説明

製パン用食型等の集塵装置

【課題】 焼成工程終了後に行われる食型内部の清掃を衛生的且つ連続的に効率よく行うことが可能な製パン用食型等の集塵装置を提供する。
【解決手段】 複数の食型28などを順次、所定位置へ搬送する搬送手段12と、搬送手段12の上部に設置され、該搬送手段12上の食型28などの上部を覆うとともに、該食型28などに対し、上方より負圧を発生させ、食型28などの内部にある異物を吸引する負圧発生フード14と、負圧発生フード14内側に配設され、食型などの内部に圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射手段16と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製パン用食型等の集塵装置に係わり、特に、製パン時にパンを焼き上げる食型内のパンくず、パン粉などを取り除く際に使用する食型等の集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製パン作業は、小麦粉などの材料を練る混練工程、生地をイースト菌で発酵させる発酵工程、パンを焼く焼成工程を経て、パンが製造される。このうち、焼成工程に際しては、パン生地を型に入れた状態で焼き上げる場合が多い。このような型は、食型と呼ばれ、いわゆる角食などは、食型によって一定の形態に焼き上げられる。
【0003】
食型は、焼成工程終了後、内部にパンくずなどが残るため、再使用に際しては、食型内部の清掃を行うことが衛生上必須となる。従来、製パン工場では、食型内部の清掃は、人手によって圧搾空気を食型内部に吹き付けて、パンくずを吹き飛ばすことにより行っていた。
【特許文献1】特開平11-32920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人手が行う圧搾空気を利用した食型の清掃方法は、パンくずを工場内の周囲に飛び散らす結果となり、食品工場として衛生状態を厳格に保持しなければならない環境下では多くの課題があった。或いは規模の大きな工場では、食型の清掃作業に温水乾燥洗浄機を使用する場合もあるが、小規模な製パン工場では、このような洗浄機を設置するのは困難であるとともに、洗浄してもパンくずが残ってしまうこともあった。

【0005】
本発明は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、焼成工程終了後に行われる食型内部の清掃を確実、衛生的且つ連続的に効率よく行うことが可能な製パン用食型等の集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の食型などを順次、所定位置へ搬送する搬送手段と、前記搬送手段の上部に設置され、該搬送手段上の前記食型などの上部を覆うとともに、該食型などに対し、上方より負圧を発生させ、食型などの内部にある異物を吸引する負圧発生フードと、前記負圧発生フード内側に配設され、食型などの内部に圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記負圧発生フードは吸引手段と接続され、該吸引手段には食型などの内部の異物を捕捉するフィルターが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2において、前記負圧発生フードには、前記搬送手段上の食型などに対する高さ位置を調節可能な位置調整手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、請求項1乃至3記載の発明によれば、圧縮空気噴射手段によって食型等の内部に圧縮空気を吹き付けて、内部のパンくずや、パン粉を吹き飛ばしつつ、食型等の周囲を負圧に保持する負圧発生フードによって、当該パンくず、並びにパン粉を集塵するようにしている。このため、食型等の清掃を、周囲の衛生状態を保持したまま効率的に行うことができ、製パン作業の能率向上に寄与する。
【0010】
特に、請求項3記載の発明によれば、負圧発生フードは、位置調整手段によって搬送手段上の食型等に対して最適な高さ位置に調整することができるので、負圧の圧力を最適な値に調節することによって、集塵作業を確実且つ経済的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る製パン用食型等の集塵装置の好適な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る製パン用食型の集塵装置の概略斜視図、図2は本実施形態の集塵装置の正面図、図3は集塵装置の要部である負圧発生フード付近の詳細を示した立面図、図4は集塵装置全体の平面図である。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の製パン用食型の集塵装置10は、搬送手段12と、負圧発生フード14と、圧縮空気噴射手段16と、吸引手段17とを備えて構成されている。
【0013】
搬送装置12は、垂直に立設された4本の脚部18,18・・によって、所定の高さに支持された前後一対のフレーム20,20を備え、これらのフレーム20の両端部の間には、搬送手段12として、前後2条のコンベアベルト22,22が、平行に配設されている。具体的には、コンベアベルト22は、フレーム20の両端部に取り付けられた2つのローラ24,24間に張設されているとともに、モータ26によってフレーム20の長手方向に沿って移動することができるようになっている。コンベアベルト22,22上には、食型28,28・・が載置され、コンベアベルト22,22によって矢印方向へ搬送される。
【0014】
フレーム20,20の中央部には、前後一対の縦型フレーム30,30が立設され、これらの縦型フレーム30,30との間に、負圧発生フード14が取り付けられ、この負圧発生フード14は、コンベアベルト22の上方に位置している。負圧発生フード14は、その内側下面に下向きの開口部を有する天蓋状に形成されている。また、負圧発生フード14は、位置調整手段32により、両脇の縦型フレーム30,30に沿って上下に移動し、コンベアベルト22上の食型28に対する高さ位置を調整することができるようになっている。
【0015】
図3に示されるように、負圧発生フード14には、フード14の内側と連通する2本の吸引ダクト34,34が縦方向に接続されている。これらのダクト34,34は、二点鎖線に示すパイプ材などを介し、さらに1本の吸引ダクト36と接続され、最終的に吸引ダクト36は図示しない吸引手段と接続されている。これによって、負圧発生フード14の内側が負圧に保たれ、搬送されてくる食型28内の異物を吸引することができるようになっている。
【0016】
負圧発生フード14の中央部の内側には、フード14の前後方向に、圧縮空気噴射手段16のパイプ材16Aが架け渡されており、この圧縮空気噴射手段16のパイプ材16Aには、圧縮空気を供給する図示しないホースと接続されている。このパイプ材16A自体には、供給された圧縮空気を噴射する例えばノズル径2ミリの噴射孔16B,16B・・が多数穿設され、圧縮空気を例えば8°前後の狭い角度で下向きに噴射することができるようになっており、搬送されてくる食型28の内側のパンくず、パン粉を食型28内で吹き飛ばして、負圧発生フード14の内側にて舞い上がらせるようになっている。
【0017】
なお、圧縮空気を噴射するタイミングは、搬送手段12としてのコンベアベルト22,22によって搬送されてくる食型28の通過を捉えるために設置されている図示しない光電管などの位置検出センサーの検出信号に基づいて、圧縮空気の供給装置に設けられている間歇弁を所定時間、開放して圧縮空気を供給する。具体的には、ちょうど食型28がパイプ材16Aの真下にあるときに、間歇弁を開放するように制御し、食型28の内部に圧縮空気を吹き付ける。圧縮空気によって吹き飛ばされたパンくずや、パン粉は、舞い上がった際に、食型28の上方にある負圧発生フード14によって食型28の回り全体が負圧に保持されているため、ダクト34から吸引手段へと吸い込まれていく。
これにより、パンくず、パン粉を周囲に飛び散らせることなく、食型28内の清掃を行うことができ、製パン工場内を清潔に維持することができる。
【0018】
また、コンベアベルト22,22上には、複数の食型28が載置され、次々と負圧発生フード14の下方側に搬送していくが、その都度、圧縮空気によって内部のパンくず、パン粉を吹き飛ばしながら、ダクト34から回収していくため、多数の食型28の清掃作業を連続的且つ効率的に行うことができる。
【0019】
パンくず、パン粉を吸引する吸引手段は、図示していないが、パンくず、パン粉を内部で捕捉するフィルターを備え、吸引手段内のフィルターによってパンくず、パン粉を捕えた後に、排気を吸引手段の外部へと逃がすようにしている。このため、パンくず、パン粉を周囲へ舞い上がらせることはない。
また、負圧発生フード14は、位置調整手段32によって搬送手段12に対し、高さ位置を調整することができるので、食型28のサイズなどに応じて、最適な高さ位置に調整し、且つ負圧の圧力を最適な値に調節することによって、食型28内側の清掃を効率的、且つ経済的に行うことが可能である。
【0020】
なお、本実施例では、食型28内部の清掃を行う場合について説明したが、これに限らず、食パン以外の菓子パンや洋菓子などの焼成工程で使用される天板の清掃作業に利用することが可能である。
【0021】
以上、説明したように、本実施形態の製パン用食型の集塵装置10によれば、食型28内に溜まったパンくず、パン粉を周囲に舞い上がらせることなく、清潔に行うことが可能となり、製パン工場内の環境を高い衛生状態で保持することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、食型等の清掃を、周囲の衛生状態を保持したまま効率的に行うことができるので、製パン作業の能率の向上、量産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る製パン用食型の集塵装置の概略斜視図である。
【図2】同じく、本発明の一つの実施形態に係る製パン用食型の集塵装置の正面図である。
【図3】同じく、本発明の一つの実施形態に係るパン用食型の集塵装置の要部である負圧発生フード付近の詳細を示した立面図である。
【図4】同じく、本発明の一つの実施形態に係る製パン用食型の集塵装置全体の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 製パン用食型の集塵装置
12 搬送手段
14 負圧発生フード
16 圧縮空気噴射手段
16A パイプ材
16B 噴射孔
17 吸引手段
18 脚部
20 フレーム
22 コンベアベルト
24 ローラ
26 モータ
28 食型
30 縦型フレーム
32 位置調整手段
34 ダクト
36 吸引ダクト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食型などを順次、所定位置へ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の上部に設置され、該搬送手段上の前記食型などの上部を覆うとともに、該食型などに対し、上方より負圧を発生させ、食型などの内部にある異物を吸引する負圧発生フードと、
前記負圧発生フード内側に配設され、食型などの内部に圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射手段と、を備えたことを特徴とする製パン用食型等の集塵装置。
【請求項2】
前記負圧発生フードは吸引手段と接続され、該吸引手段には食型などの内部の異物を捕捉するフィルターが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の製パン用食型等の集塵装置。
【請求項3】
前記負圧発生フードには、前記搬送手段上の食型などに対する高さ位置を調節可能な位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の製パン用食型等の集塵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−200568(P2008−200568A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37265(P2007−37265)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(507053404)株式会社ニュートラル (1)
【Fターム(参考)】