被覆装置
【課題】 被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置を構成する。
【解決手段】 記録紙Aを被覆シートBと補助シートEとに挟み込み、第1加熱圧着機構を構成する駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間に送り込むことにより、熱と圧力との作用によって被覆シートBの転写層を記録紙Aの記録面に転写し、この転写の後の被覆シートBと補助シートEとを放熱領域Lcに送って放熱させ、この後に、第1分岐ガイド9で記録紙Aから被覆シートBの基材Cを剥離する搬送系を備えている。この搬送系の放熱領域Lcにおいて積極的な放熱を行わせる冷却ファン25を放熱領域Lcの上方位置に配置すると共に、加熱ローラ8bを覆う遮蔽部材27を備えることにより冷却ファン25からの冷却風が加圧ローラ8bの表面に接触する現象を阻止した。
【解決手段】 記録紙Aを被覆シートBと補助シートEとに挟み込み、第1加熱圧着機構を構成する駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間に送り込むことにより、熱と圧力との作用によって被覆シートBの転写層を記録紙Aの記録面に転写し、この転写の後の被覆シートBと補助シートEとを放熱領域Lcに送って放熱させ、この後に、第1分岐ガイド9で記録紙Aから被覆シートBの基材Cを剥離する搬送系を備えている。この搬送系の放熱領域Lcにおいて積極的な放熱を行わせる冷却ファン25を放熱領域Lcの上方位置に配置すると共に、加熱ローラ8bを覆う遮蔽部材27を備えることにより冷却ファン25からの冷却風が加圧ローラ8bの表面に接触する現象を阻止した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録物(本発明の記録媒体)の画像面(本発明の記録面)に転写シート(本発明の被覆シート)を重ね合わせた状態で加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段を構成するヒートローラ対から熱と圧力とを作用させることにより転写シートに形成された被転写層(本発明の転写層)を記録物に転写し、この転写後には、ローラ対で成る剥離手段の位置において転写シートを記録物から剥離させる装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、転写シートが、支持体に被転写層を形成した構造を有しており、加熱圧着手段によって、転写層を記録物に転写した後には、温度が低下して転写シートが画像面上にしっかりと固着したところで剥離手段により転写シートから支持体を引き剥がす処理が行われている。
【0003】
また、上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録紙(本発明の記録媒体)の画像形成面にラミネート材(本発明の被覆シート)を重ね、これらを加熱装置で加熱された圧力ローラ対(本発明の加熱圧着機構)で挟み込み、熱と圧力とを作用させることによりラミネート材の熱溶融性接着剤(本発明の転写層)を融解させ、この熱溶融性接着剤を記録紙に融着させて一体化し(ラミネートコーティングし)、この一体化の後に、ラミネート材の台紙を記録紙から剥がしローラに巻き取るものが存在する(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、加熱装置の加熱体の放熱面被覆上に感熱素子を設置し、温度変化による感熱素子の抵抗値の変化を増幅して抵抗発熱体を制御して加熱体を所定の温度に維持する制御系が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003‐300387号公報 (段落番号〔0014〕〜〔0036〕、図1、図2)
【特許文献2】特開昭58‐224779号公報 (発明の詳細な説明、第1図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のように被覆シートを記録媒体に重ね、加熱圧着機構からの熱と圧力との作用によって被覆シートに転写層を記録媒体に転写するものを考えると、特許文献1にも記載されるように転写を行う際には、熱と圧力とを充分に作用させることよって転写層を記録媒体に確実に密着させ、この転写の後には、記録媒体に密着した転写層(オーバコート層)を充分に放熱させることにより、転写層を記録媒体に確実に固着させることが重要であることが理解できる。
【0006】
しかしながら、室内であっても環境温度が想定した温度より高い場合には、加熱圧着機構での加熱を充分に行えるものの、加熱圧着した後において記録媒体の放熱を充分に行えないため、記録媒体に転写層が確実に固着しない状態で被覆シートの剥離が行われ、記録媒体に密着した転写層が被覆シートにとともに記録媒体から剥がされ、必要とする被覆(コーティング)が得られないこともあった。
【0007】
この不都合を解消するために加熱圧着機構において処理後の被覆シートと記録媒体とを重ね合わせ状態で送る搬送経路の距離を長く設定して放熱を促進するよう構成することも考えられるが、搬送経路を長く設定した場合には装置全体の大型化に繋がるものとなり改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置において、
前記加熱圧着機構と前記剥離処理位置との間の記録媒体の搬送経路に対して冷却風を供給する冷却ファンを備えると共に、この冷却ファンからの冷却風の前記加熱圧着機構への流入を抑制する遮蔽部材を備えている点にある。
【0010】
この構成により、被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体は加熱圧着機構から熱と圧力とが作用することにより、被覆シートの転写層が記録媒体の記録面に転写した状態で搬送経路に送られ、この搬送経路において前記冷却ファンから冷却風が供給されることにより、この搬送経路において被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体の冷却を行え、しかも、この冷却風が加熱圧着機構の側への流入する現象を遮蔽部材が抑制すると同時に、この遮蔽部材が加熱圧着機構の放熱を抑制するので、加熱圧着機構の温度を低下させることもない。その結果、冷却ファンを用いて冷却を行うので、例えば、自然な放熱を利用して冷却を行うもののように大型化を伴うことがなく、また、冷却ファンを備えたものであるにも拘わらず、加熱圧着機構の温度低下を招くことなく被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置が合理的に構成された。
【0011】
本発明は、前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されても良い。
【0012】
この構成により、圧着ローラ対夫々が回転することにより被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体を円滑に送りながら熱と圧力とを作用させ、この圧着ローラ対のうち冷却ファンが配置された側のローラを遮蔽部材が覆うので、このローラが冷却ファンからの冷却風で除熱される不都合を解消できる。
【0013】
本発明は、前記剥離処理位置より、前記記録媒体の搬送方向での下流位置に再加熱圧着機構を配置し、この再加熱圧着機構に対して前記冷却ファンからの冷却風の流入を抑制する副遮蔽部材を備えても良い。
【0014】
この構成により、記録媒体の記録面に対して熱と圧力との作用によって被覆シートの転写層が転写され、被覆シートが剥離された後の記録媒体が再加熱圧着機構から熱と圧力とが作用することにより、記録媒体の記録面に対して転写層を隙間なく確実に固着できるものとなり、また、冷却風が再加熱圧着機構の側への流入する現象を副遮蔽部材が抑制し、再加熱圧着機構の温度を低下させることもない。
【0015】
本発明は、前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材を前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置しても良い。
【0016】
この構成により、圧着ローラ対夫々が回転することにより記録媒体を円滑に送りながら熱と圧力とを作用させ、この圧着ローラ対のうち冷却ファンが配置された側のローラを副遮蔽部材が覆うので、このローラが冷却ファンからの冷却風で冷却される不都合を解消できる。
【0017】
本発明は、前記加熱圧着機構と、被覆シートと重ね合わされた前記記録媒体を搬送する前記搬送経路とを収容するケース部を備えると共に、前記搬送経路の近傍位置の温度を計測する経路温度センサを備え、この経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合に前記冷却ファンの駆動を開始する、又は、前記冷却ファンの駆動の駆動速度を増大させるファン制御手段を備えても良い。
【0018】
この構成により、経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合には、ファン制御手段が、冷却ファンの駆動を開始する、又は、駆動速度を増大させることにより、被覆シートと重ね合わされた状態で搬送経路に送られる前記記録媒体の放熱を積極的に行い、例えば、比較的高温の環境で作業を行う場合にも冷却不足に陥ることが無く被覆シートの転写層を確実に接着させることが可能となる。
【0019】
本発明は、前記ケース部の内部の空気温度を低下させる換気ファンを備え、前記経路温度センサで計測される温度が前記予め設定された温度を超えた場合に前記換気ファンの駆動を開始する、又は、前記換気ファンの駆動速度を増大させるように前記ファン制御手段の制御形態を設定しても良い。
【0020】
この構成により、経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合には、ファン制御手段が、換気ファンの駆動を開始する、又は、駆動速度を増大させるので、ケース部内の空気温度の上昇を抑制し、冷却ファンによる積極的な冷却を促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、下部ケース20に対して着脱自在に上部ケース21を重ね合わせて箱状のケース部を構成し、このケース部の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。
【0022】
この被覆装置はケース部の一方の端部に供給トレイ1を備え、他方の端部に排出トレイ4を備えており、本発明における「記録媒体」としての記録紙Aを、その記録面を上向きにして供給トレイ1にセットし、供給ガイド2に沿って水平方向にケース部の内部に供給することにより、被覆処理ユニットが記録紙Aを搬送経路Lに沿って水平方向に搬送しながら、その記録面に透明な被覆層を形成して排出トレイ4に排出する処理を行う。
【0023】
前記上部ケース21の上面には透明な樹脂製のパネル22を備え、このパネル22に多数の吸気孔22aを穿設してあり、また、このパネル22に隣接する位置の上部ケース21の上面に換気孔21aを穿設している。
【0024】
前記被覆処理ユニットは、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとに熱と圧力とを作用させる第1加熱圧着機構8(加熱圧着機構の一例)と、記録紙Aから被覆シートBの基材Cを剥離する第1分岐ガイド9(この第1分岐ガイド9が配置された位置が剥離処理位置となる)と、被覆シートBの基材Cから分離した転写層Dによって被覆層F(図4、図5を参照)が形成された後の記録紙Aと補助シートEとに熱と圧力とを更に作用させる第2加熱圧着機構10(再加熱圧着機構の一例)と、記録紙Aから補助シートEを剥離させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3とが設けられている。これらは、本体フレーム12に支持され、以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図4及び図5に示すように、基材Cと、片側の面に剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分である。この転写層Dは、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に形成され、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有している。また、保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
【0026】
前記被覆シートBの転写層Dは、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Fとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
【0027】
また、後述するように第1加熱圧着機構8は、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から熱と圧力とを作用させるので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加熱圧着機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0028】
前記被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅の長尺のシートが用いられる。そして、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
【0029】
前記被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、この供給保持部6aからの被覆シートBを導くフリーローラ6eと、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路と分岐され、転写層Dが剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。
【0030】
前記供給保持部6aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するためにトルクリミッター等を用いた回転制限機構6dとを有している。この構造により、被覆シートBは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a、及び、これに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この引き出しの際には、回転制限機構6dにより保持軸6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから第1加熱圧着機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。尚、前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで前記第1加熱圧着機構8が構成され、この前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとが本発明の加熱圧着機構の圧着ローラ対に対応する。
【0031】
図2に示すように、前記基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aから剥離した被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、この巻取軸駆動機構6gから巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構6hとを有している。この被覆装置の各部の駆動は単一のモータ13からの駆動力が複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により伝達されることにより行われる。
【0032】
前記駆動制限機構6hとしては、例えば、巻取軸駆動機構6gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッターを備えた構成等が用いられる。ここで、駆動制限機構6hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構6gにより駆動される巻取軸6fの回転速度は、巻取軸6fに基材Cが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸6fに巻き取られた基材Cの外周の周速が第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。
【0033】
具体的には、巻取軸6fに基材Cがほとんど巻き取られておらず、基材Cの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、被覆シートBの基材Cの搬送速度V1は第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速との速度差により基材Cの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構6hにより巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
【0034】
前記補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。従って、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0035】
また、補助シートEは、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。前記補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
【0036】
前記補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、この供給保持部7aからの補助シートEを導くフリーローラ7eと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路と分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。
【0037】
前記供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するためにトルクリミッター等を用いた回転制限機構7dとを有している。この構造により、補助シートEは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構7dにより保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
【0038】
前記記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、第2加熱圧着機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
【0039】
前記シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aから剥離した補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gと、この巻取軸駆動機構7gから巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構7hとを有している。また、図2に示すように、巻取軸駆動機構7gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
【0040】
前記駆動制限機構7hとしては、例えば、巻取軸駆動機構7gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッターを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構7hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構7gにより駆動される巻取軸7fの回転速度は、巻取軸7fの周囲に補助シートEが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速が第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速よりも速くなるように、設定されている。
【0041】
具体的には、巻取軸7fに補助シートEがほとんど巻き取られておらず、補助シートEの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、補助シートEの搬送速度V1は、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及びそれと同じ速度で回転する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸7fに巻き取られた補助シートEの外周の周速との速度差により補助シートEの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構7hにより巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
【0042】
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、重ね合わされた状態で第1加熱圧着機構8において両面から加圧される。
【0043】
第1加熱圧着機構8は、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動するローラ駆動機構8cと、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加熱圧着機構8dとを有している。この前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで本発明の加熱圧着機構の圧着ローラ対が構成されている。
【0044】
前記駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材で被覆している。この弾性部材の厚さは後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱機構の一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間を搬送される記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
【0045】
ローラ駆動機構8cは、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ8aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、加熱圧着機構8dは、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有している。この加熱圧着機構8dによる加圧力は、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとのニップ部における圧力が8〜12kg/cm2程度となるように設定している。
【0046】
前記第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれヒータ8g(本発明の発熱機構の一例)が設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。このヒータ8gとしてのハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
【0047】
従って、第1加熱圧着機構8においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、被覆シートBと補助シートEとの間に挟まれた記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが接着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧によって圧着されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着される。そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。
【0048】
図5に示すように、前記第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加熱圧着機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮する程度の距離を第1加熱圧着機構8との間に形成している。
【0049】
第2加熱圧着機構10は、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動するローラ駆動機構10cと、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加熱圧着機構10dとを有している。この駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとで本発明の再加熱圧着機構の圧着ローラ対が構成されている。
【0050】
駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材で被覆している。この弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱機構の一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとの間を搬送される被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
【0051】
ローラ駆動機構10cは、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ10aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。この伝達機構は、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速とがほぼ同じになるように設定されている。また、加熱圧着機構10dは、加圧ローラ10bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材10eと、この保持部材10eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材10fとを有している。この加熱圧着機構10dによる加圧力は、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとのニップ部における圧力が3〜7kg/cm2程度となるように設定している。
【0052】
また、この第2加熱圧着機構10の加圧ローラ10bの内部にはヒータ10g(本発明の発熱機構の一例)が設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。
【0053】
従って、第2加熱圧着機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加圧するとともに被覆層F側の面から加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
【0054】
前記第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加熱圧着機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。図3に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。
【0055】
そして、図6、図7に示すように、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
【0056】
前記排出機構3は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出するための記録紙Aの搬送機構である。この排出機構3は、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ3aと、この駆動ローラ3aを回転駆動するローラ駆動機構3cと、駆動ローラ3aに対向して設けられ、駆動ローラ3aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ3aの回転に従動して回転する加圧ローラ3bと、この加圧ローラ3bを駆動ローラ3a側に加圧する加熱圧着機構3dとを有している。
【0057】
前記ローラ駆動機構3cは、この被覆装置の全体の駆動を行う前記モータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ3aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速が、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及び第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速は、具体的には、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速に対して、0.2〜30%程度、より好ましくは0.5〜20%程度、更に好ましくは1〜10%程度速い速度となるように設定すると好適であり、本実施形態においては5%程度速い速度となるように設定している。
【0058】
このような構成から、図6に示すように、補助シートEと分離後の記録紙Aの部分に対して補助シートEの搬送速度V1よりも速い搬送速度V2で搬送しようとする力を付与することになり、図7に示すように、記録紙Aの後端付近と補助シートEとが分離する際に記録紙Aを排出機構3の搬送力で補助シートEから引き離すことになるので、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その被覆層Fに連続して記録紙Aの搬送方向後方の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとを排出機構3の搬送力で分離させることができる。従って、記録紙Aを補助シートEから分離した後で記録紙Aの後方に余分な被覆層Fが残った状態となることを防止できる。
【0059】
また、加熱圧着機構3dは、加圧ローラ3bの回転軸の両端部を下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材3fを有している。この加熱圧着機構3dによる加圧力は、記録紙Aの後端付近が補助シートEと分離するまでは、駆動ローラ3aが記録紙Aの裏面に対して滑っている状態となり、記録紙Aの後端付近が補助シートEから分離した後は駆動ローラ3aと記録紙Aとが滑ることなく搬送されるような圧力とすると好適である。すなわち、この加熱圧着機構3dによる加圧力の調整により、記録紙Aに対して与える搬送方向の力を制限可能な構成としている。そのため、加熱圧着機構3dは、付勢部材3fの取り付け位置を調節可能とする等により加圧力を微調整可能な構成とすることが望ましい。これにより、記録紙Aと補助シートEとが分離する位置が、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路Lとの分岐位置に対して上流側になり過ぎることにより被覆層Fに無理な力が作用して被覆後の記録紙Aの品質が低下することを防止できる。
【0060】
図3に示すように、前記駆動ローラ8aと、加圧ローラ8bとの外周面のうち、前記補助シートE、及び、被覆シートBが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサSa、Sbを備えており、また、これと同様に加圧ローラ10bの外周面のうち、補助シートEが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサScを備え、更に、放熱領域Lcに送られる被覆シートBからの輻射熱から、被覆シートBの表面温度を計測するように赤外線感知素子等を用いた経路温度センサSeを備えている。この経路温度センサSeは、前記搬送経路Lの近傍位置の空気温度を計測するものであっても良い。
【0061】
また、前記第1加熱圧着機構8と、記録紙Aの搬送方向(被覆シートBの搬送方向)での下流側に配置された第1分岐ガイド9(剥離処理位置)との間の搬送経路Lに放熱領域Lcを形成してあり、この放熱領域Lcに冷却風を供給する一対の冷却ファン25を、この放熱領域Lcの上方側に配置してある。更に、第2加熱圧着機構10の上方にはケース部の内部の空気を送り出す換気ファン26を備えている。尚、冷却ファン25は前記パネル22に穿設した多数の吸気孔22aから吸引した外気を前記放熱領域Lcに供給するよう機能し、前記換気ファン26は前記上部ケース21に穿設した換気孔21aを介してケース部内の空気を外部に送り出すように機能する。
【0062】
前記冷却ファン25は、高温度の環境において本被覆装置を可動させる場合でも、前記放熱領域Lcにおいて、被覆シートBと補助シートEとに挟み込まれる記録紙Aの温度を転写層が記録紙Aの記録面に接着するに必要な温度まで確実に低下させ得る冷却性能のものを使用している。
【0063】
図3に示すように、前記加圧ローラ8bの上方及び側方を覆う形状の遮蔽部材27と、前記加圧ローラ10bと上方及び側方を覆う形状の副遮蔽部材28とを備えている。前記遮蔽部材27は前記冷却ファン25からの冷却風の前記加圧ローラ8bへの流入を抑制することにより、この加圧ローラ8bの温度低下を阻止すると同時に、加圧ローラ8bの放熱を抑制し、また、副遮蔽部材28は前記冷却ファン25からの冷却風の前記加圧ローラ10bへの流入を抑制すると同時に加圧ローラ10bの放熱を抑制することにより、この加圧ローラ10bの温度低下を阻止するよう機能する。
【0064】
この被覆装置は図8に示すようにマイクロプロセッサ(CPU)を内蔵した制御ユニット30を備えている。この制御ユニット30は、入出力インタフェース31を備え、この入出力インタフェース31に対して前記ローラ温度センサSa、Sb、Sc、及び、経路温度センサSe夫々からの計測温度がA/D変換器32でデジタル信号化されて入力し、また、前記3つのヒータ8g、8g、10gに供給する電力を制御するPWM回路33夫々に対して制御信号を出力し、前記一対の冷却ファン25、前記換気ファン26、前記モータ13の回転速度を制御する回転制御回路34に対して制御信号を出力する信号系を備えている。前記PWM回路33では前記3つのヒータ8g、8g、10g夫々に供給する電力のデューティ比の設定により調節するよう作動するものであり、前記回転制御回路34は前記冷却ファン25、前記換気ファン26、前記モータ13に供給する電力を調節することや駆動信号の周期を調節することにより夫々の駆動速度(単位時間内の回転速度)を調節するよう作動するものである。
【0065】
前記マイクロプロセッサ(CPU)は、データを保存する半導体メモリ(RAM/ROM)と、該被覆装置全体の制御動作を管理する主制御部36と、被覆シートB及び補助シートEの搬送速度を制御する搬送制御手段37と、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々の温度を制御するローラ温度制御手段38と、一対の冷却ファン25及び換気ファン26の回転速度を制御するファン制御手段39とに対してデータバスを介して信号のアクセスを行えるように構成されている。尚、これら主制御部36、搬送制御手段37、ローラ温度制御手段38、ファン制御手段39はソフトウエアで構成したものを想定しているが、ロジック等のハードウエアで構成して良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成しても良い。
【0066】
ちなみに、この制御ユニット30では制御を実現するためにデータバスの他にコントロールバスやアドレスバス等を必要とするものであるが、複雑化を避ける目的から図面にはコントロールバスやアドレスバス、あるいは、インタフェース類を示していない。
【0067】
この前記主制御部36は、前記搬送制御手段37、ローラ温度制御手段38、ファン制御手段39夫々を介して被覆装置全体の管理を行うものであるが、駆動ローラ8a・加圧ローラ8b・加圧ローラ10b夫々、及び、冷却ファン25・前記換気ファン26夫々による温度管理の概要を図9のフローチャートのように表すことが可能である。
【0068】
つまり、温度管理の制御時には制御の開始時のイニシャライズにおいて、ファン制御のために上限温度としてのTmaxに30℃を設定し、下限温度としてTminに15℃を設定し、目標温度としてのTxに25℃を設定し、この目標温度Txを基準にして不感帯の領域を設定するTaとTbとを設定し、また、ローラ温度制御のための目標温度としてのTxに60℃、100℃、90℃を設定し(駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10bに対応した温度)、この目標温度Txを基準にして不感帯の領域を設定するTaとTbとを設定する(#01ステップ)。
【0069】
次に、ファン制御ルーチン(#100ステップ)、ローラ温度制御ルーチン(#200ステップ)の処理をリセットされるまで継続する(#02ステップ)。
【0070】
前記ファン制御ルーチン(#100ステップ)は、図10フローチャートに示すように、前記放熱領域Lcの近傍位置に配置した前記経路温度センサSeで計測した温度(Ts)を取得し、この温度(Ts)に基づいて制御パラメータを設定し、このように設定された制御パラメータに対応した制御を実行する(#101〜#103ステップ)。前記#103ステップでは、冷却ファン25と前記換気ファン26とを同期して比例する回転速度で制御するよう制御形態が設定されている。
【0071】
具体的に説明すると、#102ステップでは、温度(Ts)がTminより低温である場合には(Ts<Tmin)、過冷却であるので冷却ファン25と換気ファン26とを停止させる制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTminより高温であるが不感帯より低温である場合には(Tmin≦Ts<Tb)、冷却を抑制する必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した回転速度を現出する制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯にある場合には(Tb≦Ts≦Ta)、転写に最適な温度が維持されているので回転速度を維持する制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTmaxより低温であるが不感帯より高温である場合には(Ta<Ts≦Tmax)、冷却を促進する必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した回転速度を現出する制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTmaxより高温である場合には(Tmax<Ts)、急速な冷却が必要であるので、最高となる回転速度を現出する制御パラメータを設定する。
【0072】
この制御形態では、経路温度センサSeで計測した温度(Ts)が予め設定された温度未満である場合にのみ、冷却ファン25と換気ファン26とを停止させるよう制御形態を設定していたが、転写に適した温度にある場合には冷却ファン25と換気ファン26とを停止させておき、転写に適した温度を超えた場合にのみ冷却ファン25と換気ファン26とを駆動するように制御形態を設定することが可能である。特に、本発明では、換気ファン26だけを常時回転させておき、放熱領域Lcの温度を制御する場合には冷却ファン25だけを制御するよう制御形態を設定するように処理形態を設定することも可能である。また、本発明では、前述したように温度差(Tx−Ts:偏差)に比例した回転速度を設定する比例制御を想定しているが、偏差の単位時間内の積分値、及び、この偏差の単位時間内の微分値に基づいてPID制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
【0073】
また、ローラ温度制御ルーチン(#200ステップ)では、図11フローチャートに示すように、前記ローラ温度センサSa、Sb、Scで計測した温度(Ts)を取得し、この温度(Ts)に基づいて制御パラメータを設定し、このように設定された制御パラメータに対応した制御を実行する(#201〜#203ステップ)。
【0074】
具体的に説明すると、#202ステップの処理は、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々に対応して独立して行われるものであり、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々に対応したローラ温度センサSa、Sb、Scで計測した温度(Ts)が不感帯より低温である場合には(Ts<Tb)、温度上昇を図る必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した電力値に対応した制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯にある場合には(Tb≦Ts≦Ta)、最適な温度が維持されているので現在の電力を維持する制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯より高温である場合には(Ta<Ts)、温度低下を図る必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した電力値に対応した制御パラメータを設定するのである。
【0075】
また、本発明では、前述したように温度差(Tx−Ts:偏差)に比例した電力値を設定する比例制御を想定しているが、偏差の単位時間内の積分値、及び、この偏差の単位時間内の微分値に基づいてPID制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
【0076】
このように、本発明によると、冷却ファン25を備えることにより、第1加熱圧着機構8の部位において熱と圧力との作用によって、被覆シートBの転写層Dが記録紙Aに転写された後に、被覆シートBと重ね合わせた状態で搬送経路Lの放熱領域Lcに搬送される記録紙Aに対して冷却ファン25からの冷却風を供給して、積極的な放熱を行わせるので転写層Dを記録紙Aに対して確実に固着させた状態で、第1分岐ガイド9において基材Cの剥離を行えるとものとなり、しかも、冷却ファン25から加圧ローラ8bへの冷却風の流れ込みを遮蔽部材27が阻止するので、この加圧ローラ8bの温度低下を抑制して加熱不足に陥らないようにできる。また、冷却ファン25から加圧ローラ8bへの冷却風の流れ込みを副遮蔽部材28が阻止するので、加圧ローラ8bの温度低下を抑制して確実な転写層Dの確実な固着を実現するものにしている。
【0077】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0078】
(イ)加熱圧着機構として、ローラを用いずに被覆シートと記録紙(記録媒体)とを挟み込み位置に配置された一対の加熱プレートを用いることや、一方にプレート状の加熱体を用い、他方にローラ状の加熱体を用いることが可能である。また、発熱機構として、ニクロム線のように通電によってジュール熱を発生させる構造のものを用いても良い。
【0079】
(ロ)冷却ファンは、記録紙(記録媒体)の記録面(表面)の側に冷却風を供給するものが最適であるが、記録紙の裏面側に冷却風を供給するものものであっても、表裏両面に冷却風を供給するよう、搬送経路を挟んだ両側に配置するものであっても良い。そして、このように冷却ファンを配置した場合には、この冷却ファンからの冷却風が流れ込む側の加熱圧着機構を覆う形態で遮蔽部材を配置することが理想となる。
【0080】
(ハ)冷却ファン25を停止させる制御時、あるいは、冷却ファン25を最高速度で駆動した場合には、加熱温度が適正な温度から外れていることをオペレータに認識させるためのアラームランプを点灯させることや、アラーム音を発生させるよう制御形態を設定しても良い。
【0081】
(ニ)ケース部の内部温度が予め想定された温度を超えた場合に、ケース内部の温度を低下させるための冷却手段を備えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】被覆装置の全体を示す斜視図
【図2】被覆装置ユニットの斜視図
【図3】被覆装置の縦断正面図
【図4】被覆シートの構造を示す模式断面図
【図5】第1分岐ガイド近傍の拡大断面図
【図6】第2分岐ガイドにおいて記録紙が補助シートから剥離する際の状態を模式的に示す斜視図
【図7】第2分岐ガイドにおいて記録紙が補助シートから剥離した直後の状態を模式的に示す斜視図
【図8】制御系のブロック回路図
【図9】温度管理処理のフローチャート
【図10】ファン制御ルーチンのフローチャート
【図11】ローラ温度制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0083】
8 加熱圧着機構
8a、8b 圧着ローラ対
8g 発熱機構
10 再加熱圧着機構
10a、10b 圧着ローラ対
10g 発熱機構
25 冷却ファン
26 換気ファン
27 遮蔽部材
28 副遮蔽部材
39 ファン制御手段
A 記録媒体
B 被覆シート
L 搬送経路
Se 経路温度センサ
【技術分野】
【0001】
基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録物(本発明の記録媒体)の画像面(本発明の記録面)に転写シート(本発明の被覆シート)を重ね合わせた状態で加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段を構成するヒートローラ対から熱と圧力とを作用させることにより転写シートに形成された被転写層(本発明の転写層)を記録物に転写し、この転写後には、ローラ対で成る剥離手段の位置において転写シートを記録物から剥離させる装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、転写シートが、支持体に被転写層を形成した構造を有しており、加熱圧着手段によって、転写層を記録物に転写した後には、温度が低下して転写シートが画像面上にしっかりと固着したところで剥離手段により転写シートから支持体を引き剥がす処理が行われている。
【0003】
また、上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録紙(本発明の記録媒体)の画像形成面にラミネート材(本発明の被覆シート)を重ね、これらを加熱装置で加熱された圧力ローラ対(本発明の加熱圧着機構)で挟み込み、熱と圧力とを作用させることによりラミネート材の熱溶融性接着剤(本発明の転写層)を融解させ、この熱溶融性接着剤を記録紙に融着させて一体化し(ラミネートコーティングし)、この一体化の後に、ラミネート材の台紙を記録紙から剥がしローラに巻き取るものが存在する(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2では、加熱装置の加熱体の放熱面被覆上に感熱素子を設置し、温度変化による感熱素子の抵抗値の変化を増幅して抵抗発熱体を制御して加熱体を所定の温度に維持する制御系が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003‐300387号公報 (段落番号〔0014〕〜〔0036〕、図1、図2)
【特許文献2】特開昭58‐224779号公報 (発明の詳細な説明、第1図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のように被覆シートを記録媒体に重ね、加熱圧着機構からの熱と圧力との作用によって被覆シートに転写層を記録媒体に転写するものを考えると、特許文献1にも記載されるように転写を行う際には、熱と圧力とを充分に作用させることよって転写層を記録媒体に確実に密着させ、この転写の後には、記録媒体に密着した転写層(オーバコート層)を充分に放熱させることにより、転写層を記録媒体に確実に固着させることが重要であることが理解できる。
【0006】
しかしながら、室内であっても環境温度が想定した温度より高い場合には、加熱圧着機構での加熱を充分に行えるものの、加熱圧着した後において記録媒体の放熱を充分に行えないため、記録媒体に転写層が確実に固着しない状態で被覆シートの剥離が行われ、記録媒体に密着した転写層が被覆シートにとともに記録媒体から剥がされ、必要とする被覆(コーティング)が得られないこともあった。
【0007】
この不都合を解消するために加熱圧着機構において処理後の被覆シートと記録媒体とを重ね合わせ状態で送る搬送経路の距離を長く設定して放熱を促進するよう構成することも考えられるが、搬送経路を長く設定した場合には装置全体の大型化に繋がるものとなり改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置において、
前記加熱圧着機構と前記剥離処理位置との間の記録媒体の搬送経路に対して冷却風を供給する冷却ファンを備えると共に、この冷却ファンからの冷却風の前記加熱圧着機構への流入を抑制する遮蔽部材を備えている点にある。
【0010】
この構成により、被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体は加熱圧着機構から熱と圧力とが作用することにより、被覆シートの転写層が記録媒体の記録面に転写した状態で搬送経路に送られ、この搬送経路において前記冷却ファンから冷却風が供給されることにより、この搬送経路において被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体の冷却を行え、しかも、この冷却風が加熱圧着機構の側への流入する現象を遮蔽部材が抑制すると同時に、この遮蔽部材が加熱圧着機構の放熱を抑制するので、加熱圧着機構の温度を低下させることもない。その結果、冷却ファンを用いて冷却を行うので、例えば、自然な放熱を利用して冷却を行うもののように大型化を伴うことがなく、また、冷却ファンを備えたものであるにも拘わらず、加熱圧着機構の温度低下を招くことなく被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して確実に転写し固着させる被覆装置が合理的に構成された。
【0011】
本発明は、前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されても良い。
【0012】
この構成により、圧着ローラ対夫々が回転することにより被覆シートと重ね合わせ状態にある記録媒体を円滑に送りながら熱と圧力とを作用させ、この圧着ローラ対のうち冷却ファンが配置された側のローラを遮蔽部材が覆うので、このローラが冷却ファンからの冷却風で除熱される不都合を解消できる。
【0013】
本発明は、前記剥離処理位置より、前記記録媒体の搬送方向での下流位置に再加熱圧着機構を配置し、この再加熱圧着機構に対して前記冷却ファンからの冷却風の流入を抑制する副遮蔽部材を備えても良い。
【0014】
この構成により、記録媒体の記録面に対して熱と圧力との作用によって被覆シートの転写層が転写され、被覆シートが剥離された後の記録媒体が再加熱圧着機構から熱と圧力とが作用することにより、記録媒体の記録面に対して転写層を隙間なく確実に固着できるものとなり、また、冷却風が再加熱圧着機構の側への流入する現象を副遮蔽部材が抑制し、再加熱圧着機構の温度を低下させることもない。
【0015】
本発明は、前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材を前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置しても良い。
【0016】
この構成により、圧着ローラ対夫々が回転することにより記録媒体を円滑に送りながら熱と圧力とを作用させ、この圧着ローラ対のうち冷却ファンが配置された側のローラを副遮蔽部材が覆うので、このローラが冷却ファンからの冷却風で冷却される不都合を解消できる。
【0017】
本発明は、前記加熱圧着機構と、被覆シートと重ね合わされた前記記録媒体を搬送する前記搬送経路とを収容するケース部を備えると共に、前記搬送経路の近傍位置の温度を計測する経路温度センサを備え、この経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合に前記冷却ファンの駆動を開始する、又は、前記冷却ファンの駆動の駆動速度を増大させるファン制御手段を備えても良い。
【0018】
この構成により、経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合には、ファン制御手段が、冷却ファンの駆動を開始する、又は、駆動速度を増大させることにより、被覆シートと重ね合わされた状態で搬送経路に送られる前記記録媒体の放熱を積極的に行い、例えば、比較的高温の環境で作業を行う場合にも冷却不足に陥ることが無く被覆シートの転写層を確実に接着させることが可能となる。
【0019】
本発明は、前記ケース部の内部の空気温度を低下させる換気ファンを備え、前記経路温度センサで計測される温度が前記予め設定された温度を超えた場合に前記換気ファンの駆動を開始する、又は、前記換気ファンの駆動速度を増大させるように前記ファン制御手段の制御形態を設定しても良い。
【0020】
この構成により、経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合には、ファン制御手段が、換気ファンの駆動を開始する、又は、駆動速度を増大させるので、ケース部内の空気温度の上昇を抑制し、冷却ファンによる積極的な冷却を促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、下部ケース20に対して着脱自在に上部ケース21を重ね合わせて箱状のケース部を構成し、このケース部の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。
【0022】
この被覆装置はケース部の一方の端部に供給トレイ1を備え、他方の端部に排出トレイ4を備えており、本発明における「記録媒体」としての記録紙Aを、その記録面を上向きにして供給トレイ1にセットし、供給ガイド2に沿って水平方向にケース部の内部に供給することにより、被覆処理ユニットが記録紙Aを搬送経路Lに沿って水平方向に搬送しながら、その記録面に透明な被覆層を形成して排出トレイ4に排出する処理を行う。
【0023】
前記上部ケース21の上面には透明な樹脂製のパネル22を備え、このパネル22に多数の吸気孔22aを穿設してあり、また、このパネル22に隣接する位置の上部ケース21の上面に換気孔21aを穿設している。
【0024】
前記被覆処理ユニットは、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとに熱と圧力とを作用させる第1加熱圧着機構8(加熱圧着機構の一例)と、記録紙Aから被覆シートBの基材Cを剥離する第1分岐ガイド9(この第1分岐ガイド9が配置された位置が剥離処理位置となる)と、被覆シートBの基材Cから分離した転写層Dによって被覆層F(図4、図5を参照)が形成された後の記録紙Aと補助シートEとに熱と圧力とを更に作用させる第2加熱圧着機構10(再加熱圧着機構の一例)と、記録紙Aから補助シートEを剥離させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3とが設けられている。これらは、本体フレーム12に支持され、以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図4及び図5に示すように、基材Cと、片側の面に剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分である。この転写層Dは、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に形成され、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有している。また、保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
【0026】
前記被覆シートBの転写層Dは、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Fとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
【0027】
また、後述するように第1加熱圧着機構8は、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から熱と圧力とを作用させるので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加熱圧着機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0028】
前記被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅の長尺のシートが用いられる。そして、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
【0029】
前記被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、この供給保持部6aからの被覆シートBを導くフリーローラ6eと、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路と分岐され、転写層Dが剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。
【0030】
前記供給保持部6aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するためにトルクリミッター等を用いた回転制限機構6dとを有している。この構造により、被覆シートBは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a、及び、これに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この引き出しの際には、回転制限機構6dにより保持軸6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから第1加熱圧着機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。尚、前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで前記第1加熱圧着機構8が構成され、この前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとが本発明の加熱圧着機構の圧着ローラ対に対応する。
【0031】
図2に示すように、前記基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aから剥離した被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、この巻取軸駆動機構6gから巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構6hとを有している。この被覆装置の各部の駆動は単一のモータ13からの駆動力が複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により伝達されることにより行われる。
【0032】
前記駆動制限機構6hとしては、例えば、巻取軸駆動機構6gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッターを備えた構成等が用いられる。ここで、駆動制限機構6hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構6gにより駆動される巻取軸6fの回転速度は、巻取軸6fに基材Cが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸6fに巻き取られた基材Cの外周の周速が第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。
【0033】
具体的には、巻取軸6fに基材Cがほとんど巻き取られておらず、基材Cの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、被覆シートBの基材Cの搬送速度V1は第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの外周の周速との速度差により基材Cの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構6hにより巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
【0034】
前記補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。従って、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0035】
また、補助シートEは、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。前記補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
【0036】
前記補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、この供給保持部7aからの補助シートEを導くフリーローラ7eと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路と分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。
【0037】
前記供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するためにトルクリミッター等を用いた回転制限機構7dとを有している。この構造により、補助シートEは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構7dにより保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
【0038】
前記記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、第2加熱圧着機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
【0039】
前記シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aから剥離した補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gと、この巻取軸駆動機構7gから巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための駆動制限機構7hとを有している。また、図2に示すように、巻取軸駆動機構7gは、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
【0040】
前記駆動制限機構7hとしては、例えば、巻取軸駆動機構7gを構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッターを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、駆動制限機構7hにより制限されていない状態で巻取軸駆動機構7gにより駆動される巻取軸7fの回転速度は、巻取軸7fの周囲に補助シートEが巻き取られることによりその外周の径が変化する場合にも、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの外周の周速が第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速よりも速くなるように、設定されている。
【0041】
具体的には、巻取軸7fに補助シートEがほとんど巻き取られておらず、補助シートEの外周の周速が最も遅い状態での周速が、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速と同等又はそれよりやや速い速度とすると好適である。この際、補助シートEの搬送速度V1は、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及びそれと同じ速度で回転する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まるので、巻取軸7fに巻き取られた補助シートEの外周の周速との速度差により補助シートEの張りが保たれ、その速度差は駆動制限機構7hにより巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収される。
【0042】
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、重ね合わされた状態で第1加熱圧着機構8において両面から加圧される。
【0043】
第1加熱圧着機構8は、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動するローラ駆動機構8cと、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加熱圧着機構8dとを有している。この前記駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとで本発明の加熱圧着機構の圧着ローラ対が構成されている。
【0044】
前記駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材で被覆している。この弾性部材の厚さは後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱機構の一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間を搬送される記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
【0045】
ローラ駆動機構8cは、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ8aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、加熱圧着機構8dは、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有している。この加熱圧着機構8dによる加圧力は、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとのニップ部における圧力が8〜12kg/cm2程度となるように設定している。
【0046】
前記第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれヒータ8g(本発明の発熱機構の一例)が設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。このヒータ8gとしてのハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
【0047】
従って、第1加熱圧着機構8においては、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの間で、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを積層状態で搬送しながら両面から加圧するとともに加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、被覆シートBと補助シートEとの間に挟まれた記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが接着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧によって圧着されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着される。そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。
【0048】
図5に示すように、前記第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加熱圧着機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮する程度の距離を第1加熱圧着機構8との間に形成している。
【0049】
第2加熱圧着機構10は、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動するローラ駆動機構10cと、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加熱圧着機構10dとを有している。この駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとで本発明の再加熱圧着機構の圧着ローラ対が構成されている。
【0050】
駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材で被覆している。この弾性部材の厚さは、後述するように金属ローラの内部に設けられるヒータ(本発明の発熱機構の一例)からの熱の伝導性を損なうことがなく、かつ、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとの間を搬送される被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを十分に圧着させることができる程度の弾性を有する厚さとすることが好ましく、例えば、シリコンゴムの場合であれば約1mm程度の厚さとすると好適である。
【0051】
ローラ駆動機構10cは、図2に示すように、この被覆装置の全体の駆動を行うモータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ10aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。この伝達機構は、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速と、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速とがほぼ同じになるように設定されている。また、加熱圧着機構10dは、加圧ローラ10bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材10eと、この保持部材10eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材10fとを有している。この加熱圧着機構10dによる加圧力は、駆動ローラ10aと加圧ローラ10bとのニップ部における圧力が3〜7kg/cm2程度となるように設定している。
【0052】
また、この第2加熱圧着機構10の加圧ローラ10bの内部にはヒータ10g(本発明の発熱機構の一例)が設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。
【0053】
従って、第2加熱圧着機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加圧するとともに被覆層F側の面から加熱する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
【0054】
前記第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加熱圧着機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。図3に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。
【0055】
そして、図6、図7に示すように、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
【0056】
前記排出機構3は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出するための記録紙Aの搬送機構である。この排出機構3は、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ3aと、この駆動ローラ3aを回転駆動するローラ駆動機構3cと、駆動ローラ3aに対向して設けられ、駆動ローラ3aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ3aの回転に従動して回転する加圧ローラ3bと、この加圧ローラ3bを駆動ローラ3a側に加圧する加熱圧着機構3dとを有している。
【0057】
前記ローラ駆動機構3cは、この被覆装置の全体の駆動を行う前記モータ13と、このモータ13の駆動力を駆動ローラ3aまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。ここで、伝達機構は、この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速が、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10a及び第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速よりも速くなるように設定されている。この排出機構3の駆動ローラ3aの外周の周速は、具体的には、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aの外周の周速に対して、0.2〜30%程度、より好ましくは0.5〜20%程度、更に好ましくは1〜10%程度速い速度となるように設定すると好適であり、本実施形態においては5%程度速い速度となるように設定している。
【0058】
このような構成から、図6に示すように、補助シートEと分離後の記録紙Aの部分に対して補助シートEの搬送速度V1よりも速い搬送速度V2で搬送しようとする力を付与することになり、図7に示すように、記録紙Aの後端付近と補助シートEとが分離する際に記録紙Aを排出機構3の搬送力で補助シートEから引き離すことになるので、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その被覆層Fに連続して記録紙Aの搬送方向後方の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとを排出機構3の搬送力で分離させることができる。従って、記録紙Aを補助シートEから分離した後で記録紙Aの後方に余分な被覆層Fが残った状態となることを防止できる。
【0059】
また、加熱圧着機構3dは、加圧ローラ3bの回転軸の両端部を下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材3fを有している。この加熱圧着機構3dによる加圧力は、記録紙Aの後端付近が補助シートEと分離するまでは、駆動ローラ3aが記録紙Aの裏面に対して滑っている状態となり、記録紙Aの後端付近が補助シートEから分離した後は駆動ローラ3aと記録紙Aとが滑ることなく搬送されるような圧力とすると好適である。すなわち、この加熱圧着機構3dによる加圧力の調整により、記録紙Aに対して与える搬送方向の力を制限可能な構成としている。そのため、加熱圧着機構3dは、付勢部材3fの取り付け位置を調節可能とする等により加圧力を微調整可能な構成とすることが望ましい。これにより、記録紙Aと補助シートEとが分離する位置が、第2分岐ガイド11による記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路Lとの分岐位置に対して上流側になり過ぎることにより被覆層Fに無理な力が作用して被覆後の記録紙Aの品質が低下することを防止できる。
【0060】
図3に示すように、前記駆動ローラ8aと、加圧ローラ8bとの外周面のうち、前記補助シートE、及び、被覆シートBが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサSa、Sbを備えており、また、これと同様に加圧ローラ10bの外周面のうち、補助シートEが接触しない端部側の領域に接触する熱電対型のローラ温度センサScを備え、更に、放熱領域Lcに送られる被覆シートBからの輻射熱から、被覆シートBの表面温度を計測するように赤外線感知素子等を用いた経路温度センサSeを備えている。この経路温度センサSeは、前記搬送経路Lの近傍位置の空気温度を計測するものであっても良い。
【0061】
また、前記第1加熱圧着機構8と、記録紙Aの搬送方向(被覆シートBの搬送方向)での下流側に配置された第1分岐ガイド9(剥離処理位置)との間の搬送経路Lに放熱領域Lcを形成してあり、この放熱領域Lcに冷却風を供給する一対の冷却ファン25を、この放熱領域Lcの上方側に配置してある。更に、第2加熱圧着機構10の上方にはケース部の内部の空気を送り出す換気ファン26を備えている。尚、冷却ファン25は前記パネル22に穿設した多数の吸気孔22aから吸引した外気を前記放熱領域Lcに供給するよう機能し、前記換気ファン26は前記上部ケース21に穿設した換気孔21aを介してケース部内の空気を外部に送り出すように機能する。
【0062】
前記冷却ファン25は、高温度の環境において本被覆装置を可動させる場合でも、前記放熱領域Lcにおいて、被覆シートBと補助シートEとに挟み込まれる記録紙Aの温度を転写層が記録紙Aの記録面に接着するに必要な温度まで確実に低下させ得る冷却性能のものを使用している。
【0063】
図3に示すように、前記加圧ローラ8bの上方及び側方を覆う形状の遮蔽部材27と、前記加圧ローラ10bと上方及び側方を覆う形状の副遮蔽部材28とを備えている。前記遮蔽部材27は前記冷却ファン25からの冷却風の前記加圧ローラ8bへの流入を抑制することにより、この加圧ローラ8bの温度低下を阻止すると同時に、加圧ローラ8bの放熱を抑制し、また、副遮蔽部材28は前記冷却ファン25からの冷却風の前記加圧ローラ10bへの流入を抑制すると同時に加圧ローラ10bの放熱を抑制することにより、この加圧ローラ10bの温度低下を阻止するよう機能する。
【0064】
この被覆装置は図8に示すようにマイクロプロセッサ(CPU)を内蔵した制御ユニット30を備えている。この制御ユニット30は、入出力インタフェース31を備え、この入出力インタフェース31に対して前記ローラ温度センサSa、Sb、Sc、及び、経路温度センサSe夫々からの計測温度がA/D変換器32でデジタル信号化されて入力し、また、前記3つのヒータ8g、8g、10gに供給する電力を制御するPWM回路33夫々に対して制御信号を出力し、前記一対の冷却ファン25、前記換気ファン26、前記モータ13の回転速度を制御する回転制御回路34に対して制御信号を出力する信号系を備えている。前記PWM回路33では前記3つのヒータ8g、8g、10g夫々に供給する電力のデューティ比の設定により調節するよう作動するものであり、前記回転制御回路34は前記冷却ファン25、前記換気ファン26、前記モータ13に供給する電力を調節することや駆動信号の周期を調節することにより夫々の駆動速度(単位時間内の回転速度)を調節するよう作動するものである。
【0065】
前記マイクロプロセッサ(CPU)は、データを保存する半導体メモリ(RAM/ROM)と、該被覆装置全体の制御動作を管理する主制御部36と、被覆シートB及び補助シートEの搬送速度を制御する搬送制御手段37と、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々の温度を制御するローラ温度制御手段38と、一対の冷却ファン25及び換気ファン26の回転速度を制御するファン制御手段39とに対してデータバスを介して信号のアクセスを行えるように構成されている。尚、これら主制御部36、搬送制御手段37、ローラ温度制御手段38、ファン制御手段39はソフトウエアで構成したものを想定しているが、ロジック等のハードウエアで構成して良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成しても良い。
【0066】
ちなみに、この制御ユニット30では制御を実現するためにデータバスの他にコントロールバスやアドレスバス等を必要とするものであるが、複雑化を避ける目的から図面にはコントロールバスやアドレスバス、あるいは、インタフェース類を示していない。
【0067】
この前記主制御部36は、前記搬送制御手段37、ローラ温度制御手段38、ファン制御手段39夫々を介して被覆装置全体の管理を行うものであるが、駆動ローラ8a・加圧ローラ8b・加圧ローラ10b夫々、及び、冷却ファン25・前記換気ファン26夫々による温度管理の概要を図9のフローチャートのように表すことが可能である。
【0068】
つまり、温度管理の制御時には制御の開始時のイニシャライズにおいて、ファン制御のために上限温度としてのTmaxに30℃を設定し、下限温度としてTminに15℃を設定し、目標温度としてのTxに25℃を設定し、この目標温度Txを基準にして不感帯の領域を設定するTaとTbとを設定し、また、ローラ温度制御のための目標温度としてのTxに60℃、100℃、90℃を設定し(駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10bに対応した温度)、この目標温度Txを基準にして不感帯の領域を設定するTaとTbとを設定する(#01ステップ)。
【0069】
次に、ファン制御ルーチン(#100ステップ)、ローラ温度制御ルーチン(#200ステップ)の処理をリセットされるまで継続する(#02ステップ)。
【0070】
前記ファン制御ルーチン(#100ステップ)は、図10フローチャートに示すように、前記放熱領域Lcの近傍位置に配置した前記経路温度センサSeで計測した温度(Ts)を取得し、この温度(Ts)に基づいて制御パラメータを設定し、このように設定された制御パラメータに対応した制御を実行する(#101〜#103ステップ)。前記#103ステップでは、冷却ファン25と前記換気ファン26とを同期して比例する回転速度で制御するよう制御形態が設定されている。
【0071】
具体的に説明すると、#102ステップでは、温度(Ts)がTminより低温である場合には(Ts<Tmin)、過冷却であるので冷却ファン25と換気ファン26とを停止させる制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTminより高温であるが不感帯より低温である場合には(Tmin≦Ts<Tb)、冷却を抑制する必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した回転速度を現出する制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯にある場合には(Tb≦Ts≦Ta)、転写に最適な温度が維持されているので回転速度を維持する制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTmaxより低温であるが不感帯より高温である場合には(Ta<Ts≦Tmax)、冷却を促進する必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した回転速度を現出する制御パラメータを設定し、温度(Ts)がTmaxより高温である場合には(Tmax<Ts)、急速な冷却が必要であるので、最高となる回転速度を現出する制御パラメータを設定する。
【0072】
この制御形態では、経路温度センサSeで計測した温度(Ts)が予め設定された温度未満である場合にのみ、冷却ファン25と換気ファン26とを停止させるよう制御形態を設定していたが、転写に適した温度にある場合には冷却ファン25と換気ファン26とを停止させておき、転写に適した温度を超えた場合にのみ冷却ファン25と換気ファン26とを駆動するように制御形態を設定することが可能である。特に、本発明では、換気ファン26だけを常時回転させておき、放熱領域Lcの温度を制御する場合には冷却ファン25だけを制御するよう制御形態を設定するように処理形態を設定することも可能である。また、本発明では、前述したように温度差(Tx−Ts:偏差)に比例した回転速度を設定する比例制御を想定しているが、偏差の単位時間内の積分値、及び、この偏差の単位時間内の微分値に基づいてPID制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
【0073】
また、ローラ温度制御ルーチン(#200ステップ)では、図11フローチャートに示すように、前記ローラ温度センサSa、Sb、Scで計測した温度(Ts)を取得し、この温度(Ts)に基づいて制御パラメータを設定し、このように設定された制御パラメータに対応した制御を実行する(#201〜#203ステップ)。
【0074】
具体的に説明すると、#202ステップの処理は、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々に対応して独立して行われるものであり、駆動ローラ8a、加圧ローラ8b、加圧ローラ10b夫々に対応したローラ温度センサSa、Sb、Scで計測した温度(Ts)が不感帯より低温である場合には(Ts<Tb)、温度上昇を図る必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した電力値に対応した制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯にある場合には(Tb≦Ts≦Ta)、最適な温度が維持されているので現在の電力を維持する制御パラメータを設定し、温度(Ts)が不感帯より高温である場合には(Ta<Ts)、温度低下を図る必要があるので温度差(Tx−Ts)に比例した電力値に対応した制御パラメータを設定するのである。
【0075】
また、本発明では、前述したように温度差(Tx−Ts:偏差)に比例した電力値を設定する比例制御を想定しているが、偏差の単位時間内の積分値、及び、この偏差の単位時間内の微分値に基づいてPID制御を行うよう制御形態を設定しても良い。
【0076】
このように、本発明によると、冷却ファン25を備えることにより、第1加熱圧着機構8の部位において熱と圧力との作用によって、被覆シートBの転写層Dが記録紙Aに転写された後に、被覆シートBと重ね合わせた状態で搬送経路Lの放熱領域Lcに搬送される記録紙Aに対して冷却ファン25からの冷却風を供給して、積極的な放熱を行わせるので転写層Dを記録紙Aに対して確実に固着させた状態で、第1分岐ガイド9において基材Cの剥離を行えるとものとなり、しかも、冷却ファン25から加圧ローラ8bへの冷却風の流れ込みを遮蔽部材27が阻止するので、この加圧ローラ8bの温度低下を抑制して加熱不足に陥らないようにできる。また、冷却ファン25から加圧ローラ8bへの冷却風の流れ込みを副遮蔽部材28が阻止するので、加圧ローラ8bの温度低下を抑制して確実な転写層Dの確実な固着を実現するものにしている。
【0077】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0078】
(イ)加熱圧着機構として、ローラを用いずに被覆シートと記録紙(記録媒体)とを挟み込み位置に配置された一対の加熱プレートを用いることや、一方にプレート状の加熱体を用い、他方にローラ状の加熱体を用いることが可能である。また、発熱機構として、ニクロム線のように通電によってジュール熱を発生させる構造のものを用いても良い。
【0079】
(ロ)冷却ファンは、記録紙(記録媒体)の記録面(表面)の側に冷却風を供給するものが最適であるが、記録紙の裏面側に冷却風を供給するものものであっても、表裏両面に冷却風を供給するよう、搬送経路を挟んだ両側に配置するものであっても良い。そして、このように冷却ファンを配置した場合には、この冷却ファンからの冷却風が流れ込む側の加熱圧着機構を覆う形態で遮蔽部材を配置することが理想となる。
【0080】
(ハ)冷却ファン25を停止させる制御時、あるいは、冷却ファン25を最高速度で駆動した場合には、加熱温度が適正な温度から外れていることをオペレータに認識させるためのアラームランプを点灯させることや、アラーム音を発生させるよう制御形態を設定しても良い。
【0081】
(ニ)ケース部の内部温度が予め想定された温度を超えた場合に、ケース内部の温度を低下させるための冷却手段を備えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】被覆装置の全体を示す斜視図
【図2】被覆装置ユニットの斜視図
【図3】被覆装置の縦断正面図
【図4】被覆シートの構造を示す模式断面図
【図5】第1分岐ガイド近傍の拡大断面図
【図6】第2分岐ガイドにおいて記録紙が補助シートから剥離する際の状態を模式的に示す斜視図
【図7】第2分岐ガイドにおいて記録紙が補助シートから剥離した直後の状態を模式的に示す斜視図
【図8】制御系のブロック回路図
【図9】温度管理処理のフローチャート
【図10】ファン制御ルーチンのフローチャート
【図11】ローラ温度制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0083】
8 加熱圧着機構
8a、8b 圧着ローラ対
8g 発熱機構
10 再加熱圧着機構
10a、10b 圧着ローラ対
10g 発熱機構
25 冷却ファン
26 換気ファン
27 遮蔽部材
28 副遮蔽部材
39 ファン制御手段
A 記録媒体
B 被覆シート
L 搬送経路
Se 経路温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置であって、
前記加熱圧着機構と前記剥離処理位置との間の記録媒体の搬送経路に対して冷却風を供給する冷却ファンを備えると共に、この冷却ファンからの冷却風の前記加熱圧着機構への流入を抑制する遮蔽部材を備えている被覆装置。
【請求項2】
前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されている請求項1記載の被覆装置。
【請求項3】
前記剥離処理位置より、前記記録媒体の搬送方向での下流位置に再加熱圧着機構を配置し、この再加熱圧着機構に対して前記冷却ファンからの冷却風の流入を抑制する副遮蔽部材を備えている請求項1又は2記載の被覆装置。
【請求項4】
前記再加熱圧着機構が、対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記副遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されている請求項3記載の被覆装置。
【請求項5】
前記加熱圧着機構と、被覆シートと重ね合わされた前記記録媒体を搬送する前記搬送経路とを収容するケース部を備えると共に、前記搬送経路の近傍位置の温度を計測する経路温度センサを備え、この経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合に前記冷却ファンの駆動を開始する、又は、前記冷却ファンの駆動の駆動速度を増大させるファン制御手段を備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆装置。
【請求項6】
前記ケース部の内部の空気温度を低下させる換気ファンを備え、前記経路温度センサで計測される温度が前記予め設定された温度を超えた場合に前記換気ファンの駆動を開始する、又は、前記換気ファンの駆動速度を増大させるように前記ファン制御手段の制御形態を設定してある請求項5記載の被覆装置。
【請求項1】
基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを、記録媒体の記録面に重ね合わせて加熱圧着機構に供給し、この加熱圧着機構では熱と圧力との作用により前記被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写し、この加熱圧着機構より前記記録媒体の搬送方向での下流側の剥離処理位置において前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置であって、
前記加熱圧着機構と前記剥離処理位置との間の記録媒体の搬送経路に対して冷却風を供給する冷却ファンを備えると共に、この冷却ファンからの冷却風の前記加熱圧着機構への流入を抑制する遮蔽部材を備えている被覆装置。
【請求項2】
前記加熱圧着機構が、圧着位置に対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されている請求項1記載の被覆装置。
【請求項3】
前記剥離処理位置より、前記記録媒体の搬送方向での下流位置に再加熱圧着機構を配置し、この再加熱圧着機構に対して前記冷却ファンからの冷却風の流入を抑制する副遮蔽部材を備えている請求項1又は2記載の被覆装置。
【請求項4】
前記再加熱圧着機構が、対向配置された圧着ローラ対と、この圧着ローラ対の少なくとも一方に熱を与える発熱機構とを備えて構成され、前記副遮蔽部材が前記冷却ファンに近接する側のローラを覆う位置に配置されている請求項3記載の被覆装置。
【請求項5】
前記加熱圧着機構と、被覆シートと重ね合わされた前記記録媒体を搬送する前記搬送経路とを収容するケース部を備えると共に、前記搬送経路の近傍位置の温度を計測する経路温度センサを備え、この経路温度センサで計測した温度が、予め設定された温度を超えた場合に前記冷却ファンの駆動を開始する、又は、前記冷却ファンの駆動の駆動速度を増大させるファン制御手段を備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆装置。
【請求項6】
前記ケース部の内部の空気温度を低下させる換気ファンを備え、前記経路温度センサで計測される温度が前記予め設定された温度を超えた場合に前記換気ファンの駆動を開始する、又は、前記換気ファンの駆動速度を増大させるように前記ファン制御手段の制御形態を設定してある請求項5記載の被覆装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−142536(P2006−142536A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332606(P2004−332606)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
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