説明

装着型端末装置

【課題】本発明は、人体の部位またはその部位の被服に着脱可能な装着型端末装置に関し、使用中における使用者の姿態、手および足の制約が解消されることを目的とする。
【解決手段】身体の部位または前記部位の被服に着脱可能に形成された装着部材と、前記装着部材に取付けられ、あるいは組み込まれ、ユーザーに音と画像との双方または何れか一方を提供する端末装置本体と、前記装着部材と前記端末装置本体との双方または何れか一方に着脱可能に形成され、無線伝送路を介する前記端末装置の前記ユーザーによる操作を実現する操作部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の部位またはその部位の被服に着脱可能な装着型端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度に進展した電子技術および情報処理が適用されることにより、軽量化、小型化および省電力化が図られた携帯電話機が広く普及しつつある。
なお、本発明に関連する先行技術としては、以下に列記する特許文献1ないし特許文献 がある。
【0003】
(1) 「ヘッドホンマイクと一体化又は有線接続され,前記ヘッドホンマイクに,再生した音響信号を出力する携帯型オーディオプレーヤーであって,外部通話装置と着脱可能に接続された外部通話装置側の無線通信手段との間で無線通信を行う携帯型オーディオプレーヤー側の無線通信手段と,前記外部通話装置に通話の開始を指示するための通話開始操作手段とを具備し,前記外部通話装置に着信があると前記外部通話装置側の無線通信手段から発信される着信通知信号が,前記携帯型オーディオプレーヤー側の無線通信手段により受信されると,前記ヘッドホンマイクに呼出し音を出力し,前記通話開始操作手段により前記外部通話装置に通話の開始が指示された場合に,前記ヘッドホンマイクを用いて入出力される音声信号を,前記携帯型オーディオプレーヤー側の無線通信手段と前記外部通話装置側の無線通信手段との間の無線通信を用いて前記外部通話装置に出入力する通話処理を行う」ことにより、「携帯型オーディオプレーヤーの省電力,音楽信号の品質,操作性の課題を同時に解決することが可能で,しかも様々な外部通話装置で用い得るようにした」点に特徴がある無線機能付き携帯型オーディオプレーヤー…特許文献1
【0004】
(2) 「人の耳に装着され、スピーカを有する少なくとも一つの耳装着部と、該耳装着部に対し接続自在の本体部とを備え、該本体部と前記耳装着部が一体化されたとき、一つの携帯電話として機能する」ことにより、「携帯電話とポータブル音楽プレイヤーの機能を併せ持ち、ヘッドホンへの変形が可能でありながら、コンパクトに折り畳んで携帯することのできる」点に特徴があるヘッドホン機能付携帯電話及び携帯電話…特許文献2
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−009903号公報
【特許文献2】特開2005−039492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来例では、通話時には、使用者は、例えば、図2に示すように、片手を用いてレシーバおよびマイクをそれぞれ耳や口の近くに支持し続けなければならず、振る舞いや姿勢の自由度が損なわれていた。
【0007】
本発明は、使用中における使用者の姿態、手および足の制約が解消される装着型端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、装着部材は、身体の部位または前記部位の被服に着脱可能に形成される。端末装置本体は、前記装着部材に取付けられ、あるいは組み込まれ、ユーザーに音と画像との双方または何れか一方を提供する。操作部材は、前記装着部材と前記端末装置本体との双方または何れか一方に着脱可能に形成され、無線伝送路を介する前記端末装置の前記ユーザーによる操作を実現する。
【0009】
すなわち、ユーザに音や画像を提供する端末装置本体に併せて、上記装着部材および操作部材が一体化され、かつ操作者の身体の部位またはその部位の被服に着脱可能に構成される。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の装着型端末装置において、前記端末装置本体は、移動通信系または無線LANにアクセスする通信モジュールとして構成される。前記装着部材は、前記通信系または前記無線LANとのアクセスに供されるアンテナとして機能し、または前記アンテナを有する。
【0011】
すなわち、上記移動通信系や無線LANに対するアクセスに供されるアンテナは、装着部材の内部や表面に確保され、かつ端末装置本体の内部や表面より広い空間に配置される。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の装着型端末装置において、前記装着部材は、前記ユーザーの耳に前記音を伝達する電気-音響変換手段と、前記ユーザーが発する音声を前記端末装置本体に引き渡す音響-電気変換手段と、前記ユーザーに視覚情報として前記画像を伝達する表示手段との全てまたは一部を有する。
【0013】
すなわち、装着部材には、ユーザに対する画像の伝達に併せて、そのユーザとの双方向における音響−電気変換を実現する手段が任意の組み合わせで一体化される。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の装着型端末装置において、前記電気-音響変換手段は、複数の電気-音響変換手段の組合せとして構成される。前記装着部材は、前記複数の電気-音響変換手段の一部または全てに併設され、前記端末装置本体に駆動電力を供給するバッテリのホルダを有する。
【0015】
すなわち、バッテリが配置される空間は、装着部材の側面または内部にある余剰のスペースに確保される。
【0016】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の装着型端末装置において、前記装着部材および前記端末装置本体の対、または前記装着部材、前記端末装着本体および前記操作部材の組合せは、ヘッドセットとして機能する。
【0017】
すなわち、端末装置本体の機能が用いられない場合であっても、ユーザに対して音や画像を提供する手段の活用が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用時であるか否かにかかわらずユーザの手が解放されるために携帯性が向上し、かつ端末装置本体が高機能化されるほど、多様な端末装置の一本化が可能となる。
【0019】
また、本発明が適用された装着型端末装置は、形状や寸法が有効に活用されることにより、移動通信系や無線LANを介して提供される通信サービスの品質が高められ、かつ安定に維持される。
【0020】
さらに、本発明では、ユーザの目や耳に近い位置からそのユーザに対する画像や音の伝達が良好な品質で安定に行われる。
【0021】
また、本発明では、バッテリの配置のために生じる形状や寸法の変化が回避され、あるいは少なく抑えられる。
【0022】
さらに、本発明では、音楽(メディア)プレーヤその他の多様な端末装置との多様な併用が可能となる。
したがって、「携帯」ではなく「着る」あるいは「付ける」ことができ、かつ装飾的付加価値がある多様な端末装置がファッション製品として実現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】従来の端末装置を使用する使用者に課される制約を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
本実施形態の物理的な構成は、以下の通りである。
図1において、通信モジュール11は線状(あるいは弧状)のケース11Cに収納され、そのケース11Cの両端には弧状の筒体として形成された弾性部材からなるフレーム12L、12Rのそれぞれの一端に連結(あるいは接合、係合、継合、螺合の何れか)される。フレーム12L、12Rの他端は皿状のケース13L、13Rの側壁に接合(あるいは連結、係合、継合、螺合の何れか)され、これらのケース13L、13Rの開口部にはスピーカ14L、14Rが取り付けられる。ケース13Lの側壁には線状の筒体からなるケース15の一端が接合(あるいは連結、係合、継合、螺合の何れか)され、そのケース15にはマイク16が内臓される。ケース13Rの側壁は板状のケース17の側壁に接合(あるいは連結、係合、継合、螺合の何れか)され、そのケース17には、フィルム型有機ELディスプレイとして構成された映像表示器18が取り付けられる。ケース13Rの内部にはバッテリ19が内蔵される。
【0025】
ケース13Lの開口部は、別体のケース20の底部に係合(あるいは勘合)可能な形状および寸法で形成される。そのケース20には、薄型キーパネルとして構成された操作部21が収納される。
【0026】
また、本実施形態の電気的な構成は、以下の通りである。
通信モジュール11は、他の構成要素との連係の実現のために、以下の通りに構成される。
(1) 移動通信系を介する通信サービスの提供を実現するアンテナおよび電子回路(通信制御を実現する情報処理系を含む)を備える。
【0027】
(2) 操作部21との間に無線リンクを形成し、その操作部21との連係を可能とする電子回路(操作表示部21を介するマンマシンインタフェースを実現する情報処理系を含む)を備える。
【0028】
(3) フレーム12Lの中空部に敷設されたケーブル(図示されない。)を介してスピーカ14Lおよびマイク16に接続される。
(4) フレーム12Rの中空部に敷設されたケーブル(図示されない。)を介してスピーカ14Rおよび映像表示器18に接続される。
【0029】
(5) 通信モジュール11の電源端子には、フレーム12Rの中空部に敷設されたケーブル(図示されない。)を介してバッテリ19の端子が接続される。
【0030】
さらに、操作部21は、通信モジュール11との間にBluetooth等の無線リンクを形成し、既述の通信サービスの過程で行われるべきマンマシンインタフェースを実現するアンテナおよび電子回路を備える。
【0031】
なお、上記電子回路については、何れも通信モジュール11、操作部20に集積回路等として内蔵されるため、図1への図示を省略する。
【0032】
このような構成のヘッドセット型通信端末は以下の通りに用いられ、使用者に対する既述の通信サービスの提供を実現する。
【0033】
本実施形態に係るヘッドセット型通信端末は、移動通信系に対する発信その他のアクセスの必要がない状態では、例えば、フレーム12L、ケース11Cおよびフレーム12Rからなる弧状の部位(以下、「弾性フレーム部」という。)が操作者の首回りに遊嵌して支持された状態でその操作者と共に移動する。
【0034】
また、上記発信が行われる場合には、本実施形態に係るヘッドセット型通信端末は、操作者によって以下の通りに取り扱われる。
(1) 「弾性フレーム部」が操作者の首回りから外される。
(2) 操作部21(ケース20)がケース13Lの開口部から取り外される。
【0035】
(3) ケース13L、13Rの開口部が操作者の両耳にそれぞれ接し、かつ映像表示器18が出力する画像が操作者の網膜に投影される状態で、操作者の頭部に「弾性フレーム部」が弾装される。
(4) 操作部21に対して電話番号や発信の要求が入力される。
【0036】
通信モジュール11は、既述の通信リンクを介して上記電話番号や発信の要求が与えられると、以下の処理を行う。
(1) 移動通信系に対する発信を所定の通信制御の下で行う。
(2) その通信制御の過程では、以下のマンマシンインタフェースがとられる。
【0037】
(2-1) 移動通信系から伝送されたサービストーン(呼び出し音等)や音声信号をスピーカ14L、14Rに出力する。
(2-2) 通信制御の過程で操作者に通知されるべき所定の情報を既述の無線リンクを介して操作部21に引き渡す。
【0038】
(2-3) 通信制御の過程で操作者に提供されるべき画像情報を映像表示器18に出力する。
(2-4) 通信制御の下で可能となった音声通話の状態では、操作者が発する音声をマイク16を介して取り込み、移動通信系にに引き渡す。
(2-5) 通信制御の下で可能となった通話がテレビ電話による通話である場合には、移動通信系から伝送された動画(静止画でもよい。)を映像表示器18に出力する。
【0039】
すなわち、本実施形態は、ヘッドホンおよび表示器に併せて通信モジュールが一体化され、かつ使用者の頭部に装着可能に構成されることにより、「携帯」ではなく、「着る」あるいは「付ける」ことができる端末装置が実現される。
【0040】
したがって、従来例に比べて、携帯性が向上し、ハンズフリーによる会話が可能となる。
また、本実施形態は、使用者の服装が薄着となる夏場であっても、その使用者が持ち歩くための鞄等の収納物が不要となる。
【0041】
さらに、本発明によれば、操作者の首回りや頭部等の部位に装着して用いられる特徴により、装飾的付加価値があるファッション製品としても構成することが可能である。
【0042】
また、本発明によれば、通信モジュール11に音楽(メディア)プレーヤ、ディジタル等の多様な機能が盛り込まれ、あるいはこのような機能を有する専用のモジュールで通信モジュール11が代替されることにより、従来、操作者が持ち歩かなければならなかった機能毎に異なる複数の端末の一本化の可能性が高められる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、映像表示器18は、「通信制御の下で操作者に提供されるべき画像情報や動作(静止画)」の表示だけではなく、例えば、通信モジュール11に組み込まれた機能により可能であるメールの作成、ウェブページの閲覧等にも活用可能である。
【0044】
また、上述した実施形態では、通信モジュール11は、携帯電話システムやPHS(Personal Handyphone
System)を介する通信サービスの提供に限らず、例えば、このようなサービスの提供を可能とする多くの端末装置と同様に、音楽(メディア)プレイヤ、ディジタルカメラその他の多様な機能を併有し、あるいは単体で実現するハードウェアで代替されてもよい。
【0045】
さらに、上述した実施形態では、ケース13L、13R、11Cおよびフレーム12L、12Rは、全てが一体化され、あるいはこれらの一部が如何なる組み合わせで一体化されてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、ケース11Cは、フレーム12L、12Rと一体化されない場合であっても、これらのフレーム12L、12Rと同様に筒体の弾性部材で構成されてもよい。
【0047】
さらに、上述した実施形態では、ケース20は、ケース13Lの開口部に係合(あるいは勘合)しなくてもよく、例えば、フレーム12L(12R)に係合し、かつ着脱可能に構成されてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、バッテリ19は、そのバッテリ19の交換や着脱を可能とするホルダと共にケース13Lに内蔵されてもよい。
【0049】
さらに、このようなバッテリ19は、フレーム12L、12Rの双方または何れか一方の中空部に配置されてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、マイク16(ケース15)がケース13Rに取り付けられ、かつ映像表示器18(ケース17)がケース13Lの側部に取り付けられてもよい。
【0051】
さらに、これらのマイク16(ケース15)および映像表示器18(ケース17)は、ケース13L、13Rの何れにも着脱可能となるように、機構的な互換性が確保されてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、通信モジュール11によって提供される通信サービスは、移動通信系(PHSを含む。)による通信サービスに限定されず、例えば、無線LAN等の多様な通信系を介して提供される通信サービスであってもよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態では、既述のアンテナは、例えば、フレーム12L、12Rの双方または何れか一方に内蔵(埋設)され、あるいは成膜等によって形成された導体として構成されてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、通信モジュール11は、多様な機能を有する他のモジュールで代替され、あるいはこのような他のモジュールとの交換が可能となるように構成されてもよい。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、外部から引き渡される音声と画像とをスピーカ14L、14Rと映像表示器18とにそれぞれ引き渡すヘッドセットとして用いられてもよい。
【0056】
また、これらの音声信号および画像信号は、例えば、既述のBluetooth等の無線リンクを介して与えられてもよく、または通信モジュール11に備えられたハードウェア、もしくはその通信モジュール11とは異なるハードウェア(通信モジュール11の代替を含む。)を介して、あるいは外部から直接与えられてもよい。
【0057】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
11 通信モジュール
11C,13L,13R,15,17,20 ケース
12L,12R フレーム
14L,14R スピーカ
16 マイク
18 映像表示器
19 バッテリ
21 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の部位または前記部位の被服に着脱可能に形成された装着部材と、
前記装着部材に取付けられ、あるいは組み込まれ、ユーザーに音と画像との双方または何れか一方を提供する端末装置本体と、
前記装着部材と前記端末装置本体との双方または何れか一方に着脱可能に形成され、無線伝送路を介する前記端末装置の前記ユーザーによる操作を実現する操作部材と
を備えたことを特徴とする装着型端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装着型端末装置において、
前記端末装置本体は、
移動通信系または無線LANにアクセスする通信モジュールとして構成され、
前記装着部材は、
前記通信系または前記無線LANとのアクセスに供されるアンテナとして機能し、または前記アンテナを有する
ことを特徴とする装着型端末装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装着型端末装置において、
前記装着部材は、
前記ユーザーの耳に前記音を伝達する電気-音響変換手段と、
前記ユーザーが発する音声を前記端末装置本体に引き渡す音響-電気変換手段と、
前記ユーザーに視覚情報として前記画像を伝達する表示手段と
の全てまたは一部を有する
ことを特徴とする装着型端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装着型端末装置において、
前記電気-音響変換手段は、
複数の電気-音響変換手段の組合せとして構成され、
前記装着部材は、
前記複数の電気-音響変換手段の一部または全てに併設され、前記端末装置本体に駆動電力を供給するバッテリのホルダを有する
ことを特徴とする装着型端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の装着型端末装置において、
前記装着部材および前記端末装置本体の対、または前記装着部材、前記端末装着本体および前記操作部材の組合せは、
ヘッドセットとして機能する
ことを特徴とする装着型端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−176608(P2011−176608A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38993(P2010−38993)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】