説明

被曝防止機能付き車椅子およびこれを利用した医療受診施設用システム

【課題】PET診断受診者が着座したままで医療受診施設内を容易に移動でき、かつ、周囲の医療従事者が受診者からの放射線に被曝することを防止できると共に、受診者の体内から放射される放射線量をリアルタイムに把握する。
【解決手段】自力または他力によって移動できる手段を備えた被曝防止機能付き車椅子であって、放射線遮蔽に有効な材質を含有し、少なくとも視野が確保できる程度の透明なパネルで構成され、受診者の周囲を覆う遮蔽体1と、遮蔽体1の内部に配置され、受診者の対内から放射される放射線量を測定・表示する第1の放射線検出器(放射線モニタ3)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PET診断施設等において放射線を投与されて行われる診断を受ける者や放射線同位元素を体内に投与されて治療を受ける者など(即ち、受診者)が、着座あるいは横臥したまま容易に移動でき、かつ、受信者周囲の医療従事者等が受信者の体内からの放射線に被曝するのを防止するのに適した被曝防止機能付き車椅子、およびこの被曝防止機能付き車椅子を利用した医療受診施設用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、PET(Positron Emission Tomography)診断施設等において、放射線を投与され行われる診断を受診する者や放射線同位元素を体内に投与して行う治療を受ける者に対して問診等を行う医療従事者は、受診者や被治療者の体内から放射される放射線の被曝を受ける状態にあった。
これに対して、受診者や被治療者等から放射される放射線を遮蔽することを目的とした受診者用の椅子(例えば特許文献1参照)やキャスタ−付きの透視可能なX線防護用衝立・パネル等を使用しての放射線防護の方策(例えば特許文献2〜5参照)があった。
【特許文献1】特開2004−361288号公報
【特許文献2】実登第3033001号公報
【特許文献3】実開平2−98907号公報
【特許文献4】特開2000−167073号公報
【特許文献5】特開平8−71063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の放射線防護の用具は、受診者用の椅子あるいはベッド等の周囲に配置する放射線遮蔽機能を有した衝立やパネル等であり、医療従事者が受診者と対面して必要施術を施す際に、使用する箇所にその都度持ってきて配置していた。
そのため、受診者が移動する際の移動容易性に対する配慮がなく、場面場面での被曝防止用具でしかなかった。
受診者は、施術、安静、検査等のために移動しなければならないことが多々あり、移動する際には医療補助者などの付き添いが必要である。
しかしながら、従来の放射線防護の用具は、これら付き添いの医療補助者に対する被曝低減(被曝防止)には供しないものであった。
【0004】
また、受診者による線量率(単位時間当たりの放射線量)の寄与(即ち、放射線を投与されて診断を受診する受診者や放射線同位元素を体内に投与して行う治療を受ける受診者から受ける被曝線量)は、医療従事者側が付けているフィルムバッチなどの線量計で把握されるだけであり、受診者による線量率をリアルタイムに把握することができない。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、PET診断等を受ける受診者が着座あるいは横臥したままで医療受診施設内を容易に移動でき、かつ受診者周囲の医療従事者が受診者の体内から放射される放射線に被曝することを防止できる被曝防止機能付き車椅子を提供することを目的とする。
また、この発明による被曝防止機能付き車椅子を利用することによって、PET診断等を受ける受診者が、どれぐらいの線量を保持した状態で、どこにいるかを管理することができる医療受診施設用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる被曝防止機能付き車椅子は、放射線を放射する受診者が、自力または他力によって移動できる手段を備えた被曝防止機能付き車椅子であって、
放射線遮蔽に有効な材質を含有し、少なくとも視野が確保できる程度の透明なパネルで構成され、前記受診者の周囲を覆う遮蔽体と、前記遮蔽体の内部に配置され、前記受診者から放射される放射線量を測定・表示する放射線検出器とを備えたものである。
【0007】
また、この発明による医療受診施設用システムは、この発明による被曝防止機能付き車椅子を利用した医療受診施設用システムであって、
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の被曝防止機能付き車椅子は、前記受診者の識別情報と前記第1の放射線検出器および/または第2の放射線検出器が測定する放射線量情報が書き込まれると共に、書き込まれた情報を無線送信する無線ICタグを備え、
前記医療受診施設は、前記被曝防止機能付き車椅子が移動する領域に配置されて、前記無線ICタグが送信する情報を読み取る複数の無線タグリーダと、前記無線タグリーダが読み取る情報と情報を読み取った無線タグリーダの位置情報を管理する計算機とを備えているものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の被曝防止機能付き車椅子によれば、受診者が着座あるいは横臥したままで医療受診施設内を容易に移動でき、かつ受診者周囲の医療従事者が受診者の体内から放射される放射線に被曝することを防止できると共に、受診者の体内から放射される放射線量を把握することができる。
【0009】
また、この発明の医療受診施設用システムによれば、どの受診者が、どれぐらいの線量を保持した状態で、どこにいるかを管理することができるので、適切な被曝量低減に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態について説明する。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは同一相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係わる被曝防止機能付き車椅子の基本的な構造を示す側面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係わる被曝防止機能付き車椅子は、台車26に固定された後車輪21および前車輪22により移動可能になっており、更に、移動方向を変えるハンドル23、受診者が座るためのシート24、肘掛を伴った前輪支持ポール25とが設けられている。
本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、このような構造の車椅子を放射線遮蔽する機能を有した遮蔽体1で覆ったものである。
遮蔽体1は、例えば、鉛やタングステンなどの密度の大きい金属材料などの放射線遮蔽に有効な物質を含有し、視野が確保できる程度の透明なガラス等の複数のパネルで形成されている。
【0011】
即ち、遮蔽体1は、放射線遮蔽に有効な物質を含有し、視野が確保できる程度の透明なパネルが、車椅子に着座している受診者の左右・前後に着脱容易に配置されている。
この遮蔽体1は台車26に固定されており、かつ、遮蔽体1の内部から外部を見渡せるため、受診者は、車椅子に搭乗したままで容易に移動することが可能である。
また、遮蔽体1は透明であるので、周囲の医療従事者は、遮蔽体1の内部にいる受診者の様子を観察することもできる。
車椅子を、このような構造とすることにより、受診者体内から放射される放射線の影響を遮蔽体1の外部に対して遮蔽することができる。
従って、移動が容易であり、かつ、医療従事者などの被曝低減を図ることができる被曝防止機能付き車椅子を実現することが可能となる。
【0012】
図2は、図1に示した被曝防止機能付き車椅子において、ハンドル23の一部に線量率(単位時間当たりの放射線量)を測定する放射線モニタ3を固定し、遮蔽体1の内部に配置した場合を示す側面図である。
このように遮蔽体1の内部に放射線モニタ3を配置することことによって、受診者から放射される放射線の線量率を放射線モニタ3で測定することができるようになる。
この放射線モニタ3は、測定する線量率の表示も行う。
遮蔽体1は透明であるので、外部の医療従事者等への受診者から放射される放射線による線量率を知らしめることができる。
【0013】
図3は、図1に示した被曝防止機能付き車椅子において、図2に示した放射線モニタ3に代えて、帯状の長尺放射線検出器5を遮蔽体1の内面に沿って配置した場合を示す図である。なお、図3(a)は側面図、図3(b)は正面図である。
長尺放射線検出器5は、例えば、シンチレ−ション光ファイバ−を用いることによって、遮蔽体1の形状の変化に無理なく追随することができるようにしている。
長尺放射線検出器5からの放射線による信号は、ハンドル23の一部に固定された計測装置4に伝達され、光パルス(放射線パルス)を計数し、あらかじめ求められている計数率と線量率との係数を乗ずることにより線量率に換算される。
換算された線量率は計測装置4にて表示され、外部の医療従事者等へ受診者の体内から放射される放射線の線量率を知らせることができる。
ところで、図3(b)は正面図を示しているが、遮蔽体1の内部に透視される車椅子については図示をしていない。
図3(b)に示すように、長尺放射線検出器5を遮蔽体1の内部の片側に配置することにより、内部の受診者からの視野を確保し、かつ、移動に支障がないものとすることができる。
【0014】
以上説明したように、本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、放射線を放射する受診者が、自力または他力によって移動できる手段を備えた被曝防止機能付き車椅子であって、放射線遮蔽に有効な材質を含有し、少なくとも視野が確保できる程度の透明なパネルで構成され、受診者の周囲を覆う遮蔽体1と、該遮蔽体1の内部に配置され、受診者からの放射線量を測定・表示する第1の放射線検出器(放射線モニタ3あるいは長尺放射線検出器5)とを備えている。
これにより、受診者は着座したままで医療受診施設内を容易に移動でき、かつ、受診者周囲の医療従事者は、受診者の体内から放射される放射線に被曝することを防止できると共に、受診者の体内から放射される放射線量をリアルタイムに把握することができる。
【0015】
実施の形態2.
前述の実施の形態1による被曝防止機能付き車椅子では、着座している受診者は座位のままであるが、受診者は、PET投与後などは一定時間の安静が必要となり寝台に横たわらされる。
そのため、車椅子に搭乗した姿で座位から横臥姿勢へと、受診者の姿勢変化が容易できる被曝防止機能付き車椅子が要求される。
本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、この要求に応えるものであって、前述の実施の形態1による被曝防止機能付き車椅子に対して、更に、リクライニング機構を有したものである。
【0016】
図4は、本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子の座位状態における遮蔽体1を示しており、遮蔽体1は、頭部遮蔽体1a、腹部遮蔽体1bおよび足部遮蔽体1cの3つの部位から構成される。
頭部遮蔽体1aと腹部遮蔽体1bおよび腹部遮蔽体1bと足部遮蔽体1cは、ヒンジ(図中の黒丸で示す)にて連結されており、車椅子を着座状態から横臥状態に変化させた場合、頭部遮蔽体1aおよび足部遮蔽体1cの配置位置が波線矢印に示すように変化し、遮蔽体1は横臥状態の受診者を放射線から遮蔽できるようになっている。
つまり、遮蔽体1が着座状態から横臥状態に形状変化しても、遮蔽の不完全部分が生じないようになっている。
【0017】
図5は、遮蔽体1が横臥状態の場合を示している。
また、図6は、遮蔽体1の要部の構成を説明するための図であり、遮蔽体1の構造を頭部遮蔽体1a、腹部遮蔽体1bの部分を代表して示す。
図6に示すように、頭部遮蔽体1aは、腹部遮蔽体1bに対して回転できる支点を有して接続されている。
図のように直交し直立した形状とするために、頭部遮蔽体1aおよび腹部遮蔽体1bに切り欠き部を設けている。
頭部遮蔽体1aを回転させて倒し、腹部遮蔽体1bと連続した直方体の遮蔽体を構成するためには、前述の切り欠き部を埋める必要があり、補助頭部遮蔽体1dおよび補助腹部遮蔽体1eをスライド可能に取り付けている。
【0018】
以上説明したように、本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、リクライニング機構を有し、遮蔽体1は、受診者が着座状態から横臥状態に移行した場合にも受診者の周囲を覆うように構成されているので、遮蔽された状態のままで受診者が着座状態から横臥状態へ容易に移行することが可能であり、更に、受診者が着座状態から横臥状態へ移行する際にも、周囲の医療従事者等が受診者の体内から放射される放射線に被曝するのを防止することができる。
【0019】
実施の形態3.
本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、前述の実施の形態1による被曝防止機能付き車椅子において、更に、遮蔽体1の外部にも、遮蔽体外部の線量率を測定することができる外部放射線モニタ6を配置したものである。
図7は、本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子の構成を示す側面図である。
図7示すように、本実施の形態では、外部放射線モニタ6は、遮蔽体1の外部に漏れ出る放射線を検出するように、遮蔽体1の外表面に配置している。
これにより、受診者の体内から放射される放射線が遮蔽体1を通じて外部へ影響を与えている線量率を測定表示することができる。
この外部放射線モニタ6での測定結果の表示を見ることにより、遮蔽体1の外部にいる医療従事者等が直接影響を受ける線量率を把握することができる。
従って、遮蔽体1の外部にいる医療従事者等に対する適切な放射線被曝防止対応策を図ることができる。
【0020】
なお、図7は、遮蔽体1の外部に外部放射線モニタ6を配置すると共に、遮蔽体1の内部にも放射線モニタ3を配置した場合を示しているが、内部に配置されたの放射線モニタ3に代えて、図3に示したような長尺放射線検出器5と計測装置4を配置してもよい。
また、遮蔽体1の内部には放射線モニタ3や長尺放射線検出器5を配置せず、遮蔽体1の外部のみに外部放射線モニタ6を配置した構成であってもよい。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子は、遮蔽体1の外部に、遮蔽体1を通して漏れ出る放射線線量を測定する第2の放射線検出器(外部放射線モニタ6)を備えている。
従って、遮蔽体の外部にいる医療従事者等は、受診者から放射される放射線が遮蔽体を通して漏れ出る放射線線量も把握することが可能であり、放射線被曝低減のための更に適切な対応をとることができる。
【0022】
実施の形態4.
本実施の形態は、前述した実施の形態1〜実施の形態3による被曝防止機能付き車椅子を利用した医療受診施設用システムに関するものである。
本実施の形態による医療受診施設用システムで利用される被曝防止機能付き車椅子は、実施の形態1〜3のいずれかの被曝防止機能付き車椅子において、更に、無線ICタグ7を遮蔽体1の外表面に容易に取り外しができないように取り付けたものである。
図8は、本実施の形態による医療受診施設用システムで利用される被曝防止機能付き車椅子の構造例を示す側面図であり、実施の形態3による被曝防止機能付き車椅子に無線ICタグ7を取り付けた場合の例を示している。
無線ICタグ7には、受診者番号などの情報と放射線モニタ3および/または外部放射線モニタ6が検出する時々刻々の線量率情報を書き込むものとする。
【0023】
図9は、本実施の形態4による被曝防止機能付き車椅子が利用される医療受診施設(例えば、PET診断施設)8のレイアウト例を示す図である。
いま、医療受診施設8内において放射性物質を投与された受診者が移動する領域をA−Aとし、その領域(即ち、受診者を乗せた被曝防止機能付き車椅子が移動する領域)内にある部屋や廊下の各所に無線ICタグリ−ダ(白丸で示す)9を配置するものとする。
本実施の形態による被曝防止機能付き車椅子が医療受診施設8内を移動すると、無線ICタグ7から送信される情報は、各所に配置された無線ICタグリ−ダ9で読み込まれ、読み込まれた情報は、無線ICタグリ−ダ9の位置情報と共に、計算機10にて集中管理される。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態による医療受診施設用システムは実施の形態1〜3のいずれかに記載の被曝防止機能付き車椅子を利用した医療受診施設用システムであって、被曝防止機能付き車椅子は、受診者の識別情報と第1の放射線検出器(例えば、放射線モニタ3あるいは長尺放射線検出器5)および/または第2の放射線検出器(例えば、外部放射線モニタ6)が測定する放射線量情報が書き込まれると共に、書き込まれた情報を無線送信する無線ICタグ7を備え、医療受診施設8は、被曝防止機能付き車椅子が移動する領域に配置されて、無線ICタグ7が送信する情報を読み取る複数の無線タグリーダ9と、無線タグリーダ9が読み取る情報と情報を読み取った無線タグリーダ9の位置情報を管理する計算機10とを備えている。
これにより、どの受診者が、どれぐらいの線量を保持した状態で、どこにいるかを管理することができ、適切な被曝低減に供することができる「PET診断施設等に適した医療受診施設用受診システム」を提供できる。
【0025】
実施の形態5.
前述の実施の形態4による医療受診施設用システムによって収集された受信者の放射線情報(即ち、受診者から放射される放射線の線量率)と投与放射能の半減期から放射性防護の必要のない線量まで減衰する時間が、計算機10によって既知の方法で算出できる。
本実施の形態では、算出した時間(即ち、射性防護の必要のない線量まで減衰する時間)迄の残時間について、無線ICタグ7へ情報を伝達する。
そして、その情報を、例えば、外部放射線モニタ6の信号処理部分が読み取り、遮蔽体1の上部側に固定して配置した表示器11で表示する。
【0026】
図10は、本実施の形態による医療受診施設用システムに利用される被曝防止機能付き車椅子の構造を示す側面図である。
表示器11は、図10に示すように、遮蔽体1の上部側の視認性の高い位置に配置されており、表示器11に装備されたランプ機能で線量率の安全表示を行うことができる。
表示器11のランプは、線量率があらかじめ設定した所定の値を超えていた場合は赤く、下回ってきたら緑の表示とすることで受診者および受診者周辺にいる医療従事者に線量率の評価結果を周知することができる。
また、表示器11によって、射性防護の必要のない線量まで減衰する迄の残時間を表示することにより、受診者自身で残時間の把握が行え、受信者は心理的な安心感を得ることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態による医療受診施設用システムは、第1の放射線検出器(例えば、放射線モニタ3あるいは長尺放射線検出器5)および/または第2の放射線検出器(例えば、外部放射線モニタ6)が測定する現時点における放射線量情報から投与放射能減衰による医療受診施設退出可能時間を算出する手段(計算機10)と、被曝防止機能付き車椅子に配置され、算出される医療受診施設退出可能時間を表示する手段(表示器11)を備えている。
このようなシステムとすることによって、医療受診施設全体での放射線被曝の低減が図れると共に、受信者は退出可能時間を知ることが可能となるので、受信者は安心感を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は、受診者が医療受診施設内を容易に移動でき、かつ、受診者周囲の医療従事者が受診者の体内から放射される放射線に被曝することを防止できると共に、受診者の体内から放射される放射線量をリアルタイムに把握することができる被曝防止機能付き車椅子の実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1に係わる被曝防止機能付き車椅子の基本的な構造を示す側面図である。
【図2】図1に示した被曝防止機能付き車椅子において、放射線モニタ3を配置した場合を示す側面図である。
【図3】図1に示した被曝防止機能付き車椅子において、長尺放射線検出器5を配置した場合を示す図である。
【図4】実施の形態2に係わる被曝防止機能付き車椅子の座位状態における遮蔽体を説明するための図である。
【図5】実施の形態2による被曝防止機能付き車椅子において、横臥状態における遮蔽体を説明するための図である。
【図6】実施の形態2において、遮蔽体の要部の構成を説明するための図である。
【図7】実施の形態3に係わる被曝防止機能付き車椅子の構成を示す側面図である。
【図8】実施の形態4に係わる医療受診施設用システムで利用される被曝防止機能付き車椅子の構造を示す側面図である。
【図9】実施の形態4に係わる医療受診施設のレイアウト例を示す図である。
【図10】実施の形態5に係わる医療受診施設用システムに利用される被曝防止機能付き車椅子の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 遮蔽体 1a 頭部遮蔽体
1b 腹部遮蔽体 1c 足部遮蔽体
3 放射線モニタ(第1の放射線検出器)
4 計測装置 5 長尺放射線検出器
6 外部放射線センサ(第2の放射線検出器)
7 無線ICタグ 8 医療受診施設
9 無線ICタグリーダ 10 計算機
11 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射する受診者が、自力または他力によって移動できる手段を備えた被曝防止機能付き車椅子であって、
放射線遮蔽に有効な材質を含有し、少なくとも視野が確保できる程度の透明なパネルで構成され、前記受診者の周囲を覆う遮蔽体と、
前記遮蔽体の内部に配置され、前記受診者から放射される放射線量を測定・表示する第1の放射線検出器を備えたことを特徴とする被曝防止機能付き車椅子。
【請求項2】
リクライニング機構を有し、前記遮蔽体は、前記受診者が着座状態から横臥状態に移行する場合にも前記受診者の周囲を覆うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の被曝防止機能付き車椅子。
【請求項3】
前記遮蔽体の外部に、前記遮蔽体を通して漏れ出る放射線線量を測定・表示する第2の放射線検出器を備えていることを特徴とする請求項1項または2に記載の被曝防止機能付き車椅子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の被曝防止機能付き車椅子を利用した医療受診施設用システムであって、
前記被曝防止機能付き車椅子は、前記受診者の識別情報と前記第1の放射線検出器および/または第2の放射線検出器が測定する放射線量情報が書き込まれると共に、書き込まれた情報を無線送信する無線ICタグを備え、
前記医療受診施設は、前記被曝防止機能付き車椅子が移動する領域に配置されて、前記無線ICタグが送信する情報を読み取る複数の無線タグリーダと、前記無線タグリーダが読み取る情報と情報を読み取った無線タグリーダの位置情報を管理する計算機とを備えていることを特徴とする医療受診施設用システム。
【請求項5】
前記第1の放射線検出器および/または第2の放射線検出器が測定する現時点における放射線量情報から投与放射能減衰による医療受診施設退出可能時間を算出する手段と、
前記被曝防止機能付き車椅子に配置され、算出される前記医療受診施設退出可能時間を表示する手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の医療受診施設用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−43648(P2008−43648A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224243(P2006−224243)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】