説明

被転写体に模様を転写する転写方法と転写用シート

【課題】立体曲面をなす被転写体の広い面積にもシワができないように綺麗な模様を転写する。
【解決手段】転写方法は、被転写体1の表面に転写用シート2を配置し、転写用シート2が被転写体1と対向する裏面側の圧力をその反対側の表面側の圧力よりも低くして、転写用シート2を被転写体1の表面に密着させて、転写用シート2のインクを被転写体1に転写する。転写用シート2は、破断時伸度を600%以上とし、かつ弾性回復率を10%以下とするウレタン系基材シート21の表面に、離型層22を介してインク層24を設けたものである。さらに、転写用シート2は、インク層24に、加熱されて熱溶融するインクドット24Aで模様を設けている。この転写用シート2を被転写体1の表面に密着する状態で加熱し、インクドット24Aを溶融、拡大してインクドット24Aのドット間隙間24Bを減少させながら被転写体1に模様を転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写用シートの模様を被転写体の表面に転写する方法と、この方法に使用する転写用シートに関し、とくにステアリングホイール、シフトノブ、自動車内装材等のなどの自動車部品、あるいは家電製品や仏壇の外装などのように、複雑な立体曲面の製品全般の加飾に使用される転写方法とこれに使用する転写用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
高級車には、木製のステアリングホイールやシフトノブが使用される。木製のステアリングホイールは、高級な木材を円形に加工して内部に金属製の芯材を埋設している。この構造のステアリングホイールは、天然木に独特の美しい木目柄の模様を表面に装飾する。天然木として、メープルやウォールナットを使用している。これ等の天然木は、美しい木目柄のものとそうでないものとがある。極めて美しい木目柄である一級品の天然木を使用して製作されるステアリングホイールと、三級品の天然木を使用して製作されるステアリングホイールでは、製造工程は同じであっても、ステアリングホイールとしての商品価値は著しく異なる。三級品の天然木を使用して、一級品のステアリングホイールとするために、天然木の表面に、インクで美しい木目柄を表示する方法が提案されている。
【0003】
この方法を実現するための転写方法として、転写用シートを使用してステアリングホイール表面に木目柄を付着する真空成形法と、水圧転写法で模様を付着する方法(特許文献1参照)とが開発されている。
【0004】
従来の真空成形法は、真空成形温度の60〜80℃に加温されて良く伸びて立体曲面に沿う転写用シートの基材シートとして、塩化ビニル系樹脂やポリオレフイン系樹脂、ポリエステル系樹脂シートを使用する。この転写用シートを使用して、例えばステアリングホイールに模様を転写すると、この転写用シートを使用してステアリングホイールに模様を転写するとき、転写用シートを円形ステアリングホイールの全周には密着できず、表面側と裏面の一部までにしか模様を転写できない。さらに、従来の転写用シートは、ステアリングホイールに広い面積で接触させると、ステアリングホイールの裏面でシワがきて、綺麗な模様に転写できない。このため、ステアリングホイールの円柱状の全周360度に切れ目無く木目模様を転写できない。シワができる状態で転写用シートをステアリングホイールに付着させると、シワの部分で木目柄を綺麗に付着できなくなる。
【0005】
水圧転写法は、水面にインクを木目柄に浮かせてこれをステアリングホイール表面に付着させる。この方法は、転写フィルムのようにシワによる模様の品質低下がない。ただ、この方法もステアリングホイールの表面に綺麗に木目柄を付着するのは極めて難しい。また、転写用シートと同じように、ステアリングホイール表面に薄膜の木目柄を付着するので、スクリーンメッシュがあって天然木と同じ模様にはできない。このため、この方法によっても高級なステアリングホイールを製作できない。さらに、この方法は、転写フィルムよりもさらに木目柄を安定して付着するのがさらに難しく、剥がれないように綺麗に木目柄を転写するのが難しい。このため、能率よく高級なステアリングホイールを安価に量産できない欠点がある。
【0006】
さらにまた、水圧転写法の最大の欠点は、転写環境に水を使用するので、水濡れを嫌う素材には使用できない。たとえば、木材の表面に模様を水圧転写すると木材が吸湿して綺麗な模様にできない欠点がある。
【0007】
本出願人は、このような欠点を解消する方法を開発した。(特許文献2参照)この転写方法は、模様を構成する凹部を表面に設けている刻版ローラの凹部にインクを供給して、刻版ローラの凹部に供給されたインクを転写ローラの表面に転写する。転写ローラの表面にステアリングホイールの表面を押し付けて、転写ローラの表面を弾性変形させる状態で、転写ローラをステアリングホイールに押し付けて回転させて、転写ローラの表面に付着しているインクをステアリングホイールの表面に付着させる。
【特許文献1】特開2001-27790号公報
【特許文献2】特開2004−160820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の公報に記載する方法は、転写ローラをステアリングホイールの表面に押し付けて模様を転写するので、シワができないようにしながら、所定の幅に模様を転写できる。ただ、この方法によっても、転写ローラでもってステアリングホイールの全周に模様を転写できない。ステアリングホイールの全周に模様を転写するには、転写ローラで複数回に渡って模様を転写する必要がある。このため、転写回数が多くなって転写コストが高くなる。さらに転写ローラを使用する方法は、リングの円周方向に沿って全体に木目模様を転写するのには適しているが、リングの一部に模様を転写すると極めて手間がかかる。木目を転写する部分と転写しない部分との境界を綺麗に仕上げるのが難しいからである。ステアリングホイールは、円形リングをスポークで中心のボスに連結した構造をしている。このステアリングホイールは、円形リングの全体を木製とはせず、スポークの連結部の一部をプラスチック製とし、他の部分を木目模様とする構造が多く使用される。スポークとその連結部の両方を一体的構造のプラスチック製として綺麗なデザインとしながら、簡単に製造できるからである。この構造のステアリングホイールは、上部と下部の円弧の一部を木製とし、両側の円弧の一部をプラスチック製としてスポークに連結するものが多く使用される。この構造のステアリングホイールは、上部と下部の一部を木目模様とするので、転写ローラで木目を転写する場合、全周の4カ所に転写部と非転写部の境界ができ、この境界を綺麗に仕上げるのに極めて手間がかかる欠点がある。
【0009】
さらに、従来の転写方法の大きな欠点は、光の方向や反射の状態によってはスクリーンメッシュが見えるのを解消できない。このため、この木目柄が天然木の模様ではなくて、印刷による人工的な処理模様であることがわかるので、高級なステアリングホイールには使用できない欠点がある。
【0010】
本発明は、これらの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、立体曲面をなす被転写体の広い面積にもシワができないように綺麗な模様を転写できる転写方法と転写用シートを提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、転写環境として、水を使用しないでシワの発生を防止して、シワのない綺麗な模様を水に弱い吸湿性素材の表面にも転写できる転写方法と転写用シートを提供することにある。
また、一度に立体曲面の被転写体の広い面積に転写して、能率よく安価に多量生産し、美しい模様を被転写体に転写できる転写方法と転写用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
本発明の請求項1に記載している被転写体に模様を転写する転写方法は、被転写体1の表面に転写用シート2を配置し、転写用シート2が被転写体1と対向する裏面側の圧力をその反対側の表面側の圧力よりも低くして、転写用シート2を被転写体1の表面に密着させて、転写用シート2のインクを被転写体1に転写する。この方法に使用される転写用シート2は、破断時伸度を600%以上とし、かつ弾性回復率を10%以下とするウレタン系基材シート21の表面に、離型層22を介してインク層24を設けたものである。さらに、この転写用シート2は、そのインク層24に、加熱されて熱溶融するインクドット24Aで模様を設けている。この転写用シート2を被転写体1の表面に密着する状態で、転写用シート2を加熱し、インクドット24Aを溶融、拡大してインクドット24Aのドット間隙間24Bを減少させながら、立体曲面をしている被転写体1にも模様が転写される。
【0012】
本明細書において、転写用シートの破断時伸度は、幅15mm、長さ(チャック間距離)100mmの転写用シートを500mm/minの速度で伸長してこれが破断を開始するときの伸びた長さの基準長に対する比率を意味する。仮に、破断時伸度が600%の転写用シートは、伸びた長さが基準長の6倍となるので、全体の長さが7倍になるまで伸長されると破断する。
【0013】
また、本明細書において、弾性回復率は、以下の式で測定される値を意味する。
ただし、測定に使用する転写用シートの寸法は、幅15mm、長さ(チャック間距離)mmとする。
弾性回復率(%)=〔(l−l)/l〕×100
この式において、lは初期の長さ、lは室温下で転写用シートを500mm/minの速度で、伸びる長さ300%まで伸長し(全長は基準長の4倍)、その後、500mm/minの速度で収縮させて歪みを解放した時の長さである。
この定義から、弾性回復率の数値が小さいほど、弾性回復性に優れている。すなわち、弾性回復率の小さい転写用シートは、引っ張って長く伸長した後、伸長しない状態とすると元の長さに近い値まで収縮できるシートとなる。
【0014】
本発明の転写方法は、被転写体1の表面に密着する転写用シート2を、80〜120℃に加熱して、インクドット24Aを熱溶融して転写面積を拡開し、ドット間隙間24Bを減少することができる。
【0015】
また、本発明の転写方法は、熱可塑性ポリウレタン、又はポリウレタンエラストマーのシートを基材シート21とする転写用シート2を使用することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の転写方法は、立体曲面の被転写体1を自動車のステアリングホイール30として、ステアリングホイール30の全周に綺麗な木目調の模様等を転写できる。
【0017】
また、本発明の転写方法は、基材シート21に、オフセット印刷のインク層24を設けている転写用シート2を使用することができる。
【0018】
本発明の請求項6に記載している転写用シートは、被転写体1の表面に圧力差で密着されて、離型層22を介して表面に設けているインク層24のインクドット24Aを被転写体1の表面に転写する。この転写用シートは、破断時伸度が600%以上であって弾性回復率が10%以下であるするウレタン系基材シート21の表面に、離型層22を介してインク層24を設けている。さらにインク層24は加熱すると熱で溶融するインクドット24Aで模様を設けている。この転写用シートは、被転写体1の表面に密着される状態で、加熱されると、インクドット24Aが熱で溶融、拡大されてインクドット24Aのドット間隙間24Bを減少させるようにして被転写体1に模様を転写する。
【0019】
本発明の転写用シートは、80〜120℃に加熱される状態でインク層24のインクドット24Aを熱溶融、転写面積を拡開させて、ドット間隙間24Bを減少することができる。
【0020】
また、本発明の転写用シートは、熱可塑性ポリウレタン、又はポリウレタンエラストマーを基材シート21とすることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の転写用シート2は、基材シート21にオフセット印刷しているインクドット24Aのインク層24を設けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の転写方法と転写用シートは、立体曲面をなす被転写体の広い面積にもシワができないように綺麗な模様を転写できる特長がある。それは、本発明が、転写用シートを、破断時伸度が600%以上であって弾性回復率が10%以下であるウレタン系基材シートの表面に、加熱すると熱で溶融するインクドットで模様を設けたインク層を設けたものとしており、この転写用シートを被転写体の表面に密着する状態で加熱し、インクドットを溶融、拡大してインクドットのドット間隙間を減少させるようにして被転写体に模様を転写しているからである。
【0023】
以上の構造の転写用シートは、立体曲面を有する被転写体や大きな凹凸の被転写体であっても、局部的に伸延させて表面に密着させると共に、被転写体の裏面のように収縮させる部分においては、シートを収縮させてシワになるのを防止しながら密着できる。したがって、本発明では、複雑な立体曲面や絞りのある被転写体であっても、その表裏の面に転写用シートをシワにならないように密着させて、広い面積にわたって切れ目無く綺麗な模様を転写できる。このように、立体曲面の被転写体の広い面積に一度に転写できる本発明の転写方法と転写シートは、転写にかかるコストを低減して、美しい模様を能率よく安価に多量生産できる特長が実現できる。
【0024】
さらに、本発明の転写方法と転写シートは、転写時の加熱によって、インクドットを溶融、拡大してインクドットのドット間隙間を埋めるので、ドット間隙間を目だたなくして、印刷とは分からないほどの綺麗な模様を実現し、高級感、本物感を出すことができる。
【0025】
また、本発明は、転写環境として水を使用しないので、シワの発生を防止して、シワのない綺麗な模様を転写できると共に、水に弱い吸湿性素材の表面にも綺麗に転写できる特長がある。
【0026】
さらにまた、従来の水圧転写法、メンプレン式真空成形法、インモールドコーティング法などでは、エアーだまりやしわができると補修不可能であったが、本発明では、被転写体から基材シートを剥がしてインク層だけを転写できるので、従来では行えなかった不良部分だけの部分転写による補修が可能になり、仕上がりを綺麗にしながら、補修にかかるコストを低減できる特長がある。
【0027】
さらにまた、本発明では、被転写体の表面にインクドットによる模様を転写するので、その表面が透明シート等で被覆されることがなく、必要であれば、転写後に筆等でインクを塗布して補修することができ、複雑曲面のしわなども簡単に補修できる特長もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための転写方法と転写用シートを例示するものであって、本発明は転写方法と転写用シートを以下のものに特定しない。
【0029】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0030】
図1ないし図3の転写装置は、自動車部品のステアリングホイール30を被転写体1として、この表面に木目模様等を転写する具体例を示す。ただし、本発明は、被転写体をステアリングホイールに特定するものではない。被転写体は、転写用シートの模様を転写する全てのもの、たとえば、家電製品や仏壇の外装など、複雑な立体曲面をなす装飾部の転写に最適である。
【0031】
ステアリングホイール30は、細長い円柱をリング状に連結して円形リング31とし、この円形リング31にスポーク32を介して中心のボス33を連結したものである。この円形リング31の全周、すなわち円形リング31の断面の360度に木目等の模様転写するのは極めて難しい。図1ないし図3において、ステアリングホイール30は、下縁部分の転写が難しい。全周に転写用シート2を密着させるのが難しいからである。ステアリングホイール30の全周に模様を転写できる方法は、極めて複雑な立体曲面の被転写体に美しい模様を転写できる。すなわち、ステアリングホイール30は、立体曲面の被転写体として、転写が最も難しい被転写体である。本発明の方法と転写用シートは、ステアリングホイール30のような立体曲面の被転写体1に模様を綺麗に転写できる。このことから、他の被転写体にも模様を綺麗に転写できる。
【0032】
図1ないし図3に示す転写装置は、転写用シート2の裏面側を真空に減圧する。裏面側の圧力が低下した転写用シート2は、大気圧である表面側の圧力で押圧されて、被転写体1の表面に密着される。これ等の図は、真空成形法で転写用シート2を被転写体1の表面に転写する。
【0033】
以上の転写装置は、被転写体1をセットするセット台3と、このセット台3を内部に配置している本体ケース4と、この本体ケース4のセット台3にセットする転写用シート2で気密チャンバを設ける蓋ケース5と、本体ケース4の気密チャンバ内を減圧する真空ポンプ6と、セット台3にセットしている転写用シート2を加熱する加熱ランプ7と、気密チャンバを開閉する開閉機構8とを備える。
【0034】
セット台3は、被転写体1であるステアリングホイール30を脱着できるように水平な姿勢でセットする。図のセット台3は、ステアリングホイール30の中心のボス33をネジ止めして固定している。このボス33は、円形リング31の内側に保護カバー34を設けている。保護カバー34は、外径をステアリングホイール30の内形よりも小さい円盤状として、ステアリングホイール30のボス33とスポーク32の中心部分をカバーしている。この保護カバー34は、ステアリングホイール30の内側に、転写用シート2が無理に吸い込まれて破損するのを防止する。転写用シート2が、ステアリングホイール30の内側で保護カバー34の表面に密着されるからである。
【0035】
図のセット台3は、上下機構9を介して本体ケース4に連結している。上下機構9は、セット台3を上下に往復運動させる。図のセット台3は中心に上下軸10を固定し、この上下軸10を上下方向に往復運動できるように本体ケース4に連結している。さらに、この上下軸10は、下端にシリンダー等の往復運動機構11を連結している。往復運動機構11は、上下軸10を介してセット台3を上下に往復運動させて、転写用シート2をより広い面積で被転写体1のステアリングホイール30に密着させる。
【0036】
本体ケース4は、上方を開口する箱形で、周囲に周壁4Aを突出して設けている。周壁4Aは上面を転写用シート2の密着面としている。この本体ケース4は、周壁4A上面の密着面に転写用シート2を隙間なく密着させて、周壁4Aと転写用シート2とで囲まれる内側を気密チャンバとしている。さらに、本体ケース4は、気密チャンバの空気を排気して減圧するために、ステアリングホイール30の円形リング31の下縁に沿って吸入開口12を設けている。吸入開口12は真空ポンプ6に連結される。図の本体ケース4は、被転写体1であるステアリングホイール30の円形リング31の下面に沿う形状のスリット状としている。
【0037】
蓋ケース5は、下方を開口している箱形で、周囲には下方に突出して凸条5Aを設けている。凸条5Aは、その下面を本体ケース4の周壁4Aの上面に密着して、転写用シート2を凸条5Aと周壁4Aとで挟着する。したがって、蓋ケース5の凸条5Aと本体ケース4の周壁4Aは、同じ平面形状として、転写用シート2を挟着できるようにしている。凸条5Aは、その下面を、周壁4Aの密着面に沿う平滑な平面としている。
【0038】
さらに、図の蓋ケース5は、天板5Bの内面に、転写用シート2を加熱する加熱ランプ7を固定している。加熱ランプ7は、転写用シート2に上面から赤外線を放射して、転写用シート2を短時間で設定温度に加熱する。
【0039】
蓋ケース5は、開閉機構8を連結している。図の開閉機構8は、図1に示すように蓋ケース5を上昇させて、蓋ケース5の凸条5Aと本体ケース4の周壁4Aを離して開口する。この状態で、被転写体1のステアリングホイール30がセット台3に脱着され、また転写用シート2が張設される。転写用シート2をステアリングホイール30に密着させるときは、図2と図3に示すように、蓋ケース5を降下させる。降下する蓋ケース5は、凸条5Aと本体ケース4の周壁4Aとで転写用シート2を挟着して、転写用シート2と本体ケース4とで気密チャンバを密着する。
【0040】
以上の転写装置は、図1ないし図3に示すようにして、以下の工程で転写用シート2の模様を被転写体1のステアリングホイール30に転写する。
(1) 図1に示すように、開閉機構8が蓋ケース5を上昇して、凸条5Aを周壁4Aから離して本体ケース4の上方開口部を開口する。
(2) セット台3に被転写体1のステアリングホイール30がセットされる。図のステアリングホイール30は、ボス33をネジ止して、セット台3にセットされる。このとき、セット台3は上昇位置にある。
(3) 転写用シート2が、本体ケース4の周壁4Aの上に張設される。
【0041】
(4) その後、開閉機構8が蓋ケース5を降下させる。降下する蓋ケース5は、凸条5Aと周壁4Aで転写用シート2を挟着して、転写用シート2の下方を気密チャンバとし、気密チャンバ内にステアリングホイール30を配設する。
(5) 真空ポンプ6が気密チャンバ内の空気を排気する。気密チャンバが減圧されると、図2に示すように、転写用シート2がステアリングホイール30の表面に密着される。
(6) 加熱ランプ7で転写用シート2を加熱すると共に、蓋ケース5の内部に加熱されたホットエアーを供給する。加熱された転写用シート2はより柔軟で伸長しやすくなり、ステアリングホイール30の表面に広い面積で密着される。さらに、図3に示すように、セット台3を上下に往復運動させて、転写用シート2をステアリングホイール30の下面まで密着させる。この状態で、真空ポンプ6はさらに気密チャンバの空気を排気する。気密チャンバが減圧される状態で、セット台3が上下に移動されて、加熱された転写用シート2はステアリングホイール30の全周に密着される。
(7) 加熱状態でステアリングホイール30の全周に密着する転写用シート2は、表面の模様をステアリングホイール30の表面に転写する。転写用シート2は、図4に示すように、加熱されて熱溶融するインクドット模様のインク層24を設けている。この転写用シート2は、加熱状態でステアリングホイール30の表面に押圧して密着させるので、図5に示すように、インクドット24Aが溶融、拡大して、ドット間隙間24Bを減少する状態で被転写体1に模様を転写する。
(8) 模様が転写された後、真空ポンプ6の運転を停止して気密チャンバを大気圧とする。この状態になると、転写用シート2はステアリングホイール30に密着しなくなる。この状態で、セット台3が上昇され、また開閉機構8が蓋ケース5を上昇して、蓋ケース5を本体ケース4から離して、本体ケース4の上を開口する。
(9) 模様を転写した転写用シート2を除去して、ステアリングホイール30をセット台3から外して、本体ケース4から取り出す。
【0042】
以上の用途に使用される転写用シート2の拡大断面図を図4に示す。この図の転写用シート2は、図において上から順番に、基材シート21/離型層22/インク受容層23/インク層24(インクドット24A)/接着剤層25を積層して設けている。
【0043】
基材シート21の素材は、熱可塑性ポリウレタン、又はポリウレタンエラストマーであって、転写時の加熱で熔解せず、破断時伸度が常温で600%以上で、かつ弾性回復率が10%以下とするものである。基材シート21には、好ましくは日本マタイ株式会社製の「エスマーURS」を使用する。この基材シート21は、転写時の加熱で溶解せず、常温で真空成形される際、局部的な伸延に対して、耐屈曲性や引き裂き性に優れた特性がある。
【0044】
基材シート21の破断時伸度を600%以上とするのは、破断時伸度がこれより小さいと、大きな凹凸の被転写体1やステアリングホイール30のように、裏まで全周に転写できないからである。また、基材シート21は、単に破断時伸度が大きいのみのものは使用できない。それは、凹凸のある被転写体1は、伸長する部分では充分に延びて被転写体1に密着するが、たとえばステアリングホイール30の裏面のように収縮させる部分では収縮しないで、シワになって、綺麗な模様を転写できないからである。したがって、転写用シート2は、破断時伸度のみでなく、弾性回復率を10%以下とすることも大切である。基材シート21は、破断時伸度と弾性回復率を前述の範囲とするものであれば、必ずしも前述の素材とする必要はなく、転写時の加熱で熔解せず、破断時伸度が常温で600%以上で、かつ弾性回復率が10%以下とする他のプラスチックシートも使用できる。
【0045】
離型層22は、転写用シート2を被転写体1に密着させる状態で加熱されて、インク層24を被転写体1の表面に転写する層であって、加熱されてインク層24を離型する層である。この層には、シリコン系樹脂あるいはワックス系樹脂が使用される。
【0046】
インク層24は、6色以上のインクドット24Aでカラーの模様を表現している。ただし、インク層は、5色以下のインクドット24Aのカラー模様とすることもできる。インクドット24Aでカラー模様を表現するインク層24は、コンピュータ処理した文様データで6色以上のアルミ板製特殊刷り版を作り、定寸カット専用シート上に厚乗せ可能エポキシ系インクで6色以上のフルカラーオフセット印刷して解像度の高い微細な仕上が得られる枚様印刷して設けられる。ただ、インク層24は、オフセット印刷に代わって、スクリーン印刷して、あるいはインクジェットプリンターで設けることもできる。このインク層24は、各々のカラーのインクドット24Aを独立して特定の配列で基材シート21に塗布して、カラー模様とする。したがって、インクドット24Aの間に、ドットの付着されないドット間隙間24Bができる。スクリーン印刷されたインク層24は、カラードットをスクリーンメッシュに配列するので、スクリーンメッシュの間にドット間隙間24Bができる。ドット間隙間24Bのあるインク層24は、転写用シート2を伸長しても模様に亀裂や割れが発生しない。ドット間隙間24Bが延びて広くなるからである。また、仮に微細なインクドット24Aに亀裂や割れが発生しても、これが模様の品質を低下することがない。インク層24のインクドット24Aが微細なために、インクドット24Aの集合として模様を表現するからである。
【0047】
ただ、インクドット24Aからなるインク層24がステアリングホイール30等の被転写体1の表面に転写されると、光の方向や反射の状態によっては、スクリーンメッシュが見えるのを解消できない。スクリーンメッシュが見えると、たとえば天然木の木目模様が、印刷による人工的な処理模様であることがわかって、品質が著しく低下する。
【0048】
この欠点を解消するために、インク層24は、たとえば80〜120℃に加熱されると、インク表層が熱溶融するインクドット24Aで模様を設けている。このインク層24は、転写時に加熱されて、インクドット24Aが溶融する。溶融するインクドット24Aは、転写時の押圧力で押しつぶされて面積が大きくなる。拡大したインクドット24Aは、インクのないドット間隙間24Bを埋める。この状態で転写されたカラー模様は、スクリーンメッシュ等のドット間隙間24Bが目だたなくなる。この事によって、高級感を出すことが可能になる。
【0049】
インク層24は、真空成形法で転写用シート2を被転写体1の表面に密着して転写される。インク層24の転写は、破断時伸度の大きい基材シート21を、転写前に加熱軟化させることなく、図2に示すように真空ポンプ6で減圧して、立体曲面の被転写体1であるステアリングホイール30の表面に被覆させる。この状態で、転写用シート2は、円形リング31全周を被覆せず、約240度程度まで被覆する。その後、ホットエアーを供給すると共に、加熱ランプ7で赤外線を照射する。この状態で、被転写体1のステアリングホイール30と転写用シート2は急速に加熱され、基材シート21の伸延度が上昇される。伸びやすくなった基材シート21は、ホットエアーと真空ポンプ6の減圧力の差圧により、被転写体1のステアリングホイール30のより広い面積に密着する。さらにこの状態で、伸びた転写用シート2は弾性回復力により、元に戻ろうとしてステアリングホイール30の下部に沿う部分で収縮する。したがって、転写用シート2は、ステアリングホイール30の下部の裏面まで、しわがよることなく密着される。ホットエアーと加熱ランプ7で加熱されて、インク層24の表面に、あるいは被転写体1のステアリングホイール30の表面に設けている接着剤層25が接着力を発現し、インク層24を被転写体1のステアリングホイール30に接着する。その後、冷却して被転写体1のステアリングホイール30から基材シート21を剥がせばインク層24だけが転写される。このように転写用シート2の基材シート21に常温での伸度が高く、かつ弾性回復性が高い基材シート21を使用することで、立体曲面の表から裏面まで全面にわたってしわや亀裂を起こさずに転写用シート2のインク層24のインクドット24Aによる絵柄を転写できる。
【0050】
また、被転写体1のステアリングホイール30に転写されるインクドット24Aは、溶融されてドット間隙間24Bを減少し、スクリーンメッシュ等が目だたなくなる。このため、被転写体1のステアリングホイール30の表面に転写されたカラーの木目模様は、インクドット24Aのドット間隙間24Bが見えなくなって、本物の木目模様と見間違う高品質な仕上がりとなる。さらに、被転写体1のステアリングホイール30の表面にインクドット24Aによる模様を転写しており、その表面を透明シート等で被覆しないので、必要であれば、転写後に筆等でインクを塗布して補修することもできる。このため、複雑曲面のしわなども補修可能となり、更に水圧転写では不可能な凹部や複雑な入り込みも転写できる特徴がある。
【0051】
接着剤層25は、インク層24の表面に設けているが、被転写体1の表面に塗布して設けることもできる。接着剤層25は、加熱されて接着力を発現してインク層24を被転写体1の表面に付着する。したがって、この接着剤層25には、例えば熱賦括型のアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤、ホットメルト系接着剤が使用される。
【0052】
以上の転写用シート2は、エンボス加工面のような凸凹面でもきれいに密着、転写できる。また、転写用シート2は、真空ポンプ6を運転して、下面を減圧する圧力差のみで、被転写体1であるステアリングホイール30等のほぼ全面に密着できるが、ホットエアーや加熱ランプ7で加熱して、基材シート21の伸延度をさらに上昇して、被転写体1の全面に密着できる。加熱時間を保持することによって、接着剤層25の接着力を発現できる。その後、冷却し、被転写体1から転写基材シート21を剥がせばインク層24だけを転写できる。
【実施例1】
【0053】
以下の工程で、被転写体1のステアリングホイール30に木目模様を転写する。
基材シート21(エスマーURS:日本マタイ株式会社製、厚さ50μm、破断時伸度680%、弾性回復率10%)に、離型層22及びインク受容層23をロールコ一夕でコーティングする。この基材シート21を定寸にカットし、コンピュータ処理した木目文様データで5色のアルミ板製刷り版を作り、上に厚乗せ可能インクで6色のフルカラーオフセット印刷を行ってインク層24を設ける。
【0054】
被転写体1として、ウレタン発砲成型品のステアリングホイール30を使用する。あらかじめ、ウレタン成形部分の表面に接着剤層25として、アクリル系接着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1375)をスプレーコーティングして設ける。
【0055】
図1に示すように、被転写体1のステアリングホイール30をセット台3の定位置にセットした後、転写用シート2を、そのインク層24を被転写体1に向けて配置する。その後、図2に示すように、蓋ケース5を降下させた後、真空ポンプ6で気密チャンバの空気を排気する。空気は、セット台3に設けたステアリングホイール30の形状に合わせたスリットの吸入開口12を通して排気される。この状態で、気密チャンバの真空度を約60トールとする。この状態で、転写用シート2は、図2に示すように、ステアリングホイール30の円形リング31の約240度に沿う程度まで密着する。
【0056】
その後、蓋ケース5の内部に、110℃に加熱して2気圧に加圧したホットエアーの圧縮空気を供給し、さらに加熱ランプ7で赤外線を放射する。ホットエアーの圧縮空気は、加熱して伸びやすくなった転写用シート2の上面をステアリングホイール30の表面に押圧する。この状態で、転写用シート2は、ステアリングホイール30の円形リング31の裏面まで、全周の360度にしわや空気溜まりを発生させずに密着する。この状態を60秒間保持し、接着剤層25を接着力を発現して硬化させる。
【0057】
その後、冷却して基材シート21を被転写体1のステアリングホイール30から剥すと、転写用シート2の木目文様は、転写抜けなどの不良は見られず、インク層24だけが綺麗に転写される。また、インクドット24Aが溶融して拡開され、ドット間隙間24Bが減少してなくなり、印刷ドットが見られない、本物の木目と見間違う高品質な仕上がりとなる。
【実施例2】
【0058】
以下の工程で、被転写体1のステアリングホイール30に木目模様を転写する。
基材シート21(エスマーURS:日本マタイ株式会社製、厚さ50μm、破断時伸度680%、弾性回復率10%)に、離型層22及びインク受容層23をロールコ一夕でコーティングする。この基材シート21を定寸にカットし、表面に木目文様をシルクスクリーン印刷する。シルクスクリーン印刷は、高級木目模様を色分解し、コンピュータ処理した木目文様データで5色のシルクスクリーン刷り版を作り、インク厚乗せして行う。
【0059】
被転写体1として、ウレタン発砲成型品のステアリングホイール30を使用する。あらかじめ、ウレタン成形部分の表面に接着剤層25として、エポキシ系樹脂(大日本塗料株式会社製、ディッピングクリヤ)をスプレーコーティングして設ける。
【0060】
図1に示すように、接着剤層25のエポキシ系樹脂が未硬化な状態で、被転写体1のステアリングホイール30をセット台3の定位置にセットした後、転写用シート2を、そのインク層24を被転写体1に向けて配置する。その後、図2に示すように、蓋ケース5を降下させた後、真空ポンプ6で気密チャンバの空気を排気する。空気は、セット台3に設けたステアリングホイール30の形状に合わせたスリットの吸入開口12を通して排気される。この状態で、気密チャンバの真空度を約60トールとする。この状態で、転写用シート2は、図2に示すように、ステアリングホイール30の円形リング31の約240度に沿う程度まで密着する。
【0061】
その後、蓋ケース5の内部に、80℃に加熱して5気圧に加圧したホットエアーの圧縮空気を供給し、さらに加熱ランプ7で赤外線を放射する。ホットエアーの圧縮空気は、加熱して伸びやすくなった転写用シート2の上面をステアリングホイール30の表面に押圧する。この状態で、転写用シート2は、ステアリングホイール30の円形リング31の裏面まで、全周の360度にしわや空気溜まりを発生させずに密着する。この状態を30秒間保持し、接着剤層25のエポキシ樹脂を硬化させる。
【0062】
その後、冷却して基材シート21を被転写体1のステアリングホイール30から剥すと、転写用シート2の木目文様は、転写抜けなどの不良は見られず、インク層24だけが綺麗に転写される。また、インクドット24Aが溶融して拡開され、ドット間隙間24Bが減少してなくなり、グラビア印刷特有のドットが見られず、シルクスクリーン印刷特有の厚乗せインクにより柄の伸びも気にならず、本物の木目と見間違う高品質な仕上がりとなった。
【比較例】
【0063】
実施例1と同じ条件で、基材シートとして、ポリエステル系樹脂シート(厚さ50μm、破断時伸度200%、弾性回復率80%)を使用して、同様の条件でインク層を転写すると、ステアリングホイールの円形リングには、転写用シートが180度程度までしか密着されず、蓋ケースから110℃に加熱したホットエアーの圧縮空気(2気圧)を供給すると、転写用シートがステアリングホイールに密着する面積は広くなるが、裏面部に多くのしわや空気溜まりが発生して、インク層を綺麗には転写できなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例にかかる転写方法に使用する転写装置の概略断面図である。
【図2】図1に示す転写装置が被転写体に模様を転写する工程を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す転写装置が被転写体に模様を転写する工程を示す概略断面図である。
【図4】転写用シートの拡大断面図である。
【図5】図4に示す転写用シートで被転写体に模様を転写した状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1…被転写体
2…転写用シート
3…セット台
4…本体ケース 4A…周壁
5…蓋ケース 5A…凸条
5B…天板
6…真空ポンプ
7…加熱ランプ
8…開閉機構
9…上下機構
10…上下軸
11…往復運動機構
12…吸入開口
21…基材シート
22…離型層
23…インク受容層
24…インク層 24A…インクドット
24B…ドット間隙間
25…接着剤層
30…ステアリングホイール
31…円形リング
32…スポーク
33…ボス
34…保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写体(1)の表面に転写用シート(2)を配置し、転写用シート(2)が被転写体(1)と対向する裏面側の圧力をその反対側の表面側の圧力よりも低くして、転写用シート(2)を被転写体(1)の表面に密着させて、転写用シート(2)のインクを被転写体(1)に転写する方法であって、
転写用シート(2)として、破断時伸度を600%以上として弾性回復率を10%以下とするウレタン系基材シート(21)の表面に、離型層(22)を介してインク層(24)を設けているシートであって、転写用シート(2)のインク層(24)は加熱されて熱溶融するインクドット(24A)で模様を設けており、
この転写用シート(2)を被転写体(1)の表面に密着させる状態で、転写用シート(2)を加熱して、インクドット(24A)を溶融、拡大してインクドット(24A)のドット間隙間(24B)を減少する被転写体に模様を転写する転写方法。
【請求項2】
被転写体(1)の表面に密着する転写用シート(2)を80〜120℃に加熱して、インクドット(24A)を熱溶融して転写面積を拡開し、ドット間隙間(24B)を減少する請求項1に記載される被転写体に模様を転写する転写方法。
【請求項3】
基材シート(21)が熱可塑性ポリウレタン、又はポリウレタンエラストマーのシートである転写用シート(2)を使用する請求項1に記載される被転写体に模様を転写する転写方法。
【請求項4】
被転写体(1)が自動車のステアリングホイール(30)である請求項1に記載される被転写体に模様を転写する転写方法。
【請求項5】
基材シート(21)にオフセット印刷してなるインク層(24)を設けている転写用シート(2)を使用する請求項1に記載される被転写体に模様を転写する転写方法。
【請求項6】
被転写体(1)の表面に圧力差で密着されて、離型層(22)を介して表面に設けているインク層(24)のインクドット(24A)を被転写体(1)の表面に転写する転写用シートにおいて、
破断時伸度が600%以上であって弾性回復率が10%以下であるするウレタン系基材シート(21)の表面に、離型層(22)を介してインク層(24)を設けており、インク層(24)は加熱すると熱で溶融するインクドット(24A)で模様を形成しており、
被転写体(1)の表面に密着される状態で、加熱されると、インクドット(24A)が熱で溶融、拡大されてインクドット(24A)のドット間隙間(24B)を減少させるようにしてなる被転写体(1)に模様を転写する転写用シート。
【請求項7】
インク層(24)が、転写用シート(2)を80〜120℃を加熱する状態でインクドット(24A)が熱溶融して転写面積を拡開して、ドット間隙間(24B)を減少する請求項6に記載される転写用シート。
【請求項8】
基材シート(21)が熱可塑性ポリウレタン、又はポリウレタンエラストマーのシートである請求項6に記載される転写用シート。
【請求項9】
基材シート(21)にオフセット印刷しているインクドット(24A)のインク層(24)を設けている請求項6に記載される転写用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−289839(P2006−289839A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115091(P2005−115091)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(591039425)高知県 (51)
【出願人】(391017931)株式会社山本鉄工所 (8)
【Fターム(参考)】