化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤である。
【0023】
本発明7は、上記本発明1〜6のいずれかのカチオン性表面サイズ剤を原紙に塗工した紙である。
【0024】
本発明8は、上記本発明7において、原紙が、内添サイズ剤を含まない紙、或は、ステキヒトサイズ度が2秒以下の中性紙であることを特徴とする塗工紙である。
【発明の効果】
【0025】
(1)スチレン類と、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどの3級アミノ基含有モノマーが主体の従来のカチオン性表面サイズ剤の重合に際しては、スチレン類とカチオン性モノマーとの共重合が不均一であるため、水溶化し、4級アンモニウム塩とした後、塗工液濃度にまで水希釈しても、液中で完全には分子状態に溶解せずに分散し、濁りが生じてしまう。
このため、従来の表面サイズ剤を紙に塗工すると、紙表面に共重合成分が完全に溶解することなく凝集分子となって局所的に点在し、不均一な分布にしかならないことから、内添サイズ剤を含まないか、ステキヒトサイズ度がごく低い水吸収性の高い紙では、表面サイズ剤の疎水性を紙表面で充分発揮することができず、実用的なサイズ性を付与するには多量の塗工が必要であった。
【0026】
これに対して、本発明では、3級アミノ基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、スチレン類とを、或は、さらに必要に応じてその他のモノマーを特定比率で連鎖移動剤の存在下で溶液重合し、特に、疎水性モノマーをスチレン類主体から、スチレン類と(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルとの組み合わせに変えることにより、スチレン類の含有比率を従来より低減し、且つ、その分だけスチレン類より親水傾向にある(メタ)アクリル酸エステルの含有量を多くできるため、共重合性が良くなって、ポリマーの水中での広がりが促進されて溶解性が増す。このため、塗工レベルに水希釈した際に共重合成分は完全に分子状態に溶解して、表面サイズ剤の疎水性を紙表面に均一に分布できることが推定され、もって、サイズ剤無内添紙か、ステキヒトサイズ度がごく低い紙に対しても、通常の塗工量で良好なサイズ効果が得られる。
また、当該サイズ効果の面では、本発明の共重合体のアミノ基を4級化した方が好ましいが、共重合体を4級化せずに3級化状態のままでも、あまり遜色はない(後述の試験例参照)。
さらに、従来、中性紙に対して提案されているアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤では、塗工機の汚れの問題があったが、本発明の表面サイズ剤ではこのような汚れの問題も解消できる。
【0027】
(2)本発明では、スチレン類を少なくして、特定種のモノマーを特定の比率で溶液重合することで、得られる共重合体は少量の溶剤にも良好に溶解し、高濃度での重合が可能になることから、溶液重合に要する溶剤量も少量で済む。即ち、溶液重合での共重合性が良くなり、減量された溶剤中の反応が可能になるため、溶剤の留去を省略してそのまま表面サイズ剤に使用したり、短時間の蒸留で溶剤を完全に或はごく少量にまで除去して、蒸留工程を簡略化(或は、短縮化)できる。
【0028】
(3)実際の溶剤留去に際しては、有機溶剤を完全に除去することは容易でない。
このため、換気設備が不充分な場所で表面サイズ剤を使用した場合、低沸点の有機溶剤ではその少量が残留しても、溶剤の揮発により臭気が発生して作業環境が悪化するが、本発明2では、高沸点の有機溶剤を使用するため、換気が不充分な場所で表面サイズ剤を使用しても、溶剤の揮発の抑制により臭気を低減して、作業環境を良好に保全できる。
また、本発明2では、有機溶剤の水への溶解度(25℃)が特定以上であるため、共重合体を水溶化した場合の有機溶剤の相溶性を適度に保持して、溶剤が水から分離して濁りを生じることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、第一に、3級アミノ基含有モノマー(a)と、(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステル(b)と、スチレン類(c)とを特定比率で連鎖移動剤の存在下で溶液重合し、特に、エステル炭素数を特定化した(メタ)アクリル酸エステルの併用で、従来よりスチレン類を減量して溶液重合し、得られた共重合体を4級化し又は4級化しない表面サイズ剤であり、第二に、この表面サイズ剤を塗工した紙、特に、内添サイズ剤を含まないか、ごく少量しか含まない原紙に塗工した紙である。
【0030】
本発明の共重合体の構成成分である3級アミノ基含有モノマー(a)としては、本発明4に示すように、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが適当である。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが代表例であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが代表例であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
一方、新規化学物質の安全性試験を義務付けた法律として、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号:以下、化審法と略す)があるが、上記3級アミノ基含有モノマーのうち、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは安価なうえ、この化審法に登録された化合物であって新たな試験も不要であるが、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドはこの化審法の登録の範囲外であり、当該(メタ)アクリルアミドを用いた表面サイズ剤の製品化には、安全性の確認試験が必要になるため、多額の試験費用によってコストの増大を招く恐れがある。このため、当該3級アミノ基含有モノマーには、コスト面からジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドよりジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
本発明の共重合体の構成成分である(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステル(b)としては、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの環状又は非環状の炭化水素エステルが挙げられる。このように、成分(b)の(メタ)アクリル酸エステルは、C6〜C18アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを初め、エステル部分に芳香族や脂環式の炭化水素基を含んだものでも良い。
成分(b)の好ましい例としては、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートが挙げられる。
【0032】
上記スチレン類(c)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロルメチルスチレンなどが挙げられる。
【0033】
本発明の表面サイズ剤を構成する共重合体の重合に際しては、上記成分(a)〜(c)の外に、必要に応じて、その他の共重合性ビニルモノマー(d)を使用することができる(本発明5参照)。
上記その他のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートなどのC1〜C5の短鎖アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。
従って、例えば、成分(a)、或はさらに成分(c)を含み、(メタ)アクリル酸エステルとして、C6〜C18の長鎖アルキルエステルとC5以下の短鎖アルキルエステルを併用した共重合体は、前者が成分(b)であり、後者が成分(d)であるため、本発明の共重合体に含まれるが、(メタ)アクリル酸エステルとしてC5以下の短鎖アルキル(メタ)アクリレートのみを使用し、C6〜C18の長鎖アルキルエステルを使用しない共重合体は、本発明の共重合体からは外れる。尚、(メタ)アクリル酸エステルにおいては、エステルの炭素数が増すほどサイズ剤の基本物性である撥水性への寄与が高まる。
【0034】
そこで、本発明の共重合体を構成する各モノマーの比率を述べると、先ず、3級アミノ基含有モノマー(a)は15〜35重量%であり、好ましくは17〜30重量%である。15重量%より少ないと、水溶化するときの溶解性が低下し、35重量%を越えると、疎水性が低下してサイズ効果が減少してしまう。
(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステル(b)の含有量は5〜85重量%であり、好ましくは5〜80重量%である。5重量%より少ないと、疎水性が低下するとともに、溶液重合に際して溶解性が低下し、共重合性が悪くなる。85重量%を越えると、3級アミノ基含有モノマーの比率が低くなり過ぎる。
また、スチレン類(c)の含有量は0〜70重量%であり、好ましくは0〜60重量%である。70重量%を越えると、溶液重合に際して共重合性が悪くなる。共重合性が低下すると、溶液重合後に水溶化し、4級化して塗工液を調製する際に、表面サイズ剤の有効成分が凝集したミクロ粒子状となって紙表面に点在し、不均一な被覆しかできないため、サイズ効果が低減してしまう。
但し、後述の評価試験例に示すように(実施例7参照)、スチレン類(c)は、(メタ)アクリル酸エステルより疎水性に優れるため、共重合体に適正量含有することは差し支えない。
さらに、その他のモノマー(d)は必要に応じて使用されるが、その含有量は0〜30重量%であり(本発明3参照)、好ましくは0〜20重量%である。
【0035】
本発明の共重合体は成分(a)〜(c)、或はさらに成分(d)を構成モノマーとして、有機溶剤中で溶液重合により製造する必要がある(後述の評価試験例(比較例6)参照)。従って、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの溶液重合以外の重合法は排除される。
上記有機溶剤としては、アルコール、ケトンなどの酸素含有炭化水素類や、トルエンなどの芳香族炭化水素類が挙げられ、なかでも、表面サイズ剤を塗工する際の臭気を抑制する見地から、本発明2に示すように、150℃以上の沸点で水への適度な溶解度(適度の親水性)を有する有機溶剤が好ましい。
この高沸点で適度な親水性を有する有機溶剤には、多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、或はベンジルアルコールがある(本発明3参照)。このうち、多価アルコール及びそのエーテル又はエステル誘導体の具体例を挙げると、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、グリセリンアセテート類、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールアセテート類、プロピレングリコールアセテート類、ジエチレングリコールアセテート類、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテートなどがあり、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、ベンジルアルコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールがより好ましい。
また、上記沸点と溶解度を特定化した有機溶剤以外のその他の溶剤としては、イソプロピルアルコール(IPAと略す)、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、3−メチル−2−ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBKと略す)、ジイソプロピルケトン、エチルベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
本発明では、モノマー成分の種類とその含有量を特定化することで共重合性を良くして、必要とする溶剤量を低減するが、この溶剤量の減量化は環境面の改善にも寄与する。有機溶剤の全モノマーに対する使用量は30重量%以下が適量であり、好ましくは20重量%以下である。
【0036】
本発明では、溶液重合に際して粘度上昇を防止して重合反応を円滑に行う見地から、連鎖移動剤の存在下で重合することが必要である(後述の評価試験例(比較例7)参照)。 上記連鎖移動剤は油溶性、水溶性の連鎖移動剤を任意に使用できるが、親油性の有機溶剤中で重合する場合には油溶性連鎖移動剤が、また、逆に親水性の有機溶剤を使用する際には水溶性連鎖移動剤が相対的に好ましい。
上記油溶性連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルエステルなどのメルカプタン類の他、クメン、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなどが挙げられる。
上記水溶性連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩などが挙げられる。
モノマーに対する連鎖移動剤の使用量は1〜5重量%程度が好ましいが、この範囲に制限されるものではない。
また、溶液重合で使用する開始剤としては、過硫酸ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
このように、本発明では、有機溶剤中にて連鎖移動剤並びに開始剤の存在下で溶液重合を行うのであるが、当該溶液重合は公知の方式により行えば良く、特に制限されるものではない。
【0037】
構成モノマーとして上記成分(a)〜(c)、或は必要に応じて成分(d)を溶液重合して得られた共重合体は、4級化剤によりカチオン処理される(本発明1参照)。但し、本発明では、当該共重合体を4級化せず、アミノ基が3級化状態のままの共重合体をカチオン性表面サイズ剤とすることも差し支えない(同本発明1を参照)。
上記4級化剤はジメチル硫酸、メチルクロライド、アリルクロライド、ベンジルクロライド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリンなどを単用又は併用できる。
本発明6に示すように、4級化剤の使用量は、共重合体を円滑にカチオン化する見地から3級アミノ基含有モノマー(a)に対して3〜95モル%が適量であり、好ましくは30〜90モル%である。
共重合体を4級化することにより、中性、アルカリ側を含めた広いpH領域で良好なサイズ効果を発揮することができる。
この4級化処理は、一般には、カチオン性共重合体を水溶化した後、溶剤を除去し、共重合体を4級化することにより行われるが、4級化した後に溶剤を除去しても差し支えない。
また、4級化処理は、溶液重合の円滑化の見地から、3級アミノ基含有モノマー(a)を含む構成モノマーを共重合した後に、4級化剤でカチオン処理することが基本であるが、3級アミノ基含有モノマー(a)を予め4級化し、得られた4級アンモニウム塩基含有モノマーを共重合することもできる。
この場合(4級モノマー)の重合条件は、3級モノマーを重合する場合の処理条件と同様である。
【0038】
本発明7は、上記本発明1〜6のカチオン性表面サイズ剤を原紙に塗工した各種の紙である。
本発明の表面サイズは硫酸アルミニウムを定着剤とする酸性紙、炭酸カルシウムを填料とする中性紙を問わず広く適用できる。
原紙の具体例としては、新聞用紙、インクジェット用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙、上質紙、板紙、その他の紙類が挙げられるが、本発明の表面サイズ剤は内添サイズ剤との組み合わせを基本的に必要としない点に特徴があるため、原紙は特に、内添サイズ剤を含まない紙(酸性紙、中性紙を問わない)、ステキヒトサイズ度が2秒以下の中性紙が好ましい(本発明8参照)。但し、本発明の表面サイズ剤は内添サイズ剤を含有する紙に対する適用を排除するものではない。
本発明の表面サイズ剤を塗工する場合、サイズ剤の付着量は紙の種類によっても異なり、また、濃い塗工液を薄く塗ったり、低濃度の塗工液を厚く塗って、付着態様を変化させることもできる。さらに、片面塗工、両面塗工を問わない。従って、表面サイズ剤の付着量は一概に限定できないが、0.01〜0.2g/m2程度が一般的であり、好ましくは0.02〜0.1g/m2程度である。
また、塗工する際には、本発明の表面サイズ剤と共に、デンプン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの表面紙力剤を初め、防滑剤、離型剤、防錆剤、防腐剤、その他の添加剤を併用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0039】
以下、本発明のカチオン性表面サイズ剤の実施例、当該実施例で得られた表面サイズ剤の臭気評価試験例、当該サイズ剤を中性上質紙並びに新聞用紙に塗工した場合のサイズ性評価試験例を順次説明する。また、実施例、試験例中の「部」、「%」は特に指定しない限り重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0040】
《表面サイズ剤の実施例》
実施例1〜9のうち、実施例1は3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正量の下限付近で、スチレン類(c)が適正量の上限付近の例、実施例2は3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正量の上限付近で、(メタ)アクリル酸エステル(b)が適正量の下限付近の例、実施例3はスチレン類(c)が0%で、その他のモノマー(d)が比較的多い例、実施例4は共重合後の4級化剤の使用量がごく少ない例、実施例7はスチレン類(c)が0%の例である。実施例9は(メタ)アクリル酸エステル(b)が比較的多い例である。実施例3と実施例5〜9は、沸点が150℃以上で水への溶解度も大きい有機溶剤を使用した例、その他の実施例は低沸点又は水への溶解度が低い有機溶剤を使用した例である。特に、実施例2と実施例8はモノマー組成は共通で、有機溶剤の種類を変えた例である。実施例3、実施例5〜9は溶剤量を少量化して蒸留工程を省略した例、その他の実施例は溶剤を留去した例である。実施例7は実施例3を基本として共重合体を4級化しない例、その他の実施例は4級化した例である。
【0041】
一方、比較例1はスチレン類(c)を本発明の適正量より多くした(即ち、スチレン類を疎水性モノマーの主体とした)、いわば従来型の表面サイズ剤の例である。比較例2は3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正量より多く、(メタ)アクリル酸エステル(b)が0%の例である。比較例3は3級アミノ基含有モノマー(a)が適正量より少ない例である。比較例4は成分(b)に代えてC18を越える長鎖アルキル(メタ)アクリレートを使用し、この長鎖(メタ)アクリレートを成分(b)と仮定した場合、成分(a)〜(c)の含有量が適正範囲内にある例である。比較例5は成分(b)に代えてC5以下の短鎖アルキル(メタ)アクリレートを使用し、この短鎖(メタ)アクリレートを成分(b)と仮定した場合、成分(a)〜(c)の含有量が適正範囲内にある例である。比較例6は本発明の適正比率でモノマー成分(a)〜(c)を乳化重合した例である。比較例7は連鎖移動剤を用いずに溶液重合した例である。比較例8は上記比較例2を基本として共重合体を4級化しない例、他の比較例は4級化した例である。
尚、図1に実施例1〜9及び比較例1〜8の各共重合体を得る際のモノマー組成、有機溶剤の種類などをまとめた。図中のDMは3級アミノ基含有モノマー(a)、C6〜C18は(メタ)アクリル酸エステル(b)、Stはスチレン類(c)、その他はその他のモノマー(d)、EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレート、IBMAはイソブチルメタクリレート、nBAはn−ブチルアクリレート、MMAはメチルメタクリレート、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、DMAPAAはジメチルアミノプロピルアクリルアミドを意味する。
【0042】
(1)実施例1
2−エチルヘキシルメタクリレート14部と、スチレン68部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート18部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、n−ブタノール42.7部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、水336部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してn−ブタノールを1時間で留去した。その後、85℃でエピクロルヒドリン9.5部を加えて4時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0043】
(2)実施例2
ベンジルメタクリレート8部と、スチレン59部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド33部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、メチルイソブチルケトン42.7部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、120℃で3時間重合した。
次いで、水336部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを1時間蒸留した。その後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0044】
(3)実施例3
シクロヘキシルメタクリレート40部と、イソブチルメタクリレート30部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、プロピレングリコール13.9部と、90%酢酸11.4部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、85℃でエピクロルヒドリン7.0部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(溶剤残留量2.4%)の表面サイズ剤を得た。
【0045】
(4)実施例4
2−エチルヘキシルメタクリレート20部と、メチルメタクリレート5部と、スチレン50部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール32.7部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水335部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留して、イソプロピルアルコールを0.5時間で留去した。その後、85℃でエピクロルヒドリン0.7部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0046】
(5)実施例5
ラウリルメタクリレート20部と、n−ブチルアクリレート10部と、スチレン45部と、ジエチルアミノエチルアクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、ベンジルアルコール14.0部と、90%酢酸9.6部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、85℃でエビクロルヒドリン8.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(残留溶剤量2.6%)の表面サイズ剤を得た。
【0047】
(6)実施例6
ステアリルメタクリレート20部と、メチルメタクリレート15部と、スチレン40部と、ジエチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、プロピレングリコールジアセテート13.9部と、90%酢酸8.1部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、85℃でメチル硫酸10.2部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(残留溶剤量2.6%)の表面サイズ剤を得た。
【0048】
(7)実施例7
シクロヘキシルメタクリレート40部と、イソブチルメタクリレート30部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、プロピレングリコール14.0部と、90%酢酸11.4部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色微濁液(溶剤残留量2.7%)の表面サイズ剤を得た。
【0049】
(8)実施例8
ベンジルメタクリレート8部と、スチレン59部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド33部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、1,3−ブチレングリコール20.0部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、120℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水336部と90%酢酸13.3部を加えて水溶化した後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(溶剤残留量3.2%)の表面サイズ剤を得た。
【0050】
(9)実施例9
2−エチルヘキシルメタクリレート68部と、スチレン10部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート22部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部とヘキシレングリコール20.0部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、120℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水330部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色微濁液(溶剤残留量3.1%)の表面サイズ剤を得た。
【0051】
(10)比較例1
2−エチルヘキシルメタクリレート10部と、スチレン75部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート15部とに加え、さらに連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン2部と、トルエン70部とを4つ口フラスコに入れ、110℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、還流下で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸6.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去したところ、蒸留時間は2.5時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.0部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0052】
(11)比較例2
イソブチルメタクリレート20部と、スチレン40部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸15.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留しイソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン9.4部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
【0053】
(12)比較例3
シクロヘキシルメタクリレート20部と、スチレン50部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート10部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、n−ブタノール60部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水330部と酢酸3.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留しn−ブタノールを留去したところ、蒸留時間は3時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン5.3部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
【0054】
(13)比較例4
ベヘニルメタクリレート10部と、メチルメタクリレート20部と、スチレン45部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留し、イソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.9部を加え、3時間反応して、冷却し、水で希釈して、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0055】
(14)比較例5
n−ブチルアクリレート20部と、スチレン55部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加え、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留し、イソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.9部を加え、3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
【0056】
(15)比較例6
シクロヘキシルメタクリレート20部と、n−ブチルアクリレート10部と、スチレン45部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イオン交換水220部と、酢酸8.9部と、乳化剤としてオクタデシルアミン酢酸塩4部とを4つ口フラスコに入れ、55℃まで加熱し、開始剤として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドを加えた後、85℃まで加熱し、85℃で3時間乳化重合した。
次いで、水40部を加え、3時間反応し、冷却して、固形分20%、乳白色液の表面サイズ剤を得た。
【0057】
(16)比較例7
前記実施例1を基本として、連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタンを使用しないで溶液重合したが、操作途中で増粘ゲル化して反応を継続できず、表面サイズ剤を得ることができなかった。
【0058】
(17)比較例8
イソブチルメタクリレート20部と、スチレン40部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加え、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸15.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
【0059】
そこで、上記実施例1〜9並びに比較例1〜8で得られた各表面サイズ剤について、常温(25℃)での有機溶剤臭の度合を対象にしてパネラーによる官能試験を行い、臭気の強弱を評価した。
《表面サイズ剤の臭気評価試験例》
即ち、表面サイズ剤の臭気(有機溶剤臭)を6段階臭気強度表示法に基づいて、下記の基準により評価した。
○:臭気がやっと感知できた。
△:臭気を容易に感知できた。
×:臭気が強かった。
【0060】
図2の左寄り欄はその試験結果である。
イソプロパノール、n−ブタノールの低沸点溶剤を使用し、或は、親油性のトルエンを使用した比較例の評価は△〜×であった。同様に、イソプロパノール、n−ブタノールの低沸点溶剤、又は親油性のメチルイソブチルケトンを使用した実施例1、2、4でも、評価は△であった。
これに対して、沸点が150℃以上で、適度の親水性を有する(水への溶解度が特定値以上の)有機溶剤を使用した実施例3、実施例5〜9では、有機溶剤臭をほとんど感知せず、表面サイズ剤を塗工する際の作業環境に優れることが確認できた。尚、臭気評価が△であれば、作業環境に特段の支障はないものと思われる。
【0061】
次いで、以下の通り、上記実施例1〜9並びに比較例1〜8で得られた各表面サイズ剤を内添サイズ剤なしの中性上質原紙に塗工して、サイズ性評価試験を行った。また、本発明の表面サイズ剤を使用しないブランク例を比較例9とした。
尚、上記比較例7では、溶液重合に際して共重合体の増粘・ゲル化によりサイズ剤が得られなかったため、下記の評価試験に供することができなかった。
【0062】
《表面サイズ剤の中性上質紙に対するサイズ性評価試験例》
実施例1〜9及び比較例1〜8(比較例7を除く)の各表面サイズ剤を酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)糊化溶液に溶解して、下記の2種類の組成の塗工液A〜Bを各々調製した。
酸化澱粉 表面サイズ剤
塗工液A: 3.0重量% 0.2重量%
塗工液B: 3.0重量% 0.3重量%
一方、450mL(c.s.f)まで叩解したLBKPパルプスラリーに対パルプ5%の軽質炭酸カルシウム、同0.5%の硫酸バンド、同0.5%のカチオン化澱粉を添加して、内添サイズ剤を用いないで湿式抄造して、中性紙(坪量75g/m2)を得た。
上記無内添サイズ中性紙にバーコーターにて両面で吸液量40g/m2になるよう片面づつ塗工し、90℃の回転式ドラムドライヤーに90秒間通して乾燥塗工し、中性上質塗工紙を得た。
そして、各中性上質塗工紙について、JIS P8122の「紙のステキヒトサイズ度試験方法」に基づいて、サイズ度を測定した。
【0063】
図2はその試験結果である。
塗工液濃度0.2%の場合を検討する。
本発明の表面サイズ剤を塗工しないブランク例である比較例9では、内添サイズ剤なしの中性紙のサイズ度は0秒であり、スチレン類を疎水性モノマーの主体とする従来型の表面サイズ剤を塗工した比較例1では3秒であった。
これに対して、本発明の表面サイズ剤を塗工した実施例1〜9はすべて7〜12秒の範囲内にあり、サイズ効果が有効に改善されていることが認められる。
従って、共重合体のモノマー組成では、スチレン類を疎水性モノマーの主体にするとサイズ効果が低下し、スチレン類(c)と(メタ)アクリル酸エステル(b)を本発明の適正範囲内で組み合わせることにより、サイズ効果が向上することが確認できた。
【0064】
スチレン類(c)が比較例1よりは少なく、(メタ)アクリル酸エステル(b)が0%で(但し、(メタ)アクリル酸の短鎖エステルを20%含有)、3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正範囲より多い比較例2、又は当該比較例2を基本として、共重合体を4級化しない比較例8では、サイズ剤としての基本である撥水性が低下し、サイズ度は劣る(3〜4秒であった)とともに、3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正範囲より少ない比較例3でも、サイズ度が劣った(3秒であった)。
これらの比較例と上記実施例の対比に鑑みると、共重合体を構成する成分(a)〜(c)の組成が適正範囲にないとサイズ効果の向上は望めず、サイズ度の改善には成分(a)〜(c)の組成の適正化が重要である点が裏付けられる。
【0065】
成分(a)〜(b)の比率は適正でありながら、溶液重合ではなく乳化重合した比較例6ではサイズ性に劣った(2秒であった)ことから、サイズ効果の向上には共重合体を溶液重合することの重要性が確認できた。
また、連鎖移動剤を用いない比較例7では、増粘によりサイズ剤自体が得られないことから、溶液重合に際しては連鎖移動剤が欠かせないことも確認できた。
成分(a)〜(c)の比率を適正にしても、(メタ)アクリル酸エステルのエステル炭素数が6〜18の適正範囲にはなく、炭素数が18を越える長鎖エステル(ベヘニルメタクリレート)である比較例4、或は、炭素数が5以下の短鎖エステル(n−ブチルアクリレート)である比較例5では、共にサイズ度が劣った(3秒であった)ことから、(メタ)アクリル酸エステルでは炭素数6〜18のエステルが必要条件であることが確認できた。
【0066】
一方、実施例1〜9を詳述すると、成分(a)〜(c)の含有量が共に好ましい範囲に含まれるか、近傍にある実施例3や5などでは、相対的に良好なサイズ効果を示し、殊に、実施例5のサイズ性は優れていた。即ち、3級アミノ基含有モノマー(a)が好ましい範囲内にあり、且つ、疎水性モノマー(成分(b)と(c))とカチオン性モノマー(a)のバランスが良ければサイズ性は向上し、この場合、スチレン含有量が0%でもサイズ性の改善を期待できる(実施例3参照)。
また、溶剤の蒸留工程を省略した実施例3と実施例5〜9にあっても、実用的なサイズ度を達成でき、特に、実施例5はサイズ性に優れるだけでなく、溶剤の除去工程を省略して生産性を高められる利点もある。
しかも、共重合体を4級化しない実施例7と4級化した他の実施例(特に、実施例3は実施例7の基本例である)を対比すると、前述の通り、実施例7では比較例よりサイズ効果が有効に改善したが、その他の実施例では当該実施例7より概ねサイズ効果のさらなる向上が確認できた。
【0067】
塗工液濃度が0.3%に増加した場合、比較例1〜8に対する実施例1〜9のサイズ度の優位性は、同濃度0.4%の場合と同様な傾向を示した。
また、当然ながら、塗工液濃度が0.3%に増すと、各実施例1〜9のサイズ度は飛躍的に改善され、0.2%の場合に比して2倍越えの数値を示す例が多かった。
【0068】
次いで、上記実施例並びに比較例で得られた各表面サイズ剤について、内添サイズ剤を含まない新聞用紙に対するサイズ性評価試験を行った。また、本発明の表面サイズ剤を使用しないブランク例を比較例10とした。
尚、比較例7が共重合体の増粘・ゲル化により評価試験に供せないことは、当該試験でも同様である。
【0069】
《表面サイズ剤の新聞用紙に対するサイズ性評価試験例》
実施例1〜9及び比較例1〜8(比較例7を除く)の各表面サイズ剤を酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)糊化溶液に溶解して、下記の2種類の組成の塗工液C〜Dを各々調製した。
酸化澱粉 表面サイズ剤
塗工液C: 3.0重量% 0.2重量%
塗工液D: 3.0重量% 0.3重量%
一方、全パルプ成分の80重量%以上が古紙と機械パルプからなる紙料を用いて、内添サイズ剤を用いないで湿式抄造し、炭酸カルシウム含有の新聞用紙(原紙)を得た。
次いで、上記原紙にプレーンのバーコータにて両面吸液量14g/m2になるように片面づつ塗工し、80℃の回転式ドラムドライヤーに60秒間通して乾燥し、両面塗工の新聞紙を得た。
そして、各新聞塗工紙について、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.32−2(紙−吸水性試験方法−第2部:滴下法)に準じて、5μLの水にて吸水試験を行い、吸水に要した時間を測定した。
【0070】
図3はその試験結果である。
本新聞紙での試験においても、前記中性上質紙での試験と同様に、実施例1〜9は比較例1〜8、10に対して優れたサイズ性を示した。
即ち、表面サイズ剤を使用しないブランク例である比較例10に対して、実施例1〜9はサイズ性に優れるだけではなく、スチレンを疎水性モノマーの主体とした従来型の比較例、成分(a)〜(c)の含有量が適正範囲から外れる比較例、成分(b)に代えて長鎖エステル又は短鎖エステルを使用した比較例、或は、乳化重合した比較例などに対してもサイズ度の点で同様な優位性を示した。
また、塗工液の濃度を見ると、0.2%から0.3%に少し増すだけで、サイズ度は3倍越えの数値に増大することから、飛躍的なサイズ効果の向上が確認できた。
しかも、前記中性紙での試験例と同様に、共重合体を4級化しない実施例7は比較例に比して明白なサイズ効果の改善が認められたが、その一方で、4級化した実施例1〜6、8〜9では当該実施例7より、概ねサイズ効果のさらなる向上が確認できた。
以上のように、本発明の表面サイズ剤は中性上質紙や新聞用紙に対して、内添サイズ剤と組み合わせることなく(即ち、内添サイズ剤なしの原紙に対しても)、単独で紙表面に塗工するだけで、優れたサイズ効果を発揮できることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1〜9及び比較例1〜8の各共重合体を得る際のモノマー組成、有機溶剤の種類などをまとめた図表である。
【図2】実施例1〜9及び比較例1〜8の各表面サイズ剤の臭気評価試験の結果、並びに、当該実施例1〜9及び比較例1〜9の各表面サイズ剤を含む液を塗工した中性上質紙(比較例9は表面サイズ剤を使用しない例)のサイズ性評価試験の結果を示す図表である。
【図3】実施例1〜9及び比較例1〜8、10の各表面サイズ剤を含む液を塗工した新聞紙(比較例10は表面サイズ剤を使用しない例)のサイズ性評価試験の結果を示す図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)3級アミノ基含有モノマーと、
(b)(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、
(c)スチレン類とを
重合して得られる共重合体を4級化し、或は、4級化しないカチオン性表面サイズ剤において、
成分(a)が15〜35重量%、成分(b)が5〜85重量%、成分(c)が0〜70重量%であって、
これらの成分(a)〜(c)を連鎖移動剤の存在下に有機溶剤中で溶液重合することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
【請求項2】
沸点150℃以上で、且つ、水への溶解度が3g/水100g(25℃)以上である有機溶剤中で溶液重合することを特徴とする請求項1に記載のカチオン性表面サイズ剤。
【請求項3】
請求項2の有機溶剤が、多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、ベンジルアルコールであることを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。
【請求項4】
3級アミノ基含有モノマー(a)が、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤。
【請求項5】
共重合体の構成モノマーとして、さらに、(d)その他の共重合性ビニルモノマー0〜30重量%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤。
【請求項6】
成分(a)に対して3〜95モル%の4級化剤で共重合体を4級アンモニウム塩化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のカチオン性表面サイズ剤を原紙に塗工した紙。
【請求項8】
原紙が、内添サイズ剤を含まない紙、或は、ステキヒトサイズ度が2秒以下の中性紙であることを特徴とする請求項7の塗工紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−322093(P2006−322093A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144636(P2005−144636)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】