説明

被覆装置

【課題】 被覆シートに対して記録媒体を最適な形態で密着させて被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して転写する被覆装置を合理的に構成する。
【解決手段】 開閉軸75周りで揺動開閉自在に第1フレームF1と第2フレームF2とを連結し、第1フレームF1に被覆シート搬送機構を支持し、第2フレームF2に補助シート搬送機構を支持し、第1フレームF1、第2フレームF2を開放した後に、閉じ操作した場合には、第1フレームF1と一体的に揺動するセクタギヤ90の回転力を第1ギヤ91、第2ギヤ92、一方向クラッチ93夫々を介して補助シート搬送機構の供給軸41の回転制動部41Bに伝えて、補助シートCに対して張力を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを搬送する被覆シート搬送機構を備え、この被覆シート搬送機構で搬送される被覆シートの転写層に記録媒体の記録面を接触させ、この記録媒体と前記被覆シートとを加熱圧着機構で挟み込んで熱と圧力とを作用させることにより被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写する転写処理を行い、この転写の後に、前記加熱圧着機構より下流側に配置した剥離機構で前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された被覆装置に関連する技術として、記録物(本発明の記録媒体)の画像面(本発明の記録面)に転写シート(本発明の被覆シート)を重ね合わせた状態で加熱圧着手段に供給し、この加熱圧着手段を構成するヒートローラ対から熱と圧力とを作用させることにより転写シートに形成された被転写層(本発明の転写層)を記録物に転写し、この転写後には、ローラ対で成る剥離手段の位置において転写シートの支持体を記録物から剥離させる装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、転写シートが、支持体に被転写層を形成した構造を有しており、加熱圧着手段によって、転写層を記録物に転写した後には、温度が低下して転写シートが画像面上にしっかりと固着したところで、剥離手段により転写シートから支持体を引き剥がす処理が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2003‐300387号公報 (段落番号〔0014〕〜〔0036〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造の被覆装置では、被覆シートに弛みを発生させないよう被覆シートに適当な張力を作用させることが必要となる。ところで、この種の被覆装置では、被覆シートより狭い幅の記録媒体を被覆シートに重ね合わせる形態で加熱圧着する処理が行われるため、記録媒体が存在しない部位の転写層が被覆シートから分離して、被覆シートを搬送するローラ等に付着する不都合があった。
【0005】
この不都合を解消するために、被覆シートと同じ幅の補助シートを被覆シートに密着させる位置に配置し、被覆シートと補助シートとの間に記録媒体を挟み込んで搬送し、熱と圧力とを作用させて転写を行うことで、記録媒体の外周の転写層を補助シートに受け止めるよう構成するも考えられる。しかしながら、このように補助シートを用いるものでは、メンテナンスや被覆シートと補助シートとの交換等を行うために、被覆シートと補助シートとの対向する面同士を開放する構造を必要とするばかりか、この補助シートの張力も適切な値にセットする必要性が発生する。
【0006】
このように被覆シート及び補助シートを用いて転写を行うもので、例えば、メンテナンス等の後に各シートの張力を適正にセットするために、オペレータが人為的な操作を行うものでは、操作に手間が掛かるため改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、被覆シートに対して記録媒体を最適な形態で密着させて、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して転写する被覆装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを搬送する被覆シート搬送機構を備え、この被覆シート搬送機構で搬送される被覆シートの転写層に記録媒体の記録面を接触させ、この記録媒体と前記被覆シートとを加熱圧着機構で挟み込んで熱と圧力とを作用させることにより被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写する転写処理を行い、この転写の後に、前記加熱圧着機構より下流側に配置した剥離機構で前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置において、
前記被覆シート搬送機構で搬送される被覆シートの転写層に密着する位置に補助シートを送る補助シート搬送機構を備え、前記加熱圧着機構が、前記被覆シートの側に配置した第1加熱圧着体と、前記補助シートの側に配置した第2加熱圧着体とで前記被覆シートと補助シートとを挟み込むよう構成され、前記被覆シート搬送機構と前記第1加熱圧着部材とを第1フレームに支持し、前記補助シート搬送機構と前記第2加熱圧着部材とを第2フレームに支持し、かつ、第1、第2フレームを開閉自在に連結し、前記第1、第2フレームを閉じ姿勢から開放姿勢に操作することで前記被覆シートと補助シートとが密着状態から離間状態に切り換わり、この第1、第2フレームを開放姿勢から閉じ姿勢へ操作した際に、前記被覆シート又は補助シートの少なくとも一方に張力を作用させる張力付与機構を備えている点にある。
【0009】
この構成により、第1、第2フレームを開放姿勢から閉じ姿勢に操作した際には、張力付与機構が被覆シート又は補助シートの少なくとも一方に張力を作用させることになり、被覆シート又は補助シートのいずれか一方の弛みを取り除くことが可能となる。つまり、第1、第2フレームを閉じ姿勢に設定した状態では、被覆シートの転写面と補助シートの対向する面との間に記録媒体を挟み込み、第1圧着加熱体と第2圧着加熱体からの熱と圧力とを作用させて記録媒体の記録面に対して転写層を転写でき、この転写の際には記録媒体が存在しない部位の転写層を補助シートで受け止め、ローラ類に転写層を付着させることがない。また、第1、第2フレームを開放姿勢に操作することにより、被覆シートの転写層の面と、これに対向する補助シートの面とを開放し、メンテナンスをすることが可能となる。この後、張力付与機構が第1、第2フレームと閉じ操作した場合には、この閉じ操作と連動して被覆シート又は補助シートの少なくとも一方に張力を作用させることにより、少なくとも一方のシートに弛みのない状態で転写処理を行える。その結果、転写層を不要な部位に付着させることがなく、メンテナンスを容易に行え、このメンテナンスの後には、オペレータが張力をセットする作業を行わずとも、被覆シートに対して記録媒体を最適な形態で密着させた状態で、被覆シートの転写層を記録媒体の記録面に対して転写する被覆装置が合理的に構成された。
【0010】
本発明は、前記被覆シート搬送機構が、ロール状の被覆シートを被覆シート供給部から供給し、前記基材を基材巻き取り部に送るよう構成され、前記補助シート搬送機構がロール状の補助シートを補助シート供給部から補助シート巻き取り部に送るよう構成され、
前記張力付与機構は、前記第1、第2フレームの開放姿勢から閉じ姿勢への操作により前記被覆シート搬送機構と補助シート搬送機構との少なくとも一方のシート供給側又は巻き取り側に対して張力作用方向に回転力を作用させる回転作動部を備えても良い。
【0011】
この構成により、第1、第2フレームを閉じ姿勢に設定した際には、この操作に基づいて回転作動部が被覆シート搬送機構と補助シート搬送機構との少なくとも一方のシート供給側又は巻き取り側に対して張力作用方向に回転力を作用させることになり、弛みを解消できる。
【0012】
本発明は、前記第1フレームと第2フレームとが開閉軸周りで揺動開閉自在に連結されると共に、前記回転作動部は、揺動開閉時に前記開閉軸周りで揺動するセクタギヤと、このセクタギヤに噛合して前記被覆シート供給部と、補助シート供給部と、基材シート巻取り部と、補助シート巻き取り部とのいずれかに回転力を伝えるギヤ式の伝動機構を備えても良い。
【0013】
この構成により、第1、第2フレームを閉じ姿勢に設定した際には、この閉じ方向への操作力がセクタギヤから、ギヤ式の伝動機構に伝えられ、このギヤ式の伝動機構からの動力によって被覆シート搬送機構と補助シート搬送機構との少なくとも一方に張力を作用させることが可能となる。
【0014】
本発明は、前記剥離機構が、前記被覆シートに接触する状態で前記記録媒体と前記被覆シートの基材とを異なる方向に案内する分岐ガイドで構成されると共に、この分岐ガイドは、前記第1フレームの側に支持され、前記第1、第2フレームが閉じ姿勢にある状態で、前記補助シートが送られる直線状の搬送経路内に突出することにより、補助シートに対して張力を作用させる前記張力付与機構として機能するよう構成しても良い。
【0015】
この構成により、第1、第2フレームを閉じ姿勢に設定した際には、分岐ガイドが補助シートに接触して張力を作用させることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔被覆装置の全体構成〕図1〜図3に示すように、下部ケース11に対して着脱自在に上部ケース12を重ね合わせて箱状のケース部10を構成し、このケース部10の内部に被覆処理ユニットを収容して被覆装置が構成されている。
【0017】
前記ケース部10は、前記上部ケース12が取り外せるように構成され、この上部ケース12には多数の吸気孔13aが穿設された透明な樹脂製のパネル13を備え、この上部ケース12のうちパネル13に隣接する部位には排気孔12aが穿設されている。
【0018】
前記被覆処理ユニットは、供給トレイ21に対して本発明における記録媒体としての記録紙Aを、その記録面を上向きにしてセットし、供給ガイド22に沿って送り込むことにより、この記録紙Aがユニット内部に自動的に搬送され、その記録面に透明な樹脂層が形成された後に、排出ガイド23に沿って排出トレイ24に送り出されるよう構成されている。
【0019】
前記被覆処理ユニットは、開閉軸75周りで揺動自在に連結された上部位置の第1フレームF1と、下部位置の第2フレームFとを備えると共に、この第1フレームF1に対して被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構30を支持し、前記第2フレームFに対して補助シートCを搬送する補助シート搬送機構40を支持している。被覆シート搬送機構30は、前記記録紙Aを水平方向に搬送する搬送経路Lの上側に被覆シートBを搬送し、前記補助シート搬送機構40は、前記搬送経路Lの下側に補助シートCを搬送し、この被覆シートBと補助シートCとの間に前記記録紙Aを挟み込んで搬送するように構成されている。また、前記供給ガイド22と排出ガイド23とは搬送経路Lを挟んだ上部位置と下部位置とに配置されている。
【0020】
前記被覆シートBは、図4に示すように転写層2を下面に向けて搬送経路Lに送るようにセットされ、この被覆シートBと補助シートCとで記録紙Aを挟み込んで搬送する搬送経路Lには、被覆シートBと補助シートCとを挟み込む形態で熱と圧力とを作用させて被覆シートBの転写層2を記録紙Aの記録面に転写する主加熱圧着機構50を備えている。この主加熱圧着機構50より搬送方向での下流側に記録紙Aから被覆シートBの基材1の剥離を行う主剥離機構5(記録紙Aと被覆シートBの基材1とを異なる方向に案内する分岐ガイドとして機能する)を備え、また、この主剥離機構5より搬送方向での下流側には、被覆シートBの基材1を剥離した後の記録紙Aを補助シートCとともに挟み込んで熱と圧力とを作用させる副加熱圧着機構60を備えている。この副加熱圧着機構60より搬送方向での下流側には記録紙Aから補助シートCの剥離を行う副剥離機構7を備え、更に、この副剥離機構7で補助シートCが剥離された記録紙Aを前記排出トレイ24に送り出す排出搬送機構70を備えている。
【0021】
〔被覆シートの構造〕前記被覆シートBは、図4に示すように基材1の一方の面に剥離可能な転写層2を形成している。この転写層2は、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Rとなる部分であり、基材1上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層2aと、この保護層2aの外側に設けられ、保護層2aを記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層2bと、この保護層2aと接着層2bとを結合状態に維持するためのアンカー層2cとを形成している。
【0022】
前記接着層2bには、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えば、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材1は、後述する主加熱圧着機構50における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層2からの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材1には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0023】
前記被覆シートBの転写層2は、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Rとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートCの表面に転写されて被覆層Rを形成した後、記録紙Aと補助シートCとが分離する際に記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートCの表面に形成された部分とが記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層2aには、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。
【0024】
〔補助シートの構造〕前記補助シートCは、前記被覆シートBの転写層2の転写時に、記録紙Aの外部に位置する転写層2を受け止めるため、前記被覆シートBとやや広い幅に設定され、の材質としては、被覆シートBの転写層2の表面に設けられている接着層2bが接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0025】
〔被覆処理ユニット〕図3、図11に示すように、前記被覆シート搬送機構30は、ロール状の被覆シートBを回転自在に支持するシート供給部としての供給軸31と、この供給軸31に支持されたロール状の被覆シートBを案内するフリーローラ32と、被覆シートBの基材1を巻き取る巻き取り部としての巻き取り軸33とを備えて構成され、前記補助シート搬送機構40は、ロール状の補助シートCを回転自在に支持するシート供給部としての供給軸41と、この供給軸41に支持されたロール状の補助シートCを案内するフリーローラ42と、補助シートCを巻き取る巻き取り部としての巻き取り軸43とを備えている。
【0026】
前記主加熱圧着機構50は、前記搬送経路Lの下側に配置され、記録紙Aと被覆シートBと補助シートCとに搬送力を作用させる駆動ローラ51(第2加熱圧着体の一例)と、前記搬送経路Lの上側において前記駆動ローラ51と対向する位置に配置され、駆動ローラ51の回転に従動して回転する加圧ローラ52(第1加熱圧着体の一例)と、この加圧ローラ52の両端位置に駆動ローラ51側に付勢力を作用させる付勢部53とを備えている。この付勢部53は、加圧ローラ52の端部を回転自在に支持するホルダ53aと、このホルダ53aに対して下方に付勢力を作用させるコイルバネ53bとを備えている。尚、駆動ローラ51と加圧ローラ52との圧着部における圧力が8〜12kg/cm程度に設定されている。
【0027】
駆動ローラ51と加圧ローラ52とは、ともに中空の金属ローラの表面にシリコンゴム等の弾性部材を被覆しており、この駆動ローラ51と加圧ローラ52とを構成する中空の金属ローラの内部の軸芯位置にハロゲンランプで成る加熱機構Hを配置している。この加熱機構Hによる加熱温度は、各ローラの表面温度で、加圧ローラ52では90〜110℃程度、駆動ローラ51では50〜70℃程度に設定されている。また、前記弾性部材は記録紙Aと被覆シートBと補助シートCとを充分に圧着させる弾性を有し、シリコンゴムを用いた場合、約1mm程度の厚さが好適である。また、加圧ローラ52は、放熱を抑制するため、その上部及び側部を覆う構造のカバー52cを備えている。
【0028】
前記副加熱圧着機構60は、前記搬送経路Lの下側に配置され、記録紙Aと補助シートCとに搬送力を作用させる駆動ローラ61と、前記搬送経路Lの上側において前記駆動ローラ61の方向に付勢され、駆動ローラ61の回転に従動して回転する加圧ローラ62と、この加圧ローラ62の両端位置に対して駆動ローラ61側に付勢力を作用させる付勢部63とを備えている。前記付勢部63は、加圧ローラ62の端部を回転自在に支持するホルダ63aと、このホルダ63aに対して下方に付勢力を作用させるコイルバネ63bとを備えている。尚、駆動ローラ61と加圧ローラ62との圧着部における圧力が3〜7kg/cm程度に設定されている。

駆動ローラ61と加圧ローラ62とは、ともに中空の金属ローラの表面にシリコンゴム等の弾性部材を被覆しており、加圧ローラ62を構成する中空の金属ローラの内部の軸芯位置にはハロゲンランプで成る加熱機構Hを配置している。この加熱機構Hによる加熱温度は、加圧ローラ62の表面温度で80〜100℃程度に設定されている。前記弾性部材は記録紙Aと被覆シートBと補助シートCとを充分に圧着させる弾性を有し、シリコンゴムを用いた場合、約1mm程度の厚さが好適である。また、加圧ローラ62は、放熱を抑制するため、その上部及び側部を覆う構造のカバー62cを備えている。
【0029】
前記主剥離機構5(分岐ガイドの一例)は、図5、図11に示すように、全体的に前記搬送経路Lの上側に配置されると共に、前記搬送経路Lを基準にして下端側が下方に突出する位置に配置されている。つまり、この主剥離機構5は、平面視において記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる姿勢の部材で成り、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行姿勢となる第1ガイド面5aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面5aに対して鋭角をなして上方に延びる姿勢の第2ガイド面5bが形成されている。前記第1ガイド面5aが前記搬送経路Lを基準にして図11に示す距離Dだけ下方に突出する位置に配置され、この第2ガイド面5bの延長方向の上方側に前記被覆シート搬送機構30の巻き取り軸33が配置されている。この主剥離機構5は、後述するように張力付与機構Eとして機能するものであり、前記距離Dは数mm〜数cmの値に設定される。
【0030】
前記副剥離機構7は、図4に示すように、全体的に前記搬送経路Lの下側位置に配置されている。また、この副剥離機構7は、平面視において記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる姿勢の部材で成り、その上側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行姿勢となる第1ガイド面7aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面7aに対して鋭角をなして下方に延びる姿勢の第2ガイド面7bが形成されている。また、この第2ガイド面7bの延長方向の下方側に前記補助シート搬送機構40の巻き取り軸43が配置されている。
【0031】
前記排出搬送機構70は、前記搬送経路Lの下側に配置され、記録紙Aに搬送力を作用させる駆動ローラ71と、前記搬送経路Lの上側において駆動ローラ71の方向に付勢され、駆動ローラ71の回転に従動して回転する加圧ローラ72と、この加圧ローラ72を駆動ローラ71側に付勢するバネ73とを有している。
【0032】
図2、図3に示すように、前記主加熱圧着機構50と前記主剥離機構5との間において被覆シートBと補助シートCとが搬送される搬送経路Lに対して冷却風を供給する一対の冷却ファン15が支持フレーム16を介して前記第1フレームF1に支持され、また、副加熱圧着機構60の上部位置にはケース部10の内部の空気を排出する排気ファン17がブラケット18を介して前記第1フレームF1に支持されている。
【0033】
前記冷却ファン15は前記パネル13に形成した複数の吸気孔13aを介して外気を吸引して搬送経路Lに送られる記録紙Aに冷却風を供給し、排気ファン17は前記上部ケース12に形成した排気孔12aを介してケース部10の内部の空気の排気を行う。この冷却ファン15は主加熱圧着機構50の加圧ローラ52、及び、副加熱圧着機構60の加圧ローラ62の方向にも冷却風を送るため、前記カバー52c、及び、62cが冷却風の流入を阻止して加圧ローラ52、加圧ローラ62の放熱を抑制するように機能する。
【0034】
図3に示すように、前記第1フレームF1に対して前記被覆シート搬送機構30の供給軸31と、フリーローラ32と、巻き取り軸33と、前記主加熱圧着機構50の加圧ローラ52と、前記主剥離機構5と、前記副加熱圧着機構60の加圧ローラ62と、前記排出搬送機構70の加圧ローラ72とを支持している。また、前記第2フレームF2に対して前記補助シート搬送機構40の供給軸41と、フリーローラ42と、巻き取り軸43と、前記主加熱圧着機構50の駆動ローラ51と、前記副加熱圧着機構60の駆動ローラ61と、前記副剥離機構7と、前記排出搬送機構70の駆動ローラ71とを支持している。
【0035】
図2、図8に示すように、前記第1フレームF1、第2フレームF2は夫々とも金属製の板材を平面視で矩形に成形して構成され、この第1フレームF1と第2フレームF2の外面には、夫々を閉じ姿勢に保持するバックル76と、第2フレームF2に対して第1フレームF1を開放する方向への操作を補助するガススプリング77とを備えている。
【0036】
図2、図9に示すように、前記第2フレームF2の外面に搬送モータ80を備え、この搬送モータ80で駆動されるスプロケット80Sと、前記主加熱圧着機構50の駆動ローラ51の軸端のスプロケット51Sと、前記副加熱圧着機構60の駆動ローラ61の軸端のスプロケット61Sと、前記補助シート搬送機構40の巻き取り軸43の軸端のトルクリミッター43Tに複数の伝動ギヤ81を介して連動する入力スプロケット81Sとに巻回する無端チェーン83を備えると共に、この無端チェーン83からの動力が伝えられる中間スプロケット84からの動力を前記被覆シート搬送機構30の巻き取り軸33の軸端のトルクリミッター33Tに伝える複数の中間ギヤ85と、前記補助シート搬送機構40の巻き取り軸43の軸端のギヤからの動力を前記排出搬送機構70の駆動ローラに伝える伝動ギヤ86とを備えている。
【0037】
前記巻き取り軸43の軸端のトルクリミッター43Tと、巻き取り軸33の軸端のトルクリミッター33Tとは、無端チェーン83を介して伝えられる回転力を適度にスリップさせ乍ら巻き取り軸43、巻き取り軸33に伝えるよう機能する。
【0038】
前記被覆シート搬送機構30の供給軸31の端部には、この供給軸31の回転に適度の制動力を作用させる回転制動部31Bを備え、前記補助シート搬送機構40の供給軸41の端部には、この供給軸41の回転に適度の制動力を作用させる回転制動部41Bを備えている。前記複数の中間ギヤ85が第1フレームF1と、第2フレームF2とに振り分けて支持され、第1フレームF1と第2フレームF2とを開放姿勢に設定した場合には、この中間ギヤ85が分離し、第1フレームF1と第2フレームF2とを閉じ姿勢に切り換えた場合には、複数の中間ギヤ85が咬合して動力の伝動を可能にする。
【0039】
前記被覆シートBは供給軸31から、フリーローラ32、主加熱圧着機構50の加圧ローラ52、主剥離機構5夫々を介して前記基材1が前記巻き取り軸33に導かれ、補助シートCは、供給軸41から主加熱圧着機構50の駆動ローラ51、副加熱圧着機構60の駆動ローラ61、副剥離機構7夫々を介して前記巻き取り軸43に導かれる。このような構成から、第1フレームF1と第2フレームF2とを閉じ姿勢に設定した状態では、主加熱圧着機構50の加圧ローラ52と主剥離機構5との間において直線的に搬送される被覆シートBと、これに対向する位置において直線的に搬送される補助シートCとが重なり合うよう相対的な位置関係となり、第1フレームF1と第2フレームF2とを開放姿勢に設定することにより、図10に示すように、被覆シートBと補助シートCとの圧着面同士を離間させることが可能となる。
【0040】
前記被覆シートBと補助シートCとの搬送速度は主加熱圧着機構50を構成する駆動ローラ51の回転速度によって決まるものであり、この駆動ローラ51による搬送速度より少し高い速度で前記被覆シート搬送機構30の巻き取り軸33を駆動し、同様に前記補助シート搬送機構40の巻き取り軸43を駆動することにより、巻き取り軸33、巻き取り軸43夫々におけるシートの巻き径に拘わらすトルクリミッター33T、及び、トルクリミッター43Tで速度差を吸収し、かつ、適度の張力を作用させた状態で主加熱圧着機構50での搬送速度より少し高い速度で被覆シートBの基材1と、補助シートCとを巻き取るように構成されている。また、副加熱圧着機構60の駆動ローラ61による補助シートCの搬送速度は主加熱圧着機構50での搬送速度と等しく設定され、この副加熱圧着機構60と、主加熱圧着機構50との間で補助シートCに対して過剰な張力を作用させることや、弛みを発生させることのないものにしている。
【0041】
このように搬送系を構成しているので、記録紙Aに被覆シートBの転写層2を転写する転写処理を行う場合には、搬送モータ80からの駆動力によって被覆シートBと補助シートCとを搬送した状態で、記録面を上方に向けた姿勢で記録紙Aを供給トレイ21から装置内に送り込むことにより、この記録紙Aが被覆シートBと補助シートCとに挟み込まれた状態で搬送経路Lに沿って搬送されるものとなる。また、この搬送の開始時には主加熱圧着機構50の駆動ローラ51と加圧ローラ52とからの熱と圧力との作用によって、被覆シートBの転写層2が記録紙Aの記録面に転写され(厳密には加熱により活性した接着層2bが記録紙Aの記録面に接着し)、記録紙Aに対して被覆層Rが形成される。
【0042】
この転写後に記録紙Aが搬送経路Lにおいて更に下流側に搬送されることにより、この記録紙Aは搬送時に冷却ファン15からの冷却風により除熱され、この除熱の後に図5に示す如く、主剥離機構5によって記録紙Aから被覆シートBの基材1が、前記搬送経路Lから分岐する方向に引き剥がされる。このように被覆シートBの基材1が記録紙Aから剥がされた場合には、記録紙Aの周囲に位置する転写層2は補助シートCに転写される。
【0043】
次に、被覆シートBの基材1が剥がされた記録紙Aは、補助シートCと重ねあわせ状態で副加熱圧着機構60の駆動ローラ61と加圧ローラ62との間に送り込まれ、この駆動ローラ61と加圧ローラ62において熱と圧力とが作用することにより、記録紙Aに形成された被覆層Rを記録紙Aの記録面に対して再び強く接着させる処理が行われる。つまり、前述のように被覆シートBの基材1を記録紙Aから剥がした場合には、被覆層Rに対して浮き上がらせる方向に力が作用するものであり、この力の作用によって被覆層Rの接着力が低下した場合でも副加熱圧着機構60によって被覆層Rを記録紙Aの全面に対して確実に固定できるようにしているのである。
【0044】
この後、副剥離機構7によって記録紙Aから補助シートCが、前記搬送経路Lから分岐する形態で引き剥がされ、このように補助シートCが引き剥がされた記録紙Aは、前記排出搬送機構70の駆動ローラ71と加圧ローラ72とで圧着された状態で前記排出トレイ24に送り出されるのである。
【0045】
また、前記排出搬送機構70による記録紙Aの搬送速度を前記副加熱圧着機構60での搬送速度より少し高く設定している。具体的には、伝動ギヤ86のギヤ比の設定により、副加熱圧着機構60の駆動ローラ61による補助シートCの搬送速度より、排出搬送機構70の駆動ローラ71による搬送速度を0.2〜30%程度、より好ましくは0.5〜20%程度、更に好ましくは1〜10%程度速い速度となるように設定してあり、本実施形態においては5%程度速い速度となるように設定している。ちなみに、この排出搬送機構70では、駆動ローラ71と加圧ローラ72との圧着力を、副加熱圧着機構60の駆動ローラ61と加圧ローラ62との圧着力より弱く設定しており、副加熱圧着機構60から排出搬送機構70に亘る長さの記録紙Aを処理する場合には、排出搬送機構70の駆動ローラ71と記録紙Aとの間で滑りを生じさせ、副加熱圧着機構60と排出搬送機構70との速度差を吸収し、記録紙Aに対して過剰な張力が作用する不都合を解消している。
【0046】
これにより、図6に示すように、補助シートCと分離後の記録紙Aの部分に対して補助シートCの搬送速度V1よりも速い搬送速度V2で搬送しようとする力を付与することになり、図7に示すように、記録紙Aの後端付近と補助シートCとが分離する際に記録紙Aを排出搬送機構70の搬送力で補助シートCから引き離すことになるので、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Rと、その被覆層Rに連続して記録紙Aの搬送方向後方の補助シートCの表面に形成された被覆層Rとを排出搬送機構70の搬送力で分離させることができ、記録紙Aを補助シートCから分離した後で記録紙Aの後方に余分な被覆層Rが残る不都合を防止できるのである。
【0047】
〔張力付与の構造〕本発明では、第1フレームF1と第2フレームF2とを開閉軸75周りで揺動させることにより、被覆シートBと補助シートCとの間を大きく離間させる形態で開放して、被覆シートBや補助シートCの交換、あるいは、メンテナンスを容易に行えるものであるが、このように開放した後に、第1フレームF1と第2フレームF2とを閉じ操作した場合に、補助シートCに対して張力を作用させる張力付与機構Eを備えている。この張力付与機構Eは、前述したように主剥離機構5で構成されるものの他に、図9に示すセクタギヤ90を用いるものも備えている。
【0048】
ちなみに、2箇所の加熱圧着機構の間にある各シートの張力は一定に維持されるため、第1フレームF1と第2フレームF2とを開放姿勢に設定した状態において各シートに張力を与えておく必要があった。そのため、本発明の処理ユニットでは、第1フレームF1と第2フレームF2とを閉じた際に各シートに張力を与える前記張力付与機構Eを備えている。
【0049】
このセクタギヤ90を用いた張力付与機構Eは、前記開閉軸75に軸芯位置を設定し、第1フレームF1と一体的に揺動する前記セクタギヤ90を備えると共に、このセクタギヤ90に咬合する第1ギヤ91と、これに咬合する第2ギヤ92と、この第2ギヤ92からの回転力を前記補助シート搬送機構40の供給軸41の回転制動部41Bに作用させる一方向クラッチ93とを備えて構成されている。前記一方向クラッチ93は、第1フレームF1を開放側に操作した際に、回転制動部41Bには回転力を作用させず、第1フレームF1と第2フレームF2とを閉じ方向に操作した場合に、セクタギヤ90からの回転力を回転制動部41Bに伝えるよう特性を設定している。尚、このセクタギヤ90と第1ギヤ91と第2ギヤ92と一方向クラッチ93とで本発明の回転作動部が構成されている。
【0050】
本実施形態では、第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ操作した場合に補助シートCの供給軸41に回転力を作用させていたが、同様の構造を用いて、第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ操作した場合に被覆シートBの供給軸31に回転力を作用させるように張力付与機構Eを構成することも可能であり、このように構成した場合には、被覆シートB、補助シートC夫々に対して確実に張力を作用させることが可能となる。
【0051】
つまり、第1フレームF1、第2フレームF2を開放操作する場合には、前記上部ケース11を取り外し、前記バックル76による連結を解除した後に、第1フレームF1、第2フレームF2を開放操作することにより、図10に示す如く、第1フレームF1、第2フレームF2を開放姿勢に設定でき、このように開放操作した場合には、被覆シート搬送機構30と、主剥離機構5と、供給ガイド22の一部と、排出ガイド23の一部とが第1フレームF1と一体的に上方に移動し、補助シート搬送機構40と、副剥離機構7と、供給ガイド22の一部と、排出ガイド23の一部とが第2フレームF2の側に固定される状態で、被覆シートBとが補助シートCを大きく離間させることになる。
【0052】
また、第1フレームF1、第2フレームF2を開放操作した場合には、一方向クラッチ93の機能によりセクタギヤ90からの回転力は補助シート搬送機構40の供給軸41には伝えられず、この開放操作の後に、第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ姿勢に操作した場合には、セクタギヤ90の揺動に伴い、このセクタギヤ90に咬合する第1ギヤ91、これに咬合する第2ギヤ92からの回転力が一方向クラッチ93を介して補助シート搬送機構40の供給軸41の回転制動部41Bに伝えられ、供給軸41を、補助シートCを巻き取り方向に回転させ、補助シートCに張力を作用させ、これと同時に、主剥離機構5と被覆シートBとが補助シートCに対しして前記距離Dだけ突入する形態で圧着することにより、補助シートCに対して張力を作用させるのである。
【0053】
ちなみに、第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ姿勢に設定した状態では、セクタギヤ90、第1ギヤ91、第2ギヤ92が回転しない状態にあるので、回転制動部41Bが供給軸41に対して制動力を作用させ得る状態となる。これにより、主加熱圧着機構50の駆動ローラ51から作用する搬送力が補助シートCに作用した場合には、供給軸41に対して回転制動部41Bが制動力を作用させ、適度の張力を作用させることが可能となるのである。
【0054】
このように本発明によると、第1フレームF1、第2フレームF2を開放操作した後に、この第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ操作した場合には、この閉じ操作と連係して、張力付与機構Eが補助シートCに対して確実に張力を作用させて弛みを除去できるものとなり、時間を無駄にすることなく被覆処理を開始できる。特に、セクタギヤ90を用いて張力を作用させる張力付与機構Eは、回転作動力を回転制動部41Bを介して伝えるので、過大な回転力が伝わった場合には、回転制動部41Bの内部で滑りを発生させて、過大な張力が作用する不都合を解消できると云う効果もある。
【0055】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0056】
(イ)第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ操作に連係して被覆シート搬送機構30の巻き取り軸33に対して張力作用方向に回転力を作用させる、又は、閉じ操作に連係して補助シート搬送機構40の巻き取り軸43に対して張力作用方向に回転力を作用させるように張力付与機構Eの回転作動部を構成する(巻き取り軸33と巻き取り軸43との回転操作を同時に行っても良い)。このように構成した場合には、シートを搬送方向の下手側に搬送する形態で張力を作用させるので張力の作用形態に無理がない。
【0057】
(ロ)張力付与機構Eとして、電動モータからの動力によって被覆シート搬送機構30、あるいは、補助シート搬送機構40のシート供給部やシート巻き取り部に回転力を伝えて張力を作用させるよう構成することも可能である。
【0058】
(ニ)主加熱圧着機構50の駆動ローラ51、加圧ローラ52、及び、副加熱圧着機構60の加圧ローラ62の表面温度が予め設定された温度以上にある場合には、第1フレームF1、第2フレームF2を閉じ状態に維持し、これらの温度が予め設定された温度未満まで低下した際に開放操作を許すロック機構を備える。このように構成することにより、温度が高い状態のローラ類を露出させることなくメンテナンスを行える。
【0059】
(ホ)第2フレームを開放方向に操作した場合には、この操作と連動して上部ケースを開放する連係構造を備える。この連係構造を備えた場合には、上部ケースを取り外す手間を掛けずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】被覆装置の全体を示す斜視図
【図2】被覆装置ユニットの斜視図
【図3】被覆装置の縦断正面図
【図4】被覆シートの構造を示す模式断面図
【図5】主剥離機構近傍の拡大断面図
【図6】副剥離機構において記録紙が補助シートから剥離する際の状態を模式的に示す斜視図
【図7】副剥離機構において記録紙が補助シートから剥離した直後の状態を模式的に示す斜視図
【図8】被覆装置ユニットの斜視図
【図9】第1、第2フレームを閉じ姿勢に設定した被覆装置の正面図
【図10】第1、第2フレームを開放姿勢に設定した被覆装置の正面図
【図11】主剥離機構の配置形態を示す断面図
【符号の説明】
【0061】
2 転写層
5 剥離機構
30 被覆シート搬送機構
31 シート供給部:供給軸
40 補助シート搬送機構
41 シート供給部:供給軸
50 加熱圧着機構
51 第2加熱圧着体:駆動ローラ
52 第1加熱圧着体:加圧ローラ
75 開閉軸
90 セクタギヤ
91、92 伝動機構:第1ギヤ・第2ギヤ
A 記録媒体
B 被覆シート
C 補助シート
E 張力付与機構
L 搬送経路
F1 第1フレーム
F2 第2フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に剥離可能な転写層を形成した被覆シートを搬送する被覆シート搬送機構を備え、この被覆シート搬送機構で搬送される被覆シートの転写層に記録媒体の記録面を接触させ、この記録媒体と前記被覆シートとを加熱圧着機構で挟み込んで熱と圧力とを作用させることにより被覆シートの転写層を前記記録媒体の記録面に転写する転写処理を行い、この転写の後に、前記加熱圧着機構より下流側に配置した剥離機構で前記記録媒体から被覆シートの基材の剥離を行うよう構成されている被覆装置であって、
前記被覆シート搬送機構で搬送される被覆シートの転写層に密着する位置に補助シートを送る補助シート搬送機構を備え、
前記加熱圧着機構が、前記被覆シートの側に配置した第1加熱圧着体と、前記補助シートの側に配置した第2加熱圧着体とで前記被覆シートと補助シートとを挟み込むよう構成され、
前記被覆シート搬送機構と前記第1加熱圧着部材とを第1フレームに支持し、前記補助シート搬送機構と前記第2加熱圧着部材とを第2フレームに支持し、かつ、第1、第2フレームを開閉自在に連結し、
前記第1、第2フレームを閉じ姿勢から開放姿勢に操作することで前記被覆シートと補助シートとが密着状態から離間状態に切り換わり、この第1、第2フレームを開放姿勢から閉じ姿勢へ操作した際に、前記被覆シート又は補助シートの少なくとも一方に張力を作用させる張力付与機構を備えている被覆装置。
【請求項2】
前記被覆シート搬送機構が、ロール状の被覆シートを被覆シート供給部から供給し、前記基材を基材巻き取り部に送るよう構成され、前記補助シート搬送機構がロール状の補助シートを補助シート供給部から補助シート巻き取り部に送るよう構成され、
前記張力付与機構は、前記第1、第2フレームの開放姿勢から閉じ姿勢への操作により前記被覆シート搬送機構と補助シート搬送機構との少なくとも一方のシート供給側又は巻き取り側に対して張力作用方向に回転力を作用させる回転作動部を備えている請求項1記載の被覆装置。
【請求項3】
前記第1フレームと第2フレームとが開閉軸周りで揺動開閉自在に連結されると共に、前記回転作動部は、揺動開閉時に前記開閉軸周りで揺動するセクタギヤと、このセクタギヤに噛合して前記被覆シート供給部と、補助シート供給部と、基材シート巻取り部と、補助シート巻き取り部とのいずれかに回転力を伝えるギヤ式の伝動機構を備えている請求項2記載の被覆装置。
【請求項4】
前記剥離機構が、前記被覆シートに接触する状態で前記記録媒体と前記被覆シートの基材とを異なる方向に案内する分岐ガイドで構成されると共に、この分岐ガイドは、前記第1フレームの側に支持され、前記第1、第2フレームが閉じ姿勢にある状態で、前記補助シートが送られる直線状の搬送経路内に突出することにより、補助シートに対して張力を作用させる前記張力付与機構として機能するよう構成されている請求項1記載の被覆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−143353(P2006−143353A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332607(P2004−332607)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】