説明

表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置並びに方法

【課題】生産性の向上、表面処理領域に対する被処理物の搬入及び搬出動作のフレキシブル化並びにコストの低減化を図ることができる表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置を提供する。
【解決手段】ガイドレールに沿って移動可能な、被処理物Wを支持する複数のキャリア1、キャリア1の被牽引部材に係合する第1係合ドッグが取り付けられた通常速牽引駆動手段11、前記被牽引部材に係合する第2係合ドッグが取り付けられた、通常速牽引駆動手段11よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段12、表面処理領域Cの左右片側に設置した、前記ガイドレールの一部を分割した分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させる回転駆動手段10、前記被牽引部材及び前記第1係合ドッグの係合を解除する第1係合解除手段、前記被牽引部材及び前記第2係合ドッグの係合を解除する第2係合解除手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解塗装処理等の表面処理を被処理物に施すために、前記表面処理を行う領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置並びに方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車生産工場における車体の電解塗装処理又はその前処理等に用いられる、表面処理を行う処理槽等の表面処理領域に対して被処理物である車体を搬入及び搬出する装置として、搬送方向に並設された処理槽上に、車体が取り付けられた複数のキャリアを走行レールに沿って間欠送り装置により一斉に搬送し、走行レールの一部を分割した分割レールに位置決めした停止状態で、回転駆動装置により分割レールとともに回転させることにより処理槽内の処理液に浸漬させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、車体が取り付けられた複数の取付フレームを案内レールに沿って駆動チェーン等の駆動手段により所定移動方向へ移動させるとともに、前記取付フレームを前記所定移動方向に直交する水平回転軸まわりに回転させるカムレール及びカムレバーを備えてなるもの(例えば、特許文献2参照。)、走行面(ガイド装置、ガイドウェイ)に沿って並進移動する自走式移送車(キャリッジ)により、車体が取り付けられた取付プレート(内側フレーム、マウント)を前記並進移動方向に直交する水平回転軸(回転シャフト)まわりに回転可能に支持するとともに、前記自走式移送車上に前記回転軸を回転させる電動モータ(回転ドライブ、電気駆動装置)を取り付けてなるもの(例えば、特許文献3〜5参照。)等もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5110440号明細書(FIG.2)
【特許文献2】特表2001−501532号公報(第1−5図)
【特許文献3】特開2008−100223号公報(図1−5)
【特許文献4】特表2005−517616号公報(図5、図12−13)
【特許文献5】特表2007−537959号公報(図3b)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、複数のキャリアを走行レールに沿って間欠送り装置により一斉に搬送し、前記キャリアを一斉に停止させた状態で回転駆動装置により分割レールとともに回転させることにより、表面処理領域に対する車体の搬入及び搬出を行う構成であることから、車体を間欠送りしているため、タクトタイムの短縮が困難であり、生産性を向上することができない。
また、特許文献2の装置は、複数の取付フレームを走行レールに沿って駆動チェーン等の駆動手段により一斉に搬送し、前記取付フレームを移動させながら前記取付フレームに固定されたカムレバーをカムレールに従動させ、取付フレームを、その並進方向への移動に基づいて回転させることにより、表面処理領域に対する車体の搬入及び搬出を行う構成であることから、並進方向への移動速度により回転速度が決定されるため、表面処理領域に対する車体の搬入及び搬出動作をフレキシブルに行うことができない。
さらに、特許文献3〜5の装置は、自走式移送車(キャリッジ)各々に駆動装置を備えさせる必要があるとともに、自走式移送車への電力供給及び自走式移送車と地上側との通信を行う必要があるため、コストが増大する。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、タクトタイムを短縮して生産性を向上することができ、表面処理領域に対する被処理物の搬入及び搬出動作を比較的フレキシブルに行うことができるとともに、コストの増大を抑制することができる表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置並びに方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置は、前記課題解決のために、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアと、該キャリアの被牽引部材に係合する第1係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる通常速牽引駆動手段と、前記キャリアの被牽引部材に係合する第2係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段と、前記表面処理領域の左右片側又は両側に設置した、前記ガイドレールの一部を分割した分割レールを、搬送方向右側から見て反時計回りに回転させる回転駆動手段と、前記被牽引部材及び前記第1係合ドッグの係合を解除する第1係合解除手段と、前記被牽引部材及び前記第2係合ドッグの係合を解除する第2係合解除手段とを備えたものである。
【0007】
ここで、前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる走行フレームを固定し、該走行フレームの前後に前記左右のガイドレールの一方に係合する前後の走行車輪を取り付け、前記水平回転軸の他端に走行車輪を取り付けてなる3輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記走行フレーム側にのみ設置してなると好ましい。
【0008】
また、前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる第1走行フレームを固定し、前記水平回転軸の他端に前後方向に延びる第2走行フレームを左右方向軸まわりに回転可能に取り付け、前記第1走行フレーム及び第2走行フレームの各々前後に前記左右のガイドレールに係合する前後の走行車輪を取り付けてなる4輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記第1走行フレーム側にのみ設置してなると好ましい。
【0009】
さらに、前記キャリアの上側に前記被処理物があり、前記キャリアが前記ガイドレールに沿って移動している状態で、前記回転駆動手段の回転中心よりも上側にオフセットして前後方向に延びる、ストレージピッチを決定するバンパーフレームを前記キャリアに取り付けるとともに、前記走行フレームの前後方向の長さを前記バンパーフレームよりも短くしてなると好ましい。
【0010】
本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法は、前記課題解決のために、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した分割レールに位置決めするステップと、回転駆動手段により前記分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入し、さらに前記回転駆動手段により前記分割レールを前記反時計回りに回転させて前記被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、当該キャリアと前記分割レールとの位置決めを解除して、前記高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップとを備えたものである。
【0011】
また、本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法は、前記課題解決のために、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の上流側に位置する上流側分割レールに位置決めするステップと、前記表面処理領域の上流側に位置する上流側回転駆動手段により前記上流側分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入するステップと、当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、当該キャリアに対する前記通常速牽引駆動手段による牽引を解除して、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の下流側に位置する下流側分割レールに当該キャリアを位置決めするステップと、前記表面処理領域の下流側に位置する下流側回転駆動手段により前記下流側分割レールを前記反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、当該キャリアと前記下流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップとを備えたものである。
【0012】
ここで、前記上流側回転駆動手段により前記被処理物を前記反時計回りに180度回転させて前記表面処理領域に搬入し、前記表面処理領域内に位置する被処理物を支持する当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除した後、当該キャリアを前記通常速牽引駆動手段により牽引する前に、前記通常速牽引駆動手段の牽引速度と前記高速牽引駆動手段の牽引速度との中間の牽引速度の中速牽引駆動手段により当該キャリアを牽引するステップと、前記中速牽引駆動手段による牽引から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送した後、前記下流側分割レールに当該キャリアを位置決めする前に、前記通常速牽引駆動手段による牽引から前記中速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送するステップとを備えてなると好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置によれば、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアと、該キャリアの被牽引部材に係合する第1係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる通常速牽引駆動手段と、前記キャリアの被牽引部材に係合する第2係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段と、前記表面処理領域の左右片側又は両側に設置した、前記ガイドレールの一部を分割した分割レールを、搬送方向右側から見て反時計回りに回転させる回転駆動手段と、前記被牽引部材及び前記第1係合ドッグの係合を解除する第1係合解除手段と、前記被牽引部材及び前記第2係合ドッグの係合を解除する第2係合解除手段とを備えたので、キャリアの通常搬送は通常速牽引駆動手段による牽引により行い、表面処理領域に被処理物を搬入する際には、その前段階で第1係合解除手段により通常速牽引駆動手段によるキャリアの牽引を解除し、キャリアを高速牽引駆動手段により牽引して早送り搬送することができる。
この早送り搬送により、早送り搬送された当該キャリアと上流側隣接キャリアとの間隔をあけることができるため、この状態で第2係合解除手段により高速牽引駆動手段による当該キャリアの牽引を解除し、当該キャリアを分割レールに位置決めし、回転駆動手段により分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させることにより、上流側隣接キャリアとの干渉を回避しながら当該キャリアに支持された被処理物を表面処理領域に搬入することができる。
また、被処理物を表面処理領域に搬入した後に、下流側に移動している下流側隣接キャリアとの干渉を回避するように回転駆動手段により分割レールを前記反時計回りに回転させることができるため、下流側隣接キャリアとの干渉を回避しながら当該キャリアに支持された被処理物を表面処理領域から搬出することができる。
【0014】
よって、通常速牽引駆動手段による通常搬送と、所要箇所に設置した高速牽引駆動手段による高速搬送及び所要箇所に設置した回転駆動手段による停止状態のキャリアの搬送方向右側から見て反時計回りへの回転とを組み合わせることにより、通常速牽引駆動手段により連続搬送されているキャリアに対して干渉することなく、表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出するために、キャリアの搬送を停止させた状態で回転させることができることから、キャリアを間欠送りしながら回転させる必要がないため、特許文献1のような構成と比較してタクトタイムを短縮して生産性を向上することができる。
その上、キャリアの通常搬送を行う通常速牽引駆動手段又は高速搬送を行う高速搬送手段の牽引速度(移動速度)により回転駆動手段の回転速度が決定される構成ではないため、特許文献2のような構成と比較して表面処理領域に対する被処理物の搬入及び搬出動作をフレキシブルに行うことができる。
その上さらに、キャリアの搬送をキャリア外部の通常速牽引駆動手段及び高速牽引駆動手段により行い、キャリアの回転を外部の回転駆動手段により行う構成であり、キャリア各々に走行駆動装置及び回転駆動装置を備える必要がなく、キャリアへの電力供給及びキャリアと地上側との通信を行う必要がないため、特許文献3〜5のような構成と比較してコストを低減することができる。
その上、キャリアを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させて表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出していることから、例えば表面処理領域が処理液を貯留した処理槽である場合において、処理液内を搬送方向に進む被処理物と同方向の処理液の流れを作ることになり、被処理物に対する処理液の抵抗を小さくすることができるため、処理液の抵抗に基づく被処理物のダメージを抑制することができる。
【0015】
また、前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる走行フレームを固定し、該走行フレームの前後に前記左右のガイドレールの一方に係合する前後の走行車輪を取り付け、前記水平回転軸の他端に走行車輪を取り付けてなる3輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記走行フレーム側にのみ設置してなると、前記効果に加え、走行フレーム側のガイドレールの一部を分割した分割レールを、走行フレーム側のみに設置した回転駆動手段により回転させることにより、分割レールに位置決めされたキャリア及び被処理物を回転させて表面処理領域に対して搬入及び搬出することができる。
よって、分割レール及び分割レールとガイドレールとを固定するレールロック装置並びに分割レールを回転する回転駆動手段を表面処理領域の左右片側のみに設置すればよいため、回転駆動手段を表面処理領域の左右両側に設置する構成と比較して、回転駆動手段等の設置コストを約1/2にすることができる。
その上、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って搬送される非自走式キャリアが3輪の簡素な構成であるため、該キャリアのコストを低減することができるとともに、信頼性を向上することができる。
【0016】
さらに、前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる第1走行フレームを固定し、前記水平回転軸の他端に前後方向に延びる第2走行フレームを左右方向軸まわりに回転可能に取り付け、前記第1走行フレーム及び第2走行フレームの各々前後に前記左右のガイドレールに係合する前後の走行車輪を取り付けてなる4輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記第1走行フレーム側にのみ設置してなると、前記効果に加え、水平回転軸に対して第2走行フレームが左右方向軸まわりに回転可能に取り付けられているため、第1走行フレーム側のガイドレールの一部を分割した分割レールを、第1走行フレーム側のみに設置した回転駆動手段により回転させることにより、分割レールに位置決めされたキャリア及び被処理物を回転させて表面処理領域に対して搬入及び搬出することができる。
よって、分割レール及び分割レールとガイドレールとを固定するレールロック装置並びに分割レールを回転する回転駆動手段を表面処理領域の左右片側のみに設置すればよいため、回転駆動手段を表面処理領域の左右両側に設置する構成と比較して、回転駆動手段等の設置コストを約1/2にすることができる。
その上、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って搬送される非自走式キャリアが4輪の簡素な構成であるため、該キャリアのコストを低減することができるとともに、信頼性を向上することができる。
【0017】
さらにまた、前記キャリアの上側に前記被処理物があり、前記キャリアが前記ガイドレールに沿って移動している状態で、前記回転駆動手段の回転中心よりも上側にオフセットして前後方向に延びる、ストレージピッチを決定するバンパーフレームを前記キャリアに取り付けるとともに、前記走行フレームの前後方向の長さを前記バンパーフレームよりも短くしてなると、前記効果に加え、表面処理領域にキャリアを搬入するために該キャリアを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させた状態では、バンパーフレームは回転駆動手段の回転中心(水平回転軸)よりも下側にあるため、例えば隣接するキャリアの一方が被処理物を上側に位置させた通常搬送状態で他方が被処理物を下側に位置させた表面処理領域への搬入状態である場合には、通常搬送時のストレージピッチよりもキャリア間の間隔を狭めることができる。
よって、処理槽等の表面処理領域の前後方向の長さを小さくすることができるため、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
【0018】
本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法によれば、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した分割レールに位置決めするステップと、回転駆動手段により前記分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入し、さらに前記回転駆動手段により前記分割レールを前記反時計回りに回転させて前記被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、当該キャリアと前記分割レールとの位置決めを解除して、前記高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップとを備えたので、通常搬送されてきた当該キャリアが表面処理領域に差し掛かる手前で早送り搬送され、この早送り搬送により、当該キャリアと上流側隣接キャリアとの間隔をあけることができるため、この状態で当該キャリアを停止させて分割レールに位置決めし、分割レールを回転駆動手段により搬送方向右側から見て反時計回りに360度回転させることにより、当該キャリアに支持された被処理物を表面処理領域に対して搬入及び搬出することができ、その後の当該キャリアを早送りした後に通常搬送に復帰させることができる。
よって、上述の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置と同様の作用効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法によれば、表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の上流側に位置する上流側分割レールに位置決めするステップと、前記表面処理領域の上流側に位置する上流側回転駆動手段により前記上流側分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入するステップと、当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、当該キャリアに対する前記通常速牽引駆動手段による牽引を解除して、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の下流側に位置する下流側分割レールに当該キャリアを位置決めするステップと、前記表面処理領域の下流側に位置する下流側回転駆動手段により前記下流側分割レールを前記反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、当該キャリアと前記下流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップとを備えたので、通常搬送されてきた当該キャリアが表面処理領域に差し掛かる手前で早送り搬送され、この早送り搬送により、当該キャリアと上流側隣接キャリアとの間隔をあけることができるため、この状態で当該キャリアを停止させて上流側分割レールに位置決めし、上流側分割レールを上流側回転駆動手段により搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させることにより、当該キャリアに支持された被処理物を表面処理領域に搬入することができ、この状態で当該キャリアを通常速で搬送することができ、表面処理領域の下流側で当該キャリアを停止させて下流側分割レールに位置決めし、下流側分割レールを下流側回転駆動手段により搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させることにより、当該キャリアに支持された被処理物を表面処理領域から搬出することができ、その後の当該キャリアを早送りした後に通常搬送に復帰させることができる。
よって、上述の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置と同様の作用効果を奏するとともに、表面処理領域の前後方向の長さが長い(例えば被処理物を処理液に浸漬させておく必要がある時間が長い)構成に対しても適用することができる。
【0020】
さらに、前記上流側回転駆動手段により前記被処理物を前記反時計回りに180度回転させて前記表面処理領域に搬入し、前記表面処理領域内に位置する被処理物を支持する当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除した後、当該キャリアを前記通常速牽引駆動手段により牽引する前に、前記通常速牽引駆動手段の牽引速度と前記高速牽引駆動手段の牽引速度との中間の牽引速度の中速牽引駆動手段により当該キャリアを牽引するステップと、前記中速牽引駆動手段による牽引から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送した後、前記下流側分割レールに当該キャリアを位置決めする前に、前記通常速牽引駆動手段による牽引から前記中速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送するステップとを備えてなると、前記効果に加え、表面処理領域内に位置する被処理物を支持する当該キャリアを中速牽引駆動手段により牽引するステップを備えていることから、前記ステップにおいて、表面処理領域内に位置する被処理物を支持する当該キャリアを、中速牽引駆動手段による牽引により通常速牽引駆動手段よりも早送りすることができるため、タクトタイムをより短くした場合に、通常速牽引駆動手段の係合ドッグに追い付くことができない場合や、上流側隣接キャリアが当該キャリアに衝突する場合をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置を示す概略平面図であり、表面処理領域に1個の回転駆動手段を備える構成を示している。
【図2】同じく概略平面図であり、前後方向に長い表面処理領域の上流側及下流側に回転駆動手段を備える構成を示している。
【図3】回転駆動手段まわりを示す正面図である。
【図4】同じく平面図であり、キャリアが3輪構成である場合を示している。
【図5】同じく後方から見た部分縦断面図である。
【図6】第1係合ドッグ及び第1係合解除手段を示す拡大正面図である。
【図7】第2係合ドッグ及び第2係合解除手段を示す拡大正面図であり、係合状態を示している。
【図8】同じく拡大正面図であり、係合解除状態を示している。
【図9】通常速牽引駆動手段及び高速牽引駆動手段を示す後方から見た要部拡大図であり、高速牽引駆動手段によりキャリアを牽引している状態を示している。
【図10】回転駆動手段まわりを示す平面図であり、キャリアが4輪構成である場合を示している。
【図11】表面処理領域における動作を示す概略正面図であり、(a)は高速牽引駆動手段により牽引した当該キャリアを分割レール(回転駆動手段)に位置決めした状態を、(b)は回転駆動手段により当該キャリアの回転を開始する瞬間を、(c)は回転駆動手段により当該キャリアを搬送方向右側から見て反時計回りに90度回転させた状態を示している。
【図12】同じく概略正面図であり、(a)は回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに180度回転させた状態を、(b)は回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに270度回転させた状態を、(c)は回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに360度回転させた状態を示している。
【図13】別の表面処理領域における動作を示す概略正面図であり、(a)は当該キャリアを高速牽引駆動手段により牽引している状態を、(b)は当該キャリアを上流側分割レール(上流側回転駆動手段)に位置決めして回転を開始する瞬間を、(c)は上流側回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに90度回転させた状態を、(d)は上流側回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに180度回転させた状態を示している。
【図14】同じく概略正面図であり、(a)は前記反時計回りに180度回転した後に通常速牽引駆動手段により牽引されてきた当該キャリアを下流側分割レール(下流側回転駆動手段)に位置決めして回転を開始する瞬間を、(b)は下流側回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに90度回転させた状態を、(c)は下流側回転駆動手段により当該キャリアを前記反時計回りに180度回転させた状態を、(d)は当該キャリアを高速牽引駆動手段により牽引する瞬間を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、図1及び図2においてはガイドレール等の記載を省略しており、図2においては上流側及び下流側の回転駆動手段の位置にあるキャリアのみを示している。
また、本明細書においては、キャリアの搬送方向(図中矢印A参照。)に沿って、その前側(下流側)を前、後側(上流側)を後とし、左右は前方に向かっていうものとし、右方から見た図を正面図とする。
【0023】
図1〜図5に示すように、本発明の実施の形態に係る表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置は、被処理物Wを支持する複数のキャリア1,1,…を搬送経路の上流側から下流側へ(図中矢印A参照。)搬送するとともに、表面処理領域Cへ被処理物Wを搬入及び表面処理領域Cから被処理物Wを搬出するものであり、キャリア1,1,…は、後述する通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11及び高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12,12A,12Bにより牽引され、表面処理領域Cの上部(上側)に敷設された、例えばH形鋼である右側及び左側のガイドレールGR1,GR2に沿って移動する。
【0024】
また、図4及び図5に示すように、キャリア1は、被処理物Wを支持するための支持部材4が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸2の右端に前後方向に延びる走行フレーム3が固定され、走行フレーム3の前後に右側ガイドレールGR1に係合する前後の走行車輪5A,5Bが取り付けられ、水平回転軸2の左端に走行車輪6が取り付けられた3輪構成(走行車輪を3輪備えた構成)であり、走行フレーム3に取り付けたサイドローラ20,20(図5参照。)により左右方向の位置決めがされる。
さらに、キャリア1には、ストレージピッチを決定するバンパーフレーム9が、図3〜図5に示すような支持部材4の上側に被処理物Wがある状態で、回転駆動手段10,10A,10Bの回転中心(水平回転軸2)よりも上側にオフセットして前後方向に延びるように取り付けられており、走行フレーム3の前後方向の長さはバンパーフレーム9の前後方向の長さよりも短く設定される。
【0025】
図3〜図5に示すように、右側ガイドレールGR1は、その一部を分割して分割レールSRとされ、この分割レールSRは左右方向軸まわりに回転可能に支持される。
分割レールSRにキャリア1をキャリア位置決め機構13,14により位置決めした状態で、回転側である分割レールSRと固定側である右側ガイドレールGR1とを固定する図示しないレールロック装置を解除し、回転駆動手段10,10A,10B(図1及び図2も参照。)により、図3中の矢印Dのように右方(搬送方向右側)から見て反時計回りに回転させることにより、被処理物Wを回転させることができるため、表面処理領域Cに対して被処理物Wを搬入及び搬出することができる。
【0026】
図4及び図5に示すように、キャリア位置決め機構13は、エアーシリンダー13Aにより位置決めピン15(図5参照。)を駆動して位置決めピン15をキャリア1の走行フレーム3に形成した穴に挿入するもの、キャリア位置決め機構14は、エアーシリンダー14Aによりアーム16A,16B(図4参照。)を駆動してアーム16A,16Bにより走行車輪6を挟み込むものであり、このような位置決めは、キャリア1を回転する際にその回転軸芯を保持するために行われる。
図3〜図5に示すように、回転駆動手段10,10A,10Bは、例えば電動モータ及び減速機により構成される回転駆動装置17の出力軸に固定されたピンギヤスプロケット18を分割レールSRに連結固定されたピンギヤ19に噛合させた構成とされ、回転駆動装置17の駆動トルクにより分割レールSRが右方から見て反時計回りにピンギヤ駆動される。
【0027】
次に、通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11及び高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12,12A,12Bについて説明する。
図1及び図2に示すように、チェーンコンベア11、高速チェーンフィーダー12,12A,12Bは表面処理領域Cの右側(左側であってもよい。)において搬送経路に沿って延びており、チェーンコンベア11は搬送経路の略全長にわたって設置され、高速チェーンフィーダー12,12A,12Bは早送り搬送が必要な箇所にのみ設置される。
なお、通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11及び高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12,12A,12Bは、左右片側ではなく、左右両側に設置してもよい。
【0028】
図5、図6及び図9に示すように、チェーンコンベア11には、キャリア1の被牽引部材8に係合する第1係合ドッグ21A,21Bが取り付けられており、第1係合解除手段であるカムレール31により第1係合ドッグ21A,21Bのローラ23,24を押し上げて第1係合ドッグ21A,21Bを揺動軸25,26まわりに揺動させることにより、被牽引部材8と第1係合ドッグ21A,21Bとの係合が解除される。
また、カムレール31がない箇所では、等ピッチでチェーンコンベア11に取り付けられている第1係合ドッグ21A,21Bが被牽引部材8に係合するため、キャリア1はチェーンコンベア11により通常の搬送速度で牽引される。
【0029】
図5、図7〜図9に示すように、高速チェーンフィーダー12,12A,12Bには、キャリア1の被牽引部材8に係合する第2係合ドッグ22A,22Bが取り付けられており、被牽引部材8と第2係合ドッグ22A,22Bとの係合を解除する第2係合解除手段は、分割昇降レール33及びこれを昇降駆動するエアーシリンダー34により構成される。
すなわち、エアーシリンダー34により分割昇降レール33を下降させることにより(図8参照。)、分割昇降レール33の上面にローラ27,28が当接しながら第2係合ドッグ22A,22Bが揺動軸29,30まわりに揺動するため、キャリア1の被牽引部材8への第1係合ドッグ21A,21Bの係合が解除される。
また、エアーシリンダー34により分割昇降レール33を上昇させた状態(図7参照。)では、ローラ27,28が分割昇降レール33により押し上げられ、第2係合ドッグ22A,22Bがキャリア1の被牽引部材8に係合するため、キャリア1は高速チェーンフィーダー12,12A,12Bにより、チェーンコンベア11よりも速い牽引速度で牽引される。
【0030】
ここで、キャリア1は、図4に示すような3輪構成でなく、図10に示すような4輪構成(走行車輪を4輪備えた構成)であってもよい。
すなわち、図10のキャリア1は、被処理物Wを支持するための支持部材4が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸2の右端に前後方向に延びる第1走行フレーム3Aが固定され、水平回転軸2の左端に前後方向に延びる第2走行フレーム3Aが軸受7により左右方向軸まわりに回転可能に取り付けられており、第1走行フレーム3Aの前後に右側ガイドレールGR1に係合する前後の走行車輪5A,5Bが取り付けられ、第2走行フレーム3Bの前後に左側ガイドレールGR2に係合する前後の走行車輪6A,6Bが取り付けられる。
また、図10のキャリア1にも、図4の構成と同様のバンパーフレーム9が取り付けられており、走行フレーム3A,3Bの前後方向の長さはバンパーフレーム9の前後方向の長さよりも短く設定される。
なお、図10には示していないが、このような4輪構成のキャリア1においてもキャリア1を回転する際にその回転軸芯を保持するための位置決めが行われ、例えば、第1走行フレーム3A及び第2走行フレーム3Bにそれぞれ形成した穴に位置決めピンを挿入する構成のキャリア位置決め機構が用いられる。
【0031】
次に、被処理物Wを表面処理領域Cへ搬入する動作及び被処理物Wを表面処理領域Cから搬出する動作等について説明する。
先ず、図1、図11及び図12等を参照して、表面処理領域C(処理槽B1)の前後方向の長さが比較的短い場合について説明する。
【0032】
図11(a)は、通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11により牽引されてきたキャリア1B(「当該キャリア」と呼ぶ。)の牽引を図1に示す処理槽B1に差し掛かる手前で高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12に切り換えて上流側隣接キャリア1Cよりも早送り搬送し、第2係合解除手段32(図7及び図8参照。)により高速チェーンフィーダー12による牽引を解除し、当該キャリア1Bを分割レールSR(図3〜図5参照。)に位置決めし、レールロック装置による分割レールSRと右側ガイドレールGR1(図3〜図5参照。)との固定を解除した状態を示している。
この状態で、図11(b)から、図11(c)、図12(a)、図12(b)及び図12(c)に示すように、図1に示す回転駆動手段10により、分割レールSRを搬送方向右側から見て反時計回りに360度回転させることにより、当該キャリア1Bにより支持された被処理物Wが処理槽B1内の処理液に浸漬され、さらに処理液から取り出される。
【0033】
そして、図12(c)に示す状態で、レールロック装置により分割レールSRと右側ガイドレールGR1とを固定し、当該キャリア1Bの分割レールSRへの位置決めを解除し、当該キャリア1Bを高速チェーンフィーダー12により牽引して下流側隣接キャリア1Aとの間隔を狭めた後、当該キャリア1Bの牽引を高速チェーンフィーダー12からチェーンコンベア11による牽引に切り換えることにより、当該キャリア1Bはチェーンコンベア11により牽引されながら通常速度で搬送される。
【0034】
次に、図2、図13及び図14等を参照して、表面処理領域C(処理槽B2)の前後方向の長さが比較的長い場合について説明する。
図13(a)は、通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11により牽引されてきたキャリア1B(「当該キャリア」と呼ぶ。)の牽引を図2に示す処理槽B2に差し掛かる手前で上流側高速牽引駆動手段である上流側高速チェーンフィーダー12Aに切り換えて上流側隣接キャリア1Cよりも早送り搬送している状態を示している。
また、図13(b)は、第2係合解除手段32(図7及び図8参照。)により上流側高速チェーンフィーダー12Aによる牽引を解除し、当該キャリア1Bを上流側分割レールSR(図3〜図5参照。)に位置決めし、レールロック装置による上流側分割レールSRと右側ガイドレールGR1(図3〜図5参照。)との固定を解除した状態を示している。
【0035】
この状態で、図13(c)及び図13(d)に示すように、図2に示す上流側回転駆動手段10Aにより、上流側分割レールSRを搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させることにより、当該キャリア1Bにより支持された被処理物Wが処理槽B1内の処理液に浸漬され、この浸漬状態で、当該キャリア1Bと上流側分割レールSRとの位置決めが解除されるとともに、レールロック装置により上流側分割レールSRと右側ガイドレールGR1とを固定し、当該キャリア1Bの上流側分割レールSRへの位置決めを解除し、当該キャリア1Bをチェーンコンベア11により牽引して通常速度で搬送する。
図14(a)は、図13(d)の状態でチェーンコンベア11により牽引されてきた当該キャリア1Bを下流側分割レールSR(図3〜図5参照。)に位置決めし、レールロック装置による下流側分割レールSRと右側ガイドレールGR1(図3〜図5参照。)との固定を解除した状態を示しており、図14(b)及び図4(c)に示すように、図2に示す下流側回転駆動手段10Bにより、下流側分割レールSRを搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させることにより、当該キャリア1Bにより支持された被処理物Wが処理槽B1内の処理液から取り出される。
【0036】
そして、図14(d)に示すようにレールロック装置により下流側分割レールSRと右側ガイドレールGR1とを固定し、当該キャリア1Bの下流側分割レールSRへの位置決めを解除し、この状態の当該キャリア1Bを図2に示す下流側高速牽引駆動手段である下流側高速チェーンフィーダー12Bにより牽引して下流側隣接キャリア1Aとの間隔を狭めた後、当該キャリア1Bの牽引を下流側高速チェーンフィーダー12Bからチェーンコンベア11による牽引に切り換えることにより、当該キャリア1Bはチェーンコンベア11により牽引されながら通常速度で搬送される。
【0037】
このような表面処理領域C(処理槽B2)の前後方向の長さが比較的長い場合において、上流側回転駆動手段10Aにより被処理物Wを前記反時計回りに180度回転させて表面処理領域C(処理槽B2)に搬入し、表面処理領域C内に位置する被処理物Wを支持する当該キャリア1Bと上流側分割レールSRとの位置決めを解除した後、当該キャリア1Bを通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11により牽引する前に、チェーンコンベア11の牽引速度と高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12A,12Bの牽引速度との中間の牽引速度の、図示しない中速牽引駆動手段により当該キャリア1Bを牽引するステップと、前記中速牽引駆動手段による牽引からチェーンコンベア11による牽引に切り換えて当該キャリア1Bを搬送した後、下流側分割レールSRに当該キャリア1Bを位置決めする前に、チェーンコンベア11による牽引から前記中速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリア1Bを搬送するステップとを備えるようにしてもよい。
【0038】
なお、前記中速牽引駆動手段は、高速牽引駆動手段ある高速チェーンフィーダー12A,12Bと別体とせずに、高速チェーンフィーダー12A,12Bを可変速制御可能としてこれらを延長するようにしてもよい。
ここで、高速牽引ではなく中速牽引にする理由は、処理液の抵抗により被処理物Wが変形するなどのダメージを受けるのを防ぐためであり、通常牽引速度以上の適当な速度を選択可能である。
このように表面処理領域C内に位置する被処理物Wを支持する当該キャリア1Bを中速牽引駆動手段により牽引するステップを備えることにより、前記ステップにおいて、表面処理領域C内に位置する被処理物Wを支持する当該キャリア1Bを、中速牽引駆動手段による牽引により通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11よりも早送りすることができるため、タクトタイムをより短くした場合に、チェーンコンベア11の第1係合ドッグ21A,21Bに追い付くことができない場合や、当該キャリア1Bに上流側隣接キャリア1Cが衝突する場合をなくすことができる。
【0039】
以上のように上流側回転駆動手段10A及び下流側回転駆動手段10Bを設置して、上流側分割レールSR及び下流側分割レールSRに位置決めされた状態のキャリア1(当該キャリア1B)を180度ずつ回転させる構成により、表面処理領域Cの前後方向の長さが長い(例えば被処理物を処理液に浸漬させておく必要がある時間が長い)構成に対しても適用することができる。
また、上述したキャリア1の説明のとおり、キャリア1の上側に被処理物Wがあり、キャリア1がガイドレールGR1,GR2に沿って移動している状態で、バンパーフレーム9を回転駆動手段10,10A,10Bの回転中心(水平回転軸2)よりも上側にオフセットさせているとともに、走行フレーム3,3A,3Bの前後方向の長さをバンパーフレーム9よりも短くしていているため、図13(b)及び図14(d)のように、隣接する前後のキャリア1A,1B及び1B,1Cの被処理物W,Wが上下に反転している状態では、通常搬送時のストレージピッチよりもキャリア間の間隔を狭めることができる。
よって、処理槽B2の前後方向の長さを短縮して容積を小さくすることができるとともに、高価な処理液を低減することができるため、コストを低減することができる。
その上、処理槽B2等の表面処理領域Cの前後方向の長さを小さくすることができることから、搬送ラインを短縮することができるため、コスト低減化とともに省スペース化を図ることができる。
【0040】
以上のような動作により、上述の早送り搬送により、早送り搬送された当該キャリア1Bと上流側隣接キャリア1Cとの間隔をあけることができるため、回転駆動手段10(上流側回転駆動手段10A)により分割レール(上流側分割レール)SRを前記反時計回りに回転させることにより、上流側隣接キャリア1Cとの干渉を回避しながら当該キャリア1Bに支持された被処理物Wを処理槽B1(処理槽B2)に搬入することができる。
また、被処理物Wを処理槽B1(処理槽B2)に搬入した後に、下流側に移動している下流側隣接キャリア1Aとの干渉を回避するように回転駆動手段10(下流側回転駆動手段10B)により分割レール(下流側分割レール)SRを前記反時計回りに回転させることができるため、下流側隣接キャリア1Aとの干渉を回避しながら当該キャリア1Bに支持された被処理物Wを処理槽B1(処理槽B2)から搬出することができる。
【0041】
よって、通常速牽引駆動手段であるチェーンコンベア11による通常搬送と、所要箇所に設置した高速牽引駆動手段である高速チェーンフィーダー12,12A,12Bによる高速搬送及び所要箇所に設置した回転駆動手段10,10A,10Bによる停止状態のキャリア1,…の搬送方向右側から見て反時計回りへの回転とを組み合わせることにより、通常速牽引駆動手段により連続搬送されているキャリア1,…に対して干渉することなく、表面処理領域Cに対して被処理物Wを搬入及び搬出するために、当該キャリア1Bの搬送を停止させた状態で回転させることができることから、キャリアを間欠送りしながら回転させる必要がないため、特許文献1のような構成と比較してタクトタイムを短縮して生産性を向上することができる。
【0042】
また、キャリアの通常搬送を行う通常速牽引駆動手段又は高速搬送を行う高速搬送手段の牽引速度(移動速度)により回転駆動手段10,10A,10Bの回転速度が決定される構成ではないため、特許文献2のような構成と比較して表面処理領域Cに対する被処理物Wの搬入及び搬出動作をフレキシブルに行うことができる。
さらに、キャリア1,…の搬送をキャリア外部の通常速牽引駆動手段及び高速牽引駆動手段により行い、キャリア1,…の回転を外部の回転駆動手段10,10A,10Bにより行う構成であり、キャリア1,…各々に走行駆動装置及び回転駆動装置を備える必要がなく、キャリア1,…への電力供給及びキャリア,…と地上側との通信を行う必要がないため、特許文献3〜5のような構成と比較してコストを低減することができる。
さらにまた、キャリア1,…を搬送方向右側から見て反時計回りに回転させて表面処理領域Cに対して被処理物Wを搬入及び搬出していることから、例えば表面処理領域Cが処理液を貯留した処理槽B1,B2である場合において、処理液内を搬送方向Aに進む被処理物Wと同方向の処理液の流れを作ることになり、被処理物Wに対する処理液の抵抗を小さくすることができるため、処理液の抵抗に基づく被処理物Wのダメージを抑制することができる。
【0043】
また、キャリア1,…が図4に示すような3輪構成又は図10に示すような4輪構成であり分割レールSR及び分割レールSRとガイドレールGR1とを固定するレールロック装置並びに分割レールSRを回転する回転駆動手段10,10A,10Bを表面処理領域Cの左右片側の走行フレーム3又は第1走行フレーム3A側にのみ設置する構成であるため、回転駆動手段10,10A,10B等を表面処理領域Cの左右両側に設置する構成と比較して、回転駆動手段等の設置コストを約1/2にすることができる。
さらに、回転駆動手段10,10A,10Bを表面処理領域Cの左右両側に設置する構成では、両側からの駆動が完全に同期しない場合はキャリア1,…を捻ることとなり、この捻りがキャリア1,…に不必要な負荷を与えることになるため、このような負荷に対してキャリア1,…自体の強度を補う必要が生じるが、回転駆動手段10,10A,10Bを表面処理領域の左右片側のみに設置する構成であるため、前記不必要な負荷に対処するための補強を行う必要がない。
さらにまた、表面処理領域Cの上部左右に敷設されたガイドレールに沿って搬送される非自走式キャリア1,…が3輪又は4輪の簡素な構成であるため、該キャリア1,…のコストを低減することができるとともに、信頼性を向上することができる。
【符号の説明】
【0044】
A 搬送方向
B1,B2 処理槽
C 表面処理領域
D 回転方向
GR1,GR2 ガイドレール
SR 分割レール
W 被処理物
1,1A,1B,1C,1D キャリア
2 水平回転軸
3 走行フレーム
3A 第1走行フレーム
3B 第2走行フレーム
4 支持部材
5A,5B,6,6A,6B 走行車輪
7 軸受
8 被牽引部材
9 バンパーフレーム
10 回転駆動手段
10A 上流側回転駆動手段
10B 下流側回転駆動手段
11 チェーンコンベア(通常速牽引駆動手段)
12 高速チェーンフィーダー(高速牽引駆動手段)
12A 上流側高速チェーンフィーダー(上流側高速牽引駆動手段)
12B 下流側高速チェーンフィーダー(下流側高速牽引駆動手段)
13,14 キャリア位置決め機構
13A,14A エアーシリンダー
15 位置決めピン
16A,16B アーム
17 回転駆動装置
18 ピンギヤスプロケット
19 ピンギヤ
20 サイドローラ
21A,21B 第1係合ドッグ
22A,22B 第2係合ドッグ
23,24 ローラ
25,26 揺動軸
27,28 ローラ
29,30 揺動軸
31 カムレール(第1係合解除手段)
32 第2係合解除手段
33 分割昇降レール
34 エアーシリンダー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールと、
該ガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアと、
該キャリアの被牽引部材に係合する第1係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる通常速牽引駆動手段と、
前記キャリアの被牽引部材に係合する第2係合ドッグが取り付けられた、前記表面処理領域の左右片側又は両側において搬送経路に沿って延びる、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段と、
前記表面処理領域の左右片側又は両側に設置した、前記ガイドレールの一部を分割した分割レールを、搬送方向右側から見て反時計回りに回転させる回転駆動手段と、
前記被牽引部材及び前記第1係合ドッグの係合を解除する第1係合解除手段と、
前記被牽引部材及び前記第2係合ドッグの係合を解除する第2係合解除手段と、
を備えたことを特徴とする表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置。
【請求項2】
前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる走行フレームを固定し、該走行フレームの前後に前記左右のガイドレールの一方に係合する前後の走行車輪を取り付け、前記水平回転軸の他端に走行車輪を取り付けてなる3輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記走行フレーム側にのみ設置してなる請求項1記載の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置。
【請求項3】
前記キャリアが、前記被処理物を支持するための支持部材が取り付けられた左右方向に延びる水平回転軸の一端に前後方向に延びる第1走行フレームを固定し、前記水平回転軸の他端に前後方向に延びる第2走行フレームを左右方向軸まわりに回転可能に取り付け、前記第1走行フレーム及び第2走行フレームの各々前後に前記左右のガイドレールに係合する前後の走行車輪を取り付けてなる4輪構成であり、前記回転駆動手段を、前記表面処理領域の左右片側の前記第1走行フレーム側にのみ設置してなる請求項1記載の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置。
【請求項4】
前記キャリアの上側に前記被処理物があり、前記キャリアが前記ガイドレールに沿って移動している状態で、前記回転駆動手段の回転中心よりも上側にオフセットして前後方向に延びる、ストレージピッチを決定するバンパーフレームを前記キャリアに取り付けるとともに、前記走行フレームの前後方向の長さを前記バンパーフレームよりも短くしてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する装置。
【請求項5】
表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、
前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、
早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した分割レールに位置決めするステップと、
回転駆動手段により前記分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入し、さらに前記回転駆動手段により前記分割レールを前記反時計回りに回転させて前記被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、
当該キャリアと前記分割レールとの位置決めを解除して、前記高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、
当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップと、
を備えたことを特徴とする表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法。
【請求項6】
表面処理領域の上部左右に敷設されたガイドレールに沿って移動可能な、被処理物を支持する複数のキャリアを通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、
前記表面処理領域に差し掛かる手前の当該キャリアの牽引を前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段による牽引に切り換えて上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、
早送りされた当該キャリアに対する前記高速牽引駆動手段による牽引を解除して、当該キャリアを、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の上流側に位置する上流側分割レールに位置決めするステップと、
前記表面処理領域の上流側に位置する上流側回転駆動手段により前記上流側分割レールを搬送方向右側から見て反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域に搬入するステップと、
当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段により牽引して搬送するステップと、
当該キャリアに対する前記通常速牽引駆動手段による牽引を解除して、前記表面処理領域の左右片側又は両側のガイドレールの一部を分割した、前記表面処理領域の下流側に位置する下流側分割レールに当該キャリアを位置決めするステップと、
前記表面処理領域の下流側に位置する下流側回転駆動手段により前記下流側分割レールを前記反時計回りに180度回転させて当該キャリアにより支持された被処理物を前記表面処理領域から搬出するステップと、
当該キャリアと前記下流側分割レールとの位置決めを解除して、前記通常速牽引駆動手段よりも牽引速度が速い高速牽引駆動手段により牽引して上流側隣接キャリアよりも早送り搬送するステップと、
当該キャリアの牽引を前記高速牽引駆動手段から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて搬送するステップと、
を備えたことを特徴とする表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法。
【請求項7】
前記上流側回転駆動手段により前記被処理物を前記反時計回りに180度回転させて前記表面処理領域に搬入し、前記表面処理領域内に位置する被処理物を支持する当該キャリアと前記上流側分割レールとの位置決めを解除した後、前記表面処理領域内に位置する前記被処理物を支持する当該キャリアを前記通常速牽引駆動手段により牽引する前に、前記通常速牽引駆動手段の牽引速度と前記高速牽引駆動手段の牽引速度との中間の牽引速度の中速牽引駆動手段により当該キャリアを牽引するステップと、
前記中速牽引駆動手段による牽引から前記通常速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送した後、前記下流側分割レールに当該キャリアを位置決めする前に、前記通常速牽引駆動手段による牽引から前記中速牽引駆動手段による牽引に切り換えて当該キャリアを搬送するステップと、
を備えた請求項6記載の表面処理領域に対して被処理物を搬入及び搬出する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−285264(P2010−285264A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141854(P2009−141854)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】