説明

装着ヘッドおよび電子部品実装機

【課題】外力により吸着ノズルが変位しにくい装着ヘッドおよび電子部品実装機を提供することを課題とする。
【解決手段】装着ヘッド8は、ヘッド本体80と、ヘッド本体80に配置される駆動源82と、一対の可動ノズル85L、85Rと、駆動源82と一対の可動ノズル85L、85Rとを、一対の可動ノズル85L、85R間のピッチを変更可能に、連結するリンク機構部86と、を備える。一対の可動ノズル85L、85Rに同じ入力方向から外力FL、FRが加わる場合、一方の可動ノズル85Lからリンク機構部86に加わる荷重FLaと、他方の可動ノズル85Rからリンク機構部86に加わる荷重FRaと、がリンク機構部86に対して、互いに反対方向から加わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する装着ヘッド、および当該装着ヘッドを備える電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装機は、部品供給装置と、装着ヘッドと、を備えている。部品供給装置は、左右方向に並ぶ、複数のフィーダを備えている。複数のフィーダには、各々、電子部品が配置されている。装着ヘッドは、前後左右方向に移動可能である。装着ヘッドは、左右方向に並ぶ、複数の吸着ノズルを備えている。装着ヘッドが移動することにより、複数の吸着ノズルは、各々、フィーダから基板まで、電子部品を搬送することができる。
【0003】
ここで、複数の吸着ノズル間のピッチ(間隔)と、複数のフィーダ間の間隔と、が一致しない場合、フィーダから電子部品を吸着する際に、吸着ノズルつまり装着ヘッドを左右方向にずらす必要がある。例えば、2つの吸着ノズルα、β間のピッチと、2つのフィーダa、b間のピッチと、が一致しない場合、まず吸着ノズルαでフィーダaの電子部品を吸着し、次に吸着ノズルβとフィーダbとの位置合わせのために装着ヘッドを左右方向にずらし、それから吸着ノズルβでフィーダbの電子部品を吸着する必要がある。このため、装着ヘッドをずらす分だけ、生産効率が低下してしまう。
【0004】
この点に鑑み、特許文献1には、3つの装着ヘッドを、2つの駆動装置により、動かす電子部品実装機が開示されている。3つの装着ヘッドは、各々、吸着ノズルを備えている。第一の装着ヘッドは、第一の駆動装置により、Y軸方向に移動可能である。第二、第三の装着ヘッドは、第二の駆動装置により、X軸方向に移動可能である。同文献記載の電子部品実装機によると、3つの装着ヘッドを動かすことができる。このため、複数のフィーダ間の間隔に、複数の吸着ノズル間のピッチを、対応させることができる。したがって、フィーダから電子部品を吸着する際に、吸着ノズルつまり装着ヘッドを左右方向にずらす必要がない。つまり、複数の電子部品を、複数の吸着ノズルにより、同時に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−115982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同文献記載の電子部品実装機の場合、3つの吸着ノズル間のピッチを変更するために、2つの駆動装置が必要である。このため、装着ヘッド、延いては電子部品実装機の構造が複雑である。
【0007】
また、複数の吸着ノズル間のピッチを変更可能にすると、装着ヘッドの加減速に伴い、吸着ノズルが変位しやすくなる。このため、装着ヘッド停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド加減速時と、で複数の吸着ノズル間のピッチが相違してしまう。
【0008】
例えば、複数の吸着ノズル間の左右方向のピッチを変更可能な場合を想定する。この場合、装着ヘッドが左右方向に移動する際に加減速を行うと、左右方向の慣性力が吸着ノズルに作用する。このため、吸着ノズルのピッチ可変機構の「遊び」や駆動源の「逆駆動」などにより、吸着ノズルが左右方向に変位してしまう。したがって、装着ヘッド停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド加減速時と、で複数の吸着ノズル間の左右方向のピッチが相違してしまう。
【0009】
また、電子部品実装機においては、フィーダから基板まで電子部品を搬送する途中で、吸着ノズルに吸着された電子部品を、撮像装置により撮像している。そして、画像から、電子部品の吸着状態を判別している。
【0010】
当該撮像は、通常、装着ヘッドを停止した状態で実行される。しかしながら、生産効率を向上させるためには、装着ヘッドを移動させながら、当該撮像を実行する方が好ましい。装着ヘッドを移動させながら撮像を実行する場合、複数の吸着ノズル(つまり複数の電子部品)が撮像装置の視野を通過する必要がある。ここで、通過の際、装着ヘッドが加減速すると、吸着ノズルが変位してしまう。このため、装着ヘッド停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド加減速時と、で複数の吸着ノズル間のピッチが相違してしまう。したがって、精度の高い画像を取り込みにくくなる。よって、電子部品の吸着状態の判別精度、延いては基板に対する電子部品の装着精度が低下してしまう。
【0011】
本発明の装着ヘッドおよび電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、外力により吸着ノズルが変位しにくい装着ヘッドおよび電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するため、本発明の装着ヘッドは、ヘッド本体と、該ヘッド本体に配置される駆動源と、一対の可動ノズルと、該駆動源と一対の該可動ノズルとを、一対の該可動ノズル間のピッチを変更可能に、連結するリンク機構部と、を備え、一対の該可動ノズルに同じ入力方向から外力が加わる場合、一方の該可動ノズルから該リンク機構部に加わる荷重と、他方の該可動ノズルから該リンク機構部に加わる荷重と、が該リンク機構部に対して、互いに反対方向から加わることを特徴とする。
【0013】
本発明の装着ヘッドは、駆動源により動く吸着ノズルつまり可動ノズルを、少なくとも一対備えている。一方の可動ノズルからリンク機構部に加わる荷重と、他方の可動ノズルからリンク機構部に加わる荷重と、はリンク機構部に対して、互いに反対方向から加わる。すなわち、双方の荷重が、リンク機構部に対して、互いを相殺する方向に作用する。このため、外力(例えば慣性力)により、一対の可動ノズルが変位しにくい。したがって、装着ヘッド停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド加減速時と、で複数の可動ノズル間のピッチが相違しにくい。よって、装着ヘッドを移動させながら、電子部品の撮像を実行する場合であっても、精度の高い画像を取り込みやすい。このため、電子部品の吸着状態の判別精度、延いては基板に対する電子部品の装着精度を向上させることができる。また、一対の可動ノズルは、単一の駆動源により駆動される。このため、特許文献1の装着ヘッドと比較して、駆動源の数が少ない分、構造が簡単である。
【0014】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、一対の前記可動ノズルのピッチ変更方向に延在する仮想軸をX軸として、前記外力の前記入力方向は、該X軸方向であり、前記リンク機構部は、前記駆動源の駆動力を、一対の該可動ノズルが該X軸に沿って互いに反対方向に移動するように、一対の該可動ノズルに伝達する構成とする方がよい。
【0015】
本構成によると、一対の可動ノズルのX軸方向のピッチが変更可能である。X軸方向から外力が加わる場合、一方の可動ノズルからリンク機構部に加わる荷重と、他方の可動ノズルからリンク機構部に加わる荷重と、がリンク機構部に対して、互いに反対方向から加わる。このため、一対の可動ノズルが変位しにくい。
【0016】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記X軸に対して直交する方向に延在する仮想軸をZ軸として、前記リンク機構部は、前記ヘッド本体に配置されるZ軸ガイド部と、該Z軸ガイド部に案内され、前記駆動源により、該ヘッド本体に対して、該Z軸方向に移動するZ軸被ガイド部と、該ヘッド本体に配置され、前記X軸方向に延在するX軸ガイド部と、該Z軸被ガイド部に配置される可動ガイド部と、を備え、一対の該可動ノズルは、共に、該X軸ガイド部および該可動ガイド部に案内され、該Z軸被ガイド部の該Z軸方向の移動に伴って、一対の該可動ノズルが該X軸ガイド部に沿って互いに反対方向に移動する構成とする方がよい。
【0017】
本構成によると、駆動源のZ軸方向の駆動力により、一対の可動ノズルを、X軸方向に、かつ互いに反対方向に、移動させることができる。すなわち、一対の可動ノズルを、X軸方向に対して直交する方向(例えばZ軸方向)から見て、あたかも開閉するように、動かすことができる。
【0018】
(3−1)好ましくは、上記(3)の構成において、前記可動ガイド部は、前記X軸方向と前記Z軸方向との間の方向である第一傾斜方向に延在する第一傾斜ガイド部と、該第一傾斜方向に対して該Z軸に軸対称の第二傾斜方向に延在する第二傾斜ガイド部と、であり、一方の前記可動ノズルは該第一傾斜ガイド部に案内され、他方の該可動ノズルは該第二傾斜ガイド部に案内される構成とする方がよい。
【0019】
本構成によると、第一傾斜ガイド部が、X軸方向とZ軸方向との間の方向である第一傾斜方向に延在している。また、第二傾斜ガイド部が、X軸方向とZ軸方向との間の方向である第二傾斜方向に延在している。このため、Z軸被ガイド部のZ軸方向の動きにより、一対の可動ノズルを、X軸方向に動かすことができる。
【0020】
また、本構成によると、Z軸に対して、第一傾斜ガイド部と第二傾斜ガイド部とが、対称に配置されている。すなわち、Z軸に対して、第一傾斜ガイド部と第二傾斜ガイド部とが、「ハ」の字状、あるいは逆「ハ」の字状に配置されている。このため、一対の可動ノズルを互いに反対方向に動かすことができる。
【0021】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記外力は、前記ヘッド本体の加減速に伴う慣性力である構成とする方がよい。本構成によると、慣性力により、一対の可動ノズルが変位しにくくなる。
【0022】
(5)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成の装着ヘッドを備えることを特徴とする。本発明の電子部品実装機によると、上記(1)に記載したように、外力(例えば慣性力)により、一対の可動ノズルが変位しにくい。したがって、装着ヘッド停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド加減速時と、で複数の可動ノズル間のピッチが相違しにくい。よって、装着ヘッドを移動させながら、電子部品の撮像を実行する場合であっても、精度の高い画像を取り込みやすい。このため、電子部品の吸着状態の判別精度、延いては基板に対する電子部品の装着精度を向上させることができる。また、一対の可動ノズルは、単一の駆動源により駆動される。このため、特許文献1の装着ヘッドと比較して、駆動源の数が少ない分、構造が簡単である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、外力により吸着ノズルが変位しにくい装着ヘッドおよび電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第一実施形態の電子部品実装機の斜視図である。
【図2】同電子部品実装機のブロック図である。
【図3】第一実施形態の装着ヘッドの閉状態における斜視図である。
【図4】同装着ヘッドの閉状態における前面図である。
【図5】同装着ヘッドのヘッド本体の斜視図である。
【図6】同装着ヘッドのリンク機構部の斜視図である。
【図7】同装着ヘッドの一対の可動部の斜視図である。
【図8】同装着ヘッドの開状態における前面図である。
【図9】同装着ヘッドの加速中における前面図である。
【図10】図9の円X内の透過拡大図である。
【図11】図9の円XI内の透過拡大図である。
【図12】第二実施形態の装着ヘッドの閉状態における斜視図である。
【図13】同装着ヘッドの閉状態におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図である。
【図14】同装着ヘッドの開状態におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図である。
【図15】同装着ヘッドの加速中におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の装着ヘッドおよび電子部品実装機の実施の形態について説明する。以下に示す実施形態において、左右方向はX軸方向に、前後方向はY軸方向に、上下方向はZ軸方向に、各々対応している。
【0026】
<<第一実施形態>>
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。図1に、本実施形態の電子部品実装機の斜視図を示す。なお、モジュール3のハウジングを透過して示す。図2に、同電子部品実装機のブロック図を示す。図1、図2に示すように、電子部品実装機1は、ベース2と、モジュール3と、部品供給装置4と、画像処理装置5と、制御装置7と、を備えている。
【0027】
[ベース2、モジュール3]
ベース2は、工場の床面に配置されている。モジュール3は、ベース2の上面に、交換可能に配置されている。モジュール3は、搬送装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド8と、撮像装置33と、基部34と、クランプ装置35と、デバイスパレット36と、を備えている。
【0028】
(デバイスパレット36、基部34)
デバイスパレット36は、モジュール3のハウジングの前面開口に取り付けられている。基部34は、モジュール3の底壁である。基部34の上面には、一対のY軸ガイドレール340が配置されている。一対のY軸ガイドレール340は、前後方向に延在している。
【0029】
(搬送装置30、撮像装置33)
搬送装置30は、固定壁部300と、可動壁部301と、一対のコンベアベルト302と、搬送モータ303と、を備えている。固定壁部300と可動壁部301とは、前後方向に並設されている。可動壁部301は、一対のY軸ガイドレール340に対して、前後方向に摺動可能である。
【0030】
一対のコンベアベルト302は、固定壁部300の後面と、可動壁部301の前面と、に対向して配置されている。一対のコンベアベルト302は、左右方向に延在している。一対のコンベアベルト302には、基板Bが架設されている。
【0031】
搬送モータ303は、一対のコンベアベルト302を回転駆動している。すなわち、搬送モータ303は、左側(搬送方向上流側)から右側(搬送方向下流側)に、基板Bを搬送可能である。可動壁部301を前後方向に移動させることにより、一対のコンベアベルト302間の幅、つまり基板Bの搬送幅を拡縮することができる。
【0032】
撮像装置33は、固定壁部300の前方に配置されている。撮像装置33は、CCD(Charge−Coupled Device)エリアセンサである。撮像装置33は、上方に視野を有している。
【0033】
(クランプ装置35)
クランプ装置35は、バックアップテーブル350と、多数のバックアップピン351と、一対のクランプ片352と、昇降モータ353と、を備えている。バックアップテーブル350は、固定壁部300と可動壁部301との間に配置されている。昇降モータ353は、バックアップテーブル350を上下方向に往復動可能である。多数のバックアップピン351は、バックアップテーブル350の上面に配置されている。基板Bに電子部品を装着する際、多数のバックアップピン351は、基板Bの下面を支持している。
【0034】
一対のクランプ片352は、固定壁部300および可動壁部301の上縁に配置されている。基板Bに電子部品を装着する際、一対のクランプ片352は、基板Bの上面の前後両縁を押圧している。
【0035】
すなわち、電子部品装着時において、基板Bは、上方から一対のクランプ片352により、下方から多数のバックアップピン351により、挟持、固定される。当該固定により、基板Bの位置が決定される。
【0036】
(XYロボット31)
XYロボット31は、一対のX軸ガイドレール310と、X軸スライド311と、一対のY軸ガイドレール312と、Y軸スライド313と、X軸モータ314と、Y軸モータ315と、を備えている。
【0037】
一対のY軸ガイドレール312は、モジュール3のハウジングの上壁下面に配置されている。一対のY軸ガイドレール312は、前後方向に延在している。Y軸スライド313は、一対のY軸ガイドレール312に対して、前後方向に摺動可能である。
【0038】
一対のX軸ガイドレール310は、Y軸スライド313の前面に配置されている。一対のX軸ガイドレール310は、左右方向に延在している。X軸スライド311は、一対のX軸ガイドレール310に対して、左右方向に摺動可能である。
【0039】
X軸モータ314はX軸スライド311を、Y軸モータ315はY軸スライド313を、各々駆動可能である。X軸モータ314およびY軸モータ315の駆動力により、X軸スライド311は、前後左右方向に移動することができる。
【0040】
装着ヘッド8は、X軸スライド311に交換可能に取り付けられている。装着ヘッド8の構成については、後で詳しく説明する。
【0041】
[部品供給装置4]
部品供給装置4は、デバイスパレット36に対して、交換可能に取り付けられている。部品供給装置4は、複数のテープフィーダ40を備えている。複数のテープフィーダ40は、左右方向に並んでいる。複数のテープフィーダ40は、各々、テープを備えている。テープには、長手方向に沿って、多数の電子部品が配置されている。電子部品は、後述する3つのノズル(固定ノズル、一対の可動ノズル)により、テープから取り出される。
【0042】
[制御装置7、画像処理装置5]
図2に示すように、制御装置7は、入出力インターフェイス70と、記憶部71と、演算部72と、を備えている。入出力インターフェイス70は、駆動回路(図略)を介して、搬送モータ303、X軸モータ314、Y軸モータ315、昇降モータ353、ノズル開閉用Z軸モータ82、3つのノズル昇降用Z軸モータ87、3つのθ軸モータ88、撮像装置33に、電気的に接続されている。制御装置7は、これらの機器を制御している。また、入出力インターフェイス70は、画像処理装置5に電気的に接続されている。画像処理装置5には、撮像装置33から画像(具体的には画像データ)が伝送される。
【0043】
<装着ヘッドの構成>
次に、本実施形態の装着ヘッドの構成について説明する。図1に示すように、装着ヘッド8は、X軸スライド311に交換可能に取り付けられている。このため、装着ヘッド8は、X軸スライド311と共に、前後左右方向に移動することができる。
【0044】
図3に、本実施形態の装着ヘッドの閉状態における斜視図を示す。図4に、同装着ヘッドの閉状態における前面図を示す。閉状態とは、一対の可動ノズル85L、85Rが閉じている状態である。
【0045】
図3、図4に示すように、装着ヘッド8は、ヘッド本体80と、固定ノズル81と、ノズル開閉用Z軸モータ82と、減速機(図略)と、ボールねじ部83と、一対の可動部84L、84Rと、一対の可動ノズル85L、85Rと、リンク機構部86と、3つのノズル昇降用Z軸モータ87(図2参照)と、3つのθ軸モータ88(図2参照)と、を備えている。
【0046】
[ヘッド本体80、固定ノズル81、ノズル開閉用Z軸モータ82]
図5に、同装着ヘッドのヘッド本体の斜視図を示す。図5に示すように、ヘッド本体80は、固定ノズル取付部800と、底壁部801と、立壁部802と、上壁部803と、を備えている。底壁部801には、左右一対の開口部801L、801Rが開設されている。固定ノズル取付部800は、底壁部801の左右方向略中央から、前方に突設されている。立壁部802は、底壁部801の後縁から上方に立設されている。上壁部803は、立壁部802の左上隅に配置されている。
【0047】
固定ノズル81は、固定ノズル取付部800の下面に、交換可能に配置されている。ノズル開閉用Z軸モータ82は、上壁部803の上面に取り付けられている。ノズル開閉用Z軸モータ82は、本発明の「駆動源」の概念に含まれる。
【0048】
[リンク機構部86]
図6に、同装着ヘッドのリンク機構部の斜視図を示す。図6に示すように、リンク機構部86は、Z軸ガイド部860(図5参照)と、Z軸被ガイド部861と、第一X軸ガイド部862L(図5参照)と、第二X軸ガイド部862R(図5参照)と、第一傾斜ガイド部863Lと、第二傾斜ガイド部863Rと、を備えている。
【0049】
第一X軸ガイド部862L、第二X軸ガイド部862Rは、各々、本発明の「X軸ガイド部」の概念に含まれる。第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、各々、本発明の「可動ガイド部」の概念に含まれる。
【0050】
図5に示すように、Z軸ガイド部860は、ヘッド本体80の立壁部802の前面の右側部分に配置されている。Z軸ガイド部860は、上下方向に延在している。第一X軸ガイド部862L、第二X軸ガイド部862Rは、ヘッド本体80の底壁部801の下面に配置されている。第一X軸ガイド部862Lは、開口部801Lの前方に配置されている。第二X軸ガイド部862Rは、開口部801Rの前方に配置されている。第一X軸ガイド部862L、第二X軸ガイド部862Rは、各々、左右方向に延在している。第一X軸ガイド部862Lと第二X軸ガイド部862Rとは、固定ノズル取付部800を挟んで、左右に配置されている。
【0051】
図6に示すように、Z軸被ガイド部861は、Z軸スライド861aと、被ガイド部本体861bと、を備えている。被ガイド部本体861bは、下方に開口するC字状を呈している。Z軸スライド861aは、被ガイド部本体861bの後面の右側部分に配置されている。図3、図5に示すように、Z軸スライド861aは、Z軸ガイド部860に対して、上下方向に移動可能である。第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、被ガイド部本体861bの前面に配置されている。第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、前方から見て「ハ」の字状に配置されている。すなわち、第一傾斜ガイド部863Lは、右上−左下方向に延在している。第二傾斜ガイド部863Rは、左上−右下方向に延在している。図3、図5に示すように、第一傾斜ガイド部863Lは開口部801Lに出入り可能である。第二傾斜ガイド部863Rは開口部801Rに出入り可能である。
【0052】
[ボールねじ部83]
図3、図5、図6に示すように、ボールねじ部83は、シャフト部830と、ナット部831と、を備えている。シャフト部830は、減速機を介して、ノズル開閉用Z軸モータ82の回転軸に連結されている。シャフト部830は、上下方向に延在している。ナット部831は、被ガイド部本体861bの後面の左側部分に配置されている。ナット部831は、多数のボール(図略)を介して、シャフト部830に螺合している。
【0053】
[一対の可動部84L、84R、一対の可動ノズル85L、85R]
図7に、同装着ヘッドの一対の可動部の斜視図を示す。図7に示すように、一対の可動部84L、84Rは、X軸スライド840L、840Rと、傾斜スライド841L、841Rと、立壁部842L、842Rと、可動ノズル取付部843L、843Rと、を備えている。
【0054】
まず、左側の可動部84Lについて説明する。可動ノズル取付部843Lは、前後方向に延在している。X軸スライド840Lは、可動ノズル取付部843Lの上面の後方部分に配置されている。図3、図5に示すように、X軸スライド840Lは、第一X軸ガイド部862Lに対して、左右方向に移動可能である。図7に戻って、立壁部842Lは、X軸スライド840Lの後面に配置されている。立壁部842Lは、上方に立設されている。傾斜スライド841Lは、立壁部842Lの後面に配置されている。傾斜スライド841Lは、右上−左下方向に延在している。図3、図6に示すように、傾斜スライド841Lは、第一傾斜ガイド部863Lに対して、右上−左下方向に移動可能である。
【0055】
次に、右側の可動部84Rについて説明する。可動部84Rの構成は、可動部84Lの構成と、同様である。また、可動部84Rの配置は、可動部84Lの配置と、左右対称である。すなわち、図3、図5に示すように、X軸スライド840Rは、第二X軸ガイド部862Rに対して、左右方向に移動可能である。また、図3、図6に示すように、傾斜スライド841Rは、第二傾斜ガイド部863Rに対して、左上−右下方向に移動可能である。
【0056】
図7に示すように、可動ノズル85Lは、可動ノズル取付部843Lの下面に、交換可能に配置されている。可動ノズル85Rは、可動ノズル取付部843Rの下面に、交換可能に配置されている。図4に示すように、可動ノズル85Lは、固定ノズル81の左側に配置されている。可動ノズル85Rは、固定ノズル81の右側に配置されている。
【0057】
[3つのノズル昇降用Z軸モータ87、3つのθ軸モータ88]
図2に示すように、3つのノズル昇降用Z軸モータ87は、制御装置7に接続されている。3つのノズル昇降用Z軸モータ87は、固定ノズル81、一対の可動ノズル85L、85Rを、上下方向に駆動する。
【0058】
3つのθ軸モータ88は、制御装置7に接続されている。3つのθ軸モータ88は、固定ノズル81、一対の可動ノズル85L、85Rを、水平面内における回転方向に駆動する。
【0059】
<電子部品実装機の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機の動きについて説明する。まず、図1、図2に示すように、制御装置7が搬送モータ303を駆動し、一対のコンベアベルト302を回転させる。そして、基板Bを電子部品実装機1に搬入する。続いて、制御装置7が昇降モータ353を駆動し、バックアップテーブル350を上昇させる。そして、多数のバックアップピン351により、一対のコンベアベルト302から、基板Bを持ち上げる。それから、多数のバックアップピン351と、一対のクランプ片352と、の間に、基板Bを挟持、固定する。つまり、基板Bの位置決めを行う。
【0060】
次に、制御装置7がX軸モータ314、Y軸モータ315、ノズル開閉用Z軸モータ82、3つのノズル昇降用Z軸モータ87、3つのθ軸モータ88を適宜駆動し、装着ヘッド8により、テープフィーダ40から基板Bまで、電子部品を搬送する。そして、基板Bの所定の装着座標に、電子部品を装着する。なお、搬送の途中で、装着ヘッド8は、撮像装置33の上空(つまり視野)を経由する。装着ヘッド8は、上記搬送作業を繰り返し実行する。そして、装着ヘッド8は、電子部品実装機1に割り当てられた所定数の電子部品を、基板Bに装着する。
【0061】
最後に、制御装置7が昇降モータ353を駆動し、バックアップテーブル350を下降させる。そして、多数のバックアップピン351から一対のコンベアベルト302に、基板Bを引き渡す。続いて、制御装置7が搬送モータ303を駆動し、一対のコンベアベルト302を回転させる。そして、基板Bを下流側の機器(電子部品実装機、基板外観検査機など)に払い出す。
【0062】
<装着ヘッドのノズル開閉時の動き>
上述したように、装着ヘッド8は、電子部品の搬送作業の際、電子部品をテープフィーダ40から取り出す。また、装着ヘッド8は、取り出した電子部品を基板Bの所定の装着座標に装着する。図4に示すように、装着ヘッド8は、3つのノズル(固定ノズル81、一対の可動ノズル85L、85R)を備えている。このため、装着ヘッド8は、一度に3つの電子部品を、3つのテープフィーダ40から取り出すことができる。また、装着ヘッド8は、一度に3つの電子部品を、3箇所の装着座標に装着することができる。
【0063】
ここで、電子部品を取り出す3つのテープフィーダ40間の左右方向間隔は、任意の電子部品の搬送作業において、基板Bに装着する電子部品の部品種に依存する。すなわち、電子部品を取り出す3つのテープフィーダ40間の左右方向間隔は、電子部品の搬送作業ごとに変化し、一定ではない。
【0064】
図4に点線で示すように、左右方向に隣接した3つのテープフィーダ40c〜40eから3つの電子部品を取り出す場合、左右方向間隔は短距離になる。また、左右方向に一つおきに隣接した3つのテープフィーダ40b、40d、40fから3つの電子部品を取り出す場合、左右方向間隔は中距離になる。また、左右方向に二つおきに隣接した3つのテープフィーダ40a、40d、40gから3つの電子部品を取り出す場合、左右方向間隔は長距離になる。同様に、電子部品を装着する3つの装着座標間の間隔も、電子部品の搬送作業ごとに変化し、一定ではない。
【0065】
この点、本実施形態の装着ヘッド8は、可動ノズル85L、85Rを左右方向に動かすことができる。すなわち、ノズルを開閉することができる。このため、上記、テープフィーダ40間の間隔の変化や、装着座標間の間隔の変化に、柔軟に対応することができる。なお、ノズルの開閉は、電子部品取出前や電子部品装着前のタイミングで実行される。
【0066】
以下、本実施形態の装着ヘッド8のノズル開閉時の動きについて説明する。図8に、本実施形態の装着ヘッドの開状態における前面図を示す。開状態とは、一対の可動ノズル85L、85Rが開いている状態(開状態)である。
【0067】
閉状態(図3、図4)から開状態(図8)まで一対の可動ノズル85L、85Rを動かす場合は、図2に示す制御装置7がノズル開閉用Z軸モータ82を駆動する。ノズル開閉用Z軸モータ82が動くと、図3に示すシャフト部830が軸周りに回転し、ナット部831つまりZ軸被ガイド部861が、図8に矢印Y1で示すように、ヘッド本体80に対して、上昇する。並びに、第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rが上昇する。この際、Z軸被ガイド部861のZ軸スライド861aは、Z軸ガイド部860に案内される。
【0068】
ここで、第一傾斜ガイド部863Lは、右上−左下方向に延在している。一方、X軸スライド840Lの移動方向は、第一X軸ガイド部862Lにより、左右方向に限定されている。このため、第一傾斜ガイド部863Lが上昇すると、図8に矢印Y2Lで示すように、傾斜スライド841Lが、第一傾斜ガイド部863Lを、右上から左下に、相対的にスライドする。したがって、矢印Y3Lで示すように、X軸スライド840Lが、第一X軸ガイド部862Lを、右から左に、相対的にスライドする。よって、可動部84Lは、ヘッド本体80に対して、右から左に移動する。このように、第一傾斜ガイド部863Lにより、Z軸被ガイド部861の上向きの力が、可動部84Lの左向きの力に、直交方向に変換される。
【0069】
同様に、第二傾斜ガイド部863Rが上昇すると、図8に矢印Y2Rで示すように、傾斜スライド841Rが、第二傾斜ガイド部863Rを、左上から右下に、相対的にスライドする。また、矢印Y3Rで示すように、X軸スライド840Rが、第一X軸ガイド部862Rを、左から右に、相対的にスライドする。よって、可動部84Rは、ヘッド本体80に対して、左から右に移動する。このように、第二傾斜ガイド部863Rにより、Z軸被ガイド部861の上向きの力が、可動部84Rの右向きの力に、直交方向に変換される。
【0070】
このようにして、閉状態(図3、図4)から開状態(図8)まで、一対の可動ノズル85L、85Rを移動させる。なお、開状態から閉状態まで、一対の可動ノズル85L、85Rを移動させる場合は、Z軸被ガイド部861を、ヘッド本体80に対して、下降させる。当該移動機構を利用して、本実施形態の装着ヘッド8は、テープフィーダ40間の間隔の変化や、装着座標間の間隔の変化に、柔軟に対応することができる。
【0071】
<装着ヘッドの加減速時の動き>
上述したように、3つの電子部品を取り出した装着ヘッド8は、電子部品の搬送作業の途中で、撮像装置33(図1参照)の上空(つまり視野)を通過する。具体的には、装着ヘッド8の3つのノズル(固定ノズル81、一対の可動ノズル85L、85R)は、左右方向に、撮像装置33の視野を、停止せずに通過する。
【0072】
図2に示すように、撮像装置33は、3つのノズルが通過する際に、3つの電子部品を撮像する。なお、撮像は、3つの電子部品に対して、一度に行ってもよい。また、撮像は、3つの電子部品に対して、個別に行ってもよい。撮像装置33は、撮像により取得した画像を、画像処理装置5に伝送する。画像処理装置5は、当該画像を基に、3つのノズルに対する電子部品の吸着状態を判別する。
【0073】
ここで、撮像装置33が3つの電子部品を撮像する際、装着ヘッド8の加減速により、3つの電子部品の相対的な位置関係が変位すると、精度の高い画像を取り込みにくくなる。よって、電子部品の吸着状態の判別精度、延いては基板Bに対する電子部品の装着精度が低下してしまう。
【0074】
この点、本実施形態の装着ヘッド8によると、装着ヘッド8が加減速する場合であっても、3つの電子部品、つまり3つのノズルの相対的な位置関係が変位しにくい。以下、本実施形態の装着ヘッド8の加減速時の動きについて説明する。図9に、本実施形態の装着ヘッドの加速中の前面図を示す。図9に矢印Y5で示すように、左から右に向かって移動する装着ヘッド8が加速すると、右から左に向かって一対の可動ノズル85L、85Rに慣性力FL、FRが作用する。つまり、一対の可動ノズル85L、85Rは、ヘッド本体80に対して、右から左に向かって移動しようとする。
【0075】
図10に、図9の円X内の透過拡大図を示す。図10に太線で示すように、傾斜スライド841Lの被ガイド溝841Laの下面と、第一傾斜ガイド部863Lの下面と、は当接している。このため、当接面を介して、傾斜スライド841Lから第一傾斜ガイド部863Lに加わる慣性力FLが、荷重FLa、FLbに分解される。上向きの荷重FLaにより、傾斜スライド841Lは、第一傾斜ガイド部863LつまりZ軸被ガイド部861を、押し上げる。このように、傾斜スライド841Lから第一傾斜ガイド部863Lに加わる慣性力FLは、Z軸被ガイド部861を上昇させる方向に作用する。
【0076】
図11に、図9の円XI内の透過拡大図を示す。図11に太線で示すように、傾斜スライド841Rの被ガイド溝841Raの上面と、第二傾斜ガイド部863Rの上面と、は当接している。このため、当接面を介して、傾斜スライド841Rから第二傾斜ガイド部863Rに加わる慣性力FRが、荷重FRa、FRbに分解される。荷重FRaにより、傾斜スライド841Lは、第二傾斜ガイド部863RつまりZ軸被ガイド部861を、押し下げる。このように、傾斜スライド841Rから第二傾斜ガイド部863Rに加わる慣性力FRは、Z軸被ガイド部861を下降させる方向に作用する。
【0077】
このように、可動ノズル85Lからの慣性力FLは、Z軸被ガイド部861を上昇させる方向に、作用する。反対に、可動ノズル85Rからの慣性力FRは、Z軸被ガイド部861を下降させる方向に、作用する。このため、慣性力FL、FRは、Z軸被ガイド部861において、互いに相殺される。よって、装着ヘッド8が左から右に向かって加速しても、慣性力FL、FRが互いに相殺されるため、ヘッド本体80に対して、一対の可動ノズル85L、85Rが変位しにくい。
【0078】
なお、装着ヘッド8が、左から右に向かって減速する場合、右から左に向かって加速する場合、右から左に向かって減速する場合も、同様に慣性力FL、FRが互いに相殺される。このため、ヘッド本体80に対して、一対の可動ノズル85L、85Rが変位しにくい。
【0079】
<作用効果>
次に、本実施形態の装着ヘッドおよび電子部品実装機の作用効果について説明する。図10、図11に示すように、本実施形態の装着ヘッド8によると、一方の可動ノズル85Lからリンク機構部86に加わる荷重FLaと、他方の可動ノズル85Rからリンク機構部86に加わる荷重FRaと、はリンク機構部86に対して、互いに反対方向から加わる。すなわち、双方の荷重FLa、FRaが、リンク機構部86に対して、互いを相殺する方向に作用する。このため、慣性力FL、FRにより、一対の可動ノズル85L、85Rが変位しにくい。したがって、装着ヘッド8停止時(あるいは定速移動時)と、装着ヘッド8加減速時と、で一対の可動ノズル85L、85R間のピッチが相違しにくい。よって、装着ヘッド8を移動させながら、電子部品の撮像を実行する場合であっても、精度の高い画像を取り込みやすい。このため、電子部品の吸着状態の判別精度、延いては基板Bに対する電子部品の装着精度を向上させることができる。また、図8に示すように、一対の可動ノズル85L、85Rは、単一のノズル開閉用Z軸モータ82により駆動される。このため、特許文献1の装着ヘッドと比較して、駆動源の数が少ない分、構造が簡単である。
【0080】
また、本実施形態の装着ヘッド8によると、ノズル開閉用Z軸モータ82の上下方向の駆動力により、一対の可動ノズル85L、85Rを、左右方向に、かつ互いに反対方向に、移動させることができる。すなわち、一対の可動ノズル85L、85Rを、上下方向、または前後方向から見て、あたかも開閉するように、動かすことができる。
【0081】
また、本実施形態の装着ヘッド8によると、第一傾斜ガイド部863Lが、左右方向と上下方向との間の方向である第一傾斜方向(右上−左下方向)に延在している。また、第二傾斜ガイド部863Rが、左右方向と上下方向との間の方向である第二傾斜方向(左上−右下)に延在している。このため、Z軸被ガイド部861の上下方向の動きにより、一対の可動ノズル85L、85Rを、左右方向に動かすことができる。
【0082】
また、本実施形態の装着ヘッド8によると、Z軸(上下軸)に対して、第一傾斜ガイド部863Lと第二傾斜ガイド部863Rとが、対称に配置されている。すなわち、Z軸に対して、第一傾斜ガイド部863Lと第二傾斜ガイド部863Rとが、「ハ」の字状に配置されている。具体的には、水平面に対して、第一傾斜ガイド部863Lは+45°の方向に、第二傾斜ガイド部863Rは−45°の方向に、それぞれ延在している。このため、一対の可動ノズル85L、85Rを互いに反対方向に動かすことができる。
【0083】
<<第二実施形態>>
本実施形態の装着ヘッドおよび電子部品実装機と、第一実施形態の装着ヘッドおよび電子部品実装機との相違点は、リンク機構部の構造のみである。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0084】
まず、装着ヘッド8の構成について説明する。図12に、本実施形態の装着ヘッドの閉状態における斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ符号で示す。図13に、同装着ヘッドの閉状態におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図を示す。
【0085】
図12、図13に示すように、本実施形態の装着ヘッド8のヘッド本体80の底壁部801には、ガイド溝部801aが開設されている。ガイド溝部801aは、左右方向に延在している。底壁部801の左面には、ノズル開閉用X軸モータ82aが配置されている。ノズル開閉用X軸モータ82aは、本発明の「駆動源」の概念に含まれる。リンク機構部89は、いわゆるボールねじである。リンク機構部89は、シャフト部890と、一対のナット部891L、891Rと、を備えている。シャフト部890は、ガイド溝部801a内に配置されている。シャフト部890は、左右方向に延在している。シャフト部890は、減速機(図略)を介して、ノズル開閉用X軸モータ82aの回転軸に連結されている。シャフト部890の左半分と右半分には、上下方向に延在する中心線L1を境に、ねじ部890Lとねじ部890Rとが形成されている。ねじ部890Lの螺旋方向と、ねじ部890Rの螺旋方向と、は互いに逆向きである。ナット部891Lは、ねじ部890Lに螺合している。ナット部891Lは、可動部84Lに固定されている。ナット部891Rは、ねじ部890Rに螺合している。ナット部891Rは、可動部84Rに固定されている。
【0086】
次に、装着ヘッド8のノズル開閉時の動きについて説明する。図14に、本実施形態の装着ヘッドの開状態におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図を示す。
【0087】
閉状態(図12、図13)から開状態(図14)まで一対の可動ノズル85L、85Rを動かす場合は、図2に示す制御装置7がノズル開閉用X軸モータ82aを駆動する。ノズル開閉用X軸モータ82aが動くと、シャフト部890が軸周りに回転する。ここで、ねじ部890Lの螺旋方向と、ねじ部890Rの螺旋方向と、は互いに逆向きである。このため、ナット部891Lつまり可動部84Lは、図14に矢印Y10Lで示すように、左側に移動する。並びに、ナット部891Rつまり可動部84Rは、図14に矢印Y10Rで示すように、右側に移動する。
【0088】
このようにして、閉状態(図12、図13)から開状態(図14)まで、一対の可動ノズル85L、85Rを移動させる。なお、開状態から閉状態まで、一対の可動ノズル85L、85Rを移動させる場合は、シャフト部890を逆方向に回転させる。当該移動機構を利用して、本実施形態の装着ヘッド8は、テープフィーダ40間の間隔の変化や、装着座標間の間隔の変化に、柔軟に対応することができる。
【0089】
次に、装着ヘッド8の加減速時の動きについて説明する。図15に、本実施形態の装着ヘッドの加速中におけるリンク機構部および一対の可動部の前面図を示す。図15に矢印Y15で示すように、左から右に向かって移動する装着ヘッド8が加速すると、右から左に向かって、一対の可動ノズル85L、85Rに慣性力FL、FRが作用する。つまり、一対の可動ノズル85L、85Rは、ヘッド本体80に対して、右から左に向かって移動しようとする。
【0090】
ここで、ねじ部890Lの螺旋方向と、ねじ部890Rの螺旋方向と、は互いに逆向きである。このため、左側からシャフト部890を見た場合、ナット部891Lは、シャフト部890に対して、反時計回り方向の荷重F10Lを加える。これに対して、左側からシャフト部890を見た場合、ナット部891Rは、シャフト部890に対して、時計回り方向の荷重F10Rを加える。
【0091】
このように、可動ノズル85Lからの慣性力FLは、シャフト部890を反時計回り方向に回転させる方向に、作用する。反対に、可動ノズル85Rからの慣性力FRは、シャフト部890を時計回り方向に回転させる方向に、作用する。このため、一対の慣性力FL、FRは、シャフト部890において、互いに相殺される。よって、装着ヘッド8が左から右に向かって加速しても、一対の慣性力FL、FRが互いに相殺されるため、ヘッド本体80に対して、一対の可動ノズル85L、85Rが変位しにくい。
【0092】
なお、装着ヘッド8が、左から右に向かって減速する場合、右から左に向かって加速する場合、右から左に向かって減速する場合も、同様に一対の慣性力が互いに相殺される。このため、ヘッド本体80に対して、一対の可動ノズル85L、85Rが変位しにくい。
【0093】
本実施形態の装着ヘッドおよび電子部品実装機と、第一実施形態の装着ヘッドおよび電子部品実装機と、は構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0094】
<<その他>>
以上、本発明の装着ヘッドおよび電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0095】
例えば、リンク機構部86の構造は特に限定しない。レールやボールねじの他、カムなどを用いてもよい。単一の駆動源により、一対の可動ノズル85L、85Rを、互いに反対方向に駆動できればよい。また、駆動源から可動ノズル85L、85Rへの動力伝達機構は、ボールねじの他、流体(液体、気体)シリンダ、ソレノイドなどを用いてもよい。
【0096】
第一実施形態の装着ヘッド8の第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rの傾斜角度は特に限定しない。傾斜角度により、図10、図11に示す荷重FLa、FRaの大きさを自在に調整することができる。また、第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、前方から見て逆「ハ」の字状に配置されていてもよい。また、第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、各々、曲線状であってもよい。
【0097】
第二実施形態の装着ヘッド8のシャフト部890のねじ部890L、890Rの螺旋角度は特に限定しない。螺旋角度により、図15に示す荷重F10L、F10Rの大きさを自在に調整することができる。また、第一傾斜ガイド部863L、第二傾斜ガイド部863Rは、左右逆に配置されていてもよい。
【0098】
また、図4に示す装着ヘッド8の3つのノズル(固定ノズル81、一対の可動ノズル85L、85R)の配置方向は、限定しない。左右方向でも前後方向でもよい。また、固定ノズル81は配置しなくてもよい。また、可動ノズル85Lを複数配置してもよい。また、可動ノズル85Rを複数配置してもよい。好ましくは、可動ノズル85Lと可動ノズル85Rとは同数である方がよい。
【0099】
また、部品供給装置4が、テープフィーダ40の代わりに、トレイを備えていてもよい。この場合、トレイ上に配置された複数の電子部品の中から、3つの電子部品を、本発明の装着ヘッドを用いて、同時に搬送、装着することができる。また、撮像装置33として、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)エリアセンサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1:電子部品実装機、2:ベース、3:モジュール、4:部品供給装置、5:画像処理装置、7:制御装置、8:装着ヘッド。
30:搬送装置、31:XYロボット、33:撮像装置、34:基部、35:クランプ装置、36:デバイスパレット、40:テープフィーダ、40a〜40g:テープフィーダ、70:入出力インターフェイス、71:記憶部、72:演算部、80:ヘッド本体、81:固定ノズル、82:ノズル開閉用Z軸モータ(駆動源)、82a:ノズル開閉用X軸モータ(駆動源)、83:ボールねじ部、84L:可動部、84R:可動部、85L:可動ノズル、85R:可動ノズル、86:リンク機構部、87:ノズル昇降用Z軸モータ、88:θ軸モータ、89:リンク機構部。
300:固定壁部、301:可動壁部、302:コンベアベルト、303:搬送モータ、310:X軸ガイドレール、311:X軸スライド、312:Y軸ガイドレール、313:Y軸スライド、314:X軸モータ、315:Y軸モータ、340:Y軸ガイドレール、350:バックアップテーブル、351:バックアップピン、352:クランプ片、353:昇降モータ、800:固定ノズル取付部、801:底壁部、801L:開口部、801R:開口部、801a:ガイド溝部、802:立壁部、803:上壁部、830:シャフト部、831:ナット部、840L:X軸スライド、840R:X軸スライド、841L:傾斜スライド、841La:被ガイド溝、841R:傾斜スライド、841Ra:被ガイド溝、842L:立壁部、843L:可動ノズル取付部、843R:可動ノズル取付部、860:Z軸ガイド部、861:Z軸被ガイド部、861a:Z軸スライド、861b:被ガイド部本体、862L:第一X軸ガイド部(X軸ガイド部)、862R:第二X軸ガイド部(X軸ガイド部)、863L:第一傾斜ガイド部(可動ガイド部)、863R:第二傾斜ガイド部(可動ガイド部)、890:シャフト部、890L:ねじ部、890R:ねじ部、891L:ナット部、891R:ナット部。
B:基板、F10L:荷重、F10R:荷重、FL:慣性力、FLa:荷重、FR:慣性力、FRa:荷重、L1:中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、
該ヘッド本体に配置される駆動源と、
一対の可動ノズルと、
該駆動源と一対の該可動ノズルとを、一対の該可動ノズル間のピッチを変更可能に、連結するリンク機構部と、
を備え、
一対の該可動ノズルに同じ入力方向から外力が加わる場合、一方の該可動ノズルから該リンク機構部に加わる荷重と、他方の該可動ノズルから該リンク機構部に加わる荷重と、が該リンク機構部に対して、互いに反対方向から加わる装着ヘッド。
【請求項2】
一対の前記可動ノズルのピッチ変更方向に延在する仮想軸をX軸として、
前記外力の前記入力方向は、該X軸方向であり、
前記リンク機構部は、前記駆動源の駆動力を、一対の該可動ノズルが該X軸に沿って互いに反対方向に移動するように、一対の該可動ノズルに伝達する請求項1に記載の装着ヘッド。
【請求項3】
前記X軸に対して直交する方向に延在する仮想軸をZ軸として、
前記リンク機構部は、
前記ヘッド本体に配置されるZ軸ガイド部と、
該Z軸ガイド部に案内され、前記駆動源により、該ヘッド本体に対して、該Z軸方向に移動するZ軸被ガイド部と、
該ヘッド本体に配置され、前記X軸方向に延在するX軸ガイド部と、
該Z軸被ガイド部に配置される可動ガイド部と、
を備え、
一対の該可動ノズルは、共に、該X軸ガイド部および該可動ガイド部に案内され、
該Z軸被ガイド部の該Z軸方向の移動に伴って、一対の該可動ノズルが該X軸ガイド部に沿って互いに反対方向に移動する請求項2に記載の装着ヘッド。
【請求項4】
前記外力は、前記ヘッド本体の加減速に伴う慣性力である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装着ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の装着ヘッドを備える電子部品実装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−84737(P2013−84737A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223232(P2011−223232)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】