表面形状測定装置及び触針荷重の異常検出方法
【課題】被測定物の表面に接触する触針を有する表面形状測定装置において、触針に作用する荷重の異常を検出することを可能にすることにより、触針に作用する過大な荷重による触針やピックアップの破損を防止する。
【解決手段】触針11を被測定物Wの表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物Wの表面の起伏により生じる触針11の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物Wの表面形状を測定する表面形状測定装置1に、かかる変位信号の変化の異常を、触針11に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部62を設ける。
【解決手段】触針11を被測定物Wの表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物Wの表面の起伏により生じる触針11の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物Wの表面形状を測定する表面形状測定装置1に、かかる変位信号の変化の異常を、触針11に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部62を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置に関し、特にこの触針、若しくは触針の変位を検出するピックアップ部の破損を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表面形状測定装置は、被測定物の表面に所定の測定圧力で触針を押しつけながら、この触針と被測定物を相対移動させ、そのとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位量を電気信号に変換して、電気信号に変換された変位信号をコンピュータ等の計算機で読み取り、被測定物に対する触針の相対移動長の長さを有する線分上の各点に、順次読み取った各変位量を配置して、被測定物の表面形状データを作成するものである(例えば、下記特許文献1)。図1に、表面形状測定装置の基本構成を示す。
【0003】
表面形状測定装置1には、被測定物を載置するためのXY平面に沿ったテーブル2が設けられる。テーブル2にはコラム3が立設される。そしてコラム3には可動部4が取り付けられる。コラム3には図示しないモータが内蔵されており、このモータによって可動部4をコラム3に沿って(すなわちZ方向に沿って)上下に昇降することが可能である。
可動部4にはホルダ5が設けられ、このホルダ5に腕部10を取り付け、さらに腕部10の先にピックアップ6を取り付ける。可動部4もまた図示しないモータを内蔵しており、ホルダ5をX方向に駆動することが可能である。
【0004】
腕部10の先端には、テーブル2上に載置された被測定物の表面粗さを測定するための測定子(ピックアップ)6が設けられ、このピックアップ6には、一方の端に触針11が設けられたカンチレバー7が取り付けられる。図2にピックアップの内部構造を示す。
ピックアップ6は、カンチレバー7の長手方向と触針11の突出方向とに直角な方向を回転軸としてカンチレバー7を揺動可能に支える支点21と、カンチレバー7に付勢を与え、触針11を一定の測定圧力で被測定物Wの測定面103に押し当てるための、バネ等の弾性体である付勢手段22と、を備える。
【0005】
触針11を測定面103を押し当てた状態で、表面形状測定装置1の動作を制御するコンピュータ等の計算部40が、移動機構駆動回路50を介して駆動部4をX方向に一定速度で移動させる。すると触針11には、測定面103の起伏に応じて、付勢手段22による測定圧力の方向に変位が生じる(すなわち、可動部4の所定の基準面に対して上下方向に変位が生じる)。この触針11の変位によってカンチレバー7が揺動し、この揺動量がピックアップ6内の差動トランスによって電気信号に変換される。
【0006】
図示の構成例では、差動トランスは、励磁された1次コイル23と、2つの2次コイル25と、その中心部に挿入された磁性体コア26を備えて構成され、磁性体コア26はカンチレバー7に固定される。触針11の変位に応じてカンチレバーが回転すると、これに応じて磁性体コア26がコイル内で移動し、1次コイル23に対する2つの2次コイル25のそれぞれの相互インダクタンスが変化する。このため2つの2次コイル25の誘導電圧に違いが生じ、コアの移動量すなわち触針11の変位量に応じた出力電圧を得ることができる。差動トランスの代わりに差動インダクタンス、レーザ干渉計や光学エンコーダが用いられることもある。
【0007】
ピックアップ6の出力信号は、アナログディジタル変換回路(ADC)30に入力されて、アナログディジタル変換回路30はこのアナログ信号を所定のサンプリング周期でディジタル形式の変位信号列に変換する。
ディジタル形式の変位信号列は計算機40に入力される。計算機40は、可動部4を一定速度で移動させながら順次読み取った各変位信号の値を、可動部4の移動長の長さを有する線分上の各点に各々配置して被測定物の表面形状データを作成する。
【0008】
【特許文献1】特開2002−107144号公報
【特許文献2】特開平2005−127934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような、触針11を被測定物に接触させる表面形状測定装置1では、被測定物の表面に穴や段差があるとそこに触針11がひっかかり、触針11に過大な荷重が作用する場合がある。しかし従来の表面形状測定装置1では触針11に作用する荷重の検出手段を有しないため、触針11に過大な荷重が作用したまま可動部4やコラム3を駆動し続けてしまい、触針11を破損することがある。
【0010】
特に図3の(A)に示すように、被測定物Wの横穴101の内側面の表面形状を測定する場合には、図において点線で示した測定開始点まで触針を移動する場合に、触針11を穴101の奥にぶつけて破損しやすい。
また図3の(B)に示すように、被測定物Wの表面に穴102がある場合に、触針11が穴102に落ちてしまい、これに引っかかって触針11を破損することがある。
【0011】
また従来の表面形状測定装置1では、測定中でない触針11の移動時、例えば測定開始点まで触針11の移動の際には、ピックアップ6の出力信号を監視していないため、このような移動時に触針11を障害物にぶつけて、触針11やピックアップ6を破損することがあった。
上記問題点に鑑み、本発明は被測定物の表面に接触する触針を有する表面形状測定装置において、触針に作用する荷重の異常を検出することを可能にすることにより、触針に作用する過大な荷重による触針やピックアップの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明では、触針に作用する荷重の異常を検出するために触針の変位量を検出した変位信号を用いる。
触針が正常に測定面上を移動している場合には、触針の変位量を検出した変位信号の値は、その変動範囲や変化率はある一定程度の範囲内に止まっている。一方で、触針が測定面上の凹凸などに引っかかっている場合や障害にぶつかっている場合などの触針に過大な荷重が作用する異常時には、例えば変位信号の変化が少なくなり、または例えば通常生じえない大きさの変化が生じる。
したがって、このような変位信号の異常を検出することにより、上記の例のような触針に過大な荷重が作用する状態を検出することができる。
【0013】
本発明の第1形態による表面形状測定装置によれば、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、変位信号の変化の異常を、触針に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部を備えた表面形状測定装置が提供される。
【0014】
また、本発明の第2形態による触針荷重の異常検出方法によれば、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定において、変位信号の変化の異常を、触針に作用する荷重の異常として検出する。
【0015】
触針に作用する荷重の異常を検出した場合には、例えば被測定物と触針とを相対移動させる移動機構を停止させる。これにより触針やその変位量を検出するセンサの破損を防止することができる。
変位信号の変化の異常を検出するために、例えば、変位信号を周波数領域信号に変換し、この周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えるとき、変位信号の変化に異常があると判定してもよい。
触針が正常に測定面上を移動している場合には、触針の移動速度と測定面の粗さに応じて変位信号に所定の周波数範囲内の周波数成分が生じ周波数領域信号の変化が安定しているが、上記のような異常な状態が生じると周波数領域信号の変化が大きくなるため、このような周波数領域信号の変化を検出することで、触針に作用する荷重の異常を検出することが可能となる。
【0016】
所定の許容幅は、周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めてよい。このとき所定の周波数帯域を、触針を被測定物の表面の起伏に沿わせながら触針と被測定物とを相対移動させたとき周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数の範囲として定めてよい。
また、周波数領域信号の所定の変化幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めてもよい。
【0017】
図2に示すカンチレバーのような、揺動可能なレバー部材で触針を支持し、このレバー部材の揺動量を検出して変位信号を生成する場合には、例えば触針が測定表面に引っかかり又は障害物にぶつかったままの状態で触針を移動させようとすると、レバー部材が歪んでその揺動量を検出した変位信号の変化が過大になる。したがってこのときの変位信号の微分値が所定の閾値を超えるか否かを判定することによって、触針に作用する荷重の異常を検出することが可能となる。この微分値に代えて変位信号の移動平均値の微分値を使用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は被測定物の表面に接触する触針を有する表面形状測定装置において、触針に作用する荷重の異常を検出することを可能にすることにより、触針に作用する過大な荷重による触針やピックアップの破損を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図4の(A)は、図1及び図2に示す表面形状測定装置を制御して、本発明による表面形状測定装置を実現する計算部の概略構成例を示す図である。本発明の実施例による表面形状測定装置のその他の構成要素は、図1及び図2に示す表面形状測定装置1と同様であるため、記載の重複を防ぐために説明を省略する。
【0020】
コンピュータ等で実現される計算部40は、表面形状測定装置1の制御プログラムや、またピックアップ6からの出力信号を処理して表面形状データを作成するプログラムなどを実行するCPU41と、CPU41による各プログラムの実行に必要なデータを記憶するための、RAM及びROMなどの主記憶装置42と、CPU41が実行する各プログラムや作成した表面形状データを保存するための副記憶装置43と、ピックアップ6からの出力信号をアナログディジタル変換回路30にてディジタル信号に変換した変位信号を計算部40に入力し、また可動部4の動作を制御する制御信号を移動機構駆動回路50に出力するためのインターフェース部(I/F)44と、を備えて構成される。
【0021】
図4の(B)は、図4の(A)に示す計算部40により実現される機能ブロック図である。計算部40は、副記憶装置43に記憶した所定のプログラムをCPU41で実行することにより、少なくとも表面形状データ作成部60と、移動機構制御部61と、触針荷重異常検出部62の機能ブロックを実現する。
表面形状データ作成部60は、ピックアップ6の移動に伴って変化する変位信号の列を順次入力し、ピックアップ6の移動長の長さの線分上の各点に、これら入力した変位信号の値を順次配置して、被測定物の表面形状データを作成する。
【0022】
移動機構制御部61は、コラム3及び可動部4を駆動して触針11を測定開始位置まで運搬させ、また測定中は可動部4を一定速度で駆動するための移動機構制御命令を生成して移動機構駆動回路50に供給する。また移動機構制御部61は、表面形状データの作成に必要な可動部4の移動量やX座標値などのデータを、表面形状データ作成部60に供給する。
【0023】
触針荷重異常検出部62は、移動機構制御部61がコラム3又は可動部4を駆動していることを示す動作信号を受信して、移動機構制御部61がコラム3又は可動部4を駆動している間、変位信号を監視する。そして変位信号の変化の異常を検出したとき、触針11に作用する荷重の異常があったことを示す触針荷重異常信号を生成し、表面形状データ作成部60及び移動機構制御部61に出力する。触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
なお、本実施例では、これらの機能ブロック60〜62を、CPU41が所定のプログラムを実行することによって実現されるソフトウエアモジュールとして実現したが、これらの機能の一部又はその全部を専用のハードウエア回路により実現してもよい。
【0024】
図5の(A)は触針荷重異常検出部62の第1構成例を示す図である。触針荷重異常検出部62は、ピックアップ6から出力された変位信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしたディジタル信号の列である変位信号列を、周波数領域信号に変換する高速フーリエ変換部(FFT)71と、この周波数領域信号により示される各周波数における信号強度のうち、所定の周波数帯よりも低い周波数成分の信号強度を検出する低周波数成分強度測定部72と、検出した信号強度を所定の強度閾値Tfiと比較する比較部73と、検出した信号強度が閾値Tfiより強いとき、変位信号の変化の異常があったと判定し、触針11に作用する荷重の異常が生じたことを示す触針荷重異常信号を生成する触針荷重異常信号生成部74と、を備える。
【0025】
ここで高速フーリエ変換部(FFT)71には、移動機構制御部61から動作信号を受信している間はずっと動作して周波数領域信号を生成するため、触針荷重異常検出部62は、表面形状測定装置1が表面形状を測定している間だけでなく、触針11をコラム3及び可動部4により移動させている間、常時触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを監視する。
以下、図6の(A)及び図6の(B)、図7の(A)〜図7の(C)、図8の(A)〜図8の(C)、並びに図9を参照して、図5に示す触針荷重異常検出部62による、触針荷重の異常検出方法を説明する。
【0026】
図6の(A)はカンチレバー7を引いているときに触針11が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、図6の(B)は図6の(A)の状態で現れる変位信号のグラフである。
図6の(A)において、カンチレバー7を引く動作の際に触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかると点線で示すように触針11がせり上がりこれによってカンチレバー7が上を向いたままとなる。
このため変位信号は、図6の(B)に示すように触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかる時刻t1以前には被測定物Wの表面の起伏に沿って増減を繰り返すところ、時刻t1以降では、信号値が急激に上昇したまま減少しなくなる。
【0027】
図7の(A)は横穴の奥に触針をぶつけた様子を示す図であり、図7の(B)はカンチレバーを押しているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、図7の(C)は図7の(A)及び図7の(C)の状態で現れる変位信号のグラフである。
図7の(A)及び図7の(B)に示す状態では、カンチレバー7が下側に凸に曲がる。これをカンチレバー7の揺動を検出するピックアップ6側から見ると、カンチレバー7が下を向いたままの状態と同じになる。このため変位信号は、図7の(C)に示すように信号値が急激に減少したまま上昇しなくなる。
【0028】
図8の(A)は時間領域における変位信号のグラフであり、(B)は(A)の変位信号の(a)部分の周波数領域信号であり、(C)は(A)の変位信号の(b)部分の周波数領域信号である。
図8の(A)の(a)部分の波形は、触針11は被測定物Wの表面に沿った状態で可動部4により一定速度に移動していることを示しており、このとき変位信号は、被測定物Wの表面の表面粗さと可動部4の速度にしたがって振動する。このため図8の(A)の(a)部分の変位信号を図8の(B)に示すように周波数領域信号に変換して示すと、図示のとおり、変位信号は、主に、被測定物Wの表面粗さの範囲と可動部4の速度とにより定まる所定の周波数帯域f1〜f2内の周波数成分を含んでいる。
【0029】
これに対して図8の(A)の(b)部分の波形は、時刻t1において、触針11が被測定物Wの表面の凹凸に引っかかり、または横穴の奥に触針11がぶつかったため、変位信号が上昇または減少したまま振動しなくなったことを示している。このため図8の(A)の(b)部分の変位信号を図8の(C)に示すように周波数領域信号に変換して示すと、図示の通り、変位信号に、所定の周波数帯域f1〜f2よりも低い周波数成分が強くなる。
したがって変位信号を周波数領域信号に変換し、所定の周波数帯域f1〜f2よりも低い周波数成分の信号強度の変化を検出することによって、触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを判定できる。
【0030】
図9は、本発明による触針荷重の異常検出方法の第1例を示すフローチャートである。
ステップS11において、移動機構制御部61は、移動機構駆動回路50に移動機構制御信号を出力して可動部4を駆動し、触針11を被測定物Wの表面に沿わせた状態で触針11と被測定物Wとを一定速度で相対移動させる。
ステップS12において、ピックアップ6が触針11の変位を検出しアナログ信号である変位信号を発生させる。そしてステップS13において、アナログディジタル変換回路30は、所定のサンプリング周期でピックアップ6の出力信号をサンプリングして、ディジタル形式の変位信号列に変換する。
【0031】
ステップS14において、図5の(A)に示す触針荷重異常検出部62の高速フーリエ変換部71は、変位信号列をフーリエ変換して周波数領域信号を生成する。
ステップS15において、低周波数成分強度検出部72は、予め設定された被測定物Wの表面粗さと可動部4の速度の設定値から、触針11を被測定物Wの表面の起伏に沿わせながら触針11と被測定物Wとを相対移動させたとき生じる周波数成分の周波数範囲f1〜f2を推定する。そして、高速フーリエ変換部71により変換された周波数領域信号により示される各周波数の信号強度のうち、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を検出する。
または、低周波数成分強度検出部72には周波数範囲f1〜f2が予め設定され、低周波数成分強度検出部72は、周波数領域信号により示される各周波数の信号強度のうち、予め設定された周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を検出する。
【0032】
ステップS16において、比較部73は、低周波数成分強度検出部72が検出した信号強度の最大値と所定の閾値Tfiとを比較する。すなわち信号強度の最大値Imaxが許容強度範囲内(Imax≦Tfi)であるか否かを判定する。信号強度の最大値が所定の閾値Tfi以下であるときは、処理をステップS11に戻して触針11の移動を続ける。
一方、信号強度の最大値が所定の閾値Tfiを超えるときは、ステップS17において触針荷重異常信号生成部74は、変位信号の変化に異常があり触針11に過大な荷重が作用していると判断して、ステップS18にて触針異常荷重信号を出力する。
【0033】
ステップS19にて、触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
なおステップS15において、低周波数成分強度検出部72は、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を出力する代わりに、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の平均値を出力してもよい。
また、触針荷重異常信号生成部74は、移動機構制御部61に触針荷重異常信号を出力してコラム3又は可動部4の駆動を停止させるため、本願の特許請求の範囲に係る移動機構停止部に対応する。
【0034】
図5の(B)は、触針荷重異常検出部62の第2構成例を示す図である。本構成例では、変位信号に含まれる最大の強度の周波数成分が、上記周波数範囲f1〜f2と同じ許容周波数範囲内にあるか否かを判定する。
このため、高速フーリエ変換部71にて変換された周波数領域信号を入力し、変位信号に含まれる最大の強度の周波数成分の周波数(最大強度周波数)を検出する最大強度周波数検出部75を設ける。
そして比較部73にて、最大強度周波数検出部75により検出された最大強度周波数を、許容周波数範囲の上下限値f1、f2と比較して、最大強度周波数が許容周波数範囲f1〜f2の間にあるか否かを判定し、触針荷重異常信号生成部74は、最大強度周波数が許容周波数範囲f1〜f2の間にないとき、触針荷重異常信号を生成する。
または、比較部73は、最大強度周波数検出部75により検出された最大強度周波数fmaxを許容周波数範囲の下限値f2と比較することにより、最大強度周波数fmaxが許容周波数範囲(fmax≧f2)にあるか否かを判定し、最大強度周波数fmaxがf2より低いとき、触針荷重異常信号生成部74が触針荷重異常信号を生成する。
【0035】
図10の(A)及び図10の(B)は変位信号とその微分値の変化を示すグラフである。図10の(A)に示すとおり、触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかる時刻t1以前には、変位信号は、被測定物Wの表面の起伏に応じてある程度の有限な変化率で増減を繰り返すところ、時刻t1以降では信号値が急激に上昇(又は減少)する。したがってこの変位信号の微分値は、図10の(B)に示すとおり、時刻t1以前はある一定の範囲内で変化するが、時刻t1以降では急激に変化する。
【0036】
そこで、以下に示す触針荷重異常検出部62の第3例では、変位信号の微分値を算出してこの微分値が所定の閾値Tiを超えるとき、変位信号の変化に異常があり、触針11に過大な荷重が作用していると判定する。
図11の(A)は、触針荷重異常検出部62の第3構成例を示す図である。触針荷重異常検出部62は、入力した変位信号の微分値の絶対値を演算する微分演算部76を備え、微分演算部76によって算出された微分値の絶対値が比較部73によって所定の閾値Tiと比較され、触針荷重異常信号生成部74は、微分値の絶対値が所定の閾値Tiよりも大きいとき、触針荷重異常信号を生成する。
微分演算部76は、移動機構制御部61から動作信号を受信している間は常時変位信号の微分値の絶対値を出力する。したがって触針荷重異常検出部62は、表面形状測定装置1が表面形状を測定している間だけでなく、触針11をコラム3及び可動部4により移動させている間、常時触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを監視する。
【0037】
図12は、本発明による触針荷重の異常検出方法の第2例を示すフローチャートである。図9に示した異常検出方法と同様に、ステップS11において移動機構制御部61が可動部4を駆動し、ステップS12においてピックアップ6が変位信号を発生させる。そしてステップS13において、アナログディジタル変換回路30は、ピックアップ6の出力信号をディジタル形式の変位信号列に変換する。
ステップS21において、微分演算部76は、入力した変位信号の微分値の絶対値を演算する。ステップS22において、比較部73が微分値の絶対値と所定の閾値Tiと比較し、微分値の絶対値が所定の閾値Ti以下であるときは、処理をステップS11に戻して触針11の移動を続ける。
【0038】
一方、微分値の絶対値が所定の閾値Tiを超えるときは、ステップS17において触針荷重異常信号生成部74は、変位信号の変化に異常があり触針11に過大な荷重が作用していると判断して、ステップS18にて触針異常荷重信号を出力する。
ステップS19にて、触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
【0039】
実際の測定では、ピックアップ6の出力信号をディジタル変換した変位信号を直接微分すると、変位信号の変化が大きすぎて、正常に測定している状態と触針11が測定物表面の凹凸等の障害物に引っかかっている状態との区別が困難になることもある。
そこで、ステップS21にて変位信号の微分値の絶対値を算出する代わりに、変位信号の移動平均値の微分値の絶対値を算出して、これをステップS22にて所定の閾値Tiと比較して変位信号の変化の異常を検出してもよい。
図11の(B)は、触針荷重異常検出部62の第4構成例を示す図である。本構成例では、変位信号の移動平均値を算出するために、ディジタルフィルタ等で実現される移動平均部77を備え、微分演算部76は移動平均部77で算出された変位信号の移動平均値の微分値を出力する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、被測定物の表面に触針を沿わせながら被測定物と触針とを相対移動させ、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置に関し、特にこの触針、若しくは触針の変位を検出するピックアップ部の破損を防止する技術に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】表面形状測定装置の基本構成図である。
【図2】ピックアップの内部構造を示す概略図である。
【図3】(A)は触針が被測定物の横穴の奥にぶつかる様子を示す図であり、(B)は触針が被測定物の穴に引っかかる様子を示す図である。
【図4】(A)は図1及び図2に示す表面形状測定装置を制御して、本発明による表面形状測定装置を実現する計算部の概略構成例を示す図であり、(B)は(A)に示す計算部により実現される機能ブロック図である。
【図5】(A)及び(B)は、それぞれ触針荷重異常検出部の第1及び第2構成例を示す図である。
【図6】(A)はカンチレバーを引いているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、(B)は(A)の状態で現れる変位信号のグラフである。
【図7】(A)は横穴の奥に触針をぶつけた様子を示す図であり、(B)はカンチレバーを押しているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、(C)は(A)及び(C)の状態で現れる変位信号のグラフである。
【図8】(A)は時間領域における変位信号のグラフであり、(B)は(A)の変位信号の(a)部分の周波数領域信号であり、(C)は(A)の変位信号の(b)部分の周波数領域信号である。
【図9】本発明による触針荷重の異常検出方法の第1例を示すフローチャートである。
【図10】(A)及び(B)は変位信号とその微分値の変化を示すグラフである。
【図11】(A)及び(B)は、それぞれ触針荷重異常検出部の第3及び第4構成例を示す図である。
【図12】本発明による触針荷重の異常検出方法の第2例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 表面形状測定装置
2 テーブル
3 コラム
4 可動部
6 ピックアップ
7 カンチレバー
10 腕部
11 触針
【技術分野】
【0001】
本発明は、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置に関し、特にこの触針、若しくは触針の変位を検出するピックアップ部の破損を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表面形状測定装置は、被測定物の表面に所定の測定圧力で触針を押しつけながら、この触針と被測定物を相対移動させ、そのとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位量を電気信号に変換して、電気信号に変換された変位信号をコンピュータ等の計算機で読み取り、被測定物に対する触針の相対移動長の長さを有する線分上の各点に、順次読み取った各変位量を配置して、被測定物の表面形状データを作成するものである(例えば、下記特許文献1)。図1に、表面形状測定装置の基本構成を示す。
【0003】
表面形状測定装置1には、被測定物を載置するためのXY平面に沿ったテーブル2が設けられる。テーブル2にはコラム3が立設される。そしてコラム3には可動部4が取り付けられる。コラム3には図示しないモータが内蔵されており、このモータによって可動部4をコラム3に沿って(すなわちZ方向に沿って)上下に昇降することが可能である。
可動部4にはホルダ5が設けられ、このホルダ5に腕部10を取り付け、さらに腕部10の先にピックアップ6を取り付ける。可動部4もまた図示しないモータを内蔵しており、ホルダ5をX方向に駆動することが可能である。
【0004】
腕部10の先端には、テーブル2上に載置された被測定物の表面粗さを測定するための測定子(ピックアップ)6が設けられ、このピックアップ6には、一方の端に触針11が設けられたカンチレバー7が取り付けられる。図2にピックアップの内部構造を示す。
ピックアップ6は、カンチレバー7の長手方向と触針11の突出方向とに直角な方向を回転軸としてカンチレバー7を揺動可能に支える支点21と、カンチレバー7に付勢を与え、触針11を一定の測定圧力で被測定物Wの測定面103に押し当てるための、バネ等の弾性体である付勢手段22と、を備える。
【0005】
触針11を測定面103を押し当てた状態で、表面形状測定装置1の動作を制御するコンピュータ等の計算部40が、移動機構駆動回路50を介して駆動部4をX方向に一定速度で移動させる。すると触針11には、測定面103の起伏に応じて、付勢手段22による測定圧力の方向に変位が生じる(すなわち、可動部4の所定の基準面に対して上下方向に変位が生じる)。この触針11の変位によってカンチレバー7が揺動し、この揺動量がピックアップ6内の差動トランスによって電気信号に変換される。
【0006】
図示の構成例では、差動トランスは、励磁された1次コイル23と、2つの2次コイル25と、その中心部に挿入された磁性体コア26を備えて構成され、磁性体コア26はカンチレバー7に固定される。触針11の変位に応じてカンチレバーが回転すると、これに応じて磁性体コア26がコイル内で移動し、1次コイル23に対する2つの2次コイル25のそれぞれの相互インダクタンスが変化する。このため2つの2次コイル25の誘導電圧に違いが生じ、コアの移動量すなわち触針11の変位量に応じた出力電圧を得ることができる。差動トランスの代わりに差動インダクタンス、レーザ干渉計や光学エンコーダが用いられることもある。
【0007】
ピックアップ6の出力信号は、アナログディジタル変換回路(ADC)30に入力されて、アナログディジタル変換回路30はこのアナログ信号を所定のサンプリング周期でディジタル形式の変位信号列に変換する。
ディジタル形式の変位信号列は計算機40に入力される。計算機40は、可動部4を一定速度で移動させながら順次読み取った各変位信号の値を、可動部4の移動長の長さを有する線分上の各点に各々配置して被測定物の表面形状データを作成する。
【0008】
【特許文献1】特開2002−107144号公報
【特許文献2】特開平2005−127934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような、触針11を被測定物に接触させる表面形状測定装置1では、被測定物の表面に穴や段差があるとそこに触針11がひっかかり、触針11に過大な荷重が作用する場合がある。しかし従来の表面形状測定装置1では触針11に作用する荷重の検出手段を有しないため、触針11に過大な荷重が作用したまま可動部4やコラム3を駆動し続けてしまい、触針11を破損することがある。
【0010】
特に図3の(A)に示すように、被測定物Wの横穴101の内側面の表面形状を測定する場合には、図において点線で示した測定開始点まで触針を移動する場合に、触針11を穴101の奥にぶつけて破損しやすい。
また図3の(B)に示すように、被測定物Wの表面に穴102がある場合に、触針11が穴102に落ちてしまい、これに引っかかって触針11を破損することがある。
【0011】
また従来の表面形状測定装置1では、測定中でない触針11の移動時、例えば測定開始点まで触針11の移動の際には、ピックアップ6の出力信号を監視していないため、このような移動時に触針11を障害物にぶつけて、触針11やピックアップ6を破損することがあった。
上記問題点に鑑み、本発明は被測定物の表面に接触する触針を有する表面形状測定装置において、触針に作用する荷重の異常を検出することを可能にすることにより、触針に作用する過大な荷重による触針やピックアップの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明では、触針に作用する荷重の異常を検出するために触針の変位量を検出した変位信号を用いる。
触針が正常に測定面上を移動している場合には、触針の変位量を検出した変位信号の値は、その変動範囲や変化率はある一定程度の範囲内に止まっている。一方で、触針が測定面上の凹凸などに引っかかっている場合や障害にぶつかっている場合などの触針に過大な荷重が作用する異常時には、例えば変位信号の変化が少なくなり、または例えば通常生じえない大きさの変化が生じる。
したがって、このような変位信号の異常を検出することにより、上記の例のような触針に過大な荷重が作用する状態を検出することができる。
【0013】
本発明の第1形態による表面形状測定装置によれば、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、変位信号の変化の異常を、触針に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部を備えた表面形状測定装置が提供される。
【0014】
また、本発明の第2形態による触針荷重の異常検出方法によれば、触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき被測定物の表面の起伏により生じる触針の変位を検出した変位信号を生成して、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定において、変位信号の変化の異常を、触針に作用する荷重の異常として検出する。
【0015】
触針に作用する荷重の異常を検出した場合には、例えば被測定物と触針とを相対移動させる移動機構を停止させる。これにより触針やその変位量を検出するセンサの破損を防止することができる。
変位信号の変化の異常を検出するために、例えば、変位信号を周波数領域信号に変換し、この周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えるとき、変位信号の変化に異常があると判定してもよい。
触針が正常に測定面上を移動している場合には、触針の移動速度と測定面の粗さに応じて変位信号に所定の周波数範囲内の周波数成分が生じ周波数領域信号の変化が安定しているが、上記のような異常な状態が生じると周波数領域信号の変化が大きくなるため、このような周波数領域信号の変化を検出することで、触針に作用する荷重の異常を検出することが可能となる。
【0016】
所定の許容幅は、周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めてよい。このとき所定の周波数帯域を、触針を被測定物の表面の起伏に沿わせながら触針と被測定物とを相対移動させたとき周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数の範囲として定めてよい。
また、周波数領域信号の所定の変化幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めてもよい。
【0017】
図2に示すカンチレバーのような、揺動可能なレバー部材で触針を支持し、このレバー部材の揺動量を検出して変位信号を生成する場合には、例えば触針が測定表面に引っかかり又は障害物にぶつかったままの状態で触針を移動させようとすると、レバー部材が歪んでその揺動量を検出した変位信号の変化が過大になる。したがってこのときの変位信号の微分値が所定の閾値を超えるか否かを判定することによって、触針に作用する荷重の異常を検出することが可能となる。この微分値に代えて変位信号の移動平均値の微分値を使用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は被測定物の表面に接触する触針を有する表面形状測定装置において、触針に作用する荷重の異常を検出することを可能にすることにより、触針に作用する過大な荷重による触針やピックアップの破損を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図4の(A)は、図1及び図2に示す表面形状測定装置を制御して、本発明による表面形状測定装置を実現する計算部の概略構成例を示す図である。本発明の実施例による表面形状測定装置のその他の構成要素は、図1及び図2に示す表面形状測定装置1と同様であるため、記載の重複を防ぐために説明を省略する。
【0020】
コンピュータ等で実現される計算部40は、表面形状測定装置1の制御プログラムや、またピックアップ6からの出力信号を処理して表面形状データを作成するプログラムなどを実行するCPU41と、CPU41による各プログラムの実行に必要なデータを記憶するための、RAM及びROMなどの主記憶装置42と、CPU41が実行する各プログラムや作成した表面形状データを保存するための副記憶装置43と、ピックアップ6からの出力信号をアナログディジタル変換回路30にてディジタル信号に変換した変位信号を計算部40に入力し、また可動部4の動作を制御する制御信号を移動機構駆動回路50に出力するためのインターフェース部(I/F)44と、を備えて構成される。
【0021】
図4の(B)は、図4の(A)に示す計算部40により実現される機能ブロック図である。計算部40は、副記憶装置43に記憶した所定のプログラムをCPU41で実行することにより、少なくとも表面形状データ作成部60と、移動機構制御部61と、触針荷重異常検出部62の機能ブロックを実現する。
表面形状データ作成部60は、ピックアップ6の移動に伴って変化する変位信号の列を順次入力し、ピックアップ6の移動長の長さの線分上の各点に、これら入力した変位信号の値を順次配置して、被測定物の表面形状データを作成する。
【0022】
移動機構制御部61は、コラム3及び可動部4を駆動して触針11を測定開始位置まで運搬させ、また測定中は可動部4を一定速度で駆動するための移動機構制御命令を生成して移動機構駆動回路50に供給する。また移動機構制御部61は、表面形状データの作成に必要な可動部4の移動量やX座標値などのデータを、表面形状データ作成部60に供給する。
【0023】
触針荷重異常検出部62は、移動機構制御部61がコラム3又は可動部4を駆動していることを示す動作信号を受信して、移動機構制御部61がコラム3又は可動部4を駆動している間、変位信号を監視する。そして変位信号の変化の異常を検出したとき、触針11に作用する荷重の異常があったことを示す触針荷重異常信号を生成し、表面形状データ作成部60及び移動機構制御部61に出力する。触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
なお、本実施例では、これらの機能ブロック60〜62を、CPU41が所定のプログラムを実行することによって実現されるソフトウエアモジュールとして実現したが、これらの機能の一部又はその全部を専用のハードウエア回路により実現してもよい。
【0024】
図5の(A)は触針荷重異常検出部62の第1構成例を示す図である。触針荷重異常検出部62は、ピックアップ6から出力された変位信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしたディジタル信号の列である変位信号列を、周波数領域信号に変換する高速フーリエ変換部(FFT)71と、この周波数領域信号により示される各周波数における信号強度のうち、所定の周波数帯よりも低い周波数成分の信号強度を検出する低周波数成分強度測定部72と、検出した信号強度を所定の強度閾値Tfiと比較する比較部73と、検出した信号強度が閾値Tfiより強いとき、変位信号の変化の異常があったと判定し、触針11に作用する荷重の異常が生じたことを示す触針荷重異常信号を生成する触針荷重異常信号生成部74と、を備える。
【0025】
ここで高速フーリエ変換部(FFT)71には、移動機構制御部61から動作信号を受信している間はずっと動作して周波数領域信号を生成するため、触針荷重異常検出部62は、表面形状測定装置1が表面形状を測定している間だけでなく、触針11をコラム3及び可動部4により移動させている間、常時触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを監視する。
以下、図6の(A)及び図6の(B)、図7の(A)〜図7の(C)、図8の(A)〜図8の(C)、並びに図9を参照して、図5に示す触針荷重異常検出部62による、触針荷重の異常検出方法を説明する。
【0026】
図6の(A)はカンチレバー7を引いているときに触針11が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、図6の(B)は図6の(A)の状態で現れる変位信号のグラフである。
図6の(A)において、カンチレバー7を引く動作の際に触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかると点線で示すように触針11がせり上がりこれによってカンチレバー7が上を向いたままとなる。
このため変位信号は、図6の(B)に示すように触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかる時刻t1以前には被測定物Wの表面の起伏に沿って増減を繰り返すところ、時刻t1以降では、信号値が急激に上昇したまま減少しなくなる。
【0027】
図7の(A)は横穴の奥に触針をぶつけた様子を示す図であり、図7の(B)はカンチレバーを押しているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、図7の(C)は図7の(A)及び図7の(C)の状態で現れる変位信号のグラフである。
図7の(A)及び図7の(B)に示す状態では、カンチレバー7が下側に凸に曲がる。これをカンチレバー7の揺動を検出するピックアップ6側から見ると、カンチレバー7が下を向いたままの状態と同じになる。このため変位信号は、図7の(C)に示すように信号値が急激に減少したまま上昇しなくなる。
【0028】
図8の(A)は時間領域における変位信号のグラフであり、(B)は(A)の変位信号の(a)部分の周波数領域信号であり、(C)は(A)の変位信号の(b)部分の周波数領域信号である。
図8の(A)の(a)部分の波形は、触針11は被測定物Wの表面に沿った状態で可動部4により一定速度に移動していることを示しており、このとき変位信号は、被測定物Wの表面の表面粗さと可動部4の速度にしたがって振動する。このため図8の(A)の(a)部分の変位信号を図8の(B)に示すように周波数領域信号に変換して示すと、図示のとおり、変位信号は、主に、被測定物Wの表面粗さの範囲と可動部4の速度とにより定まる所定の周波数帯域f1〜f2内の周波数成分を含んでいる。
【0029】
これに対して図8の(A)の(b)部分の波形は、時刻t1において、触針11が被測定物Wの表面の凹凸に引っかかり、または横穴の奥に触針11がぶつかったため、変位信号が上昇または減少したまま振動しなくなったことを示している。このため図8の(A)の(b)部分の変位信号を図8の(C)に示すように周波数領域信号に変換して示すと、図示の通り、変位信号に、所定の周波数帯域f1〜f2よりも低い周波数成分が強くなる。
したがって変位信号を周波数領域信号に変換し、所定の周波数帯域f1〜f2よりも低い周波数成分の信号強度の変化を検出することによって、触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを判定できる。
【0030】
図9は、本発明による触針荷重の異常検出方法の第1例を示すフローチャートである。
ステップS11において、移動機構制御部61は、移動機構駆動回路50に移動機構制御信号を出力して可動部4を駆動し、触針11を被測定物Wの表面に沿わせた状態で触針11と被測定物Wとを一定速度で相対移動させる。
ステップS12において、ピックアップ6が触針11の変位を検出しアナログ信号である変位信号を発生させる。そしてステップS13において、アナログディジタル変換回路30は、所定のサンプリング周期でピックアップ6の出力信号をサンプリングして、ディジタル形式の変位信号列に変換する。
【0031】
ステップS14において、図5の(A)に示す触針荷重異常検出部62の高速フーリエ変換部71は、変位信号列をフーリエ変換して周波数領域信号を生成する。
ステップS15において、低周波数成分強度検出部72は、予め設定された被測定物Wの表面粗さと可動部4の速度の設定値から、触針11を被測定物Wの表面の起伏に沿わせながら触針11と被測定物Wとを相対移動させたとき生じる周波数成分の周波数範囲f1〜f2を推定する。そして、高速フーリエ変換部71により変換された周波数領域信号により示される各周波数の信号強度のうち、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を検出する。
または、低周波数成分強度検出部72には周波数範囲f1〜f2が予め設定され、低周波数成分強度検出部72は、周波数領域信号により示される各周波数の信号強度のうち、予め設定された周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を検出する。
【0032】
ステップS16において、比較部73は、低周波数成分強度検出部72が検出した信号強度の最大値と所定の閾値Tfiとを比較する。すなわち信号強度の最大値Imaxが許容強度範囲内(Imax≦Tfi)であるか否かを判定する。信号強度の最大値が所定の閾値Tfi以下であるときは、処理をステップS11に戻して触針11の移動を続ける。
一方、信号強度の最大値が所定の閾値Tfiを超えるときは、ステップS17において触針荷重異常信号生成部74は、変位信号の変化に異常があり触針11に過大な荷重が作用していると判断して、ステップS18にて触針異常荷重信号を出力する。
【0033】
ステップS19にて、触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
なおステップS15において、低周波数成分強度検出部72は、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の最大値を出力する代わりに、周波数範囲f1〜f2より低い周波数範囲における信号強度の平均値を出力してもよい。
また、触針荷重異常信号生成部74は、移動機構制御部61に触針荷重異常信号を出力してコラム3又は可動部4の駆動を停止させるため、本願の特許請求の範囲に係る移動機構停止部に対応する。
【0034】
図5の(B)は、触針荷重異常検出部62の第2構成例を示す図である。本構成例では、変位信号に含まれる最大の強度の周波数成分が、上記周波数範囲f1〜f2と同じ許容周波数範囲内にあるか否かを判定する。
このため、高速フーリエ変換部71にて変換された周波数領域信号を入力し、変位信号に含まれる最大の強度の周波数成分の周波数(最大強度周波数)を検出する最大強度周波数検出部75を設ける。
そして比較部73にて、最大強度周波数検出部75により検出された最大強度周波数を、許容周波数範囲の上下限値f1、f2と比較して、最大強度周波数が許容周波数範囲f1〜f2の間にあるか否かを判定し、触針荷重異常信号生成部74は、最大強度周波数が許容周波数範囲f1〜f2の間にないとき、触針荷重異常信号を生成する。
または、比較部73は、最大強度周波数検出部75により検出された最大強度周波数fmaxを許容周波数範囲の下限値f2と比較することにより、最大強度周波数fmaxが許容周波数範囲(fmax≧f2)にあるか否かを判定し、最大強度周波数fmaxがf2より低いとき、触針荷重異常信号生成部74が触針荷重異常信号を生成する。
【0035】
図10の(A)及び図10の(B)は変位信号とその微分値の変化を示すグラフである。図10の(A)に示すとおり、触針11が被測定物Wの凹凸に引っかかる時刻t1以前には、変位信号は、被測定物Wの表面の起伏に応じてある程度の有限な変化率で増減を繰り返すところ、時刻t1以降では信号値が急激に上昇(又は減少)する。したがってこの変位信号の微分値は、図10の(B)に示すとおり、時刻t1以前はある一定の範囲内で変化するが、時刻t1以降では急激に変化する。
【0036】
そこで、以下に示す触針荷重異常検出部62の第3例では、変位信号の微分値を算出してこの微分値が所定の閾値Tiを超えるとき、変位信号の変化に異常があり、触針11に過大な荷重が作用していると判定する。
図11の(A)は、触針荷重異常検出部62の第3構成例を示す図である。触針荷重異常検出部62は、入力した変位信号の微分値の絶対値を演算する微分演算部76を備え、微分演算部76によって算出された微分値の絶対値が比較部73によって所定の閾値Tiと比較され、触針荷重異常信号生成部74は、微分値の絶対値が所定の閾値Tiよりも大きいとき、触針荷重異常信号を生成する。
微分演算部76は、移動機構制御部61から動作信号を受信している間は常時変位信号の微分値の絶対値を出力する。したがって触針荷重異常検出部62は、表面形状測定装置1が表面形状を測定している間だけでなく、触針11をコラム3及び可動部4により移動させている間、常時触針11に作用する荷重に異常が生じたか否かを監視する。
【0037】
図12は、本発明による触針荷重の異常検出方法の第2例を示すフローチャートである。図9に示した異常検出方法と同様に、ステップS11において移動機構制御部61が可動部4を駆動し、ステップS12においてピックアップ6が変位信号を発生させる。そしてステップS13において、アナログディジタル変換回路30は、ピックアップ6の出力信号をディジタル形式の変位信号列に変換する。
ステップS21において、微分演算部76は、入力した変位信号の微分値の絶対値を演算する。ステップS22において、比較部73が微分値の絶対値と所定の閾値Tiと比較し、微分値の絶対値が所定の閾値Ti以下であるときは、処理をステップS11に戻して触針11の移動を続ける。
【0038】
一方、微分値の絶対値が所定の閾値Tiを超えるときは、ステップS17において触針荷重異常信号生成部74は、変位信号の変化に異常があり触針11に過大な荷重が作用していると判断して、ステップS18にて触針異常荷重信号を出力する。
ステップS19にて、触針荷重異常信号を受信した表面形状データ作成部60は表面形状データの作成を停止し、触針荷重異常信号を受信した移動機構制御部61はコラム3又は可動部4の駆動を停止する。
【0039】
実際の測定では、ピックアップ6の出力信号をディジタル変換した変位信号を直接微分すると、変位信号の変化が大きすぎて、正常に測定している状態と触針11が測定物表面の凹凸等の障害物に引っかかっている状態との区別が困難になることもある。
そこで、ステップS21にて変位信号の微分値の絶対値を算出する代わりに、変位信号の移動平均値の微分値の絶対値を算出して、これをステップS22にて所定の閾値Tiと比較して変位信号の変化の異常を検出してもよい。
図11の(B)は、触針荷重異常検出部62の第4構成例を示す図である。本構成例では、変位信号の移動平均値を算出するために、ディジタルフィルタ等で実現される移動平均部77を備え、微分演算部76は移動平均部77で算出された変位信号の移動平均値の微分値を出力する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、被測定物の表面に触針を沿わせながら被測定物と触針とを相対移動させ、被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置に関し、特にこの触針、若しくは触針の変位を検出するピックアップ部の破損を防止する技術に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】表面形状測定装置の基本構成図である。
【図2】ピックアップの内部構造を示す概略図である。
【図3】(A)は触針が被測定物の横穴の奥にぶつかる様子を示す図であり、(B)は触針が被測定物の穴に引っかかる様子を示す図である。
【図4】(A)は図1及び図2に示す表面形状測定装置を制御して、本発明による表面形状測定装置を実現する計算部の概略構成例を示す図であり、(B)は(A)に示す計算部により実現される機能ブロック図である。
【図5】(A)及び(B)は、それぞれ触針荷重異常検出部の第1及び第2構成例を示す図である。
【図6】(A)はカンチレバーを引いているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、(B)は(A)の状態で現れる変位信号のグラフである。
【図7】(A)は横穴の奥に触針をぶつけた様子を示す図であり、(B)はカンチレバーを押しているときに触針が凹凸に引っかかった様子を示す図であり、(C)は(A)及び(C)の状態で現れる変位信号のグラフである。
【図8】(A)は時間領域における変位信号のグラフであり、(B)は(A)の変位信号の(a)部分の周波数領域信号であり、(C)は(A)の変位信号の(b)部分の周波数領域信号である。
【図9】本発明による触針荷重の異常検出方法の第1例を示すフローチャートである。
【図10】(A)及び(B)は変位信号とその微分値の変化を示すグラフである。
【図11】(A)及び(B)は、それぞれ触針荷重異常検出部の第3及び第4構成例を示す図である。
【図12】本発明による触針荷重の異常検出方法の第2例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 表面形状測定装置
2 テーブル
3 コラム
4 可動部
6 ピックアップ
7 カンチレバー
10 腕部
11 触針
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき前記被測定物の表面の起伏により生じる前記触針の変位を検出した変位信号を生成して、前記被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、
前記変位信号の変化の異常を、前記触針に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部を備えることを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項2】
前記被測定物と前記触針とを相対移動させる移動機構と、
前記触針荷重異常検出部が前記荷重の異常を検出したとき、前記移動機構を停止させる移動機構停止部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
前記触針荷重異常検出部は、前記変位信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換部を有し、前記変位信号を変換した前記周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えたとき、前記変位信号の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状測定装置。
【請求項4】
前記所定の許容幅を、前記周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めることを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定装置。
【請求項5】
前記所定の周波数帯域を、前記触針を前記被測定物の表面の起伏に沿わせながら前記触針と前記被測定物とを相対移動させたとき前記周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数範囲として定めることを特徴とする請求項4に記載の表面形状測定装置。
【請求項6】
前記所定の許容幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めることを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定装置。
【請求項7】
前記触針を揺動可能に支持するレバー部材と、前記レバー部材の揺動量を検出して前記変位信号を生成する変位センサと、を備え、
前記触針荷重異常検出部は、前記変位信号の微分値及び移動平均値の微分値のいずれかが所定の閾値を超えるとき、前記変位信号の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状測定装置。
【請求項8】
触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき前記被測定物の表面の起伏により生じる前記触針の変位を検出した変位信号を生成して、前記被測定物の表面形状を測定する表面形状測定における、前記触針に作用する荷重の異常を検出する触針荷重の異常検出方法であって、
前記変位信号の変化の異常を、前記触針に作用する荷重の異常として検出することを特徴とする異常検出方法。
【請求項9】
前記荷重の異常を検出したとき、前記被測定物と前記触針との間の相対移動を停止させることを特徴とする請求項8に記載の異常検出方法。
【請求項10】
前記変位信号を周波数領域信号に変換し、
前記周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えるとき、前記変位信号の変化に異常があると判定する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の異常検出方法。
【請求項11】
前記所定の許容幅を、前記周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めることを特徴とする請求項10に記載の異常検出方法。
【請求項12】
前記所定の周波数帯域を、前記触針を前記被測定物の表面の起伏に沿わせながら前記触針と前記被測定物とを相対移動させたとき前記周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数範囲として定めることを特徴とする請求項11に記載の異常検出方法。
【請求項13】
前記周波数領域信号の所定の変化幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めることを特徴とする請求項10に記載の異常検出方法。
【請求項14】
前記触針を支持する揺動可能なレバー部材の揺動量を検出して前記変位信号を生成し、
前記変位信号の微分値及び移動平均値の微分値のいずれかが所定の閾値を超えるとき、前記変位量の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項8又は9に記載の異常検出方法。
【請求項1】
触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき前記被測定物の表面の起伏により生じる前記触針の変位を検出した変位信号を生成して、前記被測定物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、
前記変位信号の変化の異常を、前記触針に作用する荷重の異常として検出する触針荷重異常検出部を備えることを特徴とする表面形状測定装置。
【請求項2】
前記被測定物と前記触針とを相対移動させる移動機構と、
前記触針荷重異常検出部が前記荷重の異常を検出したとき、前記移動機構を停止させる移動機構停止部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
前記触針荷重異常検出部は、前記変位信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換部を有し、前記変位信号を変換した前記周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えたとき、前記変位信号の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状測定装置。
【請求項4】
前記所定の許容幅を、前記周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めることを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定装置。
【請求項5】
前記所定の周波数帯域を、前記触針を前記被測定物の表面の起伏に沿わせながら前記触針と前記被測定物とを相対移動させたとき前記周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数範囲として定めることを特徴とする請求項4に記載の表面形状測定装置。
【請求項6】
前記所定の許容幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めることを特徴とする請求項3に記載の表面形状測定装置。
【請求項7】
前記触針を揺動可能に支持するレバー部材と、前記レバー部材の揺動量を検出して前記変位信号を生成する変位センサと、を備え、
前記触針荷重異常検出部は、前記変位信号の微分値及び移動平均値の微分値のいずれかが所定の閾値を超えるとき、前記変位信号の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状測定装置。
【請求項8】
触針を被測定物の表面に接触させながら相対移動させ、このとき前記被測定物の表面の起伏により生じる前記触針の変位を検出した変位信号を生成して、前記被測定物の表面形状を測定する表面形状測定における、前記触針に作用する荷重の異常を検出する触針荷重の異常検出方法であって、
前記変位信号の変化の異常を、前記触針に作用する荷重の異常として検出することを特徴とする異常検出方法。
【請求項9】
前記荷重の異常を検出したとき、前記被測定物と前記触針との間の相対移動を停止させることを特徴とする請求項8に記載の異常検出方法。
【請求項10】
前記変位信号を周波数領域信号に変換し、
前記周波数領域信号の変化が所定の許容幅を超えるとき、前記変位信号の変化に異常があると判定する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の異常検出方法。
【請求項11】
前記所定の許容幅を、前記周波数領域信号に含まれる、所定の周波数帯域よりも低い周波数信号成分の許容強度範囲として定めることを特徴とする請求項10に記載の異常検出方法。
【請求項12】
前記所定の周波数帯域を、前記触針を前記被測定物の表面の起伏に沿わせながら前記触針と前記被測定物とを相対移動させたとき前記周波数領域信号に生じることが予定される信号の周波数範囲として定めることを特徴とする請求項11に記載の異常検出方法。
【請求項13】
前記周波数領域信号の所定の変化幅を、最大強度の周波数成分がある周波数の許容周波数範囲として定めることを特徴とする請求項10に記載の異常検出方法。
【請求項14】
前記触針を支持する揺動可能なレバー部材の揺動量を検出して前記変位信号を生成し、
前記変位信号の微分値及び移動平均値の微分値のいずれかが所定の閾値を超えるとき、前記変位量の変化に異常があると判定することを特徴とする請求項8又は9に記載の異常検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−32540(P2008−32540A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206436(P2006−206436)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】
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