説明

表面検査装置

【課題】欠陥検出の精度を高めるとともに、生産性の低下を防止する。
【解決手段】受光ユニット13を、ウェブ11を正透過したレーザ光24を遮光するマスク37と、レーザ光24の照射範囲内でウェブ11の両側方に位置する標準板39L,39Rと、ウェブ11や標準板39L,39Rを通った光を受光する受光器30とで構成する。標準板39L,39Rに、レーザ光24の走査線Lに対するマスク37の中心線のずれに応じて走査線L上での幅が変化する形状のスリット穴42,43を形成する。スリット穴42,43を通過したレーザ光24を受光器30で検出した結果に基づき、走査線Lに対するマスクの中心線のずれが補正されるように、受光ユニット13の姿勢を調整する。これにより、マスク37の幅を極力細くして欠陥検出の精度を高めることができ、さらに、表面検査と並行してずれ補正を実施できるので生産性の低下が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の欠陥を検査する表面検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続走行するシート状の被検査体に存在する欠陥を検出するために、一般にフライングスポット方式の表面検査装置が用いられている(特許文献1参照)。フライングスポット方式の表面検査装置は、正常部分と欠陥部分とで光の反射率や透過率が異なることを利用したもので、被検査体表面にスポット状の検査光を走査させ、その反射光もしくは透過光を光電子増倍管等の受光器により光電検出し、この検出出力に基づいて各種欠陥の有無を評価するものである。表面検査装置は、検出した反射光や透過光の強度の変化から、異物の付着や凹凸の存在等の表面形状の欠陥の他、被検査体の内部に混入した異物の存在など様々な欠陥の有無を検査する。
【0003】
特許文献2には、光源から照射されて被検査体で反射された検査光の反射光を二次元光学素子で受光し、この反射光の光学分布を算出して予め定められた反射光量となる光学素子の画素を選択し、選択された画素から出力されるデータに基づき、被検査体表面の欠陥の有無を検査する表面検査装置が記載されている。
【0004】
特許文献3及び4には、マスク受光方式の表面検査装置が記載されている。この表面検査装置の受光器の前方には、検査光の走査線に沿って長く延びたマスクが設けられている。マスク受光方式は、被検査体を正透過した検査光をマスクで遮光する一方、被検査体の欠陥により散乱した散乱光を受光器で受光することで欠陥の検出を行う。このマスク受光方式の表面検査装置は、欠陥とは無関係な正反射光が受光器に入射する特許文献2の表面検査装置とは異なり、レーザ光等の強力な光源を用いて欠陥による極微弱な散乱光を検出するため、ソフト処理で欠陥の有無を判定する特許文献2の装置よりも微細欠陥検出能力が高い。このため、被検査体の微細欠陥検査には、マスク受光方式の表面検査装置がよく用いられる。
【0005】
マスク受光方式の表面欠陥検査装置で欠陥検出の精度を高めるためには、マスクの幅をレーザ光の径と同程度まで細くする方法があるが、この場合には、レーサ光の走査線と、マスクの中心線とが一致するように、レーザ光源と、マスク及び受光器との位置を調整する必要がある。しかし、表面検査装置では、これら各部の取付架台そのものの熱膨張など外乱により、上述の位置を維持することは困難である。
【0006】
特許文献5には、光源や受光器の位置及び角度を調整する機構を備えた表面検査装置が記載されている。この表面検査装置は、光源から被検査体の測定面に検査光を照射し、その反射光を受光器で受光して受光画像を形成し、この受光画像に基づき、測定面の凹凸や形状に関らず同一の照明及び撮影条件となるように、光源や受光器の角度及び位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−055059号公報
【特許文献2】特許第4215473号
【特許文献3】特開2003−075355号公報
【特許文献4】特開平08−094532号公報
【特許文献5】特許第3349069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献5の表面検査装置は、光源や受光器の角度及び位置を調整する機構を備えるものの、この位置の調整には、被検査体の測定面から反射した反射光を受光器で受光する必要がある。このため、光源から見てマスク及び受光器が被検査体の後方に設けられているマスク受光方式の表面検査装置では、特許文献5の記載の方法により位置の調整を行うことができない。このため、マスク受光方式の表面検査装置では、レーサ光の走査線とマスクの中心線との位置ずれを考慮して、マスクの幅をある程度は広くする必要があり、欠陥検出の精度の向上に限界があった。
【0009】
また、マスク受光方式の表面検査装置では、レーサ光の走査線とマスクの中心線との位置ずれを定期的に検査及び補正する必要があり、作業者の負担が増えるという問題があった。さらに、この定期検査時には、被検査体の表面検査を停止する必要があるため、生産性が低下するという問題も生じていた。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、マスク受光方式での欠陥検出の精度を高めるとともに、生産性の低下を防止することができる表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の表面検査装置は、連続走行する被検査体に対し検査光を照射するとともに、前記検査光を前記被検査体の幅方向に走査する投光器と、前記幅方向に長く延びた形状を有し、前記被検査体を正透過した前記検査光を遮光するマスクと、前記マスクと共に移動可能に設けられ、前記被検査体の幅の外側を通る前記検査光が照射される標準板であって、前記検査光を遮光する遮光部と、前記検査光が通過するスリット穴とを備えるとともに、前記遮光部及び前記スリット穴の少なくともいずれか一方は、前記検査光の走査線に対する前記マスクの中心線のずれに応じて前記走査線と交差する部分の幅が変化する形状を有している標準板と、前記マスクに対し前記被検査体とは反対側に設けられ、前記幅方向に長く延びており、前記被検査体の欠陥により当該被検査体を散乱透過して前記マスクの上方または下方から入射する前記検査光の散乱光と、前記スリット穴を通って入射する前記検査光のスリット通過光とをそれぞれ光電的に検出する受光器と、前記受光器による前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記検査光の走査線に対する前記マスクの中心線のずれを検出するずれ検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
前記ずれ検出手段は、前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記ずれの量及び方向を検出することが好ましい。また、前記受光器で前記スリット透過光を検知する検知時間、及び前記スリット透過光が検知されない非検知時間の少なくともいずれか一方と、前記ずれの量及び方向との対応関係を記憶する記憶手段を備え、前記ずれ検出手段は、前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して、前記ずれの量及び方向を検出することが好ましい。
【0013】
前記ずれ検出手段による前記ずれの量及び方向の検出結果に基づき、前記ずれが補正されるように、前記マスク及び標準板の姿勢と、前記受光器の姿勢との少なくともいずれか一方を調整可能な姿勢調整手段を備えることが好ましい。また、前記マスク及び標準板は、前記受光器と共に移動可能に設けられており、前記姿勢調整手段は、前記受光器の姿勢を調整することが好ましい。
【0014】
前記標準板に設けられ、前記マスクの長手方向に沿って前記検査光に対する透過濃度が変化するフィルタ板と、前記フィルタ板を透過した前記検査光のフィルタ透過光を前記受光器で検出した結果に基づき、前記投光器から照射される前記検査光の出力及び/又は前記受光器のゲインを適正に制御する制御手段と、を備えることが好ましい。また、前記フィルタ板は、前記マスクの長手方向に沿って一列に配列された前記透過濃度が異なる複数の濃度フィルタからなり、前記複数の濃度フィルタは、前記マスクの長手方向に沿って次第に濃度が変化するように配列されていることが好ましい。
【0015】
前記スリット穴は、前記マスクの長手方向に沿う幅が、前記マスクの短手方向に沿って次第に広がる、あるいは狭まるように略三角形状に形成されていることが好ましい。また、前記標準板には、前記マスクの長手方向及び短手方向に平行な辺を有する矩形状の開口と、前記開口の互いに対向する一組のコーナ部を結ぶ直線に沿って当該開口を2分割する遮光性の仕切り部とが設けられており、前記スリット穴は、前記仕切り部により2分割された前記開口であることが好ましい。また、前記標準板は、前記被検査体の幅の両外側にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0016】
前記受光器及び前記マスクは、それぞれ前記幅方向に複数設けられているとともに、前記標準板は、前記受光器の両端部に対向する位置にそれぞれ設けられており、前記投光器から出射される前記検査光を、前記被検査体の幅の外側を通って、前記投光器から見て前記被検査体の後方に位置にする前記標準板へ導く光学系を備えることが好ましい。
【0017】
前記マスクは、前記標準板と前記受光器の間の空間まで延びており、前記標準板と前記マスクとの間には、前記標準板を通った光を前記受光器まで導く導光部材が設けられていることが好ましい。また、前記被検査体の幅の外側かつ前記検査光の走査範囲内に、スリット状の模擬欠陥パターンが形成された模擬欠陥確認用板を備えており、前記受光器は、前記模擬欠陥パターンを通過した前記検査光のパターン通過光を光電的に検出することが好ましい。
【0018】
前記受光器から出力される受光信号から、前記検査光が前記被検査体上を走査している第1の期間に相当する受光信号を選択的に出力する信号出力手段と、前記信号出力手段から出力される前記受光信号に基づき、前記被検査体の欠陥を検出する欠陥検出手段と、予め定められた期間内に、前記検査光が前記被検査体及び前記模擬欠陥確認用板上を走査している第2の期間に相当する受光信号が前記信号出力手段から出力されるように、当該信号出力手段を制御する信号出力制御手段と、前記信号出力手段から前記第2の期間に相当する受光信号が出力されているときに、前記欠陥検出手段が前記模擬欠陥パターンに対応する欠陥を検出するか否かに基づいて、前記被検査体の欠陥を検出する機能が正常であるか否かを判定する判定手段とを備えることが好ましい。
【0019】
前記模擬欠陥確認用板には、前記パターン通過光の光量が異なる少なくとも2種類以上の前記模擬欠陥パターンが形成されていることが好ましい。また、前記標準板と前記模擬欠陥確認用板とが一体化していることが好ましい。また、前記マスク及び標準板が一体化していることが好ましい。
【0020】
前記受光器への漏れ光の入射により発生するノイズが所定レベル以下に収まるように、前記受光器に入射した漏れ光の量に応じて当該受光器のゲインを調整するノイズ調整手段を備え、前記ノイズ調整手段は、前記スリット通過光及び前記フィルタ透過光が前記受光器に入射しない期間に前記ゲインの調整を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表面検査装置は、被検査体の側方を通る検査光が照射される位置に標準板を設け、この標準板に形成されたスリット穴を通過した検査光を受光器で検出した結果に基づき、検査光の走査線に対するマスクの中心線のずれを検出することができる。これにより、被検査体の表面検査とずれ検出を並行して行うことができるので、従来のように生産を停止する必要がなくなり、生産性の低下が防止される。また、ずれ検出を常時行うことができるので、ずれが検出された場合にはずれ補正を迅速に実施することができる。その結果、走査線とマスクの中心線とを常にほぼ一致させることができる。これにより、マスクの幅を極力細くすることができるので、表面検査装置の欠陥検出能力を高めることができる。
【0022】
また、ずれ検出の結果を基に、マスク及び標準板の姿勢と、受光器の姿勢との少なくともいずれか一方を調整して、ずれを補正することができるので、走査線とマスクの中心線とを常にほぼ一致させることができ、同様に欠陥検出能力を高めることができる。さらに、この調整を自動で行う場合には、作業者による投光器や受光器の位置調整が不要となるので、作業者の負担を減らすことができる。
【0023】
また、標準板にマスクの長手方向に沿って透過濃度が変化するフィルタを設け、このフィルタを通過した検査光のフィルタ透過光を受光器で検出した結果に基づき、検査光の出力及び/又は受光器のゲインを適正に制御するので、これらの制御を被検査体の表面検査と並行して行うことができる。その結果、生産性の低下が防止される。また、作業者による出力調整やゲイン調整が不要となるので、同様に作業者の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】表面検査装置の斜視図である。
【図2】受光ユニットのユニット本体部の断面図である。
【図3】受光ユニットのユニット側端部の断面図である。
【図4】標準板の正面図である。
【図5】表面検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】検査幅設定回路から出力される各種信号についての説明図である。
【図7】姿勢調整用テーブルの説明図である。
【図8】検出力調整用テーブルの説明図である。
【図9】表面検査処理及びこれに並行して行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】レーザ光が標準板のスリット穴形成領域上を走査しているときの、受光信号及び二値化信号を説明するための説明図である。
【図11】レーザ光が標準板の濃度板形成領域上を走査しているときの、受光信号及び二値化信号を説明するための説明図である。
【図12】レーザ光がウェブ上を走査しているときの、受光信号及び二値化信号を説明するための説明図である。
【図13】レーザ光の走査線とマスクの中心線とのずれ量に応じて、二値化信号が変化することを説明するための説明図である。
【図14】表面検査装置の欠陥検出力の変化に応じて、受光信号及び微分受光信号が変化することを説明するための説明図である。
【図15】標準板とマスクとの間にプリズムが設けられている第2実施形態の表面検査装置の構成を示す斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿った断面図である。
【図17】検査機能が正常であるか否かを確認する機能を有する第3実施形態の表面検査装置の斜視図である。
【図18】模擬欠陥確認用板の正面図である。
【図19】第3実施形態の表面検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図20】通常検査幅領域信号と拡大検査幅領域信号とを説明するための説明図である。
【図21】検査機能が正常であるか否かを確認する処理の流れを示したフローチャートである。
【図22】受光ユニットを複数備える第4実施形態の表面検査装置の構成を示した概略図である。
【図23】ウェブの背面側から見た各受光ユニットの正面図である。
【図24】第1光学系によるレーザ光の導光を説明するための説明図である。
【図25】第2光学系によるレーザ光の導光を説明するための説明図である。
【図26】PMTで受光した漏れ光の量に応じてPMTのゲイン調整を行う第5実施形態の表面検査装置の構成を示したブロック図である。
【図27】(A)は他実施形態の標準板の正面図であり、(B)はレーザ光走査時における二値化信号を説明するための説明図である。
【図28】他実施形態の姿勢調整用テーブルの説明図である。
【図29】投光器の姿勢調整を行う他実施形態の表面検査装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、表面検査装置10は、マスク受光方式により、透明または略透明なウェブ(被検査体)11の欠陥の有無を検査する。この表面検査装置10は、大別して、投光器12と、受光ユニット13と、姿勢調整機構14と、信号処理回路15と、制御装置16とを備えている。ウェブ11は、図示しないウェブ送り機構により、投光器12と受光ユニット13との間を矢印方向に一定速度で走行される。
【0026】
投光器12は、レーザ発振器19、レンズ20、ミラー21a,21b、ポリゴンミラー22、光センサ23から構成されている。レンズ20は、レーザ発振器19から出射されたレーザ光(検査光)24がウェブ11の表面上で所定径の光ビームとなるようにスポット径を調整する。ミラー21a,21bは、レンズ20からのレーザ光24をポリゴンミラー22へ導く。
【0027】
ポリゴンミラー22は、図中時計回りに高速回転しながら、ミラー21bから入射するレーザ光24をウェブ11に向けて反射する。これにより、レーザ光24は、ポリゴンミラー22の回転によって、ウェブ11の走行方向に略直交してウェブ11上をその幅方向に高速走査する。なお、符号Lは、レーザ光24の走査線である。
【0028】
光センサ23は、ウェブ11を走査する前のレーザ光24を受光可能な位置に設けられている。この光センサ23は、レーザ光24を受光したときに、パルス状の走査開始信号S(図6参照)を出力する。
【0029】
受光ユニット13は、ウェブ11の幅方向にウェブ11よりも長く延びた形状を有しており、走査線Lに対向する位置に設けられている。受光ユニット13は、ウェブ11を透過したレーザ光24が入射するユニット本体部27と、ウェブ11の図中左右側方にそれぞれ位置し、このウェブ11の両側方をそれぞれ通過したレーザ光24が入射するユニット側端部28L,28Rとからなる。
【0030】
受光ユニット13内には、受光器30が設けられている。受光器30は、ウェブ11の幅方向に長く延びたパイプレシーバ31と、パイプレシーバ31の左右端面に取り付けられた2個の光電子増倍管(以下、単にPMTという)32とから構成されている。
【0031】
パイプレシーバ31は、その中央部はユニット本体部27内に位置し、その両端部はそれぞれユニット側端部28L,28R内に位置している。パイプレシーバ31の背面側には、散乱帯33(図2、図3参照)が設けられている。散乱帯33は、パイプレシーバ31を透過して入射した光の一部を反射する。パイプレシーバ31は、散乱帯33で反射された光の一部を界面で繰り返し反射しながら端面まで伝達する。PMT32は、パイプレシーバ31から入射した光を光電変換し、入射した光の光量に応じた受光信号(電流信号)を出力する。
【0032】
ユニット本体部27の断面を示す図2において、パイプレシーバ31の前方には、ウェブ11の幅方向に長く延びた受光窓35が形成されている。この受光窓35には、ウェブ11の幅方向に長く延びたシリンドリカルレンズ36が取り付けられている。シリンドリカルレンズ36は、受光窓35から入射した光をパイプレシーバ31に集光する。また、シリンドリカルレンズ36の前面上には、ウェブ11を透過して入射するレーザ光24の一部を遮光するマスク37が設けられている。
【0033】
ユニット側端部28L,28Rの断面を示す図3において、パイプレシーバ31の前方には受光窓38が形成されており、さらにこの受光窓38には標準板39L,39R(図1参照)が取り付けられている。標準板39L,39Rは、受光ユニット13の姿勢、投光器12から照射されるレーザ光24の出力、及びPMT32のゲイン(電流増倍率または受光感度ともいう)をそれぞれ監視するために用いられる。標準板39L,39Rからユニット側端部28L,28R内に入射した光は、上述のシリンドリカルレンズ36によりパイプレシーバ31に集光される。
【0034】
図1に戻って、マスク37は、ウェブ11の幅方向に長く延び、かつレーザ光24のスポット径よりも僅かに幅広の形状を有している。マスク37は、その中心線に沿ってウェブ11を正透過したレーザ光24が走査されるように位置調整される。これにより、ウェブ11を正透過したレーザ光24は、マスク37で遮光されるため、受光窓35には入射しない。これに対して、ウェブ11に傷等の欠陥がある場合、この欠陥を透過したレーザ光24は欠陥により散乱するため、散乱光の少なくとも一部がマスク37の上方または下方から受光窓35に入射してパイプレシーバ31に集光される。
【0035】
標準板39L,39Rは、両ユニット側端部28L,28Rにより、ウェブ11の両側方でかつ投光器12からのレーザ光24が照射される走査線L上の位置に保持されている。標準板39L,39Rには、受光ユニット13の姿勢制御に用いられる一対のスリット穴42,43と、レーザ光24の出力及びPMT32のゲインの制御に用いられる濃度板(フィルタ板)44とが設けられている。
【0036】
姿勢調整機構14は、受光ユニット13をウェブ11の搬送方向に平行な図中上下方向(以下、単に上下方向という)に沿って垂直移動させる。また、姿勢調整機構14は、ウェブ11の面に垂直な軸周りに受光ユニット13を回転させる。これにより、受光ユニット13の上下方向位置と、走査線Lに対する受光ユニット13の傾き角度とを任意に調整することができる。
【0037】
信号処理回路15は、PMT32から入力される受光信号に増幅処理等を施す。また、信号処理回路15は、レーザ光24がウェブ11上、標準板39L,39R上をそれぞれ走査している期間に、PMT32からの受光信号を制御装置16へ選択的に出力する。
【0038】
制御装置16は、信号処理回路15から入力される受光信号に基づき、ウェブ11に欠陥が生じている場合には、その欠陥の位置を特定する。また、制御装置16は、受光信号に基づき、受光ユニット13の姿勢と、レーザ光24の出力と、PMT32のゲインとをそれぞれ個別に制御する。
【0039】
図4に示すように、標準板39Lは、スリット穴42,43が形成されたスリット穴形成領域46と、濃度板44が形成された濃度板形成領域47とからなり、両領域46、47はマスク37の長手方向に並べて設けられている。
【0040】
スリット穴形成領域46は、スリット穴42,43と、遮光性材料からなる遮光部48とからなる。スリット穴42,43は、マスク37の長手方向及び短手方向に平行な辺を有する矩形状の開口を、その互いに対向する一組のコーナ部を結ぶように形成された遮光部48の仕切り部48aにより仕切ることにより形成される。従って、スリット穴42,43は、上記開口を仕切り部48aで2分割した略直角三角形状を有しており、両者の斜辺が互いに対向し、かつ残りの2辺がマスク37の長手方向及び短手方向にそれぞれ平行となる。
【0041】
スリット穴42,43は、マスク37の長手方向に沿う幅がマスク37の短手方向(図中上下方向)位置に応じて変化する。例えば、スリット穴42では、マスク37の長手方向に沿う幅が図中下方向から上方向に向かって次第に狭くなり、逆にスリット穴43では、マスク37の長手方向に沿う幅が図中下方向から上方向に向かって次第に広くなる。そして、スリット穴42,43は、マスク37の中心線(以下、マスク中心線という)Cが通る幅d1,d2が等しくなるように、位置決めして形成されている。
【0042】
濃度板形成領域47は、濃度板44と遮光部48とからなる。濃度板44は、マスク37の長手方向に沿って配列された、レーザ光24の透過濃度が異なる10種類の濃度フィルタF1〜F10で構成される。各濃度フィルタF1〜F10は、マスクの長手方向に沿って次第に透過濃度が変化するように配列されている。具体的には、各濃度フィルタF1〜F10の光学濃度Dはそれぞれ「0.1」、「0.5」、「1.0」、「1.5」、「2.0」、「2.5」、「3.0」、「3.5」、「4.0」、「4.5」である。
【0043】
標準板39Rのスリット穴42,43及び濃度板44は、標準板39Lのものと同じであるため、説明は省略する。
【0044】
図5に示すように、投光器12には、出力調整回路50が設けられている。出力調整回路50は、制御装置16の制御の下、レーザ発振器19から出射されるレーザ光24の出力を調整する。PMT32には、ゲイン調整回路51と、上述の信号処理回路15とが接続されている。ゲイン調整回路51は、制御装置16の制御の下、PMT32に印加する高圧電圧の大きさを調整することにより、PMT32のゲインを調整する。
【0045】
信号処理回路15は、増幅回路53と、フィルタ回路54と、検査幅設定回路55と、ゲート回路56とから構成される。増幅回路53は、各PMT32から入力される受光信号を加算するとともに増幅する。フィルタ回路54は、増幅回路53から入力される受光信号に重畳されている低周波及び高周波ノイズ信号を除去し、この受光信号をゲート回路56に出力する。
【0046】
検査幅設定回路55は、光センサ23とゲート回路56と制御装置16とにそれぞれ接続されている。図6に示すように、検査幅設定回路55は、光センサ23から入力される走査開始信号Sに基づき、所定のタイミングで検査幅領域信号X、姿勢判定幅領域信号Y、検出力判定幅領域信号Zをゲート回路56及び制御装置16に出力する。
【0047】
検査幅領域信号Xは、レーザ光24がウェブ11上を走査している期間に相当する信号である。姿勢判定幅領域信号Yは、レーザ光24が各標準板39L,39Rのスリット穴形成領域46上を走査している期間に相当する信号である。検出力判定幅領域信号Zは、レーザ光24が各標準板39L,39Rの濃度板形成領域47上を走査している期間に相当する信号である。各幅領域信号の出力のタイミング及びその時間幅は、走査線Lの長さ、光センサ23の位置、ウェブ11の幅、スリット穴形成領域46の幅、濃度板形成領域47の幅などに基づき、予め設定されている。
【0048】
図5に戻って、ゲート回路56は、検査幅設定回路55と共に、本発明の信号出力手段を構成する。ゲート回路56には、フィルタ回路54からの受光信号と、検査幅設定回路55からの各幅領域信号X,Y,Zとが入力される。ゲート回路56は、各幅領域信号X,Y,Zのいずれかが入力されている期間にゲートオープン状態となり、受光信号をそのまま通過させて制御装置16へ出力する。
【0049】
制御装置16には、メモリ58、二値化回路59、欠陥特定回路60、姿勢制御回路61、微分回路62、出力/ゲイン制御回路(制御手段)63、及び制御装置16の各部の動作を制御するCPU(図示せず)が設けられている。
【0050】
メモリ58には、制御装置16を制御するための各種のプログラムやデータが格納されている。CPUは、これらのプログラムやデータをメモリ58から読み出して、これを逐次処理することによって制御装置16の制御を行う。
【0051】
二値化回路59は、ゲート回路56と欠陥特定回路60と姿勢制御回路61とにそれぞれ接続している。二値化回路59は、ゲート回路56から入力される受光信号を、所定のしきい値でハイレベルとローレベルとに二値化し、この二値化信号を欠陥特定回路60と姿勢制御回路61とにそれぞれ出力する。
【0052】
二値化信号は、レーザ光24がウェブ11上を走査している期間中、ウェブ11の欠陥による所定光量以上の散乱光が受光器30で受光されたときにハイレベルとなり、それ以外のときはローレベルとなる。また、二値化信号は、レーザ光24がスリット穴形成領域46上を走査している期間中、スリット穴42,43を通過したレーザ光24(以下、単にスリット通過光という)が受光器30で受光されたときにハイレベルとなり、それ以外のときにローレベルとなる。なお、レーザ光24が濃度板形成領域47上を走査している期間中の二値化信号は、制御装置16で利用されないため説明は省略する。
【0053】
欠陥特定回路60は、上述の二値化回路59の他に検査幅設定回路55に接続している。欠陥特定回路60は、検査幅設定回路55から検査幅領域信号Xが入力される期間に、二値化回路59からの二値化信号の入力を受け付ける。欠陥特定回路60は、入力された二値化信号に基づき、ウェブ11に生じている欠陥を検出するとともに、その欠陥の位置を特定する。また、欠陥特定回路60は、検出した欠陥及びその位置に関する情報を欠陥情報処理装置65へ送る。
【0054】
欠陥情報処理装置65は、欠陥特定回路60から入力された欠陥及びその位置に関する情報をモニタ(図示せず)に表示するとともに、内部メモリ(図示せず)に記憶する。
【0055】
姿勢制御回路61は、上述の二値化回路59の他に検査幅設定回路55に接続している。姿勢制御回路61は、検査幅設定回路55から姿勢判定幅領域信号Yが入力される期間に、二値化回路59からの二値化信号の入力を受け付ける。姿勢制御回路61は、入力された二値化信号に基づき、メモリ58内の姿勢調整用テーブル66を参照して、走査線Lに対する、マスク中心線Cの上下方向の位置ずれ量Δhと、走査線Lに対するマスク中心線Cの上下方向の傾きを示す傾きずれ量θとが補正されるように、姿勢調整機構14を駆動する。
【0056】
微分回路62は、ゲート回路56と検査幅設定回路55と出力/ゲイン制御回路63とにそれぞれ接続している。微分回路62は、検査幅設定回路55から検出力判定幅領域信号Zが入力される期間に作動して、この期間中にゲート回路56から入力される受光信号を微分して、単位時間当たりの受光信号の変化量の大きさを示す微分受光信号(図11(C)参照)を出力/ゲイン制御回路63へ出力する。
【0057】
微分受光信号の波形は、受光信号が飽和あるいは著しく小さくなっているような場合を除き、基本的には各濃度フィルタF1〜F10の境界に対応する位置で変化する(図11(C)参照)。これは、各濃度フィルタF1〜F10を通過して受光器30で受光されるレーザ光24(以下、フィルタ透過光という)の受光量が、各濃度フィルタF1〜F10の境界で変化するためである。微分受光信号の波形が各濃度フィルタF1〜F10の境界のどこで大きく変化するか及びその変化量は、レーザ光24の出力PやPMT32のゲインGに応じて変化する。
【0058】
出力/ゲイン制御回路63は、上述の微分回路62の他に、出力調整回路50とゲイン調整回路51とにそれぞれ接続されている。出力/ゲイン制御回路63は、微分回路62から入力される微分受光信号に基づき、メモリ58内の検出力調整用テーブル67を参照して、表面検査装置10の欠陥検出力が一定レベル以上に維持されるように、出力調整回路50とゲイン調整回路51とをそれぞれ制御する。
【0059】
なお、欠陥検出力は、例えば、欠陥の有無でのPMT32の受光量(受光信号の信号レベル)の差で表される。この欠陥検出力の大きさは、レーザ光24の出力PやPMT32のゲインGを変えることで調整可能である。例えば、表面検査装置10の欠陥検出力が低下した場合には、レーザ光24の出力Pを増加、あるいはPMT32のゲインGの増加の少なくともいずれか一方を行うことで、欠陥検出力を高めることができる。
【0060】
図7に示すように、姿勢調整用テーブル66は、レーザ光24がスリット穴形成領域46上を走査しているときの二値化信号のハイレベル信号の時間幅WL1、WL2、WR1、WR2と、走査線Lに対するマスク中心線Cの位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θとを対応付けて格納している。時間幅WL1、WL2は、レーザ光24が標準板39Lのスリット穴42,43をそれぞれ横切る時間に対応する時間幅であり、時間幅WR1、WR2は、レーザ光24が標準板39Rのスリット穴42,43をそれぞれ横切る時間に対応する時間幅である。
【0061】
上述したように、各標準板39L,39Rのスリット穴42,43は、マスク中心線Cが通る幅d1,d2が互いに等しくなるように形成されている。このため、位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θがそれぞれゼロである場合、WL1=WR1=WL2=WR2=定数αとなる。逆に、走査線Lに対してマスク中心線Cが位置ずれ及び/又は傾きずれしている場合には、WL1、WL2、WR1、WR2の個々の値が位置ずれ量Δhや傾きずれ量θに応じて変化する。
【0062】
姿勢調整用テーブル66の各パラメータ(WL1、WL2、WR1、WR2)に対応する位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θは、予め実験や試験などを行うことで定められる。これにより、二値化信号のハイレベル信号の時間幅WL1、WL2、WR1、WR2から、現在の位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θを求めることができる。
【0063】
図8に示すように、検出力調整用テーブル67は、レーザ光走査時に各濃度フィルタF1〜F10の境界にそれぞれ対応する位置で観測される微分受光信号の波形R1〜R10(図11(C)参照)の信号レベルと、表面検査装置10の欠陥検出力とを対応付けて格納している。なお、波形R1は遮光部48と濃度フィルタF1との境界に対応する位置で観測される波形であり、波形R2は濃度フィルタF1,F2の境界で観測される波形であり、以下同様に波形R10は濃度フィルタF9,F10の境界で観測される波形である。
【0064】
PMT32から出力される受光信号の大きさは、レーザ光24の出力PやPMT32のゲインGに応じて変化する。このため、表面検査装置10の欠陥検出力(レーザ光24の出力P、PMT32のゲインG)が低下した場合、各濃度フィルタF1〜F10をそれぞれ透過したフィルタ透過光の受光信号の信号レベルが変化する。従って、この受光信号の信号レベルの変化に応じて、微分受光信号の各波形R1〜R10の信号レベルが変化する。
【0065】
検出力調整用テーブル67の各パラメータ(R1〜R9)に対応する表面検査装置10の欠陥検出力は、予め実験や試験などを行うことで求められる。これにより、検出力調整用テーブル67を参照することで、微分受光信号の各波形R1〜R10の信号レベルから、表面検査装置10の現在の欠陥検出力を検出することができる。
【0066】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、上記構成の表面検査装置10の作用について説明を行う。ウェブ11が一定速度で走行され、これと同時に投光器12から照射されるレーザ光24がウェブ11の幅方向に走査される。レーザ光24が光センサ23で受光されると、この光センサ23から検査幅設定回路55へ走査開始信号Sが送られる。そして、レーザ光24は、標準板39L上、ウェブ11上、標準板39R上をそれぞれ順番に走査していく。
【0067】
図10(A)に示すように、検査幅設定回路55は、走査開始信号Sが入力されてから、レーザ光24が標準板39Lのスリット穴形成領域46上を走査する期間に合わせて姿勢判定幅領域信号Yをゲート回路56及び姿勢制御回路61へそれぞれ出力する。これにより、ゲート回路56がゲートオープン状態となるとともに、姿勢制御回路61が二値化信号の入力を受付可能な状態となる。
【0068】
レーザ光24がスリット穴形成領域46上を走査された際に、スリット穴42,43に照射されたレーザ光24は、それぞれスリット穴42,43を通過する。スリット穴42,43をそれぞれ通過したスリット透過光は、パイプレシーバ31に入射してその端面まで伝達された後、PMT32に入射する。図10(B)に示すように、PMT32は、入射したスリット通過光を光電変換して受光信号を出力する。この受光信号は、フィルタ回路54、ゲート回路56を経て二値化回路59に入力される。
【0069】
図10(C)に示すように、二値化回路59は、入力された受光信号を所定のしきい値でハイレベルとローレベルとに二値化して二値化信号を生成する。この二値化信号は、姿勢制御回路61に入力される。姿勢制御回路61は、レーザ光24がスリット穴42,43をそれぞれ通過している時間に対応する、ハイレベル信号の時間幅WL1、WL2を検出して一時的に記憶する。
【0070】
検査幅設定回路55は、レーザ光24がスリット穴形成領域46を横切るのに要する所定時間が経過した後、姿勢判定幅領域信号Yの出力を停止する。これにより、ゲート回路56がゲートクローズ状態となり、姿勢制御回路61が二値化信号の入力受付を停止する。
【0071】
次いで、図11(A)に示すように、検査幅設定回路55は、レーザ光24が標準板39Lの濃度板形成領域47上を走査する期間に合わせて検出力判定幅領域信号Zをゲート回路56及び微分回路62へそれぞれ出力する。これにより、ゲート回路56がゲートオープン状態となるとともに、微分回路62が作動する。
【0072】
レーザ光24が濃度板44上を走査された際に、各濃度フィルタF1〜F10に照射されたレーザ光24は、それぞれ各濃度フィルタF1〜F10を透過し、さらに濃度フィルタF1〜F10の光学濃度に応じて減光される。各濃度フィルタF1〜F10をそれぞれ透過したフィルタ透過光は、パイプレシーバ31に入射した後にPMT32に入射する。
【0073】
図11(B)に示すように、PMT32は、入射したフィルタ透過光を光電変換して受光信号を出力する。図中で例示した受光信号は、濃度フィルタF1〜F5のフィルタ透過光の受光期間では飽和し、濃度フィルタF6のフィルタ透過光の受光期間では信号レベルが飽和状態よりも低下する。そして、受光信号は、濃度フィルタF7のフィルタ透過光の受光期間では信号レベルが急激に低下し、さらに濃度フィルタF8〜F10のフィルタ透過光の受光期間では信号レベルが極めて小さくなる。この受光信号は、フィルタ回路54、ゲート回路56を経て微分回路62に入力される。
【0074】
図11(C)に示すように、微分回路62は、ゲート回路56から入力される受光信号を微分して微分受光信号を出力/ゲイン制御回路63へ出力する。遮光部48と濃度フィルタF1との境界、濃度フィルタF5,F6間の境界、濃度フィルタF6,F7間の境界、及び濃度フィルタF7,F8間の境界の計4箇所で受光信号が急激に変化するため、微分受光信号の波形R1,R6,R7,R8には、各境界での信号レベル差に対応した信号レベルの変化が生じる。逆に、受光信号は上記以外の境界ではほぼ一定となるため、微分受光信号の波形R2〜R5,R9,R10の信号レベルは極めて小さくなる。
【0075】
出力/ゲイン制御回路63は、微分回路62から入力される微分受光信号に含まれる各立ち上がり波形R1〜R10の信号レベルを検出して、一時的に記憶する。そして、検査幅設定回路55は、レーザ光24が濃度板形成領域47を横切るのに要する所定時間が経過した後、検出力判定幅領域信号Zを停止する。これにより、ゲート回路56がゲートクローズ状態になるとともに、微分回路62の作動が停止する。
【0076】
次いで、図12(A)に示すように、検査幅設定回路55は、レーザ光24がウェブ11上を走査する期間に合わせて検査幅領域信号Xをゲート回路56及び欠陥特定回路60へそれぞれ出力する。これにより、ゲート回路56がゲートオープン状態となるとともに、欠陥特定回路60が二値化信号の入力を受付可能な状態となる。
【0077】
レーザ光24がウェブ11上を走査された際に、ウェブ11に欠陥がない場合には、レーザ光24はウェブ11を正透過してマスク37に入射する。この場合に、ウェブ11を透過したレーザ光24は受光器30に入射しない。
【0078】
逆に、ウェブ11に欠陥が生じている場合には、レーザ光24が欠陥により散乱されるため、散乱光がマスク37の上方または下方からパイプレシーバ31に入射する。パイプレシーバ31に入射した散乱光はPMT32に入射する。図12(B)に示すように、PMT32は、入射した散乱光を光電変換して受光信号を出力する。受光信号には、欠陥に対応した位置に信号レベルが明らかに増加した異常信号Sが発生する。受光信号は、フィルタ回路54、ゲート回路56を経て二値化回路59に入力される。
【0079】
図12(C)に示すように、二値化回路59は、入力された受光信号を二値化する。この二値化信号は欠陥特定回路60に入力される。二値化信号には、異常信号Sに対応した位置でハイレベルとなる欠陥信号Sが発生する。
【0080】
欠陥特定回路60は、二値化信号に欠陥信号Sが含まれているか否かに基づき、ウェブ11に生じている欠陥を検出するとともに、その欠陥の位置を特定する。欠陥特定回路60は、検出した欠陥及びその位置に関する情報を欠陥情報処理装置65へ送る。この情報は、欠陥情報処理装置65のモニタに表示されるとともに、そのメモリに一時的に記憶され、欠陥が最終製品に含まれることがないように適宜利用される。
【0081】
引き続き、レーザ光24が標準板39Rのスリット穴形成領域46上、濃度板形成領域47上をそれぞれ走査した際には、上述の図10、図11で説明した処理が繰り返し実行される。これにより、ハイレベル信号の時間幅WR1、WR2と、微分受光信号の各波形R1〜R10の信号レベルとがそれぞれ検出される。
【0082】
このように姿勢制御回路61は、レーザ光24の1回の走査中に、レーザ光24が標準板39Rのスリット穴42,43をそれぞれ横切ったときのハイレベル信号の時間幅WL1,WL2,WR1,WR2をそれぞれ検出する。
【0083】
図13(A)に示すように、走査線Lに対するマスク中心線Cの位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θがそれぞれゼロである場合、WL1=WR1=WL2=WR2=定数αとなる。また、図13(B)に示すように、走査線Lに対してマスク中心線Cが下方向にずれている場合(ただし、傾きずれ量θ=0)、WL1,WR1<α、WL2,WR2>αとなる。逆に、走査線Lに対してマスク中心線Cが上方向にずれている場合、WL1,WR1>α、WL2,WR2<αとなる。なお、傾きずれ量θ=0である場合には、WL1=WR1、WL2=WR2となる。
【0084】
さらに、図示は省略するが、例えば走査線Lに対してマスク中心線Cが時計回りに傾いている場合にはWL1<WR1、WL2>WR2となり、逆にマスク中心線Cが反時計回りに傾いている場合にはWL1<WR1、WL2>WR2となる。このように、走査線Lに対するマスク中心線Cの位置ずれ量Δhや傾きずれ量θの大きさに応じて、ハイレベル信号の時間幅WL1,WL2,WR1,WR2の値がそれぞれ変化する。
【0085】
図9に戻って、姿勢制御回路61は、検出したハイレベル信号の時間幅WL1,WL2,WR1,WR2に基づき、メモリ58内の姿勢調整用テーブル66を参照して、走査線Lに対するマスク中心線Cの位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θをそれぞれ求める。
【0086】
次いで、姿勢制御回路61は、各ずれ量Δh,θがゼロとなるように、姿勢調整機構14を駆動して受光ユニット13の姿勢を調整する。これにより、走査線Lに対するマスク中心線Cのずれが補正される。走査線Lとマスク中心線Cとを常にほぼ一致させることができるので、マスク37の幅を極力細くすることができる。その結果、表面検査装置10の欠陥検出能力を高めることができる。
【0087】
また、ウェブ11の表面検査とずれ補正とを並行して行うことができるので、従来のように生産を停止して検査及びずれ補正を行う必要がなくなり、生産性の低下が防止される。さらに、位置検出素子(PSD)のような高価なセンサを用いることがなく、ずれ補正を行うことができるので、装置のコストアップを抑えることができる。
【0088】
一方、出力/ゲイン制御回路63は、レーザ光24の1回の走査中に、各標準板39L,39Rの濃度フィルタF1〜F10の各境界での受光信号の信号レベル差に対応する微分受光信号の波形R1〜R10の信号レベルを検出する。
【0089】
各波形R1〜R10の信号レベルは、表面検査装置10の欠陥検出力が一定レベル内であれば大きく変わることはなく、例えば上述の図11に示したように波形R1,R6,R7,R8の信号レベルが大きくなり、さらにこの中で波形R1,R7の信号レベルが特に大きくなる。しかし、欠陥検出力(レーザ光24の出力P、PMT32のゲインG)が低下した場合には、例えば図14(A)に示すように、PMT32から出力される受光信号の信号レベルが小さくなる。このため、特に光学濃度の高い濃度フィルタの境界での受光信号の信号レベル差が著しく小さくなってしまう。
【0090】
このような場合は、例えば図14(B)に示すように、上述の図11と比較して微分受光信号の波形R8の信号レベルが極めて小さくなる一方で波形R5の信号レベルが大きくなり、さらに波形R6の信号レベルが波形R7の信号レベルよりも大きくなるといった微分受光信号の波形変化が生じる。また、PMT32から出力される受光信号の信号レベルが小さくなるのに応じて、各波形R1,R5〜R7の信号レベルの値も全体的に小さくなる。このように表面検査装置10の欠陥検出力に応じて、微分受光信号の各波形R1〜R10の中で信号レベルが大きくなる波形が変わり、さらに波形の信号レベルの大きさも変化する。
【0091】
図9に戻って、出力/ゲイン制御回路63は、標準板39L,39R毎の微分受光信号の波形R1〜R10の信号レベルが得られた後、波形R1〜R10別に信号レベルの平均値を求める。そして、出力/ゲイン制御回路63は、波形R1〜R10毎の信号レベルの平均値に基づき、メモリ58内の検出力調整用テーブル67を参照して、表面検査装置10の欠陥検出力を求める。
【0092】
次いで、出力/ゲイン制御回路63は、欠陥検出力が一定レベル以下であると判定した場合には、出力調整回路50を制御してレーザ発振器19によるレーザ光24の出力Pを増加、及び/または、ゲイン調整回路51を制御して各PMT32のゲインGを増加させる。レーザ光24の出力を増加させるか、あるいはPMT32のゲインGを増加させるかあるいは両方増加させるかは適宜決定してよい。これにより、表面検査装置10の欠陥検出力を一定レベル以上に維持することができる。
【0093】
従来では、欠陥検出力が適正範囲内にあるか否かの検査は、投光器12の位置をずらしてマスク37に遮光されない位置からレーザ光24をパイプレシーバ31に入射させる方法、マスク37そのものを取り外してレーザ光をパイプレシーバ31に入射させる方法、ウェブ11上に標準粒子などを散布し、標準粒子により散乱されるレーザ光の散乱光をパイプレシーバ31に入射させる方法しかなかった。
【0094】
この場合には、いずれの方法でも生産を停止する必要があり、生産性の低下という問題が生じていた。また、欠陥検出力をリアルタイムで検出することができないので、欠陥の発生頻度が低下したときに、ウェブ11の品質が向上したのか、それとも欠陥検出力が低下したのかを容易に判断することができなかった。
【0095】
また、投光器12やマスク37の位置をずらす方法では、検査終了後に投光器12やマスク37の位置調整が必要となるので、作業者の負担増加という問題が生じていた。さらに、標準粒子を散布する方法では、標準粒子が飛散して表面検査装置10が設置されているクリーンルームを汚染するという問題が生じていた。
【0096】
これに対して、本発明は、ウェブ11の表面検査を実施しながら、表面検査装置10の欠陥検出力(レーザ光24の出力P及び各PMT32のゲインG)を適正に制御することができるので、生産性の低下が防止される。また、作業者によるレーザ光24の出力調整やPMT32のゲイン調整が不要となるので、作業者の負担を減らすことができる。さらに、標準板39L,39Rを設けることにより、ウェブ11に標準粒子等を散布する必要がなくなるので、クリーンルームの汚染も防止される。
【0097】
以下、表面検査が終了するまで、レーザ光24が走査される度に、ウェブ11の表面検査と、受光ユニット13の姿勢調整と、欠陥検出力の調整とが並行して実施される。
【0098】
上記第1実施形態では、姿勢制御回路61及び出力/ゲイン制御回路63が、それぞれ姿勢調整用テーブル66、検出力調整用テーブル67を参照して受光ユニット13の姿勢調整、欠陥検出力の調整を行っているが、テーブルの代わりに演算式を用いてもよい。
【0099】
次に、図15及び図16を用いて本発明の第2実施形態の表面検査装置について説明を行う。上記第1実施形態では、マスク37が標準板39L,39Rとパイプレシーバ31との間の空間まで延びていないのに対し、第2実施形態では、マスク70が標準板39L,39Rとパイプレシーバ31との間の空間まで延びている。なお、第2実施形態は、マスク70を除けば基本的には第1実施形態の表面検査装置10と同じであり、第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0100】
第2実施形態では、標準板39L,39Rのスリット穴42,43や濃度板44を通ったスリット通過光やフィルタ透過光がマスク70で遮られないように、標準板39L,39Rとマスク70との間の空間にプリズム(導光部材)71が設けられている。
【0101】
プリズム71は、標準板39L,39Rに対向する位置に設けられた光入射面71aと、マスク70の下方(上方でも可)でパイプレシーバ31と対向する位置に設けられた光出射面71bとを有している。プリズム71は、光入射面71aから入射した光を内部で反射させて光出射面71bから出射させる。これにより、スリット通過光やフィルタ透過光を、マスク70で遮られことなくパイプレシーバ31に入射させることができる。
【0102】
標準板39L,39Rを備えていない従来の表面検査装置では、幅の異なる多品種のウェブ11に対応するため、マスクはパイプレシーバ31とほぼ同じに長さに形成されている。このため、従来の装置を、第1実施形態のように改造する場合にはマスクを交換する必要があった。これに対して、従来の装置を第2実施形態のように改造する場合には、基本的にはプリズム71を設ければよいので、装置の改造が最小限に抑えられる。
【0103】
次に、本発明の第3実施形態の表面検査装置75について説明を行う。この表面検査装置75では、上記第1実施形態で説明した各種処理を行う以外に、装置の検査機能が正常に動作しているか否かを確認する。なお、第3実施形態は、基本的には第1実施形態の表面検査装置10と同じであり、第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0104】
図17に示すように、受光ユニット76のユニット側端部28L,28Rの前面には、それぞれ模擬欠陥確認用板77L,77Rが取り付けられている。模擬欠陥確認用板77L,77Rは、レーザ光24の走査範囲内で、それぞれ標準板39L,39Rよりもウェブ11に近い位置に取り付けられている。
【0105】
図18に示すように、模擬欠陥確認用板77Lには、2種類のスリット状の第1模擬欠陥パターン78と、第2模擬欠陥パターン79とが設けられている。第1及び第2模擬欠陥パターン78,79は、レーザ光24が通過する光量が異なるように大きさ、形状等が調整されている。
【0106】
第1模擬欠陥パターン78を通過したレーザ光(以下、パターン透過光という)の光量は、表面検査装置75の検査機能(例えばレーザ光24の出力、PMT32のゲイン)が正常であれば検出可能な大きさになる。逆に、第2模擬欠陥パターン79を通過したレーザ光(パターン通過光)の光量は、表面検査装置75の検査能力では検出不可能な大きさになる。なお、模擬欠陥確認用板77Rは、模擬欠陥確認用板77Rと同じであるため、説明は省略する。
【0107】
図19に示すように、表面検査装置75の信号処理回路81及び制御装置82は、基本的には上記第1実施形態の信号処理回路15、制御装置16と同じである。ただし、制御装置82には、モード切替回路83と、検査幅制御回路(信号出力制御手段)84と、欠陥特定回路85とが設けられている。
【0108】
モード切替回路83は、表面検査装置75の動作モードを、ウェブ11の表面検査を行う通常検査モードと、表面検査装置75の検査機能が正常に動作しているか否かを確認する正常動作確認モードとに切り替える。モード切替回路83は、例えば、製品となる1ロール分のウェブ11の検査が終了してから、次ロール分のウェブ11の検査が開始されるまでの間の期間(以下、インターバル期間という)に、動作モードを正常動作確認モードに設定する。
【0109】
また、モード切替回路83は、インターバル期間以外の期間は、動作モードを通常検査モードに設定する。なお、インターバル期間内か否かは、例えば図示しないウェブ送り機構によるウェブ11の送り量を監視することで判定する。モード切替回路83は、現在の動作モードの種類を示す動作モード信号を検査幅制御回路84と欠陥特定回路85とにそれぞれ出力する。
【0110】
検査幅制御回路84は、モード切替回路83と検査幅設定回路55とに接続している。検査幅制御回路84は、モード切替回路83から入力される動作モード信号に応じて、検査幅設定回路55から出力される検査幅領域信号の種類を切り替える。
【0111】
図20(A)に示すように、検査幅制御回路84は、モード切替回路83から通常検査モードである旨の動作モード信号が入力されている場合、レーザ光24がウェブ11上を走査している期間(第1の期間)に相当する通常検査幅領域信号Xaを検査幅設定回路55から出力させる。この通常検査幅領域信号Xaは、上記第1実施形態の検査幅領域信号Xと同じである。
【0112】
逆に、図20(B)に示すように、検査幅制御回路84は、モード切替回路83から正常動作確認モードである旨の動作モード信号が入力されている場合、レーザ光24がウェブ11及び模擬欠陥確認用板77L,77Rの模擬欠陥パターン形成領域上を走査している期間(第2の期間)に相当する拡大検査幅領域信号Xbを検査幅設定回路55から出力させる。
【0113】
なお、各検査幅領域信号Xa,Xbの出力のタイミング及びその時間幅は、走査線Lの長さ、光センサ23の位置、ウェブ11の幅、標準板39L,39Rの幅、及び模擬欠陥確認用板77L,77Rの幅、各模擬欠陥パターン78,79の位置などに基づき、予め設定されている。
【0114】
図19に戻って、欠陥特定回路85は、基本的には第1実施形態の欠陥特定回路60と同じであり、二値化回路59から入力される二値化信号に基づき、ウェブ11の欠陥の検出及びその位置の特定を行う。ただし、欠陥特定回路85には、モード切替回路83が接続されているとともに、判定部85aが設けられている。
【0115】
判定部85aは、モード切替回路83から正常動作確認モードである旨の動作モード信号が入力されている場合に作動する。判定部85aは、二値化回路59から入力される二値化信号に、第1及び第2模擬欠陥パターン78,79を通過したパターン通過光に対応する信号が発生しているか否かに基づき、表面検査装置75の検査機能が正常に動作しているか否かを判定する。
【0116】
具体的に、判定部85aは、第1模擬欠陥パターン78を通過したパターン通過光に対応する信号が二値化信号に発生している場合には、検査機能は正常であると判定し、逆にこの信号が発生していない場合には、検査機能に異常ありと判定する。また、判定部85aは、第2模擬欠陥パターン79を通過したパターン通過光に対応する信号が二値化信号に発生している場合には、検査機能に異常ありと判定し、逆にこの信号が発生していない場合には、検査機能が正常であると判定する。
【0117】
判定部85aは、検査機能に異常ありと判定した場合、その旨を示す情報を欠陥情報処理装置65へ出力する。
【0118】
次に、図21に示すフローチャートを用いて、第3実施形態の表面検査装置75の作用について説明を行う。最初に、表面検査装置75が通常検査モードに設定されている状態で、1ロール分のウェブ11の表面検査が開始される。この表面検査では、第1実施形態(図9参照)と同じ処理が行われるため、説明は省略する。
【0119】
モード切替回路83は、ウェブ11の送り量を監視し、製品となる1ロール分のウェブ11の検査が終了したときに、表面検査装置75の動作モードを、通常検査モードから正常動作確認モードに切り替える。これにより、モード切替回路83から検査幅制御回路84と欠陥特定回路85に対して、正常動作確認モードである旨の動作モード信号が出力される。
【0120】
検査幅制御回路84は、正常動作確認モードである旨の動作モード信号が入力されたときに、検査幅設定回路55を制御して拡大検査幅領域信号Xbを出力させる。これにより、レーザ光24が模擬欠陥確認用板77L,77R上を走査している期間も、ゲート回路56がゲートオープン状態となり、各PMT32から出力される受光信号が二値化回路59にて二値化信号に変換された後、欠陥特定回路85に入力される。なお、レーザ光24が標準板39L,39Rやウェブ11を走査している期間に行われる処理は、第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0121】
欠陥特定回路85は、二値化回路59から入力される二値化信号に欠陥信号S(図12参照)が含まれているか否かに基づき、ウェブ11の欠陥を検出するとともに、その欠陥の位置を特定する。また、欠陥特定回路85は、正常動作確認モードである旨の動作モード信号が入力されたときに、判定部85aを作動させる。
【0122】
判定部85aは、欠陥特定回路85が検出した欠陥信号Sの中に、第1及び第2模擬欠陥パターン78,79をそれぞれ通過したフィルタ通過光に対応する信号があるか否かを確認する。そして、判定部85aは、第1模擬欠陥パターン78を通過したフィルタ通過光に対応する欠陥信号S(以下、第1欠陥信号という)が検出され、かつ第2模擬欠陥パターン79を通過したフィルタ通過光に対応する欠陥信号S(以下、第2欠陥信号という)が検出されない場合、表面検査装置75の検査機能は正常であると判定する。
【0123】
逆に判定部85aは、第1欠陥信号が検出されない場合、あるいは第2欠陥信号が検出された場合、表面検査装置75の検査機能に異常ありと判定する。前者のように、本来検出されるべき第1欠陥信号が検出されない要因としては、例えばレーザ光24の出力Pの低下、PMT32のゲインの低下などが挙げられる。また、後者のように、本来検出されない第2欠陥信号が検出される要因としては、例えば信号処理回路15等の各種回路の異常、装置内の各種光学系の振動ノイズなどが挙げられる。
【0124】
判定部85aは、表面検査装置75の検査機能に異常ありと判定した場合には、その旨を示す異常情報を欠陥情報処理装置65へ出力する。なお、欠陥特定回路85は、第1欠陥信号及び第2欠陥信号に対応する欠陥及びその位置に関する情報は、製品有効範囲外における欠陥情報であるため、欠陥情報処理装置65には出力しない。欠陥情報処理装置65は、判定部85aからの異常情報をモニタに表示する。
【0125】
以上説明した正常動作確認モードでの処理は、次ロール分のウェブ11の表面検査が開始されるまでの間の所定期間継続する。モード切替回路83は、次ロール分のウェブ11の表面検査が開始される前に、表面検査装置75の動作モードを、正常動作確認モードから通常検査モードに切り替える。これにより、検査幅制御回路84は、検査幅設定回路55を制御して通常検査幅領域信号Xaを出力させる。以下、上述のウェブ11の表面検査と、表面検査装置75の正常動作確認とが繰り返し実行される。
【0126】
上記第3実施形態では、1ロール分のウェブ11の表面検査を行う度に正常動作確認を行っているが、正常動作確認を行う頻度は、例えば1日に1回、1週間に1回など適宜変更してもよい。また、マニュアルで表面検査装置75の動作モードを通常検査モードから正常動作確認モードに切替可能にしてもよい。さらに、各模擬欠陥確認用板77L,77Rに、パターン通過光の光量が異なる3種類以上の模擬欠陥パターンを形成してもよい。
【0127】
また、上記第3実施形態では、標準板39L,39Rと模擬欠陥確認用板77L,77Rとが別体に設けられているが、両者がそれぞれ一体化していてもよい。この場合は、例えば、必要に応じて標準板39L,39Rをウェブ11の幅方向に長く延ばし、これら標準板39L,39Rにそれぞれ第1及び第2模擬欠陥パターン78,79を形成すればよい。
【0128】
次に、図22及び図23を用いて本発明の第4実施形態の表面検査装置88について説明を行う。上記各実施形態では、受光ユニット及び投光器は1台ずつしか設けられていないのに対し、第4実施形態では、受光ユニット及び投光器が複数設けられている。
【0129】
表面検査装置88は、2台の受光ユニット89,90及び投光器12a,12bと、第1及び第2光学系91,92とを備える以外は、基本的には第1実施形態と同じ構成である。
【0130】
受光ユニット89,90は、ウェブ11の走行方向に沿って略千鳥配置(図23参照)されており、この走行方向上流側あるいは下流側(図23中の上方あるいは下方)から見たときに互いの端部同士がオーバラップするように配置されている。このため、ウェブ11及び受光ユニット89間の距離と、ウェブ11及び受光ユニット90間の距離とは等しくなる。
【0131】
投光器12a,12bは、それぞれ各受光ユニット89,90の受光面の中心から前方に延びた中心線CL1,CL2上に走査線Lの中心が位置するように配置されている。従って、図示は省略するが、投光器12a,12bも受光ユニット89,90と同様にウェブ11の走行方向に位置ずれしている。
【0132】
各受光ユニット89,90は、上記第1実施形態の受光ユニット13と基本的には同じ構成であり、受光器30と、マスク37と、受光器30の両端部にそれぞれ対向する位置に設けられた標準板39L,39Rとを備えている。
【0133】
受光ユニット89の標準板39L、及び受光ユニット90の標準板39Rは、それぞれ投光器12から見てウェブ11の側方に位置しており、投光器12からレーザ光24が直接照射される。逆に、受光ユニット89の標準板39R、及び受光ユニット90の標準板39Lは、投光器12から見てウェブ11の後方に位置しているので、投光器12からレーザ光24を直接照射することはできない。
【0134】
図24に示すように、第1光学系91は、投光器12から照射されたレーザ光24をウェブ11の左側方を経由して受光ユニット89の標準板39Rに導くように配置された第1〜第4ミラー94,95,96,97で構成される。また、図25に示すように、第2光学系92は、投光器12から照射されたレーザ光24をウェブ11の右側方を経由して受光ユニット90の標準板39Lに導くように配置された第1〜第4ミラー98,99,100,101で構成される。なお、図示は省略するが、第1光学系91と第2光学系92とは、受光ユニット89,90と同様にウェブ11の走行方向に位置ずれしている。
【0135】
なお、投光器12a,12bとウェブ11との間には、第1ミラー94,98が配置されており、各投光器12a,12bから出射されるレーザ光24の一部は第1ミラー94,98によって遮られる。このため、投光器12aによるレーザ光24のウェブ11上の走査範囲と、投光器12bによるレーザ光24のウェブ11上の走査範囲とが一部重複するように、各投光器12a,12bや第1ミラー94,98の配置が調整されている(図22参照)。これにより、ウェブ11上にレーザ光24が照射されないエリアが生じることが防止される。
【0136】
第1光学系91及び第2光学系92により、ウェブ11の後方に位置している標準板にもそれぞれレーザ光24を照射することができるので、上記第1実施形態と同様に、ウェブ11の表面検査と、受光ユニット13の姿勢調整と、欠陥検出力の調整とを並行して実施することができる。
【0137】
上記第4実施形態では、4枚のミラーからなる第1及び第2光学系91,92を用いているが、ウェブ11の後方に位置する標準板までレーザ光24を導くことができれば、ミラーの数は適宜変更してもよい。また、ミラーの代わりにプリズム等の各種光学系を用いてもよい。また、受光ユニットがウェブ11の幅方向に3個以上並べて設けられていてもよい。この場合も、ウェブ11の後方に位置する標準板にレーザ光24が照射されるように、光学系を適宜配置する。
【0138】
次に、図26を用いて本発明の第5実施形態の表面検査装置105について説明を行う。表面検査装置105は、基本的には上記第1実施形態の表面検査装置10と同じ構成である。ただし、表面検査装置105の信号処理回路15にはノイズ調整回路106が設けられている。なお、ノイズ調整回路106以外の表面検査装置105の各部については、第1実施形態で説明した通りであり、図23中では適宜図示を省略している。
【0139】
ノイズ調整回路106は、PMT32からの受光信号に基づき、散乱光、スリット通過光、フィルタ透過光以外のレーザ光24の漏れ光がPMT32に入射することで受光信号に発生するノイズが所定レベル以下に収まるように、ゲイン調整回路51を制御する。受光信号に発生するノイズのレベルは、PMT32に入射する漏れ光の量に応じて変化する。このため、ノイズ調整回路106は、PMT32からの受光信号を解析してPMT32で受光した漏れ光の量を求め、この漏れ光の量に応じて、ゲイン調整回路51を制御してPMT32のゲインを調整する。例えば、受光信号に発生するノイズのレベルが高い場合には、各PMT32のゲインを下げることにより、ノイズのレベルを低下させる。
【0140】
また、ノイズ調整回路106は、ゲイン調整を行う際に、PMT32に入射するスリット通過光やフィルタ透過光の光量の影響を受けないように、PMT32のゲインの調整を行う。具体的には、検査幅設定回路55から上述の姿勢判定幅領域信号Y、検出力判定幅領域信号Zが出力されていないときにゲインの調整を行う。これにより、PMT32に入射する漏れ光の光量には、スリット通過光やフィルタ透過光の光量が含まれないので、適切にゲイン調整を行うことができる。
【0141】
上記各実施形態では、ポリゴンミラー22を用いてレーザ光24を走査する投光器12を例に挙げて説明を行ったが、ウェブ11の幅方向にレーザ光24等の検査光を走査することができれば、各種投光器を用いてよい。
【0142】
上記各実施形態では、標準板39L,39Rにスリット穴42,43を形成しているが、ウェブ11の表面検査を行わない表面検査装置のテスト環境時には、スリット穴42,43が全面にわたって形成されたマスクを用いてもよい。これにより、マスク中心線Cと走査線Lのずれ量を把握して高精度ポリゴンミラーを選定したり、レーザ光24の振れ量の把握や、走査線Lの中央部と端部とでのレーザ光24の位置変化の把握が可能となる。
【0143】
上記各実施形態では、スリット透過光を受光器30で受光した結果に基づき、姿勢制御回路61が姿勢調整機構14を駆動して、走査線Lとマスク中心線Cのずれを自動補正しているが、例えば、作業者が図10(C)や図13に示すような二値化信号を見ながら手動で補正を行ってもよい。
【0144】
上記各実施形態では、濃度板44が濃度フィルタF1〜F10で構成されているが、例えば光学濃度Dがマスク37の長手方向に沿って変化する1枚のフィルタを代わりに用いてもよい。
【0145】
上記各実施形態では、走査線Lに対するマスク中心線Cのずれを検出するためのスリット穴42,43を標準板39L,39Rに設けているが、例えば図27(A)に示すように、スリット穴42,43の代わりにスリット穴110,111と遮光部112とを標準板39L,39Rに設けてもよい。スリット穴110,111は、略平行四辺形状であり、遮光部112を挟んで互いに鏡像関係にある。
【0146】
遮光部112は、マスク37の長手方向に沿う幅が図中下方向から上方向に向かって次第に広くなるような略台形状を有している。この場合、(B)に示すように、上記各実施形態とは逆にレーザ光24がスリット穴形成領域46上を走査しているときの二値化信号のハイレベル信号の時間幅WL1,WL2,WR1,WR2はマスク中心線Cの位置ずれ量Δhに関らず一定となる。
【0147】
これに対して、二値化信号のローレベル信号の時間幅WL3,WR3は位置ずれ量Δhに応じて変化する。また、時間幅WL3,WR3は、マスク中心線Cの傾きずれ量θに応じて変化する。従って、この場合は図28に示すように、ローレベル信号の時間幅WL3,WR3と、位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θとを対応付けた姿勢調整用テーブル113を予め作成しておく。これにより、レーザ光走査時に検出される二値化信号のローレベル信号の時間幅WL3,WR3から、現在の位置ずれ量Δh及び傾きずれ量θを上記第1実施形態と同じ方法で求めることができる。なお、姿勢調整用テーブル113には、位置ずれ量Δhや傾きずれ量θにそれぞれ対応するハイレベル信号の時間幅WL1,WL2,WR1,WR2も格納してもよい。
【0148】
上記各実施形態で標準板39L、39Rに設けるスリット穴42,43の形状や遮光部112の形状は、走査線Lに対するマスク中心線Cのずれに応じて走査線Lと交差する部分の幅が変化する形状であれば特に限定はされない。
【0149】
上記各実施形態では、姿勢調整機構14により受光ユニット13の姿勢を調整することで、走査線Lとマスク中心線Cのずれを補正する場合について説明したが、例えば図29に示すように、姿勢調整機構14の代わりに投光器12の姿勢を調整する姿勢調整機構120を設けてもよい。なお、投光器12の姿勢調整処理の流れは、上記第1実施形態で説明した受光ユニット13の姿勢調整処理の流れと基本的に同じであるため説明は省略する。投光器12の姿勢調整を行うことで、レーザ光の走査線Lをマスク中心線Cにあわせることができるので、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、受光ユニット13及び投光器12のいずれか一方の姿勢調整を行うのではなく、両者の姿勢調整を同時に行ってもよい。
【0150】
上記各実施形態では、受光器30とマスク37と標準板39L,39Rとが一体化されている場合について説明を行ったが、受光器30と、マスク37及び標準板39L,39Rとが別体に設けられていてもよい。この場合は、マスク37及び標準板39L,39Rが一体に移動可能な構成になっており、これらの姿勢を姿勢調整機構により調整することで、走査線Lとマスク中心線Cのずれを補正することができる。
【0151】
上記各実施形態では、ウェブ11の表面検査を行う表面検査装置を例に挙げて説明を行ったが、マスク受光方式によりフィルムや板ガラス等の透明な被検査体の表面検査を行う各種の表面検査装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0152】
10,75,88,105 表面検査装置
11 ウェブ
12 投光器
13,89,90 受光ユニット
14 姿勢調整機構
15 信号処理回路
16 制御装置
30 受光器
32 PMT
37,70 マスク
39L,39R 標準板
42,43 スリット穴
44 濃度板
71 プリズム
77L,77R 模擬欠陥確認用板
78 第1模擬欠陥パターン
79 第2模擬欠陥パターン
91 第1光学系
92 第2光学系
106 ノイズ調整回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続走行する被検査体に対し検査光を照射するとともに、前記検査光を前記被検査体の幅方向に走査する投光器と、
前記幅方向に長く延びた形状を有し、前記被検査体を正透過した前記検査光を遮光するマスクと、
前記マスクと共に移動可能に設けられ、前記被検査体の幅の外側を通る前記検査光が照射される標準板であって、前記検査光を遮光する遮光部と、前記検査光が通過するスリット穴とを備えるとともに、前記遮光部及び前記スリット穴の少なくともいずれか一方は、前記検査光の走査線に対する前記マスクの中心線のずれに応じて前記走査線と交差する部分の幅が変化する形状を有している標準板と、
前記マスクに対し前記被検査体とは反対側に設けられ、前記幅方向に長く延びており、前記被検査体の欠陥により当該被検査体を散乱透過して前記マスクの上方または下方から入射する前記検査光の散乱光と、前記スリット穴を通って入射する前記検査光のスリット通過光とをそれぞれ光電的に検出する受光器と、
前記受光器による前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記検査光の走査線に対する前記マスクの中心線のずれを検出するずれ検出手段と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記ずれ検出手段は、前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記ずれの量及び方向を検出することを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記受光器で前記スリット透過光を検知する検知時間、及び前記スリット透過光が検知されない非検知時間の少なくともいずれか一方と、前記ずれの量及び方向との対応関係を記憶する記憶手段を備え、
前記ずれ検出手段は、前記スリット通過光の検出結果に基づき、前記記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して、前記ずれの量及び方向を検出することを特徴とする請求項2記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記ずれ検出手段による前記ずれの量及び方向の検出結果に基づき、前記ずれが補正されるように、前記マスク及び標準板の姿勢と、前記投光器の姿勢との少なくともいずれか一方を調整可能な姿勢調整手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記マスク及び標準板は、前記受光器と共に移動可能に設けられており、
前記姿勢調整手段は、前記受光器の姿勢を調整することを特徴とする請求項4記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記標準板に設けられ、前記マスクの長手方向に沿って前記検査光に対する透過濃度が変化するフィルタ板と、
前記フィルタ板を透過した前記検査光のフィルタ透過光を前記受光器で検出した結果に基づき、前記投光器から照射される前記検査光の出力及び/又は前記受光器のゲインを適正に制御する制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記フィルタ板は、前記マスクの長手方向に沿って一列に配列された前記透過濃度が異なる複数の濃度フィルタからなり、前記複数の濃度フィルタは、前記マスクの長手方向に沿って次第に濃度が変化するように配列されていることを特徴とする請求項6記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記スリット穴は、前記マスクの長手方向に沿う幅が、前記マスクの短手方向に沿って次第に広がる、あるいは狭まるように略三角形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項9】
前記標準板には、前記マスクの長手方向及び短手方向に平行な辺を有する矩形状の開口と、前記開口の互いに対向する一組のコーナ部を結ぶ直線に沿って当該開口を2分割する遮光性の仕切り部とが設けられており、
前記スリット穴は、前記仕切り部により2分割された前記開口であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項10】
前記標準板は、前記被検査体の幅の両外側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項11】
前記受光器及び前記マスクは、それぞれ前記幅方向に複数設けられているとともに、前記標準板は、前記受光器の両端部に対向する位置にそれぞれ設けられており、
前記投光器から出射される前記検査光を、前記被検査体の幅の外側を通って、前記投光器から見て前記被検査体の後方に位置にする前記標準板へ導く光学系を備えることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項12】
前記マスクは、前記標準板と前記受光器の間の空間まで延びており、
前記標準板と前記マスクとの間には、前記標準板を通った光を前記受光器まで導く導光部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし11いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項13】
前記被検査体の幅の外側かつ前記検査光の走査範囲内に、スリット状の模擬欠陥パターンが形成された模擬欠陥確認用板を備えており、
前記受光器は、前記模擬欠陥パターンを通過した前記検査光のパターン通過光を光電的に検出することを特徴とする請求項1ないし12いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項14】
前記受光器から出力される受光信号から、前記検査光が前記被検査体上を走査している第1の期間に相当する受光信号を選択的に出力する信号出力手段と、
前記信号出力手段から出力される前記受光信号に基づき、前記被検査体の欠陥を検出する欠陥検出手段と、
予め定められた期間内に、前記検査光が前記被検査体及び前記模擬欠陥確認用板上を走査している第2の期間に相当する受光信号が前記信号出力手段から出力されるように、当該信号出力手段を制御する信号出力制御手段と、
前記信号出力手段から前記第2の期間に相当する受光信号が出力されているときに、前記欠陥検出手段が前記模擬欠陥パターンに対応する欠陥を検出するか否かに基づいて、前記被検査体の欠陥を検出する機能が正常であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項13記載の表面検査装置。
【請求項15】
前記模擬欠陥確認用板には、前記パターン通過光の光量が異なる少なくとも2種類以上の前記模擬欠陥パターンが形成されていることを特徴とする請求項13または14記載の表面検査装置。
【請求項16】
前記標準板と前記模擬欠陥確認用板とが一体化していることを特徴とする請求項13ないし15いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項17】
前記マスク及び標準板が一体化していることを特徴とする請求項1ないし16いずれか1項記載の表面検査装置。
【請求項18】
前記受光器への漏れ光の入射により発生するノイズが所定レベル以下に収まるように、前記受光器に入射した漏れ光の量に応じて当該受光器のゲインを調整するノイズ調整手段を備え、
前記ノイズ調整手段は、前記スリット通過光及び前記フィルタ透過光が前記受光器に入射しない期間に前記ゲインの調整を行うことを特徴とする請求項6ないし17いずれか1項記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−185902(P2011−185902A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54472(P2010−54472)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】