説明

被加工部のモニタリング方法及びその装置

【課題】 インプロセスで被加工面の酸化膜の形成をモニタリングする。
【解決手段】 レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際し、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における溶接部の基準発光強度と光学センサ10で検出した溶接部の実発光強度とを比較手段11で比較し、酸化認識手段13で基準発光強度に対して実発光強度が高いと判断された場合に溶接面への酸化膜の形成を認識し、インプロセスで被加工面の酸化膜の形成をモニタリングする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工部の発光状況に基づいて被加工部の表面清浄度合いを認識するモニタリング方法及びその装置に関し、詳しくは、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際しレーザー溶接部の発光度合いにより溶接面への酸化膜の形成を認識するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光は、極めて指向性がよく大エネルギーを有しているので、小さな点や線に集光してレーザービームとすることにより、精密な溶接・切断・穿孔・表面改質処理などに利用されている。例えば、建設部材等の補修溶接等では、レーザー光を用いたレーザー切断を行いそのままレーザー溶接を行う加工が実施されている。
【0003】レーザー切断では、レーザービームにより被加工物を溶融すると共に酸化発熱反応により切断を行っている。レーザー切断時には酸素ガスや窒素ガスを供給して切断を行っているため、切断面へ酸化膜が形成されないようにする必要がある。また、多少酸化膜が形成されてもレーザー溶接時に酸化が進行しないようにする必要がある。
【0004】切断面に酸化膜が形成されたり、レーザー溶接時に酸化が進行すると、レーザー溶接を行った後の溶接部に所定の強度が得られないことがあり、開先面の洗浄度合いは溶接品質に大きな影響を及ぼしてしまう。レーザー切断を行いそのままレーザー溶接を行う加工において、酸化膜の形成の有無については、溶接物を検査することで間接的に判断していた。そして、所定の強度が保たれるように、即ち、酸化膜の形成を抑えるために、切断ガスの流量、切断ノズルの角度及びレーザー溶接におけるシールドガスの制御を管理している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】レーザー切断を行いそのままレーザー溶接を行う加工では、連続的に加工が実施されているが、酸化膜の形成の有無については、溶接物を検査することで間接的に判断しているので、酸化膜が形成された状態でレーザー溶接が行われる虞があった。従って、所定の溶接品質が得られない溶接物が加工される虞があり、歩留りが悪くなってしまう。
【0006】このため、加工中に酸化膜の形成の有無を検出することができれば、即座に酸化膜の形成を抑える処置を施すことができ、溶接品質を安定させて歩留りを向上させることができる。しかし、現状では、加工中に酸化膜の形成の有無を検出する技術は確立されていないのが実情である。
【0007】本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、レーザービームを照射して加工を行う被加工部の表面清浄度合いを、加工中に認識することができる被加工部のモニタリング方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザービームを照射した際における被加工部の発光状況に基づいて被加工面の表面清浄度合いを認識することを特徴とする。また、上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザービームを照射した際における被加工部の適正清浄度合いの際の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面の清浄度合いの悪化を認識することを特徴とする。また、上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング方法は、被加工面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における被加工部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面への酸化膜の形成を認識することを特徴とする。そして、前記被加工面は溶接面であることを特徴とする。
【0009】また、上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際し、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における溶接部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記溶接部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に前記溶接面への酸化膜の形成を認識することを特徴とする。
【0010】そして、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする。また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする。また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量及びレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする。また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制することを特徴とする。また、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制することを特徴とする。また、前記基準発光強度及び前記実発光強度は、紫外領域の波長の光強度を検出することを特徴とする。
【0011】上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング装置の構成は、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際して被加工部のモニタリングを行う被加工部のモニタリング装置であって、レーザー溶接部の実発光強度の情報を検出するセンサと、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際におけるレーザー溶接部の基準発光強度が記憶されると共に前記センサからの実発光強度の情報が入力され、前記基準発光強度と前記実発光強度とを比較する比較手段と、前記比較手段からの比較情報が入力され、入力された情報が、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い情報の際に前記溶接面への酸化膜の形成を認識する酸化認識手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】そして、前記酸化認識手段からの酸化膜の形成の認識情報が入力される制御手段を備え、前記制御手段は、前記レーザー切断及び前記レーザー溶接を停止する機能と、前記レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制させる機能とを有していることを特徴とする。また、前記制御手段は、前記各機能を選択的に実施する機能を更に有していることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者は、これまでの研究の中で、溶接中にシールド悪化等により酸化が生じた場合、溶接部、プルームからの発光強度が増加することを見いだし、この点に着目して被加工部のモニタリング方法及びその装置、具体的には、レーザー溶接を行う際の溶接面の酸化膜の形成状況を認識する方法及びその装置を発明したものである。
【0014】以下図面に基づいて本発明の一実施形態例にかかる被加工部のモニタリング方法を実施するモニタリング装置を説明する。図示の装置は、レーザー切断装置及びレーザー溶接装置を備え、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際して溶接面の発光強度に基づいて被加工部(溶接面)の酸化膜の形成状況を認識するものである。そして、溶接面の酸化膜の形成状況により、レーザー溶接を停止したり、レーザー切断の切断ガス流量を制御したり、レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御したり、レーザー溶接のシールドガス量を増加させたりするものである。
【0015】図1には本発明の一実施形態例に係る被加工部のモニタリング方法を実施するモニタリング装置の全体構成、図2にはモニタリング装置の制御フローチャートを示してある。また、図3乃至図5にはレーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況を示してある。
【0016】図1に示すように、レーザー切断装置1及びレーザー溶接装置2が備えられている。レーザー切断装置1は、レーザーノズル3からのレーザービームL1により被加工物4の切断を行い、レーザーノズル3の角度及び切断ガスの流量が制御できるようになっている。レーザー溶接装置2は、溶接ヘッド5からのレーザービームL2により、レーザー切断装置1で切断された被加工物4の溶接をそのまま連続して行い、シールドガスの状態を制御できるようになっている。
【0017】レーザー溶接装置2は、例えば、YAGレーザー発振器6からのレーザー光を光ファイバ7により伝送し、反射光学系8及び集光レンズ光学系9により光ファイバ7から入射してきたレーザー光を集光したレーザービームL2を被加工物4に照射しレーザー溶接に寄与させる。レーザー溶接装置2には、レーザー溶接部の発光状態(発光波長、発光強度等:実発光強度Fの情報)を検出する光学センサ10が備えられ、光学センサ10はレーザービームL2と同軸の発光状態をインプロセスで検出する。光学センサ10で検出された実発光強度Fの情報は、比較手段11に入力される。尚、図中の符号で12は光ファイバホルダーである。
【0018】比較手段11には、溶接面に酸化膜が形成されていない場合、即ち、溶接面が適正清浄度合いの場合にレーザービームを照射した際における発光状態(基準発光強度fの情報)が予め記憶されている。比較手段11では、光学センサ10で検出された実発光強度Fの情報と基準発光強度fの情報が比較され、比較情報は酸化認識手段13に入力される。
【0019】酸化認識手段13には、溶接面に酸化膜が形成された場合にレーザービームを照射した際における発光状態が予め記憶されている。即ち、図3乃至図5に示したように、レーザー波長に応じてレーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況が予め記憶されている。図3R>3はレーザー波長が例えば400nm (紫外領域)のレーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況であり、図4はレーザー波長が例えば600nm のレーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況であり、図5はレーザー波長が例えば940nm のレーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況であり、それぞれ、実線が基準発光強度fで、点線が基準発光強度よりも高い値の溶接面に酸化膜が形成された場合の発光強度である。
【0020】つまり、酸化認識手段13に入力された実発光強度Fが、各波長で点線で示した発光強度に近づいた場合(基準発光強度fに対して実発光強度Fが高い場合)、溶接面に酸化膜が形成されていると認識される。また、近づいた度合いにより酸化膜の形成度合いが認識される。尚、レーザー波長が例えば400nm (紫外領域)で、溶接面に酸化膜が形成されていない場合と酸化膜が形成された場合の発光強度の差が顕著となっている。これは、紫外領域では高い温度領域の感度が高い特性となっているためであり、紫外領域のレーザー波長の発光強度を検出することで、高い精度のモニタリングが可能になる。
【0021】酸化認識手段13からの酸化膜の形成の認識情報は制御手段14に入力されるようになっている。制御手段14には、レーザー切断装置1によるレーザー切断及びレーザー溶接装置2によるレーザー溶接を停止する機能と、レーザー切断の切断ガス流量を制御して溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制させる機能とが備えられている。また、制御手段14には、上記各機能を選択的に実施させる機能が備えられている。そして、制御手段14からは、酸化膜の形成の状況に応じて各機能により所定の動作指令が出力される。
【0022】上述したモニタリング装置の作用を図2に基づいて説明する。搬入された被加工物4は、レーザー切断装置1でレーザー切断され、そのままレーザー溶接装置2によりレーザー溶接されて搬出される。レーザー溶接装置2による溶接中に、光学センサ10によりレーザー溶接部の発光状態が検出され(発光検出)、分光フィルタ透過による波長域の抽出が行われる。ステップS1で基準発光強度fと実発光強度Fが比較され(比較手段11)、基準発光強度fに対して実発光強度Fが高いと判断された場合、例えば、図3の状況に基づいて酸化認識手段13で溶接面に酸化膜が形成されていると認識する(ステップS2)。この時、酸化膜の形成度合いも同時に認識される。尚、抽出した波長域により、図4、図5の状況に基づいて酸化膜の形成を認識することも可能である。
【0023】ステップS2では、溶接面の実発光強度Fが基準発光強度fよりも高いと判断された時に、図3に点線で示した酸化膜が形成された場合の発光強度に対し実発光強度Fがどの程度近づいているかを判断し、酸化膜の形成及び形成度合いを認識するようになっている。つまり、実発光強度Fが基準発光強度fよりも高い場合に被加工面の清浄度合いの悪化を認識するようになっている。
【0024】ステップS2で酸化膜の形成が認識されると、制御装置14の機能により、加工を停止したり、切断ガス流量、ノズル角度を制御したり、シールドガスを制御し、溶接品質を保つようにする。即ち、溶接強度が得られない状態に酸化膜の形成が進んでいる場合、レーザー切断装置1及びレーザー溶接装置2を止め、加工を停止する。また、現状での酸化膜の形成状態で溶接強度は得られるがこれ以上酸化膜の形成が進むと溶接強度が得られなくなる場合、レーザー切断装置1の切断ガス流量を増加させたり、ノズル角度を制御し、レーザー切断時における酸化膜の形成を抑制するようにする。また、レーザー溶接装置2のシールドガスを制御し、レーザー溶接時における酸化膜の形成を抑制するようにする。
【0025】従って、レーザー切断を行いそのままレーザー溶接を行う加工において、インプロセスで溶接面の酸化膜の形成をモニタリングすることが可能になる。このため、酸化膜が形成された場合、加工を停止させたり即座に酸化膜の形成を抑える処置を施すことができ、酸化膜が形成された状態でレーザー溶接が行われる虞がなくなり、所定の溶接品質が得られない溶接物が加工されることがなくなり、溶接品質を安定させて歩留りを向上させることができる。
【0026】尚、上述した実施形態例では、レーザー切断を行いそのままレーザー溶接を行う加工において、レーザー切断を行った後の溶接面の酸化膜の形成を認識するようにしたが、単に溶接だけを行う加工において、溶接面の酸化膜の形成の認識に適用することも可能である。また、酸化膜の形成を認識した後の処理は、上記実施形態例に限らず、他の処理を施すようにしてもよい。また、表面清浄度合いとして酸化膜の形成を例に挙げて説明したが、被加工部の発光度合いが変化する表面清浄度合いであれば他の状況のものに適用することも可能であり、溶接面のモニタリングに限定されるものではない。
【0027】
【発明の効果】本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザービームを照射した際における被加工部の発光状況に基づいて被加工面の表面清浄度合いを認識するようにしたので、インプロセスで被加工面の表面清浄度合いをモニタリングすることが可能になる。
【0028】また、本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザービームを照射した際における被加工部の適正清浄度合いの際の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面の清浄度合いの悪化を認識するようにしたので、インプロセスで被加工面の表面清浄度合いをモニタリングすることが可能になる。
【0029】また、本発明の被加工部のモニタリング方法は、被加工面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における被加工部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面への酸化膜の形成を認識するようにしたので、インプロセスで被加工面の酸化膜の形成をモニタリングすることが可能になる。
【0030】また、上記目的を達成するための本発明の被加工部のモニタリング方法は、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際し、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における溶接部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記溶接部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に前記溶接面への酸化膜の形成を認識するようにしたので、インプロセスで被加工面の酸化膜の形成をモニタリングすることで、酸化膜が形成された状態でレーザー溶接が行われる虞がなくなり、溶接品質を安定させて歩留りを向上させることができる。
【0031】そして、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制するようにしたので、また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制するようにしたので、また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量及びレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制するようにしたので、また、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制するようにしたので、また、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制するようにしたので、酸化膜が形成された場合、即座に酸化膜の形成を抑える処置を施すことができる。
【0032】また、前記基準発光強度及び前記実発光強度は、紫外領域の波長の光強度を検出するようにしたので、感度が高い領域で検出が行え、酸化膜の形成の認識が精度良く実施できる。
【0033】本発明の被加工部のモニタリング装置の構成は、レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際して被加工部のモニタリングを行う被加工部のモニタリング装置であって、レーザー溶接部の実発光強度の情報を検出するセンサと、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際におけるレーザー溶接部の基準発光強度が記憶されると共に前記センサからの実発光強度の情報が入力され、前記基準発光強度と前記実発光強度とを比較する比較手段と、前記比較手段からの比較情報が入力され、入力された情報が、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い情報の際に前記溶接面への酸化膜の形成を認識する酸化認識手段とを備えたので、溶接部の基準発光強度と実発光強度とを比較し、基準発光強度に対して実発光強度が高い場合に溶接面への酸化膜の形成を認識することで、インプロセスで被加工面の酸化膜の形成をモニタリングすることが可能になる。この結果、酸化膜が形成された状態でレーザー溶接が行われる虞がなくなり、溶接品質を安定させて歩留りを向上させることができる。
【0034】そして、前記酸化認識手段からの酸化膜の形成の認識情報が入力される制御手段を備え、前記制御手段は、前記レーザー切断及び前記レーザー溶接を停止する機能と、前記レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制させる機能とを有しているので、酸化膜が形成された場合、即座に酸化膜の形成を抑える処置を施すことができる。また、前記制御手段は、前記各機能を選択的に実施する機能を更に有しているので、酸化膜が形成された場合、即座に酸化膜の形成を抑える処置を的確に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例にかかる被加工部のモニタリング方法を実施するモニタリング装置の全体構成図。
【図2】モニタリング装置の制御フローチャート。
【図3】レーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況を表すグラフ。
【図4】レーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況を表すグラフ。
【図5】レーザー1パルス当たりの発光強度の変化状況を表すグラフ。
【符号の説明】
1 レーザー切断装置
2 レーザー溶接装置
3 レーザーノズル
4 被加工物
5 溶接ヘッド
6 YAGレーザー発振器
7 光ファイバ
8 反射光学系
9 集光レンズ系
10 光学センサ
11 比較手段
12 光ファイバホルダー
13 酸化認識手段
14 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザービームを照射した際における被加工部の発光状況に基づいて被加工面の表面清浄度合いを認識することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項2】 レーザービームを照射した際における被加工部の適正清浄度合いの際の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面の清浄度合いの悪化を認識することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項3】 被加工面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における被加工部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記被加工部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に被加工面への酸化膜の形成を認識することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記被加工面は溶接面であることを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項5】 レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際し、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際における溶接部の基準発光強度と前記レーザービームを照射した際における前記溶接部の実発光強度とを比較し、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い場合に前記溶接面への酸化膜の形成を認識することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項6】 請求項5において、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項7】 請求項5において、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項8】 請求項5において、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー切断の切断ガス流量及びレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項9】 請求項5において、前記溶接面への酸化膜の形成を認識した後に、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項10】 請求項6乃至請求項8のいずれか一項において、レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項11】 請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、前記基準発光強度及び前記実発光強度は、紫外領域の波長の光強度を検出することを特徴とする被加工部のモニタリング方法。
【請求項12】 レーザー切断を行った後にレーザー溶接を行うに際して被加工部のモニタリングを行う被加工部のモニタリング装置であって、レーザー溶接部の実発光強度の情報を検出するセンサと、レーザー切断面に酸化膜が形成されていない時にレーザービームを照射した際におけるレーザー溶接部の基準発光強度が記憶されると共に前記センサからの実発光強度の情報が入力され、前記基準発光強度と前記実発光強度とを比較する比較手段と、前記比較手段からの比較情報が入力され、入力された情報が、前記基準発光強度に対して前記実発光強度が高い情報の際に前記溶接面への酸化膜の形成を認識する酸化認識手段とを備えたことを特徴とする被加工部のモニタリング装置。
【請求項13】 請求項12において、前記酸化認識手段からの酸化膜の形成の認識情報が入力される制御手段を備え、前記制御手段は、前記レーザー切断及び前記レーザー溶接を停止する機能と、前記レーザー切断の切断ガス流量を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー切断のレーザーノズルの角度を制御して前記溶接面への酸化膜の形成を抑制させる機能と、前記レーザー溶接のシールドガス量を増加させて溶接時の酸化を抑制させる機能とを有していることを特徴とする被加工部のモニタリング装置。
【請求項14】 請求項13において、前記制御手段は、前記各機能を選択的に実施させる機能を更に有していることを特徴とする被加工部のモニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−71164(P2001−71164A)
【公開日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−252641
【出願日】平成11年9月7日(1999.9.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】