袋体およびその製造方法
【課題】長期に渡って密閉性の高い袋体を提供する。
【解決手段】片面に熱溶着層を有する1枚の外被材を半分に折り曲げ、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状にし、その筒を押しつぶすことにより密着した一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した、芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層に、熱溶着層の厚さが比較的薄い薄肉部と薄肉部の両端に位置し熱溶着層の厚さが比較的厚い厚肉部からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた。
【解決手段】片面に熱溶着層を有する1枚の外被材を半分に折り曲げ、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状にし、その筒を押しつぶすことにより密着した一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した、芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層に、熱溶着層の厚さが比較的薄い薄肉部と薄肉部の両端に位置し熱溶着層の厚さが比較的厚い厚肉部からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期にわたって優れた密閉性能を維持する袋体と、その袋体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、菓子などの食品あるいは薬等を密閉袋へ収納し長期保存を可能としたり、密閉袋に繊維体を真空密閉し真空断熱材としたり、袋体の密閉技術が広く用いられている。
【0003】
ここで、真空断熱材を例に説明する。深刻な地球環境問題である温暖化への対策として、家電製品や設備機器並びに住宅などの建物の省エネルギー化を推進する動きが活発となっており、優れた断熱効果を長期的に有する真空断熱材が、これまで以上に求められている。
【0004】
真空断熱材とは、グラスウールやシリカ粉末などの微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外被材で覆い、外被材の内部を減圧密封したものである。真空断熱材は、外被材の内空間を高真空に保ち、気相を伝わる熱量を出来る限り小さくすることにより、高い断熱効果の発現を可能としたものである。よって、その優れた断熱効果を長期にわたって発揮するためには、真空断熱材内部(外被材の内部)の高い真空度を維持する技術が極めて重要となる。
【0005】
真空断熱材内部の真空度を維持する方法として、気体吸着剤や水分吸着剤を、芯材とともに真空断熱材内部に減圧密封する方法が、一般的に用いられている。これによって、真空包装後に芯材の微細空隙から真空断熱材中へ放出される残存水分や、外気から外被材を透過して経時的に真空断熱材内へ浸透する水蒸気や酸素等の大気ガスを、除去することが可能となる。
【0006】
しかし、現存の吸着剤の吸着能力を考慮すると、高い断熱効果を長期的に維持する真空断熱材を提供するには、吸着剤の使用だけでは不十分であるといえ、真空断熱材内部へ浸透する大気ガス量自体を抑制する手段を講じる必要がある。
【0007】
ここで、外気から真空断熱材内部へ侵入するガス経路について述べる。
【0008】
真空断熱材は、例えば、外被材の上に芯材を置き、芯材を包むように外被材を折り返し、折り曲げた部分から遠い方の外被材周縁の対向する2辺を熱溶着して筒状とし、さらに筒の一方の開口部となる辺を熱溶着して袋状とし、真空包装機を用いて外被材の袋内部を真空引きしながら、袋の残りの開口部を熱溶着することによって製造される。
【0009】
外被材には、通常、最内層に低密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる熱溶着層、中間層にアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムなどのバリア性を有する材料からなるガスバリア層、そして最外層にはナイロンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムなどの表面保護の役割を果たす表面保護層を、接着剤を介して積層したラミネートフィルムを用いる。
【0010】
この場合、外気から真空断熱材内部へ透過する大気ガスは、外被材表面のアルミニウム箔のピンホールや蒸着層の隙間などを透過してくる成分と、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分から封止部を通って内部に透過してくる成分との2つに分類される。
【0011】
このうち、熱溶着層を構成している熱可塑性樹脂は、ガスバリア層と比べると気体透過度および透湿度が極めて高いことから、真空断熱材内部へ経時的に侵入する大気ガス量のうち、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分から封止部を通って内部に透過したものが大半を占める。
【0012】
よって、長期にわたって優れた断熱性能を有する真空断熱材の提供には、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分からの大気ガス浸透量抑制が不可欠であり、その効果的な手法が課題とされてきた。
【0013】
特に、袋がピロータイプの場合は、背シ−ル部分でスルーホールの発生が多く、課題がより顕著であった。
【0014】
この課題に対して、ピロータイプの袋の上部及び下部のエンドシ−ル部分において、背シ−ル部分を含む中央部分のシール幅を、両サイドのシ−ル幅よりも幅広く形成したピロータイプの袋について報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
図11は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の製造工程を示す斜視図である。図12は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の平面図である。図13は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋のエンドシ−ル部分における要部拡大断面図である。
【0016】
図11に示すように、ピロータイプの袋115は、外被材111を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着して背シール部分116を形成して筒状に形成し、一方の開口部の辺117を熱溶着し、他方の開口部から充填物112をピロータイプの袋115内に挿入し、最後に、残りの開口部の辺118を熱溶着し形成されている。
【0017】
図12と図13に示すように、一方の開口部の辺117及び残りの開口部の辺118を熱溶着する際は、一方の開口部の辺117及び残りの開口部の辺118と背シール部分116を折り曲げて重ねて熱溶着し、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成してエンドシ−ル部分119を形成している。
【0018】
これにより、図13に示すように、エンドシ−ル部分119において、スルーホール113の発生を抑制でき、外被材111の端面の熱溶着層から内部へのガス侵入を抑制することで長期に渡って優れた断熱性能を発揮できるとされている。
【0019】
また、熱溶着技術として、封止部における熱溶着層の一部を薄肉にした薄肉部を設けた真空断熱材が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
図14は、特許文献2に記載された従来の真空断熱材の断面図である。図15は、特許文献2に記載された従来の真空断熱材において加熱圧縮治具で薄肉部を形成している状態を示す断面図である。
【0021】
図14に示すように、真空断熱材101は、ガスバリア層102と熱溶着層103とを有する外被材104の封止部分の熱溶着層103の一部が薄肉になっている。この薄肉部105は、図15に示すような封止冶具106を用いて、封止部分における外被材104の一部を特に強く加圧することにより形成されたもので、外被材104の全周を取り巻くように形成されている。
【0022】
従来の構成は、薄肉部105によって外被材104周縁の端面から侵入するガスの透過抵抗が増大し、内部へのガス侵入を抑制することで長期に渡って優れた断熱性能を発揮できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平6−127556号公報
【特許文献2】実開昭62−141190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、ピロータイプの袋115は、エンドシ−ル部分119において、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成しているため、充填物の収容容積が小さかった。また、熱溶着の詳細な形状については述べられていないものの、熱溶着が平面で行われている場合は、スルーホール113の発生を抑制することも不十分であった。
【0025】
そのため、充填物の収容容積が小さく、また、スルーホール113から、経年的に大気ガス成分のピロータイプの袋115内部への侵入が促進されるという課題があった。また、この課題はピロータイプの袋に限らず、他の密封袋においても同様の課題があった。
【0026】
また、上記特許文献2の構成では、薄肉部105における外被材104の詳細な形状については述べられていないものの、薄肉部105に、図15に示されるような外被材104の両面に角部107を有している場合は、真空断熱材101製造時および取り扱い時に、角部107において、外被材104、特にガスバリア層102にクラックが発生する。このクラックから、経年的に大気ガス成分の真空断熱材101内部への侵入が促進されるという課題があった。また、この課題は真空断熱材101に限らず、他の密封袋においても同様の課題があった。
【0027】
ここで、角部107とは、封止部を外被材104の周縁に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、薄肉部105の境界及びその近傍に生じる、熱溶着層103の厚み変化に伴い形成される角形状となった部位(曲率が大きい部位)を指す。
【0028】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑み、充填物の収容容積が大きく、封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、本発明の袋体は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたのである。
【0030】
上記構成において、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0031】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0032】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0033】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0034】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0035】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0037】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0038】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0039】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0040】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0041】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1における袋体を用いた真空断熱材の断面図
【図2】同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図3】同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の製造工程を示す斜視図
【図4】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態2における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図6】同実施の形態の袋体における折り曲げ部と対向する辺の封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図8】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態4における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図10】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図11】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の製造工程を示す斜視図
【図12】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の平面図
【図13】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋のエンドシ−ル部分における要部拡大断面図
【図14】特許文献2に記載された従来の真空断熱材の断面図
【図15】特許文献2に記載された従来の真空断熱材において加熱圧縮治具で薄肉部を形成している状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
第1の発明は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体である。
【0044】
これにより、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0045】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0046】
また、充填物を入れる前の袋のみを作成する際に対し、充填物を入れた後に熱溶着する方が、外被材の折り曲げ部において、外被材を折り曲げにくくなり、より、スルーホールが発生しやすくなるが、熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、容易に密着できる。
【0047】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0048】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0049】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0050】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0051】
加えて、袋体作成後の、外被材の外周部に位置する熱溶着された辺を折り曲げる後加工において、シール溝部に設けられた薄肉部により、折り曲げ加工が容易になる。
【0052】
さらに加えて、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、外被材端面から熱溶着された辺の熱溶着層を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺の透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材の外周部に形成する熱溶着された辺の幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する袋体に使用する外被材の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0053】
次に袋体の構成材料について説明する。
【0054】
外被材を構成する熱溶着層としては、特に指定されるものではないが、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの混合フィルム等が使用できる。
【0055】
充填物は、その種類について特に指定するものではないが、気層比率90%前後の多孔体であり、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォームなどの連続気泡体や、グラスウールやロックウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などの繊維体、パーライトや湿式シリカ、乾式シリカなどの粉体など、従来公知の充填物が使用できる。
【0056】
吸着剤は、その種類について特に指定するものではないが、充填物や外被材の残留ガス成分や、袋体内へ侵入する水分や気体を吸着するもので、酸化カルシウム、ゼオライト、シリカゲルなどのガス吸着剤や水分吸着剤等のゲッター物質で、袋体の真空度を下げる作用や維持する作用があるものであれば使用できる。
【0057】
外被材に使用するラミネート接着剤については、特に指定するものではないが、2液硬化型ウレタン接着剤等の従来公知のラミネート用接着剤もしくはエポキシ系樹脂接着剤が使用できる。
【0058】
なお、凹部とは、外被材の外周部同士が熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹んでいる部分を指し、熱溶着層と熱溶着層の外側に隣接する他の層との境界線(境界面)が熱溶着層側へ少なくとも二つの凸となる部分を指す。
【0059】
なお、凹部の最深部とは、凹部を形成している凹状の点群のうち、対向する境界面上の点との間に位置する熱溶着層の厚みが、最も薄い箇所に位置する点部を指す
第2の発明は、特に、第1の発明において、一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体である。
【0060】
これにより、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部が形成されるため、さらに長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0061】
第3の発明は、特に、第1の発明において、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする袋体である。
【0062】
これにより、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が、さらに極めて抑制される。
【0063】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0064】
さらに、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0065】
第4の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも小さくしたことを特徴とする袋体である。
【0066】
これにより、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも小さくしたことにより、厚肉部の幅が大きく、薄肉部を押さえた時に伴う樹脂の移動箇所の容積が大きく設けられ、薄肉部同士の間に位置する外被材が受ける負荷が緩和され、外被材の破れを極めて起きにくくする。
【0067】
また、薄肉部の外被材の厚みを極限に近いところまで薄くできるので、薄肉部1ケ所当りの密閉性が大きくなり、単位幅当りでの薄肉部の数を少なくできる。さらに、凹凸が少なくなり、ほこりや異物が溜まりにくくなる。
【0068】
第5の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことを特徴とする袋体である。
【0069】
これにより、薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことにより、単位幅当りで凹部が多く設けられるため、凹部の1カ所で熱溶着不良が発生しても、残りの凹部で熱溶着が実施されているために、ガス侵入を最小限に止めることができる。特に、充填物としてガラス繊維を用いた場合は、挟雑物として熱溶着の際に挟み込まれた芯材物質が加熱変形し、薄肉部にスルーホールを形成することが多々あることから、本発明の効果がより顕著となる。
【0070】
第6の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を、前記厚肉部の幅よりも大きくしたことを特徴とする袋体である。
【0071】
これにより、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも大きくしたことにより、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量がさらに抑制され、さらに長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0072】
また、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも大きくしたことにより、外被材同士が熱溶着される際に、外被材同士の間に存在する空気が逃げやすく、厚肉部へのボイド発生が抑制される。
【0073】
第7の発明は、特に、第1から6のいずれかの発明において、最も外側寄りの厚肉部の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする袋体である。
【0074】
これにより、最も外側寄りの厚肉部の厚さが外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことにより、最も外側寄りの厚肉部の外被材同士の接着強度が大きく、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、密閉性がさらに向上する。
【0075】
第8の発明は、特に、第1から7のいずれかの発明において、最も内側寄りの厚肉部の厚さを、最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする袋体である。
【0076】
これにより、最も内側寄りの厚肉部の厚さが最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことにより、最も内側寄りの厚肉部の外被材同士の接着強度が大きく密閉性がさらに向上するため、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、最も内側寄りの厚肉部以外の箇所で熱溶着層のはがれが発生しても、ガス侵入を最小限に止めることができる。
【0077】
第9の発明は、特に、第1から8のいずれかの発明において、袋体に入れる充填物が、ガラス繊維からなることを特徴とする袋体である。
【0078】
これにより、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、充填物がガラス繊維からなることにより、単位厚み当りの熱伝導率を小さくでき、断熱性能の高い袋体を提供できる。
【0079】
第10の発明は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、充填物を入れた後に、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法である。
【0080】
これにより、一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部を設けた、充填物が入った袋体を提供できる。
【0081】
また、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0082】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0083】
また、充填物を入れる前の袋のみを作成する際に対し、充填物を入れた後に熱溶着する方が、外被材の折り曲げ部において、外被材を折り曲げにくくなり、より、スルーホールが発生しやすくなるが、熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、容易に密着できる。
【0084】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0085】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0086】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0087】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0088】
加えて、袋体作成後の、外被材の外周部に位置する熱溶着された辺を折り曲げる後加工において、シール溝部に設けられた薄肉部により、折り曲げ加工が容易になる。
【0089】
さらに加えて、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、外被材端面から熱溶着された辺の熱溶着層を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺の透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材の外周部に形成する熱溶着された辺の幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する袋体に使用する外被材の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0090】
第11の発明は、特に、第10の発明において、一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法である。
【0091】
これにより、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部を設けた袋体を提供できる。
【0092】
また、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部を設けたため、さらに長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0093】
第12の発明は、特に、第10の発明において、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする袋体の製造方法である。
【0094】
これにより、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部が形成されない袋体を提供できる。
【0095】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が、さらに極めて抑制される。
【0096】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0097】
さらに、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0098】
以下、本発明の実施の形態について、真空断熱材を例にして、図面を参照しながら説明する。先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略するものとする。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、袋体の用途は、真空断熱材に限るものではない。
【0099】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における袋体を用いた真空断熱材の断面図であり、図2は、同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図3は、同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の製造工程を示す斜視図であり、図4は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0100】
図1から図4に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、芯材2と芯材2内に配置された吸着剤3と、芯材2と吸着剤3を覆う外被材4からなり、外被材4の間に芯材2と吸着剤3が減圧密封され、芯材2を覆う外被材4の周縁近傍の外周部同士が熱溶着されている。
【0101】
外被材4は、外層側から、表面保護層5と、ガスバリア層6と、熱溶着層7とが積層されてなる。また、外被材4の周囲辺(外周部)の一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31と残りの開口部の辺34Bには、外被材4の有する熱溶着層同士を溶融し貼り合わせた封止部8があり、封止部8の3辺のうち、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有している。
【0102】
ここで、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の形状について説明する。
【0103】
図4に示すように、シール溝部33は封止部8にあり、薄肉部9と厚肉部32,35,36からなる。薄肉部9は凹部の最深部に位置し、薄肉部9の熱溶着層7は封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7の厚さ(平均的な熱溶着層7の厚さ)よりも薄くなっている。厚肉部32,35,36は薄肉部9の両端に位置し、厚肉部32の熱溶着層7は封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7の厚さ(平均的な熱溶着層7の厚さ)よりも厚くなっている。
【0104】
また、最も外側寄りの厚肉部35の厚さが、外周37と最も外側寄りの厚肉部35の間に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くなっている。
【0105】
また、最も内側寄りの厚肉部36の厚さが、最も内側寄りの厚肉部36よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くなっている。
【0106】
また、凹部は外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が二つの凹部を有している。また、薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっている。
【0107】
また、充填物の芯材2は、ガラス繊維の集合体からなる芯材2である。
【0108】
外被材4は、熱溶着層7として厚み50μmの直鎖低密度ポリエチレンフィルムを、ガスバリア層6として厚み6μmのアルミニウム箔を、また表面保護層5として、厚み15μmと25μmのナイロンフィルム2層を積層してなる。吸着剤3は酸化カルシウムからなる。ガスバリア層は、アルミ蒸着フィルムを適用しても良く、また、アルミ蒸着フィルムとアルミニウム箔を組み合わせて適用しても良い。
【0109】
次に、本実施の形態1の真空断熱材1の製造方法の一例を、図1〜図4に基づき説明する。
【0110】
まず、図3において、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4の熱溶着層7同士が対向するように外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、筒を押しつぶすことにより密着した一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を、それぞれ重ねて熱溶着する。この際に、折り曲げ部と対向する辺31を折り曲げて、一方の開口部の辺34Aに重ねて熱溶着している。
【0111】
これらの熱溶着時に、凸部10を有する金属製の上側加熱圧縮冶具22とシリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23で外被材4を挟むように加熱圧縮し、図4に示す形状の薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0112】
このようにして、残りの開口部の辺34Bが開口した袋を作成する。
【0113】
また、図4において、上側加熱圧縮冶具22の凸部10の幅は、上側加熱圧縮冶具22の凸部10の間に挟まれた凹部の幅よりも小さい。
【0114】
ここで、図示しないが凸部10のコーナーはR形状である。
【0115】
この際、上側加熱圧縮冶具22の温度T1、下側加熱圧縮冶具23の温度T2、熱溶着時間S、熱溶着圧力Pのそれぞれの好ましい条件(値)は、上側加熱圧縮冶具22の温度T1は200〜260℃、下側加熱圧縮冶具23の温度T2は70〜110℃、熱溶着時間Sは1.5〜4.5秒、熱溶着圧力Pは0.2〜0.6MPaである。ただし、外被材4の材質により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0116】
ここで、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)を20mmとし、薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さく形成する。ただし、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)は、密閉性により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0117】
また、薄肉部9の幅9Wが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9の幅9Wが大きすぎると熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9の幅9Wは0.3〜2mm、厚肉部32の幅32Wは、0.8〜15mmが好ましい。ただし、薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wは、薄肉部9の数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0118】
この後、外被材4の残りの開口部の辺34Bから、袋内にガラス繊維からなり予め内部に吸着剤3を入れた芯材2を挿入し、袋内部を約200Pa以下に減圧しながら、外被材4の残りの開口部の辺34Bを熱溶着させて密封することにより真空断熱材1を得る。
【0119】
ここで、芯材2を袋内に挿入する際には、芯材を袋の開口部の辺34A近傍まで、図3に図示した矢印のように、袋の奥に挿入する。
【0120】
この残りの開口部の辺34Bの熱溶着時には、先ほど一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着した熱溶着方法と同様に、金属製の上側加熱圧縮冶具22とシリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23で外被材4を挟むように加熱圧縮し、図4に示す形状の薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0121】
また、残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着する際は、先ほど一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着した方法と同様に、折り曲げ部と対向する辺31を折り曲げて、残りの開口部の辺34Bに重ねて熱溶着している。
【0122】
すなわち、熱溶着された辺は3辺あり、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成したことになる。
【0123】
言い換えると、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部11の2カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)ことになる。
【0124】
ここで、図2に示す通り、真空断熱材1の外周の4辺の内の2辺には熱溶着層7同士を熱溶着したヒレ状の突起は形成されていない。
【0125】
ここで、上側加熱圧縮冶具22には凸部10が存在するが、シリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23には凸部は存在せず、平面又はほぼ平面である。しかし、封止部8のシール溝部33を形成後は、薄肉部9が形成されたために、シリコンゴム21に近い方の外被材4は、緩やかに波うちを有した形状になる。
【0126】
なお、シール溝部33を形成する際の熱溶着に関しては、厚肉部32、最も外側寄りの厚肉部35、最も内側寄りの厚肉部36は、封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、押さえをあまくしている。
【0127】
また、一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31と残りの開口部の辺34Bは、最終的には熱溶着されるため、言い換えると、熱溶着された辺でもある。
【0128】
なお、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺全てに、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成したが、3辺の内、一方の開口部の辺34Aのみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0129】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、残りの開口部の辺34Bのみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0130】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31のみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0131】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31のみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0132】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材1は、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)。
【0133】
これにより、熱溶着された辺34A,31,34Bに、熱溶着層7の厚みが局所的に薄い薄肉部9を設けていることにより、外被材4の折り曲げ部の熱溶着層7同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材1内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0134】
言い換えると、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、充填物である芯材2を入れた後に、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)真空断熱材1の製造方法を実施した。
【0135】
これにより、熱溶着された辺34A,31,34Bに、熱溶着層7の厚みが局所的に薄い薄肉部9を設けていることにより、外被材4の折り曲げ部の熱溶着層7同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材1内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0136】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物である芯材2の収容容積が大きい真空断熱材1を提供することができる。
【0137】
また、熱溶着層7の薄肉部9において、外被材4周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0138】
また、熱溶着された辺34A,31,34Bに位置する外被材4の少なくともいずれか一つは、熱溶着層7に少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層7より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺34A,31,34Bの薄肉部9およびその近傍において、熱溶着層7の形状に沿って曲がるが、外被材4の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層7より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0139】
さらに、熱溶着層7の薄肉部9においては、熱溶着層7の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層7が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層7の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層7の薄肉部9において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着層7の薄肉部9及びその近傍の外被材4におけるクラック発生や熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の破断が極めて抑制される。
【0140】
以上により、熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8に設けた熱溶着層7の薄肉部9及びその近傍において、クラック発生や熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の破断が極めて抑制され、長期に渡って優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0141】
加えて、真空断熱材1作成後の、外被材4の外周部に位置する熱溶着された辺34A,31,34Bを折り曲げる後加工において、シール溝部33に設けられた薄肉部9により、折り曲げ加工が容易になる。
【0142】
さらに加えて、外被材4端面から熱溶着された辺34A,31,34Bの熱溶着層7を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺34A,31,34Bの透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材4の外周部に形成する熱溶着された辺34A,31,34Bの幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する真空断熱材1に使用する外被材4の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0143】
また、薄肉部9と薄肉部9の間に挟まれた薄肉部9よりも厚い厚肉部32において、薄肉部9の幅9Wを厚肉部32の幅32Wよりも小さくしているため、厚肉部32の幅32Wが大きく、薄肉部9を押さえた時に伴う樹脂(熱溶着層7を構成する樹脂)の移動箇所の容積が大きく設けられ、隣接する薄肉部9同士の間に位置する外被材4が受ける負荷が緩和され、外被材4の破れを極めて起きにくくする。
【0144】
また、薄肉部9の外被材4の厚みを極限に近いところ(熱溶着層7の厚みがほとんど無くなるくらい)まで薄くできるので、薄肉部9の1ケ所当りの密閉性が大きくなり、単位幅当りでの薄肉部9の数を少なくできる。さらに、凹凸が少なくなり、ほこりや異物が溜まりにくくなる。
【0145】
また、最も外側寄りの厚肉部35の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部35の間に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くしているため、最も外側寄りの厚肉部35の外被材4同士の接着強度が大きく、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、密閉性がさらに向上する。
【0146】
また、最も内側寄りの厚肉部36の厚さを、最も内側寄りの厚肉部36よりも内側に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くしているため、最も内側寄りの厚肉部36の外被材4同士の接着強度が大きく密閉性がさらに向上するため、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、最も内側寄りの厚肉部36以外の箇所で熱溶着層7のはがれが発生しても、ガス侵入を最小限に止めることができる。
【0147】
また、充填物(芯材2)がガラス繊維からなることにより、単位厚み当りの熱伝導率を小さくでき、断熱性能の高い真空断熱材1を提供できる。
【0148】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図6は、同実施の形態の袋体における折り曲げ部と対向する辺の封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0149】
図5と図6に示した実施の形態2の真空断熱材40と、図1〜図4に示した実施の形態1の真空断熱材1との相違点は、実施の形態1の真空断熱材1には、熱溶着された封止部8の3辺(熱溶着された辺34A,31,34B)のうち、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有していたが、実施の形態2の真空断熱材40は、熱溶着された封止部8,48の3辺(熱溶着された辺34A,31A,34B)のうち、開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bは薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有し、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aは薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有していないことである。
【0150】
図6に示すように、折り曲げ部と対向する辺31Aは、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有しておらず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着し、封止部48を形成している。
【0151】
ここで、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の形状は、実施の形態1と同様である。
【0152】
次に、本実施の形態の真空断熱材40の製造方法を、図5と図6に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0153】
まず、実施の形態1と同様な方法で、熱溶着可能な外被材4の熱溶着層7同士が対向するように外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着する。
【0154】
この折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着時に、金属製の上側加熱圧縮冶具42とシリコンゴム21と下側圧縮冶具43で外被材4を挟むように加熱圧縮し、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着し、図6に示す平面形状の封止部48を形成する。
【0155】
この際、上側加熱圧縮冶具42の温度T1、熱溶着時間S、熱溶着圧力Pのそれぞれの好ましい値(条件)は、上側加熱圧縮冶具42の温度が120〜200℃、熱溶着時間Sが1.5〜3秒、熱溶着圧力Pが0.2〜0.6MPaである。ただし、外被材4の材質により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0156】
次に、外被材4を両端が開口した筒状に形成し、筒を押しつぶすことにより密着した開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着する。この際に、折り曲げ部と対向する辺31Aを折り曲げて、開口部の辺34Aに重ねて熱溶着している。
【0157】
この熱溶着方法は、実施の形態1と同様な方法で、図4に示すシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0158】
このようにして、残りの開口部の辺34Bが開口した袋を作成する。
【0159】
ここで、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)、薄肉部9の幅9W、厚肉部32の幅32Wも、実施の形態1と同様に形成する。
【0160】
ただし、実施の形態1と同様に、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)は、密閉性により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0161】
また、実施の形態1と同様に、薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wは、薄肉部9の数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0162】
ここで、厚肉部32、最も外側寄りの厚肉部35、最も内側寄りの厚肉部36は、封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0163】
この後、外被材4の袋の残りの開口部の辺34Bから、袋内にガラス繊維からなり予め内部に吸着剤3を入れた芯材2を挿入し、袋内部を約200Pa以下に減圧しながら、外被材4の袋の残りの開口部の辺34Bを熱溶着させて密封することにより真空断熱材40を得る。
【0164】
この熱溶着方法は、実施の形態1と同様に、図4に示すシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0165】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材40は、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7または封止部48の熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7または封止部48の熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けていない(形成していない)。
【0166】
これにより、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部48の破断がさらに極めて抑制される。
【0167】
言い換えると、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し熱溶着層7の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、充填物である芯材2を入れた後に、開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部11Aの少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けない(形成しない)真空断熱材40の製造方法を実施した。
【0168】
これにより、充填物としての芯材2を袋内に入れた後に、開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部11Aの少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けない(形成しない)真空断熱材40を提供できる。
【0169】
また、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材4におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部48の破断がさらに極めて抑制される。
【0170】
また、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0171】
さらに、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0172】
また、本実施の形態の真空断熱材40においても、実施の形態1の真空断熱材1と同様の効果が期待できる。
【0173】
以上のとおり、実施の形態1及び実施の形態2で封止部8のシール溝部33を形成した説明を実施したが、以下の実施の形態3及び実施の形態4の様に、シール溝部33の薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wを変えることも可能である。
【0174】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図8は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0175】
図7及び図8に示す実施の形態3の真空断熱材50と、図1〜図4に示す実施の形態1の真空断熱材1との相違点は、実施の形態1の真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wが厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態3の真空断熱材50においては、シール溝部33Aの薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWは、均等又はほぼ均等になっていることである。
【0176】
また、図8に示すように、上側加熱圧縮冶具52の凸部12の幅と、上側加熱圧縮冶具52の凸部12の間に挟まれた凹部の幅は、均等又はほぼ均等である。
【0177】
ここで、図示しないが凸部12のコーナーはR形状である。
【0178】
次に、真空断熱材50の製造方法を、図7及び図8に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法、または実施の形態2の真空断熱材40の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0179】
図7と図8に示す実施の形態3の真空断熱材50と、実施の形態1の図1から図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態3の図8に示す真空断熱材50においては、薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWを均等又はほぼ均等に形成し、図8に示す封止部58を形成する。
【0180】
ここで、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AW以外は、実施の形態1の図1〜図3に示す真空断熱材1と同様な製造条件で作成する。
【0181】
また、薄肉部9Aの幅9AWが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9Aの幅9AWが大きすぎると、熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9Aの幅9AW及び厚肉部32Aの幅32AWは0.5〜5mmが好ましい。ただし、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWは、薄肉部9Aの数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない
ここで、厚肉部32A、最も外側寄りの厚肉部35A、最も内側寄りの厚肉部36Aは、封止部58のシール溝部33A以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0182】
なお、熱溶着条件を含め、他の製造条件には相違点がなく、説明を省略する。
【0183】
以上のように、本実施の形態における真空断熱材50は、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AW以外は、真空断熱材1と同様の製造方法で作製する。
【0184】
また、本実施の形態における真空断熱材50は、開口部の辺34Cと残りの開口部の辺34Dと折り曲げ部と対向する辺31Bに位置する封止部58に設けたシ−ル溝部33Aは、全て同じ形状としたが、実施の形態2における真空断熱材40と同様の製造方法で作製してもかまわない。すなわち、折り曲げ部と対向する辺31Bに位置する封止部58には、シ−ル溝部33Aを設けず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着してもよい。
【0185】
以上のように、本実施の形態において、真空断熱材50は薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWを均等又はほぼ均等に形成したために、単位幅当りで凹部が多く設けられるため、凹部の1カ所で熱溶着不良が発生しても、残りの凹部で熱溶着が実施されているために、ガス侵入を最小限に止めることができる。特に、充填物としてガラス繊維を用いた場合は、挟雑物として熱溶着の際に挟み込まれた芯材物質が加熱変形し、薄肉部にスルーホールを形成することが多々あることから、本発明の効果がより顕著となる。
【0186】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図10は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0187】
図9及び図10に示す実施の形態4の真空断熱材60と、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態4の真空断熱材60においては、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWは、厚肉部32Bの幅32BWよりも大きい。
【0188】
また、図10において、上側加熱圧縮冶具62の凸部13の幅は、上側加熱圧縮冶具62の凸部13の間に挟まれた凹部の幅よりも大きい。
【0189】
ここで、図示しないが凸部13のコーナーはR形状である。
【0190】
次に、真空断熱材60の製造方法を図9及び図10に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法、または実施の形態2の真空断熱材40の製造方法、または実施の形態3の真空断熱材50の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0191】
図9及び図10に示す実施の形態4の真空断熱材60と、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態4の真空断熱材60においては、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWは、厚肉部32Bの幅32BWよりも大きく形成し、図10に示すような封止部68を形成する。
【0192】
ここで、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BW以外は、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1と同様な製造条件で作成する。
【0193】
また、薄肉部9Bの幅9BWが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9Bの幅9BWが大きすぎると、熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9Bの幅9BWは1〜5mm、厚肉部32Bの幅32BWは0.5〜4mmが好ましい。ただし、薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWは、薄肉部9Bの数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0194】
ここで、厚肉部32B、最も外側寄りの厚肉部35B、最も内側寄りの厚肉部36Bは、封止部68のシール溝部33B以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0195】
なお、熱溶着条件を含め、他の製造条件には相違点がなく、説明を省略する。
【0196】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材60は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BW以外は、真空断熱材1と同様の製造方法で作製する。
【0197】
また、本実施の形態の真空断熱材60は、一方の開口部の辺34Eと残りの開口部の辺34Fと折り曲げ部と対向する辺31Cに位置する封止部68に設けたシ−ル溝部33Bは全て同じ形状としたが、実施の形態2の真空断熱材40と同様の製造方法で作製してもかまわない。すなわち、折り曲げ部と対向する辺31Cに位置する封止部68には、シ−ル溝部33Bを設けず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着してもよい。
【0198】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材60は、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWを厚肉部32Bの幅32BWよりも大きくしたことにより、熱溶着層の薄肉部9Bにおいて、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量がさらに抑制され、さらに長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0199】
また、薄肉部9Bの幅9BWを厚肉部32Bの幅32BWよりも大きくしたことにより、外被材4同士が熱溶着される際に、外被材4同士の間に存在する空気が逃げやすく、厚肉部32Bへのボイド発生が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明にかかる袋体は、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、経時的に透過する気体および水分量が抑制できるため、冷蔵庫や自動販売機等へ搭載する真空断熱材や菓子などの食品あるいは薬等の密閉袋のような用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0201】
1,40,50,60 真空断熱材
2 芯材(充填物)
4 外被材
7 熱溶着層
9,9A,9B 薄肉部
11,11A,11B,11C 交わる熱溶着部
31,31A,31B,31C 折り曲げ部と対向する辺
32,32A,32B 厚肉部
33,33A,33B シール溝部
34A,34C,34E 一方の開口部の辺
34B,34D,34F 残りの開口部の辺
35,35A,35B 最も外側寄りの厚肉部
36,36A,36B 最も内側寄りの厚肉部
37 外周
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期にわたって優れた密閉性能を維持する袋体と、その袋体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、菓子などの食品あるいは薬等を密閉袋へ収納し長期保存を可能としたり、密閉袋に繊維体を真空密閉し真空断熱材としたり、袋体の密閉技術が広く用いられている。
【0003】
ここで、真空断熱材を例に説明する。深刻な地球環境問題である温暖化への対策として、家電製品や設備機器並びに住宅などの建物の省エネルギー化を推進する動きが活発となっており、優れた断熱効果を長期的に有する真空断熱材が、これまで以上に求められている。
【0004】
真空断熱材とは、グラスウールやシリカ粉末などの微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外被材で覆い、外被材の内部を減圧密封したものである。真空断熱材は、外被材の内空間を高真空に保ち、気相を伝わる熱量を出来る限り小さくすることにより、高い断熱効果の発現を可能としたものである。よって、その優れた断熱効果を長期にわたって発揮するためには、真空断熱材内部(外被材の内部)の高い真空度を維持する技術が極めて重要となる。
【0005】
真空断熱材内部の真空度を維持する方法として、気体吸着剤や水分吸着剤を、芯材とともに真空断熱材内部に減圧密封する方法が、一般的に用いられている。これによって、真空包装後に芯材の微細空隙から真空断熱材中へ放出される残存水分や、外気から外被材を透過して経時的に真空断熱材内へ浸透する水蒸気や酸素等の大気ガスを、除去することが可能となる。
【0006】
しかし、現存の吸着剤の吸着能力を考慮すると、高い断熱効果を長期的に維持する真空断熱材を提供するには、吸着剤の使用だけでは不十分であるといえ、真空断熱材内部へ浸透する大気ガス量自体を抑制する手段を講じる必要がある。
【0007】
ここで、外気から真空断熱材内部へ侵入するガス経路について述べる。
【0008】
真空断熱材は、例えば、外被材の上に芯材を置き、芯材を包むように外被材を折り返し、折り曲げた部分から遠い方の外被材周縁の対向する2辺を熱溶着して筒状とし、さらに筒の一方の開口部となる辺を熱溶着して袋状とし、真空包装機を用いて外被材の袋内部を真空引きしながら、袋の残りの開口部を熱溶着することによって製造される。
【0009】
外被材には、通常、最内層に低密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる熱溶着層、中間層にアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムなどのバリア性を有する材料からなるガスバリア層、そして最外層にはナイロンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムなどの表面保護の役割を果たす表面保護層を、接着剤を介して積層したラミネートフィルムを用いる。
【0010】
この場合、外気から真空断熱材内部へ透過する大気ガスは、外被材表面のアルミニウム箔のピンホールや蒸着層の隙間などを透過してくる成分と、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分から封止部を通って内部に透過してくる成分との2つに分類される。
【0011】
このうち、熱溶着層を構成している熱可塑性樹脂は、ガスバリア層と比べると気体透過度および透湿度が極めて高いことから、真空断熱材内部へ経時的に侵入する大気ガス量のうち、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分から封止部を通って内部に透過したものが大半を占める。
【0012】
よって、長期にわたって優れた断熱性能を有する真空断熱材の提供には、外被材周縁の端面の熱溶着層が露出している部分からの大気ガス浸透量抑制が不可欠であり、その効果的な手法が課題とされてきた。
【0013】
特に、袋がピロータイプの場合は、背シ−ル部分でスルーホールの発生が多く、課題がより顕著であった。
【0014】
この課題に対して、ピロータイプの袋の上部及び下部のエンドシ−ル部分において、背シ−ル部分を含む中央部分のシール幅を、両サイドのシ−ル幅よりも幅広く形成したピロータイプの袋について報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
図11は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の製造工程を示す斜視図である。図12は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の平面図である。図13は、特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋のエンドシ−ル部分における要部拡大断面図である。
【0016】
図11に示すように、ピロータイプの袋115は、外被材111を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着して背シール部分116を形成して筒状に形成し、一方の開口部の辺117を熱溶着し、他方の開口部から充填物112をピロータイプの袋115内に挿入し、最後に、残りの開口部の辺118を熱溶着し形成されている。
【0017】
図12と図13に示すように、一方の開口部の辺117及び残りの開口部の辺118を熱溶着する際は、一方の開口部の辺117及び残りの開口部の辺118と背シール部分116を折り曲げて重ねて熱溶着し、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成してエンドシ−ル部分119を形成している。
【0018】
これにより、図13に示すように、エンドシ−ル部分119において、スルーホール113の発生を抑制でき、外被材111の端面の熱溶着層から内部へのガス侵入を抑制することで長期に渡って優れた断熱性能を発揮できるとされている。
【0019】
また、熱溶着技術として、封止部における熱溶着層の一部を薄肉にした薄肉部を設けた真空断熱材が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
図14は、特許文献2に記載された従来の真空断熱材の断面図である。図15は、特許文献2に記載された従来の真空断熱材において加熱圧縮治具で薄肉部を形成している状態を示す断面図である。
【0021】
図14に示すように、真空断熱材101は、ガスバリア層102と熱溶着層103とを有する外被材104の封止部分の熱溶着層103の一部が薄肉になっている。この薄肉部105は、図15に示すような封止冶具106を用いて、封止部分における外被材104の一部を特に強く加圧することにより形成されたもので、外被材104の全周を取り巻くように形成されている。
【0022】
従来の構成は、薄肉部105によって外被材104周縁の端面から侵入するガスの透過抵抗が増大し、内部へのガス侵入を抑制することで長期に渡って優れた断熱性能を発揮できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平6−127556号公報
【特許文献2】実開昭62−141190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、ピロータイプの袋115は、エンドシ−ル部分119において、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成しているため、充填物の収容容積が小さかった。また、熱溶着の詳細な形状については述べられていないものの、熱溶着が平面で行われている場合は、スルーホール113の発生を抑制することも不十分であった。
【0025】
そのため、充填物の収容容積が小さく、また、スルーホール113から、経年的に大気ガス成分のピロータイプの袋115内部への侵入が促進されるという課題があった。また、この課題はピロータイプの袋に限らず、他の密封袋においても同様の課題があった。
【0026】
また、上記特許文献2の構成では、薄肉部105における外被材104の詳細な形状については述べられていないものの、薄肉部105に、図15に示されるような外被材104の両面に角部107を有している場合は、真空断熱材101製造時および取り扱い時に、角部107において、外被材104、特にガスバリア層102にクラックが発生する。このクラックから、経年的に大気ガス成分の真空断熱材101内部への侵入が促進されるという課題があった。また、この課題は真空断熱材101に限らず、他の密封袋においても同様の課題があった。
【0027】
ここで、角部107とは、封止部を外被材104の周縁に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、薄肉部105の境界及びその近傍に生じる、熱溶着層103の厚み変化に伴い形成される角形状となった部位(曲率が大きい部位)を指す。
【0028】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑み、充填物の収容容積が大きく、封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、本発明の袋体は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたのである。
【0030】
上記構成において、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0031】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0032】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0033】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0034】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0035】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0037】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0038】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0039】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0040】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0041】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1における袋体を用いた真空断熱材の断面図
【図2】同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図3】同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の製造工程を示す斜視図
【図4】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態2における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図6】同実施の形態の袋体における折り曲げ部と対向する辺の封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図8】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態4における袋体を用いた真空断熱材の平面図
【図10】同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図
【図11】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の製造工程を示す斜視図
【図12】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋の平面図
【図13】特許文献1に記載された従来のピロータイプの袋のエンドシ−ル部分における要部拡大断面図
【図14】特許文献2に記載された従来の真空断熱材の断面図
【図15】特許文献2に記載された従来の真空断熱材において加熱圧縮治具で薄肉部を形成している状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
第1の発明は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体である。
【0044】
これにより、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0045】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0046】
また、充填物を入れる前の袋のみを作成する際に対し、充填物を入れた後に熱溶着する方が、外被材の折り曲げ部において、外被材を折り曲げにくくなり、より、スルーホールが発生しやすくなるが、熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、容易に密着できる。
【0047】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0048】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0049】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0050】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0051】
加えて、袋体作成後の、外被材の外周部に位置する熱溶着された辺を折り曲げる後加工において、シール溝部に設けられた薄肉部により、折り曲げ加工が容易になる。
【0052】
さらに加えて、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、外被材端面から熱溶着された辺の熱溶着層を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺の透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材の外周部に形成する熱溶着された辺の幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する袋体に使用する外被材の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0053】
次に袋体の構成材料について説明する。
【0054】
外被材を構成する熱溶着層としては、特に指定されるものではないが、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの混合フィルム等が使用できる。
【0055】
充填物は、その種類について特に指定するものではないが、気層比率90%前後の多孔体であり、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォームなどの連続気泡体や、グラスウールやロックウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などの繊維体、パーライトや湿式シリカ、乾式シリカなどの粉体など、従来公知の充填物が使用できる。
【0056】
吸着剤は、その種類について特に指定するものではないが、充填物や外被材の残留ガス成分や、袋体内へ侵入する水分や気体を吸着するもので、酸化カルシウム、ゼオライト、シリカゲルなどのガス吸着剤や水分吸着剤等のゲッター物質で、袋体の真空度を下げる作用や維持する作用があるものであれば使用できる。
【0057】
外被材に使用するラミネート接着剤については、特に指定するものではないが、2液硬化型ウレタン接着剤等の従来公知のラミネート用接着剤もしくはエポキシ系樹脂接着剤が使用できる。
【0058】
なお、凹部とは、外被材の外周部同士が熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹んでいる部分を指し、熱溶着層と熱溶着層の外側に隣接する他の層との境界線(境界面)が熱溶着層側へ少なくとも二つの凸となる部分を指す。
【0059】
なお、凹部の最深部とは、凹部を形成している凹状の点群のうち、対向する境界面上の点との間に位置する熱溶着層の厚みが、最も薄い箇所に位置する点部を指す
第2の発明は、特に、第1の発明において、一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体である。
【0060】
これにより、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部が形成されるため、さらに長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0061】
第3の発明は、特に、第1の発明において、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする袋体である。
【0062】
これにより、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が、さらに極めて抑制される。
【0063】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0064】
さらに、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0065】
第4の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも小さくしたことを特徴とする袋体である。
【0066】
これにより、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも小さくしたことにより、厚肉部の幅が大きく、薄肉部を押さえた時に伴う樹脂の移動箇所の容積が大きく設けられ、薄肉部同士の間に位置する外被材が受ける負荷が緩和され、外被材の破れを極めて起きにくくする。
【0067】
また、薄肉部の外被材の厚みを極限に近いところまで薄くできるので、薄肉部1ケ所当りの密閉性が大きくなり、単位幅当りでの薄肉部の数を少なくできる。さらに、凹凸が少なくなり、ほこりや異物が溜まりにくくなる。
【0068】
第5の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことを特徴とする袋体である。
【0069】
これにより、薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことにより、単位幅当りで凹部が多く設けられるため、凹部の1カ所で熱溶着不良が発生しても、残りの凹部で熱溶着が実施されているために、ガス侵入を最小限に止めることができる。特に、充填物としてガラス繊維を用いた場合は、挟雑物として熱溶着の際に挟み込まれた芯材物質が加熱変形し、薄肉部にスルーホールを形成することが多々あることから、本発明の効果がより顕著となる。
【0070】
第6の発明は、特に、第1から3のいずれかの発明において、薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を、前記厚肉部の幅よりも大きくしたことを特徴とする袋体である。
【0071】
これにより、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも大きくしたことにより、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量がさらに抑制され、さらに長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0072】
また、薄肉部の幅を厚肉部の幅よりも大きくしたことにより、外被材同士が熱溶着される際に、外被材同士の間に存在する空気が逃げやすく、厚肉部へのボイド発生が抑制される。
【0073】
第7の発明は、特に、第1から6のいずれかの発明において、最も外側寄りの厚肉部の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする袋体である。
【0074】
これにより、最も外側寄りの厚肉部の厚さが外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことにより、最も外側寄りの厚肉部の外被材同士の接着強度が大きく、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、密閉性がさらに向上する。
【0075】
第8の発明は、特に、第1から7のいずれかの発明において、最も内側寄りの厚肉部の厚さを、最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする袋体である。
【0076】
これにより、最も内側寄りの厚肉部の厚さが最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことにより、最も内側寄りの厚肉部の外被材同士の接着強度が大きく密閉性がさらに向上するため、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、最も内側寄りの厚肉部以外の箇所で熱溶着層のはがれが発生しても、ガス侵入を最小限に止めることができる。
【0077】
第9の発明は、特に、第1から8のいずれかの発明において、袋体に入れる充填物が、ガラス繊維からなることを特徴とする袋体である。
【0078】
これにより、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、充填物がガラス繊維からなることにより、単位厚み当りの熱伝導率を小さくでき、断熱性能の高い袋体を提供できる。
【0079】
第10の発明は、熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、充填物を入れた後に、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法である。
【0080】
これにより、一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部を設けた、充填物が入った袋体を提供できる。
【0081】
また、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、外被材の折り曲げ部の熱溶着層同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の内部への侵入が抑制され、長期にわたって密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0082】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物の収容容積が大きい袋体を提供することができる。
【0083】
また、充填物を入れる前の袋のみを作成する際に対し、充填物を入れた後に熱溶着する方が、外被材の折り曲げ部において、外被材を折り曲げにくくなり、より、スルーホールが発生しやすくなるが、熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、容易に密着できる。
【0084】
また、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0085】
また、熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方(一つ)の熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺の薄肉部およびその近傍において、熱溶着層の形状に沿って曲がるが、外被材の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0086】
さらに、熱溶着層の薄肉部においては、熱溶着層の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺の封止部の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層の薄肉部において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍の外被材におけるクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制される。
【0087】
以上により、充填物の収容容積が大きく、熱溶着された辺の封止部に設けた熱溶着層の薄肉部及びその近傍において、スルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が極めて抑制され、長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0088】
加えて、袋体作成後の、外被材の外周部に位置する熱溶着された辺を折り曲げる後加工において、シール溝部に設けられた薄肉部により、折り曲げ加工が容易になる。
【0089】
さらに加えて、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、外被材端面から熱溶着された辺の熱溶着層を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺の透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材の外周部に形成する熱溶着された辺の幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する袋体に使用する外被材の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0090】
第11の発明は、特に、第10の発明において、一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法である。
【0091】
これにより、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部を設けた袋体を提供できる。
【0092】
また、全ての熱溶着された辺に、薄肉部と厚肉部からなるシ−ル溝部を設けたため、さらに長期に渡って密閉性の高い袋体を提供することができ、この袋体を真空断熱材に用いた場合は、長期にわたって優れた真空性能を維持することができる。
【0093】
第12の発明は、特に、第10の発明において、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする袋体の製造方法である。
【0094】
これにより、折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部が形成されない袋体を提供できる。
【0095】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部破断が、さらに極めて抑制される。
【0096】
また、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0097】
さらに、折り曲げ部と対向する辺の熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0098】
以下、本発明の実施の形態について、真空断熱材を例にして、図面を参照しながら説明する。先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略するものとする。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、袋体の用途は、真空断熱材に限るものではない。
【0099】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における袋体を用いた真空断熱材の断面図であり、図2は、同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図3は、同実施の形態の袋体を用いた真空断熱材の製造工程を示す斜視図であり、図4は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0100】
図1から図4に示すように、本実施の形態の真空断熱材1は、芯材2と芯材2内に配置された吸着剤3と、芯材2と吸着剤3を覆う外被材4からなり、外被材4の間に芯材2と吸着剤3が減圧密封され、芯材2を覆う外被材4の周縁近傍の外周部同士が熱溶着されている。
【0101】
外被材4は、外層側から、表面保護層5と、ガスバリア層6と、熱溶着層7とが積層されてなる。また、外被材4の周囲辺(外周部)の一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31と残りの開口部の辺34Bには、外被材4の有する熱溶着層同士を溶融し貼り合わせた封止部8があり、封止部8の3辺のうち、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有している。
【0102】
ここで、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の形状について説明する。
【0103】
図4に示すように、シール溝部33は封止部8にあり、薄肉部9と厚肉部32,35,36からなる。薄肉部9は凹部の最深部に位置し、薄肉部9の熱溶着層7は封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7の厚さ(平均的な熱溶着層7の厚さ)よりも薄くなっている。厚肉部32,35,36は薄肉部9の両端に位置し、厚肉部32の熱溶着層7は封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7の厚さ(平均的な熱溶着層7の厚さ)よりも厚くなっている。
【0104】
また、最も外側寄りの厚肉部35の厚さが、外周37と最も外側寄りの厚肉部35の間に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くなっている。
【0105】
また、最も内側寄りの厚肉部36の厚さが、最も内側寄りの厚肉部36よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くなっている。
【0106】
また、凹部は外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が二つの凹部を有している。また、薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっている。
【0107】
また、充填物の芯材2は、ガラス繊維の集合体からなる芯材2である。
【0108】
外被材4は、熱溶着層7として厚み50μmの直鎖低密度ポリエチレンフィルムを、ガスバリア層6として厚み6μmのアルミニウム箔を、また表面保護層5として、厚み15μmと25μmのナイロンフィルム2層を積層してなる。吸着剤3は酸化カルシウムからなる。ガスバリア層は、アルミ蒸着フィルムを適用しても良く、また、アルミ蒸着フィルムとアルミニウム箔を組み合わせて適用しても良い。
【0109】
次に、本実施の形態1の真空断熱材1の製造方法の一例を、図1〜図4に基づき説明する。
【0110】
まず、図3において、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4の熱溶着層7同士が対向するように外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、筒を押しつぶすことにより密着した一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を、それぞれ重ねて熱溶着する。この際に、折り曲げ部と対向する辺31を折り曲げて、一方の開口部の辺34Aに重ねて熱溶着している。
【0111】
これらの熱溶着時に、凸部10を有する金属製の上側加熱圧縮冶具22とシリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23で外被材4を挟むように加熱圧縮し、図4に示す形状の薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0112】
このようにして、残りの開口部の辺34Bが開口した袋を作成する。
【0113】
また、図4において、上側加熱圧縮冶具22の凸部10の幅は、上側加熱圧縮冶具22の凸部10の間に挟まれた凹部の幅よりも小さい。
【0114】
ここで、図示しないが凸部10のコーナーはR形状である。
【0115】
この際、上側加熱圧縮冶具22の温度T1、下側加熱圧縮冶具23の温度T2、熱溶着時間S、熱溶着圧力Pのそれぞれの好ましい条件(値)は、上側加熱圧縮冶具22の温度T1は200〜260℃、下側加熱圧縮冶具23の温度T2は70〜110℃、熱溶着時間Sは1.5〜4.5秒、熱溶着圧力Pは0.2〜0.6MPaである。ただし、外被材4の材質により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0116】
ここで、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)を20mmとし、薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さく形成する。ただし、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)は、密閉性により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0117】
また、薄肉部9の幅9Wが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9の幅9Wが大きすぎると熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9の幅9Wは0.3〜2mm、厚肉部32の幅32Wは、0.8〜15mmが好ましい。ただし、薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wは、薄肉部9の数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0118】
この後、外被材4の残りの開口部の辺34Bから、袋内にガラス繊維からなり予め内部に吸着剤3を入れた芯材2を挿入し、袋内部を約200Pa以下に減圧しながら、外被材4の残りの開口部の辺34Bを熱溶着させて密封することにより真空断熱材1を得る。
【0119】
ここで、芯材2を袋内に挿入する際には、芯材を袋の開口部の辺34A近傍まで、図3に図示した矢印のように、袋の奥に挿入する。
【0120】
この残りの開口部の辺34Bの熱溶着時には、先ほど一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着した熱溶着方法と同様に、金属製の上側加熱圧縮冶具22とシリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23で外被材4を挟むように加熱圧縮し、図4に示す形状の薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0121】
また、残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着する際は、先ほど一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着した方法と同様に、折り曲げ部と対向する辺31を折り曲げて、残りの開口部の辺34Bに重ねて熱溶着している。
【0122】
すなわち、熱溶着された辺は3辺あり、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成したことになる。
【0123】
言い換えると、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部11の2カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)ことになる。
【0124】
ここで、図2に示す通り、真空断熱材1の外周の4辺の内の2辺には熱溶着層7同士を熱溶着したヒレ状の突起は形成されていない。
【0125】
ここで、上側加熱圧縮冶具22には凸部10が存在するが、シリコンゴム21と下側加熱圧縮冶具23には凸部は存在せず、平面又はほぼ平面である。しかし、封止部8のシール溝部33を形成後は、薄肉部9が形成されたために、シリコンゴム21に近い方の外被材4は、緩やかに波うちを有した形状になる。
【0126】
なお、シール溝部33を形成する際の熱溶着に関しては、厚肉部32、最も外側寄りの厚肉部35、最も内側寄りの厚肉部36は、封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、押さえをあまくしている。
【0127】
また、一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31と残りの開口部の辺34Bは、最終的には熱溶着されるため、言い換えると、熱溶着された辺でもある。
【0128】
なお、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺全てに、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を含めた封止部8を形成したが、3辺の内、一方の開口部の辺34Aのみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0129】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、残りの開口部の辺34Bのみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0130】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31のみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0131】
また、一方の開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の3辺の内、残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31のみにシール溝部33を含めた封止部8を形成しても良い。
【0132】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材1は、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)。
【0133】
これにより、熱溶着された辺34A,31,34Bに、熱溶着層7の厚みが局所的に薄い薄肉部9を設けていることにより、外被材4の折り曲げ部の熱溶着層7同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材1内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0134】
言い換えると、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31を重ねて熱溶着した袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、充填物である芯材2を入れた後に、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設けた(形成した)真空断熱材1の製造方法を実施した。
【0135】
これにより、熱溶着された辺34A,31,34Bに、熱溶着層7の厚みが局所的に薄い薄肉部9を設けていることにより、外被材4の折り曲げ部の熱溶着層7同士を、完全と言って構わないくらいに隙間なく密着して熱溶着できるため、スルーホール発生が抑制され、経年的に大気ガス成分の真空断熱材1内部への侵入が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0136】
また、中央部分の熱溶着幅を両サイドの熱溶着幅よりも幅広く形成せずに熱溶着できるため、充填物である芯材2の収容容積が大きい真空断熱材1を提供することができる。
【0137】
また、熱溶着層7の薄肉部9において、外被材4周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量が抑制され、長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0138】
また、熱溶着された辺34A,31,34Bに位置する外被材4の少なくともいずれか一つは、熱溶着層7に少なくとも二つの凹部を有しているので、熱溶着層7より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)は、熱溶着された辺34A,31,34Bの薄肉部9およびその近傍において、熱溶着層7の形状に沿って曲がるが、外被材4の両面に多数の角部を形成することなく、熱溶着層7より外層側に積層された層(通常は、ガスバリア層)のクラックの発生が極めて抑制される。
【0139】
さらに、熱溶着層7の薄肉部9においては、熱溶着層7の厚みが周辺部よりも薄くなり、その厚み減少分だけ強度が低下するが、熱溶着層7が有する凹部が片面のみに形成している場合、熱溶着層7の厚みが凹部に沿って徐々に滑らかに増減することに伴い、熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の強度も連続的に滑らかに増減することから、熱溶着層7の薄肉部9において局所的に応力が集中することが起きにくく、熱溶着層7の薄肉部9及びその近傍の外被材4におけるクラック発生や熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の破断が極めて抑制される。
【0140】
以上により、熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8に設けた熱溶着層7の薄肉部9及びその近傍において、クラック発生や熱溶着された辺34A,31,34Bの封止部8の破断が極めて抑制され、長期に渡って優れた真空性能を維持する密閉性の高い真空断熱材1を提供することができる。
【0141】
加えて、真空断熱材1作成後の、外被材4の外周部に位置する熱溶着された辺34A,31,34Bを折り曲げる後加工において、シール溝部33に設けられた薄肉部9により、折り曲げ加工が容易になる。
【0142】
さらに加えて、外被材4端面から熱溶着された辺34A,31,34Bの熱溶着層7を透過するガス侵入量が抑制されることから、薄肉部形成による熱溶着された辺34A,31,34Bの透過抵抗増大分と相殺できる程度まで、外被材4の外周部に形成する熱溶着された辺34A,31,34Bの幅を短くしても真空性能が低下しないことから、同一寸法の充填材を有する真空断熱材1に使用する外被材4の寸法を小さくすることができ、材料費削減の効果がある。
【0143】
また、薄肉部9と薄肉部9の間に挟まれた薄肉部9よりも厚い厚肉部32において、薄肉部9の幅9Wを厚肉部32の幅32Wよりも小さくしているため、厚肉部32の幅32Wが大きく、薄肉部9を押さえた時に伴う樹脂(熱溶着層7を構成する樹脂)の移動箇所の容積が大きく設けられ、隣接する薄肉部9同士の間に位置する外被材4が受ける負荷が緩和され、外被材4の破れを極めて起きにくくする。
【0144】
また、薄肉部9の外被材4の厚みを極限に近いところ(熱溶着層7の厚みがほとんど無くなるくらい)まで薄くできるので、薄肉部9の1ケ所当りの密閉性が大きくなり、単位幅当りでの薄肉部9の数を少なくできる。さらに、凹凸が少なくなり、ほこりや異物が溜まりにくくなる。
【0145】
また、最も外側寄りの厚肉部35の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部35の間に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くしているため、最も外側寄りの厚肉部35の外被材4同士の接着強度が大きく、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、密閉性がさらに向上する。
【0146】
また、最も内側寄りの厚肉部36の厚さを、最も内側寄りの厚肉部36よりも内側に位置する熱溶着層7の厚さよりも厚くしているため、最も内側寄りの厚肉部36の外被材4同士の接着強度が大きく密閉性がさらに向上するため、袋体作成後の外周部への当てや加工時に生じる応力に対して、最も内側寄りの厚肉部36以外の箇所で熱溶着層7のはがれが発生しても、ガス侵入を最小限に止めることができる。
【0147】
また、充填物(芯材2)がガラス繊維からなることにより、単位厚み当りの熱伝導率を小さくでき、断熱性能の高い真空断熱材1を提供できる。
【0148】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図6は、同実施の形態の袋体における折り曲げ部と対向する辺の封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0149】
図5と図6に示した実施の形態2の真空断熱材40と、図1〜図4に示した実施の形態1の真空断熱材1との相違点は、実施の形態1の真空断熱材1には、熱溶着された封止部8の3辺(熱溶着された辺34A,31,34B)のうち、3辺全てが薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有していたが、実施の形態2の真空断熱材40は、熱溶着された封止部8,48の3辺(熱溶着された辺34A,31A,34B)のうち、開口部の辺34Aと残りの開口部の辺34Bは薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有し、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aは薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有していないことである。
【0150】
図6に示すように、折り曲げ部と対向する辺31Aは、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33を有しておらず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着し、封止部48を形成している。
【0151】
ここで、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の形状は、実施の形態1と同様である。
【0152】
次に、本実施の形態の真空断熱材40の製造方法を、図5と図6に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0153】
まず、実施の形態1と同様な方法で、熱溶着可能な外被材4の熱溶着層7同士が対向するように外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着する。
【0154】
この折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着時に、金属製の上側加熱圧縮冶具42とシリコンゴム21と下側圧縮冶具43で外被材4を挟むように加熱圧縮し、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着し、図6に示す平面形状の封止部48を形成する。
【0155】
この際、上側加熱圧縮冶具42の温度T1、熱溶着時間S、熱溶着圧力Pのそれぞれの好ましい値(条件)は、上側加熱圧縮冶具42の温度が120〜200℃、熱溶着時間Sが1.5〜3秒、熱溶着圧力Pが0.2〜0.6MPaである。ただし、外被材4の材質により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0156】
次に、外被材4を両端が開口した筒状に形成し、筒を押しつぶすことにより密着した開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着する。この際に、折り曲げ部と対向する辺31Aを折り曲げて、開口部の辺34Aに重ねて熱溶着している。
【0157】
この熱溶着方法は、実施の形態1と同様な方法で、図4に示すシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0158】
このようにして、残りの開口部の辺34Bが開口した袋を作成する。
【0159】
ここで、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)、薄肉部9の幅9W、厚肉部32の幅32Wも、実施の形態1と同様に形成する。
【0160】
ただし、実施の形態1と同様に、シール幅(外被材4同士を熱溶着する幅)は、密閉性により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0161】
また、実施の形態1と同様に、薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wは、薄肉部9の数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0162】
ここで、厚肉部32、最も外側寄りの厚肉部35、最も内側寄りの厚肉部36は、封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0163】
この後、外被材4の袋の残りの開口部の辺34Bから、袋内にガラス繊維からなり予め内部に吸着剤3を入れた芯材2を挿入し、袋内部を約200Pa以下に減圧しながら、外被材4の袋の残りの開口部の辺34Bを熱溶着させて密封することにより真空断熱材40を得る。
【0164】
この熱溶着方法は、実施の形態1と同様に、図4に示すシール溝部33を含めた封止部8を形成する。
【0165】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材40は、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7または封止部48の熱溶着層7)の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し平均的な熱溶着層7(封止部8のシール溝部33以外の範囲で熱溶着された熱溶着層7または封止部48の熱溶着層7)の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、一方の開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けていない(形成していない)。
【0166】
これにより、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部48の破断がさらに極めて抑制される。
【0167】
言い換えると、片面に熱溶着層7を有し熱溶着可能な外被材4からなり、1枚の外被材4を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺31Aを熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺34Aと折り曲げ部と対向する辺31Aを重ねて熱溶着した、充填物としての芯材2を入れる袋体において、熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、熱溶着された辺に位置する外被材4のいずれか一方(一つ)の熱溶着層7が少なくとも二つの凹部を有しており、凹部の最深部の熱溶着層7に、熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部9と薄肉部9の両端に位置し熱溶着層7の厚さよりも厚い厚肉部32からなるシ−ル溝部33を設け、充填物である芯材2を入れた後に、開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部11Aの少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けない(形成しない)真空断熱材40の製造方法を実施した。
【0168】
これにより、充填物としての芯材2を袋内に入れた後に、開口部の辺34A及び残りの開口部の辺34Bと折り曲げ部と対向する辺31Aの交わる熱溶着部11Aの少なくとも1カ所に、シ−ル溝部33を設け(形成し)、かつ、折り曲げ部と対向する辺31Aには、シ−ル溝部33を設けない(形成しない)真空断熱材40を提供できる。
【0169】
また、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、外被材4におけるスルーホール発生やクラック発生や熱溶着された辺の封止部48の破断がさらに極めて抑制される。
【0170】
また、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、混入物が液体やガスのように精度の高い熱溶着を求められる場合は、再溶着が可能である。
【0171】
さらに、折り曲げ部と対向する辺31Aの熱溶着面は、薄肉部や厚肉部が存在せず厚みが均一であるため、熱溶着強度も均一であり、袋体作成後に熱溶着面に、見栄えを向上させるためにノコギリ状の後加工を入れることも可能である。
【0172】
また、本実施の形態の真空断熱材40においても、実施の形態1の真空断熱材1と同様の効果が期待できる。
【0173】
以上のとおり、実施の形態1及び実施の形態2で封止部8のシール溝部33を形成した説明を実施したが、以下の実施の形態3及び実施の形態4の様に、シール溝部33の薄肉部9の幅9Wと厚肉部32の幅32Wを変えることも可能である。
【0174】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図8は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0175】
図7及び図8に示す実施の形態3の真空断熱材50と、図1〜図4に示す実施の形態1の真空断熱材1との相違点は、実施の形態1の真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wが厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態3の真空断熱材50においては、シール溝部33Aの薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWは、均等又はほぼ均等になっていることである。
【0176】
また、図8に示すように、上側加熱圧縮冶具52の凸部12の幅と、上側加熱圧縮冶具52の凸部12の間に挟まれた凹部の幅は、均等又はほぼ均等である。
【0177】
ここで、図示しないが凸部12のコーナーはR形状である。
【0178】
次に、真空断熱材50の製造方法を、図7及び図8に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法、または実施の形態2の真空断熱材40の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0179】
図7と図8に示す実施の形態3の真空断熱材50と、実施の形態1の図1から図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態3の図8に示す真空断熱材50においては、薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWを均等又はほぼ均等に形成し、図8に示す封止部58を形成する。
【0180】
ここで、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AW以外は、実施の形態1の図1〜図3に示す真空断熱材1と同様な製造条件で作成する。
【0181】
また、薄肉部9Aの幅9AWが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9Aの幅9AWが大きすぎると、熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9Aの幅9AW及び厚肉部32Aの幅32AWは0.5〜5mmが好ましい。ただし、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWは、薄肉部9Aの数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない
ここで、厚肉部32A、最も外側寄りの厚肉部35A、最も内側寄りの厚肉部36Aは、封止部58のシール溝部33A以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0182】
なお、熱溶着条件を含め、他の製造条件には相違点がなく、説明を省略する。
【0183】
以上のように、本実施の形態における真空断熱材50は、シール溝部33Aの薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AW以外は、真空断熱材1と同様の製造方法で作製する。
【0184】
また、本実施の形態における真空断熱材50は、開口部の辺34Cと残りの開口部の辺34Dと折り曲げ部と対向する辺31Bに位置する封止部58に設けたシ−ル溝部33Aは、全て同じ形状としたが、実施の形態2における真空断熱材40と同様の製造方法で作製してもかまわない。すなわち、折り曲げ部と対向する辺31Bに位置する封止部58には、シ−ル溝部33Aを設けず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着してもよい。
【0185】
以上のように、本実施の形態において、真空断熱材50は薄肉部9Aと薄肉部9Aの間に挟まれた薄肉部9Aよりも厚い厚肉部32Aにおいて、薄肉部9Aの幅9AWと厚肉部32Aの幅32AWを均等又はほぼ均等に形成したために、単位幅当りで凹部が多く設けられるため、凹部の1カ所で熱溶着不良が発生しても、残りの凹部で熱溶着が実施されているために、ガス侵入を最小限に止めることができる。特に、充填物としてガラス繊維を用いた場合は、挟雑物として熱溶着の際に挟み込まれた芯材物質が加熱変形し、薄肉部にスルーホールを形成することが多々あることから、本発明の効果がより顕著となる。
【0186】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における袋体を用いた真空断熱材の平面図であり、図10は、同実施の形態の袋体における薄肉部を含む封止部と加熱圧縮治具を示す断面図である。
【0187】
図9及び図10に示す実施の形態4の真空断熱材60と、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態4の真空断熱材60においては、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWは、厚肉部32Bの幅32BWよりも大きい。
【0188】
また、図10において、上側加熱圧縮冶具62の凸部13の幅は、上側加熱圧縮冶具62の凸部13の間に挟まれた凹部の幅よりも大きい。
【0189】
ここで、図示しないが凸部13のコーナーはR形状である。
【0190】
次に、真空断熱材60の製造方法を図9及び図10に基づき、実施の形態1の真空断熱材1の製造方法、または実施の形態2の真空断熱材40の製造方法、または実施の形態3の真空断熱材50の製造方法と異なる点を中心に説明する。
【0191】
図9及び図10に示す実施の形態4の真空断熱材60と、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1との製造方法における相違点は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWにおいてのみ発生する。すなわち、実施の形態1の図4に示す真空断熱材1は、真空断熱材1において、薄肉部9と厚肉部32からなるシール溝部33の薄肉部9の幅9Wは厚肉部32の幅32Wよりも小さくなっているが、実施の形態4の真空断熱材60においては、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWは、厚肉部32Bの幅32BWよりも大きく形成し、図10に示すような封止部68を形成する。
【0192】
ここで、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BW以外は、実施の形態1の図1〜図4に示す真空断熱材1と同様な製造条件で作成する。
【0193】
また、薄肉部9Bの幅9BWが小さすぎると、アルミニウム箔にクラックが発生し、薄肉部9Bの幅9BWが大きすぎると、熱溶着圧力Pが大きな設備が必要となるため、薄肉部9Bの幅9BWは1〜5mm、厚肉部32Bの幅32BWは0.5〜4mmが好ましい。ただし、薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BWは、薄肉部9Bの数により変化し、好ましい値を選べばよく、特に限定はしない。
【0194】
ここで、厚肉部32B、最も外側寄りの厚肉部35B、最も内側寄りの厚肉部36Bは、封止部68のシール溝部33B以外の範囲で熱溶着する場合と比較して、加熱圧縮の際に、実施の形態1と同様に、押さえをあまくしている。
【0195】
なお、熱溶着条件を含め、他の製造条件には相違点がなく、説明を省略する。
【0196】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材60は、シール溝部33Bの薄肉部9Bの幅9BWと厚肉部32Bの幅32BW以外は、真空断熱材1と同様の製造方法で作製する。
【0197】
また、本実施の形態の真空断熱材60は、一方の開口部の辺34Eと残りの開口部の辺34Fと折り曲げ部と対向する辺31Cに位置する封止部68に設けたシ−ル溝部33Bは全て同じ形状としたが、実施の形態2の真空断熱材40と同様の製造方法で作製してもかまわない。すなわち、折り曲げ部と対向する辺31Cに位置する封止部68には、シ−ル溝部33Bを設けず、一定の面積を一定の圧力で加圧し一定の温度で熱溶着してもよい。
【0198】
以上のように、本実施の形態の真空断熱材60は、薄肉部9Bと薄肉部9Bの間に挟まれた薄肉部9Bよりも厚い厚肉部32Bにおいて、薄肉部9Bの幅9BWを厚肉部32Bの幅32BWよりも大きくしたことにより、熱溶着層の薄肉部9Bにおいて、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、気体および水分の透過抵抗が増大し、気体および水分の透過速度が低減されることから、経時的に透過する気体および水分量がさらに抑制され、さらに長期にわたって優れた真空性能を維持する密閉性の高い袋体を提供することができる。
【0199】
また、薄肉部9Bの幅9BWを厚肉部32Bの幅32BWよりも大きくしたことにより、外被材4同士が熱溶着される際に、外被材4同士の間に存在する空気が逃げやすく、厚肉部32Bへのボイド発生が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明にかかる袋体は、熱溶着された辺の熱溶着層の厚みが局所的に薄い薄肉部を設けていることにより、熱溶着層の薄肉部において、外被材周縁の端面から侵入する気体および水分の透過面積が縮小され、経時的に透過する気体および水分量が抑制できるため、冷蔵庫や自動販売機等へ搭載する真空断熱材や菓子などの食品あるいは薬等の密閉袋のような用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0201】
1,40,50,60 真空断熱材
2 芯材(充填物)
4 外被材
7 熱溶着層
9,9A,9B 薄肉部
11,11A,11B,11C 交わる熱溶着部
31,31A,31B,31C 折り曲げ部と対向する辺
32,32A,32B 厚肉部
33,33A,33B シール溝部
34A,34C,34E 一方の開口部の辺
34B,34D,34F 残りの開口部の辺
35,35A,35B 最も外側寄りの厚肉部
36,36A,36B 最も内側寄りの厚肉部
37 外周
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体。
【請求項2】
一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項4】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも小さくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項5】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項6】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも大きくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項7】
最も外側寄りの厚肉部の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項8】
最も内側寄りの厚肉部の厚さを、最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項9】
袋体に入れる充填物が、ガラス繊維からなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項10】
熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、充填物を入れた後に、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法。
【請求項11】
一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けることを特徴とする請求項10に記載の袋体の製造方法。
【請求項12】
折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする請求項10に記載の袋体の製造方法。
【請求項1】
熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けたことを特徴とする袋体。
【請求項2】
一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項4】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも小さくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項5】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅と前記厚肉部の幅を均等又はほぼ均等にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項6】
薄肉部と前記薄肉部の間に挟まれた前記薄肉部よりも厚い厚肉部において、前記薄肉部の幅を前記厚肉部の幅よりも大きくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項7】
最も外側寄りの厚肉部の厚さを、外周と最も外側寄りの厚肉部の間に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項8】
最も内側寄りの厚肉部の厚さを、最も内側寄りの厚肉部よりも内側に位置する熱溶着層の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項9】
袋体に入れる充填物が、ガラス繊維からなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の袋体。
【請求項10】
熱溶着可能な外被材からなり、1枚の前記外被材を半分に折り曲げて、折り曲げ部と対向する辺を熱溶着し、両端が開口した筒状に形成し、その筒を押しつぶすことにより密着したいずれか一方の開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺を重ねて熱溶着した、充填物を入れる袋体において、前記熱溶着部を熱溶着された辺の少なくとも一部を熱溶着された辺に垂直な平面で切断した場合の断面を見た時、前記熱溶着された辺に位置する外被材のいずれか一方の前記熱溶着層が少なくとも二つの凹部を有しており、前記凹部の最深部の前記熱溶着層に、平均的な前記熱溶着層の厚さよりも薄い薄肉部と前記薄肉部の両端に位置し平均的な前記熱溶着層の厚さよりも厚い厚肉部からなるシ−ル溝部を設け、充填物を入れた後に、前記一方の開口部の辺及び残りの開口部の辺と前記折り曲げ部と対向する辺の交わる熱溶着部の少なくとも1カ所に、前記シ−ル溝部を設けることを特徴とする袋体の製造方法。
【請求項11】
一方の開口部の辺と残りの開口部の辺と折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けることを特徴とする請求項10に記載の袋体の製造方法。
【請求項12】
折り曲げ部と対向する辺に、シ−ル溝部を設けないことを特徴とする請求項10に記載の袋体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−260619(P2010−260619A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114308(P2009−114308)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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