説明

表面修飾カーボン材料およびその製造方法

【課題】 高い耐熱性を有する表面修飾カーボン材料を提供する。
【解決手段】 純度99.99%以上の窒素ガス雰囲気下、150℃から250℃まで10℃/分で昇温したときの重量減少量(質量%)をカーボン材料の比表面積(m2/g)で割った値が1.5×10-3以下となる表面修飾カーボン材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が修飾されたカーボン材料およびその製造方法に関する。特に、ベンザインをカーボン材料と反応させて、カーボン材料に結合した有機基を有する新規な表面修飾カーボン材料に関する。また、該表面修飾カーボン材料を用いた触媒担持カーボン材料、電極膜接合体および燃料電池、ゴムコンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
炭素には種々の同素体が存在し、用途に応じて使い分けられている。表面積が大きいいわゆる活性炭は吸着材、貴金属触媒担体、燃料電池用触媒担体、タイヤ用ゴムコンパウンドなどに用いられており、種々の用途に適合させるために、その表面に種々の官能基が導入されたカーボン材料が用いられる。これまでに、カーボン材料の表面修飾によってその性状を改良することを目的とした様々な検討がなされてきている。カーボン材料表面への物理的な吸着による修飾は可能であるが、化学結合を形成するような強固な修飾を行うことは困難である。
【0003】
カーボン材料の表面性状を改良するいくつかの方法は既知であり、商業的に利用されているものもある。例えば、カーボン材料の一種であるカーボンブラックの表面は、種々の酸化剤で処理することにより酸化されることは広く知られている。また、硫酸またはクロロ硫酸を用いることでカーボンブラックの表面をスルホン化およびハロゲン化できることも知られている。カーボンブラック表面にポリマーをグラフト化する方法は、非特許文献1において概観されている。また、特許文献1に、ジアゾニウム塩を用いることでカーボンブラックの表面修飾が可能であることが記載されている。
【0004】
さらにまた、近年、カーボンナノチューブの表面修飾も報告されており、非特許文献2において概観されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−199968号公報
【非特許文献1】Tsubokawa、Polym.Sci.、Vol.17、pp.417-470、1992
【非特許文献2】Chem.Rev.、Vol.106、pp.1105-1136、2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記方法により製造した表面修飾カーボン材料の熱安定性は低く、高温で使用される化学工業用の貴金属触媒担体、燃料電池用触媒担体、および高い耐久性が要求されるタイヤ用ゴムコンパウンドへの使用には問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、カーボン材料の表面を修飾することでその性状を改良し、高い熱安定性を有するカーボン材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題のもと、本発明者らは鋭意検討を行った結果、下記手段によって上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)純度99.99%以上の窒素ガス雰囲気下、150℃から250℃まで10℃/分で昇温したときの重量減少量(質量%)をカーボン材料の比表面積(m2/g)で割った値が1.5×10-3以下となる表面修飾カーボン材料。
(2)カーボン材料とベンザインとを反応させることによって得られる表面修飾カーボン材料。
(3)カーボン材料とベンザインとを反応させることによって得られる(1)に記載の表面修飾カーボン材料。
(4)前記ベンザインが一般式(1)で表される化合物である、(2)または(3)に記載の表面修飾カーボン材料。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンである。)
(5)前記ベンザインが一般式(2)で表される化合物を前駆体として発生する化合物である、(2)〜(4)のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料。
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンであり、R5、R6、R7は、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、へテロアリール基またはアラルキル基である。)
(6)前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料。
(7)一般式(1)で表される化合物を、カーボン材料に反応させる工程を含む、表面修飾カーボン材料の製造方法。
一般式(1)
【化3】

(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンである。)
(8)一般式(2)で表される化合物にフッ化物イオンを作用させて、前記一般式(1)で表される化合物を発生させる、(7)に記載の表面修飾カーボン材料の製造方法。
一般式(2)
【化4】

(一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンであり、R5、R6、R7は、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、へテロアリール基またはアラルキル基である。)
(9)表面修飾カーボン材料が、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料である、(7)または(8)に記載の表面修飾カーボン材料の製造方法。
(10)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料に金属触媒を担持した触媒担持カーボン材料。
(11)多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒層とを有し、かつ、前記触媒層が(10)に記載の触媒担持カーボン材料を含む、電極膜接合体。
(12)(11)に記載の電極膜接合体を有する、燃料電池。
(13)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料を含むゴムコンパウンド。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高い熱安定性を有する表面修飾カーボン材料の提供が可能になった。このため、高温で使用される用途や高い耐久性が求められる用途に広く利用することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における各種物性値は、特に述べない限り室温(例えば、25℃)における状態のものを示している。
【0011】
本発明の表面修飾カーボン材料は、純度99.99%以上の窒素ガス雰囲気下、150℃から250℃まで10℃/分で昇温したときの重量減少量(質量%)をカーボン材料の比表面積(m2/g)で割った値が1.5×10-3以下であることが好ましく、1.2×10-3以下であることがより好ましく、1.0×10-3以下であることが特に好ましい。
【0012】
本発明の表面修飾カーボン材料は、カーボン材料とベンザインを反応させて表面修飾して得られるカーボン材料であることが好ましい。ここで、本発明の表面修飾カーボン材料は、該表面修飾カーボン材料1g当たり、ベンザイン由来の有機基が、0.1mmol以上結合していることが好ましく、0.2〜5.0mmol結合していることがより好ましい。本発明で用い得るベンザインの発生方法としては、例えば、アントラニル酸と亜硝酸アルキルから得られるジアゾニウム塩を熱分解または光分解する方法(例えば、L.Friedman、J.Am.Chem.Soc.、Vol.89、pp.3071-3073、1967)、o−フルオロブロモベンゼンに金属マグネシウムを作用させる方法(例えば、M.E.Kuehne、J.Am.Chem.Soc.、Vol.84、pp.837-847、1962)、およびトリフルオロメタンスルホン酸2−(トリメチルシリル)ベンゼンにフッ化物イオンを作用させる方法(例えば、Y.Himeshima、T.Sonoda、H.Kobayashi、Chem.Lett.、pp.1211-1214、1983)などの公知の方法を採用できる。
本発明では、特に、トリフルオロメタンスルホン酸2−(トリメチルシリル)ベンゼン等の後述する一般式(2)で表される化合物を前駆体として、ベンザインを発生させる方法が好ましく、一般式(2)で表される化合物にフッ化物イオンを作用させる方法がより好ましい。
【0013】
本発明で用いるベンザインは、下記一般式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0014】
一般式(1)
【化5】

(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンである。)
【0015】
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4で表わされる基は、上記の基の中でも、炭素数が20以下の基であることが好ましく、また、カルボキシレート塩、スルホン酸塩、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-が、比較的親水的な基であることから好ましい。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるアルケニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルケニル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるアルキニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキニル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アリール基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるヘテロアリール基は、炭素数1〜20のヘテロアリール基であって、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。ヘテロアリール基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、RおよびR’で表わされるアラルキル基は、炭素数7〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアラルキル基であることが好ましく、さらに置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アラルキル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(1)において、X-で表わされるハロゲン化物イオンとして好ましいものは、Cl-、Br-、I-であり、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンとして好ましいものは、1価〜3価の陰イオン(例えばBF4-,PF6-、SbF6-、ClO4-、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、イソチオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオンなど)であり、X-は、より好ましくはCl-、Br-、I-、硫酸イオン、リン酸イオンである。
【0016】
上述のとおり、本発明の表面修飾カーボン材料は、一般式(2)で表される化合物にフッ化物イオンを作用させる方法により製造することが好ましい。
ここで、フッ化物イオンの発生源は、特に定めるものはなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などを用いることができ、フッ化カリウム、フッ化セシウムがより好ましく、フッ化セシウムが特に好ましい。また、クラウンエーテルなどの錯化剤を添加しても良い。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0017】
一般式(2)
【化6】

(一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンであり、R5、R6、R7は、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、へテロアリール基またはアラルキル基である。)
【0018】
一般式(2)において、R1、R2、R3、R4で表わされる上記の基の中でも、炭素数が20以下の基であることが好ましく、特に、カルボキシレート塩、スルホン酸塩、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-が、比較的親水的な基であることから好ましい。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるアルケニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルケニル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるアルキニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキニル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アリール基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるヘテロアリール基は、炭素数1〜20のヘテロアリール基であって、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。ヘテロアリール基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、RおよびR’で表わされるアラルキル基は、炭素数7〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアラルキル基であることが好ましく、さらに置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アラルキル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、X-で表わされるハロゲン化物イオンとして好ましいものは、Cl-、Br-、I-であり、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンとして好ましいものは、1価〜3価の陰イオン(例えばBF4-,PF6-、SbF6-、ClO4-、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、イソチオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオンなど)であり、X-は、より好ましくはCl-、Br-、I-、硫酸イオン、リン酸イオンである。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキル基は、特に好ましくは、炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるアルケニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルケニル基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるアルキニル基は、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアルキニル基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アルキニル基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アリール基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるヘテロアリール基は、炭素数1〜20のヘテロアリール基であって、置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。ヘテロアリール基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
一般式(2)において、R5、R6、R7で表されるアラルキル基は、炭素数7〜20の直鎖状、分枝状、または環状のアラルキル基であることが好ましく、さらに置換基を有していても良い。この置換基としてはR1、R2、R3、R4の定義と同じ範囲から選択される基であることが好ましい。アラルキル基は、特に好ましくは炭素数10以下の基である。
【0019】
一般式(2)で表される化合物にフッ化物イオンを作用させる方法において、その反応溶媒は特に定めるものではないが、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどを用いることができ、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリルがより好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。これらの溶媒は、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0020】
反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。反応温度は、0℃〜100℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。また、反応時間は、使用するベンザイン前駆体の種類、フッ化物イオン発生源の種類、溶媒の種類および反応温度により異なるが、1〜24時間が好ましく、より好ましくは3時間〜18時間であり、さらに好ましくは5時間〜12時間である。反応圧力については加圧下、減圧下でもよいが、常圧で構わない。
【0021】
本発明において修飾されるカーボン材料は、特に定めるものではなく、フラーレンを除く公知のカーボン材料を用いることができる。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)およびカーボンナノホーン(CNH)が挙げられる。カーボンブラックおよびカーボンナノチューブは高い導電性を有することから燃料電池用触媒担体として特に好ましく用いることができる。カーボン材料は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、カーボン材料の比表面積は、20〜1000m2/gであることが好ましく、60〜800m2/gであることがより好ましい。
【0022】
カーボンブラック
本発明で用いられるカーボンブラックは、通常、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する微粉であって、球状または鎖状の炭素であり、製法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどがある。これらは、それぞれ粒子サイズ、酸素含有量、揮発成分、比表面積、微細構造などが異なり、最新カーボンブラック技術大全集、第四章(2005年 技術情報協会刊)に記載がある。本発明においては上記のカーボンブラックの1種または2種以上を使用可能であり、また、ケッチェンブラック、Vulcan XC−72などの市販品も使用することができる。
【0023】
本発明の表面修飾カーボン材料を、化学合成用貴金属触媒担体または燃料電池用触媒担体として用いる場合には、貴金属触媒と相互作用可能な酸性基または酸性基の塩を有することが好ましく、例えば、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
酸性基または酸性基の塩:
カルボキシレート塩、例えば、−COOLi、−COONa、−COOK、−COO-NR4+、−SO3H 、スルホン酸塩、例えば、−SO3Li、−SO3Na、−SO3K、−SO3-NR4+、−OSO3H、−OSO3-塩、−PO32、ホスホン酸塩、例えば、−PO3HNaおよび−PO3Na2、リン酸塩、例えば、−OPO3HNaおよび−OPO3Na2、−SSO3H、および−SSO3-
ここで、Rは、水素原子、分枝鎖状もしくは直鎖状の炭素数1〜20の置換もしくは無置換の炭化水素、例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基である。
【0024】
本発明の表面修飾カーボン材料は、白金粒子等の触媒金属の担体として好ましく用いることができる。触媒金属を担持する方法としては、熱還元法、スパッタ法、パルスレーザーデポジション法、真空蒸着法などが挙げられ、例えば、WO2002/054514号公報の記載を参照することができる。
【0025】
本発明において、触媒担持カーボン材料の作製方法としては、カーボン材料に官能基を導入した後、触媒金属を担持する方法と、カーボン材料に触媒金属を担持した後に官能基を導入する方法があるが、いずれの方法も好ましく用いられる。また、市販の触媒担持カーボン材料(例えば、白金担持ケッチェンブラック:田中貴金属工業(株)製、または白金担持XC−72:E−TEK社製など)に官能基を導入することによっても得られる。
【0026】
カーボン材料に触媒金属を担持後に官能基を導入する場合、あるいは市販の触媒担持カーボン材料に官能基を導入する場合には、反応を無酸素条件下で行う、反応を難燃性溶媒中で行う、あるいは反応系中に難燃剤を添加することが安全上好ましい。反応を無酸素条件下で行う方法としては、反応を不活性ガス雰囲気下で行う方法が挙げられ、不活性ガスとしてはヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素などが挙げられ、アルゴン、窒素が特に好ましい。
【0027】
不燃性溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、水などが挙げられる。これらは、反応試薬の溶解性・反応の温度・溶媒の沸点などを考慮して適宜選択して用いられる。また、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いても良い。
【0028】
難燃剤としては、ヘキサメチルホスホルアミド、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ヒドロキノールビス(ジフェニル)ホスフェート、フェニルジキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル系の難燃剤が好ましい例として挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。これらの難燃剤を添加する割合は、反応溶媒に対して5%以上であることが好ましく10%以上であることがさらに好ましく、15%以上であることが特に好ましい。また、上記難燃剤の中で液体のものについては反応溶媒として使用してもよい。
【0029】
本発明のカーボン材料は、燃料電池用電極、電極膜接合体(Membrane and Electrode Assembly)(以下「MEA」という)および、該電極膜接合体を用いた燃料電池に用いることができる。
図1は本発明の電極膜接合体の断面概略図の一例を示したものである。MEA10は、膜状の高分子電解質膜11と、それを挟んで対向するアノード電極12及カソード電極13を備える。ここでいう高分子電解質膜はナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾール等の耐熱芳香族高分子、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリオキセタン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンの膜が挙げられる。
【0030】
アノード電極12とカソード電極13は、多孔質導電シート(例えばカーボンペーパー)12a、13aと触媒層12b、13bからなる。触媒層12b、13bは、白金粒子等の触媒金属を担持した本発明の表面修飾カーボン材料を、高分子電解質に分散させた分散物からなる。ここで、触媒金属としては、白金が好ましい。
【0031】
電極の作製方法について説明する。ナフィオンに代表される高分子電解質を溶媒に溶解し、触媒金属を担持した本発明の表面修飾カーボン材料と混合し、分散させる。このときの溶媒は複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセタミド等)、水等が好ましく用いられ、この中でも複素環化合物、アルコール類、多価アルコール類、アミド類がより好ましく用いられる。
【0032】
分散方法は、攪拌による方法でも良いが、超音波分散、ボールミル等を用いることもできる。得られた分散液は、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等の塗布法を用いて塗布することができる。
【0033】
分散液の塗布について説明する。塗布工程においては、上記分散液を用いて、押出成型によって製膜してもよいし、これらの分散液をキャスト、または塗布して製膜してもよい。支持体は特に限定されないが、好ましい例としてはガラス基板、金属基板、高分子フィルム、反射板等を挙げることができる。高分子フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系高分子フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系高分子フィルム、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は上記の塗布法を用いることができる。特に、支持体として導電性多孔質体(カーボンペーパー、カーボンクロス)を用いると直接触媒電極が作製でき、好ましい。
【0034】
これらの操作は、カレンダーロール、キャストロール等のロールまたはTダイを用いたフィルム成形機で行なうこともでき、プレス機器を用いたプレス成形とすることもできる。さらに延伸工程を追加し、膜厚制御、膜特性改良を行ってもよい。
【0035】
塗布工程の乾燥温度は乾燥速度に関連し、材料の性質に応じて選択することができる。好ましくは−20℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。乾燥時間は、短時間であるほうが生産性の観点から好ましく、気泡、表面の凹凸等の欠陥防止の観点から、ある程度の時間を採用した方が好ましい。このため、乾燥時間は1分〜48時間が好ましく、5分〜10時間がさらに好ましく、10分〜5時間が特に好ましい。また相対湿度は、25〜100%が好ましく、50%〜95%がさらに好ましい。
【0036】
塗布工程における塗布液中には、金属イオンの含量が少ない物が好ましく、特に遷移金属イオン、中でも鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは少ない物が好ましい。含量は500ppm以下が好ましく、100ppm以下が特に好ましい。従って、前述の工程で使用する溶媒も、これらのイオンの含量の低い物が好ましい。
【0037】
さらに製膜工程を経た後に表面処理を行なってもよい。表面処理としては、粗面処理、表面切削、除去、コーティング処理を行なってもよく、これらは高分子電解質膜あるいは多孔質導電体との密着を改良できることがある。
【0038】
高分子電解質の形状は、膜状が好ましく、厚さは5〜200μmが好ましく、10〜100μmが特に好ましい。
【0039】
触媒層12b、13bを高分子電解質膜11に密着させるために、多孔質導電シート12a、13aに触媒層12b、13bを塗設したものを、高分子電解質膜11にホットプレス法(好ましくは120〜130℃、2〜100kg/cm2)で圧着するか、適当な支持体に触媒層12b、13bを塗設したものを、高分子電解質膜11に転写しながら圧着した後、多孔質導電シート12a、13aで挟み込む方法を一般が好ましく用いられる。
【0040】
図2は燃料電池構造の一例を示す。燃料電池はMEA10と、MEA10を挟持する一対のセパレータ21、22と、セパレータ21、22に取り付けられたステンレスネットからなる集電体17およびパッキン14とを有する。アノード極側のセパレータ21にはアノード極側開口部15が設けられ、カソード極側のセパレータ22にはカソード極側開口16設けられている。アノード極側開口部15からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部16からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
【0041】
アノード電極およびカソード電極には、本発明の触媒担持カーボン材料を含む触媒が好ましく用いられる。ここで触媒に通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲であり、粒子サイズが小さい程単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが、小さすぎると凝集させずに分散させることが難しくなり、下限値は、通常、2nm程度が限度と言われている。
【0042】
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極(水素極)に比べ、カソード極(空気極)が大きい。これは、アノード極に比べ、カソード極の反応(酸素の還元)が遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制することが重要である。この目的のために、例えば、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。
【0043】
活性金属を担持させるカーボン材料としては、本発明の表面修飾カーボン材料が好ましく用いられる。
【0044】
触媒層の機能は、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを高分子電解質に輸送すること、である。(1)のために触媒層は、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性であることが必要である。(2)は上記で述べた活性金属触媒が、(3)は同じく本発明の表面修飾カーボン材料が担うことが好ましい。(4)の機能を果たすために、触媒層に高分子電解質を混在させる。
【0045】
触媒層のプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、高分子電解質に用いられる酸残基を有する高分子化合物(例えば、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸、側鎖リン酸基ポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性芳香族高分子のスルホン化物など)が好ましく用いられる。高分子電解質膜11と同種の材料を用いると、高分子電解質膜と触媒層との電気化学的密着性が高まりより有利である。
【0046】
活性金属の使用量は、0.03〜10mg/cm2の範囲が電池出力と経済性の観点から適している。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して、1〜10倍が適している。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が適している。
【0047】
電極基材、透過層または裏打ち材とも呼ばれる導電層は、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
【0048】
MEAの作製には、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を基本要素とする触媒ペースト(インク)を高分子電解質の両側に直接塗布し、多孔質導電シートを(熱)圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒ペーストを多孔質導電シート表面に塗布し、触媒層を形成させた後、高分子電解質と圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層を形成させた後、高分子電解質に触媒層のみを転写させ3層のMEAを形成させ、多孔質導電シートを圧着し、5層構成のMEAを作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクを高分子電解質、多孔質導電シートあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを当該高分子電解質に含浸させ、白金粒子を膜中で還元析出させて触媒層を形成させる。触媒層を形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEAを作製する。
【0049】
本発明の表面修飾カーボン材料を用いる燃料電池の燃料として用いることのできるのは、例えば、アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられ、水素、メタノールが好ましく用いられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
【0050】
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層に供給する方法には、(1)ポンプ等の補機を用いて強制循環させる方法(アクティブ型)と、(2)補機を用いない方法(例えば、液体の場合には毛管現象や自然落下により、気体の場合には大気に触媒層を晒し供給するパッシブ型)の2通りがあり、これらを組み合わせることも可能である。高出力が得られるアクティブ型が好ましい。
【0051】
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレータを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。後者は、熱効率が高く、電池がコンパクトになるため燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
【0052】
燃料電池は、運輸用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、例えば、好ましく適用できる運輸用途としては、自動車(乗用車、貨物車、二輪車、個人用ビーグル)、船舶、家庭用としてはコジェネシステム、掃除機、ロボット、携帯機器としては携帯電話、ノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機などが挙げられる。さらに、ポータブル発電機、野外照明機器などにも用いることができる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池、キャパシタの充電用電源としても有用である。
【0053】
本発明の表面修飾カーボン材料は、従来のカーボン材料を使用するときのように、ゴムコンパウンドの配合および製造において、顔料、充填剤、および強化剤として好ましく使用することができる。カーボン材料の特性は、カーボン材料を含有するゴムコンパウンドの性能を決定するとき、重要な因子である。
【0054】
カーボン材料は、例えば、ゴム加硫物、例えば、タイヤにおいて使用されるものの製造において有用である。満足すべき摩耗抵抗およびヒステリシス性能を有するタイヤを生成するカーボン材料を利用することは、タイヤの製造において、一般に望ましい。タイヤのトレッド摩耗特性は摩耗抵抗に関係づけられる。摩耗抵抗が大きいほど、摩耗しないでタイヤが持続する走行距離は長くなる。ゴムコンパウンドのヒステリシスは、ゴムコンパウンドを変形させるために加えるエネルギーと、ゴムコンパウンドがその初期の未変形状態に回復するとき、解放されるエネルギーとの間の差を意味する。より低いヒステリシス値を有するタイヤは転がり抵抗を減少し、したがって、そのタイヤを利用する自動車の燃料消費を減少できる。したがって、より大きい摩耗抵抗およびより低いヒステリシスをタイヤに付与できる表面修飾カーボン材料を得ることは、特に望ましい。
【0055】
本発明の表面修飾カーボン材料は、天然ゴムおよび合成ゴムの双方または天然ゴムと合成ゴムとの混合物において有用である。有機基として芳香族サルファイド基を含有する表面修飾カーボン材料は、この使用に好ましい。芳香族サルファイド基は、式Ar(CH2qk(CH2rAr’またはA−(CH2qk(CH2rAr”により表され、式中ArおよびAr’は独立して置換もしくは非置換のアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、Ar”はアリールまたはヘテロアリール基であり、kは1〜8の整数であり、qおよびrは、それぞれ、0〜4の整数である。置換アリール基は置換アルキルアリール基を包含する。好ましいアリーレン基は、フェニレン基、特にp−フェニレン基、またはベンゾチアゾリレン基を包含する。好ましいアリール基は、フェニル、ナフチルおよびベンゾチアゾリルを包含する。存在する硫黄の数はkにより規定され、好ましくは2〜4の範囲である。特に好ましい芳香族サルファイド基は、ビス−p−(C64)−S2−(C64)−およびp−(C64)−S2−(C65)である。本発明の表面修飾カーボン材料は、硫黄硬化またはペルオキシド硬化されるゴムコンパウンドにおいて使用できる。
【0056】
本発明の表面修飾カーボン材料は、通常の手段、例えば、練りにより、天然ゴムまたは合成ゴムと混合することができる。一般に、10〜250重量部の範囲の表面修飾カーボン材料の量を各100重量部のゴムについて使用して、有意な程度の強化を付与することができる。しかしながら、ゴム100重量部当たり20〜100重量部の表面修飾カーボン材料を使用することが好ましく、そしてゴム100重量部当たり40〜80重量部の表面修飾カーボン材料を利用することは特に好ましい。
【0057】
本発明とともに使用に適当なゴムの中には、天然ゴムおよびその誘導体、例えば、塩素化ゴムがある。また、本発明の表面修飾カーボン材料は、合成ゴム、例えば、下記のものとともに使用することができる。
10〜70重量%のスチレンと、90〜30重量%のブタジエンとのコポリマー、例えば、19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマーおよび50部のスチレンと50部のブタジエンとのコポリマー;
共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、これらのジエンと該ジエンと共重合可能なエチレン基含有モノマー、例えば、下記のモノマーとのコポリマー;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニル−ピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファメチレンカルボン酸およびエステルおよびそれらのアミド、例えば、アクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド;
エチレンと、他の高級オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテンおよび1−ペンテンとのコポリマー
【0058】
したがって、本発明のゴムコンパウンドは、エラストマー、硬化剤、強化用充填剤、カップリング剤、および、必要に応じて、種々の加工助剤、油性増量剤、および分解防止剤を含有する。前述の例に加えて、エラストマーは、下記のものであるが、これらに限定するものではない。
1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、およびその他から製造されたポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー)
これらのエラストマーは、DSCにより測定して、−120℃〜0℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。このようなエラストマーの例は、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、およびポリ(イソプレン)を包含する。
【0059】
本発明の表面修飾カーボン材料は、それらを含有するゴムコンパウンドに、摩耗抵抗および/または減少したヒステリシスを付与することができる点で有利である。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0061】
実施例1 ベンザインを用いた表面修飾カーボン材料(1)の製造
ベンザインを用いて、表面修飾カーボン材料(1)を製造した。具体的には、Angew.Chem.Int.Ed.、Vol.37、pp.2659-2661、1998に従って合成したトリフルオロメタンスルホン酸2−(トリメチルシリル)−4−クロロベンゼン(2.77g)を100mLのアセトニトリルに溶解させた。この溶液に1.00gの比表面積が800m2/gのケッチェンブラック(ライオン社製、EC600JD)と2.54gのフッ化セシウムを添加した。この混合物を80℃で8時間攪拌した後、沈殿を濾取し、水とアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて表面修飾カーボン材料(1)を1.15g得た。蛍光X線を用いた分析より、3.9%の塩素原子を含有することが示された。したがって、表面修飾カーボン材料1g当たり1.09mmolのクロロフェニル基を有することがわかった。
【0062】
実施例2 ベンザインを用いた表面修飾カーボン材料(2)の製造
ベンザインを用いて、表面修飾カーボン材料(2)を製造した。具体的には、2.77gのトリフルオロメタンスルホン酸2−(トリメチルシリル)−4−クロロベンゼンを100mLのアセトニトリルに溶解させた。この溶液に1.00gの比表面積が66m2/gのデンカブラック(100%プレス品、電気化学工業製)と2.54gのフッ化セシウムを添加した。この混合物を80℃で8時間攪拌した後、沈殿を濾取し、水とアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて表面修飾カーボン材料(2)を0.97g得た。蛍光X線を用いた分析より、0.75%の塩素原子を含有することが示された。したがって、表面修飾カーボン材料1g当たり0.21mmolのクロロフェニル基を有することがわかった。
【0063】
比較例1 ジアゾニウム塩を用いた表面修飾カーボン材料(3)の製造
5.31gの4−クロロアニリンを50mLの水と20mLの濃塩酸に溶解させ、攪拌しながら2℃まで冷却した。ここに10mLの水に2.87gの亜硝酸ナトリウムを溶解させて調整した溶液を滴下し、5℃以下で1時間攪拌した。ここに0.50gの比表面積が800m2/gのケッチェンブラック(ライオン社製、EC600JD)を加え、60℃で8時間撹拌した後、沈殿を濾取し、水とアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて表面修飾カーボン材料(3)を0.72g得た。蛍光X線を用いた分析より、12.6%の塩素原子を含有することが示された。したがって、表面修飾カーボン材料1g当たり3.56mmolのクロロフェニル基を有することがわかった。
【0064】
比較例2 ジアゾニウム塩を用いた表面修飾カーボン材料(4)の製造
5.31gの4−クロロアニリンを50mLの水と20mLの濃塩酸に溶解させ、攪拌しながら2℃まで冷却した。ここに10mLの水に2.87gの亜硝酸ナトリウムを溶解させて調整した溶液を滴下し、5℃以下で1時間攪拌した。ここに0.50gの比表面積が66m2/gのデンカブラック(100%プレス品、電気化学工業製)を加え、60℃で8時間撹拌した後、沈殿を濾取し、水とアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて表面修飾カーボン材料(4)を0.49g得た。蛍光X線を用いた分析より、3.6%の塩素原子を含有することが示された。したがって、表面修飾カーボン材料1g当たり1.01mmolのクロロフェニル基を有することがわかった。
【0065】
実施例3
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2について、室温から550℃まで10℃/分の速度で昇温したときの示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)を、純度99.99%以上の窒素ガス雰囲気下で行い、150℃から250℃における重量減少量(質量%)と重量減少量(質量%)を比表面積(m2/g)で割った値を表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
表1から明らかなとおり、ジアゾニウム塩を用いて修飾した比較例1や2に比べて、実施例1や2の比表面積(m2/g)あたりの重量減少量は少なく、150℃から250℃の領域において熱的に安定であることが認められた。このようなカーボン材料は従来の表面修飾カーボン材料より高温においても使用することが可能であり、その優位性が認められた。ベンザインは2本の共有結合を形成する活性種であるから、修飾基が2本の共有結合で炭素表面に結合しているので、1本の結合で結合する比較例に比べて、加熱時に脱離しにくいので優位性を示したものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の電極膜接合体の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の燃料電池の構造の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10・・・電極膜接合体(MEA)
11・・・高分子電解質膜
12・・・アノード電極
12a・・アノード極多孔質導電シート
12b・・アノード極触媒層
13・・・カソード電極
13a・・カソード極多孔質導電シート
13b・・カソード極触媒層
14・・・パッキン
15・・・アノード極側開口部
16・・・カソード極側開口部
17・・・集電体
21,22・・・セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純度99.99%以上の窒素ガス雰囲気下、150℃から250℃まで10℃/分で昇温したときの重量減少量(質量%)をカーボン材料の比表面積(m2/g)で割った値が1.5×10-3以下となる表面修飾カーボン材料。
【請求項2】
カーボン材料とベンザインとを反応させることによって得られる表面修飾カーボン材料。
【請求項3】
カーボン材料とベンザインとを反応させることによって得られる請求項1に記載の表面修飾カーボン材料。
【請求項4】
前記ベンザインが一般式(1)で表される化合物である、請求項2または3に記載の表面修飾カーボン材料。
一般式(1)
【化1】

(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンである。)
【請求項5】
前記ベンザインが一般式(2)で表される化合物を前駆体として発生する化合物である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料。
一般式(2)
【化2】

(一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンであり、R5、R6、R7は、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、へテロアリール基またはアラルキル基である。)
【請求項6】
前記カーボン材料が、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料。
【請求項7】
一般式(1)で表される化合物を、カーボン材料に反応させる工程を含む、表面修飾カーボン材料の製造方法。
一般式(1)
【化3】

(一般式(1)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンである。)
【請求項8】
一般式(2)で表される化合物にフッ化物イオンを作用させて、前記一般式(1)で表される化合物を発生させる、請求項7に記載の表面修飾カーボン材料の製造方法。
一般式(2)
【化4】

(一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、同一であっても、異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよく、−R、−OR、−COR、−COOR、−OCOR、カルボキシレート塩、ハロゲン原子、−CN、−NR2、−SO3H、スルホン酸塩、−NR(COR)、−CONR2、−NO2、−PO32、一塩基性または二塩基性ホスホン酸塩、−N=NR、−N2+-、−NR3+-、−PR3+-、−SR、−SO2NRR’、−SO2SRおよび−SO2Rからなる群より選択される官能基から選択され、RおよびR’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基であり、X-はハロゲン化物イオン、鉱酸または有機酸から誘導されるアニオンであり、R5、R6、R7は、同一であっても、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、へテロアリール基またはアラルキル基である。)
【請求項9】
表面修飾カーボン材料が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料である、請求項7または8に記載の表面修飾カーボン材料の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料に金属触媒を担持した触媒担持カーボン材料。
【請求項11】
多孔質導電シートと、該多孔質導電シートに接して設けられた触媒層とを有し、かつ、前記触媒層が請求項10に記載の触媒担持カーボン材料を含む、電極膜接合体。
【請求項12】
請求項11に記載の電極膜接合体を有する、燃料電池。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面修飾カーボン材料を含むゴムコンパウンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−84090(P2009−84090A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253377(P2007−253377)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】