説明

製袋充填包装機

【課題】ボックスモーションに類似する動作をしながらも、簡素で小型化可能な縦型製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】駆動モータ3の連続回転は、クランク軸6と連結されたレバー25が長孔30内でレバー支点31と嵌まり合っている運動変換機構によって、包装材の移動方向(縦方向であるY方向)に沿った動作と、包装材の側端縁部分fe,feへの接離方向(横方向であるX方向)の動作とが合成された縦方向に長軸がある長楕円状動作に変換される。長楕円動作の一部が圧着ストローク・圧着シロとなり、包装材の側端縁部分fe,feに対する圧着距離と圧着期間とを長く取ることができる。この長楕円状動作は、横シール機構としてよく用いられているボックスモーションに類似する動作であり、良好なヒートシールを、簡単で且つ小型化された構造で得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦シール機構を備えた製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填包装機としては、図5に示すような、縦型製袋充填包装機が多用されている。図5は従来の縦型製袋充填機の一例を示す概略斜視図であり、縦型製袋充填機50においては、帯状包装材60は、フォーマ51によって筒状包装材61に成形され、鉛直方向に走行される中で縦ヒートシーラ52によって縦シールが施される。筒状包装材61には、充填用筒体53に投下される包装物である製品Sが充填される。エンドシール・カット手段54が筒状包装材61にエンドシールを施すことによって、先行して形成され且つ内部に包装物である製品Sが包装された袋包装体63を製造すると同時に、製品Sの投入が予定される袋62の底側のエンドシールを形成する。充填用筒体53の外周の左右両側には、筒状包装材61を挟んで送る包装材送りベルト機構55が配設されている。
【0003】
エンドシール・カット手段54を構成するシール・カット・ブロック54a,54bは、筒状包装材61に対して互いに接近・離反する作動をし、接近時に筒状包装材61を横断する方向に挟んで、袋62のための底側のエンドシールを形成するエンドシーラ部と、袋包装体63の上側のエンドシールを形成するエンドシーラ部とを有する。包装材60はフォーマ51によって両側端縁部分fe,feが合掌状に重ね合わされるように成形され、縦ヒートシーラ52によって当該両側端縁部分fe,feに縦シールを施して筒状包装材62を形成し、筒状包装材62内に製品Sを充填し、エンドシール・カット手段54によって横断方向に横シールを施して袋包装体63を製造する
【0004】
エンドシール・カット手段54は、更に、両エンドシーラ部間で、筒状包装材61を突き破る形態で切断するカッタ刃56を備えている。カッタ刃は、一方のシール・カット・ブロック54aに上側のエンドシーラ部と下側のエンドシーラ部との間において取り付けられており、他方のシール・カット・ブロック54bには、両シール・カットブロック54a,54bが相互に接近したときにカッタ刃56が入り込む溝57が形成されている。両シール・カットブロック54a,54bが接近するとき、上下のエンドシーラ部が包装材を挟み込むことで筒状包装材61を溶着してエンドシール部を形成すると同時に、カッタ刃56が筒状包装材61を突き破る態様で切断する。なお、充填用筒体53の下端には、筒状包装材61を直径方向両外側に緊張させる一対の緊張ガイド59,59が斜め下方に延びるように設けられている。
【0005】
この種の従来の縦型製袋充填包装機においては、包装材は、包装動作に合わせて間欠的に送られている。即ち、包装材60が停止している短時間の間に、縦ヒートシーラ52が両側端縁部分に縦シールを施すとともに、エンドシール・カット手段54が横シールをも施して、必要な場合には更に包装材をカットして、袋包装体63を製造している。縦及び横のヒートシールに際しては、速度超過の場合には、フィルムの送りを速くしてシール時間を確保するように制御をしている。このような包装材を間欠送りするタイプの包装機では能力的に限界がある。
【0006】
連続的な包装材の送りを行う製袋充填包装機においては、縦ヒートシールは、横型包装機でよく採用されているヒートローラ方式を使用することがあるが、機械停止時のスローダウンや、機械運転開始時のスローアップ時に、包装材の同じ箇所に比較的長時間の間、熱を加えることになるために、シールの状態が悪くなることがある。製品待ちの停止時も同様である。縦型包装機では、製品を自由落下にて供給しているため、包装材のスピードも1サイクルの中で可変することがあり、それもシールの状態を悪くする一因である。
【0007】
フォーマによってシートを筒状シートに形成してその両縁部を合掌状に熱溶着する包装装置として、縦シール装置をボックスモーションする構造に構成することが知られている(特許文献1参照)。即ち、包装動作に同期して、一対の熱シール杆を互いに引き寄せて包装材の両縁部を合掌状に挟み、熱シールをしながら下方へ移動して包装材を引き下げる。熱シール杆が次の包装のために上方位置に戻るまでの間、包装材は停止しており、この時に横方向の熱シールが行われる。
【0008】
しかしながら、かかる縦型製袋充填包装機において、縦ヒートシールにボックスモーションをさせる縦シール機構は、床置きのモータ等の駆動源から伝動機構を介して縦ヒートシールに所定の運動をさせようとしているため、非常に複雑で大型化している。また、縦ヒートシールを構成する二つのヒータブロックが共に開閉する機構を備えているために、構造が一層複雑化している。
【特許文献1】特公昭44−24359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、製袋充填包装機において、縦シール機構としても、シール時間を十分確保しながらも包装速度を高速化可能にできるボックスモーションをする機構が好ましいが、モータ等の駆動源からの動きを縦ヒータブロックの相対的な開閉運動に変換する構造を簡素に且つ小型化して構成する点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、縦シール機構がボックスモーションに類似する動作をしながらも、簡素で小型化可能な製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋充填包装機は、長手方向に走行する湾曲状包装材の互いに接近した側端縁部分同士に合掌状のヒートシールを施して筒状包装材を形成する二つの縦ヒータブロックを有する縦ヒートシール手段、及び前記筒状包装材を横断方向にヒートシールを施して包装物が充填された前記筒状包装材を袋に形成する横ヒートシール手段を備え、前記縦ヒートシール手段を駆動する縦シール機構は、連続回転を出力する駆動モータ、及び前記駆動モータの連続回転を前記縦ヒートシール手段の前記包装材の移動方向に沿った動作と前記包装材の前記側端縁部分への接離方向の動作とが合成された前記縦方向に長軸を有する長楕円状動作に変換する運動変換機構を備えることから成っている。
【0012】
この製袋充填包装機によれば、駆動モータの連続回転が運動変換機構によって包装材の移動方向、即ち、長手方向に沿った動作と、包装材の側端縁部分への接離方向、即ち、横方向の動作とが合成された縦方向に長軸がある長楕円状動作に変換されるので、長楕円動作の一部が圧着ストローク・圧着シロとなり、包装材の側端縁部分に対する圧着距離と圧着期間とを長く取ることができる。この長楕円状動作は、横シール機構としてよく用いられているボックスモーションに類似する動作であり、良好なヒートシールを得ることができる。
【0013】
この製袋充填包装機において、前記運動変換機構は、前記駆動モータの回転を偏心回転に変換するクランク機構、前記クランク機構に連結されて前記偏心回転を前記長楕円状動作に変換するレバー機構、前記側端縁部分の各側で前記包装材の移動方向に沿ってスライド可能な二つの縦移動スライダ、及び前記レバー機構に連結されているとともに前記各縦ヒータブロックをそれぞれ支持しており且つ前記各縦移動スライダに対してそれぞれ横方向に相対的にスライド可能に架設されている二つの横移動スライダを備えて成ることができる。クランク機構とレバー機構とによって、レバー機構には長楕円状動作が出力される。この複雑な動作は、二組の互いに直交する直線方向に移動する縦移動スライダと横移動スライダとの簡単な構造を有する移動スライダによって許容される。
【0014】
この製袋充填包装機において、前記レバー機構は、固定のフレームに取り付けられたレバー支点、及び基端部において前記クランク軸に回動可能に連結され、先端部において一方の前記横移動スライダに回動可能に連結され、中間部において前記基端部と前記先端部とを結ぶ直線の方向に長軸を有し前記レバー支点が遊嵌合する長孔が形成されているレバーを備えて成ることができる。レバー支点は長孔内に遊嵌合しているので、レバーの基端部がクランク軸によって偏心回転するときに、レバーの先端部は略楕円状の軌跡を辿る動作をすることができる。
【0015】
この製袋充填包装機において、前記レバーは一方の前記横移動スライダに連結されていて当該一方の横移動スライダは一方の前記縦移動スライダとの協働によって略楕円状の軌跡を生じており、他方の前記横移動スライダは通常の包装動作状態では他方の前記縦移動スライダにより前記包装材の移動方向に沿った動作のみをすることができる。一方の横移動スライダが長楕円状動作をするので、それに設けられる一方の縦ヒータブロックも同様の動作をする。また、他方の横移動スライダに設けられる縦ヒータブロックは通常の包装動作状態では他方の縦移動スライダにより包装材の移動方向に沿った動作のみをする。両縦ヒータブロックの縦方向の移動は同期しているので、一方の縦ヒータブロックが他方のヒータブロックに対して相対的には接離する動作をし、接近時に包装材の側端縁部分を圧着することで、合掌状の縦ヒートシールを施すことができる。
【0016】
この製袋充填包装機において、前記一方の横移動スライダと前記一方の縦ヒータブロックとの間には圧着用スプリングが介装されており、前記圧着用スプリングは、前記一方の縦ヒータブロックが前記側端縁部分に圧着されて後に前記一方の横移動スライダの前記略楕円状の軌跡に起因して生じる圧着シロを自身の撓みで吸収することから成ることができる。一方の縦ヒータブロックが他方の縦ヒータブロックに当接した後に潰しに相当する距離だけ変位するときの圧着ストローク・圧着シロの間では、圧着用スプリングの弾性力でシール圧を出すことができるとともに、クッション作用が生じて、両縦ヒータブロックの衝突による物理的な破壊を防止することができる。
【0017】
この製袋充填包装機において、前記縦シール機構は、包装動作が停止された状態で、前記他方の横移動スライダを前記包装材の前記側端縁部分から離間させる横後退作動手段を備えていることから成ることができる。包装動作が停止された状態では、他方の縦ヒータブロックが長時間に渡って包装材に接触していると、包装材が縦ヒータブロックに融着する等の不具合が生じる。そこで、他方の縦ヒータブロックを支持している他方の横移動スライダを横後退作動手段によって側端縁部分から離間させることで、こうした不具合を回避することができる。
【0018】
この製袋充填包装機は、前記包装材の走行方向に関わらず、包装材が走行する長手方向の縦ヒートシールをする場合に適用可能であり、例えば、前記包装材の移動方向を鉛直方向とした縦型製袋充填包装機としても、或いは前記包装材の移動方向を水平方向とした横型製袋充填包装機としても適用可能である。
【発明の効果】
【0019】
この発明による製袋充填包装機は、上記のように構成されているので、駆動モータの連続回転は運動変換機構によって長楕円状動作に変換され、長楕円動作の一部が圧着ストローク・圧着シロとなり、包装材の側端縁部分に対する圧着距離と圧着期間とを十分に長く取ることができるボックスモーションに類似する縦シール動作が実現できる。その結果、良好なヒートシールを有する袋包装体を製造することができ、簡素で小型化可能な製袋充填包装機を提供することができる。また、クランク機構とレバー機構とを備える場合には、レバー機構に長楕円状動作が出力され、この複雑な動作は、縦移動スライダと横移動スライダとの簡単な構造を有する二組の移動スライダによって許容される。また、レバー支点を長孔内に遊嵌合させている場合には、レバーの基端部がクランク軸によって偏心回転するときに、レバーの先端部に略楕円状の軌跡を辿る動作をさせることができる。更に、他方の縦ヒータブロックに包装材の移動方向に沿った動作のみをさせるときには、両縦ヒータブロックの縦方向の移動は同期しているので、一方の縦ヒータブロックが他方のヒータブロックに対して相対的に接離する動作をし、接近時に包装材の側端縁部分を圧着することで、ヒートシールを施すことができる。更にまた、一方の縦ヒータブロックは、常に包装材の側端縁部分に接している状態となっているので、縦ヒートシールが形成されることになる当該側端縁部分に予熱を施すことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による製袋充填包装機の実施例を説明する。図1はこの発明による製袋充填包装機を縦型製袋充填包装機に適用した場合の縦シール機構の一例を示す正面図、図2は図1に示す縦シール機構の平面図、そして図3は図1に示す縦シール機構の裏面図である。縦型製袋充填包装機の基本的な構造としては、図5に示す従来の縦型製袋充填包装機と同等であって良く、再度の説明を省略する。なお、「縦型」は包装材の送り方向が上方から下方にである鉛直方向な包装機について用い、「横型」は包装材の送り方向が水平方向な包装機について用いる。それ以外の、例えば「縦方向」及び「縦シール」というときは包装材の送り方向である長手方向を言い、「横方向」及び「横シール」というときは包装材の送り方向である長手方向に直交する方向を言う。
【0021】
図1〜図3に示すように、縦型製袋充填包装機(以下、「包装機」と略す)における縦シール機構1は包装機のフレーム2に対して取り付けられている。フレーム2を包装機本体に対して回動可能に取り付けることによって、縦シール機構1は、フレーム2と共に開閉可能にスイング可能となり、包装機の前面において充填筒の周囲に沿って湾曲させた包装材に接近した装着位置と、当該充填筒や包装材から離間した開放位置とを選択的に取ることができる。縦シール機構1を装着位置に置くときには、包装材の両側端縁部分を合掌状に挟んで当該部分にヒートシールを施すことができる。包装機のメンテナンス等の際には、縦シール機構1は開放位置を取ることで、その全体を充填筒や包装材から離して縦シール機構1を大きく開くことができる。
【0022】
充填筒53(図5参照)をその外周に倣って取り囲むように成形された湾曲状の包装材61は、包装動作に従って連続的に縦方向に送られる。即ち、包装材61は、包装機の動作に従って、ボックスモーションのような作動をする横シール機構によって横断方向にシールが施される間にもこれに対応して走行し、次の横シール機構の動作のサイクルに合わせて1包装ピッチに対応する長さ分が縦方向に供給される。
【0023】
縦シール機構1は、駆動用のサーボモータ3とその回転出力を減速する減速機4とを備えており、これらは共にフレーム2に固定されている。減速機4の出力軸にはクランク軸5が取り付けられており、クランク軸5の出力側は減速機4の出力軸に対して偏心した偏心軸6となっており、クランク軸5の回転に伴って円の軌跡を描く。
【0024】
縦シール機構1は、包装材の両側端縁部分fe,feを合掌状に挟む2本のバー状の縦ヒータブロック7,8を備えている。縦ヒータブロック7,8それ自体の構造は、従来と同様に電熱線を備えたヒータブロックであるので、ここではその詳細な説明を省略する。この例では、クランク軸5に対して遠い側の縦ヒータブロック7は、Y方向と包装材に対して接離する方向であるX方向(Y方向に直交する横方向)とに複合する略楕円動作(詳細は後述する)をする。クランク軸5に近い側の縦ヒータブロック8は、包装機の包装動作に従って、包装材の送り方向であるY方向(縦方向)にのみ往復動作をする。クランク軸5の回転に伴って偏心軸6は、このX方向とY方向とで定める平面と平行な平面内で前記円の軌跡を描く。
【0025】
縦ヒータブロック7,8にY方向の動作をさせるため、各縦ヒータブロックの背後側(X方向で包装材から遠い側)に、Y方向への移動スライダ(以下、「Y移動スライダ」という)9,10が、それぞれY方向に延び且つフレーム2に固定された固定軸11,12にスライド可能に設けられている。両Y移動スライダ9,10は、Y方向に離れて配置されており且つX方向に延びる一対の横軸13,14によって連結されている。横軸13,14には、X方向への移動スライダ(以下、「X移動スライダ」という)15,16がスライド可能に設けられている。X移動スライダ15には縦ヒータブロック7が支持されており、X移動スライダ16には縦ヒータブロック8が取り付けられている。包装機の通常の動作中、X移動スライダ16はX方向へ移動することはないので、縦ヒータブロック8のX方向の位置は、通常の包装動作では不変である。
【0026】
図2及び図3に示されているように、包装機の停止時等に横後退作動手段として作動させることができるX方向移動シリンダ17が設けられている。X方向移動シリンダ17は、Y移動スライダ10側のブロック18と、縦ヒータブロック8に対してその背面側に取り付けられるブロック19とを繋ぐリンク20,20間に掛け渡されている。リンク20,20において、X方向移動シリンダ17の両端が連結される連結点は関節構造21となっている。そのため、X方向移動シリンダ17がその長さを縮める方向に作動するとき、リンク20,20は両連結点が互いに引き寄せられる方向に移動し、関節構造21のところで折れ曲がるように変形する。縦ヒータブロック8側のブロック19は、リンク作動によってY移動スライダ10側の縦ブロック18側に平行移動する。包装機が停止したときなどには、この作動によって縦ヒータブロック8は包装材の側端縁部分fe,feから離れるので、包装材が縦ヒータブロック8の熱によって融着する等の不具合が生じるのを回避することができる。
【0027】
クランク軸5から遠い側のX移動スライダ15には、縦ヒータブロック7が、X方向に延びる2本のガイド軸22によって案内されるように設けられている。また、図示のように、X移動スライダ15と縦ヒータブロック7との間には、X軸方向にのみ伸縮可能となるように配置された複数の圧着用スプリング23が介装されている。各圧着用スプリング23は、調整ボルト24によってそのばね力を調整することができる。
【0028】
X移動スライダ15にはまた、クランク軸5との間でレバー25が連結されている。レバー25のクランク軸5側の基端部26は、偏心軸6に軸受29を介して回動可能に連結されている。レバー25の中間部27には、レバー25の長手方向に長い長孔30が形成されており、フレーム2に取り付けられたレバー支点31が長孔30に嵌合している。レバー支点31は断面円形のピンであり、その径は長孔30の幅に略等しくされていて長孔30内を相対的に移動可能である。また、レバー支点31はレバー25が揺動するのを許容しており、レバー25の揺動動作のための支点として機能している。レバー25と長孔30に嵌合するレバー支点31とは、本発明におけるレバー機構を構成している。また、クランク軸5を含むクランク機構、上記レバー機構、及び二組の移動スライダは本発明による運動変換機構を構成している。レバー25の先端部28は、X移動スライダ15に対して軸受32によって回動可能な枢着部33となっている。なお、減速機4の出力軸にはレバー原点センサ34が設けられており、レバー原点センサ34は包装動作中におけるレバー25の長楕円軌跡の原点位置を求めている。
【0029】
図4は、クランク軸5に回転出力が現れたときに、レバー25の先端部28が描く軌跡を示す図である。レバー25の先端部28は、基端部26の偏心運動と長孔30内でのレバー支点31の支点作用とによって、略楕円の軌跡40を描く。レバー25の先端部28に取り付けられているX移動スライダ15は、横軸13,14によってX方向に案内されながら、横軸13,14が取り付けられているY移動スライダ9が固定軸11によってY方向に案内されることで、軌跡40と同じ軌跡を描くように移動される。X移動スライダ16は、X方向には移動しないが、横軸13,14がY方向に移動することで、これと同期して固定軸12によってY方向に案内される。即ち、長楕円動作は、X移動スライダ15,16とY移動スライダ9,10とによって、それぞれX方向及びY方向に取り出される。Y方向に取り出された動作は、縦ヒータブロック7,8、Y移動スライダ9,10、横軸13,14及びX移動スライダ15,16から成る縦ヒータブロックユニット全体を移動させ、X方向に取り出された動作は縦ヒータブロック7のみを動かす。
【0030】
図4の軌跡40のうち、部分41は縦ヒータブロック7が包装材の両側端縁部分fe,feから離れて上昇する区間であり、反対側の部分42は包装材の両側端縁部分fe,feに接近して下降する区間である。部分42中のハッチングが施された領域43は、X移動スライダ15に支持されている縦ヒータブロック7が縦ヒータブロック8に接近して、包装材の両側端縁部分を圧着させることになる領域を示している。縦方向の幅Lは圧着ストロークであり、このストロークの間、縦ヒータブロック7,8が包装材の両側端縁部分を挟んで圧着させながら縦方向に移動(通常は下がる方向)するが、縦ヒータブロックユニット全体は、縦ヒータブロック7,8が包装材に密着する少し手前から少し離れた所まで、サーボモータ3の出力動作によってフィルムと等速になるように制御される。圧着シロWは、圧着開始からその終了までの間、圧着用スプリング23が撓むことによってX移動スライダ15が更に縦ヒータブロック7に接近する動きを吸収して、物理的な損傷・破壊を回避することができる。
【0031】
次に、縦シール機構1の作動を説明する。サーボモータ3が回転し、その回転出力が減速機4を介してクランク軸5に出力されると、偏心軸6が振れ回る。レバー25は、この偏心軸6に対して軸受29によって回動可能な基端部26の動きと、固定のレバー支点31が長孔30内で支点として振る舞う作用とによって、図1の想像線で示すような動きをし、先端部28においては図4に示すような略長楕円状の軌跡を描く。レバー25の先端部28はX移動スライダ15に対して回動可能な枢着部33となっているので、X移動スライダ15は、この長楕円状の軌跡のうちX方向の移動については横軸13,14によって直接に案内される。
【0032】
この長楕円状の軌跡のうちY方向の移動については、横軸13,14が取り付けられているY移動スライダ9が固定軸11によってY方向に案内されるとともに、横軸13,14が取り付けられているY移動スライダ10も同期してそのまま固定軸12によってY方向に案内されることによって許容される。横軸13,14のY方向の移動はX移動スライダ16にも伝達され、X移動スライダ16はX移動スライダ15と同期してY方向に移動する。これによって、縦ヒータブロック7にボックスモーションに類似した動作をさせることができる。X移動スライダ15の略楕円の軌跡のうち、シール圧着については図4を参照して説明したとおりである。この間、縦ヒータブロック8は、Y方向に上下動をするのみであって、X方向には変位しない。縦ヒータブロック8は、包装材の側端縁部分が実際にヒートシールを施される前に当該側端縁部に分接しているので、当該側端縁部にそのヒートシールに先立って予熱を与えることができる。なお、包装材は連続送りされているので、縦ヒータブロック7が包装材の側端縁部との圧着状態からX方向に後退して上昇し更にX方向に向かって包装材の側端縁部に接近するまでの間も、包装材の送りは継続されている。縦シール機構1の作動のタイミングは、その間の包装材の移動量を考慮して、縦ヒートシールが途切れ無く連続して形成されるように制御される。また、包装動作の1サイクル(1つの袋包装体が製造される期間)につき、クランク軸5の回転は1回転、又はその整数倍のn回転することができる。包装機が停止するとき等では、X方向移動シリンダ17を作動させることで、縦ヒータブロック8が包装材の同じ側端縁部分に接し続けることによる融着などの不具合が生じるのを防止することができる。
【0033】
この実施例においては、包装材は連続送りであるとして説明したが、縦シール機構1の動作に同期した間欠送りとされるものでも、構わない。更に、この実施例は縦型製袋充填包装機に適用した例について説明したが、同じ縦シール機構を、ピロー包装機や逆ピロー包装機の場合のように、水平方向に走行される包装材に製品を送り込んで、包装材の側端縁部分に走行方向に一致する合掌状の縦ヒートシールを施すとともに包装材に対して横断方向に横ヒートシールを施す横型製袋充填包装機にも適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明による縦型製袋充填包装機における縦シール機構の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す縦シール機構の平面図である。
【図3】図1に示す縦シール機構の裏面図である。
【図4】図1に示す縦シール機構に用いられるレバーの挙動を示す軌跡図である。
【図5】従来の縦型製袋充填包装機の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 縦シール機構 2 フレーム
3 サーボモータ 4 減速機
5 クランク軸 6 偏心軸
7,8 縦ヒータブロック 9,10 Y移動スライダ
11,12 固定軸 13,14 横軸
15,16 X移動スライダ 17 X方向移動シリンダ
18,19 ブロック 20 リンク
21 関節構造 22 ガイド軸
23 圧着用スプリング 24 調整ボルト
25 レバー 26 基端部
27 中間部 28 先端部
29 軸受 30 長孔
31 レバー支点 32 軸受
33 枢着部 34 レバー原点センサ
40 軌跡 41,42 部分
43 ハッチングが施された領域
L 圧着ストローク W 圧着シロ
fe,fe 側端縁部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に走行する湾曲状包装材の互いに接近した側端縁部分同士に合掌状のヒートシールを施して筒状包装材を形成する二つの縦ヒータブロックを有する縦ヒートシール手段、及び前記筒状包装材を横断方向にヒートシールを施して包装物が充填された前記筒状包装材を袋に形成する横ヒートシール手段を備え、
前記縦ヒートシール手段を駆動する縦シール機構は、連続回転を出力する駆動モータ、及び前記駆動モータの連続回転を前記縦ヒートシール手段の前記包装材の移動方向に沿った動作と前記包装材の前記側端縁部分への接離方向の動作とが合成された前記縦方向に長軸を有する長楕円状動作に変換する運動変換機構を備えて成る製袋充填包装機。
【請求項2】
前記運動変換機構は、前記駆動モータの回転を偏心回転に変換するクランク機構、前記クランク機構に連結されて前記偏心回転を前記長楕円状動作に変換するレバー機構、前記側端縁部分の各側で前記包装材の移動方向に沿ってスライド可能な二つの縦移動スライダ、及び前記レバー機構に連結されていると共に前記各縦ヒータブロックをそれぞれ支持しており且つ前記各縦移動スライダに対してそれぞれ横方向に相対的にスライド可能に架設されている二つの横移動スライダを備えて成る請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記レバー機構は、固定のフレームに取り付けられたレバー支点、及び基端部において前記クランク軸に回動可能に連結され、先端部において一方の前記横移動スライダに回動可能に連結され、中間部において前記基端部と前記先端部とを結ぶ直線の方向に長軸を有し前記レバー支点が遊嵌合する長孔が形成されているレバーを備えて成る請求項2に記載の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記レバーは一方の前記横移動スライダに連結されていて当該一方の横移動スライダは一方の前記縦移動スライダとの協働によって略楕円状の軌跡を生じており、他方の前記横移動スライダは通常の包装動作状態では他方の前記縦移動スライダにより前記包装材の移動方向に沿った動作のみをすることから成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記一方の横移動スライダと前記一方の縦ヒータブロックとの間には圧着用スプリングが介装されており、前記圧着用スプリングは、前記一方の縦ヒータブロックが前記側端縁部分に圧着されて後に前記一方の横移動スライダの前記略楕円状の軌跡に起因して生じる圧着シロを自身の撓みで吸収することから成る請求項4に記載の製袋充填包装機。
【請求項6】
前記縦シール機構は、包装動作が停止された状態で、前記他方の横移動スライダを前記包装材の前記側端縁部分から離間させる横後退作動手段を備えていることから成る請求項4に記載の製袋充填包装機。
【請求項7】
前記製袋充填包装機は、前記包装材の移動方向を鉛直方向とした縦型製袋充填包装機であることから成る請求項1〜6のいずれか1項に記載の製袋充填包装機。
【請求項8】
前記製袋充填包装機は、前記包装材の移動方向を水平方向とした横型製袋充填包装機であることから成る請求項1〜6のいずれか1項に記載の製袋充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−184695(P2009−184695A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25804(P2008−25804)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】